JP6365936B2 - 微細凹部加工用ローラ及び微細凹部加工方法 - Google Patents

微細凹部加工用ローラ及び微細凹部加工方法 Download PDF

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本発明は、自動車用エンジンを構成するカムシャフト等の摺動部材に対して、その摺動面にフリクション低減のための微細凹部(油溜まり)を形成するのに用いられる微細凹部加工用ローラ及び微細凹部加工方法に関するものである。
従来、微細凹部の加工技術としては、特許文献1に記載されているものがある。特許文献1に記載の微細凹部加工装置は、外周面に微細な凹凸を有する加工ローラと、加工ローラを被加工物に押し付けるローラ押圧機構と、ローラ押圧機構による加工ローラの押圧力を検出する荷重検出手段と、これらを制御する制御手段を備えている。
そして、上記の微細凹部加工装置は、表面処理の相違や異種材料の組み合わせによって被加工物の表面硬さが部分的に異なる場合に、事前に被加工物の表面硬さを測定し、加工用ローラの押し付け荷重を被加工物の表面硬さに対応させるべく制御することで、被加工物に一定深さの微細凹部を形成するようにしている。
特許第4587026号公報
しかしながら、上記したような従来の微細凹部加工装置では、事前に表面硬さを測定する測定手段や加工ローラの押圧力を制御する手段などが必要であるから、装置の構成が複雑になり、装置の製作コストが嵩むほか、被加工物の表面硬さの分布を測定する必要があるので、加工時間が長くなるという問題点があり、このような問題点を解決することが課題となっていた。
本発明は、上記従来の課題に着目して成されたもので、装置の構成の簡略化や製作コストの低減を実現し、また、加工時間の短縮化を実現することができる微細凹部加工用ローラ及び微細凹部加工方法を提供することを目的としている。
本発明に係わる微細凹部加工用ローラは、被加工物に押し付けて転動させることにより、被加工物に微細凹部を形成するものである。そして、微細凹部加工用ローラは、円周方向にわたって所定間隔で微細凹部形成用の微細凸部を有すると共に、回転軸方向における微細凸部の配列の少なくとも片側と、円周方向とに凹部深さ規制用の肩部を有し、円周方向における微細凸部と肩部の高低差と、回転軸方向における微細凸部と肩部の高低差が、異なることを特徴としている。
本発明に係わる微細凹部加工方法は、上記の微細凹部加工用ローラを用いて被加工物に微細凹部を形成するに際し、前記加工用ローラを被加工物に押し付けると共に、被加工物を回転又は直線的に移動させることにより、前記加工用ローラを連れ回りさせて被加工物に微細凹部を形成することを特徴としている。
本発明に係わる微細凹部加工用ローラは、被加工物の表面硬さが部分的に異なる場合には、表面硬さが高い部分に対応した押圧力で被加工物に押し付ける。これにより、微細凹部加工用ローラは、表面硬さが高い部分に対しては、設定の押圧力で微細凹部を形成し、表面硬さが低い部分に対しては、被加工物に肩部が接触して、それ以上の微細凸部の圧入を阻止する。これにより、微細凹部加工用ローラは、一定の押圧力により、いずれの部分にも同程度の深さの微細凹部を形成することができるので、装置の構成の簡略化や製作コストの低減を実現し、また、加工時間の短縮化を実現することができる。また、上記の加工用ローラは、円周方向における微細凸部と肩部の高低差と、回転軸方向における微細凸部と肩部の高低差を異ならせているので、被加工物に形成された微細凹部形状を確認することで、肩部まで押し込まれていることを目視でも確認することができ、これを利用して加工荷重を設定することも容易になる。
また、本発明に係わる微細凹部加工方法は、上記微細凹部加工用ローラを採用したことにより、被加工物の表面硬さが部分的に異なる場合でも、被加工物に対する押圧力を一定にして同程度の深さの微細凹部を形成することができるので、装置の構成の簡略化、製作コストの低減、及び加工時間の短縮化などを図ることができる。
