以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図15は、本実施の形態による紙葉類処理装置を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態による紙葉類処理装置の外観を示す斜視図であり、図2は、図1に示す紙葉類処理装置の正面図であり、図3は、図1等に示す紙葉類処理装置の上面図である。また、図4は、図1等に示す紙葉類処理装置の内部の概略的な構成を示す概略構成図である。また、図5は、図4における紙葉類処理装置を左方から右方向に見たときの紙葉類集積機構の構成を示す構成図であり、図6は、図5に示す紙葉類集積機構のA−A矢視による側面図である。また、図7(i)は、本発明による紙葉類集積機構で用いられる羽根車の構成を示す図であり、図7(ii)、図7(iii)、図7(iv)はそれぞれ、従来技術の紙葉類集積機構で用いられる羽根車の構成を示す図である。また、図8は、図7(i)〜(iv)に示す様々な羽根車の特徴を示す表である。また、図9乃至図13は、それぞれ、本実施の形態における紙葉類集積機構の他の様々な構成を示す図である。また、図14は、本実施の形態による紙葉類処理装置を横置きしたときの状態を示す図である。また、図15(a)(b)は、本実施の形態による紙葉類処理装置における載置部の構成の詳細を示す図である。
図1乃至図4に示すように、本実施の形態による紙葉類処理装置10は、筐体12と、計数が行われるべき複数の紙葉類が積層状態で載置される載置部(ホッパ)14と、載置部14に載置された複数の紙葉類のうち最下層にある紙葉類を筐体12の内部に1枚ずつ繰り出すための繰出部16と、筐体12の内部に設けられ、繰出部16により筐体12の内部に繰り出された紙葉類を1枚ずつ搬送する搬送部18と、を備えている。また、搬送部18には、繰出部16により筐体12の内部に繰り出された紙葉類の識別および計数を行うための識別部20が設けられている。
図4に示すように、繰出部16は、載置部14に積層状態で載置された複数の紙葉類のうち最下層にある紙葉類の表面に当接するキッカローラ16aと、紙葉類の繰出方向においてキッカローラ16aの下流側に配置され当該キッカローラ16aにより蹴り出された紙葉類について筐体12の内部への繰り出しを行うフィードローラ16bとを有している。また、フィードローラ16bに対向して逆転ローラ16c(ゲートローラ)が設けられており、フィードローラ16bと逆転ローラ16cとの間にゲート部が形成されている。キッカローラ16aにより蹴り出された紙葉類はゲート部を通過して1枚ずつ筐体12内の搬送部18に繰り出されるようになっている。
また、図4等に示すように、載置部14には札押さえ部材17が設けられている。札押さえ部材17は、その基端部分に設けられた軸17aを中心として図4に示す矢印方向に揺動自在となっている。また、札押さえ部材17にはバネ17bが取り付けられており、このバネ17bにおける圧縮状態からの反発力によって、札押さえ部材17は軸17aを中心として図4における反時計回りの方向に回転するよう載置部14の底面に向かって付勢されるようになっている。このような札押さえ部材17の構成の詳細については後述する。
搬送部18は、搬送ベルトおよびローラが複数組み合わせられたものから構成されており、これらの搬送ベルトやローラの間に紙葉類が挟まれた状態で搬送ベルトが循環移動を行うことにより紙葉類が搬送路に沿って搬送されるようになっている。
また、前述のように、搬送部18には、繰出部16により筐体12の内部に繰り出された紙葉類の識別および計数を行うための識別部20が設けられている。このような識別部20は、紙葉類の真偽、正損、金種等の識別や、紙葉類の搬送異常が発生しているか否か等の識別を行うとともに、紙葉類の計数を行うようになっている。
図4に示すように、識別部20よりも下流側の箇所において搬送部18は2つの搬送路に分岐しており、一方の搬送路の下流側端部には集積部30が接続されており、他方の搬送路の下流側端部にはリジェクト部40が接続されている。ここで、図1、図2および図4に示すように、集積部30はリジェクト部40よりも上方に位置するようになっている。そして、識別部20により識別および計数が行われた紙葉類は、集積部30またはリジェクト部40に選択的に送られるようになっている。集積部30の前面(図4における左側の面)には開口が設けられており、操作者はこの開口を介して集積部30に集積された紙葉類を取り出すことができるようになっている。また、リジェクト部40の前面にも開口が設けられており、操作者はこの開口を介してリジェクト部40に集積されたリジェクト紙葉類を取り出すことができるようになっている。
図1および図4に示すように、集積部30の前面にはストッパ部材34が設けられており、搬送部18から集積部30に送られた紙葉類はストッパ部材34によりこの集積部30から筐体12の手前側にこぼれ落ちないようになっている。ストッパ部材34は図4における軸34aを中心として揺動可能となっており、集積部30に紙葉類を集積させるときには図4の実線の示すようにストッパ部材34を筐体12の手前側に倒す一方、紙葉類処理装置10の持ち運び時には図4の二点鎖線に示すようにストッパ部材34を紙葉類処理装置10の筐体12内に押し込んでこのストッパ部材34が紙葉類処理装置10の持ち運びの邪魔にならないようにすることができるようになっている。
また、リジェクト部40の前面にもストッパ部材44が設けられており、搬送部18からリジェクト部40に送られた紙葉類はストッパ部材44によりこのリジェクト部40から筐体12の手前側にこぼれ落ちないようになっている。ストッパ部材44は図4における左右方向に移動自在となっており、リジェクト部40に紙葉類を集積させるときには図4の実線の示すようにストッパ部材44を筐体12の手前側に引き出す一方、紙葉類処理装置10の持ち運び時には図4の二点鎖線に示すようにストッパ部材44を紙葉類処理装置10の筐体12内に押し込んでこのストッパ部材44が紙葉類処理装置10の持ち運びの邪魔にならないようにすることができるようになっている。
図4に示すように、搬送部18における2つの搬送路に分岐する箇所には、分岐部材とその駆動部(図示せず)とからなる分岐部22が設けられており、この分岐部22により、当該分岐部22の上流側から送られた紙葉類が、分岐した2つの搬送路のうちいずれか一方の搬送路に選択的に送られるようになっている。また、分岐部22の近傍には札叩き用回転部材42が設けられている。この札叩き用回転部材42は、可撓性を有する例えばゴム等からなる複数の羽根を有しており、これらの羽根は、基体から放射状に外方に延びるようになっている。そして、図4において札叩き用回転部材42が反時計回りの方向に回転することによって、分岐部22によりリジェクト部40に送られるべき紙葉類の表面に札叩き用回転部材42の羽根が当接し、この紙葉類を確実にリジェクト部40に送り込むようになっている。また、本実施の形態では、リジェクト部40の近傍に設けられた札叩き用回転部材42と、分岐部22に設けられた分岐部ローラ(図示せず)とが同軸で配置されており、このことにより紙葉類処理装置10の小型化が図られるようになっている。
