JP5215063B2 - 円管切断用工具 - Google Patents
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Description
特許文献1に開示された発明は、円管の開口部近傍に固定される固定部と、軸線を円管の軸線に一致させた状態で固定部から円管の内側前方に延在する軸部と、円管を切断するカッターと、軸部の軸線方向におけるカッターの位置を保持しながらカッターを軸部の径方向に移動させて円管の内周側に押圧させるカッター押圧部と、固定部から軸部に回転駆動力を伝達してカッター及びカッター押圧を軸部の軸線周りに回転させるアクチュエータとを備えるものである。
上記構造の「管切断装置」においては、円管を内側から容易に、かつ、適格に切断することができる。また、メンテナンス性や作業性を高めることが可能である。
特許文献2に開示された発明は、円筒状をなす鋼管類の内壁部を押圧する油圧駆動式クランプ部材と、その内壁部に向けて突出するように本体ケーシングの先端部に設けられる油圧駆動式切断刃と、油圧駆動式切断刃を保持する油圧駆動式回転ケーシングとからなる切断処理部と、切断処理部に油圧を供給するとともに切断刃の駆動部に対する油圧を監視する圧力検出手段を有する油圧駆動部とを備えるものである。
上記構造の「鋼管類切断装置」によれば、切断作業箇所における鋼管類の切断状況を正確に把握することが可能である。また、切断刃を保護できるとともに、作業性及び安全性を向上させることができる。
特許文献3に開示された考案は、管切断用の刃物と、この刃物を回動自在に保持するカッタホルダと、このカッタホルダと傾斜部を介して摺動するスライドブロックと、このスライドブロックに連結されたピストンを有する油圧シリンダと、反力用ローラとを備えるものである。
上記構造の「小口径管切断装置」においては、切断機ヘッド部を構成する各部材が円管の軸方向に配設されているため、円管が小口径であっても内部に挿入することができる。さらに、2つの刃物を油圧シリンダによって対向する向きに同期して動作させる構成となっているため、刃物を管壁に対して強い力で押しつけることができる。また、刃物が厚肉の管の内壁に噛み込んだ場合には、刃物を管壁から強制的に後退させることが可能である。従って、管壁への刃物の噛み込みに伴う切断機ヘッド部の故障を防止することができる。
このような構造の円管切断用工具においては、ストッパの爪部をシャフトのネジ山に係合させた状態でグリップを回動させることにより、切刃支持部とローラ支持部の互いの距離が変化して、切刃とローラによって形成される外接円の直径が変化するという作用を有する。また、円管を切断する際、ローラ支持部はシャフトの回動中心を挟んで切刃と対称に配置されるローラを円管の内周面に対して押し付けることで、内周面に対する切刃の接触圧力の低下を防ぐという作用を有する。
このような構造の円管切断用工具においては、ストッパの爪部とシャフトのネジ山との係合を解除した場合、弾性部材に付勢されたスライダがシャフトの回動中心に沿って前進又は後退するという作用を有する。
このような構造の円管切断用工具においては、補助ストッパがストッパと同様に機能し、補助グリップがグリップと同様に機能する。また、補助スライダがスライダに装着された状態において、補助シャフトがシャフトと一体的に回動するという作用を有する。
このような構造の円管切断用工具においては、補助スライダガイド手段によってシャフトの回動中心及び補助シャフトの回動中心が円管の円筒軸に正確に一致するという作用を有する。
このような構造の円管切断用工具においては、スライダ及びシャフト支持部が同時にスライダ保持具によって保持されるという作用を有する。
図1(a)及び(b)は本発明の実施の形態に係る円管切断用工具の実施例1の正面図及び右側面の拡大図であり、図2(a)及び(b)はそれぞれ実施例1の円管切断用工具の平面図及び底面図である。また、図3(a)及び(b)は実施例1の円管切断用工具においてシャフト支持部の前部を円管の内部に挿入した場合のシャフトの回動中心を通るX−Z平面による断面図である。なお、本明細書では、シャフトの回動中心をX軸にとり、その正の向き及び負の向きをそれぞれ前方及び後方といい、Z軸の正の向き及び負の向きをそれぞれ上方及び下方というものとする。
本実施例の円管切断用工具1aは、シャフト支持部2の前部を円管の内部に挿入配置した後、円管の内周面に当接させた切刃3を手動でシャフト支持部2ごと回動させることによって円管を内側から切断するものである。
