JP6369403B2 - 半導体装置 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体装置に関する。特に、半導体素子を収容したパワーカードと冷却器とが絶縁部材を挟んで積層されている半導体装置に関する。
上記したタイプの半導体装置は、例えば電気自動車の駆動系のインバータに用いられる。特許文献1の半導体装置では、半導体モジュールと絶縁部材とは間にグリスを介在させることによって、半導体素子に対する冷却性能が高めている。
特開2007−165620号公報
上記の技術では、半導体モジュール(即ちパワーカード)と絶縁板との間に塗布されたグリスは、半導体素子の発熱と冷却の繰り返し(熱サイクル)で生じるポンピングやブリードアウトと呼ばれる現象により、パワーカードと絶縁部材との間から流出する場合がある。
ポンピングとは、パワーカードの熱変形により、パワーカードと冷却部材の間の隙間幅が局所的に狭まったり元に戻ったりする現象である。隙間幅が狭まるとグリスがパワーカードと絶縁板の間の隙間から押し出され、隙間幅が元に戻る際にグリスは隙間に吸い込まれる。隙間幅が元に戻る際に一部のグリスはグリス塊から千切れて元の位置にもどりきれずに、その箇所に空気が入り込む。ブリードアウトは、グリス自体の熱膨張収縮によりパワーカードと冷却部材の隙間からグリスが離脱する現象である。膨張したグリスが収縮する際、一部のグリスがグリス塊から千切れて元の位置に戻り切れず、その箇所に空気が入り込む。空気はグリスよりも熱伝導係数が低い。また、ポンピングやブリードアウトは、発熱源である半導体素子の付近で特に顕著である。従って、熱サイクルが累積するうちにパワーカードと絶縁板の間に徐々に空気が拡がり、パワーカード(半導体素子)に対する冷却性能が低下する。
グリスのような流動性を有する放熱材以外に、ゲル状の放熱材も同様に、パワーカードと絶縁板の間から放熱材が離脱する場合がある。
本明細書は、パワーカードと絶縁板の間から放熱材が離脱することを防止するための技術を提供する。
本明細書が開示する技術は、半導体素子を収容したパワーカードと冷却器とが絶縁部材を挟んで積層されている半導体装置に関する。半導体装置では、パワーカードと絶縁部材との間と絶縁部材と冷却器との間の少なくとも一方には、複数の凹部を有する金属板と、少なくとも複数の凹部内に配置されるゲル状又は流動性を有する放熱材と、が挟まれている。
上記の構成では、金属板が放熱材の移動に対する抵抗となり、放熱材がポンピングやブリードアウトによって放熱材がパワーカードと絶縁板の間から離脱することを抑制することができる。
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
第1実施例の半導体装置の斜視図である。 図1の座標系におけるXY平面でカットした半導体装置の断面図である。 第1実施例の放熱層の平面図である。 図3のIV-IV断面の断面図である。 第1変形例の金属板の平面図である。 第2変形例の金属板の平面図である。 第3変形例の放熱層の平面図である。 第4変形例の放熱層の断面図である。 第5変形例の放熱層の断面図である。 第6変形例の放熱層の平面図である。 図10のXI-XI断面の断面図である。
(第1実施例)
図面を参照して実施例の半導体装置2を説明する。図1は、第1実施例の半導体装置2の斜視図である。半導体装置2は、複数のパワーカード10と複数の冷却器3が積層されたユニットである。なお、図1では、一つのパワーカードだけに符号10を付し、他のパワーカードには符号を省略している。同様に、図1では、一つの冷却器だけに符号3を付し、他の冷却器には符号を省略している。また、半導体装置2の全体が見えるように、半導体装置2を収容するケース31は仮想線で描いてある。1個のパワーカード10は、2個の冷却器3に挟まれる。パワーカード10と一方の冷却器3との間、及び、パワーカード10と他方の冷却器3との間には、それぞれ絶縁板6a、6bが挟まれている。パワーカード10と絶縁板6a、6bの間には、放熱層8が挟まれる。絶縁板6a、6bと冷却器3の間にはグラファイトシート11が挟まれている。図1では放熱層8とグラファイトシート11の図示は省略している。また、図1は、理解し易いように、1個のパワーカード10とパワーカード10を挟む2個の絶縁板6a、6bを半導体装置2から抜き出して描いてある。
