JP6365573B2 - リチウムイオン二次電池の製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6365573B2
JP6365573B2 JP2016055918A JP2016055918A JP6365573B2 JP 6365573 B2 JP6365573 B2 JP 6365573B2 JP 2016055918 A JP2016055918 A JP 2016055918A JP 2016055918 A JP2016055918 A JP 2016055918A JP 6365573 B2 JP6365573 B2 JP 6365573B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
battery
voltage
lithium ion
ion secondary
secondary battery
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016055918A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017027928A (ja
Inventor
崇資 三浦
崇資 三浦
北吉 雅則
雅則 北吉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to US15/208,196 priority Critical patent/US10770759B2/en
Priority to KR1020160088660A priority patent/KR101900146B1/ko
Priority to DE102016112942.9A priority patent/DE102016112942A1/de
Priority to CN201610559624.6A priority patent/CN106356564B/zh
Publication of JP2017027928A publication Critical patent/JP2017027928A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6365573B2 publication Critical patent/JP6365573B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M10/00Secondary cells; Manufacture thereof
    • H01M10/05Accumulators with non-aqueous electrolyte
    • H01M10/058Construction or manufacture
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M10/00Secondary cells; Manufacture thereof
    • H01M10/42Methods or arrangements for servicing or maintenance of secondary cells or secondary half-cells
    • H01M10/44Methods for charging or discharging
    • H01M10/446Initial charging measures
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/04Processes of manufacture in general
    • H01M4/0438Processes of manufacture in general by electrochemical processing
    • H01M4/044Activating, forming or electrochemical attack of the supporting material
    • H01M4/0445Forming after manufacture of the electrode, e.g. first charge, cycling
    • H01M4/0447Forming after manufacture of the electrode, e.g. first charge, cycling of complete cells or cells stacks
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/36Selection of substances as active materials, active masses, active liquids
    • H01M4/362Composites
    • H01M4/366Composites as layered products
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/36Selection of substances as active materials, active masses, active liquids
    • H01M4/58Selection of substances as active materials, active masses, active liquids of inorganic compounds other than oxides or hydroxides, e.g. sulfides, selenides, tellurides, halogenides or LiCoFy; of polyanionic structures, e.g. phosphates, silicates or borates
    • H01M4/5825Oxygenated metallic salts or polyanionic structures, e.g. borates, phosphates, silicates, olivines
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Composite Materials (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Description

