JP2022073038A - カレーソース及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ご飯と組み合わせた場合の風味のバランスが改善された、カレーソース及びその製造方法を提供する。【解決手段】黒胡椒と、蒸熱処理した白胡椒と、を含み、ピペリン濃度が3ppm以上であるカレーソース。好ましくは、前記蒸熱処理した白胡椒由来のピペリン濃度が、1~80ppmである。カレーソースの製造方法は、黒胡椒を準備する工程と、白胡椒を蒸熱処理する工程と、黒胡椒と、蒸散処理した白胡椒とを混合する工程と、を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、カレーソース及びその製造方法に関する。
カレーは、広く知られた料理である。カレーには、香辛料が使用される。香辛料により、カレーの味が左右される。
香辛料に関連して、特許文献1(特許第6365931号)には、所定の香辛料を所定の蒸気の圧力、所定の酸素濃度、所定の過熱度で過熱水蒸気により処理した加工香辛料が記載されている。また、特許文献1には、その具体例(実施例12)として、前記の加工香辛料としてクミンを用いてレトルトカレーソースを作成したところ、クミンの鼻を突きさすような香ばしい香りを有していたことが記載されている。
特許第6365931号
本発明者らは、カレーソースと炊飯した米(ご飯)とを組み合わせた、所謂カレーライス等の料理について検討している。このような料理においては、カレーソースの風味とご飯の風味のバランスが重要である。
特許文献1に記載された技術によれば、クミンの鼻を突きさすような香ばしい香りを有するレトルトカレーソースが得られるものの、ご飯と組み合わせた場合の風味のバランスという観点等からは、更なる検討の余地があった。
そこで、本発明の課題は、カレーソースとご飯との風味のバランスを改善することのできる技術を提供することにある。
本発明者らは、所定の香辛料の組み合わせを使用することにより、風味のバランスが改善できることを見出した。すなわち、本発明は、以下の事項を含むものである。
[1]黒胡椒と、蒸熱処理した白胡椒とを含み、ピペリン濃度が3ppm以上である、カレーソース。
[2]前記蒸熱処理した白胡椒由来のピペリン濃度が、1~80ppmである、[1]に記載のカレーソース。
[3]前記蒸熱処理した白胡椒が、飽和水蒸気又は過熱水蒸気により処理された白胡椒である、[1]又は[2]に記載のカレーソース。
[4]前記黒胡椒が、蒸熱処理した黒胡椒である、[1]~[3]のいずれかに記載のカレーソース。
[5]前記黒胡椒由来のピペリン100質量部に対し、前記白胡椒由来のピペリンの量が20~50質量部である、[1]~[4]のいずれかに記載のカレーソース。
[6]更に、唐辛子を含む、[1]~[5]のいずれかに記載のカレーソース。
[7]カプサイシンの含有量が0.5~5.0ppmである、[6]に記載のカレーソース。
[8]前記白胡椒、前記黒胡椒、及び前記唐辛子が、粉粒状である、[6]または[7]に記載のカレーソース。
[9]前記黒胡椒の含有量が0.02~0.7質量%であり、前記白胡椒の含有量が0.01~0.2質量%であり、前記唐辛子の含有量が0.01~0.1質量%である、[6]~[8]のいずれかに記載のカレーソース。
[10]更に、カレーパウダーを含む、[1]~[9]のいずれかに記載のカレーソース。
[11]密閉して加熱処理されたものである、[1]~[10]のいずれかに記載のカレーソース。
[12]炊飯された米と混合されて食されるためのものである、[1]~[11]のいずれかに記載のカレーソース。
[13]黒胡椒を準備する工程と、白胡椒を蒸熱処理する工程と、前記黒胡椒と、前記蒸散処理した白胡椒とを混合する工程と、を含む、カレーソースの製造方法。