本発明に係わる微細凹部加工用ローラの第1実施形態を説明する図であって、加工用ローラを含む加工工具の断面図(A)、加工用ローラの正面図(B)、側面図(C)及び図C中のA部の拡大図(D)である。 被加工物に微細凹部を形成する状態を示す正面図である。 表面硬さが部分的に異なる被加工物を示す断面図(A)及び表面硬さの分布を示すグラフ(B)である。 表面硬さが部分的に異なる被加工物に対する荷重と微細凹部の深さとの関係を示すグラフ(A)及び被加工物と加工用ローラを示す断面図(B)である。 本発明に係わる微細凹部加工用ローラの第2実施形態を説明する図であって、表面硬さが部分的に異なる被加工物に対する荷重と微細凹部の深さとの関係を示すグラフ(A)及び被加工物と加工用ローラを示す断面図(B)である。 本発明に係わる微細凹部加工用ローラの第3実施形態において、クランクシャフトに微細凹部を形成する要領を説明する各々正面図(A)〜(D)である。 本発明に係わる微細凹部加工用ローラの第4〜6実施形態を説明する各々正面図(A)〜(C)である。 本発明に係わる微細凹部加工用ローラの第7〜9実施形態を説明する各々断面図(A)〜(C)である。 本発明に係わる微細凹部加工用ローラの第10実施形態を説明する図であり、空処部を有する被加工物に対して、肩部を有する加工用ローラを用いた場合の断面図(A,B)、及び肩部の無い加工用ローラを用いた場合の断面図(C,D)である。
〈第1実施形態〉
図1に示す微細凹部加工用ローラ1(以下、「加工用ローラ」とする)は、被加工物に押し付けて転動させることにより、被加工物に微細凹部Qを形成するものである。図示の加工用ローラ1は、図1(B)(〜D)に示すように、その外周面の中心線上に、円周方向にわたって所定間隔で微細凹部形成用の微細凸部1Aを有すると共に、微細凸部1Aの配列の両側に、凹部深さ規制用の肩部1B,1Bを有している。肩部1Bは、ローラ円周方向にわたる平坦な面である。
また、加工用ローラ1は、より好ましい実施形態として、図1(D)に示す円周方向における微細凸部1Aと肩部1Bの高低差H1と、図1(B)に示す円周方向に直交する回転軸方向における微細凸部1Aと肩部1Bの高低差H2が、異なる構成にすることができる。この際、各微細凸部1Aは、夫々の頂部が同一円周上に位置する。双方の高低差H1,H2の大小関係は、とくに限定されないが、より好ましくは、回転軸方向における微細凸部1Aと肩部1Bの高低差H2を、円周方向における微細凸部1Aと肩部1Bの高低差H1よりも大きくする。
上記構成の場合、各微細凸部1Aの頂部が同一円周上にあるので、円周方向における肩部1Bの表面と軸線方向における肩部1Bの表面との間に高低差が生じる。そこで、双方の表面を適当な傾斜面若しくは段差で連続させる。なお、図1(D)は図1(C)のA部の拡大図であるから、実際の両高低差H1,H2の寸法差はごく僅かである。
さらに、加工用ローラ1は、より好ましい実施形態として、微細凸部1Aと肩部1Bとの高低差が、被加工物Wに形成する微細凹部Qの深さに対応したものとなっている。この加工用ローラ1は、材料がとくに限定されるものではないが、例えば、超硬、超硬以外の硬質金属やアルミナ、窒化珪素等のセラミックスなどの材料を用いることができる。
上記の加工用ローラ1は、図1(A)に示す加工工具Tを構成する。
加工工具Tは、軸線を垂直にした円筒形状のハウジング11と、ハウジング11の上端部に嵌合固定した閉塞部材12と、ハウジング11の下端部内側に嵌合固定した円筒形状のスプラインナット13を備えている。スプラインナット13内には、スプラインシャフト14が、その軸線方向に摺動自在に挿設されている。そして、スプラインシャフト14の下端部に、アーム15、シャフト部材16及び軸受け17を介して、加工用ローラ1が回転自在に設けてある。
