以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。
《第1の実施の形態》
〈装置構成〉
図1、図2は、それぞれ本発明に係る形状測定装置の第1の実施形態を示す正面図、側面図である。また、図3は、図1の3−3断面図である。
本実施の形態の形状測定装置10は、低コヒーレンス干渉を利用して、測定対象物の表面形状を非接触測定する装置であり、主として、基台12と、測定対象物Oを支持するテーブル14と、テーブル14をX軸及びY軸に沿って移動させるテーブル移動部16と、テーブル14をX軸まわり及びY軸まわりにチルトさせるテーブルチルト部18と、低コヒーレンス光を出射する光源20と、測定部22と、測定部22をZ軸に沿って移動させるZ軸移動部24と、テーブル14に支持された測定対象物OをX軸方向から撮像するX軸撮像部26Xと、テーブル14に支持された測定対象物OをY軸方向から撮像するY軸撮像部26Yと、テーブル14に支持された測定対象物OをZ軸方向から撮像するZ軸撮像部26Zと、全体の動作を制御し、かつ、各種演算処理を行うコンピュータ32と、を備えて構成される。
基台12は、平坦な基台基準面12Aを有する。X軸、Y軸及びZ軸は、互いに直交する3つの軸として、基台基準面12Aの中心を基準に設定される。X軸及びY軸は、基台基準面12Aと平行に設定され、Z軸は、基台基準面12Aと垂直に設定される。
基台12には、コラム12Bが備えられる。コラム12Bは、基台基準面12Aに対して垂直に設置される。
テーブル14は、テーブル移動部16及びテーブルチルト部18を介して基台12に設置される。テーブル14は、平坦な測定対象物支持面14Aを有し、測定対象物支持面14Aの上に測定対象物Oが載置されて支持される。
テーブル移動部16は、テーブル14をX軸に沿って移動させるX軸移動部16X、及び、テーブル14をY軸に沿って移動させるY軸移動部16Yを備えて構成される。
X軸移動部16Xは、X軸に沿って配設される図示しないレールと、そのレールに沿ってスライドする図示しない直動ステージと、直動ステージをレールに沿って移動させる図示しない駆動機構と、を備えて構成される。テーブル14は、X軸移動部16Xの駆動機構を駆動することにより、X軸に沿って移動する。
Y軸移動部16Yは、Y軸に沿って配設される図示しないレールと、そのレールに沿ってスライドする図示しない直動ステージと、直動ステージをレールに沿って移動させる図示しない駆動機構と、を備えて構成される。テーブル14は、Y軸移動部16Yの駆動機構を駆動することにより、Y軸に沿って移動する。
テーブルチルト部18は、テーブル14をX軸まわりにチルトさせるX軸まわりチルト部18X、及び、テーブル14をY軸まわりにチルトさせるY軸まわりチルト部18Yを備えて構成される。
X軸まわりチルト部18Xは、X軸まわりに揺動自在に支持された図示しない揺動ステージと、揺動ステージを揺動させる図示しない駆動機構と、を備えて構成される。テーブル14は、X軸まわりチルト部18Xの駆動機構を駆動することにより、X軸まわりにチルトする。
Y軸まわりチルト部18Yは、Y軸まわりに揺動自在に支持された図示しない揺動ステージと、揺動ステージを揺動させる図示しない駆動機構と、を備えて構成される。テーブル14は、Y軸まわりチルト部18Yの駆動機構を駆動することにより、Y軸まわりにチルトする。
テーブル14は、Y軸まわりチルト部18Yの揺動ステージの上に設置される。Y軸まわりチルト部18Yは、X軸まわりチルト部18Xの揺動ステージの上に設置される。X軸まわりチルト部18Xは、Y軸移動部16Yの直動ステージの上に設置される。Y軸移動部16Yは、X軸移動部16Xの直動ステージの上に設置される。X軸移動部16Xは、基台基準面12Aに設置される。これにより、X軸移動部16Xを駆動すると、テーブル14がX軸に沿って移動する。また、Y軸移動部16Yを駆動すると、テーブル14がY軸に沿って移動する。また、X軸まわりチルト部18Xを駆動すると、テーブル14がX軸まわりにチルトする。また、Y軸まわりチルト部18Yを駆動すると、テーブル14がY軸まわりにチルトする。
テーブル14は、X軸方向の位置がX軸方向位置検出部34Xによって検出され、Y軸方向の位置がY軸方向位置検出部34Yによって検出される。X軸方向位置検出部34Xは、X軸移動部16Xの直動ステージの移動量を検出して、あらかじめ設定された原点に対するテーブル14のX軸方向の位置を検出する。Y軸方向位置検出部34Yは、Y軸移動部16Yの直動ステージの移動量を検出して、原点に対するテーブル14のY軸方向の位置を検出する。
また、テーブル14は、X軸まわりのチルト角がX軸まわりチルト角検出部36Xによって検出され、Y軸まわりのチルト角がY軸まわりチルト角検出部36Yによって検出される。X軸まわりチルト角検出部36Xは、X軸まわりチルト部18Xの揺動ステージの傾斜角度を検出して、テーブル14のX軸まわりのチルト角を検出する。Y軸まわりチルト角検出部36Yは、Y軸まわりチルト部18Yの揺動ステージの傾斜角度を検出して、テーブル14のY軸まわりのチルト角を検出する。
光源20は、白色光源のような低コヒーレンス光源で構成され、低コヒーレンス光(たとえば、白色光)を出射する。光源20から出射された光は、ライトガイド40を介して、測定部22に伝播される。
図4は、測定部の概略構成図である。
測定部22は、コリメーター42と、ビームスプリッター44と、コーナーキューブプリズム46と、対物レンズ48と、光検出器50と、を備えて構成される。測定部22の各構成要素は、測定部本体フレーム52に一体的に備えられる。
コリメーター42は、ライトガイド40を介して光源20から伝播される光を平行光に変換し、ビームスプリッター44に入射する。
ビームスプリッター44は、光分割手段の一例であり、コリメーター42を介して入射される光を測定光と参照光とに分割する。また、ビームスプリッター44は、光合成手段の一例であり、測定対象物Oで反射した測定光と、コーナーキューブプリズム46で反射した参照光とを合成して干渉光を生成する。
コーナーキューブプリズム46は、参照光反射手段の一例であり、ビームスプリッター44から出射する参照光を一定位置で元来た方向に反射する。コーナーキューブプリズム46で反射した参照光は、再びビームスプリッター44に入射する。
対物レンズ48は、ビームスプリッター44から出射する測定光を集光して、測定対象面である測定対象物Oの表面に照射する。測定対象物Oの表面で反射した測定光は、対物レンズ48を介して再びビームスプリッター44に入射する。対物レンズ48の光軸は、Z軸と平行に設定される。したがって、測定光は、Z軸に沿って対物レンズ48から出射する。
ビームスプリッター44に入射した測定光及び参照光は、ビームスプリッター44によって一つに合わされて光学的に干渉し、光検出器50に入射する。
光検出器50は、光検出手段の一例であり、ビームスプリッター44から出射される干渉光の光強度を検出する。光検出器50は、あらかじめ設定された周期でサンプリングし、電気信号(干渉信号)として出力する。このような機能を有する光検出器50としては、たとえば、CCDイメージセンサ(Charge Coupled Device Image Sensor)やCMOSイメージセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)などの固体撮像素子が好適に用いられる。光検出器50から出力される干渉信号は、コンピュータ32に取り込まれる。
Z軸移動部24は、測定部22をZ軸に沿って移動させる。Z軸移動部24は、Z軸に沿って配設される図示しないレールと、そのレールに沿ってスライドする図示しない直動ステージと、直動ステージをレールに沿って移動させる図示しない駆動機構と、を備えて構成される。レールは、コラム12Bに配設される。測定部22は、その測定部本体フレーム52が、Z軸移動部24の直動ステージに取り付けられて、Z軸方向に移動可能に設けられる。そして、Z軸移動部24の駆動機構を駆動することにより、Z軸方向に沿って移動する。
測定部22の測定部22は、Z軸移動部24の直動ステージに設置される。これにより、Z軸移動部24の駆動機構を駆動すると、測定部22がZ軸に沿って移動する。
測定部22は、Z軸方向の位置がZ軸方向位置検出部34Zによって検出される。Z軸方向位置検出部34Zは、Z軸移動部24の直動ステージの移動量を検出して、あらかじめ設定された原点に対する測定部22のZ軸方向の位置を検出する。
