JP6369132B2 - ネガ型感光性樹脂組成物、硬化膜、電子装置およびポリマー - Google Patents

ネガ型感光性樹脂組成物、硬化膜、電子装置およびポリマー Download PDF

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Description

本発明は、ネガ型感光性樹脂組成物、硬化膜、電子装置およびポリマーに関する。
半導体集積回路やフラットパネルディスプレイ(FPD)の表示面などの製造過程において、微細素子の形成あるいは微細加工を行うために、フォトリソグラフィ技術が利用されている。
フォトリソグラフィ技術においては、レジストパターンを形成するため、感光性樹脂組成物が用いられている。
例えば、特許文献1(特開平2―146045号公報)には、ポリマーと、感光剤とを含む感光性樹脂組成物が開示されている。上記ポリマーは、環状脂肪炭化水素骨格からなる単位と、無水マレイン酸に由来する単位とを有し、無水マレイン酸に由来する単位の酸無水環を加水分解したものであることが開示されている。
特開平2―146045号公報
しかし、上記ポリマーを含む感光性樹脂組成物は、架橋反応の効率が悪いため、光酸発生剤や架橋剤を多く添加する必要があった。
感光性樹脂組成物に光酸発生剤や架橋剤を多く添加すると、得られるネガ型感光性絶縁膜の種々の特性が悪化してしまう。
本発明者らは、下記式(1)で示される共重合体を含むネガ型感光性樹脂組成物を用いることにより、ネガ型感光性絶縁膜に要求される種々の特性のバランスに優れたネガ型感光性絶縁膜を形成できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明によれば、
ネガ型感光性樹脂組成物であって、
下記式(1)で示される共重合体で構成されるポリマーと、
光酸発生剤と、
上記光酸発生剤より発生した酸を触媒として上記ポリマーを架橋する第一架橋剤と、
を含み、前記式(1)で示される共重合体は、少なくとも下記式(2a)により示される構造単位、および下記式(2c)により示される構造単位を含む、ネガ型感光性樹脂組成物が提供される。
Figure 0006369132

(式(1)中、l、pおよびmは、ポリマー中におけるモル含有率を示し、かつ、l+p+m≦1、0≦l<1、0<p<1、および0<m<1の条件を満たし、
nおよびqはそれぞれ独立して0、1または2であり、
〜RおよびR〜R11はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜30の有機基であり、
、R、R10およびR11から選択される1または2以上がアルコール性水酸基を有する有機基であり、
Aは下記式(2a)、(2b)、(2c)または(2d)により示される構造単位である)
Figure 0006369132

(式(2a)および式(2b)中、R、RおよびRは、それぞれ独立して炭素数1〜18の有機基である)
さらに、本発明によれば、
上記ネガ型感光性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化膜が提供される。
さらに、本発明によれば、
上記硬化膜を備える電子装置が提供される。
さらに、本発明によれば、
下記式(1)で示される共重合体で構成され、下記式(1)で示される共重合体は、少なくとも前記式(2a)により示される構造単位、および下記式(2c)により示される構造単位を含む、ポリマーが提供される。
Figure 0006369132

(式(1)中、l、pおよびmは、ポリマー中におけるモル含有率を示し、かつ、l+p+m≦1、0≦l<1、0<p<1、および0<m<1の条件を満たし、
nおよびqはそれぞれ独立して0、1または2であり、
〜RおよびR〜R11はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜30の有機基であり、
、R、R10およびR11から選択される1または2以上がアルコール性水酸基を有する有機基であり、
Aは下記式(2a)、(2b)、(2c)または(2d)により示される構造単位である)
Figure 0006369132

