JP6348303B2 - 熱間圧延鋼帯の圧延方法及び装置 - Google Patents

熱間圧延鋼帯の圧延方法及び装置 Download PDF

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Description

本発明は熱間圧延鋼帯の粗圧延ラインにおいて一対のエッジャーロールで圧延材を幅圧延する熱間圧延鋼帯の圧延方法及び装置に関する。
熱間圧延鋼帯の粗圧延ラインにおいては、目標とする製品幅を得るために一対のエッジャーロールで圧延材を幅圧延することが行われる。
このような幅圧延においては、圧延材が浮き上がる現象(以下、「バックリング」という)が発生することがある。
バックリング防止技術としては、例えば特許文献1には、圧延材の幅方向端部を上下からおさえる端部押えロールを設けると共に、圧延材の幅方向中間部を上下にて支持する中間部押えロールを設け、前記押えロールの軸芯を前記左右の竪ロールの軸線を結ぶ平面と平行に配置したものがある。
また、他の例としては、例えば特許文献2には、一対のエッジャ・ロール間のロール・バイト部において圧延材板幅方向に複数に分割し、かつ、板幅方向に移動可能な押えロールを圧延材の上面及び下面に接触するように配置し、圧延材板幅に応じて押えロールの板幅方向位置を調整するようにした技術が開示されている。
特開昭57−168707号公報 特開昭62−9703号公報
上記の従来技術はいずれも押さえロールを用いるものであるが、押さえロールを用いるとしとても圧延材の全幅を完全に押さえることはできず、バックリングを確実に防止できない。
また、種々の板幅の圧延材に対して適用しようとすると、設備が煩雑になり、コスト増となるという問題もある。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、確実にバックリングを防止できると共に種々の板幅の圧延材に対しても適用が可能な技術を提供することを目的としている。
まず、本発明を完成するに至った経緯について説明する。
前述した特許文献1、2においては、コイル幅が大きくなるとバックリングが発生するということを前提として、その抑制対策を行っている。
しかしながら、発明者の経験によれば、バックリングは低炭素・低温材、ハイテン材をはじめとする硬質で狭幅の圧延材で発生しているという実態がある。
この実態は、特許文献1、2において述べられている圧延材の幅が広くなるとバックリングが発生するという認識とは異なっている。
そこで、発明者はバックリングの発生状況について、詳細に検討した。
まず、図6に基づいて検討に用いた圧延設備31について説明する。
圧延設備31は、圧延材Sを搬送テーブル(図示略)で基本的に上流(図6中左側)から下流(図6中右側)に流しながら圧延等の処理をして、最終的に圧延材Sを薄板状に圧延した後コイル状に巻き取りを行う。
より具体的には、図6に示すように、上流から順に、スラブを圧下して板幅の調整を行うサイジングプレス機33、粗圧延を行う粗圧延機R2および粗圧延機R4、仕上げ圧延を行う仕上圧延機35、および圧延後の鋼板をコイル状に巻き取るコイラー37が配置されている。
粗圧延機R2は、圧延材Sを上流から下流へ流す圧延を行い、さらにその後圧延材Sを逆方向に流すリバース圧延を行う。このようにして、粗圧延機R2では複数回の圧延を行う。他方、粗圧延機R4では、圧延材Sを上流から下流へ流す際に1回の圧延が行われる。
粗圧延機R2のすぐ上流には第1エッジャーロール39が、すぐ下流には第2エッジャーロール41が、そして粗圧延機R4のすぐ上流には第3エッジャーロール43がそれぞれ配置されており、粗圧延機R2および粗圧延機R4において圧延を行う際に、圧延材Sの板幅を所定量圧下して、圧延材Sを所定の板幅に調整する。
圧延設備31においては、粗圧延機R2、粗圧延機R4、第1エッジャーロール39、第2エッジャーロール41、および第3エッジャーロール43を有するラインが粗圧延を行う粗圧延ラインである。
