(発明が解決しようとする課題)
特許文献1によれば、一つの空間内で分割する必要の無い配管を分割し、分割されたそれぞれの配管を継手手段によりフレーム等の筐体に固定するように構成される。つまり、本来不必要である継手手段が必要とされるため、配管固定構造を構成するための部品コストが高いという問題がある。また、それぞれの配管に取り付けられた継手手段を個々に筐体に固定しなければならないので、組み付け工数が増大するという問題がある。
本発明は、エンジン駆動式空気調和機の室外機ハウジング内に配設される配管固定構造であって、安価に構成され、且つ、組み付け工数もさほど要することなく配管を固定することができる配管固定構造を提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段)
本発明は、エンジン駆動式空気調和機(100)の室外機ハウジング(1)内に配設されている第1配管(W1)を、第2配管(W2)と第3配管(W3)とに接続する第1三方継手部材(11)と、室外機ハウジング内に配設されている第4配管(W4)を、第5配管(W5)と第6配管(W6)とに接続する第2三方継手部材(12)と、第1三方継手部材に一体的に設けられた第1突起部(11c)と、第2三方継手部材に一体的に設けられた第2突起部(12c)と、第1突起部と第2突起部とを接続する接続部材(17)と、を備える、配管固定構造を提供する。
本発明によれば、三方継手部材に突起部を設け、2つの三方継手部材に設けられている突起部同士を接続部材で接続することによって、それぞれの三方継手部材に接続されている配管が固定される。このため、第1三方継手部材に接続された配管系統と第2三方継手部材に接続された配管系統が互いに支持し合うことにより、それぞれの配管系統を構成する配管の振動が防止される。また、これらの配管が仮に振動したとしても、両配管の相対的位置が固定されるために、振動による配管同士の干渉を防止することができる。
また、本発明に係る配管固定構造によれば、配管を室外機ハウジング内に配設するために必要な部分に設けられる三方継手部材同士を接続すればよいため、特許文献1に示されるように不必要な部分に継手手段を設ける必要が無い。故に、室外機を構成するための部品のコストを抑えることができる。また、複数の配管を同時に固定することができるので、組み付け工数を削減することができる。よって、本発明によれば、安価な構成で、且つ、組み付け工数もさほど要することなく配管を固定することができる配管固定構造を提供することができる。
室外機ハウジング内には、冷却水が流れる冷却水通路(31)が内部に形成されるとともに冷却水通路を流れる冷却水により冷却されるように構成されるエンジン(3)と、エンジンを冷却した冷却水を放熱させるための一対のラジエータ(9a,9b)が収納されているとよい。この場合、第1配管は、エンジンに形成された冷却水通路から流出される冷却水が流れる冷却水排出配管(W1)であり、第2配管は、冷却水排出配管を流れる冷却水を一対のラジエータのうちの一方のラジエータ(9a)に供給する第1分岐配管(W2)であり、第3配管は、冷却水排出配管を流れる冷却水を一対のラジエータのうちの他方のラジエータ(9b)に供給する第2分岐配管(W3)であり、第4配管は、エンジンに形成された冷却水通路に流入される冷却水が流れる冷却水供給配管(W4)であり、第5配管は、一方のラジエータから流出される冷却水が流れる第1戻り配管(W5)であり、第6配管は、他方のラジエータから流出される冷却水が流れる第2戻り配管(W6)であるのがよい。
これによれば、エンジンの冷却水通路から流出された冷却水は、冷却水排出配管を流れる。そして、冷却水排出配管を流れる冷却水が、第1三方継手部材にて、第1分岐配管を流れて一方のラジエータに至る冷却水と、第2分岐配管を流れて他方のラジエータに至る冷却水とに分岐される。また、一方のラジエータから流出された冷却水は第1戻り配管を流れ、他方のラジエータから流出された冷却水は第2戻り配管を流れる。第1戻り配管を流れる冷却水と第2戻り配管を流れる冷却水は、第2三方継手部材にて合流する。そして、合流した冷却水が、冷却水供給配管を流れてエンジンの冷却水通路に流入する。このような構成である場合、冷却水回路中にてラジエータが並列接続される。そして、エンジン側から一対のラジエータ側に向かう冷却水配管と、一対のラジエータ側からエンジン側に戻る冷却水配管には、それぞれ三方継手部材(第1三方継手部材、第2三方継手部材)が必然的に設けられる。よって、これら2つの三方継手部材(第1三方継手部材、第2三方継手部材)を接続部材で接続することにより、エンジンから排出された冷却水が流れる配管系統(冷却水排出配管、第1分岐配管、第2分岐配管)及びエンジンに供給される冷却水が流れる配管系統(冷却水供給配管、第1戻り配管、第2戻り配管)とを同時に固定することができる。