また、シャフト支持部2に外挿される略角筒状のスライダ6は、X軸方向にのみ移動可能となっている。さらに、スライダ6は、その前方に位置するシャフト支持部2の下面との間を連結する引張バネ7,7によって前方に付勢されている。また、スライダ6の上面にX軸方向に沿うように穿設された長い角孔6aの内部には、ストッパ8がY軸に平行な枢軸9aを中心として回動自在に設置されている。ストッパ8の下端はスライダ6の内部に突出しており、シャフト4のネジ山に係合可能な爪部8a(図3参照)が形成されている。また、ストッパ8の上端は、スライダ6の外部に突出しており、この上端近傍には圧縮バネ11(図3参照)が取り付けられている。この圧縮バネ11によってストッパ8が矢印A(図3参照)の向きに付勢され、爪部8aはシャフト4のネジ山に係合する。
略円板状をなす切刃3は、シャフト4の回動中心4bに対して平行に枢軸9bを介して切刃支持部12に枢設されている。また、略円柱状をなす一対のローラ15,15はシャフト4の回動中心4bに対して平行に枢軸9c、9cを介してローラ支持部13にそれぞれ枢設されている。
図3(a)に示すように、まず、切断しようとする円管17の内径よりも前述の外接円16(図1(b)参照)の直径が小さくなるように、スライダ6のX軸方向の位置を予め調節し、円管切断用工具1aの前部を円管17の内部に挿入する。次に、ストッパ8の上端をX軸の正方向に押し、爪部8aとシャフト4のネジ山との係合を解除する。これにより、スライダ6が引張バネ7に付勢されて前進するため、リンク部材14a,14bは矢印Bの向きに回動し、切刃支持部12及びローラ支持部13はZ軸方向に互いに離れるように移動する。その結果、図3(b)に示すように、切刃3とローラ15,15は円管17の内周面17aに当接する。このとき、シャフト4の回動中心4bは円管17の中心軸に一致する。すなわち、本実施例の円管切断用工具1aにおいては、その前部を円管17の内部に挿入した後、シャフト4を回動させる場合に比べて短時間で切刃3とローラ15,15を内周面17aに当接させることが可能である。
円管17の切断作業が完了した後は、ストッパ8の爪部8aをシャフト4のネジ山に係合させた状態でグリップ5を所定の方向に回動させることにより、切刃3とローラ15,15を内周面17aから離脱させて、円管17の内部から円管切断用工具1aを容易に取り出すことができる。なお、グリップ5を回動させる代わりに、ストッパ8の上端をX軸の正方向に押して爪部8aとシャフト4のネジ山との係合を解除した上で、スライダ6をシャフト支持部2に関して相対的に後退させても良い。この方法によれば、シャフト4を回動させる方法に比べてより短時間で切刃3とローラ15,15を内周面17aから離脱させることができる。
なお、切刃3は略円板状に限定するものではないが、スライダ6を保持してシャフト支持部2をシャフト4の回動中心4bを中心として回動させて円管17の内周面17aを切刃3によって切断するため、内周面17aとの摩擦を低く維持するとともに長寿命を達成するためには回転可能な円板状であることが望ましい。
図4(a)乃至(c)はそれぞれ回動補助手段の正面図、平面図及び左側面図であり、(d)は回動補助手段が装着された状態を示す実施例1の円管切断用工具の外観図である。なお、図1乃至図3に示した構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
図4(a)乃至(d)に示すように、回動補助手段20は、一端にスライダ6を回動不能に保持する挿着孔18aが形成され、他端にハンドル取付部18bが設けられた略角筒状のスライダ保持具18と、ハンドル取付部18bに設置される棒状のハンドル19とから構成される。そして、挿着孔18aの一部にはスライダ6を挿嵌した際にストッパ8と干渉しないように凹部18cが形成されている。
円管切断用工具1aに回動補助手段20を装着した場合、図4(d)に示すように、スライダ6はリンク部材14bの動作が阻害されないように枢軸10e,10fの設置箇所を残してグリップ5とともに、挿着孔18aに挿嵌される。
このような構造の回動補助手段20においては、スライダ保持具18によってスライダ6とシャフト支持部2が同時に保持されるという作用を有する。従って、図4(d)に示した状態において、ハンドル19の両端付近を握って回転させることによれば、シャフト4の回動中心4bの回りにシャフト支持部2及びスライダ6を一体として容易に回動させることができる。
なお、ハンドル19の形状は棒状に限定するものではなく、リング状や矩形状であってもよい。
