JP6374186B2 - 回転伝達装置 - Google Patents

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Description

この発明は、回転の伝達と遮断の切換えに用いられる回転伝達装置に関する。
入力軸から出力軸への回転の伝達と遮断とを行う回転伝達装置として、入力軸と出力軸とを結合および解除する2方向クラッチを有し、その2方向クラッチの係合および解除を電磁クラッチにより制御するようにしたものが従来から知られている。
特許文献1に記載された回転伝達装置においては、出力軸の軸端部に設けられた外輪と入力軸の軸端部に設けられて上記外輪の内側に組み込まれた内輪との間に制御保持器と回転保持器とを、各保持器に形成された柱部が周方向で交互に配置されるよう組込み、隣接する柱部間に形成されたポケット内に対向一対のローラを組込み、その一対のローラを、その対向部間に組み込まれた弾性部材で離反する方向に付勢して、外輪の内周に形成された円筒面と内輪の外周に形成されたカム面に係合する位置にスタンバイさせ、上記内輪の一方向への回転により一方のローラを円筒面およびカム面に係合させ、内輪の回転を外輪に伝達するようにしている。
また、内輪が設けられた入力軸上に電磁クラッチを設け、その電磁クラッチの電磁コイルに対する通電により制御保持器を軸方向に移動させ、その制御保持器のフランジと回転保持器のフランジの対向面間に設けられたトルクカムの作用によりポケットの周方向幅が小さくなる方向に制御保持器と回転保持器とを相対回転させて、各保持器の柱部で一対のローラを係合解除位置まで移動させ、内輪から外輪への回転伝達を遮断するようにしている。
上記回転伝達装置においては、電磁クラッチの電磁コイルに対する通電を解除すると、対向一対のローラ間に組み込まれた弾性部材の押圧作用により制御保持器と回転保持器がポケットの周方向幅が大きくなる方向に相対回転して対向一対のローラが円筒面およびカム面との間に微小な間隙を形成して、入力軸の回転により直ちに係合するスタンバイ位置に配置されるため、回転方向ガタがきわめて小さく、応答性に優れているという特徴を有している。
特開2009−293679号公報
ところで、上記特許文献1に記載された回転伝達装置においては、強度を確保するため、2方向クラッチを形成する外輪や内輪、ローラおよびそのローラを保持する保持器等の各種部品のそれぞれが金属製とされおり、その回転伝達装置の耐久試験を行っていたところ、2方向クラッチが係合する都度、異音が発生するという問題点が見出された。
その異音の発生原因として、2方向クラッチにおける一対のローラが弾性部材の押圧作用により離反する方向に相対移動して外輪の円筒面および内輪のカム面との間に微小間隙が形成されるスタンバイ位置に配置される際、制御保持器が外輪の開口端面に衝突し、その衝突は金属同士の衝突であるため、異音が発生するものと考えられる。
また、外輪に対する制御保持器の衝突時、制御保持器が振動し、その振動はトルクカムを介して回転保持器に伝達され、制御保持器および回転保持器のそれぞれの柱部が振動してローラを微妙に叩打するものと考えられる。
本件の発明者らは、2方向クラッチの係合時に生じる異音(騒音)の低減化を図るため、各種の試験を行ったところ、制御保持器および回転保持器における柱部の係合子としてのローラと対向する面に柔軟な軟質材を設けることによって2方向クラッチの強度を確保する状態で騒音を減衰し得ることを見い出しのである。
この発明の課題は、2方向クラッチの係合および解除を電磁クラッチで制御する回転伝達装置において、2方向クラッチの係合時に発生する騒音の低減化を図ることである。
