(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る通信システムは、車両内に設置された車両用空調装置1と、車外のサーバ2を備えている。更に通信システムは、車外サーバ2から車両の現在位置における外気温度TAMおよび車両の現在位置における日射量TSを取得して車両用空調装置1に送信する外部通信端末3を備えている。
車両用空調装置1は、車両用空調装置1の室内ユニットを構成する空調ユニット10と、空調ユニット10を制御する制御回路31と、車室内の乗員が操作可能な操作スイッチ群33とを有している。また、空調ユニット10は、車両の車室内に吹き出すための空気を通す通風路を形成する
空調ユニット10の空気流れ最上流側には、外気導入口11aと内気導入口11bを有する内外気切替箱11が配置され、この内外気切替箱11内に内外気切替ドア12が回動自在に設置されている。
この内外気切替ドア12は、外気導入口11aと内気導入口11bとの分岐点に配置され、アクチュエータ12aにより駆動されて、空調ユニット10内の通風路に導入する空気を内気と外気に切り替え、あるいは、内気と外気の混合割合を調整する。
送風機13は内外気切替箱11内に空気を吸い込んで空調ユニット10の下流側に送風するものであり、ブロワモータ14と、その回転軸に連結された遠心式送風ファン15を有している。そして、この送風ファン15の下流にはエバポレータ16とヒーターコア17が設けられている。
エバポレータ16は冷却用熱交換器であって、図示しない車両エンジンにより駆動されるコンプレッサ等と結合されて冷凍サイクルを構成し、その内部の低圧冷媒が空気から吸熱して蒸発することにより空気を冷却する。また、ヒーターコア17は加熱用熱交換器であって、図示しない車両エンジンの冷却水(温水)が内部を循環し、このエンジン冷却水を熱源として空気を加熱する。
ヒーターコア17の上流側には、吹出空気温度調整手段としてのエアミックスドア18が回動自在に設けられ、エアミックスドア18の開度はアクチュエータ18aにより駆動されて調節される。これによって、ヒーターコア17を通過する空気とヒーターコア17をバイパスする空気の割合とが調整され、車室内に吹き出す空気の温度が調整される。
空調ユニット10の最下流には、デフロスタ(DEF)吹出口19を開閉するデフロスタドア20、フェイス(FACE)吹出口21を開閉するフェイスドア22、およびフット(FOOT)吹出口23を開閉するフットドア24が設けられている。
これら各ドア20、22、24は吹出モード切替手段を構成するもので、アクチュエータ25により駆動されて各吹出口19、21、23を開閉することによって各種の吹出モード(フェイスモード、バイレベルモード、フットモード、フットデフモード、デフロスタモード等)が設定される。そして、各吹出モードに応じて開口した吹出口から、温度調整された空気が車室内へ吹き出される。
制御回路31は、ブロワモータ14に印加されるブロワ電圧を調整してモータ回転数を調整することにより、送風量を制御する。なお、その他のアクチュエータ12a、18a、25も、制御回路31からの出力信号に基づいて制御される。
制御回路31は図示しない中央演算処理装置(CPU)、ROM、RAM、スタンバイRAM、I/Oポート、A/D変換部等を有している。
スタンバイRAMは、車両の主電源がオフの場合においてもデータを記憶するRAMであり、車両の主電源がオフであっても車載バッテリーからIGを介さずに直接電力が供給される。なお、車両の主電源オフ時とは、例えば、内燃機関の動力によって走行する車両の場合IGオフ時が該当し、電気モータの動力のみによって走行する車両の場合メインスイッチのオフ時が該当する。
制御回路31には、車室内のダッシュボードに設置された空調操作部33から操作信号が入力される。この空調操作部33には、自動空調制御を実行するか手動空調制御を実行するかを設定するAUTOスイッチ34、内外気吸込モードを手動で切替設定するための内外気切替スイッチ35、吹出モードを手動で切替設定するための吹出モード切替スイッチ36、ファン15の送風量を手動で切替設定するための送風量切替スイッチ37が含まれる。
また、この空調操作部33には、乗員の好みの車室内温度、すなわち設定温度を設定するための温度設定スイッチ38も含まれる。温度設定スイッチ38は、具体的には、設定温度アップスイッチ38aと設定温度ダウンスイッチ38bからなり、設定温度アップスイッチ38aは乗員に1回押されるごとに設定温度を0.5℃上げる信号を出力し、設定温度ダウンスイッチ38bは乗員に1回押されるごとに設定温度を0.5℃下げる信号を出力する。
また、制御回路31には、車室内の空調状態に影響を及ぼす環境条件を検出するセンサからの信号が入力される。具体的には、車室内の空気温度(すなわち内気温度)Trを検出する内気温度センサ39等からの各信号が、制御回路31に入力され、これらは制御回路31においてA/D変換されて読み込まれる。また、温度設定スイッチ38からの信号も制御回路31に入力され、制御回路31においてA/D変換されて読み込まれる。
なお、本実施形態では、車室外かつ車両近傍の空気温度(外気温度)Tamを検出する外気温度センサも、車室内に入射する日射量Tsを検出する日射センサも、車両に搭載されていない。したがって、その分、車両用空調装置1の部品点数が低減される。
また、車両用空調装置1は、車内通信インターフェース40を有している。車内通信インターフェース40は、外部通信端末3と有線または無線で接続し、その接続により、制御回路31と外部通信端末3の通信を可能とするものである。
外部通信端末3は、車両の乗員が携帯して車室内に持ち込んだ携帯通信機(例えば、タブレットPC、スマートホン)であってもよいし、車両に取り付けられた車載通信器であってもよい。外部通信端末3は、上述の車内通信インターフェース40を介して制御回路31と通信すると共に、車両の外部に設置された車外サーバ2と通信する。なお、外部通信端末3は、自機の周囲の気温を検出する気温センサ3xを有している。
車外サーバ2は、複数の地点における現在の日射量および現在の外気温度の情報を収集して配信する装置である。車外サーバ2は、1箇所に設置されたセンターサーバ(PC、ワークステーション等)として実現されていてもよい。あるいは、車外サーバ2は、上記複数の地点(より詳しくは道路沿いの複数の地点)の各々に1個ずつ設けられた複数のビーコンの集合体として実現されていてもよい。後者の場合、それらビーコンの各々は、自位置における日射量および外気温度の情報のみを、自機の周囲の所定範囲(例えば周囲100m)に送信する。
