JP6354314B2 - 防曇剤組成物、防曇剤塗布液、防曇膜、及び防曇物品 - Google Patents

防曇剤組成物、防曇剤塗布液、防曇膜、及び防曇物品 Download PDF

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本発明は、防曇性を有する防曇膜を形成するための技術に関する。
湿気の多い場所などでは、物品の表面に結露が生じる場合がある。特に、窓ガラスやレンズなどの透明物品や、鏡などの反射物品では、結露により発生する曇りにより光の進行が妨げられると、ユーザに対して正常な視野が提供されなくなる。したがって、このような物品は、曇りを防止するための機能を有することが好ましい。
例えば、曇りを防止するために電熱線を用いた物品が知られている。このような物品の表面近傍には電熱線が張り巡らされ、電熱線が通電により発熱すると、物品の表面の温度が上昇する。これにより、物品の表面に結露が生じにくくなる。しかし、このような物品では、駆動のために電力が必要であるため、構成が複雑化するとともに、ランニングコストがかかる。
特許文献1には、物品の表面に設けられた防曇膜が開示されている。この防曇膜は親水性を有する。このため、物品の表面に結露が生じると、物品の表面に設けられた防曇膜上には水滴ではなく水の被膜が形成される。したがって、防曇膜が設けられた物品の表面には曇りが発生しにくい。親水性の防曇膜で物品の表面を覆うことにより、物品の表面における曇りの発生を簡単かつ効果的に防止することができる。
特開2001−19874号公報
近年、防曇膜には、ますます広範な応用が期待されてきている。したがって、防曇膜は、様々な使用環境において長期間にわたって優れた防曇性を維持可能であることが望ましい。つまり、防曇膜には、高い防曇性に加えて、高い耐久性が求められる。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、優れた防曇性及び耐久性を有する防曇膜を設けるための技術を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る防曇剤組成物は、下記式(1)により表されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド類である単量体(A)と、下記式(2)により表わされる水酸基含有ジアクリレートである単量体(B)と、下記式(3)により表わされる単量体(C)と、光重合開始剤(D)とを含有する。
上記防曇剤組成物では、上記単量体(A)と上記単量体(B)と上記単量体(C)との含有量の合計が100質量部であり、上記単量体(A)の含有量が15〜65質量部であり、上記単量体(B)の含有量が5〜80質量部であり、上記単量体(C)の含有量が5〜30質量部であり、上記光重合開始剤(D)の含有量が0.1〜10質量部である。
Figure 0006354314
(式(1)中、R1は水素原子又はメチル基であり、nは2〜6の整数である。)
Figure 0006354314
(式(2)中、R3は水素原子又はメチル基であり、R4は、下記式(B−1)、下記式(B−2)、下記式(B−3)、下記式(B−4)、及び下記式(B−5)のうちの少なくとも1つで表される。)
Figure 0006354314
(式(B−1)中、nは4〜7の整数である。)
Figure 0006354314
(式(B−2)中、nは0〜3の整数である。)
Figure 0006354314
Figure 0006354314
Figure 0006354314
Figure 0006354314
(式(3)中、R5は水素原子又はメチル基であり、R6は、下記式(C−1)、下記式(C−2)、及び下記式(C−3)のうちの少なくとも1つで表される。)
Figure 0006354314
(式(C−1)中、nは1〜3の整数である。)
Figure 0006354314
Figure 0006354314
(式(C−3)中、R7は水素原子又はメチル基であり、nは1〜3の整数である。)
上記防曇剤組成物は、シリカ(E)を更に含有してもよい。上記シリカ(E)の含有量が1〜200質量部であってもよい。
この構成により、優れた耐摩耗性を有する防曇膜を形成可能な防曇剤組成物を提供することができる。
上記防曇剤組成物は、界面活性剤(F)を更に含有してもよい。上記界面活性剤(F)の含有量が0.1〜30質量部であってもよい。
この構成により、優れた防曇性を有する防曇膜を形成可能な防曇剤組成物を提供することができる。
本発明の一形態に係る防曇剤塗布液は、上記防曇剤組成物と溶剤とを含有する。
上記防曇剤組成物の含有量が100質量部であり、上記溶剤の含有量が10〜1000質量部である。
この構成の防曇剤塗布液を被覆面に塗布し、被覆面上の防曇剤塗布液を乾燥させて防曇剤組成物層とし、防曇剤組成物層を光重合により硬化させることにより、優れた防曇性及び耐久性を有する防曇膜が得られる。
本発明の一形態に係る防曇膜は、被覆面に上記防曇剤塗布液を塗布し、上記被覆面上の上記防曇剤塗布液を乾燥させて防曇剤組成物層とし、上記防曇剤組成物層を光重合により硬化させることにより得られる。
上記防曇剤組成物層の厚さは0.1〜1000μmであってもよい。
この構成により、優れた防曇性及び耐久性を有する防曇膜を提供することができる。
本発明の一形態に係る防曇物品は、被覆面を有する物品と、上記被覆面に設けられる上記防曇膜とを具備する。
この構成により、優れた防曇性及び耐久性を有する防曇膜を具備する防曇物品を提供することができる。
優れた防曇性及び耐久性を有する防曇膜を設けるための技術を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の一実施形態は、例えば、窓ガラスやレンズなどの透明物品や、鏡などの反射物品等の表面に防曇膜(X)を設けるための技術に関する。本実施形態に係る防曇膜(X)は、複数種類の単量体の混合物である防曇剤組成物(Y)を共重合させることにより形成される。防曇剤組成物(Y)の含有成分は、共重合後の防曇膜(X)において優れた防曇性及び耐久性が得られるように決定される。
