JP6369896B2 - 有機薄膜太陽電池および有機薄膜太陽電池の製造方法 - Google Patents

有機薄膜太陽電池および有機薄膜太陽電池の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、有機薄膜太陽電池および有機薄膜太陽電池の製造方法に関し、さらに詳細には、光電エネルギー変換効率を向上させた有機薄膜太陽電池および有機薄膜太陽電池の製造方法に関する。
従来より、有機半導体を用いて構成された太陽電池である有機薄膜太陽電池が知られている。
こうした有機薄膜太陽電池は、従来の太陽電池と比べるとその厚さが薄く、軽量、かつ、フレキシブルであり、さらに、単結晶や薄膜によるシリコン系太陽電池やGaAs系太陽電池、CIS系太陽電池、CIGS系太陽電池などの化合物系の無機太陽電池と比較して製造が容易で、かつ、生産コストも低いという利点を有する。
また、有機薄膜太陽電池は、その製造時に電解液を用いることがないことや同じ有機系太陽電池である色素増感太陽電池と比べると構造が単純であることから製法が簡便であり、さらに、柔軟性や寿命の上で有利なのが特徴である。
さらにまた、有機薄膜太陽電池は、ロール・ツー・ロール方式で高速輪転機印刷による製造が実現すれば、その際のコストが真空蒸着法による製造の場合と比較して1/10に下がるといわれており、最も安価に発電できる太陽電池と考えられている。
しかしながら、有機薄膜太陽電池はシリコン系や化合物系の無機太陽電池と比較した場合、有機半導体そのものの光電エネルギー変換効率が低いため、単位面積あたりの光電エネルギー変換効率が低いという問題点を有している。
より詳細には、従来の有機薄膜太陽電池においては、太陽光が入射されると、まず透明電極である陽極等を透過し、有機半導体層に到達する。そして、有機半導体層から金属よりなる陰極に到達し、金属よりなる陰極により反射された太陽光は、再び有機半導体層を透過して素子外部に放出される。
この際、有機半導体層において透過していく光による光電エネルギー変換が行われるのであるが、有機半導体の光電エネルギー変換効率は、実用化されているシリコン系などの無機半導体の光電エネルギー変換効率にはおよばないものであるため、結果として得られる有機薄膜太陽電池の光電エネルギー変換効率は無機太陽電池の光電エネルギー変換効率よりも低いものであった。
そのため、有機薄膜太陽電池は上述のように数多くの利点を有するにもかかわらず光電エネルギー変換効率が低いことから、こうした利点を活かすためにも、より高い光電エネルギー変換効率を有する有機薄膜太陽電池の開発が要望されていた。
なお、本願出願人が特許出願時に知っている先行技術は、上記において説明したようなものであって文献公知発明に係る発明ではないため、記載すべき先行技術情報はない。
本発明は、従来の技術の有する上記したような種々の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、光電エネルギー変換効率を向上させた有機薄膜太陽電池および有機薄膜太陽電池の製造方法を提供しようとするものである。
上記目的を達成するために、本発明は、有機薄膜太陽電池内部の有機半導体層と陰極との界面に凹凸形状の微細構造を有するようにしたものである。
即ち、本発明による有機薄膜太陽電池は、基板上に、少なくとも、陽極と、有機半導体層を含む有機薄膜層と、陰極とを積層させて構成される有機薄膜太陽電池において、有機薄膜層と陰極との界面に、複数の凹部または凸部が二次元にランダムに配列されて凹凸形状を形成された微細構造を有し、上記有機半導体層の太陽光の吸収スペクトルの吸収端を与える波長のうち、短い方の波長をλ、長い方の波長をλとし、上記有機半導体層と上記陰極との上記界面を伝搬する表面プラズモンであって上記波長λ と上記波長λ とにそれぞれ対応する上記界面を伝搬する表面プラズモンの伝搬定数の実部をそれぞれkおよびkとしたとき、上記界面の上記微細構造の上記凹凸形状の高さ分布を2次元フーリエ変換して波数ベクトル空間に変換し、パワースペクトル強度(振幅の絶対値の2乗)を求めてプロットしたパワースペクトルが、波数K=kと波数K=kとの間で有限の値を持ち、かつ、この波数範囲内のスペクトル強度の積分値が全波数にわたるスペクトル強度の50%の強度の値を有するようにしたものである。
また、本発明による有機薄膜太陽電池は、基板上に、少なくとも、陽極と、有機半導体層を含む有機薄膜層と、陰極とを積層させて構成される有機薄膜太陽電池において、基板の表面に複数の凹部または凸部が二次元にランダムに配列されて凹凸形状を形成された微細構造を有し、上記凹凸形状が陽極、有機薄膜層および上記陰極のそれぞれの界面に複写されるように形成され、上記有機半導体層の太陽光の吸収スペクトルの吸収端を与える波長のうち、短い方の波長をλ、長い方の波長をλとし、上記有機半導体層と上記陰極との上記界面を伝搬する表面プラズモンであって上記波長λ と上記波長λ とにそれぞれ対応する上記界面を伝搬する表面プラズモンの伝搬定数の実部をそれぞれkおよびkとしたとき、上記界面の上記微細構造の上記凹凸形状の高さ分布を2次元フーリエ変換して波数ベクトル空間に変換し、パワースペクトル強度(振幅の絶対値の2乗)を求めてプロットしたパワースペクトルが、波数K=kと波数K=kとの間で有限の値を持ち、かつ、この波数範囲内のスペクトル強度の積分値が全波数にわたるスペクトル強度の50%の強度の値を有するようにしたものである。
また、本発明による有機薄膜太陽電池は、上記した有機薄膜太陽電池において、上記凹部の深さならびに上記凸部の高さは、15〜180nmであるようにしたものである。
また、本発明による有機薄膜太陽電池の製造方法は、基板上に、少なくとも、陽極と、有機半導体層を含む有機薄膜層と、電子取り出し層と、陰極とを順次積層て構成される有機薄膜太陽電池の製造方法であって、基板の表面に平均粒子径の異なる粒子を混合してなる粒子膜を形成し、上記粒子膜をエッチングマスクとしてドライエッチングを行い、上記基板の表面に複数の凹部または凸部がランダムに二次元に配列されて凹凸形状を形成された微細構造を形成した後、上記微細構造の形状が陽極、有機薄膜層、電子取り出し層および陰極のそれぞれの界面に複写されるように、上記基板上に少なくとも上記陽極と上記有機薄膜層と上記電子取り出し層と上記陰極とを順次積層し、上記電子取り出し層と上記陰極との界面に複写された上記微細構造によって励起されて上記陰極と上記電子取り出し層との界面を伝搬する表面プラズモンを発生するようにしたものである。
また、本発明による有機薄膜太陽電池の製造方法は、基板上に、少なくとも、陽極と、有機半導体層を含む有機薄膜層と、電子取り出し層と、陰極とを順次積層て構成される有機薄膜太陽電池の製造方法であって、原板の表面に平均粒子径の異なる粒子を混合してなる粒子膜を形成し、上記粒子膜をエッチングマスクとしてドライエッチングを行い、上記原板の表面に複数の凹部または凸部がランダムに二次元に配列されて凹凸形状を形成された微細構造を形成した後、上記原板の表面に形成された上記微細構造を基板の少なくとも片側の面に転写し、上記基板に転写された微細構造の形状が陽極、有機薄膜層、電子取り出し層および陰極のそれぞれの界面に複写されるように、上記基板上に少なくとも上記陽極と上記有機薄膜層と上記電子取り出し層と上記陰極とを順次積層し、上記電子取り出し層と上記陰極との界面に複写された上記微細構造によって励起されて上記陰極と上記電子取り出し層との界面を伝搬する表面プラズモンを発生するようにしたものである。
また、本発明による有機薄膜太陽電池の製造方法は、基板上に、少なくとも、陽極と、有機半導体層を含む有機薄膜層と、電子取り出し層と、陰極とを順次積層て構成される有機薄膜太陽電池の製造方法であって、原板の表面に平均粒子径の異なる粒子を混合してなる粒子膜を形成し、上記粒子膜をエッチングマスクとしてドライエッチングを行い、上記原板の表面に複数の凹部または凸部がランダムに二次元に配置された凹凸形状をもつ微細構造を形成して上記微細構造を有する原盤を得る工程と、基板上に、少なくとも、陽極と、有機薄膜層とを積層させる工程と、上記有機薄膜層の表面に、上記原盤の微細構造もしくは上記原盤の微細構造を反転させた反転構造を押圧して転写する工程と、上記有機薄膜層上に、電子取り出し層と陰極とを順次積層して、上記微細構造、または、上記微細構造の反転構造を上記電子取り出し層と上記陰極との界面に設ける工程とを有し、上記電子取り出し層と上記陰極との界面に設けられた上記微細構造、または、上記微細構造の反転構造によって励起されて上記陰極と上記電子取り出し層との界面を伝搬する表面プラズモンを発生するようにしたものである。
また、本発明による有機薄膜太陽電池の製造方法は、基板上に、少なくとも、陽極と、有機半導体層を含む有機薄膜層と、陰極とを積層させて構成される有機薄膜太陽電池の製造方法であって、基板の表面に平均粒子径の異なる粒子を混合してなる粒子膜を形成し、上記粒子膜をエッチングマスクとしてドライエッチングを行い、上記基板の表面に複数の凹部または凸部がランダムに二次元に配列されて凹凸形状を形成された微細構造を形成した後、上記微細構造の形状が陽極、有機薄膜層および陰極のそれぞれの界面に複写されるように、上記基板上に少なくとも上記陽極と上記有機薄膜層と上記陰極とを積層させる有機薄膜太陽電池の製造方法において、上記有機半導体層の太陽光の吸収スペクトルの吸収端を与える波長のうち、短い方の波長をλ、長い方の波長をλとし、上記有機薄膜層と上記陰極との上記界面を伝搬する表面プラズモンであって上記波長λ と上記波長λ とにそれぞれ対応する上記界面を伝搬する表面プラズモンの伝搬定数の実部をそれぞれkおよびkとしたとき、上記界面の上記微細構造の上記凹凸形状の高さ分布を2次元フーリエ変換して波数ベクトル空間に変換し、パワースペクトル強度(振幅の絶対値の2乗)を求めてプロットしたパワースペクトルが、波数K=kと波数K=kとの間で有限の値を持ち、かつ、この波数範囲内のスペクトル強度の積分値が全波数にわたるスペクトル強度の50%の強度の値を有するようにしたものである。
また、本発明による有機薄膜太陽電池の製造方法は、基板上に、少なくとも、陽極と、有機半導体層を含む有機薄膜層と、陰極とを積層させて構成される有機薄膜太陽電池の製造方法であって、原板の表面に平均粒子径の異なる粒子を混合してなる粒子膜を形成し、上記粒子膜をエッチングマスクとしてドライエッチングを行い、上記原板の表面に複数の凹部または凸部がランダムに二次元に配列されて凹凸形状を形成された微細構造を形成した後、上記原板の表面に形成された上記微細構造を基板の少なくとも片側の面に転写し、上記基板に転写された微細構造の形状が陽極、有機薄膜層および陰極のそれぞれの界面に複写されるように、上記基板上に少なくとも上記陽極と上記有機薄膜層と上記陰極とを積層させる有機薄膜太陽電池の製造方法において、上記有機半導体層の太陽光の吸収スペクトルの吸収端を与える波長のうち、短い方の波長をλ 、長い方の波長をλ とし、上記有機薄膜層と上記陰極との上記界面を伝搬する表面プラズモンであって上記波長λ と上記波長λ とにそれぞれ対応する上記界面を伝搬する表面プラズモンの伝搬定数の実部をそれぞれk およびk としたとき、上記界面の上記微細構造の上記凹凸形状の高さ分布を2次元フーリエ変換して波数ベクトル空間に変換し、パワースペクトル強度(振幅の絶対値の2乗)を求めてプロットしたパワースペクトルが、波数K =k と波数K =k との間で有限の値を持ち、かつ、この波数範囲内のスペクトル強度の積分値が全波数にわたるスペクトル強度の50%の強度の値を有するようにしたものである。
また、本発明による有機薄膜太陽電池の製造方法は、基板上に、少なくとも、陽極と、有機半導体層を含む有機薄膜層と、陰極とを積層させて構成される有機薄膜太陽電池の製造方法であって、原板の表面に平均粒子径の異なる粒子を混合してなる粒子膜を形成し、上記粒子膜をエッチングマスクとしてドライエッチングを行い、上記原板の表面に複数の凹部または凸部がランダムに二次元に配置された凹凸形状をもつ微細構造を形成して上記微細構造を有する原盤を得る工程と、基板上に、少なくとも、陽極と、有機薄膜層とを積層させる工程と、上記有機薄膜層の表面に、上記原盤の微細構造もしくは上記原盤の微細構造を反転させた反転構造を押圧して転写する工程と、上記有機薄膜層上に、陰極を積層させ、上記微細構造、または、上記微細構造の反転構造を上記有機薄膜層と上記陰極との界面に設ける工程とを有する有機薄膜太陽電池の製造方法において、上記有機半導体層の太陽光の吸収スペクトルの吸収端を与える波長のうち、短い方の波長をλ 、長い方の波長をλ とし、上記有機薄膜層と上記陰極との上記界面を伝搬する表面プラズモンであって上記波長λ と上記波長λ とにそれぞれ対応する上記界面を伝搬する表面プラズモンの伝搬定数の実部をそれぞれk およびk としたとき、上記界面の上記微細構造の上記凹凸形状の高さ分布を2次元フーリエ変換して波数ベクトル空間に変換し、パワースペクトル強度(振幅の絶対値の2乗)を求めてプロットしたパワースペクトルが、波数K =k と波数K =k との間で有限の値を持ち、かつ、この波数範囲内のスペクトル強度の積分値が全波数にわたるスペクトル強度の50%の強度の値を有するようにしたものである。