外部通信端末3は、車両の車室内において、車外サーバ2と通信し、車外サーバ2から車両の現在位置における現在の日射量および現在の外気温度の情報を繰り返し(例えば定期的に1分間隔で)受信する。そして、当該情報を受信する度に、受信して直ちに、車内通信インターフェース40を介して制御回路31に当該情報を送信する。
外部通信端末3による車両の現在位置における現在の日射量および現在の外気温度の情報の受信方法としては、種々の方法がある。例えば、車外サーバ2が1箇所に設置されたセンターサーバとして実現されている場合には、外部通信端末3が自機の現在位置を例えば自機に内蔵されているGPS受信機を用いて特定し、特定した現在位置を車外サーバ2に送信する。これにより、車外サーバ2は、送信された現在位置に最も近い地点の現在の日射量および現在の外気温度の情報を選択的に外部通信端末3に送信する。また例えば、車外サーバ2が上記複数のビーコンの集合体として実現されている場合、外部通信端末3から特に現在位置を送信しなくとも、単に、近傍のビーコンから送信される現在の日射量および現在の外気温度を、車両の現在位置における現在の日射量および現在の外気温度の情報とすることができる。
図2に示すように、空調ユニット10は、ダッシュボード内の左右方向中央部に配置されており、内気温センサ39は、ダッシュボードの運転席側に配置されている。
図3は、制御回路31により実行される自動空調制御のメイン処理を表している。制御回路31は、車両用空調装置1の作動スイッチが投入された状態で、AUTOスイッチ34が投入されると、図3のメイン処理を開始する。また制御回路31は、図3のメイン処理の実行中に、AUTOスイッチ34が解除された場合、吹出モードスイッチ36が操作された場合、送風量スイッチ37が操作された場合等に、図3の処理を終了して周知の手動空調制御を行う。
制御回路31は、図3の処理を開始すると、まずステップS20にて各種変数、フラグ等の初期値を設定する。続いてステップS30では、信号入力処理を実行する。図4に、信号入力処理の詳細を示す。信号入力処理では、まずステップS32において、設定温度Tset等の入力を行う。具体的には、空調操作部33の温度設定スイッチ38の状態を入力する。続いてステップS33で、内気温センサ39を用いて内気温度Trの入力を行う。具体的には、内気温センサ39からのセンサ信号に基づいて、内気温度Trを取得する。
続いてステップS34では、外部情報を受信できているか否かを判定する。外部情報は、車外サーバ2から送信される、車両の現在位置における現在の日射量および現在の外気温度の情報である。
上述の通り、外部通信端末3は、車外サーバ2から外部情報を繰り返し(例えば定期的に1分間隔で)受信し、受信する度に、受信して直ちに、車内通信インターフェース40を介して制御回路31に当該情報を送信する。したがって、制御回路31は、繰り返し(例えば定期的に1分間隔で)、その時点における最新の外部情報を受信する。しかし、制御回路31が外部通信端末3から外部情報を受信することに失敗する場合がある。
失敗する場合としては、例えば、外部通信端末3が乗員が有する携帯端末であった場合、そもそも外部通信端末3が車内に持ち込まれていない場合がある。また例えば、外部通信端末3または車内通信インターフェース40が故障してしまう場合がある。また例えば、車両の移動に応じて車外サーバ2と外部通信端末3の通信が一時的に不可能になってしまう場合がある。
これらのような場合において、制御回路31は、外部情報の繰り返し受信における直前の回の受信に失敗していた場合に、ステップS34で外部情報を受信できていないと判定し、直前の回の受信に成功していた場合に、外部情報を受信できていると判定する。
ステップS34で外部情報を受信できていると判定した場合は、ステップS35aに進み、直前に受信した外部情報から、車両の現在位置における現在の外気温度を取得し、これを、車室内に吹き出す空気の目標温度である目標吹出温度TAOを計算するための外気温度Tamとして設定する。周知の通り、目標吹出温度TAOは、車両用空調装置1の熱負荷の指標となる。
続いてステップ36aでは、直前に受信した外部情報から、車両の現在位置における現在の日射量を取得し、これを、目標吹出温度TAOを計算するための日射量Tsとして設定する。なお、日射量Tsは、キロワットの単位で表される日射量を温度に換算した日射温度に該当する。ステップS36aの後、ステップS30を終了してステップS40に進む。
ステップS34で外部情報を受信できていないと判定した場合は、ステップS35bに進み、目標吹出温度TAOを計算するための外気温度Tamに、推定値を設定する。推定値としては、例えば、外部通信端末3を介して車外サーバ2から最後に取得した外部情報中の外気温度(すなわち、外気温度の前回値)を採用してもよい。外気温度が急激に変化することは希なので、前回値を採用することで、推定値の正確性がある程度維持される。ここで、車外サーバ2から最後に取得した外部情報は、繰り返し受信における直前回よりも更に過去の回のうち、最後に受信に成功した回の外部情報である。
あるいは、推定値としては、予め定められた固定値(例えば、15℃)であってもよい。ただし、この固定値は、車両用空調装置1の搭載先の車両の仕向地域(北米、南米か、東南アジアか、ヨーロッパか等)によって異なるように予め定めてもよい。その場合は、固定値は、例えば、仕向地域の平均気温等となるように設定してもよい。
あるいは、車両用空調装置1が起動して以降(または車両の主電源がオンになって以降)一度も外部情報を受信できていない間は、推定値は、直前の車両の主電源オン時に内気温度センサ39が検出した内気温度が大きくなるほど大きくなる値としてもよい。なお、車両の主電源オン時とは、例えば、内燃機関の動力によって走行する車両の場合IGオン時が該当し、電気モータの動力のみによって走行する車両の場合メインスイッチのオン時が該当する。車両の主電源オン時の内気温は、外気温と近い場合が多いので、車両の主電源オン時の内気温で大まかな季節を判断し、それを上記のように外気温に反映させることができる。