流れる鋼板の板幅を測定するために、第2エッジャーロール41と第3エッジャーロール43の間には第1幅測定装置45が、粗圧延機R4と仕上圧延機35との間には第2幅測定装置47が、仕上圧延機35とコイラー37との間には第3幅測定装置49がそれぞれ設置されており、これらを通過する圧延材Sの板幅を周期的に測定することができる。
上記のように構成された圧延設備31で鋼板を圧延を実施した結果をグラフ表示したものを図7に示す。
図7は、一定の速さで流れる圧延材Sにおける、先端部から尾端部にかけての板幅を、第2幅測定装置47によって周期的に測定したものである。図7において、横軸は測定回数(回目)を表し、縦軸は圧延材Sの板幅{1/10(mm)}を表している。
図7において、黒色の折れ線は測定された圧延材Sの粗圧延機R4出側における板幅を表している。灰色の横線は粗圧延機R4の出側における板幅の目標値を表しており、その値は7{1/10(mm)}である。
板幅が0を表す箇所は測定対象の圧延材Sがないことを意味している。測定回数1回目〜40回目付近までの範囲は、圧延材Sの先端がまだ第2幅測定装置47を通過する前であるため、板幅が0になっている。また、測定回数170回目付近より以降は、圧延材Sの尾端が第2幅測定装置47を通過した後であるため、板幅が0になっている。なお、測定回数に圧延材Sの流れる速さを掛けると、圧延材Sの先端からのおおよその距離が分かる。
図7中の点線の丸で囲んだ部分に示す通り、測定回数157回目付近、すなわち圧延材Sの尾端部において板幅が目標値を大幅に超える過幅が発生している。過幅は圧延材Sを各エッジャーロール(第1エッジャーロール39および第2エッジャーロール41)で圧下する際にバックリングが発生したことによって、圧延材Sを幅方向に十分に圧下できなかったために発生する。このことから、バックリングが圧延材Sの尾端部でのみ発生していることが分かる。
このことは、第3幅測定装置49の測定結果からも明らかであり、この点につき以下説明する。
図8は、第3幅測定装置49によって、一定の速さで流れる圧延材Sの幅(仕上幅)を周期的に測定し、その結果に基づいて偏差を算出し、該偏差を測定回数毎に黒色の折れ線で示したグラフである。図8中の灰色の横線はコイラー目標値を表している。図8において、横軸は測定回数(回目)を表し、縦軸は板幅の偏差(mm)を表している。偏差が15mm以上は過幅である。
図8を見ると、測定回数4995回目付近より以降(図8中の点線の丸で囲んだ部分を参照)、すなわち圧延材Sの尾端部で、板幅の偏差が急激に増加している。これは、上流においてバックリングによる過幅が発生し、該発生した過幅がコイラー37で巻き取る際の仕上げ幅に影響していることを意味している。
なお、過幅部分は別の工程で切除されるため、バックリングによる過幅が発生すると歩留率を低下させる。
上記の結果から、バックリングはコイルの尾端でのみ発生するという事実が明らかになった。この事実から、発明者は、コイルの尾端では後続する圧延材Sがないため自重が軽く、それ故圧延材Sが浮き上がってバックリングが発生しやすいとのではないかと考えた。そして、このことは、狭幅の圧延材Sでバックリングが発生しやすいという事実とも一致する。
そこで、発明者は上記の考えに基づいて、バックリング発生のメカニズムについて検討した。この検討結果について以下に説明する。
発明者はまず、エッジャーロール圧下のモデル図を用いて、圧延材Sに作用する力のつり合いについて検討した。図9は、このモデル図であって、第1エッジャーロール39における圧延材Sの進行方向に直交する立断面図を示している。図9において圧延材Sは左右両側から第1エッジャーロール39によって荷重Pで挟圧されながら、紙面直交方向に一定速度で進む。
このとき荷重Pは、本来であれば圧延材Sの厚さ方向中心に作用するものであるが、実際は圧延材Sと第1エッジャーロール39間の摩擦等によって、荷重Pは圧延材Sの厚さ方向中心からある距離vだけずれて作用することが殆どである。
図9に示すように、圧延材Sに図9中右端において荷重Pが、圧延材Sの厚さ方向中心よりも上側に距離vだけずれて作用し、他方、圧延材Sに図9中左端において荷重Pが、圧延材Sの厚さ方向中心よりも下側に距離vだけずれて作用した場合、各荷重Pは偶力として圧延材Sを図9中反時計回りに回転させるように作用する。
