JP2012222042A - 薄膜太陽電池用基板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板や電極、或いは光電変換層に、適切に凹凸構造を形成することにより、光電変換効率の向上を可能とする薄膜太陽電池用基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】透明基板2の、透明電極3と接する面に、周期的で均一な高さとなる凹凸構造10を形成する。そして、この凹凸構造10の1周期を、太陽光の波長以下とし、且つ、凹凸構造10の凹部頂点から凸部頂点までの高さを光電変換層9の膜厚以下とする。その結果、透明基板2に導入された光を効率良く電気エネルギーに変換することが可能となり、光電変換効率を向上させることができる。
【選択図】図1
【解決手段】透明基板2の、透明電極3と接する面に、周期的で均一な高さとなる凹凸構造10を形成する。そして、この凹凸構造10の1周期を、太陽光の波長以下とし、且つ、凹凸構造10の凹部頂点から凸部頂点までの高さを光電変換層9の膜厚以下とする。その結果、透明基板2に導入された光を効率良く電気エネルギーに変換することが可能となり、光電変換効率を向上させることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、太陽光を用いて発電する薄膜太陽電池用基板及びその製造方法に係り、特に、光電変換効率を向上する技術に関する。
近年、クリーンなエネルギー源として、太陽電池の普及が拡大している。その種類も使用する材料や使用目的により様々なものがあり、製造コストの低下が期待でき、軽量化やフレキシブル性という特徴も合わせ持つ有機薄膜太陽電池の開発が進んでいる。
有機薄膜太陽電池は、基板上に、透明電極と、有機薄膜光電変換層と、金属電極とを積層した構造を有しており、一般的には有機薄膜光電変換層にp型とn型の有機半導体を混合した膜、或いは両者を積層した膜を配置して構成される。その発電原理は、光によって生成した励起子がpn接合界面で電子とホールに分離し、光電流となることによる。
ところが、励起子の移動可能距離は数十nm(ナノメートル)以下と非常に短いので、この移動可能距離内にpn接合界面が存在しないと光電流は生じないことになる。このため、光電流を発生できる活性層の幅は、pn接合界面近傍のわずか数十nm以下となり、この幅内の領域では光の吸収量が少ないので、太陽光の利用効率がきわめて低くなる。従って、pn接合界面の表面積を大きくすることにより、有機薄膜太陽電池の光電変換効率を向上させることが望まれる。
pn接合界面の表面積を増大させる方法として、基板や透明電極、或いはその他の界面に凹凸構造を設けることが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。ここで、基板や層間に凹凸構造を設けることにより、有機薄膜太陽電池の変換効率向上に種々の効果が期待できるが、その効果を最大限に活かすには、凹凸の高さ、幅、周期等の凹凸形状を決める各種パラメータを正確に調整することが必要となる。
しかし、上述の特許文献1,2では、基板と光電変換層との間に微細な凹凸構造を形成することについて記載されているものの、凹凸構造の高さ、幅、周期等、詳細な構成については言及されておらず、より高い効率電力を発生することに寄与することができないという問題があった。
また一方で、薄膜太陽電池の構造として、一般にスーパーストレート型とサブストレート型と呼ばれる2種類の構造が知られている。このうち、スーパーストレート型はガラスやプラスチック等の透光性の基板の上面に透明電極、光電変換層、裏面金属電極をこの順で形成し、基板側から太陽光を入射する。サブストレート型は、基板の上面に、金属電極、光電変換層、及び透明電極をこの順に設けて、基板とは反対となる透明電極側から太陽光を入射する。
ここで、薄膜太陽電池の性能を向上させるための方法として、光電変換層の上下の片側、或いは両側に微細な凹凸構造を形成することにより、太陽光エネルギーを効率良く電気エネルギーに変換する構造が提案されている。この凹凸構造を設けることにより、光電変換層を構成する各層の界面にて光が散乱するので、光電変換層内部での光路長が増大し、その結果として光電変換層内部での光の吸収が増大し、光電変換効率が向上する。
しかしながら、上記の太陽電池では、光電変換層に凹凸構造を設けることにより、導入された光に対する光電変換効率を向上させることができるものの、入射する太陽光を効率良く導入することができないので、全体として光電変換効率を向上させることが難しいという問題があった。
上述したように、従来における薄膜太陽電池用基板においては、基板や電極に微細な凹凸構造を形成する際に、その高さ、幅、周期等が設定されておらず、光電変換効率の向上に寄与することができないという問題があった。また、光電変換層に微細な凹凸構造を設けた場合であっても光電変換効率を向上させることができないという問題があった。
