JP5906117B2 - ディンプル成形バニシング工具およびそれを用いたワークの加工方法 - Google Patents

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Description

本発明はディンプルを成形するバニシング工具およびそれを用いたワークの加工方法に関する。
一般に、エンジンやハードディスクドライブに代表されるような、流体軸受面等の回転数が高く、しかも高温となるような過酷な条件で使用される摺動部材は、潤滑性能を向上させて、摺動面の摩擦抵抗を低減するために、その摺動面に微細な溝やディンプルが成形されている。摺動面にディンプルを成形する技術としては、いわゆるWPC処理(微粒子ショットピーニング)やレーザ加工、あるいはバレル研磨などを利用したものが公知である。
また、摺動部材の表面を加工する技術として、バニシング加工というものがある。このバニシング加工は、ワークに対して転圧ローラを押圧しながら回転させて、ワークの加工表面を押し潰すように変形させることで、表面硬度および面粗さを向上させる塑性加工の一種である。摺動面にバニシング加工を施すことで、耐久性、耐磨耗性、および信頼性を大幅に向上させることができる。
ここで、ワークの内周面にディンプルを成形しながらバニシング加工を行うことができる工具として、例えば、特許文献1に記載の技術が公知である。この特許文献1に記載のディンプル成形バニシング工具は、加工機に装着して回転させるマンドレルと、このマンドレルに対して回転自在に外嵌されたリテーナ(フレーム)とを備えている。このリテーナは、複数のローラ(転動体)および複数のボール(押圧体)を回転自在、かつ、リテーナの外周面から径方向に出没自在に保持している。そして、マンドレルが回転すると、マンドレルの外周面に形成された凸部がローラおよびボールと係合して、ワークの内周面に対して、ローラは転動し、ボールは振動しながら転動する。こうして、ワークの内周面にディンプルが成形される。
特開2007−301645号公報
ところで、特許文献1のディンプル成形バニシング工具を用いてワークの内周面を加工する場合、次のような手順で行われる。まず、ツール径が所定の径になるようセットして、マンドレルを加工機に装着する。次いで、当該ディンプル成形バニシング工具の先端の位置がワーク内周面の所定の位置になるようにセットする。次いで、マンドレルを回転させながら、当該工具をワーク内部へ送り出す。この工程において、ローラおよびボールがワーク内周面をバニシング加工しながらディンプルを形成する。そして、加工が終了したら、当該工具をワーク内部から引き戻す。
上記従来のディンプル成形バニシング工具を用いてワーク内周面を加工した場合、せっかくワーク内周面にディンプルが成形されても、当該工具を引き戻す工程(所謂、ツール戻し工程)でローラやボールがワーク内周面に接触するため、ワーク内周面に傷(擦り傷)が付いてしまうといった課題がある。特に、ワークの硬度が小さい材料である場合、その傷は顕著である。
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、加工後のワーク内周面に傷が残ることを防止できるディンプル成形バニシング工具およびそれを用いたワークの加工方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明は、後端側を加工機に装着して回転させるマンドレルと、このマンドレルの先端側に回転自在に外嵌され、前記マンドレルの回転に従動する複数のローラ(転動体)および複数のボール(押圧体)を保持する筒状のフレームとを有し、前記フレームをワークの内周面に挿入して、前記マンドレルを回転させることにより、前記ワークの内周面にディンプルを成形するディンプル成形バニシング工具において、前記マンドレルは、その先端側に、先端側から後端側に行くほど縮径したテーパ部を有し、前記フレームの同一円周上には、前記複数のローラと、前記複数のボールとが交互に間隔を空けて配置されると共に、前記ローラは、その軸心が前記マンドレルのテーパ部に沿って配置され、前記ローラの長さは、前記ボールの直径を超えるものであり、前記テーパ部は、前記複数のローラを前記フレームの径方向へ出没させることなく回転させる転動体回転部と、前記複数のボールを前記フレームの径方向へ出没させつつ回転させる押圧体出没回転部と有し、前記フレームは、付勢手段によって先端側に付勢されると共に、前記ワークの内周面に挿入したとき前記付勢手段の付勢力に抗して前記マンドレルの軸心方向後端側に移動し、前記ワークの内周面から引き戻すとき前記付勢手段によって先端側に移動するよう形成され、前記フレームが前記マンドレルのテーパ部に対して相対的に移動する動作に伴って、前記複数のローラおよび前記複数のボールが前記フレームの径方向へ移動することを特徴としている。
