以下、図面を参照して、実施の形態における切断加工装置および切断加工方法について説明する。ここで、実施の形態による切断加工装置は、垂直方向に延びる円筒状の配管を有する配管構造物の被切断部を切断するための装置であり、実施の形態による切断加工方法は、そのような被切断部を切断するための方法である。また、以下では、空気中で切断する装置および方法について説明するが、これに限られることはなく、他の種類のガス中や、水などの液体中でも適用可能である。
(第1の実施の形態)
図1乃至図6を用いて、第1の実施の形態における切断加工装置および切断加工方法について説明する。
まず、切断加工装置100の切断対象(サンプル採取対象)となる配管構造物1について図1を用いて説明する。図1に示すように、建屋内にタンク状の円筒状構造物をなす円筒壁2が設置され、円筒壁2内に水平面内に沿うように多孔円板3が固定されている。多孔円板3は、多数の円形穴を有している。円筒壁2内には、垂直方向に延びる多数の配管4が起立して固定されており、各配管4は、多孔円板3の円形穴に挿入されて多孔円板3により支持されている。このようにして、円筒壁2内において、多数の配管4が林立している。配管構造物1には、上述した円筒壁2、多孔円板3、配管4などが含まれ得るが、本実施の形態では、配管4が切断対象となる例について以下に説明する。
図1に示すように、切断加工装置100は、配管4の被切断部5を切断する切断ユニット10と、切断ユニット10の上方および下方に設けられ、切断ユニット10を配管4に対して保持可能な一対の保持ユニット(上部クランプユニット50および下部クランプユニット60)と、切断ユニット10、上部クランプユニット50および下部クランプユニット60を配管4内で昇降させる昇降駆動ユニット70と、を備えている。このうち上部クランプユニット50は、下部クランプユニット60の上方に配置されており、切断ユニット10は、上部クランプユニット50と下部クランプユニット60との間に配置されている。下部クランプユニット60は、昇降駆動ユニット70に連結されており、昇降駆動ユニット70によって、上部クランプユニット50、切断ユニット10および下部クランプユニット60が配管4内を昇降可能になっている。
昇降駆動ユニット70は、図1に示す作業台車150上に設置されている。作業台車150は、水平2方向に移動可能になっている。すなわち、図1に示すような紙面に垂直な方向に延びる走行レール152が建屋壁151に設けられており、この走行レール152に沿って作業台車150が移動可能になっている。また、図示しないが、作業台車150は、横方向(図1の紙面の左右方向)に延びる走行レールに沿って移動可能になっている。このような走行レール152上を作業台車150が移動することにより、本実施の形態による切断加工装置100は、水平2方向に移動可能になり、複数の配管4のうち所望の配管4の下方に切断加工装置100を位置付けることが可能になっている。
このような切断加工装置100を構成する種々のユニットのうち、ここではまず、切断ユニット10について図2乃至図4を用いて説明する。
図2に示すように、切断ユニット10は、上部クランプユニット50および下部クランプユニット60に連結された切断ユニット筐体11と、被切断部5を切断する切断工具22を含む切断本体部20と、切断ユニット筐体11に対して切断工具22を前記被切断部5に向けて水平方向(配管4の軸方向とは直交する方向)に移動させる工具移動駆動機構30と、を有している。
このうち切断ユニット筐体11は、垂直方向(配管4の軸方向)に延びるように形成されている。この切断ユニット筐体11に、水平方向に延びるリニアガイドレール12(ガイドレール)が設けられている。一方、切断本体部20(より具体的には、後述するブラケット21)には、リニアガイドブロック13(被ガイド部)が固定されており、このリニアガイドブロック13は、リニアガイドレール12上を水平方向に摺動可能になっている。このようにして、リニアガイドレール12は切断本体部20の移動を案内することができ、切断本体部20は、切断ユニット筐体11に対して水平方向に移動可能になっている。
図3に示すように、切断本体部20は、リニアガイドブロック13に固定されたブラケット21と、ブラケット21に回転可能に設けられた切断工具22と、ブラケット21に固定され、切断工具22を回転させる工具回転駆動部23(例えば、エアモータ)と、を有している。
このうち切断工具22は、被切断部5を機械的に切断することができる工具であることが好適であり、そのような工具の好適な例として、ホールソーが挙げられる。ホールソーは、筒状体の先端部に多数の刃が設けられたものであり、筒状体の中心軸を中心に回転することにより、被切断部5を加工して円形状のサンプルを切り出すことが可能である。そして、先端部の刃の形状や配置角度によっては、切り出したサンプルをホールソーに保持させることが可能である。また、筒状体の中心部にセンタードリルを設けて、筒状体の先端部の刃による加工の前段階で被切断部5をドリル加工し、ドリルを挿入した状態で筒状体の刃による加工を行うこともできる。この場合、刃によって切り出されるサンプルをドリルによって保持することが可能となる。
また、筒状体の先端部の刃の形状や配置角度によっては、切断加工中に生じる切り粉を筒状体内で回収することも可能になる。この場合、切り粉が周囲に散乱して汚染が拡大することを防止できる。しかしながら、これに限られることはなく、ホールソーの近傍に、図示しない吸引回収用ノズルを設けて、切断加工中に生じる切り粉を吸引して回収するようにしてもよい。
切断工具22の例としては、被切断部5を機械的に加工することができれば、上述したホールソーに限られることはなく、ローラーカッターによって被切断部5を切断加工するようにしてもよく、あるいは、ディスクカッターによって被切断部5を切断加工するようにしてもよい。
本実施の形態では、切断工具22は、水平方向に延びる回転軸を有している。一方、工具回転駆動部23は、垂直方向に延びる回転軸を有している。そして、切断工具22と工具回転駆動部23との間に、かさ歯車機構24が介在されている。かさ歯車機構24は、切断工具22に連結され、水平方向に延びる回転軸を有する第1かさ歯車24aと、工具回転駆動部23に連結され、垂直方向に延びる回転軸を有する第2かさ歯車24bと、を含んでおり、第1かさ歯車24aと第2かさ歯車24bが互いに噛み合っている。このようにして、工具回転駆動部23の回転駆動力が、切断工具22に伝達されるように構成されている。
図3に示すように、ブラケット21には、切断工具22を加振する超音波振動子25(加振部)が設けられている。この超音波振動子25は、被切断部5を切断加工した切断工具22が被切断部5に噛み込んだ場合に、被切断部5から引き離すために切断工具22に振動を与えるためのものである。超音波振動子25は、切断工具22を切断本体部20の移動方向(水平方向)に加振するように設置されることが好適である。なお、加振部としては、超音波振動子25に限られることはなく、携帯電話のバイブレーション機能に用いられているような偏心荷重をモータで回転させる構造を用いて、切断工具22を加振するようにしてもよい。