上記の課題を解決するため、この発明においては、入力軸と、その入力軸と同軸上に配置された出力軸の相互間において回転の伝達と遮断とを行なう2方向クラッチおよびその2方向クラッチの係合および解除を制御する電磁クラッチを有し、前記2方向クラッチが、前記出力軸の軸端部に設けられた外輪の内周と前記入力軸の軸端部に設けられた内輪の外周間に、制御保持器のフランジに設けられた複数の柱部および回転保持器のフランジに設けられた複数の柱部が周方向に交互に配置されるよう組込み、隣接する柱部間に形成されたポケット内に前記外輪の内周および内輪の外周に対して係合可能な一対の係合子と、その一対の係合子を離反する方向に付勢する弾性部材とを組込んだ構成とされ、前記電磁クラッチが、前記制御保持器に連結されたアーマチュアと、そのアーマチュアと軸方向で対向するロータと、そのロータと軸方向で対向し、通電によりロータにアーマチュアを吸着させる電磁石とからなり、前記電磁石に対する通電によりアーマチュアと共に制御保持器をロータに向けて軸方向に移動させ、その軸方向への移動を運動変換機構により制御保持器と回転保持器をポケットの周方向幅が小さくなる方向の相対回転運動に変換して一対の係合子を外輪の内周と内輪の外周に対して係合解除させるようにした回転伝達装置において、前記制御保持器の柱部および前記回転保持器の柱部の前記係合子に対する対向面に振動吸収機能を有する軟質層を設けた構成を採用したのである。
ここで、軟質層は、金属材料系被膜、無機・有機材料などの非金属系被膜のいずれでもよい。
金属材料系被膜として、耐久性や母材密着性の観点から、銅系またはアルミニウム系の金属材料を溶射した金属溶射層や、その金属溶射層上に鉛系めっき、錫系めっき、鉛―錫系めっきの金属めっき膜を設けたものを採用することができる。
一方、非金属系被膜として、ポリテトラフルオロエチレン樹脂被膜、二硫化モリブデン被膜、二硫化モリブデン・黒鉛混合被膜、二硫化モリブデンやポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE樹脂)などの固体潤滑剤と土状黒鉛などの移着量調整剤とポリアミドイミド樹脂(PAI樹脂)などのバインダからなる潤滑用被膜を採用することができる。
ここで、制御保持器は軸方向への移動により回転保持器に対して相対回転して係合子を係合および係合解除させるため、制御保持器の柱部は係合子に対して摺動する。このため、上記のような非金属系被膜からなる軟質層の形成に際しては、アルミニウム系の金属溶射層上に形成して密着性を高めるのがよい。
また、非金属系被膜として、ポリアミドイミド樹脂(PAI樹脂)をマトリックス樹脂とする樹脂被膜からなるものを採用することができる。
上記軟質層の膜厚が薄くなり過ぎると騒音を効果的に吸収することができず、また、厚くなり過ぎると剥離し易くなって、剥離した際に係合子の係合、解除を阻害する可能性が高くなるため、膜厚は5〜100μmの範囲とするのがよい。
この発明においては、上記のような軟質層を制御保持器の柱部および回転保持器の柱部の係合子に対する対向面に設けて、2方向クラッチの係合時の音の発生について試験したところ、軟質層が形成されていない回転伝達装置に比較して騒音が低く、2方向クラッチの係合時の騒音が減衰されたことを試験によって確認することができた。
この発明に係る回転伝達装置の実施の形態を示す縦断面図 図1のII−II線に沿った断面図 図2に示すローラの係合状態を示す断面図 図1のIV−IV線に沿った断面図 図4のV−V線に沿った断面図 図1のVI−VI線に沿った断面図 (a)は図6のVII−VII線に沿った断面図、(b)はトルクカムの作動前の状態を示す断面図 制御保持器を示す斜視図 騒音の測定結果を示すグラフ
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、この発明に係る回転伝達装置の実施の形態を示す。図示のように、回転伝達装置は、入力軸1と、その入力軸1と同軸上に配置された出力軸2と、その両軸の軸端部を覆うハウジング3と、そのハウジング3内に組み込まれて入力軸1から出力軸2への回転の伝達と遮断とを行なう2方向クラッチ10およびその2方向クラッチ10の係合、解除を制御する電磁クラッチ50とからなる。