本発明によれば、辛味と刺激味が強調された、特有の風味を有し、特に、ご飯と組み合わせた場合の風味のバランス、すなわち、カレーソースの風味とご飯との風味の一体性が改善された、カレーソース及びその製造方法が提供される。
以下に、本発明の一実施形態に係るカレーソースについて説明する。本実施形態に係るカレーソースは、黒胡椒と、蒸熱処理した白胡椒とを含み、ピペリン濃度が3ppm以上である。
ピペリンは、胡椒の辛味成分である。ピペリン濃度が3ppm以上含まれているカレーソースは、比較的辛味の強いカレーソースであると言える。本実施形態によれば、比較的辛味の強いカレーソースにおいて、黒胡椒と、蒸熱処理した白胡椒とを併用することによって、辛味と刺激味が強調された、特有の風味が得られ、ご飯とこのカレーソースとを組み合わせた場合に、カレーソースとご飯の風味が一体に感じられやすくなり、風味のバランスを改善することができる。
(蒸熱処理した白胡椒)
白胡椒は、完熟した胡椒の実の皮を取り除いた香辛料である。
本実施形態では、蒸熱処理した白胡椒が用いられる。蒸熱処理とは、水蒸気により対象物を加熱処理する、所謂蒸す操作のことをいう。蒸熱処理を行うことによって、白胡椒の辛味が緩和され、特有の辛味が得られるようになる。その結果、黒胡椒と組合せることで、カレーソースに、辛味と刺激味が強調された、特有の風味が付与され、ご飯との相性を改善しやすくなる。
蒸熱処理した白胡椒は、粉粒状であることが好ましい。具体的には、未粉砕の白胡椒を蒸熱処理した後、粉砕したもの、あるいは、粉砕後に蒸熱処理したものを用いることが好ましい。
蒸熱処理は、食品加工用の蒸す装置を利用して行うことができ、例えば、水蒸気殺菌装置等として利用されている装置を用いて実施することができる。そのような水蒸気殺菌装置としては、特に限定されるものではないが、例えば、ロータリーバルブ式の装置、及び気流式の装置が挙げられる。過熱水蒸気を熱媒とする装置が好ましい。
ロータリーバルブ式装置は、対象物を投入した個々のセルに直接水蒸気を注入して殺菌する装置で、セルがロータリーバルブ等によりなる装置である。処理するスパイスの体積に対して処理する空間(セルの体積)が小さいため、セル内の空気が水蒸気によって希釈されにくい。また、空気が処理空間外に押し出されにくいいので、蒸気の圧力を設定することにより、酸素濃度を設定しやすい。ロータリーバルブ式装置としては、特許第3724612号公報に記載されているものが挙げられる。
気流式の水蒸気殺菌装置は、殺菌する対象物を水蒸気が流れる配管内に投入し、移送中に殺菌する装置であり、最も基本的な殺菌装置である。気流式の水蒸気殺菌装置としては、特公昭63-050984号公報に記載されているものが挙げられる。
本実施形態においては、白胡椒の所望の辛味が得られる観点から、ロータリーバルブ式装置を用いることが好ましい。
蒸熱処理に用いる水蒸気は、過熱水蒸気であってもよく、飽和水蒸気であってもよい。好ましくは、過熱水蒸気が用いられる。
過熱水蒸気の過熱度は、例えば70℃~120℃、好ましくは80℃~110℃、より好ましくは90℃~110℃である。
過熱水蒸気による処理時間は、例えば、3秒~60秒、好ましくは5秒~30秒、より好ましくは7秒~15秒である。
過熱水蒸気による処理は、好ましくは、加圧下で行われる。蒸気の圧力(ゲージ圧)は、例えば、0.30MPa・G未満、好ましくは0.25MPa・G以下、より好ましくは0.05MPa・G~0.20MPa・Gである。
過熱水蒸気による処理は、酸素存在下で行われることが好ましい。この場合の酸素濃度は、例えば、4.0%~8.0%、好ましくは5.0%~8.0%、より好ましくは5.0~7.0%である。このような酸素濃度下で白胡椒を処理することによって、白胡椒に所望の辛味を付与できる。酸素の供給は香辛料同士の間隙に含まれている酸素を用いてもよいし、予め過熱水蒸気に空気若しくは酸素を混合しておくことにより、酸素を供給してもよい。