図2に示すように、工具移動駆動機構30は、切断ユニット筐体11に回転可能に設けられた、垂直方向に延びる右ネジボールネジ31と、右ネジボールネジ31に螺合した右ネジボールナット32と、右ネジボールネジ31と共に回転可能に設けられ、垂直方向に延びる左ネジボールネジ33と、左ネジボールネジ33に螺合した左ネジボールナット34と、を有している。本実施の形態においては、右ネジボールネジ31が、左ネジボールネジの上方に配置されて、左ネジボールネジに連結され、これらのボールネジ31、33が一体的に回転可能に構成されている。左ネジボールネジ33の下端には、ネジ回転駆動部35(例えば、ACサーボモータ)が連結されている。このネジ回転駆動部35を駆動することにより、右ネジボールネジ31および左ネジボールネジ33が回転する。ネジ回転駆動部35には、レゾルバ36が設けられており、レゾルバ36は、ネジ回転駆動部35の回転数を検出し、図示しない制御部は、この検出された回転数に基づいてネジ回転駆動部35の回転駆動を制御する。これにより、切断本体部20を一定の速度で水平方向に移動させることができるようになっている。
右ネジボールナット32は、上部リンク機構40(リンク機構)を介して切断本体部20のブラケット21に連結され、左ネジボールナット34は、下部リンク機構41(リンク機構)を介してブラケット21に連結されている。そして、右ネジボールナット32および左ネジボールナット34が、互いに離れる方向に移動する場合、すなわち、右ネジボールナット32が上方に移動すると共に左ネジボールナット34が下方に移動する場合、切断本体部20は、被切断部5から配管4の半径方向内側に離れる方向(図2における左方向)に移動する。一方、右ネジボールナット32および左ネジボールナット34が互いに近づく方向に移動する場合、すなわち、右ネジボールナット32が下方に移動すると共に左ネジボールナット34が上方に移動する場合、切断本体部20は、被切断部5に向う方向(図2における右方向)に移動する。このようにして、工具移動駆動機構30からの駆動力は、上部リンク機構40および下部リンク機構41を介してブラケット21に伝達され、切断本体部20が、切断ユニット筐体11に対して水平方向に移動可能になっている。このようにして、切断本体部20は、配管4内に収容される位置(図2の実線参照)と、配管4の被切断部5を切断加工する位置(図2の破線参照)と、に位置付けられるようになっている。
図4(a)に示すように、上部リンク機構40は、右ネジボールナット32の側に設けられた固定側リンク部材42と、ブラケット21の側に設けられた可動側リンク部材44と、を含んでいる。固定側リンク部材42と可動側リンク部材44は、互いに所定範囲摺動可能に連結されている。
より具体的には、固定側リンク部材42は、その可動側端部に設けられた固定側ガイド部43を有し、可動側リンク部材44は、その固定側端部に設けられた可動側ガイド部45を有している。図4(a)に示す形態では、固定側ガイド部43が円柱状に形成され、可動側ガイド部45が円筒状に形成されて、固定側ガイド部43が可動側ガイド部45の内側空間で所定範囲摺動可能に挿入されている。すなわち、固定側ガイド部43の軸方向(固定側リンク部材42の軸方向)寸法が、可動側リンク部材44の内側空間の軸方向寸法より短くなっており、その寸法差だけ固定側ガイド部43が可動側ガイド部45内で摺動可能になっている。これにより、上部リンク機構40の長さが変化するように構成されている。
例えば、図4(b)に示すように、切断本体部20を被切断部5に向う方向に移動させる場合には、固定側ガイド部43の先端43a(図4(b)における右端)が、可動側ガイド部45の内側基端45a(図4(b)における内側右端)に当接する。このことにより、上部リンク機構40は圧縮力を伝達することができ、切断本体部20を水平方向に押し出して、被切断部5に向う方向に移動させることができる。一方、図4(c)に示すように、切断本体部20を被切断部5から離れる方向に移動させる場合には、固定側ガイド部43の基端43b(図4(c)における左端)が、可動側ガイド部45の内側先端45b(図4(c)における内側左端)に当接する。このことにより、上部リンク機構40は引張力を伝達することができ、切断本体部20を半径方向内側に引き戻して、被切断部5から離れる方向に移動させることができる。
下部リンク機構41も、上述した上部リンク機構40と同様の構成を有しており、固定側リンク部材42と可動側リンク部材44とを含み、固定側リンク部材42と可動側リンク部材44が、互いに所定範囲摺動可能に連結されている。下部リンク機構41は上部リンク機構40と同様の構成を有しているため、ここでは詳細な説明は省略する。
このようにして構成された工具移動駆動機構30は、切断本体部20の両側、すなわち、図2における切断本体部20の手前側と裏側にそれぞれ設けられていることが好適である。このことにより、被切断部5の加工時に、被切断部5から受ける反力を切断本体部20の両側から均等に支持することが可能となる。
また、図2に示すように、切断ユニット10は、切断工具22により配管4の被切断部5を切断加工する状況を、ミラー15を介して撮像するための耐放射線カメラ14を有していることが好適である。この場合、被切断部5が切断加工される状況を遠隔で確認し、切断工具22の位置を微調整することが可能となる。
切断ユニット筐体11には、円筒状のカバーが設けられており、カバーは、上述した切断ユニット10の各構成部材を覆うように形成されている。切断ユニット10が配管4内を昇降する際には、切断本体部20は、このカバー内に収容される。カバーの外面と、配管4の内面との間には、所定のギャップが設けられており、切断ユニット10をスムースに昇降可能になっている。
次に、保持ユニットを構成する上部クランプユニット50および下部クランプユニット60について図5(a)、(b)を用いて説明する。ここではまず、上部クランプユニット50について説明する。
図5(a)、(b)に示すように、上部クランプユニット50は、切断ユニット筐体11に連結されたクランプユニット筐体51と、配管4の内面を押圧可能なクランプローラ52(押圧部)と、クランプローラ52を配管4の内面に押圧させる押圧駆動部53(例えば、エアシリンダ)と、を有している。このうちクランプユニット筐体51は、円筒状に形成され、配管4の内面にクランプローラ52を押圧した場合には、配管4と同軸状に配置される。
クランプローラ52は、クランプユニット筐体51に対して略横方向に移動可能に設けられている。すなわち、クランプユニット筐体51に筐体開口部51aが設けられており、この筐体開口部51a内で、配管4の内面を押圧する押圧位置と、配管4の内面から離間する解放位置との間で移動可能になっている。このうち解放位置では、クランプローラ52は、クランプユニット筐体51の内側に収容されるようにしてもよい。なお、図5(b)においては、クランプローラ52が押圧位置に位置付けられた状態を示している。