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、基板や電極、或いは光電変換層に、適切に凹凸構造を形成することにより、より一層の光電変換効率の向上を可能とする薄膜太陽電池用基板及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、主基板と、前記主基板の上面に形成される第1の電極と、前記第1の電極の上面に形成され2種類以上の有機半導体が単独または混合してなる複数の層で構成される光電変換層と、前記光電変換層の上面に形成された第2の電極と、を有し、前記主基板の、前記第1の電極と接する面に、周期的で均一な高さとなる凹凸構造を形成し、前記凹凸構造の1周期を照射される光の波長以下とし、且つ、前記凹凸構造の凹部頂点から凸部頂点までの高さを前記光電変換層の膜厚以下としたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記光電変換層は、第1導電型の有機半導体を含む第1有機半導体層、前記第1導電型(例えば、p型)の有機半導体と前記第1導電型とは反対の導電型である第2導電型(例えば、n型)の有機半導体とが混合された混合層、及び前記第2導電型の有機半導体を含むn型有機半導体層が積層されて構成されることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、光が入射する入射面、及び前記入射面に入射した光を出射する出射面を有する透明基板と、前記透明基板の前記出射面上に形成される透明電極と、前記透明電極の上面に形成される光電変換層と、前記光電変換層の上面に形成される金属電極と、を備え、前記透明基板は、前記入射面側に形成され、凹部頂点から凸部頂点までの高さが第1の高さを有すると共に第1の周期を有して配置された第1の凹凸構造体と、前記出射面側に形成され、凹部頂点から凸部頂点までの高さが前記第1の高さよりも高い第2の高さを有すると共に前記第1の周期よりも大きい第2の周期を有して配置された第2の凹凸構造体と、を備え、前記第1の周期は前記入射面に入射する光の波長以下であり、前記第1の高さは前記光電変換層の膜厚以下であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、表面に周期的で均一な高さを有する第1の凹凸構造が形成されたスタンパを作製するスタンパ作製工程と、前記スタンパの前記第1の凹凸構造を主基板の上面に転写して、該主基板の上面に前記第1の凹凸構造とは凹凸が反転した第2の凹凸構造を形成する工程と、前記第2の凹凸構造が形成された主基板の上面に透明電極を形成する工程と、前記透明電極の上面に、前記主基板を透過して入射した光を光電変換する光電変換層を形成する工程と、前記光電変換層の上面に金属電極を形成する工程と、を有し、前記スタンパ作製工程では、前記スタンパを、前記第1の凹凸構造の1周期が前記光の波長以下となり、前記第1の凹凸構造の凹部から凸部までの高さが前記光電変換層の膜厚以下となるように作製することを特徴とする。
本発明によれば、主基板の前記第1の電極と接する面に、周期的で均一な高さとなる凹凸構造を形成し、この凹凸構造の1周期を光の波長以下とし、且つ、凹凸構造の高さを光電変換層の膜厚以下とすることにより、光電変換効率を向上させることができる。
また、本発明によれば、フィルム状基板の光の入射面側、及び出射面側の双方に凹凸構造を設けることにより、光電変換効率を向上させることができる。この場合、光入射面側に形成する凹凸構造の周期、高さを、光出射面側に形成する凹凸構造の周期、高さよりも小さくすることにより、より顕著に光電変換効率を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る薄膜太陽電池用基板1の構成を模式的に示す説明図である。
図1に示すように、薄膜太陽電池用基板1は、透明基板(主基板)2を備えており、該透明基板2は、太陽光Lが入射する入射面2Aに対して反対側の面となる出射面2Bに、微細な凹凸構造10が形成されている。
更に、この薄膜太陽電池用基板1は、透明基板2の出射面2Bの上面に形成された透明電極(第1の電極)3と、該透明電極3の上面に形成された光電変換層9と、該光電変換層9の上面に形成された金属電極(第2の電極)8が積層されている。また、光電変換層9は、p型光電変換層(p型有機半導体層)4と、光電変換混合層(混合層)5と、n型光電変換層(n型有機半導体層)6と、バッファ層7とが積層されて構成されている。
透明基板2の材料としては、成形が容易であり絶縁性及び耐熱性に優れ、且つ、成形後の光透過性(光透過率)が太陽光Lの波長領域に対して十分に確保できる材料、例えばポリカーボネートや、ポリエチレンナフタレート、或いはポリメチルメタクリレートを用いることが望ましい。
また、透明基板2としては、薄型でフィルム状の透明基板を用いる場合は、転写性に優れており、成形後の光透過性(光透過率)が太陽光Lの波長領域に対して十分に確保することが可能な材料、例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルホン、或いはポリイミドを用いることが望ましい。
透明電極3の材料としては、例えば、ITO(酸化インジウム錫)、ZnO(酸化亜鉛)、SnO(酸化錫)等を用いることができる。金属電極8の材料としては、例えば、Al(アルミニウム)、Ag(銀)を用いることができる。p型光電変換層4の材料としては、例えば、Znフタロシアニンを用いることができる。n型光電変換層6の材料としては、例えばフラーレンを用いることができる。
p型光電変換層4とn型光電変換層6との間に形成される光電変換混合層5は、p型材料とn型材料との接触を増加させるバルクヘテロジャンクションを形成して光電変換効率を向上させるための層であり、p型材料(例えば、Znフタロシアニン)とn型材料(例えば、フラーレン)との混合物を主成分とする。
バッファ層7は、光電変換効率を向上させるために設けており、材料として、例えばBCP(バトクプロイン)を用いることができる。
本実施形態では、透明基板2に形成する凹凸構造10の最適形状パラメータ(周期、高さ等)を検討するにあたって、その光の利用効率を計算するために、RCWA法(Rigorous-Coupled-Wave Analysis)を用いた。RCWA法とは、周期構造の厳密的な電磁界解析方法の一つである。この方法は、周期構造を高さ方向に多層分割して、各層の電磁界はMaxwell方程式の固有モードで展開して取り扱うため、マルチレベル格子として解析することができる。また、周期構造における誘電率分布をフーリエ級数展開で表現するため、任意の周期構造の形状に対して適用することができる。