圧延材Sの図9中左端における圧延材Sの厚さ方向中心を点Oとすると、圧延材Sの点Oまわりの回転モーメントMは下式(1)で表される。
M=2Pv−mg・W/2 ・・・(1)
ただし、式(1)において、mは圧延材Sの単位長さあたりの質量、gは重力加速度、Wは圧延材Sの幅である。
式(1)は、偶力として作用する荷重Pによって圧延材Sを回転させようするモーメント(2Pv)と、圧延材Sの自重によって圧延材Sを搬送ロールに押し付けて前記回転を抑制しようとするモーメント(mg・W/2)との関係を表している。
式(1)において、圧延材Sを回転させようとするモーメント(2Pv)が大きければ、圧延材Sは点Oまわりに図9中反時計回りに回転し、圧延材Sの片側(点Oの他端側)が浮き上がってしまう。これがバックリングとしての圧延材S片側浮き上がりの発生メカニズムである。
逆に、圧延材Sの自重が重ければ、圧延材Sの回転を抑制するモーメント(mg・W/2)が大きくなり、圧延材Sは回転せずに第1エッジャーロール39によって板幅が所定量圧下される。
以上のことから、自重が重いほどバックリングが発生しないこと、換言すれば自重が軽いほどバックリングが発生しやすいことがわかる。このことは、圧延材Sの尾端においてバックリングが発生しやすいという実態とも一致している。
圧延材Sの自重は圧延材Sの幅Wによって表すことができる。このことについて以下に説明する。
圧延材Sの単位長さをLとすると、単位長さあたりの質量mは、式(2)で表される。
m=WDL・ρ ・・・(2)
ただし、式(2)においてDは圧延材Sの板厚、ρは密度である。
式(2)を式(1)に代入すると、式(3)になる。
M=2Pv−W2DLρg/2 ・・・(3)
式(3)において板厚Dが一定であるとすると、回転モーメントMは板幅Wの関数である。すなわち、幅広の圧延材Sほど回転モーメントMが小さくなり、逆に狭幅の圧延材Sほど、回転モーメントMが大きくなる。
このことは、圧延材Sが幅狭のものほどバックリングが発生しやすいという実態と一致している。
明者は、種々の加工条件でバックリングが発生するかどうかを実験した。実験は、粗圧延機R4において、圧延材Sの粗圧延機R4入側における板幅Winと粗圧延機R4で圧下する幅圧下量ΔWの値を種々の値に変化させて、各加工条件でバックリングが発生するかどうかを確認するというものである。
このとき、圧延材Sの板厚Dを一定にして、圧延材Sの粗圧延機R4入側における板幅Winのみが圧延材Sの単位長さあたりの質量mに影響するようにした。すなわち、板幅Winが狭いほど単位長さあたりの質量mは軽く、逆に板幅Winが広いほど単位長さあたりの質量mが重くなる。
実験結果を図10に示す。図10において横軸は粗圧延機R4の入側板in(mm)を表し、縦軸は幅圧下量ΔW(mm)を表している。図10において、白丸のプロットはバックリングが発生しなかった加工条件を表し、×印のプロットはバックリングが発生した加工条件を表す。また、黒丸のプロットは通常操業時の加工条件であり、バックリングは発生していない。
各×印のプロットを近似する近似曲線を2次曲線で表したものを図10中に破線のグラフで示す。各×印のプロットはいずれも破線のグラフに近接しており、破線のグラフは各×印のプロットをよく近似している。このことは、上述した力学的な検討結果(式(3)参照)と一致する。
図10において、破線のグラフより上側の領域は、バックリングが一定の確率で発生する可能性のある領域(バックリング領域)であり、破線のグラフより下側の領域は、バックリングが発生せずに加工できる領域(安定領域)である。
図10をみると、各黒丸のプロットは安定領域内ではあるが、破線のグラフよりも離れており、幅圧下量ΔWを大きくする余地があることが分かる。
図10中の破線のグラフを式(近似曲線式)で表すと式(4)になる。
ΔW=A・ in(1+B・Win 2) ・・・(4)
但し、式(4)において、ΔWは限界座屈幅圧下量、Hinは入側板厚、Winは入側板幅、AおよびBは定数である。