カレーソース中の蒸熱処理した白胡椒の含有量は、例えば、0.01~0.2質量%、好ましくは0.01~0.1質量%、より好ましくは0.025~0.06質量%である。
あるいは、胡椒の辛味成分であるピペリンの濃度を基準として、蒸熱処理した白胡椒の含有量が設定されてもよい。すなわち、カレーソース中における蒸熱処理した白胡椒由来のピペリン濃度は、例えば1~80ppm、好ましくは1~50ppm、より好ましくは10~20ppmである。前記白胡椒の含有量の範囲は、一般的に食しやすい辛味の、カレーソースを得る場合のもので、これより辛味が弱いか強いカレーソースを得る場合には、前記範囲を外れた含有量で、白胡椒を用いることができる。
(黒胡椒)
続いて、黒胡椒について説明する。黒胡椒は、熟す前の緑色の胡椒の実を収穫し、乾燥させて黒色に変化させたものである。
黒胡椒としては、粉粒状のもの、蒸熱処理する場合は、その前後に粉砕したものが好ましく用いられる。
黒胡椒については、白胡椒のように蒸熱処理したものでなくてもよい。しかし、好ましくは、黒胡椒も蒸熱処理、特に、過熱水蒸気による処理をされたものであることが好ましい。黒胡椒の蒸熱処理については、白胡椒について説明したのと同様の処理を適用することができる。
カレーソース中の黒胡椒の含有量は、例えば、0.02~0.7質量%、好ましくは0.07~0.6質量%、より好ましくは0.2~0.5質量%である。
カレーソース中において、黒胡椒由来のピペリン100質量部に対する白胡椒由来のピペリンの量は、例えば、20~50質量部、好ましくは33~50質量部であることが望ましい。このような範囲内であれば、黒胡椒と蒸熱処理した白胡椒により、所望の辛味と刺激味が得られ、風味のバランスがより改善される。前記範囲を外れた含有量で、黒胡椒を用いることができる点は、白胡椒の場合と同様である。
(ピペリン濃度)
既述のように、カレーソース中のピペリン濃度(総ピペリン濃度)は、3ppm以上である。ピペリン濃度は、好ましくは10ppm以上、より好ましくは10~240ppm、更に好ましくは20~180ppm、最も好ましくは50~100ppmである。カレーソース中のピペリン濃度は、例えば、高速液体クロマトグラフィによって測定できる。
(他の香辛料)
本実施形態に係るカレーソースには、上述した白胡椒及び黒胡椒に加えて、他の香辛料が含まれていてもよい。
他の香辛料としては、特に限定されるものではないが、例えば、クミン、ターメリック、コリアンダー、フェヌグリーク、唐辛子、オールスパイス、カルダモン、キャラウェー、クローブ、ジンジャー、セロリシード、ナツメグ、バジル、パプリカ、ローレル、花椒、桂皮、白胡椒(蒸熱処理されていないもの)、ケシの実、シナモン、スターアニス、山椒、青のり、陳皮、黒胡麻、白胡麻、麻の実、フェンネル及び辛子等が挙げられる。
本実施形態に係るカレーソースには、香辛料の2種以上の混合物である、カレーパウダーが含まれていてもよい。この場合に、前記の蒸熱処理した白胡椒及び/又は黒胡椒の全部又は一部が、カレーパウダーに含まれていてもよい。前記白胡椒及び黒胡椒が、カレーパウダーとは別に、含まれていることが望ましく、その場合に、白胡椒及び/又は黒胡椒の一部が、カレーパウダーに含まれていてもよい。
香辛料の中でも、カレーパウダーに含まれるものを含めて、クミン、ターメリック、コリアンダー、フェヌグリーク、及び唐辛子が好ましく挙げられ、唐辛子がより好ましく挙げられる。
唐辛子が使用されていることによって、適度な辛味が得られやすくなる。
カレーソース中の唐辛子の含有量は、例えば0.01~0.1質量%、好ましくは、0.03~0.05質量%である。
あるいは、唐辛子の主な辛味成分は、カプサイシンであることから、カプサイシン量に着目して唐辛子の含有量が設定されていてもよい。カレーソース中におけるカプサイシンの含有量は、例えば0.5~5.0ppm、好ましくは0.7~4.0ppm、より好ましくは0.7~3.0ppmである。カレーソース中のカプサイシン濃度は、例えば、高速液体クロマトグラフィによって測定できる。
