JP6210511B2 - 有機薄膜太陽電池、有機薄膜太陽電池用の基板、有機薄膜太陽電池の製造方法および有機薄膜太陽電池用の基板の製造方法 - Google Patents

有機薄膜太陽電池、有機薄膜太陽電池用の基板、有機薄膜太陽電池の製造方法および有機薄膜太陽電池用の基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、有機薄膜太陽電池、有機薄膜太陽電池用の基板、有機薄膜太陽電池の製造方法および有機薄膜太陽電池用の基板の製造方法に関し、さらに詳細には、光電エネルギー変換効率を向上させることが可能な有機薄膜太陽電池、有機薄膜太陽電池用の基板、有機薄膜太陽電池の製造方法および有機薄膜太陽電池用の基板の製造方法に関する。
従来より、有機半導体を用いて構成された太陽電池である有機薄膜太陽電池が知られている。
こうした有機薄膜太陽電池は、従来の太陽電池と比べるとその厚さが薄く、軽量、かつ、フレキシブルであり、さらに、単結晶や薄膜によるシリコン系太陽電池やGaAs系太陽電池、CIS系太陽電池、CIGS系太陽電池などの化合物系の無機太陽電池と比較して製造が容易で、かつ、生産コストも低いという利点を有する。
また、有機薄膜太陽電池は、その製造時に電解液を用いることがないことや同じ有機系太陽電池である色素増感太陽電池と比べると構造が単純であることから製法が簡便であり、さらに、柔軟性や寿命の上で有利なのが特徴である。
さらにまた、有機薄膜太陽電池は、ロール・ツー・ロール方式で高速輪転機印刷による製造が実現すれば、その際のコストが真空蒸着法による製造の場合と比較して1/10に下がるといわれており、最も安価に発電できる太陽電池と考えられている。
しかしながら、有機薄膜太陽電池はシリコン系や化合物系の無機太陽電池と比較した場合、有機半導体そのものの光電エネルギー変換効率が低いため、単位面積あたりの光電エネルギー変換効率が低いという問題点を有している。
より詳細には、従来の有機薄膜太陽電池においては、太陽光が入射されると、まず透明電極である陽極等を透過し、有機半導体層に到達する。そして、有機半導体層を透過した光は金属よりなる陰極に到達し、金属よりなる陰極により反射されることで、再び有機半導体層を透過して素子外部に放出される。
この際、有機半導体層において吸収される光により光電エネルギー変換が行われるのであるが、有機半導体の光電エネルギー変換効率は、実用化されているシリコン系などの無機半導体の光電エネルギー変換効率にはおよばないものであるため、結果として得られる有機薄膜太陽電池の光電エネルギー変換効率は無機太陽電池の光電エネルギー変換効率よりも低いものであった。
そのため、有機薄膜太陽電池は上述のように数多くの利点を有するにもかかわらず光電エネルギー変換効率が低いことから、こうした利点を活かすためにも、より高い光電エネルギー変換効率を有する有機薄膜太陽電池の開発が要望されていた。
なお、本願出願人が特許出願時に知っている先行技術は、上記において説明したようなものであって文献公知発明に係る発明ではないため、記載すべき先行技術情報はない。
本発明は、従来の技術の有する上記したような種々の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、光電エネルギー変換効率を向上させた有機薄膜太陽電池、有機薄膜太陽電池用の基板、有機薄膜太陽電池の製造方法および有機薄膜太陽電池用の基板の製造方法を提供しようとするものである。
上記目的を達成するために、本発明は、有機薄膜太陽電池内部の有機半導体層と陰極との界面に凹凸形状の微細構造を有するようにしたものである。
即ち、本発明は、基板上に少なくとも陽極と有機半導体層と陰極とを積層させて構成される有機薄膜太陽電池であって、該有機半導体層と陰極との界面に凹凸形状の微細構造を有する有機薄膜太陽電池において、表面に複数の凹部または凸部をランダムに二次元に配列した凹凸形状を備えた基板と、上記基板上に順次積層されて上記凹凸形状が複写された陽極と有機半導体層と陰極とを有し、上記凹凸形状が、下記要件(A)および(B)を満たすようにしたものである。
要件(A):上記凹凸形状の平均高さが15nm以上180nm以下である。
要件(B):上記凹凸形状の高さ分布のスペクトル強度が、波数k(波数とは、空間周波数に2πを掛けたものである。)が式(1)に示される範囲内にあるときに有限の値を持ち、かつ、高さ分布のスペクトル強度の該範囲での積分値が高さ分布のスペクトル強度の全波数域にわたる積分値の35%以上を占める値を持つこととし、式(1)において、ε(λ)は、上記陰極を構成する金属の比誘電率を示すものであり、ε(λ)は、有機薄膜層の等価的な比誘電率を示すものであり、λmaxは、発電に利用する太陽光の最大波長を示すものであり、λminは、発電に利用する太陽光の最小波長を示すものであり、Re[ ]は、複素数の実部を示すものとする。
また、本発明は、少なくとも陽極と有機半導体層と陰極とを積層させて構成される有機薄膜太陽電池を製造するための有機薄膜太陽電池用の基板において、表面に複数の凹部または凸部がランダムに二次元に配列した凹凸形状を備え、上記凹凸形状が、下記要件(A)および(B)を満たすようにしたものである。
要件(A):上記凹凸形状の平均高さが15nm以上180nm以下である。
要件(B):上記凹凸形状の高さ分布のスペクトル強度が、波数k(波数とは、空間周波数に2πを掛けたものである。)が式(1)に示される範囲内にあるときに有限の値を持ち、かつ、高さ分布のスペクトル強度の該範囲での積分値が高さ分布のスペクトル強度の全波数域にわたる積分値の35%以上を占める値を持つこととし、式(1)において、ε(λ)は、上記陰極を構成する金属の比誘電率を示すものであり、ε(λ)は、有機薄膜層の等価的な比誘電率を示すものであり、λmaxは、発電に利用する太陽光の最大波長を示すものであり、λminは、発電に利用する太陽光の最小波長を示すものであり、Re[ ]は、複素数の実部を示すものとする。
また、本発明は、基板上に少なくとも陽極と有機半導体層と陰極とを積層させて構成される有機薄膜太陽電池を製造する有機薄膜太陽電池の製造方法であって、上記有機半導体層と上記陰極との界面に凹凸形状の微細構造を形成する有機薄膜太陽電池の製造方法において、複数種類の粒径の粒子からなる粒子単層膜をエッチングマスクとしたドライエッチング法により、上記基板の表面に複数の凹部または凸部がランダムに二次元に配列した凹凸形状を作製し、上記凹凸形状が複写されるように上記陽極と上記有機半導体層と上記陰極とを順次積層させるものとし、上記粒子単層膜を粒子径の異なる複数の粒子の混合物を用いて形成し、下記要件(A)および(B)を満たすようにしたものである
要件(A):上記凹凸形状の平均高さが15nm以上180nm以下である。
要件(B):上記凹凸形状の高さ分布のスペクトル強度が、波数k(波数とは、空間周波数に2πを掛けたものである。)が式(1)に示される範囲内にあるときに有限の値を持ち、かつ、高さ分布のスペクトル強度の該範囲での積分値が高さ分布のスペクトル強度の全波数域にわたる積分値の35%以上を占める値を持つこととし、式(1)において、ε(λ)は、上記陰極を構成する金属の比誘電率を示すものであり、ε(λ)は、有機薄膜層の等価的な比誘電率を示すものであり、λmaxは、発電に利用する太陽光の最大波長を示すものであり、λminは、発電に利用する太陽光の最小波長を示すものであり、Re[ ]は、複素数の実部を示すものとする。
また、本発明は、上記した発明において、複数種類の粒径の粒子からなる粒子単層膜をエッチングマスクとしたドライエッチング法によって、複数の凸部または凹部がランダムに二次元に配列した構造が形成された原盤を作製し、上記原盤から電鋳法、ナノインプリント法、射出成形法またはUVエンボス法のいずれかの方法で作成した転写体を鋳型とし、上記鋳型からナノインプリント法、射出成形法またはUVエンボス法のいずれかの方法により上記鋳型に形成された複数の凸部または凹部がランダムに二次元に配列した微細凹凸構造を上記基板の表面に転写して、上記基板の表面に複数の凸部または凹部がランダムに二次元に配列した微細凹凸構造を形成するようにしたものである。
また、本発明は、少なくとも陽極と有機半導体層と陰極とを積層させて構成される有機薄膜太陽電池を製造するための有機薄膜太陽電池用の基板の製造方法であって、表面に複数の凹部または凸部がランダムに二次元に配列した凹凸形状を形成した有機薄膜太陽電池用の基板の製造方法において、複数種類の粒径の粒子からなる粒子単層膜をエッチングマスクとしたドライエッチング法により、上記基板の表面に複数の凹部または凸部がランダムに二次元に配列した凹凸形状を作製し、上記凹凸形状が複写されるように上記陽極と上記有機半導体層と上記陰極とを順次積層させるものとし、上記粒子単層膜を粒子径の異なる複数の粒子の混合物を用いて形成し、下記要件(A)および(B)を満たすようにしたものである。
要件(A):上記凹凸形状の平均高さが15nm以上180nm以下である。
要件(B):上記凹凸形状の高さ分布のスペクトル強度が、波数k(波数とは、空間周波数に2πを掛けたものである。)が式(1)に示される範囲内にあるときに有限の値を持ち、かつ、高さ分布のスペクトル強度の該範囲での積分値が高さ分布のスペクトル強度の全波数域にわたる積分値の35%以上を占める値を持つこととし、式(1)において、ε(λ)は、上記陰極を構成する金属の比誘電率を示すものであり、ε(λ)は、有機薄膜層の等価的な比誘電率を示すものであり、λmaxは、発電に利用する太陽光の最大波長を示すものであり、λminは、発電に利用する太陽光の最小波長を示すものであり、Re[ ]は、複素数の実部を示すものとする。
また、本発明は、上記した発明において、複数種類の粒径の粒子からなる粒子単層膜をエッチングマスクとしたドライエッチング法によって、複数の凸部または凹部がランダムに二次元に配列した構造が形成された原盤を作製し、上記原盤から電鋳法、ナノインプリント法、射出成形法またはUVエンボス法のいずれかの方法で作成した転写体を鋳型とし、上記鋳型からナノインプリント法、射出成形法またはUVエンボス法のいずれかの方法により上記鋳型に形成された複数の凸部または凹部がランダムに二次元に配列した微細凹凸構造を上記基板の表面に転写して、上記基板の表面に複数の凸部または凹部がランダムに二次元に配列した微細凹凸構造を形成するようにしたものである。
また、本発明は、上記した発明において、上記基板は透明材料よりなるようにしたものである。
本発明は、以上説明したように構成されているので、高い光電エネルギー変換効率を実現することが可能になるという優れた効果を奏する。
