JP4179790B2 - 共焦点走査型光学顕微鏡 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学顕微鏡の光学系を介して試料を光で走査することにより試料の表面情報を測定する装置に係り、特に共焦点走査型光学顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
共焦点走査型光学顕微鏡は、試料を点状に照明し、試料からの光、例えば、反射光をピンホール上に集光させた後に、このピンホールを通過する光の強度を光検出器で検出することによって試料の表面情報を取得する。
【0003】
図3は、一般的な共焦点走査型光学顕微鏡の概略的構成を示す図である。図3に示す共焦点走査型光学顕微鏡では、光源1から出射した光が、ビームスプリッタ2を透過した後、2次元走査機構3に入射する。第1の光スキャナ3aと第2の光スキャナ3bからなる2次元走査機構3は、光束を2次元に走査して、対物レンズ7へと導く。対物レンズ7へ入射した光束は束光となって試料8の焦点面上を走査する。ここでは、試料8の表面で反射した光は、再び対物レンズ7から2次元走査機構3を介してビームスプリッタ2に導入された後、ビームスプリッタ2によって反射され結像レンズ9によってピンホール10上に集光する。
【0004】
ピンホール10により試料8の集光点以外からの反射光がカットされて、通過光だけが光検出器11によって検出され、コンピュータ12に導かれる。試料8は試料台13上に載置されており、Zステージ14によって光軸方向に移動可能となっている。なお、2次元走査機構3、及びZステージ14はコンピュータ12によって制御される。
【0005】
ここで、対物レンズ7による集光位置はピンホール10と光学的に共役な位置になっている。すなわち、試料8が対物レンズ7による集光位置にある場合は、試料8からの反射光がピンホール10上で集光されて、ピンホール10を通過する。試料8が対物レンズ7による集光位置からずれた位置にある場合は、試料8からの反射光はピンホール10上に集光していないので、ピンホール10を通過しない。
【0006】
従って、このときの対物レンズ7と試料8の相対位置と光検出器11の出力の関係は、次のようになる。すなわち、試料8が対物レンズ7の集光位置に有る場合には、光検出器11の出力は最大となる。そして、この位置から対物レンズ7と試料8の相対位置が離れるに従い光検出器11の出力は急激に低下する。従って、集光点を2次元走査し、光検出器11の出力を2次元走査機構3に同期して画像化し、モニタ15に表示すると、試料8のある特定の高さのみが画像化されて、試料8を光学的にスライスした画像(共焦点画像)が得られる。
【0007】
更に、試料8を光軸方向に離散的に移動させながら、共焦点画像を取得して、試料各点で光検出器11の出力が最大になるZステージ14の位置を検出することにより試料8の高さ情報が得られる。このような構成によって試料8の高さ情報を取得する際、必要な高さ情報が得られるように、測定範囲、つまりはZステージ14の移動範囲を指定する必要がある。一般的に、測定範囲を指定する方法としては、共焦点画像を見ながらZステージ14を上下し、少なくとも測定したい箇所の画像信号が最大となる位置が含まれるように、測定範囲を手動で指定する方法が取られているが、この方法は手動による操作であることから、操作者に負担が掛かると共に、測定に時間が掛かってしまう。
【0008】
上記のような問題を解決するために、出願人は、自動的に測定範囲を指定する方法を提案している(特開平6−308393号公報、特開平8−278450号公報参照)。この提案では、共焦点画像信号を取得しながら、Zステージ14を離散的に移動し、画像信号の強度にしきい値を定める等の工夫により測定範囲を決定している。
【0009】
しかし、上記の提案では、共焦点画像を取得しながらZステージ14を離散的に移動していく場合に、各位置で共焦点画像を取得する必要があるので、測定に時間が掛かってしまう。また、画像範囲内において測定に不要な範囲に大きな段差等があった場合に、不要な範囲まで測定範囲に指定されてしまう。このため、測定に不必要に時間がかかってしまう場合がある。