図2は、上記の計算方法を用いて、透明基板2に形成する凹凸構造10の周期(ピッチ)と太陽電池内部で吸収される光の量との関係を算出した特性図であり、横軸は周期[μm]を示し、縦軸は光の吸収量(任意単位;Arb.Unit)を示している。また図3は、上記の計算方法を用いて凹凸構造10の高さ(凹部の頂点から凸部の頂点までの距離)と太陽電池内部で吸収される光の量との関係を算出した特性図であり、横軸は高さ[nm]を示し、縦軸は光の吸収量(任意単位;Arb.Unit)を示している。
計算条件として、透明基板2に形成する凹凸構造10を円錐形状とし、図2に示す特性データ(周期を変化させる場合)を演算する際には、凹凸構造10の高さを300nmで一定とし、図3に示す特性データ(高さを変化させる場合)を演算する際には、凹凸構造10の周期を0.4μmで一定とした。
また、透明基板2上に設ける各層は同一の構成とし、太陽光の利用波長範囲である400nm〜800nmの間の波長の吸収の平均値を求めた。図2に示す特性曲線より、凹凸構造10の周期が小さいほど光の吸収量は高まり、図3に示す特性曲線より、凹凸構造10の高さが大きいほど光の吸収量が高まることが判る。従って、凹凸構造10の周期、及び高さを適切に設定することにより、薄膜太陽電池用基板1の光電変換効率を向上させることが期待できる。
太陽電池は、使用する有機材料によって、利用できる太陽光の波長範囲が異なる。従って凹凸構造10の周期は、その波長範囲以下であれば好ましく、更にその範囲の中の最短波長以下であればより好ましい。
また、凹凸構造10の高さは、光学的には照射する光の波長と同等かそれ以上が好ましいが、凹凸構造10の高さが高過ぎると、膜厚の薄い光電変換層9が凹凸構造10を被覆できなくなり、電極間(透明電極3と金属電極8との間)が短絡するという問題が発生する。従って、光学特性と短絡防止のバランスをとるため、凹凸構造10の高さは、光電変換層(p型光電変換層4、混合層5、n型光電変換層6の合計)の膜厚程度かそれ以下であることが好ましい。
次に、透明基板2の上面に形成する微細な凹凸構造10の形成方法について説明する。凹凸構造10を形成する際には、微細凹凸が形成された原盤を作成し、この原盤を用いてスタンパを作製する。その後、このスタンパを用いて透明基板2に凹凸構造10を転写する。
図4は、原盤16を作製する工程を示す説明図である。図4(a)〜(e)に示すように、原盤16は基板20(例えば、石英ガラス基板)の上面にレジスト膜15を形成するレジスト膜形成工程(図4(a))と、レジスト膜形成工程の後に、レジスト膜15の所定領域に光Laを照射し、この所定領域におけるレジスト膜の状態を変化させる露光工程(図4(b))と、この露光工程の後に状態が変化した領域のレジスト膜15を除去して基板20を露出させる現像工程(図4(c))と、現像工程の後にレジスト膜15をマスクとして基板20をエッチングし、該基板20の表面に微細な凹凸構造体11を形成するエッチング工程(図4(d))と、表面に残ったレジスト膜15を除去するレジスト膜除去工程(図4(e))により作製される。以下、詳細に説明する。
基板20として使用する材料は、微細構造物を形成するために、フルオロカーボン系ガスを用いてリアクティブイオンエッチング(RIE)法によりエッチング可能な材料である必要がある。更に、この上面に形成するレジストと比べてエッチングレートが大きい(選択比が高い)材料であることが望ましく、石英やSi(ケイ素)等を用いることができる。
次に、基板20の上に、フルオロカーボン系ガスを用いてリアクティブイオンエッチング(RIE)法によりエッチング可能なレジスト膜15を形成する。
このレジスト膜15は、微細構造物を形成するために集光されたレーザー光が照射された部分が、レーザー光が照射されなかった未感光の部分と比較して溶液に対する溶解性が大幅に大きくなる材料で形成されている。このような材料としては、ノボラック系樹脂等の、周知の有機レジスト材料や、遷移金属の酸化物の感光性アモルファス無機材料が好ましい。
無機材料としては、例えば、酸化タングステン(WO)やタングステンとモリブデンの合金酸化物(WMoO)等が挙げられる。また、ゲルマニウム・アンチモン・テルル合金(GeSbTe)系の相変化材料を用いても良い。このうち、酸化タングステンとモリブデンの合金酸化物(WMoBiO)が最も好適な例として挙げられる。
また、このレジスト膜の厚さは、特に限定は無いが、基板20に形成する微細構造物の深さと、フルオロカーボン系ガスを用いてリアクティブイオンエッチング(RIE)を行う際の、基板20とレジスト膜のエッチングレート、即ち、選択比を考慮して、所望の深さの微細構造物が形成できる膜厚以上にすることが必要である。具体的には、石英基板(SiO2)に500nmの高さの微細構造物を形成した場合は、酸化タングステン(WO)との選択比は、おおよそ1:3〜1:4程度であるため、酸化タングステン(WO)層の厚さは120〜160nm程度必要である。
次に、レジスト膜までを形成した基板に、レーザー光を集光させ、所定の配列ピッチで微細構造物状に感光を行う。
ここで、レーザー光を集光させ、所定の配列ピッチで微細構造物状に感光させる装置としては、従来のCD、DVDやBlu-Rayディスクのガラス原盤のカッティングで使用する装置を利用することができ、レーザーについても、ガス、固体、半導体レーザー等種々のものを使用することが可能である。
次に、基板20にフルオロカーボン系ガスを用いてRIE(リアクティブイオンエッチング)を行う。この時使用するフルオロカーボン系ガスとしてはCF4、CHF3、C3F8、C4F8等が好ましい。この時、レジスト膜15の未感光で現像で除去されず残った部分はマスクの役割を果たすため、上述の工程でレジストが除去された部分のみの石英の基板20がエッチングされ、微細な凹凸構造体11が形成される。この際、選択されるガスの種類とガス圧の調整により、微細な凹凸構造体11の形状が所望の形状となるように調整することができる。
