JP6123302B2 - 化学増幅型のネガ型フォトレジスト用樹脂組成物、硬化物および電子装置 - Google Patents
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Description
フォトリソグラフィ技術においては、レジストパターンを形成するため、感光性樹脂組成物(以下、フォトレジスト用樹脂組成物とも呼ぶ。)が用いられている。
化学増幅型のネガ型フォトレジスト用樹脂組成物であって、
下記式(1)で示される共重合体で構成されるポリマーと、
光酸発生剤と、
前記光酸発生剤より発生した酸を触媒として前記ポリマーを架橋する第一架橋剤と、
熱をかけることにより前記ポリマーを架橋でき、かつ、前記第一架橋剤と異なる、熱硬化性の第二架橋剤を含み、
前記第二架橋剤は、エポキシ樹脂を含む、ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物が提供される。
l+m=1であり、
nは0、1または2であり、
R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜30の有機基であり、
Aは下記式(2a)、(2b)、(2c)または(2d)により示される構造単位である)
上記ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物を硬化させて得られる硬化膜が提供される。
上記硬化膜を備える電子装置が提供される。
本実施形態に係る化学増幅型のネガ型フォトレジスト用樹脂組成物Pは、下記式(1)で示される共重合体で構成される第一のポリマーと、光酸発生剤と、上記光酸発生剤より発生した酸を触媒として第一のポリマーを架橋する第一架橋剤とを含む。
本実施形態に係る第一のポリマーは、下記式(1)で示される共重合体である。
R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜30の有機基である。R1、R2、R3およびR4は、互いに同一であってもよく、また互いに異なっていてもよい。
Aは下記式(2a)、(2b)、(2c)または(2d)により示される構造単位である。上記式(1)により示される共重合体には、下記式(2a)、(2b)、(2c)および(2d)から選択される1種または2種以上の構造単位Aが含まれる。本実施形態においては、少なくとも下記式(2a)、(2b)および(2c)から選択される1種または2種以上の構造単位Aが含まれることが好ましい。
アルキル基としては、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、およびデシル基が挙げられる。アルケニル基としては、たとえばアリル基、ペンテニル基、およびビニル基が挙げられる。アルキニル基としては、エチニル基が挙げられる。アルキリデン基としては、たとえばメチリデン基、およびエチリデン基が挙げられる。アリール基としては、たとえばフェニル基、ナフチル基、およびアントラセニル基が挙げられる。アラルキル基としては、たとえばベンジル基、およびフェネチル基が挙げられる。アルカリル基としては、たとえばトリル基、キシリル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、たとえばアダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、およびシクロオクチル基が挙げられる。ヘテロ環基としては、たとえばエポキシ基、およびオキセタニル基が挙げられる。
なお、R1、R2、R3またはR4としてアルキル基を含むことにより、第一のポリマーを含むネガ型フォトレジスト用樹脂組成物Pからなる膜の製膜性を向上させることができる。また、R1、R2、R3またはR4としてアリール基を含むことにより、第一のポリマーを含むネガ型フォトレジスト用樹脂組成物Pからなる膜について、リソグラフィ工程におけるアルカリ現像液を用いた現像の際の膜減りを抑えることができる。
なお、第一のポリマーを含んで構成される膜の光透過性を高める観点から、R1、R2、R3およびR4のいずれかが水素であることが好ましく、特には、R1、R2、R3およびR4すべてが水素であることが好ましい。
下記式(4)に示す無水マレイン酸に由来した繰り返し単位とは、上記式(1)中のAにより表される構造単位である。なお、第一のポリマーは、低分子量成分として下記式(3)および(4)により示されるモノマーを含んでいてもよい。
第一のポリマーの酸価の測定は、たとえばJIS K 2501に準じて次のように行われる。まず、合成した第一のポリマーを溶かした滴定溶剤に対し、N/10KOH水溶液を用いてpH=7.0となるよう滴定を行う。そして、この滴定に要したKOH量を基に、下記の式を用いてポリマーの酸価(樹脂1gに対するKOHのmg数)が算出される。
酸価=滴定量(ml)×KOHのファクターf×0.1×56.1/ポリマー量(固形)
フォトリソグラフィ工程においては、所望のパターニング性能を実現するために、アルカリ現像液への溶解速度を調整することが重要となる。第一のポリマーの酸価を上記範囲とすることにより、特に永久膜のパターニングに適した、ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物Pのアルカリ溶解速度を実現することが可能となる。
本発明者は、第一のポリマーにおける低分子量成分の量を低減することにより、当該第一のポリマーにより形成される膜について、硬化時におけるパターンの変形を抑制できることを見出した。このため、GPCにより得られる分子量分布曲線の分子量1000以下におけるピーク面積の比率を上記範囲とすることにより、第一のポリマーを含むネガ型フォトレジスト用樹脂組成物Pからなる膜のパターン形状を良好なものとすることができる。当該膜を永久膜として備える電子装置については、その動作信頼性を向上させることが可能となる。
なお、第一のポリマーにおける低分子量成分の量の下限は、特に限定されない。しかし、本実施形態における第一のポリマーは、GPCにより得られる分子量分布曲線において分子量1000以下におけるピーク面積が全体の0.01%以上である場合を許容するものである。
本発明者は、第一のポリマーにおける分子量分布を一定の範囲に制御することにより、当該第一のポリマーにより形成される膜について、硬化時におけるパターンの変形を抑制できることを見出した。このため、第一のポリマーのMw/Mnを上記範囲とすることにより、第一のポリマーを含むネガ型フォトレジスト用樹脂組成物Pからなる膜のパターン形状を良好なものとすることができる。なお、このような効果は、同時に上述のように第一のポリマーの低分子量成分を低減する場合において特に顕著に表れる。
また、第一のポリマーのMw(重量平均分子量)は、たとえば5,000以上30,000以下である。
東ソー社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置HLC−8320GPC
カラム:東ソー社製TSK−GEL Supermultipore HZ−M
検出器:液体クロマトグラム用RI検出器
測定温度:40℃
溶媒:THF
試料濃度:2.0mg/ミリリットル
また、第一のポリマー中における低分子量成分量は、たとえばGPC測定により得られた分子量に関するデータに基づき、分子量分布全体の面積に占める、分子量1000以下に該当する成分の面積総和の割合から算出される。
