以下、本発明に係る運搬用容器を、運搬用容器1に適用した実施形態(第1実施形態)に基づいて、図面を参照しつつ詳細に説明する。
(第1実施形態)
先ず、第1実施形態に係る運搬用容器1の構成について、図1〜図10を参照しつつ説明する。図1、図2に示すように、第1実施形態に係る運搬用容器1は、軽量シート材(例えば、プラスチック気泡ボード、プラスチック段ボール、プラスチックハニカムボード、プラスチック発泡ボード等)からなる容器基体10と、補強アングル材20と、硬質プラスチックにより一体成型され、当該運搬用容器1の角部分に配設されたコーナー部材30とを有しており、上方が開放された直方体状の箱体(コンテナ)を構成する。
図3、図4に示すように、第1実施形態においては、容器基体10は、略長方形状に形成され、運搬用容器1の底面を構成する底部11と、当該底部11の長辺側に連結されている長手側壁部12と、当該底部11における短辺側に連結されている短手側壁部13とを有しており、上述したように、軽量シート材により構成されている。
図1〜図4に示すように、長手側壁部12は、底部11の長辺に沿って折り曲げることにより、運搬用容器1の長手側の側面を構成する。そして、短手側壁部13は、底部11の短辺に沿って折り曲げることにより、運搬用容器1における短手側の側面を構成する。
そして、底部11、長手側壁部12、短手側壁部13により構成される各角部分には、切欠部15が、容器基体10の一部(底部11、長手側壁部12、短手側壁部13の一部)を切り欠いて形成されている(図3、図4参照)。運搬用容器1を構成した場合、当該切欠部15には、後述するコーナー部材30の下端縁に形成された支持部36が配置される(図2等参照)。
そして、各長手側壁部12、各短手側壁部13の上端縁には、補強アングル材20が配設されている。補強アングル材20は、断面逆U字状を為す材軸方向に長い鋼材であり、長手側壁部12、短手側壁部13を折り曲げた場合の上端となる端縁を覆うように配設されている。従って、補強アングル材20は、運搬用容器1の側面を構成する長手側壁部12及び短手側壁部13の剛性を高めることができる。
図5、図6に示すように、第1実施形態に係る運搬用容器1において、各コーナー部材30は、硬質プラスチックにより水平断面略Lの字状に一体成型され、運搬用容器1における短手側側面と長手側側面により構成される角部分を構成する。そして、各コーナー部材30は、長手側壁部12の端部を保持する側壁挿入溝31と、短手側壁部13の端部を保持する側壁挿入溝31と、突起部34と、支持部36とを有している。
第1実施形態においては、コーナー部材30における両側端面(即ち、長手側壁部12、短手側壁部13側に位置するコーナー部材30の端面)には、側壁挿入溝31が、夫々形成されている(図6参照)。各側壁挿入溝31は、コーナー部材30における側端面において、運搬用容器1の内側に位置する内側保持片32と、運搬用容器1の外側に位置する外側保持片33とによって形成されており、運搬用容器1の上下方向に延びている。
尚、長手側壁部12の端部を保持する側壁挿入溝31と、短手側壁部13の端部を保持する側壁挿入溝31の構成は、同一の構成である。そして、各側壁挿入溝31において、内側保持片32と外側保持片33との間隔は、容器基体10の長手側壁部12、短手側壁部13を構成する軽量シート材の厚みと同等となるように形成されており、夫々、側壁挿入溝31内に長手側壁部12、短手側壁部13の端縁を挿入可能に構成されている(図6〜図8参照)。従って、当該内側保持片32は、外側保持片33と協働することで、側壁挿入溝31内に挿入された側壁部の端部を、所定位置に保持する機能を果たす。
そして、第1実施形態において、各内側保持片32は、いずれも側壁挿入溝31の上部に延出補強部32Aを有している。延出補強部32Aは、内側保持片32における他の部分(運搬用容器1の高さ方向中段部分)よりも、より突出するように形成されている。従って、延出補強部32Aは、外側保持片33と協働することで、側壁挿入溝31内に挿入された側壁部の端部を、より確実に保持する機能を果たす。そして、側壁挿入溝31の上部に形成された延出補強部32Aは、後述するアングル保持部35の先端と、内側保持片32における他の部分の先端とを繋ぐように形成されている。従って、側壁挿入溝31の上部に位置する延出補強部32Aは、アングル保持部35の補強として機能する。又、延出補強部32Aは、補強として機能することで、コーナー部材30に要する最低限の強度を維持しつつ、当該コーナー部材30の軽量化に寄与し得る。更に、各コーナー部材30の軽量化に伴い、運搬用容器1の軽量化に貢献し得る。
内側保持片32の先端部分には、傾斜部32Bが、前記延出補強部32Aの下方に形成されており、傾斜部32Bは、当該内側保持片32の先端部分に向かうにつれて、内側保持片32の外表面(運搬用容器1の内側に位置する面)が側壁挿入溝31の内側に近づくように傾斜している(図5〜図8参照)。従って、側壁挿入溝31に対して、長手側壁部12、短手側壁部13を挿入した場合において、容器基体10の側壁部表面と内側保持片32との間に形成される段差を、傾斜部32Bによって小さくすることができ、収容作業時における引っ掛かりの発生を低減し得る。
図5〜図8に示すように、外側保持片33の先端部分には、傾斜部33Bが、先端部分全体にわたって形成されている。当該傾斜部33Bは、当該外側保持片33の先端部分に向かうにつれて、外側保持片33の外表面(運搬用容器1の外側に位置する面)が側壁挿入溝31の内側に近づくように傾斜している。従って、側壁挿入溝31に対して、長手側壁部12、短手側壁部13を挿入した場合において、容器基体10の側壁部表面と外側保持片33との間に形成される段差を、傾斜部33Bによって小さくすることができ、段積み作業や運搬作業時における引っ掛かりの発生を低減し得る。
各コーナー部材30の上面には、突起部34が、当該コーナー部材30の角部分において外縁に沿って突出形成されている(図5、図6等参照)。当該突起部34は、運搬用容器1を段積みした場合に、上方に段積みされた運搬用容器1におけるコーナー部材30の支持部36の外側に位置する(図10参照)。更に、第1実施形態においては、各コーナー部材30の上面には、側壁挿入溝31の深さに対応したスリット部が形成されており、側壁挿入溝31の一部として機能し得るように構成されている。
図6、図7に示すように、各側壁挿入溝31の上部には、アングル保持部35がそれぞれ形成されている。各アングル保持部35は、内側保持片32における他の部分(運搬用容器1の下部)より先端側へ延出しており、夫々、補強アングル材20の端部を挿入可能に形成されている。従って、当該運搬用容器1においては、側壁挿入溝31に対して、容器基体10における側壁部(長手側壁部12、短手側壁部13)の端部を挿入すると同時に、側壁部の端縁に配設された補強アングル材20を、アングル保持部35に挿入することができる。この時、アングル保持部35に対して、補強アングル材20を深く挿入することができるので、補強アングル材20の保持部分を長くすることができ、アングル保持部35による補強アングル材20の保持力を高めることができる。
