以下、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《実施形態1》
〈紙幣処理装置の概略構成〉
図1は、紙幣処理装置100の外観図を示し、図2は、紙幣処理装置100の概略構成図を示す。
紙幣処理装置100は、例えば銀行のテラーカウンタに設置され、オペレータによって使用される。紙幣処理装置100は、バラ状態の紙幣を取り込み、所定の種類の紙幣を集積し、該紙幣を所定の結束枚数で結束して投出する。
紙幣処理装置100は、紙幣が載置され、該紙幣を取り込むホッパ部2と、紙幣を識別する識別部3と、結束対象の紙幣を集積する結束スタッカ4と、結束対象でない紙幣を集積する非結束スタッカ5と、リジェクト紙幣を集積するリジェクトスタッカ6と、ホッパ部2から取り込まれた紙幣を、識別部3、結束スタッカ4、非結束スタッカ5及びリジェクトスタッカ6に搬送する前段搬送部7と、結束スタッカ4に集積された紙幣を所定の位置まで搬送する後段搬送部8と、後段搬送部8により搬送された紙幣を結束する結束部9と、結束された紙幣(以下、「結束紙幣」という)を投出する投出部10と、識別部3、結束スタッカ4、非結束スタッカ5、リジェクトスタッカ6、前段搬送部7、後段搬送部8及び結束部9を収容する箱状の筐体11とを備えている。
筐体11は、上面111と、下面112と4つの側面とを有している。筐体11は、卓上型である。つまり、筐体11の下面112には、キャスタ等が設けられておらず、卓上に設置される構造となっている。
筐体11の4つの側面のうちの1つの側面である第1側面113には、ホッパ部2及び投出部10が設けられている。4つの側面のうちの1つの側面である第2側面114には、詳しくは後述する結束スタッカ4の第1取出口46及び非結束スタッカ5の第2取出口53が設けられている。第1側面113と第2側面114とは、隣接している。
筐体11の内部は、紙幣の識別及び分類に関する処理を行う第1処理部115と、結束対象の紙幣の結束に関する処理を行う第2処理部116とに別れている。第2処理部116は、第1処理部115の上方に設けられている。第1処理部115には、ホッパ部2、識別部3、非結束スタッカ5及びリジェクトスタッカ6が含まれる。第2処理部116には、結束スタッカ4、後段搬送部8及び結束部9が含まれる。前段搬送部7の大部分は、第1処理部115に含まれている。
結束スタッカ4は、第1結束スタッカ4Aと第2結束スタッカ4Bとの2つのスタッカを含んでいる。第1結束スタッカ4Aと第2結束スタッカ4Bはともに、結束対象の紙幣を集積する。結束対象の紙幣として集積する紙幣は、適宜設定することができる。結束対象の紙幣は、所定の種類の紙幣である。所定の種類は、金種、正券か損券か、紙幣の表裏、紙幣の向き、新券か旧券かなどによって特定される。ここでは、結束対象の紙幣は、所定の金種(例えば、100元)であって且つ正券の紙幣である。ここで、識別部3によって正常な紙幣として識別された紙幣を「正常紙幣」と、識別部3で正常な紙幣として識別されなかった紙幣を「異常紙幣」と、斜行や重送等により搬送状態が異常な紙幣を「搬送異常紙幣」と称する。例えば、正常な紙幣か否かを判断する条件の1つとしては、記番号が識別可能であるか否かが挙げられる。ただし、それとは異なる条件をもって正常な紙幣か否かを判断してもよいし、それに別の条件を加えて正常な紙幣か否かを判断してもよい。また、正常紙幣であっても搬送先(結束スタッカ、非結束スタッカ等)が指定されていない種類の紙幣を「指定外紙幣」と称する。「指定外紙幣」、「異常紙幣」及び「搬送異常紙幣」を併せて「リジェクト紙幣」と称する。また、正常紙幣のうち、汚れや破れ等が比較的少ない状態の紙幣を「正券」と、正常紙幣のうち、汚れや破れ等が比較的多い状態の紙幣を「損券」と称する。結束スタッカ4は、第1集積部の一例である。
第1及び第2結束スタッカ4A,4Bは、第2処理部116内において上下方向に並んで配置されている。第1結束スタッカ4Aは、第2結束スタッカ4Bの上方に位置している。第1結束スタッカ4Aと第2結束スタッカ4Bとは、同様の構成をしている。2つのスタッカを区別しないときには、単に「結束スタッカ4」と称する。結束スタッカ4の詳細な構成については後述する。
非結束スタッカ5は、第1及び第2非結束スタッカ5A,5Bの2つのスタッカを含んでいる。第1及び第2非結束スタッカ5A,5Bは、第1処理部115内において実質的に水平方向に並んで配置されている。第2非結束スタッカ5Bの方が第1非結束スタッカ5Aよりもホッパ部2に近い位置に配置されている。2つのスタッカを区別しないときには、単に「非結束スタッカ5」と称する。非結束スタッカ5の詳細な構成については後述するが、非結束スタッカ5に集積する紙幣は適宜設定することができる。ここでは、第1非結束スタッカ5Aは、前記所定の金種であって且つ損券を集積する。第2非結束スタッカ5Bは、前記所定の金種以外の金種の紙幣を集積する。非結束スタッカ5は、第2集積部の一例である。
リジェクトスタッカ6は、リジェクト紙幣を集積する。リジェクトスタッカ6は、第1及び第2非結束スタッカ5A,5Bよりもホッパ部2に近接している。リジェクトスタッカ6は、第1及び第2非結束スタッカ5A,5Bよりも少し上方に位置している。リジェクトスタッカ6の詳細な構成については後述する。リジェクトスタッカ6は、リジェクト集積部の一例である。
ホッパ部2は、第1側面113のうち第1処理部115に対応する部分に設けられ、投出部10は、第1側面113のうち第2処理部116に対応する部分に設けられている。詳しくは、第1側面113の上部と下部の2箇所に窪みが形成され、上部の窪みに投出部10が設けられ、下部の窪みにホッパ部2が設けられている。投出部10とホッパ部2との間には段差が形成されている。
ホッパ部2は、紙幣が載置される載置台21と、載置台21上に載置された紙幣を案内する2つのガイド部22,22と、取込ローラ23と、紙幣を取り込む取込口24と、載置台21上の紙幣を検知する紙幣センサ25とを有している。本実施形態では、紙幣が短手方向に取り込まれていくように、紙幣がホッパ部2に載置される。