X軸撮像部26Xは、X軸電子カメラ26XCを備え、X軸電子カメラ26XCで測定対象物OをX軸方向から撮像する。X軸電子カメラ26XCは、ブラケット56Xを介して基台12に設置される。X軸電子カメラ26XCの撮影レンズは、テーブル14に支持された測定対象物Oの全体を撮像可能に構成され、その光軸はX軸と平行に設定される。これにより、測定対象物Oの側面をX軸方向から撮像できる。また、X軸電子カメラ26XCには、AE(automatic exposure:自動露出)、AF(auto focus:自動焦点調節)、AWB(auto white balance:自動ホワイトバランス)等の機能が備えられる。
Y軸撮像部26Yは、Y軸電子カメラ26YCを備え、Y軸電子カメラ26YCで測定対象物OをY軸方向から撮像する。Y軸電子カメラ26YCは、ブラケット56Yを介してコラム12Bに設置される。Y軸電子カメラ26YCの撮影レンズは、Y軸電子カメラ26YCの設置位置においてテーブル14に支持された測定対象物Oの全体を撮像可能に構成され、その光軸はY軸と平行に設定される。これにより、測定対象物Oの側面をY軸方向から撮像できる。また、Y軸電子カメラ26YCには、AE、AF、AWB等の機能が備えられる。
Z軸撮像部26Zは、Z軸電子カメラ26ZCを備え、Z軸電子カメラ26ZCで測定対象物OをZ軸方向から撮像する。Z軸電子カメラ26ZCは、ブラケット56Zを介して測定部22の測定部本体フレーム52に設置される。Z軸電子カメラ26ZCの撮影レンズは、所定位置においてテーブル14に支持された測定対象物Oの全体を撮像可能に構成され、その光軸はZ軸と平行に設定される。これにより、測定対象物Oの上面(測定対象面)をZ軸方向から撮像できる。また、Z軸電子カメラ26ZCには、AE、AF、AWB等の機能が備えられる。
コンピュータ32は、形状測定装置10の全体の動作を制御し、かつ、各種演算処理を行う。コンピュータ32は、CPU(central processing unit:中央演算処理装置)、RAM(random access memory:ランダムアクセスが可能な読み出しと書き込みができる記憶装置)、ROM(read only memory:読み出し専用の記憶装置)を備えて構成される。
図5は、形状測定装置の制御系のブロック図である。
コンピュータ32には、表示部60としてのディスプレイ、操作部62としてのキーボード、及び、マウス、並びに、記憶部64としてのHDD(hard disc drive:固定ディスク装置)が接続される。
また、コンピュータ32には、テーブル移動部16、テーブルチルト部18、光源20、測定部22、Z軸移動部24、X軸撮像部26X、Y軸撮像部26Y、Z軸撮像部26Z、X軸方向位置検出部34X、Y軸方向位置検出部34Y、X軸まわりチルト角検出部36X、Y軸まわりチルト角検出部36Y、Z軸方向位置検出部34Zが接続される。
コンピュータは、所定のプログラムを実行することにより、コンピュータ32に接続された各部の制御部として機能する。また、コンピュータ32は、所定のプログラムを実行することにより、演算処理部として機能する。ROM又は記憶部64には、コンピュータ32が実行するプログラム、及び、制御等に必要な各種データが記憶される。
図6は、コンピュータが実現する機能のブロック図である。
コンピュータ32は、所定のプログラムを実行することにより、X軸撮像制御部110X、Y軸撮像制御部110Y、Z軸撮像制御部110Z、X軸まわり傾き補正部112、Y軸まわり傾き補正部114、作動距離調整部116、接触回避部118、走査制御部120、表面位置検出部122、測定点指定部124、測定位置調整部126、表示制御部128として機能する。
X軸撮像制御部110Xは、X軸撮像部26Xに備えられたX軸電子カメラ26XCの駆動を制御して、X軸方向からの撮像を制御する。X軸電子カメラ26XCからの映像信号は、コンピュータ32に取り込まれる。
Y軸撮像制御部110Yは、Y軸撮像部26Yに備えられたY軸電子カメラ26YCの駆動を制御して、Y軸方向からの撮像を制御する。Y軸電子カメラ26YCからの映像信号は、コンピュータ32に取り込まれる。
Z軸撮像制御部110Zは、Z軸撮像部26Zに備えられたZ軸電子カメラ26ZCの駆動を制御して、Z軸方向からの撮像を制御する。Z軸電子カメラ26ZCからの映像信号は、コンピュータ32に取り込まれる。
X軸まわり傾き補正部112は、X軸撮像部26Xで撮像された画像に基づいて、X軸まわりチルト部18Xを制御し、テーブル14に支持された測定対象物OのX軸まわりの傾きを補正する。X軸まわり傾き補正部112は、測定対象物OのX軸まわりの傾き量を検出する検出部と、X軸まわりの傾きの補正量を算出する算出部と、算出した補正量に基づいてX軸まわりチルト部18Xを駆動する駆動制御部と、を備えて構成される。検出部は、X軸撮像部26Xから得られる画像を解析して、測定対象物OのX軸まわりの傾き量を検出する。X軸まわりの傾き量は、基台基準面12Aと平行な面に対する測定対象面のX軸まわりの傾き量を画像から求めて検出する。算出部は、検出部で検出されたX軸まわりの傾き量から、傾きを是正するための補正量を算出する。補正量は、測定対象面のX軸まわりの傾きを補正するために必要なX軸まわりのチルト角として算出される。駆動制御部は、算出されたチルト角に基づいて、X軸まわりチルト部18Xを駆動し、テーブル14をX軸まわりにチルトさせて、テーブル14のX軸まわりの傾きを補正する。
Y軸まわり傾き補正部114は、Y軸撮像部26Yで撮像された画像に基づいて、Y軸まわりチルト部18Yを制御し、テーブル14に支持された測定対象物OのY軸まわりの傾きを補正する。Y軸まわり傾き補正部114は、測定対象物OのY軸まわりの傾き量を検出する検出部と、Y軸まわりの傾きの補正量を算出する算出部と、算出した補正量に基づいてY軸まわりチルト部18Yを駆動する駆動制御部と、を備えて構成される。検出部は、Y軸撮像部26Yから得られる画像を解析して、測定対象物OのY軸まわりの傾き量を検出する。Y軸まわりの傾き量は、基台基準面12Aと平行な面に対する測定対象面のY軸まわりの傾き量を画像から求めて検出する。算出部は、検出部で検出されたY軸まわりの傾き量から、傾きを是正するための補正量を算出する。補正量は、測定対象面のY軸まわりの傾きを補正するために必要なY軸まわりのチルト角として算出される。駆動制御部は、算出されたチルト角に基づいて、Y軸まわりチルト部18Yを駆動し、テーブル14をY軸まわりにチルトさせて、テーブル14のY軸まわりの傾きを補正する。
このように、X軸まわり傾き補正部112及びY軸まわり傾き補正部114によって傾き補正することにより、測定光の光軸に対して測定対象物Oの表面を垂直にできる。これにより、検出感度を高めることができ、最も干渉縞のコントラストが高い最適条件で測定することが可能になる。
作動距離調整部116は、X軸撮像部26X及びY軸撮像部26Yで撮像された画像に基づいて、Z軸移動部24を制御し、測定部22を対物レンズ48の作動距離まで移動させる。作動距離調整部116は、X軸撮像部26X及びY軸撮像部26Yで撮像された画像に基づいて、対物レンズ48の先端と測定対象物Oの測定対象面との間の距離を検出する検出部と、その検出部の検出結果に基づいて、Z軸移動部24の駆動を制御する駆動制御部と、を備えて構成される。検出部は、X軸撮像部26X及びY軸撮像部26Yで撮像された画像を解析し、対物レンズ48の先端と測定対象物Oの測定対象面との間の距離を検出する。駆動制御部は、検出部の検出結果に基づいて、Z軸移動部24を制御し、測定部22を対物レンズ48の作動距離まで移動させる。すなわち、距離をフィードバックしつつ測定部22を動かして、測定部22を対物レンズ48の作動距離まで移動させる。
具体的には、あらかじめ設定された原点位置から測定対象物Oに向けて測定部22を移動させ、対物レンズ48の作動距離に達したところで測定部22の移動を停止させる。
接触回避部118は、X軸撮像部26X及びY軸撮像部26Yで撮像された画像に基づいて、対物レンズ48と測定対象物Oとの間の距離を監視し、対物レンズ48と測定対象物Oとの間の距離が、あらかじめ設定された衝突回避可能距離まで近づくと、測定部22の移動を停止させる。接触回避部118は、X軸撮像部26X及びY軸撮像部26Yで撮像された画像に基づいて、対物レンズ48の先端と測定対象物Oの測定対象面との間の距離を検出する検出部と、その検出部の検出結果に基づいて、対物レンズ48の先端と測定対象物Oの測定対象面との間の距離が衝突回避可能距離に達したか否かを判定する判定部と、その判定部の判定結果に基づいて、Z軸移動部24の駆動を制御する駆動制御部と、を備えて構成される。検出部は、X軸撮像部26X及びY軸撮像部26Yで撮像された画像を解析し、対物レンズ48の先端と測定対象物Oの測定対象面との間の距離を検出する。判定部は、検出部の検出結果と衝突回避可能距離とを比較して、対物レンズ48の先端と測定対象物Oの測定対象面との間の距離が衝突回避可能距離に達したか否かを判定する。すなわち、対物レンズ48の先端と測定対象物Oの測定対象面との間の距離が、衝突回避可能距離以下か否かを判定する。駆動制御部は、判定部で、対物レンズ48の先端と測定対象物Oの測定対象面との間の距離が衝突回避可能距離に達したと判定されると、Z軸移動部24の駆動を制御して、測定部22の移動を強制的に停止させる。