[防曇剤組成物(Y)]
本実施形態に係る防曇剤組成物(Y)は、主成分として、3種類の単量体(A)、単量体(B)、及び単量体(C)を含有する。
単量体(A)は、下記式(1)により表されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド類である。
Figure 0006354314
なお、式(1)中、R1は水素原子又はメチル基であり、nは2〜6の整数である。
単量体(A)としては、例えば、ヒドロキシエチルアクリルアミド(R1=水素原子、n=2)、ヒドロキシプロピルアクリルアミド(R1=水素原子、n=3)、ヒドロキシブチルアクリルアミド(R1=水素原子、n=4)、ヒドロキシペンチルアクリルアミド(R1=水素原子、n=5)、及びヒドロキシヘキシルアクリルアミド(R1=水素原子、n=6)、及びヒドロキシエチルメタクリルアミド(R1=メチル基、n=2)、ヒドロキシプロピルメタクリルアミド(R1=メチル基、n=3)、ヒドロキシブチルメタクリルアミド(R1=メチル基、n=4)、ヒドロキシペンチルメタクリルアミド(R1=メチル基、n=5)、及びヒドロキシヘキシルメタクリルアミド(R1=メチル基、n=6)が挙げられる。
防曇剤組成物(Y)における単量体(A)の含有量は、単量体(A)、単量体(B)、及び単量体(C)の含有量の合計を100質量部として、15〜65質量部である。単量体(A)を構成する単量体の種類は単一であっても複数であってもよい。
単量体(B)は、下記式(2)により表される水酸基含有ジアクリレートである。
Figure 0006354314
なお、式(2)中、R3は水素原子又はメチル基である。また、式(2)中、R4は、下記式(B−1)、下記式(B−2)、下記式(B−3)、下記式(B−4)、及び下記式(B−5)のうちの少なくとも1つで表される。
Figure 0006354314
なお、式(B−1)中、nは4〜7の整数である。
Figure 0006354314
なお、式(B−2)中、nは0〜3の整数である。
Figure 0006354314
Figure 0006354314
Figure 0006354314
防曇剤組成物(Y)における単量体(B)の含有量は、単量体(A)、単量体(B)、及び単量体(C)の含有量の合計を100質量部として、5〜80質量部である。単量体(B)を構成する単量体の種類は単一であっても複数であってもよい。
単量体(C)は、下記式(3)により表される。
Figure 0006354314

なお、式(3)中、R5は水素原子又はメチル基であり、R6は、下記式(C−1)、下記式(C−2)、及び下記式(C−3)のうちの少なくとも1つで表される。
Figure 0006354314
なお、式(C−1)中、nは1〜3の整数である。
Figure 0006354314
Figure 0006354314
なお、式(C−3)中、R7は水素原子又はメチル基であり、nは1〜3の整数である。
防曇剤組成物(Y)における単量体(C)の含有量は、単量体(A)、単量体(B)、及び単量体(C)の含有量の合計を100質量部として、5〜30質量部である。単量体(C)を構成する単量体の種類は単一であっても複数であってもよい。
また、防曇剤組成物(Y)は、単量体(A)、単量体(B)、及び単量体(C)の光重合を開始させるための光重合開始剤(D)を含有する。光重合開始剤(D)は、特定の種類に限定されず、適宜選択可能である。例えば、光重合開始剤(D)として、BASFジャパン株式会社製の、イルガキュア(登録商標)2959(IR2959)や、イルガキュア(登録商標)819(IR819)や、イルガキュア(登録商標)184(IR184)イルガキュア(登録商標)1173(IR1173)を選択可能である。
防曇剤組成物(Y)における光重合開始剤(D)の含有量は、単量体(A)、単量体(B)、及び単量体(C)の含有量の合計を100質量部として、0.1〜10質量部である。光重合開始剤(D)の種類は単一であっても複数であってもよい。
更に、防曇剤組成物(Y)は、シリカ(E)と界面活性剤(F)とのうちの少なくとも一方を含有していてもよい。防曇剤組成物(Y)がシリカ(E)を含有していると、物品の表面に形成される防曇膜(X)の耐摩耗性が向上する。また、防曇剤組成物(Y)が界面活性剤(F)を含有していると、物品の表面に形成される防曇膜(X)の防曇性が向上する。
シリカ(E)及び界面活性剤(F)は、特定の種類に限定されず、適宜選択可能である。例えば、シリカ(E)としてエポキシ変性シリカ、アクリル変性シリカ、メタクリル変性シリカなどが採用可能である。
また、例えば、界面活性剤(F)として、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアシルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪族エステル類、リン酸エステル類、高級アルコール硫酸エステル類、ポリオキシエチレンサルフェート塩、アミン塩、脂肪酸型両性界面活性剤、スルホン酸型両性界面活性剤などが採用可能である。
上記ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル類の具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルアルコール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等が挙げられる。
上記ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類の具体例としては、ポリオキシエチレンオクチルフェノール、ポリオキシエチレンノニルフェノール等が挙げられる
上記ポリオキシエチレンアシルエステル類の具体例としては、ポリオキシエチレングリコールモノステアレート等が挙げられる。