(式(2a)および式(2b)中、R、RおよびRは、それぞれ独立して炭素数1〜18の有機基である)
本発明によれば、ネガ型感光性絶縁膜に要求される種々の特性のバランスに優れたネガ型感光性絶縁膜を形成できるネガ型感光性樹脂組成物を提供することができる。
本実施形態に係る電子装置の一例を示す断面図である。 本実施形態に係る電子装置の一例を示す断面図である。
以下、実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、「〜」はとくに断りがなければ、以上から以下を表す。
<ネガ型感光性樹脂組成物>
本実施形態に係るネガ型感光性樹脂組成物Pは、下記式(1)で示される共重合体で構成される第一のポリマーと、光酸発生剤と、上記光酸発生剤より発生した酸を触媒として第一のポリマーを架橋する第一架橋剤とを含む。
Figure 0006369132
(式(1)中、l、pおよびmは、ポリマー中におけるモル含有率を示し、かつ、l+p+m≦1、0≦l<1、0<p<1、および0<m<1の条件を満たし、nおよびqはそれぞれ独立して0、1または2であり、R〜RおよびR〜R11はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜30の有機基であり、R、R、R10およびR11から選択される1または2以上がアルコール性水酸基を有する有機基であり、Aは下記式(2a)、(2b)、(2c)または(2d)により示される構造単位である)
Figure 0006369132
(式(2a)および式(2b)中、R、RおよびRは、それぞれ独立して炭素数1〜18の有機基である)
このようなネガ型感光性樹脂組成物Pによれば、上述した第一のポリマーを使用することにより、例えば、現像性、解像性、残膜性、絶縁性、透明性、耐熱性、耐溶剤性などのネガ型感光性絶縁膜に要求される種々の特性のバランスに優れたネガ型感光性絶縁膜を提供できる。
第一のポリマーは側鎖上にアルコール性水酸基を有するため、第一架橋剤との反応性に優れる。これにより、高価な光酸発生剤の添加量を低減できるため、経済性に優れている。また、現像性を悪化させる架橋剤の添加量を低減できるため、現像時の膜減りを大幅に低減でき、その結果、ネガ型感光性絶縁膜の厚みムラを低減できたり、膜の平坦性を向上できたりする。さらに、より架橋度の高いネガ型感光性絶縁膜を得ることができるため、残膜性、耐熱性、透明性、耐溶剤性等を向上できる。また、解像性や絶縁性は従来の水準を維持できる。
ネガ型感光性樹脂組成物Pは、さらに、添加剤等のその他の材料を含んでもよい。以下、各成分について説明する。
<第一のポリマー>
本実施形態に係る第一のポリマーは、下記式(1)で示される共重合体である。
Figure 0006369132
式(1)中、l、pおよびmは、ポリマー中におけるモル含有率(mol%)を示し、かつ、l+p+m≦1、0≦l<1、0<p<1、および0<m<1の条件を満たし、nおよびqはそれぞれ独立して0、1または2である。また、l、pおよびmは、好ましくは0≦l≦0.25、0.25≦p≦0.50、0.50≦m≦0.75である。
nおよびqはそれぞれ独立して0、1または2である。
〜RおよびR〜R11はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜30の有機基である。R〜RおよびR〜R11は、互いに同一であってもよく、また互いに異なっていてもよい。
、R、R10およびR11から選択される1または2以上はアルコール性水酸基を有する有機基である。ここで、本実施形態において、アルコール性水酸基とは、鎖状又は環状の炭化水素基の炭素原子に結合した水酸基をいう。
Aは下記式(2a)、(2b)、(2c)または(2d)により示される構造単位である。上記式(1)により示される共重合体には、下記式(2a)、(2b)、(2c)および(2d)から選択される1種または2種以上の構造単位Aが含まれる。本実施形態においては、下記式(2a)および(2c)から選択される1種または2種以上の構造単位Aが含まれることが好ましく、下記式(2a)、(2b)および(2c)から選択される1種または2種以上の構造単位Aが含まれることがより好ましい。なお、第一のポリマーは、上記式(1)に示す構造単位以外の他の構造単位を含んでいてもよい。
Figure 0006369132
式(2a)および式(2b)中、R、RおよびRは、それぞれ独立して炭素数1〜18の有機基である。
〜RおよびR〜R11を構成する炭素数1〜30の有機基は、その構造中にO、N、S、PおよびSiから選択される1以上を含んでいてもよい。ただし、R〜Rを構成する有機基は、いずれもアルコール性水酸基を有しない。
本実施形態において、R〜RおよびR〜R11を構成する有機基としては、たとえばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、およびヘテロ環基が挙げられる。
アルキル基としては、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、およびデシル基が挙げられる。アルケニル基としては、たとえばアリル基、ペンテニル基、およびビニル基が挙げられる。アルキニル基としては、エチニル基が挙げられる。アルキリデン基としては、たとえばメチリデン基、およびエチリデン基が挙げられる。アリール基としては、たとえばフェニル基、ナフチル基、およびアントラセニル基が挙げられる。アラルキル基としては、たとえばベンジル基、およびフェネチル基が挙げられる。アルカリル基としては、たとえばトリル基、キシリル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、たとえばアダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、およびシクロオクチル基が挙げられる。ヘテロ環基としては、たとえばエポキシ基、およびオキセタニル基が挙げられる。
なお、R〜RおよびR〜R11としてアルキル基を含むことにより、第一のポリマーを含むネガ型感光性樹脂組成物Pからなる膜の製膜性を向上させることができる。また、R〜RおよびR〜R11としてアリール基を含むことにより、第一のポリマーを含むネガ型感光性樹脂組成物Pからなる膜について、リソグラフィ工程におけるアルカリ現像液を用いた現像の際の膜減りを抑えることができる。
さらに、前述したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、およびヘテロ環基は、1以上の水素原子が、ハロゲン原子により置換されていてもよい。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素が挙げられる。なかでもアルキル基の1以上の水素原子が、ハロゲン原子に置換されたハロアルキル基が好ましい。R〜RおよびR〜R11の少なくともいずれか1つをハロアルキル基とすることで、第一のポリマーを使用してネガ型感光性樹脂組成物Pを構成した際、このネガ型感光性樹脂組成物Pの誘電率を低下させることができる。
、R、R10およびR11から選択される1または2以上を構成するアルコール性水酸基を有する有機基としては、たとえば、1つ以上のアルコール性水酸基と上記アルコール性水酸基が結合した炭化水素基とを有する基である。
上記アルコール性水酸基としては、1級もしくは2級アルコール性水酸基、または鎖状の3級アルコール性水酸基である。これらの中でも架橋反応性に優れる観点から、鎖状の1級もしくは2級アルコール性水酸基が好ましく、鎖状の1級アルコール性水酸基が特に好ましい。
ここで、「1級アルコール性水酸基」とは、鎖状または環状の炭化水素基を構成する第1級炭素原子に結合した水酸基をいう。「2級アルコール性水酸基」とは、鎖状または環状の炭化水素基を構成する第2級炭素原子に結合した水酸基をいう。「3級アルコール性水酸基」とは、鎖状の炭化水素基を構成する第3級炭素原子に結合した水酸基をいう。
鎖状の炭化水素基としては、例えば、直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基が挙げられる。
また、環状の炭化水素基としては、例えば、脂肪族環式基が挙げられる。
また、炭化水素基は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。また、炭化水素基を構成する水素原子の一部が置換基されていてもよい。水素原子の一部を置換する置換基としては、フッ素原子、酸素原子(=O)、シアノ基等が挙げられる。
炭化水素基が直鎖状である場合、炭素数は1以上10以下であることが好ましく、炭素数1以上5以下であることがより好ましい。
炭化水素基が脂肪族環式基である場合、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、イソボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンから水素原子が2個以上除かれた基などが挙げられる。
これらの中でも炭素数が1以上10以下の直鎖状の炭化水素基が好ましく、炭素数が1以上5以下の直鎖状の炭化水素基がより好ましい。
、R、R10およびR11から選択される1または2以上を構成するアルコール性水酸基を有する有機基は、ヘテロ原子を含む2価の連結基を含んでいてもよい。このような有機基としては、例えば、ヘテロ原子を含む2価の連結基の末端に、アルコール性水酸基が結合した基が挙げられる。
ヘテロ原子を含む2価の連結基としては、例えば、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−、等が挙げられる。
なお、第一のポリマーを含んで構成される膜の光透過性を高める観点から、R、R、RおよびRのいずれかが水素であることが好ましく、R、R、RおよびRすべてが水素であることが特に好ましい。
また、R、R、R10およびR11のいずれかが水素であることが好ましく、R、R、R10およびR11から選択される3つが水素であることが特に好ましい。
、RおよびRを構成する炭素数1〜18の有機基は、その構造中にO、N、S、P、Siのいずれか1以上を含んでいてもよい。また、R、RおよびRを構成する有機基は、酸性官能基を含まないものとすることができる。これにより、第一のポリマー中における酸価の制御を容易とすることができる。
本実施形態において、R、RおよびRを構成する有機基としては、たとえばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、およびヘテロ環基が挙げられる。ここでアルキル基としては、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、およびデシル基が挙げられる。アルケニル基としては、たとえばアリル基、ペンテニル基、およびビニル基が挙げられる。アルキニル基としては、エチニル基が挙げられる。アルキリデン基としては、たとえばメチリデン基、およびエチリデン基が挙げられる。アリール基としては、たとえばフェニル基、ナフチル基、およびアントラセニル基が挙げられる。アラルキル基としては、たとえばベンジル基、およびフェネチル基が挙げられる。アルカリル基としては、たとえばトリル基、キシリル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、たとえばアダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、およびシクロオクチル基が挙げられる。ヘテロ環基としては、たとえばエポキシ基、およびオキセタニル基が挙げられる。
さらに、前述したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、およびヘテロ環基は、1以上の水素原子が、ハロゲン原子により置換されていてもよい。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素が挙げられる。なかでもアルキル基の1以上の水素原子が、ハロゲン原子に置換されたハロアルキル基が好ましい。
上記式(1)に示される共重合体は、たとえば下記式(3)または(4)で表されるノルボルネン型モノマーに由来した繰り返し単位と、下記式(5)に示す無水マレイン酸に由来した繰り返し単位と、が交互に配列されてなる交互共重合体であることが好ましい。なお、上記式(1)に示される共重合体は、ランダム共重合体やブロック共重合体であってもよい。
下記式(5)に示す無水マレイン酸に由来した繰り返し単位とは、上記式(1)中のAにより表される構造単位である。なお、第一のポリマーは、低分子量成分として下記式(3)、(4)、および(5)により示されるモノマーを含んでいてもよい。
Figure 0006369132
式(3)および(4)中、nおよびqはそれぞれ独立して0、1または2である。R〜RおよびR〜R11はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜30の有機基である。R〜RおよびR〜R11は、互いに同一であってもよく、また互いに異なっていてもよい。
、R、R10およびR11から選択される1または2以上は、アルコール性水酸基および加水分解してアルコール性水酸基を生成する基から選択される少なくとも一つを有する有機基である。加水分解してアルコール性水酸基を生成する基としては、アルコール性水酸基をアルキル基やアセチル基などの保護基で保護したものが挙げられる。
本実施形態における第一のポリマーは、たとえばMw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)が1.5以上2.5以下である。なお、Mw/Mnは、分子量分布の幅を示す分散度である。
本発明者は、第一のポリマーにおける分子量分布を一定の範囲に制御することにより、当該第一のポリマーにより形成される膜について、硬化時におけるパターンの変形を抑制できることを見出した。このため、第一のポリマーのMw/Mnを上記範囲とすることにより、第一のポリマーを含むネガ型感光性樹脂組成物Pからなる膜のパターン形状を良好なものとすることができる。
また、第一のポリマーのMw(重量平均分子量)は、たとえば3,000以上30,000以下である。
なお、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、および分子量分布(Mw/Mn)は、たとえばGPC測定により得られる標準ポリスチレン(PS)の検量線から求めた、ポリスチレン換算値を用いる。測定条件は、たとえば以下の通りである。
東ソー社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置HLC−8320GPC
カラム:東ソー社製TSK−GEL Supermultipore HZ−M
検出器:液体クロマトグラム用RI検出器
測定温度:40℃
溶媒:THF
試料濃度:2.0mg/ミリリットル
本実施形態に係る第一のポリマーは、たとえば以下のように製造される。
(重合工程(処理S1))
はじめに式(4)で示されるノルボルネン型モノマーと、モノマーとなる無水マレイン酸と、必要に応じて式(3)で示されるノルボルネン型モノマーと、を用意する。
式(3)で示されるノルボルネン型モノマーにおいて、nは、0、1または2であればよいが、0または1であることが好ましい。これにより、本実施形態のポリマーを含む樹脂組成物により形成される膜の柔軟性を高めることができる。
同様に、式(4)で示されるノルボルネン型モノマーにおいて、qは、0、1または2であればよいが、0または1であることが好ましい。これにより、本実施形態のポリマーを含む樹脂組成物により形成される膜の柔軟性を高めることができる。
式(3)で示されるノルボルネン型モノマーとしては、具体的には、ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)があげられ、さらに、アルキル基を有するものとして、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−ヘキシル−2−ノルボルネン、5−デシル−2−ノルボルネンなど、アルケニル基を有するものとしては、5−アリル−2−ノルボルネン、5−(2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネンなど、アルキニル基を有するものとしては、5−エチニル−2−ノルボルネンなど、アラルキル基を有するものとしては、5−ベンジル−2−ノルボルネン、5−フェネチル−2−ノルボルネンなどがあげられる。
ノルボルネン型モノマーとしては、これらのうち、いずれか1種以上を使用できる。なかでも、ポリマーの光透過性の観点から、ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)を使用することが好ましい。
式(4)で示されるノルボルネン型モノマーとしては、具体的には、前述した式(3)で示されるノルボルネン型モノマーの水素の一部をアルコール性水酸基および加水分解してアルコール性水酸基を生成する基から選択される少なくとも一つを有する有機基に置換したものが挙げられる。
次いで、式(3)で示されるノルボルネン型モノマーと、式(4)で示されるノルボルネン型モノマーと、無水マレイン酸とを付加重合する。ここでは、ラジカル重合により、式(3)で示されるノルボルネン型モノマーと、式(4)で示されるノルボルネン型モノマーと、無水マレイン酸との共重合体(共重合体1)を形成する。
架橋反応の効率をより向上できる観点から、式(3)で示されるノルボルネン型モノマーのモル数は0mol%以上25mol%以下であることが好ましく、式(4)で示されるノルボルネン型モノマーのモル数は25mol%以上50mol%以下であることが好ましく、無水マレイン酸のモル数は50mol%以上75mol%以下であることが好ましい。