走査制御部120は、Z軸移動部24を制御し、あらかじめ設定された走査範囲で測定部22を走査させる。走査範囲は、対物レンズ48の作動距離となる位置を中心として設定される。
表面位置検出部122は、光検出器50で検出される干渉光の強度及びZ軸方向位置検出部34Zで検出される測定部22のZ軸方向の位置に基づいて、測定点のZ軸方向の位置を検出する。この検出は、次のように行われる。
本実施の形態の形状測定装置10のように、低コヒーレンス光源を使用した低コヒーレンス干渉では、測定光の光路長と参照光の光路長と一致する場合、及び、その近傍でのみ干渉縞が検出される。そして、その干渉縞のコントラストは、測定光の光路長と参照光の光路長とが一致した場合に最大となる。干渉縞のコントラストは、光検出器50で検出される干渉光の強度として表わされ、干渉縞のコントラストが高くなると、光検出器50で検出される干渉光の強度が大きくなる。
本実施の形態の形状測定装置10では、参照光の光路長は不変とされ、測定部22をZ軸方向に移動させることにより、測定光の光路長が変化する。したがって、測定部22をZ軸に沿って走査させ、光検出器50で検出される干渉光の強度が最大となる位置を検出することにより、参照光の光路長と測定光の光路長とが一致する測定部22の位置を検出できる。
表面位置検出部122は、干渉光の強度が最大となる測定部22のZ軸方向の位置を検出し、その位置を測定点のZ軸方向の位置として検出する。より具体的には、干渉信号の振幅が最大となる測定部22のZ軸方向の位置を検出して、測定点のZ軸方向の位置を検出する。
また、表面位置検出部122は、検出された測定点のZ軸方向の位置の情報を、その測定点の位置情報とともに記憶部64に格納する。測定点の位置情報は、たとえば、測定点の座標(x、y)の情報として記録される。
測定点指定部124は、測定対象物Oに対する測定点の指定を受け付ける。測定点の指定は、点、線、又は、領域を指定して行われる。測定点の指定の受け付けは、表示部60及び操作部62を利用して、次のように行われる。
図7は、測定点の指定画面の一例を示す図である。なお、図7(A)は、点を指定して測定する場合の例を示す図、図7(B)は、線を指定して測定する場合の例を示す図、図7(C)は、領域を指定して測定する場合の例を示す図である。
図7(A)〜(C)に示すように、表示部60の画面60Aには、Z軸撮像部26Zで撮像された測定対象物Oの画像60Iが表示される。
点を指定して測定する場合は、図7(A)に示すように、測定対象とする点を画面上に表示されたカーソル60Cで指定する。たとえば、測定対象とする地点をカーソル60Cでクリックし、測定対象とする地点を画像上で指示する。カーソル60Cの操作は、操作部62を介して行われる。測定点指定部124は、指定された点を測定点に設定する。なお、測定点は、1以上の点が指定され、複数の点が指定された場合は、測定する順番も指定される。
線を指定して測定する場合は、図7(B)に示すように、測定対象とする線を画面上に表示されたカーソル60Cで指定する。線の指定は、たとえば、線の始点及び終点を指定して行う。カーソル60Cの操作は、操作部62を介して行われる。測定点指定部124は、指定された線に沿って一定の間隔で測定点を設定する。
領域を指定して測定する場合は、図7(C)に示すように、測定対象とする領域を画面上に表示されたカーソル60Cで指定する。領域の指定は、たとえば、画面上に矩形の枠を表示し、その枠の対角線上の2点をカーソル60Cで指定して行う。カーソル60Cの操作は、操作部62を介して行われる。測定点指定部124は、領域にグリッドを設定し、グリッドの交点を測定点に指定する。
このように、測定点の指定は、Z軸撮像部26Zで撮像された測定対象物Oの画像60Iを利用して行われる。このほか、座標を指定して、測定点を指定する方法を採用することもできる。
測定位置調整部126は、測定点指定部124で指定された測定点で測定が実施されるように、X軸移動部16X及びY軸移動部16Yの駆動を制御して、テーブル14の移動を制御する。すなわち、測定点として指定された点に測定光が照射されるように、X軸移動部16X及びY軸移動部16Yの駆動を制御して、テーブル14の移動を制御する。
表示制御部128は、表示部60への表示を制御する。たとえば、測定時には、測定された測定点のZ軸方向の位置の情報を表示する。また、測定点の指定時には、上記のように、Z軸撮像部26Zで撮像された画像を表示する。また、測定中にも、必要に応じて、X軸撮像部26X、Y軸撮像部26Y、及び、Z軸撮像部26Zで撮像された画像を表示する。
〈作用〉
図8は、本実施の形態の形状測定装置を用いた形状測定の手順を示すフローチャートである。
初期状態において、テーブル14は、原点位置に位置し、測定部22は、待機位置に位置している。
測定の開始が指示されると、まず、X軸撮像部26X、Y軸撮像部26Y及びZ軸撮像部26Zの画像のキャリブレーション、すなわち、画像の大きさと距離の関係付けが行われ、距離の測定が可能な状態に設定される(ステップS1)。
キャリブレーションの完了後、測定点の指定が行われる(ステップS2)。上記のように、測定点の指定は、Z軸撮像部26Zで撮像された測定対象物Oの画像に基づいて行われる。このため、測定点の指定時には、Z軸撮像部26Zで測定対象物Oが撮像される。
測定点が指定されると、最初の測定点の位置に測定対象物Oが移動する(ステップS3)。すなわち、対物レンズ48から出射される測定光の光軸上に最初の測定点が位置するように、測定対象物Oが移動する。
次に、X軸まわり及びY軸まわりの傾き補正が行われる(ステップS4)。上記のように、X軸まわりの傾き補正は、X軸撮像部26Xで撮像される画像に基づいて行われ、Y軸まわりの傾き補正は、Y軸撮像部26Yで撮像される画像に基づいて行われる。したがって、X軸まわり及びY軸まわりの傾き補正時には、X軸撮像部26X及びY軸撮像部26Yで測定対象物Oが撮像される。この傾き補正により、測定箇所に対して測定光が垂直に入射するようになり、最も干渉縞のコントラストが高い最適条件で測定することが可能になる。
傾き補正が行われると、次に、測定部22が、対物レンズ48の作動距離まで移動する(ステップS5)。この際、上記のように、X軸撮像部26X及びY軸撮像部26Yで撮像された画像に基づいて、Z軸移動部24を制御し、測定部22を対物レンズ48の作動距離まで移動させる。すなわち、X軸撮像部26X及びY軸撮像部26Yで撮像された画像に基づいて、対物レンズ48の先端と測定対象物Oの測定対象面との間の距離を検出し、対物レンズ48の作動距離に達したところで測定部22の移動を停止させる。
この際、対物レンズ48と測定対象物Oとの間の距離が監視され、衝突回避可能距離まで対物レンズ48が測定対象物Oに近づくと、測定部22の移動が停止される。これにより、対物レンズ48が測定対象物Oに衝突するのを防止できる。
測定部22が、対物レンズ48の作動距離に移動すると、次に、測定が行われる(ステップS6)。すなわち、あらかじめ設定された走査範囲で測定部22を走査させ、干渉光の強度が検出される。
この際、対物レンズ48と測定対象物Oとの間の距離が監視され、衝突回避可能距離まで対物レンズ48が測定対象物Oに近づくと、測定部22の移動が停止される。これにより、対物レンズ48が測定対象物Oに衝突するのを防止できる。
走査が完了すると、測定部22が待機位置に復帰する。そして、干渉光の強度の検出結果に基づいて、干渉光の強度が最大となる測定部22の位置が検出される(ステップS7)。
検出後、検出された測定部22の位置の情報が、測定点の位置の情報とともに記憶部64に記録される(ステップS8)。
以上の工程で最初の測定点の測定が完了する。この後、次の測定点の有無が判定される(ステップS9)。
次の測定点がない場合は、測定結果を表示部60に表示し(ステップS11)、処理を終了する。
次の測定点がある場合は、次の測定点の位置に測定対象物Oが移動する(ステップS10)。すなわち、対物レンズ48から出射される測定光の光軸上に次の測定点が位置するように、測定対象物Oが移動する。移動後、上記ステップS4〜ステップS9の処理を実施する。