その後、原盤16の微細な凹凸構造体11が転写されたスタンパを作成する。スタンパ作製工程は、まず、石英ガラス基板上に形成された微細構造物の上に導電性の金属層を形成させる。この金属層は導電性を有するものであれば特に制限はないが、ニッケル(Ni)、金(Au)、銀(Ag)等の金属が好ましい。この金属層の形成方法は、スッパッタリング法などの真空成膜でも、無電解メッキ法などの湿式法で形成しても良い。また、この導電層の厚さは、次の工程である電解メッキができる程度の厚みがあれば良く、特に制限はないが、20nm〜100nm程度が好適な膜厚である。
上記の金属膜を形成した後、電鋳法により、厚さ100〜500μmのNiメッキ膜を形成することにより、原盤16に形成されているエッチングパターンを転写して凸凹形状を有するスタンパを作製する。スタンパに形成される凸凹形状は、原盤に形成されているパターンと凹凸が逆の関係になる。
その後、前記工程により作製されたスタンパを用いて、射出成型、熱プレス、2P成型等の既知の成型方法により、透明基板2に凹凸構造10を転写する。成型面は、太陽光Lが入射する入射面2A(図1参照)に対向配置されて、入射面2Aに入射した太陽光を出射する出射面2Bであり、上記した各工程を経ることにより透明基板2が作製される。
更に、透明基板2の作製工程の後に、透明基板2の出射面上に、透明電極3、光電変換層9、及び金属電極8を順次成膜する成膜工程により薄膜太陽電池用基板1を作製することができる。
次に、第1実施形態に係る条件を適用した場合(実施例1,2)と、第1実施形態に係る条件を適用しない場合(比較例1,2)の双方において、薄膜太陽電池用基板1に発生する短絡電流について、図5を参照して説明する。
[実施例1]
まず、微細構造物を設けたスタンパを作製するための原盤を作製する。原盤にはφ120mmの石英基板を用い、その上にレジスト膜としてWMoO(タングステンとモリブデンの酸化物)を反応性スパッタリングにより20nm成膜した。
まず、微細構造物を設けたスタンパを作製するための原盤を作製する。原盤にはφ120mmの石英基板を用い、その上にレジスト膜としてWMoO(タングステンとモリブデンの酸化物)を反応性スパッタリングにより20nm成膜した。
次に、波長405nmの半導体レーザーを用い、レジスト膜上に周期260nmのドットパターンを描画した。現像工程を経た後、CHF3ガスを用いてリアクティブイオンエッチングを行い、周期260nm、高さ140nmの略円錐形状の凹凸構造を形成した。その後、このガラス原盤の凹凸形状が形成された面に対してスパッタリング法により厚さ100nmのNi膜を形成し、その後、電鋳法により厚さ400μmのNiメッキ膜を形成することにより、スタンパを作製した。
そして、このスタンパを用いて、紫外線硬化樹脂を用いた2P成型によりガラス基板に凹凸構造を転写した。この基板を用い、片面に太陽電池基板の各層を、以下のように積層した。まず、透明電極3としてITO(InSnO)からなる厚さ40nmの薄膜をDCスパッタリング法により成膜した。
次いで、光電変換層内でp型半導体と同等の働きをする材料として、有機色素であるZnフタロシアニンを用いて、真空蒸着法により5nm成膜した。続けて、光電変換効率を高める技術として知られているp型材料とn型材料の接触を増加させるバルクへテロジャンクションを形成させるため、Znフタロシアニンとn型半導体的材料のフラーレンを共蒸着させた層を形成した。成膜速度を共に1:1となるように調整し、Znフタロシアニンとフラーレンが同量混在する層を100nm形成した。更に、続けてn型層としてフラーレンのみを30nmの膜厚となるように成膜した。
その後、光電変換効率を高めるためBCP(バトクプロイン)を用いてバッファー層を5nm形成した。このとき、光電変換層のトータル膜厚は、140nmである。最後にアルミニウムを50nm蒸着して金属電極8を形成した。成膜した薄膜太陽電池用基板は、大気中に開放する前に、窒素パージ下のグローブボックス内で封止して劣化対策を行ってから取り出した。
そして、上記の手順で作製した薄膜太陽電池用基板に、キセノンランプを用いた疑似太陽光(波長400nm)を100mW/cm2のエネルギー強度で照射して、太陽電池の性能を示す指標の一つである短絡電流を測定した。その結果、単位面積当たりの短絡電流が1.18[mA/cm2]という測定結果が得られた。
即ち、実施例1では、基板の表面に形成する凹凸構造の1周期を、照射される光の波長(400nm)以下とし、且つ、凹凸構造の凹部頂点から凸部頂点までの高さを光電変換層の膜厚(140nm)以下とした場合には、効率良く短絡電流が流れることを確認することができた。
[実施例2]
実施例2として、凹凸構造の高さを100nmとし、それ以外は上述した実施例1と同様の薄膜太陽電池用基板を作製した。そして、薄膜太陽電池用基板に疑似太陽光を照射した場合に、単位面積当たりの短絡電流が1.09[mA/cm2]という測定結果が得られた。従って、実施例2では、基板の表面に形成する凹凸構造の1周期を、照射される光の波長(400nm)以下とし、且つ、凹凸構造の凹部頂点から凸部頂点までの高さを光電変換層の膜厚(140nm)以下とした場合には、効率良く短絡電流が流れることを確認することができた。
実施例2として、凹凸構造の高さを100nmとし、それ以外は上述した実施例1と同様の薄膜太陽電池用基板を作製した。そして、薄膜太陽電池用基板に疑似太陽光を照射した場合に、単位面積当たりの短絡電流が1.09[mA/cm2]という測定結果が得られた。従って、実施例2では、基板の表面に形成する凹凸構造の1周期を、照射される光の波長(400nm)以下とし、且つ、凹凸構造の凹部頂点から凸部頂点までの高さを光電変換層の膜厚(140nm)以下とした場合には、効率良く短絡電流が流れることを確認することができた。
