JP6368609B2 - マンノース及び/又はマンノオリゴ糖含有組成物の製造方法 - Google Patents

マンノース及び/又はマンノオリゴ糖含有組成物の製造方法 Download PDF

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本発明は、マンノース及び/又はマンノオリゴ糖含有組成物の製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、有害細菌の感染を防止するための機能性食品及び飼料、あるいはマンニトールや医薬品の合成原料として有用なマンノース及び/又はマンノオリゴ糖含有組成物の製造方法に関するものである。
マンノースの製造方法に関しては、モリブデン酸塩を触媒としてグルコースから製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、フルクトースを原料としマンノースイソメラーゼを作用させ、マンノース含有液を取得したのち精製することによりマンノースを得る方法も提案されている(例えば、特許文献2〜4参照。)。これらの方法は、食品への使用実績のないまたは少ない化学物質や微生物を使用しているため、食品への使用が難しい。あるいはマンノースの収量が低いという欠点があるため、安価に製造するという観点からは十分な製造方法ではなかった。
一方、マンナン、グルコマンナン、ガラクトマンナン、又はそれらを含有する天然物を酸分解や酵素分解することによりマンノース及び/又はマンノオリゴ糖を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献5、6参照。)。前者の酸分解する方法は、加熱が必要であることから大きなエネルギーを必要としたり、あるいは、中和処理により多量の塩が生成するといったことから、環境負荷やコストの観点から好ましい方法ではなかった。後者の酵素分解する方法は、マンノース及び/又はマンノオリゴ糖の収量が多く、また安全性の高い製造方法ではあるが、用いられる酵素がヘミセルラーゼを産生する菌体そのものや市販の工業用ヘミセルラーゼであり、マンノース及び/又はマンノオリゴ糖を生成するマンナン分解酵素活性だけではなく多様な酵素活性が含まれていることから、マンノース及び/又はマンノオリゴ糖以外の成分が遊離するため他の化学的製法に比べ雑多な組成のものが得られるものとなる。そのため、マンノース及び/又はマンノオリゴ糖の純度を上げるための煩雑な精製作業が必須となる問題があった。
上記の通り、マンノース及び/又はマンノオリゴ糖含有組成物の製造方法は数多く提案されているが、マンノース及び/又はマンノオリゴ糖の純度が高いものを得るにあたっては、いずれの製造方法も製造コストが高くなり、このことが高純度のマンノース及び/又はマンノオリゴ糖含有組成物の実用化を阻む要因となっている。
特開平4−368347号公報 特開平4−218370号公報 特開平6−292578号公報 特開平8−9986号公報 特開2000−70000号公報 特開平11−46787号公報
本発明の目的は、マンナン、グルコマンナン、ガラクトマンナン、又はそれらを構成糖として一種類以上含有する天然物にヘミセルラーゼを作用させてマンノース及び/又はマンノオリゴ糖を製造する方法であって、前記ヘミセルラーゼを作用させる前または作用させると同時に前記ヘミセルラーゼを加熱処理することにより、前記天然物からマンノース及び/又はマンノオリゴ糖をより選択的に遊離させ、後に続く煩雑な精製工程の負荷となる副生成物の遊離を低減させたマンノース及び/又はマンノオリゴ糖含有組成物の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討したところ、マンノース及び/又はマンノオリゴ糖を遊離するヘミセルラーゼの活性は、マンノース及び/又はマンノオリゴ糖以外の構成糖を遊離する活性よりも、熱安定性が高いことを見出した。そして、前記天然物にヘミセルラーゼを作用させる前または作用させると同時に前記ヘミセルラーゼを加熱処理することにより、前記天然物からマンノース及び/又はマンノオリゴ糖をより選択的に遊離させることができ、後に続く煩雑な精製工程の負荷となる副生成物の遊離が抑制されることを見出し、さらに引き続き検討し本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(5)を要旨とするものである。