ハウジング3は円筒状をなし、その一端部には小径の軸受筒4が設けられ、その軸受筒4内に組み込まれた軸受5によって出力軸2が回転自在に支持されている。
図1および図2に示すように、2方向クラッチ10は、出力軸2の軸端部に設けられた外輪11の内周に円筒面12を設け、入力軸1の軸端部に設けられた内輪13の外周に複数のカム面14を周方向に等間隔に形成し、その複数のカム面14のそれぞれと円筒面12間に係合子としての一対のローラ15と弾性部材20とを組込み、そのローラ15を保持器16で保持し、上記内輪13の一方向への回転により一対のローラ15の一方を円筒面12およびカム面14に係合させて内輪13の回転を外輪11に伝達し、また、内輪13の他方向への回転時に他方のローラ15を円筒面12およびカム面14に係合させて内輪13の回転を外輪11に伝達するようにしている。
ここで、外輪11の閉塞端部の内面側には小径の凹部17が形成され、その凹部17内に組み込まれた軸受18によって入力軸1の軸端部が回転自在に支持されている。
内輪13は入力軸1に一体に形成されている。その内輪13の外周に形成されたカム面14は、相反する方向に傾斜する一対の傾斜面14a、14bから形成されて外輪11の円筒面12との間に周方向の両端が狭小のくさび形空間を形成しており、上記一対の傾斜面14a、14b間には内輪13の接線方向に向く平坦なばね支持面19が設けられ、そのばね支持面19によって弾性部材20が支持されている。
弾性部材20はコイルばねからなる。この弾性部材20は一対のローラ15間に配置される組込みとされ、その弾性部材20で一対のローラ15は離反する方向に付勢されて、円筒面12およびカム面14に係合するスタンバイ位置に配置されている。
保持器16は、制御保持器16Aと、回転保持器16Bとからなる。図6および図7に示すように、制御保持器16Aは、環状のフランジ21の片面外周部にカム面14と同数の柱部22を周方向に等間隔に設け、その隣接する柱部22間に円弧状の長孔23を形成し、外周には柱部22と反対向きに筒部24を設けた構成とされている。
一方、回転保持器16Bは、図1に示すように、環状のフランジ25の外周にカム面14と同数の柱部26を周方向に等間隔に設けた構成とされている。
制御保持器16Aと回転保持器16Bは、制御保持器16Aの長孔23内に回転保持器16Bの柱部26が挿入されて、その柱部22、26が周方向に交互に並ぶ組み合わせとされている。そして、その組み合わせ状態で柱部22、26の先端部が外輪11と内輪13間に配置され、制御保持器16Aのフランジ21および回転保持器16Bのフランジ25が入力軸1の外周に嵌合された支持リング28と外輪11間に位置する組込みとされている。
上記のような保持器16A、16Bの組込みによって、図2に示すように、制御保持器16Aの柱部22と回転保持器16Bの柱部26間にポケット27が形成され、そのポケット27は内輪13のカム面14と径方向で対向し、各ポケット27内に対向一対のローラ15および弾性部材20が組込まれている。
図1に示すように、制御保持器16Aのフランジ21は入力軸1の外周に形成されたスライド案内面29に沿ってスライド自在に支持され、上記回転保持器16Bのフランジ25と入力軸1に嵌合された上述の支持リング28間にスラスト軸受30が組み込まれている。
スラスト軸受30は、回転保持器16Bが電磁クラッチ50側に移動するのを防止する状態で、その回転保持器16Bを回転自在に支持している。
図1および図6に示すように、制御保持器16Aのフランジ21と回転保持器16Bのフランジ25間には、制御保持器16Aの軸方向への直線運動を制御保持器16Aと回転保持器16Bの相対的な回転運動に変換する運動変換機構としてのトルクカム40が設けられている。
図7(a)、(b)に示すように、トルクカム40は、制御保持器16Aにおけるフランジ21と回転保持器16Bにおけるフランジ25の対向面それぞれに周方向の中央部で深く両端に至るに従って次第に浅くなる対向一対のカム溝41、42を設け、その対向一対のカム溝41、42間にボール43を組み込んだ構成としている。