式(3)で示されるノルボルネン型モノマーと、式(4)で示されるノルボルネン型モノマーと、無水マレイン酸と、重合開始剤とを溶媒に溶解し、その後、所定時間加熱することで、式(3)で示されるノルボルネン型モノマーと、式(4)で示されるノルボルネン型モノマーと、無水マレイン酸と、無水マレイン酸とを溶液重合する。加熱温度は、たとえば、50〜80℃であり、加熱時間は10〜20時間である。
溶媒としては、たとえばテトラヒドロフラン、トルエン、メチルエチルケトン等のうち、いずれか1種以上を使用することができる。
重合開始剤としては、アゾ化合物および有機過酸化物のうちのいずれか1種以上を使用できる。
アゾ化合物としては、たとえばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(ABCN)があげられ、これらのうち、いずれか1種以上を使用できる。
また、有機過酸化物としては、たとえば過酸化水素、ジターシャリブチルパーオキサイド(DTBP)、過酸化ベンゾイル(ベンゾイルパーオキサイド、BPO)および、メチルエチルケトンパーオキサイド(MEKP)を挙げることができ、これらのうち、いずれか1種以上を使用できる。
重合開始剤の量(モル数)は、式(3)で示されるノルボルネン型モノマーと、式(4)で示されるノルボルネン型モノマーと、無水マレイン酸との合計モル数の1%〜10%とすることが好ましい。重合開始剤の量を上記範囲内で適宜設定し、かつ、反応温度、反応時間を適宜設定することで、得られるポリマーの重量平均分子量(Mw)を3,000以上30,000以下に調整することができる。
この重合工程(処理S1)により、以下の式(6)で示される繰り返し単位と、以下の式(7)で示される繰り返し単位と、以下の式(8)で示される繰り返し単位とを有する共重合体1を重合することができる。
ただし、共重合体1において、式(7)の構造のRは、各繰り返し単位において共通であることが好ましいが、それぞれの繰り返し単位ごとに異なっていてもよい。R〜RおよびR〜R11においても同様である。
Figure 0006369132
(式(7)において、n、R〜Rは、上記式(1)と同じである。すなわち、nは0、1、2のいずれかである。R〜Rは、それぞれ独立した水素または炭素数1〜30の有機基である。式(7)において、R〜Rは、同一のものであっても異なっていてもよい)
(式(8)において、q、R〜R11は、上記式(1)と同じである。すなわち、qは0、1、2のいずれかである。また、R〜R11は、それぞれ独立した水素または炭素数1〜30の有機基である。R、R、R10およびR11から選択される1または2以上はアルコール性水酸基を有する有機基である。式(8)において、R〜R11は、同一のものであっても異なっていてもよい)
共重合体1は、式(6)で示される繰り返し単位と、式(7)で示される繰り返し単位と、式(8)で示される繰り返し単位とが、ランダムに配置されたものであってもよく、また、交互に配置されたものであってもよい。また、式(3)で示されるノルボルネン型モノマーと、式(4)で示されるノルボルネン型モノマーと、無水マレイン酸とがブロック共重合したものであってもよい。ただし、本実施形態で製造されるポリマーを用いたネガ型感光性樹脂組成物Pの溶解性の均一性を確保する観点からは、式(6)で示される繰り返し単位と、式(8)で示される繰り返し単位とが交互に配置された構造であることが好ましい。すなわち、共重合体1は、以下の式(9)で示される繰り返し単位を有するものであることが好ましい。
Figure 0006369132
(式(9)において、q、R〜R11は、上記式(1)と同じである。すなわち、qは0、1、2のいずれかである。R〜R11は、水素または炭素数1〜30の有機基である。また、R、R、R10およびR11から選択される1または2以上はアルコール性水酸基を有する有機基である。R〜R11は、同一のものであっても異なっていてもよい。また、aは10以上、200以下の整数である)
ここで、式(9)の構造のRは、各繰り返し単位において共通であることが好ましいが、それぞれの繰り返し単位ごとに異なっていてもよい。R〜R11においても同様である。
(開環工程(処理S2))
次に、得られた共重合体1の無水マレイン酸に由来する環状構造の繰り返し単位のうち、一部の繰り返し単位を閉環した状態としながら、残りの繰り返し単位を開環する。これにより、共重合体1中におけるカルボキシル基の量を調整することができる。すなわち、作製される第一のポリマーにおける酸価の制御が可能となる。
本実施形態においては、共重合体1の無水マレイン酸由来の繰り返し単位のうち、たとえば50%以上の繰り返し単位を開環せずに、上記残りの繰り返し単位の環状構造(無水環)を開環する。すなわち、共重合体1の開環率は、たとえば50%未満である。なかでも、共重合体1の無水マレイン酸由来の環状構造の繰り返し単位の全個数のうち、60%以上、90%以下の繰り返し単位を開環しないことが好ましい。
ここで、無水マレイン酸由来の繰り返し単位の開環率は以下のようにして計測することができる。
開環前の共重合体1の酸無水物構造における(C=O)のIR吸収強度(A1)を測定し、開環後の酸無水物構造における(C=O)のIR吸収強度(A2)より以下式にて開環率を算出する。
開環率(%)=((A1−A2)/A1)×100
なお、内部標準物質としてアセトニトリルを用いる。
具体的には、
(A)塩基としての金属アルコキシド
(B)アルコールおよび塩基としてのアルカリ金属の水酸化物
のいずれか一方を、上記重合工程において、上記共重合体1が重合された反応液に添加するとともに、メチルエチルケトン(MEK)等の有機溶媒をさらに添加し、40〜50℃で1〜5時間攪拌して、反応液L1を得る。反応液L1中では、共重合体1の無水マレイン酸由来の繰り返し単位の一部の無水環が開環するとともに、開環することで形成された一部の末端がエステル化される。なお、残りの末端はエステル化されずに、金属塩構造となる。
本実施形態において、金属アルコキシドあるいはアルカリ金属の水酸化物のモル数は、重合工程で使用した無水マレイン酸のモル数の50%以下とすることが好ましい。なかでも、金属アルコキシドあるいはアルカリ金属の水酸化物のモル数は、重合工程で使用した無水マレイン酸のモル数の40%以下、10%以上とすることが好ましく、さらには、30%以下とすることが好ましい。このようにすることで、金属アルコキシドあるいはアルカリ金属の水酸化物の量を少なくすることができ、最終的に得られるポリマー中のアルカリ金属濃度を低減することができる。
ポリマー中のアルカリ金属濃度を低減することで、このポリマーを使用したデバイスを形成した際に、金属イオンのマイグレートを抑制することができる。
前述した金属アルコキシドとしては、M(OR)で示されるもの(Mは1価の金属、Rは炭素数1〜18の有機基である。)が好ましい。金属Mとしては、アルカリ金属があげられ、なかでも、取り扱い性の観点からナトリウムが好ましい。Rとしては、たとえば上記式(2a)におけるRと同様のものが挙げられる。
なお、金属アルコキシドとしては、異なるものを2種以上使用してもよい。ただし、製造安定性の観点からは、1種の金属アルコキシドを使用することが好ましい。
一方で、前述したように、共重合体1の無水マレイン酸由来の構造体を(B)アルコールおよび塩基としてのアルカリ金属の水酸化物の存在下で開環してもよい。
アルカリ金属の水酸化物としては、取り扱い性の観点から水酸化ナトリウムが好ましい。
アルコールとしては、1価のアルコール(ROH)が好ましい。有機基であるRは、前述したものを使用できる。なお、Rは炭素数10以下であることが好ましい。
この開環工程(処理S2)で開環した無水マレイン酸由来の繰り返し単位は、以下の式(10)で示す構造となり、カルボキシル基の塩部分を有する構造となる。この式(10)の構造を有するものを、共重合体2とよぶ。
Figure 0006369132
(式(10)において、Rは、前述したRと同様であり、前述したアルコールあるいは金属アルコキシド由来のものである)
なお、共重合体2において、わずかではあるが、以下の式(11)で示す構造体が形成されることもある。
Figure 0006369132
また、共重合体2において、わずかではあるが、以下の式(12)で示す構造体が形成されることもある。
Figure 0006369132
次いで、反応液L1に、塩酸あるいは蟻酸等の水溶液を加えて、共重合体2を酸処理して、金属イオン(Na+)をプロトン(H+)と置換する。これにより、共重合体2を酸処理することで得られた共重合体3においては、式(10)で示される開環した無水マレイン酸由来の繰り返し単位は、下記式(13)のような構造となり、一方の末端がカルボキシル基となる。
Figure 0006369132
(式(13)において、Rは、前述したRと同様である)
なお、共重合体2において、式(12)で示す構造体を有する場合には、当該構造体は、下記式(14)のような構造となる。
Figure 0006369132
共重合体2を酸処理することで得られた共重合体3は、前述した式(8)で示される繰り返し単位と、式(6)で示される繰り返し単位と、式(13)で示される繰り返し単位と、場合により式(7)で示される繰り返し単位、式(11)の構造体および式(14)の構造体を有するものとなる。そして、無水マレイン酸由来の構造単位の全個数のうち、50%以上が、式(6)で示される繰り返し単位となる。式(6)で示される繰り返し単位と、式(13)で示される繰り返し単位(式(11)の構造体、式(14)の構造体が含まれる場合には、式(13)で示される繰り返し単位と、式(11)の構造体と、式(14)の構造体との合計)との比率(モル比(式(6):式(13)(式(11)の構造、式(14)の構造が含まれる場合には、式(13)+式(11)+式(14))))は、たとえば、1:1〜3:1である。
なかでも、以下の式(15)および(16)を繰り返し単位として有し、ノルボルネン型モノマー由来の構造体と、無水マレイン酸モノマー由来の構造体とが交互に配置された構造であることが好ましい。なお、一部、以下の式(17)および(18)を繰り返し単位として含んでいてもよい。
Figure 0006369132
式(15)および式(16)において、q、R〜R11は、上記式(1)と同じである。すなわち、qは0、1、2のいずれかである。R〜R11はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜30の有機基である。R、R、R10およびR11から選択される1または2以上は、アルコール性水酸基および加水分解してアルコール性水酸基を生成する基から選択される少なくとも一つを有する有機基である。R〜R11は、同一のものであっても異なっていてもよい。また、式(16)の構造には、Zが−O―Hおよび−O−Rのうちのいずれか一方を示し、Wは、いずれか他方を示す構造と、わずかではあるが、ZおよびWがいずれも、−O−Rである構造とが含まれる。Rは、前述したRと同様である。
また、わずかではあるが、式(16)で示される繰り返し単位には、ZおよびWがいずれも、−O−Hである構造も含まれる場合がある。
また、式(15)が繰り返し単位となる場合には、Rは、各繰り返し単位において共通であることが好ましいが、それぞれの繰り返し単位ごとに異なっていてもよい。R〜R11においても同様である。
同様に、式(16)が繰り返し単位となる場合には、Rは、各繰り返し単位において共通であることが好ましいが、それぞれの繰り返し単位ごとに異なっていてもよい。R〜R11、W、Zにおいても同様である。
Figure 0006369132
式(17)および式(18)において、n、R〜Rは、上記式(1)と同じである。すなわち、nは0、1、2のいずれかである。R〜Rはそれぞれ独立して水素または炭素数1〜30の有機基である。R〜Rは、同一のものであっても異なっていてもよい。また、式(18)の構造には、Zが−O―Hおよび−O−Rのうちのいずれか一方を示し、Wは、いずれか他方を示す構造と、わずかではあるが、ZおよびWがいずれも、−O−Rである構造とが含まれる。Rは、前述したRと同様である。
また、わずかではあるが、式(18)で示される繰り返し単位には、ZおよびWがいずれも、−O−Hである構造も含まれる場合がある。
また、式(17)が繰り返し単位となる場合には、Rは、各繰り返し単位において共通であることが好ましいが、それぞれの繰り返し単位ごとに異なっていてもよい。R〜Rにおいても同様である。
同様に、式(18)が繰り返し単位となる場合には、Rは、各繰り返し単位において共通であることが好ましいが、それぞれの繰り返し単位ごとに異なっていてもよい。R〜R、W、Zにおいても同様である。
この開環工程(処理S2)では、共重合体1の無水マレイン酸由来の繰り返し単位のうち、50%以上の繰り返し単位を開環せずに、残りの繰り返し単位の環状構造(無水環)を開環して、共重合体2を得ている。共重合体2では、前述したように、無水マレイン環が開環して形成された一方の末端に金属(たとえば、Na)が結合しているが、50%以上の繰り返し単位を開環しないことで、生成物であるポリマー中に含まれる金属量を少なくすることができる。これにより、本実施形態で最終的に得られるポリマー中のアルカリ金属の量を低減することができ、このポリマーを用いたネガ型感光性樹脂組成物Pにおいて所望の特性を発揮させることができる。
(洗浄工程(処理S3))
次に、以上の工程により得られた共重合体3を含む溶液を、水と有機溶媒(たとえば、MEK)との混合物で洗浄して、残留金属成分を除去する。共重合体3、残留モノマーおよびオリゴマーは、有機層に移動する。その後、水層を除去する(第一の洗浄)。
その後、再度、有機層に、水と有機溶媒(たとえば、MEK)との混合物を加えて、洗浄する(第二の洗浄)。
(低分子量成分除去工程(処理S4))
次に、共重合体3と、残留モノマーおよびオリゴマー等の低分子量成分とが含まれた上記有機層を、濃縮した後、THF等の有機溶媒に再度溶解させる。そして、この溶液に、ヘキサンおよびメタノールを加えて、共重合体3を含むポリマーを凝固沈殿させる。ここで、低分子量成分としては、残留モノマー、オリゴマー、さらには、重合開始剤等が含まれる。次いで、ろ過を行い、得られた凝固物を、乾燥させる。これにより、低分子量成分が除去された共重合体3を主成分(主生成物)とするポリマーを得ることができる。
なお、後述する加熱工程を実施する場合には、この低分子量成分除去工程(処理S4)では、たとえば共重合体3、残留モノマーおよびオリゴマーが含まれた上記有機層を、メタノール、水、ヘキサンの混合液で洗浄して、有機層を除去する。
(加熱工程(処理S5))
本実施形態では、前述した開環工程(処理S2)にて、無水マレイン酸由来の繰り返し単位の開環率を調整することで、第一のポリマーのアルカリ現像液(たとえば、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液))に対する溶解速度が調整されているが、さらに、厳密に溶解速度を調整する必要がある場合には本加熱工程(処理S5)を実施することが好ましい。この加熱工程(処理S5)では、共重合体3を加熱することで第一のポリマーのアルカリ現像液に対する溶解速度をさらに調整する。
加熱工程(処理S5)は、次のように行われる。
低分子量成分除去工程(処理S4)において有機層を除去した液に、アルコールを加え、メタノールを蒸発させた後、120〜140℃で0.5〜10時間加熱する。ここで使用するアルコールは、前述したアルコール(ROH)として例示したもののいずれかを使用できる。
この加熱工程(処理S5)では、共重合体3の一部のカルボキシル基、すなわち、無水マレイン酸由来の構造体の開環構造の末端に形成されたカルボキシル基が、エステル化することとなる。これに加え、この加熱工程(処理S5)では、共重合体3の無水マレイン酸由来の構造体の開環構造が脱水して、再度閉環することとなる。
従って、この工程を経て得られる共重合体4は、前述した式(8)で示す繰り返し単位と、式(6)で示される繰り返し単位と、式(13)で示される繰り返し単位と、以下の式(19)で示される繰り返し単位とを備えるものとなる。
Figure 0006369132
式(19)において、RおよびRは、上記式(2b)におけるRおよびRと同様であり、独立した炭素数1〜18の有機基である構造を含む。
この式(19)で示した構造は、Rが前述のRであり、Rの炭素数1〜18の有機基が本加熱工程(処理S5)で使用するアルコールに由来のものである場合を含む。この場合、Rは、前述したRで例示した有機基のいずれかとすることができる。
また、式(19)で示した構造には、上記式(11)に示す構造が含まれていてもよい。この場合には、式(19)のRおよびRが、式(11)に示したRと同一の基となる。
さらに、式(19)で示した構造には、式(14)において二つのカルボキシル基がエステル化した構造が含まれていてもよい。この場合には、RおよびRは、いずれも本加熱工程(処理S5)で使用するアルコールに由来のものであり、前述したRで例示した有機基のいずれかとすることができる。
これにより、共重合体4を主生成物とする生成物(ポリマー)を得ることができる。
この共重合体4においても、共重合体3と同様、ノルボルネン型モノマー由来の構造体と、無水マレイン酸モノマー由来の構造体とが交互に配置された構造であることが好ましい。そして、共重合体4は、前述した式(15)、(16)に加えて以下の式(20)で示される構造体を有することが好ましい。
Figure 0006369132