一つのパワーカード10には4個の半導体素子が収容されている。4個の半導体素子は、具体的には、2個のトランジスタTa、Tbと、2個のダイオードDa、Dbである。冷却器3を通る冷媒により、半導体素子が冷却される。冷媒は液体であり、典型的には水である。
パワーカード10と冷却器3は、共に平板型であり、複数の側面のうち最大面積の平坦面が対向するように積層されている。パワーカード10と冷却器3は交互に積層されており、ユニットの積層方向の両端には冷却器が位置している。複数の冷却器3は、連結パイプ5a、5bで連結されている。ユニットの積層方向の一端に位置する冷却器3には、冷媒供給管4aと冷媒排出管4bが連結されている。冷媒供給管4aを通じて供給される冷媒は、連結パイプ5aを通じて全ての冷却器3に分配される。冷媒は各冷却器3を通る間に隣接するパワーカード10から熱を吸収する。各冷却器3を通った冷媒は連結パイプ5bを通り、冷媒排出管4bから排出される。
半導体装置2はケース31に収容される際、ユニットの積層方向の他端側に板バネ32が挿入される。その板バネ32により、パワーカード10と絶縁板6a、6bと冷却器3の積層されたユニットには、積層方向の両側から荷重が加えられる。その荷重は、例えば3[kN]である。後述するように、絶縁板6a、6bとパワーカード10の間には放熱層8が配置されている。3[kN]という高い荷重は、放熱層8に配置されるグリス8aの層を薄く引き延ばし、パワーカード10から冷却器3への伝熱効率を高める。パワーカード10は、直接的には絶縁板6a、6bに熱を奪われる。半導体装置2は、半導体素子(各素子Ta、Tb、Da、Db)を収容したパワーカード10に放熱層8を挟んで絶縁板6a、6bが接しているとともに、パワーカード10と冷却器3の間の放熱層8を薄くするように積層方向に荷重が加えられているデバイスである。
パワーカード10を説明する。パワーカード10において、絶縁板6aと対向する一方の平坦面10aには、放熱板16a、16bが露出している。平坦面10aとは反対側の平坦面10bには、別の放熱板17(図1では不図示)が露出している。平坦面10bにはグリスを挟んで絶縁板6bが接している。パワーカード10の上面(図中Z軸の正方向を向く面)からは3本の電極端子7a、7b、7cが伸びており、下面(図中Z軸方向の負方向を向く面)からは制御端子29が伸びている。
図2を参照してパワーカード10と冷却器3との間の構造について説明する。図2は、図1のパワーカード10を図中の座標系のXY面に平行な平面であってトランジスタTaとTbを横切る平面でカットした断面図である。
先に、パワーカード10の内部構造を説明する。4個の半導体素子(トランジスタTa、Tb、ダイオードDa、Db)は、樹脂製のパッケージ13に収容されている。パッケージ13は、射出成形により形成され、半導体素子を封止する。なお、以下では、パワーカード10の平坦面10a、10bをパッケージ13の平坦面10a、10bと称する場合がある。
いずれの半導体素子も平坦なチップである。トランジスタTa(Tb)のチップの一方の平坦面にはコレクタ電極が露出しており、他方の平坦面にはエミッタ電極が露出している。トランジスタTaの一方の平坦面の電極はハンダ15により放熱板16aの裏面に接合している。放熱板16aの表面は、パッケージ13の平坦面10aに露出している。トランジスタTaの他方の平坦面の電極は、導電性のスペーサ14を介してハンダ15により放熱板17の裏面に接合している。放熱板17の表面は、パッケージ13の平坦面10bに露出している。なお、トランジスタTa(Tb)のゲート電極は、チップの一方の平坦面の端に設けられている。また、トランジスタTbの各電極もトランジスタTaと同様に、ハンダ15とスペーサ14を利用して放熱板16bと放熱板17に接合している。
