JP6360830B2 - サポニンの精製方法 - Google Patents

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Description

本開示は、生物学的生成物の精製に関する。より具体的には、本開示は、アジュバントとして有用なサポニンの精製に関する。
植物界で広く見出されるサポニン、ステロイドまたはトリテルペノイドグリコシドは、広範囲の医薬用途および商業的用途を有する。一部の植物種のサポニンは、特定の抗原に対する免疫応答を増強するために用いることができるアジュバントとして有用であることが示されている。植物サポニンアジュバントの一部のタイプは、抗原に対する免疫応答を増強するのみならず、特定のタイプの細胞媒介性免疫応答を優先的に誘導することもできる。
薬理学的に有用なサポニンを精製するための現行の手順は、生成物の均一性、再構成可能性、または均質性に関して最適でない。また、サポニンを精製する現行の方法は、14日間ほどもかかる場合がある。
サポニンを含有する免疫原性組成物の潜在的な有用性に鑑みれば、より効率的なサポニン精製法に対する必要性が存在する。
本開示は、溶媒を含む溶液からサポニンを精製する方法に関する。該方法は、溶液中の可溶化成分(solubilizing component)の量を低下させるために、溶媒中に少なくとも1種のサポニンを含み、さらに可溶化成分を含む溶液に対して溶媒交換を行なうステップを含む。溶媒交換に続いて、置き換えられた溶媒を除去して、乾燥サポニン生成物を得る。任意選択的な引き続くステップでは、乾燥ガスへの該乾燥サポニン生成物の数回の曝露と、それに続く真空サイクルを用いて、該乾燥サポニン生成物の中に残るいかなる溶媒分子をも除去する。
本発明はさらに、精製されたシャボンノキ(Quillaja saponaria Molina)サポニンQS-21を特許請求する。このプロセスにより生成されるQS-21サポニン生成物は、現行の方法を通じて生成されるものよりも均質である。本発明はさらに、本明細書中に開示される方法により生成される高度に精製されたQS-21生成物のワクチン中の免疫アジュバントとしての使用に関する。
導入
本開示は、QS-21などの精製されたサポニンの生成方法に関する。本明細書中に開示される手順は、溶媒交換のステップ、および精製されたサポニン生成物の任意選択的な引き続く乾燥ガスへの少なくとも1回の曝露と、それに続く、残留溶媒分子を該精製されたサポニン生成物からさらに取り除くための真空への曝露により、必須の凍結乾燥サイクルの回数を1回に減少させる。
精製されたサポニンは、医薬的に、工業的に、かつ食品および飲料製品中で用いられる。南アフリカの樹木であるシャボンノキ(Quillaja saponaria Molina)の樹皮から抽出されるもの(キラヤサポニン)などの一部のサポニン、例えばQS-21は、これらが、抗原と共に同時投与される場合に強力なTh1およびTh2型免疫応答を誘導しながら、低い毒性を示すので、免疫学的アジュバントとして薬理学的価値を有する。また、そのようなサポニンは、一部のタンパク質に対して穏やかな細胞毒性Tリンパ球応答を惹起することが示されている。
安全に用いるために、サポニンは、キラヤサポニンの場合には他のさらに毒性のサポニンをはじめとする、他の植物由来物質から分離されなければならない。サポニンを精製するための方法は存在するが、現行の精製法は最大で14日間を要し得る。現行の方法により生成されるサポニンは、均質でない場合がある。
開示される方法によるサポニン精製は、現行の方法に対するいくつかの顕著な利点を提供する。具体的には、本明細書中に開示される方法は、大規模サポニン精製法に必要とされる時間を、現行の方法に対してほとんど半分まで減少させることができるという利点を提供する。現行の方法は14日間ほどもかかり得る一方、本発明の方法による合計精製時間は、たった6日間であり得る。さらに、本明細書中に開示される方法により精製されたサポニンは、2倍ほども長くかかり得る複数回の凍結乾燥ステップを典型的に含む現行の手順を用いて得られる精製されたサポニン生成物より多くない溶媒または水を保持する。最終生成物中の水は、精製されたサポニン組成物での生成物分解に寄与する。さらに、有機分子などの溶媒成分は、通常、乾燥サポニン生成物の安全な薬理学的使用のために、乾燥サポニン生成物から顕著に減少させなければならない。
本明細書中に開示される方法は、第2の凍結乾燥に対する必要性を取り除くことにより、2回の凍結乾燥ステップを必要とする現行の方法よりも均質な乾燥サポニン生成物をもたらすので、現行の方法に対してさらに有利である。
つまり、本開示の一態様は、高度に精製されたサポニン組成物の作製方法に関する。本明細書中に開示される方法は、残留水もしくは溶媒分子をほとんど又はまったく含まない非常に均質な精製されたサポニン生成物の作製をもたらす。本明細書中の開示は、可溶化成分を含む第1の溶媒中に少なくとも1種のサポニンを提供するステップ;可溶化成分の少なくとも一部を交換溶媒と置き換え、それにより置き換えられた溶媒を生成するステップ;置き換えられた溶媒を除去して、少なくとも1種のサポニンを含む乾燥サポニン生成物をもたらすステップ;および任意により乾燥サポニン生成物を乾燥ガスと接触させることにより、乾燥サポニン生成物中に残留するいかなる溶媒分子も該ガス中に分散されるようにし、それによりガス浄化された(gas-cleansed)乾燥サポニン生成物を生成させるステップによる、溶液中の少なくとも1種のサポニンを精製する方法を提供する。サポニンの精製の文脈では、精製は、少なくとも1種のサポニンを含む溶液を提供するステップおよび可溶化成分の少なくとも一部を交換溶媒と置き換えるステップを含む。任意により、溶液からの精製前に、種々の化学的方法またはクロマトグラフィー法により、サポニンを他の溶液成分(例えば、植物材料、生物組織、望ましくない化学物質および分子ならびに他の残渣)から単離することができる。
可溶化成分は、以下のもののうちの少なくとも1つを含むことができる:水、有機分子、アルコール、酸または塩基。あるいは、可溶化成分は、該少なくとも1種のサポニンを溶媒中に完全または部分的に分散させるであろう任意の分子であり得る。一部の実施形態では、可溶化成分は、有機分子を含み得る。例えば、可溶化成分は、アセトニトリルを含み得る。
任意により、第1の溶媒中のサポニンは、カラムクロマトグラフィーにより部分的に精製することができる。例えば、第1の溶媒中のサポニンは、HPLCカラム溶出液またはフェニルクロマトグラフィーカラム溶出液の形態で提供することができる。例えば、第1の溶媒中のサポニンは、C8 HPLCカラム溶出液の形態で提供することができる。典型的に、サポニン精製のために用いられるC8 HPLCカラム溶出液は、少なくとも約22%のアセトニトリル(vol/vol)を含む。つまり、溶媒中のサポニンは、少なくとも約22%を含み得る。例えば、第1の溶媒中のサポニンは、少なくとも約50%のアセトニトリルを含み得る。その上、第1の溶媒中のサポニンは、約30%〜65%(体積/体積)のアセトニトリルを含み得る。例えば、約40%〜62%(体積/体積)のアセトニトリルが好適な範囲である。例えば、溶媒中のサポニンは、約58%〜62%(体積/体積)のアセトニトリルを含み得る。「約」(about)との用語は、与えられる値が近似値であり、±5%変化し得ることを示すために、上記のアセトニトリル濃度に含められる。