本発明は、以上説明したように構成されているので、有機薄膜太陽電池の光電エネルギー変換効率を向上させることができるようになるという優れた効果を奏する。
図1は、本発明の実施の形態による有機薄膜太陽電池を示す概略構成断面説明図である。 図2(a)は、本発明による有機薄膜太陽電池における陰極の裏面に形成された凹凸形状を示す概略構成斜視説明図であり、また、図2(b)は、本発明による有機薄膜太陽電池における透明基板の表面に形成された微細構造を示す概略構成斜視説明図である。 図3(a)は、周期的微細構造に関する従来技術を示す説明図であり、図3(a)の(a−1)は、粒子径が一定の粒子径Dである粒子単層膜を示し、また、図3(a)の(a−2)は、微細構造の周期が一定の2次元格子構造を有する有機薄膜太陽電池用基板表面の高さ分布のパワースペクトルを示し、また、図3(a)の(a−3)は、微細構造の周期が一定となる2次元格子構造の高さ分布のパワースペクトルのプロファイルを示す。また、図3(b)は、本実施の形態による有機薄膜太陽電池の特性を示す説明図であり、図3(b−1)は、本実施の形態による粒子単層膜を示し、また、図3(b−2)は、本実施の形態による微細構造を有する有機薄膜太陽電池の透明基板表面の高さ分布のパワースペクトルを示し、また、図3(b−3)は、本実施の形態による有機薄膜太陽電池の透明基板表面の高さ分布のパワースペクトルのプロファイルを示す。 図4は、有機薄膜太陽電池の層構成中の双極子を示す説明図である。 図5は、有機薄膜太陽電池の陰極の裏面より透明基板側20nmの距離に双極子をおいたときのエネルギー散逸を示すグラフであり、縦軸をエネルギー散逸(Energy dissipation)、横軸を面内波数(In−plane wave vector)としている。 図6(a)は、一般的な太陽電池の等価回路であり、図6(b)は、太陽電池の電流−電圧特性に関する説明図である。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による有機薄膜太陽電池および有機薄膜太陽電池の製造方法の実施の形態の一例について詳細に説明するものとする。

(1−1) 有機薄膜太陽電池の構成
まず、図1には、本発明の実施の形態の一例として、底面受光型の有機薄膜太陽電池の実施の形態の概略構成断面説明図が示されている。
なお、図1に示す本発明による有機薄膜太陽電池10に関する説明においては、説明の便宜上、有機薄膜太陽電池10を構成する各層の高さ方向における上方側の面を表面と適宜に称し、各層の高さ方向における下方側の面を裏面と適宜に称する。
この図1に示す有機薄膜太陽電池10は、透明材料よりなる透明基板12(有機薄膜太陽電池用基板)と、透明基板12表面上に形成された微細構造14と、微細構造14上に形成された陽極16と、陽極16上に形成されたホール取り出し層18と、ホール取り出し層18上に形成された電子ブロッキング層20と、電子ブロッキング層20上に形成された電子供与型有機半導体層22a(以下、適宜に「電子供与体層22a」と称する。)と、電子供与体層22a上に形成された電子受容型有機半導体層22b(以下、適宜に「電子受容体層22b」と称する。)と、電子受容体層22b上に形成された電子取り出し層24と、電子取り出し層24上に形成された陰極26とを順次積層して構成されている。
なお、本明細書および特許請求の範囲において用いられる「有機半導体層」とは、電子供与体層22aと電子受容体層22bとにより構成される層を意味する。
また、本明細書および特許請求の範囲において用いられる「有機半導体層を含む有機薄膜層」とは、少なくとも、有機半導体層(即ち、電子供与体層22aおよび電子受容体層22b)を含む積層体を意味する。
即ち、「有機半導体層を含む有機薄膜層」とは、少なくとも、電子供与体層22aおよび電子受容体層22bを含むものであって、具体的には、例えば、電子供与体層22aおよび電子受容体層22bより構成される積層体や、電子供与体層22aおよび電子受容体層22bを含み、さらに、ホール取り出し層18、電子ブロッキング層20および電子取り出し層24からなる群から選択される少なくともひとつの層を含む積層体を意味する。
本実施の形態においては、透明基板12を構成する材料としては、太陽光を透過するものであれば特に限定されず、無機材料でも有機材料でもよく、それらの組み合わせでもよい。
ここで、透明基板12に適した無機材料としては、例えば、石英ガラス、無アルカリガラス、白板ガラス等の各種ガラス、マイカ等の透明無機鉱物などが挙げられる。
また、透明基板12に適した有機材料としては、例えば、シクロオレフィン系フィルム、ポリエステル系フィルム等の樹脂フィルム、該樹脂フィルム中にセルロースナノファイバー等の微細繊維を混入した繊維強化プラスチック素材、さらにはそれらの有機材料フィルム表面にSiO、SiC、SiN、SiON等からなるバリヤー層を有するものなどが挙げられる。
そして、この透明基板12の陽極16が積層される側となる透明基板12表面には、直径がそれぞれ異なる複数の凸部14a、14b、14cを複数配置して、二次元にランダムに複数配列した凹凸形状が形成された凹凸構造たる微細構造14を設けるようにする。こうした微細構造14の凹凸形状については、後に詳述する。
次に、陽極16を構成する材料としては、本実施の形態においては、太陽光を透過する透明導電材料により構成されている。こうした透明導電材料は、特に限定されず、透明導電材料として公知のものを用いることができる。
本実施の形態においては、インジウム−スズ酸化物(Indium Tin Oxide(ITO))を用いるものとした。
ここで、ITOを用いた陽極16の厚さは120nmとした。
なお、透明導電材料としては、上記ITOの他に、例えば、インジウム−亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide(IZO))、酸化亜鉛(Zinc Oxide(ZnO))、亜鉛−スズ酸化物(Zinc Tin Oxide(ZTO))等が挙げられる。
次に、ホール取り出し層18を構成する材料としては、本実施の形態においては、1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル(以下、適宜に「HAT−CN」と称する。)を用いるものとした。
ここで、HAT−CNを用いたホール取り出し層18の厚さは30nmとした。
次に、電子ブロッキング層20を構成する材料としては、本実施の形態においては、トリス[4−(5−フェニルチオフェン−2−イル)フェニル]アミン(以下、適宜に「TPTPA」と称する。)を用いるものとした。
ここで、TPTPAを用いた電子ブロッキング層20の厚さは10nmとした。
ここで、上記ホール取り出し層18および電子ブロッキング層20を構成する材料としては、一般に有機材料が用いられる。
即ち、ホール取り出し層18を構成する材料(ホール取り出し材料)としては、例えば、上記HAT−CNの他に、酸化モリブデン(MoO)、4,4’,4’’−tris(N,N−2−naphthylphenylamino)triphenylamine(以下、適宜に「2−TNATA」と称する。)等が挙げられる。
また、電子ブロッキング層20を構成する材料(ホール輸送材料)としては、例えば、上記TPTPAの他に、4,4’−bis[N−1−naphthyl]−N−phenyl−amino−biphenyl(以下、適宜に「α−NPD」と略記する。)、銅フタロシアニン(以下、適宜に「CuPc」と称する。)、N,N’−Diphenyl−N,N’−di(m−tolyl)benzidine(以下、適宜に「TPD」と称する。)等の芳香族アミン化合物などが挙げられる。
次に、電子供与体層22aと電子受容体層22bとより構成される有機半導体層22について述べる。
電子供与体層22aを構成する材料としては、本実施の形態においては、ジベンゾテトラフェニルペリフランテン(以下、適宜に「DBP」と称する。)を用いるものとした。
ここで、DBPを用いた電子供与体層22aの厚さは10nmとした。
また、電子受容体層22bを構成する材料としては、本実施の形態においては、フラーレン60(C60)を用いるものとした。
ここで、C60を用いた電子受容体層22bの厚さは50nmとした。
次に、電子取り出し層24を構成する材料としては、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(以下、適宜に「BCP」と称する。)を用いるものとした。
ここで、BCPを用いた電子取り出し層24の厚さは10nmとした。
電子取り出し層24を構成する材料(電子取り出し材料)としては、一般的に有機材料が用いられるものであり、上記BCPの他には、例えば、Alq、2,5−Bis(1−naphthyl)−1,3,4−oxadiazole(以下、適宜に「BND」と略記する。)、2−(4−tert−Butylphenyl)−5−(4−biphenylyl)−1,3,4−oxadiazole(以下、適宜に「PBD」と略記する。)等のオキサジオール系化合物等の金属錯体系化合物などが挙げられる。
次に、陰極26は金属層であり、本実施の形態においては、アルミニウムを用いるものとした。
ここで、アルミニウムを用いた陰極26の厚さは100nmとした。
基本的な有機薄膜太陽電池の素子構成においては、上述の電子ブロッキング層20は必ずしも必要ではない。pn接合界面近傍において電荷分離が行われる際に、電子がホール取り出し層18側に移動してきても、電子が侵入できないようなホール取り出し材料を使用すれば、電子ブロッキング層を独立して設ける必要はないものである。
本実施の形態においては、実際の素子作製において、電荷分離後のホール取り出しを明確にするため、電子ブロッキング層20を設けるものとする。
次に、微細構造14の形状について、以下に詳細に説明する。
本発明による有機薄膜太陽電池10の透明基板12上には、複数の凸部を二次元に配列した微細構造14が形成されている。このため、透明基板12上に積層された陽極16、ホール取り出し層18、電子ブロッキング層20、有機半導体層22、電子取り出し層24、陰極26の、各層の表面(つまり、透明基板12が位置する側と反対側の面である。)には、透明基板12の表面の微細構造14と同様の複数の凸部により凹凸形状を形成された凹凸構造が形成されることとなる。これは、各層の厚さが数十〜百数十nmと非常に薄いため、これらの層を積層しても凹凸形状は埋まることなく、凹凸構造が複製されるためである。
また、有機薄膜太陽電池10を構成する上記各層の裏面(つまり、透明基板12が位置する側の面である。)には、透明基板12の表面に形成された微細構造14を反転した構造、即ち、複数の凹部が二次元に配列した構造、つまり、複数の凹部により凹凸形状を形成された凹凸構造が形成されることとなる。
即ち、本発明による有機薄膜太陽電池10は、透明基板12と陽極16との界面に微細構造14を有することにより、こうした微細構造14の形状が電子取り出し層24と陰極26との界面にも反映されて、陰極26において表面プラズモンを発生することを特徴とするものである。
ここで、本発明による有機薄膜太陽電池10が電子取り出し層24と陰極26との界面に凹凸形状を有することによって生じる効果について以下に説明する。
上記したように、従来の有機薄膜太陽電池においては、入射された太陽光は陽極等を透過した後、有機半導体層に到達する。こうした有機半導体層は、電子供与体層(p層)と電子受容体層(n層)とが接する界面としてpn界面を持つのが基本である。なお、p層とn層との間にi層を設けても良いものである。
こうした有機半導体層のpn界面に光エネルギーを与えることで、電子供与体分子から放出された電子を電子受容体分子が捕獲する電荷分離が行われ、結果として陰極と陽極との間に電位差(起電力)が発生するようになる。そして、光の一部は有機半導体層を透過し、さらに陰極に到達して陰極より反射されたのち、再び有機半導体層のpn界面における電荷分離に寄与し、最終的に有機薄膜太陽電池の素子外に放射される。
こうした過程において、有機薄膜太陽電池の有機半導体層はその特性上膜厚を数十nmまで薄くしなければならないため、光が有機半導体層を一往復透過するだけでは得られる電流が不十分であることが従来の有機薄膜太陽電池の問題点であった。
一方、本発明による有機薄膜太陽電池10においては、透明基板12表面に微細構造14が形成されていることにより、電子取り出し層24と陰極26との間にも上記微細構造14が転写され、電子取り出し層24と陰極26との界面に凹凸形状よりなる凹凸構造が形成されている。
