JP2016054175A - 半導体装置 - Google Patents

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▲高▼人 村田
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Abstract

【課題】グリス抜け及び伝熱性能の低下を抑制する技術を提供する。【解決手段】本明細書で開示する半導体装置2は、絶縁板20の放熱板側面20bと冷却器側面20aの両面には、積層方向(X軸方向)から見て放熱板14−17を介して半導体チップ12、13と重なる領域を囲む環状溝21a、21b、25a、25bが夫々設けられている。溝内部を含め、絶縁板20と放熱板14−17の間、及び、絶縁板20と冷却器3との間にはグリスが塗布されている。放熱板側面20bの環状溝21b、25bに囲まれる第1面積は、当該領域の面積よりも大きく、冷却器側面20aの環状溝21a、25aに囲まれる第2面積は、第1面積よりも大きい。そのため、半導体チップ12、13の直下部分ではグリスが薄い層になり、半導体チップ12、13の直下部分を囲むようにグリスが厚い層になる。【選択図】図1

Description

本明細書が開示する技術は半導体装置に関する。特に、半導体素子を封止したパワーカードが絶縁板とグリスを介して冷却部材に接している半導体装置に関する。
電力を変換するパワー半導体素子は発熱量が大きく、そのような半導体素子を収容したパワーカードには冷却部材が取り付けられることがある。パワーカードに冷却部材が取り付けられた半導体装置の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1の半導体装置は、パワーカードとして、半導体チップ(半導体素子)がはんだ付けされた導体回路付絶縁基板を半導体チップとともに封止した樹脂筐体を備えている。樹脂筐体の表面には、導体回路付絶縁基板の放熱平面が露出しており、放熱平面がサーマルグリス(グリス)を介してヒートシンク(冷却部材)に接している。この放熱平面に、互いに分離された多数の凹部を形成する。サーマルグリス中に発生した小さいボイドをこれらの凹部に捕捉してボイドの移動を妨げる。これにより、小さいボイドが集合して大きなボイドを形成しないようにしている。ボイドの面積が大きい場合、放熱性能の低下につながるからである。
また、半導体装置の他の例として、半導体モジュール実装構造が特許文献2に開示されている。特許文献2の実装構造では、パワーカードとしての半導体モジュールは、半導体チップと、半導体チップを樹脂封止した樹脂封止部と、樹脂封止部の表面に露出して半導体チップの放熱を行う放熱板と、を備えており、放熱板がグリスを介して熱吸収部材(冷却部材)に接している。樹脂封止部及び熱吸収部材のうちの一方又は双方に放熱板の周囲を矩形枠状に囲む凸状の阻止部を形成する。これにより、放熱板と熱吸収部材の間に充填されたグリスが外部に流出したり、これらの間に外部から異物が混入したりすることを阻止する。
特開2013−120866号公報 特開2012−004358号公報
上記特許文献1に開示される半導体装置では、導体回路付絶縁基板の放熱平面に多数の凹部を形成する。そのため、ヒートシンクに対する導体回路付絶縁基板の接触面積が減少する。特に、半導体チップの放熱に支配的な半導体チップの直下部分の導体回路付絶縁基板にも凹部が存在することから、大きなボイドの形成を阻止する反面、伝熱効率が低下してしまう。また、上記特許文献2に開示される半導体モジュール実装構造では、放熱板の周囲を凸状の阻止部で矩形枠状に囲む。そのため、阻止部の高さ分、グリスが充填されることから、グリスの膜厚が厚くなってしまう。一般に、グリスの膜厚は、薄いほど伝熱効率がよい。そのため、グリスの厚膜化につながる当該阻止部の形成は、伝熱効率を重視する構成では、あまり得策であるとは言えない。