本発明に係るディンプル成形バニシング工具は、マンドレルの先端部にテーパ部が形成されている。このテーパ部は、マンドレルの先端側から後端側に行くほど縮径している。そして、フレームは付勢手段の付勢力に抗してマンドレルの軸心方向に移動可能であり、その移動動作に伴って、転動体および押圧体が径方向に移動(出没動作)する。
具体的には、テーパ部は先端側から後端側に向かうにつれフレームとの間の距離が広がるため、転動体および押圧体は、マンドレルの径方向に没入する(図4参照)。即ち、転動体の外周を結んだ包絡円の直径(ツール径)が縮径する。なお、フレームがマンドレルの後端側に移動する場合とは、ディンプル成形バニシング工具をワーク内部に送り出す場合である。
一方、フレームがマンドレルの先端側に移動すると、テーパ部とフレームとの間の距離が狭まるため、転動体および押圧体はマンドレルの径方向に突出する(図5参照)。即ち、ツール径が拡径する。なお、フレームがマンドレルの先端側に移動する場合とは、ディンプル成形バニシング工具をワーク内部から引き戻す場合である。
このように、本発明は、ツール径が縮径した状態でディンプル成形バニシング工具をワーク内部に送り出すことができ、ツール径が拡径した状態でディンプル成形バニシング工具をワーク内部から引き戻すことができる。よって、ワーク内部からディンプル成形バニシング工具を引き戻す際にマンドレルを回転駆動すれば、ワーク内周面に傷を残すことなくディンプルの成形とバニシング加工を行うことができる。しかも、ローラとボールとを同一円周上に配置できるため、ローラとボールとをフレームの軸心方向に離して配置するのに比べて、工具をコンパクトにすることができる。
なお、本発明は、マンドレルのテーパ部に転動体回転部と押圧体出没回転部とを備えているので、転動体がフレームの径方向へ出没することなく回転して、ワーク内周面のバニシング加工を安定して行うことができる。さらに、押圧体がフレームの径方向へ出没しながら回転して、所望のディンプルを成形することができる。そして、本発明は、転動体が押圧体と同時に径方向へ出没することを防止できる構成となっているから、ディンプルの形状(溝幅、溝長さ、溝深さなど)の調整を簡単に行うことができるといった利点もある。
また、上記構成において前記テーパ部は、その外周面に、前記押圧体出没回転部としての第1領域と、この第1領域を挟んで前記マンドレルの軸心方向の両側に形成された、前記転動体回転部としての第2領域とを有し、前記第1領域には、円周方向に間隔を空けて複数の平坦部が形成されていて、その断面が多角形形状を成す一方、前記第2領域の断面は円形状を成しており、前記平坦部の長さは、前記ボールの直径を超え、かつ、前記ローラの長さ未満であり、前記マンドレルに前記フレームを装着すると、前記ローラは、前記第1領域の前記平坦部と接触することなく前記第2領域と接触する一方、前記ボールは、前記第1領域とだけ接触するよう構成されるのが好ましい。
本発明の押圧体出没回転部としての第1領域は、複数の平坦部が形成されており、断面が多角形形状であるため、仮に、ローラが第1領域のみと接触する場合であれば、ローラは、マンドレルの回転により、第1領域にある平坦部と平坦部の間の部分(多角形断面の角の部分)と接触するときにフレームの径方向に押し出され、平坦部(多角形断面の辺の部分)と接触するときにフレームの径方向に沈んでいくことになる。
ところが、本発明では、ローラは第1領域の平坦部と接触することなく転動体回転部としての第2領域と接触しており、第2領域は表面に凹凸のないテーパ形状であるので、マンドレルの回転により、ローラは、第1領域に形成された平坦部の影響を受けることなく、回転することができる。
つまり、本発明のローラは、第1領域の平坦部と接触することなく第2領域と接触しているので、第1領域に平坦部があっても、径方向に沈むことなくマンドレルの回転に従動して回転することができるのである。一方、本発明のボールは、第1領域とだけ接触するので、マンドレルの回転に従動して回転しながら、径方向に出没する。
よって、本発明によれば、ボールがディンプル成形を行う際に、ローラが径方向に出没
しないので、ディンプル形状の調整が簡単である
また、上記構成において、前記フレームと前記付勢手段とは、ステムを介して取り付けられるようにするのが好ましい。構造を簡素化できるからである。
また、上記構成を備えたディンプル成形バニシング工具を用いてワーク内周面を加工する場合、以下の本発明に係るワークの加工方法にて行うと好適である。