放熱板16aは、電極端子7aの一部である。トランジスタTaの電極を外部の他のデバイスと接続するための電極端子7aにおいて、パッケージ13の平坦面10aに露出している部位が放熱板16aに相当する。電極端子7aはトランジスタTaの電極と接しているので、トランジスタTaの内部の熱を伝えやすい。一方、冷却器3はアルミニウム(導電性の金属)で作られているので、放熱板16aと絶縁する必要がある。それゆえ、半導体装置2は、冷却器3と放熱板16a(パワーカード10)との間に絶縁板6aを挟んでいる。絶縁板6a、6bは、薄くて絶縁性が高く、伝熱性も良いセラミックスで作られている。放熱板16a(電極端子7a)及びスペーサ14は、導電性と伝熱性に優れた銅で作られている。放熱板16b、放熱板17も同様である。
放熱板16b、17も夫々、放熱板16aと同様に、電極端子7b、7cの一部である。また、ダイオードDa、Dbも、トランジスタTa、Tbと同様に、平坦なチップである。ダイオードDa、Dbの平坦面に露出している電極は、トランジスタTa、Tbと同様に、放熱板16a、16b、17に接続している。
パッケージ13の平坦面10aと絶縁板6aの間には、放熱層8が配置されている。図3、図4に示すように、放熱層8は、金属板8bとグリス8aとを備える。なお、図2では、放熱層8の断面は簡略化して示されている。金属板8bは、平坦面10aよりも若干小さい。金属板8bは、少なくとも放熱板16a、16bと対向している。金属板の厚みは100μm以下である。金属板8bは、複数の貫通孔8cを有する。金属板8bは、銅等の熱伝導性が高い金属で作製されている。
金属板8bの表裏面は、グリス8aによって全面的に覆われている。金属板8bの表裏面を覆うグリス8aの厚みは、それぞれ100μm以下である。グリス8aは、複数の貫通孔8cのそれぞれを貫通して、金属板8bの表裏面を覆うグリス8aを連結している。放熱層8では、平坦面10aと絶縁板6aとのそれぞれに対して、グリス8aが接触しており、金属板8bは接触していない。同様に、パッケージ13の平坦面10bと絶縁板6bの間にも、放熱層8が挟まれている。
絶縁板6aと冷却器3の間には、グラファイトシート11が挟まれている。グラファイトシート11は、絶縁板6aと冷却器3のそれぞれに接触している。同様に、絶縁板6bと冷却器3の間にも、グラファイトシート11が挟まれている。
パワーカード10の平坦面10aと冷却器3の間は、パワーカード10、放熱層8(即ちグリス8a、金属板8b、グリス8a)、絶縁板6a、グラファイトシート11、冷却器3の順に積層されている。また、パワーカード10の平坦面10bと冷却器3の間は、パワーカード10、放熱層8(即ちグリス8a、金属板8b、グリス8a)、絶縁板6b、グラファイトシート11、冷却器3の順に積層されている。
本実施例の効果について説明する。以下、放熱板16aと絶縁板6aの間を例にとって説明する。従来では、パワーカード10がグリス8aを挟んで絶縁板6aに接しているとともにパワーカード10と絶縁板6aの積層方向に荷重が加えられている半導体装置において、当該荷重によりグリス8aは薄く引き延ばされる。グリス8aが薄く延ばされると、パワーカードの発熱により、ポンピングあるいはブリードアウトによって、グリス8aがパワーカードと冷却部材の隙間から脱落する虞が生じる。本実施例の構成によれば、グリス8aは、金属板8bの表裏面を覆うとともに、貫通孔8cを通過するグリス8aによって金属板8bの表裏面のグリス8aが連結されている。この構成によれば、貫通孔8cを通過するグリス8aが、貫通孔8cの周縁の金属板8bに係合して、グリス8aが金属板8bの面方向に平行に移動することを抑制することができる。この結果、グリス8aが放熱板16aと絶縁板6aの間から離脱することを抑制することができる。
さらに、仮にグリス8aが離脱したとしても、金属板8bが、放熱板16aと絶縁板6aに直接接触することによって、放熱板16aから絶縁板6aに熱を伝達することができる。