図1は、本発明による有機薄膜太陽電池の構造の一例を示す概略構成断面説明図である。 図2(a)(b)(c)は、本実施の形態による粒子単層膜を概念的に示す説明図である。図2(a)は、本実施の形態による微細構造を有する有機薄膜太陽電池の基板表面の高さ分布を示す説明図であり、図2(b)はそのスペクトル強度を示す説明図であり、図2(c)は、本実施の形態による有機薄膜太陽電池の基板表面の高さ分布のスペクトル強度のプロファイルを示す説明図である。 図3(a)は、実験例1、実験例2および比較例に用いた有機薄膜太陽電池の構成を示した説明図であり、図3(b)は、図3(a)に示した各有機薄膜太陽電池の特性を示した説明図である。 図4(a)(b)は、本発明による有機薄膜太陽電池による実験例1、実験例2および比較例による結果を示すグラフである。 図5(a)は、一般的な太陽電池の等価回路であり、図5(b)は、太陽電池の電流−電圧特性に関する説明図である。 図6は、本発明による有機薄膜太陽電池10を用いて行った実験例1に示す凹凸形状の微細構造を有する基板の表面を原子間力顕微鏡(AFM)により観察した際のAFM像を示した説明図である。 図7は、図6に示すAFM像を二次元フーリエ変換して得られたパワースペクトルのプロファイルを示した説明図である。 図8は、本発明による有機薄膜太陽電池10を用いて行った実験例2に示す凹凸形状の微細構造を有する基板の表面を原子間力顕微鏡(AFM)により観察した際のAFM像を示した説明図である。 図9は、図8に示すAFM像を二次元フーリエ変換して得られたパワースペクトルの強度プロファイルを示した説明図である。 図10は、比較例として示す凹凸形状を持たない基板を有する有機薄膜太陽電池の基板の表面のAFM像を二次元フーリエ変換して得られたパワースペクトルのプロファイルを示した説明図である。 図11は、図6に示す実験例1のAFM像に対して二次元フーリエ変換を行った際の二次元フーリエ変換像を示した説明図である。 図12は、図8に示す実験例2のAFM像に対して二次元フーリエ変換を行った際の二次元フーリエ変換像を示した説明図である。 図13(a)は基板側表面に円錐台形状の凹部26a、26b、26cを有する陰極26の一例を示す斜視図であり、図13(b)は円錐台形状の凸部14a、14b、14cを有する基板12の一例を示す斜視図である。 図14(a)は基板側表面に正弦波形状の凹部26a、26b、26cを有する陰極26の一例を示す斜視図であり、図14(b)は正弦波形状の凸部14a、14b、14cを有する基板12の一例を示す斜視図である。 図15(a)は基板側表面に円柱形状の凹部26a、26b、26cを有する陰極26の一例を示す斜視図であり、図15(b)は円柱形状の凸部14a、14b、14cを有する基板12の一例を示す斜視図である。 図16(a)は基板側表面に円錐形状の凹部26a、26b、26cを有する陰極26の一例を示す斜視図であり、図16(b)は円錐形状の凸部14a、14b、14cを有する基板12の一例を示す斜視図である。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による有機薄膜太陽電池、有機薄膜太陽電池用の基板、有機薄膜太陽電池の製造方法および有機薄膜太陽電池用の基板の製造方法の実施の形態の一例について詳細に説明するものとする。
<有機薄膜太陽電池の構成>
まず、図1には、本発明の本実施の形態の一例として底面受光型の有機薄膜太陽電池の実施の形態を示す概略構成断面説明図が示されている。
なお、図1に示す本発明による有機薄膜太陽電池10に関する説明においては、説明の便宜上、有機薄膜太陽電池10を構成する各層の高さ方向における上方側の面を表面と適宜に称し、各層の高さ方向における下方側の面を裏面と適宜に称する。
この図1に示す有機薄膜太陽電池10は、透明材料よりなる基板12と、基板12上に形成された微細構造14と、微細構造14上に形成された陽極16と、陽極16上に形成されたホール取り出し層18と、ホール取り出し層18上に形成された電子ブロッキング層20と、電子ブロッキング層20上に形成された有機半導体層22と、有機半導体層22上に形成された電子取り出し層24と、電子取り出し層24上に形成された陰極26とを順次積層して構成されている。
また、有機半導体層22は、電子供与型有機半導体層22a(以下、適宜に電子供与体層22aと称する。)と、電子供与型有機半導体層22a上に形成された電子受容型有機半導体層22b(以下、適宜に電子受容体層22bと称する。)とより構成されている。
本実施の形態においては、基板12を構成する材料としては、太陽光を透過するものであれば特に限定されず、無機材料でも有機材料でもよく、それらの組み合わせでもよい。
ここで、基板12に適した無機材料としては、例えば、石英ガラス、無アルカリガラス、白板ガラス等の各種ガラス、マイカ等の透明無機鉱物などが挙げられる。
また、基板12に適した有機材料としては、例えば、シクロオレフィン系フィルム、ポリエステル系フィルム等の樹脂フィルム、該樹脂フィルム中にセルロースナノファイバー等の微細繊維を混入した繊維強化プラスチック素材、さらには、それらの有機材料フィルム表面にSiO、SiC、SiN、SiONなどからなるバリアー層を有するものなどが挙げられる。
そして、この基板12の陽極16が積層される側となる基板12表面には、直径がそれぞれ異なる凸部14a、14b、14cを複数配置し、二次元にランダムに複数配列した凹凸形状が形成された微細構造14を設けるようにする。こうした微細構造14の凹凸形状(以下、「凹凸部がランダムに二次元に複数配列した構造」を「二次元凹凸構造」と適宜に称することとする。)については、後に詳述する。
次に、陽極16を構成する材料としては、本実施の形態においては、太陽光を透過する透明導電材料により構成されている。こうした透明導電材料は、特に限定されず、透明導電材料として公知のものを使用することができる。
本実施の形態においては、インジウム−スズ酸化物(Indium Tin Oxide(ITO))を用いるものとした。
なお、透明導電体としては、上記ITOの他に、例えば、インジウム−亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide(IZO))、酸化亜鉛(Zinc
Oxide(ZnO))、亜鉛−スズ酸化物(Zinc Tin Oxide(ZTO))等が挙げられる。
次に、ホール取り出し層18を構成する材料としては、本実施の形態においては、1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル(以下、適宜に「HAT−CN」と称する。)を用いるものとした。
次に、電子ブロッキング層20を構成する材料としては、本実施の形態においては、トリス[4−(5−フェニルチオフェン−2−イル)フェニル]アミン(以下、適宜に「TPTPA」と称する。)を用いるものとした。
ここで、上記ホール取り出し層18および電子ブロッキング層20を構成する材料としては、一般的に、有機材料が用いられるものであるが、有機材料の他に酸化モリブデンMoOなどが用いられる場合もある。
即ち、ホール取り出し層18を構成する材料(ホール取り出し材料)としては、例えば、上記HAT−CNの他に、酸化モリブデンMoO(MoOまたはMoO)、4,4’,4”−tris(N,N−2−naphthylphenylamino)triphenylamine(以下、2−TNATAと略記する。)等が挙げられる。
また、電子ブロッキング層20を構成する材料(電子ブロッキング材料)としては、例えば、上記TPTPAの他に、4,4’−bis[N−1−napthyl]−N−phenyl−amino]−biphenyl(以下、α−NPDと略記する。)、銅フタロシアニン(以下、CuPcと略記する。)、N,N’−Diphenyl−N,N’−di(m−tolyl)benzidine(以下、TPDと略記する。)等の芳香族アミン化合物などが挙げられる。
次に、電子供与体層22aと電子受容体層22bとより構成される有機半導体層22について述べる。
電子供与体層22aを構成する材料としては、本実施の形態においては、ジベンゾテトラフェニルペリフランテン(以下、適宜に「DBP」と称する。)を用いるものとした。
また、電子受容体層22bを構成する材料としては、本実施の形態においては、フラーレンC60(C60)を用いるものとした。
次に、電子取り出し層24を構成する材料としては、本実施の形態においては、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(以下、適宜に「BCP」と称する。)を用いるものとした。
電子取り出し層24を構成する材料(電子取り出し材料)としては、一般的に有機材料が用いられるものであり、上記BCPの他には、例えば、Alq、2,5−Bis(1−naphthyl)−1,3,4−oxadiazole(以下、BNDと略記する。)、2−(4−tert−Butylphenyl)−5−(4−biphenylyl)−1,3,4−oxadiazole(以下、PBDと略記する。)等のオキサジオール系化合物等の金属錯体系化合物などが挙げられる。
次に、陰極26は金属よりなる層であり、本実施の形態においては、アルミニウムを用いるものとした。
なお、本実施の形態による有機薄膜太陽電池10では電子ブロッキング層20を設けるものとするが、基本的な有機薄膜太陽電池の素子構成においては、上述の電子ブロッキング層20は必ずしも必要ではない。即ち、有機半導体層を構成するp層(電子供与体層)とn層(電子受容体層)との界面であるpn接合界面近傍において電荷分離が行われる際に、電子がホール取り出し層18側に移動してきても、電子が侵入できないようなホール取り出し材料を使用すれば、電子ブロッキング層を独立して設ける必要はない。
本実施の形態による有機薄膜太陽電池10においては、実際の素子作製段階で、電荷分離後のホール取り出しを明確にするため、電子ブロッキング層20を設けるものとする。
<微細構造の形状と効果>
次に、微細構造14の形状について、以下に詳細に説明する。
本発明による有機薄膜太陽電池10の基板12上には、複数の凸部が二次元に配列した微細構造14が形成されているため、基板12上に積層された陽極16との界面に微細構造14を有することにより、こうした微細構造14の形状が有機半導体層22と陰極26との界面にも反映されて入射光が効率よく表面プラズモンに変換されることを特徴とするものである。即ち、本発明による有機薄膜太陽電池10の基板12上には、複数の凸部が二次元に配列した微細構造14が形成されているため、基板12上に積層された陽極16、ホール取り出し層18、電子ブロッキング層20、有機半導体層22、電子取り出し層24、陰極26には、各層の表面(つまり、基板12が位置する側と反対側の面である。)には、基板12の表面の微細構造14と同様の複数の凸部による凹凸構造が形成されることとなる。
これは、各層の厚さが数十〜百数十nmと非常に薄いため、これらの層を積層しても凹凸構造は埋まることなく各層に反映され、凹凸構造が複製されるためである。
上記微細構造14は、粒子単層膜をエッチングマスクとしたドライエッチング法により、表面に複数の凹部または凸部を二次元にランダムに配列した凹凸形状として基板12上に作製される。
そして、本発明による有機薄膜太陽電池10の製造方法は、基板12の表面上に微細構造14を形成する基板作製工程と、上記微細構造14上に、少なくとも、陽極16と有機半導体層22と金属よりなる陰極26とを上記陰極26の有機半導体層側の面に上記凹凸形状が複写されるように積層する積層工程とを有する有機薄膜太陽電池10の製造方法であって、上記基板作製工程において、粒子単層膜を粒子径の異なる複数の粒子の混合物を用いて形成するようにし、下記要件(A)および(B)を満たす凹凸形状よりなる微細構造を有する基板を作製することを特徴とする。
要件(A):凹凸形状の平均高さが15nm以上180nm以下である。
要件(B):凹凸形状の平均高さが高さ分布のスペクトル強度が、波数k(波数とは、空間周波数に2πを掛けたものである。)が式(1)に示される範囲内にあるときに有限の値を持ち、かつ、高さ分布のスペクトル強度の該範囲での積分値が高さ分布のスペクトル強度の全波数域にわたる積分値の35%以上を占める値を持つこととする。
ここで、ε(λ)は陰極を構成する金属の比誘電率を示す。