[比較例1]
比較例1として、凹凸構造が形成されていない基板を用い、それ以外は上述した実施例1と同様の薄膜太陽電池用基板を作製した。そして、この薄膜太陽電池用基板に疑似太陽光を照射した場合に、単位面積当たりの短絡電流が0.98[mA/cm2]という測定結果が得られた。この場合には凹凸構造を形成していないので、実施例1,2と対比して短絡電流は小さい数値となった。
比較例1として、凹凸構造が形成されていない基板を用い、それ以外は上述した実施例1と同様の薄膜太陽電池用基板を作製した。そして、この薄膜太陽電池用基板に疑似太陽光を照射した場合に、単位面積当たりの短絡電流が0.98[mA/cm2]という測定結果が得られた。この場合には凹凸構造を形成していないので、実施例1,2と対比して短絡電流は小さい数値となった。
[比較例2]
比較例2として、凹凸構造の高さを200nmとし、それ以外は上述した実施例1と同様の薄膜太陽電池用基板を作製した。そして、この薄膜太陽電池用基板に疑似太陽光を照射した場合に、短絡電流が流れない(発電せず)という測定結果が得られた。従って、比較例2のように、凹凸構造の凹部頂点から凸部頂点までの高さを光電変換層の膜厚(140nm)以下としない場合には、発電効率が著しく低下することを確認することができた。
比較例2として、凹凸構造の高さを200nmとし、それ以外は上述した実施例1と同様の薄膜太陽電池用基板を作製した。そして、この薄膜太陽電池用基板に疑似太陽光を照射した場合に、短絡電流が流れない(発電せず)という測定結果が得られた。従って、比較例2のように、凹凸構造の凹部頂点から凸部頂点までの高さを光電変換層の膜厚(140nm)以下としない場合には、発電効率が著しく低下することを確認することができた。
上記の結果から、透明基板2の出射面側に凹凸構造10を形成した場合には、凹凸構造10を形成しない場合よりも多くの短絡電流が流れることが判る。これは、凹凸構造10を形成することにより、発電効率が向上することを意味する。また、凹凸構造10の高さを200nm(>140nm)とした場合には、短絡電流は流れず、発電機として機能しないことが判る。
このようにして、第1実施形態に係る薄膜太陽電池用基板1では、透明基板2の表面(光出射面)に形成する凹凸構造10の1周期を、照射される光の波長(400nm)以下とし、且つ、凹凸構造10の高さ、即ち、凹部頂点から凸部頂点までの距離を光電変換層9の膜厚(140nm)以下とすることにより、多くの短絡電流を流すことができ、光電変換効率を向上させることができる。
[第2実施形態の説明]
次に、本発明の第2実施形態に係る薄膜太陽電池用基板について説明する。図6は、第2実施形態に係る薄膜太陽電池用基板33の断面を模式的に示す説明図である。図示のように、この薄膜太陽電池用基板33は、太陽光Lを透過する材料で構成される透明基板21(フィルム状基板)を備えている。該透明基板21は、太陽光Lが入射する入射面21A、及びこの入射面21Aと反対側の面である出射面21Bの双方に、周期的で微細な凹凸構造30,31が形成されている。
次に、本発明の第2実施形態に係る薄膜太陽電池用基板について説明する。図6は、第2実施形態に係る薄膜太陽電池用基板33の断面を模式的に示す説明図である。図示のように、この薄膜太陽電池用基板33は、太陽光Lを透過する材料で構成される透明基板21(フィルム状基板)を備えている。該透明基板21は、太陽光Lが入射する入射面21A、及びこの入射面21Aと反対側の面である出射面21Bの双方に、周期的で微細な凹凸構造30,31が形成されている。
入射面21A側に設けられる凹凸構造30は、凹凸の周期(ピッチ)が太陽光の波長以下とされ、且つ、この周期以上の高さとなる円錐、角錐、或いは釣鐘型の形状を有している。具体的には、凹凸構造30の周期、及び高さは、100〜1000nmの範囲であることが好ましく、200〜400nmの範囲であることがより好ましい。
一方、出射面21B側に設けられる凹凸構造31は、上述の凹凸構造30よりも大きい周期、及び高さを有しており、具体的には1〜10μmの範囲であることが望ましい。
そして、透明基板21の出射面21Bの上面に、透明電極22が形成され、該透明電極22の上面に光電変換層23が形成され、更にこの光電変換層23の上面に金属電極24が形成され、これらの積層体により薄膜太陽電池用基板33が構成される。
透明基板21の材料としては、フィルム状に加工可能で、絶縁性及び耐熱性に優れ、透明度が太陽光Lの波長領域に対して十分に確保できる材料、例えば、ポリエチレンナフタレートや、ポリエーテルサルホン等を用いることが望ましい。また、成型手法によっては、成型が容易であり上記の特性を満たす材料、例えばポリカーボネートやポリメチルメタクリレートを用いることが可能である。
透明電極22の材料として、例えばITO(酸化インジウム錫)、ZnO(酸化亜鉛)、SnO(酸化錫)等を用いることができる。一方、金属電極24の材料としては例えばAl(アルミニウム)、Ag(銀)を用いることができる。
光電変換層23は、基本的に半導体のp−n接合、或いはp−i−n接合からなり、薄膜太陽電池として周知である材料を使用可能であり、例えば、Si、GaAs、InGaAs、CuInGaSe等の無機半導体、フタロシアニン、フラーレン等の有機半導体などを用いることができる。また、周知の範囲であれば、膜構成、膜厚等は、制約すること無く使用することができる。
次に、入射面に設けられる凹凸構造30と出射面に設けられる凹凸構造31の周期、高さを変更した場合の、シミュレーション結果について説明する。