ところで、パワーカードと冷却部材の間にグリスを塗布した場合、半導体装置を長期間使っているうちに、ポンピング及びブリードアウトと呼ばれる現象により放熱板と冷却部材の間から徐々にグリスが流出し、代わりに空気の層が拡がっていくことがある。放熱板と冷却部材の間に空気の層が拡がると伝熱効率が低下する。ポンピングとは以下の現象である。なお、以下では、放熱板と冷却部材の間の隙間を狭空間と称する。また、放熱板と冷却部材の積層方向から見たときの半導体素子の位置(発熱の中心)とその周囲を便宜上、「中央」、「周囲」と称する。
半導体の発熱により放熱板が面外変形を生じると、狭空間の幅が狭まる。幅の狭まりは中央で顕著になる。狭空間の体積が減少するのでグリスは中央から周囲へと追い出される。放熱板が冷えると面外変形が元に戻り、狭空間の体積が元に戻る。このとき、グリスは中央に向かって吸い込まれるが、グリスの一部がグリス塊から千切れ、元の位置に戻れなくなり、空気が侵入する。
一方、ブリードアウトは、グリスそのものの熱膨張収縮に起因する現象である。グリスの温度が上昇すると狭空間にてグリスが膨張する。中央の温度上昇が顕著であるので、グリスは中央から周囲へと膨張する。グリスの温度が低下すると、狭空間にて周囲から中央に向かってグリスが収縮する。グリスが収縮する際、一部のグリスがグリス塊から千切れ、元の位置に戻れなくなり、空気が侵入する。なお、グリスが流出することは、「グリス抜け」と呼ばれることがある。放熱板と冷却部材の間の隙間幅(即ち、グリスの層の厚み)は小さい方が伝熱効率は良いが、隙間幅が小さいとグリス抜けが生じ易くなる。
つまり、グリス抜けの抑制と伝熱性能の向上は、背反した関係にある。本明細書は、伝熱性能をできるだけ低下させずにグリス抜けを抑制する技術を提供する。
本明細書が開示する半導体装置は、パワーカードと冷却部材が絶縁板を介して積層されており、パワーカードと絶縁板の間、及び、絶縁板と冷却部材の間にグリスを塗布している。半導体素子を封止する絶縁性の筐体の内部で半導体素子と導通している放熱板は、筐体の表面に露出して絶縁板と対向する。そのため、放熱板と絶縁板の間にも塗布されたグリスが挟まれている。そして、絶縁板の放熱板に対向する第1側面と冷却部材に対向する第2側面、つまり絶縁板の両面には、積層方向から見て放熱板を介して半導体素子と重なる領域を囲む環状溝が夫々設けられてグリスが充填されている。第1側面の第1環状溝に囲まれる第1面積は、領域の面積よりも大きく、第2側面の第2環状溝に囲まれる第2面積は、第1面積よりも大きい。
このため、絶縁板の第1側面に設けられる第1環状溝の内側では、放熱板と絶縁板の間の隙間幅が小さくなり、第1環状溝内では放熱板と絶縁板の間の隙間幅が大きくなる。即ち、半導体素子の直下部分ではグリスの層の厚さが薄くなり、当該直下部分を囲むようにグリスの層が厚くなる。これにより、第1環状溝がグリス溜まりとして機能するとともに、発熱の中心部分である半導体素子の直下部分においては、絶縁板の第1側面にグリスの薄い層を介して接触する範囲を当該直下部分及びその近傍程度に留める。そのため、ポンピング及びブリードアウトが生じてグリスが流出しても、第1環状溝内に充填されるグリスによりグリスが補われるため、絶縁板の第1側面におけるグリス抜けが抑制される。また、第1側面においては、放熱板の発熱の中心部分に伝熱性能を高める。
これに対して、絶縁板の第2側面に設けられる第2環状溝は、それによって囲まれる第2面積が第1環状溝よって囲まれる第1面積よりも広い。つまり、絶縁板の第2側面では、半導体素子の直下部分及びその近傍程度よりも広い範囲においてグリスの層の厚さが薄くなる。またこの範囲を囲むようにグリスの厚い層が拡がる。これにより、第2環状溝がグリス溜まりとして機能するとともに、発熱の中心部分である半導体素子の直下部分においては、絶縁板の第2側面にグリスの薄い層を介して接触する範囲が当該直下部分及びその近傍程度よりも拡がる。そのため、ポンピング及びブリードアウトが生じてグリスが流出しても、第2環状溝内に充填されるグリスによりグリスが補われるため、絶縁板の第2側面におけるグリス抜けが抑制される。また、グリスの薄い層の面積(第2面積)が第1側面の第1面積よりも広いため、第1側面から第2側面に向けて拡散するような熱が伝わる。
