JP6351493B2 - 積層シートおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、不織布とフィルムとを含む積層シートであって、不織布の縦方向および横方向をそれぞれ積層シートの縦方向および横方向としたときに、縦方向の機械的物性と横方向の機械的物性の差がより小さい積層シートに関する。
不織布とフィルムを貼り合わせた積層シート(以下、単に「積層シート」ともいう)は、様々な分野で使用されており、特定の用途のための積層シートも提案されている(例えば特許文献1〜4)。
特開2008−167711号公報 特開2010−75683号公報 特表2001−500437号公報 特開2003−39612号公報
積層シートに対して要求される特性の一つとして、方向により機械的物性が大きく異ならないことが挙げられる。しかし、不織布は、その製造方法等に起因して、縦方向(機械方向、MD方向ともいう)の機械的物性と、横方向(幅方向、CD方向ともいう)の機械的物性が一般に異なりやすい。そのため、フィルムの機械的物性が等方的であっても、積層シート全体としては機械的物性が異方性を有することとなり、そのことが用途によっては望ましくないこともある。積層シートの異方性は、不織布がカードウェブから作製した不織布である場合に顕著であり、特に延性において現れやすい。延性とは、引っ張られたときの伸びやすさをいい、伸長性ともいう。カードウェブを用いると、一般に縦方向の延性がより低く、横方向の延性がより高い不織布が得られる。そのような延性の異方性は、曲げたり伸ばしたりする箇所に当てて使用する用途への積層シートの適用を制限する。
積層シートはまた、いずれか一方の面に粘着剤層を設け、人体または物に貼付して用いられることもある。不織布を含む積層シートは、使い捨てのものとして提供されることが多く、その場合には使用済みの積層シートを取り外して、新たな積層シートを取り付けるが、積層シートを取り外す際に、粘着剤層と不織布またはフィルムとの間で剥離が生じ、粘着剤層のみが対象物に残ることがあり、その結果、粘着剤層のみを取り外すという煩わしい作業が生じることがある。そのような煩雑な作業を無くすために、粘着剤層を設ける場合には良好な剥離性、すなわち、使用中には剥がれにくく、使用後は特別な処置をすることなく対象面(適用面)から容易に剥離・除去できるだけでなく、積層シートを除去した後、使用した面に接着剤層が残らないこともまた積層シートに求められる。
本発明者らは、積層シートの機械的物性、特に延性の異方性を小さくすること、および積層シートが粘着剤層を有する構成のものである場合に剥離性を良好にすることを目的として、不織布/フィルムの積層シートの構成を鋭意検討した。その結果、熱収縮性繊維が熱収縮した状態で含まれる不織布とフィルムとを部分的に接着することにより、機械的物性の異方性が緩和された積層シートが得られること、および接着剤層を含む場合には積層シートの剥離性が良好となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、不織布とフィルムとを含む積層シートであって、
前記不織布は、温度130℃、時間15分間、初荷重0.018mN/dtex(2mg/d)で測定される乾熱収縮率が30%以上である熱収縮性繊維を熱収縮させてなる繊維を含み、
前記不織布と前記フィルムとは、部分的に接着されて一体化しており、
前記不織布の縦方向および横方向と平行な方向をそれぞれ前記積層シートの縦方向および横方向とした場合に、前記積層シートの縦方向の10%伸長時応力(S10% MD)と、横方向の10%伸長時応力(S10% CD)との比(S10% MD/S10% CD)が0.5以上3以下である積層シートを提供する。
本発明の積層シートは、特定の熱収縮性繊維を熱収縮させてなる繊維を含む不織布を用いることを特徴とし、この特徴により、積層シート全体の機械的物性、特に延性の等方性がより大きいものとなる。また、本発明の積層シートは、その一方の面に接着剤層を設けた構成としたときに、接着剤層が対象物に残るようなことがなく良好な剥離性を示す。
不織布の一例を模式的に示す斜視図である。 積層シートの一例を模式的に示す断面図である。 (a)〜(c)はそれぞれ積層シートの一例を模式的に示す断面図である。
本発明の積層シートは、特定の物性を有する不織布とフィルムとを含み、かつ不織布が特定の熱収縮性繊維を熱収縮させてなる繊維を含む。そこでまず、不織布に含まれる繊維について説明する。
[熱収縮性繊維]
本発明の積層シートを構成する不織布は、温度130℃、時間15分間、初荷重0.018mN/dtex(2mg/d)で測定される乾熱収縮率が30%以上である熱収縮性繊維を熱収縮させてなる繊維を含む。ここで、乾熱収縮率は後述するとおり、JIS−L−1015に準じて測定される。そのような熱収縮性を有する繊維は、例えば、高い熱収縮性を示す樹脂からなる単一繊維、または熱収縮性が異なる二以上の成分からなり、熱収縮性の差を利用して立体捲縮を発現する潜在捲縮性複合繊維である。なお、前記熱収縮性繊維の乾熱収縮率は、温度130℃、時間15分間、初荷重0.018mN/dtex(2mg/d)で測定される乾熱収縮率が40%以上であることが好ましく、45%以上であることがより好ましく、50%以上であると特に好ましい。
熱収縮性繊維が、熱収縮性を示す樹脂を含む一成分からなる単一繊維(以下、「熱収縮性単一繊維」と呼ぶ)である場合、当該単一繊維は130℃、時間15分間で熱処理に付すと、樹脂の収縮により繊維それ自体の長さが短くなることから、後述する潜在捲縮性複合繊維とは異なり立体捲縮を実質的に発現しない。したがって、そのような繊維を熱収縮性繊維として利用する場合、縦方向および横方向に延性を有し、かつ好ましくは縦方向の破断伸度(T”MD)と横方向の破断伸度(T”CD)との比(T”MD/T”CD)が0.5以上である不織布を得るには、不織布は、温度130℃、時間15分間、初荷重0.018mN/dtex(2mg/d)で測定される乾熱収縮率が10%以下である非熱収縮性繊維を含むことが好ましい。
熱収縮性単一繊維を構成する樹脂は、例えば、プロピレンを50質量%以上含むプロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体といった各種オレフィン系共重合体、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンといったポリオレフィン系樹脂や、ポリエステル系の共重合体といった熱可塑性樹脂である。
プロピレン共重合体は高い熱収縮性を示すことから好ましく用いられる。プロピレン共重合体は、ランダム共重合体、あるいはブロック共重合体のいずれであってもよい。熱収縮性を考慮すると、ランダム共重合体が好ましい。
プロピレン共重合体において、プロピレンと共重合するモノマーは、例えば、エチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、およびオクテン−1などの炭素数2以上20以下のα−オレフィン(炭素数3のプロピレンを除く)から選択される1または複数のモノマーである。プロピレン共重合体は、好ましくは、エチレン−プロピレン共重合体、およびエチレン−ブテン−1−プロピレン三元共重合体から選ばれる少なくとも1種である。エチレン−プロピレン共重合体の場合、好ましい共重合割合は、質量比でエチレン:プロピレン=1:99〜3:7の範囲である。エチレン−ブテン−1−プロピレン三元共重合体の場合、好ましい共重合割合は、質量比でエチレン:ブテン−1:プロピレン=0.5〜15:0.5〜15:70〜99の範囲である。