発明者は、透明基板21の入射面側、及び出射面側に形成する各凹凸構造30,31を設計する際に、RCWA法を用いたシミュレーションを行い、光電変換層23にどの程度の光が吸収されるかを試算した。前述したように、RCWA法とは周期構造の厳密的な電磁界解析方法の一つであり、周期構造体の光学特性を計算するための公知の手法である。
薄膜Si太陽電池を仮定し、波長範囲350nm〜700nmの光が、光電変換層23の内部で吸収される量を計算した。計算条件として、透明基板21の材料としてポリカーボネートを使用し、凹凸構造30,31は円錐形状とし、入射面21Aの凹凸構造30の周期Pi、高さHi、出射面21Bの凹凸構造31の周期Po、高さHoを変化させた。その結果を図9に示す。図9に示す結果により、光の吸収量は、入射面側に凹凸構造30を設けない従来例(Pi、Hi、Po、Hoが全てゼロ)であるモデル1が最も少なく、入射面及び出射面の双方に凹凸構造30,31を設けたモデル3,4では、光の吸収量は増大していることが判る。更に、入射面側の凹凸構造30が出射面側の凹凸構造31よりも小さいモデル4で最も大きい吸収量が得られることが判る。
次に、透明基板21の入射面側の凹凸構造30を、出射面側の凹凸構造31よりも小さくする(短いピッチとする)ことにより、光吸収量が大きくなる理由について説明する。
太陽電池では、なるべく多くの光を光電変換層(Siなど)で吸収させることが望ましい。そのための手法はいくつかあるが、一般に「光閉じ込め効果」と呼ばれる手法では、図10に示すように光電変換層23の上下界面の片側あるいは両側にテクスチャーと呼ばれる凹凸構造を設ける。この凹凸構造により界面で光が散乱される。これにより、光電変換層を通過する光の方向が変化し、符号L1に示す光路長の増大や、符号L2に示す内部全反射による光閉じ込めが起こり、光電変換膜内部での光の吸収が増大し、変換効率が向上する。この場合、凹凸構造の大きさは利用する太陽光の波長より大きく、数ミクロン程度の周期、及び高さを有することが好ましい。
一方、図11に示すように、空気とガラスの界面等の屈折率が異なる界面に、光の波長以下の周期を持つ凹凸構造を設けると、界面での屈折率の変化が緩やかになり、反射率が低下する反射防止効果が生ずる。この場合の凹凸構造の大きさ、及び形状は、利用する光の波長以下の周期、及びこの周期以上の高さを有する円錐または角錐等であることが好ましい。
この特性を太陽電池に用いる場合には、特に空気と太陽電池の界面(即ち、基板最表面である21A)に設けることにより、界面での屈折率の変化が緩やかになり、反射率が低下し、透明基板21を透過する光が増加する。これにより太陽電池内部の光電変換層へ入射する光が増大し、変換効率が向上する。太陽光の波長は400nm〜2μm程度まで分布しているので、この場合の凹凸構造の周期は400nm以下が望ましい。
そして、第2実施形態に係る薄膜太陽電池用基板33では、上記の2つの特性を同時に備えているので、透明基板21の入射面21A側には、反射防止効果を期待して細かい周期の凹凸構造30を形成し、出射面21B側には、光閉じ込め効果を期待して大きい周期の凹凸構造31を設ける構成としている。
次に、透明基板21の両側に凹凸構造30,31を形成する手法について説明する。図7は、両面成型フィルム成型装置50の一例を示す説明図である。図7に示すように、両面成型フィルム成型装置50 は、フィルム基板57(透明基板21となる材料)の一方の面(入射面21A)に微細な凹凸構造30を形成する第一成型ロール51と、該第一成型ロール51の後工程側に配置され、フィルム基板57の他方の面(出射面21B)に凹凸構造31を形成する第二成型ロール52と、を有している。第一成型ロール51及び第二成型ロール52のそれぞれの表面には、フィルム基板57の各面に成型する凹凸構造に対応する型が形成されている。
そして、第一成型ロール51、及び第二成型ロール52の表面には、それぞれ紫外線硬化樹脂供給部56,55より紫外線硬化樹脂が供給される。この紫外線硬化樹脂が第一成型ロール51、及び第二成型ロール52の回転に伴って、ローラ58,59との間に挟まれてフィルム基板57に密着して転写されることにより、フィルム基板57の各面に凹凸構造30,31が形成される。その後、ローラ60を経由して、下流側に送り出される。
紫外線硬化樹脂は、フィルム基板57に供給された直後においては、流動性のある半液状である。従って、凹凸構造をその形状に固化させる必要がある。そのため、この両面成型フィルム成型装置50には、第一成型ロール51及び第二成型ロール52に対向する位置に、それぞれ紫外線照射装置53,54が設けられている。これにより、フィルム基板57に密着して転写された紫外線硬化樹脂が硬化し凹凸構造としてフィルム基板57に固定される。
なお、ここでは紫外線硬化樹脂を用いた成型方法の例を示したが、本発明は、この方法に限定されるものではなく、熱硬化性樹脂を利用した加熱による転写成型方法など、公知のフィルム成型方法を利用することができる。
次に、第2実施形態に係る条件を適用した場合(実施例3)と、第2実施形態に係る条件を適用しない場合(比較例3〜5)の双方において、薄膜太陽電池用基板33に発生する短絡電流について図8を参照して説明する。
[実施例3]
透明基板21として、材料をポリエチレンナフタレートとし、厚さは75μmとした。また、入射面側の凹凸構造30として、材料を紫外線硬化性樹脂とし、凹凸の形状は周期0.26μm、高さ0.2μmの略円錐形状とした。一方、出射面側の凹凸構造31として、材料を紫外線硬化性樹脂とし、凹凸の形状は周期1.0μm、高さ0.4μmの略円錐形状とした。
透明基板21として、材料をポリエチレンナフタレートとし、厚さは75μmとした。また、入射面側の凹凸構造30として、材料を紫外線硬化性樹脂とし、凹凸の形状は周期0.26μm、高さ0.2μmの略円錐形状とした。一方、出射面側の凹凸構造31として、材料を紫外線硬化性樹脂とし、凹凸の形状は周期1.0μm、高さ0.4μmの略円錐形状とした。