図5(a)乃至(c)はそれぞれ本発明の実施の形態に係る円管切断用工具の実施例2の補助シャフト接続手段の正面図、平面図及び左側面図であり、(d)は同図(b)におけるG−G線矢視断面図である。図6(a)は実施例2の円管切断用工具の正面図であり、(b)は補助シャフト接続手段を装着しない場合のスライダとその近傍を示す円管切断用工具の部分正面図であり、(c)は同図(a)におけるH−H線矢視断面図であり、(d)は同図(c)の部分拡大図である。図7は図6(a)においてシャフトの回動中心を通るX−Z平面による断面図である。また、図8(a)及び(b)はそれぞれ補助スライダガイド手段の正面図及び側面図である。さらに、図9(a)は補助スライダガイド手段が装着された状態を示す実施例2の円管切断用工具の外観図であり、(b)及び(c)は同図(a)の円管切断用工具においてシャフト支持部の前部を円管の内部に挿入した状態を示している。なお、図9(b)及び(c)では、円管のみを断面図で示している。また、図1乃至図4に示した構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例の円管切断用工具1bは、実施例1の円管切断用工具1aにおいて、スライダ6に抜け防止具27が設置されるとともに、補助シャフト接続手段26及び補助スライダガイド手段29を備えたことを特徴とする。
図5乃至図7に示すように、補助シャフト接続手段26は、シャフト4と同一径及び同一ピッチのネジ山を有し、前端21aが六角穴付ボルト5aを介してシャフト4の後端に挿脱自在に連結される補助シャフト21と、上面が開放された縦長の箱型状をなし、補助シャフト21を内部に収容するとともに前面22a及び後面22bによって回動自在に支持する補助シャフト支持部22と、補助シャフト支持部22に進退可能に外挿されるとともに補助シャフト支持部22の前方にスライダ6及びグリップ5の挿嵌孔23aが設けられた略角筒状の補助スライダ23と、補助シャフト支持部22の後面22bから後方に突出する補助シャフト21の後端21bにネジ25aを用いて締結される補助グリップ25とを備えている。すなわち、補助グリップ25を回動させると、補助シャフト支持部22の内部で補助シャフト21が回動する。また、スライダ6に補助スライダ23を装着した場合、補助シャフト21の回動中心21cとシャフト4の回動中心4bは一致する構成となっている(図7参照)。なお、略円柱状の補助グリップ25の外周面には、手で握った際に滑り止めとなるように小さな凹凸(図示せず)が形成されている。
また、補助スライダ23の上面にX軸方向に沿うように穿設された長い角孔23dの内部には、補助ストッパ24がY軸に平行な枢軸9dを中心として回動自在に設置されている。補助ストッパ24の下端は補助スライダ23の内部に突出しており、補助シャフト21のネジ山に係合可能な補助爪部24aが形成されている。また、補助ストッパ24の上端は、補助スライダ23の外部に突出しており、この上端近傍には圧縮バネ28が取り付けられている。すなわち、補助ストッパ24は補助爪部24aが補助シャフト21のネジ山に係合するように圧縮バネ28によって矢印Aの向きに付勢されている。さらに、補助スライダ23の側面には、抜け防止具27を係着可能に貫通孔23bが挿嵌孔23aに連通して設けられている。そして、挿嵌孔23aの一部には、ストッパ8の上端をX軸の正方向に押して爪部8aとシャフト4のネジ山との係合を解除しつつスライダ6を挿嵌可能に凹部23cが形成されている。
抜け防止具27はスライダ6の側面に形成された凹部6bと、スライダ6の開口部6cから出没自在に凹部6b内に設置される凸状体27aと、同じく凹部6内に設置されて凸状体27aを開口部6cから突出可能に付勢する圧縮バネ27bとから構成される(図6(b)乃至(d)参照)。なお、開口部6cは凸状体27aよりも小さく形成されているため、凸状体27aが凹部6内から飛び出すおそれはない。また、図6(c)及び(d)に示した状態は、例えば、凸状体27a及び圧縮バネ27bを凹部6b内に設置した後、開口部6cが設けられた板状の別部材を凹部6bの開口端に取り付けることによって、容易に実現することができる。
補助シャフト接続手段26を備えた円管切断用工具1bにおいては、図6(a)に示すように、スライダ6はリンク部材14bの動作が阻害されないように枢軸10e,10fの設置箇所を残してグリップ5とともに、挿嵌孔23aに挿嵌される。このとき、抜け防止具27の凸状体27aが補助スライダ23の貫通孔23bに係止するため、スライダ6は補助スライダ23に固定される。