また、図4に示すように、集積部30の上方には羽根車52が設けられている。このような羽根車52の構成の詳細について図4乃至図6を用いて説明する。図5に示すように、羽根車52は、図4に示す紙葉類処理装置10を左方から右方向に見たときに左右一対となるよう配設されている。各羽根車52は、図4の紙面に対して直交する、略水平方向に延びる軸53を中心として図4における反時計回りの方向に回転するようになっている。図4に示すように、各羽根車52は、軸53を中心として回転する基体52aと、基体52aの外周面から当該基体52aの回転方向とは逆方向の外方に延びる複数(具体的には、8つ)の羽根52bと、を有しており、これらの羽根52bは、基体52aの外周面において等間隔に設けられている。
羽根車52は、紙葉類処理装置10の動作中、図示しない駆動モータにより軸53を介して図4における反時計回りの方向に回転させられるようになっており、この羽根車52には、搬送部18から紙葉類が1枚ずつ送られるようになっている。そして、羽根車52は、搬送部18から送られた紙葉類を2枚の羽根52bの間に受け止めてこの羽根52b間に受け止められた紙葉類を集積部30に送るようになっている。具体的には、図4および図6に示すように、羽根車52の近傍には案内部材51が設けられており、羽根車52の羽根52b間に受け止められた紙葉類の先端部分は、羽根車52が回転することにより案内部材51に当接し、このことにより紙葉類は羽根車52の羽根52b間から外部に放出されて集積部30に整列された状態で集積されるようになっている。
また、図5に示すように、軸53の長手方向(図5の左右方向)における左右一対の羽根車52の外側にはそれぞれ各羽根車52と同軸となっているローラ54が左右一対となるよう配設されている。また、軸53の長手方向における左右一対の羽根車52の間には1つの第1の補助ローラ60が配設されているとともに、軸53の長手方向における左右一対のローラ54の外側にはそれぞれ各羽根車52と同軸となっている合計6つの第2の補助ローラ62が配設されている。ここで、ローラ54、第1の補助ローラ60および第2の補助ローラ62はそれぞれ軸53に固定されておらず、当該軸53に対して回転自在となっている。これらのローラ54、第1の補助ローラ60および第2の補助ローラ62の構成の詳細について以下に説明する。
前述したように、各ローラ54は、各羽根車52と同軸となるようこれらの羽根車52の側方に設けられており、これらのローラ54の外周面には例えばゴム等からなる摩擦部材が設けられている。また、図6に示すように、各ローラ54の直径の大きさは、羽根車52の軸53の軸方向から見たときに(すなわち、図5において横方向に見たときに)、各ローラ54の外周面が、羽根車52の基体52aの外周面よりも外側であり、かつ羽根車52の回転時に当該羽根車52の各羽根52bの先端部分が描く円形領域よりも内側となるような大きさとなっている。すなわち、各ローラ54の直径は、羽根車52の基体52aの直径よりも大きいが、羽根車52の回転時に当該羽根車52の各羽根52bの先端部分が描く円形領域の直径よりも小さくなっている。
また、図5および図6に示すように、各ローラ54に対向して搬送ベルト56が設けられており、この搬送ベルト56は複数のプーリ58に張架されるとともにローラ54の外周面にその一部が当接するようになっている。ここで、複数のプーリ58のうちある一つのプーリ58が図6における時計回りの方向に回転するよう駆動されるようになっており、このことにより搬送ベルト56も図6における時計回りの方向に循環移動するようになっている。また、前述したように、ローラ54は軸53に固定されておらず、当該軸53に対して回転自在となっているが、このローラ54は搬送ベルト56が図6における時計回りの方向に循環移動したときにこの搬送ベルト56に連れ回ることにより図6における反時計回りの方向に回転するようになっている。この際に、ローラ54の角速度が羽根車52の角速度の例えば2倍以上10倍以下となるよう、より詳細にはローラ54の角速度が羽根車52の角速度の例えば2.8倍となるよう、ローラ54は羽根車52よりも大きな角速度で回転するようになっている。
また、複数のプーリ58のうち図6における下側に配置されたプーリ58には搬送ベルト56を介して案内ローラ59が当接するようになっており、搬送部18から送られた紙葉類は搬送ベルト56と案内ローラ59との間に形成されたニップ部を通って図6における上方向に向かって搬送され、搬送ベルト56により羽根車52の羽根52b間の隙間に送られるようになっている。本実施の形態では、搬送ベルト56は、羽根車52の羽根52b間に送られるまでの紙葉類の移動範囲を所定の範囲に制限するよう配置されている。また、図6に示すように、搬送ベルト56に対向するようこの搬送ベルト56と距離を隔ててガイド部55が設けられている。このガイド部55は、図6における下側に配置された搬送ベルト56と案内ローラ59との間に形成されたニップ部を通過した紙葉類を羽根車52の羽根52b間に案内するようになっている。このようなガイド部55が設けられていることにより、図6における下側に配置された搬送ベルト56と案内ローラ59との間に形成されたニップ部を通過した紙葉類は、ガイド部55と搬送ベルト56との間に形成された隙間を通って、ローラ54と搬送ベルト56との間に送られる。そして、このローラ54と搬送ベルト56との間から紙葉類が放出され、放出された紙葉類が羽根車52の羽根52b間の隙間に送られるようになる。ここで、本実施の形態では、ローラ54と搬送ベルト56との間から紙葉類が放出される放出位置(図6において参照符号Pで表示)が、羽根車52の軸53の軸方向から見たときに(すなわち、図5において横方向に見たときに)、羽根車52の基体52aの外周面よりも外側でありかつ羽根車52の回転時に当該羽根車52の各羽根52bの先端部分が描く円形領域よりも内側となるよう、搬送ベルト56が配置されるようになっている。
本実施の形態では、このような搬送ベルト56により、羽根車52の羽根52b間に紙葉類を送るための搬送部が構成されている。なお、後述するように、羽根車52の羽根52b間に紙葉類を送るための搬送部は、ローラ54に対向するよう設けられた搬送ベルト56に限定されることはない。