上記の凹凸構造30,31を形成するために、まず、微細構造物を設けたスタンパを作製するための原盤を作製する。入射面側に用いるスタンパを作製するために、原盤にはφ120mmの石英基板を用い、その上にレジスト膜としてWMoO(タングステンとモリブデンの酸化物)を反応性スパッタリングにより20nm成膜した。
次に、波長405nmの半導体レーザーを用いて、上記のレジスト膜上に周期260nmのドットパターンを描画した。現像工程を経た後、CHF3ガスを用いてリアクティブイオンエッチングを行い、周期0.26μm、高さ0.2μmの略円錐形状の凹凸構造を形成した。
次に、このガラス原盤の凹凸形状が形成された面に対して、スパッタリング法により厚さ100nmのNi膜を形成した後、電鋳法により、厚さ400μmのNiメッキ膜を形成した。その後、Ni膜をガラス原盤より引き剥がし、研磨により厚さ100μm以下にしたスタンパを作製した。
一方、出射側に用いるスタンパを作製するためには、上記と同様の石英基板を原盤として使用し、レジストとしては、ノボラック系の有機レジストをスピンコートにより250nmの厚さで形成した。その後、上記と同様に波長405nmの半導体レーザーを用い、有機レジスト膜上に周期1μmのドットパターンを描画し、現像工程、CHF3ガスによるエッチング工程を経て、周期1.0μm、高さ0.4μmの略円錐形状の凹凸構造を得た。
このスタンパを用い、紫外線硬化樹脂を用いた2P成型によりポリエチレンナフタレート基板に凹凸構造を転写した。
この基板を用いて、出射面側に太陽電池各層を、以下の手順で積層した。まず、透明電極としてITO(InSnO)からなる厚さ50nmの薄膜をDCスパッタリング法により成膜した。
次に、光電変換層内でp型半導体的な働きをする材料として、有機色素であるZnフタロシアニンを用い、真空蒸着法により10nm成膜した。続けて、光電変換効率を高める技術として知られているp型材料とn型材料の接触を増加させるバルクへテロジャンクションを形成させるため、p型半導体的材料であるZnフタロシアニンとn型半導体的材料のフラーレンを共蒸着させた層を形成した。成膜速度を共に1:1となるように調整し、Znフタロシアニンとフラーレンが同量混在する層を150nm形成した。更に続けてn型層としてフラーレンのみを40nmの膜厚となるように成膜した。
次に、光電変換効率を高めるためBCP(バトクプロイン)を用いてバッファー層を5nm形成した。最後にアルミニウムを50nm蒸着して上電極を形成した。
成膜した太陽電池は、大気中に開放する前に、窒素パージ下のグローブボックス内で封止して劣化対策を行ってから取り出した。
そして、上記の手順で作製した実施例3の薄膜太陽電池に、キセノンランプを用いた疑似太陽光(波長400nm)を100mW/cm2のエネルギー強度で照射して、太陽電池の性能を示す指標の一つである短絡電流を測定した。その結果、単位面積当たりの短絡電流が1.25[mA/cm2]という測定結果が得られた。
即ち、実施例3では、透明基板21の入射面側、及び出射面側の双方に凹凸構造を形成すると共に、入射面側に形成する凹凸構造の方が出射面側に形成する凹凸構造よりも、凹凸の周期、及び高さが小さくなるように設定することにより、効率良く短絡電流が流れることを確認することができた。
[比較例3]
比較例3として、凹凸構造が形成されていないフィルム基板を用い、それ以外は上述した実施例3と同様の薄膜太陽電池用基板を作製した。そして、薄膜太陽電池用基板に疑似太陽光を照射した場合に、単位面積当たりの短絡電流が0.98[mA/cm2]という測定結果が得られた。この場合にはフィルム基板に凹凸構造を形成していないので、実施例3と対比して短絡電流は小さい数値となった。
比較例3として、凹凸構造が形成されていないフィルム基板を用い、それ以外は上述した実施例3と同様の薄膜太陽電池用基板を作製した。そして、薄膜太陽電池用基板に疑似太陽光を照射した場合に、単位面積当たりの短絡電流が0.98[mA/cm2]という測定結果が得られた。この場合にはフィルム基板に凹凸構造を形成していないので、実施例3と対比して短絡電流は小さい数値となった。
[比較例4]
比較例4として、入射面のみに凹凸構造が形成されたフィルム基板を用い、それ以外は上述した実施例3と同様の薄膜太陽電池用基板を作製した。また、入射面に形成する凹凸の周期を0.26μmとし、高さを0.2μmとした。そして、薄膜太陽電池用基板に疑似太陽光を照射した場合に、単位面積当たりの短絡電流が1.18[mA/cm2]という測定結果が得られた。この場合にはフィルム基板の出射面側に凹凸構造を形成していないので、実施例3と対比して短絡電流は小さい数値となった。
比較例4として、入射面のみに凹凸構造が形成されたフィルム基板を用い、それ以外は上述した実施例3と同様の薄膜太陽電池用基板を作製した。また、入射面に形成する凹凸の周期を0.26μmとし、高さを0.2μmとした。そして、薄膜太陽電池用基板に疑似太陽光を照射した場合に、単位面積当たりの短絡電流が1.18[mA/cm2]という測定結果が得られた。この場合にはフィルム基板の出射面側に凹凸構造を形成していないので、実施例3と対比して短絡電流は小さい数値となった。
[比較例5]
比較例5として、出射面のみに凹凸構造が形成されたフィルム基板を用い、それ以外は上述した実施例3と同様の薄膜太陽電池用基板を作製した。また、出射面に形成する凹凸の周期を1.0μmとし、高さを0.4μmとした。そして、薄膜太陽電池用基板に疑似太陽光を照射した場合に、単位面積当たりの短絡電流が1.21[mA/cm2]という測定結果が得られた。この場合にはフィルム基板の入射面側に凹凸構造を形成していないので、実施例3と対比して短絡電流は小さい数値となった。