上記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪族エステル類の具体例としては、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ポリエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等が挙げられる。
上記リン酸エステル類の具体例としては、アルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等が挙げられる。
上記高級アルコール硫酸エステル類の具体例としては、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等が挙げられる。
上記ポリオキシエチレンサルフェート塩の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩及びアルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ジアルキルスルホコハク酸塩、ジアルキルホスフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等が挙げられる。
上記アミン塩の具体例としては、エタノールアミン類、ラウリルアミンアセテート、トリエタノールアミンモノ蟻酸塩、ステアアミドエチルジエチルアミン酢酸塩等が挙げられる。
上記脂肪酸型両性界面活性剤の具体例としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウム塩、ジメチルアルキルラウリルベタイン、ジメチルアルキルステアリルベタイン等が挙げられる。
上記スルホン酸型両性界面活性剤の具体例としては、ジメチルアルキルスルホベタイン等が挙げられる。
防曇剤組成物(Y)におけるシリカ(E)の含有量は、単量体(A)、単量体(B)、及び単量体(C)の含有量の合計を100質量部として、1〜200質量部であることが好ましい。また、防曇剤組成物(Y)における界面活性剤(F)の含有量は、単量体(A)、単量体(B)、及び単量体(C)の含有量の合計を100質量部として、0.1〜30質量部であることが好ましい。
[防曇剤塗布液]
本実施形態に係る防曇剤組成物(Y)は、物品の表面に防曇膜(X)を形成するために、物品の表面に層状に配置される必要がある。このため、防曇剤組成物(Y)は、物品の表面に塗布可能な防曇剤塗布液として用いられる。防曇剤塗布液は、防曇剤組成物(Y)に溶剤を加えることにより生成される。
防曇剤塗布液における溶剤は、特定の種類に限定されず、適宜選択可能である。例えば、溶剤として、アルコール系溶剤、アルコールエーテル系溶剤、ケトン系溶剤が採用可能である。
上記アルコール系溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、ターシャリーブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。上記アルコールエーテル系溶剤の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等が挙げられる。上記ケトン系溶剤の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
防曇剤塗布液における溶剤の含有量は、防曇剤組成物(Y)を100質量部として、10〜1000質量部である。
[防曇物品(Z)]
本実施形態に係る防曇物品(Z)は、防曇膜(X)によって曇りの防止が図られた物品として構成される。防曇膜(X)は、各物品における曇りを防止する必要がある被覆面に設けられる。例えば、窓ガラスやレンズなどの透明物品における被覆面は、透明物品の厚さ方向における両面のうちの少なくとも一面である。鏡などの反射物品における被覆面は、反射物品における光を反射する反射面である。
防曇膜(X)は、以下のステップS10〜S50に沿って、各物品の被覆面に設けられる。
ステップS10:防曇剤塗布液を物品の被覆面に塗布する。
防曇剤塗布液の塗布方法は、特定の方法に限定されず、適宜選択可能である。例えば、防曇剤塗布液の塗布には、グラビア法、ロールコート法、ディップコート法、ハケ塗り法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ダイコート法、スピンコート法を用いることができる。
ステップS20:物品の被覆面上の防曇剤塗布液を乾燥させる。
防曇剤塗布液に含まれる溶剤成分を蒸発させることにより、物品の被覆面に防曇剤組成物(Y)の層を得る。防曇剤塗布液の乾燥方法は特定の方法に限定されず、適宜選択可能である。防曇剤塗布液の乾燥には、例えば、ドライオーブンを用いることができる。
なお、ステップS20で得られる防曇剤組成物(Y)の層の厚さは0.1〜1000μmであることが好ましい。したがって、ステップS10の条件は、ステップS20で得られる防曇剤組成物(Y)の層の厚さが0.1〜1000μmとなるように決定することができる。
ステップS30:物品の被覆面の防曇剤組成物(Y)の層に紫外線を照射する。
物品の被覆面の防曇剤組成物(Y)の層は、紫外線照射を受けると、光重合により硬化して、防曇膜(X)となる。防曇剤組成物(Y)の層への紫外線照射の条件は、光重合開始剤(D)の種類などに応じて、適宜決定可能である。
以上のステップによって、物品の被覆面に防曇膜(X)が設けられ、防曇物品(Z)が完成する。このように製造された防曇物品(Z)では、防曇膜(X)が設けられた被覆面において優れた防曇性が得られた。
また、防曇物品(Z)の防曇膜(X)にはヘイズの変化が生じにくいことが確認された。更に、防曇膜(X)は、防曇物品(Z)から剥がれにくく、熱により変性しにくいことが確認された。つまり、本実施形態に係る防曇物品(Z)では優れた耐久性が得られた。
以下、本発明の実施例及び比較例について説明する。
[防曇物品(Z)のサンプルの作製]
各実施例及び各比較例ごとに異なる含有成分の防曇剤組成物(Y)を用意した。そして、各防曇剤組成物(Y)を用い、全実施例及び全比較例について共通の条件で防曇物品(Z)のサンプルを作製した。各実施例及び各比較例における防曇膜(X)を設ける物品を想定した基材としてポリカーボネート基材(ユーピロンシートNF―2000(MGCフィルシート株式会社製))を用いた。