(1)マンナン、グルコマンナン、ガラクトマンナン、又はそれらを構成糖として一種類以上含有する天然物に、ヘミセルラーゼを作用させてマンノース及び/又はマンノオリゴ糖含有組成物を製造する方法であって、前記ヘミセルラーゼを作用させる前または作用させると同時に前記ヘミセルラーゼを加熱処理することを特徴とするマンノース及び/又はマンノオリゴ糖含有組成物の製造方法。
(2)前記天然物にヘミセルラーゼを作用させる温度が、前記ヘミセルラーゼの至適温度以下の温度であることを特徴とする(1)記載のマンノース及び/又はマンノオリゴ糖含有組成物の製造方法。
(3)前記へミセルラーゼが、マンナナーゼ又はマンノシダーゼであることを特徴とする(1)又は(2)に記載のマンノース及び/又はマンノオリゴ糖含有組成物の製造方法。
(4)前記へミセルラーゼが、アスペルギルス属由来又はトリコデルマ属由来であることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載のマンノース及び/又はマンノオリゴ糖含有組成物の製造方法。
(5)前記マンナン、グルコマンナン、ガラクトマンナン、又はそれらを構成糖として一種類以上含有する天然物が、パーム核又はココヤシであることを特徴とする(1)〜(4)いずれかに記載のマンノース及び/又はマンノオリゴ糖含有組成物の製造方法。
本発明によれば、加熱処理したヘミセルラーゼを用いることにより、前記天然物からマンノース及び/又はマンノオリゴ糖をより選択的に遊離させることができる。具体的には得られる含有組成物中の糖純度として、ガラクトースの割合が1.0%以下、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.3%以下とすることができる。そのため、食品にも安心して使用することが可能な、高純度のマンノース及び/又はマンノオリゴ糖を含有する組成物を、容易に且つ効率良く製造することができる。また、本発明の製造方法は、工業的な製造にも適応することができる。
図1は、ヘミセルラーゼにおいて、マンノース及び/又はマンノオリゴ糖を遊離する活性の方が、マンノース及び/又はマンノオリゴ糖以外のグルコース等の副生成物を遊離する活性よりも、耐熱性がより高いことを示す概略図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のマンナン、グルコマンナン、ガラクトマンナン、又はそれらを構成糖として一種類以上含有する天然物は、マンナン、グルコマンナン、ガラクトマンナンを構成糖として含有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、パーム核、ココヤシ(コプラ)またはそれらの搾油残渣(ミール)、ツクネイモ、ヤマイモ、コンニャクイモ、ローカストビーン、グァー豆、コーヒー豆などが挙げられる。当該天然物は、天然物そのものを用いても良いし、精製したものを用いても良い。それらの混合物を用いても良い。
本発明に用いられるヘミセルラーゼとしては、マンナナーゼ(マンナーゼ)、マンノシダーゼ等のマンナン分解酵素を産生する微生物由来のものであれば特に限定されるものではなく、それらの微生物としては、枯草菌(バチルス・サブチルス)、糸状菌(アスペルギルス・アキュレエイタンス、アスペルギルス・アワモリ、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・ウサミ、フミコラ・インソレンス、トリコデルマ・ハルジアヌム、トリコデルマ・コニンギ、トリコデルマ・ロンギブラキアツム、トリコデルマ・ビリデ)、担子菌(コルチキウム、ピクノポルス・コッキネウム)等が挙げられる。