本発明は、正極活物質粒子を含む正極活物質層を有する正極板と、負極板と、フッ素を含む化合物を有する非水電解液とを備えるリチウムイオン二次電池に関する。
従来から、リチウムイオン二次電池(以下、単に電池ともいう)では、正極電位が高電位となるため、正極活物質粒子の粒子表面で非水電解液の非水溶媒が酸化分解され易いことが知られている。非水溶媒が酸化分解されて水素イオンが発生すると、非水電解液がフッ素を含む化合物を有する場合には、水素イオンがフッ素と反応してフッ酸(HF)を生成する場合がある。すると、このフッ酸の作用により、正極活物質粒子中の遷移金属などの金属元素が溶出して、電池容量が少なくなる。このため、このような電池では、充放電サイクル試験を行ったときに、電池容量が大きく低下するという問題がある。
この問題に対し、正極活物質層にリン酸リチウムなどの金属リン酸塩粒子や金属ピロリン酸塩粒子を含ませておく技術が知られている。正極活物質層に金属リン酸塩粒子を含ませておくと、電池を初充電する際に、上述のフッ酸が金属リン酸塩と反応して、正極活物質粒子の粒子表面にフッ素及びリンを含む被膜が形成される。この被膜は、非水電解液が正極活物質に直接接触するのを抑制するので、被膜が形成された後には、正極電位が非水溶媒の酸化分解電位を越えても、非水溶媒が酸化分解されるのを抑制できる。従って、電池に充放電サイクル試験を行った後に、電池容量が低下するのを抑制できる。
例えば、特許文献1には、正極合剤層(正極活物質層)に、リン酸リチウムやリン酸ナトリウムなどの金属リン酸塩粒子を含有させる技術が開示されている。
特開2014−103098号公報
しかしながら、電池の初充電に当たって充電電流を大きくすると、電池抵抗が高くなる傾向があることが判ってきた。フッ素及びリンを含む被膜は抵抗体である。しかるにこの被膜が形成される際に、充電電流が大きいと、非水電解液の酸化分解が過剰に起こり、被膜が厚く形成されるためであると推測される。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、電池に初めて充電を行う工程(初充電工程)において、正極活物質粒子の粒子表面にフッ素及びリンを含む被膜を形成しながらも、電池抵抗を低くできるリチウムイオン二次電池の製造方法を提供するものである。
上記課題を解決するための本発明の一態様は、正極活物質粒子を含む正極活物質層を有する正極と、負極と、フッ素を含有する化合物を含む非水電解液と、を備え、上記正極活物質粒子は、その粒子表面にフッ素及びリンを含む被膜を有するリチウムイオン二次電池の製造方法であって、上記正極活物質層は、金属リン酸塩及び金属ピロリン酸塩の少なくともいずれかの粒子を含み、上記リチウムイオン二次電池に初めて充電する工程は、上記リチウムイオン二次電池を充電して、上記リチウムイオン二次電池の電圧を下部分解域内の第1電圧まで上昇させる第1工程と、上記リチウムイオン二次電池の電圧を上記第1電圧に保持する第2工程と、上記第2工程の後に、上記第1電圧よりも高い第2電圧まで、1Cよりも大きい充電電流で充電を行う第3工程と、を備えるリチウムイオン二次電池の製造方法である。
このリチウムイオン二次電池の製造方法では、初充電工程において、第1工程の後、第2工程で一旦、電池電圧(端子間電圧)を下部分解域内の第1電圧に保持し、即ち、第1電圧の定電圧充電(以下、CV充電とも言う)を行い、その後、第3工程で第2電圧まで充電を行う。
このため、この第2工程においては、電池電圧を第1電圧に保持している間に非水電解液の酸化分解が生じる。しかし、第1電圧を、非水電解液が酸化分解を起こす範囲のうちでも、下部分解域という低い電圧範囲内の電圧としている。このため、非水電解液の酸化分解が徐々にしか起こらず、正極活物質粒子の粒子表面に、フッ素及びリンを含む被膜を薄く形成でき、電池抵抗を低く抑えることができる。
なお、この被膜が各正極活物質粒子の表面上に適切に形成された以降は、電池の電圧が、非水電解液が酸化分解を起こす範囲の大きさであっても、非水電解液の酸化分解が抑制される。生成された被膜が、正極活物質粒子に非水電解液が接触するのを妨げるためと考えられる。
非水電解液の「下部分解域」とは、電池において、非水電解液が酸化分解される下限の電圧である分解下限電圧から、これより0.4V高い電圧までの電圧範囲をいう。例えば、分解下限電圧が4.0Vであった場合、「下部分解域」は、4.0〜4.4Vである。
この範囲内の電圧に保持した場合には、非水電解液の酸化分解が過剰にならないからである。
また、非水電解液の「分解下限電圧」は、非水電解液の「分解下限電位(vs.Li/Li+)」から負極の電位(例えば、黒鉛粒子を用いた負極では、0.2V(vs.Li/Li+))を差し引いた値を指す。
さらに、非水電解液の「分解下限電位(vs.Li/Li+)」は、以下の手法で検知した値である。Pt板からなる作用極,金属リチウムからなる対極及び参照極を有し、電解液として電池に使用する非水電解液を用いた測定用セルを用意する。電気化学測定システム(例えば、ソーラトロン社製)を用いて、この測定用セルについて、作用極の電位を3.0〜5.4V(vs.Li/Li+)の範囲に亘り、1mV/secの割合で上昇及び下降させるCV測定を、2サイクル行う。さらに3サイクル目に作用極の電位を上昇させる際の、正極電位Ep(V(vs.Li/Li+))とそのときに流れる電流I(μA/cm2)との関係を取得する。この関係から、正極電位Ep(V(vs.Li/Li+))と微分値dI/dEpとの関係(グラフ)を得る。微分値dI/dEpが直線的に上昇する部分に重なる近似直線を引き、この近似直線が微分値dI/dEp=0となる、正極電位Epの値を、当該非水電解液の「分解下限電位(vs.Li/Li+)」Epdとする(図6,図7参照)。
また、正極活物質層に含まれる金属リン酸塩の粒子の組成としては、例えば、M3PO4(M:アルカリ金属)で表されるアルカリ金属のリン酸塩や、M3(PO42(M:第2族元素)で表される第2族元素のリン酸塩、或いは、アルカリ金属及び第2族金属の両方の金属を含むリン酸塩が挙げられる。更に、アルカリ金属のリン酸塩としては、例えば、リン酸リチウム(Li3PO4)、リン酸ナトリウム(Na3PO4)、リン酸カリウム(K3PO4)、リン酸ジリチウムナトリウム(Li2NaPO4)などが挙げられる。また、第2族元素のリン酸塩としては、例えば、リン酸マグネシウム(Mg3(PO42)、リン酸カルシウム(Ca3(PO42)などが挙げられる。また、アルカリ金属及び第2族金属の両方の金属を含むリン酸塩としては、例えば、リン酸ナトリウムマグネシウム(MgNaPO4)が挙げられる。またその他に、金属リン酸塩として、例えば、リチウムアルミニウムゲルマニウムリン酸塩(LAGP:Li1.5Al0.5Ge1.5(PO43)のように、アルカリ金属及び第2族元素以外の元素を含む金属リン酸塩も挙げられる。
金属ピロリン酸塩の粒子の組成としては、例えば、M427(M:アルカリ金属)で表されるアルカリ金属のピロリン酸塩や、M227(M:第2族元素)で表される第2族元素のピロリン酸塩が挙げられる。更に、アルカリ金属のピロリン酸塩として、例えば、ピロリン酸リチウム(Li427)、ピロリン酸ナトリウム(Na427)、ピロリン酸カリウム(K427)が挙げられる。また、第2族元素のピロリン酸塩としては、例えば、ピロリン酸マグネシウム(Mg227)、ピロリン酸カルシウム(Ca227)が挙げられる。
「正極活物質粒子」をなす正極活物質としては、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物が挙げられる。リチウム遷移金属複合酸化物としては、例えば、遷移金属としてニッケル(Ni)とコバルト(Co)とマンガン(Mn)とを含むリチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物や、遷移金属としてニッケルとマンガンとを含むリチウムニッケルマンガン系複合酸化物、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、マンガン酸リチウム(LiMn24)が挙げられる。
更に具体的には、正極活物質として、以下の一般式(1)で表される、スピネル型の結晶構造を有するリチウムニッケルマンガン系複合酸化物を用いることができる。
Li(NixyMn2-x-y)O4 ・・・(1)
但し、xは、x>0、好ましくは、0.2≦x≦1.0である。
また、yは、y≧0、好ましくは、0≦y<1.0である。
また、x+y<2.0である。
また、「M」は、Ni,Mn以外の任意の遷移金属元素(例えば、Fe、Co、Cu、Crから選択される1種または2種以上)、または典型金属元素(例えば、Zn、Alから選択される1種または2種以上)である。
なお、正極活物質の結晶構造がスピネル構造を有しているか否かについては、例えばX線構造解析(好ましくは単結晶X線構造解析)によって判別できる。具体的には、CuKα線を使用したX線回折測定によって判別できる。
「フッ素及びリンを含む被膜」には、フッ素及びリンのほか、非水電解液の成分(電解質や非水溶媒、添加剤など)の分解物などが含まれていてもよい。
「正極活物質層」には、正極活物質粒子及び金属リン酸塩及び金属ピロリン酸塩の少なくともいずれか粒子のほか、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラックなどの導電材や、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)などの結着剤を含めることができる。
「負極板」には、負極活物質粒子を含む負極活物質層を負極集電箔上に設けた形態のものが挙げられる。負極活物質粒子としては、例えば、黒鉛などリチウムを挿入・脱離可能な炭素材料からなる粒子が挙げられる。
「非水電解液」の非水溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの有機溶媒が挙げられ、これらを単独で或いは2種以上を混合して用いることができる。フッ素を含む非水溶媒である、フルオロエチレンカーボネート、2,2,2-トリフルオロエチルメチルカーボネートなどを用いることもできる。
また、「非水電解液」に添加する電解質(支持電解質)としては、例えば、フッ素を含む支持電解質であるLiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiSbF6、LiCF3SO3 などが挙げられ、これらを単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、「非水電解液」には、上記の電解質以外の添加物を含ませることもできる。添加物としては、例えば、フッ化物やリチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)が挙げられる。フッ化物としては、例えば、AgF、CoF2、CoF3、CuF、CuF2、FeF2、FeF3、LiF、MnF2、MnF3、SnF2、SnF4、TiF3、TiF4、ZrF4などが挙げられ、これらを単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、非水電解液に含まれる「フッ素を含む化合物」は、LiPF6などのフッ素を含む電解質でもよいし、LiFなどのフッ素を含む添加物でもよいし、フルオロエチレンカーボネートなどのフッ素を含む非水溶媒でも良い。また、非水電解液に含まれるフッ素を含む化合物は、1種のみでもよいし、2種以上含まれていてもよい。
また、1Cの充電電流とは、電池の定格容量を1時間で充電できる充電電流の大きさを指す。
第1工程における電池の充電としては、定電流充電(以下、CC充電ともいう)や定電力充電による充電を採用することができる。あるいは、設定電圧を第1電圧以上とした定電圧充電(CV充電)により、電池電圧が第1電圧になるまで充電することもできる。
第2工程における電池の充電は、第1電圧を保持しながら充電を行う、定電圧充電である。
また、第3工程における電池の充電としては、充電電流を1Cよりも大きい値に設定した定電流充電や、充電電流を1Cよりも大きい値に限定した定電力充電による充電を採用することができる。あるいは、設定電圧を第2電圧よりも高い値とした定電圧充電により、電池電圧が第2電圧になるまで充電することもできる。
上述のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、前記第2工程は、予め定めた保持期間に亘り、前記リチウムイオン二次電池の電圧を前記第1電圧に保持するリチウムイオン二次電池の製造方法とすると良い。
この製造方法では、第2工程で、予め定めた保持期間に亘り、電池の電圧を第1電圧に保持する。このため、正極活物質粒子表面に、保持期間に応じた被膜を確実に形成できる。
さらに上述のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、前記保持期間は、上記保持期間を延ばすことなく前記第2工程を行い、その後、前記第3工程を行って製造した電池の電池抵抗Rnと、上記保持期間に代えて、上記保持期間を1.5倍に延長した延長保持期間に亘り前記第1電圧を保持し、その後、前記第3工程を行って製造した延長保持電池の電池抵抗Reとを比較したとき、Rn=0.98Re〜1.02Reとなる期間であるリチウムイオン二次電池の製造方法とすると良い。
初充電後の電池抵抗は、保持期間が長い程、つまり正極活物質粒子の粒子表面への、フッ素及びリンを含む被膜の形成が進行するにつれて低下するが、やがて抵抗の低下は停止し、保持期間を長くしても電池抵抗は変化しない状態となる。この場合において、電池抵抗RnがRn=0.98Re〜1.02Reになるということは、保持期間(例えば40分)に亘って第1電圧を保持したことにより、正極活物質粒子の粒子表面に、概ねフッ素及びリンを含む被膜が形成されたために、さらに保持期間を1.5倍(例えば60分)に延長しても、さらに形成される被膜がほとんど無いことを示している。つまり、保持期間に亘って第1電圧を保持すれば、延長保持電池の電池抵抗Reに比して、電池抵抗Rnが高々2%以内しか異ならない程に、被膜が十分に形成される。
従って、このような保持期間に亘り第1電圧を保持すれば、フッ素及びリンを含む被膜の形成は概ね完了した状態で、速やかに続く第3工程に移行することができる。即ち、正極活物質粒子の粒子表面に、非水溶媒の酸化分解を防止できる薄い被膜が適切に形成され、かつ電池抵抗の低い電池を製造することができる。
あるいは上述のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、前記保持期間は、上記保持期間を延ばすことなく前記第2工程を行い、その後、前記第3工程を行って製造した電池の電池抵抗Rnと、上記保持期間に代えて、上記保持期間を1.5倍に延長した延長保持期間に亘り前記第1電圧を保持し、その後、前記第3工程を行って製造した延長保持電池の電池抵抗Reとを比較したとき、Rn=0.99Re〜1.01Reとなる期間であるリチウムイオン二次電池の製造方法とすると良い。