本明細書が開示する半導体装置は、半導体素子の直下部分ではグリスの層を薄くして伝熱性能を確保するとともに、上記の通り第1環状溝と第2環状溝を備えることでグリス抜けを抑制する。本明細書が開示する技術の詳細、及び、さらなる改良は、発明の実施の形態で説明する。
実施例の半導体装置の斜視図である。 パワーカードを積層方向(X軸の負方向)から見た正面図である。 絶縁板の斜視図である。 絶縁板のうち、図3に示すIV方向側の半分をX軸方向から見た図であり、(A)はX軸の負方向から見た正面図、(B)はX軸の正方向から見た背面図である。 図4に示すV−V線においてXZ平面で半導体装置の一部をカットした断面図である。 (A)は図5に示す一点鎖線VIA内を示す拡大断面図であり、(B)は比較例において(A)に相当する拡大断面図である。
図面を参照して実施例の半導体装置を説明する。図1は、実施例の半導体装置2の斜視図である。半導体装置2は、複数のパワーカード10と複数の冷却器3が積層されたユニットである。なお、図1では、一つのパワーカードだけに符号10を付して、他のパワーカードには符号を省略している。また、半導体装置2の全体が見えるように、半導体装置2を収容するケース31は仮想線で描いてある。なお、パワーカード10と絶縁板20の間、及び、絶縁板20と冷却器3の間には放熱用のグリスが塗布されているが、図1ではグリスの図示は省略している。
一つのパワーカード10の筐体11には2個の半導体素子が封止されている。具体的には、半導体素子は、半導体チップ12、13である。半導体チップ12、13は、パワートランジスタである。半導体チップ12、13、例えば、図1に示すように、凸字形状を横倒しにしたような平面形状を有している。半導体チップ12、13は、パワーカード10の幅方向(図中Y軸方向)のほぼ中心に左右対称に位置するようにパワーカード10に内蔵されている。パワーカード10の筐体11は樹脂製である。パワーカード10の内部構造については後述する。冷却器3を通る冷媒により、半導体素子が冷却される。冷媒は液体であり、典型的には水である。
パワーカード10と冷却器3は、共に平板型を成しており、複数の側面のうち最大面積の平坦面が対向するように積層されている。パワーカード10と冷却器3の積層方向の両端には冷却器3が位置している。パワーカード10と冷却器3の間には絶縁板20が挟まれている。各パワーカード10は、その両面の夫々に、絶縁板20を挟んで冷却器3が対向している。
複数の冷却器3は、連結パイプ5a、5bで連結されている。積層方向(図中X軸方向)の一端の冷却器3には、冷媒供給管4aと冷媒排出管4bが連結されている。冷媒供給管4aを通じて供給される冷媒は、連結パイプ5aを通じて全ての冷却器3に分配される。冷媒は各冷却器3を通る間に隣接するパワーカード10から熱を吸収する。各冷却器3を通った冷媒は連結パイプ5bを通り、冷媒排出管4bから排出される。
半導体装置2は、ケース31に収容される際、積層方向(図中X軸方向)の一端側に板バネ32が挿入される。その板バネ32により、パワーカード10と絶縁板20と冷却器3の積層ユニットには、積層方向の両側から荷重が加えられる。その荷重は、例えば3[kN]である。後述するように絶縁板20とパワーカード10の間にはグリスが塗布されるが、3[kN]という高い荷重は、後述する環状溝内を除いてグリスの層を薄く引き延ばし、パワーカード10から冷却器3への伝熱効率を高める。
パワーカード10は、直接的には絶縁板20に熱を奪われるが、発熱の大部分は冷却器3を流れる冷媒と熱交換されて放熱される。半導体装置2は、2個の半導体チップ12、13(半導体素子)を収容したパワーカード10にグリスを挟んで絶縁板20(冷却部材)が接しているとともに、パワーカード10と絶縁板20が密着するようにそれらの積層方向に荷重が加えられているデバイスである。