そして、上記微細構造14を構成する凹凸形状が後述する要件を満たすことにより、有機薄膜太陽電池10内に太陽光(伝搬光)が入射された際に、伝搬光の一部は電子取り出し層24と陰極26との界面における凹凸構造によって回折され表面プラズモンが励起されるようになる。
そして、陰極26で励起された表面プラズモンが陰極26と電子取り出し層24との界面を伝搬している時間、表面プラズモンによる電磁場は上述のpn接合界面を包含するため光電エネルギーの変換が長く行われることになる。そのため、結果的に、従来の有機薄膜太陽電池に比べ、本発明による有機薄膜太陽電池10においては、有機半導体層22における入射光の滞在時間が実質長くなったのと同じ効果が得られ、光電エネルギー変換効率が向上する。
ここで、有機半導体層22においては、吸収された光が有機半導体層22の電子供与体分子により吸収される。電子供与体分子は励起されると、電子を電子受容体分子に渡し、電子は最終的に電子受容体分子より陰極26に流れることとなる。
上記において説明したように、本発明による有機薄膜太陽電池10は、有機半導体層22と陰極26との界面に凹凸形状を有するように構成されているが、この点についてはさらに詳細に説明する。
まず、透明基板12の陽極16が積層される側の面には、直径がそれぞれ異なる凸部14a、14b、14cを、二次元にランダムに複数配列して凹凸形状が形成された凹凸構造よりなる微細構造14が設けられている(図2(b)を参照する。)。
この微細構造14上に陽極16、ホール取り出し層18、電子ブロッキング層20、有機半導体層22である電子供与体層22aおよび電子受容体層22b、電子取り出し層24、陰極26が順次積層されることで、各層は、凹凸構造に面して積層されるため、各層の陰極26側の面には、透明基板12表面に形成された微細構造14と同様の凹凸構造が形成される。
そのため、最終的に電子取り出し層24上に陰極26を積層すると、陰極26の表面には、透明基板12表面の微細構造14と同じ凹凸構造が形成され、また、陰極26の電子取り出し層24側の面である裏面には、透明基板12表面の微細構造14の凹凸構造が反転した形状の凹凸構造、つまり、直径がそれぞれ異なる凹部26a、26b、26cを、二次元にランダムに複数配列した二次元構造(以下、「逆凹凸構造」と適宜に称する。)が形成される(図2(a)を参照する。)。
即ち、逆凹凸構造における凹部26a、26b、26cのそれぞれの直径および高さは、微細構造14の凹凸構造における凸部14a、14b、14cそれぞれの直径および高さと一致する。また、逆凹凸構造における凹部26a、26b、26cの配列パターンは、微細構造14における凸部14a、14b、14cの配列パターンと一致する。
なお、「二次元にランダムに複数配列」とは、複数の凸部14a、14b、14c(または凹部26a、26b、26c)が、同一平面上に配置され、かつ、それらの中心間の間隔および配列方向が一定でなく不規則に配列させた状態をいう。複数の凸部14a、14b、14c(または凹部26a、26b、26c)を二次元にランダムに複数配列していることにより、有機半導体層の光の吸収波長域全体にわたって表面プラズモンが励起されるものである。
上記した有機薄膜太陽電池10を製造するには、例えば、透明基板12の表面上に凹凸形状を形成した微細構造14を形成する基板作製工程と、上記凹凸形状上に、少なくとも陽極16と有機半導体層22と金属層である陰極26とを、上記陰極26の有機半導体層22側の面に上記凹凸形状が複写されるように積層する積層工程とを行い、上記基板作製工程において、粒子単層膜を粒子径の異なる複数の粒子の混合物を用いてランダムな凹凸構造を有する微細構造を形成するようにし、さらに、こうした微細構造の要件としては、有機薄膜太陽電池10の有機半導体層による光の吸収スペクトルの吸収端を与える波長のうち、短い方の波長をλ、長い方の波長をλとし、陰極と有機半導体層との界面におけるそれぞれの波長λおよびλに対応する表面プラズモンの伝搬定数の実部をそれぞれkおよびkとしたとき、上記界面の高さ分布のパワースペクトルが波数K=kと波数K=kとの間で有限の値を持ち、かつ、この波数範囲内でのスペクトル強度の積分値が全波数にわたるスペクトル強度の50%以上の強度の値を有するように作製された凹凸形状であるようにすればよい。
これにより、有機薄膜太陽電池10の光電エネルギー変換効率を従来の有機薄膜太陽電池のものよりも向上させることができる。
ここで、透明基板12表面の微細構造14を構成する凹凸形状の上記要件について、以下に説明する。
本発明による有機薄膜太陽電池10において凹凸形状を有する微細構造14を採用した経緯としては、周期格子構造を形成した有機薄膜太陽電池においては、周期格子構造の凹凸構造のピッチや高さなどのパラメーターを変化させることにより、有機薄膜太陽電池において得られる光電エネルギー変換効率が向上することに由来している。
例えば、周期的微細凹凸構造に関する従来技術として示す図3(a)は、図3(a)の(a−1)に示すように粒子径が一定の粒子径Dである粒子単層膜からなる2次元結晶体をエッチングマスクとしたドライエッチング法により、凹凸構造の周期が一定の周期格子構造を有する有機薄膜太陽電池を作製した場合の例を示し、こうした凹凸構造の周期が一定の周期格子構造を有する有機薄膜太陽電池の基板表面の高さ分布のパワースペクトルが図3(a)の(a−2)に示されている。
即ち、凹凸構造の周期が一定となるように有機薄膜太陽電池の基板表面の周期格子構造を形成した場合には、凹凸構造の高さ分布を2次元フーリエ変換して得られるパワースペクトルとしては正六角形の頂点の位置に並んだデルタ関数状の点列が得られるものである。
そして、凹凸構造の周期が一定となる周期格子構造の高さ分布のパワースペクトルのプロファイルを図3(a)の(a−3)に示している。
ここで、上記高さ分布のパワースペクトルとは、凹凸構造の高さ分布について2次元フーリエ変換を行うことによって波数ベクトル空間に変換し、パワースペクトル強度(振幅の絶対値の2乗)を求めてプロットしたものである。
また、パワースペクトルのプロファイルとは、上記パワースペクトルにおいて波数の一定となる円周上でパワースペクトル強度を積分したものを、波数を横軸としてプロットしたものである。
パワースペクトル空間の各点の座標は、
に対応する。
を波数と呼ぶ。
また、波数は、空間周波数に2πを掛けたものに等しい。
こうした高さ分布のパワースペクトルのプロファイルは、図3(a)の(a−3)に示すように、特定の波数で強度が高く、かつ、鋭いピークを備えており、当該特定の波数を持つ表面プラズモンのみが励起されることを示している。即ち、特定の単一の波長を持つ光のみが表面プラズモンの励起に寄与することを意味する。
一方、本実施の形態においては、こうした凸部もしくは凹部をある程度ランダムに二次元に配列させることで、有機半導体の光の吸収波長全域に対応する光が表面プラズモンの励起に寄与するようになる。これにより、励起された表面プラズモンが陰極の裏面を伝搬している間、光電エネルギーの変換が長く行われることになるため、光電エネルギー変換効率が向上するようになる。
より具体的には、本実施の形態による有機薄膜太陽電池10について、図3(b−1)の例に示すように、一例として異なる粒子径を有する3種の粒子A、粒子B、粒子Cにより形成した粒子単層膜をマスクとして用いてドライエッチング法を行い、有機薄膜太陽電池の基板に凹凸構造を形成すると、そうした凹凸構造を有する有機薄膜太陽電池の基板表面の高さ分布のパワースペクトルは図3(b−2)に示されるようになる。即ち、パワースペクトルは、従来技術として示した図3(a)の(a−2)に示すような正六角形の頂点の位置に並んだデルタ関数状の点列ではなく、図3(b−2)に示す幅のある円環状の領域に分布を示す像が得られるものである。
また、こうしたランダムに配列された二次元の凹凸構造を有する本発明による有機薄膜太陽電池によれば、図3(b−3)の高さ分布のパワースペクトルのプロファイルに対応する、ある程度広がりを持った光の吸収を増強することができる。
ここで、理想的な二次元格子とは、少なくとも二方向に一定の間隔で配列された構造であり、例えば、三角格子状(六方格子状)、正方格子状などの形状となることが考えられるが、本発明における凹凸構造は、このような三角格子や正方格子の配列がある程度不均一化(ランダム化)したものに相当する。
なお、上記「ある程度」とは、数値的に規定される範囲をもつものではなく、状態を意味しているものである。
そして、「ある程度ランダム」「ある程度不均一」とは、凹凸構造の高さ分布のパワースペクトルが特定の波数でデルタ関数的なピークを持つのではなく、例えば、波数KからKにわたる波数領域において広く分布しているような凹凸構造の乱雑さを意味する。即ち、凹凸面の高さ分布のパワースペクトルが、波数Kおよび波数Kの間において十分に有限の値を与えるような凹凸構造の乱雑さを意味する。
ここで、粒子単層膜を形成する粒子の粒径の具体的な決定方法について、図4を参照しながら説明することとする。
有機薄膜太陽電池10の微細構造14は、有機半導体層22の吸収スペクトルに合わせて設計するものであり、より詳細には、有機薄膜太陽電池10の有機半導体層22の吸収スペクトルに対応する表面プラズモンの波数域が、凹凸面の高さ分布のスペクトルに含まれるような凹凸構造を設計する。
ここで、波長λの光に対応する表面プラズモンの伝搬定数(波数)の求め方について示す。
この表面プラズモンの波数の求め方は、凹凸構造のない場合の有機薄膜太陽電池の層構成に対するものと同じである。
上記図4に示すように、透明基板から空気までが第1層から第M層までの複数の層を積層して成り立っている場合に、第1層は透明基板より構成され、また、第M層は陰極(金属層)より構成される。
ここで、有機薄膜太陽電池の層を構成するひとつの層である第j層について、その厚さをdであるものとし、また、その比誘電率はεで与えられているものとする。
第M層の厚さdと第1層の厚さdは、便宜上無限大として差し支えない。
次に、j=Mである第M層が表面プラズモンを担持する金属層であるとする。この第M層の裏面、即ち、第(M−1)層との界面を伝搬する表面プラズモンの伝搬定数を求める。
表面プラズモンの伝搬定数は、系の固有方程式を解くことによって得られる。
一般に、この固有方程式は解析的に解くことはできず、非線形最適化の手法を用いて数値的に解くしかない。パラメーター総数が多くなるに従い、この計算は困難になってくる。
表面プラズモンの伝搬定数は、複素数であり、上記の固有方程式は、この複素伝搬定数を正確に与える。しかし、ここで必要となるものは、表面プラズモンの伝搬定数の実部だけであるため、この場合には、簡易的な計算により求める方法が適用できる。
まず、層構造が有する伝搬モード(表面プラズモンモードおよび導波路モード)は、伝搬定数で特徴づけられる。この伝搬定数は、伝搬モードの波数のうち界面に平行な成分(以下、伝搬定数の実部を適宜に「面内波数」と称する。)に関する。
この層構造中に振動双極子を配置すると、そのエネルギーは、この層構造が有する各モードに散逸する。それぞれのモードは異なる伝搬定数、即ち、面内波数を有するため、双極子からの散逸エネルギーの面内波数依存性を調べれば、この層構造がどの伝搬モードを有するのかが分かる。
ここで、双極子の散逸エネルギーの面内波数依存性の具体的な計算手順は、以下の通りである。
まず、(M−1)/M界面より基板側20nm程度の距離に界面に垂直に双極子を1個置くものとする。なお、双極子が置かれる層は、所望の取り出し角周波数ωにおいて吸収を持たないか、もしくは、吸収が小さいものとする。この双極子が置かれた層を第N層とする。図4には、有機薄膜太陽電池の層構造が示されており、j=Nである第N層には、当該層構造中におかれた双極子を示す説明図が示されている。即ち、この図4においては、第N層内に双極子が置かれている。
ここで、矢印dおよびdは、双極子から第N層の下方側界面および第N層の上方側界面までの距離をそれぞれ示したものである。
また、双極子のモーメントをμとし、取り出し角周波数ωで振動しているものとする。
上記の各種値を用いた場合、この双極子のエネルギー散逸の面内波数(k||)依存性は、下記の(1)式で与えられる。
ここで、rはN層側から見た(N−1)/N界面での面内波数k||を持つp偏光の反射係数(振幅反射率)で、rはN層側から見たN/(N+1)界面での面内波数k||を持つp偏光の反射係数である(図4を参照する。)。もちろん、これらの反射係数には、透明基板あるいは陰極(金属)までの全ての層の影響が含まれる。また、kは第N層における光波の波数ベクトルの法線成分で、k|| +k =ε(ω/c)により与えられる。また、cは真空中の光速である。
上記エネルギー散逸の面内波数依存性W(k||)の極大が各伝搬モードに対応し、その極大を与える面内波数がそのモードの伝搬定数の実部となっている。
これらの極大のうち、波数の最も大きいモードが表面プラズモンモードに対応する。