この製造方法では、保持期間に亘って第1電圧を保持すれば、延長保持電池の電池抵抗Reに比して、電池抵抗Rnが高々1%以内しか異ならない程に、被膜が十分に形成される。従って、このような保持期間に亘り第1電圧を保持すれば、フッ素及びリンを含む被膜の形成は概ね完了した状態で、速やかに続く第3工程に移行することができる。即ち、正極活物質粒子の粒子表面に、被膜がさらに適切に形成された電池を製造することができる。
上述のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、前記第2工程は、前記リチウムイオン二次電池の充電電流の大きさが、予め定めたカットオフ電流値以下となるまで、前記第1電圧に保持するリチウムイオン二次電池の製造方法とすると良い。
第2工程では、電池の電圧を第1電圧に保持する。しかるに、電池のバラツキにより、正極活物質粒子表面に形成される被膜生成の速度に違いが生じるため、第1電圧に保持する期間を同じにした場合には、正極活物質粒子表面に形成される被膜の厚みなどの状態が異なるものとなり、電池抵抗の大きさにバラツキが生じるなどの差異が生じる。このため、いずれの電池でも適切な厚みの被膜が得られるようにするには、速度の遅い電池に合わせて、保持期間を長めに定める必要があり、個々の電池についてみれば、保持期間が長すぎる場合も生じる。
これに対し、上述の製造方法では、第2工程において、所定の保持期間でなく、充電電流がカットオフ電流値以下となるまで第1電圧を保持するので、電池のバラツキが存在しても、各々の電池について、最短の時間で、正極活物質粒子表面に同様の厚みの被膜を形成することができる。
また、上述のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、前記カットオフ電流値は、前記第1工程の終期における終期電流値の2/5の大きさであるリチウムイオン二次電池の製造方法とすると良い。
第1工程において(所定電流で充電するCC充電などにより)電池の電圧を第1電圧とした後、第2工程でこの第1電圧に保持すると、すなわちCV充電すると、電池に流れる充電電流は、当初、第1工程の終期における終期電流値から急激に減少し、その後、徐々に減少するようになり、さらにその後、0に漸近する(y=1−exのグラフに似た形状の)カーブを描く。第2工程の当初は、電池電圧を第1電圧としたことにより、電解液の酸化分解が次々と起こり、その分解電流として大きな電流が流れる。しかし時間の経過と共に、正極活物質層に含まれる金属リン酸塩等が消費され、被膜が形成されると共に、電解液の酸化分解が抑制されることで充電電流が徐々に減少すると考えられる。
これを踏まえ、前述のように、第2工程におけるカットオフ電流値を、終期電流値の2/5の大きさとすると、正極活物質粒子の粒子表面に形成するフッ素及びリンを含む被膜の大半を第2工程で形成することができ、第2工程をごく短い時間としながら、正極活物質粒子の粒子表面に良好な被膜を形成できる。また、第2工程を設けない場合に比して、電池抵抗を低く(具体的には、例えば、7%程度小さく)することができる。
また、上述のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、前記カットオフ電流値は、前記第1工程の終期における終期電流値の1/5の大きさであるリチウムイオン二次電池の製造方法とすると良い。
上述のように第2工程におけるカットオフ電流値を、終期電流値の1/5の大きさとすると、正極活物質粒子の粒子表面に形成するフッ素及びリンを含む被膜の大半を第2工程で形成することができ、第2工程を短い時間としながら、正極活物質粒子の粒子表面に良好な被膜を形成できる。また、第2工程を設けない場合に比して、電池抵抗を低く(具体的には、例えば、10%程度小さく)することができる。
あるいは、前述のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、前記第1工程の終期における終期電流値が1C以上であり、前記カットオフ電流値は、0.05Cであるリチウムイオン二次電池の製造方法とすると良い。
上述の製造方法では、第1工程の終期電流値が1C以上であるのに対し、カットオフ電流値が、終期電流値に比して十分小さい0.05Cとなるまで第2工程を行う。このように、カットオフ電流値が0.05Cとなるまで第2工程を行えば、これよりもさらにカットオフ電流値を小さくした場合(例えば、カットオフ電流値を0.02Cした場合)と、電池抵抗はほぼ同じとなる。つまり、カットオフ電流値を0.05Cより小さくしても、第2工程の時間が延びる一方、電池抵抗の低下を見込めない。被膜の形成については、充電電流が0.05Cとなった段階で、正極活物質層に含まれるほとんど全量の金属リン酸塩(あるいは金属ピロリン酸塩)が消費されているためであると考えられる。
このように、カットオフ電流値を0.05Cとすると、最も短い時間で、正極活物質粒子の粒子表面に形成するフッ素及びリンを含む被膜のほぼ全量を、第2工程で形成することができる。しかも、良好な被膜を形成でき、第2工程を設けない場合に比して、電池抵抗を低く(具体的には、15%程度小さく)することができる。
さらに、上記のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、前記正極活物質層に含まれる前記金属リン酸塩及び金属ピロリン酸塩の少なくともいずれかの粒子は、平均粒径が1.5μm以下の粒子であるリチウムイオン二次電池の製造方法とすると良い。
この製造方法では、正極活物質層に含まれる、例えばリン酸リチウムなど金属リン酸塩等の粒子の粒径を、平均粒径で1.5μm以下としている。このため、添加量が同じなら粒子数や表面積の総量が増大するため、発生したフッ化水素(フッ酸)との反応が生じやすくなり、短時間で被膜を形成でき、第2工程に掛かる時間、ひいては初充電工程に掛かる時間の短縮に寄与できる。
更に、上記のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、上記リチウムイオン二次電池の作動範囲(SOC=0〜100%)内の少なくとも一部で、前記正極の電位が4.5V(vs.Li/Li+)以上となるリチウムイオン二次電池の製造方法とするのが好ましい。
この製造方法に係るリチウムイオン二次電池は、SOC=0〜100%の範囲内の少なくとも一部で、正極の電位が4.5V(vs.Li/Li+)以上の電位となる。このため、非水電解液(非水溶媒)は正極活物質粒子の粒子表面で酸化分解されて水素イオンを生じ易い。しかも非水電解液は前述したようにフッ素を含有する化合物を含む。このため、水素イオンとフッ素とから、フッ酸を生じ易い。しかるに、この電池の製造方法では、前述のように、初充電工程(第2工程)において、正極活物質粒子の粒子表面にフッ素及びリンを含む被膜を形成しているので、初充電工程を経た後には、非水電解液(非水溶媒)が酸化分解されるのを抑制することができる。
さらに、前述のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、前記第1工程及び第3工程は、3C以上の予め定めた電流値で定電流充電するリチウムイオン二次電池の製造方法とすると良い。
この製造方法では、第1工程及び第3工程を3C以上の電流値でCC充電する。これにより、第1工程に掛かる時間も短くでき、電池に初めて充電する工程(初充電工程)をさらに短時間にできる。
実施形態1,2及び変形形態に係るリチウムイオン二次電池の斜視図である。 実施形態1,2及び変形形態に係るリチウムイオン二次電池を電池横方向及び電池縦方向に沿う平面で切断した縦断面図である。 実施形態1,2及び変形形態に係り、正極板及び負極板をセパレータを介して互いに重ねた状態を示す、電極体の展開図である。 実施形態1,2及び変形形態に係り、正極活物質粒子の断面のうち粒子表面近傍の様子を模式的に示す説明図である。 実施形態1に係り、初充電工程に含まれる各工程の手順を示すフローチャートである。 実施形態1,2及び変形形態に係る電池に用いる非水電解液について、測定用セルを用いて測定した、正極電位Epとそのときに流れる電流Iとの関係を示すグラフである。 正極電位Epと、図6に示すグラフから得た微分値dI/dEpとの関係を示すグラフである。 実施例1,2及び比較例1,2に係る各電池おける第1電圧と電池抵抗比との関係を示すグラフである。 実施例1,2及び比較例1〜3に係る各電池の正極活物質粒子に生成された被膜の厚さを示すグラフである。 実施例4〜13及び比較例4〜7に係る各電池について、保持期間と電池抵抗比との関係を示すグラフである。 金属リン酸塩の平均粒径と、電池抵抗比が1.00となる保持期間との関係を示すグラフである。 実施形態2及び変形形態に係り、初充電工程に含まれる各工程の手順を示すフローチャートである。 実施形態2に係り、初充電工程のうち、第2工程の手順を示すフローチャートである。 実施形態2及び変形形態に係り、初充電工程における充電時間tと電池の端子間電圧Vt及び充電電流Ibとの関係を示すグラフである。 実施形態2及び変形形態に係り、初充電工程のうち第2工程のカットオフ電流値Ibcと電池抵抗比との関係を示すグラフである。 変形形態に係り、初充電工程のうち、第2工程の手順を示すフローチャートである。
以下、本発明の第1の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。図1及び図2に、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池(以下、単に「電池」ともいう)1を示す。また、図3に、この電池1を構成する電極体20の展開図を示す。なお、以下では、電池1の電池厚み方向BH、電池横方向CH及び電池縦方向DHを、図1及び図2に示す方向と定めて説明する。
この電池1は、ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両などに搭載される角型で密閉型のリチウムイオン二次電池である。電池1は、電池ケース10と、この内部に収容された電極体20及び非水電解液40と、電池ケース10に支持された正極端子50及び負極端子51等から構成される。この電池1は、正極端子50と負極端子51との端子間電圧Vt=3.5〜4.9V(SOC=0〜100%)の間で作動させる電池である。また、SOC=0〜100%の範囲では、正極電位Epは、Ep=3.7〜5.0V(vs.Li/Li+)の範囲内を変動し、負極電位Enは、En=0.2〜0.1V(vs.Li/Li+)である。
このうち電池ケース10は、直方体状で金属(本実施形態ではアルミニウム)からなる。この電池ケース10は、上側のみが開口した直方体箱状のケース本体部材11と、このケース本体部材11の開口11hを閉塞する形態で溶接された矩形板状のケース蓋部材13とから構成される。ケース蓋部材13には、電池ケース10の内圧が所定圧力に達した際に破断開弁する安全弁14が設けられている。また、このケース蓋部材13には、電池ケース10の内外を連通する注液孔13hが形成され、封止部材15で気密に封止されている。
また、ケース蓋部材13には、それぞれ内部端子部材53、外部端子部材54及びボルト55により構成される正極端子50及び負極端子51が、樹脂からなる内部絶縁部材57及び外部絶縁部材58を介して固設されている。なお、正極端子50はアルミニウムからなり、負極端子51は銅からなる。電池ケース10内において、正極端子50は、後述する電極体20のうち正極板21の正極集電部21mに接続し導通している。また、負極端子51は、電極体20のうち負極板31の負極集電部31mに接続し導通している。
次に、電極体20について説明する(図2及び図3参照)。この電極体20は、扁平状をなし、電池ケース10内に収容されている。電極体20は、帯状の正極板21と帯状の負極板31とを、帯状の一対のセパレータ39を介して互いに重ねて捲回し、扁平状に圧縮したものである。
正極板21は、帯状のアルミニウム箔からなる正極集電箔22の両主面のうち、幅方向の一部でかつ長手方向に延びる領域上に、正極活物質層23を帯状に設けてなる。正極活物質層23には、後述する正極活物質粒子24、導電材(導電助剤)26、結着剤27及びリン酸リチウム粒子(金属リン酸塩粒子)28が含まれる。本実施形態では、導電材26としてアセチレンブラック(AB)を、結着剤27としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を、金属リン酸塩粒子28としてリン酸リチウム(Li3PO4 )粒子(粉末)を用いている。
なお、正極活物質粒子24と導電材26と結着剤27との配合比は、重量比で89:8:3である。金属リン酸塩粒子28の配合比は、正極活物質粒子24を基準(100重量部)としたとき、3重量部である。また、正極集電箔22のうち、幅方向の片方の端部は、自身の厚み方向に正極活物質層23が存在せず、正極集電箔22が露出した正極集電部21mとなっている。前述の正極端子50は、この正極集電部21mに溶接されている。
正極活物質粒子24は、本実施形態では、リチウム遷移金属複合酸化物、具体的には、スピネル型の結晶構造を有するリチウムニッケルマンガン系複合酸化物の1つであるLiNi0.5Mn1.54からなる粒子である。また、この正極活物質粒子24の粒子表面24nには、フッ素及びリンを含む被膜25が形成されている(図4参照)。また、この被膜25には、フッ素及びリンのほか、非水電解液40の他の成分(電解質及び非水溶媒)の分解物も含まれている。
次に、負極板31について説明する。この負極板31は、帯状の銅箔からなる負極集電箔32の両主面のうち、幅方向の一部でかつ長手方向に延びる領域上に、負極活物質層33を帯状に設けてなる。この負極活物質層33には、負極活物質粒子、結着剤及び増粘剤が含まれる。本実施形態では、負極活物質粒子として 黒鉛粒子を、結着剤として スチレンブタジエンゴム(SBR)を、増粘剤として カルボシキメチルセルロース(CMC)を用いている。また、負極集電箔32のうち、幅方向の片方の端部は、自身の厚み方向に負極活物質層33が存在せず、負極集電箔32が露出した負極集電部31mとなっている。前述の負極端子51は、この負極集電部31mに溶接されている。また、セパレータ39は、樹脂からなる多孔質膜であり、帯状をなす。
次に、非水電解液40について説明する。この非水電解液40は、電池ケース10内に収容されており、非水電解液40の一部は電極体20内に含浸され、残りは余剰液として電池ケース10の底部に溜まっている。この非水電解液40の電解質は、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6 )であり、その濃度は1.0Mである。また、非水電解液40の非水溶媒は、フルオロエチレンカーボネート(FEC)と2,2,2−トリフルオロエチルメチルカーボネートとを、1:1の体積比で混合した混合有機溶媒である。上述 のように、この非水電解液40は、フッ素を含む化合物41として、支持電解質であるLiPF6のほか、非水溶媒であるフルオロエチレンカーボネート(FEC)及び2,2,2−トリフルオロエチルメチルカーボネートを有している。