第一のポリマー中におけるアルカリ金属の濃度を当該範囲とすることにより、永久膜を含む電子装置の動作信頼性を向上させることができる。また、上記範囲内であればアルカリ金属が第一のポリマー中に含有されることを許容できる。すなわち、後述する無水マレイン酸由来の構造単位における無水環を開環する工程を、アルカリ水溶液を用いた処理により行うことが可能となる。この場合、短時間で、かつ温和な条件により当該工程を行うことができる。また、酸触媒を用いて無水環を開環する工程と比較して、第一のポリマーにおける開環率の制御が容易となる。
なお、第一のポリマー中におけるアルカリ金属濃度の下限は、特に限定されないが、本実施形態は第一のポリマー中におけるアルカリ金属濃度が0.01ppm以上である場合を許容するものである。
また、本実施形態における第一のポリマー中に含まれるアルカリ金属としては、たとえばNa、KまたはLiが挙げられる。これらのアルカリ金属は、たとえば後述する無水マレイン酸由来の構造単位における無水環を開環する開環工程(処理S2)におけるアルカリ水溶液に起因するものである。
第一のポリマーのアルカリ溶解速度を500Å/秒以上とすることにより、アルカリ現像液による現像工程におけるスループットを良好なものとすることができる。また、第一のポリマーのアルカリ溶解速度を20,000Å/秒以下とすることにより、アルカリ現像液による現像工程後における残膜率を向上させることができる。このため、リソグラフィ工程による膜減りを抑えることが可能となる。
はじめに式(3)で示されるノルボルネン型モノマーと、モノマーとなる無水マレイン酸とを用意する。式(1)で示されるノルボルネン型モノマーにおいて、n、R1〜R4は、上記式(1)のものと同様とすることができる。
ノルボルネン型モノマーとしては、これらのうち、いずれか1種以上を使用できる。なかでも、ポリマーの光透過性の観点から、ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)を使用することが好ましい。
式(3)で示されるノルボルネン型モノマーと、無水マレイン酸とのモル比(式(3)で示される化合物のモル数:無水マレイン酸のモル数)は、0.5:1〜1:0.5であることが好ましい。なかでも、分子構造制御の観点から、式(3)で示されるノルボルネン型モノマーのモル数:無水マレイン酸のモル数=1:1であることが好ましい。
式(3)で示されるノルボルネン型モノマーと、無水マレイン酸と、重合開始剤とを溶媒に溶解し、その後、所定時間加熱することで、式(3)で示されるノルボルネン型モノマーと、無水マレイン酸とを溶液重合する。加熱温度は、たとえば、50〜80℃であり、加熱時間は10〜20時間である。
重合開始剤としては、アゾ化合物および有機過酸化物のうちのいずれか1種以上を使用できる。
アゾ化合物としては、たとえばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(ABCN)があげられ、これらのうち、いずれか1種以上を使用できる。
また、有機過酸化物としては、たとえば過酸化水素、ジターシャリブチルパーオキサイド(DTBP)、過酸化ベンゾイル(ベンゾイルパーオキサイド,BPO)および、メチルエチルケトンパーオキサイド(MEKP)を挙げることができ、これらのうち、いずれか1種以上を使用できる。
ただし、共重合体1において、式(6)の構造のR1は、各繰り返し単位において共通であることが好ましいが、それぞれの繰り返し単位ごとに異なっていてもよい。R2〜R4においても同様である。
次に、得られた共重合体1の無水マレイン酸に由来する環状構造の繰り返し単位のうち、一部の繰り返し単位を閉環した状態としながら、残りの繰り返し単位を開環する。これにより、共重合体1中におけるカルボキシル基の量を調整することができる。すなわち、作製される第一のポリマーにおける酸価の制御が可能となる。
本実施形態においては、共重合体1の無水マレイン酸由来の繰り返し単位のうち、たとえば50%以上の繰り返し単位を開環せずに、前記残りの繰り返し単位の環状構造(無水環)を開環する。すなわち、共重合体1の開環率は、たとえば50%未満である。なかでも、共重合体1の無水マレイン酸由来の環状構造の繰り返し単位の全個数のうち、60%以上、90%以下の繰り返し単位を開環しないことが好ましい。
開環前の共重合体1の酸無水物構造における(C=O)のIR吸収強度(A1)を測定し、開環後の酸無水物構造における(C=O)のIR吸収強度(A2)より以下式にて開環率を算出する。
開環率(%)=((A1−A2)/A1)×100
なお、内部標準物質としてアセトニトリルを用いる。
(A)塩基としての金属アルコキシド
(B)アルコールおよび塩基としてのアルカリ金属の水酸化物
のいずれか一方を、前記重合工程において、前記共重合体1が重合された反応液に添加するとともに、メチルエチルケトン(MEK)等の有機溶媒をさらに添加し、40〜50℃で1〜5時間攪拌して、反応液L1を得る。反応液L1中では、共重合体1の無水マレイン酸由来の繰り返し単位の一部の無水環が開環するとともに、開環することで形成された一部の末端がエステル化される。なお、残りの末端はエステル化されずに、金属塩構造となる。
ポリマー中のアルカリ金属濃度を低減することで、このポリマーを使用したデバイスを形成した際に、金属イオンのマイグレートを抑制することができる。
なお、金属アルコキシドとしては、異なるものを2種以上使用してもよい。ただし、製造安定性の観点からは、1種の金属アルコキシドを使用することが好ましい。
アルカリ金属の水酸化物としては、取り扱い性の観点から水酸化ナトリウムが好ましい。
アルコールとしては、1価のアルコール(R5OH)が好ましい。有機基であるR5は、前述したものを使用できる。なお、R5は炭素数10以下であることが好ましい。
また、わずかではあるが、式(14)で示される繰り返し単位には、ZおよびWがいずれも、−O−Hである構造も含まれる場合がある。
同様に、式(14)が繰り返し単位となる場合には、R1は、各繰り返し単位において共通であることが好ましいが、それぞれの繰り返し単位ごとに異なっていてもよい。R2〜R4、W、Zにおいても同様である。
次に、以上の工程により得られた共重合体3を含む溶液を、水と有機溶媒(たとえば、MEK)との混合物で洗浄して、残留金属成分を除去する。共重合体3、残留モノマーおよびオリゴマーは、有機層に移動する。その後、水層を除去する(第一の洗浄)。
その後、再度、有機層に、水と有機溶媒(たとえば、MEK)との混合物を加えて、洗浄する(第二の洗浄)。
本実施形態においては、以上のような洗浄工程(処理S3)をたとえば5回以上、より好ましくは10回繰り返す。これにより、共重合体3中におけるアルカリ金属の濃度を、十分に低減することができる。本実施形態においては、共重合体3中のアルカリ金属濃度が10ppm以下、好ましくは5ppm以下となるように洗浄工程(処理S3)を繰り返し行うことが好ましい。
次に、共重合体3と、残留モノマーおよびオリゴマー等の低分子量成分とが含まれた前記有機層を、濃縮した後、THF等の有機溶媒に再度溶解させる。そして、この溶液に、ヘキサンおよびメタノールを加えて、共重合体3を含むポリマーを凝固沈殿させる。ここで、低分子量成分としては、残留モノマー、オリゴマー、さらには、重合開始剤等が含まれる。次いで、ろ過を行い、得られた凝固物を、乾燥させる。これにより、低分子量成分が除去された共重合体3を主成分(主生成物)とするポリマーを得ることができる。