ここで、カム溝41は、相反する方向に傾斜する一対の傾斜カム面41a、41bにより形成されて断面V字形とされている。一方、カム溝42もカム溝41と同様に、一対の傾斜カム面42a、42bにより形成されて断面V字形とされている。
上記トルクカム40は、制御保持器16Aのフランジ21が回転保持器16Bのフランジ25に接近する方向に制御保持器16Aが軸方向に移動した際に、図7(a)に示すように、ボール43がカム溝41、42の溝深さの最も深い位置に向けて転がり移動し、制御保持器16Aと回転保持器16Bをポケット27の周方向幅が小さくなる方向に相対回転させるようになっている。
図5に示すように、内輪13の軸方向一端面とスライド案内面29の交差部には、そのスライド案内面29より大径の円筒形のホルダ嵌合面44が形成され、そのホルダ嵌合面44にばねホルダ45が嵌合されている。
ばねホルダ45は、ホルダ嵌合面44に対して回り止めされ、かつ、軸方向に非可動の支持とされ、その外周には、図4に示すように、制御保持器16Aの柱部22と回転保持器16Bの柱部26間に配置される複数の回り止め片46が形成されている。
複数の回り止め片46は、制御保持器16Aと回転保持器16Bとがポケット27の周方向幅を縮小する方向に相対回転した際に、制御保持器16Aの柱部22および回転保持器16Bの柱部26を両側縁で受け止めて対向一対のローラ15を中立位置に保持するようになっている。
図5に示すように、ばねホルダ45の外周部には複数の弾性部材20のそれぞれ外径側に張り出すばね保持片47が設けられ、そのばね保持片47によって弾性部材20は一対のローラ15間より外径側に逃げ出るのが防止されている。
図1に示すように、電磁クラッチ50は、制御保持器16Aに形成された筒部24の端面と軸方向で対向するアーマチュア51と、そのアーマチュア51と軸方向で対向するロータ52と、そのロータ52と軸方向で対向する電磁石53とを有している。
アーマチュア51は、支持リング28の外周に嵌合されて回転自在に、かつ、スライド自在に支持され、そのアーマチュア51の外周部に設けられた連結筒55の内径面に制御保持器16Aの筒部24が圧入されて制御保持器16Aとアーマチュア51が連結一体化されている。その連結によってアーマチュア51は、支持リング28の円筒状外径面54と入力軸1の外周のスライド案内面29の軸方向の2箇所においてスライド自在の支持とされている。
ここで、支持リング28は、入力軸1のスライド案内面29の軸方向他側に形成された段部31によって軸方向に位置決めされている。
ロータ52は、入力軸1に嵌合され、上記支持リング28との間に組み込まれたシム56によって軸方向に位置決めされ、かつ、入力軸1に対して回り止めされている。
電磁石53は、電磁コイル53aと、その電磁コイル53aを支持するコア53bとからなり、上記コア53bはハウジング3の他端開口内に嵌合され、そのハウジング3の他端部開口内に取付けた止め輪6によって抜止めされている。また、コア53bは入力軸1に嵌合された軸受57を介して入力軸1と相対的に回転自在とされている。
上記の構造からなる回転伝達装置において、図1に示す電磁クラッチ50の電磁コイル53aに対する通電の遮断状態では、2方向クラッチ10のローラ15は、図3に示すように、外輪11の円筒面12および内輪13のカム面14に係合する状態にある。
このため、入力軸1が一方向に回転すると、その回転は内輪13から対向一対のローラ15の一方を介して外輪11に伝達され、出力軸2が入力軸1と同方向に回転する。また、入力軸1が逆方向に回転すると、その回転は他方のローラ15を介して出力軸2に伝達される。
2方向クラッチ10の係合状態で、電磁クラッチ50の電磁コイル53aに通電すると、アーマチュア51に吸引力が作用し、アーマチュア51が軸方向に移動してロータ52に吸着される。