続いてステップS36bに進み、目標吹出温度TAOを計算するための日射量Tsに、推定値を設定する。推定値としては、例えば、外部通信端末3を介して車外サーバ2から最後に取得した外部情報中の日射量(すなわち、日射量の前回値)を採用してもよい。前回値を採用することで、推定値の正確性がある程度維持される。あるいは、推定値としては、予め定められた固定値であってもよい。ステップS36bの後、ステップS30を終了してステップS40に進む。
ステップS40では、ステップS30で取得および設定した設定温度Tset、内気温度Tr、外気温度Tam、日射量Tsを用いて、目標吹出温度TAOを以下の式によって算出する。
TAO=Kset×Tset−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×Ts−C
ここで、Kset、Kr、Kam、Ksはそれぞれの重み係数である。KsetはKrよりも大きく、また、KrはKamよりもKsよりも大きく設定されている。KamとKsは、Kam≧Ksの場合もあれば、Ks≧Kamの場合もある。例えば、Ksetを7とし、Tsetを3とし、Kamを1とし、Ksを1以下としてもよい。つまり、自動空調の制御には、設定温度Tsetと内気温度Trの影響が、外気温度Tamと日射量Tsの影響よりも大きい。
このように、制御回路31は、吹出温度TAOを算出するため、内気温度については車両に搭載される内気温度センサを用いて取得する一方、外気温度および日射量については車外サーバ2から取得する。
上述の通り、目標吹出温度TAOの計算に及ぼす、ひいては空調制御に及ぼす内気温度Tr、外気温度Tam、および日射温度Tsの影響は、内気温度Trの影響が主である。つまり、外気温度、日射量は、追加補正のためのパラメータである。
例えば、1日の気温の差や年間を通して気温の差が少ないような地域においては、外気温度が自動空調制御に与える影響(補正の効果)はそれほど大きくないため、内気センサ39のみを使った自動空調制御でも、ユーザの期待する空調を提供できる可能性がある。
したがって、上記のように外気温度および日射量については車外サーバ2から取得することで、自動空調制御のために車両に外気温度センサまたは日射量センサを搭載する必要がなくなる。つまり、簡易的な自動空調が実現する。また、車外サーバ2から外気温度Tamおよび日射量Tsを取得した結果、取得した情報が車載センサから取得する場合に比べて不正確になったとしても、外気温度、日射量は内気温度に比べて重要度が低いので、空調制御に対する悪影響は限定的である。
また、車外サーバ2から外気温度Tamおよび日射量Tsを取得するので、車両内のみで外気温センサも日射量センサも用いずに外気温度および日射量を推定する場合に比べ、外気温度Tamおよび日射量Tsの推定値がより正確になる。したがって、比較的きめ細かな自動空調制御が実現できる。
ステップS40に続いてはステップS50に進み、目標吹出温度TAOに対するエアミックスドア18の開度を、予め制御回路31に記憶された制御マップを参照して決定する。そして、この決定した開度となるようにアクチュエータ18aを制御し、各吹出口19、21、23から車室内へ吹き出される空気の温度を調整する。
続いてステップS60では、標吹出温度TAOに基づいて、ブロワモータ14への印可電圧であるブロワ電圧を、予め制御回路31に記憶された制御マップを参照して決定する。ブロワモータ14への印可電圧が大きいほど、送風ファン15の送風量が大きくなり、車室内へ吹き出される送風量が大きくなる。
続いてステップS70では、内外気切替箱11の切替状態を決める吸込口モード(外気導入モードか内気循環モードか)を決定し、この決定した吸込口モードが実現するように、アクチュエータ12aを制御して内外気切換ドア12を所定位置に駆動する。この吸込口モードも目標吹出温度TAOに基づいて、予め制御回路31に記憶された制御マップを参照して決定する。
続いてステップS80では、吹出口モードを決定し、この演算した吹出口モードとなるように、アクチュエータ25を制御して吹出モード設定用の各ドア20、22、24を所定位置に駆動する。この吹出口モードも、TAOに基づいて、予め制御回路31に記憶された制御マップを参照して決定する。例えば、目標吹出温度TAOが低温域から高温域へと上昇するにつれて吹出口モードをフットモード→バイレベルモード→フェイスモードへと順次切り替えるようになっていてもよい。この場合、夏季は主にフェイスモード、春秋季は主にバイレベルモード、そして冬季は主にフットモードが選択される。
続いてステップS90では、コンプレッサの回転数(rpm)を決定し、決定した回転数が実現するよう、コンプレッサを制御する。このコンプレッサの回転数も、目標吹出温度TAO等に基づいて、予め制御回路31に記憶されている制御マップを参照して決定する。
ステップS90の後は、ステップS30に戻る。なお、ステップS30〜S90のループにおいて、ステップS30は、例えば250msの周期で繰り返し定期的に実行される。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して、図4のステップS33の内気温度入力処理の内容を、図5のように変更したものである。
以下、第1実施形態に対する変更部分のみを説明する。ステップS33の内気温度入力処理においては、まずステップS332で、内気温度センサ39のセンサ出力値の読み込みを試みる。
続いてステップS333では、ステップ332の読み込みの結果に基づいて、内気温度センサ39が正常であるか否かを判定する。正常であるか否かは、例えば、センサ出力値の読み込みに失敗した場合、および、センサ出力値の読み込みに成功したものの、読み込んだセンサ出力値が所定の正常範囲を外れている場合には、正常でないと判定する。そして、センサ出力値の読み込みに成功し、かつ読み込んだセンサ出力値が所定の正常範囲内にある場合に、正常であると判定する。
正常であると判定した場合は、S334aに進み、直前に読み込んだセンサ出力値に応じた内気温度を、目標吹出温度TAOを計算するための内気温度Trとして設定し、ステップS33を終了する。
正常でない(異常である)と判定した場合は、S334bに進み、目標吹出温度TAOを計算するための内気温度Trに、推定値を設定する。推定値としては、所定の固定値でもよいが、例えば、外部通信端末3に内蔵されている気温センサ3xが検出した気温を採用してもよい。