このように、本実施の形態の形状測定装置10によれば、測定点を指定するだけで測定対象物Oの形状を自動で測定できる。これにより、各種調整や設定の手間を省け、短時間で高精度な測定ができる。また、ユーザの調整技能によらずに測定ができるので、再現性のあるデータの取得が可能になる。
また、測定部22を移動させる場合には、対物レンズ48が測定対象物Oに接触しないように、常に監視しながら測定部22を移動させるので、安全に測定を実施できる。特に、工業用部品など複雑な表面形状を有する測定対象物は、測定点以外の点で対物レンズが測定対象物に衝突するおそれがあるが、本実施の形態の形状測定装置によれば、そのような問題も回避できる。
〈変形例〉
上記実施の形態では、対物レンズ48の先端と測定対象物Oの測定対象面との間の距離を検出する際、X軸撮像部26Xで撮像された画像及びY軸撮像部26Yで撮像された画像を利用しているが、いずれか一方の画像を利用して、検出する構成とすることもできる。たとえば、X軸撮像部26Xで撮像された画像に基づいて、対物レンズ48の先端と測定対象物Oの測定対象面との間の距離を検出する構成としてもよいし、また、Y軸撮像部26Yで撮像された画像に基づいて、対物レンズ48の先端と測定対象物Oの測定対象面との間の距離を検出する構成としてもよい。
上記実施の形態では、X軸撮像部26XのX軸電子カメラ26XC、及び、Y軸撮像部26YのY軸電子カメラ26YCが一定位置に固定されているが、移動できるように構成してもよい。この場合、X軸撮像部26Xについては、Y軸方向及び/又はZ軸方向にX軸電子カメラ26XCを移動可能に設置する。また、Y軸撮像部26Yについては、X軸方向及び/又はZ軸方向にY軸電子カメラ26YCを移動可能に設置する。
また、上記実施の形態では、X軸撮像部26XのX軸電子カメラ26XC、及び、Y軸撮像部26YのY軸電子カメラ26YCが、基台12に設置されているが、測定部22の測定部本体フレーム52に設置する構成とすることもできる。
また、X軸撮像部26XのX軸電子カメラ26XC、Y軸撮像部26YのY軸電子カメラ26YC、及び、Z軸撮像部26ZのZ軸電子カメラ26ZCは、ズーム機能を備えてもよい。これにより、必要に応じて、測定対象物Oを拡大して撮像できる。
上記実施の形態では、測定部22をZ軸方向に移動させて、走査する構成としているが、テーブル14をZ軸方向に移動可能に支持し、テーブル14をZ軸方向に移動させて、走査する構成とすることもできる。
また、上記実施の形態では、テーブル14をX軸方向及びY軸方向に移動可能に支持し、テーブル14をX軸方向及びY軸方向に移動させて測定点の位置を変える構成としているが、測定部22をX軸方向及びY軸方向に移動可能に支持し、測定部22をX軸方向及びY軸方向に移動させて測定点の位置を変える構成することもできる。
更に、テーブル14又は測定部22は、X軸方向又はY軸方向のいずれか一方にのみ移動可能に支持する構成とすることもできる。
また、走査時における走査範囲は、ユーザが任意に設定できる構成とすることもできる。この場合、走査範囲の指定は、操作部62を介して事前に行われる。
また、上記実施の形態では、Z軸撮像部26Zで撮像した画像を利用して測定点を指定する構成としているが、たとえば、座標を入力して、測定点を指定する構造とすることもできる。あるいは、手動で測定点の設定を行う構成とすることもできる。この場合、たとえば、最初の測定点を手動で設定し、その後の測定を自動で実施する構成とすることもできる。なお、このように手動で測定点を設定する場合、Z軸撮像部26Zを省略できる。
《第2の実施の形態》
〈装置構成〉
図9、図10は、それぞれ本発明に係る形状測定装置の第2の実施形態を示す正面図、側面図である。
本実施の形態の形状測定装置200は、低コヒーレンス干渉を利用して、円筒状の測定対象物Cの内周面の表面形状及び内径を非接触測定する装置であり、主として、基台212と、測定対象物Cを支持するテーブル214と、テーブル214をX軸及びY軸に沿って移動させるテーブル移動部216と、テーブル214をX軸まわり及びY軸まわりにチルトさせるテーブルチルト部218と、テーブル214をΘ軸まわりに回転させるテーブル回転部219と、低コヒーレンス光を出射する光源220と、測定部222と、測定部222をZ軸に沿って移動させるZ軸移動部224と、テーブル214に支持された測定対象物Cの内部をZ軸方向から撮像する第1撮像部226Aと、測定部222に備えられた対物レンズ248の先端を含む領域をZ軸方向から撮像する第2撮像部226Bと、テーブル214に支持された測定対象物Cの内部を対物レンズ248から出射する測定光の光軸と平行な方向から撮像する第3撮像部226Cと、全体の動作を制御し、かつ、各種演算処理を行うコンピュータ232と、を備えて構成される。
基台212は、平坦な基台基準面212Aを有する。X軸、Y軸及びZ軸は、互いに直交する3つの軸として、基台基準面212Aの中心を基準に設定される。X軸及びY軸は、基台基準面212Aと平行に設定され、Z軸は、基台基準面212Aと垂直に設定される。
基台212には、コラム212Bが備えられる。コラム212Bは、基台基準面212Aに対して垂直に設置される。
テーブル214は、テーブル移動部216、テーブルチルト部218、及び、テーブル回転部219を介して基台212に設置される。テーブル214は、平坦な測定対象物支持面214Aを有し、測定対象物支持面214Aの上に測定対象物Cが載置されて支持される。
テーブル移動部216は、テーブル214をX軸に沿って移動させるX軸移動部216X、及び、テーブル214をY軸に沿って移動させるY軸移動部216Yを備えて構成される。X軸移動部216X及びY軸移動部216Yの構成は、上記第1の実施の形態のX軸移動部16X及びY軸移動部16Yの構成と同じである。
テーブルチルト部218は、テーブル214をX軸まわりにチルトさせるX軸まわりチルト部218X、及び、テーブル214をY軸まわりにチルトさせるY軸まわりチルト部218Yを備えて構成される。X軸まわりチルト部218X及びY軸まわりチルト部218Yの構成は、上記第1の実施の形態のX軸まわりチルト部18X及びY軸まわりチルト部18Yの構成と同じである。
テーブル回転部219は、テーブル214をΘ軸まわりに回転させる。Θ軸は、テーブル214の測定対象物支持面214Aに垂直に設定され、かつ、テーブル214の測定対象物支持面214Aの中心に設定される。テーブル回転部219は、テーブル214をΘ軸まわりに回転自在に支持する図示しない支持部と、テーブル214をΘ軸まわりに回転駆動する図示しない回転駆動部と、を備えて構成される。回転駆動部を駆動することにより、テーブル214がΘ軸まわりに回転する。
テーブル214は、テーブル回転部219の支持部に回転自在に支持される。テーブル回転部219の支持部は、Y軸まわりチルト部218Yの揺動ステージに設置される。Y軸まわりチルト部218Yは、X軸まわりチルト部218Xの揺動ステージに設置される。X軸まわりチルト部218Xは、Y軸移動部216Yの直動ステージに設置される。Y軸移動部216Yは、X軸移動部216Xの直動ステージに設置される。X軸移動部216Xは、基台基準面212Aに設置される。これにより、X軸移動部216Xを駆動すると、テーブル214がX軸に沿って移動する。また、Y軸移動部216Yを駆動すると、テーブル214がY軸に沿って移動する。また、X軸まわりチルト部218Xを駆動すると、テーブル214がX軸まわりにチルトする。また、Y軸まわりチルト部218Yを駆動すると、テーブル214がY軸まわりにチルトする。さらに、テーブル回転部219を駆動すると、テーブル214がΘ軸まわりに回転する。
テーブル214は、X軸方向の位置がX軸方向位置検出部234Xによって検出され、Y軸方向の位置がY軸方向位置検出部234Yによって検出される。また、テーブル214は、X軸まわりのチルト角がX軸まわりチルト角検出部236Xによって検出され、Y軸まわりのチルト角がY軸まわりチルト角検出部236Yによって検出される。更に、テーブル214は、Θ軸まわり回転角度が回転角検出部238によって検出される。
光源220は、白色光源のような低コヒーレンス光源で構成され、低コヒーレンス光(たとえば、白色光)を出射する。光源220から出射された光は、ライトガイド240を介して、測定部222に伝播される。
図11は、測定部の概略構成図である。
本実施の形態の測定部222は、対物レンズ248から出射する測定光の出射方向が、上記第1の実施の形態の測定部22と相違する。
図11に示すように、本実施の形態の測定部222は、コリメーター242と、ビームスプリッター244と、コーナーキューブプリズム246と、対物レンズ248と、光検出器250と、反射ミラー254と、を備えて構成される。測定部222の各構成要素は、測定部本体フレーム252に一体的に備えられる。