溶媒中のサポニンの溶液を得るステップに続いて、溶媒の置き換えを行なうことができる。可溶化成分の少なくとも一部の置き換えは、同一であるかまたは同一でない体積の第1の溶媒を、交換溶媒と交換することにより行なうことができる。溶媒の置き換えは、透析ろ過(diafiltration)、限外ろ過または透析のいずれか1つにより達成することができる。典型的には、置き換えられた溶媒は、少なくとも15%(vol/vol)のアセトニトリルを含有するが、22%(vol/vol)以下のアセトニトリルを含有するであろう。
任意により、可溶化成分の少なくとも一部の置き換えは、選択的に透過性である半透性格納容器を含むシステム中で行なうことができ、それにより、少なくとも1種のサポニンおよび第1の溶媒を半透性格納容器に導入する場合に、少なくとも1種の溶媒成分が容器の透過性部分を通過し、少なくとも1種のサポニンが残留する。例えば、用いられる半透性格納容器は、単独の(single)半透膜を含むことができ、溶媒の置き換えは、該少なくとも1種のサポニンおよび第1の溶媒を含む半透性格納容器を交換溶媒に浸漬させるステップおよび膜により分離されている溶媒同士を拡散により平衡に到達させるステップにより達成することができる。
あるいは、半透性格納容器は、少なくとも1種の半透性構造に囲まれた、溶媒中に少なくとも1種のサポニンを含む溶液に対して透過性の水路を含むことができる。この実施形態では、少なくとも1種のサポニンおよび第1の溶媒を、浸透圧により該容器の外側に対して陽圧で格納容器の該水路を通して移動させることができ、それにより、溶液の少なくとも1種の成分を、格納容器の半透性部分を通って外側へと通過させ(例えば、該水路とは接触していない半透性構造のいずれかの部分)、溶液の少なくとも1種の分子が該水路の全長を移動するようにする。この実施形態では、格納容器の内側(例えば、水路)へと交換溶媒を添加することにより、可溶化成分の少なくとも一部を、交換溶媒と置き換えることができる。
別の実施形態では、半透性格納容器は、半透膜により隔てられた第1の区画および第2の区画を含む非透過性収容部を含むことができる。この実施形態では、少なくとも1種のサポニンおよび第1の溶媒を格納容器の第1の区画に入れ、続いて該第1の区画を第2の区画に対して陽圧にすることができ、容器の第1の区画へと交換溶媒を添加することによって、溶液の少なくとも1種の成分を格納容器の半透性部分を通って通過させ、可溶化成分の少なくとも一部が交換溶媒と置き換えられるようにすることができる。
溶媒の置き換えに続いて、置き換えられた溶媒をサポニン生成物から除去して、乾燥サポニン生成物を生じさせることができる。置き換えられた溶媒の除去は、以下のプロセスのうちのいずれか1つ以上により行なうことができる:凍結乾燥、熱曝露またはロータリーエバポレーション。特定の実施形態では、凍結乾燥を用いて、置き換えられた溶媒を除去する。例示的な凍結乾燥手順は、実施例の節に提供される。しかしながら、凍結乾燥は、当技術分野で公知の本質的にいかなる方法によっても、行なうことができる。任意により、凍結乾燥は、Goreブランドの使い捨てLYOGUARD(商標)トレイで行なうことができる。任意により、例えば、サンプルのさらなる乾燥が望まれる場合、2回以上の除去ステップを行なうことができる。
任意により、溶媒除去に続いて、乾燥サポニン生成物を乾燥ガスと接触させることにより、乾燥サポニン生成物からいずれの残留溶媒分子もさらに除去して、ガス浄化された乾燥サポニン生成物を作製することができる。任意により、乾燥サポニン生成物は、真空中で乾燥ガスに接触させることができる。一部の実施形態では、乾燥サポニン生成物を乾燥ガスと接触させるステップは、700μbar超の圧力で行なう。例えば、乾燥サポニン生成物は、800μbarの圧力で乾燥ガスと接触させることができる。任意により、乾燥サポニン生成物を、少なくとも1分間、乾燥ガスと接触したままにすることができる。例えば、乾燥サポニン生成物を、5分間以上、乾燥ガスと接触したままにすることができる。
任意により、乾燥サポニン生成物を乾燥ガスと接触させるステップに続いて、乾燥ガスを除去する。例えば、そのような除去は、真空圧力(vacuum pressure)により実現することができる。一部の実施形態では、乾燥ガスは、100μbar未満の真空圧力により除去される。例えば、乾燥ガスは、50μbarの真空圧力により除去することができる。任意により、真空圧力は、1分間超、適用することができる。例えば、真空圧力は、30分間適用することができる。
任意により、真空圧力による乾燥ガスの除去に続いて、乾燥サポニン生成物を乾燥ガスと接触させる1回以上の前述のステップを繰り返すことができる。任意により、真空の圧力は、大気圧まで上昇させることができる。一部の実施形態では、乾燥サポニン生成物を、少なくとも1分間、乾燥ガスと接触したままにする。例えば、乾燥サポニン生成物を、5分間以上、乾燥ガスと接触したままにすることができる。
所望であれば、繰り返された乾燥ガス曝露に続いて、乾燥の真空圧力除去を、任意の回数繰り返すことができる。一部の実施形態では、乾燥サポニン生成物を乾燥ガスと接触させるステップと、それに続く乾燥ガスの真空圧力除去のステップを、7回繰り返す。
任意により、乾燥ガスとの乾燥サポニン生成物の接触ステップと、それに続く乾燥ガスの真空圧力除去は、2℃超であることができる。例えば、乾燥ガスとの乾燥サポニン生成物の接触ステップと、それに続く乾燥ガスの真空圧力除去は、34℃超で行なうことができる。
一部の実施形態では、不活性ガス、特に窒素を、乾燥ガスとして用いる。しかしながら、任意の水不含非反応性(または弱反応性)ガスを用いることができる。
本明細書中に開示される方法は、以下の群:QS-7、QS-17、QS-18、およびQS-21から選択される少なくとも1種の部分的に精製されたキラヤサポニンを含有する精製サポニン生成物を作製するために好適である。典型的には、精製は、少なくともQS-21を含む。しかしながら、任意により、精製は、2種以上のキラヤサポニンを含む場合もあるであろう。同様に、精製は、Quil-Aを含むことができるであろう。同様に、組成物はまた、異なる分類(科)の生物から選択される複数の異なるサポニンも含むことができるであろう。
本開示はまた、本明細書中に開示される方法に従って生成される高度に精製されたQS-21にも関する。
本開示は、開示される方法により生成される高度に精製されたQS-21サポニン生成物の免疫原性組成物中での使用にさらに関する。典型的には、免疫原性組成物は、例えば病原体由来の抗原に対する免疫原性反応を生じさせることができる抗原性エピトープおよび開示される方法により作製された高度に精製されたQS-21サポニンを含む。任意により、免疫原性組成物は、以下の群:QS-7、QS-17、QS-18、およびQS-21から選択される1種以上の追加のキラヤサポニンをさらに含むことができる。同様に、免疫原性組成物は、異なる分類(科)の生物から選択される1種以上の異なるサポニンをさらに含むことができる。任意により、免疫原性組成物はまた、第2のアジュバントも含む。アジュバントは、例えば、リポソームであり得る。同様に、アジュバントは、3D-モノホスホリルリピドA(3D-MPL)であり得る。任意により、免疫原性組成物は、リポソームと3D-MPLとの両方を含むことができるであろう。