また、クランプローラ52は、クランプユニット筐体51に対して回転可能に設けられており、配管4内を昇降する際には配管4の内面に対して転動可能になっている。本実施の形態においては、このようなクランプローラ52が、図5(a)に示すようにクランプユニット筐体51に3つ設けられており、これら3つのクランプローラ52は配管4の周方向に等間隔(ここでは120°間隔)で配置されている。
図5(b)に示すように、押圧駆動部53は、クランプユニット筐体51に取り付けられている。また、押圧駆動部53は、上下方向に移動可能なロッド53aと、ロッド53aを上下方向に移動させるためのエアを受け入れるための2つのポート(図示せず)と、を有している。2つのポートのうちの一方のポートにエアが注入されてロッド53aを上方に移動させ、他方のポートにエアが注入されてロッド53aを下方に移動させるように構成されている。ロッド53aは、後述するクランプユニットリンク機構54の第1リンク部材55を介してクランプローラ52に連結されている。
クランプユニットリンク機構54は、ロッド53aとクランプローラ52を連結する第1リンク部材55と、クランプユニット筐体51とクランプローラ52を連結する第2リンク部材56と、を有している。このうち第1リンク部材55の一端部は、ロッド53aの先端部に枢動可能に連結され、他端部は、クランプローラ52に連結されている。第2リンク部材56の一端部は、クランプユニット筐体51に枢動可能に連結され、他端部は、クランプローラ52に連結されている。クランプローラ52に連結されている第1リンク部材55の他端部および第2リンク部材56の他端部は、互いに枢動可能に連結されている。また、クランプローラ52は、各リンク部材55、56の当該他端部に対して回転可能に設けられている。
押圧駆動部53のロッド53aは、配管4の中心軸上に配置され、軸方向に沿って上下方向に移動可能になっている。第2リンク部材56とクランプユニット筐体51との連結点は、配管4の中心軸上であってロッド53aの下方に配置されている。このようにして、第1リンク部材55と第2リンク部材56とにより構成されるクランプユニットリンク機構54は、パンタグラフ式のリンク機能を有し、ロッド53aが下方に移動すると第1リンク部材55と第2リンク部材56は、クランプローラ52を半径方向外側に押し出して配管4の内面に押圧させる(押圧状態)。一方、ロッド53aが上方に移動すると第1リンク部材55と第2リンク部材56は、クランプローラ52を半径方向内側に引き戻し、配管4の内面から離れさせる(解放状態)。
ところで、上部クランプユニット50は、押圧状態と解放状態とを検出可能に構成されている。すなわち、ロッド53aの近傍に、押圧状態を検出する第1リミットスイッチ57と、解放状態を検出する第2リミットスイッチ58が設けられている。第1リミットスイッチ57は、第2リミットスイッチ58の下方に配置されており、各リミットスイッチ57、58は、クランプユニット筐体51に固定されている。一方、ロッド53aに、これらのリミットスイッチ57、58の検出対象となるドグ59が設けられている。このことにより、ロッド53aがドグ59とともに下方に移動して押圧状態となった場合に、ドグ59が第1リミットスイッチ57に対向する位置に位置付けられて第1リミットスイッチ57が切り替わり、第1リミットスイッチ57によって押圧状態に移行したことが検出される。この際、第1リミットスイッチ57は、図示しない制御部に検出信号を送信する。一方、ロッド53aがドグ59とともに上方に移動して解放状態となった場合に、ドグ59が第2リミットスイッチ58に対向する位置に位置付けられて第2リミットスイッチ58が切り替わり、第2リミットスイッチ58によって解放状態に移行したことが検出される。この際、第2リミットスイッチ58は、上述した制御部に検出信号を送信する。
次に、下部クランプユニット60について説明する。下部クランプユニット60は、クランプローラ52がクランプパッド61に置き替わる点が主に異なり、その他の構成は、上述した上部クランプユニット50と同様の構成を有している。このため、クランプパッド61以外の構成については、ここでは詳細な説明は省略する。
本実施の形態においては、下部クランプユニット60は、配管4の内面を押圧する押圧部が、クランプローラ52ではなく、図2に示すようなクランプパッド61により構成されている。クランプパッド61は、クランプユニット筐体51に対して、略横方向移動可能に設けられているが、回転可能にはなっていない。そして、このようなクランプパッド61は、上述したクランプローラ52と同様に、クランプユニット筐体51に3つ設けられて、周方向に等間隔で配置されていることが好適である。
次に、昇降駆動ユニット70について図6を用いて説明する。
図6に示すように、昇降駆動ユニット70は、流体圧力(ここでは、圧縮空気の圧力)を受けて垂直方向に伸長可能な伸縮マスト71を有している。本実施の形態においては、伸縮マスト71は、1段目となる第1マスト部分71aと、2段目となる第2マスト部分71bと、3段目となる第3マスト部分71cと、を含んでいる。各マスト部分71a〜71cの内部に、圧縮空気が注入されるようになっており、注入された圧縮空気によって伸縮マスト71が伸長する。すなわち、収縮した状態では、第1マスト部分71aの内側に第2マスト部分71bが収容され、第2マスト部分71bの内側に第3マスト部分71cが収容され、伸縮マスト71の軸方向長さは短くなっているが、圧縮空気が注入されると、その圧力を受けて、第2マスト部分71bが第1マスト部分71aの上方に移動し、第3マスト部分71cが第2マスト部分71bの上方に移動し、その結果として伸縮マスト71が伸長し、伸縮マスト71の軸方向長さが長くなる。これにより、上述した切断ユニット10、上部クランプユニット50および下部クランプユニット60を昇降させることが可能になっている。なお、各マスト部分71a〜71cの境界は、圧縮空気を封止するように構成されている。
第1マスト部分71aには、エアホース72を介して圧縮空気ボンベ73が連結されている。このうちエアホース72は、後述する旋回駆動ユニット90による旋回時に伸長可能なように第1マスト部分71aに連結されている。圧縮空気ボンベ73は、後述するベース板101に固定されている。エアホース72には、エア注入弁74が設けられており、エア注入弁74を開くことにより、圧縮空気ボンベ73から伸縮マスト71内に圧縮空気が注入され、伸縮マスト71が伸長するようになっている。一方、第1マスト部分71aには、エア排出弁75が設けられており、エア排出弁75を開くことにより、伸縮マスト71内に注入された圧縮空気が排出され、切断ユニット10、各クランプユニット50、60の自重などによって伸縮マスト71が収縮するようになっている。なお、エア注入弁74およびエア排出弁75は、図示しない制御部によって開閉制御されることが好適であるが、エア注入弁74およびエア排出弁75は、手動で開閉されるようにしてもよい。
このような第1マスト部分71aは、後述する旋回ベース91に起立して設けられている。一方、第3マスト部分71cの上端部には、連結プレート76が設けられている。この連結プレート76に、上述した下部クランプユニット60が支持されている。