まず、100質量部の各防曇剤組成物(Y)と、30質量部の溶剤とを混合して、防曇剤塗布液を作製した。溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルを用いた。
次に、各防曇剤塗布液をポリカーボネート基材の被覆面(一方の主面)にバーコーターを用いて塗布した。そしてポリカーボネート基材を、60℃で10分間保持することにより、ポリカーボネート基材の被覆面上の各防曇剤塗布液を乾燥させた。
以上により、ポリカーボネート基材の被覆面上に厚さ20μmの各防曇剤組成物(Y)の層が得られた。
ポリカーボネート基材上に形成された各防曇剤組成物(Y)の層に、120Wの高圧水銀灯(日本電池株式会社製)により1J/cmの紫外線を照射した。これにより、各防曇剤組成物(Y)が光重合により硬化して防曇膜(X)となり、各実施例及び各比較例ごとに異なる防曇膜(X)を有する防曇物品(Z)のサンプルが得られた。
[防曇膜(X)の評価]
各実施例及び各比較例に係るサンプルの防曇膜(X)の評価として、以下の7種類の試験を行った。
(a)呼気防曇性試験
温度20℃、相対湿度50%RHの恒温室内で、各サンプルの防曇膜(X)に息を吹きかけ、各防曇膜(X)の曇りの状態を目視によって判定した。呼気防曇性の判定基準は以下のとおりである。
◎:全く曇らない
○:一瞬曇りが観察される
△:やや曇りが観察される
×:全面が曇る
(b)蒸気防曇性試験(35℃)
温度35℃の恒温水槽上の水面から1cmの位置に各サンプルを固定し、各防曇膜(X)の曇りの状態を目視によって判定した。蒸気防曇性試験(35℃)の判定基準は以下のとおりである。
◎:サンプル固定後10分以上曇りが生じない
○:サンプル固定後5分以上10分未満の間に曇りが生じない
△:サンプル固定後5分未満の間に曇りが生じない
×:サンプル固定後すぐに曇りが生じる
(c)蒸気防曇性試験(60℃)
温度60℃の恒温水槽上の水面から1cmの位置に各サンプルを固定し、各防曇膜(X)の曇りの状態を目視によって判定した。蒸気防曇性試験(60℃)の判定基準は以下のとおりである。
◎:サンプル固定後10分以上曇りが生じない
○:サンプル固定後5分以上10分未満の間に曇りが生じない
△:サンプル固定後5分未満の間に曇りが生じない
×:サンプル固定後すぐに曇りが生じる
(d)耐摩耗性試験(100回)
各サンプルを、テーバー摩耗試験機(摩耗輪CS−10F)により、荷重500gの条件で100回転させる摩耗試験を行い、摩耗前後のヘイズの変化率(%)を測定した。耐摩耗性試験(100回)の判定基準は以下のとおりである。
◎:5%未満
○:5%以上10%未満
△:10%以上20%未満
×:20%以上
(e)耐摩耗性試験(500回)
各サンプルを、テーバー摩耗試験機(摩耗輪CS−10F)により、荷重500gの条件で500回転させる摩耗試験を行い、摩耗前後のヘイズの変化率(%)を測定した。耐摩耗性試験(500回)の判定基準は以下のとおりである。
◎:10%未満
○:10%以上20%未満
△:20%以上30%未満
×:30%以上
(f)密着性試験
各サンプルをカッターナイフで基材に達する程度の深さで縦横方向に切断し、100個のクロスカット(切断片)を作り、各クロスカットにセロハン粘着テープ(ニチバン(株)製、商品名:セロテープ(登録商標))を貼り付けた。各クロスカットからセロテープ(登録商標)を貼り付け面と垂直方向に剥がし、各クロスカットの防曇膜(X)の状態を目視により確認した。密着性試験の判定基準は以下のとおりである。
○:剥離なし
×:剥離あり
(g)耐熱性試験
各サンプルを、80℃の環境で500時間静置した後、温度20℃、相対湿度50%RHの恒温室内で24時間放置した。その後、温度20℃、相対湿度50%RHの恒温室内で、各サンプルの防曇膜(X)に息を吹きかけ、各防曇膜(X)の曇りの状態を目視によって判定した。耐熱性試験の判定基準は以下のとおりである。
○:異常なし
×:異常あり
[実施例1〜11]
実施例1〜11では、防曇剤組成物(Y)における単量体(A)、単量体(B)、及び単量体(C)の組成について検討した。
上記実施例では、いずれの防曇剤組成物(Y)でも、単量体(A)の含有量を40質量部とし、単量体(B)の含有量を50質量部とし、単量体(C)の含有量を10質量部とした。また、いずれの防曇剤組成物(Y)でも、光重合開始剤(D)としてIR2959を用い、光重合開始剤(D)の含有量を1質量部とした。更に、いずれの防曇剤組成物(Y)も、シリカ(E)及び界面活性剤(F)を含有していない。
(実施例1)
単量体(A):ヒドロキシエチルアクリルアミド
(R1=水素原子,n=2)
単量体(B):1,6−ヘキサンジオールビス[オキシ(2−ヒドロキシプロパン1,3−ジイル)]ジアクリレート
(R3=水素原子,R4=式(B−1),n=6)
単量体(C):カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールモノヒドロキシピバレートのアクリル酸付加物
(R5=水素原子,R6=式(C−1),n=2)
光重合開始剤(D):IR2959
実施例1に係る単量体(B)は下記式で表される。
Figure 0006354314
実施例1に係る単量体(C)は下記式で表される。
Figure 0006354314
(実施例2)
単量体(A):ヒドロキシヘキシルアクリルアミド
(R1=水素原子,n=6)
単量体(B):1,6−ヘキサンジオールビス[オキシ(2−ヒドロキシプロパン1,3−ジイル)]ジアクリレート
(R3=水素原子,R4=式(B−1),n=6)
単量体(C):カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールモノヒドロキシピバレートのアクリル酸付加物
(R5=水素原子,R6=式(C−1),n=2)
実施例2に係る防曇剤組成物(Y)は、単量体(A)の組成(上記式(1)のnの値)のみにおいて実施例1に係る防曇剤組成物(Y)と異
なる。
(実施例3)
単量体(A):ヒドロキシエチルアクリルアミド