取込口24は、図1に示すように、載置台21と第1側面113とが交わる隅部に形成されている。載置台21は、取込口24に近づくに従って下方に位置するように傾斜している。これにより、載置台21上の紙幣は、自然と取込口24の方へ向かうようになっている。載置台21上に載置された紙幣は、取込口24から筐体11内へ取り込まれる。
また、紙幣センサ25は、取込口24の近傍に設けられている。紙幣センサ25は、光を送信する送信部と光を受信する受信部とを有し、送信部から出射されて受信部に到達する光が遮断されることによって紙幣を検知する。尚、後述する紙幣センサ45、集積センサ52、集積センサ62、通過センサ74、通過センサ103も同様の構成をしている。紙幣センサ25は、載置台21上に載置された紙幣により光が遮断されるように配置されている。つまり、紙幣センサ25は、光が遮断されることによって、載置台21上に紙幣が載置されていることを検知することができる。
ガイド部22,22は、その間隔を調整可能に構成されている。つまり、ガイド部22,22の間隔は、載置台21上に載置された紙幣に合わせて調整される。
取込ローラ23は、キッカローラ23aと、フィードローラ23bと、ゲートローラ23cとを有している。キッカローラ23aは、部分的に載置台21から露出しており、載置台21上の紙幣のうち一番下の紙幣と接触している。キッカローラ23aは、載置台21上に載置された紙幣のうち一番下の紙幣を取込口24へ送り込む。こうして、紙幣が1枚ずつ取込口24から取り込まれていく。取込口24から送り込まれた紙幣は、フィードローラ23bとゲートローラ23cとで1枚ずつに分離されて、筐体11内へ取り込まれる。取り込まれた紙幣は、前段搬送部7へ送られる。
投出部10は、結束紙幣が投出される投出口101と、投出口101から投出された結束紙幣が載置されるステージ102と、結束紙幣の投出口101の通過を検知する通過センサ103とを有している。投出口101からは、結束紙幣が紙幣の短手方向に投出される。
ステージ102は、投出口101から離れるに従って上方に位置するように傾斜している。ステージ102は、上下に移動可能に構成されると共に、付勢バネ(図示省略)により上方に付勢されている。ステージ102は、結束紙幣が載置されていない状態においては、投出口101の直下に位置する。ステージ102上に結束紙幣が載置されると、ステージ102は、結束紙幣の重さによって下方に移動する。ステージ102は、少なくとも、ステージ102上の最も上の紙幣が投出口101より下方に位置する位置まで移動する。つまり、投出口101と同じ高さには結束紙幣が存在していない。そのため、投出口101から投出される結束紙幣は、先にステージ102上に載置された結束紙幣の上に順次載置されていく。通過センサ103は、紙幣センサ25と同様の構成をしている。通過センサ103は、投出口101に設けられ、投出口101を通過する紙幣を検出する。
前段搬送部7は、搬送ベルト等で構成されている。前段搬送部7は、主搬送路71と、主搬送路71から分岐する4つの分岐路72,72,…と、主搬送路71からの分岐箇所に設けられた振り分け機構73と、紙幣の通過を検知する複数の通過センサ74とを有している。前段搬送部7は、紙幣をその短手方向に搬送していく。前段搬送部7は、搬送部の一例である。
主搬送路71は、取込ローラ23から第1結束スタッカ4Aまで延びている。4つの分岐路72,72,…は、それぞれを区別するときには、上流側から順に第1分岐路72a、第2分岐路72b、第3分岐路72c、第4分岐路72dと称する。第1分岐路72aは、リジェクトスタッカ6まで延びている。第2分岐路72bは、第2非結束スタッカ5Bまで延びている。第3分岐路72cは、第1非結束スタッカ5Aまで延びている。第4分岐路72dは、第2結束スタッカ4Bまで延びている。
振り分け機構73は、ソレノイド(図示省略)によって駆動される。振り分け機構73は、主搬送路71を搬送された紙幣を分岐路72へ導くか否かを振り分ける。各振り分け機構73の上流側には、通過センサ74が設けられている。通過センサ74は、紙幣センサ25と同様の構成をしている。つまり、通過センサ74の受信部における光の受信が中断され、その後に光の受信が再開されたことをもって、紙幣の通過を検知することができる。振り分け機構73は、紙幣を分岐路72へ導く際には、その直上流の通過センサ74が紙幣の通過を検知したことをもって作動する。
識別部3は、主搬送路71のうち第1分岐路72aよりも上流側に設けられている。識別部3は、搬送される紙幣の一枚一枚について、その金種、真偽及び正損を識別するように構成されている。具体的には、識別部3は、ラインセンサ31及び磁気センサ32を有し、紙幣の特徴を取得する。識別部3は、紙幣の特徴が、記憶している各種紙幣の特徴と一致するかを判定し、金種、真偽及び正損を識別する。尚、識別部3は、紙幣の特徴を取得するためのセンサであれば、ラインセンサ及び磁気センサに限られず、赤外線センサ及び紫外線センサ等のセンサを有していてもよい。ラインセンサ31は、紙幣に印字されている記番号を光学的に読み取る機能も有している。尚、識別部3におけるセンサ以外の機能を、後で述べる制御部120が行ってもよい。
後段搬送部8は、結束スタッカ4に集積された紙幣を把持して、該紙幣を結束が行われる所定の位置まで搬送する。後段搬送部8は、紙幣を把持する搬送ユニット82と、搬送ユニット82を水平方向に移動させる水平移動機構83と、搬送ユニット82を上下方向に移動させる上下移動機構84と、搬送された紙幣が載置されるステージ85と、ステージ85上の結束紙幣を投出口101へ押し出す押出機構86とを有している。後段搬送部8は、搬送部の一例である。