ε(λ)は有機薄膜層の等価的な比誘電率を示す。
λmaxは発電に利用する太陽光の最大波長、λminは発電に利用する太陽光の最小波長を示す。
Re[ ]は複素数の実部を示す。
また、上記有機薄膜層とは、ホール取り出し層18、電子ブロッキング層20、電子供与体層22a、電子受容体層22b、電子取り出し層24よりなる積層体であり、少なくとも、電子供与体層22aおよび電子受容体層22bを含む必要がある。
そして、上記「等価的な比誘電率」とは、金属よりなる陰極に発生する表面プラズモンが相互作用する、陰極とは異なる材料からなる有機薄膜層の等価的な比誘電率のことを指す。
即ち、表面プラズモンは陰極表面に生じる表面電磁場であり、その影響は距離に関して指数関数的に減少していくので、有機薄膜層の比誘電率の相互作用の寄与率も距離に関して指数関数的に減少することになる。これらを考慮し、有機薄膜層を単一の有機層とみなしたときの比誘電率を「有機薄膜層の等価的な比誘電率」と定義する。
ただし、こうした有機薄膜層の等価的な比誘電率の計算は複雑であるため、おおよその値として、例えば、有機薄膜層の代表的な比誘電率である3程度の数字を上記式(1)のε(λ)として用いても良い。
ここで、本発明による有機薄膜太陽電池10が有機半導体層22と陰極26との界面に凹凸形状を有することによって生じる効果について以下に説明する。
上記したように、従来の有機薄膜太陽電池においては、入射された太陽光は陽極等を透過した後、有機半導体層に到達する。こうした有機半導体層は、電子供与体層(p層)と電子受容体層(n層)とが接するpn界面を持つのが基本である。なお、p層とn層の間にi層(真性半導体層)を設けても良いものである。
こうした有機半導体層のpn界面に光エネルギーを与えることで、光が有機半導体層22の電子供与体分子により吸収され励起子を生成する。励起子は、電子供与体と電子受容体の界面で電荷が分離され、電子を電子受容体に渡し、電子は最終的に電子受容体より陰極26に流れることとなる。一方、残されたホールは陽極16に流れる。そして、光の一部は有機半導体層を透過し、さらに陰極に到達して陰極より反射され、再び有機半導体層のpn界面における電荷分離に寄与し、さらに一部が有機薄膜太陽電池の素子外に放射される。
この過程において、有機薄膜太陽電池の有機半導体層はその特性上膜厚を数十nmまで薄くしなければならないため、光が一過性のパスのみで有機半導体層を透過するだけではその吸収が不十分であることが従来の有機薄膜太陽電池の問題点であった。
一方、本発明による有機薄膜太陽電池10においては、基板12表面に二次元凹凸形状よりなる微細構造14が形成されていることにより、有機半導体層22と陰極26との間にも上記微細構造が転写され、有機半導体層22と陰極26との界面に凹凸形状よりなる微細構造14を有している。
そして、上記微細構造14を構成する凹凸形状が、上記要件(A)および要件(B)を満たす構成を有することにより、有機薄膜太陽電池10内に太陽光(伝搬光)が入射された際に、伝搬光の一部は有機半導体層22と陰極26との界面における凹凸構造によって回折され、表面プラズモンに変換される。そして、陰極26で変換された表面プラズモンが陰極表面を伝搬している時間、表面プラズモンによる電磁場は上記のpn接合界面を包含するため有機半導体により効率的に吸収されることになる。そのため、結果的に、従来の有機薄膜太陽電池に比べ、有機薄膜太陽電池10の光電エネルギー変換効率が高くなる。
上記において説明したように、本発明による有機薄膜太陽電池10は、有機半導体層22と陰極26との界面に二次元凹凸形状を有するように構成されているが、この点についてはさらに詳細に説明する。
まず、基板12の陽極16が積層される側の面には、直径がそれぞれ異なる凸部14a、14b、14cを、二次元にランダムに複数配列した凹凸形状よりなる微細構造14(以下、凹凸構造と適宜に称する。)が設けられている。
この微細構造14上に陽極16、ホール取り出し層18、電子ブロッキング層20、有機半導体層22である電子供与体層22aおよび電子受容体層22b、電子取り出し層24、陰極26が順次積層されることで、各層の陰極26側の面には、基板12表面と同様の凹凸構造が形成される。
そのため、最終的に電子取り出し層24上に陰極26を積層すると、陰極26の電子取り出し層24側の表面には、基板12表面の凹凸構造が反転した形状の二次元凹凸構造、つまり、直径がそれぞれ異なる凹部26a、26b、26cを、二次元にランダムに複数配列した二次元凹凸構造(以下、逆凹凸構造と適宜に称する。)が形成される。
即ち、逆凹凸構造における凹部26a、26b、26cのそれぞれの直径および高さは、微細構造14の凹凸構造における凸部14a、14b、14cそれぞれの直径および高さと一致する。また、逆凹凸構造における凹部26a、26b、26cの配列パターンは、微細構造14における凸部14a、14b、14cの配列パターンと一致する。
ここで、「二次元にランダムに複数配列」とは、複数の凸部14a、14b、14c(または凹部26a、26b、26c)が、同一平面上に配置され、かつ、それらの中心間の間隔および配列方向が一定でない状態をいう。複数の凸部14a、14b、14c(または凹部26a、26b、26c)を二次元にランダムに複数配列していることにより、入射光が広い波長領域にわたり表面プラズモンに変換されるものである。
さらに、こうした広帯域の表面プラズモンが励起される微細構造14を構成する凹凸形状の要件としては、下記の要件(A)および(B)を満たす必要がある。
[要件(A)]
凸部14a、14b、14cの平均高さが15nm以上180nm以下であるものとする。
より好ましくは、凸部14a、14b、14cの平均高さは、20nm以上150nm以下であり、さらに好ましくは、25nm以上100nm以下である。
ここで、平均高さが15nm未満であると、太陽光(伝搬光)を回折して表面プラズモンに変換する効果が不充分となる。こうした問題は、以下の理由により生じる。
即ち、凸部14a、14b、14cの平均高さが15nm未満であると、二次元構造として十分に伝搬光を回折できなくなり、表面プラズモンに変換する効果が低下する。
また、凸部14a、14b、14cの平均高さが180nmを超えると、陽極16、ホール取り出し層18、電子ブロッキング層20、有機半導体層22、電子取り出し層24、陰極26を積層する際に、凹凸構造が急峻であるため陽極16と陰極26とが短絡する可能性が高くなってくるためである。
なお、上記凸部14a、14b、14cの平均高さは、AFM(原子間力顕微鏡)により測定される。
具体的には、まず、微細構造14内の無作為に選択された5μm×5μmの領域1カ所についてAFM像を得る。次に、該AFM像の対角線方向に直線を引き、この直線と交わった凸部14a、14b、14cを直径ごとに分類し、それぞれの高さを測定する。その測定値から、直径ごとに平均値(凸部14aの高さの平均値、凸部14bの高さの平均値、凸部14cの高さの平均値)を求める。
このような処理を、無作為に選択された合計25カ所の5μm×5μmの領域について同様に行い、各領域における凸部14a、14b、14cそれぞれの高さの平均値を求める。こうして得られた25カ所の領域における平均値をさらに平均した値を、凸部14aの平均高さ、凸部14bの平均高さ、凸部14cの平均高さとする。
本発明においては、凸部14aの平均高さ、凸部14bの平均高さ、凸部14cの平均高さはいずれも15nm以上180nm以下である。
凸部14a、14b、14cそれぞれの平均高さは、後述する粒子単層膜をエッチングマスクとしてドライエッチングを行う際のドライエッチング条件により調節できる。
なお、凹部26a、26b、26cの直径および平均深さは、それぞれ、凸部14a、14b、14cの直径および平均高さと同じである。そのため、凹部26a、26b、26cの平均深さは、凸部14a、14b、14cの平均高さから間接的に定量できる。
[要件(B)]
要件(B):凹凸形状の高さ分布のスペクトル強度が、波数k(波数とは、空間周波数に2πを掛けたものである。)が式(1)に示される範囲内にあるときに有限の値を持ち、かつ、高さ分布のスペクトル強度の該範囲での積分値が、高さ分布のスペクトル強度の全波数域にわたる積分値の35%以上を占める値を持つこととする。
ここで、ε(λ)は、陰極を構成する金属の比誘電率を示す。
ε(λ)は、有機薄膜層の等価的な比誘電率を示す。
λmaxは発電に利用する太陽光の最大波長、λminは発電に利用する太陽光の最小波長を示す。
Re[ ]は複素数の実部を示す。
ここで、高さ分布のスペクトル強度とは、凹凸構造の高さ分布(図2(a)を参照する。)について二次元フーリエ変換を行うことによって波数ベクトル空間に変換し、スペクトル強度(振幅の絶対値の2乗)を求めてプロットしたもの(図2(b)を参照する。)であり、スペクトル強度空間の各点の座標は、
に対応する。
を波数と呼ぶ。また、波数とは、空間周波数に2πを掛けたものに等しい。
こうした波数kが上記式(1)に示す範囲において、スペクトル強度が有限の値を持つような粒径を選択するようにする。
また、上記パワースペクトルにおいて波数の一定となる円周上でスペクトル強度を積分し、波数を横軸としてプロットしたものを、スペクトル強度のプロファイル(図2(c)を参照する。)と称する。
こうした高さ分布のスペクトル強度のプロファイルは、図2(c)に示すように、特定の波数領域で強度が高く、該微細構造を有する陰極に垂直に入射した光は、当該特定領域の波数を持つ表面プラズモンに変換されることを示している。即ち、発電に寄与する波長領域の光が表面プラズモンに変換されることを意味する。
そのため、要件(B)として、さらに、スペクトル強度の式(1)の波数領域における積分値が全波数領域における積分値の35%以上を占める値であるような粒径を用いるようにするものである。
こうした要件(B)について、凹凸構造が要件(B)を満たしている場合、λmin〜λmaxの波長範囲の太陽光が効率よく表面プラズモンに変換される。
一方、凹凸構造が要件(B)を満たしていない場合、例えば、単一粒子径の粒子を用いて形成された粒子単層膜をエッチングマスクとして形成された凹凸構造の場合、該スペクトル強度は1つの波数にのみ値を持つため、λmin〜λmaxに相当する太陽光のうち利用できる波長域が狭すぎて不向きである。
本発明において、太陽光のうち表面プラズモンに変換される波長範囲であるλmin〜λmaxの範囲は、使用する有機半導体の吸収波長範囲に対応する。
ここで、上記式(1)において、ε(λ)は陰極26を構成する金属の比誘電率を示す。
陰極26に用いられる金属の比誘電率は、エリプソメトリーにより実数部および虚数部を同時に測定することが可能である。
おおよその値はエリプソメトリーで測定した文献値から引用することができ、金の場合は−240+38i(λ=2500nm)〜−0.83+6.5i(λ=380nm)、銀の場合は−230+29i(λ=2500nm)〜−3.0+0.66i(λ=380nm)、アルミニウムの場合は−660+160i(λ=2500nm)〜−21.1+4.1i(λ=380nm)である(上記文献値は、Edward D. Palik編「Handbook of Optical Constants of Solids」(1998年Academic Press出版)より引用した。)。