後者の場合、制御回路31は、車内通信インターフェース40を介して、外部通信端末3に対して気温センサ3xが検出した気温を送信するよう要求し、この要求に応じて、外部通信端末3が当該気温を制御回路31に送信する。このようになっていることで、外部通信端末3(例えばスマートホン)に搭載されているセンサを利用して、内気温度センサ39のセンサ出力値が使用できない場合において、固定値に比べて正確性の高い内気温度Trの推定値を取得することができる。
また、推定値としては、例えば、内気温度センサ39から最後に取得した正常範囲内のセンサ出力値を採用してもよい。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1、第2実施形態に対して、以下のような変更を加えたものである。
まず、本実施形態の車両用空調装置1の構成は、内気温度センサ39の位置を除いて第1、第2実施形態と同じである。本実施形態の内気温度センサ39は、図6に示すように、空調ユニット10内の通風路において、内外気切替ドア12および送風ファン15の下流かつエバポレータ16およびヒーターコア17の上流に配置されている。このような位置に内気温度センサ39が配置されていることで、内気温度センサ39は、吸込口モードが内気循環モードとなっている場合は内気温度を検出でき、吸込口モードが外気導入モードとなっている場合は外気温度を検出できる。つまり、本実施形態の内気温度センサ39は、内外気両用センサとして機能する。
また、図3のステップS30における信号入力処理の内容は、図4のものから図7のものに置き換えられる。図4の処理と図7の処理で、同じステップ番号が付されたステップの処理内容は同じである。図7の処理は、図4の処理に対して、ステップS33をステップS33aに置き換え、ステップS35bをステップS35cに置き換えたものである。
ステップS32に続いては、ステップS33aで、後述する図9の追加処理によって算出された最新の内気温度を、目標吹出温度TAOの計算に用いられる内気温度Trとして設定して、ステップS34に進む。
ステップS34で外部情報を受信できていないと判定した場合は、ステップS35cに進み、後述する図9の追加処理によって算出された最新の外気温度を、目標吹出温度TAOの計算に用いられる外気温度Tamとして設定して、ステップS36bに進む。
このように、目標吹出温度TAOの計算に用いられる内気温度Trとしては、追加処理で算出されたものを常に採用する。また、目標吹出温度TAOの計算に用いられる外気温度Tamとしては、外部情報を受信できている場合は最新の外部情報を採用し、外部情報を受信できていない場合は、追加処理で算出されたものを採用する。
また、制御回路31は、第1、第2実施形態では、ステップS70の内外気制御処理において、目標吹出温度TAOに基づいて吸込口モードを決定しているのに対し、本実施形態では、図8に示すような処理を実行する。
図8の処理では、まずステップS71で、第1、第2実施形態と同じ方法で、目標吹出温度TAOに基づいて吸込口モードを決定し、この決定した吸込口モードが実現するように、アクチュエータ12aを制御して内外気切換ドア12を所定位置に駆動する。
続いてステップS72では、同じ吸込口モードの継続時間が時間T1(例えば5分)を超えるか否かを判定し、超えていなければステップS71に戻り、超えていればステップS73に進む。
ステップS73では、吸込口モードを切り替える。具体的には、現在の吸込口モードが外気導入モードなら、内気循環モードが実現するようにアクチュエータ12aを制御して内外気切換ドア12を所定位置に駆動する。また、現在の吸込口モードが内気循環モードなら、外気導入モードが実現するようにアクチュエータ12aを制御して内外気切換ドア12を所定位置に駆動する。
続いてステップS74では、同じ吸込口モードの継続時間が時間T2(例えば15秒)を超えるか否かを判定し、超えていなければステップS74を再度実行し、超えていればステップS71に戻る。なお、時間T2は、時間T1に比べて非常に短い(例えば1/10の)時間として設定される。
このような処理になっていることで、目標吹出温度TAOに基づく吸込口モードの継続時間がT1を超えると(S72)、目標吹出温度TAOに関わらずモードが強制的に切り替わり(S73)、切り替わってから時間T2が経過すると(S74)、目標吹出温度TAOに基づく吸込口モードに戻る(S71)。
これにより、内気温度センサ39は、目標吹出温度TAOに基づく吸込口モードが長時間内気循環モードであり続けても、定期的に外気温度を検出することができる。また、目標吹出温度TAOに基づく吸込口モードが長時間外気導入モードであり続けても、定期的に内気温度を検出することができる。
また、制御回路31は、図3のメイン処理と同時並行的に、図9に示す追加処理を実行するようになっており、この追加処理において、内気温度センサ39のセンサ出力に基づいて内気温度および外気温度を算出するようになっている。既に説明した通り、この追加処理で算出された内気温度は、図7のステップS33aで目標吹出温度TAOを算出するための内気温度Trとして採用される。また、この追加処理で算出された外気温度は、図7のステップS35cで目標吹出温度TAOを算出するための外気温度Tamとして採用される。
制御回路31は、車両の主電源(例えばIG)がオフからオンになったときに、図9の追加処理を開始し、まずステップS110で、主電源がオフになってからオンとなるまでに経過した時間が所定時間T0(例えば2時間)以上であるか否かを判定する。なお、主電源がオフになってからオンとなるまでの経過時間については、例えば、主電源オフ時にその時点の時刻をオフ時刻としてバックアップRAMに記録し、その後の主電源オン時に現在時刻と上記オフ時刻との差を算出し、これを経過時間とする。
所定時間T0以上であると判定した場合は、車室内の温度が車外の温度と同じになっている可能性が高い。したがってこの場合、制御回路31はステップS120に進み、内気温度センサ39のセンサ値に応じた内気温度を算出すると共に、内気温度センサ39のセンサ値に応じた外気温度を算出する。つまり、内気温度も外気温度も同じ値に算出される。