(R1=水素原子,n=2)
単量体(B):1,4−ブタンジオールビス[オキシ(2−ヒドロキシプロパン1,3−ジイル)]ジアクリレート
(R3=水素原子,R4=式(B−1),n=4)
単量体(C):カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールモノヒドロキシピバレートのアクリル酸付加物
(R5=水素原子,R6=式(C−1),n=2)
実施例3に係る防曇剤組成物(Y)は、単量体(B)の組成(上記式(B−1)のnの値)のみにおいて実施例1に係る防曇剤組成物(Y)と異なる。
実施例3に係る単量体(B)は下記式で表される。
Figure 0006354314
(実施例4)
単量体(A):ヒドロキシエチルアクリルアミド
(R1=水素原子,n=2)
単量体(B):1,7−ノナンジオールビス[オキシ(2−ヒドロキシプロパン1,3−ジイル)]ジアクリレート
(R3=水素原子,R4=式(B−1),n=7)
単量体(C):カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールモノヒドロキシピバレートのアクリル酸付加物
(R5=水素原子,R6=式(C−1),n=2)
実施例4に係る防曇剤組成物(Y)は、単量体(B)の組成(上記式(B−1)のnの値)のみにおいて実施例1に係る防曇剤組成物(Y)と異なる。
実施例4に係る単量体(B)は下記式で表される。
Figure 0006354314
(実施例5)
単量体(A):ヒドロキシエチルアクリルアミド
(R1=水素原子,n=2)
単量体(B):PO変性ジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物
(R3=水素原子,R4=式(B−2),n=0)
単量体(C):カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールモノヒドロキシピバレートのアクリル酸付加物
(R5=水素原子,R6=式(C−1),n=2)
実施例5に係る防曇剤組成物(Y)は、単量体(B)の組成(上記式(2)のR4の構造)のみにおいて実施例1に係る防曇剤組成物(Y)と異なる。
実施例5に係る単量体(B)は下記式で表される。
Figure 0006354314
(実施例6)
単量体(A):ヒドロキシエチルアクリルアミド
(R1=水素原子,n=2)
単量体(B):PO変性ジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物
(R3=水素原子,R4=式(B−2),n=3)
単量体(C):カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールモノヒドロキシピバレートのアクリル酸付加物
(R5=水素原子,R6=式(C−1),n=2)
実施例6に係る防曇剤組成物(Y)は、単量体(B)の組成(上記式(B−2)のnの値)のみにおいて実施例5に係る防曇剤組成物(Y)と異なる。
実施例6に係る単量体(B)は下記式で表される。
Figure 0006354314
(実施例7)
単量体(A):ヒドロキシエチルアクリルアミド
(R1=水素原子,n=2)
単量体(B):[フタル酸・エピクロルヒドリンの縮合物]・アクリル酸付加物
(R3=水素原子,R4=式(B−3))
単量体(C):カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールモノヒドロキシピバレートのアクリル酸付加物
(R5=水素原子,R6=式(C−1),n=2)
実施例7に係る防曇剤組成物(Y)は、単量体(B)の組成(上記式(2)のR4の構造)のみにおいて実施例1に係る防曇剤組成物(Y)と異なる。
実施例7に係る単量体(B)は下記式で表される。
Figure 0006354314
(実施例8)
単量体(A):ヒドロキシエチルアクリルアミド
(R1=水素原子,n=2)
単量体(B):[1,2−シクロヘキサンジカルボン酸・エピクロルヒドリンの縮合物]・アクリル酸付加物
(R3=水素原子,R4=式(B−4))
単量体(C):カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールモノヒドロキシピバレートのアクリル酸付加物
(R5=水素原子,R6=式(C−1),n=2)
実施例8に係る防曇剤組成物(Y)は、単量体(B)の組成(上記式(2)のR4の構造)のみにおいて実施例1に係る防曇剤組成物(Y)と異なる。
実施例8に係る単量体(B)は下記式で表される。
Figure 0006354314
(実施例9)
単量体(A):ヒドロキシエチルアクリルアミド
(R1=水素原子,n=2)
単量体(B):[1,2−ジヒドロキシベンゼン・エピクロルヒドリンの縮合物]・アクリル酸付加物
(R3=水素原子,R4=式(B−5))
単量体(C):カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールモノヒドロキシピバレートのアクリル酸付加物
(R5=水素原子,R6=式(C−1),n=2)
実施例8に係る防曇剤組成物(Y)は、単量体(B)の組成(上記式(2)のR4の構造)のみにおいて実施例1に係る防曇剤組成物(Y)と異なる。
実施例8に係る単量体(B)は下記式で表される。
Figure 0006354314
(実施例10)
単量体(A):ヒドロキシエチルアクリルアミド
(R1=水素原子,n=2)
単量体(B):1,6−ヘキサンジオールビス[オキシ(2−ヒドロキシプロパン1,3−ジイル)]ジアクリレート
(R3=水素原子,R4=式(B−1),n=6)
単量体(C):ネオペンチルグリコールモノヒドロキシピバレートのアクリル酸付加物
(R5=水素原子,R6=式(C−2))
実施例10に係る防曇剤組成物(Y)は、単量体(C)の組成(上記式(3)のR6の構造)のみにおいて実施例1に係る防曇剤組成物(Y)と異なる。
実施例10に係る単量体(C)は下記式で表される。
Figure 0006354314
(実施例11)
単量体(A):ヒドロキシエチルアクリルアミド