また、上記式(1)において、ε(λ)は有機薄膜層の等価的な誘電率を示すものであるが、有機薄膜層とは、ホール取り出し層18、電子ブロッキング層20、電子供与体層22a、電子受容体層22b、電子取り出し層24のうち少なくとも電子供与体層22a、電子受容体層22bを含む積層体である。そして、こうした有機薄膜層は少なくとも有機半導体層である電子供与体層22aおよび電子受容体層22bを含む必要があり、さらに、ホール取り出し層18、電子ブロッキング層20、電子供与体層22a、電子受容体層22b、電子取り出し層24をすべて含むのが好適である。
一般に、有機薄膜層の等価的な比誘電率は、おおよそ2.0〜5.0の範囲である。
実際の金属の比誘電率は複素数であるため、表面プラズモンの波数も複素数となるが、微細構造のパラメーターとして必要なのは実部である。
なお、基板12表面の微細構造として、直径がそれぞれ異なる凹部が複数、二次元にランダムに配列した構造を用いた基板(以下、基板12’)の場合、該凹凸構造は、下記要件(A”)および(B”)を満たす必要がある。
要件(A”):凹部の平均高さ(平均深さ)が15nm以上180nm以下である。
要件(B”):基板12’表面の高さ分布(深さ分布)のスペクトル強度が、波数k(波数とは、空間周波数に2πを掛けたものである。)が式(1)に示される範囲内にあるときに有限の値を持ち、かつ、高さ分布のスペクトル強度の該範囲での積分値が高さ分布のスペクトル強度の全波数域にわたる積分値の35%以上を占める値を持つこととする。
ε(λ)は、陰極を構成する金属の比誘電率を示す。
ε(λ)は、有機薄膜層の等価的な比誘電率を示す。
λmaxは発電に利用する太陽光の最大波長、λminは発電に利用する太陽光の最小波長を示す。
Re[ ]は複素数の実部を示す。
凹部の平均高さは、凸部14a、14b、14cの平均高さと同様にして測定できる。
基板12’の高さ分布(深さ分布)のスペクトル強度は、基板12の高さ分布のスペクトル強度と同様にして測定できる。
次に、有機薄膜太陽電池10の各層の積層方法について、以下に詳細に説明する。
はじめに、直径がそれぞれ異なる凸部14a、14b、14cを、二次元にランダムに複数配列した凹凸構造を表面に備えた基板12を作製する(基板作製工程)。
次に、基板12の微細構造14上に、陽極16と、ホール取り出し層18、電子ブロッキング層20、有機半導体層22である電子供与体層22aおよび電子受容体層22b、電子取り出し層24、陰極26とを順次積層する(積層工程)。
以下、上記各層の作製工程について、より詳細に説明する。
<基板作製工程>
基板12は、粒子径の異なる複数の種類の粒子の混合物(以下、混合粒子ということがある。)を用いて形成した粒子単層膜をエッチングマスクとしたドライエッチング法により作製できる。
粒子単層膜をエッチングマスクとしたドライエッチング法は、基板原板表面に、粒子の単層膜をラングミュアー・ブロジェット法(以下、LB法ともいう。)の原理を用いて作製し、これをエッチングマスクとして基板原板表面をドライエッチングすることで凹凸構造を形成する方法であり、例えば、特開2009−158478号公報に詳細に開示されている。
基板12は、より具体的には、基板原板(凹凸構造を形成する前の基板)の表面を、混合粒子からなる粒子単層膜で被覆する被覆工程と、該粒子単層膜をエッチングマスクとして用いて基板原板をドライエッチングする工程(ドライエッチング工程)とを行うことにより作製できる。
[被覆工程]
被覆工程は、水槽に、その液面上で混合粒子を展開させるための液体(下層液)を入れ、該下層液の液面に、溶剤中に混合粒子が分散した分散液を滴下し、溶剤を揮発させることにより混合粒子からなる粒子単層膜を液面上に形成する粒子単層膜形成工程と、粒子単層膜を基板上に移し取る移行工程とを行うことにより実施できる。
なお、ここでは混合粒子および有機溶剤として疎水性のものを選択し、下層液として親水性のものを使用する例を示したが、混合粒子および有機溶剤として親水性のものを選択してもよく、下層液として疎水性の液体を使用してもよい。
[粒子単層膜形成工程]
粒子単層膜形成工程では、まず、表面が疎水性で、粒子径がそれぞれ異なる3種の粒子A、B、C(粒子径は、粒子A>粒子B>粒子C)を用意し(図2(a)を参照する。)、それらの粒子A、B、Cが、揮発性が高く疎水性の高い溶剤(たとえばクロロホルム、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ヘキサン等)中に分散した分散液を調製する。
別途、水槽(トラフ)を用意し、該水槽(トラフ)に、下層液として水(以下、下層水という場合もある。)を入れる。次に、上記分散液を上記下層水の液面に滴下すると、分散液中の粒子A、B、Cが分散媒によって下層水の液面上に展開する。そのため、分散媒である溶剤が揮発することで、粒子A、B、Cがランダムに二次元的に入り混じった単層膜が形成される。
ここで、上記3種の粒子A、B、Cの粒子径などの条件は、上記要件(A)および(B)により決定される。
例えば、使用する3種の粒子A、B、Cの粒子径は、それぞれ、凸部14a、14b、14cの直径に対応し、この粒子径とこの後のドライエッチング工程でのドライエッチング条件を選択することにより、形成される凸部14a、14b、14cの直径や高さ、形状等を調節できる。本発明においては、混合粒子を用いているため、凹凸構造中の複数の凸部の直径や中心間の距離にばらつきが生じる。ばらつきがあることで、ばらつきがない場合に比べて、要件(B)における微細凹凸構造のスペクトル強度が有限の値を持つ波数kの範囲が広くなる。
要件(B)における微細凹凸構造のスペクトル強度が有限の値を持つ波数kの範囲は、凹凸構造中の複数の凸部の直径や中心間の距離のばらつきの程度、3種の粒子A,B,Cそれぞれの粒度分布、平均粒子径、A,B,Cの混合比率などによって調節できる。
粒子A、B、Cの粒子径は、いずれも、10nm以上2000nm以下の範囲内であることが好ましく、50nm以上1700nm以下の範囲内であることがより好ましい。
ここで、粒子径とは、一次粒子径のことであり、動的光散乱法により求めた粒度分布をガウス曲線にフィッティングさせて得られるピークから常法により求めることができる。
なお、ここでは3種の粒子径の粒子を用いた例を示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、粒子径が異なる粒子は2種以上であればよい。
また、太陽光の広帯域において光電エネルギー変換効率の向上効果を得る観点から、必要に応じて粒子径は多種であるほうが好ましい。
次に、粒子A、B、Cの材質について説明すると、粒子A、B、Cの材質は特に限定されず、例えば、Al、Au、Ti、Pt、Ag、Cu、Cr、Fe、Ni、Si、Wなどの金属、SiO、Al、TiO、MgO、CaOなどの金属酸化物、SiN、TiNなどの窒化物、SiC、WCなどの炭化物、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレートなどの有機高分子、その他の半導体材料、無機高分子等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
この粒子A、B、Cの材質や後述するドライエッチング条件を選択することにより、形成される凸部14a、14b、14cの高さや形状を調節することができるものであり、即ち、凹部26a、26b、26cの深さや形状を調節できる。
また、粒子単層膜を形成する際に用いる下層液として水を使用する場合、粒子A、B、C(以下、単に「粒子」と称する。)は、表面が疎水性であるものが好ましい。
粒子の表面が疎水性であれば、上記したように水槽(トラフ)の下層液の液面上に粒子の分散液を展開させて粒子単層膜を形成する際に、下層液として水を用いて容易に粒子単層膜を形成できる上に粒子単層膜を基板表面に容易に移行させることができる。
上記で例示した粒子のうち、ポリスチレンなどの有機高分子の粒子は表面が疎水性であるため、そのまま使用できるが、金属粒子や金属酸化物粒子においては表面を疎水化剤により疎水性にすることにより使用できる。
なお、疎水化剤としては、例えば、界面活性剤、アルコキシシランなどが挙げられる。
界面活性剤を疎水化剤として使用する方法は、幅広い材料の疎水化に有効であり、粒子が金属、金属酸化物などからなる場合に好適である。
なお、界面活性剤としては、臭素化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、臭素化デシルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤、ドデシル硫酸ナトリウム、4−オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤が好適に使用できる。
また、その他の界面活性剤としては、アルカンチオール、ジスルフィド化合物、テトラデカン酸、オクタデカン酸なども使用することができる。
このような界面活性剤を用いた疎水化処理は、有機溶剤や水などの液体に粒子を分散させて液中で行ってもよいし、乾燥状態にある粒子に対して行ってもよい。
液中で行う場合には、例えば、クロロホルム、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、エチルエチルケトン、トルエン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの1種以上からなる揮発性有機溶剤中に、疎水化対象の粒子を加えて分散させ、その後、界面活性剤を混合してさらに分散を続ければよい。このようにあらかじめ粒子を分散させておき、それから界面活性剤を加えると、表面をより均一に疎水化することができる。このような疎水化処理後の分散液は、そのまま、下層水の液面に滴下するための分散液として使用できる。
疎水化対象の粒子が水分散体の状態である場合には、この水分散体に界面活性剤を加えて水相で粒子表面の疎水化処理を行った後、有機溶剤を加えて疎水化処理済みの粒子を油相抽出する方法も有効である。こうして得られた分散液(有機溶剤中に粒子が分散した分散液)は、そのまま、下層水の液面に滴下するための分散液として使用できる。
なお、この分散液の粒子分散性を高めるためには、有機溶剤の種類と界面活性剤の種類とを適切に選択し、組み合わせることが好ましい。粒子分散性の高い分散液を使用することによって、粒子がクラスター状に凝集することを抑制でき、混合粒子が二次元にランダムに複数配列して成膜した粒子単層膜がより得られやすくなる。
例えば、有機溶剤としてクロロホルムを選択する場合には、界面活性剤として臭素化デシルトリメチルアンモニウムを使用することが好ましい。その他にも、エタノールとドデシル硫酸ナトリウムとの組み合わせ、メタノールと4−オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウムとの組み合わせ、メチルエチルケトンとオクダデカン酸との組み合わせなどを好ましく例示できる。
疎水化対象の粒子と界面活性剤の比率は、疎水化対象の粒子の質量に対して、界面活性剤の質量が1/3〜1/15倍の範囲が好ましい。
また、こうした疎水化処理の際には、処理中の分散液を撹拌したり、分散液に超音波照射したりすることも粒子分散性向上の点で効果的である。
アルコキシシランを疎水化剤として使用する方法は、Si、Fe、Alなどの粒子や、SiO、Al、TiOなどの酸化物粒子を疎水化する際に有効である。ただし、これらの粒子に限られるものではないことは勿論であり、基本的には、水酸基等を表面に有する粒子であればいかなる粒子に対しても適用することができる。