所定時間T0以上でないと判定した場合は、車室内の温度が車外の温度と同じになっておらず、内気温度、外気温度とも、車両の主電源オフ時の値から大きく変化していない可能性が高い。したがってこの場合、制御回路31はステップS130に進み、内気温度センサ39のセンサ値とは無関係に内気温度、外気温度を算出する。具体的には、内気温度として、主電源オフ前に最後に追加処理で算出された(すなわち前回の)内気温度を採用し、外気温度として、主電源オフ前に最後に追加処理で算出された(すなわち前回の)外気温度を採用する。なお、主電源オフ前に最後に追加処理で算出された内気温度、外気温度は、主電源オフ時にバックアップRAMに記録することで、主電源オフ後も保持される。
ステップS120、S130に続いては、ステップS140で、同じ吸込口モードの持続時間が時間T3(例えば12秒)以内であるか否かを判定する。この時間T3は、図8のステップS74で用いた時間T2よりも短い時間として設定される。時間T3以内であると判定した場合は、ステップS145で、内気温度として、最後に追加処理で算出された(すなわち前回の)内気温度を採用し、続いてステップS50で、外気温度として、最後に追加処理で算出された(すなわち前回の)外気温度を採用する。ステップS150の後は、ステップS140に戻る。
このように、吸込口モードの持続時間が時間T3以内の場合に吸込口モードによらずに内気温度も外気温度も前回値を採用するのは、切り替わり直後は空調ユニット10内の通風路の温度が内気温度または外気温度と同じになっていない可能性が高いからである。
ステップS140で時間T3を超えているであると判定した場合、ステップS155に進み、現在の吸込口モードが内気循環モードか否かを判定し、内気循環モードであればステップS160に進み、外気導入モードであればステップS170に進む。
内気循環モードである場合に進むステップS160では、内気温度として、内気温度センサ39のセンサ出力に応じた温度を設定する。続くステップ165では、外気温度として、最後に追加処理で算出された(すなわち前回の)外気温度を採用する。ステップS165の後は、ステップS140に戻る。
外気導入モードである場合に進むステップS170では、内気温度として、最後に追加処理で算出された(すなわち前回の)内気温度を採用する。続くステップS175では、外気温度として、内気温度センサ39のセンサ出力に応じた温度を設定する。ステップS175の後は、ステップS140に戻る。
以上のように、本実施形態では、制御回路31は、図3のメイン処理と図9の追加処理を同時並行的に実行し、メイン処理のステップS30において図7の処理を実行し、メイン処理のステップS70において図8の処理を実行する。上記のような車両用空調装置1の作動事例について説明する。
なお、以下の各事例においては、制御回路31は、図7のステップS33aで、追加処理によって採用された最新の内気温度を、目標吹出温度TAOを算出するための内気温度Trとして設定する。また制御回路31は、外部情報を受信できていない場合は、図7のステップS35cで、追加処理によって採用された最新の外気温度を目標吹出温度TAOを算出するための外気温度Tamとして設定する。しかし、外部情報を受信できている場合は、第1、第2実施形態と同様、ステップS35aで第外部情報に基づいて、目標吹出温度TAOを算出するための外気温度Tamを設定する。
[事例1]内気循環モードが基本となっている場合
まず、事例1として、目標吹出温度TAOに基づいて決められた吸込口モードが、外気導入モードから内気循環モードに変化し、その後内気循環モードが続く事例について説明する。図10が、この事例1における吸込口モードおよび内外気温度の経時変化を示すタイムチャートである。なお、図10における内気温度、外気温度は、追加処理によって採用された内気温度および外気温度である。
まず、制御回路31は、時点t11の直前の期間において、図8の処理で、ステップS71で目標吹出温度TAOに基づく吸込口モード(外気導入モード)を実現させ、ステップS72で継続時間がT1以内であると判定してステップS71に戻る処理を、繰り返す。したがって、実際の吸込口モードは、外気導入モードとなる。
また制御回路31は、時点t11の直前の期間において、図9の追加処理で、以下の処理を繰り返す。まず、ステップS140で継続時間がT3を超えていると判定し、続くステップ155で外気導入モードであると判定する。そして続くステップS170で内気温度として前回値を採用し、続くステップS175で外気温度としてセンサ値(内気温度センサ39のセンサ出力に応じた温度。以下同じ。)を採用し、ステップS140に戻る。
そして、時点t11になると、制御回路31が図8のステップS71で決定する吸込口モード(目標吹出温度TAOに基づく吸込口モード)が、外気導入モードから内気循環モードに変化し、その後も時点t16以降まで、内気循環モードに維持されるとする。
その場合、時点t11から時間T1の間は、制御回路31は、ステップS71で目標吹出温度TAOに基づく吸込口モード(内気循環モード)を実現させ、ステップS72で継続時間がT1以内であると判定してステップS71に戻る処理を、繰り返す。したがって、時点t11から時間T1の間は、実際の吸込口モードが内気循環モードとなる。
また、時点t11から時間T3の間は、制御回路31は、追加処理において以下の処理を繰り返す。まず、ステップS140で継続時間がT3以内であると判定し、続くステップ145で内気温度として前回値を採用し、続くステップS150で外気温度として前回値を採用し、ステップS140に戻る。
したがって、時点t11から時間T3の間は、追加処理において、内気温度として前回値が採用され、外気温度として前回値が採用される。このように、実際の吸込口モードが内気循環モードであるにもかかわらず内気温度として前回値が採用される。これは、吸込口モードが内気循環モードに切り替わってから時間があまり経っていないので、通風路の内気温度センサ39の位置の温度が内気温度と同じになっていない可能性が高いからである。
時点t11から時間T3が経過して時点t12になると、制御回路31は追加処理のステップS140で、持続時間がT3を超えていると判定してステップS155に進むようになる。時点t12以降も、実際の吸込口モードが内気循環モードなので、ステップS155からはステップS160に進んで内気温度としてセンサ値を採用し、続くステップS165で外気温度として前回値を採用し、ステップS140に戻る。