次に、図1に加えて図2を参照してパワーカード10を説明する。図2は、パワーカード10を積層方向(図中X軸の負方向)から見た正面図である。本明細書では、説明の便宜上、平坦面10aをパワーカード10の正面と称する。図2においては、符号9で示す一点鎖線で囲まれた範囲にグリスが塗布されている。また、符号20で示す二点鎖線で囲まれた範囲に絶縁板が積層されている。
パワーカード10は、筐体11において絶縁板20と対向する一方の平坦面10aに、2枚の放熱板14、15が幅方向(図中Y軸方向)に並んで露出している。同様に、平坦面10aの裏側にあたる平坦面10bにも、2枚の放熱板16、17が露出している。パワーカード10の背面図は、図2に示す正面図と同様に表されるので、図示を省略している。放熱板14、15、16、17(以下「放熱板14−17」と称する」)の露出面は、いずれも平坦である。放熱板14−17は、例えば、矩形状を成す銅板であり、露出面の裏側のほぼ中心には、後述するように、半導体チップ12、13をハンダ付けなどをするための台座が凸状に形成されている。そのため、放熱板14−17の面積は、半導体チップ12、13の面積に比べて大きい。
放熱板14−17のうち、放熱板14、16が半導体チップ12の放熱を担い、また放熱板15、17が半導体チップ13の放熱を担う。放熱板16、17が露出する平坦面10bには、グリス9を挟んで別の絶縁板20が接しており、その絶縁板20にはグリス9を挟んで別の冷却器3が接している。つまり、パワーカード10は、両面の夫々がグリス9を挟んで絶縁板20と接しており、各絶縁板20はグリス9を挟んで冷却器3と接している。なお、パワーカード10の平坦面10a、10bは、筐体11の平坦面10a、10bに相当する。パワーカード10の上面(図中Z軸の正方向を向く面)からは3本の電極端子18a、18b、18cが伸びており、下面(図中Z軸の負方向を向く面)からは制御端子19が伸びている。
ここで、絶縁板20の構成について図3及び図4を参照して説明する。図3は、絶縁板20の斜視図である。図4は、絶縁板20のうち、図3に示すIV方向側の半分をX軸方向から見た図であり、図4(A)はX軸の負方向から見た正面図、図4(B)はX軸の正方向から見た背面図である。
絶縁板20は、例えば、電気的な絶縁特性と耐熱特性に優れた矩形状を成す板状の樹脂部材やセラミック部材などである。本実施例では、絶縁板20は、パワーカード10の平坦面10a及び10bを形成する矩形状よりも僅かに小さく絶縁板20の全体が平坦面10a(平坦面10b)内に収まり得る矩形状に形成されている。絶縁板20が冷却器3に対向する冷却器側面20aには、パワーカード10の放熱板14、15の位置に合わせて幅方向(図中Y軸方向)に並ぶ環状溝21a、25aが形成されている。環状溝21aに囲まれる島部23aが半導体チップ12の放熱に対応しており、また環状溝25aに囲まれる島部27aが半導体チップ13の放熱に対応している(図1参照)。同様に、絶縁板20がパワーカード10に対向する放熱板側面20bには、パワーカード10の放熱板16、17の位置に合わせて幅方向(図中Y軸方向)に並ぶ環状溝21b、25bが形成されている。なお、環状溝21bは、図1を参照されたい。図1では環状溝21bの形状が詳しく解らないが、環状溝21bは、環状溝25b(図3、図4参照)をZ軸に対して反転させた形状である。環状溝21bに囲まれる島部23bが半導体チップ12の放熱に対応しており、また環状溝25bに囲まれる島部27bが半導体チップ13の放熱に対応している(図1参照)。