第1三方継手部材と第2三方継手部材は、第1突起部と第2突起部とが互いに付き合わされるように、すなわち第1突起部の先端面と第2突起部の先端面が互いに向かい合うように、それぞれ配設されているとよい。これによれば、向かい合った突起部同士を接続部材で接続することにより、容易に第1三方継手部材と第2三方継手部材とを接続することができる。
また、室外機ハウジング内の空間が仕切りパネルにより上部空間と下部空間とに区画されており、第1配管、第2配管、第3配管、第4配管、第5配管及び第6配管が上部空間に配設されているとよい。この場合、第1配管は仕切りパネルによって支持され、第4配管は、仕切りパネル及び第1配管によって支持されているのがよい。これによれば、第1配管が仕切りパネルに支持されることにより、第1配管の振動が効果的に防止される。また、第2配管が仕切りパネル及び第1配管に支持されることにより、第2配管の振動が効果的に防止される。また、例えば、第2配管が長い場合、第2配管が第1配管に支持されることにより、第2配管の弛みを防止できる。このため、第2配管が弛むことによって、第2配管内に流体が滞留することが防止される。
また、第1突起部及び第2突起部が角柱状に形成されているのがよい。そして、接続部材は、第1突起部の3側面及び第2突起部の3側面にそれぞれ面当たりするように、その断面がコの字形状に形成されているのがよい。これによれば、接続部材が、角柱状の第1突起部及び第2突起の3側面に面当たりするため、第1三方継手部材及び第2三方継手部材の相対的な回転を防止することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、エンジン駆動式空気調和機の概略構成を示す図である。図1に示すように、エンジン駆動式空気調和機100は、室外機100Aと室内機100Bとを備える。室外機100Aは、筐体を構成する室外機ハウジング1を備える。この室外機ハウジング1内の空間は、仕切りパネル2によって、上部空間Uと下部空間Dとに区画される。
室外機ハウジング1内には、気体燃料或いは液体燃料により駆動するエンジン3と、エンジン3に接続されエンジン3により駆動される圧縮機4と、四方弁5と、室外熱交換器6と、アキュムレータ7と、これらを接続する冷媒配管R1〜R6が配設される。エンジン3、圧縮機4、四方弁5、及びアキュムレータ7が室外機ハウジング1内の下部空間Dに配設され、室外熱交換器6は上部空間Uに配設される。
圧縮機4は吸入口4a及び吐出口4bを備え、吸入口4aが冷媒配管R6を介してアキュムレータ7の気体冷媒出口7bに接続される。四方弁5は、4つのポート(第1ポート5a,第2ポート5b,第3ポート5c,第4ポート5d)を有する。第1ポート5aが冷媒配管R1を介して圧縮機4の吐出口4bに接続され、第2ポート5bが冷媒配管R2を介して室外熱交換器6に接続され、第3ポート5cが冷媒配管R5を介してアキュムレータ7の冷媒入口7aに接続され、第4ポート5dが冷媒配管R4を介して後述する室内熱交換器21に接続される。
四方弁5の内部には可動弁体が設けられており、この可動弁体が作動することによって、各ポートの接続状態が切り換えられる。具体的に言うと、冷房運転時には、第1ポート5aと第2ポート5bが接続されるとともに第3ポート5cと第4ポート5dが接続され、煖房運転時には、第1ポート5aと第4ポート5dが接続されるとともに第2ポート5bと第3ポート5cが接続される。
また、室内機100Bは、室内熱交換器21及び膨張弁22を備える。室内熱交換器21は、上述したように冷媒配管R4を介して四方弁5の第4ポート5dに接続されるとともに、冷媒配管R3を介して室外熱交換器6に接続される。室内機100B側に配設された冷媒配管R3の途中に膨張弁22が介装される。
圧縮機4、四方弁5、室外熱交換器6、膨張弁22、室内熱交換器21、アキュムレータ7、及び、冷媒配管R1〜R6により、冷媒回路が構成される。冷媒回路内には冷媒が充填されており、圧縮機4の駆動により冷媒回路内を冷媒が流れる。