ステップS140、S155、S160、S165の繰り返しは、時点t12後も、時点t13まで継続される。したがって、時点t12から時点t13までは、追加処理において、内気温度としてセンサ値が採用され、外気温度として前回値が採用される。このように、実際の吸込口モードが内気循環モードに切り替わってから十分な時間が経過した場合は、通風路の内気温度センサ39の位置の温度が内気温度と同じになっている可能性が高いので、内気温度としてセンサ値が採用される。
その後、時点t11から時間T1が経過して時点t13になると、制御回路31は図8のステップS72で、継続時間がT1以上であると判定し、ステップS73で吸込口モードを内気循環モードから外気導入モードに切り替える。その後は、時点t13から時間T2が経過するまでは、ステップS74で継続時間がT2以下であると判定し続ける。このようになっていることで、時点t13から時間T2が経過するまでは、目標吹出温度TAOに基づく吸込口モードは内気循環モードであるにもかかわらず、実際の吸込口モードは一時的に外気導入モードとなる。
また制御回路31は、時点t13で吸込口モードが外気導入モードに切り替わった後、時間T3が経過するまで、追加処理において以下の処理を繰り返す。まず、ステップS140で継続時間がT3以内であると判定し、続くステップ145で内気温度として前回値を採用し、続くステップS150で外気温度として前回値を採用し、ステップS140に戻る。したがって、時点t13から時間T3の間は、追加処理において、内気温度として前回値が採用され、外気温度として前回値が採用される。
時点t13から時間T3(時間T2よりも短い)が経過して時点t14になると、制御回路31は追加処理のステップS140で、持続時間がT3を超えていると判定してステップS155に進むようになる。時点t14以降も、実際の吸込口モードが外気導入モードなので、ステップS155からはステップS170に進んで内気温度として前回値を採用し、続くステップS165で外気温度としてセンサ値を採用し、ステップS140に戻る。
ステップS140、S155、S170、S175の繰り返しは、時点t14後も、実際の吸込口モードが切り替わる時点t15まで継続される。したがって、時点t14から時点t15までは、追加処理において、内気温度として前回値が採用され、外気温度としてセンサ値が採用される。このように、実際の吸込口モードが外気導入モードに切り替わってから十分な時間が経過した後に、内気温度センサ39で一時的に外気温度を検出することができる。したがって、時点t15以降で外気温度として前回値を採用する場合でも、その前回値は少し前の時点の実際の外気温度の検出値となる。
時点t14の後、時点t13から時間T2が経過して時点t15になると、制御回路31は、図8のステップS74で継続時間がT2以上になったと判定してステップS71に戻り、目標吹出温度TAOに基づいた吸込口モードを実現する。この結果、時点t15で、実際の吸込口モードが目標吹出温度TAOに基づく吸込口モードと同じ内気循環モードに戻る。そして、時点t15から時間T1の間は、制御回路31は、ステップS71で目標吹出温度TAOに基づく吸込口モード(内気循環モード)を実現させ、ステップS72で継続時間がT1以内であると判定してステップS71に戻る処理を、繰り返す。したがって、時点t15から時間T1の間は、実際の吸込口モードが内気循環モードとなる。
また、時点t15から時間T3の間は、制御回路31は、追加処理において以下の処理を繰り返す。まず、ステップS140で継続時間がT3以内であると判定し、続くステップ145で内気温度として前回値を採用し、続くステップS150で外気温度として前回値を採用し、ステップS140に戻る。したがって、時点t15から時間T3の間は、追加処理において、内気温度として前回値が採用され、外気温度として前回値が採用される。
時点t15から時間T3が経過して時点t16になると、制御回路31は追加処理のステップS140で、持続時間がT3を超えていると判定してステップS155に進むようになる。時点t16以降も、実際の吸込口モードが内気循環モードなので、ステップS155からはステップS160に進んで内気温度としてセンサ値を採用し、続くステップS165で外気温度として前回値を採用し、ステップS140に戻る。ステップS140、S155、S160、S165の繰り返しは、時点t16の後も、実際の吸込口モードが切り替わるまで継続される。したがって、時点t16以降は、追加処理において、内気温度としてセンサ値が採用され、外気温度として前回値が採用される。
[事例2]外気導入モードが基本となっている場合
次に、事例2として、目標吹出温度TAOに基づいて決められた吸込口モードが、内気循環モードから外気導入モードに変化し、その後外気導入モードが続く事例について説明する。図11が、この事例2における吸込口モードおよび内外気温度の経時変化を示すタイムチャートである。なお、図11における内気温度、外気温度は、追加処理によって採用された内気温度および外気温度を表している。
まず、制御回路31は、時点t21の直前の期間において、図8の処理で、ステップS71で目標吹出温度TAOに基づく吸込口モード(内気循環モード)を実現させ、ステップS72で継続時間がT1以内であると判定してステップS71に戻る処理を、繰り返す。したがって、実際の吸込口モードは、内気循環モードとなる。
また制御回路31は、時点t21の直前の期間において、図9の追加処理で、以下の処理を繰り返す。まず、ステップS140で継続時間がT3を超えていると判定し、続くステップ155で内気循環モードであると判定する。そして続くステップS160で内気温度としてセンサ値を採用し、続くステップS165で外気温度として前回値を採用し、ステップS140に戻る。
そして、時点t21になると、制御回路31が図8のステップS71で決定する吸込口モード(目標吹出温度TAOに基づく吸込口モード)が、内気循環モードから外気導入モードに変化し、その後も時点t16以降まで、外気導入モードに維持されるとする。
その場合、時点t21から時間T1の間は、制御回路31は、ステップS71で目標吹出温度TAOに基づく吸込口モード(外気導入モード)を実現させ、ステップS72で継続時間がT1以内であると判定してステップS71に戻る処理を、繰り返す。したがって、時点t21から時間T1の間は、実際の吸込口モードが外気導入モードとなる。