略語3D-MPLは、1型T細胞免疫応答の優先的な誘導を引き起こすことが知られているリポ多糖の無毒の誘導体である3-O-脱アシル化-モノホスホリルリピドA(3-脱-O-アシル化モノホスホリルリピドA、3-O-デスアシル-4’-モノホスホリルリピドA、3D-モノホスホリルリピドAおよび3D-MLAとも称される)を表わす。Garconら、欧州特許第822831号B2およびMoore, Vaccine. 1999; 17:2517-27。3D-MPLは、還元性末端グルコサミンの3位が選択的に脱アシル化された4’-モノホスホリルリピドA分子から構成される。3D-MPLは、4、5または6個のアシル鎖を有する主として3種類の3-脱-O-アシル化-4’-モノホスホリルリピドAの混合物として、GB2220211(Ribi)に記載されており、Corixaの名称で事業経営している(dba)GlaxoSmithKline社により製造されている。3D-MPLの一形態が、国際公開第92/116556号に開示されている。
リポソームは、脂質二重層からできている、人工的に調製された小胞である。QS-21は、注入部位での壊死を引き起こすことが可能であるが、これは、QS-21とステロールとの組み合わせを含有する製剤の使用により回避できる。使用のために考えられるステロールとしては、β-シトステロール、スチグマステロール、エルゴステロール、エルゴカルシフェロールおよびコレステロールが挙げられ、本発明の組成物は、リポソーム構造を形成するものである。一般的に、そのようなリポソームは中性脂質から構成され、例えば、好ましくは室温で結晶でないホスファチジルコリン、例えば、卵黄ホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、またはジラウリルホスファチジルコリンである。リポソームはまた荷電脂質も含むことができ、なぜなら、このことが、飽和脂質から構成されるリポソームに対してリポソーム-サポニン構造の安定性を増大させるからである。脂質を含むサポニンの提案された製剤は、国際公開第1996/033739号(A1)に記載されている。
用語
特に説明しない限り、本明細書中で用いられるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する分野の当業者により通常理解されるのと同じ意味を有する。単数形の用語「a」、「an」および「the」は、文脈がそうでないことを明らかに示さない限り、複数の指示対象を含む。同様に、「または」との単語は、文脈がそうでないことを明らかに示さない限り、「および」を含むことが意図される。「複数の」との用語は、2以上を意味する。また、物質の濃度またはレベル(溶媒成分濃度など)および反応条件(温度、圧力およびサイクル回数など)に関して与えられる数値限定は、近似値であることが意図される。つまり、濃度が少なくとも(例えば)22%(体積/体積)アセトニトリルと示される場合、該濃度は少なくとも概ね(または「約」もしくは「〜」)22%(体積/体積)アセトニトリルであると理解されることが意図される。同様に、「約」との用語は、記載されたパーセンテージに関して用いられる場合、所与の値が近似値であり、±5%変化し得ることを示すために、用いられる。
本明細書中に記載されるものと類似または同等の方法および材料を本開示の実施または試験で用いることができるが、好適な方法および材料を下記に記載する。「含む」(comprises)との用語は、「含む」(includes)を意味する。つまり、文脈がそうでないことを要求しない限り、「含む」(comprises)との単語、ならびに「含む」(comprise)および「含むこと」(comprising)などの変形は、記載された化合物もしくは組成物(例えば、サポニン、溶媒、有機成分)またはステップ、あるいは化合物もしくはステップの群の包含を暗示するが、任意の他の化合物、組成物、ステップ、またはそれらの群の排除を暗示しないことが理解されるであろう。略語「e.g.」は、ラテン語「exempli gratia」に由来し、非限定的な例を示すために本明細書中で用いられる。つまり、略語「e.g.」は、「例えば」(for example)との用語と同義である。
本開示の種々の実施形態の理解を容易にするために、以下の用語の説明が提供される。追加の用語および説明が、本開示の文脈中で提供される場合がある。
「精製する」(例えば、溶液中のサポニンに関して)との用語は、溶液中の一部の他の望ましくない成分(例えば、可溶化成分)から、該溶液中のサポニンを分離することを意味する。精製するとは相対的な用語であり、他の望ましくない成分を組成物から完全に除去することを要求しない。例えば、溶液由来の可溶化成分の少なくとも90%がサポニンから分離されている場合、溶液中のサポニンは、本明細書中に開示される方法により精製されているとみなされる。
「第1の溶媒中の少なくとも1種のサポニン」との用語は、主にまたは完全に液相成分からなることができる(が必ずしもそうである必要はない)1種以上の他の物質(例えば、溶媒)中に、1種以上の物質(例えば、1種または数種のサポニン)が分子レベルまたはミセルレベルで分散されている混合物を意味する。「溶媒」との用語は、物質、液体または2種以上の液体の混和性、部分的に混和性もしくは不混和性混合物であって、別の物質(例えば、サポニン)を溶液中に完全または部分的に分散させることが可能なものを意味する。「可溶化成分」は、その分子がサポニンなどの他の物質を溶液中に分散させるように機能する成分を意味する。
「分子」との用語は、共有結合により連結された、単一の化学元素の原子(複数)、または同じかもしくは異なる化学元素の2個以上の原子の集団を意味する。「有機分子」とは、少なくとも1個の炭素原子から構成される分子を意味する。「アルコール」は、水酸官能基(酸素および水素、-OH)が炭素原子に結合している任意の有機分子である。この構造は、通常は他の炭素原子または水素原子と共有結合されている。酸との用語は、陽子供与体である(すなわち、水に溶解された場合にヒドロニウムイオン(H3O+)を生じる)、任意の化学物質を意味する。「塩基」は、陽子受容体である(すなわち、水に溶解された場合に水酸化物イオン(OH-)を生じる)、任意の化合物を意味する。アセトニトリルとの用語は、構造式CH3CNを有する化合物を意味する。大きさ「体積/体積」(%vol/volと略される)は、100mLの得られた溶液当たりの液体の体積(mL)を意味するために用いられる。
「置き換える」(可溶化成分の少なくとも一部を交換溶媒に置き換えるステップに関して)との動詞は、第1の溶媒の可溶化成分の少なくとも1種の分子を、1種以上の異なる分子で置換することを意味する。溶媒が置き換えられたとみなされるために、第1の溶媒のすべての分子が異なる分子で置換されている必要はない。例えば、溶媒の40%超の置き換えが、置き換えを構成するために十分である。例えば、溶媒の約75%の置き換えは、置き換えを構成するために十分である。
「可溶化成分」との用語は、溶液中の任意の分子を意味する。