また、室外機ハウジング1内には、冷却水ポンプ8と、一対のラジエータ(第1ラジエータ9a,第2ラジエータ9b)と、エンジン3、冷却水ポンプ8及び一対のラジエータ9a,9bを接続する冷却水配管Wが配設される。冷却水ポンプ8は室外機ハウジング1内の下部空間Dに配設され、一対のラジエータ9a,9bは上部空間Uに配設される。
エンジン3内に冷却水通路31が形成される。冷却水通路31内を冷却水が流れることにより、エンジン3が冷却される。この冷却水通路31の一方の端部は、エンジン3に形成された冷却水入口32に開口し、他方の端部はエンジン3に形成された冷却水出口33に開口する。また、一対のラジエータ9a,9b内にも冷却水通路91,91がそれぞれ形成される。冷却水通路91内を冷却水が流れることにより、冷却水が放熱される。それぞれの冷却水通路91,91の一方の端部は、一対のラジエータ9a,9bにそれぞれ形成された冷却水入口92,92に開口する。それぞれの冷却水通路91,91の他方の端部は、一対のラジエータ9a,9bにそれぞれ形成された冷却水出口93,93に開口する。
冷却水配管Wは、冷却水排出配管W1(第1配管)と、第1分岐配管W2(第2配管)と、第2分岐配管W3(第3配管)と、冷却水供給配管W4(第4配管)と、第1戻り配管W5(第5配管)と、第2戻り配管W6(第6配管)と、を有する。冷却水排出配管W1の一方の端部がエンジン3に形成された冷却水出口33に接続され、冷却水供給配管W4の一方の端部がエンジン3に形成された冷却水入口32に接続される。また、冷却水供給配管W4の途中に冷却水ポンプ8が介装される。
第1分岐配管W2の一方の端部は、第1ラジエータ9aの冷却水入口92に接続され、第2分岐配管W3の一方の端部は、第2ラジエータ9bの冷却水入口92に接続される。そして、冷却水排出配管W1の他方の端部、第1分岐配管W2の他方の端部、及び、第2分岐配管W3の他方の端部が、第1三方継手部材11によって接続される。
第1戻り配管W5の一方の端部は、第1ラジエータ9aの冷却水出口93に接続され、第2戻り配管W6の一方の端部は、第2ラジエータ9bの冷却水出口93に接続される。そして、冷却水供給配管W4の他方の端部、第1戻り配管W5の他方の端部、及び、第2戻り配管W6の他方の端部が、第2三方継手部材12によって接続される。
冷却水ポンプ8、冷却水通路31、第1三方継手部材11、一対のラジエータ(第1ラジエータ9a,第2ラジエータ9b)、第2三方継手部材12、及び、冷却水配管Wにより、冷却水回路が構成される。冷却水回路内には冷却水が充填されており、冷却水ポンプ8の駆動により、冷却水回路内を冷却水が流れる。
次に、上記構成のエンジン駆動式空気調和機100の空調動作について、簡単に説明する。まず、冷房運転時におけるエンジン駆動式空気調和機100の空調動作について説明する。エンジン3の駆動により駆動する圧縮機4は、その吸入口4aから冷媒を吸入し、吸入した冷媒を内部で圧縮し、圧縮した高圧ガス冷媒を吐出口4bから吐出する。吐出口4bから吐出された高圧ガス冷媒は、冷媒配管R1を経由して四方弁5の第1ポート5aに流入する。ここで、冷房運転時には、四方弁5の第1ポート5aが第2ポート5bに接続されている。第2ポート5bは冷媒配管R2を介して室外熱交換器6に接続されている。従って、冷房運転時には、圧縮機4から吐出された高圧ガス冷媒は、四方弁5を介して室外熱交換器6に流入することになる。室外熱交換器6に流入した冷媒は室外熱交換器6内を流れる間に外気に熱を吐き出して凝縮する。
外気に熱を吐き出して凝縮した冷媒は一部液化し、室外熱交換器6から冷媒配管R3に流出する。冷媒配管R3に流出した液冷媒(或いは気液二相冷媒)は、その途中に介装された膨張弁22を通る。この膨張弁22で冷媒が膨張することにより蒸発しやすいように低圧化される。その後、冷媒は室内熱交換器21に流入する。室内熱交換器21に流入した冷媒は室内熱交換器21内を流れる間に室内空気の熱を奪って蒸発する。このとき冷媒が室内空気の熱を奪うことによって室内空気が冷やされて、室内が冷房される。
室内空気の熱を奪って蒸発した冷媒は一部気化し、室内熱交換器21から冷媒配管R4に流出する。冷媒配管R4を流れる冷媒は四方弁5の第4ポート5dに流入する。ここで、冷房運転時には四方弁5の第4ポート5dが第3ポート5cに接続されている。第3ポート5cは冷媒配管R5を介してアキュムレータ7に接続されている。従って、冷房運転時には、室内熱交換器21から流出して冷媒配管R4を流れる冷媒は、四方弁5を介してアキュムレータ7にその冷媒入口7aから導入される。アキュムレータ7では導入された冷媒が気液分離される。そして、低温低圧のガス冷媒のみが、アキュムレータ7の気体冷媒出口7bからアキュムレータ7を流出し、冷媒配管R6を経由して圧縮機4の吸入口4aに帰還する。このような冷媒の循環サイクルが繰り返されることにより、室内冷房が継続される。