本実施形態においては、当該低分子量成分除去工程(処理S4)において、共重合体3中における分子量1000以下の低核体含有率が1%以下になるまで抽出操作を繰り返すことが好ましい。これにより、第一のポリマー中における低分子量成分の量を、硬化時における膜のパターン変形を抑制するために十分な程度に低減することができる。
本実施形態では、前述した開環工程(処理S2)にて、無水マレイン酸由来の繰り返し単位の開環率を調整することで、第一のポリマーのアルカリ現像液(たとえば、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液))に対する溶解速度が調整されているが、さらに、厳密に溶解速度を調整する必要がある場合には本加熱工程(処理S5)を実施することが好ましい。この加熱工程(処理S5)では、共重合体3を加熱することで第一のポリマーのアルカリ現像液に対する溶解速度をさらに調整する。
低分子量成分除去工程において有機層を除去した液に、アルコールを加え、メタノールを蒸発させた後、120〜140℃で0.5〜10時間加熱する。ここで使用するアルコールは、前述したアルコール(R5OH)として例示したもののいずれかを使用できる。
従って、この工程を経て得られる共重合体4は、前述した式(6)で示す繰り返し単位と、式(5)で示される繰り返し単位と、式(11)で示される繰り返し単位と、以下の式(15)で示される繰り返し単位とを備えるものとなる。
この式(15)で示した構造は、R7が前述のR5であり、R6の炭素数1〜18の有機基が本加熱工程(処理S5)で使用するアルコールに由来のものである場合を含む。この場合、R6は、前述したR5で例示した有機基のいずれかとすることができる。
また、式(15)で示した構造には、上記式(9)に示す構造が含まれていてもよい。この場合には、式(15)のR6およびR7が、式(9)に示したR5と同一の基なる。
さらに、式(15)で示した構造には、式(12)において二つのカルボキシル基がエステル化した構造が含まれていてもよい。この場合には、R6およびR7は、いずれも本加熱工程(処理S5)で使用するアルコールに由来のものであり、前述したR5で例示した有機基のいずれかとすることができる。
この共重合体4においても、共重合体3と同様、ノルボルネン型モノマー由来の構造体と、無水マレイン酸モノマー由来の構造体とが交互に配置された構造であることが好ましい。そして、共重合体4は、前述した式(13)、(14)に加えて式(16)で示される構造体を有することが好ましい。
ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物Pは、紫外線等の活性光線の照射により酸を発生する光酸発生剤を含有する。光酸発生剤として、オニウム塩化合物を挙げることができ、例えば、スルホニウム塩、ヨードニウム塩などを挙げることができる。
ヨードニウム塩としては、ジアリールヨードニウム塩が好ましい。
光酸発生剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第一架橋剤としては、酸の作用により第一のポリマーを架橋させるものであれば特に限定されないが、たとえば、メラミン系架橋剤、尿素系架橋剤などが挙げられる。
メラミン系架橋剤としては、たとえば、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサブトキシブチルメラミン等が挙げられ、なかでもヘキサメトキシメチルメラミンが好ましい。
ヘキサメトキシメチルメラミンの市販品として、例えば、Mw−390(三和ケミカル社製)などが挙げられる。
尿素系架橋剤としては、たとえば、メチル化尿素樹脂、ビスメトキシメチル尿素、ビスエトキシメチル尿素、ビスプロポキシメチル尿素、ビスブトキシメチル尿素等が挙げられ、なかでもメチル化尿素樹脂が好ましい。
メチル化尿素樹脂の市販品として、例えば、MX−270、MX−280、MX−290(三和ケミカル社製)などが挙げられる。
ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物Pは、熱をかけることにより第一のポリマーを架橋でき、かつ、第一架橋剤とは異なる、熱硬化性の第二架橋剤を含むのが好ましい。この架橋剤としては、反応性基として、ヘテロ環を有する化合物が好ましく、なかでも、グリシジル基あるいはオキセタニル基を有する化合物が好ましい。
グリシジル基を有する化合物としては、エポキシ樹脂があげられ、以下のいずれかのエポキシ樹脂を使用できる。
たとえば、ビスフェノールAエポキシ樹脂(たとえば、LX−1、ダイソーケミカル株式会社)、2,2'-((((1-(4-(2-(4-(オキシラン-2-イルメトキシ)フェニル)プロパン-2-イル)フェニル)エタン-1,1-ジイル)ビス(4,1-フェニレン))ビス(オキシ))ビス(メチレン))ビス(オキシラン)(たとえば、Techmore、VG3101L、株式会社プリンテック)、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(たとえば、TMPTGE、CVCスペシャリティーケミカルズ社)、および1,1,3,3,5,5-ヘキサメチル-1,5-ビス(3-(オキシラン-2-イル・メトキシ)プロピル)トリ・シロキサン(たとえば、DMS−E09、ゲレスト社)を挙げることができる。これらの構造を以下に示す。その他、アラルダイトMT0163およびアラルダイトCY179(チバガイギー社)、EHPE−3150、およびEpolite GT300(ダイセル化学工業株式会社)等を挙げることができる。以上のうち、いずれか1種以上を使用できる。なお、ここでの例示に限定されない。
多官能脂環式エポキシ樹脂としては、たとえば、以下の化学式で示されるものを使用できる。このエポキシ樹脂は、たとえば、Poly[(2-oxiranyl)-1,2-cyclohexanediol]2-ethyl-2-(hydroxymethyl)-1,3-propanediol ether (3:1)である。このエポキシ樹脂を、第二架橋剤(第一の架橋剤をのぞく)全体の20質量%以上、100質量%以下とすることが好ましい。なかでも、このエポキシ樹脂を、第二架橋剤全体の50質量%以上とすることが好ましい。
例えば1,4−ビス{[(3−エチルー3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ビス[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、4,4'−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、4,4′−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ビフェニル、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)ジフェノエート、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ポリ[[3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピル]シラセスキオキサン]誘導体、オキセタニルシリケート、フェノールノボラック型オキセタン、1,3−ビス[(3−エチルオキセタンー3−イル)メトキシ]ベンゼン等が挙げられるが、これらに限定されない。これらは単独でも複数組み合わせて用いてもよい。