ここで、アルコキシシランとしては、モノメチルトリメトキシシラン、モノメチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
疎水化剤としてアルコキシシランを用いる場合には、アルコキシシラン中のアルコキシシリル基がシラノール基に加水分解し、このシラノール基が粒子表面の水酸基に脱水縮合することで疎水化が行われる。よって、アルコキシシランを用いた疎水化は、水中で行うことが好ましい。
このように水中で疎水化を行う場合には、例えば界面活性剤などの分散剤を併用して、疎水化前の粒子の分散状態を安定化するのが好ましい。ただし、分散剤の種類によってはアルコキシシランの疎水化効果が低減することもあるため、分散剤とアルコキシシランとの組み合わせは適切に選択する。
アルコキシシランにより疎水化する具体的方法としては、まず、水中に粒子を分散させておき、これとアルコキシシラン含有水溶液(アルコキシシランの加水分解物を含む水溶液)とを混合し、室温から40℃の範囲で適宜攪拌しながら所定時間、好ましくは6〜12時間反応させる。このような条件で反応させることによって、反応が適度に進行し、十分に疎水化された粒子の分散液を得ることができる。反応が過度に進行すると、シラノール基同士が反応して粒子同士が結合してしまい、分散液の粒子分散性が低下し、得られる粒子単層膜は、粒子が部分的にクラスター状に凝集した2層以上のものになりやすい。一方、反応が不十分であると、粒子表面の疎水化も不十分となり、得られる粒子単層膜は粒子間のピッチが広がったものになりやすい。
また、アミン系以外のアルコキシシランは、酸性またはアルカリ性の条件下で加水分解するため、反応時には分散液のpHを酸性またはアルカリ性に調整する必要がある。pHの調整法には制限はないが、0.1〜2.0質量%濃度の酢酸水溶液を添加する方法によれば、加水分解促進の他に、シラノール基安定化の効果も得られるため好ましい。
疎水化対象の粒子とアルコキシシランの比率は、疎水化対象の粒子の質量に対して、アルコキシシランの質量が1/10〜1/100倍の範囲が好ましい。
所定時間反応後、この分散液に対して、前述の揮発性有機溶剤のうちの1種以上を加え、水中で疎水化された粒子を油相抽出する。この際、添加する有機溶剤の体積は、有機溶剤添加前の分散液に対して0.3〜3倍の範囲が好ましい。こうして得られた分散液(有機溶剤中に粒子が分散した分散液)は、そのまま、滴下工程において下層水の液面に滴下するための分散液として使用できる。なお、こうした疎水化処理においては、処理中の分散液の粒子分散性を高めるために、撹拌、超音波照射など実施することが好ましい。分散液の粒子分散性を高めることによって、粒子がクラスター状に凝集することを抑制でき、粒子単層膜がより得られやすくなる。
分散液の粒子濃度(粒子A、B、Cの合計の濃度)は1〜10質量%とすることが好ましい。
また、分散液の下層水の液面への滴下速度は、0.001〜0.01ml/秒とすることが好ましい。
分散液中の粒子の濃度や滴下量がこのような範囲であれば、粒子が部分的にクラスター状に凝集して2層以上となることや、粒子が存在しない欠陥箇所が生じるなどの傾向が抑制された粒子単層膜が得られやすい。
ここで、粒子単層膜形成工程は、超音波照射条件下で実施することが好ましく、下層水中から液面に向けて超音波を照射しながら粒子単層膜形成工程を行うと、粒子の最密充填が促進され、各粒子が構成度で二次元に最密充填した粒子単層膜を取得することができる。
この際、超音波の出力は、1〜1200Wが好ましく、50〜600Wがより好ましい。また、超音波の周波数は特に制限はないが、例えば、28kHz〜5MHzが好ましく、700kHz〜2MHzがより好ましい。
一般に、周波数が高すぎると水分子のエネルギー吸収が始まり、水面から水蒸気または水滴が立ち上る現象が生じるため好ましくない。また、一般に周波数が低すぎると、下層水中のキャビテーション半径が大きくなり、水中に泡が発生して水面に向かって浮上してくる。このような泡が、下層水の液面に形成された粒子単層膜の下に集積すると、下層水の液面の平坦性が失われることになり、適当な粒子単層膜の形成ができなくなってしまう。
また、超音波照射によって下層水の液面に定常波が発生する。いずれの周波数でも出力が大きくなりすぎたり、超音波振動子と発振器のチューニング条件によって当該液面の波高が高くなりすぎると、粒子単層膜が当該液面で破壊される可能性がある。
こうしたことから超音波の周波数を適切に設定すると、形成されつつある単粒子膜を破壊することなく、効果的に粒子の最密充填を促進することができる。しかし、粒径が、例えば、100nm以下などの小さな粒子になると、粒子の音響学的固有振動数は非常に高くなってしまうため、計算結果通りの超音波振動を与えることは困難となる。
この場合には、粒子2量体、3量体、・・・・20量体程度までの質量に対する固有振動を与えると仮定して計算を行うと、必要な振動数を現実的な範囲まで提言させることができる。粒子の会合体の固有振動数に対応する超音波振動を与えた場合でも、粒子の充填率向上効果は発現する。
超音波の照射時間は、粒子の再配列が完了するのに十分であればよく、粒径、超音波の周波数、下層水の温度などによって所要時間が変化する。しかし、通常の作製条件では、10秒間〜60分間で行うことが好ましく、3〜30分間で行うことがより好ましい。
超音波照射によって得られる利点は粒子の最密充填化(つまり、ランダム配列を六方最密化することである。)のほかに、分散液調整時に発生しやすい粒子の軟凝集体を破壊する効果、一度発生した点欠陥、線欠陥または結晶転移などについてもある程度の修復効果を有する。
上記において説明した粒子単層膜の形成は、粒子の自己組織化によるものである。その原理は、粒子が集結すると、その粒子間に存在する分散媒に起因して表面張力が作用し、その結果、粒子同士はバラバラの状態で存在するのではなく、水面上で密集した単層構造を自動的に形成するというものである。このような表面張力による密集構造の形成は、言い換えると、横方向の毛細管力による粒子同士の相互吸着とも言える。
例えば、3つの粒子が水面上に浮いた状態で集まり接触すると、粒子群の喫水線の合計長を最小にするように表面張力が作用し、3つの粒子は三角形(粒径が異なる粒子同士では正三角形とはならない)を基本とする配置で安定化する。仮に、喫水線が粒子群の頂点にくる場合、すなわち、粒子が液面下に潜ってしまう場合には、このような自己組織化は起こらず、粒子単層膜は形成されない。よって、粒子と下層水は、一方が疎水性である場合には他方を親水性にして、粒子群が液面下に潜ってしまわないようにすることが重要である。
下層液としては、以上の説明のように水を使用することが好ましく、水を使用すると、比較的大きな表面自由エネルギーが作用して、一旦生成した粒子の密集した単層構造が液面上に安定的に持続しやすくなる。
[移行工程]
移行工程では、粒子単層膜形成工程により下層水の液面上に形成された粒子単層膜を、単層状態のままエッチング対象物である基板原板上に移し取る。
粒子単層膜を基板原板上に移し取る具体的な方法には特に制限はなく、例えば、疎水性の基板原板を粒子単層膜に対して略平行な状態に保ちつつ、上方から降下させて粒子単層膜に接触させ、ともに疎水性である粒子単層膜と基板との親和力により、粒子単層膜を基板原板に移行させ、移し取る方法や粒子単層膜を形成する前にあらかじめ水槽の下層水内に基板原板を略水平方向に配置しておき、粒子単層膜を液面上に形成した後に液面を徐々に降下させることにより、基板原板上に粒子単層膜を移し取る方法などがある。
これらの方法によれば、特別な装置を使用せずに粒子単層膜を基板上に移し取ることができるが、より大面積の粒子単層膜であっても、その粒子の密集状態を維持したまま基板原板上に移し取りやすい点で、いわゆるLBトラフ法を採用することが好ましい。
LBトラフ法では、水槽内の下層水中に基板原板をあらかじめ略鉛直方向に浸漬しておき、その状態で上記の粒子単層膜形成工程を行い、粒子単層膜を形成する。そして、粒子単層膜形成工程後に、基板原板を上方に引き上げることによって、粒子単層膜を基板原板上に移し取ることができる。
このとき、粒子単層膜は、粒子単層膜形成工程により液面上ですでに単層の状態に形成されているため、移行工程の温度条件(下層水の温度)や基板原板の引き上げ速度などが多少変動しても、粒子単層膜が崩壊して多層化するなどのおそれはない。
下層水の温度は、通常、季節や天気により変動する環境温度に依存し、ほぼ10〜30℃程度である。
また、この際、水槽として、粒子単層膜の表面圧を計測するウィルヘルミープレート等を原理とする表面圧力センサーと、粒子単層膜を液面に沿う方向に圧縮する可動バリアとを具備するLBトラフ装置を使用すると、より大面積の粒子単層膜をより安定に基板原板上に移し取ることができる。このような装置によれば、粒子単層膜の表面圧を計測しながら、粒子単層膜を好ましい拡散圧(密度)に圧縮でき、また、基板原板の方に向けて一定の速度で移動させることができる。そのため、粒子単層膜の液面から基板原板上への移行が円滑に進行し、小面積の粒子単層膜しか基板原板上に移行できないなどのトラブルが生じにくい。
好ましい拡散圧は、5〜80mNm−1であり、より好ましくは10〜40mNm−1である。このような拡散圧であると、各粒子が隙間無く密集した粒子単層膜が得られやすい。
また、基板原板を引き上げる速度は、0.5〜20mm/分が好ましい。
上記移行工程により、基板原板表面を粒子単層膜で被覆することができる。
移行工程の後、さらに、必要に応じて、粒子単層膜を基板原板上に固定するための固定工程を行ってもよい。粒子単層膜を基板原板上に固定することによって、この後のドライエッチング時に粒子が基板原板上を移動してしまう可能性が抑えられ、より安定かつ高精度に基板原板表面をエッチングすることができる。特に、ドライエッチングが進むにつれて、各粒子の直径が徐々に小さくなるため、基板原板上を移動する可能性が大きくなる。
固定工程の方法としては、バインダーを使用する方法や焼結法がある。
バインダーを使用する方法では、粒子単層膜が形成された基板原板の該粒子単層膜側にバインダー溶液を供給して粒子単層膜と基板原板との間にこれを浸透させる。
バインダーの使用量は、粒子単層膜の質量の0.001〜0.02倍が好ましい。このような範囲であれば、バインダーが多すぎて粒子間にバインダーが詰まってしまい、エッチングの精度に悪影響を与えるという問題を生じることなく、十分に粒子を固定することができる。バインダー溶液を多く供給してしまった場合には、バインダー溶液が浸透した後に、スピンコーターを使用したり、基板を傾けたりして、バインダー溶液の余剰分を除去すればよい。
バインダーの種類としては、先に疎水化剤として例示したアルコキシシランや一般の有機バインダー、無機バインダーなどを使用でき、バインダー溶液が浸透した後には、バインダーの種類に応じて、適宜加熱処理を行えばよい。アルコキシシランをバインダーとして使用する場合には、40〜80℃で3〜60分間の条件で加熱処理することが好ましい。
また、焼結法を採用する場合には、粒子単層膜が形成された基板原板を加熱して、粒子単層膜を構成している各粒子を基板に融着させればよい。加熱温度は粒子の材質と基板の材質に応じて決定すればよいが、粒子径が1μm以下の粒子はその物質本来の融点よりも低い温度で界面反応を開始するため、比較的低温側で焼結は完了する。加熱温度が高すぎると、粒子の融着面積が大きくなり、その結果、粒子単層膜としての形状が変化するなど、精度に影響を与える可能性がある。また、加熱を空気中で行うと基板や各粒子が酸化する可能性があるため、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。酸素を含む雰囲気下で焼結を行う場合は、後述のエッチング工程で酸化層を考慮した条件を設定することが必要となる。