AおよびBは、図10に示すような実験データに基づく回帰等によって決定することができる。例えば、図10に示す場合、A=0.383、B=1.78×10-6であった。
また、式(3)から分かるように、密度が鉄とは異なる材料、例えばチタンなどの特殊材の場合、同様な実験を行い、A、Bを算出する必要がある。
本発明は上記の知見に基づくものであり、具体的には以下の構成を備えてなるものである。
(1)本発明に係る熱間圧延鋼帯の圧延方法は、熱間圧延鋼帯の粗圧延ラインにおいて一対のエッジャーロールで圧延材を幅圧延するに際して、各パスにおける最大圧下量を決定する際の制約条件として下式で示すバックリング限界式を用いてパススケジュールを決定して幅圧延することを特徴とするものである。
ΔW=A・Hin(1+B・Win 2
但し、ΔW:限界座屈幅圧下量
in:入側板厚
in:入側板幅
A、B:定数
(2)本発明に係る熱間圧延鋼帯の圧延装置は、熱間圧延鋼帯の粗圧延ラインにおいて一対のエッジャーロールで圧延材を幅圧延する熱間圧延鋼帯の圧延装置であって、
前記エッジャーロールにおけるパススケジュールを作成するパススケジュール作成装置を有し、
該パススケジュール作成装置は、各パスにおける最大圧下量を決定する際の制約条件として下式で示すバックリング限界式を用いてパススケジュールを作成するパススケジュール作成手段を有することを特徴とするものである。
ΔW=A・Hin(1+B・Win 2
但し、ΔW:限界座屈幅圧下量
in:入側板厚
in:入側板幅
A、B:定数
本発明においては、バックリング限界式として、圧延材の回転モーメントを考慮したバックリングの発生メカニズム等の知見に基づいて得られた式(上記式(4))を用いることで、確実にバックリングを防止できると共に種々の板幅の圧延材に対しても適用することができる。
実施の形態に係る熱間圧延鋼帯の圧延装置の構成を説明する説明図である。 実施の形態に係る熱間圧延鋼帯の圧延装置によるパススケジュールの作成方法を説明するフローチャート図である。 実施の形態に係る熱間圧延鋼帯の圧延装置によって作成されたパススケジュールの一例を説明する説明図である。 実施の形態に係る熱間圧延鋼帯の圧延装置によるパススケジュールの作成方法を説明する説明図である(その1)。 実施の形態に係る熱間圧延鋼帯の圧延装置によるパススケジュールの作成方法を説明する説明図である(その2)。 従来の圧延装置の構成を説明する説明図である。 従来の圧延装置を用いて粗圧延を行った結果を説明する説明図である(その1)。 従来の圧延装置を用いて粗圧延を行った結果を説明する説明図である(その2) エッジャーロールにおける圧延材に立断面図であって、バックリングの発生メカニズムについて説明する説明図である。 バックリングの発生メカニズムを検証するためのバックリング発生実験の結果について説明する説明図である。
本実施の形態に係る熱間圧延鋼帯の圧延方法は、熱間圧延鋼帯の粗圧延ラインにおいて一対のエッジャーロール(第1エッジャーロール39、第2エッジャーロール41および第3エッジャーロール43)で圧延材Sを幅圧延するに際して、各パスにおける最大圧下量を決定する際の制約条件として上記式(4)で示すバックリング限界式(以下に再度記載する)を用いてパススケジュールを決定して幅圧延することを特徴とするものである。
ΔW=A・Hin(1+B・Win 2) ・・・(4)
但し、ΔW:限界座屈幅圧下量
in:入側板厚
in:入側板幅
A、B:定数
上記の圧延方法は熱間圧延鋼帯の圧延装置1によって実施されるので、この圧延装置1について、図1に基づいて説明する。
本実施の形態の熱間圧延鋼帯の圧延装置1は、前述した図6に示す構成を有し、さらに、エッジャーロール(第1エッジャーロール39、第2エッジャーロール41および第3エッジャーロール43)におけるパススケジュールを作成するパススケジュール作成装置3を有している。
このパススケジュール作成装置3は、図1に示すように、PC(パーソナルコンピュータ)等によって構成され、表示装置5と入力装置7と補助記憶装置9および演算処理部11とを有している。また、演算処理部11には、表示装置5と入力装置7および補助記憶装置9が接続され、演算処理部11の指令によって各機能を行う。