なお、図5には、有機薄膜太陽電池の陰極(金属層)の裏面より基板側20nmの距離に双極子をおいたときのエネルギー散逸(Energy dissipation)の計算結果を示したエネルギー散逸図を図示している。
ここで、エネルギー散逸図とは、素子に置いた双極子のエネルギーがどの面内波数(In−plane wave vector)に散逸するかをグラフ化したものであり、これにより、表面プラズモンや導波モードなどの面内波数がわかる。
次に、上記表面プラズモンの伝搬定数の算出方法を踏まえ、陰極表面に凹凸形状のある底面(基板面)受光型の有機薄膜太陽電池の凹凸構造について考える。
この素子の有機半導体材料による光の吸収スペクトルの吸収端を与える波長のうち、短い方の波長をλ、長い方の波長をλとし、陰極と有機半導体層との界面におけるそれぞれの波長λおよびλに対応する表面プラズモンの伝搬定数の実部を求める。
まず、λに対応する表面プラズモンの波数kを求める。λに対応する角振動数、各層の誘電率および式(1)を用いてWを計算する。
このようにしてWを算出して得られたエネルギー散逸図の最も右側のピークの波数がkである。
次に、λに対応する表面プラズモンの波数kを同様の方法で求める。即ち、λに対応する角振動数、各層の誘電率および式(1)を用いてWを計算する。
このようにしてWを算出して得られたエネルギー散逸図の最も右側のピークの波数がkである。
このようにして求めた表面プラズモンの波数kおよびkで決まる上記界面の凹凸形状の高さ分布のパワースペクトルが、波数K=kおよび波数K=kの間で有限の値をもつような凹凸構造を透明基板表面に作製する。
即ち、上述の方法で得られた表面プラズモンの伝搬定数の実部kを、上記界面の凹凸構造の高さ分布のパワースペクトルの波数の上限値Kとし、上述の方法で得られた表面プラズモンの伝搬定数の実部kを、上記界面の凹凸構造の高さ分布のパワースペクトルの波数の下限値Kとしたとき、基板表面の凹凸構造の高さ分布のパワースペクトルが波数Kと波数Kとの間で有限の値を持ち、かつ、この波数範囲内のスペクトル強度の積分値が全波数にわたるスペクトル強度の50%の強度の値を有するような凹凸構造を透明基板表面に作製する。
そして、後述する積層工程において、透明基板表面に作製された凹凸構造と同じ凹凸構造が、上記有機半導体層と上記陰極との界面にも作製される。
従って、本発明の有機薄膜太陽電池は、上記表面プラズモンの伝搬定数の実部kを上記界面の凹凸構造の高さ分布のパワースペクトルの波数の上限値Kとし、上記表面プラズモンの伝搬定数の実部kを上記界面の凹凸構造の高さ分布のパワースペクトルの波数の下限値Kとしたとき、凹凸構造の高さ分布のパワースペクトルが波数Kと波数Kとの間で有限の値を持ち、かつ、この波数範囲内のスペクトル強度の積分値が全波数にわたるスペクトル強度の50%の強度の値を持つ凹凸構造を上記有機半導体層と上記陰極との界面に有するものである。
即ち、本発明では、この波数範囲内でのスペクトル強度の積分値が全体のスペクトル強度の50%以上の強度を有するように調整する。
なお、一般に、上記スペクトル強度の積分値が全体のスペクトル強度の50%以下の強度であった場合、取り出されるエネルギーの絶対量が少なくなるものであるが、本発明による有機薄膜太陽電池では、上記スペクトル強度の積分値が全体のスペクトル強度の50%以上の強度を有するため、一定の効果を得られるものである。
そして、透明基板12表面に形成される微細構造14上に積層される陽極16、ホール取り出し層18、電子ブロッキング層20、有機半導体層22を構成する各層である電子供与体層22a、電子受容体層22b、電子取り出し層24、最上面に積層される陰極26の各層は、透明基板12上に順次積層されることから、それぞれ透明基板12が有する凹凸構造が各層に反映され、透明基板12に形成された凹凸構造と同様の凹凸構造が各層の表面に形成されるものである。
一方、陽極16、ホール取り出し層18、電子ブロッキング層20、有機半導体層22の各層である電子供与体層22aおよび電子受容体層22b、電子取り出し層24、陰極26の各層の裏面には、上記において説明した微細構造14と同様の凹凸形状が反転した形状を有する逆凹凸構造が形成されるようになる。
なお、有機薄膜太陽電池10を構成する各層の厚さは、分光エリプソメーター、接触式段差計あるいは原子力間顕微鏡(Atomic Force Microscope(AFM))などにより測定することができる。
また、本実施の形態による有機薄膜太陽電池10の製造方法は、粒子単層膜をエッチングマスクとしたドライエッチング法により、表面に複数の凹部または凸部が二次元に配列した凹凸形状を形成された微細構造14が設けられた透明基板12を作製する基板作製工程と、上記微細構造上に、少なくとも、陽極と、電子供与体層および電子受容体層とからなる有機半導体層と、陰極とを、陰極の表面に上記微細構造の凹凸形状が複写されるように積層する積層工程とを有するものである。
そして、基板作製工程において、粒子単層膜を異なる粒子径を有する複数の粒子の混合物を用いて作製し、こうした粒子単層膜を用いて、後述する要件を満たす凹凸形状を有する有機薄膜太陽電池を作製することを特徴とする。
次に、本発明において用いる透明基板12表面に形成される微細構造14となる凹凸構造の平均高さについて説明すると、透明基板12表面の凹凸構造の平均高さは15nm以上180nm以下であるものとする。ここでいう凹凸構造の平均高さとは、透明基板12の凸部14a、凸部14b、凸部14cの平均高さを意味するものである。
こうした凸部14a、凸部14b、凸部14cの平均高さは、15nm以上180nm以下が好ましく、また、20nm以上100nm以下がより好ましいものである。
次に、凹凸構造の凸部の平均高さの測定方法について説明するが、凸部の平均高さは原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)により測定することが可能である。
具体的には、まず、凹凸構造の領域のうち、無作為に選択された5μm×5μmのある領域について、AFM像を取得する。
なお、こうしたAFM像の取得方法については、公知の技術であることから、その説明は省略するものとする。
次に、こうして取得した5μm×5μmのAFM像上の対角線方向に直線を引き、この直線と交わった凸部14a、凸部14b、凸部14cのそれぞれの高さを測定し、凸部の高さの測定値の平均値を求める。
ここで、高さの測定は以下のように行う。即ち、基板面を、基板面に対して垂直方向(積層方向)から観察し、ある凸部X0に注目したとき、凸部X0を取り囲むように隣接する他の凸部X1、X2、X3・・・Xnが存在する。X0とX1の間の鞍部の鞍点をx1、同様に他の凸部との鞍部の鞍点をx2、x3・・・xnとし、これらの平均高さと、凸部X0の中心の高さとの差として求められる。
こうした処理を、無作為に選択された5μm×5μmの領域合計25カ所に対して行い、各領域における凸部の高さの平均値を求める。そして、得られた25カ所の領域における平均値をさらに平均した値を算出し、平均高さとする。
本発明においては、凸部の平均高さ15nm以上180nm以下の範囲に収まるようにする。
また、凸部の作製方法については後に詳説するが、凸部の平均高さは粒子単層膜をエッチングマスクとしてドライエッチングを行う際のドライエッチング条件により調節することが可能である。
なお、逆凹凸構造を形成する凹部26a、凹部26b、凹部26cの直径および平均深さは、それぞれ、凸部14a、凸部14b、凸部14cの直径および平均高さと同じである(図2(a)(b)を参照する。)。そのため、凹部の平均深さは、凸部の平均高さから間接的に定量できるものである。
以上において、本発明による有機薄膜太陽電池10を構成する各層の材料について説明したが、こうした有機薄膜太陽電池10を構成する各層の作製方法について、以下に詳細に説明することとする。
なお、本実施の形態においては、有機薄膜太陽電池10の製造方法として積層方式を採用するものとする。
ここで、積層方式とは、有機薄膜太陽電池10の底部となる層から順に1層ずつ積層していく手法であり、本実施の形態においては、まず、直径がそれぞれ異なる3種類の凸部14a、14b、14cが複数、二次元にランダムに配列した凹凸構造である微細構造14が表面に設けられた透明基板12を作製する(本明細書においては、こうした工程について「基板作製工程」と適宜に称する。)。
次に、透明基板12の微細構造14上に、陽極16と、ホール取り出し層18、電子ブロッキング層20、有機半導体層22、電子取り出し層24、陰極導電層26とを順次積層させていく(本明細書においては、こうした工程について「積層工程」と適宜に称する。)ものである。
[基板作製工程]
まず、透明基板12の表面に形成された微細構造14の複数の凸部14a、凸部14b、凸部14cによる凹凸構造は、例えば、粒子径の異なる複数の粒子の混合物(以下、「混合粒子」と適宜に称する。)を用いて形成した粒子単層膜をエッチングマスクとしたドライエッチング法により作製できる。
粒子単層膜をエッチングマスクとしたドライエッチング法は、基板原板(凹凸構造を形成する前の基板)の表面に粒子の単層膜をラングミュアー・ブロジェット法(以下、「LB法」と適宜に称する。)の原理を用いて作製し、これをエッチングマスクとして基板原板表面をドライエッチングすることで凹凸構造を形成する方法であり、例えば、特開2009−158478号公報に詳細に開示されている。
従来法では、粒子間隔の制御が高精度で行われた2次元的最密充填格子を得るために、単一の粒子径の粒子を用いている。
つまり、単一の粒子径の粒子を用いて形成された粒子単層膜においては、粒子が2次元に最密充填しているため、これをエッチングマスクとして基板原板表面をドライエッチングすると、凹凸構造として高精度な三角格子状(六方格子状)の二次元格子構造が形成される。
本発明においては、粒子単層膜を構成する粒子として、異なる粒子径を有する複数種類(ここでは3種類を例にとって説明している。)の粒子による混合粒子を用いるようにした。
ここで、選択する粒径は互いにある程度近いものを用いるのが本発明の効果を得るのに効果的であるが、粒径の近似に関する目安として具体的な規定はない。
結局、凹凸構造の高さ分布のパワースペクトルが波数Kおよび波数Kの間で有限の値を持ち、かつ、この波数範囲内でのスペクトル強度の積分値が全体のスペクトル強度の50%以上の強度を有するように複数の粒径を組み合わせればよい。
こうして形成される粒子単層膜による微細構造14は、上記において説明したように、直径がそれぞれ異なる凸部14a、凸部14b、凸部14cが複数、二次元にランダムに配列したものとなる。
より詳細には、透明基板12は、より具体的には、基板原板(凹凸構造を形成する前の透明基板)の表面を、混合粒子からなる粒子単層膜で被覆する被覆行程と該粒子単層膜をエッチングマスクとして用いて基板原板をドライエッチングするドライエッチング工程とを行うことにより作製できる。
なお、このような凹凸構造を有する基板を用いて形成された陰極26の裏面26bの凹凸構造も同様に高精度となることから、こうした方法を用いることによって、表面プラズモンを励起することができ、光電エネルギー変換効率が向上した有機薄膜太陽電池10を得ることができる。
以下、上記した被覆工程およびドライエッチング工程について詳細に説明することとする。
(1−2)被覆工程
基板原板の表面を粒子単層膜により被覆する被覆工程は、水槽(トラフ)に、その液面上で混合粒子を展開させるための液体(以下、「液面上に混合粒子を展開させるための液体」を、「下層液」と適宜に称する。)を入れ、この下層液の液面に有機溶剤中に混合粒子が分散した分散液を滴下し、滴下した分散液から有機溶剤を揮発させることにより、混合粒子からなる粒子単層膜を下層液の液面上に形成する粒子単層膜形成工程と、粒子単層膜を透明基板12上に移し取る移行工程とを行うことにより実施される。
つまり、基板原板の表面に被覆するエッチングマスクを被覆する被覆工程においては、はじめに粒子単層膜のみを作製し(粒子単層膜形成工程)、粒子単層膜形成工程により作製された粒子単層膜を基板原板表面上に移し取るようにするものである(移行工程)。
なお、以下の説明では、下層液として親水性の液体を使用し、分散液においては有機溶剤および混合粒子としてそれぞれ疎水性のものを使用する場合について説明する。なお、下層液として疎水性の液体を使用してもよく、その場合には、有機溶剤および混合粒子として親水性のものを使用する。
以下、粒子単層膜形成工程と移行工程とについて、それぞれ詳細に説明する。
(1−2−1)粒子単層膜形成工程
上記したように、被覆工程においては、基板原板表面に被覆する粒子単層膜を作製する粒子単層膜形成工程を行うが、本実施の形態においては、粒子単層膜形成工程として、水槽(トラフ)に貯留された所定の溶媒表面上に混合粒子を含有する溶剤を展開させることにより、粒子単層膜を得る粒子単層膜形成行程について説明する。