また、時点t21から時間T3の間は、制御回路31は、追加処理において以下の処理を繰り返す。まず、ステップS140で継続時間がT3以内であると判定し、続くステップ145で内気温度として前回値を採用し、続くステップS150で外気温度として前回値を採用し、ステップS140に戻る。したがって、時点t21から時間T3の間は、追加処理において、内気温度として前回値が採用され、外気温度として前回値が採用される。
時点t21から時間T3が経過して時点t22になると、制御回路31は追加処理のステップS140で、持続時間がT3を超えていると判定してステップS155に進むようになる。時点t22以降も、実際の吸込口モードが外気導入モードなので、ステップS155からはステップS170に進んで内気温度として前回値を採用し、続くステップS175で外気温度としてセンサ値を採用し、ステップS140に戻る。
ステップS140、S155、S170、S175の繰り返しは、時点t22後も、時点t23まで継続される。したがって、時点t22から時点t23までは、追加処理において、内気温度として前回値が採用され、外気温度としてセンサ値が採用される。
その後、時点t21から時間T1が経過して時点t23になると、制御回路31は図8のステップS72で、継続時間がT1以上であると判定し、ステップS73で吸込口モードを外気導入モードから内気循環モードに切り替える。その後は、時点t23から時間T2が経過するまでは、ステップS74で継続時間がT2以下であると判定し続ける。このようになっていることで、時点t23から時間T2が経過するまでは、目標吹出温度TAOに基づく吸込口モードは外気導入モードであるにもかかわらず、実際の吸込口モードは一時的に内気循環モードとなる。
また制御回路31は、時点t23で吸込口モードが内気循環モードに切り替わった後、時間T3が経過するまで、追加処理において以下の処理を繰り返す。まず、ステップS140で継続時間がT3以内であると判定し、続くステップ145で内気温度として前回値を採用し、続くステップS150で外気温度として前回値を採用し、ステップS140に戻る。したがって、時点t13から時間T3の間は、追加処理において、内気温度として前回値が採用され、外気温度として前回値が採用される。
時点t23から時間T3(時間T2よりも短い)が経過して時点t24になると、制御回路31は追加処理のステップS140で、持続時間がT3を超えていると判定してステップS155に進むようになる。時点t24以降も、実際の吸込口モードが内気循環モードなので、ステップS155からはステップS160に進んで内気温度としてセンサ値を採用し、続くステップS165で外気温度として前回値を採用し、ステップS140に戻る。
ステップS140、S155、S160、S165の繰り返しは、時点t24後も、実際の吸込口モードが切り替わる時点t25まで継続される。したがって、時点t24から時点t25までは、追加処理において、内気温度としてセンサ値が採用され、外気温度として前回値が採用される。このように、実際の吸込口モードが内気循環モードに切り替わってから十分な時間が経過した後に、内気温度センサ39で一時的に内気温度を検出することができる。したがって、時点t25以降で内気温度として前回値を採用する場合でも、その前回値は少し前の時点の実際の内気温度の検出値となる。
時点t24の後、時点t23から時間T2が経過して時点t25になると、制御回路31は、図8のステップS74で継続時間がT2以上になったと判定してステップS71に戻り、目標吹出温度TAOに基づいた吸込口モードを実現する。この結果、時点t25で、実際の吸込口モードが目標吹出温度TAOに基づく吸込口モードと同じ外気導入モードに戻る。そして、時点t25から時間T1の間は、制御回路31は、ステップS71で目標吹出温度TAOに基づく吸込口モード(外気導入モード)を実現させ、ステップS72で継続時間がT1以内であると判定してステップS71に戻る処理を、繰り返す。したがって、時点t25から時間T1の間は、実際の吸込口モードが外気導入モードとなる。
また、時点t25から時間T3の間は、制御回路31は、追加処理において以下の処理を繰り返す。まず、ステップS140で継続時間がT3以内であると判定し、続くステップ145で内気温度として前回値を採用し、続くステップS150で外気温度として前回値を採用し、ステップS140に戻る。したがって、時点t25から時間T3の間は、追加処理において、内気温度として前回値が採用され、外気温度として前回値が採用される。
時点t25から時間T3が経過して時点t26になると、制御回路31は追加処理のステップS140で、持続時間がT3を超えていると判定してステップS155に進むようになる。時点t26以降も、実際の吸込口モードが外気導入モードなので、ステップS155からはステップS170に進んで内気温度として前回値を採用し、続くステップS175で外気温度としてセンサ値を採用し、ステップS140に戻る。ステップS140、S155、S170、S175の繰り返しは、時点t26の後も、実際の吸込口モードが切り替わるまで継続される。したがって、時点t26以降は、追加処理において、内気温度として前回値が採用され、外気温度としてセンサ値が採用される。
以上のように、内気温度センサ39を通風路において、内外気切替ドア12の下流かつ熱交換器16、17の上流に配置することで、内気温度センサ39を内気温度と外気温度の両方を検出する両用センサとして使用することができる。なお、熱交換器16、17の上流に内気温度センサ39を配置するのは、内外気切替箱11に導入された空気が通風路熱交換器16、17によって温度変化する前の値を検出させるためである。
なお、本実施形態においては、時間T1、T2、T3の間には、T1>T2>T3という関係が成り立っている。吸込口モードが切り替わってから切り替わった吸込口モードに応じて内気温度センサ39を使用するまでの時間T3と、吸込口モードを元に戻すまでの時間T2は、固定値でもよいが、例えば、図12に例示するように、ステップS60で決定されるブロワ電圧が大きくなるほど短くなるように設定されてもよい。
図12の例では、ブロワ電圧が第1閾値未満の低電圧である場合は、時間T3、T2はそれぞれ15秒、12秒となる。また、ブロワ電圧が第1閾値以上かつ第2閾値未満の中電圧である場合は、時間T3、T2はそれぞれ10秒、7秒となる。また、ブロワ電圧が第2閾値以上の高電圧である場合は、時間T3、T2はそれぞれ5秒、3秒となる。