「除去する」(溶媒に関して)との動詞は、蒸気へと変換することにより消散させることを意味する。溶媒が除去されたとみなされるために、溶媒のすべての分子が存在しない必要はない。例えば、溶媒成分のうちの少なくとも90%がサポニンから分離されている場合、本明細書中で開示される方法により精製されたサポニンから、溶媒が除去されているとみなされる。例えば、溶媒成分のうちの93%超の分離が、除去を構成するために十分である。例えば、溶媒成分のうちの約95%の置き換えが、除去を構成するために十分である。つまり、「残留する」(乾燥サポニン生成物中の溶媒分子に関して)との動詞は、サポニン生成物を乾燥させるかまたは他の様式でサポニン生成物から溶媒を除去するためにサポニン生成物に対して行なわれた除去手順にもかかわらず、乾燥サポニン生成物中に存在し続ける溶媒分子(例えば、水および/または他の可溶化成分分子)を具体的に意味する。実際には、溶媒のかなりの部分を除去するために行なった除去手順にもかかわらず、乾燥サポニン生成物中にしばしば一部の溶媒粒子が時々存在し続けるので、「乾燥された」とみなされるために、サポニン生成物は溶媒分子を完全に含まないことは必ずしも必要でない。
「ガス浄化された乾燥サポニン生成物」との用語は、典型的には50ppm未満のアセトニトリル、5重量%未満の水および0.40%未満の主要な分解サポニン副生成物を含有するサポニン生成物を意味する。これらのサポニンは、乾燥サポニン生成物を乾燥ガスと接触させることにより、除去後にサポニン生成物内に結合したままの溶媒分子を乾燥ガス中に分散させるプロセスにより生じる。本明細書中で用いる場合、「乾燥ガス」との用語は、水分子を実質的または完全に含まない任意の気体を意味する。乾燥ガスは、1種類のみの気体分子から構成されるか、または2種以上の異なるタイプの気体分子の複合物であり得る。「分散させる」(溶媒分子に関して)との動詞は、拡散すること、移動して離れること、散り散りになることまたは広がることを意味する。本明細書中で定義する場合、分散が生じているためには、溶媒除去後にサポニン生成物内に残留するすべての溶媒分子が非結合にならなくてよい。例えば、乾燥サポニン生成物から乾燥ガス中への、残留する溶媒分子の10%超の拡散が、本明細書中で定義される場合の拡散を構成するために十分である。例えば、乾燥サポニン生成物から乾燥ガス中への、残留する溶媒分子の約15%の拡散が、拡散を構成するために十分である。
「半透性格納容器」との用語は、その一部の部分が溶媒成分に対して透過性であるが、1種以上の溶質(サポニンなど)に対しては非透過性であり、それにより、少なくとも1種のサポニンが格納容器により保持され、かつ少なくとも1種の溶媒粒子が、サポニンを保持するために機能する該容器の部分から出ることができるようになる、溶液中のサポニンの一定量を受け入れることができる任意の構造を意味する。「収容部」(container)および「格納容器」(containment vessel)との用語は、両方とも、一定量の液体を保持することができる構造を表わす。膜または収容部に適用される場合、「非透過性」との用語は、その表面を通るすべての溶液成分(サポニン、および溶媒の両方など)の通過を実質的に遮断する材料を意味する。「完全に透過性」との用語は、溶媒成分および1種以上の溶質成分(サポニンなど)の両方に対して透過性である膜、または物質の一部を意味する。「水路」は、それを介して溶媒成分と溶質成分の両方が移動できる完全に透過性の通路である。「保持される」(格納容器の透過性部分を通って通過しないサポニンに関して)との動詞は、半透膜を通って移動せず、格納容器に残ることを意味する。
「半透膜」との用語は、溶媒成分に対して透過性であるが、1種以上の溶質(サポニンなど)に対して非透過性である膜、または物質を意味する。「半透性バリア」との用語は同様に、溶媒成分に対して透過性であるが、1種以上の溶質(サポニンなど)に対して非透過性である膜、または物質を意味する。半透膜または半透性バリアは、膜を通過することにより溶媒成分がその濃度勾配を下がることを可能にすることにより、異なる組成を有する溶媒同士の間に置かれた場合に、第1の溶媒への、または第1の溶媒からの溶媒粒子の受動拡散を容易にすることができる。膜により拘束されている溶液に対する半透膜もしくは半透性バリアを囲む環境の圧力を超える圧力の付加または膜もしくはバリアにより拘束されている溶液の反対側の半透膜もしくは半透性バリアの一部に対する真空圧力の付加により、溶質粒子が膜またはバリア内に選択的に留まる一方で、溶媒粒子を半透膜または半透性バリアを通って移動させることもできる。
「浸漬される」(第1の溶媒中の少なくとも1種のサポニンを含有する半透性格納容器を、交換溶媒に浸漬させるステップに関して)との動詞は、半透性格納容器の少なくとも一部が、第1の溶媒と交換溶媒との両方と同時に接触することを意味する。浸漬が生じるためには、半透性格納容器の全体が、一方または両方の溶媒に接触する必要はない。また、容器が「浸漬した」とみなされるために、格納容器の半透性部分全体が、一方または両方の溶媒に完全に接触している必要もない。
「分離される」(半透膜により隔てられた非透過性収容部の区画に関して)との動詞は、半透膜が、非透過性収容部の第1および第2の区画を定義する介在バリアとして機能することを意味する。半透膜が第1と第2の区画を「分離している」とみなされるために、半透膜が全体的に半透性材料から構成される必要はない。例えば、膜の一部が非透過性であり得る。また、非透過性収容部の第1および第2の区画は、半透膜により収容部の他の部分から単に分離されることにより、個々に規定されることができる。
「平衡」(例えば、拡散により平衡に達することが可能な、半透膜により隔てられている第1の溶媒および交換溶媒との関連で)との用語は、半透膜により隔てられている2種類の溶媒中で半透膜を通過することができるすべての溶媒粒子の濃度が、第1の溶媒と交換溶媒とで同じになるときを意味する。溶媒粒子がその濃度勾配を下って移動するので、この平衡は、受動的に生じ得る。しかしながら、一部の形態の撹拌または圧力を、このプロセスを加速するために用いることもできる。
「真空」との用語は、局所的大気圧と比較して、低下した気圧を有する領域を意味する。本明細書中で用いる場合、「真空」は、物質を完全に欠いている空間を意味しない。「陰圧」との用語もまた、周囲の領域中の局所的大気圧よりも低い圧力を有する領域を意味する。
本明細書中で用いる場合、「大気圧」との用語は、その表面の上の空気の重量により所与の単位面積の表面にかかる力を意味する。標準大気圧は、約1000ミリバールである。しかしながら、正確な大気圧測定は、位置および標高特異的であり、異なる場所では変わるであろう。同様に、1つの位置での大気圧もまた、時間によって変化するであろう。
大きさ「百万分の一」(「ppm」と略される)は、本明細書中では、100万部の乾燥サポニン生成物当たりの、液体また固体混入物の濃度をそれぞれ体積または重量で表わすために用いられる。本明細書中で用いる場合、パーセント値に関して「重量による水」(water by weight)との用語は、水に起因する乾燥サポニン生成物の重量の割合(%)を意味する。