【0010】
また、本出願人は、視野内の任意の位置に自動合焦を行う方法を提案している(特開2000−39562号公報参照)。この提案では、任意の2点を指定することにより、2点間の段差を求める方法を開示している。しかし、この提案では、段差の測定は可能であるが、指定した点以外の高さ情報は得られないので、形状を含めた高さ情報を得ることが出来ない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、試料の高さ計測において、測定が必要な範囲の高さ情報を、容易かつ高速に取得することが可能な共焦点走査型光学顕微鏡を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するために次のような手段を講じた。
【0013】
本発明の一局面に係る共焦点走査型光学顕微鏡は、光源からの光を試料に対して集光させる対物レンズと、前記集束光を前記試料の表面に沿って相対的に走査させる走査機構と、前記集束光の光軸方向に沿って、前記対物レンズの集光位置と前記試料の位置を相対的に移動させる移動機構と、前記対物レンズの集光位置と共役な位置に配置された微小開口部と、前記微小開口を通過する光の強度を検出する光検出器と、前記移動機構により前記対物レンズの集光位置と前記試料の位置を相対的に移動させ、前記試料の各点で前記光検出器の出力が最大となる前記移動機構の位置を検出することで前記試料の高さ情報を求める高さ情報取得部と、前記走査機構により前記集束光を前記試料の表面に沿って相対的に走査させ、前記光検出器からの出力に基づいて取得された共焦点画像をもとに2点以上の任意範囲を指定する範囲指定部と、前記範囲指定部で指定されたそれぞれの範囲に対して前記光検出器の出力が最大となる位置の座標を合焦位置座標として取得し、これら合焦位置座標に基づいて高さ測定の範囲を決定する高さ測定範囲決定部と、を具備することを特徴とする。
【0014】
本局面によれば、まず、範囲指定により、共焦点画像をもとに画像視野内において測定が必要な任意の範囲を指定する。次に、自動合焦により、前記範囲指定で指定した範囲それぞれについて合焦処理がなされて、合焦位置が、高さ測定範囲決定に渡される。高さ測定範囲決定部は、合焦位置情報から、それらの位置座標の最大値と最小値を求め、それに所定の範囲を加えて高さ測定範囲を決定する。この測定範囲に従って高さ測定が実行される。
【0015】
これにより、高さ測定をしたい視野内での位置を指定するだけで、自動的かつ、必要な高さ範囲のみ測定が可能となり、容易かつ高速な高さ測定が可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る共焦点走査型光学顕微鏡の概略構成図である。なお、図1において、図3と同一部分は同一の符号を付している。
【0020】
図1に示す共焦点走査型光学顕微鏡において、光源1から出射した光が、ビームスプリッタ2を通過した後に、2次元走査機構3に入射する。この2次元走査機構3は、第1の光スキャナ3aと第2の光スキャナ3bを備えている。これらの第1と第2の光スキャナ3a、3bとして、ガルバノスキャナが用いられており、コンピュータ12によりこれらの振り角を制御することにより、束光を試料上の任意の位置に位置決めすることができる。このように、2次元走査機構3は、ビームスプリッタ2を通過した光束を2次元に走査する。この光束は、対物レンズ7へと導かれる。対物レンズ7へ入射した光束は束光となって試料8の面上を走査する。試料8の表面で反射された光は、入射光と逆の光路、すなわち、対物レンズ7から2次元走査機構3を介してビームスプリッタ2に導入される。そして、この反射光はビームスプリッタ2によって反射されて、光軸が変化し結像レンズ9によってピンホール10上に集光する。
【0021】
このピンホール10により試料8からの反射光のうち、集光点以外からの反射光がカットされ、ピンホール10を通過する光だけが光検出器11によって検出される。なお、試料8は試料台13上に載置されており、Zステージ14によって光軸方向に移動可能となっている。また、2次元走査機構3、Zステージ14および光検出器11はコンピュータ12によって制御される。