時間T3をこのように調整するのは、ブロワ電圧が高いほど、通風路内の空気の入れ替わりが速くなるから、内気温度センサ39の位置の温度がより速く切り替わり後の吸込口モードに対応した空気の温度になるからである。また、時間T2をこのように調整することで、ブロワ電圧が高くなって時間T3が短くなることを利用して、目標吹出温度TAOに基づく吸込口モードと実際の吸込口モードが食い違っている状態をより早く解消できるようになる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、第1〜第3実施形態に対して、以下に説明する変更を加えたものである。
本実施形態では、外部通信端末3は、ユーザが携帯する携帯端末であり、車両用空調装置1の操作および表示機器として使用可能になっている。この外部通信端末3は、所定のプログラムを実行することで、図13に例示するように、自機の表示画面3aに、車両用空調装置1を操作するための操作部3b、3c、3dを表示すると共に、車両用空調装置1の作動状態を報知する情報表示部3e、3fを表示する。
図13の例では、操作部としては、送風ファン15の送風量を手動で増加、減少させるための送風量切替スイッチ3b、3cと、吹出モードを手動で切替設定するための吹出モード切替スイッチ36が表示されている。車両用空調装置1の複数の機能のうち、どの機能を設定するスイッチを外部通信端末3に表示させるかは、外部通信端末3のユーザが外部通信端末3を操作することで任意に変更可能である。
また、図13の例では、情報表示部としては、送風ファン15の送風量を表すブロワレベルを報知するブロワレベル表示部3fと、設定温度Tsetを報知する設定温度表示部3eが表示されている。車両用空調装置1の複数の作動状態のうち、どの作動状態を報知する情報表示部を外部通信端末3に表示させるかは、外部通信端末3のユーザが外部通信端末3を操作することで任意に変更可能である。
このような機能を実現するために、外部通信端末3は、上記プログラムを実行することで、操作部3b〜3dに対するユーザの操作に応じた操作信号を、車内通信インターフェース40を介して制御回路31に送信する。そして、制御回路31は、車内通信インターフェース40を介して外部通信端末3から受信した操作信号に従った作動が実現するよう、車両用空調装置1の制御内容(目標吹出温度TAO等)を変更する。
また、制御回路31は、車両用空調装置1の作動状態を示す情報(設定温度Tset、内気温度Tr、外気温度Tam、ブロワレベル、吹出モード、吸込口モード等)を、車内通信インターフェース40を介して外部通信端末3にする。そして外部通信端末3は、車内通信インターフェース40を介して制御回路31から受信した作動状態を示す情報のうち、必要な情報を選択して表示画面3aに表示させる。
また、外部通信端末3がなくても基本的な空調操作ができるように、車両に簡易的な操作、表示部を配置する。具体的には、車室内のダッシュボードに、第1〜第3実施形態において設置された空調操作部33の代わりに、図14に示す空調操作部(車載パネル)33’を設置する。
この空調操作部(車載パネル)33’は、乗員が操作できるボタンとしては、3つの操作スイッチ33a、33b、33cのみを有している。AUTOスイッチ33aは、第1〜第3実施形態のAUTOスイッチ34と同じ機能を有するスイッチであり、自動空調制御を実行するか手動空調制御を実行するかを設定するスイッチである。デフスイッチ34は、吹出モードをデフロスタモードにするかそれ以外にするかを設定するスイッチであり、制御回路31は、このデフスイッチ34が操作された場合は、手動空調制御によってその操作に応じた吹出モードが実現するよう空調ユニット10を制御する。温度設定スイッチ33cは、第1〜第3実施形態の温度設定スイッチ38と同じ機能を有するスイッチである。
このように、本実施形態の空調操作部33’は、内外気スイッチ35を有しておらず、吹出モードを任意に切り替えられる吹出モードスイッチ36を有しておらず、送風量スイッチ37を有しておらず、花粉モードスイッチも有していない。このようになっているので、車両における車両用空調装置1の構成がより簡単なものになる。
なお、車両に設ける簡易的な表示部としては、例えば、設定温度のみを表示する表示部を設けてもよい。なお、外部通信端末3は、空調操作部33’と同じ機能の操作スイッチ33a〜33cを重複表示してもよい。
なお、上記各実施形態においては、制御回路31が、ステップS30を実行することで取得手段の一例として機能し、ステップS40〜S90を実行することで空調制御手段の一例として機能する。
(他の実施形態)
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。例えば、以下のような変形例も許容される。なお、以下の変形例は、それぞれ独立に、上記実施形態に適用および不適用を選択できる。すなわち、以下の変形例のうち任意の組み合わせを、上記実施形態に適用することができる。
(変形例1)
例えば、上記各実施形態においては、車両用空調装置1は外気温度センサおよび日射量センサのどちらも有していない。しかし、必ずしもこのようになっておらずともよく、車両用空調装置1は、車両に設置される外気温度センサおよび日射量センサのうちいずれか1つを有していてもよい。
その場合は、制御回路31は、当該外気温度センサを有していれば、目標吹出温度TAOを算出するための外気温度Tamは、当該外気温度センサのセンサ出力に応じた値に設定する。また、当該日射量センサを有していれば、目標吹出温度TAOを算出するための日射量Tsは、当該日射量センサのセンサ出力に応じた値に設定する。
(変形例2)
上記実施形態において、制御回路31は、外部情報の繰り返し受信における直前の回の受信に失敗した場合、車外サーバ2から最後に取得した外部情報中の外気温度および日射量を使用して目標吹出温度TAOを算出するようになっている。しかし、「最後に取得した外部情報」、すなわち、「繰り返し受信における直前回よりも更に過去の回のうち、最後に受信に成功した回の外部情報」以外の外部情報を使用して目標吹出温度TAOを算出するようになっている。例えば、繰り返し受信における直前回よりも更に過去の回のうち、受信に成功した最後の5回分の外部情報の平均値を使用して、目標吹出温度TAOを算出するようになっていてもよい。