表示装置5は計算結果の表示等に用いられ、液晶モニター等で構成される。入力装置7はオペレータからの入力等に用いられ、キーボードやマウス等で構成される。補助記憶装置9は、ファイルの記憶等に用いられ、ハードディスク等で構成される。
演算処理部11はPC等のCPU等によって構成される。演算処理部11内には、各パスにおける最大圧下量を決定する際の制約条件としてバックリング限界式を用いてパススケジュールを作成するパススケジュール作成手段13を有している。
パススケジュール作成手段13は、CPU等が所定のプログラムを実行することによって実現される。パススケジュール作成手段13について以下に詳細に説明する。
<パススケジュール作成手段>
パススケジュール作成手段13は、各パスにおける出側の板幅の最大幅と最小幅を所定の方法でそれぞれ求めて、これらの各パスにおける出側の板幅の最大幅と最小幅に基づいて、各パスにおける圧下量を決定する。
パススケジュールとは、エッジャーロール(第1エッジャーロール39、第2エッジャーロール41、第3エッジャーロール43)で幅圧延するにあたって、粗圧延前の圧延材Sを粗圧延後の目標板幅になるようにパス数や、各パスにおける圧下量等をいう。
パススケジュールは、そのパス数ができる限り少ない方が生産性上望ましい。一方、パス数を少なくすると各パスにおける圧下量を大きくする必要がある。しかし、各パスの圧下量には種々の制約によって最大値が制限されるので、そのことを前提として、パス数と各パスの圧下量の最適な組み合わせを決定する必要がある。
なお、粗圧延機R2や粗圧延機R4で板厚方向に圧下すると板幅が広がるため、その後エッジャーロール(第1エッジャーロール39、第2エッジャーロール41および第3エッジャーロール43)による幅圧下量が小さければ、入側の板幅よりも出側の板幅が広くなる場合がある。そのため、粗圧延前の板幅は粗圧延後の目標板厚よりも幅狭のものであってもよい。
なお、以下の説明では、各パスにおける入側の板幅よりも出側の板幅が狭くなる圧下のことを正の圧下といい、逆に、上記のように入側の板幅よりも出側の板幅が広くなる圧下を負の圧下という。
また、各パスにおける圧下量と、入側の板幅と、出側の板幅とには一定の関係(入側の板幅−圧下量=出側の板幅)がある。正の圧下の場合、圧下量は正の値であり、出側の板幅は入側の板幅よりも狭くなる。逆に負の圧下の場合、圧下量は負の値であり、出側の板幅は入側の板幅よりも広くなる。
各パスにおける圧下量は、正の圧下量の最大値(正の最大圧下量)から負の圧下量の最大値(負の最大圧下量)の範囲で決定することができる。
以上のことを前提として、パススケジュール作成手段13に基づくパススケジュール作成方法の一例を、図2に基づいて以下に説明する。
まず、パススケジュール作成手段13は、パス数を仮設定する(S1)。仮設定されるパス数は、通常、経験上の最適なパス数に基づいて予め定められている。本例では、パス数の仮設定として、粗圧延機R2で5パス、粗圧延機R4で1パスとする計6パスで幅圧延を行う場合について説明する。
次に、最終パスから最初のパスの各パスにおける出側の板幅の最大幅と最小幅を演算する(S3)。
上述したとおり、圧下量と、入側の板幅と、出側の板幅とには一定の関係があるため、あるパスにおいて出側の板幅を基準に考えれば、入側の板幅は、当パスの圧下量を考慮してある一定の範囲内に収まっている必要がある。
そこで、最終パス(粗圧延機R4における1パス。以下、粗圧延機R4における1パスを「R4−1」と表記する)に着目すれば、出側の板幅は粗圧延後の目標板幅であり、この値は予め決定されて入力されている。
それ故、R4−1入側の最大幅は、(粗圧延後の目標板幅)+(R4−1における正の最大圧下量)で表される。他方、R4−1入側の最小幅は(粗圧延後の目標板幅)+(R4−1における負の最大圧下量)で表される。
上述したとおり、圧下量は、正の最大圧下量から負の最大圧下量の範囲でコントロールすることができる。従って、R4−1の入側の板幅が、上記の最大幅と最小幅の間であれば、どのような幅のものでも粗圧延後の目標板幅に圧下することができる。
