JP6365931B2 - 加工香辛料及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、未粉砕の香辛料又は840μm以上の粒度を有する香辛料を、0.30MPa・G未満の蒸気の圧力、4.0%より高く8.0%以下の酸素濃度、及び70℃以上120℃以下の過熱度の条件下で過熱水蒸気により処理した加工香辛料を提供する。
また、本発明は、未粉砕の香辛料又は840μm以上の粒度を有する香辛料を、0.30MPa・G未満の蒸気の圧力、4.0%より高く8.0%以下の酸素濃度、及び70℃以上120℃以下の過熱度の条件下で過熱水蒸気により処理する加工香辛料の製造方法を提供する。
さらに、本発明は、上記加工香辛料又は上記製造方法により得られた加工香辛料を含む食品にも関する。
本発明が対象とする香辛料としては、特に限定されないが、オールスパイス、カルダモン、キャラウェー、クミン、クローブ、コリアンダー、ジンジャー、セロリシード、ターメリック、ナツメグ、バジル、パプリカ、黒胡椒、ローレル、花椒、桂皮、唐辛子、白胡椒、ケシの実、シナモン、スターアニス、山椒、青のり、陳皮、黒胡麻、白胡麻、麻の実、フェヌグリーク、フェンネル及び辛子等が挙げられる。中でも、過熱水蒸気による焙煎処理前後の風味差が大きく、かつ焙煎香を付与した場合の用途の幅が広いフェヌグリーク、クミン、フェンネル、コリアンダー、辛子、唐辛子、パプリカ、黒胡麻、白胡麻及び麻の実が好ましい。
本発明においては、これらの香辛料を、未粉砕又は840μm以上の粒度を有するように粗く砕いた状態で用いる。このような状態で香辛料に過熱水蒸気を当てることによって、香辛料表面に付着している病原菌を死滅させ、かつ、所期の香ばしい香りを付与することができる。ここで、粒度は、JIS Z 8901「試験用粉体及び試験用粒子」に定義されるふるい分け法によって測定した、試験用ふるいの目開きで表したものをいう。
蒸気の圧力は0.30MPa・G未満、好ましくは0.25MPa・G以下、より好ましくは0.05MPa・G以上0.20MPa・G以下である。
酸素濃度は、4.0%より高く8.0%以下、好ましくは5.0%以上8.0%以下、より好ましくは5.7%以上8.0%以下である。香辛料の加熱殺菌処理を行う場合、酸素存在下においては、香辛料が酸化して好ましくないと考えられることがあるが、本発明者らは、意外にも、上記濃度範囲で酸素を存在させることによって、香辛料に所期の香ばしい香りを付与できることを見出した。上記範囲の酸素濃度で処理を行うことにより、無酸素又は低酸素の条件下よりも、香辛料に付与される香りがより強く香ばしいものとなる。酸素の供給は香辛料同士の間隙に含まれている酸素を用いてもよいし、予め空気若しくは酸素と過熱水蒸気を混合したものを用いてもよい。ここで、本発明においては、以下の方法により酸素濃度を算出するものとする。なお、以下の酸素濃度の算出における各圧力は絶対圧力を指し、ゲージ圧に大気圧である0.1MPaを加えた値である。
− 焙煎する香辛料が入った密閉空間に過熱水蒸気を投入する形式の装置で処理する場合(例えば、ロータリーバルブ式装置等)
酸素濃度%={(香辛料同士の間隙に含まれる空気の圧力)×(空気中の酸素濃度)+(供給される気体の圧力)×(供給される気体の酸素濃度)}/(香辛料同士の間隙に含まれる空気の圧力+供給される気体の圧力+注入される蒸気の圧力)
− 焙煎する香辛料を過熱水蒸気中を含む密閉配管または容器に投入する形式の装置で処理する場合(例えば、気流式装置等)
酸素濃度%={(香辛料同士の間隙に含まれる空気の圧力)×(空気中の酸素濃度)/(香辛料同士の間隙に含まれる空気の圧力+供給される気体の圧力+注入される蒸気の圧力)}×{(香辛料同士の間隙に含まれる空気の体積)/(香辛料同士の間隙に含まれる空気の体積+密閉配管または容器の体積)}+{(供給される気体の圧力)×(供給される気体の酸素濃度)/(供給される気体の圧力+注入される蒸気の圧力)}×{(密閉配管または容器の体積)/(香辛料同士の間隙に含まれる空気の体積+密閉配管または容器の体積)}
− 焙煎する香辛料を、開放空間に投入する形式の装置で処理する場合(例えば、連続式装置等)
酸素濃度%=(供給される気体の圧力)×(供給される気体の酸素濃度)/(供給される気体の圧力+注入される蒸気の圧力)
過熱水蒸気による処理時間は、3秒以上60秒以下、好ましくは5秒以上30秒以下、より好ましくは7秒以上15秒以下である。
香辛料は、10kg/時間以上200kg/時間以下、好ましくは30kg/時間以上150kg/時間以下、より好ましくは50kg/時間以上100kg/時間以下の処理速度で処理することができる。
上記条件の範囲内において、それぞれの香辛料に応じて、殺菌効果及び香ばしい香りを付与できる条件を適宜決定すればよい。