唐辛子としては、好ましくは、粉粒状のものが用いられる。
(他の成分)
本実施形態に係るカレーソースには、上記の成分の他にも、カレーソースに一般的に使用される他の原料が含まれていてもよい。
他の原料としては、ルウ、調味料、具材、および水等が挙げられる。
ルウとしては、例えば、小麦粉及び/又は澱粉と、食用油脂とを含む原料を常法により加熱処理して得られたものを用いることができる。
調味料としては、特に限定されるものではなく、従来公知の調味料を使用することができる。例えば、エキス類(畜肉エキス、魚介エキス、野菜エキス、酵母エキス)、食塩等の無機塩、糖類、アスコルビン酸、リンゴ酸、クエン酸、脂肪酸等のカルボン酸等の酸、グルタミン酸ナトリウム、グリシン、アラニン等のアミノ酸系調味料、イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム等の核酸系調味料等が挙げられる。
具材は、動物性のものであっても、植物性のものであってもよい。動物性の具材としては、鶏肉、豚肉、牛肉、シーフード等が挙げられる。植物性の具材としては、タマネギ;ジャガイモ、ニンジン、ゴボウ、ダイコン等の根菜類;チェーチ、枝豆等の豆類;レンコン、アスパラ等の茎菜類;ホウレンソウ、ハクサイ、キャベツ等の葉菜類;ナス、トマト、オクラ等の果菜類;ブロッコリー、カリフラワー等の花菜類;ワカメ、ヒジキ、コンブ等の藻類;シメジ、マッシュルーム、マイタケ等のきのこ類;パイナップル、リンゴ等の果実類;及びアーモンド、ゴマ等の種子類が挙げられる。
本実施形態に係るカレーソースは、密閉して加熱処理されたカレーソースであることが好ましく、特に加熱加圧処理(レトルト処理を含む)されたカレーソースであることが好ましい。密閉状態での加熱処理又は加熱加圧処理とは、カレーソースを容器(レトルトパウチ等)に投入して密封した後、加熱処理(必要に応じて加圧する)を行うことをいう。尚、カレーソースは、チルド食品や電子レンジ調理用食品等として提供されてもよい。
本実施形態に係るカレーソースは、通常の方法により製造することができる。例えば、まず、黒胡椒、及び蒸熱処理した白胡椒を準備する。これらを必要に応じてその他の原料と一緒に混合する。この際、必要に応じて加熱処理を施してもよい。その後、パウチ等の容器に密閉充填し、加熱処理を行う。これにより、殺菌等の目的で、加熱処理されたカレーソースを得ることができる。
本実施形態に係るカレーソースは、適度に強調された辛味を有しており、ご飯(より好ましくは炊飯された白米)と組み合わせた場合に、バランスの良い風味が得られる。従って、ご飯と組み合わせられて消費されることが好適である。
以下に、本発明をより詳細に説明するため、本発明者らによって行われた実施例について説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されて解釈されるべきものではない。
白胡椒、黒胡椒、唐辛子、クミンの有無及び含有量が異なる比較例及び実施例に係るレトルトカレーソースを調製した。表1及び表2に、各実施例及び比較例における白胡椒、黒胡椒、唐辛子及びクミンの含有量を示す。尚、表1及び2において、各成分の組成は、レトルトカレーソース100g中におけるg数(すなわち質量%)を意味する。また、ピペリン濃度については、白胡椒由来の濃度、黒胡椒由来の濃度、及び総量を示す。表中の「白/黒」は、「白胡椒由来のピペリン濃度/黒胡椒由来のピペリン濃度」を表す。
具体的には、以下の手順に従って、レトルトカレーソースを調製した。
(比較例1)