プロピレン共重合体のJIS−K−7210で規定されるメルトフローレート(MFR;測定温度230℃、荷重21.18N(2.16kgf))は50g/10分以下であることが好ましく、15g/10分以上30g/10分以下の範囲内であることがより好ましい。メルトフローレートがこの範囲内にあると、繊維製造時の紡糸性が良好である。
好ましく用いられるプロピレン共重合体は、融解ピーク温度(Tm(℃))が130℃以上145℃以下のエチレン−プロピレンランダム共重合体として特定することができる。ここで融解ピーク温度とは示差走査熱量計(DSC)によりポリマーの融解熱測定を行ったときにDSC曲線が最高値を示すときの温度をいう。融解ピーク温度(Tm(℃))が130℃以上145℃以下を満たすエチレン−プロピレンランダム共重合体は、良好なカード通過性および高い熱収縮性を示す繊維を与える。Tmが130℃未満であるとポリマーがゴム的弾性を示すようになって繊維のカード通過性が悪くなる。Tmが145℃を超えると繊維の乾熱収縮性が通常のポリプロピレン繊維程度になってしまう。
熱収縮性単一繊維は複数の異なるプロピレン共重合体を含んでよい。例えば、繊維にはエチレン−プロピレン共重合体、およびエチレン−ブテン−1−プロピレン三元共重合体が含まれてよく、あるいは共重合割合が異なる複数のエチレン−プロピレン共重合体が含まれてよい。
熱収縮性単一繊維にプロピレン共重合体が含まれる場合、上記所定の熱収縮性を示す繊維を得るには、プロピレン共重合体は20質量%以上含まれることが好ましい。プロピレン共重合体の割合が少ないと、熱収縮性が不十分となることがある。プロピレン共重合体のより好ましい割合は50質量%以上であり、さらにより好ましい割合は70質量%以上である。あるいは、熱収縮性単一繊維は、プロピレン共重合体から実質的になるものであってよい。ここで「実質的に」という用語は、繊維中に添加剤等の樹脂以外の成分が含まれることがあることを考慮して使用している。添加剤は、例えば、帯電防止剤、顔料、艶消し剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、抗菌剤、滑剤、可塑剤、柔軟剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、および結晶核剤である。これらの添加剤は、熱収縮性単一繊維のみならず、本明細書において示される繊維にも含まれ得るものである。
熱収縮性単一繊維がプロピレン共重合体以外の他の樹脂を含む場合、当該他の樹脂は特に限定されない。例えば、他の樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリメチルペンテン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、およびエチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体等のポリオレフィン系樹脂を挙げることができる。これらの樹脂は、熱収縮性単一繊維の熱収縮性を調整するために用いてよい。
続いて、熱収縮性繊維としての潜在捲縮性複合繊維について説明する。潜在捲縮性複合繊維は、例えば、熱収縮性の異なる2つの樹脂成分から成り、断面構造が並列型断面または偏心芯鞘型断面の複合繊維である。潜在捲縮性複合繊維は、樹脂成分の熱収縮性の違いを利用して、加熱により立体捲縮を発現する。「立体捲縮」とは、スパイラル状の湾曲またはカール、およびスタッフィングボックス型クリンパー等によって付与される捲縮の屈曲部分(通常、実質的に鋭角である)が変形して丸みを帯びるにいたった部分を指し、スタッフィングボックス型クリンパー等によってのみ付与された捲縮(「機械捲縮」ともいう)と区別するために使用される。
潜在捲縮性複合繊維を構成する樹脂成分の組み合わせとして、例えば、ポリエチレンテレフタレート/変性ポリエステル、ポリプロピレン/エチレン−プロピレン共重合体、ポリプロピレン/線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、およびポリエステル/ポリアミドが挙げられる。
潜在捲縮性複合繊維は、自由な状態で立体捲縮を発現させたときに、JIS−L−1015に準じて測定される捲縮数が1インチあたり20個以上、好ましくは25個以上となる立体捲縮を発現する捲縮能を有することが好ましい。潜在捲縮性複合繊維は、例えば、150℃で、自由な状態で加熱したときに、20個以上100個以下の立体捲縮を発現するものである。潜在捲縮性複合繊維は、加熱により、その繊維長は熱収縮性単一繊維ほど減少しないが、立体捲縮の発現により見かけの繊維長が低減し、それにより繊維ウェブの面積を低減させる。
温度130℃、時間15分間、初荷重0.018mN/dtex(2mg/d)で乾熱収縮率を測定する場合、発現した立体捲縮が維持された状態で加熱後の繊維長が測定される。この条件で測定された乾熱収縮率が30%以上となる潜在捲縮性複合繊維を用いると、潜在捲縮性複合繊維に形成された立体捲縮が不織布の縦方向の延性を高くして、好ましくはT”MD/T”CDが0.5以上である不織布を得ることを可能にする。
上記において説明した熱収縮性単一繊維および潜在捲縮性複合繊維のような熱収縮性繊維は、熱収縮する前に例えば、0.5dtex以上8.0dtex以下の繊度を有し、好ましくは0.8dtex以上6.0dtex以下、より好ましくは1.0dtex以上4.5dtex以下、特に好ましくは1.1dtex以上3.5dtex以下の繊度を有する。熱収縮性繊維が熱収縮性単一繊維であり、かつ繊度がこの範囲内にある場合には、熱収縮した後も不織布の触感が硬くならない。熱収縮性繊維が潜在捲縮性複合繊維であり、かつ繊度がこの範囲内にある場合には、立体捲縮が細かくなりすぎることなく、不織布の縦方向の延性を良好に向上させる。熱収縮性単一繊維の場合には、熱収縮後、その繊度は熱処理前のそれより大きくなり、例えば熱処理前の繊度の1.1倍以上3.5倍以下となる。
熱収縮性繊維の繊維長は不織布の製造方法および/または積層シートの用途等によって選択される。例えば、カードウェブに高圧水流を噴射する方法で不織布を製造する場合には、熱収縮性繊維は繊維長10mm以上120mm以下のステープル繊維であることが好ましい。ステープル繊維の繊維長は、より好ましくは20mm以上80mm以下であり、さらにより好ましくは30mm以上70mm以下である。ステープル繊維の繊維長が10mm未満であると、繊維の脱落が多くなり、また、工程性も劣る。ステープル繊維の繊維長が120mmを越えると、水流交絡処理による交絡性が低下する。また、繊維長が120mmを越えると、工程性が低下する傾向にある。熱収縮性単一繊維の場合には、繊維ウェブの形態、交絡の度合いにもよるが、その繊維長は熱処理前の例えば15%以上70%以下となる。
[非熱収縮性繊維]
不織布には、温度130℃、時間15分間、初荷重0.018mN/dtex(2mg/d)で測定される乾熱収縮率が10%以下である非熱収縮性繊維が含まれてよい。熱収縮性繊維として熱収縮性単一繊維を使用する場合には、不織布の縦方向の延性を確保するために、不織布は非熱収縮性繊維を含む。非熱収縮性繊維の種類は特に限定されず、積層シートの用途等に応じて選択される。例えば、非熱収縮性繊維は、パルプ、コットン、麻、シルク、およびウールなどの天然繊維、ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン、および溶剤紡糸セルロース繊維などの再生繊維であってよい。あるいは、非熱収縮性繊維は、合成繊維であってよい。合成繊維は、ポリプロピレン、高密度ポリエチレンおよびポリブテン−1のようなポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂、ナイロン6およびナイロン66のようなポリアミド系樹脂から選択される、1又は複数の樹脂を用いて構成された、単一繊維、または芯鞘型、分割型、および海島型等の複合繊維であってよい。なお、前記非熱収縮性繊維は、温度130℃、時間15分間、初荷重0.018mN/dtex(2mg/d)で測定される乾熱収縮率が8%以下であることが好ましく、6%以下であることがより好ましく、4.5%以下であると特に好ましい。