また、ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物Pには、必要に応じて酸化防止剤、フィラー、界面活性剤、増感剤等の添加剤を添加してもよい。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤およびチオエーテル系酸化防止剤の群から選択される1種以上を使用できる。酸化防止剤は、硬化の際の酸化、およびその後のプロセスにおける膜の酸化を抑えることができる。
フェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル}2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、
オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,6−ジ−t−ブチル−4―メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4―エチルフェノール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、4,4´−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2´−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチル−6−ブチルフェノール)、2,−2´−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4,4´−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、2,2´−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2´−エチリデンビス(4−s−ブチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス〔2−t−ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1.3.5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−t−ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2−t−ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−t−ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4−8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン−ビス〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコールビス〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、1,1'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2'−メチレンビス(4−メチルー6−t−ブチルフェノール)、2,2'―メチレンビス(4−エチルー6−t−ブチルフェノール)、2,2'―メチレンビス(6−(1−メチルシクロヘキシル)―4−メチルフェノール)、4,4'―ブチリデンビス(3−メチルー6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス(2−(3−t−ブチルー4−ヒドロキシー5−メチルフェニルプロピオニロキシ)1,1―ジメチルエチル)―2,4,8,10―テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、4,4'−チオビス(3−メチルー6−t−ブチルフェノール)、4,4'―ビス(3,5―ジーt−ブチルー4−ヒドロキシベンジル)サルファイド、4,4'―チオビス(6−t−ブチルー2−メチルフェノール)、2,5−ジーt−ブチルヒドロキノン、2,5−ジーt−アミルヒドロキノン、2−t−ブチルー6−(3−t−ブチルー2−ヒドロキシー5−メチルベンジル)―4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジメチルー6−(1−メチルシクロヘキシル、スチレネイティッドフェノール、2,4−ビス((オクチルチオ)メチル)−5−メチルフェノール、などが挙げられる。これらの中では、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。
リン系酸化防止剤としては、ビス−(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルホスファイト)、テトラキス(2,4−ジーt−ブチルー5−メチルフェニル)―4,4'―ビフェニレンジホスホナイト、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート−ジエチルエステル、ビス−(2,6−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ミックスドモノandジ−ノニルフェニルホスファイト)、 ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシカルボニルエチル−フェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−オクタデシルオキシカルボニルエチル−フェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。これらの中では、ホスファイトおよびホスフェートが好ましい。
チオエーテル系酸化防止剤としては、ジラウリル3,3'−チオジプロピオネート、ビス(2−メチルー4−(3−n−ドデシル)チオプロピオニルオキシ)―5−t−ブチルフェニル)スルフィド、ジステアリル−3,3'−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ラウリル)チオプロピオネートなどが挙げられる。
酸化防止剤は、ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物P全体の0.1〜5重量%とすることができる。
ポリフェノール類としては、例えば、フェノールノボラック、o-クレゾールノボラック、p-クレゾールノボラック、p-t-ブチルフェノールノボラック、ヒドロキシナフタレンノボラック、ビスフェノールAノボラック、ビスフェノールFノボラック、テルペン変性ノボラック、ジシクロペンタジエン変性ノボラック、パラキシレン変性ノボラック、ポリブタジエン変性フェノール等が例示され、いずれか1種以上を使用できる。