ビームスプリッター244から出射した測定光は、反射ミラー254に入射し、反射ミラー254で進行方向が90度折り曲げられて、対物レンズ248に入射する。これにより、Z軸と直交する方向に沿って対物レンズ248から測定光が出射する。本実施の形態では、対物レンズ248の光軸がX軸と平行に設定される。したがって、測定光は、X軸に沿って対物レンズ248から出射する。
Z軸移動部224は、測定部222をZ軸に沿って移動させる。Z軸移動部224の構成は、上記第1の実施の形態のZ軸移動部24の構成と同じである。
測定部222は、Z軸移動部224の直動ステージに設置される。これにより、Z軸移動部224の駆動機構を駆動すると、測定部222がZ軸に沿って移動する。測定部222のZ軸方向の位置が、Z軸方向位置検出部234Zによって検出される。
第1撮像部226Aは、第1電子カメラ226ACを備え、第1電子カメラ226ACでテーブル214に支持された測定対象物Cの内部をZ軸方向から撮像する。第1電子カメラ226ACは、測定部222の測定部本体フレーム252の先端に取り付けられる。第1電子カメラ226ACの撮影レンズは、テーブル214に支持された測定対象物Cの内周部の全体を撮像可能に構成され、その光軸はZ軸と平行に設定される。これにより、テーブル214に支持された測定対象物Cの内部をZ軸方向から撮像できる。また、第1電子カメラ226ACには、AE、AF、AWB等の機能が備えられる。
第2撮像部226Bは、第2電子カメラ226BCを備え、第2電子カメラ226BCで測定部222に備えられた対物レンズ248の先端を含む領域をZ軸方向から撮像する。第2電子カメラ226BCは、測定部222の測定部本体フレーム252にブラケット256を介して設置される。第2電子カメラ226BCの撮影レンズは、対物レンズ248の先端を含む領域を撮像可能に構成され、その光軸はZ軸と平行に設定される。これにより、対物レンズ248の先端を含む領域をZ軸方向から撮像できる。また、第2電子カメラ226BCには、AE、AF、AWB等の機能が備えられる。
第3撮像部226Cは、第3電子カメラ226CCを備え、第3電子カメラ226CCでテーブル214に支持された測定対象物Cの内部を対物レンズ248から出射する測定光の光軸と平行な方向から撮像する。第3電子カメラ226CCは、測定部222の測定部本体フレーム252の先端に取り付けられる。第3電子カメラ226CCの撮影レンズの光軸は、対物レンズ248の光軸と平行に設定される。これにより、テーブル214に支持された測定対象物Cの内部を対物レンズ248から出射する測定光の光軸と平行な方向から撮像できる。なお、本実施の形態では、X軸に沿って測定光が出射されるので、第3撮像部226Cは、測定対象物Cの内部をX軸と平行な方向から撮像する。第3電子カメラ226CCには、AE、AF、AWB等の機能が備えられる。
コンピュータ232は、形状測定装置200の全体の動作を制御し、かつ、各種演算処理を行う。
図12は、形状測定装置の制御系のブロック図である。
コンピュータ232には、表示部260としてのディスプレイ、操作部262としてのキーボード、及び、マウス、並びに、記憶部264としてのHDDが接続される。
また、コンピュータ232には、テーブル移動部216、テーブルチルト部218、テーブル回転部219、光源220、測定部222、Z軸移動部224、第1撮像部226A、第2撮像部226B、第3撮像部226C、X軸方向位置検出部234X、Y軸方向位置検出部234Y、X軸まわりチルト角検出部236X、Y軸まわりチルト角検出部236Y、Z軸方向位置検出部234Z、回転角検出部238が接続される。
コンピュータは、所定のプログラムを実行することにより、コンピュータ32に接続された各部の制御部として機能する。また、コンピュータ32は、所定のプログラムを実行することにより、演算処理部として機能する。ROM又は記憶部64には、コンピュータ32が実行するプログラム、及び、制御等に必要な各種データが記憶される。
図13は、コンピュータが実現する機能のブロック図である。
コンピュータ232は、所定のプログラムを実行することにより、第1撮像制御部310A、第2撮像制御部310B、第3撮像制御部310C、傾き補正部312、作動距離調整部316、接触回避部318、走査制御部320、表面位置検出部322、測定点指定部324、測定位置調整部326、表示制御部328として機能する。
第1撮像制御部310Aは、第1撮像部226Aに備えられた第1電子カメラ226ACの駆動を制御する。第1電子カメラ226ACからの映像信号は、コンピュータ232に取り込まれる。
第2撮像制御部310Bは、第2撮像部226Bに備えられた第2電子カメラ226BCの駆動を制御する。第2電子カメラ226BCからの映像信号は、コンピュータ232に取り込まれる。
第3撮像制御部310Cは、第3撮像部226Cに備えられた第3電子カメラ226CCの駆動を制御する。第3電子カメラ226CCからの映像信号は、コンピュータ232に取り込まれる。
傾き補正部312は、第1撮像部226Aで撮像された画像に基づいて、X軸まわりチルト部218X及びY軸まわりチルト部218Yを制御し、テーブル214に支持された測定対象物Cの傾きを補正する。
図14は、傾き補正部による傾き補正の概念図である。
上記のように、第1撮像部226Aは、測定対象物Cの内部をZ軸方向から撮像する。したがって、第1撮像部226Aでは、測定対象物Cの内周部の底面の画像が撮像される。この底面の画像は、測定対象物Cに傾きがなければ、実際の測定対象物Cの内周部の底面の形状と相似形状となる。たとえば、測定対象物Cの内周部が真円の場合、測定対象物Cに傾きがなければ、第1撮像部226Aで撮像される底面の画像の形状も真円となる。
そこで、傾き補正部312は、第1撮像部226Aで撮像された測定対象物Cの内周部の底面の画像に基づいて、測定対象物Cの傾きの有無を判定し、傾きがあれば、その傾きを是正するように、X軸まわりチルト部218X及びY軸まわりチルト部218Yを駆動して、傾きを補正する。
一例として、測定対象物Cの内周部が真円である場合を考える。この場合、テーブル214に支持された測定対象物Cに傾きがあると、図14(A)に示すように、第1撮像部226Aで撮像される底面の画像の形状は楕円形状となる。傾き補正部312は、第1撮像部226Aで撮像された測定対象物Cの内周部の底面の画像に基づいて、測定対象物Cの傾きの有無を判定する。
傾き補正部312は、第1撮像部226Aで撮像された測定対象物Cの内周部の底面の画像が真円の場合、傾きなしと判定し、楕円の場合、傾きありと判定する。
傾きありの場合は、第1撮像部226Aで撮像される底面の画像に基づいて、傾きが是正されるように、X軸まわりチルト部218X及びY軸まわりチルト部218Yを駆動する。本例の場合、図14(B)に示すように、第1撮像部226Aで撮像される底面の画像が真円となるように、X軸まわりチルト部218X及びY軸まわりチルト部218Yを駆動する。これにより、テーブル214に支持された測定対象物Cの傾きを補正できる。
なお、本例のように、第1撮像部226Aで撮像された測定対象物Cの内周部の底面の画像に基づいて、測定対象物Cの傾きを補正する場合、実際の測定対象物Cの内周部の形状の情報が必要になる。この情報は、操作部262を介して事前に入力される。
作動距離調整部316は、第2撮像部226Bで撮像された画像に基づいて、X軸移動部216Xを制御し、測定対象物Cを対物レンズ248の作動距離まで移動させる。作動距離調整部316は、第2撮像部226Bで撮像された画像に基づいて、対物レンズ248の先端と測定対象物Cの測定対象面との間の距離を検出する検出部と、その検出部の検出結果に基づいて、X軸移動部216Xの駆動を制御する駆動制御部と、を備えて構成される。検出部は、第2撮像部226Bで撮像された画像を解析し、対物レンズ248の先端と測定対象物Cの測定対象面との間の距離を検出する。駆動制御部は、検出部の検出結果に基づいて、X軸移動部216Xを制御し、測定対象物Cを対物レンズ248の作動距離まで移動させる。