非熱収縮性繊維が、天然繊維(特に、パルプ、コットン)、再生繊維(特に、ビスコースレーヨン、溶剤紡糸セルロース繊維)、および合成繊維に親水化処理を施したもの等、親水性を有するものである場合、不織布、ひいては積層シートに親水性を付与することができ、積層シートに液体を保持させることもできる。
非熱収縮性繊維の繊度および繊維長については、先に熱収縮性繊維に関して説明したとおりであるから、ここではその説明を省略する。
[不織布]
次に不織布の構成を説明する。
熱収縮性繊維が熱収縮性単一繊維である場合には、不織布は熱収縮性単一繊維と非熱収縮性繊維とを含む。後述するように、非熱収縮性繊維は、熱処理により熱収縮性単一繊維を収縮させたときに、不織布に皺状の凹凸が形成されることを可能にして、不織布の縦方向の延性を高くする。具体的には、熱収縮性単一繊維と非熱収縮性繊維が一体的に交絡した状態で、熱収縮性単一繊維を熱収縮させると、非熱収縮性繊維にたわみが生じて、不織布の表面に皺状の凹凸が形成される。この皺状の凹凸が伸び代となって、不織布の縦方向の延性、特に縦方向の延性が向上すると考えられる。
不織布を、繊維がその長さ方向が不織布の縦方向と概ね一致するように製造する場合、熱収縮性単一繊維の収縮により形成される皺状の凹凸は、不織布の横方向と平行な方向に整然と形成されて、クレープ状の外観を不織布に付与する。そのような不織布は、例えばパラレルカードウェブを用いることにより製造できる。繊維の長さ方向が不織布の横方向と概ね一致するように繊維が不織布中に含まれていれば、皺状の凹凸は不織布の横方向と平行な方向に整然と形成される。皺状の凹凸の態様は特に限定されないが、不織布の横方向と平行な方向に形成された皺状の凹凸は不織布の縦方向の延性を向上させやすい。図1に皺状の凹凸10が不織布の横方向と平行な方向に形成された不織布100の一例を斜視図で示す。
熱収縮性単一繊維は不織布に10質量%以上含まれ、好ましくは15質量%以上40質量%以下含まれ、より好ましくは20質量%以上30質量%以下含まれる。熱収縮性単一繊維の割合が少なすぎる場合には、熱処理の際に熱収縮が不十分で、不織布における凹凸の形成が不十分となり、不織布の縦方向の延性を十分に向上させることができない。熱収縮性単一繊維の割合が多すぎる場合には、熱収縮は生じるが、延性を向上させる凹凸が不織布に十分に形成されず、やはり不織布の縦方向の延性を十分に向上させることができない。
不織布が非熱収縮性繊維を含む場合、不織布に含まれる非熱収縮性繊維の割合は50質量%以上であってよく、好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
熱収縮性繊維が潜在捲縮性複合繊維である場合には、非熱収縮性繊維は不織布に含まれていなくてよい。熱処理により潜在捲縮性複合繊維に発現する立体捲縮がスプリングのように機能して、不織布の縦方向の延性を向上させるからである。不織布が非熱収縮性繊維を含む場合、その割合は好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは80質量%以下である。非熱収縮性繊維の割合が大きすぎると、潜在捲縮性複合繊維の割合が少なくなって、不織布の縦方向の延性を十分に向上させることができない。
不織布の目付は積層シートの用途等に応じて選択される。例えば、不織布の目付は20g/m2以上100g/m2以下であってよく、25g/m2以上90g/m2以下であってもよく、特に30g/m2以上80g/m2以下であってよい。不織布の目付がこの程度であると、積層シートを曲げたり伸ばしたりする箇所に当てて使用するときに当該曲げ伸ばしの箇所への追随性が良好となる。勿論、不織布の目付はこの範囲に限定されず、より小さい、またはより大きいものであってよい。
不織布は、機械的物性、特に延性(伸長性)の異方性が小さいものである。具体的には、不織布は、縦方向の破断伸度(T”MD)と横方向の破断伸度(T”CD)との比(T”MD/T”CD)が0.5以上であることが好ましい。そのような不織布は、フィルムと一体化されたときに、機械的物性の異方性の小さい積層シートを与える。T”MD/T”CDは0.8以上であることがより好ましく、0.9以上であることがさらにより好ましい。T”MD/T”CDの上限は好ましくは2.0であり、より好ましい上限は1.5であり、さらにより好ましい上限は1.2である。
不織布は、好ましくは、縦方向の破断強力(E”MD)と横方向の破断強力(E”CD)との比(E”MD/E”CD)が3.5以下のものである。不織布の破断強力は、縦方向と横方向との間で顕著な差を有し、縦方向の強力は横方向のそれの6倍以上となることもあるが、熱収縮性繊維の熱収縮を利用すれば、E”MD/E”CDの小さい不織布を得ることができる。E”MD/E”CDは0.5以上であることがより好ましく、0.7以上であることがより好ましく、0.8以上であることが特に好ましい。E”MD/E”CDの好ましい下限は3.0であり、特に好ましい下限は2.5である。
不織布は、好ましくは、縦方向の10%伸長時応力(S”10% MD)と、横方向の10%伸長時応力(S”10% CD)との比(S”10% MD/S”10% CD)が10以下である。不織布の10%伸長時応力は、縦方向と横方向との間で顕著な差を有し、縦方向の10%伸長時応力は横方向のそれの数十倍となることもあるが、熱収縮性繊維の熱収縮を利用すれば、S”10% MD/S”10% CDの小さい不織布を得ることができる。S”10% MD/S”10% CDは5以下であることがより好ましく、3以下であることがより好ましく、2.5以下であることが特に好ましい。S”10% MD/S”10% CDの下限は0.5であり、好ましい下限は0.7であり、特に好ましい下限は0.8である。
不織布の製造方法は次のとおりである。まず、熱収縮性繊維を含む繊維ウェブを作製する。繊維ウェブとして、例えば、パラレルウェブ、セミランダムウェブ、ランダムウェブ、クロスウェブ、およびクリスクロスウェブなどのカードウェブ、ならびにエアレイドウェブ等が挙げられる。あるいは、繊維ウェブは、所望の物性が得られる限りにおいて、メルトブローンウェブ、湿式抄紙ウェブ、およびスパンボンドウェブであってよい。熱収縮性繊維が単一繊維である場合には、カードウェブ、特にパラレルウェブを作製すると、熱処理後に形成される皺状の凹凸が不織布の横方向と平行となり、不織布の縦方向の延性が向上しやすい。熱収縮性繊維が潜在捲縮性複合繊維である場合には、セミランダムウェブ、ランダムウェブ、クロスウェブ、およびクリスクロスウェブを作製すると、不織布の縦方向および横方向の物性の差がより小さくなる傾向となる。
繊維ウェブは、後述する熱処理前後で目付が変化する。熱処理後の繊維ウェブの目付がほぼ不織布の目付となり、不織布の目付は積層シートの用途等に応じて選択されるので、繊維ウェブの目付は、所望の目付の不織布が得られるように、熱処理条件等を考慮して選択される。
繊維ウェブは繊維交絡処理に付される。繊維交絡処理は、例えば、高圧の水流を噴射する水流交絡処理や、繊維ウェブに対し針を繰り返し突き刺すことで機械的に繊維を交絡させるニードルパンチ処理を始めとして公知の繊維交絡処理であってよく、水流交絡処理であることが好ましい。水流交絡処理によれば繊維同士を緊密に交絡させることができる。繊維同士が緊密に交絡していると、破断強力がより大きい不織布を得やすく、フィルムと積層したときに層間剥離が生じにくい。