又、側壁挿入溝31の上部に形成されるアングル保持部35を先端側に延出するので、コーナー部材30の上面の面積を大きくすることができる。即ち、当該運搬用容器1を段積みした場合に、段積みした運搬用容器1の荷重を、硬質プラスチック製のコーナー部材30によって、広い面積をもって受けることができ、運搬用容器1を安定して段積みすることができる。
更に、上述したように、アングル保持部35の下方に連続するように、延出補強部32Aが形成されているので、容器基体10の長手側壁部12、短手側壁部13と、補強アングル材20を同時に覆う部分を増やすことができる。即ち、当該運搬用容器1は、延出補強部32Aとアングル保持部35の協働により、長手側壁部12、短手側壁部13、補強アングル材20を、より確実に保持することができる。
各コーナー部材30の下端縁には、支持部36が、運搬用容器1の角部分にあたるコーナー部材30の下端縁から下方に突出するように形成されている。図2、図7、図8等に示すように、各支持部36は、運搬用容器1を組み立てた場合に、上述した容器基体10に形成された切欠部15内にそれぞれ配置され、当該運搬用容器1を支持している。そして、この時、コーナー部材30の下端における支持部36下面は、容器基体10の底部11下面と同一面上に位置する。従って、当該運搬用容器1によれば、運搬用容器1の底面に突出した部分が形成されることがないため、この場合においても引っ掛かりが生じる虞を低減し得る。
コーナー部材30の上端面には、係合凹部37が、コーナー部材30の上端面から下方に向かう凹状に形成されており、その下部には、運搬用容器1の外側面に向かって開口された開口部を有している。当該係合凹部37は、別部材に形成された係合凸部を、当該係合凹部37に対して挿入することで、別部材を所定位置に係合保持する。
図5、図6に示すように、当該コーナー部材30は、複数の基体固定部38を有している。基体固定部38は、夫々、長手側壁部12及び短手側壁部13に係る側壁挿入溝31、アングル保持部35近傍に形成されており、当該基体固定部38を利用した溶着、ネジ止め或いはリベット止めによって、長手側壁部12、短手側壁部13、補強アングル材20を強固に固定している。
以上のように構成することによって、運搬用容器1の短手側面、長手側面の何れにおいても、各コーナー部材30の間に、長手側壁部12、短手側壁部13を保持している為、当該運搬用容器1によれば、容器基体10のサイズを変更することで、当該運搬用容器1における短手方向及び長手方向の寸法を変更することができる。即ち、当該運搬用容器1によれば、収容物のサイズ等の種々の事情に応じたサイズの運搬用容器を、容器基体10を変更するだけで提供することができ、当該運搬用容器1の利便性を高め得る。
又、各コーナー部材30の側壁挿入溝31は、内側保持片32、外側保持片33により構成されており、当該側壁挿入溝31に挿入された長手側壁部12、短手側壁部13の端縁を挟持している。従って、容器基体10における長手側壁部12や短手側壁部13に対して外力が作用した場合でも、当該運搬用容器1によれば、長手側壁部12等を、内側保持片32、外側保持片33によって保持することができ、容器基体10とコーナー部材30が分離することを防止することができる。
図2等に示すように、運搬用容器1の角部分に形成された切欠部15に、各コーナー部材30の支持部36を嵌合させるようにして配置しているので、当該運搬用容器1によれば、容器基体10に対して、各コーナー部材30を適正な位置に配置し得る。又、容器基体10と各コーナー部材30の配置を適正な位置にすることで、長手側壁部12、短手側壁部13を、コーナー部材30の側壁挿入溝31によって、適正に保持し得る。
図2、図10に示すように、容器基体10の底部11下面と、各コーナー部材30の支持部36の下面が同一面上に位置する。従って、運搬用容器1の底面に突出した部分が形成されることはなく、段積み等の種々の作業を行う上で、引っ掛かることはない。この結果、当該運搬用容器1によれば、引っ掛かり等による作業の妨げになることがないので、段積みや運搬等の種々の作業における利便性を高めることができる。
各コーナー部材30において、側壁挿入溝31における内側保持片32上部に、延出補強部32Aが形成されているので、長手側壁部12、短手側壁部13を、側壁挿入溝31により深く挿入された状態で保持することができる。従って、当該運搬用容器1によれば、内側保持片32に延出補強部32Aを形成することにより、容器基体10の側壁部を、より強固に保持することができる。
側壁挿入溝31の内側保持片32において、傾斜部32Bが、延出補強部32Aの下方に形成されており、当該内側保持片32の先端部分に向かうにつれて、内側保持片32の外表面(運搬用容器1の内側に位置する面)が側壁挿入溝31の内側に近づくように傾斜している(図5〜図8参照)。この結果、容器基体10の側壁部表面と内側保持片32との間に形成される段差を、傾斜部32Bによって小さくすることができるので、運搬用容器1は、収容作業時における引っ掛かりの発生を低減し得る。
一方、外側保持片33の先端部分には、傾斜部33Bが、先端部分全体にわたって形成されている。当該傾斜部33Bは、当該外側保持片33の先端部分に向かうにつれて、外側保持片33の外表面(運搬用容器1の外側に位置する面)が側壁挿入溝31の内側に近づくように傾斜している。従って、容器基体10の側壁部表面と外側保持片33との間に形成される段差を、傾斜部33Bによって小さくすることができるので、当該運搬用容器1は、段積み作業や運搬作業時における引っ掛かりの発生を低減し得る。
各側壁挿入溝31の上部には、アングル保持部35がそれぞれ形成されており、補強アングル材20の端部を挿入可能に形成されている。従って、当該運搬用容器1よれば、側壁挿入溝31に対して、容器基体10における側壁部(長手側壁部12、短手側壁部13)の端部を挿入すると同時に、側壁部の端縁に配設された補強アングル材20を、アングル保持部35に挿入することができる。
又、第1実施形態に係る運搬用容器1を段積みした場合、図9、図10に示すように、下方の運搬用容器1におけるコーナー部材30の突起部34は、上方の運搬用容器1におけるコーナー部材30の下面(支持部36の周囲)に接触し、コーナー部材30の上面によって、上方の運搬用容器1を支持する。上方の運搬用容器1における支持部36が下方の運搬用容器1における突起部34の内側に沿って配置される為、当該運搬用容器1によれば、段積みした場合の位置ずれを更に防止し得る(図10参照)。又、硬質プラスチックによって形成されたコーナー部材30の上端面及び下面に接触して支持されている為、運搬用容器1を段積みした場合において、上方に位置する運搬用容器1による荷重を、硬質プラスチック製のコーナー部材30によって受けることができる。
以上説明したように、第1実施形態に係る運搬用容器1は、軽量シート材により形成された容器基体10と、硬質プラスチック製のコーナー部材30を有しており、上方が開放された箱体状に構成されている(図1、図2参照)。各コーナー部材30は、内側保持片32と外側保持片33とからなる側壁挿入溝31を有しており、前記容器基体10の側壁部(長手側壁部12、短手側壁部13)における端縁全体を保持している。これにより、当該運搬用容器1によれば、各コーナー部材30の間に配置される容器基体10のサイズを、水平方向に関して自在に変更可能となるので、運搬用容器1のサイズに関する利便性を高め得る。