式(20)において、q、R〜R11は、上記式(1)と同じである。すなわち、qは0、1、2のいずれかである。R〜R11はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜30の有機基である。また、R、R、R10およびR11から選択される1または2以上は、アルコール性水酸基および加水分解してアルコール性水酸基を生成する基から選択される少なくとも一つを有する有機基である。R〜R11は、同一のものであっても異なっていてもよい。Xは、−O―Rおよび−O−Rのうちのいずれか一方を示し、Yは、いずれか他方を示す。R、Rは、上記式(19)と同様である。
以上の工程を経ることにより、上記式(1)に示す本実施形態に係る第一のポリマーが得られることとなる。
ネガ型感光性樹脂組成物P中の第一ポリマーの割合は、ネガ型感光性樹脂組成物Pの全固形分(すなわち、溶媒を除く成分)を100質量%としたとき、好ましくは40質量%〜90質量%であり、より好ましくは60質量%〜80質量%である。
<光酸発生剤>
ネガ型感光性樹脂組成物Pは、紫外線等の活性光線の照射により酸を発生する光酸発生剤を含有する。光酸発生剤として、オニウム塩化合物を挙げることができ、例えば、スルホニウム塩、ヨードニウム塩などを挙げることができる。
スルホニウム塩としては、例えば、トリアリールスルホニウム塩、トリアルキルスルホニウム塩、ジアルキルフェナシルスルホニウム塩、ジアルキル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウム塩等が挙げられる。これらの中でもトリアリールスルホニウム塩が好ましい。
ヨードニウム塩としては、ジアリールヨードニウム塩が好ましい。
光酸発生剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光酸発生剤の市販品として、例えば、CPI−100P、CPI−101A、CPI−200K、CPI−210S(サンアプロ社製)などが挙げられる。
ネガ型感光性樹脂組成物P中の光酸発生剤の割合は、ネガ型感光性樹脂組成物Pの全固形分を100質量%としたとき、好ましくは0.1〜5質量%である。
<第一架橋剤>
第一架橋剤としては、酸の作用により第一のポリマーを架橋できるものであれば特に限定されないが、たとえば、メラミン系架橋剤、尿素系架橋剤、グリコールウリル系架橋剤などが挙げられる。
メラミン系架橋剤としては、たとえば、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサブトキシブチルメラミン等が挙げられ、なかでもヘキサメトキシメチルメラミンが好ましい。
ヘキサメトキシメチルメラミンの市販品として、例えば、Mw−390(三和ケミカル社製)などが挙げられる。
尿素系架橋剤としては、たとえば、メチル化尿素樹脂、ビスメトキシメチル尿素、ビスエトキシメチル尿素、ビスプロポキシメチル尿素、ビスブトキシメチル尿素等が挙げられ、なかでもメチル化尿素樹脂が好ましい。
メチル化尿素樹脂の市販品として、例えば、MX−280、MX−290(三和ケミカル社製)などが挙げられる。
グリコールウリル系架橋剤としては、例えば、N,N,N,N−テトラ(メトキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(エトキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(プロポキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(イソプロポキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(ブトキシメチル)グリコールウリル等のアルコキシメチル化グリコールウリルが挙げられる。
グリコールウリル系架橋剤の市販品として、例えば、PL−1170、1171、1172及び1174(三井サイテック株式会社製)、MX−270(三和ケミカル社製)などが挙げられる。
第一架橋剤の中でも、グリコールウリル系架橋剤が好ましく、アルコキシメチル化グリコールウリルがより好ましく、N,N,N,N−テトラ(メトキシメチル)グリコールウリルが特に好ましい。
第一のポリマー中のアルコール性水酸基と、グリコールウリル系架橋剤中のグリコールウリルとは、反応性がより一層優れるため、第一架橋剤としてグリコールウリル系架橋剤を用いると、得られるネガ型感光性絶縁膜の耐熱性および残膜性をより一層向上させることができる。
ネガ型感光性樹脂組成物P中の第一架橋剤の割合は、ネガ型感光性樹脂組成物Pの全固形分を100質量%としたとき、好ましくは5〜40質量%であり、解像性の観点から、より好ましくは5〜30質量%であり、更に好ましくは10〜25質量%である。
<第二架橋剤>
ネガ型感光性樹脂組成物Pは、熱をかけることにより第一のポリマーを架橋でき、かつ、第一架橋剤とは異なる、熱硬化性の第二架橋剤を含んでもよい。この第二架橋剤は、反応性基として、環状エーテル基を有する化合物が好ましく、なかでも、グリシジル基あるいはオキセタニル基を有する化合物が好ましい。このような第二架橋剤を使用することで、ネガ型感光性樹脂組成物Pで構成される膜の耐薬品性を向上させることができる。
グリシジル基を有する化合物としては、エポキシ樹脂があげられ、以下のいずれかのエポキシ樹脂を使用できる。
たとえば、ビスフェノールAエポキシ樹脂(たとえば、LX−1、ダイソーケミカル株式会社)、2,2'-((((1-(4-(2-(4-(オキシラン-2-イルメトキシ)フェニル)プロパン-2-イル)フェニル)エタン-1,1-ジイル)ビス(4,1-フェニレン))ビス(オキシ))ビス(メチレン))ビス(オキシラン)(たとえば、Techmore、VG3101L、株式会社プリンテック)、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(たとえば、TMPTGE、CVCスペシャリティーケミカルズ社)、および1,1,3,3,5,5-ヘキサメチル-1,5-ビス(3-(オキシラン-2-イル・メトキシ)プロピル)トリ・シロキサン(たとえば、DMS−E09、ゲレスト社)を挙げることができる。これらの構造を以下に示す。その他、アラルダイトMT0163およびアラルダイトCY179(チバガイギー社)、EHPE−3150、およびEpolite GT300(ダイセル化学工業株式会社)等を挙げることができる。以上のうち、いずれか1種以上を使用できる。なお、ここでの例示に限定されない。
Figure 0006369132
ここで、nの平均値は、0以上3以下の整数である。
また、エポキシ樹脂としては、ネガ型感光性樹脂組成物Pの透明性、誘電率の観点から、多官能脂環式エポキシ樹脂を使用することが好ましい。
多官能脂環式エポキシ樹脂としては、たとえば、以下の化学式で示されるものを使用できる。このエポキシ樹脂は、たとえば、Poly[(2−oxiranyl)−1,2−cyclohexanediol]2−ethyl−2−(hydroxymethyl)−1,3−propanediol ether (3:1)である。この多官能脂環式エポキシ樹脂を、第二架橋剤(第一の架橋剤をのぞく)全体の20質量%以上、100質量%以下とすることが好ましい。なかでも、この多官能脂環式エポキシ樹脂を、第二架橋剤全体の50質量%以上とすることがより好ましい。
Figure 0006369132
式中、R36は炭素数1〜10の炭化水素基、sは1〜30の整数、tは1〜6の整数である。
また、オキセタニル基を有する化合物としては、たとえば、以下のいずれかを使用することができる。
例えば1,4−ビス{[(3−エチルー3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ビス[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、4,4'−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、4,4'−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ビフェニル、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)ジフェノエート、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ポリ[[3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピル]シラセスキオキサン]誘導体、オキセタニルシリケート、フェノールノボラック型オキセタン、1,3−ビス[(3−エチルオキセタンー3−イル)メトキシ]ベンゼン等が挙げられるが、これらに限定されない。これらは単独でも複数組み合わせて用いてもよい。
ネガ型感光性樹脂組成物P中の第二架橋剤の割合は、ネガ型感光性樹脂組成物Pの全固形分(すなわち、溶媒を除く成分)を100質量%としたとき、好ましくは5質量%〜40質量%である。
<他の添加剤>
また、ネガ型感光性樹脂組成物Pには、必要に応じて酸化防止剤、フィラー、界面活性剤、増感剤等の添加剤を添加してもよい。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤およびチオエーテル系酸化防止剤から選択される1種以上を使用できる。酸化防止剤は、硬化の際の酸化、およびその後のプロセスにおける膜の酸化を抑えることができる。
フェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル}2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、
オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,6−ジ−t−ブチル−4―メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4―エチルフェノール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、4,4'−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチル−6−ブチルフェノール)、2,−2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4,4'−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、2,2'−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2'−エチリデンビス(4−s−ブチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス〔2−t−ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−t−ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2−t−ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−t−ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4−8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン−ビス〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコールビス〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、1,1'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2'−メチレンビス(4−メチルー6−t−ブチルフェノール)、2,2'―メチレンビス(4−エチルー6−t−ブチルフェノール)、2,2'―メチレンビス(6−(1−メチルシクロヘキシル)―4−メチルフェノール)、4,4'―ブチリデンビス(3−メチルー6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス(2−(3−t−ブチルー4−ヒドロキシー5−メチルフェニルプロピオニロキシ)1,1―ジメチルエチル)―2,4,8,10―テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、4,4'−チオビス(3−メチルー6−t−ブチルフェノール)、4,4'―ビス(3,5―ジーt−ブチルー4−ヒドロキシベンジル)サルファイド、4,4'―チオビス(6−t−ブチルー2−メチルフェノール)、2,5−ジーt−ブチルヒドロキノン、2,5−ジーt−アミルヒドロキノン、2−t−ブチルー6−(3−t−ブチルー2−ヒドロキシー5−メチルベンジル)―4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジメチルー6−(1−メチルシクロヘキシル、スチレネイティッドフェノール、2,4−ビス((オクチルチオ)メチル)−5−メチルフェノール、などが挙げられる。これらの中では、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。
リン系酸化防止剤としては、ビス−(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルホスファイト)、テトラキス(2,4−ジーt−ブチルー5−メチルフェニル)―4,4'―ビフェニレンジホスホナイト、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート−ジエチルエステル、ビス−(2,6−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ミックスドモノandジ−ノニルフェニルホスファイト)、 ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシカルボニルエチル−フェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−オクタデシルオキシカルボニルエチル−フェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。これらの中では、ホスファイトおよびホスフェートが好ましい。
チオエーテル系酸化防止剤としては、ジラウリル3,3'−チオジプロピオネート、ビス(2−メチルー4−(3−n−ドデシル)チオプロピオニルオキシ)―5−t−ブチルフェニル)スルフィド、ジステアリル−3,3'−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ラウリル)チオプロピオネートなどが挙げられる。
酸化防止剤は、ネガ型感光性樹脂組成物P全体の0.1〜5重量%とすることができる。
また、前述したネガ型感光性樹脂組成物Pは、ポリフェノール類を含んでいてもよい。
ポリフェノール類としては、例えば、フェノールノボラック、o-クレゾールノボラック、p-クレゾールノボラック、p-t-ブチルフェノールノボラック、ヒドロキシナフタレンノボラック、ビスフェノールAノボラック、ビスフェノールFノボラック、テルペン変性ノボラック、ジシクロペンタジエン変性ノボラック、パラキシレン変性ノボラック、ポリブタジエン変性フェノール等が例示され、いずれか1種以上を使用できる。
また以下のフェノール性化合物も使用できる。
o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、ビスフェノールA、B、C、E、F及びG、4,4',4''−メチリジントリスフェノール、2,6−ビス[(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール、4,4'−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、4,4'−[1−[4−[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、4,4',4''−エチリジントリスフェノール、4−[ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル]−2−エトキシフェノール、4,4'−[(2−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2,3−ジメチルフェノール]、4,4'−[(3−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2,6−ジメチルフェノール]、4,4'−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2,6−ジメチルフェノール]、2,2'−[(2−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[3,5−ジメチルフェノール]、2,2'−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[3,5−ジメチルフェノール]、4,4'−[(3,4−ジヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2,3,6−トリメチルフェノール]、4−[ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)メチル]−1,2−ベンゼンジオール、4,6−ビス[(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,2,3−ベンゼントリオール、4,4'−[(2−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[3−メチルフェノール]、4,4',4''−(3−メチル−1−プロパニル−3−イリジン)トリスフェノール、4,4',4'',4'''−(1,4−フェニレンジメチリジン)テトラキスフェノール、2,4,6−トリス「(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,3−ベンゼンジオール、2,4,6−トリス[(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,3−ベンゼンジオール、4,4'−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス[(ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メチル]フェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビス[2,6−ビス(ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メチル]フェノール等が挙げられる。