第1マスト部分71a内には、ワイヤロール77が設けられており、このワイヤロール77から繰り出されるワイヤ78が、連結プレート76の下面に連結されている。また、ワイヤロール77は、繰り出されたワイヤ78を自動的に巻き取るように構成されている。このようにして、伸縮マスト71が伸長する際には、連結プレート76の上昇に伴ってワイヤロール77からワイヤ78が繰り出され、伸縮マスト71が収縮する際にはワイヤロール77がワイヤ78を巻き取るようになっている。
ワイヤロール77には、レゾルバ79が設けられており、ワイヤロール77の回転数が検出されるようになっている。回転数の検出信号は、第1マスト部分71aの内側から外側に延びる出力ケーブル80を介して図示しない制御部に送信される。出力ケーブル80が第1マスト部分71aを貫通する箇所には、シール部81が設けられており、伸縮マスト71内の圧縮空気が漏洩することを防止している。
次に、切断ユニット10を旋回(配管4の周方向に移動)させるための旋回駆動ユニット90について、図6を用いて説明する。上述した昇降駆動ユニット70は、この旋回駆動ユニット90上に取り付けられている。
図6に示すように、旋回駆動ユニット90は、昇降駆動ユニット70の伸縮マスト71を支持する旋回ベース91と、旋回ベース91を旋回させる旋回ベース駆動部92(例えば、旋回モータ)と、を有している。本実施の形態では、旋回ベース駆動部92は、旋回ベース91の下方に設けられたハウジング93に内蔵されている。旋回ベース駆動部92には、レゾルバ94が設けられており、レゾルバ94は、旋回ベース駆動部92の回転数を検出し、図示しない制御部によって旋回ベース駆動部92の旋回駆動が制御されるようになっている。旋回ベース駆動部92によってハウジング93に対して旋回ベース91が旋回されると、昇降駆動ユニット70、下部クランプユニット60、切断ユニット10および上部クランプユニット50が旋回し、切断ユニット10の切断工具22を、所望の位置に位置付けることが可能となる。なお、旋回ベース駆動部92は、ハウジング93の外部に設けられていてもよく、この場合には、図示しないギア機構を介して、旋回ベース91を旋回させるように構成することが好適である。
本実施の形態における切断加工装置100のその他の構成について図6を用いて説明する。
図6に示すように、上述した旋回駆動ユニット90は、固定ベース板101上に設けられている。この固定ベース板101は、図1に示す作業台車150上に固定される。
固定ベース板101は、支持部材102を介して転倒防止ガイド103を支持している。転倒防止ガイド103は、リング状に形成されており、昇降駆動ユニット70の伸縮マスト71の第1マスト部分71aの外周面に嵌合されている。このことにより、第1マスト部分71aが支持されて、切断加工装置100の転倒を防止している。なお、転倒防止ガイド103は、第1マスト部分71aが転倒防止ガイド103に対して旋回可能となるように第1マスト部分71aの外周面に嵌合されている。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用、すなわち、配管4の被切断部5を切断する切断加工方法について説明する。
まず、切断加工装置100が、切断対象となる配管4内に挿入される。この場合、まず、上部クランプユニット50、切断ユニット10、下部クランプユニット60、昇降駆動ユニット70および旋回駆動ユニット90が互いに連結され、上部クランプユニット50、切断ユニット10および下部クランプユニット60が配管4内に挿入される。その後、旋回駆動ユニット90が、作業台車150(図1参照)に固定された固定ベース板101に固定され、切断加工装置100が組み立てられる。
切断加工装置100が配管4内に挿入された後、上部クランプユニット50のクランプローラ52(図5(a)、(b)参照)が配管4の内面に押圧される。この場合、押圧駆動部53が駆動されて、ロッド53aが下方に移動し、クランプユニットリンク機構54によってクランプローラ52が半径方向外側に押し出されて、配管4の内面に押し付けられ、押圧状態となる。この際、ロッド53aと共に下方に移動したドグ59が第1リミットスイッチ57に対向する位置に位置付けられて第1リミットスイッチ57が切り替わり、押圧状態になったことが検出される。検出信号は、第1リミットスイッチ57から図示しない制御部に送信される。
次に、上部クランプユニット50、切断ユニット10および下部クランプユニット60が配管4内を上昇し、切断ユニット10の切断工具22が、配管4の被切断部5に垂直方向で位置合わせされる。この場合、エア注入弁74(図6参照)が開き、昇降駆動ユニット70の伸縮マスト71内に、圧縮空気ボンベ73から圧縮空気が注入される。このことにより、注入された圧縮空気の圧力を受けて伸縮マスト71が伸長して、上部クランプユニット50、切断ユニット10および下部クランプユニット60が上昇する。この際、上部クランプユニット50のクランプローラ52は、配管4の内面を転動する。なお、この際、クランプローラ52を配管4の内面で転動させない、すなわち、上部クランプユニット50を解放状態にしてもよい。また、この際、伸縮マスト71の第1マスト部分71a内に設けられたワイヤロール77からワイヤ78が繰り出され、ワイヤロール77の回転がレゾルバ79によって検出される。検出信号は、レゾルバ79から図示しない制御部に送信される。
続いて、上部クランプユニット50のクランプローラ52(図5参照)が配管4の内面から離される。この場合、押圧駆動部53が駆動されて、ロッド53aが上方に移動し、クランプユニットリンク機構54によってクランプローラ52が半径方向内側に引き戻されて、配管4の内面から離れ、解放状態となる。この際、ロッド53aと共に上方に移動したドグ59が第2リミットスイッチ58に対向する位置に位置付けられて第2リミットスイッチ58が切り替わり、解放状態になったことが検出される。検出信号は、第2リミットスイッチ58から図示しない制御部に送信される。
次いで、切断ユニット10が旋回され、切断ユニット10の切断工具22が、配管4の被切断部5に周方向で位置合わせされる。この場合、旋回駆動ユニット90の旋回ベース駆動部92(図6参照)が駆動されて、昇降駆動ユニット70、下部クランプユニット60、切断ユニット10および上部クランプユニット50が旋回する。この際、旋回ベース駆動部92に設けられたレゾルバ94によって旋回ベース駆動部92の回転数が検出されて、検出信号は、レゾルバ94から図示しない制御部に送信される。
その後、切断ユニット10が、配管4の内面に対して上部クランプユニット50および下部クランプユニット60により保持される。この場合、上述と同様にして、上部クランプユニット50のクランプローラ52(図5参照)が配管4の内面を押圧するとともに、下部クランプユニット60のクランプパッド61(図2参照)が配管4の内面を押圧する。この際、各クランプユニット50、60のリミットスイッチ57、58により押圧状態になったことが検出され、検出信号が、各リミットスイッチ57、58から図示しない制御部に送信される。