接触回避部318は、第2撮像部226Bで撮像された画像に基づいて、対物レンズ248と測定対象物Cとの間の距離を監視し、対物レンズ248と測定対象物Cとの間の距離が、あらかじめ設定された衝突回避可能距離まで近づくと、テーブル214の移動を停止させて測定対象物Cの移動を停止させる。接触回避部318は、第2撮像部226Bで撮像された画像に基づいて、対物レンズ248の先端と測定対象物Cの測定対象面との間の距離を検出する検出部と、その検出部の検出結果に基づいて、対物レンズ248の先端と測定対象物Cの測定対象面との間の距離が衝突回避可能距離に達したか否かを判定する判定部と、その判定部の判定結果に基づいて、X軸移動部216Xの駆動を制御する駆動制御部と、を備えて構成される。検出部は、第2撮像部226Bで撮像された画像を解析し、対物レンズ248の先端と測定対象物Cの測定対象面との間の距離を検出する。判定部は、検出部の検出結果と衝突回避可能距離とを比較して、対物レンズ248の先端と測定対象物Cの測定対象面との間の距離が衝突回避可能距離に達したか否かを判定する。すなわち、対物レンズ248の先端と測定対象物Cの測定対象面との間の距離が、衝突回避可能距離以下か否かを判定する。駆動制御部は、判定部で、対物レンズ248の先端と測定対象物Cの測定対象面との間の距離が衝突回避可能距離に達したと判定されると、X軸移動部216Xの駆動を制御して、測定対象物Cの移動を強制的に停止させる。
走査制御部320は、X軸移動部216Xを制御し、あらかじめ設定された走査範囲で測定対象物CをX軸方向に移動させて、測定部222に走査させる。走査範囲は、対物レンズ248の作動距離となる位置を中心として設定される。
表面位置検出部322は、光検出器250で検出される干渉光の強度及びX軸方向位置検出部234Xで検出される測定対象物CのX軸方向の位置に基づいて、測定点のX軸方向の位置を検出する。すなわち、走査したときに、光検出器250で検出される干渉光の強度が最大となる位置を検出して、測定対象物Cの位置を検出する。
表面位置検出部322は、検出された測定点のX軸方向の位置の情報を、その測定点の位置情報とともに記憶部264に格納する。
測定点指定部324は、測定対象物Cに対する測定点の指定を受け付ける。測定点の指定の受け付けは、上記第1の実施の形態の形状測定装置10と同様に、表示部260及び操作部262を利用して行われる。具体的には、第3撮像部226Cで撮像した測定対象物Cの内周面の画像を表示部260の画面260Aに表示し、操作部262を使用して、測定対象とする点(測定点)を指定する。
測定位置調整部326は、測定点指定部324で指定された測定点で測定が実施されるように、X軸移動部216X、Y軸移動部216Y、Z軸移動部224、テーブル回転部219の駆動を制御して、テーブル214の移動及び回転、測定部222のZ軸方向の移動を制御する。すなわち、測定点として指定された点に測定光が照射されるように、テーブル214の移動及び回転、並びに、測定部222のZ軸方向の移動を制御する。
表示制御部328は、表示部260への表示を制御する。
〈作用〉
図15は、本実施の形態の形状測定装置を用いた形状測定の手順を示すフローチャートである。
初期状態において、テーブル214は、原点位置に位置し、測定部222は、待機位置に位置している。また、測定対象物Cは、その内径部の軸がZ軸と平行になるように、テーブル214に載置される。これにより、測定部222が、測定対象物Cの内部に挿入されると、径方向に測定光が照射される。
測定の開始が指示されると、まず、第1撮像部226A、第2撮像部226B及び第3撮像部226Cの画像のキャリブレーション、すなわち、画像の大きさと距離の関係付けが行われ、距離の測定が可能な状態に設定される(ステップS21)。
キャリブレーションの完了後、測定点の指定が行われる(ステップS22)。上記のように、測定点の指定は、第3撮像部226Cで撮像された測定対象物Cの内周面の画像に基づいて行われる。このため、測定点の指定時には、第3撮像部226Cを含む測定部222の先端部分が、測定対象物Cに挿入され、測定対象物Cの内周面が撮像される。
測定点が指定されると、最初の測定点の位置に測定対象物Cが移動する(ステップS23)。すなわち、対物レンズ248から出射される測定光の光軸上に最初の測定点が位置するように、測定対象物Cが移動する。この場合、必要に応じてテーブル214が回転する。また、測定部222がZ軸方向に移動可能する。
次に、傾き補正が行われる(ステップS24)。上記のように、傾き補正は、第1撮像部226Aで撮像される画像に基づいて行われる。したがって、傾き補正時には、第1撮像部226Aで測定対象物Cの内周部の底面が撮像される。この傾き補正により、測定箇所に対して測定光が垂直に入射するように補正され、最も干渉縞のコントラストが高い最適条件で測定することが可能になる。
傾き補正が行われると、次に、測定対象物Cが、対物レンズ248の作動距離まで移動する(ステップS25)。この際、上記のように、第2撮像部226Bで撮像された画像に基づいて、X軸移動部216Xを制御し、測定対象物Cの測定対象面を対物レンズ248の作動距離まで移動させる。この際、対物レンズ248が、測定対象物Cに衝突しないように、対物レンズ248と測定対象物Cとの間の距離が監視される。
測定対象物Cが、対物レンズ248の作動距離に移動すると、次に、測定が行われる(ステップS26)。すなわち、あらかじめ設定された走査範囲で測定対象物Cを移動させ、干渉光の強度が検出される。走査中も対物レンズ248が測定対象物Cに衝突しないように、対物レンズ248と測定対象物Cとの間の距離が監視される。
走査が完了すると、測定部222が待機位置に復帰する。そして、干渉光の強度の検出結果に基づいて、干渉光の強度が最大となる測定対象物Cの位置が検出される(ステップS27)。
検出後、検出された測定対象物Cの位置の情報が、測定点の位置の情報とともに記憶部264に記録される(ステップS28)。
以上の工程で最初の測定点の測定が完了する。この後、次の測定点の有無が判定される(ステップS29)。
次の測定点がない場合は、測定結果を表示部260に表示し(ステップS31)、処理を終了する。
次の測定点がある場合は、次の測定点の位置に測定対象物Cが移動する(ステップS30)。すなわち、対物レンズ48から出射される測定光の光軸上に次の測定点が位置するように、測定対象物Cが移動する。移動後、上記ステップS24〜ステップS29の処理を実施する。
このように、本実施の形態の形状測定装置200によれば、測定点を指定するだけで測定対象物Cの内周面の形状を自動で測定できる。これにより、各種調整や設定の手間を省け、短時間で高精度な測定ができる。また、ユーザの調整技能によらずに測定ができるので、再現性のあるデータの取得が可能になる。
また、測定対象物Cを移動させる場合には、対物レンズ248が測定対象物Cに接触しないように、常に監視しながら測定対象物Cを移動させるので、安全に測定を実施できる。特に、工業用部品など複雑な表面形状を有する測定対象物は、測定点以外の点で対物レンズが測定対象物に衝突するおそれがあるが、本実施の形態の形状測定装置によれば、そのような問題も回避できる。
なお、上記の測定例では、測定対象物Cの内周面の形状を測定する場合を例に説明したが、本実施の形態の形状測定装置200では、内径の測定を行うこともできる。すなわち、特定の測定点を指定し、その測定点に測定光を照射させた状態でテーブル214を回転させることにより、測定対象物Cの内径を測定できる。
〈変形例〉
上記実施の形態では、測定対象物CをX軸方向に移動させて、走査する構成としているが、測定部222をX軸方向に移動可能に支持し、測定部222をX軸方向に移動させて、走査する構成とすることもできる。
また、上記実施の形態では、テーブル214をX軸方向及びY軸方向に移動可能に支持し、テーブル214をX軸方向及びY軸方向に移動させて測定点の位置を変える構成としているが、測定部222をX軸方向及びY軸方向に移動可能に支持し、測定部222をX軸方向及びY軸方向に移動させて測定点の位置を変える構成することもできる。
また、上記実施の形態では、テーブル214をΘ軸まわりに回転可能に支持し、テーブル214を回転させて、測定点の周方向の位置を変える構成としているが、測定部222をZ軸と平行な軸まわり回転可能に支持し、測定部222を回転させて測定点の周方向の位置を変える構成することもできる。
更に、テーブル214又は測定部222は、X軸方向又はY軸方向のいずれか一方にのみ移動可能に支持する構成とすることもできる。
また、走査時における走査範囲は、ユーザが任意に設定できる構成とすることもできる。この場合、走査範囲の指定は、操作部262を介して事前に行われる。
また、上記実施の形態では、第3撮像部226Cで撮像した画像を利用して測定点を指定する構成としているが、たとえば、座標を入力して、測定点を指定する構造とすることもできる。あるいは、手動で測定点の設定を行う構成とすることもできる。この場合、たとえば、最初の測定点を手動で設定し、その後の測定を自動で実施する構成とすることもできる。なお、このように手動で測定点を設定する場合、第3撮像部226Cを省略できる。
《第3の実施の形態》