o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、ビスフェノールA、B、C、E、F及びG、4,4',4"−メチリジントリスフェノール、2,6−ビス[(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール、4,4'−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、4,4'−[1−[4−[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、4,4',4"−エチリジントリスフェノール、4−[ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチル]−2−エトキシフェノール、4,4'−[(2−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2,3−ジメチルフェノール]、4,4'−[(3−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2,6−ジメチルフェノール]、4,4'−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2,6−ジメチルフェノール]、2,2'−[(2−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[3,5−ジメチルフェノール]、2,2'−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[3,5−ジメチルフェノール]、4,4'−[(3,4−ジヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2,3,6−トリメチルフェノール]、4−[ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)メチル]−1,2−ベンゼンジオール、4,6−ビス[(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,2,3−ベンゼントリオール、4,4'−[(2−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[3−メチルフェノール]、4,4',4"−(3−メチル−1−プロパニル−3−イリジン)トリスフェノール、4,4',4",4'''−(1,4−フェニレンジメチリジン)テトラキスフェノール、2,4,6−トリス「(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,3−ベンゼンジオール、2,4,6−トリス[(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,3−ベンゼンジオール、4,4'−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス[(ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メチル]フェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビス[2,6−ビス(ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メチル]フェノール等が挙げられる。
これらの化合物のうち、4,4',4"−メチリジントリスフェノール、2,6−ビス[(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール、4,4'−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、4,4'−[1−[4−[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、4,4',4"−エチリジントリスフェノール等が好ましい。これらのうちいずれか1種以上を使用できる。
特に好ましくは、以下の化合物のいずれか1種以上である。
以上のネガ型フォトレジスト用樹脂組成物Pは溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸エチル、メチルイソブチルカルビノール(MIBC)、ガンマブチロラクトン(GBL)、N-メチルピロリドン(NMP)、メチルn-アミルケトン(MAK)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、又は、これらの混合物を採用することができる。なお、ここで例示したものに限定されない。
ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物Pの調製方法は特に限定されず、一般的に公知の方法により製造することができる。例えば、以下の方法が挙げられる。第一のポリマー、光酸発生剤、第一架橋剤、必要に応じて第二架橋剤や前述したその他の添加剤、溶媒を配合して均一に混合することにより、ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物Pが得られる。
また、ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物Pを用いたレジストパターンの形成方法は、例えば、以下の方法が挙げられる。
塗膜上へのパターン形成は、目的のパターンを形成するためのマスクを用いて、活性光線等を照射して行う。そして、80〜140℃で1〜5分間、好ましくは90〜130℃で1〜3分間加熱し、硬化を促進させる。なお、硬化条件は上記に限定されるものではない。
現像方法としては、例えば、シャワー現像法、スプレー現像法、浸漬現像法等を挙げることができる。現像条件としては通常、23℃で1〜10分程度である。
以上説明したネガ型フォトレジスト用樹脂組成物Pによれば、第一のポリマー、光酸発生剤、第一架橋剤および第二架橋剤を上述した範囲内で適切に調整して組み合わせることで、少なくとも以下に挙げる特性のうち少なくとも1つの特性を備えるレジスト膜を実現することができる。なお、以下の実施例で示す通り、ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物Pがその他の添加剤を含んだ場合であっても、これらの特性は実現される。
スピンコート法によりネガ型フォトレジスト用樹脂組成物Pをシリコンウェハ上に成膜後、90℃のホットプレートで120秒ベークすることで形成した第1の層の膜厚を第1の膜厚(第1の膜厚は、2.0μm以上4.0μm以下)とする。次いで、露光装置でパターン寸法が10umのラインとスペースの幅が1:1となる最適露光量で露光し、第1の層に対して、さらに、110℃、120秒間ホットプレートにてベーク後、2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で23℃、60秒間の条件で現像した後の第2の層の膜厚を第2の膜厚とする。このとき、{(第2の膜厚)/(第1の膜厚)}×100≧70(%)を満たす。
当該ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物Pを用いて厚さ2μmの膜を形成した後、周波数10kHzで計測した比誘電率は、4.0以下となる。比誘電率の下限値は特に限定されないが、たとえば、2.5である。
ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物Pをアルミニウム基板上に回転塗布(回転数1000〜3000rpm)し、90℃、120秒間ホットプレートにてベークする。さらに、110℃、120秒間ホットプレートにてベークする。その後、オーブン中で230℃、60分間加熱し、厚さ2μmの膜とする。