水流交絡処理は、孔径0.05mm以上0.5mm以下のオリフィスが0.3mm以上1.5mm以下の間隔で設けられたノズルから、水圧1MPa以上15MPa以下の水流を、繊維ウェブの表裏面にそれぞれ1〜5回ずつ噴射することにより実施してよい。水圧は、好ましくは、1MPa以上10MPa以下であり、より好ましくは、1MPa以上7MPa以下である。
繊維交絡処理に付した繊維ウェブは次に熱処理に付される。熱処理により熱収縮性繊維を収縮させる。熱処理は、例えば、熱風貫通式熱処理機(エアスルー式熱加工機とも呼ぶ)、熱風吹き付け式熱処理機、赤外線式熱処理機等、または熱ロール加工機を用いて実施される。
熱処理は、ウェブの縦方向(機械方向、MD方向ともいう)での熱収縮が十分に生じる条件で実施する。縦方向で熱収縮が十分に生じるように、例えば、縦方向において、繊維ウェブをオーバーフィード(過供給)して、熱処理を実施してよい。オーバーフィードは、熱処理機へ送り出すウェブの速度よりも、熱処理機の出口でのウェブの搬送速度を小さく設定することにより実施できる。具体的には、下記の式で表されるオーバーフィード率を、30〜200%に設定してよい。
Figure 0006351493
熱処理中、横方向(幅方向、CD方向ともいう)の熱収縮は任意に制御してよい。すなわち、前記熱処理を実施する際、ウェブの横方向の熱収縮を積極的に促進するために、熱処理中にウェブの幅を漸減させてもよく、あるいは、ウェブの横方向の熱収縮を抑制する、またはウェブが横方向でむしろ広げられるように、ウェブの幅を熱処理中一定に保つ(例えば、熱処理前のウェブの幅を保つ)、または熱処理中、ウェブの幅を広げる、すなわちウェブを拡幅してもよい。熱処理の際、ウェブの幅方向の熱収縮を促進すると、ウェブは縦方向および横方向共に熱収縮して、緻密な不織布が得られる。一方、熱処理の際、ウェブの幅方向の熱収縮を抑制する、あるいはウェブの幅を広げると、比容積の大きな、嵩高な不織布が得られる。
具体的には、繊維ウェブを、熱風を吹き付ける方法で熱処理する場合には、ピンテンター等を使用して、繊維ウェブの横方向の寸法(すなわち、幅)を漸減させて、熱処理終了時に所望の幅となるように、熱処理を実施してよく、あるいは、繊維ウェブの幅を一定に保ち(例えば、熱処理前の幅を保ちながら)、あるいは繊維ウェブの幅を漸増させて、熱処理終了時に所望の幅となるように、熱処理を実施してよい。横方向の熱収縮の制御は、熱処理機の入口、すなわち熱処理開始時における繊維ウェブの幅に対して、出口、すなわち熱処理終了時における不織布の幅が、例えば、25%以上120%以下、好ましくは30%以上110%以下となるように、繊維ウェブの幅を制御することにより行ってよい。
熱処理温度および熱処理時間は、繊維ウェブにおいて所望の熱収縮が得られるように、熱収縮性繊維の種類等に応じて選択される。すなわち、熱処理温度および熱処理時間は得られる積層シートが充分な延性を示す限りにおいて特に限定されない。従って、熱処理は、熱処理後の不織布において、構成する繊維の何れもが熱により溶融せず、繊維同士が互いに熱接着しない条件で実施してよく、あるいは繊維ウェブを構成する繊維の少なくとも一部が熱により溶融し、繊維同士の一部を熱接着させる条件で実施してもよい。しかし、繊維ウェブの構成繊維の少なくとも一部を熱接着させると、構成繊維の交点が固定され、不織布の延性が低下する可能性がある。よって、前記熱処理は、熱収縮性繊維、場合により含有される非熱収縮性繊維、および熱収縮性繊維にも非熱収縮性繊維にも該当しない繊維(以下、その他繊維と称す)が含まれる場合には当該その他繊維といった、繊維ウェブに含まれる何れの繊維も熱溶融しない条件で行うことが好ましい。すなわち、熱処理は、熱処理後に実質的に熱接着していない不織布が得られる熱処理温度、熱処理時間にて行うことが好ましい。ここでいう『実質的に熱接着していない』とは、不織布のいずれの部分においても熱接着が生じていない形態だけでなく、熱処理の際、至近距離から熱風が繊維ウェブに直接吹き付けられ、局所的に熱接着が生じているものの、全体としては構成繊維間の熱接着が生じていない形態を包含する意味で用いられる。
例えば、熱収縮性繊維が、エチレン−プロピレン共重合体を含む単一繊維である場合には、熱処理温度は好ましくは120℃〜135℃であり、熱処理時間は好ましくは10秒〜120秒である。熱収縮性繊維が、ポリエチレンテレフタレート/変性ポリエステル(融点170℃以上)の組み合わせから成る潜在捲縮性複合繊維である場合、熱処理温度は好ましくは120℃〜145℃であり、熱処理時間は好ましくは10秒〜120秒である。
熱処理により、フィルムと貼り合わされる不織布が完成する。不織布は、熱収縮性繊維の熱収縮により、凹凸が形成され、あるいは繊維に立体捲縮が発現して、全体として機械的物性、特に延性の異方性が緩和されたものとなる。
[フィルム]
不織布と積層されるフィルムについて説明する。フィルムは、上記不織布と一体化されたときに、縦方向の10%伸長時応力(S10% MD)と、横方向の10%伸長時応力(S10% CD)との比(S10% MD/S10% CD)が0.5以上3以下である積層シートを与えるようなものである。そのようなフィルムは縦方向および横方向において延性(伸長性)を有するものであり、例えば、天然ゴム、合成ゴム、および熱可塑性エラストマーから選択されるいずれか一つまたはその混合物を含むエラストマー層を有する、単層または積層フィルムである。エラストマー層を有するフィルムは、縦方向および横方向において延性を有する。
合成ゴムとしては、例えば、ブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエン、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、イソブチレン−イソプレンゴム、ポリアルキレンスルフィド、シリコーンゴム、ポリ(クロル・トリフルオロエチレン)、フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体、ウレタンゴム、プロピレンオキシドゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−2−クロルエチルビニルエーテル共重合体等を挙げることができる。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、エステル系エラストマー、スチレン系エラストマー、アミド系エラストマー、アクリル系エラストマー、塩ビ系エラストマー、シンジオタクチックポリ(1,2−ブタジエン)、ポリ(トランス−1,4−イソプレン)、シリコーン系エラストマー等を挙げることができる。
オレフィン系エラストマーの例としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・1−デセン共重合体、およびプロピレン・1−ブテン共重合体等のエチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・1−ブテン・エチレン共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体を挙げることができる。
ウレタン系エラストマーの例として、ポリエステル系ポリウレタン、脂肪族エステル系ポリウレタン、アジペート系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン等を挙げることができる。
エステル系エラストマーの例として、ポリブチレンテレフタレートと脂肪族ポリエーテルとのブロック共重合体等のポリエーテル系ポリエステル、およびポリブチレンテレフタレートと脂肪族ポリエステルとのブロック共重合体等のポリエステル系ポリエステル等を挙げることができる。