(R1=水素原子,n=2)
単量体(B):1,6−ヘキサンジオールビス[オキシ(2−ヒドロキシプロパン1,3−ジイル)]ジアクリレート
(R3=水素原子,R4=式(B−1),n=6)
単量体(C):プロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールのアクリル酸付加物
(R5=水素原子,R6=式(C−3),n=3,R7=メチル基)
実施例11に係る防曇剤組成物(Y)は、単量体(C)の組成(上記式(3)のR6の構造)のみにおいて実施例1に係る防曇剤組成物(Y)と異なる。
実施例11に係る単量体(C)は下記式で表される。
Figure 0006354314

(防曇膜(X)の評価結果)
表1は、実施例1〜11について、防曇剤組成物(Y)の組成(質量部)、及び防曇膜(X)の評価結果を示している。
Figure 0006354314

表1を参照すると、実施例1〜11に係る防曇膜(X)のいずれも、優れた防曇性、耐摩耗性、密着性、及び耐熱性を有することがわかる。
また、実施例1,3,4,5,6,10,11に係る防曇膜(X)では、耐摩耗性試験(100回)において優れた結果が得られている。つまり、単量体(A)のnが2であり、かつ、単量体(B)のR4が式(B−1)又は式(B−2)である防曇剤組成物(Y)において、特に耐摩耗性に優れる防曇膜(X)が得られることがわかる。
[実施例12〜20]
実施例12では、防曇剤組成物(Y)における光重合開始剤(D)の種類について検討した。また、実施例13では、防曇剤組成物(Y)へのシリカ(E)の添加について検討した。更に、実施例14では、防曇剤組成物(Y)への界面活性剤(F)の添加について検討した。そして、実施例15〜20では、防曇剤組成物(Y)における単量体(A)、単量体(B)、及び単量体(C)の含有比率について検討した。
(実施例12)
単量体(A):ヒドロキシエチルアクリルアミド
(R1=水素原子,n=2)
単量体(B):1,6−ヘキサンジオールビス[オキシ(2−ヒドロキシプロパン1,3−ジイル)]ジアクリレート
(R3=水素原子,R4=式(B−1),n=6)
単量体(C):カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールモノヒドロキシピバレートのアクリル酸付加物
(R5=水素原子,R6=式(C−1),n=2)
光重合開始剤(D):IR819
実施例12に係る防曇剤組成物(Y)は、光重合開始剤(D)の種類のみにおいて実施例1に係る防曇剤組成物(Y)と異なる。
(実施例13)
単量体(A):ヒドロキシエチルアクリルアミド
(R1=水素原子,n=2)
単量体(B):1,6−ヘキサンジオールビス[オキシ(2−ヒドロキシプロパン1,3−ジイル)]ジアクリレート
(R3=水素原子,R4=式(B−1),n=6)
単量体(C):カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールモノヒドロキシピバレートのアクリル酸付加物
(R5=水素原子,R6=式(C−1),n=2)
シリカ(E):アクリル変性シリカ
(50質量部)
実施例13に係る防曇剤組成物(Y)は、シリカ(E)を含む点のみにおいて実施例1に係る防曇剤組成物(Y)と異なる。
(実施例14)
単量体(A):ヒドロキシエチルアクリルアミド
(R1=水素原子,n=2)
単量体(B):1,6−ヘキサンジオールビス[オキシ(2−ヒドロキシプロパン1,3−ジイル)]ジアクリレート
(R3=水素原子,R4=式(B−1),n=6)
単量体(C):カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールモノヒドロキシピバレートのアクリル酸付加物
(R5=水素原子,R6=式(C−1),n=2)
界面活性剤(F):ポリオキシエチレンオレイルエーテル
(10質量部)
実施例14に係る防曇剤組成物(Y)は、界面活性剤(F)を含む点のみにおいて実施例1に係る防曇剤組成物(Y)と異なる。
次に、実施例15〜20に係る防曇剤組成物(Y)は、単量体(A)、単量体(B)、及び単量体(C)の含有比率のみにおいて実施例1に係る防曇剤組成物(Y)と異なる。
(実施例15)
単量体(A):ヒドロキシエチルアクリルアミド
(15質量部)
単量体(B):1,6−ヘキサンジオールビス[オキシ(2−ヒドロキシプロパン1,3−ジイル)]ジアクリレート
(75質量部)
単量体(C):カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールモノヒドロキシピバレートのアクリル酸付加物
(10質量部)
(実施例16)
単量体(A):ヒドロキシエチルアクリルアミド
(65質量部)
単量体(B):1,6−ヘキサンジオールビス[オキシ(2−ヒドロキシプロパン1,3−ジイル)]ジアクリレート
(25質量部)
単量体(C):カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールモノヒドロキシピバレートのアクリル酸付加物
(10質量部)
(実施例17)
単量体(A):ヒドロキシエチルアクリルアミド
(65質量部)
単量体(B):1,6−ヘキサンジオールビス[オキシ(2−ヒドロキシプロパン1,3−ジイル)]ジアクリレート
(5質量部)
単量体(C):カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールモノヒドロキシピバレートのアクリル酸付加物
(30質量部)
(実施例18)
単量体(A):ヒドロキシエチルアクリルアミド
(15質量部)
単量体(B):1,6−ヘキサンジオールビス[オキシ(2−ヒドロキシプロパン1,3−ジイル)]ジアクリレート
(80質量部)
単量体(C):カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールモノヒドロキシピバレートのアクリル酸付加物
(5質量部)
(実施例19)
単量体(A):ヒドロキシエチルアクリルアミド
(15質量部)
単量体(B):1,6−ヘキサンジオールビス[オキシ(2−ヒドロキシプロパン1,3−ジイル)]ジアクリレート