これらの環状溝21a、21b、25a、25bは、例えば、その溝深さが絶縁板20の板厚の1/3程度に設定されており、また溝幅が溝深さの3倍程度に設定されている。以下、環状溝21a、21b、25a、25bを総称して、環状溝21a等と称する場合がある。溝深さ及び溝幅は、環状溝21a等に蓄えられるグリス9の充填量に影響する。そのため、より具体的には、環状溝21a等の溝深さ及び溝幅は、実験やコンピュータシミュレーションの結果に基づいて予め定められる。これらの環状溝21a等は、いずれも、半導体チップ12、13の平面形状の外周を拡大したような形状で囲む環状に形成されている。そのため、本実施例では、半導体チップ12、13の平面形状に合わせて、凸字形を横に倒した形状が互いに左右対称になるように、環状溝21aと環状溝25aが組み合わせられている。環状溝21bと環状溝25bも同様に組み合わせられている。
なお、これらの環状溝21a等には、枝状に突出して分岐する枝部21a’、25a’、25b’が形成されている。これは、後述するように環状溝21a等に蓄えられるグリス9の充填量を増加させたり、外部から環状溝21a等内に侵入する空気や異物の混入を抑制したりするために設けられている。なお、図示されていないが、環状溝21bにもこのような枝部が設けられている。
これらの環状溝21a等にはグリス9が充填される。即ち、図2−図4において、一点鎖線で表される範囲にグリス9が塗布されて、パワーカード10と絶縁板20の間、及び、絶縁板20と冷却器3の間にグリス9が介在する。このとき、環状溝21a等の内側にあたる島部23a、23b、27a、27bや、環状溝21a等の外側にあたる周囲部24a、24b、28a、28bにおいては、前述のように板バネ32による高荷重によってグリス9が薄く引き延ばされる。そのため、これらの部分ではグリス9の薄い層9aが形成される。一方、環状溝21a等が形成された部分、つまりこれらの溝内には、薄く引き延ばされる過程でグリス9が入り込み、グリス9が充填される。そのため、環状溝21a等内では充填されたグリス9の厚い層9bが形成される。図4においては、グリス9の厚い層9bをグレーに着色して表すとともに、薄い層9aを指す引き出し線を一点鎖線で表している。
このようにグリス9の厚い層9bができる環状溝21a等は、冷却器側面20aと放熱板側面20bで溝幅が異なる。即ち、放熱板側面20bの環状溝21b、25bは、冷却器側面20aの環状溝21a、25aに比べるとそれらの溝幅が広い(図4参照)。これは、環状溝21b、25bに囲まれる島部23b、27bの面積を、環状溝21a、25aに囲まれる島部23a、27aの面積よりも小さくするためである。なお、島部23bの面積と島部27bの面積は同じであり、以下、これを「第1面積」と称する。また、島部23aの面積と島部27aの面積も同じであり、以下、これを「第2面積」と称する。
本実施例では、図4(B)に示すように、放熱板側面20bの環状溝25bに囲まれる島部27bの第1面積が、島部27bに対応する半導体チップ13の平面形状を積層方向(図中X軸方向)に投影した領域(図4(B)に示すクロスハッチングの範囲)Wの面積よりも大きくなるように設定されている。また、図4(A)に示すように、冷却器側面20aの環状溝25aに囲まれる島部27aの第2面積が、放熱板側面20bの環状溝25bに囲まれる島部27bの第1面積よりも大きくなるように設定されている。
なお、図4(A)及び図4(B)には、絶縁板20のうち、図3に示すIV方向側の半分(図3の紙面右半分)について表しているが、残りの半分(図3の紙面左半分)については、各部の位置関係を左右に逆転させることによりこれと同様に表すことができる。この場合には、半導体チップの符号12は符号13に変換し、また環状溝の符号25xは符号21x(xはa、a’、b、b’)に変換し、さらに島部の符号27xは符号23x(xはa、b)に変換することにより、上記の説明が成り立つ。これらの面積の大小関係を整理すると、半導体チップ12、13の領域Wの面積<島部23b、27bの第1面積<島部23a、27aの第2面積になり、この順に面積が広くなる。また、図4(A)、4(B)によく示されているように、島部27aと島部27bは相似形状である。このことは、積層方向(X軸方向)からみたときに、島部27aの輪郭線が、島部27bを囲んでいることを意味する。別言すれば、積層方向(X軸方向)からみたときに、環状溝25aが、島部27b(即ち環状溝25bで囲まれた領域)を囲んでいる。環状溝21aと島部23bについても同様である。