即ち、本発明に係るワークの加工方法は、前記ディンプル成形バニシング工具を前記ワークの内周面の所定位置まで回転駆動しながら挿入する第1工程と、前記第1工程の後に行われ、前記所定位置から前記ディンプル成形バニシング工具を回転駆動しながら引き戻す第2工程とを有し、前記第2工程において、前記ワークの内周面にディンプルを成形およびバニシング加工を行うことを特徴としている。
本発明によれば、ディンプル成形バニシング工具をワーク内部から引き戻す工程において、ワークの内周面にディンプルの成形とバニシング加工を行うので、ワーク内周面に傷が残ることは防止される。
本発明によれば、上記の構成を備えているから、加工後のワーク内周面に傷が残るのを防止できる。
本発明の第1の実施の形態例に係るディンプル成形バニシング工具の全体構成を示す図であって、その一部を断面図で表した図である。 図1に示すディンプル成形バニシング工具をワークの内周面に挿入した状態における、図1のA−A断面図である。 図1のB−B断面のうち要部を拡大した要部拡大断面図である。 図1に示すディンプル成形バニシング工具をワーク内部に送り出す状態を示す図であり、(a)はその断面図、(b)は(a)のE部拡大図である。 図1に示すディンプル成形バニシング工具をワーク内部から引き戻す状態を示す図であり、(a)はその断面図、(b)は(a)のF部拡大図である。 本発明の第2の実施の形態例に係るディンプル成形バニシング工具の全体構成を示す図であって、その一部を断面図で表した図である。 本発明の第3の実施の形態例に係るディンプル成形バニシング工具の全体構成を示す図であって、その一部を断面図で表した図である。
以下、本発明の実施の形態例に係るディンプル成形バニシング工具について、適宜図面を参照しながら詳細に説明するが、便宜上、以下の説明において、ディンプル成形バニシング工具のことを、単に「バニシング工具」ということにする。本発明の第1の実施の形態例に係るバニシング工具1は、図1に示すように、図示しない旋盤等の加工機に装着して回転させるマンドレル30と、マンドレル30に外嵌されたフレーム40と、ツール径を調整するツール径調整機構10とを備えて構成されている。
マンドレル30は、図1に示すように、全体として丸棒形状に構成されており、後端側には旋盤等の加工機(不図示)に装着されるシャンク32を有し、先端側にはテーパ部33を有し、略中央部には本体部31を有している。シャンク32は、本実施形態ではストレート形状となっているが、この形状の他、テーパ形状等、装着される加工機に適合できるように種々の形状が採用される。
また、テーパ部33は、先端側(図1における左側)から後端側(図1における右側)に向かうにつれて縮径したテーパ形状を成している。テーパ部33は、その略中央の部分に形成された第1領域33aと、この第1領域33aを挟んでマンドレル30の軸心方向の前後(図1における左右)に形成された第2領域33bとを有している。
第2領域33bは、任意の断面が円形状を成す、円錐台の如き形状であり、その外周面には何ら凹凸はない。これに対して、第1領域33aの外周面には、表面が平らであって、外周面から僅かに窪んだ平坦部36が複数形成されている。具体的には、平坦部36は、マンドレルの円周方向に沿って、僅かな間隔を空けて16個設けられている。そのため、第1領域33aの外周面は、平坦部36の部分がやや窪み、平坦部36と平坦部36の間の部分が、平坦部36からやや突出した凸部35となっている。よって、第1領域33aの断面は、図2に示すように、凸部35を頂点とし平坦部36を辺とする多角形(具体的には、略正十六角形)になっている。なお、平坦部36から凸部35にかけて、ボール42が円滑に転動できるようになだらかな曲率の面が形成されている。
フレーム40は、円筒形状を成しており、複数のローラ(転動体)41を回転自在に保持していると共に、複数のボール(押圧体)42を回転自在、かつ、フレーム40の外周面から径方向に出没自在に保持している。具体的には、フレーム40には、同一円周上に、8個のローラ41と8個のボール42とが交互に間隔を空けて配置されている。なお、ローラ41の軸心方向がフレーム40の軸心方向と同一の方向となるようにして、ローラ41はフレーム40に取り付けられている。
フレーム40は、ステム20を介してスプリング(付勢手段)21によってマンドレル30の先端側に付勢されている。ステム20は、図1に示すように、円筒状の胴体部20aと、この胴体部20aの後端部に設けられたフランジ部20bとから成り、マンドレル30の本体部31に摺動自在に外嵌される。スプリング21は、その後端部がスプリング座23によって支持されると共に、その先端部がスプリング座24を介してフランジ部20bの後端面を、マンドレル30の先端側(フレーム40の先端側)に押圧している。