また、加工用ローラ1は、ハウジング11内において、スプラインシャフト14の上端部には止め具18が固定してあり、この止め具18と閉塞部材12との間には、加工用ローラ1に対して被加工物への圧接力を付与するためのコイルスプリング19が設けてある。さらに、コイルスプリング19の上端側には、調整駒20が設けてあり、この調整駒20と閉塞部材12との間には、加工用ローラ1に付与した圧接力を検知するためのロードセル21が設けてある。
上記加工工具Tは、図2に示す加工装置の加工ヘッド25に装着される。加工装置は、図示を省略したテーブル上に、被加工物Wを保持する主軸台と心押し台を備えている。図示例の被加工物Wは、円柱部Cを有する丸棒状の部材である。
主軸台は、モータを内蔵すると共に、そのモータにより回転駆動される主軸26及びチャッキング装置27を備えており、チャッキング装置27で被加工物Wの一端部を把持する。他方、心押し台は、主軸台に対して進退可能であると共に、チャッキング装置13と同軸上に配置した心押し軸28を備えており、この心押し軸28を被加工物Wの他端部に係合させる。これにより、被加工物Wは、その軸線を水平にした状態で回転可能に保持される。
また、加工装置は、加工ヘッド25を水平方向(Z方向)及び垂直方向(X方向)に移動可能に備えており、この加工ヘッド25に設けた加工工具Tを被加工物Wに対して進退可能にすると共に、加工工具Tを被加工物Wの軸線に沿う方向に往復動させることができる。なお、図示しないテーブルを水平方向や垂直方向に移動させる構成にすることも可能である。上記の加工装置は、例えば数値制御される工作機械を利用することができる。
上記構成を備えた加工装置は、主軸台と心押し台で被加工物Wを保持した後、加工用ローラ1を被加工物Wに向けて前進(下降)させる。そして、加工用ローラ1が被加工物Wの円柱部Cに当接した後には、コイルスプリング19を圧縮して加工用ローラ1を円柱部Cに押し付けると共に、コイルスプリング19の圧縮に伴って発生した荷重をロードセル21で検知する。
そして、加工装置は、ロードセル21で検知した荷重が所定値になったところで、加工用ローラ1の前進を停止して、微細凹部Qの形成を開始する。すなわち、主軸台により被加工物Wを軸線回りに定速回転させることにより、加工用ローラ1を連れ回りさせると共に、加工用ローラ1を被加工物Wの軸線方向(Z方向)に移動させることにより、円柱部Cの外周面に微細凹部Qを連続的に形成する。
ここで、上記加工用ローラ1は、被加工物Wの表面硬さが部分的に異なる場合でも、被加工物Wに対する押圧力を一定にして同程度の深さの微細凹部Qを形成し得るものとなっている。図3(A)に示す被加工物Wは、中央部分に焼入れ部M1を有しており、図3(B)に示すように、焼入れ部Bの表面硬さが相対的に高く、焼入れ部Bの両端側である未焼入れ部M2の表面硬さが相対的に低いものとなっている。
上記のような被加工物Wに定荷重で微細凹部Qを加工する場合、表面硬さの相違により材料の降伏応力が異なる。このため、焼入れ部M1及び未焼入れ部M2に対して同じ荷重で微細凹部Qを形成すると、その微細凹部Qの深さは、図4(A)に示すように、焼入れ部M1ではDa0となり、未焼入れ部M2では焼入れ部M1よりも明らかに大きいDb1となる(Da0<Db1)。なお、微細凹部Qの深さは、加工用ローラ1の微細凸部1Aを被加工物Wに所定荷重で押し込んで塑性変形させ、除荷した後の深さである。
これに対して、上記の加工用ローラ1は、微細凸部1Aの両側に肩部1B,1Bを有するものであり、その微細凸部1Aの高さをD2とする。このとき、微細凸部1Aの高さD2は、肩部の無い加工用ローラで焼入れ部M1を荷重Pで加圧した際の微細凹部Qの深さをD0とし、同じ加工用ローラで未焼入れ部M2を同じ荷重Pで加圧した際の微細凹部Qの深さをD1としたときに、D0≦D2<D1の関係である。
上記の加工用ローラ1で被加工物Wに微細凹部Qを形成すると、焼入れ部Mの微細凹部Qの深さは、肩部の無い加工用ローラで加工した場合と同様のDa0となる。これに対して、未焼入れ部M2の微細凹部Qの深さは、図4(B)に示すように、肩部1Bに阻まれて微細凸部1Aの高さD2分しか押し込まれないことから、Db2となる。この深さDb2は、肩部の無い加工用ローラによる深さDb1に比べて明らかに小さく、焼入れ部M1の微細凹部Qに近いものとなる。