本実施の形態では、各ローラ54の外周面には例えばゴム等からなる摩擦部材が設けられているともに、各ローラ54は軸53を中心として各羽根車52よりも大きな角速度で回転するようになっているため、羽根車52の羽根52b間に収容された紙葉類は、ローラ54の外周面との間で働く摩擦力により、羽根52b間の奥側(羽根52bの根元側)に押し込まれるようになる。また、羽根車52の羽根52b間に収容された紙葉類の後端部分がローラ54と搬送ベルト56との間から放出されても、このローラ54の引き込み作用により、紙葉類自体の弾性力により当該紙葉類が羽根車52の羽根52b間から外側に押し戻されてしまうことが抑制され、このことにより、紙葉類の先端部分が案内部材51に当接する前にこの紙葉類が羽根車52から外に飛び出してしまうことを防止することができる。
また、前述したように、軸53の長手方向における左右一対の羽根車52の間には1つの第1の補助ローラ60が配設されている(図5参照)。この第1の補助ローラ60は軸53に固定されておらず、当該軸53に対して回転自在となっている。この第1の補助ローラ60の直径は、各羽根車52の基体52aの直径よりも大きくなっている。このことにより、羽根車52の羽根52b間に収容された紙葉類が、ローラ54の外周面との間で働く摩擦力により、羽根52b間の奥側(羽根52bの根元側)に押し込まれたときに、この紙葉類が羽根52b間の根元まで入り込むのを防止することができるようになる。すなわち、第1の補助ローラ60の直径が各羽根車52の基体52aの直径よりも大きくなっているため、羽根車52の羽根52b間に収容された紙葉類がローラ54によって羽根52b間の奥側(羽根52bの根元側)に押し込まれても、この紙葉類の先端部分が第1の補助ローラ60の外周面に当接することにより、当該紙葉類の先端部分は各羽根車52の基体52aの外周面には当接しないようになる。
また、図5に示すように、軸53の長手方向における左右一対のローラ54の外側にはそれぞれ各羽根車52と同軸となっている合計6つの第2の補助ローラ62が配設されている。それぞれの第2の補助ローラ62は軸53に固定されておらず、当該軸53に対して回転自在となっている。ここで、それぞれの第2の補助ローラ62の直径は、ローラ54の直径以下の大きさとなっている。具体的には、第2の補助ローラ62の直径は、ローラ54の直径の例えば0.9倍〜0.98倍の範囲内の大きさとなっている。このような複数の第2の補助ローラ62が軸53の長手方向における左右一対のローラ54の外側に設けられていることにより、羽根車52の羽根52b間に収容された紙葉類の幅方向における両縁部が各第2の補助ローラ62により案内されるようになる。このことにより、羽根車52の羽根52b間に収容された紙葉類の幅方向における両縁部が、羽根車52の回転中に折れ曲がったり集積部30における隙間に挟まってしまったりすることを防止することができる。
本実施の形態では、第1の補助ローラ60は例えばプラスチック樹脂等から形成されており、集積部30に集積されるべき紙葉類に対するローラ54の外周面の摩擦係数は、当該紙葉類に対する第1の補助ローラ60の外周面の摩擦係数よりも大きくなっている。また、それぞれの第2の補助ローラ62も例えばプラスチック樹脂等から形成されており、集積部30に集積されるべき紙葉類に対するローラ54の外周面の摩擦係数は、当該紙葉類に対するそれぞれの第2の補助ローラ62の外周面の摩擦係数よりも大きくなっている。集積部30に集積されるべき紙葉類に対するローラ54、第1の補助ローラ60、第2の補助ローラ62の各々の外周面の摩擦係数がこのような関係となるよう設定されていることにより、羽根車52の羽根52b間に収容された紙葉類は、ローラ54が軸53を中心として羽根車52よりも大きな角速度で回転するようになっており、かつ、当該紙葉類に対するローラ54の外周面の摩擦係数が大きいことにより、ローラ54の外周面との間で働く摩擦力によって、羽根52b間の奥側(羽根52bの根元側)に押し込まれるようになる。このため、紙葉類自体の弾性力により当該紙葉類が羽根車52の羽根52b間から外側に押し戻されてしまうことが抑制され、このことにより、紙葉類の先端部分が案内部材51に当接する前にこの紙葉類が羽根車52から外に飛び出してしまうことが防止されるようになる。また、羽根車52の羽根52b間に収容された紙葉類に対して、特別な回転方向の駆動力を与えない第1の補助ローラ60や第2の補助ローラ62の外周面の摩擦係数は小さくしている。このことにより、羽根車52の羽根52b間に収容された紙葉類に対して、第1の補助ローラ60や第2の補助ローラ62により、羽根車52の羽根52b間から外側に出る方向の不要な力が加わることが極力抑制されるようになる。
本実施の形態では、集積部30、左右一対の羽根車52、左右一対のローラ54、第1の補助ローラ60、複数の第2の補助ローラ62、搬送ベルト56等により、紙葉類が積層状態で集積される紙葉類集積機構50が構成されている。
また、図1等に示すように、筐体12の前面には操作表示部70が設けられている。この操作表示部70は、例えばLCD等からなる表示部72と、複数の操作キー74とを有している。表示部72には、紙葉類処理装置10による紙葉類の処理状況、より具体的には例えば識別部20により計数された紙葉類の枚数や合計金額等の情報が表示されるようになっている。また、操作者が操作キー74を押下することにより紙葉類処理装置10の制御部(図示せず)に対して様々な指令を与えることができるようになっている。
また、本実施の形態の紙葉類処理装置10では、一つの駆動系により繰出部16のキッカローラ16a、フィードローラ16b、逆転ローラ16c、搬送部18の搬送ベルトやローラ、札叩き用回転部材42、羽根車52、搬送ベルト56等が一体的に駆動されるようになっている。より詳細には、筐体12内に1つの駆動モータ(図示せず)が設けられており、この駆動モータによりギヤ機構(図示せず)を介して回転駆動力が上記の各構成要素にそれぞれ伝達されるようになっている。このことにより、繰出部16、搬送部18、羽根車52、搬送ベルト56等の駆動を同期させることができ、ローラ54と搬送ベルト56との間から放出された紙葉類の先端部分が羽根車52における各羽根52bの先端部分と当該羽根52bの隣に設けられた他の羽根52bの表面との間の隙間に確実に入るよう、紙葉類の搬送タイミングを設定することができるようになる。もし仮に、ローラ54と搬送ベルト56との間から放出された紙葉類の先端部分が羽根車52における各羽根52bの先端部分の上に乗ったり、ローラ54と搬送ベルト56との間から放出された紙葉類の先端部分が羽根52b間の奥側(羽根52bの根元側)に入り込み過ぎたりした場合には、この紙葉類を羽根車52により集積部30に確実に整列させることができないおそれがある。これに対し、本実施の形態のように、繰出部16、搬送部18、羽根車52、搬送ベルト56等の駆動を同期させ、紙葉類の搬送タイミングを所定のタイミングに設定することにより、ローラ54と搬送ベルト56との間から放出された紙葉類の先端部分が羽根車52における各羽根52bの先端部分と当該羽根52bの隣に設けられた他の羽根52bの表面との間の隙間に確実に入るようにすることができるようになる。