これらの化合物のうち、4,4',4''−メチリジントリスフェノール、2,6−ビス[(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール、4,4'−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、4,4'−[1−[4−[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、4,4',4''−エチリジントリスフェノール等が好ましい。これらのうちいずれか1種以上を使用できる。
特に好ましくは、以下の化合物のいずれか1種以上である。
Figure 0006369132
ネガ型感光性樹脂組成物Pにおいて、ポリフェノール類の含有量は、溶媒を除く固形分を100質量%とした場合、例えば0質量%〜30質量%であることが好ましく、なかでも、3質量%以上であることが好ましい。
<溶媒>
ネガ型感光性樹脂組成物Pは溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸エチル、メチルイソブチルカルビノール(MIBC)、ガンマブチロラクトン(GBL)、N−メチルピロリドン(NMP)、メチルn-アミルケトン(MAK)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、又は、これらの混合物を採用することができる。なお、ここで例示したものに限定されない。
<ネガ型感光性樹脂組成物Pの調製方法>
ネガ型感光性樹脂組成物Pの調製方法は特に限定されず、一般的に公知の方法により製造することができる。例えば、以下の方法が挙げられる。第一のポリマー、光酸発生剤、第一架橋剤、必要に応じて第二架橋剤や前述したその他の添加剤、溶媒を配合して均一に混合することにより、ネガ型感光性樹脂組成物Pが得られる。
<レジストパターンの形成方法>
また、ネガ型感光性樹脂組成物Pを用いたレジストパターンの形成方法は、例えば、以下の方法が挙げられる。
はじめに、ネガ型感光性樹脂組成物Pをシリコンウエハー等の支持体に塗布する。ネガ型感光性樹脂組成物Pを支持体に塗布する方法としては、スピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターコート等の塗布方法を用いることができる。これらの中でもスピンコートが好ましく、その回転数は1000〜3000rpmが好ましい。
次いで、ネガ型感光性樹脂組成物P中の溶媒をほぼ全て除去するのに適切な温度および時間で支持体を加熱し、塗膜を形成する。加熱温度および時間は、例えば、60〜130℃で1〜5分間、好ましくは80〜120℃で1〜3分間である。また、ネガ型感光性樹脂組成物Pの塗膜の厚みは、1.0〜5.0μmが好ましい。
その後、目的のパターンを形成するためのマスクを介して露光し、加熱する。
塗膜上へのパターン形成は、目的のパターンを形成するためのマスクを用いて、活性光線等を照射して行う。そして、80〜140℃で1〜5分間、好ましくは90〜130℃で1〜3分間加熱し、硬化を促進させる。なお、硬化条件は上記に限定されるものではない。
その後、アルカリ性現像液により現像して、未露光部を溶解、除去し、さらに加熱することにより、目的のレジストパターンを得ることができる。
現像方法としては、例えば、シャワー現像法、スプレー現像法、浸漬現像法等を挙げることができる。現像条件としては通常、23℃で1〜10分程度である。
現像液としては、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の0.1〜10質量%程度の濃度のアルカリ水溶液を挙げることができる。現像後は、さらに、150〜300℃で30〜120分間ベークし、十分に硬化させて、目的のパターンを得ることができる。なお、硬化条件は上記に限定されるものではない。
<特性>
以上説明したネガ型感光性樹脂組成物Pによれば、以下に挙げる特性のうち少なくとも1つの特性を備えるネガ型感光性絶縁膜を実現することができる。なお、以下の実施例で示す通り、ネガ型感光性樹脂組成物Pがその他の添加剤を含んだ場合であっても、これらの特性は実現される。
<特性1:高残膜率>
スピンコート法によりネガ型感光性樹脂組成物Pをシリコンウェハ上に成膜後、110℃のホットプレートで100秒ベークすることで形成した第1の層の膜厚を第1の膜厚(第1の膜厚は、2.0μm以上4.0μm以下)とする。次いで、露光装置を用いてパターン寸法が10umのラインとスペースの幅が1:1となる最適露光量で露光する。そして、第1の層に対して、さらに、120℃、120秒間ホットプレートにてベークし、0.5質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で23℃、20秒間の条件で現像した後の第2の層の膜厚を第2の膜厚とする。このとき、{(第2の膜厚)/(第1の膜厚)}×100≧80(%)を満たし、好ましくは{(第2の膜厚)/(第1の膜厚)}×100≧90(%)を満たす。
また、第2の層をオーブン中で230℃、60分間加熱処理を行った後の第3の層の膜厚を第3の膜厚とする。このとき、{(第3の膜厚)/(第2の膜厚)}×100≧70(%)を満たし、好ましくは{(第3の膜厚)/(第2の膜厚)}×100≧75(%)を満たす。
このような特性1を備えるネガ型感光性樹脂組成物Pによれば、現像処理やベーク処理による膜厚の変化が少ないので、これらの処理を経た後の膜厚を精度よくコントロールすることが可能となる。
ところで、ネガ型感光性樹脂組成物Pは、フォトレジストのように、所定の間だけ存在し、不要になったら除去される膜の成膜に使用されるのみならず、成膜後、除去されることなく製品中に残存し続ける永久膜の成膜にも使用することができる。このような永久膜は、設計に従った膜厚に制御される必要があるが、ネガ型感光性樹脂組成物Pは、上述の通り膜厚を精度よくコントロールすることができるので、好ましい。
<特性2:低比誘電率>
当該ネガ型感光性樹脂組成物Pを用いて厚さ3μmの膜を形成した後、周波数10kHzで計測した比誘電率は、4.0以下、好ましくは3.5以下となる。比誘電率の下限値は特に限定されないが、たとえば、2.5である。
比誘電率は、以下のようにして計測できる。
ネガ型感光性樹脂組成物Pをアルミニウム基板上に回転塗布(回転数1000〜3000rpm)し、110℃、100秒間ホットプレートにてベークする。次いで、露光装置を用いて500mJ/cmで露光する。さらに、120℃、120秒間ホットプレートにてベークする。その後、オーブン中で230℃、60分間加熱し、厚さ3μmの膜とする。
その後、この膜上に金電極を形成し、室温(25℃)、10kHzにおける条件で計測する。
ところで、ネガ型感光性樹脂組成物Pは、フォトレジストのように、所定の間だけ存在し、不要になったら除去される一時膜の成膜に使用されるのみならず、成膜後、除去されることなく製品中に残存し続ける永久膜の成膜にも使用することができる。このような永久膜を電子装置に適用する場合には、誘電率が低いことが好ましい。そのため、本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物Pは電子装置に搭載される永久膜にも適したものとなる。
<特性3:高透過率>
また、ネガ型感光性樹脂組成物Pを硬化させて得られる厚さ3μmの硬化膜の層厚方向における波長400nmでの光の透過率は85%以上となる。なかでも、上記透過率は、90%以上であることが好ましい。透過率の上限値は特に限定されないが、たとえば、99%である。
透過率は以下のようにして計測できる。
ネガ型感光性樹脂組成物Pをガラス基板上に回転塗布(回転数1000〜3000rpm)し、110℃、100秒間ホットプレートにてベークする。次いで、露光装置を用いて500mJ/cmで露光する。さらに、120℃、120秒間ホットプレートにてベークする。その後、オーブン中で230℃、60分間加熱し、厚さ3μmの膜とする。
この膜について光の波長400nmにおける透過率を、紫外−可視光分光光度計を用いて測定する。
<特性4:高溶剤耐性>
ネガ型感光性樹脂組成物Pをガラス基板上に回転塗布(回転数1000〜3000rpm)し、110℃、100秒間ホットプレートにてベークする。次いで、露光装置を用いて500mJ/cmで露光する。さらに、120℃、120秒間ホットプレートにてベークする。その後、オーブン中で230℃、60分間加熱し、厚さ3μmの第1の膜を得る。第1の膜の膜厚を第1の膜厚とし、第1の膜をN-メチルピロリドンに10分間室温で浸漬した後の膜厚を第2の膜厚とした場合、[{(第2の膜厚)−(第1の膜厚)}/(第1の膜厚)]×100≦5(%)を満たす。
このような特性4を備えるネガ型感光性樹脂組成物Pによれば、成膜後の製造工程において、N-メチルピロリドンに浸されても、膜厚がほとんど変化しない。このため、所定の設計厚さの膜を精度よく製造することが可能となる。
<用途>
次に、ネガ型感光性樹脂組成物Pの用途について説明する。
ネガ型感光性樹脂組成物Pは、フォトレジストのように所定の間だけ存在し、不要になったら除去される膜の成膜に使用されるのみならず、成膜後、除去されることなく製品中に残存し続ける永久膜(硬化膜)の成膜にも使用することができる。
たとえば、図1に示すように、トランジスタを覆う平坦化膜として使用できる。
また、図2に示すように、半導体装置の再配線層を被覆する層間絶縁膜としても使用できる。また、顔料分散カラーレジストへも適用が可能である。
さらに、ネガ型感光性樹脂組成物Pをマイクロレンズアレイとしてもよい。たとえば、ネガ型感光性樹脂組成物Pを、マイクロレンズアレイ用の型に充填し、その後、光硬化および必要に応じて熱硬化させて、マイクロレンズアレイを形成することができる。
このようにして製造されたマイクロレンズアレイは、液晶表示装置、プラズマディスプレイ、電界放出型ディスプレイ、エレクトロルミネセンスディスプレイ等に使用することができる。
以下、ネガ型感光性樹脂組成物Pを用いて形成された膜を有する電子装置の一例を説明する。
<電子装置>
図1および図2は、それぞれ本実施形態に係る電子装置100の一例を示す断面図である。いずれにおいても、電子装置100のうちの絶縁膜20を含む一部が示されている。
本実施形態に係る電子装置100は、たとえばネガ型感光性樹脂組成物Pにより形成される永久膜である絶縁膜20を備えている。
本実施形態に係る電子装置100の一例として、図1では液晶表示装置が示されている。しかしながら、本実施形態に係る電子装置100は、液晶表示装置に限定されず、ネガ型感光性樹脂組成物Pからなる永久膜を備える他の電子装置を含むものである。
図1に示すように、液晶表示装置である電子装置100は、たとえば基板10と、基板10上に設けられたトランジスタ30と、トランジスタ30を覆うように基板10上に設けられた絶縁膜20と、絶縁膜20上に設けられた配線40と、を備えている。
基板10は、たとえばガラス基板である。
トランジスタ30は、たとえば液晶表示装置のスイッチング素子を構成する薄膜トランジスタである。基板10上には、たとえば複数のトランジスタ30がアレイ状に配列されている。本実施形態に係るトランジスタ30は、たとえばゲート電極31と、ソース電極32と、ドレイン電極33と、ゲート絶縁膜34と、半導体層35と、により構成される。ゲート電極31は、たとえば基板10上に設けられている。ゲート絶縁膜34は、ゲート電極31を覆うように基板10上に設けられる。半導体層35は、ゲート絶縁膜34上に設けられている。また、半導体層35は、たとえばシリコン層である。ソース電極32は、一部が半導体層35と接触するよう基板10上に設けられる。ドレイン電極33は、ソース電極32と離間し、かつ一部が半導体層35と接触するよう基板10上に設けられる。
絶縁膜20は、トランジスタ30等に起因する段差をなくし、基板10上に平坦な表面を形成するための平坦化膜として機能する。また、絶縁膜20は、ネガ型感光性樹脂組成物Pの硬化物により構成される。絶縁膜20には、ドレイン電極33に接続するよう絶縁膜20を貫通する開口22が設けられている。
絶縁膜20上および開口22内には、ドレイン電極33と接続する配線40が形成されている。配線40は、液晶とともに画素を構成する画素電極として機能する。
また、絶縁膜20上には、配線40を覆うように配向膜90が設けられている。
基板10のうちトランジスタ30が設けられている一面の上方には、基板10と対向するよう対向基板12が配置される。対向基板12のうち基板10と対向する一面には、配線42が設けられている。配線42は、配線40と対向する位置に設けられる。また、対向基板12の上記一面上には、配線42を覆うように配向膜92が設けられている。
基板10と当該対向基板12との間には、液晶層14を構成する液晶が充填される。
図1に示す電子装置100は、たとえば次のように形成される。
まず、基板10上にトランジスタ30を形成する。次いで、基板10のうちトランジスタ30が設けられた一面上に、印刷法あるいはスピンコート法によりネガ型感光性樹脂組成物Pを塗布し、トランジスタ30を覆う絶縁膜20を形成する。これにより、基板10上に設けられたトランジスタ30を覆う平坦化膜が形成される。
次いで、絶縁膜20を露光現像して、絶縁膜20の一部に開口22を形成する。このとき、未露光部分が現像液に溶解し、露光部分が残ることとなる。この点は、後述する電子装置100の各例においても同様である。
次いで、絶縁膜20を加熱硬化させる。そして、絶縁膜20の開口22内に、ドレイン電極33に接続された配線40を形成する。その後、絶縁膜20上に対向基板12を配置し、対向基板12と絶縁膜20との間に液晶を充填し、液晶層14を形成する。
これにより、図1に示す電子装置100が形成されることとなる。
また、本実施形態に係る電子装置100の一例として、図2ではネガ型感光性樹脂組成物Pからなる永久膜により再配線層80が構成される半導体装置が示されている。
図2に示す電子装置100は、トランジスタ等の半導体素子が設けられた半導体基板と、半導体基板上に設けられた多層配線層と、を備えている(図示せず)。多層配線層のうち最上層には、層間絶縁膜である絶縁膜50と、絶縁膜50上に設けられた最上層配線72が設けられている。最上層配線72は、たとえばAlにより構成される。
また、絶縁膜50上には、再配線層80が設けられている。再配線層80は、最上層配線72を覆うように絶縁膜50上に設けられた絶縁膜52と、絶縁膜52上に設けられた再配線70と、絶縁膜52上および再配線70上に設けられた絶縁膜54と、を有する。
絶縁膜52には、最上層配線72に接続する開口24が形成されている。再配線70は、絶縁膜52上および開口24内に形成され、最上層配線72に接続されている。絶縁膜54には、再配線70に接続する開口26が設けられている。
これらの絶縁膜52および絶縁膜54は、ネガ型感光性樹脂組成物Pからなる永久膜により構成される。絶縁膜52は、たとえば絶縁膜50上に塗布されたネガ型感光性樹脂組成物Pに対し露光・現像を行うことにより開口24を形成した後、これを加熱硬化することにより得られる。また、絶縁膜54は、たとえば絶縁膜52上に塗布されたネガ型感光性樹脂組成物Pに対し露光・現像を行うことにより開口26を形成した後、これを加熱硬化することにより得られる。
開口26内には、たとえばバンプ74が形成される。電子装置100は、たとえばバンプ74を介して配線基板等に接続されることとなる。
さらに、本実施形態に係る電子装置100は、ネガ型感光性樹脂組成物Pからなる永久膜によりマイクロレンズを構成する光デバイスであってもよい。光デバイスとしては、たとえば液晶表示装置、プラズマディスプレイ、電界放出型ディスプレイまたはエレクトロルミネセンスディスプレイが挙げられる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
また、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
以下、本発明の参考形態の一例を示す。
<1>
ネガ型感光性樹脂組成物であって、
下記式(1)で示される共重合体で構成されるポリマーと、
光酸発生剤と、
前記光酸発生剤より発生した酸を触媒として前記ポリマーを架橋する第一架橋剤と、
を含む、ネガ型感光性樹脂組成物。
Figure 0006369132