次に、暖房運転時におけるエンジン駆動式空気調和機100の空調動作について説明する。エンジン3の駆動により駆動する圧縮機4の吐出口4bから吐出された高圧ガス冷媒は、冷媒配管R1を経由して四方弁5の第1ポート5aに流入する。ここで、暖房運転時には、四方弁5の第1ポート5aが第4ポート5dに接続されている。第4ポート5dは冷媒配管R4を介して室内熱交換器21に接続されている。従って、煖房運転時には、圧縮機4から吐出された高圧ガス冷媒は、四方弁5を介して室内熱交換器21に流入することになる。室内熱交換器21に流入した高圧ガス冷媒は室内熱交換器21内を流れる間に室内空気に熱を吐き出して凝縮する。このとき高圧ガス冷媒から吐き出された熱によって室内空気が暖められて、室内が暖房される。
室内空気に熱を吐き出して凝縮した冷媒は一部液化し、室内熱交換器21から冷媒配管R3に流出する。そして、冷媒配管R3の途中に介装された膨張弁22で膨張することにより蒸発しやすいように低圧化される。膨張された冷媒は冷媒配管R3を経由して室外熱交換器6に流入する。室外熱交換器6に流入した冷媒は室外熱交換器6内を流れる間に外気の熱を奪って蒸発する。
外気の熱を奪って蒸発した冷媒は一部気化し、室外熱交換器6から冷媒配管R2に流出する。冷媒配管R2を流れる冷媒は四方弁5の第2ポート5bに入る。ここで、暖房運転時には四方弁5の第2ポート5bが第3ポート5cに接続されている。第3ポート5cは冷媒配管R5を介してアキュムレータ7に接続されている。従って、煖房運転時には、冷媒配管R3内の冷媒は、四方弁5を介してアキュムレータ7にその冷媒入口7aから導入される。アキュムレータ7では導入された冷媒が気液分離される。そして、低温低圧のガス冷媒のみが、アキュムレータ7の気体冷媒出口7bからアキュムレータ7を流出し、冷媒配管R6を経由して圧縮機4の吸入口4aに帰還する。このような冷媒の循環サイクルが繰り返されることにより、室内暖房が継続される。
上記したエンジン駆動式空気調和機100の空調動作時には、冷却水回路内の冷却水ポンプ8が駆動する。これにより冷却水が圧送される。この場合において、冷却水ポンプ8は、冷却水供給配管W4内の冷却水がエンジン3の冷却水入口32に向かう方向に流れるように、冷却水を圧送する。冷却水入口32に圧送された冷却水は、エンジン3内の冷却水通路31を流れる。冷却水通路31に冷却水が流れることによって、エンジン3が冷却されるとともに冷却水が加熱される。
冷却水通路31を流れた冷却水は、エンジン3の冷却水出口33を経由して冷却水排出配管W1に流入する。冷却水排出配管W1を流れる冷却水は、第1三方継手部材11に流入する。この第1三方継手部材11にて、冷却水排出配管W1を流れる冷却水が、第1分岐配管W2を流れる冷却水と第2分岐配管W3を流れる冷却水とに分岐する。第1分岐配管W2を流れる冷却水は、第1ラジエータ9aの冷却水入口92を経由して第1ラジエータ9a内に流入する。第2分岐配管W2を流れる冷却水は、第2ラジエータ9bの冷却水入口92を経由して第2ラジエータ9b内に流入する。
第1ラジエータ9aに流入した冷却水は、第1ラジエータ9a内の冷却水通路91を流れる。このとき外気と冷却水が熱交換することにより、冷却水が放熱される。第2ラジエータ9bに流入した冷却水は、第2ラジエータ9b内の冷却水通路91を流れる。このとき外気と冷却水が熱交換することにより、冷却水が放熱される。
第1ラジエータ9aの冷却水通路91を流れた冷却水は、第1ラジエータ9aの冷却水出口93を経由して第1戻り配管W5に流入する。第1戻り配管W5を流れる冷却水は、第2三方継手部材12に流入する。また、第2ラジエータ9bの冷却水通路91を流れた冷却水は、第2ラジエータ9bの冷却水出口93を経由して第2戻り配管W6に流入する。第2戻り配管W6を流れる冷却水は、第2三方継手部材12に流入する。そして、第2三方継手部材12にて、第1戻り配管W5を流れる冷却水と第2戻り配管W6を流れる冷却水が合流する。合流した冷却水は第2三方継手部材12から流出して冷却水供給配管W4を流れ、冷却水供給配管W4に介装された冷却水ポンプ8に帰還する。