【0022】
ここで、対物レンズ7による集光位置は、ピンホール10と光学的に共役な位置になっている。これにより、試料8が対物レンズ7による集光位置にある場合は、試料8からの反射光がピンホール10上で集光されて、ピンホール10を通過する。これに対し、試料8が対物レンズ7による集光位置からずれた位置にある場合は、試料8からの反射光はピンホール10上では集光せず、ピンホール10を通過しない。
【0023】
従って、対物レンズ7と試料8の相対位置と光検出器11の出力の関係は、試料8が対物レンズ7の集光位置に位置しているとき、光検出器11の出力は最大になる。ここでは、この位置から対物レンズ7と試料8の相対位置が離れるに従い光検出器11の出力が急激に低下する。
【0024】
この特性を用いて、コンピュータ12は、2次元走査機構3によって集光点を2次元走査し、光検出器11の出力を2次元走査機構3に同期して画像化し、モニタ15に表示することによって、試料8のある特定の高さのみが画像化されて、試料8を光学的にスライスした画像(共焦点画像)が得られる
【0025】
また、コンピュータ12は、一視野内範囲指定部18と高さ測定範囲決定部19を備えている。一視野内範囲指定部18では、モニタ15に表示された共焦点画像をもとに、操作部16により指示された画像上任意の範囲の座標(例えば、図中に示す範囲17)を2個所以上指定する。この指定された範囲が、一視野内範囲指定部18に登録される。
【0026】
一視野内範囲指定部18に指定範囲の登録が完了すると、まず、登録された第1番目の座標範囲内を走査もしくは、座標位置に停止するように、第1と第2の光スキャナ3a、3bが制御される。次に、Zステージ14を上下して、光検出器11からの出力が最大になる位置の座標を合焦位置として高さ測定範囲決定部19に登録する。この作業は一視野内範囲指定部18に登録されたすべての指定範囲について実行される。次に、高さ測定範囲決定部19は、登録された合焦位置座標を比較して、その最大値と最小値が求められる。さらに、最大値と最小値で与えられる範囲の上方向と下方向(すなわち、Z方向)に所定の値を加えることにより、高さ測定範囲が決定される。ここで、前記所定の値は、Zステージ14の精度や、光検出器11のS/N等を考慮し決定される。そして、最終的に、このように決定された高さ測定範囲に基づいて、効率よく、Zステージ14を離散的に移動しながら、共焦点画像を取得することにより、必要な範囲を必要最低限含んだ試料8の高さ情報を得ることが出来る。
【0027】
(第2の実施形態)
図2は、第2の実施形態に係る共焦点走査型光学顕微鏡の概略構成図である。図2において、図1と同じ部分には、同じ符号を付し詳細な説明は省略する。
【0028】
図2の共焦点走査型光学顕微鏡は、図1の共焦点走査型光学顕微鏡の構成に対して、更にビームスプリッタ−2と結像レンズ9との間より、一部導き出された光路上にピンホールのない非共焦点光路20、光検出器21を備えた構成からなる。
【0029】
なお、上述したようなビームスプリッタ−2と結像レンズ9との間の光路の一部を導き出す方法とすれば、一般に、光路上にハーフミラーやダイクロイックミラー、ビームスプリッタ−といった光路分割素子を設けたり、或いは、光路上に全反射ミラーを挿脱自在に設けるようにすることが考えられる。
【0030】
他の構成は、図1と同じである。
【0031】
上記のような構成において、光検出器21の出力をモニタ15に画像化すれば、通常の光学顕微鏡と同様な焦点深度の深い画像が得られる。そこで、第2の実施形態では一視野内の範囲を指定する際に、非共焦点画像を用いている。これにより一視野内の範囲を指定する作業をより容易に行うことが可能となる。また、非共焦点光路のかわりに、TV光学系を加え、TV画像を用いることによっても、同様の効果を得ることが出来る。
【0032】