次いで、上記電池1の製造方法について説明する。まず、正極板21を形成する。具体的には、スピネル構造を有するリチウムニッケルマンガン系複合酸化物であるLiNi0.5Mn1.54からなる正極活物質粒子24を用意する。そして、この正極活物質粒子24と、導電材26(アセチレンブラック)と、結着剤27(ポリフッ化ビニリデン)と、金属リン酸塩粒子28(リン酸リチウム粒子,平均粒径D50=3.0μm)とを、溶媒(本実施形態では、NMP)と共に混練して、正極ペーストを作製する。なお、正極活物質粒子24と導電材26と結着剤27との配合比は、前述のように、重量比で89:8:3であり、さらに、正極活物質粒子24を100重量部としたとき金属リン酸塩粒子28を重量部の割合で添加する。なお、後述するように金属リン酸塩粒子28に平均粒径D50=1.5μmあるいは0.8μmのものを用いる場合には、湿式ビーズミルを用いて、粒径を所望の大きさに整えて用いる。
その後、この正極ペーストを、帯状のアルミニウム箔からなる正極集電箔22の一方の主面に塗布し乾燥させて、正極活物質層23を形成する。更に、正極集電箔22の他方の主面にも正極ペーストを塗布し乾燥させて、正極活物質層23を形成する。その後、これをプレスして、正極板21を得る。
また別途、公知の手法によって負極板31を形成しておく。
次に、正極板21及び負極板31を一対のセパレータ39を介して互いに重ね、巻き芯を用いて捲回する。更に、これを扁平状に圧縮して電極体20を形成する。
また別途、ケース蓋部材13、内部端子部材53、外部端子部材54、ボルト55、内部絶縁部材57及び外部絶縁部材58を用意する。そして、ケース蓋部材13に、内部絶縁部材57及び外部絶縁部材58を介して、それぞれ内部端子部材53、外部端子部材54及びボルト55からなる正極端子50及び負極端子51を固設する。その後、電極体20の正極集電部21m及び負極集電部31mに、ケース蓋部材13と一体化された正極端子50及び負極端子51をそれぞれ溶接する。
次に、ケース本体部材11内に電極体20を収容した後、ケース本体部材11の開口部分にケース蓋部材13を溶接して電池ケース10を形成する。
また別途、非水電解液40を用意する。具体的には、フルオロエチレンカーボネートと2,2,2−トリフルオロエチルメチルカーボネートとを1:1の体積比で混合した混合有機溶媒に、LiPF6を濃度1.0Mとなるように溶解させる。そして、この非水電解液40を、注液孔13hから電池ケース10内に注液し、非水電解液40を電極体20内に含浸させる。その後、注液孔13hを仮封止して、電池1とする。
次に、この電池1に初充電を行う(初充電工程)。この初充電工程では、初充電と共に、正極活物質粒子24の粒子表面24nにフッ素及びリンを含む被膜25を形成する。
具体的には、初充電工程としてまず、図示しないCC−CV充放電装置に電池1を接続し、図5に示すように、この電池1を3.0Cの電流でCC充電して、端子間電圧VtをVt=4.1V(第1電圧Vh)まで上昇させる(第1工程S1)。次いで、端子間電圧Vt=4.1VのCV充電に切り替える。即ち、保持期間Tk=60分に亘り、端子間電圧Vtを第1電圧Vh=4.1Vに保持する(第2工程S2)。さらにその後、3.0Cの定電流で端子間電圧Vtが第2電圧Veに達するまで、具体的には、Vt=Ve=4.9Vに達するまで定電流充電(CC充電)を行う(第3工程S3)。
前述の初充電の際に、具体的には、主として第2工程において端子間電圧Vtを第1電圧Vh=4.1V(正極板21の正極電位Ep=4.3V(vs.Li/Li+)、負極板31の負極電位En=0.2V(vs.Li/Li+))に保持している間に、正極活物質粒子24の粒子表面24nに、フッ素及びリンを含む被膜25が形成される。なお、この時点での正極電位Ep=4.3V(vs.Li/Li+)は、後述するように、分解下限電位Epd=4.2V(vs.Li/Li+)よりも0.1V分だけ高い値となっている。また、保持される端子間電圧である第1電圧Vh=Vt=4.1Vは、分解下限電圧Vtd=4.0Vよりも0.1V高い値となっている。
被膜25が形成されるメカニズムは明確ではないが、以下が考えられる。即ち、正極板21(正極活物質粒子24)の正極電位(酸化還元電位)Epが、後述する分解下限電位Epd以上となった場合、正極活物質粒子24の粒子表面24nでは、表面24nに接触する非水電解液40の非水溶媒(本実施形態では、フルオロエチレンカーボネート(FEC)及び2,2,2−トリフルオロエチルメチルカーボネート)が酸化分解されて水素イオンが発生する。この水素イオンは、非水電解液40中のフッ素を含む化合物41(本実施形態では、支持電解質のLiPF6 、溶媒のフルオロエチレンカーボネート(FEC)、2,2,2−トリフルオロエチルメチルカーボネート)内のフッ酸と反応して、フッ酸(HF)を生成する。このフッ酸は、正極活物質層23に含まれる金属リン酸塩(リン酸リチウム)粒子28と反応して、正極活物質粒子24の粒子表面24nに、フッ素及びリンを含む被膜25が形成されると考えられる。
その後は、この電池について、仮封止を解除し、さらに減圧下で本封止を行う。さらに各種検査を行う。かくして、電池1が完成する。
(分解下限電圧、分解下限電位の測定)
次いで、上述の構成を有する電池1において、正極板21(正極活物質粒子24)の正極電位Epのうち、非水電解液(非水溶媒)40の酸化分解が生ずる最も低い正極電位Epである分解下限電位Epdを、以下のようにして検知する。まず、Pt板からなる作用極、金属リチウムからなる対極及び参照極を有し、電池1に用いた非水電解液40を用いた測定用セルを用意する。ソーラトロン社製の電気化学測定システムを用いて、この測定用セルについて、作用極の電位を3.0〜5.4V(vs.Li/Li+)の範囲に亘り、1mV/secの割合で上昇及び下降させるCV測定を、2サイクル行う。さらに、3サイクル目に作用極の電位を上昇させる際の、正極電位Ep(V(vs.Li/Li+))とそのときに流れる電流I(μA/cm2)との関係を取得する(図6参照)。なお、充電側の電流を+の値とする。この関係から、さらに正極電位Ep(V(vs.Li/Li+))と微分値dI/dEpとの関係を得る(図7)。正極電位Epの上昇と共に微分値dI/dEpが直線的に上昇する部分において、この変化に重なる近似直線Lを引き、この近似直線Lが微分値dI/dEp=0となる正極電位Epの値を、当該非水電解液40の「分解下限電位(vs.Li/Li+)」Epdとする。
上述のようにして電池1に用いる非水電解液40(フルオロエチレンカーボネート(FEC)+2,2,2−トリフルオロエチルメチルカーボネート(1:1)、及び、LiPF6:1.0M)について測定した、正極電位Ep(V(vs.Li/Li+))とそのときに流れる電流I(μA/cm2)との関係を図6に、正極電位Ep(V(vs.Li/Li+))と微分値dI/dEpとの関係を、図7に示す。
図6に示す正極電位Ep対電流Iのグラフによれば、正極電位Ep=3.3〜4.1V(vs.Li/Li+)の範囲では、正極電位Epの増加と共に、直線的に電流Iが増加しているように見える。しかし、正極電位Ep=4.2V(vs.Li/Li+)以上の範囲では、正極電位Epの増加と共に、加速度的に電流Iが増加しているように見える。
そこで、微分値dI/dEpを算出して、正極電位Ep対微分値dI/dEpのグラフを得た(図7参照)。すると、正極電位Ep=4.4〜5.0V(vs.Li/Li+)の範囲で、正極電位Epの増加と共に、微分値dI/dEpが直線的に増加している(即ち、加速度的に(二次関数的に、電位の二乗に比例して)電流Iが増加している)ことが判る。そこで、この微分値dI/dEpが直線的に増加している範囲にフィットする近似直線Lを引く。この近似直線Lが微分値dI/dEp=0となる正極電位Ep(即ち、図7のグラフにおけるX切片)の値は、Ep=4.2V(vs.Li/Li+)である。そこでこの正極電位Ep=4.2V(vs.Li/Li+)を、本実施形態に係る非水電解液40の分解下限電位Epdとする。非水溶媒の酸化分解は、正極電位Epが分解下限電位Epdを超えると、正極電位Epの増加に連れて加速度的(2次関数的)に増加すると考えられるからである。
電池1では、前述したように負極活物質に黒鉛を用いており、負極電位Enは、En=0.2V(vs.Li/Li+)一定である。従って、正極板21が分解下限電位Epd(=4.2V(vs.Li/Li+))となっている状態での、電池1の端子間電圧Vtは、Vt=Ep−En=4.2−0.2=4.0Vとなる。そこでこの値を、電池1における「分解下限電圧」Vtd(=4.0V)とする。
さらに、電池1においては、分解下限電圧Vtdを用いて、非水電解液の「下部分解域」Adを、Ad=Vtd〜Vtd+0.4の範囲と定める。具体的には、下部分解域Ad=4.0〜4.4Vの範囲である(図8参照)。
(実施例1,2及び比較例1〜3)
次いで、本発明の効果を検証するために行った試験およびその結果について説明する。下記の表1に示すように、電池1と同じ正極板21、負極板31、セパレータ39及び非水電解液40を用いた電池を用意し、実施例1,2及び比較例1〜3の5種類の試験条件で試験を行った。従って、各例の電池の正極活物質層23には、この正極活物質層23に含まれる正極活物質粒子24を100重量部としたとき、平均粒径D50=3.0μmのリン酸リチウム粒子(LPO)が3重量部含まれている(表1参照)。
そして、比較例1の電池では、初充電において、下部分解域Ad=4.0〜4.4Vを下回る、端子間電圧Vt=3.8Vまで端子間電圧Vtを上昇させた(第1工程)後、この端子間電圧Vt(第1電圧Vh)=3.8Vを保持期間Tk=60分に亘り保持した(第2工程)。その後、CC充電レート3.0Cの定電流充電を、端子間電圧Vtが第2電圧Ve=4.9Vに達するまで行い(第3工程)、初充電を終えた。比較例1の電池について初充電に掛かった総充電時間は、80分である。
また、実施例1の電池では、初充電において、下部分解域Ad内の、端子間電圧Vt=4.1Vまで端子間電圧Vtを上昇させた(第1工程)後、この端子間電圧Vt(第1電圧Vh)=4.1Vを保持期間Tk=60分に亘り保持した(第2工程)。その後、CC充電レート3.0Cの定電流充電を、端子間電圧Vtが第2電圧Ve=4.9Vに達するまで行い(第3工程)、初充電を終えた。初充電に掛かった総充電時間は、80分である。
実施例2では、実施例1とは、保持する端子間電圧Vtのみ異ならせた。即ち、端子間電圧Vtを、下部分解域Ad内のVt=4.4Vに上昇させ、この端子間電圧Vt(第1電圧Vh)=4.4Vを保持期間Tk=60分に亘り保持し、その後、CC充電レート3.0CでCC充電した。初充電に掛かった総充電時間は、80分である。
比較例2でも、実施例1とは、保持する端子間電圧Vtのみ異ならせた。但し、端子間電圧Vtを、下部分解域Adを上回るVt=4.7Vに上昇させ、この端子間電圧Vt(第1電圧Vh)=4.7Vを保持期間Tk=60分に亘り保持し、その後、CC充電レート3.0CでCC充電した。初充電に掛かった総充電時間は、80分である。
比較例3では、比較例1,2及び実施例1,2と異なり、電圧を保持する第2工程を設けない。即ち、初充電の当初から、CC充電レート3.0Cの定電流充電を、端子間電圧Vtが第2電圧Ve=4.9Vに達するまで行い、初充電を終えた。初充電に掛かった総充電時間は、他よりも短い20分である。
これら比較例1〜3及び実施例1,2の電池について、初充電の完了後、電池抵抗(IV抵抗)を測定した。具体的には、25℃の温度環境下において、各電池をSOC60%に調整し、0.3Cの定電流で10秒間放電を行い、放電前後の電圧変化を測定した。更に、放電電流値のみを1C,3C,5Cの順に増加させる一方、それ以外は上記と同様の条件で放電を行って、10秒間放電前後の電圧変化をそれぞれ測定した。その後、これらのデータを、横軸を放電電流値、縦軸を放電前後の電圧変化とした座標平面にプロットし、最小二乗法により近似直線(一次式)を算出して、その傾きをIV抵抗値として得た。そして、実施例2の電池の電池抵抗(IV抵抗)を基準(=1.00)として、その他の電池の「電池抵抗比」をそれぞれ算出した。その結果を表1及び図8に示す。図8は、各電池おける第1電圧Vhと電池抵抗比との関係を示すグラフである。但し、図8に比較例3の結果は記載していない。
さらに、比較例1〜3及び実施例1,2の電池を分解して正極活物質粒子24を取りだし、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて、正極活物質粒子24の粒子表面24nに形成されている、フッ素及びリンを含む被膜25の厚みを計測した(n=3ヶ)。その結果を表1及び図9に示す。図9は、各電池の正極活物質粒子に生成された被膜の厚さを示すグラフである。
Figure 0006365573
表1及び図8から、保持期間Tkを何れもTk=60分とした場合、第1電圧VhをVh=4.1Vとする(実施例1)と、電池抵抗比が最も低くなることが判る。また、第1電圧VhをVh=4.4V(実施例2)とした場合でも、電池抵抗比は1.05であり、抵抗が5%程度上昇するのみであることが判る。これら実施例1,2では、第2工程での第1電圧Vhを、前述した分解下限電圧Vtd=4.0Vよりも僅かに大きいVh=4.1V、あるいは若干大きいVh=4.4Vとしているため、この第2工程の間に非水電解液40の酸化分解は生じる。しかし、第1電圧Vhを、非水電解液が酸化分解を起こす範囲のうちでも、下部分解域Ad(=4.0〜4.4V)という低い電圧範囲内の電圧としている。このため、非水電解液40の酸化分解が徐々にしか起こらず、正極活物質粒子24の粒子表面24nに、厚すぎるフッ素及びリンを含む被膜25が形成されるのを防止し、電池抵抗を低く抑えることができたと考えられる。この点は、表1及び図9に示す被膜25の厚さttが、実施例1ではtt=10nm、実施例2ではtt=13nmであり、比較例1〜3に比して小さいことからも裏付けられる。
一方、比較例2では、第2工程での第1電圧Vhを、分解下限電圧Vtd=4.0Vよりも遙かに大きい(下部分解域Adを上回る)、Vh=4.7Vとした。このため第2工程の間に、大きな電流が流れ非水電解液40の酸化分解が一時に多量に生じ、正極活物質粒子24の粒子表面24nに、厚すぎるフッ素及びリンを含む被膜25が形成されたことにより、実施例1,2に比して、電池抵抗が高くなったと考えられる。この点は、表1及び図9に示す被膜25の厚さttが、比較例2ではtt=18nmであり、実施例1,2に比して厚くなっていることからも裏付けられる。
なお、比較例3では、第2工程を設けず、当初から充電レート3.0Cの大電流でのCC充電を行ったため、非水電解液40の酸化分解が一時に多量に発生したため、厚い被膜25が形成されたと考えられる。この点は、表1及び図9に示す被膜25の厚さttが、比較例3ではtt=20nmと最も厚くなっていることからも裏付けられる。
また、比較例1では、第2工程での第1電圧Vhを、分解下限電圧Vtd=4.0Vよりも低い(下部分解域Adを下回る)Vh=3.8Vとした。このため第2工程の間に、非水電解液40の酸化分解はほとんど生じず、第2工程では被膜はほとんど生成しなかったと考えられる。但し、その後の第3工程での、充電レート3.0Cという大電流でのCC充電で厚い被膜25が形成されたと考えられる。従って、比較例1は、被膜の生成について見ると、比較例3に似た生成パターンとなっている。この点は、表1及び図9に示す被膜25の厚さttが、比較例1ではtt=18nmであり、実施例1,2に比して厚くなっていることからも裏付けられる。また、電池抵抗が実施例1,2に比して高くなっていることも裏付けられる。