このとき、アーマチュア51と制御保持器16Aとは、連結筒55と筒部24の嵌合によって連結一体化されているため、アーマチュア51の軸方向への移動に伴って制御保持器16Aは、そのフランジ21が回転保持器16Bのフランジ25に接近する方向に移動する。
制御保持器16Aと回転保持器16Bの相対移動により、図7(b)に示すボール43が、図7(a)に示すように、カム溝41、42の溝深さの最も深い位置に向けて転がり移動し、制御保持器16Aと回転保持器16Bはポケット27の周方向幅が小さくなる方向に相対回転する。
制御保持器16Aと回転保持器16Bの相対回転により、図3に示す対向一対のローラ15は制御保持器16Aの柱部22と回転保持器16Bの柱部26で押されて互いに接近する方向に移動する。
このため、ローラ15は、図2に示すように、円筒面12およびカム面14に対して係合解除する中立位置に変位し、2方向クラッチ10は係合解除状態とされる。
2方向クラッチ10の係合解除状態において、入力軸1に回転トルクを入力して、その入力軸1を一方向に回転させると、ばねホルダ45に形成された回り止め片46が制御保持器16Aの柱部22と回転保持器16Bの柱部26の一方を押圧するため、入力軸1と共に制御保持器16Aおよび回転保持器16Bが回転する。このとき、対向一対のローラ15は係合解除された中立位置に保持されているため、入力軸1の回転は外輪11に伝達されず、入力軸1はフリー回転する。
ここで、制御保持器16Aと回転保持器16Bがポケット27の周方向幅を小さくなる方向に相対回転すると、制御保持器16Aの柱部22と回転保持器16Bの柱部26がばねホルダ45の回り止め片46の両側縁に当接して相対回転量が規制される。
このため、弾性部材20は必要以上に収縮することはなくなり、伸長と収縮が繰り返し行われても疲労によって損傷するようなことはない。
入力軸1のフリー回転状態において、電磁コイル53aに対する通電を解除すると、アーマチュア51は吸着が解除されて回転自在となる。その吸着解除により、弾性部材20の押圧によって対向一対のローラ15が離反する方向に移動し、制御保持器16Aと回転保持器16Bがポケット27の周方向幅が大きくなる方向に相対回転すると共に、トルクカム40の作用により制御保持器16Aが外輪11側に移動し、外輪11の開口端面に衝突により停止状態とされる。また、対向一対のローラ15のそれぞれが、図3に示すように、円筒面12およびカム面14との間に微小な間隙が形成するスタンバイ位置に配置され、その対向一対のローラ15の一方を介して入力軸1の回転が出力軸2に伝達される。
ここで、入力軸1を停止して、その入力軸1の回転方向を切換えると、他方のローラ15を介して入力軸1の回転が出力軸2に伝達される。
このように、電磁コイル53aに対する通電の遮断により、制御保持器16Aと回転保持器16Bがポケット27の周方向幅が大きくなる方向に相対回転して、対向一対のローラ15のそれぞれが円筒面12およびカム面14との間に微小間隙を形成して直ちに噛み込むスタンバイ状態とされるため、回転方向ガタは小さく、内輪13の回転を外輪11に直ちに伝達することができる。
また、入力軸1から出力軸2への回転トルクの伝達は、カム面14と同数のローラ15を介して行われるため、入力軸1から出力軸2に大きな回転トルクを伝達することができる。
なお、制御保持器16Aと回転保持器16Bがポケット27の周方向幅が大きくなる方向に相対回転すると、ボール43は対向一対のカム溝41、42の浅溝部に向けて転がり移動して、図7(b)に示す状態となる。
上記のように、電磁石53に対する通電解除によって電磁クラッチ50をOFFにすると2方向クラッチ10が係合し、電磁石53に対する通電によって電磁クラッチ50をONにすると2方向クラッチ10が係合解除するため、フェールセーフ機構が求められる用途にきわめて有効である。