スチレン系エラストマーの例として、スチレン−ブタジエンブロック共重合エラストマー(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合エラストマー(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合エラストマー(SIS)、スチレン−エチレン−ブテン−スチレンブロック共重合エラストマー(SEBS)、およびスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合エラストマー(SEPS)等のブロック共重合体、ならびにこれらのエラストマーを水素添加したブロック共重合体等を挙げることができる。
アミド系エラストマーの例として、ポリアミド−ポリエーテルブロック共重合体、およびポリアミド−ポリエステルブロック共重合体等を挙げることができる。
アクリル系エラストマーの例として、ポリメタクリル酸メチル−b−ポリアクリル酸n−ブチル−b−ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル−b−ポリアクリル酸n−ブチル−b−ポリアクリル酸メチル、およびポリメタクリル酸メチル−b−ポリアクリル酸n−ブチル−b−ポリアクリル酸エチルなどのトリブロック共重合体を挙げることができる。
エラストマー層は、天然ゴム、合成ゴム、および熱可塑性エラストマーから選択されるいずれか一つで構成されてよく、あるいはそれらから選択される二以上を含んでよい。また、エラストマー層は、天然ゴム、合成ゴム、および熱可塑性エラストマー(これらを便宜的に「エラストマー成分」とも呼ぶ)以外の成分(便宜的に「非エラストマー成分」とも呼ぶ)を含んでよい。例えば、非エラストマー成分はポリオレフィン系樹脂である。非エラストマー成分は、エラストマー層の50質量%以下の割合で含まれることが好ましい。この範囲で非エラストマー成分を含有させると、フィルム全体の延性を低下させることなく、非エラストマー成分により、フィルム製造時の延性、展性、および流動性等を向上させることができる。
エラストマー層は、熱可塑性エラストマーを少なくとも一種(または、少なくとも一層)含む層であることが好ましく、オレフィン系エラストマーおよびスチレン系エラストマーから選ばれる熱可塑性エラストマーを少なくとも一種類含む層であることがより好ましい。熱可塑性エラストマーの中でもオレフィン系エラストマーおよびスチレン系エラストマーは他の熱可塑性エラストマーと比べて柔軟性に優れているという利点に加えて、熱に対する安定性に優れており、低温(約−50℃)から高温(80℃)まで、柔軟性等の物性に大きな変化、特に低下を生じさせることなく使用できる;紫外線に対して優れた耐久性を示し、屋外での使用(例えばハウスラップ材)にも適している;耐薬品性に優れている、といった利点を有する。
エラストマー層を含むフィルムは単層構造であっても、積層構造であってもよい。単層フィルムは、一つのエラストマー層からなるフィルムである。積層フィルムは、例えば、二以上の異なるエラストマー層からなるフィルム、または一以上のエラストマー層と、上記エラストマー成分を含まない非エラストマー成分からなる一以上の非エラストマー層とからなるフィルムである。あるいはまた、積層フィルムは、二以上の異なるエラストマー層と、一以上の異なる非エラストマー層とからなるフィルムであってよく、あるいは、二種類のエラストマー層、または一のエラストマー層と一の非エラストマー層とが交互に繰り返し積層されたものであってよい。
例えば積層フィルムは、ウレタン系エラストマー層/スチレン系エラストマー層、スチレン系エラストマー層/オレフィン系エラストマー層の組み合わせから成ってよい。あるいは、積層フィルムは、各層を構成するエラストマーの組成が異なる同種の熱可塑性エラストマーからなるものであってよく、例えば、二以上のオレフィン系エラストマー層、または二以上のウレタン系エラストマー層からなってよい。
積層フィルムを用いることにより、積層シートの性質を調整することができる。例えば、フィルムにしたときに異なる延性を示す樹脂で積層フィルムを構成し、延性の小さい樹脂層を不織布と接合させ、延性の大きい樹脂層が外側に位置するように積層シートを作製することもできる。そのような積層シートは、折り曲げ領域を含む対象物に当てて使用したときに、折り曲げへの追随性に優れ、また、不織布との間で剥離が生じにくい。
積層フィルムがエラストマー層と非エラストマー層とから成る場合、エラストマー層は熱可塑性エラストマー、または熱可塑性エラストマーとポリオレフィン系樹脂との混合物を含み、非エラストマー層は、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、またはその混合物を含むものであってよい。
ポリエステル系樹脂は汎用されているものであってよく、例えば、ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、またはポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)等である。ポリオレフィン系樹脂は汎用されているものであってよく、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン等を単独重合または共重合させたものであり、具体的には、ポリエチレン(高密度、線状低密度、低密度のものを含む)、ポリプロピレン等である。非エラストマー層は、二種以上の樹脂の混合物からなっていてよい。あるいは、非エラストマー層は、積層構造を有してよい。例えば、非エラストマー層は、ポリエチレン(PE)/ポリプロピレン(PP)/ポリエチレン(PE)の三層構造を有してよい。
フィルムの厚さは、積層シートの用途に応じて選択される。例えば、フィルムが上記エラストマー成分および/または非エラストマー成分から成り、フィルムの厚さが5μm以上100μm以下、好ましくは10μm以上90μm以下であると、積層シートは全体として柔軟なものとなる。
フィルムは、好ましくは、縦方向の破断強力(E’MD)と横方向の破断強力(E’CD)との比(E’MD/E’CD)が0.25以上3.0以下のものである。そのようなフィルムは、上記所定の延性を有する不織布と一体化されたときに、縦方向の破断強力(EMD)と、横方向の破断強力(ECD)との比(EMD/ECD)が0.25以上3.0以下である積層シートを与え得る。E’MD/E’CDは0.4以上2.8以下であることがより好ましく、0.5以上2.5以下であることがより好ましい。
フィルムは、好ましくは、縦方向の破断伸度(T’ MD)と、横方向の破断伸度(T’ CD)との比(T’ MD/T’ CD)が0.25以上2.0以下である。そのようなフィルムは、不織布と一体化されたときに、縦方向の破断伸度(TMD)と、横方向の破断伸度(TCD)との比(TMD/TCD)が0.4以上1.8以下である積層シートを与え得る。T’ MD/T’ CDは0.5以上1.5以下であることがより好ましい。
フィルムは、好ましくは、縦方向の10%伸長時応力(S’10% MD)と、横方向の10%伸長時応力(S’10% CD)との比(S’10% MD/S’10% CD)が0.5以上3.0以下である。そのようなフィルムは、不織布と一体化されたときに、縦方向の10%伸長時応力(S10% MD)と、横方向の10%伸長時応力(S10% CD)との比(S10% MD/S10% CD)が0.5以上3以下である積層シートを与え得る。S’10% MD/S’10% CDは0.6以上2.5以下であることがより好ましい。
[積層シート]