そして、当該運搬用容器1におけるコーナー部材30において、側壁挿入溝31は、コーナー部材30の上下方向に延びる内側保持片32と外側保持片33により構成され、当該内側保持片32と外側保持片33との間に、運搬用容器1の側壁部を保持している。これにより、コーナー部材30における容器基体10の側壁部の保持を、側壁挿入溝31を構成する内側保持片32、外側保持片33によって、側壁部の端縁全体にわたって行うことができるので、容器基体10とコーナー部材30の接合を確実に行うことができ、利便性を高めることができる。
各コーナー部材30は、当該運搬用容器1の角部分に形成された容器基体10の切欠部15において前記底部11に対して垂直に立設され、前記容器基体10の側壁部を保持している。従って、当該運搬用容器1によれば、容器基体10に形成された切欠部15に、コーナー部材30の支持部36を嵌合させて配置することで、各コーナー部材30を適正な位置に配置することができ、もって、容器基体10の側壁部の保持を適正な状態で行うことができる。
又、前記コーナー部材30は、前記側壁挿入溝31における内側保持片32の上部に、延出補強部32Aを有しており、当該延出補強部32Aは、当該内側保持片32の先端を更に延出して構成されている。従って、当該運搬用容器1によれば、コーナー部材30の側壁挿入溝31に対して、容器基体10の側壁部を、より深く挿入した状態で保持することができ、より強固に保持して利便性を高めることができる。
各コーナー部材30の側壁挿入溝31において、前記外側保持片33の先端部分全体に、傾斜部33Bを有しており、当該傾斜部33Bは、前記外側保持片33における先端部分に向かうにつれて、容器基体10の表面に近づくように傾斜している。従って、当該運搬用容器1によれば、外側保持片33と容器基体10の表面との間に形成される段差を小さくすることができ、段差による引っ掛かり等の発生を抑制し、運搬作業等における利便性を高め得る。
更に、前記コーナー部材30は、前記側壁挿入溝31の上端部分に、アングル保持部35を有しており、アングル保持部35には、運搬用容器1の開口縁を構成する前記容器基体10における側壁部の端縁に沿って配設された補強アングル材20が挿入される。これにより、運搬用容器1の開口縁に、補強アングル材20を配置することができるので、運搬用容器1の開口縁の剛性を高めることができる。又、当該運搬用容器1を段積みした場合等、運搬用容器1の開口縁に対して、鉛直方向に作用する荷重に十分に対抗し得る。
(第2実施形態)
次に、上述した第1実施形態と異なる実施形態(第2実施形態)について、図11〜図13を参照しつつ詳細に説明する。図11に示すように、第2実施形態に係る運搬用容器1は、第1実施形態に係る運搬用容器1と同様に、軽量シート材からなる容器基体10と、補強アングル材20と、硬質プラスチックにより一体成型され、当該運搬用容器1の角部分に配設されたコーナー部材30とを有しており、上方が開放された直方体状の箱体を構成する。
第2実施形態に係る運搬用容器1は、第1実施形態に係る運搬用容器1を基準として約3倍の高さを有するように構成されており、高さの点において、容器基体10、コーナー部材30の構成が相違する。従って、第1実施形態と同一の構成については、その説明を省略し、相違点に係る構成について、詳細に説明する。
そして、第2実施形態に係る容器基体10は、軽量シート材により構成されており、運搬用容器1の底面を構成する略長方形状の底部11と、当該底部11の長辺側に連結されている長手側壁部12と、当該底部11における短辺側に連結されている短手側壁部13とを有している。尚、第2実施形態に係る容器基体10において、長手側壁部12、短手側壁部13は、第1実施形態に係る運搬用容器1の約3倍の高さを有するように形成されている。
又、底部11、長手側壁部12、短手側壁部13により構成される各角部分には、切欠部15が、容器基体10の一部(底部11、長手側壁部12、短手側壁部13の一部)を切り欠いて形成されている。運搬用容器1を構成した場合、当該切欠部15には、後述するコーナー部材30の下端縁に形成された支持部36が配置される(図11参照)。
各長手側壁部12、各短手側壁部13の上端縁には、第1実施形態と同様に、補強アングル材20が配設されており、運搬用容器1の側面を構成する長手側壁部12及び短手側壁部13の剛性を高めている。又、各長手側壁部12及び各短手側壁部13の上側部分には、持ち手孔14が形成されている。当該持ち手孔14は、第2実施形態に係る運搬用容器1の長手側側面、短手側側面に位置し、段積み作業や運搬作業時に作業者によって把持される部分である。
そして、第2実施形態に係る各コーナー部材30は、図12、図13に示すように、硬質プラスチックにより水平断面略Lの字状に一体成型され、運搬用容器1における短手側側面と長手側側面により構成される角部分を構成する。そして、各コーナー部材30は、第1実施形態の約3倍の高さ寸法で形成されており、長手側壁部12の端部を保持する側壁挿入溝31と、短手側壁部13の端部を保持する側壁挿入溝31と、突起部34と、支持部36とを有している。
第2実施形態におけるコーナー部材30においても、側壁挿入溝31は、コーナー部材30における両側端面(即ち、長手側壁部12、短手側壁部13側に位置するコーナー部材30の端面)において、内側保持片32と外側保持片33によって形成されており、運搬用容器1の上下方向に延びている(図13参照)。
図13に示すように、第2実施形態における内側保持片32は、その先端部分における上部及び下部に、延出補強部32Aを有すると同時に、上下の延出補強部32Aの間に、傾斜部32Bを有している。延出補強部32Aは、内側保持片32における他の部分(運搬用容器1の高さ方向中段部分)よりも、より突出するように形成されており、側壁挿入溝31内に挿入された側壁部の端部を、より確実に保持する。そして、側壁挿入溝31の上部に形成された延出補強部32Aは、後述するアングル保持部35の先端と、内側保持片32における他の部分の先端とを繋ぐように形成されている。従って、側壁挿入溝31の上部に位置する延出補強部32Aは、アングル保持部35の補強として機能する。又、延出補強部32Aは、補強として機能することで、コーナー部材30に要する最低限の強度を維持しつつ、当該コーナー部材30の軽量化に寄与し得る。更に、各コーナー部材30の軽量化に伴い、運搬用容器1の軽量化に貢献し得る。
傾斜部32Bは、当該内側保持片32の先端部分に向かうにつれて、内側保持片32の外表面(運搬用容器1の内側に位置する面)が側壁挿入溝31の内側に近づくように傾斜している(図13参照)。従って、傾斜部32Bによって、容器基体10の側壁部表面と内側保持片32との間に形成される段差を小さくすることができるので、当該運搬用容器1は、収容作業時における引っ掛かりの発生を低減し得る。
第2実施形態においても、各コーナー部材30の上面には、突起部34が、当該コーナー部材30の角部分において外縁に沿って突出形成されている(図11〜図13参照)。当該突起部34は、運搬用容器1を段積みした場合に、上方に段積みされた運搬用容器1におけるコーナー部材30の支持部36の外側に位置し、段積みした場合に、上方に段積みされた運搬用容器1の位置ずれを更に防止し得る。