また、前述したように、載置部14には札押さえ部材17が設けられており、この札押さえ部材17は、その基端部分に設けられた軸17aを中心として図4に示す矢印方向に揺動自在となっている。また、札押さえ部材17にはバネ17bが取り付けられており、このバネ17bにおける圧縮状態からの反発力によって、札押さえ部材17は軸17aを中心として図4における反時計回りの方向に回転するよう付勢されるようになっている。より詳細には、バネ17bの一端(図4における下端)は札押さえ部材17の上部に取り付けられているとともに、このバネ17bの他端(図4における上端)は紙葉類処理装置10の筐体12の内面に固定されている。このことにより、載置部14に紙葉類が集積されていないときには、札押さえ部材17は図15(a)に示すような位置となる。なお、この際に、札押さえ部材17の下部と載置部14の底面との間にはわずかな隙間が形成されるようになり、載置部14に載置されている紙葉類の枚数が少数であるときにこの紙葉類が札押さえ部材17の下部と載置部14の底面との間で挟み込まれないようになっている。一方、載置部14に多数(例えば、50枚)の紙葉類(図15(b)において参照符号Pで表示)が集積されるときには、図15(b)に示すように、操作者は手動で軸17aを中心として札押さえ部材17をバネ17bによる押圧力に抗して図15における時計回りの方向に回転させ、載置部14に載置された紙葉類をこの札押さえ部材17により上から押さえつけるようにする。
このような札押さえ部材17が載置部14に設けられていることにより、載置部14に多数の紙葉類が集積されたときにこの載置された紙葉類全体を札押さえ部材17により上から押さえつけることができるようになるため、繰出部16による紙葉類の繰り出し動作を安定させることができるようになる。また、操作者は手動で軸17aを中心として札押さえ部材17を図15における時計回りの方向に回転させるだけで、載置部14に載置された紙葉類を札押さえ部材17により上から押さえつけることができるため、操作者にとっての操作性を向上させることができる。また、後述するように、紙葉類処理装置10を図14に示すように横置きにした場合でも、載置部14と札押さえ部材17との間で紙葉類を挟み込むことにより、載置部14に紙葉類を縦向きで載置することができるようになる。
次に、このような構成からなる紙葉類処理装置10の動作について説明する。
最初に、操作者は、紙葉類処理装置10により処理が行われるべき紙葉類を載置部14に積層状態で載置する。その後、操作者が操作表示部70の操作キー74における例えばスタートキーを押下することにより、紙葉類の計数の開始の指令を紙葉類処理装置10の制御部に与えると、載置部14に積層状態で載置された紙葉類は、最下層にある紙葉類から順に1枚ずつ繰出部16により筐体12内の搬送部18に繰り出される。繰出部16により筐体12内の搬送部18に繰り出された紙葉類は、当該搬送部18により1枚ずつ搬送される。
そして、搬送部18により搬送される紙葉類は識別部20により識別および計数が行われる。ここで、識別部20により識別された紙葉類が正常なものであった場合には、当該紙葉類は搬送部18により更に搬送されて分岐部22により集積部30に送られる。この際に、搬送部18から紙葉類集積機構50に送られた紙葉類は、搬送ベルト56と案内ローラ59との間に形成されたニップ部を通って図6における上方向に向かって搬送され、ガイド部55と搬送ベルト56との間に形成された隙間を通ってローラ54と搬送ベルト56との間に送られる。そして、ローラ54と搬送ベルト56との間における放出位置(図6において参照符号Pで表示)から放出された紙葉類は羽根車52の羽根52b間の隙間に送られるようになる。その後、羽根車52の羽根52b間の隙間に紙葉類が挟まれた状態で羽根車52が回転することにより、この紙葉類の先端部分が案内部材51に当接し、このことにより紙葉類は羽根車52の羽根52b間から外部に放出されて集積部30に集積される。このようにして、集積部30に紙葉類を整列された状態で集積させることができる。集積部30の前面の開口は常に開かれた状態にあるので、操作者はこの集積部30から紙葉類を自在に取り出すことができるようになる。
一方、識別部20により識別された紙葉類が正常なものではなくリジェクト紙葉類であった場合には、当該紙葉類は搬送部18により更に搬送されて分岐部22によりリジェクト部40に送られる。リジェクト部40の前面の開口は常に開かれた状態にあるので、操作者はリジェクト部40から紙葉類を取り出すことができるようになる。
このようにして載置部14に載置された紙葉類が全て筐体12内に繰り出され、集積部30またはリジェクト部40に送られると紙葉類処理装置10における紙葉類の処理が完了する。
以上のような構成からなる本実施の形態の紙葉類集積機構50およびこの紙葉類集積機構50を備えた紙葉類処理装置10によれば、羽根車52と同軸となるよう当該羽根車52の側方にローラ54が設けられており、このローラ54は軸53を中心として羽根車52よりも大きな角速度で回転するようになっているため、羽根車52の羽根52b間に収容された紙葉類は、ローラ54の外周面との間で働く摩擦力により、羽根52b間の奥側(羽根52bの根元側)に押し込まれるようになる。また、羽根車52の羽根52b間に収容された紙葉類の後端部分がローラ54と搬送ベルト56との間から放出されても、このローラ54の引き込み作用により、紙葉類自体の弾性力により当該紙葉類が羽根車52の羽根52b間から外側に押し戻されてしまうことが抑制され、このことにより、紙葉類の先端部分が案内部材51に当接する前にこの紙葉類が羽根車52から外に飛び出してしまうことを防止することができる。また、羽根車52の羽根52b間に紙葉類を送るための搬送部として搬送ベルト56がローラ54に対向するよう設けられており、ローラ54と搬送ベルト56との間から紙葉類が放出される放出位置が、羽根車52の軸53の軸方向から見たときに、羽根車52の基体52aの外周面よりも外側でありかつ羽根車52の各羽根52bの先端部分が描く円形領域よりも内側となるよう搬送ベルト56が配置されているため、ローラ54と搬送ベルト56との間から放出された紙葉類が例えばコシの弱いよれよれのものであった場合でも、羽根車52の羽根52b間にこのような紙葉類を確実に収容することができるようになる。
また、羽根車52と同軸となるよう当該羽根車52の側方にローラ54を設置し、このローラ54により羽根車52の羽根52b間に収容された紙葉類を羽根52b間の奥側(羽根52bの根元側)に押し込むようにした場合には、従来技術の紙葉類集積機構と比較して羽根車52の小型化を図ることができるようになる。すなわち、従来技術において紙葉類集積機構をコンパクトなものとするために羽根車を小型化すると当該羽根車の羽根間に収容された紙葉類自体の弾性力が大きくなるため、紙葉類の先端部分が案内部材に当接する前にこの紙葉類が羽根車から外に飛び出してしまうというトラブルが発生することがあったが、本実施の形態のように、羽根車52の羽根52b間に収容された紙葉類をローラ54によって羽根52b間の奥側(羽根52bの根元側)に強制的に押し込んだ場合には、羽根車を小型化してもこのようなトラブルが発生することはない。このような羽根車の小型化について図7および図8を用いて説明する。