以上から、第2工程での第1電圧Vhを、下は分解下限電圧Vtd=4.0V、上は分解下限電圧Vtd+0.4V(=4.4V)の範囲内、即ち、前述の下部分解域Ad(Vt=4.0〜4.4V)内の電圧とすることで、厚みの薄い被膜25を形成でき、電池抵抗も低くできることが理解できる。
(比較例3〜6,実施例1,3〜13)
次に、正極活物質層に添加した金属リン酸塩(LPO)の平均粒径を異ならせた比較例3〜6,実施例1,3〜13の各電池について、保持期間Tkを異ならせた試験を行って、電池抵抗比を求めた(表2参照)。具体的には、上述した実施例1と同じ、正極活物質層23に平均粒径D50=3.0μmのリン酸リチウム粒子(LPO)を3.00質量%添加した電池を用意し、初充電において、電池の端子間電圧Vtを4.1Vになるまで充電する(第1工程)。その後、第1電圧Vh=4.1Vとして、保持期間Tkを0分,20分,40分,60分,90分とした(第2工程)後、CC充電レート3.0Cの定電流充電を、端子間電圧Vtが第2電圧Ve=4.9Vに達するまで行った(第3工程)。これらを、比較例3,実施例1,3〜5とする。なお、保持期間Tk=0分の例は、前述した比較例3に対応し、保持期間Tk=60分の例は、前述した実施例1に対応している。
また、実施例1等とは異なり、正極活物質層23に平均粒径D50=1.5μmのリン酸リチウム粒子(LPO)を、正極活物質粒子24を基準(100重量部)として、3重量部添加した電池を用意し、初充電において、電池の端子間電圧VtがVt=4.1Vになるまで充電する(第1工程)。その後、端子間電圧Vtを第1電圧Vh=4.1Vとして、保持期間Tkを0分,10分,20分,30分,60分とした(第2工程)後、CC充電レート3.0Cの定電流充電を、端子間電圧Vtが第2電圧Ve=4.9Vに達するまで行った(第3工程)。これらを、比較例4,実施例6〜9とする。
さらに、実施例1等とは異なり、正極活物質層23に平均粒径D50=0.8μmのリン酸リチウム粒子(LPO)を、正極活物質粒子24を基準(100重量部)として、3重量部添加した電池を用意し、初充電において、電池の端子間電圧VtがVt=4.1Vになるまで充電する(第1工程)。その後、端子間電圧Vtを第1電圧Vh=4.1Vとして、保持期間Tkを0分,10分,20分,30分,60分とした(第2工程)後、CC充電レート3.0Cの定電流充電を、端子間電圧Vtが第2電圧Ve=4.9Vに達するまで行った(第3工程)。これらを、比較例5,実施例10〜13とする。
なお、比較例6として、実施例1と同じ電池について、初充電として、当初からCC充電レート0.33Cで、端子間電圧Vtが第2電圧Ve=4.9Vに達するまで、180分に亘り定電流充電を行った。この比較例6の電池は、0.33Cの低い充電レート(充電電流)で充電を行っているので、初充電の途中で、非水電解液40(非水溶媒)の酸化分解が生じても、一時に多量に分解が生じることがない。従って、正極活物質粒子24の粒子表面24nにフッ素及びリンを含む被膜25が徐々に形成されており、厚みの薄い被膜25となっていると考えられ、電池抵抗(IV抵抗)も低い。
これら比較例3〜6,実施例1,3〜13の電池について、初充電の完了後、前述した実施例1等の電池と同様の手法で、電池抵抗(IV抵抗)を測定した。そして、比較例6の電池の電池抵抗(IV抵抗)を基準(=1.00)として、その他の電池の「電池抵抗比」をそれぞれ算出した。その結果を表2及び図10に示す。図10は、各電池における保持期間Tkと電池抵抗比との関係を示すグラフである。但し、図10に比較例6の結果は記載していない。
Figure 0006365573
表2及び図10において、まず、平均粒径D50=3.0μmのリン酸リチウム粒子(LPO)を用いている比較例3,実施例1,3〜5の電池について検討する。表2及び図10から理解できるように、保持期間Tk=0分に相当する比較例3では、電池抵抗比=1.18であり、電池抵抗が高かった。しかし、実施例3,4,1(保持期間Tk=20,40,60分)の電池はいずれも、比較例3に比して、電池抵抗比(電池抵抗)が低くなった。しかも、実施例3,4,1(保持期間Tk=20,40,60分)の電池について比較すると、保持期間Tkが長い電池ほど、電池抵抗比(電池抵抗)が低くなった。その理由は,以下であると考えられる。保持期間Tkが短いと被膜25は生成されるが、その厚みが不十分であり、その後も非水電解液40(非水溶媒)が酸化分解され得る状態で被膜の生成が止まる。このため、第2工程の後、第3工程に移行して、充電レート3.0CのCC充電に切り替えられると、大きな電流により一時に多量に非水溶媒の酸化分解が生じるので、保持期間に生成されていた被膜に加えて、厚く被膜が形成される。このため、保持期間Tkを十分確保した電池(実施例1の電池)に比して抵抗が高くなる。但し、第2工程に予め被膜25を形成した分だけは、第2工程のない比較例3の電池に比して、CC充電時に非水溶媒の酸化分解が抑制される。このため、保持期間Tkの無い電池(比較例3)や短い電池(実施例4に対する実施例3)に比べると電池抵抗が小さくなると考えられる。そして、保持期間Tkを適切に確保できた実施例1(保持期間Tk=60分)の電池では、比較例6と同じ水準まで電池抵抗比(電池抵抗)を低くできた。
一方、実施例5の電池(保持期間Tk=90分)と実施例1の電池(保持期間Tk=60分)に二者を比較すると、保持期間Tkを長くしても、電池抵抗比は変化しない(低下しない)。被膜25が形成されると、それと共に非水溶媒の酸化分解が生じ難くなり、ついには酸化分解しなくなる。すると被膜25が生成されなくなるため、被膜25の厚みの増加が止まり、電池抵抗の増加も無くなるためであると考えられる。従って、保持期間Tkを不必要に長くしても、電池抵抗を低下させる効果は無く、適度の保持期間Tkで第2工程を終了し、第3工程に移行するのが好ましいことが判る。
次いで、平均粒径D50=1.5μmのリン酸リチウム粒子(LPO)を用いている比較例4,実施例6〜9の電池について検討する。これらの電池についても、上述した比較例3,実施例1,3〜5の電池と同様に考えることができる。即ち、保持期間Tk=0分に相当する比較例4では、電池抵抗比=1.12であり、電池抵抗が高かった。しかし、実施例6〜8(保持期間Tk=10,20,30分)の電池はいずれも、比較例4に比して、電池抵抗比(電池抵抗)が低くなった。しかも、実施例6〜8(保持期間Tk=10,20,30分)の電池について比較すると、保持期間Tkが長い電池ほど、電池抵抗比(電池抵抗)が低くなった。そして、実施例8(保持期間Tk=30分)の電池では、比較例6と同じ水準まで電池抵抗比(電池抵抗)を低くできた。一方、実施例9(保持期間Tk=60分)の電池では、実施例8(保持期間Tk=30分)と比較すると、保持期間Tkを長くしても、電池抵抗比は変化しない(低下しない)。
さらに、平均粒径D50=0.8μmのリン酸リチウム粒子(LPO)を用いている比較例5,実施例10〜13の電池について検討する。これらの電池についても、上述した比較例3,実施例1,3〜5及び比較例4,実施例6〜9の電池と同様に考えることができる。即ち、保持期間Tk=0分に相当する比較例5では、電池抵抗比=1.09であり、電池抵抗が高かった。しかし、実施例10〜12(保持期間Tk=10,20,30分)の電池はいずれも、比較例5に比して、電池抵抗比(電池抵抗)が低くなった。しかも、実施例10〜13(保持期間Tk=10,20,30分)の電池を比較すると、保持期間Tkが長い電池ほど、電池抵抗比(電池抵抗)が低くなった。そして、実施例11(保持期間Tk=20分)の電池で、比較例6と同じ水準まで電池抵抗比(電池抵抗)を低くできた。さらに、実施例12(保持期間Tk=30分)の電池では、比較例6よりも電池抵抗比(電池抵抗)を低くできた(電池抵抗比=0.99)。但し、実施例13(保持期間Tk=60分)の電池では、実施例12(保持期間Tk=30分)と比較すると、保持期間Tkを長くしても、電池抵抗比は変化しない(低下しない)。
これらの結果から、第1電圧Vhを保持期間Tkに亘り保持する第2工程を設けることで、第2工程を設けない場合に比して、電池抵抗を低くできることが理解できる。しかも、保持期間Tkを長くすると、電池抵抗を低くできる。但し、保持期間Tkには適切な長さがあり、保持期間Tkを不必要に長くしても、電池抵抗は低下しないので、適切な長さの保持期間Tkで第2工程を終了し、第3工程に移行するのが好ましいことが判る。
以上から、この保持期間Tkとしては、保持期間Tkを延ばすことなく第2工程を行い、その後、第3工程を行って製造した電池の電池抵抗Rnと、保持期間Tkに代えて、保持期間を1.5倍に延長した延長保持期間に亘り第1電圧Vhを保持し、その後、第3工程を行って製造した延長保持電池の電池抵抗Reとを比較したとき、Rn=0.98Re〜1.02Reとなる期間を選択するとよい。このようにして選択した保持期間Tkに亘って第1電圧Vhを保持すれば、保持期間を1.5倍に延ばした延長保持電池の電池抵抗Reと比較して、違いが高々2%以内の電池抵抗Rnとなる被膜25が形成できることになる。従って、このような保持期間Tkに亘り第1電圧Vhを保持すれば、被膜25の形成は概ね完了した状態で、速やかに続く第3工程に移行することができる。即ち、正極活物質粒子24の粒子表面24nに、非水溶媒の酸化分解を防止できる薄い被膜25が適切に形成され、かつ電池抵抗の低い電池を短時間で製造することができる。
具体的には、表2及び図10に倣って、製造しようとする特定形態の電池について、予め保持期間と電池抵抗との関係を取得し、保持期間Tkを或る値とした場合の電池抵抗Rnと、1.5倍に延長した場合の電池抵抗Reとを比較し、電池抵抗Rnが、Rn=0.98Re〜1.02Reとなる保持期間Tkの範囲を探せば良い。例えば、平均粒径D50=3.0μmのリン酸リチウム粒子(LPO)を用いている比較例3,実施例1,3〜5の電池(図10において、■で示す電池)について例示する。保持期間Tk=40分とした電池(実施例4)の電池抵抗Rnは、電池抵抗比で1.02である。一方、保持期間を1.5倍に延長した保持期間Tk=60分の電池(実施例1)の電池抵抗Reは、電池抵抗比で1.00である。従って、実施例4の電池の電池抵抗Rnは、Rn=0.98Re〜1.02Reに含まれる。このことから、平均粒径D50=3.0μmのリン酸リチウム粒子(LPO)を用いている電池(比較例3,実施例1,3〜5)について言えば、保持期間Tk=40分以上とすれば良いことが判る。
さらに保持期間Tkとしては、保持期間Tkを延ばすことなく第2工程を行い、その後、第3工程を行って製造した電池の電池抵抗Rnと、保持期間Tkに代えて、保持期間を1.5倍に延長した延長保持期間に亘り第1電圧Vhを保持し、その後、第3工程を行って製造した延長保持電池の電池抵抗Reとを比較したとき、Rn=0.99Re〜1.01Reとなる期間を選択すると更に好ましい。このようにして選択した保持期間Tkに亘って第1電圧Vhを保持すれば、保持期間を1.5倍に延ばした延長保持電池の電池抵抗Reと比較して、高々1%以内しか異ならない電池抵抗Rnとなる被膜25が形成できることになる。従って、このような保持期間Tkに亘り第1電圧Vhを保持すれば、被膜25の形成は概ね完了した状態で、続く第3工程に移行することができる。即ち、正極活物質粒子24の粒子表面24nに、非水溶媒の酸化分解を防止できる薄い被膜25がさらに適切に形成され、かつ電池抵抗の低い電池を短時間で製造することができる。
この場合には、例えば平均粒径D50=3.0μmのリン酸リチウム粒子(LPO)を用いている電池(比較例3,実施例1,3〜5)について言えば、保持期間Tk=50分以上とすれば良いことが判る。
次いで、正極活物質層23に添加したリン酸リチウム粒子28の平均粒径D50の大きさと、保持期間Tkとの関係について検討する(表2,図11参照)。まず、平均粒径D50=3.0μmのリン酸リチウム粒子28を用いた電池(比較例3,実施例1,3〜5)のうちで、電池抵抗比が1.00(比較例6の電池と同等の電池抵抗)となる電池の保持期間Tkは、実施例1の保持期間Tk=60分である。また、平均粒径D50=1.5μmの粒子28を用いた電池(比較例4,実施例6〜9)では、実施例8の保持期間Tk=30分である。さらに、平均粒径D50=0.8μmの粒子28を用いた電池(比較例5,実施例10〜13)では、実施例11の保持期間Tk=20分である。これらの電池における、粒子28の平均粒径D50と、電池抵抗比が1.00となる保持期間Tkとの関係をグラフ化すると、図11に示すようになる。即ち、初充電を小さな充電レート0.33CでCC充電を行った比較例6の電池と、同等の電池抵抗(電池抵抗比1.00)となるのに要する保持期間Tkの大きさは、リン酸リチウム粒子28の平均粒径D50と高い相関、具体的には線形関係を有しており、粒子28の平均粒径D50が小さいほど、保持期間Tkを短くできる。特に、リン酸リチウム粒子28の平均粒径D50を、D50=1.5μm以下とした場合には、保持期間TkをTk=30分以下とすることができるなど、初充電に掛かる時間の短縮に寄与できる。添加量が同じであるならば、平均粒径D50が小さいほど、リン酸リチウム粒子28の粒子数及び表面積が増大するので、発生したフッ化水素(HF)との反応が生じやすくなり、相対的に短時間で被膜25を形成できたためであると考えられる。
このように、電池1の製造方法では、初充電工程において、第1工程の後、第2工程で一旦、予め定めた保持期間Tkに亘り,端子間電圧Vtを下部分解域Ad内の第1電圧Vhに保持し、その後、第3工程で第2電圧Veに達するまで充電を行う。
このため、この第2工程においては、端子間電圧Vtを第1電圧Vhに保持している間(Vt=Vh)に非水電解液40の酸化分解が生じる。しかし、第1電圧Vhを、非水電解液40が酸化分解を起こす範囲のうちでも、下部分解域Adという低い電圧範囲内の電圧としている。このため、非水電解液40の酸化分解が徐々にしか起こらず、正極活物質粒子24の粒子表面24nに、フッ素及びリンを含む被膜25を薄く形成でき、電池抵抗を低く抑えることができる。
(実施形態2)
次いで、本発明の第2の実施形態について説明する。上述の実施形態1では、電池1の初充電工程のうち、第1工程S1において充電レート3.0CのCC充電を端子間電圧Vtが第1電圧Vhに達するまで(Vt=Vh=4.1V)行った。その後、第2工程S2において、予め定めた保持期間Tkに亘り、CV充電を行い、その後、第3工程S3で充電レート3.0CのCC充電を端子間電圧Vtが第2電圧Veに達するまで(Vt=Ve=4.9V)まで行った。
これに対し、本実施形態2(変形形態も同様)では、電池1の初充電工程の第1工程SA1において、実施形態1と同様に、CC充電を端子間電圧Vtが第1電圧Vhに達するまで(Vt=Vh=4.1V)行った(図12参照)。但し、充電レートを5.0C(充電電流Ib=5.0C)とした点で異なる。また、第3工程SA3も実施形態1と同様に、CC充電を端子間電圧Vtが第2電圧Veに達するまで(Vt=Ve=4.9V)まで行った。但し、充電レートを5.0C(充電電流Ib=5.0C)とした点で異なる。また、第2電圧Ve=4.75Vとした、即ち、端子間電圧VtがVe=4.75Vに達するまでCC充電を行った点で異なる。