これらの微生物の中でもアスペルギルス属由来の菌はマンナン分解酵素産生能が高いために好ましく、特にアスペルギルス・ニガー(IFO6661、IFO4417、IFO31012、IFO8541、IFO31125)由来のマンナン分解酵素が好ましい。本発明に用いられるアスペルギルス・ニガー由来の市販ヘミセルラーゼとしては、セルロシンGM5(エイチビィアイ株式会社製、力価10,000ユニット/g)、スミチームACH(新日本化学工業株式会社製、力価50,000ユニット/g)、スミチームAC(新日本化学工業株式会社製、力価1,500ユニット/g)、トリコデルマ・ビリデ由来のヘミセルラーゼとしては、セルロシンTP25(エイチビィアイ株式会社製、力価25,000ユニット/g)が挙げられる。中でも高いマンナン分解酵素活性の観点から、セルロシンGM5、スミチームACHがより好ましい。
本発明においては、前記天然物に前記ヘミセルラーゼを作用させる前または作用と同時に,前記ヘミセルラーゼを加熱処理することが必要であり、後述する副生成物のいっそうの遊離抑制の観点から、前記天然物に前記ヘミセルラーゼを作用させる前に前記天然物の非共存下加熱処理することが好ましい。
なお、本発明でいう副生成物とは、ヘミセルロースのマンノース以外の構成糖であるガラクトース、グルコース等の糖類、天然物に含有されるタンパク質の分解物であるペプチドやアミノ酸、グリセロール、天然色素や糖類とアミノ酸等が複雑に反応して起こるメイラード反応生成物質等の着色物質をいう。これら副生成物は、イオン交換樹脂、活性炭、カラムクロマトなどを用いた精製における負荷となるため、結果として目的物質の純度低下の要因となり得る。本発明においては、前記天然物に加熱処理を施したヘミセルラーゼを作用させることにより、上記副生成物の遊離が抑制され、結果として精製効率が向上するとともに、得られる組成物中のマンノース及び/またはマンノオリゴ糖の純度が高くなるため品質が向上する。特に、天然物を酸分解や酵素分解する従来方法にて得られた糖混合物成分のうち、特にガラクトースについては、処理効率の低いカラムクロマトなどでしか分離のすべがないため分離精製が非常に困難であった。本発明の組成物は、ガラクトースの割合が非常に抑えられたものであるから後に続く煩雑な精製工程の負荷を低減することができ極めて有用である。
当該ヘミセルラーゼの加熱処理方法としては、酵素粉末そのものを直接加熱する方法や、水懸濁液としてから加熱処理を施す方法、あるいは反応組成中に酵素を投入して加熱処理を施す方法などが挙げられ、いずれの方法でも加熱処理することができるが、インキュベーターや温浴などにより酵素に均一に熱を加えたり、水懸濁液として加熱する手法が好ましい。該加熱処理方法は、前記天然物の非共存下で加熱処理することが好ましい。
ヘミセルラーゼ酵素粉末そのものを直接加熱処理する場合、当該加熱処理温度は、30〜100℃が好ましく、50〜90℃がより好ましく、60〜90℃がいっそう好ましい。当該加熱処理時間は、0.1〜5時間が好ましく、0.5〜4時間がより好ましく、1〜3.5時間がいっそう好ましい。
ヘミセルラーゼを水懸濁状態で加熱処理する場合、当該加熱処理温度は、マンナン分解酵素活性の至適温度範囲の下限値〜マンナン分解酵素活性の失活開始温度+5℃の範囲で実施するのが好ましく、マンナン分解酵素活性の至適温度範囲の下限値+5℃以上〜マンナン分解酵素活性の失活開始温度の範囲で実施するのがより好ましい。当該加熱処理時間は、マンナン分解酵素種などにより適宜設定可能であるが、例えば、1分以上が好ましく、5分〜40時間が好ましく、10分から2時間がより好ましく、15分から1時間が最も好ましい。
また、前記天然物にヘミセルラーゼを作用させると同時に前記ヘミセルラーゼを加熱処理する際には、当該マンノース及び/又はマンノオリゴ糖以外の副生成物を遊離する活性をいっそう低下させる観点から、マンナン分解酵素活性の至適温度範囲の下限値+5℃以上〜マンナン分解酵素活性の失活開始温度+5℃の範囲で加熱処理するのが好ましく、マンナン分解酵素活性の至適温度範囲の下限値+10℃以上〜マンナン分解酵素活性の失活開始温度の範囲で加熱処理するのがより好ましい。