「免疫原性組成物」は、例えば病原体に対して、特異的免疫応答を惹起することが可能である、ヒトまたは動物被験体への投与に好適な組成物である。従って、免疫原性組成物は、1種以上の抗原または抗原性エピトープを含む。「抗原」との用語は、当業者に周知である。抗原は、単離されたタンパク質もしくはタンパク質のペプチド断片に関連することができ、または病原体に由来する部分的に精製された調製物であり得る。あるいは、抗原は、丸のままの生きた病原体または不活性化された病原体に関連し得る。抗原は、ヒトまたは動物で免疫応答を生じさせることが可能なタンパク質、多糖、ペプチド、核酸、タンパク質-多糖コンジュゲート、分子またはハプテンであり得る。抗原は、ウイルス、細菌、寄生生物、原生生物もしくは真菌由来の分子から誘導されるか、それら同族(homologous)であるか、またはそれらを模倣するために合成することができる。抗原はまた、腫瘍細胞もしくは新生物由来の分子から誘導されるか、それらと同族であるか、またはそれらを模倣するために合成することもできる。本発明のさらなる実施形態では、抗原は、アレルギー、アルツハイマー病、アテローム硬化症、肥満およびニコチン依存症に関する物質由来の分子から誘導されるか、それらと同族であるか、またはそれらを模倣するために合成される。典型的に、免疫原性組成物またはワクチンが生きた病原体を含む場合、病原体は弱毒化され、すなわち、免疫適格被験体で疾患を引き起こすことができない。他の場合には、免疫原性組成物またはワクチンは、丸のままの不活性化(または死滅)病原体を含む。不活性化された病原体は、そうでなければ(不活性されていなければ)、免疫適格被験体の少なくとも一部で疾患を引き起こすであろう野生型病原性生物であるか、あるいは病原体の弱毒化株もしくは突然変異株または単離体であり得る。
サポニン
QS-21精製のための現行の方法は典型的に、生成物を乾燥させるか、または許容可能な程度まで残留するアセトニトリルを除去するための、2回の連続的な凍結乾燥サイクルを含む。精製されたQS-21生成物を返すのに14日間かかることに加えて、これらの方法により作製されたQS-21乾燥粉末は濃度が不均一であるので、これらの現行の方法は最適ではない。第1の凍結乾燥後、予備的に乾燥されたサポニン生成物が、第2の凍結乾燥ステップのために水に再懸濁される。予備的に乾燥されたサポニン生成物が完全に溶解できることはまずないので、これにより最終的なサポニン生成物の不均一性がもたらされる。最終的な生成物の均質性は、非常に均一な生成物純度の指標になる。
本明細書中に開示される方法は、現行の方法の半分未満の時間で精製QS-21の生成を可能にする。さらに、以下の表1に示される通り、この方法により精製されるサポニンは、2倍の長さがかかり得る複数の凍結乾燥ステップを典型的に含む現行の方法を用いて得られる精製サポニン生成物より多くない溶媒および水を保持する。さらに、開示される方法により作製されるガス浄化された乾燥サポニン生成物は、現行の方法により作製される乾燥サポニン生成物よりも均質である。
サポニンは表面活性グリコシドであり、通常は植物由来であり、より稀にはヒトデまたはナマコなどの他の生物由来である。サポニンは、疎水性領域(通常はステロイドまたはトリテルペノイド構造のいずれかから構成される)と結合している親水性領域(通常は1つ以上の糖鎖から構成される)から構成される。サポニンはしばしば、溶血活性、免疫アジュバント活性、コレステロールと複合体を形成する能力、および一部の場合には、抗菌活性を有する。サポニンはまた、水溶液中で振盪される場合に石鹸様の泡を生成する能力によっても象徴される。サポニンは周知である。
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例示的なトリテルペングリコシドサポニンは、南アフリカの樹木であるシャボンノキ(Quillaja saponaria Molina)の樹皮の最大10%を構成する。これらのサポニンの免疫刺激作用は、50年間を超えて評価されてきた。キラヤ・サポナリア(Quillaja saponaria)由来の50種類に近い固有のサポニンがあると見積もられている(本明細書中では、「キラヤサポニン」と称される)。大多数は同じトリテルペン塩基であるキラ酸(quillaic acid)を有し、アセチル化3,28ビスデスモノシド(キラ酸の3位および28位炭素に連結されたオリゴ糖を含む)である。固有のキラヤサポニン同士の差異は、グリコシル化パターンまたはアセチル化パターンで主に見出される。現在までに、22種類のキラヤサポニンが単離され、大規模に特性決定されてきた。これらのうちの6種類であるQS-7、QS-17、QS-19、QS-18およびQS-21は、マウスおよび他の哺乳動物で顕著なアジュバント活性を示す。しかしながら、これらのサポニンはその毒性が大きく異なり、QS-18およびQS-19は他のキラヤサポニンよりも低用量でより毒性であり、QS-21は低い毒性を示すが強力なアジュバント活性を示す。QS-7もまた免疫修飾特性および非常に低い毒性を有するが、アジュバント活性のためにはより高用量を必要とする。キラヤサポニンの様々なアジュバント特性の総説に関して、Kensil CR, et al., Separation and characterization of saponins with adjuvant activity from Quillaja saponaria Molina cortex. J Immunol. 146(2):431-7 (1991)を参照されたい。
キラヤサポニンは、抗原に対する強力な型のTh1およびTh2型免疫応答ならびに一部のタンパク質に対する穏やかな細胞毒性Tリンパ球(CTL)応答を誘導することが示されている。Kensil CR. Saponins as vaccine adjuvants. Crit Rev Ther Drug Carrier Syst. 13:1-55 (1996)。結果として、キラヤサポニンは、広範囲の免疫原性組成物中でアジュバントとして用いることができる。例えば、キラヤサポニンは、細胞内病原体および悪性細胞に対するTh1応答を引き起こすために、ならびにIgE媒介アレルギー応答を抑制するために用いることができる。しかしながら、未精製のキラヤ抽出物は毒性が著しく異なるサポニンの不均質な混合物(heterogenic mix)から構成されるので、他のより毒性のサポニンからの無毒のキラヤサポニンの分離が、それらの安全な免疫学的使用のために必要とされる。
キラヤサポニンアジュバントを精製するための初期の試みが、Dalsgaard, Archiv fuer die gesamte Virusforschung 44:243 (1974)に記載されている。Dalsgaardの調製物は、アニオン交換およびゲルろ過により部分的に精製されたキラヤサポニンの水性抽出物であり、「Quil-A」の名称で現在市販されており、1970年代前半から家畜用ワクチンにおいて用いられてきた。部分的に精製されているものの、Quil-Aのサポニンは無視できないほど不均一であり、およそ20〜25個の逆相クロマトグラフィーピークを示す。Iscoprep 703と呼ばれる、より最近のQuil-A製剤は、さらに精製され、それにより、最も毒性の成分が排除された10個の逆相クロマトグラフィーピークのみからなる。
1つの特定の実施形態では、本明細書に開示される手順を、キラヤサポニンQS-21の精製のために用いることができる。QS-21は、シャボンノキ樹皮由来のHPLC精製画分を構成し、その単離のための方法は米国特許第5,057,540号に開示されている。キラヤサポニンQS-21は、特に低い毒性を有するが、抗原に対する強力なTh1およびTh2型免疫応答ならびに一部のタンパク質に対する穏やかなCTL応答を誘導する。
第1の溶媒中のサポニンを取得するステップ