図7(i)は、本発明の紙葉類集積機構50で用いられる、小型化された羽根車52の構成を示す側面図であり、図7(ii)、図7(iii)、図7(iv)はそれぞれ、従来技術の紙葉類集積機構で用いられる羽根車52p〜52rの構成を示す側面図である。また、図8は、図7(i)〜(iv)に示す様々な羽根車52、52p〜52rの特徴を示す表である。より詳細には、図7(i)に示す本発明の羽根車52の特徴を、図8における「(i)本発明」の欄で示しており、図7(ii)、図7(iii)、図7(iv)に示す従来技術の羽根車52p〜52rの特徴を、図8における「(ii)比較例1」「(iii)比較例2」「(iv)比較例3」の欄でそれぞれ示している。
図8に示すように、従来技術の羽根車52p〜52rでは、羽根車外径の大きさ、すなわち羽根車の各羽根の先端部分が描く円形領域の直径の大きさは70mmまたは100mmの大きさであった。また、従来技術の羽根車52p〜52rの羽根数は12枚または16枚であった。これに対し、本発明の羽根車52では従来技術の羽根車52p〜52rと比較して小型化を図ることができ、羽根車外径の大きさを45mmとすることができるようになる。また、本発明の羽根車52の羽根数を8枚まで減らしても、羽根車52の羽根52b間に収容された紙葉類を集積部30に整列された状態で集積させることができるようになる。
また、従来技術の羽根車52p〜52rでは、各羽根について、ある一つの羽根の先端部分と当該羽根の隣に設けられた他の羽根の表面との間の最短距離の大きさ(図7において参照符号aで表示)が例えば7.84mm、3.01mm、4.39mm(図8参照)であったのに対し、本発明の羽根車52では、各羽根52bについて、ある一つの羽根52bの先端部分と当該羽根52bの隣に設けられた他の羽根52bの表面との間の最短距離の大きさが1.5mm〜3.0mmの範囲内の大きさ、具体的には例えば2.70mm(図8参照)となった。より詳細には、本発明では羽根車52を小型化するにあたり、各羽根52bの先端部分と当該羽根52bの隣に設けられた他の羽根52bの表面との間の最短距離の大きさを小さくすることにより、羽根車外径の大きさも小さくなるようにしている。ここで、各羽根52bの先端部分と当該羽根52bの隣に設けられた他の羽根52bの表面との間の最短距離の大きさが3.0mmよりも大きい場合には、羽根車52を小型化したときに各羽根52bの先端部分と当該羽根52bの隣に設けられた他の羽根52bの表面との間の隙間が不必要に大きくなってしまうため、羽根車外径の大きさも不必要に大きくなってしまうという問題がある。一方、各羽根52bの先端部分と当該羽根52bの隣に設けられた他の羽根52bの表面との間の最短距離の大きさが1.5mmよりも小さい場合には、羽根車52を小型化したときに各羽根52bの先端部分と当該羽根52bの隣に設けられた他の羽根52bの表面との間の隙間が非常に狭くなってしまうため、羽根52b間に紙葉類を確実に入れることができないおそれがある。
また、従来技術の羽根車52p〜52rでは、各羽根について、ある一つの羽根の先端部分と羽根車の軸とを結ぶ直線と、当該羽根における基体に取り付けられた根元部分と羽根車の軸とを結ぶ直線のなす角度(図7において参照符号bで表示)が例えば112.50°、144.84°、132.00°(図8参照)であったのに対し、本発明の羽根車52では、各羽根52bについて、ある一つの羽根52bの先端部分と羽根車52の軸53の中心とを結ぶ直線と、当該羽根52bにおける基体52aに取り付けられた根元部分と羽根車52の軸53の中心とを結ぶ直線のなす角度が150°〜180°の範囲内の大きさ、具体的には例えば155.68°(図8参照)となった。より詳細には、本発明では羽根車52を小型化することにより、基体52aの大きさに対して羽根52bを比較的長くする必要がある。このため、各羽根52bの先端部分と羽根車52の軸53の中心とを結ぶ直線と、当該羽根52bにおける基体52aに取り付けられた根元部分と羽根車52の軸53の中心とを結ぶ直線のなす角度が150°よりも小さい場合には、羽根車52を小型化したときに羽根52bの長さが不十分となるため、羽根車52に送られた紙葉類を羽根52b間で確実に保持することができなくなるおそれがある。一方、各羽根52bの先端部分と羽根車52の軸53の中心とを結ぶ直線と、当該羽根52bにおける基体52aに取り付けられた根元部分と羽根車52の軸53の中心とを結ぶ直線のなす角度が180°よりも大きい場合には、紙葉類の大きさに対して羽根52bの長さが不必要に大きくなってしまうため、羽根車外径の大きさも不必要に大きくなってしまうという問題がある。
このように、本発明における小型化された羽根車52は、各羽根52bについて、ある一つの羽根52bの先端部分と当該羽根52bの隣に設けられた他の羽根52bの表面との間の最短距離の大きさが1.5mm〜3.0mmの範囲内の大きさであり、また、ある一つの羽根52bの先端部分と羽根車52の軸53の中心とを結ぶ直線と、当該羽根52bにおける基体52aに取り付けられた根元部分と羽根車52の軸53の中心とを結ぶ直線のなす角度が150°〜180°の範囲内の大きさであるという特徴を有することが好ましい。
また、従来技術の紙葉類処理装置では、羽根車が比較的大きいため集積部を装置下部に配置し、リジェクト部を集積部よりも上方に配置していたが、本発明の紙葉類処理装置10において、図7(i)に示すように羽根車52を小型化した場合には、この紙葉類処理装置10において図4に示すようにリジェクト部40を装置下部に配置するとともに集積部30をリジェクト部40よりも上方に配置するような内部構成のレイアウトが可能となる。このような紙葉類処理装置10における内部構成のレイアウトでは、従来技術の紙葉類処理装置と比較して、筐体12の奥行き方向の長さを大幅に小さくすることができ、装置全体をコンパクトなものとすることができるようになる。また、本実施の形態では、前述したように、リジェクト部40の近傍に設けられた札叩き用回転部材42と、分岐部22に設けられた分岐部ローラ(図示せず)とが同軸で配置されており、このことにより紙葉類処理装置10のより一層の小型化が図られるようになっている。