搬送ユニット82は、上ハンド部81aと下ハンド部81bとを含むハンド部81と、上ハンド部81aを上下方向に移動させる移動機構87とを有している。移動機構87は、上ハンド部81aを上下方向に移動可能に支持すると共に、駆動モータ及び駆動ベルトによって上ハンド部81aを上下方向に移動させる。尚、下ハンド部81bは、移動不能に固定されている。搬送ユニット82は、上ハンド部81aを移動機構87により上下方向に移動させることによって、上ハンド部81aと下ハンド部81bとで紙幣を把持することができる。
水平移動機構83は、搬送ユニット82を水平方向であって、結束スタッカ4に近接又は離反する方向に移動可能に支持している。また、水平移動機構83は、駆動モータ及び駆動ベルトによって搬送ユニット82を水平方向に移動させる。
上下移動機構84は、水平移動機構83を上下方向に移動可能に支持するガイド軸84aと、水平移動機構83をガイド軸84aに沿って駆動する駆動ベルト84bとを有している。水平移動機構83が上下に移動することによって、搬送ユニット82も上下に移動する。
ステージ85は、略水平に設けられており、一端部は投出口101に繋がっている。結束部9により紙幣を結束する際、該紙幣はステージ85上に載置される。
押出機構86は、ステージ85上の結束紙幣を投出口101に向かって押し出すように構成されている。
結束部9は、ステージ85上の紙幣を結束帯により結束する。具体的には、結束部9は、結束帯を収容する結束帯リール91と、結束帯リール91から引き出された結束帯の先端を把持する結束帯止め部92と、結束帯止め部92を紙幣周りに旋回させることで結束帯を紙幣に巻回する旋回アーム93と、紙幣に巻回した結束帯の他端を切断するカッタ94と、切断された結束帯の他端を熱溶着するヒータ95とを有している。
筐体11の第2側面114には、紙幣処理装置100への情報を入力する操作部であり且つ紙幣処理装置100の情報を表示する表示部であるタッチパネル17が設けられている。詳しくは、タッチパネル17は、第2非結束スタッカ5Bの第2取出口53bの上方であって、第2結束スタッカ4Bの第1取出口46の側方に設けられている。タッチパネル17は、紙幣処理装置100を操作するオペレータに対するヒューマンインターフェース部分である。タッチパネル17は、表示部及び操作部の一例である。
〈結束スタッカ4の詳細構成〉
図3は、結束スタッカ4の一部を省略した平面図である。
結束スタッカ4は、紙幣を積み重ねて集積する。結束スタッカ4は、紙幣を集積する容器40と、容器40内に配置され、紙幣が載置されるステージ41と、搬送されてきた紙幣を容器40へ搬入する羽根車42(図2のみに図示)と、後述する第1取出口46を開閉する扉43(図1,3で図示)と、集積された紙幣の端部を揃える整列機構44(図3のみに図示)と、容器40内の紙幣を検知する紙幣センサ45(図2のみに図示)とを有している。
容器40は、紙幣の搬送方向における前側の前壁部40aが搬送方向において前後に移動可能に構成されている。前壁部40aは、結束対象に設定された紙幣に応じて、その位置が調整される。すなわち、容器40の搬送方向の寸法が、紙幣の短手方向寸法に応じて調整される。具体的には、容器40内に搬入される紙幣が前壁部40aに当たって、そのまま容器40の底に落下していき、最終的に紙幣が前壁部40aに当接した状態で集積される位置に前壁部40aが配置される。また、前壁部40aは、上下に開閉するように構成されている。前壁部40aは、集積された紙幣を後段搬送部8により搬送する際に開いた状態となる。
また、容器40は、筐体11の第2側面114に開口している。つまり、第2側面114には、結束スタッカ4に集積された紙幣を筐体11の外部に取り出すための第1取出口46が設けられている。
扉43は、結束スタッカ4ごとに個別に設けられている。扉43は、第1取出口46を開放する開状態と第1取出口46を閉鎖する閉状態との間で所定の回転軸回りに回動自在に構成されている。扉43は、外部から内部を目視可能な材料で構成されている。例えば、扉43は、透明又は半透明な材料(例えば、ガラスや樹脂)で構成されている。扉43は、開閉部の一例である。
扉43は、手動で開閉される。ただし、扉43には、ロック機構47(図3にのみ図示)が設けられている。ロック機構47は、扉43を閉状態で拘束する拘束状態と、扉43を開閉自在にする解除状態との間で切換可能に構成されている。具体的には、ロック機構47は、筐体11側に設けられたピン47aと、ピン47aを駆動するソレノイド等を含む駆動機構47bと、扉43に設けられ、ピン47aが係合する被係合部47cとを有している。ロック機構47は、後述する制御部120により、結束スタッカ4ごとに個別に制御される。
扉43の内側には、紙幣の短辺が当接するストッパ43a(図1では省略)が設けられている。ストッパ43aは、外部から内部を目視可能な材料で構成されている。例えば、ストッパ43aは、透明又は半透明な材料(例えば、ガラスや樹脂)で構成されている。
羽根車42は、可撓性を有する複数の羽を有しており、容器40内に落下する紙幣の、搬送方向後側の端部を叩いて、紙幣の落下を促進させる役割を有している。紙幣が容器40内に連続的に搬入される場合であっても、後の紙幣が先の紙幣の後端部に入り込むことを防止し、紙幣を1枚ずつ順に上方に積み重ねていくことができる。
整列機構44は、容器40において、第1取出口46とは反対側に設けられている。整列機構44は、紙幣の搬送方向及び紙幣の集積方向の両方に直交する方向(以下、幅方向という)の紙幣の端部を揃える。本実施形態では、紙幣が短手方向に搬送されるので、幅方向は紙幣の長手方向に相当する。すなわち、整列機構44は、紙幣の短辺を揃える。整列機構44は、容器40の第1取出口46とは反対側の端部において紙幣の集積方向に延びる回転軸回りに回転自在に設けられたアーム44aと、アーム44aを回転させるステッピングモータ44bとを有している。整列機構44は、容器40内に集積された紙幣の前記幅方向の一端部(即ち、一方の短辺)を該幅方向の扉43側に向けてアーム44aにより押圧することによって紙幣の該幅方向の他端部(即ち、他方の短辺)をストッパ43aに当接させる。こうすることによって、容器40内の紙幣は、ストッパ43aに当接した状態に整列させられる。