R4−1における正の最大圧下量は、入側板inや入側板幅W in等に基づいて、様々な制約条件(例えば、バックリング、荷重、トルク、噛み込み等)毎に、各制約条件を満たすような最大の正の圧下可能量をそれぞれ算出し、その中で最小のものをR4−1における正の最大圧下量として採用する。
このとき、バックリング制約条件を満たすような最大の圧下可能量、すなわちバックリングが発生しないような最大の圧下可能量(限界座屈幅圧下量ΔW)は、上述した式(4)に示すバックリング限界式に基づいて演算する。このように、式(4){ΔW=A・ in(1+B・Win 2)}に示すバックリング限界式を用いることで、確実にバックリングを防止できる。
同様に、R4−1における負の最大圧下量も様々な制約条件に基づいて算出される。
このようにして、R4−1における入側の最大幅および最小幅が演算される。
同様に、R4−1の1つ前のパスである粗圧延機R2の5パス目(以降、「R2−5」と表記する。他のパスも同様に表記する。例えば、1パス目を「R2−1」と表記する。)における入側の最大幅および最小幅を演算する。
R2−5における入側の最大幅は、(R2−5の出側の最大幅)+(R2−5における正の最大圧下量)で表される。
R2−5における入側の最小幅は、(R2−5の出側の最小幅)+(R2−5における負の最大圧下量)で表される。
ここで、R2−5における出側の最大幅および最小幅は、上記求めたR4−1における入側の最大幅および最小幅である。従って、R2−5における正の最大圧下量および負の最大圧下量を上記と同様の手順で求めれば、R2−5における入側の最大幅および最小幅が求められる。
R2−5より前のパス(R2−4〜R2−1)においても同様の手順で順次入側の最大幅および最小幅を演算する。
このようにして最終パス(R2−5)から最初のパス(R2−1)において入側の最大幅(R2−1最大幅〜R2−5最大幅、R4最大幅)および最小幅(R2−1最小幅〜R2−5最小幅、R4最小幅)が演算される(S3)。
次に、パススケジュール作成手段13は、上記求めた各パスにおける最大幅および最小幅のうち、最初のパス(R2−1)における最大幅と最小幅との間に、別途入力される粗圧延前の板幅が収まるかどうか(R2−1最小幅≦粗圧延前の板幅≦R2−1最大幅)、すなわち粗圧延前の板幅が最初のパスにおける圧下可能な範囲内にあるかどうかを判定する。(S5)
そして、圧延材Sの板幅が圧下可能な範囲内にあれば、各パスにおける圧下量を演算する(S7、圧下量の演算方法については後述する)。
逆に、圧延材Sの板幅が圧下可能な範囲内になければ、粗圧延機R2のパス数を増減して(S9)、再度各パスにおける最大幅と最小幅を算出し直して、粗圧延前の板幅が最初のパス(R2−1)における圧下可能な範囲にあるかどうかを確認する。このような処理を圧延材Sの板幅が圧下可能な範囲内に収まるようになるまで繰り返す。なお、このような処理については一例を挙げて後に説明する。
各パスにおける圧下量の演算方法について以下に説明する。
各パスにおける圧下量は均等になるようにすることが好ましい。そこで、以下の手順で圧下量を演算する。
まず、R2−1最大幅とR2−1最小幅との差を、粗圧延前の板幅の値で内分するときの内分比、すなわち{(R2−1最大幅)−(粗圧延前の板幅)}:{(粗圧延前の板幅)−(R2−1最小幅)}を求める。
次に、前記内比率で各パスにおける最大幅と最小幅との差を内分する値を求める。このようにして求められた各値が、各パスにおける出側の板幅である。
このように、同一の内分比で各パスの出側の板幅を決定することによって、各パスでの圧下量を均一化することができる。
作成されたパススケジュールの一例を図3に示す。図3は、パススケジュールを各パスにおける出入側毎の板幅で表した図である。図3のパススケジュールは粗圧延機R2で5パス、粗圧延機R4で1パスの計6パスで幅圧延を行うものである。
図3中の縦軸は圧延材Sの板幅である。図3中の横軸は左から順に、R2−1における入側(R2−1入側)、R2−1における出側(R2−1出側)、R2−2における出側(R2−2出側)・・・R2−5における(R2−5出側)、R4−1における出側(R4出側)を表している。