放熱板16bと絶縁板6aの間、放熱板17と絶縁板6bの間でも上述と同様の効果が得られる。
実施例で説明した技術に関する留意点を述べる。図では、理解を助けるため、放熱層の厚み、などを強調して描いることに留意されたい。
図2に示したように、冷却器3の内部は単純な空洞である。冷却器3の内部空間には、絶縁板6a、6bと接する側板の裏面に接するフィンを設けてもよい。
放熱層8の金属板の貫通孔の形状や配置は、金属板8bの貫通孔8cの形状(即ち円形)及び配置に限られない。例えば、放熱層8は、金属板8bに替えて、図5に示す金属板108bあるいは図6に示す金属板208bを備えていてもよい。金属板108b、金属板208bでは、貫通孔108c、208cが放熱板16a、16b、17と対向する部分に集中的に配置されていてもよい。
また、例えば、金属板8bに替えて、図7に示す金属板308bを備えていてもよい。金属板308bの貫通孔308cは、三角形であってもよい。なお、金属板308bでは、図7の上から2、4行目の貫通孔308cのそれぞれが、1、3、5行目の貫通孔308cのそれぞれに対して、上下方向反転して形成されている。しかしながら、2、4行目の貫通孔308cは、1、3、5行目の貫通孔308cと同様の方向で形成されていてもよい。また、金属板8bの貫通孔8cは、三角形以外の多角形であってもよい。
また、半導体装置2は、放熱層8に替えて、図8に示す放熱層408を備えていてもよい。放熱層408は、放熱層8と同様の金属板8bと放熱層8と異なるグリス408aを備えていてもよい。グリス408aは、貫通孔8c内に配置されている一方、金属板8bの表裏面のいずれにも配置されていなくてもよい。なお、グリスは、金属板8bの表裏面の一方に配置されていてもよい。
あるいは、半導体装置2は、放熱層8に替えて、図9に示す放熱層508を備えていてもよい。放熱層508は、金属板508bとグリス508aを備えていてもよい。金属板508bは、金属板508bの表裏面の一方から他方に向かって窪む凹部508cを有していてもよい。凹部508cは、金属板508bを貫通していない。グリス508aは、凹部508cの内部及び金属板508bの表裏面のうち凹部508cが配置されている側の面に配置されていてもよい。
また、半導体装置2は、放熱層8に替えて、図10、図11に示す放熱層608を備えていてもよい。放熱層608は、複数の金属部608bを内包するゲル状の放熱材608aを備えていてもよい。金属部608bは、厚み100μm以下の円柱形状を有していてもよい。放熱材608aは、厚み300μm以下の平板形状を有していてもよい。なお、放熱材608aは、グリスであってもよい。また、金属部608bは、円柱形状でなくてもよく、多角柱形状であってもよいし、球体等の3次元形状を有していてもよい。本変形例の構成は、以下のように表現することができる。
半導体素子を収容したパワーカードと冷却器とが絶縁部材を挟んで積層されている半導体装置であって、
前記パワーカードと前記絶縁部材との間には、複数の金属部を包含するゲル状又は流動性を有する放熱材と、が挟まれている半導体装置。
上記のグリス8a等は、ゲル状の放熱材であってもよい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2:半導体装置
3:冷却器
6a、6b:絶縁板
8:放熱層
8a:グリス
8b:金属板
8c:貫通孔
10:パワーカード
11:グラファイトシート
14:スペーサ
15:ハンダ
16a:放熱板
16b:放熱板
17:放熱板

Claims (1)

  1. 半導体素子を収容したパワーカードと冷却器とが絶縁部材を挟んで積層されている半導体装置であって、
    前記パワーカードと前記絶縁部材との間と前記絶縁部材と前記冷却器との間の少なくとも一方には、複数の凹部を有する金属板と、少なくとも前記複数の凹部内に配置されるゲル状又は流動性を有する放熱材と、が挟まれている半導体装置。
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