いずれかの他のシャボンノキサポニン、ならびに他の生物由来のサポニンを精製するために他のクロマトグラフィー手順を用いることができること、および溶媒中に2種類以上のサポニンの混合物を得るために、これらの精製プロセスを変更することもできることが、サポニン精製の分野の当業者に周知であることもまた理解されるべきである(Cox et al. 米国特許第6,352,697号およびKensil et al. 同第5,057,540号に記載される通り)。
典型的には、キラヤサポニンの精製では、精製手順でアセトニトリルおよび水を使用することが望ましいが、しかしながら、多数の他の溶媒を、キラヤサポニン、および植物材料由来の他の植物種のサポニンの抽出のために用いることができる。例えば、植物材料由来のサポニンの抽出のために、多数の有機溶媒(例えば、数例を挙げるならば、アセトニトリル、メタノール、クロロホルムおよびアルコール)、水、ならびに多くの酸および塩基を用いることができ、ならびにサポニンの精製のために酸および/または水を含む有機溶媒の組成物を用いることができることは、サポニン精製の分野の当業者に周知である(メタノールおよびメタノールと酢酸との組成物の使用についてKensil et al. 米国特許第5,057,540号、アセトニトリルと酸性水との組成物の使用についてCox et al. 同第6,352,697号、クロロホルム、メタノール、水および酢酸混合物の使用についてKensil et al. 国際公開第98/24319号を参照されたい)。40%超のアセトニトリルの濃度が、C8 HPLCカラムからのQS-21の溶出に対して最適である。アセトニトリルは、本方法での使用のために便利な溶媒である。しかしながら、サポニンを溶液にすることが可能な、かつ/または他の植物材料からサポニンを分離することが可能な上記の組成物のいずれかを用いることができる。同様に、実施例で用いるアセトニトリルの正確な割合(%)は、C8カラム抽出に最適であるためにのみ記載される。サポニン精製の分野の当業者は、同様に、アセトニトリルまたはいずれかの用いられる溶媒の様々な濃度が、利用する精製システムに依存して変わり得ることを知っているであろう。
溶媒の置き換え
溶媒中にサポニンが得られ、サポニンの意図される用途に適切な程度まで精製されたならば、溶媒の凍結特性に応じて、均質な凍結乾燥生成物を得るために、異なる溶媒でサポニンの溶媒を置き換えることがおそらく必要である。溶媒中のサポニンの溶解性は、温度が低下すると変化し、したがって、凍結乾燥生成物の均質性は多くの場合、それらを溶液にするかまたはクロマトグラフィーカラムから溶出するために用いなければならない濃度よりも低い溶媒濃度を必要とする。さらに、室温で水と混和性である一部の溶媒は、凍結の間に水が豊富な領域(domain)と溶媒が豊富な領域とに分離する。例えば、この作用は、アセトニトリルの水溶液で観察され、よって、凍結に際して均質なサポニン生成物を得るために、20%未満までアセトニトリルのレベルを下げることが必要である(Zarzycki PK et al, Analyt Sci 22, 453-456[2006]を参照されたい)。逆相クロマトグラフィーカラムからの溶出は、多くの場合、約30%〜約60%のアセトニトリル濃度を必要とする。したがって、前述の精製手順は、均質な凍結乾燥生成物を得るために望ましい濃度よりも高い溶媒濃度をもたらし得る。
溶媒中のサポニンに対して溶媒の置き換えを行なうことができる多数の方法がある。例えば、上記で詳述した通りの透析ろ過を用いることができる。限外ろ過とそれに続く保持されたバッファーの希釈もまた、バッファー置き換えの好適な手段である。透析もまた、溶媒を置き換えるために用いることができる別の考えられる方法である。しかしながら、透析ろ過は、透析よりもはるかに多量の溶媒をはるかに速く交換することを可能にするので、透析ろ過は大規模精製に対して溶媒交換を行なうために用いることができる。
有機溶媒溶液中のサポニンのための溶媒の置き換え方法の例はまた、下記の実施例に詳細に記載されている。最適には、本明細書中に開示される方法がアセトニトリルの溶液中のサポニンサンプルに対して行なわれ、凍結乾燥によりサンプルをさらに精製することが意図される場合、溶媒の置き換え後の有機溶媒の最終濃度は、約22%体積-体積(vol/vol)アセトニトリル未満である。一部の実施形態では、溶液は、20%(vol/vol)未満のアセトニトリルからなるであろう。一実施形態では、凍結に際して均質な生成物を得るために20%未満のアセトニトリル濃度が必要とされるので、約18%(vol/vol)のアセトニトリルの最終濃度が得られる(Zarzycki PK et al.)。つまり、18%(vol/vol)のアセトニトリルは、溶媒の置き換えにより達成するのに便利な濃度である。しかしながら、例えば、22%未満の任意のアセトニトリル濃度を用いることができる。
実施例に記載される溶媒置き換え手順は、例としてのみ含められ、実施例に詳述される透析ろ過手順と機能的に類似または同等のいくつかの手順があることが、サポニン精製の分野の当業者に周知である。そのような方法としては、限定するものではないが、透析および限外ろ過と、それに続く希釈が挙げられる。透析ろ過は、置き換えられた溶媒中のサポニンの大規模生成を可能にし、透析ろ過の連続フロー法の間、保持される分子種の濃度を容易に制御することができ、それにより穏やかかつ再現性高い溶媒置き換え法をもたらすので、透析ろ過が本明細書中で例示される。つまり、透析ろ過は、溶媒の置き換えにより達成するために使用するのに便利な溶媒置き換え法である。しかしながら、言及した通り、限外ろ過/希釈および透析などの他の類似のプロセスを用いることができる。
溶媒除去
溶媒の置き換え後、溶媒をサポニン生成物から除去して、乾燥サポニン生成物を得ることができる。クロマトグラフィー手順に続くサポニンからの溶媒の除去は、凍結乾燥により遂行することができる。凍結乾燥を真空下で溶媒/溶質混合物に対して行なって、溶媒の凝華を生じさせ、乾燥された溶質を後に残させる。100マイクロバール未満の任意の圧力が、おそらく好適である。典型的には、少なくとも約500mBarの真空が、溶媒の効率的な凝華を促進するために十分である。圧力はさらに低下させることができるが、そうすることは乾燥速度にほとんど影響を及ぼさず、非常に低い圧力条件下では、凝華の効率は低下する。
溶媒除去は、液体サンプルを真空チャンバー中に配置することにより簡潔に行なうことができるが、上記の発泡により、生成物の損失ならびに生成物均質性の低下が、そのような手順の使用により生じ得る。泡立ちを防止するために、溶媒中のサポニンをまず凍結させて、続いて真空下での凝華により溶媒を除去することができ、これは凍結乾燥(lyophilizationまたはfreeze drying)と呼ばれるプロセスである。一般的に、0.1℃〜1.0℃/分の比較的緩慢な冷却速度を用いて、蒸気移動の助けとなる大型の氷晶の発達を促す。
さらに、サポニン溶液の凍結乾燥のための1つの便利な方法は、Goreブランドの使い捨てLYOGUARD(商標)トレイを用いることである。これらの単回使用オートクレーブ可能な凍結乾燥トレイは、蒸気の通過を可能にするが液体の通過は許容しない半透膜で覆われた化学的に不活性なトレイを含み、したがって、使用中の外部からの汚染から生成物を保護する。LYOGUARD(商標)トレイは、サポニンの大規模凍結乾燥用途に好適である。