ラード5質量部と小麦粉4.5質量部を120℃になるまで炒めた。そこに、ターメリック、コリアンダー、フェヌグリーク、唐辛子、及びクミンを含むカレーパウダー2.2質量部を加え、3分間炒めた。次に、調味料13質量部、水残量(以上合計100質量部)を加え撹拌し、カレーソースを作った。得られたカレーソースをレトルトパウチに入れ、殺菌処理を行い、比較例1に係るレトルトカレーソースを得た。

カレーパウダーには、ロータリーバルブ式の過熱水蒸気殺菌装置を用いて、2~20秒程度、過熱水蒸気処理を行ったクミンが、カレーパウダー100質量部に対して約6.5質量部が含まれるものを用いた。具体的には、前記のクミンとして、蒸気の圧力が0.15MPa・G、過熱度が100℃、酸素濃度が5.7%の条件で、過熱水蒸気処理を行ったものを用いた。
また、カレーパウダーには、約4000ppmのカプサイシンを含む唐辛子が、カレーパウダー100質量部に対して約2.7質量部が含まれるものを用いた。
(実施例1)
カレーパウダーとは別に、香辛料として、黒胡椒0.2質量部及び蒸熱処理した白胡椒0.06質量部を追加した点を除き、比較例1と同様にして、実施例1に係るレトルトカレーソースを得た。
黒胡椒としては、黒胡椒の果実を天日乾燥して粉砕したものを用いた。
白胡椒としては、比較例1におけるクミンと同じ条件で過熱水蒸気により処理した後、粉砕したものを用いた。黒胡椒及び白胡椒としては、それぞれ、約40000ppmのピペリンが含まれるものを用いた。
(実施例2)
黒胡椒として、比較例1のクミンの場合と同じ条件で過熱水蒸気により処理した後、粉砕した黒胡椒を用いた。その他の点は実施例1と同様にして、レトルトカレーソースを得た。
(実施例3)
白胡椒として、果実を、0.245MPa・Gの蒸気圧力で、5~30秒程度、蒸熱処理(飽和水蒸気を使用)をした後、粉砕したものを用いた。蒸熱処理には、気流式装置を用いた。その他の点は実施例1と同様にして、レトルトカレーソースを得た。
(実施例4)
カレーパウダーに、唐辛子を含まなかった点を除き、実施例1と同様にして、レトルトカレーソースを得た。
(実施例5)
カレーパウダーに、過熱水蒸気処理を行ったクミンを含まなかった点を除き、実施例1と同様にして、レトルトカレーソースを得た。
(比較例2)
白胡椒として、果実を、天日乾燥した後、粉砕したものを用いた。すなわち、蒸熱処理は未実施である。その他の点は実施例1と同様にして、比較例2に係るレトルトカレーソースを得た。
(評価)
得られた各カレーソースを温めて、ご飯にかけて食し、10名のパネラーにより官能評価を実施した。評価項目は、「刺激味」及び「カレーソースの風味とご飯との風味の一体性」とし、下記基準に基づき、評価を行った。
(評価基準)
[刺激味の評価基準]
4:ピペリン及びカプサイシンに基づく特有の刺激味(舌にピリッとくる辛味、以下刺激味という)が強く、その風味がよい。
3:刺激味が強いが、5と比べてその風味がやや劣る。
2a:所謂激辛で、刺激味がやや強すぎて、風味が劣る。
2b:刺激味が弱い。
1a:所謂激辛で、2aよりもさらに刺激味が強すぎる。
1b:2bよりもさらに刺激味が弱い。
[カレーソースの風味とご飯との風味の一体性の評価基準]
4:カレーソースの特有の刺激味と、白米を炊いたご飯の風味とが融和し、全体としての風味がさわやかなものであった。カレーソースとご飯の相性が抜群によい。
3:4ほどのバランスの良さはないものの、カレーソースとご飯の相性がよい。
2:カレーソースの刺激味と、ご飯の風味とが、バラバラに感じられ、刺激味だけが強調されて、全体としての風味が不良であった。カレーソースとご飯の相性が悪い。
1:刺激味が強すぎるか、弱すぎて、全体としての風味が、既存の激辛又は普通の辛味のカレーソースと変わらない。
評価結果として、前記の各評価を選択したパネラーの数を表1に示す。
(実施例6、7、8、比較例3、4、5)