2方向クラッチ10においては、強度を確保するため、外輪11、内輪13、制御保持器16A、回転保持器16B、ローラ15および弾性部材20の構成部品のそれぞれが金属製とされている。
このため、電磁コイル53aに対する通電の解除により対向一対のローラ15が弾性部材20の押圧により互いに離反する方向に相対移動し、円筒面12およびカム面14との間に微小間隙を形成する位置まで移動すると、制御保持器16Aが外輪11の開口端面に衝突し、その衝突によって騒音が発生する。また、衝突によって制御保持器16Aが振動し、その振動はトルクカム40を介して回転保持器16Bに伝達され、それぞれの保持器16A、16Bの柱部22、26が振動して騒音が発生することが考えられる。
上記騒音の低減化を図るため、ここでは、図3および図8に示すように、制御保持器16Aの柱部22および回転保持器16Bの柱部26のローラ15に対する対向面に軟質層35を設けている。
ここで、制御保持器16Aは軸方向への移動により回転保持器16Bとの相互間で相対回転してローラ15を係合および係合解除させるため、制御保持器16Aの柱部22はローラ15に対して摺動する。このため、軟質層35が摩擦係数の高いものであると、ローラ15に対する摺動によって摩耗や剥離が生じる可能性がある。
そこで、軟質層35として、ここでは、低摩擦特性と摩耗特性に優れるポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE樹脂)を熱硬化樹脂中に含有するPTFE樹脂配合系熱硬化樹脂を採用している。
また、軟質層35の膜厚が5μm未満であると、騒音を効果的に吸収することができず、また、100μmを超えると剥離し易くなって、剥離した際にローラ15の係合、解除を阻害し、しかも、厚みが厚くなる分、コストも高くなるため、軟質層35の膜厚は5〜100μmの範囲としている。
因みに、制御保持器16Aおよび回転保持器16Bの柱部22、26にPTFE樹脂50vol%を熱硬化性樹脂中に含有させた軟質層35を制御保持器16Aおよび回転保持器16Bの柱部22、26に設けた回転伝達装置(本発明品)と、制御保持器16Aおよび回転保持器16Bの柱部22、26に軟質層35が設けられていない回転伝達装置(比較品)の2方向クラッチ10の係合時の音の発生について試験したところ、図9に示す試験結果を得た。
試験に際し、入力軸1から30mm離れた位置に騒音計の端子端部を配置して、サンプル数を33個とする本発明品とサンプル数を120個とする比較品のそれぞれから出力される騒音を測定した。
測定に際し、入力軸1の基準となる角度(0°)で5回測定し、基準位置から90°回転させたところで5回測定し、さらに、基準位置から180°回転させた位置で5回測定した。その測定値の平均値を求め、その平均値から標準偏差(3σ)を算出して図9に示すグラフとした。
図9に示すグラフの試験結果から、制御保持器16Aおよび回転保持器16Bの柱部22、26に軟質層35を設けることによって騒音の低減化が図られることが理解できる。その騒音の低減化は、柱部22、26が振動してローラ15に当接する際、軟質層35が弾性変形して当接時の衝撃力を吸収するからではないかと推測される。
実施の形態では、軟質層35として、処理の簡便さや材料に対する性能の費用対効果の観点から、PTFE樹脂を熱硬化樹脂中に含有するPTFE樹脂配合系熱硬化樹脂を採用したが、軟質層35はこれに限定されるものではない。
例えば、銅系またはアルミニウム系の金属材料を溶射した金属溶射層や、その金属溶射層上に鉛系めっき、錫系めっき、鉛―錫系めっきの金属めっき膜を設けた金属材料系のものであってもよい。
また、ポリテトラフルオロエチレン樹脂被膜、二硫化モリブデン被膜、二硫化モリブデン・黒鉛混合被膜、二硫化モリブデンやポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE樹脂)などの固体潤滑剤と土状黒鉛などの移着量調整剤とポリアミドイミド樹脂(PAI樹脂)などのバインダからなる潤滑用被膜とで形成される非金属系のものであってよい。このような非金属系被膜からなる軟質層の形成に際しては、アルミニウム系の金属溶射層上に形成して密着性を高めるのがよい。