(式(1)中、l、pおよびmは、ポリマー中におけるモル含有率を示し、かつ、l+p+m≦1、0≦l<1、0<p<1、および0<m<1の条件を満たし、
nおよびqはそれぞれ独立して0、1または2であり、
〜R およびR 〜R 11 はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜30の有機基であり、
、R 、R 10 およびR 11 から選択される1または2以上がアルコール性水酸基を有する有機基であり、
Aは下記式(2a)、(2b)、(2c)または(2d)により示される構造単位である)
Figure 0006369132

(式(2a)および式(2b)中、R 、R およびR は、それぞれ独立して炭素数1〜18の有機基である)
<2>
<1>に記載のネガ型感光性樹脂組成物において、
前記式(1)で示される共重合体は、少なくとも前記式(2a)により示される構造単位、および前記式(2c)により示される構造単位を含む、ネガ型感光性樹脂組成物。
<3>
<1>または<2>に記載のネガ型感光性樹脂組成物において、
前記アルコール性水酸基を有する有機基が、アルコール性水酸基と前記アルコール性水酸基が結合した炭化水素基とを有する基である、ネガ型感光性樹脂組成物。
<4>
<3>に記載のネガ型感光性樹脂組成物において、
前記アルコール性水酸基が結合した前記炭化水素基は直鎖状であり、
直鎖状の前記炭化水素基の炭素数が1以上5以下である、ネガ型感光性樹脂組成物。
<5>
<4>に記載のネガ型感光性樹脂組成物において、
前記アルコール性水酸基が1級アルコール性水酸基である、ネガ型感光性樹脂組成物。
<6>
<1>乃至<5>いずれか一に記載のネガ型感光性樹脂組成物において、
熱をかけることにより前記ポリマーを架橋でき、かつ、前記第一架橋剤と異なる、熱硬化性の第二架橋剤をさらに含む、ネガ型感光性樹脂組成物。
<7>
<6>に記載のネガ型感光性樹脂組成物において、
前記第二架橋剤はエポキシ樹脂である、ネガ型感光性樹脂組成物。
<8>
<7>に記載のネガ型感光性樹脂組成物において、
前記エポキシ樹脂は多官能脂環式エポキシ樹脂である、ネガ型感光性樹脂組成物。
<9>
<1>乃至<8>いずれか一に記載のネガ型感光性樹脂組成物において、
前記光酸発生剤はスルホニウム塩を含む、ネガ型感光性樹脂組成物。
<10>
<1>乃至<9>いずれか一に記載のネガ型感光性樹脂組成物において、
前記第一架橋剤はグリコールウリル系架橋剤である、ネガ型感光性樹脂組成物。
<11>
<1>乃至<10>いずれか一に記載のネガ型感光性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化膜。
<12>
<11>に記載の硬化膜を備える電子装置。
<13>
前記硬化膜が、層間絶縁膜または平坦化膜である<12>に記載の電子装置。
<14>
下記式(1)で示される共重合体で構成されるポリマー。
Figure 0006369132