なお、本発明におけるマンナン分解酵素活性の至適温度範囲とは、ローカストビーンガム(pH5.0)を基質とし、温度40℃、1分間作用させた場合にマンノースを遊離させる能力が90%以上である温度範囲をいう。
前記天然物に、前述の加熱処理されたヘミセルラーゼを作用させるマンノース及び/又はマンノオリゴ糖の遊離反応条件としては、それぞれの酵素に応じた最適条件を選ぶことができる。反応温度としては、酵素が失活しない条件下で行うのが望ましいが、例えば、30℃〜75℃であり、45℃〜70℃が好ましく、50℃〜65℃がさらに好ましい。通常、酵素の至適温度範囲は前述のように特定温度で1分間作用させた場合の遊離活性にて評価するものであるが、本発明の方法においては、ヘミセルラーゼは加熱処理され副生成物の遊離活性が抑えられたものであるから、高温による酵素の失活とマンノース及び/又はマンノオリゴ糖の遊離とのバランスの観点から、当該温度範囲の中でも、至適温度範囲下限以下が好ましく、至適温度範囲下限より1℃以上低い温度がより好ましく、至適温度範囲下限より5℃以上低い温度がいっそう好ましい。
遊離反応時のpHとしては、酵素に応じた至適pH条件下を選択することができる。用いる酵素の種類にもよるが、例えば、pHは2〜9が好ましく、pH2.5〜8がより好ましく、pH3.0〜6.0がいっそう好ましい。また、反応時間は使用する酵素の量などの条件にも依存するが、例えば、通常3時間から48時間の間に設定するのが作業上好ましい。
前記マンナン、グルコマンナン、ガラクトマンナン、又はそれらを構成糖として一種類以上含有する天然物に、前述の加熱処理を施したヘミセルラーゼを作用させることにより、マンノース及び/又はマンノオリゴ糖以外の副生成物を遊離する活性を抑制し、結果として、前記天然物からマンノース及び/又はマンノオリゴ糖を、より選択的に遊離させることができる。
マンナン、グルコマンナン、ガラクトマンナン、又はそれらを構成糖として一種類以上含有する天然物に作用させるヘミセルラーゼの量としては、反応条件などの観点から任意に選択できるが、例えば、前記天然物(基質)1g当たり1〜500ユニットが好ましく、10〜100ユニットがより好ましい。
上記のヘミセルロースを天然物に作用させることにより得られたマンノース及び/又はマンノオリゴ糖を含有する糖液は、さらに活性炭、イオン交換樹脂、それらを用いた各種クロマトグラフィーを用いて精製することができる。また、噴霧乾燥、晶析等の常法により固体化することもできる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。また本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、比較例および実施例の各種成分の分析は、以下に示す方法で実施した。尚、実施例6は、参考例6と読み替えるものとする。
糖類の分析
(1)標準物質:
マンノース(純正化学株式会社製 商品名「D−(+)マンノース 特級」)
グルコース(純正化学株式会社製 商品名「D−(+)グルコース 特級」)
ガラクトース(石津製薬株式会社製 商品名「D−(+)ガラクトース 特級」)
β1−4マンノビオース(フナコシ株式会社製商品名「β1−4mannobios e」)
β1−4マンノトリオース(フナコシ株式会社製商品名「β1−4mannotriose」)
(2)分析方法
A.高速液体カラムクロマトグラフィー法1(マンノース、グルコース、β1−4マン ノビオース、β1−4マンノトリオースの分析)
分析用カラム;アミネックスHPX−87H(バイオラッド社製)
カラム温度:60℃、移動相:0.005M硫酸、流速:0.6mL/min、検 出:示差屈折計
B.高速液体カラムクロマトグラフィー法2(ガラクトースの分析)
分析用カラム;アミネックスHPX−87P(バイオラッド社製)
カラム温度:60℃、移動相:水、流速:0.6mL/min、検出:示差屈折計
(3)アミノ酸の分析
全自動アミノ酸分析装置(JLC500/V、日本電子株式会社製)
標準物質: アミノ酸(島津製作所製 商品名「アミノ酸混合標準液AN−II型」)