その後、この膜上に金電極を形成し、室温(25℃)、10kHzにおける条件で計測する。
また、ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物Pを硬化させて得られる厚さ2μmの硬化膜の層厚方向における波長400nmでの光の透過率は85%以上となる。なかでも、上記透過率は、90%以上であることが好ましい。透過率の上限値は特に限定されないが、たとえば、99%である。
ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物Pをガラス基板上に回転塗布(回転数1000〜3000rpm)し、90℃、120秒間ホットプレートにてベークする。さらに、110℃、120秒間ホットプレートにてベークする。その後、オーブン中で230℃、60分間加熱し、厚さ2μmの膜とする。
この膜について光の波長400nmにおける透過率を、紫外−可視光分光光度計を用いて測定する。
ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物Pをガラス基板上に回転塗布(回転数1000〜3000rpm)し、90℃、120秒間ホットプレートにてベークする。さらに、110℃、120秒間ホットプレートにてベークする。その後、オーブン中で230℃、60分間加熱し、厚さ2μmの第1の膜を得る。第1の膜の膜厚を第1の膜厚とし、第1の膜をN-メチルピロリドンに10分間室温で浸漬した後の膜厚を第2の膜厚とした場合、[{(第2の膜厚)−(第1の膜厚)}/(第1の膜厚)]×100≦5(%)を満たす。
次に、ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物Pの用途について説明する。
ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物Pは、フォトレジストのように所定の間だけ存在し、不要になったら除去される膜の成膜に使用されるのみならず、成膜後、除去されることなく製品中に残存し続ける永久膜(硬化膜)の成膜にも使用することができる。
また、図2に示すように、半導体装置の再配線層を被覆する層間絶縁膜としても使用できる。
このようにして製造されたマイクロレンズアレイは、液晶表示装置、プラズマディスプレイ、電界放出型ディスプレイ、エレクトロルミネセンスディスプレイ等に使用することができる。
以下、ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物Pを用いて形成された膜を有する電子装置の一例を説明する。
図1および図2は、それぞれ本実施形態に係る電子装置100の一例を示す断面図である。いずれにおいても、電子装置100のうちの絶縁膜20を含む一部が示されている。
本実施形態に係る電子装置100は、たとえばネガ型フォトレジスト用樹脂組成物Pにより形成される永久膜である絶縁膜20を備えている。
トランジスタ30は、たとえば液晶表示装置のスイッチング素子を構成する薄膜トランジスタである。基板10上には、たとえば複数のトランジスタ30がアレイ状に配列されている。本実施形態に係るトランジスタ30は、たとえばゲート電極31と、ソース電極32と、ドレイン電極33と、ゲート絶縁膜34と、半導体層35と、により構成される。ゲート電極31は、たとえば基板10上に設けられている。ゲート絶縁膜34は、ゲート電極31を覆うように基板10上に設けられる。半導体層35は、ゲート絶縁膜34上に設けられている。また、半導体層35は、たとえばシリコン層である。ソース電極32は、一部が半導体層35と接触するよう基板10上に設けられる。ドレイン電極33は、ソース電極32と離間し、かつ一部が半導体層35と接触するよう基板10上に設けられる。
絶縁膜20上および開口22内には、ドレイン電極33と接続する配線40が形成されている。配線40は、液晶とともに画素を構成する画素電極として機能する。
また、絶縁膜20上には、配線40を覆うように配向膜90が設けられている。
基板10と当該対向基板12との間には、液晶層14を構成する液晶が充填される。
まず、基板10上にトランジスタ30を形成する。次いで、基板10のうちトランジスタ30が設けられた一面上に、印刷法あるいはスピンコート法によりネガ型フォトレジスト用樹脂組成物Pを塗布し、トランジスタ30を覆う絶縁膜20を形成する。これにより、基板10上に設けられたトランジスタ30を覆う平坦化膜が形成される。
次いで、絶縁膜20を露光現像して、絶縁膜20の一部に開口22を形成する。このとき、未露光部分が現像液に溶解し、露光部分が残ることとなる。この点は、後述する電子装置100の各例においても同様である。
次いで、絶縁膜20を加熱硬化させる。そして、絶縁膜20の開口22内に、ドレイン電極33に接続された配線40を形成する。その後、絶縁膜20上に対向基板12を配置し、対向基板12と絶縁膜20との間に液晶を充填し、液晶層14を形成する。
これにより、図1に示す電子装置100が形成されることとなる。
図2に示す電子装置100は、トランジスタ等の半導体素子が設けられた半導体基板と、半導体基板上に設けられた多層配線層と、を備えている(図示せず)。多層配線層のうち最上層には、層間絶縁膜である絶縁膜50と、絶縁膜50上に設けられた最上層配線72が設けられている。最上層配線72は、たとえばAlにより構成される。
絶縁膜52には、最上層配線72に接続する開口24が形成されている。再配線70は、絶縁膜52上および開口24内に形成され、最上層配線72に接続されている。絶縁膜54には、再配線70に接続する開口26が設けられている。
これらの絶縁膜52および絶縁膜54は、ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物Pからなる永久膜により構成される。絶縁膜52は、たとえば絶縁膜50上に塗布されたネガ型フォトレジスト用樹脂組成物Pに対し露光・現像を行うことにより開口24を形成した後、これを加熱硬化することにより得られる。また、絶縁膜54は、たとえば絶縁膜52上に塗布されたネガ型フォトレジスト用樹脂組成物Pに対し露光・現像を行うことにより開口26を形成した後、これを加熱硬化することにより得られる。
また、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
以下、参考形態の例を付記する。
1.
化学増幅型のネガ型フォトレジスト用樹脂組成物であって、
下記式(1)で示される共重合体で構成されるポリマーと、
光酸発生剤と、
前記光酸発生剤より発生した酸を触媒として前記ポリマーを架橋する第一架橋剤と、
を含む、ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物。
l+m=1であり、
nは0、1または2であり、
R 1 、R 2 、R 3 およびR 4 はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜30の有機基であり、
Aは下記式(2a)、(2b)、(2c)または(2d)により示される構造単位である)
2.
1.に記載のネガ型フォトレジスト用樹脂組成物において、
前記式(1)で示される共重合体は、少なくとも前記式(2a)により示される構造単位、および前記式(2b)により示される構造単位を含む、ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物。
3.