上部クランプユニット50および下部クランプユニット60により切断ユニット10が配管4の内面に対して保持された後、切断ユニット10の切断工具22による被切断部5の切断が行われる。
この場合、まず、切断ユニット10の切断本体部20(図2、図3参照)が、被切断部5に向けて移動する。すなわち、工具移動駆動機構30のネジ回転駆動部35が駆動され、右ネジボールネジ31および左ネジボールネジ33が上方から見て半時計方向(CCW)に回転し、右ネジボールナット32は下方に移動し、左ネジボールナット34は上方に移動する。右ネジボールナット32および左ネジボールナット34に、上部リンク機構40および下部リンク機構41を介して連結された切断本体部20が、切断工具22が被切断部5に達するまで被切断部5に向かう方向に移動する。この際、ネジ回転駆動部35に設けられたレゾルバ36によってネジ回転駆動部35の回転数が検出されて、検出信号は、レゾルバ36から図示しない制御部に送信される。
続いて、切断工具22が回転する。この場合、工具回転駆動部23が駆動され、工具回転駆動部23の回転駆動力が、かさ歯車機構24を介して切断工具22に伝達され、切断工具22が回転する。
次に、切断工具22を回転させながら、工具移動駆動機構30のネジ回転駆動部35を駆動させることにより切断工具22を更に半径方向外側に移動させて(切断工具22を送り)、切断工具22により配管4の被切断部5が切断加工される。切断工具22がホールソーにより構成されている場合、切り出されたサンプルは、ホールソーが保持することができる。
被切断部5の切断加工が終了すると、工具回転駆動部23の駆動を停止する。また、ネジ回転駆動部35の回転方向を逆転させ、右ネジボールネジ31および左ネジボールネジ33が上方から見て時計方向(CW)に回転する。これにより、右ネジボールナット32は上方に移動し、左ネジボールナット34は下方に移動し、切断本体部20が、切断工具22が配管4内(より具体的には、カバー内)に収容されるまで半径方向内側に移動し、被切断部5から離れる。
ここで、切断工具22が配管4の被切断部5に噛み込んで、切断工具22を被切断部5から離すことが困難になる場合が考えられ得る。この場合には、切断工具22を、ネジ回転駆動部35を駆動させて切断工具22に半径方向内側へ向く引張力を作用させながら、切断加工時とは反対方向に回転させることが有効となり得る。しかしながら、このことによっても切断工具22を被切断部5から離すことが困難である場合には、切断工具22を、切断工具22に半径方向内側へ向く引張力を作用させるとともに切断加工時とは反対方向に回転させながら、超音波振動子25を駆動して切断工具22を加振することが有効となり得る。このことにより、切断工具22に、微振動を与えることができ、噛み込んだ切断工具22を被切断部5から解放し、切断工具22を被切断部5から離すことが可能になる。
噛み込んだ切断工具22を加振して被切断部5から引き離した場合、切断工具22を含む切断本体部20は、被切断部5から半径方向内側に離れる方向に変位する。この変位量は、上部リンク機構40および下部リンク機構41で吸収される。すなわち、上述したように各リンク機構40、41の固定側リンク部材42と可動側リンク部材44は、互いに所定範囲摺動可能に連結されている。そして、切断工具22に半径方向内側への引張力を作用させている場合、図4(c)に示すように、各リンクの固定側ガイド部43の基端43bが、可動側ガイド部45の内側先端45bに当接している。このため、切断工具22が上述のように変位する際には、可動側ガイド部45が、対応するボールナットの側(図4(c)における左側)に移動することができ、切断工具22の変位量をリンクの長さを変えるようにして吸収することができる。このため、噛み込んだ切断工具22を引き離すことが可能となる。
切断工具22が配管4内に収容された後、下部クランプユニット60のクランプパッド61(図2参照)が配管4の内面から離れ、解放状態となる。この際、下部クランプユニット60の第2リミットスイッチ58(図5(b)参照)により解放状態になったことが検出され、検出信号が、当該第2リミットスイッチ58から図示しない制御部に送信される。
次に、上部クランプユニット50、切断ユニット10および下部クランプユニット60が配管4内を下降する。この場合、エア排出弁75(図6参照)が開き、伸縮マスト71内に注入されていた圧縮空気が排出される。このことにより、上部クランプユニット50、切断ユニット10および下部クランプユニット60の自重によって、伸縮マスト71が収縮し、上部クランプユニット50、切断ユニット10および下部クランプユニット60が下降する。この際、上部クランプユニット50のクランプローラ52は、配管4の内面を転動する。また、この際、繰り出されていたワイヤ78がワイヤロール77に巻き取られる。
次いで、上部クランプユニット50のクランプローラ52が配管4の内面から離れ、解放状態となる。この際、上部クランプユニット50の第2リミットスイッチ58により解放状態になったことが検出され、検出信号が、当該第2リミットスイッチ58から図示しない制御部に送信される。
その後、切断加工装置100が配管4から取り出される。切断工具22がホールソーにより構成されている場合には、切断加工装置100と共にホールソーが保持している切り出されたサンプルが配管4から取り出される。これにより、配管4の被切断部5の一連の切断加工が終了する。続けて他の配管4の被切断部5を切断する際には、作業台車150を移動させて、上述した手順により切断加工を行うことができる。
ところで、配管4が2重管構造になっている場合には、内側の配管4の被切断部5を切断加工した切断ユニット10を下降させてサンプルを取り出した後、切断工具22を交換して再度切断ユニット10を配管4内を上昇させ、内側の配管4の被切断部5に形成された開口部を介して、外側の配管4の被切断部5を切断加工するという手順が考えられる。この場合においても、内側の配管4の切断加工時における旋回駆動ユニット90のレゾルバ94から送信される検出信号によって被切断部5の周方向位置を把握することができ、内側の配管4の切断加工時における昇降駆動ユニット70のレゾルバ79から送信される検出信号によって被切断部5の高さ位置を把握することができる。このため、外側の配管4を切断加工する際に、切断工具22を、内側の配管4を切断加工した際の位置と同じ位置に、容易に位置付けることができる。この際、切断ユニット10の耐放射線カメラ14とミラー15とによって、切断工具22の位置決めの状況を確認することにより、微調整を行うことが可能となる。
このように本実施の形態によれば、配管4の被切断部5を切断加工する切断ユニット10、並びに切断ユニット10を配管4に対して保持する上部クランプユニット50および下部クランプユニット60を、配管4内を昇降させることができる。このことにより、配管4の内側から配管4の被切断部5に切断ユニット10の切断工具22をアクセスさせることができる。このため、切断対象となる配管4の周囲に多数の配管4が林立している場合であっても、切断対象の配管4の被切断部5を容易に切断加工することができる。