本発明は、本発明の加工香辛料を含む食品にも関する。本発明の食品は、調味料や加工食品を含む食品全般を含む。調味料としては、例えば、ラーメン、そば及びうどん等の液体・粉末調味料、カレー、シチュー及びハヤシ等のルウ・ソース、ポテトチップス等のスナック食品用調味料、パスタ、焼き肉、ハンバーグ、ステーキ及び照焼き等のソース、ドレッシング等の調味料、七味唐辛子及び五香粉等のスパイスミックス等が挙げられる。加工食品などの食品は、本発明の加工香辛料又は上記調味料を含み、種々の食品や、レトルト食品及びチルド食品などの工業製品を含む。
本発明の食品は、用途に応じて、1つ以上の本発明の加工香辛料を含む。加工香辛料の合計含有量は、用途に応じて任意の値とすることができるが、例えば、麺類等の液体・粉末調味料やスナック食品用調味料、ドレッシング等においては0.01重量%以上90重量%以下、カレー等のルウ・ソースやパスタ等のソース等においては0.01重量%以上20重量%以下とすればよい。
(実施例1)
未粉砕のクミンを、蒸気の圧力0.15MPa・G、過熱度70℃、酸素濃度8.0%の条件下で、処理時間10秒間、処理速度86.5kg/時間にて処理した。装置はロータリーバルブ式過熱水蒸気殺菌装置(株式会社大川原製作所製)を用いた。
(実施例2〜6、比較例1、2)
実施例1から、蒸気の圧力、過熱度及び酸素濃度を表1の通り変更した。
(実施例7〜10)
実施例5から、香辛料を、それぞれフェヌグリーク、コリアンダー、辛子及びフェンネルに変更して処理を行った。
(実施例11)
実施例5から、香辛料を唐辛子に変更した。唐辛子は840μm以上の粒度(目開き840μmオン)となるように粗く砕いて用いた。
(比較例3)
未粉砕のクミンを、蒸気の圧力0.15MPa・G、過熱度100℃、酸素濃度0.7%の条件下で、処理時間約6秒、処理速度500kg/時間にて処理した。装置は気流式殺菌装置(キッコーマン株式会社製)を用いた。
[官能評価]
◎:非常に強い鼻を突き刺すような香ばしい香りがあり、焦げ臭はない
○:強い鼻を突き刺すような香ばしい香りがあり、焦げ臭はない
△:香ばしい香りが弱い、又は焦げ臭があるが許容範囲内である
×:香ばしい香りに乏しい、又は焦げた嫌な香りがあり許容できない
また、得られた加工香辛料の殺菌効果を、一般生菌及び大腸菌群について調べた。
以下の表1に、実施例及び比較例の処理条件及び結果を示す。
ラード33.5gと小麦粉37gを120℃になるまで炒めた。そこにターメリック2g、コリアンダー2g、フェヌグリーク1g、唐辛子1g、および実施例5で処理したクミン2gを加え、3分間炒めた。次に、グラニュー糖6.5g、食塩7.5g、グルタミン酸ナトリウム6.5g、核酸調味料0.7g、カラメル色素0.3g、水600gを加え撹拌し、カレーソースを作った。前記カレーソース200gをレトルトパウチに入れ、120℃で60分間、殺菌処理を行い、レトルトカレーソースを得た。このレトルトカレーソースは、クミンの鼻を突き刺すような香ばしい香りを有していた。
(実施例13)
実施例5で処理したクミン8.4g、花椒25g、唐辛子15g、陳皮20g、ターメリック10g、グルタミン酸ナトリウム30g、コショウ9gを混合し、スパイスミックスを得た。市販の冷凍カレーうどんに2g添加したところ、非常に香ばしい香りと適度な辛味を得ることができた。
Claims (8)
- 未粉砕の香辛料又は840μm以上の粒度を有する香辛料を、0.05MPa・G以上0.30MPa・G未満の蒸気の圧力、4.0%より高く8.0%以下の酸素濃度、及び70℃以上120℃以下の過熱度で過熱水蒸気により処理した加工香辛料。
- 香辛料が、フェヌグリーク、クミン、フェンネル、コリアンダー、辛子、唐辛子、パプリカ、黒胡麻、白胡麻及び麻の実からなる群より選ばれる請求項1に記載の加工香辛料。
- 過熱水蒸気による処理後、さらに粉砕処理した請求項1又は2に記載の加工香辛料。
- 未粉砕の香辛料又は840μm以上の粒度を有する香辛料を、0.05MPa・G以上0.30MPa・G未満の蒸気の圧力、4.0%より高く8.0%以下の酸素濃度、及び70℃以上120℃以下の過熱度で過熱水蒸気により処理する加工香辛料の製造方法。
- 香辛料が、フェヌグリーク、クミン、フェンネル、コリアンダー、辛子、唐辛子、パプリカ、黒胡麻、白胡麻及び麻の実からなる群より選ばれる請求項4に記載の製造方法。
- 過熱水蒸気による処理を、ロータリーバルブ式装置を用いて行う請求項4又は5に記載の製造方法。
- 過熱水蒸気による処理後、さらに粉砕処理する請求項4〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の加工香辛料又は請求項4〜7のいずれか1項に記載の製造方法により得られた加工香辛料を含む食品。
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