積層シートは、不織布とフィルムとが部分的に接着されて一体化してなる。不織布とフィルムとの接着は公知の方法で実施できる。例えば、接着、一体化は、接着剤を用いたドライラミネーションもしくはホットメルトラミネーション、または押し出し樹脂により一体化する押し出しラミネーションで実施してよい。あるいは、不織布と予め製膜されたフィルムとを重ね合わせて、エンボスロールを用いて熱ロール加工に付し、不織布および/またはフィルムを溶融させることによって、一体化してよい。いずれの方法を用いる場合も、不織布とフィルムとの接着は部分的に実施され、それにより積層シート全体の延性を確保する。不織布とフィルムとが全面にわたって接着されると、積層シートの延性、特に縦方向の延性が低下する。
不織布とフィルムは、例えば、ストライプ状の接着部により一体化されていてよい。その場合、ストライプは不織布の縦方向と平行な方向に延びていることが好ましい。そのように一体化すれば、積層シートにおいて、接着による縦方向の延性の低下が抑制され、延性の異方性が小さくなる。ストライプ状の接着部は、例えば、一つあたりの幅が1mm以上20mm以下であり、接着部の間隔が1mm以上20mm以下となるように形成してよい。あるいは、接着部の直径が0.5mm以上20mm以下のドット状になるように不織布とフィルムの接着部を設けて両者を一体化させてもよい。いずれのように接着部を形成する場合においても、接着部は積層シートの面積の5%以上75%以下、好ましくは10%以上70%以下、より好ましくは15%以上65%以下、特に好ましくは18%以上60%以下とすることが好ましい。接着部の占める割合が大きいと積層シートの延性が低下し、小さいと不織布とフィルムとの間で剥離が生じることがある。
押し出しラミネーションにより不織布とフィルムとを接着する場合、ラミネートに用いる一対のニップロールの一方を、表面に凹凸を有する凹凸ロールとし、凸部の形状および寸法を選択することにより、接着部の形状および面積を制御することができる。例えば、凸部をロールの周方向に沿って、ロールの幅方向に一定間隔で設ければ、ストライプ状の接着部を形成することができる。押し出しラミネーションを、予め製膜されたフィルムと不織布との間に、溶融した樹脂をTダイスからカーテン状に押し出すと、押し出された樹脂がフィルム化されて、予め製膜されたフィルムとともに積層構造のフィルムを構成する。したがって、押し出しラミネーションにより得られる積層シートにおいては、積層フィルムの一層が不織布と直接的に且つ部分的に接着され、不織布とフィルムとの間には接着剤が介在しないこととなる。
図2に押し出しラミネーションにより不織布とフィルムとを積層して一体化した積層シート200の一例を斜視図で示す。図2において、20が不織布、22が積層フィルム、24がストライプ状に形成された接着部、25は予め製膜されたフィルムである。接着部24は、Tダイスから押し出されて形成されたフィルムにおいて、不織布20と接着している部分である。
積層シートは、等方的な延性を有するフィルムと、延性の異方性を低減された不織布とが部分的に接着されているため、縦方向の10%伸長時応力(S10% MD)と、横方向の10%伸長時応力(S10% CD)との比(S10% MD/S10% CD)が0.5以上3以下であるものとなり得る。そのような積層シートは、折り曲げられる領域を含む対象物に当てて使用したときに、折り曲げ領域への追随性に優れている。S10% MD/S10% CDは好ましくは1以上2以下である。
積層シートはまた、破断強力の異方性が小さいものとして提供され得る。具体的には、積層シートは、縦方向の破断強力(EMD)と、横方向の破断強力(ECD)との比(EMD/ECD)が0.25以上3.0以下、好ましくは0.8以上2.8以下、より好ましくは1.0以上2.6以下、特に好ましくは1.2以上2.5以下であるものとなり得る。あるいは、積層シートは、破断伸度の異方性が小さいものとして提供され得る。具体的には、積層シートは、縦方向の破断伸度(TMD)と、横方向の破断伸度(TCD)との比(TMD/TCD)が0.25以上2.0以下、好ましくは0.4以上1.8以下より好ましくは0.6以上1.5以下、特に好ましくは0.8以上1.2以下であるものとなり得る。
[粘着剤層]
積層シートはさらに粘着剤層を含んでよい。粘着剤層は、積層シートを対象物に取り付けて固定する用途に適用する場合に設けられる。粘着剤層は、積層シートの少なくとも一方の表面に設けられ、具体的には不織布側表面およびフィルム側表面のいずれか一方または両方に設けられる。粘着剤層の上にはさらに剥離紙が設けられてよい。
図3(a)〜(c)に、粘着剤層および剥離紙を設けた積層シートの例を断面図にて示す。図3(a)は、図2に示す積層シート200のフィルム25側表面に粘着剤層26が設けられ、さらにその上に剥離紙27が設けられた、積層シートである。図3(b)は、図2に示す積層シート200の不織布20側表面に粘着剤層26および剥離紙27が設けられた構成の積層シートを示す。図3(c)は、図2に示す積層シートの不織布20側およびフィルム25側表面の両方に、粘着剤層26および剥離紙27が設けられた構成の積層シートを示す。
粘着剤層を構成する粘着剤は用途に応じて選択される。粘着剤層は、粘着剤を溶融して塗布する方法により設けてよく、あるいは粘着剤のフィルムを積層してから溶融する方法により設けてよい。
積層シートが粘着剤層を有し、不織布側表面に設けられる場合、当該形態の積層シートは対象物からの剥離性が良好なものとなる。これは、上記特定の熱収縮性繊維を含む不織布と粘着剤とが良好に接合し、積層シートを剥離するときに加わる力によって不織布と粘着剤層との間で剥離が生じず、粘着剤層が良好に対象物から剥離することによる。特に、不織布が熱収縮性単一繊維を含み、表面に皺状の凹凸を有するものである場合に、良好な剥離性が達成される。
なお、不織布が熱収縮性単一繊維と非熱収縮性繊維とを含み、表面に皺状の凹凸を有するものである場合、得られる積層シートにおいては、粘着剤層の有無に拘わらず、凹凸がつぶれて皺状の模様を呈していることがある。これは積層シートの製造中または製造後に積層シートの厚さ方向に加わる力(例えば、粘着剤層および/または剥離紙を設けるときに加わる力、製造後ロール状に巻き取られるときに加わる力等)が凹凸をつぶすことによる。凹凸がつぶれて皺状の模様を呈していても、積層シートそれ自体は、一度形成された皺状の凹凸によって延性の異方性が小さいものとして提供される。
積層シートは種々の用途に適用することができ、例えば、人間または動物の身体を対象物として、その表面にあてて使用する医療用および衛生用シート、各種対象物に当てて使用する農業用シート、産業用シート(例えば、車両用、機械用、建築材料用)として用いることができる。積層シートにおいて、不織布が親水性の繊維(例えばレーヨン等の再生繊維またはコットン)を含む場合には、液体を含浸させて対象物に液体を供給するシート、または対象物から液体を吸収するためのシートとして用いることもできる。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
[不織布の製造]
(不織布1)
熱収縮性繊維として、融解ピーク温度が140℃のエチレン−プロピレン共重合体(エチレン含有量:4.4重量%)を紡糸してなる単一繊維(繊度2.2dtex、繊維長51mm)を用意した。この繊維は、温度130℃、時間15分間、初荷重0.018mN/dtex(2mg/d)で測定される乾熱収縮率が56.5%であった。なお、乾熱収縮率は、温度および所定温度での保持時間、ならびに初荷重を上記のとおりとしたことを除いては、JIS−L−1015に準じて測定した。また、つかみ間隔は100mmとした。