このように、加工用ローラは、被加工物Wの表面硬さが部分的に異なる場合には、表面硬さが高い部分(M1)に対応した押圧力で被加工物Wに押し付ける。これにより、加工用ローラ1は、表面硬さが高い部分(M1)に対しては、設定の押圧力で微細凹部Qを形成し、表面硬さが低い部分(M2)に対しては、被加工物Wに肩部1Bが接触して、それ以上の微細凸部1Aの圧入を阻止する。これにより、加工用ローラ1は、一定の押圧力により、いずれの部分(M1,M2)にも同程度の深さの微細凹部Qを形成することができるので、装置の構成の簡略化や製作コストの低減を実現し、また、加工時間の短縮化を実現することができる。
さらに、上記実施形態の加工用ローラは、円周方向における微細凸部1Aと肩部1Bの高低差H1と、回転軸方向における微細凸部1Aと肩部1Bの高低差H2を異ならせているので、被加工物Wに形成された微細凹部形状を確認することで、肩部1Bまで押し込まれていることを目視でも確認することができ、これを利用して加工荷重を設定することも容易になる。
図5〜図9は、本発明に係わる微細凹部加工用ローラ及び微細凹部加工方法の他の実施形態を説明する図である。なお、以下の各実施形態において、第1実施形態と同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
〈第2実施形態〉
この実施形態の加工用ローラ1は、図5(A)に示すように、微細凸部1Aの高さをD2とする。このとき、肩部の無い加工用ローラで焼入れ部M1を荷重Pで加圧した際の微細凹部Qの深さをD0とし、同じ加工用ローラで未焼入れ部M2を同じ荷重Pで加圧した際の微細凹部Qの深さをD1としたときに、D2<D0<D1の関係である。
上記の加工用ローラ1で被加工物Wに微細凹部Qを形成すると、焼入れ部M1及び未焼入れ部M2のいずれにおいても、図5(B)に示すように、肩部1Bに阻まれて微細凸部1Aの高さD2分しか押し込まれないので、焼入れ部M1の微細凹部Qの深さはDa2となり、未焼入れ部M1の微細凹部Qの深さはDb2となる。このように、加工用ローラ1は、焼入れ部M1と未焼入れ部M2の微細凹部Qの深さの差を小さくし、微細凹部Qの深さのばらつきを防ぐことができる。
〈第3実施形態〉
図6に示す加工用ローラ31は、その外周面に微細凸部31Aを有すると共に、微細凸部31Aの配列の片側のみに肩部31Bを備えている。この場合、加工用ローラ31は、板状のアーム32に回転軸を介して回転自在に装着してある。これにより、加工用ローラ31は、薄型化されたものとなっていて、被加工物Wの狭い部分に微細凹部Qを形成する場合に好適なものとなる。
また、図6に示す被加工物Wは、内燃機関を構成するクランクシャフトであって、ジャーナル部が円柱部Cに相当し、この円柱部Cの外周面に微細凹部Qを形成する。この被加工物Wの円柱部Cにあっても、表面硬さが相対的に高い焼入れ部M1と、表面硬さが相対的に低い未焼入れ部M2が存在する。
すなわち、上記の被加工物(クランクシャフト)Wに対する微細凹部加工方法は、図6(A)に示すように、円柱部Cの中心線位置に加工用ローラ31の微細凸部31Aを合わせて加工を開始する。そして、図6(A)及び(B)に示すように、片側の肩部31B側が進行方向(矢印で示す)となるようにして、被加工物Wと加工用ローラ31とを軸線方向に沿って相対的に移動させながら微細凹部Qを形成する。これにより、円柱部Cの外周面の片側半分の領域に微細凹部Qが形成される。
次に、図6(C)に示すように、加工用ローラ31を縦軸回りに180度回動させた後、円柱部Cの中心線位置に加工用ローラ31の微細凸部31Aを合わせて加工を開始する。そして、図6(C)及び(D)に示すように、片側の肩部31B側が進行方向(矢印で示す)となるように、加工用ローラ31を軸線方向に移動させながら微細凹部Qを形成する。この際、加工用ローラ31の進行方向は、最初の加工とは逆方向である。これにより円柱部Cの外周面の残り半分の領域に微細凹部Qが形成される。