(55質量部)
単量体(C):カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールモノヒドロキシピバレートのアクリル酸付加物
(30質量部)
(実施例20)
単量体(A):ヒドロキシエチルアクリルアミド
(65質量部)
単量体(B):1,6−ヘキサンジオールビス[オキシ(2−ヒドロキシプロパン1,3−ジイル)]ジアクリレート
(30質量部)
単量体(C):カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールモノヒドロキシピバレートのアクリル酸付加物
(5質量部)
(防曇膜(X)の評価結果)
表2は、実施例15〜20について、防曇剤組成物(Y)の組成(質量部)、及び防曇膜(X)の評価結果を示している。
Figure 0006354314

表2を参照すると、実施例15〜20に係る防曇膜(X)のいずれも、優れた防曇性、耐摩耗性、密着性、及び耐熱性を有することがわかる。
特に、実施例13において優れた耐摩耗性が得られており、シリカ(E)を含有する防曇剤組成物(Y)により優れた耐摩耗性の防曇膜(X)が得られることがわかる。また、実施例14において優れた防曇性が得られており、界面活性剤(F)を含有する防曇剤組成物(Y)により優れた防曇性の防曇膜(X)が得られることがわかる。
また、実施例15〜20において、防曇剤組成物(Y)における単量体(A)の含有量が多いと優れた防曇性の防曇膜(X)が得られ、防曇剤組成物(Y)における単量体(B)の含有量が多いと優れた耐摩耗性の防曇膜(X)が得られる傾向が見られた。
[比較例1〜10]
比較例1〜10では、本実施形態に係る防曇剤組成物(Y)と異なる含有成分の防曇剤組成物(Y)について検討した。
まず、比較例1,2に係る防曇剤組成物(Y)は、単量体(A)に代えて単量体(a)を含有する点のみにおいて実施例1に係る防曇剤組成物(Y)と異なる。
(比較例1)
単量体(a):ヒドロキシメチルアクリルアミド
(R1=水素原子,n=1)
単量体(B):1,6−ヘキサンジオールビス[オキシ(2−ヒドロキシプロパン1,3−ジイル)]ジアクリレート
(R3=水素原子,R4=式(B−1),n=6)
単量体(C):カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールモノヒドロキシピバレートのアクリル酸付加物
(R5=水素原子,R6=式(C−1),n=2)
比較例1に係る防曇剤組成物(Y)の単量体(a)では、式(1)のnの値が本実施形態の範囲よりも小さい。
(比較例2)
単量体(a):ヒドロキシノニルアクリルアミド
(R1=水素原子,n=7)
単量体(B):1,6−ヘキサンジオールビス[オキシ(2−ヒドロキシプロパン1,3−ジイル)]ジアクリレート
(R3=水素原子,R4=式(B−1),n=6)
単量体(C):カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールモノヒドロキシピバレートのアクリル酸付加物
(R5=水素原子,R6=式(C−1),n=2)
比較例2に係る防曇剤組成物(Y)の単量体(a)では、式(1)のnの値が本実施形態の範囲よりも大きい。
次に、比較例3〜7に係る防曇剤組成物(Y)は、単量体(B)に代えて単量体(b)を含有する点のみにおいて実施例1に係る防曇剤組成物(Y)と異なる。
(比較例3)
単量体(A):ヒドロキシエチルアクリルアミド
(R1=水素原子,n=2)
単量体(b):エチレングリコールジグリシジルエーテルジアクリレート
(下記式(b−3))
単量体(C):カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールモノヒドロキシピバレートのアクリル酸付加物
(R5=水素原子,R6=式(C−1),n=2)
Figure 0006354314

(比較例4)
単量体(A):ヒドロキシエチルアクリルアミド
(R1=水素原子,n=2)
単量体(b):EO変性ジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物
(下記式(b−4))
単量体(C):カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールモノヒドロキシピバレートのアクリル酸付加物
(R5=水素原子,R6=式(C−1),n=2)
Figure 0006354314
(比較例5)
単量体(A):ヒドロキシエチルアクリルアミド
(R1=水素原子,n=2)
単量体(b):[PO変性ビスフェノールAグリシジルエーテル縮合物]・アクリル酸付加物
(下記式(b−5))
単量体(C):カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールモノヒドロキシピバレートのアクリル酸付加物
(R5=水素原子,R6=式(C−1),n=2)
Figure 0006354314
(比較例6)
単量体(A):ヒドロキシエチルアクリルアミド
(R1=水素原子,n=2)
単量体(b):グリセリンジグリシジルエーテルジアクリレート
(下記式(b−6))
単量体(C):カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールモノヒドロキシピバレートのアクリル酸付加物
(R5=水素原子,R6=式(C−1),n=2)
Figure 0006354314
(比較例7)
単量体(A):ヒドロキシエチルアクリルアミド
(R1=水素原子,n=2)
単量体(b):[ネオペンチルグリコール・グリシジルエーテル縮合物]・アクリル酸付加物
(下記式(b−7))
単量体(C):カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールモノヒドロキシピバレートのアクリル酸付加物
(R5=水素原子,R6=式(C−1),n=2)
Figure 0006354314
次に、比較例3〜7に係る防曇剤組成物(Y)は、単量体(C)に代えて単量体(c)を含有する点のみにおいて実施例1に係る防曇剤組成物(Y)と異なる。