[ドライエッチング工程]
以上のようにして粒子単層膜で被覆された基板原板表面を、ドライエッチングすることにより、微細構造14を有する基板12を得ることができる。
具体的には、ドライエッチングを開始すると、まず、粒子単層膜を構成している各粒子の隙間をエッチングガスが通り抜けて基板原板の表面に到達し、その部分に凹部が形成され、各粒子に対応する位置にそれぞれ凸部が現れる。引き続きドライエッチングを続けると、各凸部上の粒子も徐々にエッチングされて小さくなり、同時に、基板原板表面の凹部も深くなっていく。そして、最終的には各粒子はドライエッチングにより消失し、それとともに基板原板の表面に凹凸構造が形成される。
このとき、ドライエッチング条件(バイアス、ガス流量、堆積ガスの種類と量など)を調節することによって、形成される凸部14a、14b、14cの平均高さや形状を調節できる。
ここで、ドライエッチングに使用するエッチングガスとしては、例えば、Ar、SF、F、CF、C、C、C、C、C、CHF、CH、CHF、C、Cl、CCl、SiCl、BCl、BCl、BC、Br、Br、HBr、CBrF、HCl、CH、NH、O、H、N、CO、COなどが挙げられるが、本発明の効果を阻害しない範囲でこれらに限定されることはない。粒子単層膜を構成する粒子や基板の材質などに応じて、これらのうちの1種以上を使用できる。
使用可能なエッチング装置としては、反応性イオンエッチング装置、イオンビームエッチング装置などの異方性エッチングが可能なものであって、最小で20W程度のバイアス電場を発生できるものであれば、プラズマ発生の方式、電極の構造、チャンバーの構造、高周波電源の周波数等の仕様に特に制限はない。
本発明においてはドライエッチング工程でのエッチング選択比(基板のエッチング速度/粒子単層膜のエッチング速度)が1.0以下となるようにエッチングの各条件(粒子単層膜を構成する粒子の材質、基板の材質、エッチングガスの種類、バイアスパワー、アンテナパワー、ガスの流量と圧力、エッチング時間など)を設定することが好ましい。
例えば、粒子単層膜エッチングマスクを構成する粒子としてコロイダルシリカ粒子を選択し、基板として石英基板を選択してこれらを組み合わせた場合、エッチングガスにArやCFなどのガスを用いることで、比較的低い振幅とピッチの比のエッチングをすることができる。
また、電場のバイアスを数十から数百Wに設定すると、プラズマ状態にあるエッチングガス中の正電荷粒子は、加速されて高速でほぼ垂直に基板に入射する。よって、基板に対して反応性を有する気体を用いた場合は、垂直方向の物理化学エッチングの反応速度を高めることができる。
基板の材質とエッチングガスの種類の組み合わせによるが、ドライエッチングでは、プラズマによって生成したラジカルによる等方性エッチングも並行して起こる。ラジカルによるエッチングは化学エッチングであり、エッチング対象物のどの方向にも等方的にエッチングを行う。ラジカルは電荷を持たないためバイアスパワーの設定でエッチング速度をコントロールすることはできず、エッチングガスのチャンバー内濃度で操作することができる。荷電粒子による異方性エッチングを行うためにはある程度のガス圧を維持しなければならないので、反応性ガスを用いる限りラジカルの影響はゼロにできない。しかし、基材を冷却することでラジカルの反応速度を遅くする手法は広く用いられており、その機構を備えた装置も多いので、利用することが好ましい。
また、ドライエッチング工程において、主としてバイアスパワーを調整し、かつ、状況に応じていわゆる堆積ガスを併用することで、基板表面に、凸部底面の直径と高さとの比(凸部底面の直径/高さ)が比較的低い二次元格子構造を形成することができる。
上述のようにして、その表面に直径がそれぞれ異なる凸部14a、14b、14cを、二次元にランダムに複数配列した凹凸構造を設けた基板を形成し、該基板を鋳型として基板12を作製してもよい。
例えば、該鋳型表面の構造を基板原板に偶数回転写すると、表面に、直径がそれぞれ異なる凸部14a、14b、14cを、二次元にランダムに複数配列した凹凸構造を有する基板が得られる。
また、該鋳型表面の構造を基板原板に奇数回転写すると、表面に、直径がそれぞれ異なる凹部を、二次元にランダムに複数配列した凹凸構造を有する基板が得られる。この基板表面の凹凸構造は、鋳型表面の凹凸構造が反転した形状となる。
鋳型表面の構造の転写は、公知の方法、たとえば特開2009−158478号公報に開示されているような、ナノインプリント法、熱プレス法、射出成型法、UVエンボス法等の方法により実施できる。
転写回数が増えると微細構造の凹凸形状は鈍化するので、実用的な転写回数としては1〜4回が好ましい。
[積層工程]
上述のようにして作製した基板12の凹凸構造上に、陽極16、ホール取り出し層18、電子ブロッキング層20、有機半導体層22としての電子供与体層22aおよび電子受容体層22b、電子取り出し層24、陰極26をこの順で積層することで、有機薄膜太陽電池10が得られる。
これら各層の積層方法は、特に限定されず、一般的な有機薄膜太陽電池の製造において用いられている公知の方法を利用できる。たとえば、陽極16および陰極26は、それぞれ、スパッタリング法、真空蒸着法などによって形成できる。
[評価方法]
上記において説明した方法により、本発明による有機薄膜太陽電池10が作製できる。
ここで、図5(a)および(b)を用いて、太陽電池の電圧−電流特性について説明する。
図5(a)には太陽電池の等価回路図が示されており、また、図5(b)には太陽電池の電圧−電流特性に関する説明図が示されている。
こうした図5(a)に示す等価回路は、実際の素子を近似した回路図にあたるものであるが、最も単純なモデルを考える場合、上記図5(a)に示す回路図より抵抗成分を無視したものを用いればよい。
具体的には、図5(a)に示す抵抗成分RおよびRshを無視し電流源Iphおよびダイオード(理想ダイオードでないものとする。)のみで表される回路として考える。
こうした抵抗成分を無視した最も単純なモデルの太陽電池の暗電流の電圧−電流特性は、以下の式(2)により得られる。
I=−I{exp(qV/nkT)−1}・・・(2)
ここで、上記式(2)においては、Iは逆方向飽和電流、qは電気素量、Vは電圧、nは理想ダイオード因子、kはボルツマン定数、Tは温度を意味する。
こうした式(2)において、上記単純なモデルの場合、n=1として、pn接合の太陽電池の理想電流−電圧特性が得られるものである。
次に、実際の太陽電池素子として近似するには、上記式(2)に加えて、直列抵抗(series resistance)Rおよび並列抵抗(shunt resistance)Rsh成分を考慮する。
直列抵抗成分は、素子各部を電流が流れるときの抵抗成分であり、この値が低いほど性能が良いものである。一方、並列抵抗成分はpn接合周辺における漏れ電流(リーク電流)などによって生じるものであり、この値が高いほど性能が良いものである。
実際の素子の場合、上記式(2)に加えてこうした各抵抗成分の値が考慮された以下の式(3)により、光照射時の電流−電圧特性を得る。
I=Iph−I[exp{q(V+RI)/nkT}−1]−(V+RI)/Rsh
・・・(3)
上記式(3)より得られた太陽電池の光照射時の電流−電圧特性は図5(b)に示すような曲線となる。
なお、実際に本発明による有機薄膜太陽電池10に対して擬似太陽光を照射し、得られた値をもとに作成された電流−電圧特性が図4(a)に示されている。
次に、上記図5(b)を参照しながら、太陽電池の公称変換効率ηの算出は以下の式(4)で説明される。
なお、上記公称変換効率ηを算出するための式(4)においては、照射光による入力エネルギーをU=100mW/cm(または1000W/m)として規格化することとする。
η=Voc・Jsc・FF/U ・・・(4)
ここで、上記式(4)において、Vocとは開放電圧を示すものであり、光照射時において、外部に流れる電流が0A、即ち、端子を開放したときに生じる出力電圧を意味するものである。
こうした開放電圧Vocの値は、図4に示す光照射時の電流−電圧特性の曲線が横軸と交わる点Vocより得られる。
また、上記式(4)におけるJscとは、短絡電流密度を示すものであり、こうした短絡電流密度Jscは、以下に示す式(5)より得られる。
sc=Isc/S ・・・(5)
ここで、上記式(5)において、Iscとは短絡電流を示すもので、上記式(5)において、Sとは有効受光面積を示すものである。
短絡電流は、光照射時において、外部にかかる電圧が0V、即ち、短絡したときに生じている電流を意味するものである。太陽電池の出力Pは電圧Vと電流Iの積で与えられる。図5(b)に示す光照射時の電圧−電流特性の曲線の最大出力Pmaxにおいて得られる最大出力は、最大出力時の電圧Vmaxの値と電流Imaxの値との積より得られる。
また、上記式(4)において、FFとは曲線因子を示すものであり、こうした曲線因子FFは、上記最大出力時の電圧Vmax、最大出力時の電流Imax、開放電圧Voc、短絡電流Iscを用いて、以下の式(6)より算出される。
FF=(Vmax・Imax)/(Voc・Isc) ・・・(6)
本実施の形態においては、上記開放電圧Voc、短絡電流Iscおよび曲線因子FFを用いて、上記式(4)により太陽電池の公称変換効率ηを算出した。上記計算方法により、本発明による有機薄膜太陽電池10の評価を行うことが可能であるため、以下の実験例において、本発明による有機薄膜太陽電池10を用いてソーラーシミュレータにより擬似太陽光を照射する実験を行い、上記評価方法を用いて評価を行うことが可能である。
上記計算方法により、図3(a)に示す二つの実験例および比較例による有機薄膜太陽電池について、図3(b)および図4に示す特性を算出した。
[実験例1]
本発明による有機薄膜太陽電池10の微細構造14となる粒子単層膜を構成する粒子A、B、Cを、粒子Aとして平均粒子径=250.6nmの粒子を、粒子Bとして平均粒子径=204.2nmの粒子を、粒子Cとして平均粒子径=151.2nmの粒子を用いることとした(図3(a)を参照する。)。
そして、こうした粒子A、B、Cを用いた粒子単層膜を作成するために、平均粒子径A=250.6nmであって、粒子径の変動係数が3.0%である球形コロイダルシリカの5.0質量%水分散体(分散液)と、平均粒子径B=204.2nmであって、粒子径の変動係数が5.4%である球形コロイダルシリカの5.0質量%水分散体(分散液)と、平均粒子径C=151.2nmであって、粒子径の変動係数が7.2%である球形コロイダルシリカの5.0質量%水分散体(分散液)を分散液としてそれぞれ用意した。
なお、平均粒子径および粒子径の変動係数は、粒子の特性評価を行う分析装置であるMalvern Instruments Ltd社製Zetasizer Nano−ZSを用いて、粒子動的光散乱法で求めた粒度分布をガウス曲線にフィッティングさせて得られるピークから求めた。
ついで、上記3種類の粒子分散液を混合した。混合比は、すべての粒子が基板に単層に堆積されたときの粒子の占有面積の合計が各粒子径で1:1:1になるように調整した。