また、本発明の紙葉類処理装置10における内部構成のレイアウトでは、図14に示すように紙葉類処理装置10を横置きすることも可能である。この場合でも、操作者は、紙葉類処理装置10により処理が行われるべき紙葉類を載置部14に縦向きで載置し、その後、操作者が操作表示部70の操作キー74における例えばスタートキーを押下することにより、紙葉類の計数の開始の指令を紙葉類処理装置10の制御部に与えると、載置部14に縦向きで載置された紙葉類は1枚ずつ繰出部16により筐体12内の搬送部18に繰り出されるようになる。前述したように、載置部14に札押さえ部材17が設けられており、載置部14と札押さえ部材17との間で紙葉類を挟み込むことにより、載置部14に紙葉類を縦向きで載置することができるようになるため、紙葉類処理装置10を横置きにした場合でも、操作者は処理されるべき紙葉類を載置部14に縦向きで載置することができるようになる。そして、繰出部16により筐体12内の搬送部18に繰り出された紙葉類は、当該搬送部18により1枚ずつ搬送され、識別部20により識別および計数が行われる。ここで、識別部20により識別された紙葉類が正常なものであった場合には、当該紙葉類は搬送部18により更に搬送されて分岐部22により集積部30に送られる。紙葉類処理装置10を横置きにしたときの集積部30の上面の開口は常に開かれた状態にあるので、操作者はこの集積部30から紙葉類を自在に取り出すことができるようになる。一方、識別部20により識別された紙葉類が正常なものではなくリジェクト紙葉類であった場合には、当該紙葉類は搬送部18により更に搬送されて分岐部22によりリジェクト部40に送られる。紙葉類処理装置10を横置きにしたときのリジェクト部40の上面の開口は常に開かれた状態にあるので、操作者はこのリジェクト部40から紙葉類を取り出すことができるようになる。
このようにして、紙葉類処理装置10を横置きにした場合でも、載置部14に縦向きで載置された紙葉類が筐体12内に繰り出され、識別部20により識別および計数が行われた後、集積部30またはリジェクト部40に集積されるようになる。
なお、本実施の形態による紙葉類集積機構50やこの紙葉類集積機構50を備えた紙葉類処理装置10は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、紙葉類集積機構において、羽根車52の羽根52b間に紙葉類を送るための搬送部は、ローラ54に対向するよう設けられた搬送ベルト56に限定されることはない。図9に示すように、羽根車52の羽根52b間に紙葉類を送るための搬送部として、ローラ54の外周面にその一部が当接する対向ローラ64を用いてもよい。ここで、ローラ54の外周面にその一部が当接する対向ローラ64は複数設けられていてもよい。また、各対向ローラ64の外周面には、例えばゴム等からなる摩擦部材が設けられている。図9に示すような変形例に係る紙葉類集積機構50aの構成の詳細について以下に説明する。なお、図9に示すような変形例に係る紙葉類集積機構50aにおいて、図6等に示すような紙葉類集積機構50と同一の構成要素については同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
図9に示すように、変形例に係る紙葉類集積機構50aにおいて、羽根車52の羽根52b間に紙葉類を送るための搬送部として複数の対向ローラ64がそれぞれローラ54に当接するよう設けられているともに、これらの対向ローラ64によって羽根車52の羽根52b間に送られるまでの紙葉類の移動範囲を所定の範囲に制限するためのガイド部63が設けられている。ここで、各対向ローラ64はそれぞれ図9における時計回りの方向に回転するよう駆動されるようになっている。また、各対向ローラ64がそれぞれ図9における時計回りの方向に回転したときに、ローラ54はこれらの対向ローラ64に連れ回ることにより図9における反時計回りの方向に回転するようになっている。この際に、ローラ54の角速度が羽根車52の角速度の例えば2倍以上10倍以下となるよう、より詳細にはローラ54の角速度が羽根車52の角速度の例えば2.8倍となるよう、ローラ54は羽根車52よりも大きな角速度で回転するようになっている。
また、変形例に係る紙葉類集積機構50aにおける紙葉類の入口部分(すなわち、搬送部18から紙葉類が送られる部分)には一対の案内ローラ59、65が設けられており、搬送部18から送られた紙葉類はこれらの案内ローラ59、65の間に形成されたニップ部を通って図9における上方向に向かって搬送され、各対向ローラ64により羽根車52の羽根52b間の隙間に送られるようになっている。この際に、ガイド部63が設けられていることにより、対向ローラ64によって羽根車52の羽根52b間に送られるまでの紙葉類の移動範囲が所定の範囲に制限されるようになる。このようにして、搬送部18から送られ、一対の案内ローラ59、65の間に形成されたニップ部を通過した紙葉類は、ガイド部55とガイド部63との間に形成された隙間を通って、ローラ54と各対向ローラ64との間に送られる。そして、最も下流側にある対向ローラ64とローラ54との間から紙葉類が放出され、放出された紙葉類が羽根車52の羽根52b間の隙間に送られるようになる。ここで、図9に示すような変形例に係る紙葉類集積機構50aでは、最も下流側にある対向ローラ64とローラ54との間から紙葉類が放出される放出位置(図9において参照符号Pで表示)が、羽根車52の軸53の軸方向から見たときに、羽根車52の基体52aの外周面よりも外側でありかつ羽根車52の回転時に当該羽根車52の各羽根52bの先端部分が描く円形領域よりも内側となるよう、各対向ローラ64が配置されるようになっている。
そして、図9に示すような変形例に係る紙葉類集積機構50aでも、ローラ54の外周面には例えばゴム等からなる摩擦部材が設けられているともに、ローラ54は軸53を中心として各羽根車52よりも大きな角速度で回転するようになっているため、羽根車52の羽根52b間に収容された紙葉類は、ローラ54の外周面との間で働く摩擦力により、羽根52b間の奥側(羽根52bの根元側)に押し込まれるようになる。また、羽根車52の羽根52b間に収容された紙葉類の後端部分が、最も下流側にある対向ローラ64とローラ54との間から放出されても、このローラ54の引き込み作用により、紙葉類自体の弾性力により当該紙葉類が羽根車52の羽根52b間から外側に押し戻されてしまうことが抑制され、このことにより、紙葉類の先端部分が案内部材51に当接する前にこの紙葉類が羽根車52から外に飛び出してしまうことを防止することができる。
また、別の変形例に係る紙葉類集積機構として、図10に示すように、ローラ54に補助ベルト66が掛けられているような紙葉類集積機構50bが用いられてもよい。このような紙葉類集積機構50bでは、羽根車52の羽根52b間に紙葉類を送るための搬送部として、補助ベルト66を介してローラ54の外周面にその一部が当接する搬送ベルト56が用いられるようになっている。図10に示すような別の変形例に係る紙葉類集積機構50bの構成の詳細について以下に説明する。なお、図10に示すような別の変形例に係る紙葉類集積機構50bにおいて、図6等に示すような紙葉類集積機構50と同一の構成要素については同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