置き換えられた溶媒中のサポニンに対して行なうことができる凍結乾燥手順の例は、以下の実施例に詳細に記載されている。実施例に記載される手順は、例示目的のみのものであり、サポニン精製の分野の当業者に周知の、実施例で詳述される凍結乾燥手順と機能的に類似または同等の上記の手順のうちのいずれか(制御熱曝露およびロータリーエバポレーションなど)を、類似または同等の結果を達成するために凍結乾燥の代わりに用いることができる。
例えば、液体溶媒成分の沸点を超える熱を溶液に付加する熱蒸発を、サポニンなどの不揮発性溶質から溶媒粒子を除去するために用いることができることは、サポニン精製の分野の当業者には周知である。同様に、ロータリーエバポレーションの形態での溶媒蒸発が、サポニン精製の分野の当業者に周知である。
ロータリーエバポレーションは、溶媒溶質混合物を容器中に配置し、続いてこの容器を、凝縮器としても機能するチューブを通して真空下で維持しながら同時に、加熱下で回転させることによる、溶質からの溶媒蒸発を含む。蒸発した溶媒は、連結チューブを介してフラスコから出て、凝縮器部分で再凝集するときに収集される。すべての不揮発性の溶質粒子は、フラスコ中に残る。ロータリーエバポレーションはクロマトグラフィー分離の後に溶出された不揮発性溶質を回収するために一般的に用いられるが、混合されるかまたは温度および圧力変化を受ける際に泡を生じるサポニンの傾向によって、この方法はサポニン精製のためにはおそらく最適ではない。したがって、ロータリーエバポレーションは、真空/凝集器ラインを通した生成物損失をもたらし得る。制御熱曝露もまた、サンプルの加熱が著しい生成物分解を生じさせ得るので、サポニンからの溶媒の蒸発に関して最適を下回る結果をもたらし得る。さらに、サポニンが精製されるためにかかる時間を延長させるいずれの手順も、分解サポニン副生成物の割合を増大させ、この副生成物はサンプル中に蓄積し得る。
ガス浄化
任意により、置き換えられた溶媒中のサポニンからの溶媒除去に続いて、乾燥ガスへの曝露およびそれに続く真空サイクルにより、乾燥サポニン生成物から溶媒分子をさらに除去して、ガス浄化された乾燥サポニンを得ることができる(本明細書中、以下ではこの手順を「ガス浄化」と称する)。この手順は、乾燥サポニン生成物から、いずれかの緩く結合した溶媒粒子を脱着させるために作用する。凍結乾燥、ロータリーエバポレーション、および熱曝露などの大部分の溶媒除去手順を利用して、溶媒中にサポニンを含む溶液から溶媒粒子のかなりの割合を除去することができるが、しばしば、一部の溶媒粒子が、最終生成物内に居座るか、またはそこで固まったまま残るであろう。これは、用いられる可溶化成分が他の溶媒成分よりも重い場合に特に起こりやすく、これは、それらが他の比較的軽い溶媒成分よりもゆっくりと、乾燥サポニン生成物から拡散するからである。ガス浄化は、これらの捕捉された粒子が乾燥サポニン生成物から分散して出て行くことを可能にする。
典型的に、必要ではないが、乾燥サポニン生成物は、パルスサイクルの開始時に、清浄な真空チャンバーへと移されるであろう。続いて、乾燥サポニン生成物を、真空から窒素豊富な条件へとチャンバー条件を変化させることからなるサイクルに曝露する。任意により、乾燥サポニン生成物を、2回以上のそのようなサイクルに曝露することができる。例えば、1〜10回程度のそのようなサイクルを用いることができる。しかしながら、任意により、10回を超えるパルスサイクルを用いることができる。しかし、典型的には、4〜8回のそのようなサイクルが行なわれる。例えば、一実施形態では、7回のそのようなサイクルが行なわれる。任意により、このサイクル実施は、20℃超のシェルフ温度(shelf temperature)で行なうことができる。例えば、30℃超のシェルフ温度を用いることができる。一部の実施形態では、このサイクル実施は、34℃で行なわれる。
最初に、清浄真空中の乾燥サポニン生成物を、約50マイクロバールの圧力などの真空条件に曝露する。圧力はさらに低下させることができるが、そうすることは、ガス浄化の効率に対してほとんど影響を及ぼさない。同様に、100マイクロバール未満の任意の圧力が好適である。所望の圧力設定値に到達したら、少なくとも20分間、真空を維持するべきである。典型的には、真空圧力は、約30分間維持されるであろう。真空圧力の付加に続いて、チャンバー中の真空圧力を、外気に代わって窒素などの乾燥ガスを用いて解放する。このことは、湿気の形で空気に由来する水がサンプル中にさらに吸収されることを防止する。同様に、完全に乾燥したガスは、サンプルからの粒子脱着が生じ得る自由空間をさらに有するであろう。乾燥ガスは、700マイクロバール超の圧力に達するまで、システムに入れられるべきであろう。典型的には、約800マイクロバールの圧力が用いられる。しかしながら、大気圧を超える任意の圧力が好適である。これらの条件は、約5分間維持される。これは、パルスサイクルを表わす。典型的には、7回のこれらのパルスサイクルを1ロットで行なって、その後に生成物排出が続く。
例示的なパルスサイクル手順はまた、下記の実施例にも記載および詳述されている。実施例に記載される手順は例としてのみ含められること、および任意の水不含ガスまたは2種以上の水不含ガスの任意の組み合わせを、窒素の代わりに用いることができるであろうことが理解されるべきである。温度、圧力、またガスおよび真空曝露の長さなどの他の言及された手順のパラメータでのいくぶんかの変化は、それでもなお、同じかまたは同様の品質のガス乾燥サポニン生成物を生じ得るであろうこともまた、理解されるべきである。
開示される方法により作製される精製QS-21
本開示はまた、本明細書中に開示される方法に従って作製される高度に精製されたQS-21にも関する。これらの方法により精製されたキラヤサポニンQS-21は、必要とされる凍結乾燥の回数が1回まで減少しているので、他の方法により作製されるものよりも均質である。さらに、1回の凍結乾燥およびQS-21精製の現行の方法の半分の時間しか必要としないにもかかわらず、本方法により精製されるQS-21は、50ppm未満のアセトニトリルおよび2重量%未満の水を含み得る。したがって、本方法は、既存の方法が必要とするよりも短い時間で、既存の方法から得られる精製QS-21よりも均質であり、かつ少ない残留溶媒を含む精製QS-21生成物の作製を可能にする。
さらに、その低い毒性および抗原に対する強力なTh1およびTh2型免疫応答ならびに一部のタンパク質に対する穏やかな細胞毒性Tリンパ球(CTL)応答を誘導する能力から生じるQS-21の大きな薬理学的価値を考えると、本開示はまた、免疫原性組成物中のアジュバントとしての、開示される方法により得られる高度に精製されたQS-21サポニンの使用にも関する。その上、アジュバントとしてQS-21を用いる場合に注入部位でQS-21により引き起こされ得る考えられる壊死が、コレステロールを含有する製剤の使用により回避できるからである。本開示はさらに、コレステロール、他の脂質および/または3D-MPLとの組み合わせでの、開示される方法により精製されたQS-21の使用に関する。
植物材料からのサポニンQS-21の精製
アセトニトリルを含む溶媒中の精製QS-21の溶液は、先行技術(例えば、米国特許第6231858号または同第6524584号)で周知の方法を用いて、キラヤ・サポナリア(Quillaja saponaria)の水性抽出物から調製することができる。
溶媒交換