また、本実施の形態によれば、切断ユニット10を、切断ユニット10の上方に配置された上部クランプユニット50と、切断ユニット10の下方に配置された下部クランプユニット60とによって、配管4に対して保持することができる。このことにより、被切断部5から受ける反力に抗して、切断ユニット10を上下両側から効果的に保持することができる。このため、被切断部5を効率良く切断加工することができる。
また、本実施の形態によれば、切断工具22を含む切断本体部20を、水平方向に移動させることができる。このことにより、配管4内を昇降する際には、切断工具22を配管4の内面から引き離してスムースな昇降を可能にすると共に、配管4の被切断部5を切断加工する際には、切断工具22を被切断部5に向けて移動させることが可能となる。
また、本実施の形態によれば、筐体に、水平方向に延びる、切断本体部20の移動を案内するリニアガイドレール12が設けられている。このことにより、切断ユニット10を配管4内で昇降する際と、被切断部5を切断加工する際とで、リニアガイドレール12の位置が維持され、リニアガイドレール12を移動等させるための駆動部を不要とすることができ、構造を簡素化させることができる。
また、本実施の形態によれば、切断ユニット10は、切断工具22を加振する超音波振動子25を有している。このことにより、被切断部5に噛み込んだ切断工具22を加振することにより、切断工具22を被切断部5から解放させることができる。
また、本実施の形態によれば、切断ユニット10の工具移動駆動機構30は、リンク機構40、41を介して切断本体部20に連結され、リンク機構40、41は、互いに所定範囲摺動可能に連結された固定側リンク部材42と可動側リンク部材44とを含んでいる。このことにより、被切断部5に噛み込んで加振された切断工具22を被切断部5から離す場合の切断本体部20の変位量を、リンク機構40、41によって吸収することができる。このため、噛み込んで加振された切断工具22を被切断部5から容易に引き離すことができる。
また、本実施の形態によれば、垂直方向に延びる回転軸を有する工具回転駆動部23の回転駆動力が、かさ歯車機構24を介して、水平方向に延びる回転軸を有する切断工具22に伝達される。このことにより、配管4内の限られたスペースを有効に利用して工具回転駆動部23を配置することができ、スペース効率を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、切断工具22は、配管4の被切断部5を機械的に切断することができる。このことにより、レーザ加工などの熱的切断加工によって放射性ヒュームが発生することを防止できる。ここで、切断工具22がホールソーである場合には、被切断部5から切り出されたサンプルをホールソーが保持することができ、サンプルを容易に取り出すことが可能となる。
また、本実施の形態によれば、上部クランプユニット50のクランプローラ52および下部クランプユニット60のクランプパッド61は、対応する押圧駆動部53によって配管4の内面に押圧される。このことにより、上部クランプユニット50および下部クランプユニット60を、配管4に対して被切断部5から受ける反力に抗して保持することができる。また、上部クランプユニット50のクランプローラ52は、配管4の内面に対して転動可能になっている。このことにより、上部クランプユニット50を配管4内で昇降させる際には、クランプローラ52を配管4の内面に押圧させることにより、上部クランプユニット50を配管4の内面に沿って案内するとともに、スムースに昇降させることができる。
また、本実施の形態によれば、昇降駆動ユニット70は、圧縮空気の圧力を受けて配管4の軸方向に伸長可能な伸縮マスト71を有している。このことにより、伸縮マスト71内に圧縮空気を注入することにより、伸縮マスト71を伸長させることができ、上部クランプユニット50、切断ユニット10および下部クランプユニット60を上昇させることができる。また、この場合、昇降距離を大きくすることも可能となる。
さらに、本実施の形態によれば、切断ユニット10は、旋回駆動ユニット90により旋回される。このことにより、切断ユニット10を、被切断部5に配管4の周方向で位置合わせすることができる。
なお、上述した本実施の形態においては、昇降駆動ユニット70の伸縮マスト71内に圧縮空気が注入されて伸縮マスト71が伸長する例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、伸縮マスト71を伸長させるために伸縮マスト71内には、空気以外の気体、若しくは液体が供給されるようにしてもよい。また、伸縮マスト71は、チェーンなどで駆動される機械駆動式の伸縮マスト71であってもよい。
また、上述した本実施の形態においては、旋回駆動ユニット90の旋回ベース91が、旋回モータ等の旋回ベース駆動部92によって旋回する例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、旋回ベース91は、手動で旋回させるようにしてもよい。
(第2の実施の形態)
次に、図7乃至図10を用いて、第2の実施の形態における切断加工装置および切断加工方法について説明する。
図7乃至図10に示す第2の実施の形態においては、配管内を昇降する際には配管の軸方向に沿うように配置されるリニアガイドレールが設けられた展開機構の旋回アームを旋回させることによって、切断加工時に切断工具が配管の外側に位置付けられる点が主に異なり、他の構成は、図1乃至図6に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図7乃至図10において、図1乃至図6に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施の形態においては、図7に示すように、配管4に配管開口部6が設けられ、この配管開口部6を介して、配管構造物1の一部である円筒壁2が切断対象となる例について説明する。
図7に示すように、切断ユニット10は、切断本体部20のうちの少なくとも切断工具22を配管4の外側に位置付ける展開機構200を有している。工具移動駆動機構30は、配管4の外側に位置付けられた切断工具22を被切断部5に向う方向(より具体的には、水平方向)に移動させるようになっている。
展開機構200は、切断ユニット筐体11に対して旋回可能に設けられた旋回アーム301を含んでいる。旋回アーム301には、リニアガイドレール12が取り付けられている。旋回アーム301は、垂直方向に沿うように配置されて配管4内に切断本体部20を収容する位置(収容位置、図7の実線参照)と、水平方向に沿うように配置されて切断本体部20のうちの少なくとも切断工具22を配管4の外側に位置付ける位置(加工位置、図7の二点鎖線参照)と、の間で旋回可能になっている。すなわち、収容位置に位置付けられている場合には、旋回アーム301は切断ユニット筐体11に沿ってかつ近接して配置され、リニアガイドレール12が垂直方向に沿うように配置される。加工位置に位置付けられている場合には、旋回アーム301は切断ユニット筐体11に対して直交する方向に沿うように配置されて、切断ユニット筐体11から展開される。この場合、ガイドレール12は水平方向に沿うように配置される。なお、旋回アーム301が加工位置に位置付けられた場合、旋回アーム301は、配管開口部6を通って配管4の外側に延びる。言い換えると、配管開口部6は、旋回アーム301、切断本体部20および工具移動駆動機構30が旋回時に通過可能となるように形成されている。