このように、本実施形態においては、冷却水回路内にてラジエータが並列接続されている。従って、ラジエータが直列接続されている場合に比べ、冷却水の放熱効率が高い。このため、エンジン3を効率的に冷却することができる。
ところで、ラジエータが並列接続されている場合、図1に示すように、エンジン3から排出された冷却水が流れる配管系統(冷却水排出配管W1,第1分岐配管W2,第2分岐配管W3)と、エンジン3に流入する(エンジン3に供給される)冷却水が流れる配管系統(冷却水供給配管W4,第1戻り配管W5,第2戻り配管W6)が近接する可能性が高い。また、室外機ハウジング1内にはエンジン3及び圧縮機4等の駆動部品が配設されており、これらの駆動部品の駆動に伴う機械振動が、室外機ハウジング1に伝達される。このため室外機ハウジング1内にて生じる振動が各配管に伝達されて、各配管が振動する。この場合において、近接している配管同士が振動すると、これらの配管同士が接触する可能性がある。こうした配管同士の振動による接触が繰り返されると、配管の劣化が加速される。
この点に関し、本実施形態では、第1三方継手部材11と第2三方継手部材12とを互いに接続することにより、各配管を固定して配管の振動を抑えているとともに、仮に振動したとしても、配管同士の接触が効果的に防止されるように、配管接続構造が構成されている。以下、本実施形態に係る配管接続構造について説明する。
本実施形態に係る配管接続構造は、樹脂製の第1三方継手部材11と、樹脂製の第2三方継手部材12とを備える。第1三方継手部材11の形状と第2三方継手部材12の形状は同一である。図2は、第1三方継手部材11(第2三方継手部材12)の斜視図である。図2に示すように、第1三方継手部材11(第2三方継手部材12)は、第1筒状部11a(12a)と、第1筒状部11a(12a)の軸方向における中央位置に接続された第2筒状部11b(12b)とを備える。第1筒状部11a(12a)の内部空間と第2筒状部11b(12b)の内部空間は連通している。第2筒状部11b(12b)は、第1筒状部11a(12a)に対して直角に接続される。従って、第1三方継手部材11(第2三方継手部材12)はT字形状を呈する。
第1三方継手部材11の第2筒状部11bの端部に冷却水排出配管W1が接続され、第2三方継手部材12の第2筒状部12bの端部に冷却水供給配管W4が接続される。第1三方継手部材11の第1筒状部11aの両端部には、第1分岐配管W2及び第2分岐配管W3がそれぞれ接続され、第2三方継手部材12の第1筒状部12aの両端部には、第1戻り配管W5及び第2戻り配管W6がそれぞれ接続される。
また、第1三方継手部材11(第2三方継手部材12)には、第1突起部11c(第2突起部12c)が一体的に形成されている。第1突起部11c(第2突起部12c)は、第1筒状部11a(12a)の軸方向における中央部分に形成され、第1筒状部11a(12a)及び第2筒状部11b(12b)のそれぞれの延設方向に直交する方向に延設される。第1突起部11c(第2突起部12c)は、4側面を有する四角柱形状を呈し、四隅が面取りされている。第1突起部11c(第2突起部12c)には孔11d(12d)が形成される。孔11d(12d)の軸方向は、第2筒状部11b(12b)の軸方向に一致する。孔11d(12d)は、第1突起部11c(又は第2突起部12c)の4側面のうちの一つの側面である開口面11e(12e)に開口する。本実施形態において、開口面11e(12e)は、第2筒状部11b(12b)が第1筒状部11a(12a)から延設されている方向とは反対の方向を向く面である。
図3は、室外機ハウジング1内における、冷却水排出配管W1、第1分岐配管W2、第2分岐配管W3、冷却水供給配管W4、第1戻り配管W5、及び第2戻り配管W6の配置状態を示す図である。図3に示すように、冷却水排出配管W1は、上側排出配管W1Uと下側排出配管W1Dとに分割されている。同様に、冷却水供給配管W4も、上側供給配管W4Uと下側供給配管W4Dとに分割されている。下側排出配管W1Dがエンジン3に形成された冷却水出口33に接続され、下側供給配管W4Dがエンジン3に形成された冷却水入口32に接続される。
上側排出配管W1Uと下側排出配管W1Dは、仕切りパネル2に形成されている孔部(図示せず)に嵌め込まれた第1ブッシュ2aを介して液密的に接続される。同様に、上側供給配管W4Uと下側供給配管W4Dは、仕切りパネル2に形成されている孔部(図示せず)に嵌め込まれた第2ブッシュ2bを介して液密的に接続される。従って、下側排出配管W1D及び下側供給配管W4Dは、室外機ハウジング1内の下部空間Dに配設され、上側排出配管W1U及び上側供給配管W4Uは、室外機ハウジング1内の上部空間Uに配設される。室外機ハウジング1の上部空間U内にて、上側排出配管W1Uが第1三方継手部材11に接続される。同様に、室外機ハウジング1の上部空間U内にて、上側供給配管W4Uが第2三方継手部材12に接続される。