なお、R2−1における入側の板幅とは粗圧延前の板幅のことである。また、R2−2以降のパスにおける入側の板幅はその前のパスにおける出側の板幅のことである。
以上のように、本実施の形態においては、式(4)に示すバックリング限界式を一制約条件として用いて各パスの最大幅を求め、該最大幅に基づいて各パスにおける圧下量を演算するので、各パスにおいてバックリングを生じない。また、式(4)に示すバックリング限界式は、板幅に基づいているので、種々の板幅の圧延材に対しても適用することができる。
次に、パススケジュール作成手段13に基づくパススケジュール作成方法の他の例を、図2、図4、図5に基づいて以下に説明する。本例は、仮設定されるパス数では、図2のフローチャートにおけるS5の判定(粗圧延前の板幅が最初のパスにおける圧下可能な範囲内にあるかどうかの判定)で、範囲外であった場合について説明する。
まず、パススケジュール作成装置3に粗圧延前の板幅および板厚、粗圧延後の目標板幅等を入力する。
粗圧延機R2で5パス、粗圧延機R4で1パスの計6パスを仮パス数とする(S1)。次に、各パスにおける入側の最大幅と最小幅を演算する(S3)。
次に、粗圧延前の板幅が1パス目における圧下可能な範囲内にあるかどうかを確認する(S3)。
このとき、図4に示すように、粗圧延前の板幅が圧下可能な範囲内になければ、粗圧延機R2のパス数を増減して(S7)、増減されたパス数に基づいて再度各パスにおける最大幅と最小幅を演算する(S1、S3)。図5は、粗圧延機R2のパス数を5パスから7パスに増加させて、再度最大幅と最小幅を演算したものである。この場合、粗圧延前の板幅が圧下可能な範囲内にあるので、各パスにおける圧下量を決定する(S7)。作成したパススケジュールを図5中に二重線で示す。
上記のように式(4){ΔW=A・ in(1+B・Win 2)}に示すバンクリング限界式を用いて、パススケジュールを作成して、実機にて圧延を行いバックリング発生の有無を調査した。圧延に際しては圧延材Sとして、材質がハイテンをはじめとする硬質材で、サイズが板幅700mm未満の狭幅材を用いた。
調査の結果、バックリングによる板幅不良発生率が0.02%減少(板幅不良裏歩留▽0.02%)し、バックリング抑制効果が確認された。
S 圧延材
R2、R4 粗圧延機
1 圧延装置
3 パススケジュール作成装置
5 表示装置
7 入力装置
9 補助記憶装置
11 演算処理部
13 パススケジュール作成手段
31 圧延設備
33 サイジングプレス機
35 仕上圧延機
37 コイラー
39 第1エッジャーロール
41 第2エッジャーロール
43 第3エッジャーロール
45 第1幅測定装置
47 第2幅測定装置
49 第3幅測定装置

Claims (2)

  1. 熱間圧延鋼帯の粗圧延ラインにおいて一対のエッジャーロールで圧延材を幅圧延するに際して、各パスにおける最大圧下量を決定する際の制約条件として下式で示すバックリング限界式を用いてパススケジュールを決定して幅圧延することを特徴とする熱間圧延鋼帯の圧延方法。
    ΔW=A・Hin(1+B・Win 2
    但し、ΔW:限界座屈幅圧下量
    in:入側板厚
    in:入側板幅
    A、B:定数
  2. 熱間圧延鋼帯の粗圧延ラインにおいて一対のエッジャーロールで圧延材を幅圧延する熱間圧延鋼帯の圧延装置であって、
    前記エッジャーロールにおけるパススケジュールを作成するパススケジュール作成装置を有し、
    該パススケジュール作成装置は、各パスにおける最大圧下量を決定する際の制約条件として下式で示すバックリング限界式を用いてパススケジュールを作成するパススケジュール作成手段を有することを特徴とする熱間圧延鋼帯の圧延装置。
    ΔW=A・Hin(1+B・Win 2
    但し、ΔW:限界座屈幅圧下量
    in:入側板厚
    in:入側板幅
    A、B:定数
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