この熱収縮性繊維25質量%とレーヨン(繊度1.7dtex、繊維長40mm。温度130℃、時間15分間、初荷重0.018mN/dtex(2mg/d)で測定される乾熱収縮率は−0.8%(マイナスは熱伸長、すなわち伸びたことを指す))75質量%とを混合し、パラレルカード機を用いて目付60g/m2のパラレルウェブを作製した。このパラレルウェブに、孔径0.12mmのオリフィスが1.2mm間隔で設けられたノズルを用いてウェブの一方の面に2.0MPaの柱状水流を1回噴射し、他方の面に2.0MPaの柱状水流を1回噴射して、繊維同士を交絡させた。次いで、繊維ウェブを熱処理に付して不織布を得た。熱処理は熱風吹き付け式熱処理機を用いて実施し、熱処理の間、繊維ウェブはピンテンターを用いて搬送し、熱処理機の入口での幅に対して、熱処理後の出口での幅が約105%となるように、熱処理中に漸増させた。熱処理温度は、130℃、熱処理時間は40秒とした。オーバーフィード率は120%とした。熱処理により、ウェブの面積は、約55%収縮した。得られた不織布は約65g/m2の目付を有し、表面に横方向と平行に延びる多数の皺状の凹凸を有していた。
(不織布2)
熱収縮性繊維として、ポリエチレンテレフタレート/変性ポリエチレンテレフタレートを容積比で5:5の割合で並列型断面となるように複合紡糸した潜在捲縮性複合繊維(ユニチカ(株)製、商品名T81、繊度2.2dtex、繊維長44mm)を用意した。この繊維は、温度130℃、時間15分間、初荷重0.018mN/dtex(2mg/d)で測定される乾熱収縮率が47.6%であった。なお、乾熱収縮率は、温度および所定温度での保持時間、ならびに初荷重を上記のとおりとしたことを除いては、JIS−L−1015に準じて測定した。また、つかみ間隔は100mmとした。
この熱収縮性繊維のみを用いて、パラレルカード機を用いて目付80g/m2のパラレルウェブを作製した。このパラレルウェブに、孔径0.12mmのオリフィスが1.2mm間隔で設けられたノズルを用いてウェブの一方の面に2.0MPaの柱状水流を1回噴射し、他方の面に2.0MPaの柱状水流を1回噴射して、繊維同士を交絡させた。次いで、繊維ウェブを熱処理に付して不織布を得た。熱処理は熱風吹き付け式熱処理機を用いて実施し、熱処理の間、繊維ウェブはピンテンターを用いて搬送し、熱処理機の入口での幅に対して、熱処理後の出口での幅が約90%となるように、熱処理中に漸減させた。熱処理温度は、140℃、熱処理時間は40秒とした。オーバーフィード率は90%とした。熱処理により、ウェブの面積は、約50%収縮した。得られた不織布は約85g/m2の目付を有していた。
(不織布3)
レーヨン60質量%、温度130℃、時間15分間、初荷重0.018mN/dtex(2mg/d)で測定される乾熱収縮率が−5.2%である、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる単一繊維(繊度1.45dtex、繊維長38mm)20質量%、および温度130℃、時間15分間、初荷重0.018mN/dtex(2mg/d)で測定される乾熱収縮率が−0.3%である、芯/鞘がポリプロピレン/ポリエチレンである芯鞘型複合繊維(繊度1.7dtex、繊維長51mm)20質量%を混合し、パラレルカード機を用いて目付65g/m2のパラレルウェブを作製した。このパラレルウェブに、孔径0.12mmのオリフィスが1.2mm間隔で設けられたノズルを用いてウェブの一方の面に2.0MPaの柱状水流を1回噴射し、他方の面に2.0MPaの柱状水流を1回噴射して、繊維同士を交絡させた。次いで、繊維ウェブを熱処理に付して不織布を得た。熱処理は熱風吹き付け式熱処理機を用いて実施し、乾燥の目的で実施した。熱処理温度は、140℃、熱処理時間は40秒とした。得られた不織布は約64g/m2の目付を有しており、熱処理によるウェブの面積収縮はほとんど生じていなかった。
不織布1ないし3の機械的物性を表1に示す。表1において、各物性は次の方法で測定した値である。
(厚み)
厚み測定機(商品名 THICKNESS GAUGE モデル CR−60A (株)大栄科学精器製作所製)を用い、試料1cm2あたり3gの荷重を加えた状態で測定した。
(破断強力、破断伸度、10%伸長時応力)
JIS L 1096 6.12.1 A法(ストリップ法)に準じて、定速緊張形引張試験機を用いて、試料片の幅5cm、つかみ間隔10cm、引張速度30±2cm/分の条件で引張試験に付し、切断時の荷重値(破断強力)、破断伸度、10%伸長時応力(10%伸長させるのに必要な力)および20%伸長時応力(20%伸長させるのに必要な力)を測定した。引張試験は、不織布の縦方向(MD方向)および横方向(CD方向)方向を引張方向として実施した。評価結果はいずれも3点の試料について測定した値の平均で示している。
Figure 0006351493
[積層シートの製造]
(実施例1)
不織布1と、厚さ35μmのオレフィン系ポリマーからなる積層フィルム(エチレン・ブテン−1コポリマー/エチレン・α−オレフィンコポリマー/プロピレン系ポリマーの積層フィルム。以下「オレフィン系積層フィルム」と呼ぶ。)とを、押し出しラミネート法により部分的に接着し、一体化させた。押し出しラミネートに際しては、スチレン−エチレン−ブテン−スチレンブロック共重合エラストマー(SEBS)をTダイから押し出し、一方のロールに周方向に延びる凸部が一定間隔で設けられたニップロールを用いた。得られた積層シートは、不織布と、SEBS層(20μm)/オレフィン系積層フィルム(35μm)の積層フィルムとからなり、不織布の縦方向と一致する方向に延びた幅4mmの接着部と幅4mmの非接着部とが不織布の横方向において交互に存在する、ストライプ状の接着部により不織布とフィルムとが一体化されてなるものであった。
なお、本実施例で用いたオレフィン系積層フィルムの物性は下記のとおりである。
目付 32.4g/m2
MD破断強力 11.8N/5cm
CD破断強力 11.0N/5cm
MD破断伸度 608.3%
CD破断伸度 724.2%
MD 10%伸長時応力 3.1N/5cm
CD 10%伸長時応力 2.8N/5cm
MD 20%伸長時応力 4.0N/5cm
CD 20%伸長時応力 3.6N/5cm
(実施例2)
不織布1と、実施例1で用いたのと同じオレフィン系ポリマーのフィルムとを、押し出しラミネート法により部分的に接着し、一体化させた。押し出しラミネートに際しては、エチレン・オクテン−1エラストマー(以下「TPE」と呼ぶ。)をTダイから押し出し、一方のロールに周方向に延びる凸部が一定間隔で設けられたニップロールを用いた。得られた積層シートは、不織布と、エラストマー層(20μm)/オレフィン系積層フィルム(35μm)の積層フィルムとからなり、不織布の縦方向と一致する方向に延びた幅4mmの接着部と幅4mmの非接着部とが不織布の横方向において交互に存在する、ストライプ状の接着部により不織布とフィルムとが一体化されてなるものであった。
(実施例3)
不織布1と、実施例1で用いたのと同じオレフィン系ポリマーのフィルムとを、押し出しラミネート法により部分的に接着し、一体化させた。押し出しラミネートに際しては、エチレン・オクテン−1エラストマー(TPE)をTダイから押し出し、一方のロールに周方向に延びる凸部が一定間隔で設けられたニップロールを用いた。得られた積層シートは、不織布と、エラストマー層(25μm)/オレフィン系積層フィルム(35μm)の積層フィルムとからなり、不織布の縦方向と一致する方向に延びた幅4mmの接着部と幅4mmの非接着部とが不織布の横方向において交互に存在する、ストライプ状の接着部により不織布とフィルムとが一体化されてなるものであった。
(実施例4)
不織布1と、実施例1で用いたのと同じオレフィン系積層フィルムとを、熱エンボス加工により部分的に接着し、一体化させた。熱エンボスに際しては、直径1mm、高さ0.5mmの円柱状の凸部(凸部のエンボス面積:0.79mm)が設けられたエンボスロールを用い、温度を100℃、圧力0.3MPaとした。得られた積層シートは、不織布とフィルムとからなり、接着部が積層シート全体の面積の19.7%を占めていた。