このように環状溝21a等を絶縁板20に形成することにより、放熱板側面20bにおいては、半導体チップ12、13の平面形状を積層方向(図中X軸方向)に投影した領域W、つまり半導体チップ12、13の直下部分にあたる島部23b、27bがグリス9の薄い層9aになり、これらの島部23b、27bを囲む環状溝21b、25bがグリス9の厚い層9b、つまりグリス溜まりになる。これにより、発熱の中心部分である半導体チップ12、13の直下部分においては、直下部分以外の周囲部分などに比べると[発明が解決しようとする課題]の欄で述べたポンピングやブリードアウトが生じる可能性が高いものの、当該直下部分はグリス溜まりとして機能する環状溝21b、25bに囲まれている。そのため、たとえ島部23b、27b(領域W)からグリス9が流出したとしても、環状溝21b、25bに溜まったグリス9が島部23b、27b(領域W)に補充されることから、半導体チップ12、13の直下部分におけるグリス抜けが抑制される。また、環状溝21b、25bが、それに囲まれる島部23b、27bのグリス9が薄い層9aを介して接触する範囲を直下部分及びその周囲の近傍程度に留める。そのため、放熱板側面20bにおいては、放熱板16、17の発熱の中心部分に伝熱性能が高まる。
絶縁板20では、環状溝21aの上下(図中Z軸方向)に、幅方向(図中Y軸方向)に伸びる短冊形状に形成される短冊溝22aが位置している。同様に、環状溝25aの上下には短冊溝26a、環状溝21bの上下には短冊溝22b、環状溝25bの上下には短冊溝26b、がそれぞれ形成されている。これらの短冊溝22a、22b、26a、26bの長さは、いずれも環状溝21a等の幅方向(図中Y軸方向)長さと同じに設定されている(以下、短冊溝22a、22b、26a、26bを総称して、短冊溝22a等と称する場合がある)。また、短冊溝22a等の溝幅や溝深さは、環状溝21a、25aの溝幅や溝深さと同様に設定されている。
本実施例では、環状溝21a等の上下方向にこのような短冊溝22a等を形成し、これらにグリス9を充填する。これにより、外部から環状溝21a等内に侵入する空気や異物の混入を抑制したり、また重力によりグリス9が下方に落下することを抑制したりしている。また、環状溝21a等と同様に、これらの短冊溝22a等にもグリス溜りができるので、環状溝21a等の周囲部24a、24b、28a、28bにおいて、ポンピングやブリードアウトが生じてもこの短冊溝22a等に溜まったグリス9が環状溝21a等の周囲部24a、24b、28a、28bに補充される。したがって、環状溝21a等の周囲部24a、24b、28a、28bにおけるグリス抜けが抑制される。
ここで、本実施例の半導体装置2におけるパワーカード10から冷却器3に放熱される伝熱ルートなどについて図5及び図6を参照して説明する。図5は、図4に示すV−V線においてXZ平面で半導体装置の一部をカットした断面図である。図6(A)は、図5に示す一点鎖線VIA内を示す拡大断面図であり、図6(B)は比較例において図6(A)に相当する拡大断面図である。
パワーカード10の放熱板15、17には、ハンダ付けなどにより半導体チップ13を固定する台座15a、17aが形成されている。例えば、半導体チップ13のコレクタ電極又はエミッタ電極などがこれにハンダ付けさる。即ち、放熱板15、17は、半導体チップ13と導通している。なお、冷却器3はアルミニウムで作られている。半導体チップ13と導電性の冷却器3との間を絶縁するため、それらの間に絶縁板20が備えられている。半導体チップ12と放熱板14、16も同様に導通している。