図16は、本発明に係る形状測定装置の第3の実施形態を示す正面図である。
本実施の形態の形状測定装置400は、共焦点光学系を用いて、測定対象物の表面形状を非接触測定する装置であり、主として、基台412と、測定対象物Oを支持するテーブル414と、テーブル414をX軸及びY軸に沿って移動させるテーブル移動部416と、テーブル414のX軸方向の位置を検出するX軸方向位置検出部(不図示)と、テーブル414のY軸方向の位置を検出するY軸方向位置検出部(不図示)と、テーブル414をX軸まわり及びY軸まわりにチルトさせるテーブルチルト部418と、テーブル414のX軸まわりのチルト角を検出するX軸まわりチルト角検出部(不図示)と、テーブル414のY軸まわりのチルト角を検出するY軸まわりチルト角検出部(不図示)と、レーザー光を出射する光源420と、測定部422と、測定部422をZ軸に沿って移動させるZ軸移動部424と、測定部422のZ軸方向の位置を検出するZ軸方向位置検出部434Z(図17参照)と、テーブル414に支持された測定対象物OをX軸方向から撮像するX軸撮像部426Xと、テーブル414に支持された測定対象物OをY軸方向から撮像するY軸撮像部426Yと、テーブル414に支持された測定対象物OをZ軸方向から撮像するZ軸撮像部426Zと、全体の動作を制御し、かつ、各種演算処理を行うコンピュータ432(図17参照)と、を備えて構成される。コンピュータ432には、表示部としてのディスプレイ、操作部としてのキーボード、及び、マウス、並びに、記憶部としてのHDDが接続される。
なお、光源420及び測定部422以外の構成は、上述した第1の実施の形態の形状測定装置10の構成と同じである。したがって、ここでは、測定部422の構成についてのみ説明する。
図17は、光源を含む測定部の概略構成図である。
測定部422は、コリメーター442と、ビームスプリッター444と、結像レンズ446と、ピンホール板447と、対物レンズ448と、光検出器450と、を備えて構成される。測定部422の各構成要素は、測定部本体フレーム452に一体的に備えられる。
光源420は、単色光を出射する光源で構成され、たとえば、単色のレーザー光源で構成される。光源420から出射された光は、ライトガイド440を介して、測定部422に伝播される。
コリメーター442は、ライトガイド440を介して光源420から伝播される光を平行光に変換し、ビームスプリッター444に入射する。
ビームスプリッター444は、コリメーター442から出射された光を反射して、対物レンズ448に入射する。
対物レンズ448は、ビームスプリッター44から出射する光を集光して、測定対象面である測定対象物Oの表面に照射する。
測定対象物Oの表面で反射した光は、対物レンズ448を介して再びビームスプリッター444に入射する。そして、ビームスプリッター444を透過して、結像レンズ446に入射する。
結像レンズ446は、ビームスプリッター444を透過した光を集光して光検出器450に入射する。
ピンホール板447は、ピンホールを有し、結像レンズ446の焦点位置に配置される。結像レンズ446で集光されたピンホール板447のピンホールを通過して光検出器450に入射する。
光検出器450は、受光した光の強度を電気信号に変換して、コンピュータ432に出力する。
上記のような構成の共焦点光学系により、測定対象物Oの表面形状の情報を得ることができる。以下に、その原理を簡単に説明する。
Z軸移動部424によって測定部422をZ軸方向に移動させると、対物レンズ448の焦点の位置が変化する。
対物レンズ448の焦点が、測定対象物Oの表面に結ばれると、結像レンズ446によって集光された光は、ピンホール板447のピンホールの位置に焦点を結ぶ。このため、測定対象物Oの表面で反射した光のほぼすべてが、ピンホール板447のピンホールを通過する。したがって、対物レンズ448の焦点が、測定対象物Oの表面に結ばれると、光検出器450で受光される光の強度は最大になる。
一方、対物レンズ448の焦点が、測定対象物Oの表面からずれている状態では、結像レンズ446によって集光された光は、ピンホール板447からずれた位置に焦点を結ぶ。このため、測定対象物Oの表面で反射した光は、一部しかピンホールを通過することができない。したがって、対物レンズ448の焦点が測定対象物Oの表面からずれていると、光検出器450で受光される光の強度は著しく低下する。
このように、光検出器450で検出される光の強度は、対物レンズ448の焦点が測定対象物Oの表面に結ばれたときに最大になる。したがって、光検出器450で検出される光の強度が最大になるときの測定部422のZ軸方向位置を検出すれば、測定対象物Oの測定点のZ軸方向の位置を一義的に求めることができる。
コンピュータ432は、所定のプログラムを実行することにより、表面位置検出部522として機能し、光検出器450で検出される光の強度、及び、Z軸方向位置検出部434Zで検出される測定部422のZ軸方向の位置に基づいて、測定点のZ軸方向の位置を検出する。
このほか、コンピュータ432は、所定のプログラムを実行することにより、X軸撮像制御部、Y軸撮像制御部、Z軸撮像制御部、X軸まわり傾き補正部、Y軸まわり傾き補正部、作動距離調整部、接触回避部、走査制御部、測定点指定部、測定位置調整部、表示制御部として機能する。各部の機能は、上記第1の実施の形態の形状測定装置10におけるX軸撮像制御部110X、Y軸撮像制御部110Y、Z軸撮像制御部110Z、X軸まわり傾き補正部112、Y軸まわり傾き補正部114、作動距離調整部116、接触回避部118、走査制御部120、測定点指定部124、測定位置調整部126、表示制御部128の機能と同じである。したがって、その説明は省略する。
〈作用〉
初期状態において、テーブル414は、原点位置に位置し、測定部422は、待機位置に位置している。
測定の開始が指示されると、まず、X軸撮像部426X、Y軸撮像部426Y及びZ軸撮像部426Zの画像のキャリブレーション、すなわち、画像の大きさと距離の関係付けが行われ、距離の測定が可能な状態に設定される。
キャリブレーションの完了後、測定点の指定が行われる。第1の実施の形態の形状測定装置10と同様に、測定点の指定は、Z軸撮像部426Zで撮像された測定対象物Oの画像に基づいて行われる。
測定点が指定されると、最初の測定点の位置に測定対象物Oが移動する。すなわち、対物レンズ448の光軸上に最初の測定点が位置するように、測定対象物Oが移動する。
次に、X軸まわり及びY軸まわりの傾き補正が行われる。第1の実施の形態の形状測定装置10と同様に、X軸まわりの傾き補正は、X軸撮像部426Xで撮像される画像に基づいて行われ、Y軸まわりの傾き補正は、Y軸撮像部426Yで撮像される画像に基づいて行われる。この傾き補正により、最も反射光強度が高い最適条件で測定が可能になる。
傾き補正が行われると、次に、測定部422が、対物レンズ448の作動距離まで移動する。第1の実施の形態の形状測定装置10と同様に、X軸撮像部426X及びY軸撮像部426Yで撮像された画像に基づいて、Z軸移動部424を制御し、測定部422を対物レンズ448の作動距離まで移動させる。また、第1の実施の形態の形状測定装置10と同様に、対物レンズ448が測定対象物Oに接触しないように、対物レンズ448と測定対象物Oとの間の距離が監視される。
測定部422が、対物レンズ448の作動距離に移動すると、次に、測定が行われる。すなわち、あらかじめ設定された走査範囲で測定部422を走査させ、光検出器450で受光される光の強度が検出される。走査中も対物レンズ448が測定対象物Oに衝突しないように、対物レンズ448と測定対象物Oとの間の距離が監視される。
走査が完了すると、測定部422が待機位置に復帰する。そして、光検出器450の検出結果に基づいて、受光される光の強度が最大となる測定部422の位置が検出される。検出後、検出された測定部422の位置の情報が、測定点の位置の情報とともに記憶部に記録される。
以上の工程で最初の測定点の測定が完了する。この後、次の測定点の有無が判定される。
次の測定点がない場合は、測定結果を表示部に表示し、処理を終了する。
次の測定点がある場合は、次の測定点の位置に測定対象物Oが移動する。すなわち、対物レンズ448の光軸上に次の測定点が位置するように、測定対象物Oが移動する。移動後、上記傾き補正以降の処理を繰り返し実施する。
このように、本実施の形態の形状測定装置400においても、測定点を指定するだけで測定対象物Oの形状を自動で測定できる。これにより、各種調整や設定の手間を省け、短時間で高精度な測定ができる。また、ユーザの調整技能によらずに測定ができるので、再現性のあるデータの取得が可能になる。