比較例5として、出射面のみに凹凸構造が形成されたフィルム基板を用い、それ以外は上述した実施例3と同様の薄膜太陽電池用基板を作製した。また、出射面に形成する凹凸の周期を1.0μmとし、高さを0.4μmとした。そして、薄膜太陽電池用基板に疑似太陽光を照射した場合に、単位面積当たりの短絡電流が1.21[mA/cm2]という測定結果が得られた。この場合にはフィルム基板の入射面側に凹凸構造を形成していないので、実施例3と対比して短絡電流は小さい数値となった。
上記の結果から、フィルム基板(透明基板21)の入射面21A側、及び出射面21B側の双方に凹凸構造30,31を形成した場合には、双方に形成しない場合よりも多くの短絡電流が流れることが判る。これは、透明基板21の両面に凹凸構造30,31を形成することにより、光電変換効率が向上することを意味する。
このようにして、第2実施形態に係る薄膜太陽電池用基板33では、透明基板21の入射面21A側に凹凸構造30を形成するので、透明基板21に照射される光を効率良く薄膜太陽電池用基板33内に導入することができ、更に、出射面21B側に凹凸構造31を形成するので、導入した光を効率良く電気エネルギーに変換することが可能となる。従って、薄膜太陽電池用基板33全体の光電変換効率を著しく向上させることができる。
また、透明基板21の入射面21A側に形成する凹凸構造30の方が、出射面21B側に形成する凹凸構造31よりも、周期、及び高さが小さくなるようにしているので、より一層光電変換効率を向上させることができる。
以上、本発明の薄膜太陽電池用基板及びその製造方法を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
本発明は、照射する太陽光から高効率で電力を生成する上で極めて有用である。
1 薄膜太陽電池用基板
2 透明基板
2A 入射面
2B 出射面
3 透明電極
4 p型光電変換層
5 混合層
6 n型光電変換層
7 バッファ層
8 金属電極
10 凹凸構造
15 レジスト膜
16 原盤
20 基板
21 透明基板
21A 入射面
21B 出射面
22 透明電極
23 光電変換層
24 金属電極
30,31 凹凸構造
33 薄膜太陽電池用基板
50 両面成型フィルム製造装置
51,52 成型ロール
53,54 紫外線照射装置
55,56 紫外線硬化樹脂供給部
2 透明基板
2A 入射面
2B 出射面
3 透明電極
4 p型光電変換層
5 混合層
6 n型光電変換層
7 バッファ層
8 金属電極
10 凹凸構造
15 レジスト膜
16 原盤
20 基板
21 透明基板
21A 入射面
21B 出射面
22 透明電極
23 光電変換層
24 金属電極
30,31 凹凸構造
33 薄膜太陽電池用基板
50 両面成型フィルム製造装置
51,52 成型ロール
53,54 紫外線照射装置
55,56 紫外線硬化樹脂供給部
Claims (4)
- 主基板と、
前記主基板の上面に形成される第1の電極と、
前記第1の電極の上面に形成され2種類以上の有機半導体が単独または混合してなる複数の層で構成される光電変換層と、
前記光電変換層の上面に形成された第2の電極と、を有し、
前記主基板の、前記第1の電極と接する面に、周期的で均一な高さとなる凹凸構造を形成し、前記凹凸構造の1周期を照射される光の波長以下とし、且つ、前記凹凸構造の凹部頂点から凸部頂点までの高さを前記光電変換層の膜厚以下としたことを特徴とする薄膜太陽電池用基板。 - 前記光電変換層は、第1導電型の有機半導体を含む第1有機半導体層、前記第1導電型の有機半導体と前記第1導電型とは反対の導電型である第2導電型の有機半導体とが混合された混合層、及び前記第2導電型の有機半導体を含むn型有機半導体層が積層されて構成されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜太陽電池用基板。
- 光が入射する入射面、及び前記入射面に入射した光を出射する出射面を有する透明基板と、
前記透明基板の前記出射面上に形成される透明電極と、
前記透明電極の上面に形成される光電変換層と、
前記光電変換層の上面に形成される金属電極と、を備え、
前記透明基板は、
前記入射面側に形成され、凹部頂点から凸部頂点までの高さが第1の高さを有すると共に第1の周期を有して配置された第1の凹凸構造体と、
前記出射面側に形成され、凹部頂点から凸部頂点までの高さが前記第1の高さよりも高い第2の高さを有すると共に前記第1の周期よりも大きい第2の周期を有して配置された第2の凹凸構造体と、
を備え、
前記第1の周期は前記入射面に入射する光の波長以下であり、
前記第1の高さは前記光電変換層の膜厚以下であることを特徴とする薄膜太陽電池用基板。 - 表面に周期的で均一な高さを有する第1の凹凸構造が形成されたスタンパを作製するスタンパ作製工程と、
前記スタンパの前記第1の凹凸構造を主基板の上面に転写して、該主基板の上面に前記第1の凹凸構造とは凹凸が反転した第2の凹凸構造を形成する工程と、
前記第2の凹凸構造が形成された主基板の上面に透明電極を形成する工程と、
前記透明電極の上面に、前記主基板を透過して入射した光を光電変換する光電変換層を形成する工程と、
前記光電変換層の上面に金属電極を形成する工程と、を有し、
前記スタンパ作製工程では、前記スタンパを、前記第1の凹凸構造の1周期が前記光の波長以下となり、前記第1の凹凸構造の凹部から凸部までの高さが前記光電変換層の膜厚以下となるように作製することを特徴とする薄膜太陽電池用基板の製造方法。
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-
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