紙幣センサ45は、1つの結束スタッカ4につき複数設けられている。本実施形態では、容器40内において紙幣の搬送方向における異なる位置に2つの紙幣センサ45が設けられている。各紙幣センサ45は、容器40内の紙幣の集積方向に光を送信するように配置されている。つまり、紙幣センサ45は、光が遮断されることによって、容器40内に紙幣が存在することを検知することができる。また、搬送方向の異なる位置に2つの紙幣センサ45を設けることによって、容器40内において搬送方向における紙幣の位置にばらつきがあったとしても、何れかの紙幣センサ45により紙幣の存在を検知することができる。尚、紙幣センサ45は、紙幣の搬送方向及び紙幣の厚み方向の両方に直交する方向(図2における紙面奥行き方向)における異なる位置に複数設けられていてもよい。
〈非結束スタッカ5の詳細構成〉
第1非結束スタッカ5Aと第2非結束スタッカ5Bとは同じ構成であるので、以下では、両者を区別することなく、非結束スタッカ5として説明する。尚、非結束スタッカ5ごとに区別する場合には、第1非結束スタッカ5Aの構成については符号の最後に「a」を、第2非結束スタッカ5Bの構成については符号の最後に「b」を付す。
非結束スタッカ5は、紙幣を積み重ねて集積する。非結束スタッカ5は、紙幣を集積する容器50と、搬送されてきた紙幣を容器50内へ搬入する羽根車51と、紙幣の有無を検知する集積センサ52とを有している。
非結束スタッカ5の容器50の底部は、傾斜している。これにより、容器50へ搬入された紙幣は、底部の低い方の端部へ集まる。
集積センサ52は、容器50の底部の低い方の端部に設けられている。集積センサ52は、紙幣センサ25と同様の構成をしており、光が遮断されることによって容器50内の紙幣を検知する。集積センサ52は、容器50内の紙幣により光が遮断されるように配置されている。
羽根車51は、複数の羽を有しており、搬送されてきた紙幣を羽の間で保持して、容器50内へ搬入する。紙幣は、容器50の底部近傍において羽根車51の羽から離脱し、容器50内に集積される。
容器50は、筐体11の第2側面114に開口している。すなわち、第2側面114には、非結束スタッカ5に集積された紙幣を筐体11の外部に取り出すための第2取出口53が設けられている。第2取出口53には、扉が設けられておらず、開放されている。第1非結束スタッカ5Aの第2取出口53aと第2非結束スタッカ5Bの第2取出口53bとは、第2側面114において水平方向に並んで開口している。
また、非結束スタッカ5には、集積された紙幣を第2取出口53の方へ押し出すための押出機構54が設けられている。押出機構54は、容器50の奥側(第2取出口53と反対側)に設けられており、奥側から手前側(第2取出口53の側)に紙幣を押し出すように構成されている。
〈リジェクトスタッカ6の詳細構成〉
リジェクトスタッカ6は、紙幣を積み重ねて集積する。リジェクトスタッカ6は、紙幣を集積する容器60と、搬送されてきた紙幣を容器60内へ搬入する羽根車61と、紙幣の有無を検知する集積センサ62と、容器60内の紙幣が外部へ排出されることを防止するストッパ64,64とを有している。
詳しくは、リジェクトスタッカ6の容器60は、筐体11の第1側面113及び第2側面114に開口している。すなわち、第1側面113及び第2側面114には、リジェクトスタッカ6に集積された紙幣を筐体11の外部に取り出すためのリジェクト取出口63が設けられている。リジェクト取出口63は、第1側面113において、取込口24の上方であって、投出口101の下方に開口している。詳しくは、リジェクト取出口63は、ホッパ部2と投出部10との間の段差の直下に開口している。リジェクト取出口63には、扉が設けられておらず、開放されている。
容器60の底部は、第1側面113から離れるに従って下方に位置するように傾斜している。そのため、容器60内の紙幣は、第1側面113から内側へ入り込んだ位置に集積されていく。これにより、容器60内に搬入された紙幣が、そのまま第1側面113のリジェクト取出口63から外部へ排出されることを防止することができる。
さらに、2つのストッパ64,64は、容器60の底部のうち、第1側面113側の端縁に設けられている。ストッパ64は、底部の第1側面113側の端縁と平行に延びる軸回りに回動自在に支持されると共に、付勢バネ(図示省略)で付勢されて、容器60の底部に対して立ち上がった状態となっている。これらストッパ64,64によっても、容器60内の紙幣が第1側面113のリジェクト取出口63から外部へ排出されることを防止することができる。尚、リジェクトスタッカ6に集積された紙幣をリジェクト取出口63から抜き出すときには、ストッパ64,64を付勢バネの弾性力に抗して倒すことによって、紙幣を抜き出すことができる。
羽根車61は、可撓性を有する複数の羽を有しており、容器60内に落下する紙幣の、搬送方向後側の端部を叩いて、紙幣の落下を促進させる役割を有している。紙幣が容器60内に連続的に搬入される場合であっても、後の紙幣が先の紙幣の後端部に入り込むことを防止し、紙幣を1枚ずつ順に上方に積み重ねていくことができる。
集積センサ62は、紙幣センサ25と同様の構成をしており、光が遮断されることによって容器60内の紙幣を検知する。集積センサ62は、容器60内の紙幣により光が遮断されるように配置されている。
〈紙幣処理装置のシステム構成〉
図4は、紙幣処理装置100の概略構成を示すブロック図である。
紙幣処理装置100は、例えば周知のマイクロコンピュータをベースとした制御部120を備えている。制御部120には、前述したホッパ部2、識別部3、結束スタッカ4、非結束スタッカ5、リジェクトスタッカ6、前段搬送部7、後段搬送部8、結束部9、投出部10及びタッチパネル17が、信号の送受信可能に接続されている。また、制御部120には、紙幣センサ25、紙幣センサ45、集積センサ52、集積センサ62、通過センサ74及び通過センサ103が接続され、それらの検出信号が入力されるように構成されている。制御部120は、タッチパネル17からの入力信号及び各種センサからの検知信号等に基づいて制御信号を生成し、ホッパ部2等へ該制御信号を出力する。ホッパ部2等は、その制御信号に従って動作する。例えば、結束スタッカ4を例に挙げると、容器40の前壁部40a、ステージ41、羽根車42、扉43のロック機構47、及び整列機構44のステッピングモータ44bが制御部120により制御される。