切断ユニット筐体11には、旋回アーム駆動部202(例えば、エアモータ)が設けられている。この旋回アーム駆動部202によって、旋回アーム301が旋回するように構成されている。
本実施の形態では、切断本体部20の切断工具22および工具回転駆動部23は、いずれも、旋回アーム301に沿って延びる回転軸を有している。そして、切断工具22と工具回転駆動部23は、同軸上で連結されており、切断本体部20の構成が簡素化されている。
工具移動駆動機構30は、旋回アーム301に回転可能に設けられた、旋回アーム301に沿って延びるボールネジ210と、ボールネジ210に螺合したボールナット211と、を有している。ボールネジ210の一端にネジ回転駆動部35が連結されている。このネジ回転駆動部35を駆動することにより、ボールネジ210が回転する。ボールナット211は、ブラケット21に固定されている。このように、本実施の形態における工具移動駆動機構30の構成は、簡素化されている。
旋回アーム301が収容位置に位置付けられている場合では、切断工具22は、ブラケット21より下方に配置されており、ブラケット21の上部にボールナット211が固定され、このボールナット211の上方にネジ回転駆動部35が配置されている。
上部クランプユニット50、切断ユニット10および下部クランプユニット60を配管4内で昇降させる際には、旋回アーム301は収容位置に位置付けられて、切断本体部20が配管4内に収容される。このことにより、各ユニット10、50、60をスムースに昇降させることができる。
円筒壁2の被切断部5を切断加工する際には、まず、旋回アーム駆動部202が駆動されて、旋回アーム301が加工位置に位置付けられる。この際、旋回アーム301は、切断本体部20とともに、配管開口部6を通って加工位置まで旋回する。これにより、切断本体部20のうちの少なくとも切断工具22が、配管4の外側に位置付けられる。図7では、切断本体部20および工具移動駆動機構30が配管4の外側に位置付けられている例を示している。
続いて、工具移動駆動機構30のネジ回転駆動部35が駆動されてボールネジ210が回転し、ボールナット211に固定されたブラケット21が、工具回転駆動部23および切断工具22とともに、切断工具22が被切断部5に達するまで被切断部5に向う方向(図7の右方向)に移動する。
次に、切断工具22が回転する。この場合、工具回転駆動部23が駆動され、工具回転駆動部23の回転駆動力が切断工具22に直接的に伝達され、切断工具22が回転する。
次に、切断工具22を回転させながら、ネジ回転駆動部35を駆動させることにより切断工具22を更に半径方向外側に移動させて(切断工具22を送り)、切断工具22により円筒壁2の被切断部5が切断加工される。
被切断部5の切断加工が終了すると、工具回転駆動部23の駆動を停止する。また、ネジ回転駆動部35の回転方向を逆転させ、ボールナット211に固定されたブラケット21が、工具回転駆動部23および切断工具22とともに、被切断部5から半径方向内側に離れる方向(図7の左方向)に移動する。
その後、旋回アーム駆動部202が駆動されて、旋回アーム301が収容位置に位置付けられる。これにより、旋回アーム301とともに切断本体部20および工具移動駆動機構30が配管4内に収容される。このようにして、切断ユニット10が配管4内を昇降可能になる。
このように本実施の形態によれば、切断本体部20のうちの少なくとも切断工具22を、展開機構200によって、配管4の外側に位置付けることができる。このため、配管4の外側に存在する配管構造物1の一部である円筒壁2を切断加工して、サンプルを取り出すことができる。
また、本実施の形態によれば、配管4内を昇降する際には、リニアガイドレール13が設けられた展開機構200の旋回アーム301を収容位置に位置付けることができ、円筒壁2の被切断部5を加工する際には、旋回アーム301を収容位置から旋回させて加工位置に位置付けて、切断工具22を配管4の外側に位置付けることができる。このことにより、配管4内をスムースに昇降することができると共に、配管4の外側に存在する円筒壁2の被切断部5を切断加工することができる。また、切断対象となる円筒壁2が配管4から遠い位置に存在する場合であっても、旋回アーム301の長さや、工具移動駆動機構30による切断本体部20の送り可能距離を調整することにより、円筒壁2の被切断部5を容易に切断加工することができる。
ここで、上述した配管4の配管開口部6を形成する方法について説明する。
配管開口部6の形状は、上述したように、切断本体部20と旋回アーム301が旋回時に通過可能であれば特に限られることはないが、ここでは、図8に示すように配管開口部6の形状が矩形状である場合を例にとって説明する。この場合には、水平方向に沿う一対の水平辺6aと、垂直方向に沿う一対の垂直辺6bとを別々に切断加工することにより、配管開口部6を形成することができる。このうち水平辺6aは、例えば図9に示す切断本体部20を用いることにより形成することができ、垂直辺6bは、例えば図10に示す切断本体部20を用いることにより形成することができる。
図9に示す切断本体部20は、水平方向に延びるリニアガイドレール12上を摺動可能なリニアガイドブロック13に、工具回転駆動部23が固定され、工具回転駆動部23の垂直方向に延びる回転軸に、ディスクカッター220(例えば、ディスクソー)が直接的に連結されている。ディスクカッター220は、工具回転駆動部23の上方において水平方向に沿って配置される。このような構成により、工具回転駆動部23を駆動させてディスクカッター220を回転させると、配管4に水平方向に沿う切り込みを形成することができる。一の切り込みを形成した後、切断ユニット10を上昇(または下降)させ、再度切断加工を行うことにより、水平方向に沿う一対の切り込み、すなわち配管開口部6の一対の水平辺6aを形成することができる。
図10に示す切断本体部20は、水平方向に延びるリニアガイドレール12上を摺動可能なリニアガイドブロック13に、工具回転駆動部23が固定され、工具回転駆動部23の垂直方向に延びる回転軸に、かさ歯車機構221を介してディスクカッター220が連結されている。図10に示すディスクカッター220の回転軸は水平方向(図10に示す紙面に垂直な方向)に延びている。このような構成により、工具回転駆動部23を駆動させてディスクカッター220を回転させると、配管4に垂直方向に沿う切り込みを形成することができる。一の切り込みを形成した後、切断ユニット10を旋回させ、再度切断加工を行うことにより、垂直方向に沿う一対の切り込み、すなわち配管開口部6の一対の垂直辺6bを形成することができる。