1.または2.に記載のネガ型フォトレジスト用樹脂組成物において、
熱をかけることにより前記ポリマーを架橋でき、かつ、前記第一架橋剤と異なる、熱硬化性の第二架橋剤をさらに含む、ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物。
4.
3.に記載のネガ型フォトレジスト用樹脂組成物において、
前記第二架橋剤は、エポキシ樹脂を含む、ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物。
5.
4.に記載のネガ型フォトレジスト用樹脂組成物において、
前記エポキシ樹脂は多官能脂環式エポキシ樹脂である、ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物。
6.
1.乃至5.いずれか一つに記載のネガ型フォトレジスト用樹脂組成物において、
前記光酸発生剤はスルホニウム塩を含む、ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物。
7.
1.乃至6.いずれか一つに記載のネガ型フォトレジスト用樹脂組成物において、
前記第一架橋剤はメラミン系架橋剤および尿素系架橋剤からなる群から選択される1種または2種以上である、ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物。
8.
1.乃至7.いずれか一つに記載のネガ型フォトレジスト用樹脂組成物において、
当該ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物を硬化させて得られる厚さ2μmの硬化膜の層厚方向における波長400nmでの光の透過率が85%以上である、ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物。
9.
1.乃至8.いずれか一つに記載のネガ型フォトレジスト用樹脂組成物を硬化させて得られる硬化膜。
10.
9.に記載の硬化膜を備える電子装置。
11.
前記硬化膜が、層間絶縁膜または平坦化膜である10.に記載の電子装置。
撹拌機,冷却管を備えた適切なサイズの反応容器に、無水マレイン酸(MA,122.4g、1.25mol)、2−ノルボルネン(NB,117.6g、1.25mol)およびジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(11.5g、50.0mmol)を計量し、メチルエチルケトン(MEK,150.8g)およびトルエン(77.7g)に溶解させた。この溶解液に対して、10分間窒素を通気して酸素を除去し、その後、撹拌しつつ60℃、16時間、加熱した。その後、この溶解液に対して、MEK(320g)を加えた後、これを、水酸化ナトリウム(12.5g、0.31mol),ブタノール(463.1g、6.25mol),トルエン(480g)の懸濁液に加え、45℃で3時間混合した。そして、この混合液を40℃まで冷却し、ギ酸(88重量%水溶液,49.0g、0.94mol)で処理してプロトン付加し、その後、MEKおよび水を加え、水層を分離することで、無機残留物を除去した。次いで、メタノール,ヘキサンを加え有機層を分離することで未反応モノマーを除去した。さらにPGMEAを添加し、系内のメタノール及びブタノールを残留量1%未満となるまで減圧留去した。これにより、20重量%のポリマー溶液1107.7gを得た(GPC Mw=13,700、Mn=7,400)。得られたポリマーは、式(1)の共重合体であり、式(2a)により示される構造単位、および式(2c)により示される構造単位を含んでいる。
合成したポリマー(約20重量%ポリマー溶液)を約2.0g採取し、メタノール50mlを加えて混合した。この混合液に対し、N/10KOH水溶液を用いてpH=7.0となるよう滴定を行った。この滴定に要したKOH量を使って、下記の式を用いてポリマーの酸価(ポリマー1gに対するKOHのmg数)を算出した。
酸価=滴定量(ml)×KOHのファクターf×0.1×56.1/ポリマー量(固形)
合成例1の酸価は、49mgKOH/gであった。
得られた20重量%に調整したポリマー溶液を、ウェハ上にスピン方式で塗布し、これを110℃で100秒間ソフトベークして、厚み約3μmのポリマー膜を形成した。このウェハを、2.38%、23℃のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液に含浸させて、現像を行った。視覚的にポリマー膜が消去するまでの時間を測定することにより、アルカリ溶解速度(Å/秒)を測定した。
合成例1のアルカリ溶解速度は、11,000Å/秒であった。
合成例1で合成した第一のポリマーの20%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液を25g、光酸発生剤として、CPI−210S、サンアプロ社製を1g、第一架橋剤として尿素系架橋剤(Mx−270、三和ケミカル社製)を1.0g、第二架橋剤としてエポキシ樹脂(EHPE−3150、ダイセル化学工業社製)を2.0g、基板との密着性を改善するためにシランカップリング剤(KBM−303、信越シリコーン社製)を0.1g、回転塗布の際にレジスト膜上にできる放射線状のストリエーションを防止するためにF−557(DIC社製)を100ppm、をそれぞれ適量のPGMEAに溶解させて攪拌した後、0.2μmのフィルターで濾過して、樹脂組成物を調製した。
得られた樹脂組成物をHMDS(Hexamethyldisilazane)処理した4インチシリコンウエハー上に回転塗布し、90℃、120秒間ホットプレートにてベーク後、約3.0μm厚の薄膜Aを得た。この薄膜Aにキヤノン社製g+h+i線マスクアライナー(PLA−501F)にて10μmのラインとスペースの幅が1:1のマスクを使用し、パターン寸法が10μmのラインとスペースの幅が1:1となる最適露光量で露光し、さらに、110℃、120秒間ホットプレートにてベーク後、2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で23℃、60秒間現像することで、ラインとスペース幅が1:1のライン&スペースパターンつき薄膜Bを得た。その後、オーブン中で230℃、60分間加熱することによりポストベーク処理を行い、約2.0μm厚のパターン付き薄膜Cを得た。
上記の手法にて得られた薄膜A、薄膜B及び薄膜Cの膜厚から、以下の式より残膜率を算出した。
現像後残膜率(%)={(薄膜Bの膜厚(μm))/(薄膜Aの膜厚(μm))}×100
ベーク後残膜率(%)={(薄膜Cの膜厚(μm)/(薄膜Aの膜厚(μm)))×100