また、測定部422を移動させる場合には、対物レンズ448が測定対象物Oに接触しないように、常に監視しながら測定部422を移動させるので、安全に測定を実施できる。特に、工業用部品など複雑な表面形状を有する測定対象物は、測定点以外の点で対物レンズが測定対象物に衝突するおそれがあるが、本実施の形態の形状測定装置によれば、そのような問題も回避できる。
なお、変形例として、上記第1の実施の形態の形状測定装置10と同様の対応が可能である。
《第4の実施の形態》
〈装置構成〉
図18は、本発明に係る形状測定装置の第4の実施形態を示す正面図である。
本実施の形態の形状測定装置600は、共焦点光学系を用いて、円筒状の測定対象物Cの内周面の表面形状及び内径を非接触測定する装置であり、主として、基台612と、測定対象物Cを支持するテーブル614と、テーブル614をX軸及びY軸に沿って移動させるテーブル移動部616と、テーブル614のX軸方向の位置を検出するX軸方向位置検出部634X(図19参照)と、テーブル614のY軸方向の位置を検出するY軸方向位置検出部(不図示)と、テーブル614をX軸まわり及びY軸まわりにチルトさせるテーブルチルト部618と、テーブル614のX軸まわりのチルト角を検出するX軸まわりチルト角検出部(不図示)と、テーブル614のY軸まわりのチルト角を検出するY軸まわりチルト角検出部(不図示)と、テーブル614をΘ軸まわりに回転させるテーブル回転部619と、テーブル614の回転角を検出する回転角検出部(不図示)と、レーザー光を出射する光源620と、測定部622と、測定部622をZ軸に沿って移動させるZ軸移動部624と、測定部622のZ軸方向の位置を検出するZ軸方向位置検出部(不図示)と、テーブル614に支持された測定対象物Cの内部をZ軸方向から撮像する第1撮像部626Aと、測定部622に備えられた対物レンズ648の先端を含む領域をZ軸方向から撮像する第2撮像部626Bと、テーブル614に支持された測定対象物Cの内部を対物レンズ648から出射する測定光の光軸と平行な方向から撮像する第3撮像部626Cと、全体の動作を制御し、かつ、各種演算処理を行うコンピュータ632と、を備えて構成される。コンピュータ632には、表示部としてのディスプレイ、操作部としてのキーボード、及び、マウス、並びに、記憶部としてのHDDが接続される。
なお、光源620及び測定部622以外の構成は、上述した第2の実施の形態の形状測定装置200の構成と同じである。したがって、ここでは、測定部622の構成についてのみ説明する。
図19は、光源を含む測定部の概略構成図である。
測定部622は、コリメーター642と、ビームスプリッター644と、反射ミラー645と、結像レンズ646と、ピンホール板647と、対物レンズ648と、光検出器650と、を備えて構成される。測定部622の各構成要素は、測定部本体フレーム652に一体的に備えられる。
光源620は、単色光を出射する光源で構成され、たとえば、単色のレーザー光源で構成される。光源620から出射された光は、ライトガイド640を介して、測定部622に伝播される。
コリメーター642は、ライトガイド640を介して光源620から伝播される光を平行光に変換し、ビームスプリッター644に入射する。
ビームスプリッター644は、コリメーター642から出射された光を反射して、反射ミラー645に入射する。ビームスプリッター644から反射ミラー645に入射する光の光軸は、Z軸に平行に設定される。
反射ミラー645は、ビームスプリッター644から出射された光を90度折り曲げて、対物レンズ648に入射する。
対物レンズ648は、反射ミラー645で反射された光を集光して、測定対象面である測定対象物Cの内周面に照射する。対物レンズ648の光軸は、X軸と平行に設定される。したがって、測定用の光は、X軸に沿って対物レンズ648から出射する。
測定対象物Cの内面で反射した光は、対物レンズ648を介して再びビームスプリッター644に入射する。そして、ビームスプリッター644を透過して、結像レンズ646に入射する。
結像レンズ646は、ビームスプリッター644を透過した光を集光して光検出器650に入射する。
ピンホール板647は、ピンホールを有し、結像レンズ646の焦点位置に配置される。結像レンズ646で集光されたピンホール板647のピンホールを通過して光検出器650に入射する。
光検出器650は、受光した光の強度を電気信号に変換して、コンピュータ632に出力する。
以上の構成の測定部622によれば、テーブル614をX軸方向に移動させて、測定対象物CをX軸方向に移動させることにより、対物レンズ648の焦点位置が変化する。したがって、測定対象物CをX軸方向に移動させ、光検出器650で検出される光の強度が最大になるときの測定対象物Cの位置を検出すれば、測定対象物Oの測定点のX軸方向の位置を一義的に求めることができる。
コンピュータ632は、所定のプログラムを実行することにより、表面位置検出部722として機能し、光検出器650で検出される光の強度、及び、X軸方向位置検出部634Xで検出される測定対象物CのX軸方向の位置に基づいて、測定点のX軸方向の位置を検出する。
このほか、コンピュータ632は、所定のプログラムを実行することにより、第1撮像制御部、第2撮像制御部、第3撮像制御部、傾き補正部、作動距離調整部、接触回避部、走査制御部、表面位置検出部、測定点指定部、測定位置調整部、表示制御部として機能する。各部の機能は、上記第2の実施の形態の形状測定装置200における第1撮像制御部310A、第2撮像制御部310B、第3撮像制御部310C、傾き補正部312、作動距離調整部316、接触回避部318、走査制御部320、表面位置検出部322、測定点指定部324、測定位置調整部326、表示制御部328の機能と同じである。したがって、その説明は省略する。
〈作用〉
初期状態において、テーブル614は、原点位置に位置し、測定部622は、待機位置に位置している。また、測定対象物Cは、その内径部の軸がZ軸と平行になるように、テーブル614に載置される。これにより、測定部622が、測定対象物Cの内部に挿入されると、径方向に測定用の光が照射される。
測定の開始が指示されると、まず、第1撮像部626A、第2撮像部626B及び第3撮像部626Cの画像のキャリブレーション、すなわち、画像の大きさと距離の関係付けが行われ、距離の測定が可能な状態に設定される。
キャリブレーションの完了後、測定点の指定が行われる。測定点が指定されると、最初の測定点の位置に測定対象物Cが移動する。そして、傾き補正が行われる。この傾き補正により、最も反射光強度が高い最適条件で測定が可能になる。
傾き補正が行われると、次に、測定対象物Cが、対物レンズ648の作動距離まで移動する。この際、対物レンズ648が、測定対象物Cに衝突しないように、対物レンズ648と測定対象物Cとの間の距離が監視される。
測定対象物Cが、対物レンズ648の作動距離に移動すると、次に、測定が行われる。すなわち、あらかじめ設定された走査範囲で測定対象物Cを移動させ、光検出器650で光の強度が検出される。走査中、対物レンズ648が、測定対象物Cに衝突しないように、対物レンズ648と測定対象物Cとの間の距離が監視される。
走査が完了すると、測定部622が待機位置に復帰する。そして、光検出器650の検出結果に基づいて、光の強度が最大となる測定対象物Cの位置が検出される。検出後、検出された測定対象物Cの位置の情報が、測定点の位置の情報とともに記憶部に記録される。
以上の工程で最初の測定点の測定が完了する。この後、次の測定点の有無が判定される。次の測定点がない場合は、測定結果を表示部に表示し、処理を終了する。次の測定点がある場合は、次の測定点の位置に測定対象物Cが移動する。移動後、上記傾き補正以降の処理を繰り返し実施する。
このように、本実施の形態の形状測定装置600によれば、測定点を指定するだけで測定対象物Cの内周面の形状を自動で測定できる。これにより、各種調整や設定の手間を省け、短時間で高精度な測定ができる。また、ユーザの調整技能によらずに測定ができるので、再現性のあるデータの取得が可能になる。
また、測定対象物Cを移動させる場合には、対物レンズ648が測定対象物Cに接触しないように、常に監視しながら測定対象物Cを移動させるので、安全に測定を実施できる。特に、工業用部品など複雑な表面形状を有する測定対象物は、測定点以外の点で対物レンズが測定対象物に衝突するおそれがあるが、本実施の形態の形状測定装置によれば、そのような問題も回避できる。
なお、上記の測定例では、測定対象物Cの内周面の形状を測定する場合を例に説明したが、本実施の形態の形状測定装置600においても、内径の測定を実施できる。
また、変形例として、上記第2の実施の形態の形状測定装置200と同様の対応が可能である。