図10に示すように、ローラ54には無端状の補助ベルト66が掛けられており、この補助ベルト66において、ローラ54の外周面に当接する部分以外の箇所はたるみがあるようになっている。そして、搬送ベルト56は補助ベルト66を介してローラ54の外周面にその一部が当接するようになっている。このことにより、搬送ベルト56が図10における時計回りの方向に循環移動したときに補助ベルト66はこの搬送ベルト56に連れ回って図10における反時計回りの方向に循環移動し、さらにローラ54は補助ベルト66に連れ回って図10における反時計回りの方向に回転するようになる。この際に、ローラ54の角速度が羽根車52の角速度の例えば2倍以上10倍以下となるよう、より詳細にはローラ54の角速度が羽根車52の角速度の例えば2.8倍となるよう、ローラ54は羽根車52よりも大きな角速度で回転するようになっている。
また、図10に示すような別の変形例に係る紙葉類集積機構50bでは、搬送ベルト56と案内ローラ59との間に形成されたニップ部を通過した紙葉類は、ガイド部55と搬送ベルト56との間に形成された隙間を通って、補助ベルト66と搬送ベルト56との間に送られる。そして、この補助ベルト66と搬送ベルト56との間から紙葉類が放出され、放出された紙葉類が羽根車52の羽根52b間の隙間に送られるようになる。ここで、本実施の形態では、補助ベルト66と搬送ベルト56との間から紙葉類が放出される放出位置(図10において参照符号Pで表示)が、羽根車52の軸53の軸方向から見たときに、羽根車52の基体52aの外周面よりも外側でありかつ羽根車52の回転時に当該羽根車52の各羽根52bの先端部分が描く円形領域よりも内側となるよう、搬送ベルト56および補助ベルト66が配置されるようになっている。
そして、図10に示すような別の変形例に係る紙葉類集積機構50bでも、ローラ54は軸53を中心として各羽根車52よりも大きな角速度で回転するようになっているため、羽根車52の羽根52b間に収容された紙葉類は、このローラ54に掛けられた補助ベルト66の外周面との間で働く摩擦力により、羽根52b間の奥側(羽根52bの根元側)に押し込まれるようになる。また、羽根車52の羽根52b間に収容された紙葉類の後端部分が補助ベルト66と搬送ベルト56との間から放出されても、補助ベルト66の引き込み作用により、紙葉類自体の弾性力により当該紙葉類が羽根車52の羽根52b間から外側に押し戻されてしまうことが抑制され、このことにより、紙葉類の先端部分が案内部材51に当接する前にこの紙葉類が羽根車52から外に飛び出してしまうことを防止することができる。
また、更に別の変形例に係る紙葉類集積機構として、図11に示すように、ローラ54に補助ベルト67が掛けられており、羽根車52の羽根52b間に紙葉類を送るための搬送部として、補助ベルト67を介してローラ54の外周面にその一部が当接する対向ローラ64が複数設けられたような紙葉類集積機構50cが用いられてもよい。図11に示すような更に別の変形例に係る紙葉類集積機構50cの構成の詳細について以下に説明する。なお、図11に示すような更に別の変形例に係る紙葉類集積機構50cにおいて、図9等に示すような紙葉類集積機構50aと同一の構成要素については同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
図11に示すように、ローラ54には無端状の補助ベルト67が掛けられており、この補助ベルト67において、ローラ54の外周面に当接する部分以外の箇所はたるみがあるようになっている。そして、各対向ローラ64は補助ベルト67を介してローラ54の外周面にその一部が当接するようになっている。このことにより、各対向ローラ64が図11における時計回りの方向に回転したときに補助ベルト67はこれらの対向ローラ64に連れ回って図11における反時計回りの方向に循環移動し、さらにローラ54は補助ベルト67に連れ回って図11における反時計回りの方向に回転するようになる。この際に、ローラ54の角速度が羽根車52の角速度の例えば2倍以上10倍以下となるよう、より詳細にはローラ54の角速度が羽根車52の角速度の例えば2.8倍となるよう、ローラ54は羽根車52よりも大きな角速度で回転するようになっている。
また、図11に示すような更に別の変形例に係る紙葉類集積機構50cでは、図11における下側に配置された一対の案内ローラ59、65の間に形成されたニップ部を通過した紙葉類は、ガイド部55とガイド部63との間に形成された隙間を通って、補助ベルト67と各対向ローラ64との間に送られる。そして、最も下流側にある対向ローラ64と補助ベルト67との間から紙葉類が放出され、放出された紙葉類が羽根車52の羽根52b間の隙間に送られるようになる。ここで、本実施の形態では、最も下流側にある対向ローラ64と補助ベルト67との間から紙葉類が放出される放出位置(図11において参照符号Pで表示)が、羽根車52の軸53の軸方向から見たときに、羽根車52の基体52aの外周面よりも外側でありかつ羽根車52の回転時に当該羽根車52の各羽根52bの先端部分が描く円形領域よりも内側となるよう、対向ローラ64および補助ベルト67が配置されるようになっている。
そして、図11に示すような別の変形例に係る紙葉類集積機構50cでも、ローラ54は軸53を中心として各羽根車52よりも大きな角速度で回転するようになっているため、羽根車52の羽根52b間に収容された紙葉類は、このローラ54に掛けられた補助ベルト67の外周面との間で働く摩擦力により、羽根52b間の奥側(羽根52bの根元側)に押し込まれるようになる。また、羽根車52の羽根52b間に収容された紙葉類の後端部分が、最も下流側にある対向ローラ64と補助ベルト67の間から放出されても、補助ベルト67の引き込み作用により、紙葉類自体の弾性力により当該紙葉類が羽根車52の羽根52b間から外側に押し戻されてしまうことが抑制され、このことにより、紙葉類の先端部分が案内部材51に当接する前にこの紙葉類が羽根車52から外に飛び出してしまうことを防止することができる。
なお、図10や図11に示すような変形例に係る紙葉類集積機構50b、50cについて、ローラ54に掛けられた無端状の補助ベルト66、67として、ローラ54の外周面に当接する部分以外の箇所はたるみがあるようなものについて説明したが、補助ベルト66、67はこのようなものに限定されることはない。補助ベルト66、67として、ローラ54に加えてこのローラ54とは別のプーリ(図示せず)に張架されることによりたるみがなくピンと張られるようなものを用いてもよい。