〈紙幣処理装置の動作説明〉
以下、紙幣処理装置100の入金処理について説明する。入金処理においては、バラ状態の紙幣が分類され、所定のスタッカに集積され、さらには、所定の紙幣については結束される。以下では、結束対象の所定の一種類の紙幣を第1及び第2結束スタッカ4A,4Bに所定枚数ずつ交互に集積し、該所定枚数集積した紙幣を順次、結束部9により結束する同一種類結束処理について説明する。
紙幣処理装置100は、テラーカウンタ上であって、オペレータがテラーカウンタを挟んで顧客と正対したときにオペレータの少し左側(顧客の右側)に設置される。このとき、紙幣処理装置100は、筐体11の第1側面113が顧客の方を向くように設置される。この状態においては、筐体11の第2側面114は、オペレータの方を向いている。ただし、紙幣処理装置100はオペレータの少し左側に位置するので、顧客も第2側面114を視認することができる。
まず、オペレータは顧客から入金すべきバラ状態の紙幣を受け取り、該紙幣をホッパ部2へ載置する。このとき、バラ状態の紙幣に複数種類の紙幣が混在していたとしても、それらを分類することなく、ホッパ部2へ載置する。オペレータは、紙幣の寸法に合わせて、ガイド部22を調整する。続いて、オペレータは、タッチパネル17を操作して、紙幣の取込を開始する。尚、紙幣センサ25がホッパ部2への紙幣の載置を検知すると、紙幣処理装置100が自動的に紙幣の取込を開始するようにしてもよい。
ホッパ部2に載置された紙幣は、取込ローラ23が作動することにより1枚ずつ取込口24から、筐体11内へ取り込まれていく。取り込まれた紙幣は、前段搬送部7により搬送され、識別部3を通過する。識別部3は、通過する紙幣の紙幣種別を取得し、その紙幣種別を制御部120へ通知する。
制御部120は、紙幣の種類に応じて、紙幣に対応する搬送先を決定する。具体的には、紙幣が結束対象の所定金種の紙幣であって且つ正券紙幣であるときには、制御部120は、搬送先を結束スタッカ4(4A及び4Bの何れか一方)とする。紙幣が結束対象の所定金種の紙幣であって且つ損券紙幣であるときには、制御部120は、搬送先を第1非結束スタッカ5Aとする。紙幣が所定金種以外の金種の紙幣であるときには、制御部120は、搬送先を第2非結束スタッカ5Bとする。紙幣がリジェクト紙幣であるときには、制御部120は、搬送先をリジェクトスタッカ6とする。
制御部120は、紙幣が搬送先となるスタッカに搬送されるように前段搬送部7を制御する。具体的には、制御部120は、搬送先となるスタッカへ繋がる分岐路72に対応する振り分け機構73を該紙幣が主搬送路71から該分岐路72へ導かれるように制御する。制御部120は、該分岐路72の直前の通過センサ74が紙幣を検知したときに、該振り分け機構73を切り替える。さらに、制御部120は、搬送先となるスタッカの羽根車42、羽根車51又は羽根車61を制御して、紙幣をスタッカ内に搬入する。
結束スタッカ4に搬送される紙幣は、2つの結束スタッカ4のうち一方の結束スタッカ4へ搬送される。一方の結束スタッカ4に集積された紙幣の枚数が所定の結束枚数(例えば、100枚)に達すると、それ以降の紙幣は、他方の結束スタッカ4へ搬送される。ここでは、紙幣がまず第1結束スタッカ4Aへ搬送されるものとする。
第1結束スタッカ4Aにおいては、紙幣が搬送されてくると、羽根車42の回転によって、紙幣が1枚ずつ上方に重ねられていく。容器40内に搬入された紙幣は前壁部40aに当接することによって、それぞれの長辺が揃った状態となる。尚、結束処理の実行中は、ロック機構47は拘束状態となり、扉43を閉状態に保持している。
第1結束スタッカ4Aに集積された紙幣が結束枚数に達すると、制御部120は、整列機構44を作動させて、紙幣の短辺を揃える。尚、制御部120は、容器40内に紙幣が搬入される度に整列機構44を作動させて、紙幣の短辺を揃えるようにしてもよい。次に、制御部120は、後段搬送部8を制御し、ハンド部81により第1結束スタッカ4A内の紙幣を把持し、該紙幣をステージ85へ搬送する。その後、制御部120は、結束部9を制御して、ステージ85上の紙幣を結束帯で結束する。
尚、第1結束スタッカ4Aに集積された紙幣が結束枚数に達すると、それ以降の紙幣は第2結束スタッカ4Bに集積される。その後、第2結束スタッカ4Bに集積された紙幣が結束枚数に達したときには、それ以降の紙幣は再び第1結束スタッカ4Aに集積されるようになる。このときまでには、第1結束スタッカ4A内の紙幣の結束処理が完了しているので、第1結束スタッカ4A内は空の状態になっている。このように、2つの結束スタッカ4を設けることによって、紙幣の集積を連続して行いつつ、結束処理を行うことができる。
続いて、制御部120は、押出機構86によりステージ85上の結束紙幣を押し出して、投出口101からステージ102上へ投出する。結束紙幣がステージ102へ投出されると、ステージ102は、結束紙幣の重さにより、投出口101の水平方向外側に結束紙幣が位置しない位置まで沈み込む。こうして、ステージ102は、次の結束紙幣の投出に備える。
所定金種の紙幣であって且つ損券紙幣は、第1非結束スタッカ5Aへ搬送される。第1非結束スタッカ5Aにおいては、紙幣が搬送されてくると、羽根車51aの回転によって、紙幣を容器50a内に積み重ねていく。こうして、所定金種の紙幣であって且つ損券紙幣は、第1非結束スタッカ5Aに集積される。同様に、所定金種以外の金種の紙幣は、第2非結束スタッカ5Bへ搬送され、第2非結束スタッカ5Bに集積される。リジェクト紙幣も、リジェクトスタッカ6へ搬送され、リジェクトスタッカ6に集積される。