植物材料からの精製に続いて、溶媒交換を行なった。20g/L超のQS-21の濃度での、60%(体積/体積)アセトニトリル、40%水からなる溶媒混合物中のQS-21溶液を、約18%(体積/体積)のアセトニトリルおよび82%の水からなる4倍量の溶媒に対して、1000ダルトン分子量カットオフ膜を通して、限外ろ過ユニット(約2.5barの膜横断圧力、室温)を用いて透析ろ過した(Millipore Pellicon 2 P2PLAからの1000Da再生セルロースをここで用いた)。続いて保持液(retentate)を回収し、逆相HPLC分析によりQS-21含有量について分析し、約18%(体積/体積)のアセトニトリルおよび82%の水からなる溶媒を添加することにより、約18g/Lの最終QS-21濃度まで希釈した。
溶媒除去
溶媒交換に続いて、溶媒除去を行なった。凍結乾燥シェルフを−56℃まで凍結させ、−45℃のシェルフ温度(shelf temperature)および570μbarにて15時間の一次乾燥、および−15℃のシェルフ温度および200μbarにて64時間の第2の一次乾燥セグメントを行なうことにより、QS-21溶液を凍結乾燥させた。この後に、34℃のシェルフ温度および200μbarにて10時間の二次乾燥ステップ、34℃のシェルフ温度および100μbarにて12時間の引き続く二次乾燥セグメントおよび34℃のシェルフ温度および50μbarにて12時間の第3の二次乾燥セグメントが続いた。
パルスサイクル
溶媒蒸発に続いて、パルスサイクルを行なった。凍結乾燥QS-21を清浄な真空チャンバーに移し、チャンバー条件を真空(30分間、50μbar)から窒素豊富条件(5分間、800mbar)へと変化させることからなるサイクルを、続いて、34℃のシェルフ温度で7回行なって、凍結乾燥QS-21からアセトニトリルを脱着(desorb)させた。
開示された方法に従う実施例中に上記された技術に従って、ガス浄化された乾燥サポニン生成物を作製した。
上記の表1は、開示された方法により作製されたサポニン生成物中の残留水およびアセトニトリル含有量を表わす(試験番号1、サンプルAおよびB)。サンプル中の残留アセトニトリルの量は、HPLCによって測定した。サンプル中の残留水の量は、カール・フィッシャー測定によって測定した。試験された両方のサンプルは、50ppm未満のアセトニトリルおよび2%未満の残留水の含有量を含んだ。

Claims (22)

  1. 以下のステップ:
    (a)可溶化成分を含む第1の溶媒中の少なくとも1種のサポニンを提供するステップ;
    (b)該可溶化成分の少なくとも一部を透析ろ過、限外ろ過または透析のうちの1つ以上によって交換溶媒に置き換え、それにより置き換えられた溶媒を生成させるステップ;および
    (c)置き換えられた溶媒を除去して少なくとも1種のサポニンを含む乾燥サポニン生成物を生成させるステップ
    を含み、
    前記第1の溶媒が、少なくとも部分的に精製されたQS-21を含み、かつ少なくとも22%体積/体積のアセトニトリルを含み、前記置き換えられた溶媒が21%体積/体積以下のアセトニトリルを含む、溶液中の少なくとも1種のサポニンを精製するための方法。
  2. ステップ(a)の可溶化成分を含む溶媒が、完全にまたは部分的に、前記少なくとも1種のサポニンを前記溶媒に分散させる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第1の溶媒が、30%〜65%体積/体積のアセトニトリルを含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記第1の溶媒が、40%〜62%体積/体積のアセトニトリルを含む、請求項3に記載の方法。
  5. 前記第1の溶媒が、58%〜62%体積/体積のアセトニトリルを含む、請求項4に記載の方法。
  6. 同一体積または同一でない体積の前記第1の溶媒を交換溶媒に交換することにより、前記可溶化成分の少なくとも一部を置き換えるステップを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記置き換えられた溶媒が15%〜21%体積/体積のアセトニトリルを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 半透性(semi-permeable)格納容器を含むシステムで、前記可溶化成分の前記少なくとも一部を置き換えるステップを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記半透性格納容器が選択的に透過性であり、それにより、前記少なくとも1種の溶媒成分が該容器の透過性部分を通過し、少なくとも1種のサポニンは保持される、請求項8に記載の方法。
  10. 前記半透性格納容器が単独の(single)半透膜を含む、請求項8または9に記載の方法。
  11. 前記可溶化成分の少なくとも一部を置き換えるステップが、前記少なくとも1種のサポニンおよび第1の溶媒を含む前記半透性格納容器を交換溶媒中に浸漬させるステップならびに前記膜により隔てられた前記溶媒同士を拡散により平衡に到達させるステップにより達成される、請求項10に記載の方法。
  12. 前記半透性格納容器が、半透性構造により囲まれている水路(channel)を含む、請求項8〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記水路が、溶媒中に前記少なくとも1種のサポニンを含む溶液に対して完全に透過性である、請求項12に記載の方法。
  14. 前記水路が前記格納容器の内側を構成し、該水路と接触していない前記半透性構造のいずれかの部分が該格納容器の外側を構成する、請求項12に記載の方法。
  15. 前記容器の外側に対して陽圧で、該格納容器の前記水路を通って前記少なくとも1種のサポニンおよび第1の溶媒を移動させ、それにより該溶液の少なくとも1つの成分を該格納容器の前記半透性部分を通って移動させるようにする、請求項14に記載の方法。
  16. 前記格納容器の内側に交換溶媒を添加することにより前記可溶化成分の少なくとも一部を該交換溶媒に置き換えるステップを含む、請求項15に記載の方法。
  17. 前記半透性格納容器が、半透膜により隔てられた第1の区画および第2の区画を含む非透過性収容部を含む、請求項8〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記少なくとも1種のサポニンおよび第1の溶媒を、前記格納容器の前記第1の区画に入れるステップを含む、請求項17に記載の方法。
  19. 前記格納容器の前記第1の区画を前記第2の区画に対して陽圧にして、それにより前記溶液の前記少なくとも1種の成分を該格納容器の前記半透性部分を通って移動させるステップを含む、請求項18に記載の方法。
  20. 前記容器の前記第1の区画に交換溶媒を添加することにより、前記可溶化成分の少なくとも一部を交換溶媒に置き換えるステップを含む、請求項18または19に記載の方法。
  21. 凍結乾燥、熱曝露またはロータリーエバポレーションのうちの1つ以上により、前記置き換えられた溶媒を除去するステップを含む、請求項1に記載の方法。
  22. 前記除去ステップを少なくとも1回繰り返すステップを含む、請求項21に記載の方法。
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