本実施の形態における粒子単層膜形成工程では、まず、揮発性が高い有機溶剤(例えば、クロロホルム、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ヘキサンなどである。)中に、表面が疎水性の混合粒子を加えて分散液を調製する。また、水槽を用意し、当該水槽に下層液として水(以下、下層液としての水を「下層水」と適宜に称する。)を入れる。
次に、所定の有機溶剤等の溶剤中に、3種の異なる粒径を有する粒子よりなる混合粒子を分散させることにより分散液を調製する。
ここで、こうした3種の粒子の材料としては、表面が疎水性で、かつ、粒子径がそれぞれ異なる3種の粒子A、粒子B、粒子C(粒子径は、「粒子A>粒子B>粒子C」とする。)を用いるようにする。
そして、それらの粒子A、粒子B、粒子Cを分散させる所定の溶剤としては、揮発性が高い溶剤(例えば、クロロホルム、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ヘキサン等である。)を用いるようにする。
上記溶剤中に3種の粒子A、粒子B、粒子Cを加えて混合し、3種の粒子A、粒子B、粒子Cが溶剤中に分散した分散液を調製するものである。
こうした分散液の粒子濃度(粒子A、粒子B、粒子Cの合計の濃度)は、1〜10質量%とすることが好ましい。
そして、上記粒子A、粒子B、粒子Cを分散させた分散液を、上記水槽内の下層水表面に滴下して該水槽内の下層水液面上に展開する。
こうした分散液の下層水の液面への滴下速度は、0.001〜0.01ml/秒とすることが好ましい。
なお、分散液中の粒子の濃度や滴下速度を上記に記載した範囲で行うと、粒子が部分的にクラスター状に凝集して2層以上となることや、粒子が存在しない欠陥箇所が生じることなどの傾向が抑制された粒子単層膜が得られやすいものである。
そして、上記滴下後に、所定の時間を経過させることにより分散液のうち有機溶剤が揮発し、混合粒子A、粒子B、粒子Cがランダムに2次元に密集した粒子単層膜が、水槽内の下層液面上に形成される。
ここで、上記3種の粒子A、粒子B、粒子Cの選定基準は、上記において説明したように、ドライエッチング後に直径がそれぞれ異なる凸部14a、凸部14b、凸部14cが二次元にランダムに配列した凹凸構造を形成した際、その凹凸構造の高さ分布のパワースペクトルが波数KからKの間に有限の値を与えるような粒径を選定する。
具体的には、粒子Bは上述の有機半導体の吸収バンドの中心波長に対応する粒径を有するものを選定し、粒子Aと粒子Cを適宜混合することにより、結果として得られる凹凸構造の高さ分布のパワースペクトルが波数Kから波数Kの間で有限の値をとるように調整する。
本発明においては混合粒子を用いているため、凹凸構造中の複数の凸部の直径や中心間の距離にばらつきが生じる。こうしたばらつきは、ばらつきがない場合と比較して、スペクトル強度が有限の値を持つ波数の範囲が広くなるのを利用する。
そして、スペクトル強度が有限の値を持つ波数の範囲は、凹凸構造中の複数の凸部の直径や、隣接する凸部との中心間の距離のばらつきの程度、3種の粒子A、粒子B、粒子Cそれぞれの粒度分布、平均粒子径、3種の粒子A、粒子B、粒子Cの混合比率などによって調節できる。
上記条件を踏まえると、3種の粒子A、粒子B、粒子Cの粒子径は、いずれも、10nm以上2000nm以下の範囲内であることが好ましく、50nm以上1700nm以下の範囲内であることがより好ましい。
また、各粒子の粒子径は、一次粒子径の値であり、動的光散乱法により求めた粒度分布をガウス曲線にフィッティングさせて得られるピークから公知の方法により求めることができる。あるいは、粒子をAFM像またはSEM像にて直接観察して粒径を計測してもよい。
なお、ここでは3種の粒子径の粒子を用いた例を示しているが本発明はこれに限定されるものではなく、粒子径が異なる粒子は2種以上であればよい。
光電エネルギー変換効率の向上効果を均等化する観点からは、2種〜20種程度であることが好ましい。
次に、3種の粒子A、粒子B、粒子Cの材料については、例えば、Al、Au、Ti、Pt、Ag、Cu、Cr、Fe、Ni、Si、Wなどの金属や、SiO、Al、TiO、MgO、CaOなどの金属酸化物やSiN、TiNなどの窒化物、SiC、WCなどの炭化物、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレートなどの有機高分子や、その他の半導体材料や、無機高分子等が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。
この3種の粒子A、粒子B、粒子Cの材料や後述するドライエッチング条件を選択することにより、形成される凸部14a、凸部14b、凸部14cの高さや形状を調節することができ、結果的に凹部26a、凹部26b、凹部26cの深さや形状を調節することができる。
また、他の条件としては、本実施の形態においては、上記下層液として水を使用するため、3種の粒子A、粒子B、粒子Cの表面は、疎水性の材料より構成されることが好ましい。
3種の粒子の表面が疎水性であれば、上述したように水槽(トラフ)の下層液の液面上に粒子の分散液を展開させて粒子単層膜を形成する際に、下層液として水を用いて容易に粒子単層膜を形成できる上に粒子単層膜を基板表面に容易に移動させることができる。
上記で例示した3種の粒子の材料うち、ポリスチレンなどの有機高分子の粒子は表面が疎水性であるため、そのまま使用できるものであるが、金属粒子や金属酸化物粒子のうち表面が親水性のものにおいては疎水化剤により表面を疎水性に変えることで使用できる。
ここで、疎水化剤としては、例えば、界面活性剤、アルコキシシランなどが挙げられる。
上記界面活性剤は、幅広い材料の疎水化に有効であり、粒子が金属、金属酸化物などからなる場合に好適である。
こうした疎水化剤としての界面活性剤は、例えば、臭素化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、臭素化デシルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤、ドデシル硫酸ナトリウム、4−オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤が好適に使用できる。また、アルカンチオール、ジスルフィド化合物、テトラデカン酸、オクタデカン酸なども使用できる。
このような界面活性剤を用いた疎水化処理の方法としては、有機溶剤や水などの液体に粒子を分散させて液中で行ってもよいし、乾燥状態にある粒子に対して行ってもよい。
液中で行う場合には、例えば、クロロホルム、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、エチルエチルケトン、トルエン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの1種以上からなる揮発性有機溶剤中に、疎水化対象の粒子を加えて分散させ、その後、界面活性剤を混合してさらに分散を続ければよい。このように、あらかじめ粒子を分散させておき、それから界面活性剤を加えると、表面をより均一に疎水化することができる。このような疎水化処理後の分散液は、そのまま、下層水の液面に滴下するための分散液として使用することもできる。
疎水化対象の粒子が水分散体の状態である場合には、この水分散体に界面活性剤を加えて水相で粒子表面の疎水化処理を行った後、有機溶剤を加えて疎水化処理済みの粒子を油相抽出する方法も有効である。こうして得られた分散液(有機溶剤中に粒子が分散した分散液)は、そのまま、下層水の液面に滴下するための分散液として使用できる。
なお、この分散液の粒子分散性を高めるためには、有機溶剤の種類と界面活性剤の種類とを適切に選択し、組み合わせることが好ましい。粒子分散性の高い分散液を使用することによって、粒子がクラスター状に凝集することを抑制でき、混合粒子が2次元に成膜した粒子単層膜がより得られやすくなる。例えば、有機溶剤としてクロロホルムを選択する場合には、界面活性剤として臭素化デシルトリメチルアンモニウムを使用することが好ましい。その他にも、エタノールとドデシル硫酸ナトリウムとの組み合わせ、メタノールと4−オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウムとの組み合わせ、メチルエチルケトンとオクダデカン酸との組み合わせなどを好ましく例示できる。
疎水化対象の粒子と界面活性剤の比率は、疎水化対象の粒子の質量に対して、界面活性剤の質量が1〜20%の範囲が好ましい。
また、こうした疎水化処理の際には、処理中の分散液を撹拌したり、分散液に超音波照射したりすることも粒子分散性向上の点で効果的である。
アルコキシシランを疎水化剤として使用する方法は、Si、Fe、Alなどの粒子や、SiO、Al、TiOなどの酸化物粒子を疎水化する際に有効である。
ただし、これら粒子に限らず、基本的には、水酸基等を表面に有する粒子であればいかなる粒子に対しても適用することができる。
ここで、アルコキシシランとしては、例えば、モノメチルトリメトキシシラン、モノメチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシランフェニルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
疎水化剤としてアルコキシシランを用いる場合には、アルコキシシラン中のアルコキシシリル基がシラノール基に加水分解し、このシラノール基が粒子表面の水酸基に脱水縮合することで疎水化が行われる。よって、アルコキシシランを用いた疎水化は、水中で行うことが望ましい。
このように水中で疎水化を行う場合には、例えば界面活性剤などの分散剤を併用して、疎水化前の混合粒子の分散状態を安定化するのが好ましい。ただし、分散剤の種類によってはアルコキシシランの疎水化効果が低減することもあるため、分散剤とアルコキシシランとの組み合わせは適切に選択する。
アルコキシシランにより疎水化する具体的方法としては、まず、水中に粒子を分散させておき、これとアルコキシシラン含有水溶液(つまり、アルコキシシランの加水分解物を含む水溶液である。)とを混合し、室温40℃の範囲で適宜攪拌しながら所定時間、好ましくは0.5〜12時間反応させるものとする。
このような条件で反応させることによって、反応が適度に進行し、十分に疎水化された粒子の分散液を取得することができる。このとき、反応が過度に進行すると、シラノール基同士が反応して粒子同士が結合してしまい、分散液の粒子分散性が低下し、得られる粒子単層膜は、粒子が部分的にクラスター状に凝集した2層以上のものになりやすい。一方、反応が不十分であると、粒子表面の疎水化も不十分となり、得られる粒子単層膜は粒子間のピッチが広がったものになりやすい。
また、アミン系以外のアルコキシシランは、酸性またはアルカリ性の条件下で加水分解するため、反応時には分散液のpHを酸性またはアルカリ性に調性する必要がある。pHの調性法には制限はないが、例えば、0.1〜2.0質量%濃度の酢酸水溶液を添加する方法によれば、加水分解促進の他に、シラノール基安定化の効果も得られるため好ましい。
疎水化対象の粒子とアルコキシシランの比率は、疎水化対象の粒子の質量に対して、アルコキシシランの質量が1〜20倍の範囲が好ましい。
所定時間反応後、この分散液に対して、前述の揮発性有機溶剤のうちの1種以上を加え、水中で疎水化された粒子を油相抽出する。この際、添加する有機溶剤の体積は、有機溶剤添加前の分散液に対して0.3〜3倍の範囲が好ましい。油相抽出して得られた分散液(有機溶剤中に粒子が分散した分散液)は、そのまま、滴下工程において下層水の液面に滴下するための分散液として使用できる。なお、こうした疎水化処理においては、処理中の分散液の粒子分散性を高めるために、撹拌、超音波照射など実施することが好ましい。分散液の粒子分散性を高めることによって、粒子がクラスター状に凝集することを抑制でき、粒子単層膜がより得られやすくなる。
ここで、超音波照射により粒子凝集を低減する方法を以下に説明する。
まず、下層液中から液面に向けて超音波を照射しながら粒子単層膜形成工程を行うと、粒子の凝集状態を低減する効果が得られ、さらに粒子の最密充填が促進されるため、各粒子が高精度で二次元に最密充填した粒子単層膜を取得することができる。
この際、超音波の出力は1〜1200Wが好ましく、50〜600Wがより好ましい。
また、超音波の周波数に特に制限はないが、例えば、28kHz〜5MHzが好ましく、700kHz〜2MHzがより好ましい。
また、超音波の照射時間については、粒子の再配列が完了するのに十分であればよいものであり、粒径、超音波の周波数、液温などによって所要時間が変化するものであるが、通常の作製条件では、10秒間〜60分間で行うことが好ましく、3〜30分間で行うことがより好ましい。