そして、第2実施形態に係るコーナー部材30においても、側壁挿入溝31の上部に、アングル保持部35が内側保持片32における他の部分(運搬用容器1の下部)より先端側へ延出しており、夫々、補強アングル材20の端部を挿入可能に形成されている。従って、図11に示すように、当該運搬用容器1においては、側壁挿入溝31に対して、容器基体10における側壁部(長手側壁部12、短手側壁部13)の端部を挿入すると同時に、側壁部の端縁に配設された補強アングル材20を、アングル保持部35に挿入することができる。この時、アングル保持部35に対して、補強アングル材20を深く挿入することができるので、補強アングル材20の保持部分を長くすることができ、アングル保持部35による補強アングル材20の保持力を高めることができる。
又、側壁挿入溝31の上部に形成されるアングル保持部35を先端側に延出するので、コーナー部材30の上面の面積を大きくすることができる。即ち、当該運搬用容器1を段積みした場合に、段積みした運搬用容器1の荷重を、硬質プラスチック製のコーナー部材30によって、広い面積をもって受けることができ、運搬用容器1を安定して段積みすることができる。
更に、上述したように、アングル保持部35の下方に連続するように、延出補強部32Aが形成されているので、容器基体10の長手側壁部12、短手側壁部13と、補強アングル材20を同時に覆う部分を増やすことができる。即ち、当該運搬用容器1は、延出補強部32Aとアングル保持部35の協働により、長手側壁部12、短手側壁部13、補強アングル材20を、より確実に保持することができる。
第2実施形態においても、各コーナー部材30の下端縁には、支持部36が、運搬用容器1の角部分にあたるコーナー部材30の下端縁から下方に突出するように形成されている。図11〜図13に示すように、各支持部36は、運搬用容器1を組み立てた場合に、上述した容器基体10に形成された切欠部15内にそれぞれ配置され、当該運搬用容器1を支持している。
図12、図13に示すように、第2実施形態に係るコーナー部材30も、長手側壁部12及び短手側壁部13に係る側壁挿入溝31、アングル保持部35近傍に、複数の基体固定部38を有している。これにより、当該基体固定部38を利用した溶着、ネジ止め或いはリベット止めによって、長手側壁部12、短手側壁部13、補強アングル材20を強固に固定している。
以上説明したように、第2実施形態に係る運搬用容器1は、第1実施形態と同様に、軽量シート材により形成された容器基体10と、硬質プラスチック製のコーナー部材30を有しており、第1実施形態の約3倍の高さを有する上方が開放された箱体状に構成されている(図11参照)。そして、各コーナー部材30は、第1実施形態の約3倍の高さを有して構成されており、内側保持片32と外側保持片33とからなる側壁挿入溝31を有している。当該側壁挿入溝31は、第2実施形態においても、容器基体10の側壁部(長手側壁部12、短手側壁部13)が挿入されると、内側保持片32と外側保持片33の間に、前記容器基体10の側壁部における端縁全体を保持し得る。
これにより、当該運搬用容器1によれば、第1実施形態よりも高さを有する構成であって、各コーナー部材30の間に配置される容器基体10のサイズを、水平方向に関して自在に変更可能となるので、運搬用容器1のサイズに関する利便性を高め得る。
第2実施形態においても、各コーナー部材30は、第1実施形態と同様に、当該運搬用容器1の角部分に形成された容器基体10の切欠部15において前記底部11に対して垂直に立設され、前記容器基体10の側壁部を保持している(図11参照)。従って、当該運搬用容器1によれば、容器基体10に形成された切欠部15に、コーナー部材30の支持部36を嵌合させて、各コーナー部材30を適正な位置に配置することができ、もって、容器基体10の側壁部の保持を適正な状態で行うことができる。
第2実施形態に係るコーナー部材30は、図13に示すように、前記側壁挿入溝31における内側保持片32の上部及び下部に、延出補強部32Aを有しており、当該延出補強部32Aは、当該内側保持片32の先端を更に延出して構成されている。従って、当該運搬用容器1によれば、コーナー部材30の側壁挿入溝31に対して、容器基体10の側壁部を、より深く挿入した状態で保持することができ、より強固に保持して利便性を高めることができる。
又、第2実施形態においては、各コーナー部材30の側壁挿入溝31において、前記内側保持片32の先端部分に、傾斜部32Bを有しており、当該傾斜部32Bは、前記内側保持片32における先端部分に向かうにつれて、容器基体10の表面に近づくように傾斜している。従って、当該運搬用容器1によれば、内側保持片32と容器基体10の表面との間に形成される段差を小さくすることができる。これにより、収容物を収容する際に、収容物が当該段差に引っ掛かることを抑制することができ、運搬作業等における利便性を高め得る。
更に、第2実施形態に係るコーナー部材30は、第1実施形態と同様に、前記側壁挿入溝31の上端部分に、アングル保持部35を有しており、アングル保持部35には、運搬用容器1の開口縁を構成する前記容器基体10における側壁部の端縁に沿って配設された補強アングル材20が挿入される。これにより、運搬用容器1の開口縁に、補強アングル材20を配置することができるので、運搬用容器1の開口縁の剛性を高めることができる。又、当該運搬用容器1を段積みした場合等、運搬用容器1の開口縁に対して、鉛直方向に作用する荷重に十分に対抗し得る。
(第3実施形態)
次に、上述した第1実施形態、第2実施形態と異なる実施形態(第3実施形態)について、図14〜図17を参照しつつ詳細に説明する。第3実施形態に係る運搬用容器1は、第1実施形態に係る各コーナー部材30の上部に、上部コーナー部材40を追加することによって、第1実施形態に係る運搬用容器1の約2倍の高さを有する運搬用容器1を構成している。
図14に示すように、第3実施形態に係る運搬用容器1は、軽量シート材からなる容器基体10と、補強アングル材20と、硬質プラスチックにより一体成型され、当該運搬用容器1の角部分に配設されたコーナー部材30と、コーナー部材30の上部に連結可能に構成された上部コーナー部材40とを有しており、第1実施形態、第2実施形態と同様に、上方が開放された直方体状の箱体を構成する。
第3実施形態において、容器基体10は、軽量シート材により構成されており、運搬用容器1の底面を構成する略長方形状の底部11と、当該底部11の長辺側に連結されている長手側壁部12と、当該底部11における短辺側に連結されている短手側壁部13とを有している。尚、第3実施形態に係る容器基体10において、長手側壁部12、短手側壁部13は、第1実施形態に係る運搬用容器1の約2倍の高さを有するように形成されている。
又、底部11、長手側壁部12、短手側壁部13により構成される各角部分には、切欠部15が、第1実施形態と同様に、容器基体10の一部(底部11、長手側壁部12、短手側壁部13の一部)を切り欠いて形成されている。そして、各長手側壁部12、各短手側壁部13の上端縁には、補強アングル材20が配設されており、運搬用容器1の側面を構成する長手側壁部12及び短手側壁部13の剛性を高めている。