黒胡椒及び白胡椒の使用量を表2に記載されるように変更した点を除き、実施例1と同様にして、実施例6、7、8、比較例3、4、5に係るレトルトカレーソースを得た。得られたレトルトカレーソースについて、上記と同様に、官能評価を行った。結果を表2に示す。
(試験結果)
評価結果より、次のことが判った。
(1)実施例1~7は、比較例1に比べて、「刺激味」及び「カレーソースの風味とご飯との風味の一体性」に優れていた。このことから、黒胡椒と、蒸熱処理した白胡椒とを使用し、ピペリン濃度を3ppm以上とすることにより、刺激味が適度に強調され、ご飯と組み合わせた場合の風味のバランスが改善できることが判った。前記の改善効果は、カレーパウダーに、蒸熱処理したクミンを含まない場合にも、達成される(実施例5)。
(2)一方、白胡椒として蒸熱処理を行っていないものを用いた場合には、刺激味が強くなりすぎ、「カレーソースの風味とご飯との風味の一体性」は改善されなかった(比較例2)。
(3)黒胡椒及び蒸熱処理した白胡椒を含むものの、ピペリン濃度が3ppmに満たない場合には、「刺激味」に欠け、「カレーソースの風味とご飯との風味の一体性」も改善されなかった(比較例3)。
(4)黒胡椒を欠く場合には、刺激味が強くなりすぎ、「カレーソースの風味とご飯との風味の一体性」は改善されなかった(比較例4)。蒸熱処理した白胡椒を欠く場合には、同様に刺激味、風味の改善効果は得られなかった(比較例5)。
(5)実施例1~8のうちでも、白胡椒に由来するピペリン濃度が1~50ppmであり、総ピペリン濃度が3~150ppmである実施例1~7では、より風味が改善されていた。
(6)また、唐辛子を、カプサイシン濃度が0.7~3.0ppmになるように含む実施例1~3、5~8では、カプサイシンに基づく特有の刺激味が加わって、より個性のあるカレーソースであった。
Figure 2022073038000001
Figure 2022073038000002

Claims (13)

  1. 黒胡椒と、
    蒸熱処理した白胡椒と、
    を含み、
    ピペリン濃度が3ppm以上である、
    カレーソース。
  2. 前記蒸熱処理した白胡椒由来のピペリン濃度が、1~80ppmである、請求項1に記載のカレーソース。
  3. 前記蒸熱処理した白胡椒が、飽和水蒸気又は過熱水蒸気により処理された白胡椒である、請求項1又は2に記載のカレーソース。
  4. 前記黒胡椒が、蒸熱処理した黒胡椒である、請求項1~3のいずれかに記載のカレーソース。
  5. 前記黒胡椒由来のピペリン100質量部に対し、前記白胡椒由来のピペリンの量が20~50質量部である、請求項1~4のいずれかに記載のカレーソース。
  6. 更に、唐辛子を含む、請求項1~5のいずれかに記載のカレーソース。
  7. カプサイシンの含有量が0.5~5.0ppmである、請求項6に記載のカレーソース。
  8. 前記白胡椒、前記黒胡椒、及び前記唐辛子が、粉粒状である、請求項6または7に記載のカレーソース。
  9. 前記黒胡椒の含有量が0.02~0.7質量%であり、
    前記白胡椒の含有量が0.01~0.2質量%であり、
    前記唐辛子の含有量が0.01~0.1質量%である、
    請求項6~8のいずれかに記載のカレーソース。
  10. 更に、カレーパウダーを含む、請求項1~9のいずれかに記載のカレーソース。
  11. 密閉して加熱処理されたものである、請求項1~10のいずれかに記載のカレーソース。
  12. 炊飯された米と混合されて食されるためのものである、請求項1~11のいずれかに記載のカレーソース。
  13. 黒胡椒を準備する工程と、
    白胡椒を蒸熱処理する工程と、
    前記黒胡椒と、前記蒸散処理した白胡椒とを混合する工程と、
    を含む、カレーソースの製造方法。
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