そして、3種類の粒子分散液の混合液に濃度1.0質量%のフェニルトリエトキシシランの加水分解物水溶液を加え、約40℃で3時間反応させた。この際、フェニルトリエトキシシランの質量が3種類の粒子の合計質量の0.015倍となるように分散液と加水分解水溶液とを混合した。
ついで、反応終了後の分散液に、この分散液の体積の5倍のメチルイソブチルケトンを加えて充分に攪拌して、疎水化されたコロイダルシリカを油相に抽出した。
次に、上記調整により得られた濃度1.33質量%の疎水化コロイダルシリカ分散液を、粒子単層膜の表面圧を計測する表面圧力センサーと、粒子単層膜を液面に沿う方向に圧縮する可動バリアとを備えた水槽(LBトラフ装置)中の下層水の液面(下層水として水を使用し、水温を約20℃とした)に滴下速度0.01ml/秒で滴下した。
その後、分散液の溶剤であるメチルイソブチルケトンが揮発すると、粒子単層膜が形成する。なお、水槽の下層水には、あらかじめ有機発光ダイオードの基板として用いるための石英よりなる基板(30mm×30mm×1.0mm、両面鏡面研磨)を略鉛直方向に浸漬しておいた。
次に、この粒子単層膜を、可動バリアにより、拡散圧が22〜30mN/mになるまで圧縮し、石英基板を3mm/分の速度で引き上げ、石英基板の片面上に水面の粒子単層膜を移し取った。
さらに、粒子単層膜が形成された石英基板上に、バインダーとして0.15質量%モノメチルトリメトキシシランの加水分解液を浸透させた後、加水分解液の余剰分をスピンコーター(3000rpm)で1分間処理して除去した。
そして、これを100℃で10分間加熱してバインダーを反応させ、コロイダルシリカからなる粒子単層膜エッチングマスク付きの石英基板を得た。
次に、得られた粒子単層膜エッチングマスク付き石英基板に対して、CHFガスによりドライエッチングを行って凹凸形状よりなる微細構造を備えた石英基板を得た。なお、このときのエッチング条件は、アンテナパワー1500W、バイアスパワー100W(13.56MHz)、ガス流量30sccmとした。
ここで、上記の方法により得られた微細構造を備えた石英基板表面を原子間力顕微鏡(AFM)により観察した。そのAFM像を図6に示している。
図6に示すとおり、微細構造を備えた石英基板の表面には、直径の異なる3種の円錐台形状の凸部がランダムに分布している。
こうした微細構造である凹凸形状の平均高さをAFMによって求めたところ、平均粒子径Aの粒子に対応する凸部の平均高さh、平均粒子径Bの粒子に対応する凸部の平均高さh、平均粒子径Cの粒子に対応する凸部の平均高さhはそれぞれ35.8nm、32.0nm、29.6nmであり、平均高さh、h、hの平均値は、32.5nmであった。
なお、平均高さh、h、hの算出方法は、要件Aの説明において記載している。
また、上記図6に示すAFM像に対して二次元フーリエ変換を施した。その二次元フーリエ変換像を図11に示す。該二次元フーリエ変換像においては、対応する波数のスペクトル強度が濃淡で示され、色が薄いほど強度が強く、黒い部分は有限の値を持っていない。
該スペクトルのスペクトル強度プロファイルを図7に示す。
後述の有機半導体層を用いる実験例1の太陽電池の発電に寄与する太陽光の波長域はおおよそ350nm〜650nmである。陰極材料としてアルミニウムを用いた場合、この波長に対応する表面プラズモンの波数域は33.35μm−1〜16.85μm−1となる。図7のスペクトル強度プロファイルをこの波数域で積分した値は、全波長域にわたる積分値の43.6%となっており、この実験例1による微細構造が可視光を表面プラズモンに変換するのに有効であることが示された。
なお、上記表面プラズモンの波数範囲は以下のように算出した。
ここで、上記式(7)において、波長650nmに対応するε(λmax)は、ε(λmax)=−58.6+22.9i、波長350nmに対応するε(λmin)は、ε(λmin)=−17.8+3.18i、有機薄膜層の等価的な比誘電率はε=2.89とした。なお、iは虚数単位である。
次に、上記微細構造14上に形成する各層の厚さおよび形成方法について以下に説明する。
上記凹凸形状よりなる微細構造14を有する石英基板の微細構造を含む厚さは1.2mmとした。
その微細構造面上に、陽極導電層(陽極16)としてIZOを120nmの厚さでスパッタリング法により成膜した。
次に、ホール取り出し材料としてMoOを30nmの厚さで蒸着法によって成膜し、ホール取り出し層18を形成した。
次に、電子ブロッキング材料としてTPTPAを10nmの厚さで蒸着法によって成膜して電子ブロッキング層20を形成した。
次に、有機半導体層として、電子供与型と電子受容型の2層を以下の手順で形成した。
即ち、電子ブロッキング層20上に、電子供与型有機半導体であるDBPを10nmの厚さで蒸着法によって成膜して電子供与型有機半導体層22aを形成し、次に電子受容型有機半導体であるC60を50nmの厚さで蒸着法によって成膜して電子受容型有機半導体層22bを形成した。
次に、電子取り出し材料としてBCPを10nmの厚さで蒸着法によって成膜して電子取り出し層24を形成した。
最後に、アルミニウムを100nmの厚さで蒸着法によって成膜して陰極26を形成し、底面受光型の有機薄膜太陽電池素子を完成した。蒸着にシャドウマスクを使用することにより、受光エリアは2mm×2mm(4mm)で作製した。
そして、実験例1としては、上記の方法で作製した有機薄膜太陽電池素子について、擬似太陽光(ORIEL製150W)を照射強度100mW/cm(1Sun)で照射することにより、IV特性の評価を行った。
その結果について、図3および図4に示した。図4より、上記算出方法により得られた変換効率はη=4.47%であった。
なお、図13(a)(b)には、上記実験例1で用いた有機薄膜太陽電池10の微細構造14が概念的に表されている。上記実験例1における有機薄膜太陽電池10の陰極26の基板側表面には、円錐台形状の凹部26a、26b、26cよりなる凹凸形状が形成され(図13(a)を参照する。)、基板12表面には円錐台形状の凸部14a、14b、14cのよりなる凹凸形状が形成されている(図13(b)を参照する。)。
[実験例2]
本発明による有機薄膜太陽電池10の微細構造14となる粒子単層膜の構成する粒子A、B、Cを、粒子Aとして平均粒子径=301.3nmの粒子を、粒子Bとして平均粒子径=204.2nmの粒子を、粒子Cとして平均粒子径=90.2nmの粒子を用いることとした(図3(a)を参照する。)。
そして、こうした粒子A、B、Cを用いた粒子単層膜を作成するために、平均粒子径A=301.3nmであって、粒子径の変動係数が3.2%である球形コロイダルシリカと、平均粒子径B=204.2nmであって、粒子径の変動係数が5.4%である球形コロイダルシリカと、平均粒子径C=90.2nmであって、粒子径の変動係数が9.4%である球形コロイダルシリカとを混合し、上記実験例1と同様に 分散液を作製した。
上記分散液の混合比は、水面展開時の専有面積比が1:1:1となるように混合した。
その他の調整については、実験例1と同じ操作により、石英基板表面に混合粒子をコーティングして円錐台形状の凹凸構造付き石英基板を作製し、同じ厚さ、同じ材料で構成される各電極層と各有機層とを積層し、底面受光型の有機薄膜太陽電池素子を完成した。
この素子に使用した微細構造を備えた石英基板表面の原子間力顕微鏡(AFM)像を図8に示している。また、この微細構造を備えた石英基板の凹凸構造のスペクトル強度プロファイルを図9に示している。
さらに、上記図8に示すAFM像に対して二次元フーリエ変換を施した。その二次元フーリエ変換像を図12に示している。該二次元フーリエ変換像においては、対応する波数のスペクトル強度が濃淡で示され、色が薄いほど強度が強く、黒い部分は有限の値を持っていない。
この微細構造における平均高さをAFMによって求めたところ、平均粒子径Aの粒子に対応する凸部の平均高さh、平均粒子径Bの粒子に対応する凸部の平均高さh、平均粒子径Cの粒子に対応する凸部の平均高さhはそれぞれ35.9nm、34.4nm、28.9nmであった。そして、平均高さh、h、hの平均値は、33.0nmであった。
実験例2の太陽電池の発電に寄与する太陽光の波長域は実験例1と同じくおおよそ350nm〜650nmである。従って、図9のスペクトル強度プロファイルをこの波数域で積分した値は、全波長域にわたる積分値の54.4%となっており、この実験例2による微細構造が可視光を表面プラズモンに変換するのに有効であることが示された。
そして、実験例2としては、上記の平均高さを有する微細構造を備えた石英基板を用いて、実験例1と同様の方法で準備した有機薄膜太陽電池素子について、擬似太陽光(ORIEL製150W)を照射強度100mW/cm(1Sun)で照射することにより、IV特性の評価を行った。
その結果について、図3および図4に示した。図4より、上記算出方法により得られた変換効率はη=4.34%であった。
[比較例]
比較例においては、上記実験例1および実験例2とは異なり、有機薄膜太陽電池の石英基板表面に凹凸構造を備えていない有機薄膜太陽電池を用いた。
なお、その他の調整については、実験例1と同じ操作により、同じ厚さ、同じ材料で構成される各電極層と各有機層を積層し、底面受光型の有機薄膜太陽電池素子を完成した。
この素子に使用した石英基板表面(凹凸構造なし)のスペクトル強度プロファイルを図10に示す。
こうした比較例で作製した有機薄膜太陽電池素子について、上記実験例1および実験例2と同様の方法で、IV特性の評価を行った。
その結果について、図3および図4に示した。図4より、上記算出方法により得られた変換効率はη=3.82%であった。
即ち、凹凸形状よりなる微細構造を備えた有機薄膜太陽電池10による実験例1では変換効率η=4.47%、実験例2では変換効率η=4.34%となり、微細構造を備えていない有機薄膜太陽電池による比較例では変換効率η=3.82%となり、微細構造を備えた有機薄膜太陽電池においては、光電エネルギー変換効率の向上が見られた。
上記のとおり、本発明による有機薄膜太陽電池においては、陰極表面に微細構造を導入することにより、高い光電エネルギー変換効率をもった有機薄膜太陽電池を実現することが可能となる。
以上において説明したように、本発明による有機薄膜太陽電池は、基板表面に凹凸形状の微細構造を有するようにし、微細構造を有する基板上に各層を順次積層するようにして有機半導体層と陰極との界面に微細構造を有するようにしたものである。
本発明による有機薄膜太陽電池によれば、従来の有機薄膜太陽電池に比べて高い光電エネルギー変換効率を実現することが可能になる。
また、本発明による有機薄膜太陽電池においては、有機半導体の有効発電波長域に対応した太陽光が効率よく変換されるように、基板12の表面に微細構造14である複数の凸部14aによる微細凹凸構造を形成することができる。
従って、本発明による有機薄膜太陽電池においては、有機半導体の有効発電波長域に対応した太陽光が効率よく表面プラズモン変換され、その結果光エネルギーが効率よく有機半導体に吸収されるため、従来の技術による有機薄膜太陽電池に比べて光電エネルギー変換効率を向上されることができるという優れた効果を奏する。
<その他の実施の形態>
なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(5)に示すように変形するようにしてもよい。
(1)上記した実施の形態においては、凸部14a、凸部14b、凸部14cの凹凸構造の形状は円錐台形状としたが、これに限定されるものではなく、円錐台形状の他に正弦波形状、円柱形状、円錐形状を採用してもよいものであり、また、それらを基本とした派生形状等を採用してもよいものである。