アミノ酸(島津製作所製 商品名「アミノ酸混合標準液B型」)
(4)着色の分析
分光光度計法。
光路長1cmセルにおけるAbs420nm値からAbs720nmを減じた値を着色 度とした。
参考例1(パーム核ミールの洗浄)
パーム核ミール(インドネシア産)450gに水と硫酸を加えてpH1.0とし、パーム核ミールの4倍容量にあわせた。90℃で5時間加熱処理を実施した後、水酸化ナトリウム溶液を加えてpH4.0±0.1に調整した。吸引ろ過により固形分を回収、追加加水して吸引し、塩を除去した。回収した固形分(洗浄後原料)の質量は756g、水分率は5%であった。
参考例2(ヘミセルラーゼの各種酵素活性と温度との関係)
参考例1で得た洗浄後原料16.8gに、セルロシンGM5エイチビィアイ株式会社製、力価10000ユニット/g、至適温度範囲60〜78℃)0.05gと水16.8gを添加し、攪拌下各反応温度(58、62、65、68℃)にて、20時間反応させた。この反応物上清に含まれるマンノース量、β1−4マンノビオース量、グルコース量、ガラクトース量を上記方法にて測定した。
得られた結果を図1に示す。
ヘミセルラーゼには、前記天然物中のマンノース及び/又はマンノオリゴ糖を遊離させるマンナン分解酵素活性だけではなく、グルコース、ガラクトースなどの糖などを遊離させる多様な酵素活性が含まれているが、図1に示すように、マンノース及び/又はマンノオリゴ糖を遊離する活性の方が、マンノース及び/又はマンノオリゴ糖以外のグルコース等の副生成物を遊離する活性よりも、耐熱性がより高いこと初めて見出した。本結果により、前記天然物にヘミセルラーゼを作用させる前または作用と同時に、前記ヘミセルラーゼを加熱処理することにより、食品にも安心して使用可能な、高純度のマンノース及び/又はマンノオリゴ糖を含有する組成物を容易に、効率良く製造することができることが示唆された。
比較例1
参考例1で得た洗浄後原料16.8gに、セルロシンGM5(エイチビィアイ株式会社製、力価10000ユニット/g、至適温度範囲60〜78℃)0.05gと水16.8gを添加し、攪拌下において58℃で20時間反応させた。この反応物上清に含まれるマンノース量、β1−4マンノビオース及びβ1−4マンノトリオース量、グルコース量、ガラクトース量、総アミノ酸量、着色を上記方法にて測定した。
比較例2
参考例1で得た洗浄後原料16.8gに、水16.8gとスミチームAC(新日本化学株式会社製、力価2000ニット/g、至適温度範囲52〜65℃)0.05gと水16.8gを添加し、攪拌下において58℃で20時間反応させた。この反応物上清に含まれるマンノース量、β1−4マンノビオース及びβ1−4マンノトリオース量、グルコース量、ガラクトース量、着色を測定した。
比較例3
参考例1で得た洗浄後原料16.8gに水16.8gとセルロシンTP25(エイチビィアイ株式会社製、力価25000ユニット/g、至適温度範囲58〜62℃)を0.05gと水16.8gを添加し、攪拌下において58℃で20時間反応させた。この反応物上清に含まれるマンノース量、β1−4マンノビオース及びβ1−4マンノトリオース量、グルコース量、ガラクトース量、着色を測定した。
比較例4
コプラミール5.0gにセルロシンGM5(エイチビィアイ株式会社製、力価10000ユニット/g、至適温度範囲60〜78℃)を0.05gと水16.8gを添加し、攪拌下において58℃で20時間反応させた。この反応物上清に含まれるマンノース量、β1−4マンノビオース及びβ1−4マンノトリオース量、グルコース量、ガラクトース量、総アミノ酸量を測定した。
比較例5
ローカストビーンガム5gにセルロシンセルロシンGM5(エイチビィアイ株式会社製、力価10000ユニット/g、至適温度範囲60〜78℃)0.025g添加し、水で総重量を100gに調整した。58℃で20時間攪拌下において反応させた。この反応物上清に含まれるマンノース量、β1−4マンノビオース及びβ1−4マンノトリオース量、グルコース量、ガラクトース量を測定した。
比較例6