一般的に振動数(ここでは超音波の周波数を指す。)が高すぎると、水分子のエネルギー吸収が始まり、水面から水蒸気または水滴が立ち上る現象が起きるため、本発明において用いるLB法にとって好ましくない。また、一般的に振動数が低すぎると、下層液中のキャビテーション半径が大きくなり、液中に泡が発生して液面に向かって浮上してくる。このような泡が粒子単層膜の下に集積すると、液面の平坦性が失われるため本発明の実施に不都合となる。
また、超音波照射によって液面に定常波が発生する。いずれの周波数でも出力が高すぎたり、超音波振動子と発振機のチューニング条件によって液面の波高が高くなりすぎたりすると、粒子単層膜が液面波で破壊される可能性がある。
以上のことから超音波の周波数を適切に設定すると、形成されつつある粒子単層膜を破壊することなく、効果的に粒子の単層化を促進することができる。しかし、粒径が例えば100nm以下など小さな粒子になると固有振動数は非常に高くなってしまうため、計算結果のとおりの超音波振動を与えるのは困難になる。
このような場合は、粒子2量体、3量体、・・・20量体程度までの質量に対応する固有振動を与えると仮定して計算を行うと、必要な振動数を現実的な範囲まで低減させることができる。粒子の会合体の固有振動数に対応する超音波振動を与えた場合でも、粒子の単層化は促進される。
こうした超音波照射によって得られる利点は粒子の単層化促進の他に、粒子の最密充填化(つまり、ランダム配列を六方最密化することである。)、粒子分散液調製時に発生しやすい粒子の軟凝集体を破壊する効果、一度発生した点欠陥、線欠陥、または結晶転移などについてもある程度の修復効果を有する。
上記において説明したように、3種の粒子A、粒子B、粒子Cをランダムに配置した粒子単層膜としては、上記材料により作製することが好ましい。
ここで、粒子単層膜の形成原理について説明すると、上記した粒子単層膜の形成は、粒子の自己組織化によるものである。
その原理は、粒子が液面上に浮いており、かつ、互いにランダムに動ける状態から、粒子同志が集結する状態になる際、粒子間に存在する分散媒に起因して表面張力が作用し、その結果、粒子同士はバラバラの状態で存在するのではなく、液面上で密集した単層構造を自動的に形成するというものである。このような表面張力による密集構造の形成は、別の表現をすると横方向の毛細管力による粒子同士の相互吸着とも言える。
例えば、3種の粒子が水面上に浮いた状態で集まり接触すると、粒子群の喫水線の合計長を最小にするように表面張力が作用し、3種の粒子は三角形(粒径が異なる粒子同士では正三角形とはならない)を基本とする配置で安定化することにより、粒子単層膜が形成されるものである。
仮に、喫水線が粒子群の頂点にくる場合、すなわち、粒子が液面下に潜ってしまう場合には、このような自己組織化は起こらず、粒子単層膜は形成されない。
よって、粒子と下層液は、一方が疎水性である場合には他方を親水性にして、粒子群が液面下に潜ることを回避することが重要である。
そのため、下層液としては、以上の説明のように水を使用することが好ましく、水を使用すると、比較的大きな表面自由エネルギーが作用して、一度生成した粒子の密集した単層構造が液面上に安定的に持続しやすくなる。
そして、上記において説明した方法により粒子を分散させた分散液は、具体的には、調製した分散液を水槽(トラフ)に貯留された下層水の液面に滴下し、分散液中の粒子を分散媒によって下層水の液面に展開させる。その後、この分散媒である有機溶剤が揮発することにより、粒子が二次元的に最密充填した粒子単層膜が形成される。
(2−3−3)移行工程
次に、上記粒子単層膜形成工程により作成した粒子単層膜を基板原板表面に移し取る移行工程について説明する。
この移行工程では、粒子単層膜形成工程により下層水の液面上に形成された粒子単層膜について、単層状態のままエッチング対象物である基板原板上への移行が行われる。
粒子単層膜を基板原板上に移行させる具体的な方法としては、特に制限されるものではなく、例えば、疎水性の基板原板を粒子単層膜に対して略平行な状態に保ちつつ、上方から降下させて粒子単層膜に接触させ、ともに疎水性である粒子単層膜と基板原板との親和力により粒子単層膜を基板原板に移行させて移し取る方法や、粒子単層膜を形成する前にあらかじめ水槽の下層水内に基板原板を略水平方向に配置しておき、粒子単層膜を液面上に形成した後に液面を徐々に降下させることにより、基板原板上に粒子単層膜を移し取る方法などがある。
これらの方法によれば、特別な装置を使用せずに粒子単層膜を基板上に移行させることができるが、より大面積の粒子単層膜であってもその粒子の密集状態を維持したまま基板原板上に移行させやすい点を考慮すると、所謂、LBトラフ法を採用することが好ましい。
本実施の形態において用いるLBトラフ法では、水槽内の下層水中に基板原板をあらかじめ略鉛直方向に浸積しておき、その状態で上記の粒子単層膜形成行程を行い、粒子単層膜を形成する。そして、粒子単層膜形成行程後に、基板原板を上方に引き上げることによって、粒子単層膜を基板原板上に移し取ることができる。
このとき、粒子単層膜は、粒子単層膜形成行程により液面上ですでに単層の状態に形成されているため、移行行程の温度条件(下層水の温度)や基板原板の引き上げ速度などが多少変動しても、粒子単層膜が崩壊して多層化するなどのおそれはない。
下層液の温度は、通常、季節や天気により変動する環境温度に依存し、ほぼ10〜30℃程度である。
また、この際、水槽として、粒子単層膜の表面圧を計測するウィルヘルミープレート等を原理とする表面圧力センサーと、粒子単層膜を液面に沿う方向に圧縮する可動バリアとを具備するLBトラフ装置を使用すると、より大面積の粒子単層膜をより安定に基板原板上に移し取ることができる。このような装置によれば、粒子単層膜の表面圧を計測しながら、粒子単層膜を好ましい拡散圧(密度)に圧縮でき、また、基板原板の方に向けて一定の速度で移動させることができる。そのため、粒子単層膜の液面から基板原板上への移行が円滑に進行し、小面積の粒子単層膜しか基板原板上に移行できないなどのトラブルが生じにくい。
なお、粒子単層膜を圧縮する際に好ましい拡散圧としては、5〜80mNm−1であり、より好ましくは、10〜40mNm−1である。このような拡散圧であると、各粒子が隙間無く密集した粒子単層膜が得られやすい。
また、基板原板を引き上げる速度は、0.5〜20mm/分が好ましい。
上記のようにして、上記した移行工程によれば、基板原板表面を粒子単層膜で被覆することができる。
必要に応じて、移行工程の後、さらに、粒子単層膜を基板原板上に固定するための固定工程を行ってもよい。
粒子単層膜を基板原板上に固定することによって、この後のドライエッチング時に粒子が基板原板上を移動してしまう可能性が抑えられ、より安定かつ高精度に基板原板表面をエッチングすることができる。
特に、ドライエッチングが進むにつれて、各粒子の直径が徐々に小さくなるため、基板原板上を移動する可能性が大きくなる。
固定工程の方法としては、バインダーを使用する方法や焼結法がある。
バインダーを使用する方法では、粒子単層膜が形成された基板原板の該粒子単層膜側にバインダー溶液を供給して粒子単層膜と基板原板との間にこれを浸透させる。
バインダーの使用量は、粒子単層膜の質量の0.001〜0.02倍が好ましい。
このような範囲であれば、バインダーが多すぎて粒子間にバインダーが詰まってしまい、エッチングの精度に悪影響を与えるという問題を生じることなく、十分に粒子を固定することができる。バインダー溶液を多く供給してしまった場合には、バインダー溶液が浸透した後に、スピンコーターを使用したり、基板を傾けたりして、バインダー溶液の余剰分を除去すればよい。
バインダーの種類としては、先に疎水化剤として例示したアルコキシシランや一般の有機バインダー、無機バインダーなどを使用でき、バインダー溶液が浸透した後には、バインダーの種類に応じて、適宜加熱処理を行えばよい。アルコキシシランをバインダーとして使用する場合には、40〜80℃で3〜60分間の条件で加熱処理することが好ましい。
また、焼結法を採用する場合には、粒子単層膜が形成された基板原板を加熱して、粒子単層膜を構成している各粒子を基板に融着させればよい。加熱温度は粒子の材質と基板の材質に応じて決定すればよいが、粒子径が1μm以下の粒子はその物質本来の融点よりも低い温度で界面反応を開始するため、比較的低温側で焼結は完了する。加熱温度が高すぎると、粒子の融着面積が大きくなり、その結果、粒子単層膜としての形状が変化するなど、精度に影響を与える可能性がある。また、加熱を空気中で行うと、基板や各粒子が酸化する可能性があるため、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。酸素を含む雰囲気下で焼結を行う場合は、後述のエッチング工程で酸化層を考慮した条件を設定することが必要となる。
(2−4) ドライエッチング工程
以上のようにして粒子単層膜で被覆した基板原板表面を、ドライエッチングすることにより、微細構造14を有する透明基板12を得ることができる。
具体的には、粒子単層膜で被覆した基板原板表面に対してドライエッチングを施すことにより、ドライエッチングを開始とともに、粒子単層膜を構成している各粒子の隙間をエッチングガスが通り抜けて基板原板の表面に到達し、その部分に凹部が形成され、各粒子に対応する位置にそれぞれ凸部が現れるようになる。引き続きドライエッチングを続けると、各凸部上の粒子も徐々にエッチングされて小さくなり、同時に、基板原板表面に刻まれる凹部も深くなっていき、最終的に、基板表面に微細構造14が形成された透明基板12が作製されるものである。
このドライエッチング工程によれば、バイアスパワー、ガス流量、堆積ガスの種類と量などのドライエッチング条件を調節することによって、形成される凸部14a、14b、14cの平均高さおよび形状を調節できる。
ここで、ドライエッチングに使用するエッチングガスとしては、例えば、Ar、SF、F、CF、C、C、C、C、C、CHF、CH、CHF、C、Cl、CCl、SiCl、BCl、BCl、BC、Br、Br、HBr、CBrF3、HCl、CH、NH、O、H、N、CO、COなどが挙げられるが、本発明の効果を阻害しない範囲でこれらに限定されることはない。粒子単層膜を構成する粒子や基板の材質などに応じて、これらのうち1種類以上を使用することができる。
また、上記ドライエッチングの処理はエッチング装置を用いて行うものとするが、本実施の形態において使用可能なエッチング装置としては、異方性エッチングが可能な反応性イオンエッチング装置やイオンビームエッチング装置などであって、かつ、最小で20W程度のバイアス電場を発生できるものを使用するものとする。
こうしたエッチング装置であれば、プラズマ発生の方式、電極の構造、チャンバーの構造、高周波電源の周波数等の装置における仕様は特に制限しないものとする。
また、本発明においては、ドライエッチング工程でのエッチング選択比(基板原板のエッチング速度/粒子単層膜のエッチング速度)が、上記凹凸構造に必要な構造深さを得られるように、エッチングの各条件である、粒子単層膜を構成する粒子の材料、基板原板の材料、エッチングガスの種類、バイアスパワー、アンテナパワー、ガスの流量と圧力、エッチング時間などを設定することが好ましい。
そのため、例えば、粒子単層膜エッチングマスクを構成する粒子としてコロイダルシリカ粒子を選択し、基板として石英基板を選択してこれらを組み合わせた場合、エッチングガスにArやCFなどのガスを用いることで、比較的低い振幅とピッチの比のエッチングをすることができる。
また、電場のバイアスパワーを数十から数千Wに設定すると(ドライエッチング装置の電極面積による。)、プラズマ状態にあるエッチングガス中の正電荷粒子は加速されて、高速でほぼ垂直に基板に入射する。よって、基板に対して反応性を有する気体を用いた場合は、垂直方向の物理化学エッチングの反応速度を高めることができる。
さらに、ドライエッチングでは、基板の材料とエッチングガスの種類の組み合わせによっては、プラズマによって生成したラジカルによる等方性エッチングが並行して起こる場合がある。こうしたラジカルによるエッチングは化学エッチングであり、エッチング対象物のどの方向にも等方的にエッチングが行われる。
ラジカルは電荷を持たないためバイアスパワーの設定でエッチング速度をコントロールすることはできず、エッチングガスのチャンバー内濃度でコントロールするものである。
また、荷電粒子による異方性エッチングを行うためにはある程度のガス圧を維持しなければならないので、反応性ガスを用いる限り等方的エッチングの影響はゼロに出来ない。
しかしながら、基材を冷却することでラジカルの反応速度を遅くする手法は広く用いられており、その機構を備えた装置も多いので、状況に応じてそうした装置を利用することが好ましい。
また、ドライエッチング工程において、主としてバイアスパワーと圧力を調整し、かつ、状況に応じていわゆる堆積ガスを併用することにより、基板原板表面に、凸部底面の直径と高さとの比(凸部底面の直径/高さ)が比較的低い二次元の凹凸構造を形成することができる。