上記の加工用ローラ31によれば、先の実施形態と同様に、一定の押圧力により、焼入れ部M1及び未焼入れ部M2のいずれにも同程度の深さの微細凹部Qを形成することができるので、装置の構成の簡略化や製作コストの低減を実現し、また、加工時間の短縮化を実現することができる。また、加工用ローラ31は、微細凸部31Aの片側のみに肩部31Bを有するので、その分、構造が簡単で且つ薄型化されたものとなり、製造コストのさらなる低減や、クランクシャフトのジャーナル部のような狭い部分に微細凹部Qを形成することが可能となる。
〈第4実施形態〉
図7(A)に示す加工用ローラ41は、図6に示すものと同様の基本構造を有するものであって、被加工物Wがクランクシャフトであり、円柱部(ジャーナル部)の外周面に微細凹部Qを形成する。被加工物Wは、表面硬さの高い焼入れ部M1と、表面硬さの低い未焼入れ部M2とを有している。
この実施形態では、被加工物Wの上下若しくは水平方向の左右に、加工用ローラ41夫々配置している。このとき、両加工用ローラ41,41は、夫々の肩部41Bが互いに逆向きになる姿勢で配置される。
そして、上記の加工用ローラ41,41を用いた微細凹部加工方法は、両加工用ローラ41,41の微細凸部41Aを円柱部Cの中心位置に合わせて加工を開始し、片側の肩部41Bが進行方向(矢印で示す)となるように、両加工用ローラ41,41を軸線方向に沿って相対的に移動させながら微細凹部Qを形成する。この際、両加工用ローラ41,41の進行方向は互いに逆方向である。
これにより、一方の加工用ローラ41により、円柱部Cの外周面の片側半分の領域に微細凹部Qが形成され、他方の加工用ローラ41により、円柱部Cの外周面の残り半分の領域に微細凹部Qが形成される。
上記の加工用ローラ41及び加工方法によっても、先の実施形態と同様の効果を得ることができ、しかも、第3実施形態の構成に比べて加工時間を半減することができる。
〈第5実施形態〉
図7(B)に示す加工用ローラ51は、円周方向にわたる微細凸部51Aの配列が、回転軸に沿う方向に所定間隔で複数列(図示では8列)設けてあり、これらの配列の間及び両端部に肩部51Bを有している。また、被加工物Wは、クランクシャフトであり、円柱部(ジャーナル部)の外周面に、表面硬さの高い焼入れ部M1と、表面硬さの低い未焼入れ部M2とが存在する。加工用ローラ51は、被加工物Wの円柱部Cの軸線方向の長さに対応した幅寸法を有している。
上記の加工用ローラ51は、被加工物Wの円柱部Cに押し付けると共に、被加工物Wを軸線回りに回転させることにより、連れ回りしながら円柱部Cに微細凹部Qを形成することとなり、被加工物Wを一回転させるだけで、全ての微細凹部Qの加工が終了する。この加工用ローラ51によれば、先の実施形態と同様の効果が得られるうえに、加工時間を大幅に短縮することができる。
〈第6実施形態〉
図7(C)に示す加工用ローラ61は、円周方向にわたる微細凸部61Aの配列が、回転軸に沿う方向に所定間隔で複数列(図示では4列)設けてあり、これらの配列の間及び両端部に肩部61Bを有している。また、被加工物Wは、クランクシャフトであり、円柱部(ジャーナル部)の外周面に、表面硬さの高い焼入れ部M1と、表面硬さの低い未焼入れ部M2とが存在する。加工用ローラ71は、被加工物Wの円柱部Cの軸線方向の長さに対応した幅寸法を有している。
そして、この実施形態では、被加工物Wの上下若しくは水平方向の左右に、加工用ローラ61,61夫々配置している。このとき、両加工用ローラ61,61は、夫々の微細凸部61Aの配列が互いにずれた配置となる。つまり、一方の加工用ローラ61の各微細凸部61Aは、他方の加工用ローラ61の肩部61Bに対応した位置にある。