さらに、ポリアミドイミド樹脂(PAI樹脂)をマトリックス樹脂とし、そのマトリックス樹脂にフッ素樹脂としてのポリテトラフルオロエチレン樹脂と黒鉛とを含む樹脂被膜からなるものであってもよい。
上記いずれの材料においても弾性変形能を有するため、騒音の低減化を図ることができる。
1 入力軸
2 出力軸
10 2方向クラッチ
11 外輪
12 円筒面
13 内輪
14 カム面
15 ローラ(係合子)
16A 制御保持器
16B 回転保持器
20 弾性部材
21 フランジ
22 柱部
25 フランジ
26 柱部
35 軟質層
40 トルクカム(運動変換機構)
50 電磁クラッチ
51 アーマチュア
52 ロータ
53 電磁石

Claims (7)

  1. 入力軸と、その入力軸と同軸上に配置された出力軸の相互間において回転の伝達と遮断とを行なう2方向クラッチおよびその2方向クラッチの係合および解除を制御する電磁クラッチを有し、
    前記2方向クラッチが、前記出力軸の軸端部に設けられた外輪の内周と前記入力軸の軸端部に設けられた内輪の外周間に、制御保持器のフランジに設けられた複数の柱部および回転保持器のフランジに設けられた複数の柱部が周方向に交互に配置されるよう組込み、隣接する柱部間に形成されたポケット内に前記外輪の内周および内輪の外周に対して係合可能な一対の係合子と、その一対の係合子を離反する方向に付勢する弾性部材とを組込んだ構成とされ、
    前記電磁クラッチが、前記制御保持器に連結されたアーマチュアと、そのアーマチュアと軸方向で対向するロータと、そのロータと軸方向で対向し、通電によりロータにアーマチュアを吸着させる電磁石とからなり、
    前記電磁石に対する通電によりアーマチュアと共に制御保持器をロータに向けて軸方向に移動させ、その軸方向への移動を運動変換機構により制御保持器と回転保持器をポケットの周方向幅が小さくなる方向の相対回転運動に変換して一対の係合子を外輪の内周と内輪の外周に対して係合解除させるようにし、
    前記電磁石に対する通電を解除したときは、前記弾性部材の押圧によって前記一対の係合子が離反する方向に移動し、前記制御保持器と前記回転保持器が前記ポケットの周方向幅が大きくなる方向に相対回転すると共に、前記運動変換機構の作用により前記制御保持器が外輪側に移動し、外輪の開口端面に衝突する回転伝達装置において、
    前記制御保持器の柱部および前記回転保持器の柱部の前記係合子に接触する対向面に振動吸収機能を有する軟質層を設けたことを特徴とする回転伝達装置。
  2. 前記軟質層の膜厚が5〜100μmである請求項1に記載の回転伝達装置。
  3. 前記軟質層が、銅系またはアルミニウム系の金属溶射層からなる請求項1又は2に記載の回転伝達装置。
  4. 前記軟質層が、銅系またはアルミニウム系の金属溶射層と、その表面に設けられた金属めっき膜とからなり、前記めっき膜が鉛系めっき、錫系めっき、鉛―錫系めっきのうちの一種からなる請求項1又は2に記載の回転伝達装置。
  5. 前記軟質層が、ポリテトラフルオロエチレン樹脂被膜、二硫化モリブデン被膜、二硫化モリブデン・黒鉛混合被膜、二硫化モリブデンやポリテトラフルオロエチレン樹脂などの固体潤滑剤と土状黒鉛などの移着量調整剤とポリアミドイミドなどのバインダからなる潤滑用被膜からなる請求項1又は2に記載の回転伝達装置。
  6. 前記軟質層が、アルミニウム系の金属溶射層を介して形成された請求項5に記載の回転伝達装置。
  7. 前記軟質層が、ポリアミドイミド樹脂をマトリックス樹脂とする樹脂被膜からなる請求項1又は2に記載の回転伝達装置。
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