さらに、第2工程SA2において、保持期間Tkを定めるのではなく、端子間電圧Vtを第1電圧Vh(=4.1V)に保つCV充電を、電池1を流れる充電電流Ibが、予め定めたカットオフ電流値Ibcになるまで行った点で異なる。なお、本実施形態2では、カットオフ電流値Ibc=0.05Cとした。
そこで以下では、実施形態1と異なる部分を中心に説明し、同様の部分は省略あるいは簡略化する。
本実施形態2においても、実施形態1と同様の電池1を用いた。また、電池1の製造不法についても、次述する初充電工程を除き、実施形態1と同様である。但し、正極活物質層23に添加したリン酸リチウム粒子28として、実施形態1では平均粒径D50がD50=3.0μm(あるいは1.5μmまたは0.8μm)の粒子を用いたが、本実施形態2では、平均粒径D50がD50=1.0μmの粒子を用いた点で異なる。
次いで、本実施形態2に掛かる電池1の製造方法のうち、初充電工程について、図12,〜図15を参照して説明する。初充電工程では、まず、図示しないCC−CV充放電装置に電池1を接続し、図12,図14に示すように、開始時刻t0以降、この電池1を充電レート5.0C(充電電流Ib1=5.0C)の電流でCC充電して、端子間電圧VtをVt=4.1V(第1電圧Vh)まで上昇させる(第1工程SA1)。なお、第1工程の終期(端子間電圧Vt=Vh(=4.1V)となったタイミングである1−2切換時刻t12)における充電電流Ib1(=5.0C)を終期電流値とする。但し、実施形態2における第1工程は、定電流充電であるので、上述のように、終期電流値は、第1工程における充電電流Ib1に等しい。図14に示すように、本実施形態2では、第1工程SA1の期間(t0〜t12)は約1分の長さであり、第1工程SA1におけるCC充電の開始時刻t0の直後に急激に端子間電圧Vtが3V程度まで上昇し、その後、約1分で端子間電圧Vtが第1電圧Vh(=4.1V)に到達する。
次いで、第2工程(SA2)では、端子間電圧Vt=Vh(=4.1V)を維持したまま、充電するCV充電を行う。具体的には、図13に示すように、1−2切換時刻t12以降、ステップSA21において充電電流Ib2を検知し、ステップSA22で、充電電流Ib2がカットオフ電流値Ibc=0.05C以下となったか否かを判定する。ここでNo、即ち、充電電流Ib2が0.05Cよりも大きい(Ib2>0.05C)場合には、ステップSA21に戻る。一方、ステップSA22でYes、即ち、充電電流Ib2が0.05C以下(Ib2≦0.05C)となった場合(このタイミングを2−3切換時刻t23とする)には、図12の第3工程SA3に進む。
本実施形態2では、第2工程SA2の期間(t12〜t23)は、約21分の長さである。第2工程SA2におけるCV充電の開始直後に、充電電流Ib2は、終期電流値Ib1から急激に減少し、その後、徐々に減少するようになり、さらにその後、Ib2=0に漸近する。このカーブの形状は、図14に示すように、y=1−exのグラフに似た形状である。このようになるのは、以下の理由によると考えられる。第2工程SA2の当初は、端子間電圧Vtを下部分解域Ad(4.0〜4.4V)内の第1電圧Vh(=4.1V)としたことにより、非水電解液40の酸化分解が次々と起こり、その分解電流として大きな電流が流れる。しかし時間の経過と共に、正極活物質層23に含まれるリン酸リチウム粒子28が消費され、被膜25が形成されると共に、非水電解液40の酸化分解が抑制されることで、充電電流Ib2が徐々に減少すると考えられる。
続く第3工程SA3では、図12に示すように、この電池1を充電レート5.0C(充電電流Ib3=5.0C)の電流でCC充電して、端子間電圧VtがVt=4.75V(第2電圧Ve)まで上昇したら、初充電工程を終了する(このタイミングを終了時刻t3eとする)。本実施形態2では、第3工程SA3の期間(t23〜t3e)は、約10分の長さである。従って、本実施形態2における初充電工程は、第1工程〜第3工程までの合計約32分(=1+21+10)で終えることができる。
本実施形態2の第2工程SA2では、電池1の端子間電圧Vtを第1電圧Vh(=4.1V)に保持した。しかるに、個々の電池1のバラツキにより、正極活物質粒子24の表面24nに形成される被膜生成の速度に違いが生じる(図4参照)。従って、第1電圧Vhに保持する期間(t12〜t23)を同じにした場合には、即ち、実施形態1のように保持期間Tkを定めた場合には、正極活物質粒子24の表面24nに形成される被膜25の厚みなどの状態が異なるものとなり、電池抵抗の大きさにバラツキが生じるなどの差異が生じる。このため、いずれの電池1でも適切な厚みの被膜25が得られるようにするには、被膜生成速度の遅い電池に合わせて、保持期間Tkを長めに定める必要があり、個々の電池1についてみれば、保持期間Tkが長すぎる場合も生じる。
これに対し、本実施形態2の製造方法では、第2工程SA2において、充電電流Ib2がカットオフ電流値Ibc以下となる(Ib2≦Ibc)まで第1電圧Vhを保持するので、電池1のバラツキが存在しても、各々の電池1について見れば、最短の時間で、正極活物質粒子24の表面24nに同様の厚みの被膜25を形成することができる。このため、多数の電池1について、順に初充電工程を行う場合には、全体として工程の短縮を図りながら、各電池における被膜25の厚みのバラツキ、ひいては電池抵抗のバラツキを抑えることができる。
次いで、各電池1について、初充電工程におけるカットオフ電流値Ibcを、Ibc=2.0C,0.5C,0.1C,0.05C,0.02Cの5水準に変化させて、初充電工程を終えた電池1について、実施形態1と同様にして、電池抵抗(IV抵抗)を測定した。さらに、第2工程SA2を設けなかった場合(要するに、充電レート5.0CのCC充電で電池1を充電した場合)の電池における電池抵抗を基準(=1.00)として、各電池について電池抵抗比Rrを得た(図15参照)。
この図15のグラフによれば、充電レート5.0CのCC充電で初充電工程を行った基準の電池(Rr=1.00)に比して、第2工程を設け、カットオフ電流値Ibcを小さくするほど、電池抵抗比Rrが小さくなることが判る。例えば、Ibc=2.0Cとすると、電池抵抗比Rr=93%であり、電池抵抗を7%程度低くすることができることが判る。また、Ibc=1.0Cとすると、電池抵抗比Rr=90%であり、電池抵抗を10%程度を低くすることができることが判る。また、Ibc=0.5Cとすると、電池抵抗比Rr=88%であり、電池抵抗を12%程度低くすることができることが判る。さらに、また、Ibc=0.05Cとすると、電池抵抗比Rr=84.5%であり、電池抵抗を15%程度低くすることができることが判る。
但し、カットオフ電流値Ibcを0.05Cよりも小さくしても(例えばIbc=0.02Cとしても)、Ibc=0.05Cとした場合に比して、電池抵抗比Rrは低下しない。即ち、カットオフ電流値Ibcを0.05Cよりも小さくしても、電池抵抗をさらに小さくできないことが判る。これは、被膜25の形成については、充電電流IbがIb=0.05Cとなった段階で、正極活物質層23に含まれるほとんど全量のリン酸リチウム粒子28が消費されているためであると考えられる。
このように,本実施形態2の製造方法では、第1工程SA1の終期電流値Ib1が1C以上のIb1=5.0Cであるのに対し、カットオフ電流値Ibcが、この終期電流値Ib1に比して十分小さい(1/100の)Ibc=0.05Cとなるまで第2工程SA2を行う。カットオフ電流値が0.05Cとなるまで第2工程を行えば、これよりもカットオフ電流値を小さくした場合(例えば、カットオフ電流値を0.02Cした場合)と、電池抵抗はほぼ同じとなる。従って、カットオフ電流値IbcをIbc=0.05Cとすると、最も短い時間で、正極活物質粒子24の粒子表面24nに形成するフッ素及びリンを含む被膜25のほぼ全量を、第2工程SA2で形成することができる。しかも、良好な被膜25を形成でき、第2工程SA2を設けない場合に比して、電池抵抗を低く(具体的には、15%程度小さく)することができる。
(変形形態)
上述の実施形態2では、第2工程SA2(ステップSA22)におけるカットオフ電流値IbcをIbc=0.05Cとした。しかし、電池抵抗低下の効果は抑制されるものの、第2工程SA2の期間を短縮するべく、カットオフ電流値Ibcの値を0.05Cよりも大きくすることもできる。即ち、本変形形態は、カットオフ電流値IbcをIbc=2.0Cとする点でのみ、実施形態2と異なり、他は同様である。
本変形形態に係る電池1の製造方法のうち、初充電工程について、図12,図14〜図16を参照して説明する。まず第1工程(SA1)は、実施形態1と同じく、開始時刻t0以降、1−2切換時刻t12まで、この電池1を充電レート5.0C(充電電流Ib1=5.0C)の電流でCC充電して、端子間電圧VtをVt=4.1V(第1電圧Vh)まで上昇させる。終期電流値は充電電流Ib1=5.0Cに等しい。
続く第2工程(SA2a)では、実施形態1,2と同じく、端子間電圧Vt=Vh(=4.1V)を維持したまま、充電するCV充電を行う。具体的には、図16に示すように、1−2切換時刻t12以降、ステップSA21において充電電流Ib2を検知する。次いで、ステップSA22aでは、実施形態2(Ibc=0.05C)よりも大きいカットオフ電流値Ibc=2.0Cを用い、充電電流Ib2がIbc=2.0C以下となったか否かを判定する。ここでNo、即ち、充電電流Ib2が2.0Cよりも大きい(Ib2>2.0C)場合には、ステップSA21に戻る。一方、ステップSA22aでYes、即ち、充電電流Ib2が2.0C以下(Ib2≦2.0C)となった場合(このタイミングを2−3切換時刻t23aとする。図14参照)には、図12の第3工程SA3に進む。
本変形形態における第2工程SA2aの期間(t12〜t23a)は、約1分の長さである。なお、本変形形態の場合には、図14において、t23a〜t23の期間は存在しない。
その後の第3工程SA3では、実施形態2と同じく、図12に示すように、この電池1を充電レート5.0Cの電流でCC充電して、端子間電圧VtがVt=Ve=4.75Vまで上昇したら、初充電工程を終了する。本実施形態2では、第3工程SA3の期間(t23a〜t3e)も、約10分の長さである。
結局、本変形形態の初充電工程は、実施形態2よりも大幅に短い、第1工程〜第3工程までの合計約12分(=1+1+10)で終えることができる。また図15に示したように、カットオフ電流値Ibc=2.0Cとした本変形形態の電池1では、第2工程を設けなかった場合に比して、7%程度、電池抵抗を低くすることができる。
なお、本変形形態では、ステップSA22aで、カットオフ電流値としてIbc=2.0Cを用いたが、例えば、カットオフ電流値としてIbc=1.0Cを用いて、第2工程を行うこともできる。この場合には、第2工程の期間(t12〜t23b)は、約2分の長さである。なお、2−3切換時刻t23bは、充電電流Ib2が1.0C以下(Ib2≦1.0C)となったタイミングである(図14参照)。この場合も、図14におけるt23b〜t23の期間は存在しない。このようにカットオフ電流値Ibc=1.0Cとした場合には、初充電工程(第1工程〜第3工程)を、約13分(=1+2+10)で終えることができる。一方、カットオフ電流値Ibc=1.0Cとしたことで、第2工程を設けなかった場合に比して、10%程度、電池抵抗を低くすることができる。
上述の実施形態2及び変形形態に記載した電池1の製造方法でも、正極活物質層23に含まれるリン酸リチウム粒子28は、平均粒径D50がD50≦1.5μmの粒子を用いた。このため、添加量が同じなら粒子数や表面積の総量が増大するため、発生したフッ酸との反応が生じやすくなり、短時間で被膜25を形成でき、第2工程SA2,SA2aに掛かる時間、ひいては初充電工程に掛かる時間の短縮に寄与できる。
上述の実施形態1,2及び変形形態に記載した製造方法に係る電池1は、いずれもSOC=0〜100%の範囲内の少なくとも一部で、正極電位Epが4.5V(vs.Li/Li+)以上の電位となる。このため、電池1のSOCが高い場合には、非水電解液40は正極活物質粒子24の粒子表面24nで酸化分解されて水素イオンを生じ易い。しかも非水電解液40はフッ素を含有する化合物41を含むため、水素イオンとフッ素とから、フッ酸を生じ易い。しかるに、実施形態1,2及び変形形態に係る電池1の製造方法では、初充電工程のうち第2工程S2,SA2,SA2aにおいて、正極活物質粒子24の粒子表面24nにフッ素及びリンを含む被膜25を形成しているので、初充電工程を経た後には、適切に非水電解液40が酸化分解されるのを抑制することができる。
さらに、実施形態1,2および変形形態に係る製造方法では、第1工程S1,SA1及び第3工程S3,SA3を、3.0Cあるいは5.0Cの電流値Ib1,Ib3でCC充電した。これにより、第1工程及び第3工程に掛かる時間も短くでき、初充電工程をさらに短時間にできる。
なお、実施形態1,2および変形形態のいずれにおいても、第1工程における充電電流Ib1と第3工程における充電電流Ib3とを同じ大きさとした。しかし、例えば、Ib1=3.0C及びIb3=5.0Cとするなど、充電電流Ib1とIb3とを異なる大きさとしても良い。特に、Ib1≦Ib3とするのが好ましい。図14を参照すれば容易に理解できるように、充電電流を大きくすることによる充電時間tの短縮への寄与は、Ib1よりもIb3の方が大きいからである。また、Ib1を小さくすると、第1工程の時間が増加するが、第2工程に移行する前に第1工程で形成される被膜25の量を抑制できる利点もある。
以上において、本発明を実施形態1,2及び変形形態に即して説明したが、本発明は上述の実施形態等に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
例えば、前述の電池1等では、金属リン酸塩粒子としてリン酸リチウム粒子28を用いたが、これに限られない。例えば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の他の金属リン酸塩粒子を正極活物質層に添加してもよい。また、リン酸リチウム粒子28などの金属リン酸塩粒子に代えて、または金属リン酸塩粒子と共に、ピロリン酸リチウム粒子、ピロリン酸ナトリウム粒子、ピロリン酸マグネシウム粒子、ピロリン酸カルシウム粒子等の金属ピロリン酸塩粒子を正極活物質層に添加してもよい。
1 リチウムイオン二次電池(電池)
20 電極体
21 正極板(正極)
22 正極集電箔
23 正極活物質層
24 正極活物質粒子
24n 粒子表面
25 被膜
28 リン酸リチウム粒子(金属リン酸塩の粒子)
31 負極板(負極)
40 非水電解液
41 フッ素を含む化合物
42 金属リン酸塩粒子
Ep 正極電位
En 負極電位
Tk 保持期間
Vt 端子間電圧
Vh 第1電圧
Ad 下部分解域
Epd 分解下限電位
Vtd 分解下限電圧
Ve 第2電圧
S1,SA1 第1工程
S2,SA2 第2工程
S3,SA3 第3工程
Ib,Ib1,Ib2,Ib3 充電電流
Ib1 (第1工程の)終期電流値
Ibc カットオフ電流値