(式(1)中、l、pおよびmは、ポリマー中におけるモル含有率を示し、かつ、l+p+m≦1、0≦l<1、0<p<1、および0<m<1の条件を満たし、
nおよびqはそれぞれ独立して0、1または2であり、
〜R およびR 〜R 11 はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜30の有機基であり、
、R 、R 10 およびR 11 から選択される1または2以上がアルコール性水酸基を有する有機基であり、
Aは下記式(2a)、(2b)、(2c)または(2d)により示される構造単位である)
Figure 0006369132

(式(2a)および式(2b)中、R 、R およびR は、それぞれ独立して炭素数1〜18の有機基である)
<15>
<14>に記載のポリマーにおいて、
前記式(1)で示される共重合体は、少なくとも前記式(2a)により示される構造単位、および前記式(2c)により示される構造単位を含む、ポリマー。
<16>
<15>に記載のポリマーにおいて、
前記アルコール性水酸基を有する有機基が、アルコール性水酸基と前記アルコール性水酸基が結合した炭化水素基とを有する基である、ポリマー。
<17>
<16>に記載のポリマーにおいて、
前記アルコール性水酸基が結合した前記炭化水素基は直鎖状であり、
直鎖状の前記炭化水素基の炭素数が1以上5以下である、ポリマー。
<18>
<17>に記載のポリマーにおいて、
前記アルコール性水酸基が1級アルコール性水酸基である、ポリマー。
<19>
<14>乃至<18>いずれか一に記載のポリマーにおいて、
当該ポリマーは、ネガ型感光性樹脂組成物用のポリマーである、ポリマー。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
<第一のポリマーの合成例1>
撹拌機を備えた適切なサイズの反応容器に、無水マレイン酸(MA、5.88g、60mmol)、5−(アセトキシメチル)ノルボルナ−2−エン(MeOAcNB、9.96g、60mmol)およびジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(1.38g、6mmol)を計量し、メチルエチルケトン(MEK、2.7g)およびトルエン(2.7g)に溶解させた。この溶解液に対して、10分間窒素を通気して酸素を除去し、その後、撹拌しつつ70℃にて16時間、加熱した。その後反応混合物をMEK(56.6g)で希釈し、大量のメタノールに注いで、ポリマーを析出させた。固体を濾取し、40℃にて真空乾燥することによりポリマー13.3gを得た。重量平均分子量は6,900であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.7であった。
撹拌機を備えた適切なサイズの反応容器に、水酸化ナトリウム(6.1g、0.15mol)、ブタノール(14.0g)、トルエン(20g)を計量し、45℃で1時間混合した。上記で得られたポリマー(10g)をMEKに再溶解し25wt%溶液とし、上記の懸濁液に添加してさらに3時間、45℃で加熱撹拌した。この混合液を40℃まで冷却し、ギ酸(88重量%水溶液、23.8g、0.46mol)で処理してプロトン付加し、その後、MEKおよび水を加え、水層を分離することで、無機残留物を除去した。次いで、反応混合物を大量のヘキサンに注いでポリマーを析出させた。固体を濾取し、40℃にて真空乾燥することによりポリマー10.6gを得た。重量平均分子量は7,800であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.0であった。
<ネガ型感光性樹脂組成物の調製>
合成例1で合成した第一のポリマーの20%プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)溶液を25g、光酸発生剤として、CPI−210S、サンアプロ社製を0.1g、第一架橋剤としてグリコールウリル系架橋剤(Mx−270、三和ケミカル社製)を1.5g、基板との密着性を改善するためにシランカップリング剤(KBM−303、信越シリコーン社製)を0.05g、回転塗布の際にネガ型感光性絶縁膜上にできる放射線状のストリエーションを防止するためにF−557(DIC社製)を200ppm、をそれぞれ適量のPGMEAに溶解させて攪拌した後、0.2μmのフィルターで濾過して、樹脂組成物を調製した。
[実施例2]
第一のポリマーを以下のものに変更した以外は実施例1と同様にネガ型感光性樹脂組成物を調製して評価した。
<第一のポリマーの合成例2>
撹拌機を備えた適切なサイズの反応容器に、無水マレイン酸(MA、6.13g、62.5mmol)、5−ノルボルネン−2−ブチルアセテート(BuOAcNB、13.00g、62.5mmol)およびジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(1.44g、6.3mmol)を計量し、メチルエチルケトン(MEK、3.4g)およびトルエン(3.4g)に溶解させた。この溶解液に対して、10分間窒素を通気して酸素を除去し、その後、撹拌しつつ70℃にて16時間、加熱した。その後反応混合物をMEK(68.3g)で希釈し、大量のメタノールに注いで、ポリマーを析出させた。固体を濾取し、40℃にて真空乾燥することによりポリマー15.0gを得た。重量平均分子量は10,800であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.7であった。
撹拌機を備えた適切なサイズの反応容器に、水酸化ナトリウム(5.2g、0.13mol)、ブタノール(12.1g)、トルエン(20g)を計量し、45℃で1時間混合した。上記で得られたポリマー(10g)をMEKに再溶解し25wt%溶液とし、上記の懸濁液に添加してさらに3時間、45℃で加熱撹拌した。この混合液を40℃まで冷却し、ギ酸(88重量%水溶液、20.5g、0.39mol)で処理してプロトン付加し、その後、MEKおよび水を加え、水層を分離することで、無機残留物を除去した。次いで、反応混合物を大量のヘキサンに注いでポリマーを析出させた。固体を濾取し、40℃にて真空乾燥することによりポリマー10.8gを得た。重量平均分子量は15,300であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.3であった。
[実施例3]
第一のポリマーを以下のものに変更した以外は実施例1と同様にネガ型感光性樹脂組成物を調製して評価した。
<第一のポリマーの合成例3>
撹拌機を備えた適切なサイズの反応容器に、無水マレイン酸(MA、6.13g、62.5mmol)、5−ノルボルネン−2−ブチルアセテート(BuOAcNB、11.70g、56.25mmol)、2−ノルボルネン(NB、0.59g、6.25mmol)およびジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(1.44g、6.3mmol)を計量し、メチルエチルケトン(MEK、4.0g)およびトルエン(3.5g)に溶解させた。この溶解液に対して、10分間窒素を通気して酸素を除去し、その後、撹拌しつつ60℃にて12時間、加熱した。その後反応混合物をMEK(70g)で希釈し、大量のメタノールに注いで、ポリマーを析出させた。固体を濾取し、40℃にて真空乾燥することによりポリマー15.5gを得た。重量平均分子量は12,500であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.9であった。
撹拌機を備えた適切なサイズの反応容器に、水酸化ナトリウム(5.6g、0.14mol)、ブタノール(14g)、トルエン(20g)を計量し、45℃で1時間混合した。上記で得られたポリマー(10g)をMEKに再溶解し25wt%溶液とし、上記の懸濁液に添加してさらに3時間、45℃で加熱撹拌した。この混合液を40℃まで冷却し、ギ酸(88重量%水溶液、19.3g、0.42mol)で処理してプロトン付加し、その後、MEKおよび水を加え、水層を分離することで、無機残留物を除去した。次いで、反応混合物を大量のヘキサンに注いでポリマーを析出させた。固体を濾取し、40℃にて真空乾燥することによりポリマー10.5gを得た。重量平均分子量は15,800であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.4であった。
[実施例4]
合成例2で合成した第一のポリマーの20%プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)溶液を25g、光酸発生剤として、CPI−210S、サンアプロ社製を0.1g、第一架橋剤としてグリコールウリル系架橋剤(Mx−270、三和ケミカル社製)を1.5g、第二架橋剤としてエポキシ樹脂(VG−3101L、プリンテック社製)を1.0g、基板との密着性を改善するためにシランカップリング剤(KBM−303、信越シリコーン社製)を0.05g、回転塗布の際にネガ型感光性絶縁膜上にできる放射線状のストリエーションを防止するためにF−557(DIC社製)を200ppm、をそれぞれ適量のPGMEに溶解させて攪拌した後、0.2μmのフィルターで濾過して、樹脂組成物を調製した。
[実施例5]
合成例2で合成した第一のポリマーの20%プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)溶液を25g、光酸発生剤として、CPI−210S、サンアプロ社製を0.1g、第一架橋剤としてグリコールウリル系架橋剤(Mx−270、三和ケミカル社製)を1.5g、第二架橋剤としてエポキシ樹脂(Epolite100MF、共栄社化学製)を1.0g、基板との密着性を改善するためにシランカップリング剤(KBM−303、信越シリコーン社製)を0.05g、回転塗布の際にネガ型感光性絶縁膜上にできる放射線状のストリエーションを防止するためにF−557(DIC社製)を200ppm、をそれぞれ適量のPGMEに溶解させて攪拌した後、0.2μmのフィルターで濾過して、樹脂組成物を調製した。
[比較例1]
<ポリマーの合成>
撹拌機、冷却管を備えた適切なサイズの反応容器に、無水マレイン酸(MA、122.4g、1.25mol)、2−ノルボルネン(NB、117.6g、1.25mol)およびジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(11.5g、50.0mmol)を計量し、メチルエチルケトン(MEK、150.8g)およびトルエン(77.7g)に溶解させた。この溶解液に対して、10分間窒素を通気して酸素を除去し、その後、撹拌しつつ60℃に昇温し、16時間加熱した。その後、この溶解液に対して、MEK(320g)を加えた後、これを、水酸化ナトリウム(12.5g、0.31mol)、ブタノール(463.1g、6.25mol)、トルエン(480g)の懸濁液に加え、45℃で3時間混合した。そして、この混合液を40℃まで冷却し、ギ酸(88重量%水溶液、49.0g、0.94mol)で処理してプロトン付加し、その後、MEKおよび水を加え、水層を分離することで、無機残留物を除去した。次いで、メタノール、ヘキサンを加え有機層を分離することで未反応モノマーを除去した。さらにPGMEAを添加し、系内のメタノール及びブタノールを残留量1%未満となるまで減圧留去した。これにより、20重量%のポリマー溶液1107.7gを得た(GPC Mw=13,700、Mn=7,400)。
<ネガ型感光性樹脂組成物の調製>
得られたポリマーの20%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液を25g、光酸発生剤として、CPI−210S、サンアプロ社製を0.1g、第一架橋剤としてグリコールウリル系架橋剤(Mx−270、三和ケミカル社製)を1.5g、基板との密着性を改善するためにシランカップリング剤(KBM−303、信越シリコーン社製)を0.05g、回転塗布の際にネガ型感光性絶縁膜上にできる放射線状のストリエーションを防止するためにF−557(DIC社製)を200ppm、をそれぞれ適量のPGMEAに溶解させて攪拌した後、0.2μmのフィルターで濾過して、樹脂組成物を調製した。
[比較例2]
CPI−210Sを0.5g、Mx−270を3.0gに変更した以外は比較例1と同様にネガ型感光性樹脂組成物を調製して評価した。
<現像後、及び、ベーク後残膜率の評価>
各実施例・比較例について、得られた樹脂組成物を用いて以下のように現像後、及び、ベーク後残膜率の評価を行った。
得られた樹脂組成物をHMDS(Hexamethyldisilazane)処理した4インチシリコンウエハー上に回転塗布し、110℃、100秒間ホットプレートにてベーク後、3μm厚の薄膜Aを得た。この薄膜Aにキヤノン社製g+h+i線マスクアライナー(PLA−501F)にて10μmのラインとスペースの幅が1:1のマスクを使用し、パターン寸法が10μmのラインとスペースの幅が1:1となる最適露光量で露光した。さらに、120℃、120秒間ホットプレートにてベークし、0.5質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で23℃、20秒間現像することで、ラインとスペース幅が1:1のライン&スペースパターンつき薄膜Bを得た。その後、オーブン中で230℃、60分間加熱することによりポストベーク処理を行い、パターン付き薄膜Cを得た。
上記の手法にて得られた薄膜A、薄膜B及び薄膜Cの膜厚から、以下の式より残膜率を算出した。
現像後残膜率(%)={(薄膜Bの膜厚(μm))/(薄膜Aの膜厚(μm))}×100
ベーク後残膜率(%)={(薄膜Cの膜厚(μm)/(薄膜Aの膜厚(μm)))×100
<現像性の評価>
各実施例・比較例について、「現像後、及び、ベーク後残膜率の評価」で説明した薄膜Bの、10μmのパターンをSEM(走査型電子顕微鏡にて観察した。現像中に膜が全部溶解した場合や解像性が低く評価不能の場合は×、残渣が見られない場合には○として現像性を評価した。
<誘電率の評価>
各実施例・比較例について、以下のように誘電率を評価した。
得られた樹脂組成物をHMDS(Hexamethyldisilazane)処理したアルミニウム基板上に回転塗布し、110℃、100秒間ホットプレートにてベークした。得られた薄膜にキヤノン社製g+h+i線マスクアライナー(PLA−501F)にて500mJ/cmで露光した。さらに、120℃、120秒間ホットプレートにてベークし、その後、オーブン中で230℃、60分間加熱することで、パターンのない、厚さ3μmの膜をアルミニウム基板上に得た。
この薄膜上に金電極を形成し、室温(25℃)、10kHzにおける条件で、Hewlett Packard社製LCRメータ(4282A)を用いて得られた静電容量から誘電率を算出した。
<透過率の評価>
得られた樹脂組成物をHMDS(Hexamethyldisilazane)処理した縦100mm、横100mmサイズのコーニング社製1737ガラス基板上に回転塗布し、110℃、100秒間ホットプレートにてベークした。得られた薄膜にキヤノン社製g+h+i線マスクアライナー(PLA−501F)にて500mJ/cmで露光した。さらに、120℃、120秒間ホットプレートにてベークし、その後、オーブン中で230℃、60分間加熱することで、パターンのない、厚さ3μmの膜をガラス基板上に得た。
この薄膜について光の波長400nmにおける透過率を、紫外−可視光分光光度計を用いて測定した。
<耐溶剤性の評価>
「透過率の評価」と同様の操作を行うことで得た薄膜つきガラス基板を、N−メチルピロリドン(関東化学)中に室温(25℃)、10分間浸漬した後、純水リンスを行った。以下の演算式で定義される膜厚変化率が5%以下の場合には○、5%を超えるものは×として評価した。
膜厚変化率(%)=[{(溶剤浸漬後の膜厚)−(溶剤浸漬前の膜厚)}/(溶剤浸漬前の膜厚)]×100
(感度)
得られた樹脂組成物をHMDS(Hexamethyldisilazane)処理した4インチシリコンウエハー上に回転塗布し、110℃、100秒間ホットプレートにてベーク後、約3μm厚の薄膜Aを得た。この薄膜Aにキヤノン社製g+h+i線マスクアライナー(PLA−501F)にて10μmのラインとスペースの幅が1:1のマスクを使用し露光した。次いで、120℃、120秒間ホットプレートにてベーク後、0.5質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で23℃、20秒間現像することで形成されたレジストパターンが、10μmのライン幅:スペース幅=1:1のときの露光量(mJ/cm)を感度とした。
以上の評価結果をまとめて表1に示す。
Figure 0006369132
以上の結果から、アルコール性水酸基を有するポリマーを用いた実施例1〜5によれば、残膜率が高く、解像性が高い膜を得ることができた。これにより、所望のパターンを確実に形成することができることがわかった。
さらに、実施例1〜5では、誘電率が低く、透明性が高く、耐溶剤性も高いものとなった。
一方、アルコール性水酸基を含まないポリマーを用いた比較例1だと、現像段階で膜が溶解してしまった。これは、アルコール性水酸基を含まないポリマーでは架橋性が乏しいためと考えられる。また、第一架橋剤と光酸発生剤を多量に添加しても50μmすら解像できなかった(比較例2)。
この出願は、2013年6月28日に出願された日本出願特願2013−137189を基礎とする優先権を主張し、その開示の総てをここに取り込む。
10 基板
12 対向基板
14 液晶層
20、50、52、54 絶縁膜
22、24、26 開口
30 トランジスタ
31 ゲート電極
32 ソース電極
33 ドレイン電極
34 ゲート絶縁膜
35 半導体層
40、42 配線
70 再配線
72 最上層配線
74 バンプ
80 再配線層
90、92 配向膜
100 電子装置