上記の加工用ローラ61,61は、被加工物Wの円柱部Cに押し付けると共に、被加工物Wを軸線回りに回転させることにより、連れ回りしながら円柱部Cに微細凹部Qを形成することとなり、被加工物Wを一回転させるだけで、全ての微細凹部Qの加工が終了する。この加工用ローラ61,61によれば、先の実施形態と同様の効果が得られるうえに、加工時間を大幅に短縮することができる。
〈第7実施形態〉
図8(A)に要部を示す加工用ローラ71は、円周方向にわたる微細凸部71Aの配列が、回転軸に沿う方向に所定間隔で複数列設けてあるもので、第5及び第6の実施形態(図7B,C)の加工用ローラ(51,61)と同様の構成であり、先の実施形態と同様の効果を得ることができる。
〈第8実施形態〉
図8(B)に要部を示す加工用ローラ81は、微細凸部81Aの配列が3列以上であって、少なくとも2列に対して、夫々の配列の少なくとも片側に肩部81Bを有するものとなっている。具体的には、加工用ローラ81は、微細凸部81Aの配列を所定間隔で4列有しており、両側の微細凸部81A,81Aの配列の両側に肩部81Bを有している。したがって、中央2列の微細凸部81Aの配列には、肩部が無いものとなっている。
上記の加工用ローラ81にあっても、両側の肩部81Bが被加工物に接触することで、被加工物に対する全ての微細凸部81Aの過大な圧入を阻止する。この加工用ローラ81によれば、先の実施形態と同様に、一定の押圧力により、表面硬さが異なる部分に対して同程度の深さの微細凹部Qを形成することができるので、装置の構成の簡略化や製作コストの低減を実現し、また、加工時間の短縮化を実現することができる。
また、上記の加工用ローラ81は、複数列の微細凸部81Aを備えると共に、少なくとも2列に対して肩部81Bを設けているので、加工効率が良いうえに、全ての微細凸部81Aの配列に肩部を設ける場合に比べて、製作し易いとともに製作費の低減を図ることができる。なお、肩部81Bを設ける位置は、加工用ローラ81による押圧力の左右のバランスを考慮すると、加工用ローラ81の中心線に対して対称的な位置がより望ましい。
〈第9実施形態〉
図8(C)に要部を示す加工用ローラ91は、円周方向にわたる微細凸部91Aの配列が、回転軸に沿う方向に所定間隔で複数列(図示では4列)設けてあると共に、各配列の間及び両端部に肩部91Bを有している。そして、加工用ローラ91は、微細凸部91Aと肩部91Bとの間に溝状の逃げ部91Cを有している。
上記の加工用ローラ91にあっても、先の実施形態と同様に、一定の押圧力により、表面硬さが異なる部分に対して同程度の深さの微細凹部Qを形成することができるので、装置の構成の簡略化や製作コストの低減を実現し、また、加工時間の短縮化を実現することができる。
また、本発明に係わる加工用ローラで微細凹部Qを形成する場合、被加工物に形成された微細凹部Qの周辺には、塑性加工による微小な盛り上がりが形成される。これに対して、上記の加工用ローラ91は、微細凸部91Aと肩部91Bとの間に溝状の逃げ部91Cを有しているので、盛り上がりの影響を受けずに微細凹部Qを加工することができ、微細凹部Qの深さのばらつきをより一層小さくすることができる。
〈第10実施形態〉
図9は、空処部Hを有する被加工物Wに対して、肩部100Bを有する加工用ローラ100を用いた場合の断面図(A,B)、及び肩部の無い従来の加工用ローラ200を用いた場合の断面図(C,D)である。図示の加工用ローラ100,200は、いずれも微細凸部100A,200Aの配列を、軸線方向に所定間隔で4列有している。
空処部Hを有する被加工物Wとしては、例えば、内燃機関を構成するクランクシャフト、コントロールシャフト、及びカムシャフトを挙げることができ、これらのジャーナル部(円柱部)には、空処部部Hである油穴等が形成されている。
上記の被加工物Wに微細凹部Qを形成する場合、図9(C)に示す従来の加工用ローラ200では、図9(D)に示すように空処部Hを通過する際、被加工物Wに対する総接触面積が減少して、被加工物Wに接触している微細凸部200Aの接触面圧が増大する。これにより、図9(C)に示す空処部Hが無い部分での微細凹部Qの深さDxに対して、図9(D)に示す空処部Hでの微細凹部Qの深さDyが大きくなり、結果として、微細凹部Qの深さにばらつきが生じることとなる。