Claims (9)

  1. 正極活物質粒子を含む正極活物質層を有する正極と、
    負極と、
    フッ素を含有する化合物を含む非水電解液と、を備え、
    上記正極活物質粒子は、その粒子表面にフッ素及びリンを含む被膜を有する
    リチウムイオン二次電池の製造方法であって、
    上記正極活物質層は、金属リン酸塩及び金属ピロリン酸塩の少なくともいずれかの粒子を含み、
    上記リチウムイオン二次電池に初めて充電する工程は、
    上記リチウムイオン二次電池を充電して、上記リチウムイオン二次電池の電圧を下部分解域内の第1電圧まで上昇させる第1工程と、
    上記リチウムイオン二次電池の電圧を上記第1電圧に保持する第2工程と、
    上記第2工程の後に、上記第1電圧よりも高い第2電圧まで、1Cよりも大きい充電電流で充電を行う第3工程と、を備える
    リチウムイオン二次電池の製造方法。
  2. 請求項1に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、
    前記第2工程は、
    予め定めた保持期間に亘り、前記リチウムイオン二次電池の電圧を前記第1電圧に保持する
    リチウムイオン二次電池の製造方法。
  3. 請求項2に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、
    前記保持期間は、
    上記保持期間を延ばすことなく前記第2工程を行い、その後、前記第3工程を行って製造した電池の電池抵抗Rnと、
    上記保持期間に代えて、上記保持期間を1.5倍に延長した延長保持期間に亘り前記第1電圧を保持し、その後、前記第3工程を行って製造した延長保持電池の電池抵抗Reとを比較したとき、
    Rn=0.98Re〜1.02Reとなる期間である
    リチウムイオン二次電池の製造方法。
  4. 請求項2に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、
    前記保持期間は、
    上記保持期間を延ばすことなく前記第2工程を行い、その後、前記第3工程を行って製造した電池の電池抵抗Rnと、
    上記保持期間に代えて、上記保持期間を1.5倍に延長した延長保持期間に亘り前記第1電圧を保持し、その後、前記第3工程を行って製造した延長保持電池の電池抵抗Reとを比較したとき、
    Rn=0.99Re〜1.01Reとなる期間である
    リチウムイオン二次電池の製造方法。
  5. 請求項1に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、
    前記第2工程は、
    前記リチウムイオン二次電池の充電電流の大きさが、予め定めたカットオフ電流値以下となるまで、前記第1電圧に保持する
    リチウムイオン二次電池の製造方法。
  6. 請求項5に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、
    前記カットオフ電流値は、前記第1工程の終期における終期電流値の2/5の大きさである
    リチウムイオン二次電池の製造方法。
  7. 請求項5に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、
    前記第1工程の終期における終期電流値が1C以上であり、
    前記カットオフ電流値は、0.05Cである
    リチウムイオン二次電池の製造方法。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、
    前記正極活物質層に含まれる前記金属リン酸塩及び金属ピロリン酸塩の少なくともいずれかの粒子は、
    平均粒径が1.5μm以下の粒子である
    リチウムイオン二次電池の製造方法。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法であって、
    前記第1工程及び第3工程は、
    3C以上の予め定めた電流値で定電流充電する
    リチウムイオン二次電池の製造方法。
JP2016055918A 2015-07-17 2016-03-18 リチウムイオン二次電池の製造方法 Active JP6365573B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US15/208,196 US10770759B2 (en) 2015-07-17 2016-07-12 Method of manufacturing lithium ion secondary battery
KR1020160088660A KR101900146B1 (ko) 2015-07-17 2016-07-13 리튬 이온 이차 전지의 제조 방법
DE102016112942.9A DE102016112942A1 (de) 2015-07-17 2016-07-14 Verfahren zum Herstellen einer Lithium-Ionen-Sekundärbatterie
CN201610559624.6A CN106356564B (zh) 2015-07-17 2016-07-15 生产锂离子二次电池的方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015142906 2015-07-17
JP2015142906 2015-07-17