以上の処理が、ホッパ部2に載置された紙幣が無くなるまで続けられる。ホッパ部2の紙幣の有無は、紙幣センサ25によって検知される。
ホッパ部2に載置された紙幣の処理が完了すると、リジェクト紙幣の取込及び識別を再度行う。つまり、オペレータは、リジェクト紙幣をリジェクトスタッカ6から抜き出して、ホッパ部2へ載置し、再び取込を行う。リジェクト紙幣は、何らかの理由で正常な紙幣として識別されなかった紙幣であるので、再び取込及び識別を試みる。それでも尚、リジェクト紙幣として識別される紙幣は、再びリジェクトスタッカ6に集積される。オペレータは、再び集積された紙幣を顧客に返却する。
尚、第1及び第2非結束スタッカ5A,5Bに集積された紙幣については、再度の取込を行わない。
こうして、ホッパ部2に載置された紙幣の処理とリジェクト紙幣の再処理が完了すると、同一種類結束処理が完了し、顧客から渡された入金すべき紙幣の計数及び分別が終了する。タッチパネル17には、計数された金額が表示される。オペレータは、顧客からその金額の承認を得るか、又は、その金額と顧客が記載した入金伝票に記載された金額との一致を確認すると、タッチパネル17により入金額の確定操作を行う。確定操作が行われると、確定した入金額が上位装置(図示省略)へ通知され、入金処理が完了する。
入金処理の完了後は、オペレータは、投出部10に集積されている結束紙幣、結束スタッカ4に集積されている紙幣及び非結束スタッカ5に集積されている紙幣を取り出して所定の収納場所に収納する。
詳しくは、結束スタッカ4には、結束枚数に達しなかった端数の結束対象の紙幣が残留している場合がある。そのため、入金処理の完了後、紙幣が残留している結束スタッカ4のロック機構47は、解除状態となる。オペレータは、該結束スタッカ4の扉43を開けて、内部の紙幣を第1取出口46を介して取り出す。
尚、紙幣が残留しているのは、2つの結束スタッカ4のうち何れか一方だけである。そのため、紙幣が残留していない結束スタッカ4のロック機構47は拘束状態のままである。
非結束スタッカ5は、扉が設けられておらず、開放されているので、オペレータは、内部の紙幣を第2取出口53を介して取り出す。このとき、オペレータは、タッチパネル17を操作して押出機構54を作動させる。これにより、紙幣が押出機構54により押し出される。あるいは、入金額の確定操作が行われたときに、押出機構54が作動するようにしてもよい。
リジェクトスタッカ6も開放されているので、オペレータは、内部の紙幣をリジェクト取出口63を介して取り出す。
以上の処理により、複数種類の紙幣が混在し且つバラ状態であった紙幣は、所定金種の正券紙幣と、所定金種の損券紙幣と、所定金種以外の金種の紙幣と、リジェクト紙幣とに分類され、所定金種の正券紙幣については結束枚数ごとに結束された状態となる。
〈取込口及び投出口の配置〉
このように構成された紙幣処理装置100においては、筐体11を高さ方向に上部P21及び下部P22で二等分した場合、取込口24は下部に、投出口101は上部に設けられている。詳しくは、筐体11を高さ方向に上部P31、中部P32及び下部P33で三等分した場合、取込口24は下部に、投出口101は上部に設けられている。さらに詳しくは、筐体11の高さ方向に最上部P41、中上部P42、中下部P43及び最下部P44で四等分した場合、取込口24は最下部に、投出口101は最上部に設けられている。
また、取込口24と投出口101とは、同じ側面、具体的には第1側面113に設けられている。第1側面113においては、取込口24と投出口101との間にリジェクトスタッカ6のリジェクト取出口63が設けられている。
〈効果〉
前記紙幣処理装置100は、紙幣を1枚ずつ取り込む取込口24と、前記取込口24から取り込まれた紙幣を搬送する前段及び後段搬送部7,8と、前記取込口24から取り込まれた紙幣のうち結束対象の紙幣を集積する複数の結束スタッカ4と、前記結束スタッカ4に集積された紙幣を結束する結束部9と、前記結束部9により結束された紙幣束を投出する投出口101と、前記前段搬送部7、後段搬送部8、結束スタッカ4及び結束部9を収容する筐体11とを備え、前記取込口24は、前記筐体11を高さ方向に二等分した場合の下部に配置され、前記投出口101は、前記筐体11を高さ方向に二等分した場合の上部に配置されている。
前記の構成によれば、取込口24は、筐体11の比較的下部に配置される。紙幣処理装置100はテラーカウンタ等に設置されているため、取込口24は、テラーカウンタ等の比較的近くに位置することになる。テラーカウンタ等の高さは、通常、オペレータが作業し易い高さに設定されている。そのため、取込口24をテラーカウンタ等に近い高さに配置することにより、取込口24への紙幣の載置作業を容易に行うことができる。特に、バラ状態の紙幣はまとまりがなく、枚数が多い場合には両手で扱う必要があるなど、取扱いが煩雑である。また、バラ状態の紙幣は、一旦、テラーカウンタ上に置かれる場合もある。そのような場合には、取込口24までのバラ状態の紙幣の移動量が短いので、取込口24への紙幣の載置作業を容易に行うことができる。
また、取込口24を筐体11の比較的下部に配置することによって、取込口24の上方にバラ状態の紙幣を載置するスペースを確保することができる。一方、投出口101を筐体11の比較的上部に配置することによって、投出口101の下方に結束紙幣を載置するスペースを確保することができる。
尚、投出口101を筐体11の比較的上部に設けると、オペレータはテラーカウンタから離れた位置の紙幣を取り扱う必要が生じる。しかし、投出口101から投出される紙幣は、結束されており、バラ状態の紙幣と比べて取扱いが容易である。そのため、投出口101を比較的上部に設けても、オペレータの作業性をそれほど悪化させることはない。
また、前記取込口24及び投出口101は、前記筐体11のうち第1側面113に設けられている。
取込口24と投出口101とが同じ側面に設けられているので、取込口24への紙幣の載置と、投出口101からの紙幣の取り上げを筐体11の同じ側面において行うことができる。