図9(a)に示すように、補助スライダガイド手段29が補助スライダ23に装着された円管切断用工具1bにおいて、ネジ35を用いて取付具30aのみを補助スライダ23に固定する。次に、内周面17aの切断箇所に切刃3が当接可能な位置に達するまで、円管切断用工具1bの前部を円管17の内部に挿入する。次に、補助ストッパ24の上端をX軸の正方向に押し、補助爪部24aと補助シャフト21のネジ山との係合を解除する。これにより、補助スライダ23が引張バネ7に付勢されるスライダ6と一体となって前進するため、切刃支持部12及びローラ支持部13はZ軸方向に互いに離れるように移動し、図9(b)に示すように、切刃3とローラ15,15は円管17の内周面17aに当接する。この状態で、取付具30bを補助スライダ23に沿って前進させ、4個のガイドローラ32を円管17の内周面17aに当接させる。その後、ネジ35を用いて取付具30bを補助スライダ23に固定する。その結果、図9(c)に示すように、円管切断用工具1bは切刃3及びローラ15,15及び4個のガイドローラ32によって、円管17の内周面17aに対してY−Z平面内の位置が固定される。すなわち、補助スライダガイド手段29は、シャフト4の回動中心4b及び補助シャフト21の回動中心21cを円管17の円筒軸に正確に一致させるという作用を有する。この場合、切刃3は内周面17aに対して常に直角に当接することになる。従って、円管17を円筒軸に垂直な方向に正確に切断することができる。なお、実施例1で説明した回動補助手段20は、スライダ6の代わりに補助スライダ23を挿嵌可能にスライダ保持具18を形成することによれば、本実施例の円管切断用工具1bにおいても同様に使用することができる。
Claims (5)
- ネジ山を有するシャフトと、このシャフトを回動自在に支持するシャフト支持部と、このシャフト支持部の後半部に進退可能に外挿されるスライダと、前記ネジ山に係合可能な爪部が形成されたストッパと、前記シャフト支持部から後方に突出する前記シャフトの端部に設置されるグリップと、前記スライダの前方に前記シャフト支持部を挟んで対称に配置される切刃支持部及びローラ支持部と、このローラ支持部によって前記シャフトの回動中心に対して平行に軸支されるローラと、前記切刃支持部によって前記シャフトの回動中心に対して平行に中央部を軸支される切刃と、先端部が前記切刃支持部又は前記ローラ支持部の前部にそれぞれ枢設されるとともに基端部が前記シャフト支持部に枢設される一対の第一のリンク部材と、先端部が前記切刃支持部又は前記ローラ支持部の後部にそれぞれ枢設されるとともに基端部が前記スライダに枢設される一対の第二のリンク部材とを備え、前記ストッパは前記ネジ山に対して前記爪部を係合自在に前記スライダに取り付けられることを特徴とする円管切断用工具。
- 前記スライダは、前記シャフト支持部との間を連結する弾性部材によって前記シャフトの回動中心に沿って付勢されることを特徴とする請求項1記載の円管切断用工具。
- 前記シャフトと同一径及び同一ピッチのネジ山を有し、その前端が前記シャフトの後端に挿脱自在に連結される補助シャフトと、この補助シャフトを回動自在に支持する補助シャフト支持部と、この補助シャフト支持部に進退可能に外挿されるとともに前記補助シャフト支持部の前方に前記スライダ及び前記グリップの挿嵌孔が設けられた補助スライダと、この補助スライダの側面に前記挿嵌孔に連通して設けられる貫通孔と、前記補助シャフトのネジ山に係合可能な補助爪部が形成されるとともに前記補助シャフトのネジ山に対して前記補助爪部を係合自在に前記補助スライダに取り付けられる補助ストッパと、前記補助シャフト支持部から後方に突出する前記補助シャフトの後端部に取り付けられる補助グリップとからなる補助シャフト接続手段を備え、前記スライダは前記補助スライダの前記貫通孔に係着する抜け防止具を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の円管切断用工具。
- 互いに所定の間隔をあけて前記補助スライダに対して着脱自在に取り付けられる一対の取付具と、この一対の取付具の間にあって、かつ、前記補助スライダを挟んで対称に配置される一対のガイドローラ支持部と、このガイドローラ支持部によって前記補助シャフトの回動中心に対して平行に軸支されるガイドローラと、先端部が前記ガイドローラ支持部の一端に枢設されるとともに基端部が前記取付具にそれぞれ枢設される4本のガイドリンク部材とを備えた補助スライダガイド手段を有することを特徴とする請求項3に記載の円管切断用工具。
- 一端に前記スライダを回動不能に保持する挿着孔が形成され、他端にハンドル取付部が設けられたスライダ保持具と、前記ハンドル取付部に設置されるハンドルとからなる回動補助手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の円管切断用工具。
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