これに対して、図9(A)に示す実施形態の加工用ローラ100は、図9(B)に示すように空処部Hを通過する際、肩部100Bが被加工物Wの表面に接触して、それ以上の微細凸部100Aの圧入を阻止する。これにより、図9(A)に示す空処部Hが無い部分での微細凹部Qの深さDxに対して、図9(B)に示す空処部Hでも微細凹部Qが同じ深さDxとなり、微細凹部Qの深さのばらつきが解消される。
本発明に係る加工用ローラ及び微細凹部加工方法において、対象となる被加工物は、上記のクランクシャフトのほか、内燃機関を構成するコントロールシャフト、カムシャフト、シリンダボア及びピストンなどの各種摺動部材が挙げられる。これらの摺動部材は、ジャーナル部等の円柱部Cに微細凹部Qが高精度に形成されたものとなり、円柱部Cにおけるフリクションの低減を実現すると共に、エンジンの高効率化に貢献し得るものとなる。
なお、本発明の加工用ローラ及び微細凹部加工方法は、その構成が上記各実施例に限定されるものではなく、構成の細部を適宜変更することができ、対象となる被加工物にあっても、上記した内燃機関用部品の他、円柱部を有する各種の摺動部材、若しくは平坦な板状部材に対する微細凹部の形成に用いることが可能である。被加工物が板状部材である場合には、加工用ローラ及び被加工物のいずれか一方を直線的に移動、若しくは双方を相対的に直線移動させて微細凹部を形成する。
1,31,41,51,61 加工用ローラ
71,81,91,100 加工用ローラ
1A,31A,41A,51A,61A 微細凸部
71A,81A,91A,100A 微細凸部
1B,31B,41B,51B,61B 肩部
71B,81B,91B,100B 肩部
91C 逃げ部
C 円柱部
Q 微細凹部
W 被加工物

Claims (8)

  1. 被加工物に押し付けて転動させることにより、被加工物に微細凹部を形成する微細凹部加工用ローラであって、
    円周方向にわたって所定間隔で微細凹部形成用の微細凸部を有すると共に、回転軸方向における微細凸部の配列の少なくとも片側と、円周方向とに凹部深さ規制用の肩部を有し、円周方向における微細凸部と肩部の高低差と、回転軸方向における微細凸部と肩部の高低差が、異なることを特徴とする微細凹部加工用ローラ。
  2. 微細凸部と肩部との高低差が、被加工物に形成する微細凹部の深さに対応していることを特徴とする請求項1に記載の微細凹部加工用ローラ。
  3. 円周方向にわたる微細凸部の配列が、回転軸に沿う方向に所定間隔で複数列設けてあることを特徴とする請求項1又は2に記載の微細凹部加工用ローラ。
  4. 微細凸部の配列が3列以上であって、少なくとも2列に対して、夫々の配列の少なくとも片側に肩部を有することを特徴とする請求項3に記載の微細凹部加工用ローラ。
  5. 微細凸部と肩部との間に溝状の逃げ部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の微細凹部加工用ローラ。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の微細凹部加工用ローラを用いて被加工物に微細凹部を形成するに際し、
    前記加工用ローラを被加工物に押し付けると共に、被加工物を回転又は直線的に移動させることにより、前記加工用ローラを連れ回りさせて被加工物に微細凹部を形成することを特徴とする微細凹部加工方法。
  7. 円柱部を有し、請求項6に記載の微細凹部加工方法により前記円柱部の外周面に微細凹部が形成されていることを特徴とする摺動部材。
  8. 内燃機関を構成するクランクシャフト、コントロールシャフト、カムシャフト、シリンダボア及びピストンのいずれかであることを特徴とする請求項7に記載の摺動部材。
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