このようにして、水平方向に沿う一対の切り込みと、垂直方向に沿う一対の切り込みとが形成され、図8に示す配管開口部6を形成することができる。
(第3の実施の形態)
次に、図11を用いて、第3の実施の形態における切断加工装置および切断加工方法について説明する。
図11に示す第3の実施の形態においては、配管内を昇降する際には配管の軸方向に沿うように配置されるリニアガイドレールが設けられた展開機構の展開ベースを平行移動させることによって、切断加工時に切断工具が配管の外側に位置付けられる点が主に異なり、他の構成は、図7乃至図10に示す第2の実施の形態と略同一である。なお、図11において、図7乃至図10に示す第2の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施の形態においては、図11に示すように、配管4に配管開口部6が設けられ、この配管開口部6を介して、配管構造物1の一部である多孔円板3が切断対象となる例について説明する。
図11に示すように、切断加工ユニットは、切断本体部20のうちの少なくとも切断工具22を配管4の外側に位置付ける展開機構を有している。工具移動駆動機構30は、配管4の外側に位置付けられた切断工具22を、垂直方向(配管4の軸方向)に移動させるようになっている。
展開機構300は、切断ユニット筐体11に対して平行移動可能に設けられた展開ベース301を有している。展開ベース301には、リニアガイドレール12が取り付けられている。展開ベース301は、垂直方向に沿うように配置されて配管4内に切断本体部20を収容する位置(収容位置、図11の実線参照)と、垂直方向に沿うように配置されて切断本体部20のうちの少なくとも切断工具22を配管4の外側に位置付ける位置(加工位置、図11の破線参照)と、の間で平行移動可能になっている。すなわち、収容位置に位置付けられている場合には、展開ベース301は切断ユニット筐体11に近接して配置され、リニアガイドレール12が垂直方向に沿うように配置される。加工位置に位置付けられている場合には、展開ベース301は切断ユニット筐体11から離れて配置されて、切断ユニット筐体11から展開される。この場合、ガイドレール12は垂直方向に沿うように配置される。なお、展開ベース301が加工位置に位置付けられた場合、切断本体部20および工具移動駆動機構30は、配管開口部6を通って配管4の外側に位置付けられる。言い換えると、配管開口部6は、切断本体部20および工具移動駆動機構30が通過可能となるように形成されている。本実施の形態では、加工位置に位置付けられた展開ベース301が配管4内に位置付けられる例について説明しているが、これに限られることはなく、加工位置に位置付けられた展開ベース301は、配管4の外側に位置付けられるようにしてもよい。
切断ユニット筐体11には、筐体側ベース302が固定されている。展開ベース301と筐体側ベース302とは、2つのリンク部材303によって連結されている。すなわち、各リンク部材303の一端部が、展開ベース301に枢動可能に連結され、他端部が、筐体側ベース302に枢動可能に連結されている。これら2つのリンク部材303と、展開ベース301と筐体側ベース302とが、平行四節リンク機構を構成している。また、展開ベース301筐体側ベース302とは、展開ベース駆動部304(例えば、エアシリンダ)によって連結されている。この展開ベース駆動部304によって、展開ベース301が平行移動するように構成されている。
本実施の形態においては、リニアガイドレール12は、展開ベース301上に設けられて、垂直方向に沿うように形成されている。また、切断工具22は、ブラケット21よりも上方に配置されており、ブラケット21の下部にボールナット211が固定され、このボールナット211の下方にネジ回転駆動部35が配置されている。
上部クランプユニット50、切断ユニット10および下部クランプユニット60を配管4内で昇降させる際には、展開ベース301は収容位置に位置付けられて、切断本体部20が配管4内に収容される。このことにより、各ユニット10、50、60をスムースに昇降させることができる。
多孔円板3の被切断部5を切断加工する際には、まず、展開ベース駆動部304が駆動されて、展開ベース301が加工位置に位置付けられる。この際、展開ベース301は、平行四節リンク機構を構成する2つのリンク部材303によって、垂直方向に沿った状態のまま斜め上方(図11に示す右上方向)に平行移動する。これにより、切断本体部20のうちの少なくとも切断工具22が、配管4の外側に位置付けられる。図11では、切断本体部20および工具移動駆動機構30が配管4の外側に位置付けられている例を示している。
続いて、工具移動駆動機構30のネジ回転駆動部35が駆動されてボールネジ210が回転し、ボールナット211に固定されたブラケット21が、工具回転駆動部23および切断工具22とともに、切断工具22が被切断部5に達するまで被切断部5に向う方向(図11の上方向)に移動する。
次に、切断工具22が回転する。この場合、工具回転駆動部23が駆動され、工具回転駆動部23の回転駆動力が切断工具22に直接的に伝達され、切断工具22が回転する。
次に、切断工具22を回転させながら、ネジ回転駆動部35を駆動させることにより切断工具22を更に上方に移動させて(切断工具22を送り)、切断工具22により多孔円板3の被切断部5が切断加工される。
被切断部5の切断加工が終了すると、工具回転駆動部23の駆動を停止する。また、ネジ回転駆動部35の回転方向を逆転させ、ボールナット211に固定されたブラケット21が、工具回転駆動部23および切断工具22とともに、被切断部5から離れる方向(図11の下方)に移動する。
その後、展開ベース駆動部304が駆動されて、展開ベース301が収容位置に位置付けられる。これにより、展開ベース301とともに切断本体部20および工具移動駆動機構30が配管4内に収容される。このようにして、切断ユニット10が配管4内を昇降可能になる。
このように本実施の形態によれば、切断本体部20のうちの少なくとも切断工具22を、展開機構300によって、配管4の外側に位置付けることができる。このため、配管4の外側に存在する配管構造物1の一部である多孔円板3を切断加工して、サンプルを取り出すことができる。
また、本実施の形態によれば、配管4内を昇降する際には、リニアガイドレール12が設けられた展開機構300の展開ベース301を収容位置に位置付けることができ、多孔円板3の被切断部5を加工する際には、展開ベース301を収容位置から平行移動させて加工位置に位置付けて、切断工具22を配管4の外側に位置付けることができる。このことにより、配管4内をスムースに昇降することができると共に、配管4の外側に存在する多孔円板3の被切断部5を切断することができる。
以上述べた各実施形態によれば、配管4の内側からアクセスして、配管4を含む配管構造物1の被切断部5を効率良く切断加工することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、当然のことながら、本発明の要旨の範囲内で、これらの実施の形態を、部分的に適宜組み合わせることも可能である。