(実施例5)
不織布2と、実施例1で用いたのと同じオレフィン系積層フィルムとを、熱エンボス加工により部分的に接着し、一体化させた。熱エンボスに際しては、直径1mm、高さ0.5mmの円柱状の凸部(凸部のエンボス面積:0.79mm)が設けられたエンボスロールを用い、温度を100℃、圧力0.3MPaとした。得られた積層シートは、不織布とフィルムとからなり、接着部が積層シート全体の面積の19.7%を占めていた。
(比較例1)
不織布3と、実施例1で用いたのと同じオレフィン系積層フィルムとを、熱エンボス加工により部分的に接着し、一体化させた。熱エンボスに際しては、直径1mm、高さ0.5mmの円柱状の凸部(凸部のエンボス面積:0.79mm)が設けられたエンボスロールを用い、温度を100℃、圧力0.3MPaとした。得られた積層シートは、不織布とフィルムとからなり、接着部が積層シート全体の面積の19.7%を占めていた。
実施例1ないし5、および比較例1の機械的物性を表2に示す。表2において、各物性は次の方法で測定した値である。
(厚み)
厚み測定機(商品名 THICKNESS GAUGE モデル CR−60A (株)大栄科学精器製作所製)を用い、試料1cm2あたり3gの荷重を加えた状態で測定した。
(破断強力、破断伸度、10%伸長時応力)
JIS L 1096 6.12.1 A法(ストリップ法)に準じて、定速緊張形引張試験機を用いて、試料片の幅5cmとし、積層シートについては、つかみ間隔10cmに設定して、フィルムについては、つかみ間隔を5cmに設定して、引張速度30±2cm/分の条件で引張試験に付し、切断時の荷重値(破断強力)、破断伸度、10%伸長時応力(10%伸長させるのに必要な力)および20%伸長時応力(20%伸長させるのに必要な力)を測定した。引張試験は、不織布の縦方向(MD方向)および横方向(CD方向)方向と一致する方向を引張方向として実施した。評価結果はいずれも3点の試料について測定した値の平均で示している。
Figure 0006351493
高い熱収縮性を有する繊維を収縮させた繊維を含み、破断伸度の異方性が小さい(T”MD/T”CDが0.5以上である)不織布1および不織布2を用いた実施例1ないし5は、10%伸長時応力の異方性が、熱収縮性繊維を収縮させた不織布を含まない比較例よりも有意に小さかった。また、その他の機械的物性(破断強力、破断伸度、20%伸長時応力)についても、いずれも異方性が小さかった。
本発明の積層シートは、折り曲げられる領域を含む対象物に当てて使用するのに適しており、医療用および衛生用シート、農業用シート、産業用シート(例えば、車両用、機械用、建築材料用)として用いることができる。
10 凹凸
100 不織布
20 不織布
22 積層フィルム
24 接着部
25 予め製膜されたフィルム
26 接着剤層
27 剥離紙
200 積層シート

Claims (13)

  1. 不織布とフィルムとを含む積層シートであって、
    前記不織布は、温度130℃、時間15分間、初荷重0.018mN/dtexで測定される乾熱収縮率が30%以上である熱収縮性繊維を熱収縮させてなる繊維を含み、
    前記不織布と前記フィルムとは、部分的に接着されて一体化しており、
    前記不織布の縦方向および横方向と平行な方向をそれぞれ前記積層シートの縦方向および横方向とした場合に、前記積層シートの縦方向の10%伸長時応力(S10% MD)と、横方向の10%伸長時応力(S10% CD)との比(S10% MD/S10% CD)が0.5以上3以下である積層シート。
  2. 前記熱収縮性繊維が単一繊維であり、
    前記不織布が、温度130℃、時間15分間、初荷重0.018mN/dtexで測定される乾熱収縮率が10%以下である非熱収縮性繊維を含む、
    請求項1に記載の積層シート。
  3. 前記単一繊維がプロピレン共重合体を20質量%以上含む単一繊維である、請求項2に記載の積層シート。
  4. 前記不織布が、皺状の凹凸、または皺状の凹凸が加圧されて形成された皺状の模様を、表面に有する、請求項2または3に記載の積層シート。
  5. 前記積層シートが、当該積層シートの少なくとも一方の表面に設けられた粘着剤層をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層シート。
  6. 前記積層シートの縦方向の破断強力(EMD)と、横方向の破断強力(ECD)との比(EMD/ECD)が0.25以上3.0以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層シート。
  7. 前記フィルムと前記不織布とが部分的な熱接着により一体化され、
    熱接着部と非熱接着部とが前記不織布の横方向において交互に位置するストライプを形成している、請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層シート。
  8. 前記フィルムの縦方向の破断強力(E’MD)と、横方向の破断強力(E’CD)との比(E’MD/E’CD)が0.25以上3.0以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層シート。
  9. 前記フィルムが、天然ゴム、合成ゴム、および熱可塑性エラストマーから選択されるいずれか一つまたはその混合物を含むエラストマー層を有する、単層または積層フィルムである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層シート。
  10. 前記フィルムが積層フィルムであり、
    前記エラストマー層が、熱可塑性エラストマー、または熱可塑性エラストマーとポリオレフィン系樹脂との混合物を含み、
    前記エラストマー層以外の一または複数の層が独立して、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、熱可塑性エラストマー(前記エラストマー層に含まれる熱可塑性エラストマーは除く)、またはその混合物を含む、
    請求項9に記載の積層シート。
  11. 前記熱収縮性繊維が潜在捲縮性複合繊維であり、当該潜在捲縮性複合繊維を熱収縮させてなる繊維において立体捲縮が発現している、請求項1、4〜10のいずれか1項に記載の積層シート。
  12. 温度130℃、時間15分間、初荷重0.018mN/dtexで測定される乾熱収縮率が30%以上である熱収縮性繊維、および温度130℃、時間15分間、初荷重0.018mN/dtexで測定される乾熱収縮率が10%以下である非熱収縮性繊維を含む繊維ウェブを得ること、
    前記繊維ウェブに水流を噴射して、繊維同士を交絡させた水流交絡繊維ウェブを得ること、
    前記熱収縮性繊維が30%以上熱収縮する温度以上で前記水流交絡繊維ウェブを熱処理し、前記水流交絡繊維ウェブに含まれる前記熱収縮性繊維を熱収縮させて、不織布を得ること、および
    前記不織布とフィルムとを、一方が表面に凹凸を有する一対のニップロールで押出しラミネートして、不織布とフィルムを部分的に熱接着して一体化させ、積層シートを得ること、
    を含む積層シートの製造方法。
  13. 前記熱収縮性繊維を熱収縮させるときに、前記繊維ウェブの横方向の熱処理開始時の幅を100%としたときに、熱処理終了時の幅が25%以上120%以下となるように、前記繊維ウェブの幅を制御する、請求項12に記載の積層シートの製造方法。
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