第3実施形態に係るコーナー部材30は、第1実施形態と同一の構成であり、硬質プラスチックにより水平断面略Lの字状に一体成型され、運搬用容器1における短手側側面と長手側側面により構成される角部分を構成する。そして、各コーナー部材30は、第1実施形態と同様に、長手側壁部12の端部を保持する側壁挿入溝31と、短手側壁部13の端部を保持する側壁挿入溝31と、支持部36と、係合凹部37とを有している。第1実施形態に係るコーナー部材30と同様の構成であるので、第3実施形態に係るコーナー部材30の詳細な構成については、その説明を省略する。
上述したように、第3実施形態に係る運搬用容器1においては、各コーナー部材30の上部に、上部コーナー部材40を連結することで、長手側壁部12、短手側壁部13を保持している(図14参照)。続いて、第3実施形態に係る運搬用容器1で用いられる上部コーナー部材40の構成について、図14〜図17を参照しつつ詳細に説明する。
第3実施形態に係る各上部コーナー部材40は、第1実施形態に係るコーナー部材30と同様に、硬質プラスチックにより水平断面略Lの字状に一体成型され、運搬用容器1における短手側側面と長手側側面により構成される角部分を構成する。そして、各上部コーナー部材40は、第1実施形態に係るコーナー部材30とほぼ同じ高さ寸法で形成されており、長手側壁部12の端部を保持する上部側壁挿入溝41と、短手側壁部13の端部を保持する上部側壁挿入溝41と、係合凸部46と、係合凹部47とを有している。
第3実施形態に係る上部側壁挿入溝41は、長手側壁部12側、短手側壁部13側で同一の構成であり、上部コーナー部材40における側端面において、運搬用容器1の内側に位置する内側保持片42と、運搬用容器1の外側に位置する外側保持片43とによって形成されている。上部側壁挿入溝41において、内側保持片42と外側保持片43との間隔は、容器基体10の側壁部(長手側壁部12、短手側壁部13)を構成する軽量シート材の厚みと同等となるように形成されており、夫々、上部側壁挿入溝41内に側壁部の端縁を挿入可能に構成されている(図14〜図17参照)。当該内側保持片42は、外側保持片43と協働することで、上部側壁挿入溝41内に挿入された側壁部の端部における上方部分を、所定位置に保持する機能を果たす。
そして、内側保持片42は、上部側壁挿入溝41の上部に延出補強部42Aを有し、その下方に傾斜部43Bを有している。延出補強部42Aは、内側保持片42における他の部分よりも、より先端側に突出するように形成されており、アングル保持部45の先端と、内側保持片42における他の部分の先端とを繋ぐように形成されている。従って、上部側壁挿入溝41の上部において、当該延出補強部42Aは、上部側壁挿入溝41に挿入された側壁部の端部を、より確実に保持する機能を果たす。又、延出補強部42Aは、補強として機能することで、上部コーナー部材40に要する最低限の強度を維持しつつ、当該上部コーナー部材40の軽量化に寄与し得る。更に、各上部コーナー部材40の軽量化に伴い、運搬用容器1の軽量化に貢献し得る。
傾斜部42Bは、内側保持片42の先端部分において、延出補強部42Aの下方に形成されており、当該内側保持片42の先端部分に向かうにつれて、内側保持片42の外表面(運搬用容器1の内側に位置する面)が上部側壁挿入溝41の内側に近づくように傾斜している。従って、側壁部表面と内側保持片42との間に形成される段差を、傾斜部42Bによって小さくすることができ、収容作業時における収容物の引っ掛かりの発生を低減し得る。
図14〜図16に示すように、外側保持片43の先端部分には、傾斜部43Bが、先端部分全体にわたって形成されている。当該傾斜部43Bは、当該外側保持片43の先端部分に向かうにつれて、外側保持片43の外表面(運搬用容器1の外側に位置する面)が上部側壁挿入溝41の内側に近づくように傾斜している。従って、容器基体10の側壁部表面と外側保持片43との間に形成される段差を、傾斜部43Bによって小さくすることができ、段積み作業や運搬作業時における引っ掛かりの発生を低減し得る。
各上部コーナー部材40の上面には、上側突起部44が、当該上部コーナー部材40の角部分において外縁に沿って突出形成されている(図14〜図16参照)。当該突起部34は、運搬用容器1を段積みした場合に、上方に段積みされた運搬用容器1におけるコーナー部材30の支持部36の外側に位置する。従って、上側突起部44は、第3実施形態に係る運搬用容器1を段積みした場合に、上方に段積みされた運搬用容器1の位置ずれを更に防止し得る。更に、第3実施形態においては、各上部コーナー部材40の上面には、上部側壁挿入溝41の深さに対応したスリット部が形成されており、上部側壁挿入溝41の一部として機能し得るように構成されている。
各上部側壁挿入溝41の上部には、アングル保持部45が内側保持片42における他の部分(延出補強部42Aの下側部分)より先端側へ延出しており、長手側壁部12、短手側壁部13に配設された補強アングル材20の端部を挿入可能に形成されている(図14〜図17参照)。この時、アングル保持部45に対して、補強アングル材20を深く挿入することができるので、補強アングル材20の保持部分を長くすることができ、アングル保持部45による補強アングル材20の保持力を高めることができる。
又、上部側壁挿入溝41の上部に形成されるアングル保持部45を先端側に延出するので、上部コーナー部材40の上面の面積を大きくすることができる。即ち、当該運搬用容器1を段積みした場合に、段積みした運搬用容器1の荷重を、硬質プラスチック製のコーナー部材30、上部コーナー部材40によって、広い面積をもって受けることができ、運搬用容器1を安定して段積みすることができる。
更に、上述したように、アングル保持部45の下方に連続するように、延出補強部42Aが形成されているので、容器基体10の長手側壁部12と、短手側壁部13と、補強アングル材20を同時に覆う部分を増やすことができる。即ち、当該運搬用容器1は、延出補強部42Aとアングル保持部45の協働により、長手側壁部12、短手側壁部13、補強アングル材20を、より確実に保持することができる。
上部コーナー部材40の下端面には、係合凸部46が形成されており、コーナー部材30の上端面に形成された係合凹部37(図5、図6等参照)に係合可能に構成されている。具体的には、係合凸部46は、上部コーナー部材40の下端面から下方に突出形成された弾性係止片を有しており、その先端部分には、後述する係合凹部に形成された開口部に対して進入可能な爪部を有している。上部コーナー部材40の係合凸部46を、コーナー部材30の係合凹部37に係合させることで、上部コーナー部材40を、コーナー部材30の直上にあたる所定位置に固定し得る。
上部コーナー部材40の上端面には、係合凹部47が、第1実施形態におけるコーナー部材30の係合凹部37と同様に、上部コーナー部材40の上端面から下方に向かう凹状に形成されており、その下部には、運搬用容器1の外側面に向かって開口された開口部を有している。当該係合凹部47は、別部材(例えば、他の上部コーナー部材40)に形成された係合凸部を、当該係合凹部47に対して挿入することで、別部材を所定位置に係合保持する。