図4は、図3に示される第1三方継手部材11及び第2三方継手部材12を矢印A方向から見た図である。図4からわかるように、第1三方継手部材11は第2三方継手部材12の下側に配設される。従って、第2三方継手部材12の第2筒状部12bに接続される上側供給配管W4Uは、第1三方継手部材11の第2筒状部11bに接続される上側排出配管W1Uの上側に位置する。また、第1三方継手部材11と第2三方継手部材12は、互いの突起部(第1突起部11cと第2突起部12c)の先端面が上下方向に沿って付き合わされるように、それぞれ配設される。
また、図3に示すように、第1三方継手部材11の配設位置と第1ブッシュ2aの配設位置は比較的近い。従って、第1三方継手部材11と第1ブッシュ2aとの間に設けられる上側排出配管W1Uの長さは短い。この上側排出配管W1Uは、第1ブッシュ2aを介して仕切りパネル2によって支持される。一方、第2三方継手部材12の配設位置と、第2ブッシュ2bの配設位置は比較的遠い。従って、上側供給配管W4Uの長さは長い。配管の長さが長い場合、配管が弛み、弛んだ部分に冷却水中の空気が滞留する虞がある。これを防止するために、上側供給配管W4Uは、その直下に位置する上側排出配管W1Uの上部に乗せられる。つまり、上側供給配管W4Uは、第2ブッシュ2bを介して仕切りパネル2に支持されるとともに、上側排出配管W1Uにも支持される。このように上側排出配管W1U上に上側供給配管W4Uが乗せられることにより、比較的長く形成された上側供給配管W4Uの弛みが防止される。
図5は、室外機ハウジング1の上部空間U、すなわち仕切りパネル2よりも上側の空間に配設された各冷却水配管を示す図である。この図においては、上側供給配管W4Uが省略されている。図5に示すように、第1三方継手部材11に接続された第1分岐配管W2は、第2三方継手部材12に接続された第1戻り配管W5の下側に配設されており、且つ、両配管W2,W5は、上下方向から見て同じ位置に、つまり上下方向に沿って重なるように、それぞれ配設されている。従って、第1分岐配管W2と第1戻り配管W5は、近接配置される。同様に、第1三方継手部材11に接続された第2分岐配管W3は第2三方継手部材12に接続された第2戻り配管W6の下側に配設され、且つ、両配管W3,W6は、は、上下方向から見て同じ位置に、つまり上下方向に沿って重なるように、配設されている。従って、第2分岐配管W3と第2戻り配管W6は、近接配置される。
図6は、室外機ハウジング1の上部空間Uに配設された各冷却水配管を、図5とは別の方向から見た図である。図6に示すように、第1三方継手部材11に備えられる第1突起部11cの先端面と第2三方継手部材12に備えられる第2突起部12cの先端面が、僅かな隙間を持って、向かい合って付き合わされるように、両三方継手部材11,12が上下方向に沿って配設されている。また、第1突起部11cの第1開口面11eと第2突起部12cの第2開口面12eは同じ方向を向いている。このように配置された第1三方継手部材11の第1突起部11cと第2三方継手部材12の第2突起部12cが、板金製の接続部材17により接続される。
図7は接続部材17の斜視図である。また、図8は接続部材17の三面図であり、図8(a)が正面図、図8(b)が平面図、図8(c)が側面図である。接続部材17は、一枚の板金を折り曲げることにより成形される。この接続部材17は、第1面171と、第1面171の一方の端部から第1面171に対して直角方向に折り曲げられることにより形成される第2面172と、第1面171の他方の端部から第1面171に対して直角方向に折り曲げられることにより形成される第3面173とを有する。第1面171に対する第2面172の折り曲げ方向と、第1面171に対する第3面173の折り曲げ方向は、同一方向である。従って、第2面172と第3面173は、第1面171の両端から平行に延設されており、接続部材17は平面視(図8(b))において接続部材17は略コの字形状を呈する。つまり、接続部材17は、その断面がコの字形状となるように形成される。