ゲート電極は図略のワイヤボンディングを介して制御端子19に接続される。半導体チップ13が放熱板15、17に固定される直下(半導体チップ13の平面形状を積層方向(図中X軸方向)に投影した領域)には、前述したように、この領域よりも広い第1面積を有する島部27bが環状溝25bに囲まれて位置しており、この島部27bと放熱板15の間には、グリス9の薄い層9aが介在している。環状溝25bの部分には、グリス9の厚い層9bが形成されている。また、島部27bの裏側には、島部27bの第1面積よりも広い第2面積を有する島部27aが環状溝25aに囲まれて位置しており、この島部27aと冷却器3の間には、グリス9の薄い層9aが介在している。環状溝25aの部分には、グリス9の厚い層9bが形成されている。放熱板17についてもこれと同様に、放熱板17と島部27bの間にもグリス9の薄い層9aが介在しており、環状溝25bの部分には、グリス9の厚い層9bが形成されている。また、放熱板17側の冷却器3と、島部27bの第1面積よりも広い第2面積を有する島部27aとの間には、グリス9の薄い層9aが介在しており、また環状溝25aの部分には、グリス9の厚い層9bが形成されている。
これにより、図6(A)に示すように、放熱板15の台座15a、つまり半導体チップ13の直下から、グリス9の薄い層9aを介して絶縁板20及び冷却器3に熱伝導する(同図に示す矢印Ra)。また、半導体チップ13の直下を投影した領域W→島部27b(第1面積)→島部27a(第2面積)の順に面積が拡大する。そのため、絶縁板20の放熱板側面20bから冷却器側面20aに向けて拡散するような熱が伝わる(同図に示す矢印Rb、Rc)。島部27aの輪郭線が島部27bを囲んでいることも、矢印Rb、Rcが示すように、半導体チップ13が発した熱が、冷却器3に向けて拡がるように伝わることに貢献する。第1面積及び第2面積の設定は、実験やコンピュータシミュレーションの結果に基づいてこのような熱拡散を最適となる比率や値に定められる。
また、環状溝25a、25bの上方に短冊溝26a、26bが設けられているため(同図に示す一点鎖線円J内)、空気や異物などの混入が抑制される。さらに、環状溝25a、25bの下方にも短冊溝26a、26bが設けられているため(同図に示す一点鎖線円K内)、グリス9の落下などが抑制される。これらの短冊溝26a、26bにもグリス9が充填されるため、グリス溜りとしても機能して、環状溝21a等の周囲部24a、24b、28a、28bにおけるグリス抜けが抑制される。なお、図6(B)に示す比較例の構成では、絶縁板120に環状溝21a等が形成されていない。そのため、絶縁板120の冷却器側面120a及び放熱板側面120bのいずれについても放熱板15や冷却器3との間に介在するグリス9は薄い層9aである。このような比較例の構成では、外部から空気や異物などPが混入したり、下方からグリスQが落下したりすることを抑制し難い。
以上説明したように実施例の半導体装置2は、絶縁板20の放熱板側面20bと冷却器側面20aの両面には、積層方向(図中X軸方向)から見て放熱板14−17を介して半導体チップ12、13と重なる領域Wを囲む環状溝21a等が夫々設けられてグリス9が充填されている。放熱板側面20bの環状溝21b、25bに囲まれる第1面積は、領域Wの面積よりも大きく、冷却器側面20aの環状溝21a、25aに囲まれる第2面積は、第1面積よりも大きい。即ち、積層方向(図中X軸方向)から見て、環状溝21a、25aは、第1面積を囲むように設けられている。そのため、絶縁板20の放熱板側面20bに設けられる環状溝21b、25bの内側では、放熱板16、17と絶縁板20の間の隙間幅が小さくなり、環状溝21b、25b内では放熱板16、17と絶縁板20の間の隙間幅が大きくなる。即ち、半導体チップ12、13の直下部分ではグリス9が薄い層9aになり、半導体チップ12、13の直下部分を囲むようにグリス9が厚い層9bになる。発熱の中心である半導体チップ12、13の直下部分ではグリス9が薄い層9aとなることで、放熱板16、17から絶縁板20への高い伝熱効率が確保される。他方、環状溝21b、25bがグリス溜まりとして機能する。そのため、ポンピング及びブリードアウトが生じてグリス9が流出しても、環状溝21b、25b内に充填されるグリス9の厚い層9bからグリス9が補われるため、絶縁板20の放熱板側面20bにおけるグリス抜けが抑制される。また、放熱板側面20bにおいては、放熱板16、17の発熱の中心部分の伝熱性能を高める。