以上のように構成し、各コーナー部材30上部に、夫々上部コーナー部材40を取り付けた場合、上部コーナー部材40の上部側壁挿入溝41は、コーナー部材30の上面に形成されたスリット部を介して、コーナー部材30における側壁挿入溝31の上方に連通するように配設される(図17参照)。従って、第3実施形態に係る運搬用容器1によれば、側壁挿入溝31及び上部側壁挿入溝41によって、長手側壁部12、短手側壁部13を保持することができる。即ち、当該運搬用容器1によれば、コーナー部材30上に、上部コーナー部材40を取り付けるだけで、多大な経済的負担をかけることなく、運搬用容器1の高さ方向のサイズ変更にも対応することができる。
又、第3実施形態に係る運搬用容器1は、前記容器基体10の側壁部(長手側壁部12、短手側壁部13)を、各角部分に配置されたコーナー部材30及び上部コーナー部材40によって保持しているので、各コーナー部材30及び上部コーナー部材40の間に配置される容器基体10のサイズを、水平方向に関して自在に変更可能となる。これにより、第3実施形態に係る運搬用容器1は、上部コーナー部材40の取り付けによる高さ方向のサイズ変更だけでなく、運搬用容器1の水平方向(長辺方向及び短辺方向)のサイズ変更にも対応可能となり、サイズ変更に関する利便性を高め得る。
そして、第3実施形態において、各コーナー部材30は、内側保持片32と外側保持片33とからなる側壁挿入溝31を有しており、各上部コーナー部材40は、内側保持片42と外側保持片43とからなる上部側壁挿入溝41を、側壁挿入溝31と連通するように有している(図17参照)。従って、側壁挿入溝31及び上部側壁挿入溝41を構成する内側保持片と外側保持片との間に、運搬用容器1の側壁部の端縁全体にわたって行うことができるので、容器基体10とコーナー部材30の接合を確実に行うことができ、利便性を高めることができる。
各コーナー部材30は、当該運搬用容器1の角部分に形成された容器基体10の切欠部15において前記底部11に対して垂直に立設され、前記容器基体10の側壁部を保持している。又、各上部コーナー部材40は、コーナー部材30の係合凹部37に対して、係合凸部46を係合させることで、コーナー部材30の直上に取り付けられている。これにより、当該運搬用容器1によれば、容器基体10に形成された切欠部15に、コーナー部材30の支持部36を嵌合させて配置することで、各コーナー部材30及び上部コーナー部材40を適正な位置に配置することができ、もって、容器基体10の側壁部の保持を適正な状態で行うことができる。
又、前記コーナー部材30は、前記側壁挿入溝31における内側保持片32の上部に、延出補強部32Aを有しており、更に、上部コーナー部材40は、上部側壁挿入溝41の上部に、延出補強部42Aを有している。そして、当該延出補強部32A及び延出補強部42Aは、当該内側保持片32及び内側保持片42の先端を更に延出して構成されているので、当該運搬用容器1によれば、コーナー部材30の側壁挿入溝31、上部コーナー部材40の上部側壁挿入溝41に対して、容器基体10の側壁部を、より深く挿入した状態で保持することができ、より強固に保持して利便性を高めることができる。
コーナー部材30及び上部コーナー部材40は、前記外側保持片33の先端部分全体に、傾斜部33Bを有しており、外側保持片43の先端部分全体に、傾斜部43Bを有している。当該傾斜部33B及び傾斜部43Bは、前記外側保持片33及び外側保持片43における先端部分に向かうにつれて、容器基体10の表面に近づくように傾斜している。従って、当該運搬用容器1によれば、外側保持片33、外側保持片43と容器基体10の表面との間に形成される段差を小さくすることができ、段差による引っ掛かり等の発生を抑制し、運搬作業等における利便性を高め得る。
更に、第3実施形態においては、前記上部コーナー部材40は、前記上部側壁挿入溝41の上端部分に、アングル保持部45を有しており、アングル保持部45には、運搬用容器1の開口縁を構成する前記容器基体10における側壁部の端縁に沿って配設された補強アングル材20が挿入される。これにより、運搬用容器1の高さ方向のサイズを変更した場合であっても、運搬用容器1の開口縁に、補強アングル材20を配置することができるので、運搬用容器1の開口縁の剛性を高めることができる。又、当該運搬用容器1を段積みした場合等、運搬用容器1の開口縁に対して、鉛直方向に作用する荷重に十分に対抗し得る。
(第4実施形態)
次に、上述した第1実施形態〜第3実施形態と異なる実施形態(第4実施形態)について、図18〜図23を参照しつつ詳細に説明する。第4実施形態に係る運搬用容器1は、図18に示すように、軽量シート材からなる容器基体10と、補強アングル材20と、硬質プラスチックにより一体成型され、当該運搬用容器1の角部分に配設されたコーナー部材30とを有しており、上方が開放された直方体状の箱体を構成する。
第4実施形態に係る運搬用容器1において、各コーナー部材30は、第3実施形態と同様に、硬質プラスチックにより水平断面略Lの字状に成型されており、運搬用容器1における短手側側面と長手側側面により構成される角部分を構成する。第4実施形態に係る各コーナー部材30は、上部コーナー部材40と、中間コーナー部材50と、下部コーナー部材60とを連結して構成されている。
図18に示すように、第4実施形態に係る容器基体10は、軽量シート材により長方形状に形成された底部11と、当該底部11の長辺側に連結されている長手側壁部12と、当該底部11における短辺側に連結されている短手側壁部13とを有している。
又、底部11、長手側壁部12、短手側壁部13により構成される各角部分には、切欠部15が、容器基体10の一部(底部11、長手側壁部12、短手側壁部13の一部)を切り欠いて形成されている。運搬用容器1を構成した場合、当該切欠部15には、後述するコーナー部材30の下端縁に形成された支持部(後述する下部コーナー部材60の支持部67)が配置される(図18参照)。
各長手側壁部12、各短手側壁部13の上端縁には、補強アングル材20が配設されており、運搬用容器1の側面を構成する長手側壁部12及び短手側壁部13の剛性を高めている。又、各長手側壁部12及び各短手側壁部13の上側部分には、持ち手孔14が形成されている。当該持ち手孔14は、第4実施形態に係る運搬用容器1の長手側側面、短手側側面に位置し、段積み作業や運搬作業時に作業者によって把持される部分である。
上述したように、第4実施形態に係るコーナー部材30は、上部コーナー部材40と、中間コーナー部材50と、下部コーナー部材60を連結して構成されており(図18参照)、運搬用容器1における短手側側面と長手側側面により構成される角部分を構成する。第4実施形態において、上部コーナー部材40は、第3実施形態に係る上部コーナー部材40と略同様の構成であり、硬質プラスチックにより水平断面略Lの字状に一体成型されている。
即ち、第4実施形態に係る上部コーナー部材40は、長手側壁部12の端部を保持する上部側壁挿入溝41と、短手側壁部13の端部を保持する上部側壁挿入溝41と、係合凸部46とを有しており、第1実施形態に係るコーナー部材30とほぼ同じ高さ寸法で形成されている。尚、第4実施形態に係る上部コーナー部材40は、第3実施形態に係る上部コーナー部材40と同様の構成であるので、第4実施形態に係る上部コーナー部材40の詳細な構成については、その説明を省略する。