ここで、接続部材17に関する方向を表す場合において、正面視(図8(a))における左右方向を幅方向と定義し、上下方向を高さ方向と定義する。このように方向を定義した場合、第1面171の幅方向における長さは、第1突起部11c(又は第2突起部12c)の開口面11e(12e)の幅方向(第1筒状部11a(12a)の軸方向:図4参照)における長さよりも僅かに長い。また、第1面171には、第1貫通孔17a及び第2貫通孔17bが形成されている。第1貫通孔17a及び第2貫通孔17bは、幅方向において同じ位置であり高さ方向において異なる位置に、それぞれ形成される。また、第1貫通孔17aと第2貫通孔17bの中心間距離L1が、第1三方継手部材11(又は第2三方継手部材12)の第1突起部11c(又は第2突起部12c)に形成されている孔11d(12d)の中心から第1突起部11c(又は第2突起部12c)の先端面までの距離L2(図4参照)の2倍よりも大きくなるように、第1貫通孔17aと第2貫通孔17bが第1面171に形成される。
この接続部材17は、その第1面171が、第1三方継手部材11の第1突起部11cの開口面11e及び第2三方継手部材12の第2突起部12cの開口面12eに対面接触(面当たり)するように、両突起部11c,12cに対して配設される。このとき、接続部材17の第2面172及び第3面173が、両突起部11c,12cの開口面11e,12eに隣接する2側面に面当たりする。つまり、接続部材17は、第1突起部11cの3側面及び第2突起部12cの3側面にそれぞれ面当たりするように、両突起部11c、12cに対して配設される。そして、接続部材17の第1面171に形成された第1貫通孔17aと第2三方継手部材12の第2突起部12cに形成された孔12dが同心位置となり、且つ、第2貫通孔17bと第1三方継手部材11の第1突起部11cに形成された孔11dが同心位置となるように、両突起部11c,12cと接続部材17とを位置合わせする。
こうして両突起部11c,12cに対して位置合わせされた接続部材17の第1貫通孔17a及び第2貫通孔17bに、それぞれタッピングスクリュー18,18を通す。そして、タッピングスクリュー18,18を、第1突起部11cに形成されている孔11d及び第2突起部12cに形成されている孔12dにそれぞれ螺合させる。これにより、接続部材17が、第1三方継手部材11及び第2三方継手部材12に接続される。つまり、接続部材17を介して第1三方継手部材11と第2三方継手部材12が接続される。
図9は、接続部材17を介して第1三方継手部材11と第2三方継手部材12が互いに接続された状態を示す図である。図9に示すように、接続部材17により、互いに突き合せられている第1三方継手部材11の第1突起部11cと第2三方継手部材12の第2突起部12cが接続される。このようにして第1三方継手部材11と第2三方継手部材12とを接続することにより、第1三方継手部材11に接続された各配管(冷却水排出配管W1,第1分岐配管W2,第2分岐配管W3)と、第2三方継手部材12に接続された各配管(冷却水供給配管W4,第1戻り配管W5,第2戻り配管W6)が、同時に固定される。このため、第1三方継手部材11に接続された各配管と第2三方継手部材12に接続された配管が互いに支持し合うことにより、互いの配管の振動が防止される。
また、近接した第1分岐配管W2と第1戻り配管W5が所定の間隔を開けて配置されるとともに、近接した第2分岐配管W3と第2戻り配管W6が所定の間隔を開けて配置される。このため、エンジン駆動式空気調和機100の駆動時における振動が各配管に伝達された場合であっても、第1分岐配管W2と第1戻り配管W5との相対的位置、及び、第2分岐配管W3と第2戻り配管W6との相対的位置が、それぞれ固定されているために、振動による配管同士の干渉を防止することができる。
以上のように、本実施形態に係る配管固定構造は、エンジン駆動式空気調和機100の室外機ハウジング1内に配設されている冷却水排出配管W1を、第1分岐配管W2と第2分岐配管W3とに接続する第1三方継手部材11と、室外機ハウジング1内に配設されている冷却水供給配管W4を、第1戻り配管W5と第2戻り配管W6とに接続する第2三方継手部材12と、第1三方継手部材11に一体的に設けられた第1突起部11cと、第2三方継手部材12に一体的に設けられた第2突起部12cと、第1突起部11cと第2突起部12cとを接続する接続部材17と、を備える。