本発明は、上記の発明の実施の形態に限定されるものではない。例えば、第1の実施形態、第2の実施形態において一視野内範囲指定部18には、登録された座標範囲を保存及び読み出す為の図示しない記憶装置を有している。これにより、同様の試料を繰返し測定する場合に、範囲を指定する必要がなくなりさらに測定が容易となる。また、さらには、設計値等によりあらかじめ決定された値を読み込むことにより、手動で範を指定する必要をなくすことも可能となる。また、上記実施形態で述べた共焦点走査型光学顕微鏡の制御方法は、それ自体を制御プログラムとすることができ、記録媒体、或いは通信回線を介して他のホストコンピュータに記録されたものを、共焦点走査型光学顕微鏡の制御装置に読ませるだけで、上述した時と同様の制御を可能にさせることもできる。その他、本発明の要旨を変更しない範囲で種々変形して実施できるのは勿論である。
【0033】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、試料の高さ計測において、測定が必要な範囲の高さ情報の取得を容易かつ、高速に行うことが可能な共焦点走査型光学顕微鏡を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施形態に係る共焦点走査型光学顕微鏡の概略構成図。
【図2】 第2の実施形態に係る共焦点走査型光学顕微鏡の概略構成図。
【図3】 一般的な共焦点走査型光学顕微鏡の概略的構成を示す図。
【符号の説明】
1…光源
2…ビームスプリッタ
3…次元走査機構
3a…第1の光スキャナ
3b…第2の光スキャナ
3a.3b…第2の光スキャナ
7…対物レンズ
8…試料
9…結像レンズ
10…ピンホール
11…光検出器
12…コンピュータ
13…試料台
14…Zステージ
15…モニタ
16…操作部
18…一視野内範囲指定部
19…測定範囲決定部
20…非共焦点光路
21…光検出器

Claims (4)

  1. 光源からの光を試料に対して集光させる対物レンズと、
    前記集束光を前記試料の表面に沿って相対的に走査させる走査機構と、
    前記集束光の光軸方向に沿って、前記対物レンズの集光位置と前記試料の位置を相対的に移動させる移動機構と、
    前記対物レンズの集光位置と共役な位置に配置された微小開口部と、
    前記微小開口を通過する光の強度を検出する光検出器と、
    前記移動機構により前記対物レンズの集光位置と前記試料の位置を相対的に移動させ、前記試料の各点で前記光検出器の出力が最大となる前記移動機構の位置を検出することで前記試料の高さ情報を求める高さ情報取得部と、
    前記走査機構により前記集束光を前記試料の表面に沿って相対的に走査させ、前記光検出器からの出力に基づいて取得された共焦点画像をもとに2点以上の任意範囲を指定する範囲指定部と、
    前記範囲指定部で指定されたそれぞれの範囲に対して前記光検出器の出力が最大となる位置の座標を合焦位置座標として取得し、これら合焦位置座標に基づいて高さ測定の範囲を決定する高さ測定範囲決定部と、
    を具備することを特徴とする共焦点走査型光学顕微鏡。
  2. 請求項1に記載の共焦点走査型光学顕微鏡において、前記微小開口部なしで非共焦点画像を得るための非共焦点光学系及びTV画像を得るためTV光学系の少なくとも一方を更に具備し、
    前記範囲指定部は、前記非共焦点光学系により取得された非共焦点画像もしくは前記TV光学系により取得されたTV画像をもとに2点以上の任意範囲を指定することを特徴とする共焦点走査型光学顕微鏡。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の共焦点走査型光学顕微鏡において、前記範囲指定部は、指定された範囲情報を登録し、前記高さ測定範囲決定部は、それぞれの範囲に対して取得された前記合焦位置座標を比較して前記試料の高さ測定の範囲を決定することを特徴とする共焦点走査型光学顕微鏡。
  4. 請求項1に記載の共焦点走査型光学顕微鏡において、
    前記高さ測定範囲決定部は、前記合焦位置座標を比較して求めた最大値と最小値に所定の値を加えて前記試料の高さ測定範囲を決定することを特徴とする共焦点走査型光学顕微鏡。
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