続いて、第4実施形態に係るコーナー部材30を構成する中間コーナー部材50について、図19、図20を参照しつつ説明する。中間コーナー部材50は、第4実施形態に係るコーナー部材30の中間部分を構成し、図18等に示すように、上部コーナー部材40と、下部コーナー部材60の間に配設される。当該中間コーナー部材50は、硬質プラスチックにより水平断面略L字状に成型されており、長手側壁部12の端部における中間部分を保持する中間側壁挿入溝51と、短手側壁部13の端部における中間部分を保持する中間側壁挿入溝51と、係合凹部56と、係合凸部57とを有している。尚、図18、図23等に示すように、中間コーナー部材50は、上部コーナー部材40と略同じ高さ寸法で形成されている。
中間側壁挿入溝51は、長手側壁部12側、短手側壁部13側で同一の構成であり、中間コーナー部材50における側端面において、運搬用容器1の内側に位置する内側保持片52と、運搬用容器1の外側に位置する外側保持片53とによって形成されている。図20、図23に示すように、当該中間側壁挿入溝51は、上部側壁挿入溝41と同様に、運搬用容器1の鉛直方向に延びている。中間側壁挿入溝51において、内側保持片52と外側保持片53との間隔は、容器基体10の側壁部(長手側壁部12、短手側壁部13)を構成する軽量シート材の厚みと同等となるように形成されており、夫々、中間側壁挿入溝51内に側壁部の端縁を挿入可能に構成されている。
そして、中間コーナー部材50における内側保持片52は、外側保持片53と協働することで、中間側壁挿入溝51内に挿入された側壁部の端部を、所定位置に保持する機能を果たし、その先端部分に傾斜部52Bを有している。傾斜部52Bは、内側保持片52の先端部分において、内側保持片52の全体にわたって形成されており、当該内側保持片52の先端部分に向かうにつれて、内側保持片52の外表面(運搬用容器1の内側に位置する面)が中間側壁挿入溝51の内側に近づくように傾斜している。従って、容器基体10の側壁部表面と内側保持片52との間に形成される段差を、傾斜部52Bによって小さくすることができ、収容物を収容する際における収容物の引っ掛かりの発生を低減し得る。
図19、図20等に示すように、外側保持片53の先端部分には、傾斜部53Bが、先端部分全体にわたって形成されている。当該傾斜部53Bは、当該外側保持片53の先端部分に向かうにつれて、外側保持片53の外表面(運搬用容器1の外側に位置する面)が中間側壁挿入溝51の内側に近づくように傾斜している。従って、容器基体10の側壁部表面と外側保持片53との間に形成される段差を、傾斜部53Bによって小さくすることができるので、当該運搬用容器1によれば、段積み作業や運搬作業時における引っ掛かりの発生を低減し得る。
そして、中間コーナー部材50の上端面には、係合凹部56が形成されており、上部コーナー部材40の下端に形成された係合凸部46を挿入可能に構成されている。係合凹部56は、中間コーナー部材50の上端面から下方に向かう凹状に形成されており、その下部には、運搬用容器1の外側面に向かって開口された開口部を有している。図18、図23に示すように、上部コーナー部材40の係合凸部46を、当該中間コーナー部材50の係合凹部56に対して挿入すると、係合凹部56の開口部と、係合凸部46の爪部とが係合する。この係合凸部46と係合凹部56の係合によって、中間コーナー部材50の直上に、上部コーナー部材40を保持し得る。
中間コーナー部材50の下端面には、係合凸部57が形成されており、下部コーナー部材60の上端面に形成された係合凹部66に係合可能に構成されている。具体的には、係合凸部57は、中間コーナー部材50の下端面に弾性係止片を有しており、その先端部分には、後述する下部コーナー部材60における係合凹部66の開口部に対して進入可能な爪部を有している。図18、図23に示すように、中間コーナー部材50の係合凸部57を、下部コーナー部材60の係合凹部66に係合させることによって、中間コーナー部材50を、下部コーナー部材60の直上にあたる所定位置に固定し得る。
次に、第4実施形態に係るコーナー部材30を構成する下部コーナー部材60について、図21、図22を参照しつつ説明する。下部コーナー部材60は、第4実施形態に係るコーナー部材30の下部を構成し、図18等に示すように、上部コーナー部材40、中間コーナー部材50の下部に配設される。当該下部コーナー部材60は、硬質プラスチックにより水平断面略L字状に成型されており、長手側壁部12における端部の下部を保持する下部側壁挿入溝61と、短手側壁部13における端部の下部を保持する下部側壁挿入溝61と、係合凹部66と、支持部67とを有している。尚、図18、図23等に示すように、下部コーナー部材60は、上部コーナー部材40、中間コーナー部材50と略同じ高さ寸法で形成されている。
下部側壁挿入溝61は、下部コーナー部材60における側端面において、運搬用容器1の内側に位置する内側保持片62と、運搬用容器1の外側に位置する外側保持片63とによって形成されており、上下方向に延びている(図22、図23参照)。下部側壁挿入溝61において、内側保持片62と外側保持片63との間隔は、容器基体10の側壁部(長手側壁部12、短手側壁部13)を構成する軽量シート材の厚みと同等となるように形成されており、夫々、下部側壁挿入溝61内に側壁部の端縁を挿入可能に構成されている。当該内側保持片62は、外側保持片63と協働することで、下部側壁挿入溝61内に挿入された側壁部の端部を、所定位置に保持する機能を果たす。
図22に示すように、内側保持片62は、下部側壁挿入溝61の下部に延出補強部62Aを有し、その上方に傾斜部62Bを有している。延出補強部62Aは、内側保持片62における他の部分よりも、より先端側へ突出するように形成されており、下部側壁挿入溝61に挿入された側壁部の端部を、より確実に保持する機能を果たす。又、延出補強部62Aは、補強として機能することで、下部コーナー部材60に要する最低限の強度を維持しつつ、当該下部コーナー部材60の軽量化に寄与し得る。更に、各下部コーナー部材60の軽量化に伴い、運搬用容器1の軽量化に貢献し得る。
傾斜部62Bは、当該内側保持片62の先端部分に向かうにつれて、内側保持片62の外表面(運搬用容器1の内側に位置する面)が下部側壁挿入溝61の内側に近づくように傾斜している。従って、容器基体10の側壁部表面と内側保持片62との間に形成される段差を、傾斜部62Bによって小さくすることができ、収容物を収容する際における収容物の引っ掛かりを低減し得る。
図21、図22に示すように、外側保持片63の先端部分には、傾斜部63Bが、先端部分全体にわたって形成されており、当該外側保持片63の先端部分に向かうにつれて、外側保持片63の外表面(運搬用容器1の外側に位置する面)が下部側壁挿入溝61の内側に近づくように傾斜している。従って、容器基体10の側壁部表面と外側保持片63との間に形成される段差を、傾斜部63Bによって小さくすることができるので、当該運搬用容器1によれば、段積み作業や運搬作業時における引っ掛かりの発生を低減し得る。