また、本発明による紙葉類集積機構は、羽根車52の羽根52b間に紙葉類を送るための搬送部から紙葉類が放出される放出位置が、羽根車52の回転時に当該羽根車52の各羽根52bの先端部分が描く円形領域よりも内側となるような態様に限定されることはない。更に別の変形例に係る紙葉類集積機構として、図12に示すように、搬送部から紙葉類が放出される放出位置が、羽根車52の回転時に当該羽根車52の各羽根52bの先端部分が描く円形領域よりも外側となるような紙葉類集積機構50dが用いられてもよい。図12に示すような更に別の変形例に係る紙葉類集積機構50dの構成の詳細について以下に説明する。なお、図12に示すような更に別の変形例に係る紙葉類集積機構50dにおいて、図6等に示すような紙葉類集積機構50と同一の構成要素については同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
図12に示すような更に別の変形例に係る紙葉類集積機構50dにおいて、羽根車52の羽根52b間に紙葉類を送るための搬送部として、一対の案内ローラ59、65が用いられるようになっており、搬送部18から送られた紙葉類はこれらの案内ローラ59、65の間に形成されたニップ部を通って図12における上方向に向かって搬送され、羽根車52の羽根52b間の隙間に送られるようになっている。また、一対の案内ローラ59、65の間に形成されたニップ部を通過した紙葉類が羽根車52の羽根52b間に送られるまでの当該紙葉類の移動範囲を所定の範囲に制限するためのガイド部55、63が設けられている。また、図12に示すような更に別の変形例に係る紙葉類集積機構50dでは、図示はしていないがローラ54の外周面にはプーリ等が当接しており、図示しない駆動モータによってこのプーリ等を介してローラ54は図12における反時計回りの方向に回転させられるようになっている。この際に、ローラ54の角速度が羽根車52の角速度の例えば2倍以上10倍以下となるよう、より詳細にはローラ54の角速度が羽根車52の角速度の例えば2.8倍となるよう、ローラ54は羽根車52よりも大きな角速度で回転するようになっている。このようにして、搬送部18から送られ、一対の案内ローラ59、65の間に形成されたニップ部を通過した紙葉類は、ガイド部55とガイド部63との間に形成された隙間を通って、羽根車52の羽根52b間の隙間に送られるようになる。
そして、図12に示すような更に別の変形例に係る紙葉類集積機構50dでも、ローラ54の外周面には例えばゴム等からなる摩擦部材が設けられているともに、ローラ54は軸53を中心として各羽根車52よりも大きな角速度で回転するようになっているため、羽根車52の羽根52b間に収容された紙葉類は、ローラ54の外周面との間で働く摩擦力により、羽根52b間の奥側(羽根52bの根元側)に押し込まれるようになる。また、羽根車52の羽根52b間に収容された紙葉類の後端部分が、一対の案内ローラ59、65の間に形成されたニップ部から放出されても、このローラ54の引き込み作用により、紙葉類自体の弾性力により当該紙葉類が羽根車52の羽根52b間から外側に押し戻されてしまうことが抑制され、このことにより、紙葉類の先端部分が案内部材51に当接する前にこの紙葉類が羽根車52から外に飛び出してしまうことを防止することができる。
また、本発明による紙葉類集積機構では、羽根車52、ローラ54、第1の補助ローラ60および第2の補助ローラ62の設置位置は図5に示すようなものに限定されることはない。本発明における紙葉類集積機構における羽根車52、ローラ54、第1の補助ローラ60、第2の補助ローラ62の様々な配置例について図13を用いて説明する。例えば、図13(a)に示すように、第1の補助ローラ60および第2の補助ローラ62の設置を省略し、羽根車52およびローラ54をそれぞれ1つずつのみ設けたような紙葉類集積機構が用いられてもよい。この場合、1つのローラ54に対向して1つの搬送ベルト56が設けられ、この搬送ベルト56は複数のプーリ58に張架されるとともにローラ54の外周面にその一部が当接するようになる。また、図13(b)に示すように、羽根車52およびローラ54をそれぞれ1つずつ設けるともに、これらの羽根車52およびローラ54の側方に1つの第1の補助ローラ60または1つの第2の補助ローラ62のみが設置されるような紙葉類集積機構が用いられてもよい。また、図13(c)に示すように、第1の補助ローラ60および第2の補助ローラ62の設置を省略し、左右一対のローラ54を設けるとともにこれらの左右一対のローラ54の間に1つの羽根車52を設けたような紙葉類集積機構が用いられてもよい。
また、図13(d)に示すように、第1の補助ローラ60および第2の補助ローラ62の設置を省略し、左右一対の羽根車52を設けるとともにこれらの左右一対の羽根車52の間に1つのローラ54を設けたような紙葉類集積機構が用いられてもよい。また、図13(e)に示すように、第1の補助ローラ60の設置を省略し、左右一対の羽根車52を設けるとともにこれらの左右一対の羽根車52の間に1つのローラ54を設け、更に左右一対の羽根車52の外側にそれぞれ第2の補助ローラ62を設置したような紙葉類集積機構が用いられてもよい。
また、図13(f)に示すように、第1の補助ローラ60および第2の補助ローラ62の設置を省略し、左右一対の羽根車52を設けるとともにこれらの左右一対の羽根車52の間に左右一対のローラ54を設けたような紙葉類集積機構が用いられてもよい。また、図13(g)に示すように、第2の補助ローラ62の設置を省略し、左右一対の羽根車52を設けるとともにこれらの左右一対の羽根車52の外側にそれぞれローラ54を設け、更に左右一対の羽根車52の間に第1の補助ローラ60を設置したような紙葉類集積機構が用いられてもよい。
図13(a)〜図13(g)に示すような各種の紙葉類集積機構でも、図5に示すような紙葉類集積機構50と同様に、羽根車52と同軸となるよう当該羽根車52の側方にローラ54が設けられており、このローラ54は軸53を中心として羽根車52よりも大きな角速度で回転するようになっているため、羽根車52の羽根52b間に収容された紙葉類は、ローラ54の外周面との間で働く摩擦力により、羽根52b間の奥側(羽根52bの根元側)に押し込まれるようになる。また、羽根車52の羽根52b間に収容された紙葉類の後端部分がローラ54と搬送ベルト56との間から放出されても、このローラ54の引き込み作用により、紙葉類自体の弾性力により当該紙葉類が羽根車52の羽根52b間から外側に押し戻されてしまうことが抑制され、このことにより、紙葉類の先端部分が案内部材51に当接する前にこの紙葉類が羽根車52から外に飛び出してしまうことを防止することができる。
なお、図13(a)〜図13(g)に示すような各種の紙葉類集積機構について、羽根車52の羽根52b間に紙葉類を送るための搬送部として、ローラ54に対向するよう設けられた搬送ベルト56を用いた態様を説明したが、このような態様に限定されることはない。図13(a)〜図13(g)に示すような各種の紙葉類集積機構でも、羽根車52の羽根52b間に紙葉類を送るための搬送部として、搬送ベルト56以外の構成、具体的には例えば複数の対向ローラ64等を用いてもよい。