前記紙幣処理装置100は、前記取込口24から取り込まれた紙幣を識別する識別部3と、前記識別部3により結束対象ではないと識別された紙幣を集積する複数の非結束スタッカ5とをさらに備え、前記筐体11のうち前記第1側面113に隣接する第2側面114には、前記結束スタッカ4に集積された紙幣を取り出す第1取出口46及び前記非結束スタッカ5に集積された紙幣を取り出す第2取出口53が設けられている。
この構成によれば、取込口24、投出口101、第1取出口46及び第2取出口53が隣接する2つの側面に設けられているので、オペレータは取込口24、投出口101、第1取出口46及び第2取出口53に対する作業を効率良く行うことができる。また、第1側面113と第2側面114とは隣接しているので、紙幣処理装置100の置き方によっては第1側面113及び第2側面114の両方を顧客から視認可能とすることができる。そのため、取込口24、投出口101、第1取出口46及び第2取出口53に対する作業を顧客の面前で行うことができる。
また、前記紙幣処理装置100は、前記識別部3によりリジェクトすべきと判定された紙幣を集積するリジェクトスタッカ6をさらに備え、前記筐体11のうち前記第1側面113には、前記リジェクトスタッカ6に集積された紙幣を取り出すリジェクト取出口63が設けられている。
リジェクトスタッカ6に集積された紙幣は、取込口24に再び載置されて、結束処理を再度行う場合がある。そのため、リジェクト取出口63を取込口24と同じ第1側面113に設けることによって、リジェクト紙幣を取込口24に載置する作業の作業性を向上させることができる。
さらに、前記リジェクト取出口63は、前記第2側面114にも設けられている。
つまり、リジェクト取出口63は、第1側面113にも第2側面114にも設けられている。そのため、リジェクト紙幣を第1側面113からも第2側面114からも取り出すことができる。
前記リジェクト取出口63は、前記第1側面113において前記取込口24と前記投出口101との間に設けられている。
この構成によれば、第1側面113にリジェクト取出口63を設ける構成であっても、取込口24をできる限り下部に、投出口101をできる限り上部に設けることができる。
前記紙幣処理装置100は、装置の情報を表示し且つ装置への情報を入力するタッチパネル17をさらに備え、前記タッチパネル17は、前記筐体11のうち前記第2側面114に設けられている。
この構成によれば、タッチパネル17も、結束スタッカ4の第1取出口46及び非結束スタッカ5の第2取出口53と同じ第2側面114に設けられる。そのため、オペレータが第2側面114に対する作業をしやすいように紙幣処理装置100を設置することによって、第1取出口46及び第2取出口53に対する作業に加えて、タッチパネル17に対する作業の作業性も向上させることができる。
前記紙幣処理装置100は、前記取込口24から取り込まれた紙幣を識別する識別部3と、前記識別部3により結束対象ではないと識別された紙幣を集積する複数の非結束スタッカ5とをさらに備え、前記結束スタッカ4及び前記結束部9は、前記筐体11の上部に配置され、前記非結束スタッカ5は、前記筐体11の下部に配置されている。
前記の構成によれば、紙幣の結束に関連する結束スタッカ4を、結束後の紙幣が投出される投出口101と同様に筐体11の上部に設けることによって、紙幣の搬送距離を短縮することができる。それに加えて、非結束スタッカ5を、結束スタッカ4が設けられた筐体11の上部ではなく、空間的に余裕がある筐体11の下部に設けることによって、紙幣処理装置100を全体としてコンパクトに構成することができる。
前記紙幣処理装置100は、前記識別部3によりリジェクトすべきと判定された紙幣を集積するリジェクトスタッカ6をさらに備え、前記リジェクトスタッカ6から前記取込口24までの距離は、前記非結束スタッカ5から前記取込口24までの距離よりも短くなっている。
この構成によれば、リジェクトスタッカ6から取り出したリジェクト紙幣を取込口24まで運ぶ距離が短くなるので、リジェクト紙幣を取込口24に載置する作業の作業性を向上させることができる。
前記筐体11は、卓上型である。具体的には、筐体11には、キャスター等が設けられておらず、卓上に安定的に載置できる構成となっている。また、筐体11のサイズは、卓上に載置するのに適したサイズとなっている。これにより、紙幣処理装置100を卓上で使用することができる。
また、前記筐体11には、前記結束スタッカ4に集積された紙幣を取り出す第1取出口46が設けられ、前記第1取出口46には、開閉可能な扉43が設けられている。
これにより、紙幣が結束スタッカ4から意図しないタイミングで取り出されたり、飛び出したりすることを防止することができる。
前記筐体11には、前記非結束スタッカ5に集積された紙幣を取り出す第2取出口53が設けられ、前記第2取出口53は、開閉部が設けられておらず、開放されている。
非結束スタッカ5は、集積した紙幣を結束する等の処理が無いので、紙幣が意図しないタイミングで取り出されたり、飛び出したりすることを防止する必要性が小さい。そこで、第2取出口53を開放しておくことによって、非結束スタッカ5からの紙幣の取り出し作業の作業性を向上させることができる。
《実施形態2》
次に、実施形態2に係る紙幣処理装置200について説明する。図5は、紙幣処理装置200の外観図を示し、図6は、紙幣処理装置200の概略構成図を示す。
紙幣処理装置200は、リジェクトスタッカ206の構成、投出部210の構成、並びに表示部217及び入力部218の構成が紙幣処理装置100と異なる。そこで、紙幣処理装置200のうち、実施形態1と同様の構成については同様の符号を付して、説明を省略する。尚、紙幣処理装置100と紙幣処理装置200とで同様の機能を有する構成については、十の位及び一の位の符号を共通にする。
詳しくは、リジェクトスタッカ206は、紙幣を集積する容器260と、搬送されてきた紙幣を容器260内へ搬入する羽根車261と、紙幣の有無を検知する集積センサ262とを有している。