本実施形態に係る配管固定構造は、複数の配管を室外機ハウジング1内に配設するために必要な部分に設けられる2つの三方継手部材同士を接続部材を介して接続することにより、それぞれの三方継手部材に接続された各配管が固定されるように構成されている。このため、特許文献1に示されるように不必要な部分に継手手段を設ける必要が無い。故に、室外機を構成するための部品のコストを抑えることができる。また、2つの配管系統、具体的には、エンジン3から排出された冷却水が流れる配管系統(冷却水排出配管W1,第1分岐配管W2,第2分岐配管W3)とエンジン3に供給される冷却水が流れる配管系統(冷却水供給配管W4,第1戻り配管W5,第2戻り配管W6)とを同時に固定することができるので、これらの配管を個々に固定する場合と比較して、組み付け工数を大幅に削減することができる。よって、安価な構成で、組み付け工数もさほど要することなく配管を固定することができる配管固定構造を提供することができる。
また、第1三方継手部材11と第2三方継手部材12は、第1突起部11cと第2突起部12cとが互いに付き合わされるように、それぞれ配設されている。このため、第1三方継手部材11に設けられている第1突起部11cと第2三方継手部材12に設けられている第2突起部12cが、互いに向かい合う。よって、向かい合った突起部同士を接続部材17で接続することにより、容易に第1三方継手部材11に接続された配管と第2三方継手部材12に接続された配管を同時に固定することができる。
また、室外機ハウジング1の上部空間Uに配設されている上側排出配管W1U(冷却水排出配管W1)が仕切りパネル2によって支持されることにより、上側排出配管W1Uの振動が効果的に防止される。また、室外機ハウジング1の上部空間Uに配設されている上側供給配管W4U(冷却水供給配管W4)が仕切りパネル2及び上側排出配管W1Uに支持されることにより、上側供給配管W4Uの振動が効果的に防止される。さらに、上側供給配管W4Uが上側排出配管W1Uに支持されることにより、比較的長く形成された上側供給配管W4Uの弛みを防止できる。このため、上側供給配管W4Uが弛むことによって、上側供給配管W4U内に冷却水中の空気が滞留してしまうことが防止される。
また、第1突起部11c及び第2突起部12cは、四角柱状に形成されている。そして、接続部材17は、第1突起部11cの3側面及び第2突起部12cの3側面にそれぞれ面当たりするように、その断面がコの字形状となるように形成されている。このように、接続部材17が、四角柱状の第1突起部11c及び第2突起部12cの3側面に面当たりすることにより、第1三方継手部材11及び第2三方継手部材12の相対的な回転を防止することができる。その結果、これらの三方継手部材に接続された各配管を安定的に固定することができる。
なお、2つの三方継手部材に接続された配管同士を固定するために、図10に示すように、2つの三方継手部材を接続部材で予め連結してなる一体部品Pを樹脂成形により製造することもできる。しかしながら、図10に示すような一体部品Pを成形するための樹脂成形型のキャビティ形状は複雑であるため、製造コストの高騰が予測される。また、図10に示すような一体部品Pを採用した場合、三方継手部材間の距離を変更することができない。この点に関し、本実施形態にて示した三方継手部材11,12は、通常用いられる三方継手部材に突起部を一体的に設けることにより構成されるので、製造コストも安く、また、三方継手部材間の距離を変更する場合には、接続部材17のみを作り直せばよい。加えて、室外機ハウジング内で本実施形態にて示した三方継手部材を単体で用いることもできる。この場合、ステー等を使用して、三方継手部材に設けられている突起部を室外機ハウジングのフレームや仕切りパネルに固定することにより、その三方継手部材に接続された配管を固定することができる。このように、本実施形態にて示した三方継手部材は、様々な箇所に用いることができ、極めて有用である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるべきものではない。例えば、上記実施形態では、接続部材17を、タッピングスクリュー18を用いて第1突起部11c及び第2突起部12cに接続した例を示したが、第1突起部11c及び第2突起部12cへの接続部材17の接続態様はこの例に限定されない。例えば、接続部材17にクリップのような機能を付与し、ワンタッチで接続部材17を第1突起部11c及び第2突起部12cに接続することができるように、構成することもできる。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。