これに対して、絶縁板20の冷却器側面20aに設けられる環状溝21a、25aは、それにより囲まれる第2面積が環状溝21b、25bより囲まれる第1面積よりも広い。つまり、絶縁板20の冷却器側面20aでは、半導体チップ12、13の直下部分及びその近傍程度よりも広い範囲においてグリス9が薄い層9aになる。またこの範囲を囲むようにグリス9の厚い層9bが拡がる。発熱の中心部分である半導体チップ12、13の直下部分においては、絶縁板20の冷却器側面20aにグリス9の薄い層9aを介して接触する範囲が半導体チップ12、13の直下部分及びその近傍程度よりも拡がる。半導体チップ12、13の直下部分では高い伝熱効率が確保される。さらに、グリス9の薄い層9aの第2面積が第1側面の第1面積よりも広いため、第1側面から第2側面に向けて拡散するような熱が伝わる。そのため、放熱板から冷却器への高い伝熱効率が確保される。一方、環状溝21a、25aがグリス溜まりとして機能する。そのため、ポンピング及びブリードアウトが生じてグリス9が流出しても、環状溝21a、25a内に充填されるグリス9の厚い層9bからグリス9が補われるため、絶縁板20の冷却器側面20aにおけるグリス抜けが抑制される。
上記の実施例では、環状溝21a等の形状を、半導体チップ12、13の平面形状に合わせて、凸字形状相当に設定したが、半導体チップの形状に応じて適宜任意形状に設定される。また、環状溝21a等の上下(図中Z軸方向)に短冊溝22a等を設けたが、環状溝21aの幅方向(図中Y軸方向)に短冊溝22a等を設けてもよい。また、上記の実施例では、パワーカード10に半導体素子として、2個の半導体チップ12、13を封止したものを例示したが、1個でも3個以上であってもよい。
実施例技術に関する留意点を述べる。冷却器3が冷却部材の一例に相当する。半導体チップ12、13が半導体素子の一例に相当する。放熱板側面20bが第1側面の一例に相当する。冷却器側面20aが第2側面の一例に相当する。環状溝21b及び環状溝25bが、第1環状溝の一例に相当する。環状溝21a及び環状溝25aが、第2環状溝の一例に相当する。領域Wが「半導体素子と重なる領域」の一例に相当する。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2:半導体装置
3:冷却器
9:グリス
10:パワーカード
11:筐体
12、13:半導体チップ(半導体素子)
14、15、16、17:放熱板
20:絶縁板
20a:冷却器側面
20b:放熱板側面
21a、25a:環状溝(第2環状溝)
21b、25b:環状溝(第1環状溝)
22a、22b、26a、26b:短冊溝

Claims (1)

  1. パワーカードと冷却部材が絶縁板を介して積層されており、当該パワーカードと当該絶縁板の間、及び、当該絶縁板と当該冷却部材の間にグリスを塗布した半導体装置であり、
    前記パワーカードは、
    半導体素子を封止する絶縁性の筐体と、
    前記筐体の内部で前記半導体素子と導通しているとともに前記筐体の表面に露出して前記絶縁板と対向している放熱板と、
    を備えており、
    前記絶縁板の放熱板に対向する第1側面と冷却部材に対向する第2側面には、積層方向から見て前記放熱板を介して前記半導体素子と重なる領域を囲む環状溝が夫々設けられており、
    前記第1側面の第1環状溝に囲まれる第1面積は、前記領域の面積よりも大きく、
    前記第2側面の第2環状溝に囲まれる第2面積は、前記第1面積よりも大きい、
    ことを特徴とする半導体装置。
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