「現像後、及び、ベーク後残膜率の評価」で説明した薄膜Bの、10μmのパターンをSEM(走査型電子顕微鏡にて観察した。ホール内部に残渣が見られた場合は×、残渣が見られない場合には○として現像性を評価した。
PLA−501Fにてテストパターンを露光せず、かつ、基板としてアルミニウム基板を使用する点以外は「現像後、及び、ベーク後残膜率の評価」で説明したものと同様の操作を行うことにより、パターンのない、2.0μm厚の薄膜をアルミニウム基板上に得た。この薄膜上に金電極を形成し、室温(25℃)、10kHzにおける条件で、Hewlett Packardd社製LCRメータ(4282A)を用いて得られた静電容量から誘電率を算出した。
縦100mm、横100mmサイズのコーニング社製1737ガラス基板を用い、テストパターンを露光しない以外は「現像後、及び、ベーク後残膜率の評価」で説明したものと同様の操作を行うことにより、パターンのない薄膜をガラス基板上に得た。
この薄膜について光の波長400nmにおける透過率を、紫外−可視光分光光度計を用いて測定した。
「透過率の評価」と同様の操作を行うことで得た薄膜つきガラス基板を、N−メチルピロリドン(関東化学)中に室温(25℃)、10分間浸漬した後、純水リンスを行った。以下の演算式で定義される膜厚変化率が5%以下の場合には○、5%を超えるものは×として評価した。
膜厚変化率(%)=[{(溶剤浸漬後の膜厚)−(溶剤浸漬前の膜厚)}/(溶剤浸漬前の膜厚)]×100
得られた樹脂組成物をHMDS(Hexamethyldisilazane)処理した4インチシリコンウエハー上に回転塗布し、90℃、120秒間ホットプレートにてベーク後、約3.0μm厚の薄膜Aを得た。この薄膜Aにキヤノン社製g+h+i線マスクアライナー(PLA−501F)にて10μmのラインとスペースの幅が1:1のマスクを使用し露光した。次いで、110℃、120秒間ホットプレートにてベーク後、2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で23℃、60秒間現像することで形成されたレジストパターンが、10μmのライン幅:スペース幅=1:1のときの露光量(mJ/cm2)を感度とした。
実施例1の第一架橋剤をメラミン系架橋剤(Mw−390、三和ケミカル社製)1.0gに変更した以外は同じ条件で評価した。
合成例1で合成した第一のポリマーの20%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液を25g、下記の式B1で表される化合物と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロライドとのエステル化物(ダイトーケミックス社製、PA−28)を1.25g、エポキシ樹脂(EHPE−3150、ダイセル化学工業社製)を2.0g、基板との密着性を改善するためにシランカップリング剤(KBM−303、信越シリコーン社製)を0.1g、回転塗布の際にレジスト膜上にできる放射線状のストリエーションを防止するためにF−557(DIC社製)を100ppm、をそれぞれ適量のPGMEAに溶解させて攪拌した後、0.2μmのフィルターで濾過して、樹脂組成物を調製した。
露光後ベークをせずに現像液を0.4%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で23℃、60秒間現像し、さらにこの薄膜BをPLA−501Fにて300mJ/cm2全面露光した以外は、実施例1と同様の評価をそれぞれ行った。
12 対向基板
14 液晶層
20、50、52、54 絶縁膜
22、24、26 開口
30 トランジスタ
31 ゲート電極
32 ソース電極
33 ドレイン電極
34 ゲート絶縁膜
35 半導体層
40、42 配線
70 再配線
72 最上層配線
74 バンプ
80 再配線層
90、92 配向膜
100 電子装置
Claims (9)
- 化学増幅型のネガ型フォトレジスト用樹脂組成物であって、
下記式(1)で示される共重合体で構成されるポリマーと、
光酸発生剤と、
前記光酸発生剤より発生した酸を触媒として前記ポリマーを架橋する第一架橋剤と、
熱をかけることにより前記ポリマーを架橋でき、かつ、前記第一架橋剤と異なる、熱硬化性の第二架橋剤を含み、
前記第二架橋剤は、エポキシ樹脂を含む、ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物。
l+m=1であり、
nは0、1または2であり、
R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜30の有機基であり、
Aは下記式(2a)、(2b)、(2c)または(2d)により示される構造単位である)
- 請求項1に記載のネガ型フォトレジスト用樹脂組成物において、
前記式(1)で示される共重合体は、少なくとも前記式(2a)により示される構造単位、および前記式(2b)により示される構造単位を含む、ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物。 - 請求項1または2に記載のネガ型フォトレジスト用樹脂組成物において、
前記エポキシ樹脂は多官能脂環式エポキシ樹脂である、ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のネガ型フォトレジスト用樹脂組成物において、
前記光酸発生剤はスルホニウム塩を含む、ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物。 - 請求項1乃至4のいずれか一項に記載のネガ型フォトレジスト用樹脂組成物において、
前記第一架橋剤はメラミン系架橋剤および尿素系架橋剤からなる群から選択される1種または2種以上である、ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物。 - 請求項1乃至5のいずれか一項に記載のネガ型フォトレジスト用樹脂組成物において、
当該ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物を硬化させて得られる厚さ2μmの硬化膜の層厚方向における波長400nmでの光の透過率が85%以上である、ネガ型フォトレジスト用樹脂組成物。 - 請求項1乃至6のいずれか一項に記載のネガ型フォトレジスト用樹脂組成物を硬化させて得られる硬化膜。
- 請求項7に記載の硬化膜を備える電子装置。
- 前記硬化膜が、層間絶縁膜または平坦化膜である請求項8に記載の電子装置。
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