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017027928A JP2017027928A (ja) 2017-02-02
JP6365573B2 true JP6365573B2 (ja) 2018-08-01

Family

ID=57946794

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016055918A Active JP6365573B2 (ja) 2015-07-17 2016-03-18 リチウムイオン二次電池の製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6365573B2 (ja)
KR (1) KR101900146B1 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6680238B2 (ja) 2017-02-17 2020-04-15 トヨタ自動車株式会社 電極体の製造方法
JP6836717B2 (ja) * 2017-04-12 2021-03-03 トヨタ自動車株式会社 非水電解液二次電池の製造方法
JP6770689B2 (ja) * 2017-04-25 2020-10-21 トヨタ自動車株式会社 非水系二次電池
JP2019121556A (ja) * 2018-01-10 2019-07-22 トヨタ自動車株式会社 リチウムイオン二次電池の初期充電方法
CN111418107B (zh) * 2018-08-09 2023-08-25 株式会社Lg新能源 精确分析电池单体中电极的电解液浸渍程度的方法
JP6996470B2 (ja) * 2018-10-11 2022-01-17 トヨタ自動車株式会社 電池の製造方法
CN112744872A (zh) * 2019-10-30 2021-05-04 北京大学 一种高镍正极材料的液相法磷元素掺杂改性制备方法
JP7320019B2 (ja) * 2021-04-13 2023-08-02 プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社 非水電解液二次電池およびその製造方法
JP7320020B2 (ja) * 2021-04-13 2023-08-02 プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社 非水電解液二次電池およびその製造方法
CN113247969A (zh) * 2021-06-08 2021-08-13 浙江帕瓦新能源股份有限公司 一种金属焦磷酸盐包覆改性镍钴锰三元前驱体的制备方法
CN114784246B (zh) * 2022-04-25 2023-07-28 北京卫蓝新能源科技有限公司 一种正极材料、其制备方法及应用

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4608735B2 (ja) * 2000-05-16 2011-01-12 ソニー株式会社 非水電解質二次電池の充電方法
JP5205424B2 (ja) * 2010-08-06 2013-06-05 株式会社日立製作所 リチウム二次電池用正極材料,リチウム二次電池及びそれを用いた二次電池モジュール
JP2012227035A (ja) * 2011-04-21 2012-11-15 Toyota Motor Corp 非水電解液型二次電池の製造方法
JP5858295B2 (ja) * 2013-08-29 2016-02-10 トヨタ自動車株式会社 非水電解質二次電池
JP2015122264A (ja) * 2013-12-25 2015-07-02 トヨタ自動車株式会社 非水電解液二次電池の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017027928A (ja) 2017-02-02
KR101900146B1 (ko) 2018-09-18
KR20170009767A (ko) 2017-01-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6365573B2 (ja) リチウムイオン二次電池の製造方法
JP5429631B2 (ja) 非水電解質電池
US9966638B2 (en) Manufacturing method for non-aqueous secondary battery
JP6382641B2 (ja) 非水電解質電池及び非水電解質電池の製造方法
KR20160072220A (ko) 비수 전해액 이차 전지
JP6380269B2 (ja) リチウムイオン二次電池の製造方法
CN105322218A (zh) 非水电解质二次电池、其生产方法和非水电解溶液
JP7151714B2 (ja) 非水電解質蓄電素子及び非水電解質蓄電素子の製造方法
KR101786890B1 (ko) 리튬 이온 이차 전지 및 리튬 이온 이차 전지의 제조 방법
US10770759B2 (en) Method of manufacturing lithium ion secondary battery
JP2010231960A (ja) 非水電解質電池
WO2016121350A1 (ja) 非水電解質二次電池用正極及び非水電解質二次電池
KR101890031B1 (ko) 비수 전해액 이차 전지 및 비수 전해액 이차 전지의 제조 방법
WO2013018181A1 (ja) リチウムイオン二次電池
JP7113290B2 (ja) 二次電池の制御方法及び電池システム
CN104051778A (zh) 非水电解质二次电池
JP5159268B2 (ja) 非水電解質電池
JP7137757B2 (ja) 非水電解質蓄電素子
JP5311123B2 (ja) 非水電解質電池
CN114631214A (zh) 非水电解质蓄电元件、其制造方法、以及蓄电装置
JP6323723B2 (ja) 非水電解液二次電池の製造方法および電池組立体
CN113228367A (zh) 非水电解质蓄电元件和非水电解质蓄电元件的制造方法
JP5985272B2 (ja) 非水電解質二次電池
JP6881141B2 (ja) 非水電解質二次電池
JP6110287B2 (ja) 非水電解液二次電池およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170614

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180305

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180313

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180509

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180605

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180618

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6365573

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151