参考例1で得た洗浄後原料16.8gにスミチームACH(新日本化学工業株式会社製ヘミセルラーゼ、力価50000ユニット/g、至適温度範囲50〜80℃)0.05gと水16.8gを添加し、攪拌下において58℃で20時間反応させた。この反応物上清に含まれるマンノース量、β1−4マンノビオース及びβ1−4マンノトリオース量、グルコース量、ガラクトース量を測定した。
実施例1
セルロシンGM5(HBI株式会社製マンナナーゼ、力価10000ユニット/g、至適温度範囲60〜78℃)を1質量%濃度で水に溶解し、62℃の温浴に16時間入れて加熱した。参考例1で得た洗浄後原料16.8gに水11.8gと前述の加熱処理酵素液を5g添加し、攪拌下において58℃で20時間反応させた。この反応物上清のマンノース量、β1−4マンノビオース及びβ1−4マンノトリオース量、グルコース量、ガラクトース量を測定した。
実施例2
セルロシンGM5(HBI株式会社製マンナナーゼ、力価10000ユニット/g、至適温度範囲60〜78℃)を1質量%濃度で水に溶解し、70℃の温浴に30分間入れて加熱した。参考例1で得た洗浄後原料16.8gに水11.8gと前述の加熱処理酵素を5g添加し、攪拌下において58℃で20時間反応させた。この反応物上清のマンノース量、β1−4マンノビオース及びβ1−4マンノトリオース量、グルコース量、ガラクトース量、総アミノ酸量、着色を測定した。
実施例3
セルロシンGM5(HBI株式会社製マンナナーゼ、力価10000ユニット/g、至適温度範囲60〜78℃)を紛体のまま90℃のインキュベーターで3時間加熱した。参考例1で得た洗浄後原料16.8gに水16.8gと前述の加熱処理酵素を0.05g添加し、攪拌下において58℃で20時間反応させた。この反応物上清のマンノース量、β1−4マンノビオース及びβ1−4マンノトリオース量、グルコース量、ガラクトース量を測定した。
実施例4
セルロシンGM5(HBI株式会社製マンナナーゼ、力価10000ユニット/g、至適温度範囲60〜78℃)1質量%濃度で水に溶解し、80℃の温浴で1分間加熱した。参考例1で得た洗浄後原料16.8gに水11.8gと前述の加熱処理酵素液を5g添加し、攪拌下において58℃で20時間反応させた。この反応物上清のマンノース量、β1−4マンノビオース及びβ1−4マンノトリオース量、グルコース量、ガラクトース量を測定した。
実施例5
参考例1で得た洗浄後原料16.8gにセルロシンGM5(HBI株式会社製マンナナーゼ、力価10000ユニット/g、至適温度範囲60〜78℃)を0.05gと水16.8gを添加して混合し、70℃の温浴に30分間入れて加熱処理を施した。攪拌下において58℃で20時間反応させた。この反応物上清のマンノース量、β1−4マンノビオース及びβ1−4マンノトリオース量、グルコース量、ガラクトース量を測定した。
実施例6
参考例1で得た洗浄後原料16.8gに水11.8gとセルロシンGM5(HBI株式会社製マンナナーゼ、力価10000ユニット/g、至適温度範囲60〜78℃)50mgを添加し、攪拌下において65℃で20時間反応させた。この反応物上清のマンノース量、β1−4マンノビオース及びβ1−4マンノトリオース量、グルコース量、ガラクトース量を測定した。
実施例7
スミチームAC(新日本化学株式会社製、力価2000ニット/g、至適温度範囲52〜65℃)を1質量%濃度で水に溶解し、65℃の温浴に30分間入れて加熱した。参考例1で得た洗浄後原料16.8gに水11.8gと前述の加熱処理酵素液を5g加え、攪拌下において58℃で20時間反応させた。この反応物上清のマンノース量、β1−4マンノビオース及びβ1−4マンノトリオース量、グルコース量、ガラクトース量、着色を測定した。
実施例8
セルロシンTP25(HBI製キシラナーゼ、力価25000ユニット/g、至適温度範囲58〜62℃)を1質量%濃度で水に溶解し、65℃の温浴に30分間入れて加熱した。参考例で得た洗浄後原料16.8gに前述の加熱処理酵素液5gと水11.8gを添加し、攪拌下において58℃で20時間反応させた。この反応物上清のマンノース量、β1−4マンノビオース及びβ1−4マンノトリオース量、グルコース量、ガラクトース量、着色を測定した。