容器260の底部は、傾斜している。これにより、容器260へ搬入された紙幣は、底部の低い方の端部へ集まる。集積センサ262は、容器260の底部の低い方の端部に設けられている。集積センサ262は、紙幣センサ25と同様の構成をしており、光が遮断されることによって容器260内の紙幣を検知する。集積センサ262は、容器260内の紙幣により光が遮断されるように配置されている。羽根車261は、前記羽根車51と同様の構成をしており、複数の羽を有し、搬送されてきた紙幣を羽の間で保持して、容器260内へ搬入する。紙幣は、容器260の底部近傍において羽根車261の羽から離脱し、容器260内に集積される。
容器260は、筐体11の第1側面113には開口しておらず、第2側面114に開口している。すなわち、第2側面114には、リジェクトスタッカ206に集積された紙幣を筐体11の外部に取り出すためのリジェクト取出口263が設けられている。リジェクト取出口263には、扉が設けられておらず、開放されている。
投出部210は、結束紙幣が投出される投出口101と、投出口101から投出された結束紙幣が載置されるステージ2102と、結束紙幣の投出口101の通過を検知する通過センサ103と、ステージ2102上の結束紙幣を検知する紙幣センサ2104とを有している。
ステージ2102は、上下に移動可能に構成され、駆動機構(図示省略)により上下に駆動される。
紙幣センサ2104は、投出口101の直下に設けられており、ステージ2102上の紙幣が投出口101の直下に位置するか否かを検出している。紙幣センサ2104は、紙幣センサ25と同様の構成をしている。ステージ2102は、その上に載置された結束紙幣が紙幣センサ2104に検知されない位置に位置するように制御されている。こうすることで、投出口101と同じ高さには結束紙幣が存在していないので、投出口101から投出される結束紙幣は、先にステージ2102上に載置された結束紙幣の上に順次載置されていく。
紙幣処理装置200では、前記タッチパネル17の代わりに、紙幣処理装置200への情報を入力する操作ボタン217と紙幣処理装置200の情報を表示する液晶パネル218とが筐体11の第2側面114に設けられている。詳しくは、操作ボタン217及び液晶パネル218は、第2非結束スタッカ5Bの第2取出口53bの上方であって、第2結束スタッカ4Bの側方に設けられている。操作ボタン217は、各種のボタンで構成されている。操作ボタン217及び液晶パネル218は、紙幣処理装置200を操作するオペレータに対するヒューマンインターフェース部分である。操作ボタン217は、操作部の一例である。液晶パネル218は、表示部の一例である。
以上説明したように、紙幣処理装置200は、前記識別部3によりリジェクトすべきと判定された紙幣を集積するリジェクトスタッカ206をさらに備え、前記筐体11のうち前記第2側面114には、前記リジェクトスタッカ206に集積された紙幣を取り出すリジェクト取出口263が設けられている。
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
前記実施形態では、結束スタッカ4が2つ設けられ、非結束スタッカ5が2つ設けられ、リジェクトスタッカ6が1つ設けられているが、これらの個数はこれに限られるものではない。例えば、結束スタッカ4は、1つ又は3つ以上であってもよい。非結束スタッカ5は、1つ又は3つ以上であってもよい。リジェクトスタッカ6は、2以上であってもよい。あるいは、非結束スタッカ5及びリジェクトスタッカ6を省略してもよい。
また、実施形態1では、取込口24、投出口101及びリジェクト取出口63が第1側面113に設けられ、第1取出口46、第2取出口53及びタッチパネル17が第2側面114に設けられているが、これは例示に過ぎない。実施形態2では、取込口24及び投出口101が第1側面113に設けられ、第1取出口46、第2取出口53、リジェクト取出口263、操作ボタン217及び液晶パネル218が第2側面114に設けられているが、これは例示に過ぎない。
例えば、第1側面113に第1取出口46が設けられ、第2側面114に第2取出口53が設けられていてもよい。
また、前記実施形態では、結束対象の紙幣が1種類(所定の金種で且つ正券)であるので、2つの結束スタッカ4には共に同じ種類の紙幣が集積される。しかし、結束対象の紙幣が2種類の場合には、2つの結束スタッカ4に異なる種類の紙幣を別々に集積するように構成してもよい。
前記結束スタッカ4の扉43は、開閉するように構成されている。スライド式の扉であってもよい。尚、第1取出口46の扉43を省略してもよい。
また、扉43は、透明又は半透明な材料で構成されているが、これに限られるものではない。扉43は、格子、スリット若しくは穴を有する構造又は網目構造等の、結束スタッカ4の内部が視認可能な構造であってもよい。尚、扉43は、結束スタッカ4の内部が視認できない構造であってもよい。
前記ストッパ43aは、扉43と別体で構成され、扉43に固定されているが、これに限られるものではない。ストッパ43aを扉43と一体に形成してもよい。例えば、扉43の内周面をストッパ43aとしてもよい。あるいは、扉43の内周面に凸部を設けて、該凸部をストッパ43aとしてもよい。また、ストッパ43aは、透明又は半透明な材料で構成されているが、これに限られるものではない。ストッパ43aは、格子、スリット若しくは穴を有する構造又は網目構造等の、結束スタッカ4の内部が視認可能な構造であってもよい。尚、ストッパ43aは、結束スタッカ4の内部が視認できない構造であってもよい。
非結束スタッカ5の第2取出口53やリジェクトスタッカ6のリジェクト取出口63に扉等の開閉部を設けてもよい。
また、前記紙幣処理装置100,200は、複数の金種の紙幣が混在していたバラ状態の紙幣を処理しているが、これに限られるものではない。紙幣処理装置100,200は、所定の1種類の金種の紙幣を処理する構成であってもよい。