上記においては、ドライエッチング工程により基板原板表面に凹凸構造を形成させる方法について説明したが、凹凸構造の形成方法のその他の例としては、凹凸構造が表面に設けられた原盤を鋳型として用いて凹凸構造を形成させる方法が挙げられる。
例えば、原板に対して、予め、直径がそれぞれ異なる凸部14a、14b、14cが複数、二次元にランダムに配列した凹凸構造を表面に形成し、該凹凸構造が表面に設けられた原盤を鋳型として透明基板12を作製する。
こうした鋳型表面の凹凸構造を基板原板に偶数回転写すると、基板原板表面に、直径がそれぞれ異なる凸部14a、凸部14b、凸部14cが複数、二次元にランダムに配列した凹凸構造が刻まれ、凹凸構造を有する透明基板が得られるものである。
また、該原盤表面の凹凸構造を基板原板に奇数回転写すると、基板原板表面に、直径がそれぞれ異なる凹部が複数、二次元にランダムに配列した凹凸構造を有する透明基板が得られる。この透明基板表面の凹凸構造は、鋳型となる原盤表面の凹凸構造が反転した形状となる。
ただし、転写回数が増えると凹凸構造の形状は鈍化するので、実用的な転写回数としては1〜4回が好ましい。
こうした鋳型となる原盤表面の構造の転写は、公知の技術であり、例えば、上記特開2009−158478号公報に開示されているような、ナノインプリント法、熱プレス法、射出成型法、UVエンボス法等の方法を用いて実施することができる。
(2−5) 積層工程
次に、本実施の形態による有機薄膜太陽電池10を構成する各層を積層させる工程について、以下に説明する。
本実施の形態による有機薄膜太陽電池10は、上記のようにして作製した凹凸構造である微細構造14が形成された透明基板12の表面上に、陽極16、ホール取り出し層18、電子ブロッキング層20、有機半導体層22、電子取り出し層24、陰極26を順次積層することで取得することができる。
こうした各層の積層方法は、特に限定されないものであり、一般的な有機薄膜太陽電池の製造において用いられている公知の技術を利用できる。
例えば、陽極16および陰極26は、それぞれ、スパッタリング法、真空蒸着法などによって形成できる。
以上において説明したように、本発明による有機薄膜太陽電池10は、透明基板12の表面に微細構造14である複数の凸部14a、14b、14cによる凹凸構造が形成され、この透明基板12上に、陽極16、ホール取り出し層18、電子ブロッキング層20、有機半導体層22となる電子供与体層22aおよび電子受容体層22b、電子取り出し層24、陰極26を順次積層して構成されており、透明基板12側より光を入射して生じた電流を陰極26より外部電流へ流すものとした。
そして、本発明の実施の形態の製造方法により製造された有機薄膜太陽電池においては、透明基板12表面に形成する微細構造14を、異なる粒子径を有する複数の粒子の混合物を用いた粒子単層膜をエッチング膜としてドライエッチングを行うことで、ランダムな二次元の凹凸構造であるようにしたことにより、表面プラズモンが励起されるようになり光電エネルギー変換効率が安定的に向上するようになる。
ここで、太陽電池の電圧−電流特性について説明するが、図6(a)には太陽電池の等価回路図が示されており、また、図6(b)には太陽電池の電圧−電流特性に関する説明図が示されている。
こうした図6(a)に示す等価回路は、実際の素子として近似された回路図にあたるものであるが、最も単純なモデルを考える場合、上記図6(a)に示す回路図より抵抗成分を無視したものを用いればよい。
具体的には、図6(a)に示す抵抗成分RおよびRshを無視し電流源Iphおよびダイオード(理想ダイオードでないものとする。)のみで表される回路として考える。
こうした抵抗成分を無視した最も単純なモデルの太陽電池の暗電流の電圧−電流特性は、以下の式(2)により得られる。
I=−I{exp(qV/nkT)−1}・・・(2)
ここで、上記式(2)においては、Iは逆方向飽和電流、qは電気素量、Vは電圧、nは理想ダイオード因子、kはボルツマン定数、Tは温度を意味する。
こうした式(2)において、上記単純なモデルの場合、n=1として、pn接合の太陽電池の理想電流−電圧特性が得られるものである。
次に、実際の太陽電池素子として近似するには、上記式(2)に加えて、直列抵抗(series resistance)Rおよび並列抵抗(shunt resistane)Rsh成分を考慮する。
直列抵抗成分は、素子各部を電流が流れるときの抵抗成分であり、この値が低いほど性能が良いものである。一方、並列抵抗成分はpn接合周辺における漏れ電流(リーク電流)などによって生じるものであり、この値が高いほど性能が良いものである。
実際の素子の場合、上記式(2)に加えてこうした各抵抗成分の値が考慮された以下の式(3)により、光照射時の電流−電圧特性を得る。
I=Iph−I[exp{q(V+RI)/nkT}−1]−(V+RI)/Rsh
・・・(3)
上記式(3)より得られた太陽電池の光照射時の電流−電圧特性は、図6(b)に示すような曲線となる。
なお、図6(b)には、実際に本発明による有機薄膜太陽電池10に対して擬似太陽光を照射し、得られた値をもとに作製された電流−電圧特性が示されている。
次に、上記図6(b)を参照しながら、太陽電池の公称変換効率ηの算出方法を以下に説明する。
即ち、本実施の形態においては、太陽電池の公称変換効率ηの算出にあたって以下の式(4)を用いた。
なお、上記公称変換効率ηを算出するための式(4)においては、照射光による入力エネルギーを100mW/cm(または1000W/m)として規格化することとする。
η=Voc・Jsc・FF ・・・(4)
ここで、上記式(4)において、Vocとは開放電圧を示すものであり、光照射時において、外部に流れる電流が0A、即ち、端子を開放したときに生じる出力電圧を意味するものである。
こうした開放電圧Vocの値は、図6(b)に示す光照射時の電流−電圧特性の曲線が横軸と交わる点Vocより得られる。
また、上記式(4)におけるJscとは、短絡電流密度を示すものであり、こうした短絡電流密度Jscは、以下に示す式(5)より得られる。
sc=Isc/S ・・・(5)
ここで、上記式(5)において、Iscとは短絡電流を示すものであり、光照射時において、外部にかかる電圧が0V、即ち、短絡したときに生じている電流を短絡電流を意味するものである。
こうした短絡電流Iscの値は、図6(b)に示す光照射時の電流−電圧特性の曲線が縦軸と交わる点Iscより得られる。
また、上記式(5)において、Sとは有効受光面積を示すものである。太陽電池の出力Pは電圧Vと電流Iの積で与えられる。図6(b)に示す光照射時の電圧−電流特性の曲線の最大出力点Pmaxにおいて得られる最大出力は電圧Vmaxの値と最大出力時の電流Imaxの値との積より得られる。
また、上記式(4)において、FFとは曲線因子を示すものであり、こうした曲線因子FFは、上記最大出力時の電圧Vmax、最大出力時の電流Imax、開放電圧Voc、短絡電流Iscを用いて、以下の式(6)より算出される。
FF=(Vmax・Imax)/(Voc・Isc) ・・・(6)
上記開放電圧Voc、短絡電流Iscおよび曲線因子FFを用いて、上記式(4)により太陽電池の公称変換効率ηを算出した。
上記計算方法により、本発明による有機薄膜太陽電池10の評価を行うことが可能である。従って、本発明による有機薄膜太陽電池10を用いてソーラシミュレータにより擬似太陽光を照射する実験を行い、上記評価方法を用いて評価を行うことが可能である。
また、本実施の形態においては、有機薄膜太陽電池10を粒子単層膜を用いたエッチング方法により作製する場合には、上記した方法により粒子単層膜を形成するための粒子の粒径を算出するようにした。
これにより、本発明による有機薄膜太陽電池10においては、有機半導体の吸収バンドに対応した表面プラズモンモードが効率よく励起されるように、透明基板12の表面に微細構造14である複数の凸部14a、14b、14cによる凹凸構造を形成することができる。
従って、本発明による有機薄膜太陽電池10においては、有機半導体の吸収バンドに対応した表面プラズモンが効率よく励起され、その結果光エネルギーが効率よく有機半導体に吸収されるため、従来の技術による有機薄膜太陽電池に比べて光電エネルギー変換効率を向上させることができる。
なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(5)に示すように変形するようにしてもよい。
(1)上記した実施の形態において、凸部14a、凸部14b、凸部14cの凹凸構造の形状は、例えば、円柱状、円錐状、円錐台、正弦波状などを採用してもよいものであり、また、それらを基本とした派生形状等を採用してもよいものである。
(2)上記した実施の形態においては、透明基板12の表面に凹凸構造を作製するために用いる粒子として、異なる粒子径を有する3種の粒子の混合物を用いたものであるが、これに限定されるものではなく、2種類〜20種類の粒子径の混合物で構成してもよいものである。
そして、こうした多種類の粒子径の混合物を使用する場合、その粒子径の変動係数が20%以下であり、好ましくは10%以下であるようにする。
また、粒度分布が広い粒子であれば、1種類の粒子径でも本発明の主旨の効果を得ることが可能である。
ここで、1種類の粒子径で粒子マスクを構成する場合、その粒子径の変動係数は、20〜160%の範囲で可能である。
粒子径の変動係数が20%以下のものと20〜160%のものを組み合わせて粒子マスクを構成しても本発明の主旨の効果を得ることが可能である。
(3)上記した実施の形態においては、透明基板12上に、微細構造14、陽極16、有機半導体層22、陰極26の順序で積層させるようにしたが、こうした順序に限られるものではないものであり、積層順序を反転させてもよいものである。
(4)上記した実施の形態において、陰極26について、金属層である陰極26のみから構成される例を示したが、陰極26は複数の層が積層された多層構造より構成するようにしてもよいものである。
こうした多層構造の陰極導電層である場合、少なくとも1層を金属層であるようにすればよいものであり、金属層以外の他の層は、金属材料から作製されるものであっても、金属以外の導電材料から作製されるものであってもよい。
ここで、金属以外の導電材料の例としては、例えば、陽極16を構成する材料として挙げたITO、IZO、ZnO、ZTO等が挙げられる。
(5)上記した実施の形態においては、透明基板12上に微細構造14を形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、以下に示すナノインプリント法による製造方法を用いてもよいものである。
ここで、本発明の有機薄膜太陽電池の製造方法の一例を以下に説明する。本製造方法の例においては、基板の表面に凹凸構造を設ける必要はないものである。
ただし、光取り出し効率を上げるため、あるいは、その他の理由で基板の表面に凹凸形状を設けることを妨げるものではないものとする。
まず、基板の表面上に、陽極を成膜し、さらにその上に、ホール取り出し層、電子ブロッキング層、有機半導体層、電子取り出し層からなる有機薄膜層の各層のうち、一部または全部を積層する。
こうした各層の積層方法は、特に限定されるものではないものであり、従来の有機薄膜太陽電池の製造方法において用いられる公知の技術を利用可能である。
なお、陽極は、例えば、スパッタリング法や真空蒸着法などの真空成膜法により形成できる。
また、有機薄膜層のうち一部もしくは全部を、例えば、スピンコート法、インクジェット法、スリットコート法などの塗工法によって形成できる。なお、塗工法によらない形成方法により形成する有機薄膜層は、例えば、真空蒸着法などの真空成膜法により形成することができる。
そして、本製造方法の例においては、有機薄膜層のうち塗工法で形成した有機薄膜層の表面にナノインプリント法によって形成された凹凸構造を設けるものとする。凹凸構造を表面に設けた有機薄膜層が、電子取り出し層以外であった場合は、残りの有機薄膜層の各層を塗工法もしくは真空成膜法によって成膜する。
ナノインプリント法で形成された凹凸構造上に、残りの有機薄膜層の各層を成膜する場合は、凹凸構造を平坦化しないように注意を払う必要がある。具体的には、残りの有機薄膜層の各層の成膜方法が塗工法である場合は、塗工液の濃度を希薄にして凹凸構造の埋まりが発生しないようにする。
また、残りの有機薄膜層の各層の成膜方法が真空成膜法である場合は、高真空で蒸着源と距離を遠くし、かつ、できるだけ垂直に蒸着物質が凹凸構造を形成する面に入射するような蒸着を行うことが有効であるが、凹凸構造を平坦化しない成膜方法はこれらの方法に限定されない。
次に、塗工法で形成した有機薄膜層表面にナノインプリント法によって微細凹凸構造を設ける方法としては、以下が挙げられる。
(a)熱可塑性材料を含む有機薄膜層を塗工法を含む成膜法で積層し、有機薄膜層の表面に、熱を加えながら、あるいは、熱を加えた後に、凹凸形状を有する鋳型を押し当て、鋳型より凹凸形状を有機薄膜層表面に転写して凹凸構造を形成する方法