そのため、ステム20は、常時、スプリング21によってマンドレル30の先端側に押圧されることになるが、ステム20に外嵌されたベアリング22によって、ステム20の軸心方向への移動は規制されている。
このように構成されているので、フレーム40は、その先端側へスプリング21によって押圧され、ステム20のフランジ部20bがベアリング22と当接する位置で保持される。そして、ステム20はマンドレル30の本体部31に摺動自在に外嵌されているので、フレーム40は、ステム20のフランジ部20bの後端面がマンドレル30の本体部31の端面(段差)31aに当接する位置まで、スプリング21の付勢力に抗してマンドレル30の後端側へ距離L3だけ移動することができる(図4参照)。
マンドレル30にフレーム40を外嵌すると、ローラ41は、第1領域33aと第2領域33bとに跨って配置されることにより、ローラ41が平坦部36と接触することなく第2領域33bと接触するようになっているのに対して、ボール42は、第1領域33aのみと接触するようになっている。なお、フレーム40をマンドレル30に装着すると、ローラ41は、その軸心がテーパ部33に沿うように配置される。
図1に示すように、ローラ41の長さL1は、ボール42の直径D1より大きい。ローラ41の長さL1は、平坦部36の長さL2より大きい。そのため、図3に示すように、ローラ41の両端部が第2領域33bと接触しており、ローラ41の略中央部と平坦部36との間に若干の隙間CLが形成された状態となる。つまり、ローラ41の両端部が第2領域33bに支持された形となり、ローラ41の中央部が平坦部36の表面と接触しないようになっているのである。
なお、ローラ41の長さL1は、ツール径調整機構10によりマンドレル30とフレーム40との軸心方向における相対位置が変化しても、常に平坦部36を跨ぐような長さとなっている。つまり、ツール径調整機構10を操作しても、ローラ41が平坦部36の表面に接触することはない。また、ローラ41は、一端(図3において左端)から他端(図3において右端)に向かうにつれて僅かに拡径したテーパ形状を成している。つまり、ローラ41は、左端部の直径D2の方が右端部の直径D3より僅かに小さくなっている。
そして、バニシング工具1をワークWに挿入すると、図2および図4に示すように、マンドレル30のテーパ部33の外周面とワークWの内周面との間にローラ41およびボール42が介在した状態となる。
なお、マンドレル30、ローラ41、ボール42、およびフレーム40には耐久性が要求されるため、特殊合金鋼を使用し、熱処理をして硬度および靭性を向上させている。また、使用条件によっては、DLC、TIN、TICN等の表面コーティング処理をしてさらに耐久性を向上させることもできる。
次に、ツール径調整機構10は、ローラ41の外周を結んだ包絡円の直径、即ち、ツール径(図2における直径DA)を調整するためのものであり、ハウジング13を回転させることにより、ツール径を調整することができる。具体的には、ハウジング13の回転に伴って、マンドレル30が軸心方向に移動し、該移動によってマンドレル30のテーパ部33とローラ41との接触位置が前記軸心方向の前後に移動する。これにより、テーパ部33の径の変化に応じてローラ41の外周を結ぶ直径DAが所望の値に変化(拡径または縮径)する。
続いて、上記のように構成されたバニシング工具1を用いて、ワークWの内周面にディンプルの成形とバニシング加工を行うための作業工程を説明する。
<調整工程>
調整工程では、まず、所望のツール径となるまで、ハウジング13を左右何れかに回転させる。所望のツール径となったら、ハウジング13をナットで固定する。そして、ローラ41の先端部をマイクロメータ等で測定し、ツール径が正しくセットされているかを確認する。
<加工工程>
加工工程では、まず、加工機にシャンク32を装着する。そして、ワークWの内周面のうちディンプルを成形するべき所定の位置まで、加工機のストローク制御によってバニシング工具1を回転させながら送り出す(第1工程)。
この工程では、図4(a)に示すように、フレーム40がスプリング21の付勢力に抗して、マンドレル30の縮径側(バニシング工具1の後端側)に距離L3だけ移動するため、ツール径が小さくなる。そのため、図4(b)に示すように、ボール42はワークWの内周面にスプリング21の付勢力で軽く接触しているだけである。