(比較例8)
単量体(A):ヒドロキシエチルアクリルアミド
(R1=水素原子,n=2)
単量体(B):1,6−ヘキサンジオールビス[オキシ(2−ヒドロキシプロパン1,3−ジイル)]ジアクリレート
(R3=水素原子,R4=式(B−1),n=6)
単量体(c):ネオペンチルグリコールのアクリル酸付加物
(下記式(c−8))
Figure 0006354314
(比較例9)
単量体(A):ヒドロキシエチルアクリルアミド
(R1=水素原子,n=2)
単量体(B):1,6−ヘキサンジオールビス[オキシ(2−ヒドロキシプロパン1,3−ジイル)]ジアクリレート
(R3=水素原子,R4=式(B−1),n=6)
単量体(c):[ネオペンチルグリコール・グリシジルエーテル縮合物]・アクリル酸付加物
(下記式(c−9))
Figure 0006354314
(比較例10)
単量体(A):ヒドロキシエチルアクリルアミド
(R1=水素原子,n=2)
単量体(B):1,6−ヘキサンジオールビス[オキシ(2−ヒドロキシプロパン1,3−ジイル)]ジアクリレート
(R3=水素原子,R4=式(B−1),n=6)
単量体(c):プロピレングリコールジアクリレート
(下記式(c−10))
Figure 0006354314
(防曇膜(X)の評価結果)
表3は、比較例1〜10について、防曇剤組成物(Y)の組成(質量部)、及び防曇膜(X)の評価結果を示している。
Figure 0006354314

比較例1に係る防曇剤組成物(Y)では耐熱性が低くなり、比較例2に係る防曇剤組成物(Y)では耐摩耗性及び防曇性が低くなった。これにより、単量体(A)の式(1)におけるnが2〜6であることが望ましいことがわかる。
また、比較例3,4に係る防曇剤組成物(Y)では耐摩耗性及び耐熱性が低くなり、比較例5〜7に係る防曇剤組成物(Y)では耐摩耗性が低くなった。このように、単量体(b)は単量体(B)と類似構造を有するものの、単量体(b)を含有する防曇剤組成物(Y)では優れた耐久性を有する防曇膜(X)が得られなかった。
更に、比較例8,9に係る防曇剤組成物(Y)では密着性が低くなり、比較例10に係る防曇剤組成物(Y)では耐摩耗性が低くなった。このように、単量体(c)は単量体(C)と類似構造を有するものの、単量体(c)を含有する防曇剤組成物(Y)では優れた耐久性を有する防曇膜(X)が得られなかった。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。

Claims (7)

  1. 下記式(1)により表されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド類である単量体(A)と、
    下記式(2)により表わされる水酸基含有ジアクリレートである単量体(B)と、
    下記式(3)により表わされる単量体(C)と、
    光重合開始剤(D)とを含有し、
    前記単量体(A)と前記単量体(B)と前記単量体(C)との含有量の合計が100質量部であり、前記単量体(A)の含有量が15〜65質量部であり、前記単量体(B)の含有量が5〜80質量部であり、前記単量体(C)の含有量が5〜30質量部であり、前記光重合開始剤(D)の含有量が0.1〜10質量部である
    防曇剤組成物。
    Figure 0006354314
    (式(1)中、R1は水素原子又はメチル基であり、nは2〜6の整数である。)
    Figure 0006354314
    (式(2)中、R3は水素原子又はメチル基であり、R4は、下記式(B−1)、下記式(B−2)、下記式(B−3)、下記式(B−4)、及び下記式(B−5)のうちの少なくとも1つで表される。)
    Figure 0006354314
    (式(B−1)中、nは4〜7の整数である。)
    Figure 0006354314
    (式(B−2)中、nは0〜3の整数である。)
    Figure 0006354314
    Figure 0006354314
    Figure 0006354314
    Figure 0006354314
    (式(3)中、R5は水素原子又はメチル基であり、R6は、下記式(C−1)、下記式(C−2)、及び下記式(C−3)のうちの少なくとも1つで表される。)
    Figure 0006354314
    (式(C−1)中、nは1〜3の整数である。)
    Figure 0006354314
    Figure 0006354314
    (式(C−3)中、R7は水素原子又はメチル基であり、nは1〜3の整数である。)
  2. 請求項1に記載の防曇剤組成物であって、
    シリカ(E)を更に含有し、
    前記シリカ(E)の含有量が1〜200質量部である
    防曇剤組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の防曇剤組成物であって、
    界面活性剤(F)を更に含有し、
    前記界面活性剤(F)の含有量が0.1〜30質量部である
    防曇剤組成物。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に係る防曇剤組成物と、
    溶剤とを含有し、
    前記防曇剤組成物の含有量が100質量部であり、前記溶剤の含有量が10〜1000質量部である
    防曇剤塗布液。
  5. 被覆面に請求項4に係る防曇剤塗布液を塗布し、前記被覆面上の前記防曇剤塗布液を乾燥させて防曇剤組成物層とし、前記防曇剤組成物層を光重合により硬化させることにより得られる
    防曇膜。
  6. 請求項5に記載の防曇膜であって、
    前記防曇剤組成物層の厚さは0.1〜1000μmである
    防曇膜。
  7. 被覆面を有する物品と、
    前記被覆面に設けられる請求項5又は6に係る防曇膜と
    を具備する防曇物品。
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