(b)熱硬化性樹脂を含む有機薄膜層を塗工法を含む成膜法で積層し、有機薄膜層の表面に、一定時間、凹凸形状を有する鋳型を押し当てながら熱を加えた後、鋳型を有機薄膜層表面から剥離することにより、鋳型より凹凸形状を有機薄膜層表面に転写して凹凸構造を形成する方法
(c)UV硬化性樹脂を含む有機薄膜層を塗工法を含む成膜法で積層し、有機薄膜層の表面に、UV照射しながら、あるいは、UV照射した後、一定時間凹凸形状を有する鋳型を押し当てた後、鋳型を有機薄膜層表面から剥離し、鋳型より凹凸形状を有機薄膜層表面に転写して凹凸構造を形成する方法
上記(a)〜(c)の有機薄膜太陽電池の製造方法において使用する鋳型は、上述した複数種類の粒径の粒子からなる粒子単層膜をエッチングマスクとしたドライエッチング法によって、原板(凹凸形状を形成する前の原盤)上に複数の凸部または凹部がランダムに二次元に配列した凹凸形状を形成した原盤、または、上記原盤から電鋳法、ナノインプリント法、射出成形法またはUVエンボス法のいずれかの方法で作製した転写体を鋳型とすることができる。
転写体を鋳型とする場合は、上記原盤の凹凸形状が反転した凹凸形状である微細構造の反転構造を用いる場合がある。
上記方法により、作製した上記有機薄膜層上に少なくとも陰極を積層させることによって、凹凸形状を上記有機薄膜層と上記陰極との界面に有する有機薄膜太陽電池を製造することができる。
基板上に凹凸構造を形成し、上記凹凸構造の形状が層の界面に複写されるように上記基板上に少なくとも陽極と有機半導体層を含む有機薄膜層と陰極とを積層させる有機薄膜太陽電池の製造方法において、有機薄膜層の少なくとも一部を塗工により積層した場合は、上記凹凸構造が平坦化し、有機半導体層と陰極との界面に凹凸構造の複写が不十分となる場合がある。
その場合、上記したようなナノインプリント法により有機薄膜層表面に凹凸構造を設ける方法を採用することが好ましい。
(6)上記した実施の形態ならびに上記した(1)乃至(5)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
本発明は、種々の環境下において使用される有機薄膜太陽電池を製造する際に用いて好適である。
10 有機薄膜太陽電池
12 透明基板
14 微細構造
16 陽極
18 ホール取り出し層
20 電子ブロッキング層
22 有機半導体層
22a 電子供与型有機半導体層
22b 電子受容型有機半導体層
24 電子取り出し層
26 陰極

Claims (9)

  1. 基板上に、少なくとも、陽極と、有機半導体層を含む有機薄膜層と、陰極とを積層させて構成される有機薄膜太陽電池において、
    有機薄膜層と陰極との界面に、複数の凹部または凸部が二次元にランダムに配列されて凹凸形状を形成された微細構造を有し、
    前記有機半導体層の太陽光の吸収スペクトルの吸収端を与える波長のうち、短い方の波長をλ、長い方の波長をλとし、前記有機半導体層と前記陰極との前記界面を伝搬する表面プラズモンであって前記波長λ と前記波長λ とにそれぞれ対応する前記界面を伝搬する表面プラズモンの伝搬定数の実部をそれぞれkおよびkとしたとき、
    前記界面の前記微細構造の前記凹凸形状の高さ分布を2次元フーリエ変換して波数ベクトル空間に変換し、パワースペクトル強度(振幅の絶対値の2乗)を求めてプロットしたパワースペクトルが、波数K=kと波数K=kとの間で有限の値を持ち、かつ、この波数範囲内のスペクトル強度の積分値が全波数にわたるスペクトル強度の50%の強度の値を有する
    ことを特徴とする有機薄膜太陽電池。
  2. 基板上に、少なくとも、陽極と、有機半導体層を含む有機薄膜層と、陰極とを積層させて構成される有機薄膜太陽電池において、
    基板の表面に複数の凹部または凸部が二次元にランダムに配列されて凹凸形状を形成された微細構造を有し、前記凹凸形状が陽極、有機薄膜層および前記陰極のそれぞれの界面に複写されるように形成され、
    前記有機半導体層の太陽光の吸収スペクトルの吸収端を与える波長のうち、短い方の波長をλ、長い方の波長をλとし、前記有機半導体層と前記陰極との前記界面を伝搬する表面プラズモンであって前記波長λ と前記波長λ とにそれぞれ対応する前記界面を伝搬する表面プラズモンの伝搬定数の実部をそれぞれkおよびkとしたとき、
    前記界面の前記微細構造の前記凹凸形状の高さ分布を2次元フーリエ変換して波数ベクトル空間に変換し、パワースペクトル強度(振幅の絶対値の2乗)を求めてプロットしたパワースペクトルが、波数K=kと波数K=kとの間で有限の値を持ち、かつ、この波数範囲内のスペクトル強度の積分値が全波数にわたるスペクトル強度の50%の強度の値を有する
    ことを特徴とする有機薄膜太陽電池。
  3. 請求項1または2のいずれか1項に記載の有機薄膜太陽電池において、
    前記凹部の深さならびに前記凸部の高さは、15〜180nmである
    ことを特徴とする有機薄膜太陽電池。
  4. 基板上に、少なくとも、陽極と、有機半導体層を含む有機薄膜層と、電子取り出し層と、陰極とを順次積層て構成される有機薄膜太陽電池の製造方法であって、
    基板の表面に平均粒子径の異なる粒子を混合してなる粒子膜を形成し、前記粒子膜をエッチングマスクとしてドライエッチングを行い、前記基板の表面に複数の凹部または凸部がランダムに二次元に配列されて凹凸形状を形成された微細構造を形成した後、前記微細構造の形状が陽極、有機薄膜層、電子取り出し層および陰極のそれぞれの界面に複写されるように、前記基板上に少なくとも前記陽極と前記有機薄膜層と前記電子取り出し層と前記陰極とを順次積層し、
    前記電子取り出し層と前記陰極との界面に複写された前記微細構造によって励起されて前記陰極と前記電子取り出し層との界面を伝搬する表面プラズモンを発生する
    ことを特徴とする有機薄膜太陽電池の製造方法。
  5. 基板上に、少なくとも、陽極と、有機半導体層を含む有機薄膜層と、電子取り出し層と、陰極とを順次積層て構成される有機薄膜太陽電池の製造方法であって、
    原板の表面に平均粒子径の異なる粒子を混合してなる粒子膜を形成し、前記粒子膜をエッチングマスクとしてドライエッチングを行い、前記原板の表面に複数の凹部または凸部がランダムに二次元に配列されて凹凸形状を形成された微細構造を形成した後、
    前記原板の表面に形成された前記微細構造を基板の少なくとも片側の面に転写し、
    前記基板に転写された微細構造の形状が陽極、有機薄膜層、電子取り出し層および陰極のそれぞれの界面に複写されるように、前記基板上に少なくとも前記陽極と前記有機薄膜層と前記電子取り出し層と前記陰極とを順次積層し、
    前記電子取り出し層と前記陰極との界面に複写された前記微細構造によって励起されて前記陰極と前記電子取り出し層との界面を伝搬する表面プラズモンを発生する
    ことを特徴とする有機薄膜太陽電池の製造方法。
  6. 基板上に、少なくとも、陽極と、有機半導体層を含む有機薄膜層と、電子取り出し層と、陰極とを順次積層て構成される有機薄膜太陽電池の製造方法であって、
    原板の表面に平均粒子径の異なる粒子を混合してなる粒子膜を形成し、前記粒子膜をエッチングマスクとしてドライエッチングを行い、前記原板の表面に複数の凹部または凸部がランダムに二次元に配置された凹凸形状をもつ微細構造を形成して前記微細構造を有する原盤を得る工程と、
    基板上に、少なくとも、陽極と、有機薄膜層とを積層させる工程と、
    前記有機薄膜層の表面に、前記原盤の微細構造もしくは前記原盤の微細構造を反転させた反転構造を押圧して転写する工程と、
    前記有機薄膜層上に、電子取り出し層と陰極とを順次積層して、前記微細構造、または、前記微細構造の反転構造を前記電子取り出し層と前記陰極との界面に設ける工程と
    を有し、
    前記電子取り出し層と前記陰極との界面に設けられた前記微細構造、または、前記微細構造の反転構造によって励起されて前記陰極と前記電子取り出し層との界面を伝搬する表面プラズモンを発生する
    ことを特徴とする有機薄膜太陽電池の製造方法。
  7. 基板上に、少なくとも、陽極と、有機半導体層を含む有機薄膜層と、陰極とを積層させて構成される有機薄膜太陽電池の製造方法であって、
    基板の表面に平均粒子径の異なる粒子を混合してなる粒子膜を形成し、前記粒子膜をエッチングマスクとしてドライエッチングを行い、前記基板の表面に複数の凹部または凸部がランダムに二次元に配列されて凹凸形状を形成された微細構造を形成した後、前記微細構造の形状が陽極、有機薄膜層および陰極のそれぞれの界面に複写されるように、前記基板上に少なくとも前記陽極と前記有機薄膜層と前記陰極とを積層させる有機薄膜太陽電池の製造方法において、
    前記有機半導体層の太陽光の吸収スペクトルの吸収端を与える波長のうち、短い方の波長をλ、長い方の波長をλとし、前記有機薄膜層と前記陰極との前記界面を伝搬する表面プラズモンであって前記波長λ と前記波長λ とにそれぞれ対応する前記界面を伝搬する表面プラズモンの伝搬定数の実部をそれぞれkおよびkとしたとき、
    前記界面の前記微細構造の前記凹凸形状の高さ分布を2次元フーリエ変換して波数ベクトル空間に変換し、パワースペクトル強度(振幅の絶対値の2乗)を求めてプロットしたパワースペクトルが、波数K=kと波数K=kとの間で有限の値を持ち、かつ、この波数範囲内のスペクトル強度の積分値が全波数にわたるスペクトル強度の50%の強度の値を有する
    ことを特徴とする有機薄膜太陽電池の製造方法。
  8. 基板上に、少なくとも、陽極と、有機半導体層を含む有機薄膜層と、陰極とを積層させて構成される有機薄膜太陽電池の製造方法であって、
    原板の表面に平均粒子径の異なる粒子を混合してなる粒子膜を形成し、前記粒子膜をエッチングマスクとしてドライエッチングを行い、前記原板の表面に複数の凹部または凸部がランダムに二次元に配列されて凹凸形状を形成された微細構造を形成した後、
    前記原板の表面に形成された前記微細構造を基板の少なくとも片側の面に転写し、
    前記基板に転写された微細構造の形状が陽極、有機薄膜層および陰極のそれぞれの界面に複写されるように、前記基板上に少なくとも前記陽極と前記有機薄膜層と前記陰極とを積層させる有機薄膜太陽電池の製造方法において、
    前記有機半導体層の太陽光の吸収スペクトルの吸収端を与える波長のうち、短い方の波長をλ 、長い方の波長をλ とし、前記有機薄膜層と前記陰極との前記界面を伝搬する表面プラズモンであって前記波長λ と前記波長λ とにそれぞれ対応する前記界面を伝搬する表面プラズモンの伝搬定数の実部をそれぞれk およびk としたとき、
    前記界面の前記微細構造の前記凹凸形状の高さ分布を2次元フーリエ変換して波数ベクトル空間に変換し、パワースペクトル強度(振幅の絶対値の2乗)を求めてプロットしたパワースペクトルが、波数K =k と波数K =k との間で有限の値を持ち、かつ、この波数範囲内のスペクトル強度の積分値が全波数にわたるスペクトル強度の50%の強度の値を有する
    ことを特徴とする有機薄膜太陽電池の製造方法。
  9. 基板上に、少なくとも、陽極と、有機半導体層を含む有機薄膜層と、陰極とを積層させて構成される有機薄膜太陽電池の製造方法であって、
    原板の表面に平均粒子径の異なる粒子を混合してなる粒子膜を形成し、前記粒子膜をエッチングマスクとしてドライエッチングを行い、前記原板の表面に複数の凹部または凸部がランダムに二次元に配置された凹凸形状をもつ微細構造を形成して前記微細構造を有する原盤を得る工程と、
    基板上に、少なくとも、陽極と、有機薄膜層とを積層させる工程と、
    前記有機薄膜層の表面に、前記原盤の微細構造もしくは前記原盤の微細構造を反転させた反転構造を押圧して転写する工程と、
    前記有機薄膜層上に、陰極を積層させ、前記微細構造、または、前記微細構造の反転構造を前記有機薄膜層と前記陰極との界面に設ける工程とを有する有機薄膜太陽電池の製造方法において、
    前記有機半導体層の太陽光の吸収スペクトルの吸収端を与える波長のうち、短い方の波長をλ 、長い方の波長をλ とし、前記有機薄膜層と前記陰極との前記界面を伝搬する表面プラズモンであって前記波長λ と前記波長λ とにそれぞれ対応する前記界面を伝搬する表面プラズモンの伝搬定数の実部をそれぞれk およびk としたとき、
    前記界面の前記微細構造の前記凹凸形状の高さ分布を2次元フーリエ変換して波数ベクトル空間に変換し、パワースペクトル強度(振幅の絶対値の2乗)を求めてプロットしたパワースペクトルが、波数K =k と波数K =k との間で有限の値を持ち、かつ、この波数範囲内のスペクトル強度の積分値が全波数にわたるスペクトル強度の50%の強度の値を有する
    ことを特徴とする有機薄膜太陽電池の製造方法。
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