ここで、上記形状を例示した図を図14〜図16に示している。
図14(a)は凹凸構造を正弦波形状とした有機薄膜太陽電池10の陰極26が基板側表面に有する凹部26a、26b、26cの形状であり、図14(b)は凹凸構造を正弦波形状とした有機薄膜太陽電池10の基板12表面の凹凸構造14の凸部14a、14b、14cの形状である。
また、図15(a)は凹凸構造を円柱形状とした有機薄膜太陽電池10の陰極26が基板側表面に有する凹部26a、26b、26cの形状であり、図15(b)は凹凸構造を円柱形状とした有機薄膜太陽電池10の基板12表面の凹凸構造14の凸部14a、14b、14cの形状である。
また、図16(a)は凹凸構造を円錐形状とした有機薄膜太陽電池10の陰極26が基板側表面に有する凹部26a、26b、26cの形状であり、図16(b)は凹凸構造を円錐形状とした有機薄膜太陽電池10の基板12表面の凹凸構造14の凸部14a、14b、14cの形状である。
なお、これらの図においては、各凸部及び凹部の高さを一定として描いたが、これらの高さは必ずしも一定とする必要はない。
(2)上記した実施の形態においては、基板12の表面に凹凸構造を作成するために用いる粒子として、上記した実施の形態においては、異なる粒子径を有する3種の粒子の混合物を用いたものであるが、これに限定されるものではなく、2種類〜20種類の粒子径の混合物で構成してもよいものである。
また、粒度分布が広い粒子であれば、1種類の粒子径でも本発明の趣旨の効果を得ることが可能である。
ここで、1種類の粒子径で粒子マスクを構成する場合、その粒子径の変動係数は、20〜160%の範囲で可能である。
粒子径の変動係数が20%以下のものと20〜160%のものを組み合わせて粒子マスクを構成しても本発明の趣旨の効果を得ることが可能である。
(3)上記した実施の形態においては、基板12上に、微細構造14、陽極16、有機半導体層22、陰極26の順序で積層させるようにしたが、こうした順序に限られるものではないものであり、積層順序を反転させてもよいものである。
(4)上記した実施の形態において、陰極26について、金属よりなる陰極26のみから構成される例を示したが、陰極26は複数の層が積層された多層構造より構成するようにしてもよいものである。
こうした多層構造の陰極導電層である場合、少なくとも1層を金属層であるようにすればよいものであり、金属層以外の他の層は、金属材料から作製されるものであっても、金属以外の導電材料から作製されるものであってもよい。
ここで、金属以外の導電材料の例としては、例えば、陽極16を構成する材料として挙げたITO、IZO、ZnO、ZTO等が挙げられる。
(5)上記した実施の形態ならびに上記した(1)乃至(4)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
本発明は、種々の環境下において使用される有機薄膜太陽電池を製造する際に利用することができるものである。
10 有機薄膜太陽電池
12 基板
14 微細構造
14a、14b、14c 凸部
16 陽極
18 ホール取り出し層
20 電子ブロッキング層
22 有機半導体層
24 電子取り出し層
26 陰極

Claims (10)

  1. 基板上に少なくとも陽極と有機半導体層と陰極とを積層させて構成される有機薄膜太陽電池であって、該有機半導体層と該陰極との界面に凹凸形状の微細構造を有する有機薄膜太陽電池において、
    表面に複数の凹部または凸部をランダムに二次元に配列した凹凸形状を備えた基板と、
    前記基板上に順次積層されて前記凹凸形状が複写された陽極と有機半導体層と陰極と
    を有し、
    前記凹凸形状が、下記要件(A)および(B)を満たす
    ことを特徴とする有機薄膜太陽電池。

    要件(A):前記凹凸形状の平均高さが15nm以上180nm以下である。
    要件(B):前記凹凸形状の高さ分布のスペクトル強度が、波数k(波数とは、空間周波数に2πを掛けたものである)が式(1)に示される範囲内にあるときに有限の値を持ち、かつ、高さ分布のスペクトル強度の該範囲での積分値が高さ分布のスペクトル強度の全波数域にわたる積分値の35%以上を占める値を持つこととし、式(1)において、ε(λ)は、前記陰極を構成する金属の比誘電率を示すものであり、ε(λ)は、有機薄膜層の等価的な比誘電率を示すものであり、λmaxは、発電に利用する太陽光の最大波長を示すものであり、λminは、発電に利用する太陽光の最小波長を示すものであり、Re[ ]は複素数の実部を示すものとする。
  2. 少なくとも陽極と有機半導体層と陰極とを積層させて構成される有機薄膜太陽電池を製造するための有機薄膜太陽電池用の基板において、
    表面に複数の凹部または凸部がランダムに二次元に配列した凹凸形状を備え、
    前記凹凸形状が、下記要件(A)および(B)を満たす
    ことを特徴とする有機薄膜太陽電池用の基板。

    要件(A):前記凹凸形状の平均高さが15nm以上180nm以下である。
    要件(B):前記凹凸形状の高さ分布のスペクトル強度が、波数k(波数とは、空間周波数に2πを掛けたものである。)が式(1)に示される範囲内にあるときに有限の値を持ち、かつ、高さ分布のスペクトル強度の該範囲での積分値が高さ分布のスペクトル強度の全波数域にわたる積分値の35%以上を占める値を持つこととし、式(1)において、ε(λ)は、前記陰極を構成する金属の比誘電率を示すものであり、ε(λ)は、有機薄膜層の等価的な比誘電率を示すものであり、λmaxは、発電に利用する太陽光の最大波長を示すものであり、λminは、発電に利用する太陽光の最小波長を示すものであり、Re[ ]は、複素数の実部を示すものとする。
  3. 基板上に少なくとも陽極と有機半導体層と陰極とを積層させて構成される有機薄膜太陽電池を製造する有機薄膜太陽電池の製造方法であって、
    前記有機半導体層と前記陰極との界面に凹凸形状の微細構造を形成する有機薄膜太陽電池の製造方法において、
    複数種類の粒径の粒子からなる粒子単層膜をエッチングマスクとしたドライエッチング法により、前記基板の表面に複数の凹部または凸部がランダムに二次元に配列した凹凸形状を作製し、前記凹凸形状が複写されるように前記陽極と前記有機半導体層と前記陰極とを順次積層させるものとし、
    前記粒子単層膜を粒子径の異なる複数の粒子の混合物を用いて形成し、下記要件(A)および(B)を満たす
    ことを特徴とする有機薄膜太陽電池の製造方法。

    要件(A):前記凹凸形状の平均高さが15nm以上180nm以下である。
    要件(B):前記凹凸形状の高さ分布のスペクトル強度が、波数k(波数とは、空間周波数に2πを掛けたものである。)が式(1)に示される範囲内にあるときに有限の値を持ち、かつ、高さ分布のスペクトル強度の該範囲での積分値が高さ分布のスペクトル強度の全波数域にわたる積分値の35%以上を占める値を持つこととし、式(1)において、ε(λ)は、前記陰極を構成する金属の比誘電率を示すものであり、ε(λ)は、有機薄膜層の等価的な比誘電率を示すものであり、λmaxは、発電に利用する太陽光の最大波長を示すものであり、λminは、発電に利用する太陽光の最小波長を示すものであり、Re[ ]は、複素数の実部を示すものとする。
  4. 請求項に記載の有機薄膜太陽電池の製造方法において、
    複数種類の粒径の粒子からなる粒子単層膜をエッチングマスクとしたドライエッチング法によって、複数の凸部または凹部がランダムに二次元に配列した構造が形成された原盤を作製し、
    前記原盤から電鋳法、ナノインプリント法、射出成形法またはUVエンボス法のいずれかの方法で作成した転写体を鋳型とし、
    前記鋳型からナノインプリント法、射出成形法またはUVエンボス法のいずれかの方法により前記鋳型に形成された複数の凸部または凹部がランダムに二次元に配列した微細凹凸構造を前記基板の表面に転写して、前記基板の表面に複数の凸部または凹部がランダムに二次元に配列した微細凹凸構造を形成する
    ことを特徴とする有機薄膜太陽電池の製造方法。
  5. 少なくとも陽極と有機半導体層と陰極とを積層させて構成される有機薄膜太陽電池を製造するための有機薄膜太陽電池用の基板の製造方法であって、
    表面に複数の凹部または凸部がランダムに二次元に配列した凹凸形状を形成した有機薄膜太陽電池用の基板の製造方法において、
    複数種類の粒径の粒子からなる粒子単層膜をエッチングマスクとしたドライエッチング法により、前記基板の表面に複数の凹部または凸部がランダムに二次元に配列した凹凸形状を作製し、前記凹凸形状が複写されるように前記陽極と前記有機半導体層と前記陰極とを順次積層させるものとし、
    前記粒子単層膜を粒子径の異なる複数の粒子の混合物を用いて形成し、下記要件(A)および(B)を満たす
    ことを特徴とする有機薄膜太陽電池用の基板の製造方法。

    要件(A):前記凹凸形状の平均高さが15nm以上180nm以下である。
    要件(B):前記凹凸形状の高さ分布のスペクトル強度が、波数k(波数とは、空間周波数に2πを掛けたものである。)が式(1)に示される範囲内にあるときに有限の値を持ち、かつ、高さ分布のスペクトル強度の該範囲での積分値が高さ分布のスペクトル強度の全波数域にわたる積分値の35%以上を占める値を持つこととし、式(1)において、ε(λ)は、前記陰極を構成する金属の比誘電率を示すものであり、ε(λ)は、有機薄膜層の等価的な比誘電率を示すものであり、λmaxは、発電に利用する太陽光の最大波長を示すものであり、λminは、発電に利用する太陽光の最小波長を示すものであり、Re[ ]は、複素数の実部を示すものとする。
  6. 請求項に記載の有機薄膜太陽電池用の基板の製造方法において、
    複数種類の粒径の粒子からなる粒子単層膜をエッチングマスクとしたドライエッチング法によって、複数の凸部または凹部がランダムに二次元に配列した構造が形成された原盤を作製し、
    前記原盤から電鋳法、ナノインプリント法、射出成形法またはUVエンボス法のいずれかの方法で作成した転写体を鋳型とし、
    前記鋳型からナノインプリント法、射出成形法またはUVエンボス法のいずれかの方法により、前記鋳型に形成された複数の凸部または凹部がランダムに二次元に配列した微細凹凸構造を前記基板の表面に転写して、前記基板の表面に複数の凸部または凹部がランダムに二次元に配列した微細凹凸構造を形成する
    ことを特徴とする有機薄膜太陽電池用の基板の製造方法。
  7. 請求項1に記載の有機薄膜太陽電池において、
    前記基板は透明材料よりなる
    ことを特徴とする有機薄膜太陽電池。
  8. 請求項に記載の有機薄膜太陽電池用の基板において、
    前記基板は透明材料よりなる
    ことを特徴とする有機薄膜太陽電池用の基板。
  9. 請求項またはのいずれか1項に記載の有機薄膜太陽電池の製造方法において、
    前記基板は透明材料よりなる
    ことを特徴とする有機薄膜太陽電池の製造方法。
  10. 請求項またはのいずれか1項に記載の有機薄膜太陽電池用の基板の製造方法において、
    前記基板は透明材料よりなる
    ことを特徴とする有機薄膜太陽電池用の基板の製造方法。
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