下部コーナー部材60の上端面には、係合凹部66が形成されており、中間コーナー部材50の下端に形成された係合凸部57を挿入可能に構成されている。図21、図22に示すように、係合凹部66は、中間コーナー部材50における係合凹部56と同様に形成されている。中間コーナー部材50の係合凸部57を、当該下部コーナー部材60の係合凹部66に対して挿入すると、係合凹部66の開口部と、係合凸部57の爪部とが係合する為、中間コーナー部材50は、下部コーナー部材60の直上にあたる所定位置に固定される(図23等参照)。
そして、第4実施形態に係る下部コーナー部材60の下端面には、支持部67が、当該下部コーナー部材60の下端面から下方に突出するように形成されており、運搬用容器1の角部分に配置される。図18に示すように、各支持部67は、運搬用容器1を組み立てた場合に、上述した容器基体10に形成された切欠部15内にそれぞれ配置され、当該運搬用容器1を支持している。又、容器基体10と各コーナー部材30を組み合わせて、運搬用容器1を構成した場合に、支持部67の下面は、容器基体10における底部11と同一面上に位置する。
以上説明したように、第4実施形態に係る運搬用容器1においては、各コーナー部材30は、上部コーナー部材40、中間コーナー部材50、下部コーナー部材60を連結して構成し、上部コーナー部材40の上部側壁挿入溝41、中間コーナー部材50の中間側壁挿入溝51、下部コーナー部材60の下部側壁挿入溝61が上下方向に連通するように配置される(図23参照)。従って、第4実施形態に係る運搬用容器1によれば、上部側壁挿入溝41、中間側壁挿入溝51、下部側壁挿入溝61によって、長手側壁部12、短手側壁部13を保持することができる。
そして、第4実施形態において、下部コーナー部材60に対しては、上部コーナー部材40、中間コーナー部材50を連結可能に構成されており(図21、図22参照)、中間コーナー部材50に対しては、上部コーナー部材40、中間コーナー部材50を連結可能に構成されている(図19、図20参照)。即ち、第4実施形態に係るコーナー部材30は、少なくとも、上部コーナー部材40、下部コーナー部材60を有していれば、中間コーナー部材50の数を任意に設定して構成することができる。この結果、当該運搬用容器1によれば、コーナー部材30を、上部コーナー部材40、中間コーナー部材50、下部コーナー部材60を取り付けることで、多大な経済的負担をかけることなく、運搬用容器1の高さ方向のサイズ変更にも対応することができる。
又、第4実施形態に係る運搬用容器1は、前記容器基体10の側壁部を、各角部分に配置されたコーナー部材30(即ち、上部コーナー部材40、中間コーナー部材50、下部コーナー部材60)によって保持しているので、各コーナー部材30の間に配置される容器基体10のサイズを、水平方向に関して自在に変更可能となる。これにより、第4実施形態に係る運搬用容器1は、運搬用容器1の高さ方向のサイズ変更だけでなく、運搬用容器1の水平方向(長辺方向及び短辺方向)のサイズ変更にも対応可能となり、サイズ変更に関する利便性を高め得る。
そして、第4実施形態において、各コーナー部材30を構成する上部コーナー部材40、中間コーナー部材50、下部コーナー部材60は、夫々、内側保持片と外側保持片とからなる側壁挿入溝(上部側壁挿入溝41、中間側壁挿入溝51、下部側壁挿入溝61)を有しており、内側保持片と外側保持片との間に、運搬用容器1の側壁部の端縁全体にわたって保持している。従って、当該運搬用容器1によれば、容器基体10とコーナー部材30の接合を確実に行うことができ、利便性を高めることができる。
又、第4実施形態においても、各コーナー部材30は、当該運搬用容器1の角部分に形成された容器基体10の切欠部15において前記底部11に対して垂直に立設され、前記容器基体10の側壁部を保持している。これにより、当該運搬用容器1によれば、容器基体10に形成された切欠部15に、コーナー部材30の支持部(即ち、下部コーナー部材60の支持部67)を嵌合させて配置することで、各コーナー部材30を適正な位置に配置することができ、もって、容器基体10の側壁部の保持を適正な状態で行うことができる。
そして、前記コーナー部材30は、上部側壁挿入溝41における内側保持片42の上部に、延出補強部42Aを有しており、更に、下部側壁挿入溝61における内側保持片62の下部に、延出補強部62Aを有している(図23参照)。そして、当該延出補強部42A及び延出補強部62Aは、当該内側保持片42及び内側保持片62の先端を更に延出して構成されているので、当該運搬用容器1によれば、上部コーナー部材40の上部側壁挿入溝41、下部コーナー部材60の下部側壁挿入溝61に対して、容器基体10の側壁部を、より深く挿入した状態で保持することができ、より強固に保持して利便性を高めることができる。
コーナー部材30を構成する上部コーナー部材40、中間コーナー部材50、下部コーナー部材60は、前記外側保持片の先端部分全体に、傾斜部(傾斜部43B、傾斜部53B、傾斜部63B)を有しており、当該傾斜部は、前記外側保持片における先端部分に向かうにつれて、容器基体10の表面に近づくように傾斜している。従って、当該運搬用容器1によれば、外側保持片と容器基体10の表面との間に形成される段差を小さくすることができ、段差による引っ掛かり等の発生を抑制し、運搬作業等における利便性を高め得る。
更に、第4実施形態においては、前記上部コーナー部材40は、前記上部側壁挿入溝41の上端部分に、アングル保持部45を有しており、アングル保持部45には、運搬用容器1の開口縁を構成する前記容器基体10における側壁部の端縁に沿って配設された補強アングル材20が挿入される。これにより、運搬用容器1の高さ方向のサイズを変更した場合であっても、運搬用容器1の開口縁に、補強アングル材20を配置することができるので、運搬用容器1の開口縁の剛性を高めることができる。又、当該運搬用容器1を段積みした場合等、運搬用容器1の開口縁に対して、鉛直方向に作用する荷重に十分に対抗し得る。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。例えば、上述した実施形態においては、運搬用容器1として、上方が開放された略直方体状の箱体を為すように構成していたが、この態様に限定されるものではなく、略立方体状であってもよい。
又、第3実施形態、第4実施形態においては、コーナー部材30、上部コーナー部材40、中間コーナー部材50、下部コーナー部材60の高さ寸法は、第1実施形態に係るコーナー部材30を基準として説明していたが、この態様に限定されるものではなく、様々な高さに設定し得る。更に、第3実施形態、第4実施形態におけるコーナー部材30、上部コーナー部材40、中間コーナー部材50、下部コーナー部材60は、夫々1つの種類を例として説明していたが、夫々、高さ寸法が異なる複数種類を用意する構成であってもよい。
そして、本発明において、延出補強部は、前記側壁挿入溝の上部又は下部において、内側保持片の他の部分よりも、先端側に延出するように構成すればよく、上述した実施形態のように、アングル保持部の先端と内側保持片の他の部分とをつなぐ態様に限定されるものではない。例えば、アングル保持部のみを延出補強部としてもよいし、アングル保持部を除いて、内側保持片の先端側を延出した部分を本発明における延出補強部としてもよい。上述した実施形態における延出補強部及びアングル保持部を、本発明における延出補強部として把握することも可能である。