所定の位置にバニシング工具1がセットされたことを確認した後、徐々にバニシング工具1を回転させながら引き戻す(第2工程)。この引き戻し工程において、ディンプル成形とバニシング加工が行われる。例えば、マンドレル30を先端側から見て時計回りに回転させると、マンドレル30の外周面に沿ってローラ41は反時計回りに回転(自転)する。このとき、ワークWは固定されているから、ローラ41が反時計回りに自転すると、ローラ41はワークWの内周面およびマンドレル30のテーパ部33の外周面に沿って時計回りに公転する。
ローラ41は、上述したように、平坦部36を跨いで第2領域33bの外周面と接触するように配置されているため、マンドレル30の回転位置が如何なる位置であっても、ローラ41が第1領域33aの平坦部36と接触することはない。よって、ローラ41は、マンドレル30の回転に従動して自転するものの、フレーム40の径方向に対して移動することはないから、作業者は、ローラ41によるワークWの内周面のバニシング加工を安定して行うことができる。
一方、ボール42については、マンドレル30の回転に伴う動作が、ローラ41と若干異なっている。ボール42がワークWの内周面とテーパ部33の外周面との間で挟まれた状態で、マンドレル30の周りに自転しながら公転すると、ボール42は第1領域33aに形成された平坦部36と凸部35とを交互に通過して進む。このため、ボール42は、平坦部36と凸部35との高低差(図3の隙間CL)により、フレーム40の径方向に振動しながらワークWの内周面に沿って転動する。このボール42の径方向の出没動作により、ワークWの内周面にディンプルが成形されていくことになる。そして、バニシング工具1が元の位置まで戻されると、ディンプル成形とバニシング加工に係る作業工程は終了となる。
なお、第1領域33aは、ボール42をフレーム40の径方向に出没させつつ回転させる機能を備えているから、この第1領域33aは本発明の押圧体出没回転部に相当し、第2領域33bは、ローラ41をフレーム40の径方向に出没させることなく回転させる機能を備えているから、この第2領域33bは本発明の転動体回転部に相当する。
以上説明したように、第1の実施の形態例に係るバニシング工具1およびそれを用いたワークWの加工方法によれば、ワークWの内部からバニシング工具を引き戻す工程においてワークWの内周面のディンプル成形とバニシング加工を行うことができるから、ワークWの内周面に傷が残らない。バニシング工具1を送り出す工程においてワークWの内周面に軽い傷が付いたとしても、その後のバニシング工具1を引き戻す工程においてディンプル成形とバニシング加工を行うことができるので、傷を修復することができるからである。
また、第1の実施の形態例に係るバニシング工具1によれば、加工中はローラ41がフレーム40の径方向に移動しないため、ローラ41のワークW内での回転運動は安定したものとなる。よって、ディンプルの成形において、ボール42の形状、加工条件等を適宜調整するだけで、使用条件に合致した適切なディンプル形状を成形することができる。その結果、ワークWの内周面は、好適な潤滑特性が得られるようになる。
また、第1の実施の形態例に係るバニシング工具1によれば、バニシング効果により、ワークWの内周面の表面硬度を上昇させるとともに、加工表面に圧縮残留応力を付与することができるため、加工表面の疲労強度が向上する。
また、第1の実施の形態例に係るバニシング工具1によれば、ボール42とローラ41を同一円周上に配置することができるため、工具をコンパクトにすることができる。
次に、第2の実施の形態例に係るバニシング工具101について図6を用いて説明するが、第2の実施の形態例に係るバニシング工具101は、ローラ41とボール42の配置が第1の実施の形態例に係るバニシング工具1と相違する以外は同じ構成である。そこで、以下では、この相違点について主に説明を行うこととし、バニシング工具1と同じ構成の部分については、同一符号を付して、その説明は省略する。
図6に示すように、第2の実施の形態例に係るバニシング工具101は、フレーム140の先端側にボール42が配置され、ボール42より後端側にローラ41が配置されている。そのため、マンドレル130のテーパ部133の先端側に平坦部36および凸部35を有する第1領域133aが形成され、テーパ部133の後端側に第2領域133bが形成されている。この構成によっても、上記した第1の実施の形態例と同様に、バニシング工具101の引き戻し工程においてディンプル成形とバニシング加工を行うことができるので、ワークWの内周面に傷が残らない。
次に、第3の実施の形態例に係るバニシング工具201について図7を用いて説明するが、第3の実施の形態例に係るバニシング工具201は、ローラ41とボール42の配置が第1の実施の形態例に係るバニシング工具1と相違する以外は同じ構成である。そこで、以下では、この相違点について主に説明を行うこととし、バニシング工具1と同じ構成の部分については、同一符号を付して、その説明は省略する。