実施例9
セルロシンGM5(HBI株式会社製、力価10000ユニット/g、至適温度範囲60〜78℃)を1質量%濃度で水に溶解し、65℃の温浴に30分間入れて加熱した。コプラミール5gに前述の加熱処理酵素を2.5gと水を22.5g添加し、攪拌下において58℃で20時間反応させた。この反応物上清のマンノース量、β1−4マンノビオース及びβ1−4マンノトリオース量、グルコース量、ガラクトース量、着色を測定した。
実施例10
セルロシンGM5(HBI株式会社製、力価10000ユニット/g、至適温度範囲60〜78℃)を1質量%濃度で水に溶解し、65℃の温浴に30分間入れて加熱した。ローカストビーンガム5gに前述の加熱処理酵素を2.5gと水92.5gを添加し、攪拌下において58℃で20時間反応させた。この反応物上清のマンノース量、β1−4マンノビオース及びβ1−4マンノトリオース量、グルコース量、ガラクトース量を測定した。
実施例11
スミチームACH(新日本化学工業株式会社製ヘミセルラーゼ、力価50000ユニット/g、至適温度範囲50〜80℃)を1質量%濃度で水に溶解し、65℃の温浴に10分間入れて加熱した。参考例で得た洗浄後原料16.8gに前述の加熱処理酵素液を5gと水11.8gを添加し、攪拌下において60℃で20時間反応させた。この反応物上清のマンノース量、β1−4マンノビオース及びβ1−4マンノトリオース量、グルコース量、ガラクトース量を測定した。
得られた結果を表1に示す。
Figure 0006368609
表1に示すように、マンナンなどを含有する天然物にヘミセルラーゼを作用させる前または作用と同時に、ヘミセルラーゼを加熱処理した実施例1〜11においては、加熱処理を施さない比較例1〜6に比べて、グルコース、ガラクトース、アミノ酸などの副生成物の遊離が大きく抑えられ、マンノース及び/またはマンノオリゴ糖の純度が向上した組成物を得ることができた。特に、特定の天然物を原料とし、アスペルギルス・ニガー由来のヘミセルラーゼを天然物に作用させる前に特定条件下で加熱処理等を施した実施例1、2、4、5においては、ガラクトースの副生成が極めて抑えられたものとなった。そして、ヘミセルラーゼに加熱処理を施さなかったものに比べ、グルコースとガラクトースの遊離が大きく低減しマンノース類の純度が向上したことを確認した。また、総アミノ酸、着色も低減しており、精製する際の負荷が低減したことを確認した。

Claims (5)

  1. マンナン、グルコマンナン、ガラクトマンナン、又はそれらを構成糖として一種類以上含有する天然物に、ヘミセルラーゼを作用させてマンノース及び/又はマンノオリゴ糖を製造する方法であって、前記天然物に前記ヘミセルラーゼを作用させる前に、前記天然物に前記ヘミセルラーゼを作用させる時の温度よりも高い温度で前記ヘミセルラーゼを加熱処理することを特徴とするマンノース及び/又はマンノオリゴ糖含有組成物の製造方法。
  2. 前記天然物にヘミセルラーゼを作用させる温度が、前記ヘミセルラーゼの至適温度範囲の下限値以下の温度であることを特徴とする請求項1記載のマンノース及び/又はマンノオリゴ糖含有組成物の製造方法。
  3. 前記へミセルラーゼが、マンナナーゼ又はマンノシダーゼであることを特徴とする請求項1又は2に記載のマンノース及び/又はマンノオリゴ糖含有組成物の製造方法。
  4. 前記へミセルラーゼが、アスペルギルス属由来又はトリコデルマ属由来であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載のマンノース及び/又はマンノオリゴ糖含有組成物の製造方法。
  5. 前記マンナン、グルコマンナン、ガラクトマンナン、又はそれらを構成糖として一種類以上含有する天然物が、パーム核又はココヤシであることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載のマンノース及び/又はマンノオリゴ糖含有組成物の製造方法。
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