Claims (17)

  1. ネガ型感光性樹脂組成物であって、
    下記式(1)で示される共重合体で構成されるポリマーと、
    光酸発生剤と、
    前記光酸発生剤より発生した酸を触媒として前記ポリマーを架橋する第一架橋剤と、
    を含み、
    前記式(1)で示される共重合体は、少なくとも下記式(2a)により示される構造単位、および下記式(2c)により示される構造単位を含む、ネガ型感光性樹脂組成物。
    Figure 0006369132

    (式(1)中、l、pおよびmは、ポリマー中におけるモル含有率を示し、かつ、l+p+m≦1、0≦l<1、0<p<1、および0<m<1の条件を満たし、
    nおよびqはそれぞれ独立して0、1または2であり、
    〜RおよびR〜R11はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜30の有機基であり、
    、R、R10およびR11から選択される1または2以上がアルコール性水酸基を有する有機基であり、
    Aは下記式(2a)、(2b)、(2c)または(2d)により示される構造単位である)
    Figure 0006369132

    (式(2a)および式(2b)中、R、RおよびRは、それぞれ独立して炭素数1〜18の有機基である)
  2. 請求項1記載のネガ型感光性樹脂組成物において、
    前記アルコール性水酸基を有する有機基が、アルコール性水酸基と前記アルコール性水酸基が結合した炭化水素基とを有する基である、ネガ型感光性樹脂組成物。
  3. 請求項に記載のネガ型感光性樹脂組成物において、
    前記アルコール性水酸基が結合した前記炭化水素基は直鎖状であり、
    直鎖状の前記炭化水素基の炭素数が1以上5以下である、ネガ型感光性樹脂組成物。
  4. 請求項に記載のネガ型感光性樹脂組成物において、
    前記アルコール性水酸基が1級アルコール性水酸基である、ネガ型感光性樹脂組成物。
  5. 請求項1乃至いずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物において、
    熱をかけることにより前記ポリマーを架橋でき、かつ、前記第一架橋剤と異なる、熱硬化性の第二架橋剤をさらに含む、ネガ型感光性樹脂組成物。
  6. 請求項に記載のネガ型感光性樹脂組成物において、
    前記第二架橋剤はエポキシ樹脂である、ネガ型感光性樹脂組成物。
  7. 請求項に記載のネガ型感光性樹脂組成物において、
    前記エポキシ樹脂は多官能脂環式エポキシ樹脂である、ネガ型感光性樹脂組成物。
  8. 請求項1乃至いずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物において、
    前記光酸発生剤はスルホニウム塩を含む、ネガ型感光性樹脂組成物。
  9. 請求項1乃至いずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物において、
    前記第一架橋剤はグリコールウリル系架橋剤である、ネガ型感光性樹脂組成物。
  10. 請求項1乃至いずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化膜。
  11. 請求項10に記載の硬化膜を備える電子装置。
  12. 前記硬化膜が、層間絶縁膜または平坦化膜である請求項11に記載の電子装置。
  13. 下記式(1)で示される共重合体で構成され、下記式(1)で示される共重合体は、少なくとも下記式(2a)により示される構造単位、および下記式(2c)により示される構造単位を含む、ポリマー。
    Figure 0006369132

    (式(1)中、l、pおよびmは、ポリマー中におけるモル含有率を示し、かつ、l+p+m≦1、0≦l<1、0<p<1、および0<m<1の条件を満たし、
    nおよびqはそれぞれ独立して0、1または2であり、
    〜RおよびR〜R11はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜30の有機基であり、
    、R、R10およびR11から選択される1または2以上がアルコール性水酸基を有する有機基であり、
    Aは下記式(2a)、(2b)、(2c)または(2d)により示される構造単位である)
    Figure 0006369132
    (式(2a)および式(2b)中、R、RおよびRは、それぞれ独立して炭素数1〜18の有機基である)
  14. 請求項13に記載のポリマーにおいて、
    前記アルコール性水酸基を有する有機基が、アルコール性水酸基と前記アルコール性水酸基が結合した炭化水素基とを有する基である、ポリマー。
  15. 請求項14に記載のポリマーにおいて、
    前記アルコール性水酸基が結合した前記炭化水素基は直鎖状であり、
    直鎖状の前記炭化水素基の炭素数が1以上5以下である、ポリマー。
  16. 請求項15に記載のポリマーにおいて、
    前記アルコール性水酸基が1級アルコール性水酸基である、ポリマー。
  17. 請求項13乃至16いずれか一項に記載のポリマーにおいて、
    当該ポリマーは、ネガ型感光性樹脂組成物用のポリマーである、ポリマー。
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