図7に示すように、第3の実施の形態例に係るバニシング工具201は、フレーム240の先端側にローラ41が配置され、ローラ41より後端側にボール42が配置されている。そのため、マンドレル230のテーパ部233の先端側に第2領域233bが形成され、後端側に平坦部36および凸部35を有する第1領域233aが形成されている。この構成によっても、上記した第1の実施の形態例と同様に、バニシング工具201の引き戻し工程においてディンプル成形とバニシング加工を行うことができるので、ワークWの内周面に傷が残らない。
以上、本発明の実施の形態例について説明したが、本発明は上記した実施の形態例に限定されるものではなく、適宜変更して実施することができる。
1,101,201…バニシング工具
20…ステム
21…スプリング(付勢手段)
30,130,230…マンドレル
33,133,233…テーパ部
33a,133a,233a…第1領域(押圧体出没回転部)
33b,133b,233b…第2領域(転動体回転部)
36…平坦部
40,140,240…フレーム
41…ローラ(転動体)
42…ボール(押圧体)
W…ワーク

Claims (4)

  1. 後端側を加工機に装着して回転させるマンドレルと、このマンドレルの先端側に回転自在に外嵌され、前記マンドレルの回転に従動する複数のローラおよび複数のボールを保持する筒状のフレームとを有し、前記フレームをワークの内周面に挿入して、前記マンドレルを回転させることにより、前記ワークの内周面にディンプルを成形するディンプル成形バニシング工具において、
    前記マンドレルは、その先端側に、先端側から後端側に行くほど縮径したテーパ部を有し、
    前記フレームの同一円周上には、前記複数のローラと、前記複数のボールとが交互に間隔を空けて配置されると共に、前記ローラは、その軸心が前記マンドレルのテーパ部に沿って配置され、
    前記ローラの長さは、前記ボールの直径を超えるものであり、
    前記テーパ部は、前記複数のローラを前記フレームの径方向へ出没させることなく回転させる転動体回転部と、前記複数のボールを前記フレームの径方向へ出没させつつ回転させる押圧体出没回転部と有し、
    前記フレームは、付勢手段によって先端側に付勢されると共に、前記ワークの内周面に挿入したとき前記付勢手段の付勢力に抗して前記マンドレルの軸心方向後端側に移動し、前記ワークの内周面から引き戻すとき前記付勢手段によって先端側に移動するよう形成され、
    前記フレームが前記マンドレルのテーパ部に対して相対的に移動する動作に伴って、前記複数のローラおよび前記複数のボールが前記フレームの径方向へ移動する
    ことを特徴とするディンプル成形バニシング工具。
  2. 請求項1の記載において
    前記テーパ部は、その外周面に、前記押圧体出没回転部としての第1領域と、この第1領域を挟んで前記マンドレルの軸心方向の両側に形成された、前記転動体回転部としての第2領域とを有し、
    前記第1領域には、円周方向に間隔を空けて複数の平坦部が形成されていて、その断面が多角形形状を成す一方、前記第2領域の断面は円形状を成しており、
    前記平坦部の長さは、前記ボールの直径を超え、かつ、前記ローラの長さ未満であり、
    前記マンドレルに前記フレームを装着すると、前記ローラは、前記第1領域の前記平坦部と接触することなく前記第2領域と接触する一方、前記ボールは、前記第1領域とだけ接触するよう構成される
    ことを特徴とするディンプル成形バニシング工具。
  3. 請求項1または2の記載において、
    前記フレームと前記付勢手段とは、ステムを介して取り付けられる
    ことを特徴とするディンプル成形バニシング工具。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載のディンプル成形バニシング工具を用いたワークの加工方法であって、
    前記ディンプル成形バニシング工具を前記ワークの内周面の所定位置まで回転駆動しながら挿入する第1工程と、前記第1工程の後に行われ、前記所定位置から前記ディンプル成形バニシング工具を回転駆動しながら引き戻す第2工程とを有し、
    前記第2工程において、前記ワークの内周面にディンプルを成形およびバニシング加工を行うことを特徴とするワークの加工方法。

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