JP6347840B2 - 技工用重合装置 - Google Patents
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Description
仮重合装置は材料を積層したときに当該積層した一部について作業中における変形を避けるため部分的な硬化をさせる重合装置である。仮重合装置を用いた仮重合では作製者が作製途中の歯科補綴物を手に持ち、必要な部位へ光を照射する。これにより部分的な重合を短時間で簡易におこなうことができる(例えば特許文献1、2)。
本重合装置は材料を全て積層した後に仕上げとして全体をムラなく重合させる装置である。通常はチャンバー(容器)内に作製した重合前の歯科補綴部を設置し扉(フタ)を閉める等して閉空間を形成してから歯科補綴物の全体に光を照射する。作製する歯科補綴物の大きさや細かさにもよるが数分に亘って光が照射され、確実な重合が行われる。また効率よく重合を行う観点から回転テーブル上に重合前の歯科補綴物が設置され、回転しながら光を照射して重合が行われることもある(例えば特許文献3)。
また、2種類の重合装置ではそれぞれ外形や光の照射範囲、光の強さが異なるため、これらを単純に1つに合わせることもできなかった。
本形態では、基体12はその上面となる側に、一端側から他端側に向けて操作盤配置部12a、重合空間形成部12b、及びフタ保持部12cが配置されている。
操作盤配置部12aは制御手段19の操作盤22が配置される部位である。操作盤22は使用者に供されるので、操作盤配置部12aは使用者側(正面側、図2(a)の紙面左側)に配置することが好ましい。
重合空間形成部12bはこの上に重合のための空間(重合空間)が形成される部位であり、本形態では回転台13が配置されている。回転台13の上に重合の対象である歯科補綴物1が配置されて光が照射される(図8参照)。
フタ保持部12cは、フタ25を本体11に保持し、該フタ25を開閉してフタ25の内外を連通する開口の形成及び開口の閉鎖を行う際にフタ25を回動させる軸を有する部位である。従って本形態ではフタ保持部12cはフタ25に設けられた回動軸26を受ける軸受12dを有している。ただし、このようなフタ25の開閉を可能とする手段はこれに限定されることなく、他の公知の手段を用いることができる。これには例えばヒンジが挙げられる。
回転台13の基体12への配置は例えば次のように行われる。すなわち、回転台13のうちモータ13aは基体12の内側に内包され、載置台13cが基体12の重合空間形成部12bから露出して表れている。これにより、本重合の際にここに配置される歯科補綴物1を回転させることができ、さらなる均一な硬化(重合)を可能としている。
本形態では、複数の片が屈折して配置されることにより形成されているが、その他、例えば基板が円弧状に湾曲することにより同様に重合空間形成部12bを上方から覆うように構成されてもよい。このように重合空間形成部12bを覆うように光源を配置する構成は公知の形態を適用することができ、例えば特許文献3にも開示されている。
片15bに配置された光源17は、光軸が斜め下方に向いて重合空間形成部12b(重合空間のうち本重合領域、図8のVIIIa)に向けられている。好ましくは、光軸が水平に対して成す角(図4にθbで示した角度)が45°±15°である。
片15cに配置された光源18は、光軸が下方に向いて重合空間形成部12b(重合空間のうち本重合領域(図8のVIIIa)、及び仮重合領域(図7のVIIa))に向けられている。好ましくは、光軸が水平に対して成す角(図4にθcで示した角度)が75°±15°である。より好ましくは60°以上90°未満である。90°未満とすることにより仮重合時においては歯科補綴物を光照射位置に配置する際に空間を大きく形成することができ、作業のしやすさを確保することが可能である。一方、本重合時には回転台13の回転に伴うことで歯科補綴物に含まれるアンダーカット部への光の照射ができる。
ここで、近紫外線を出射する光源は、315nm以上380nm未満の範囲内にピーク波長を有し、同様に紫色の光を出射する光源は380nm以上430nm未満、青色の光を出射する光は430nm以上520nm未満の範囲にピーク波長を有することを意味する。
また配置される同種の光源の数も特に限定されることなく、1つでもよいし複数でもよい。
基板15の各片15a、15b、15cごとで配置する光源の種類や数を変えてもよいし、全て同じであってもよい。ただし、各片15a、15b、15cで光源の数及び種類を同じとすることで、特に本重合における方向による光の照射ムラを抑制することができるとともに、部材の共通化を図って生産性を向上させることができる。
制御板20は、フタ検出センサ21及び操作盤22から送信された信号を受信して演算し、その結果を回転台13、光源部材14、操作盤22に送信して制御する手段である。従って制御板20は、回転台13、光源部材14、フタ検出センサ21、及び操作盤22と電気的に接続されている。具体的にどのような制御が行われるかについては後で説明する。
本形態では制御板20は本体11の基体12の内側に配置されている。
制御板20は電子回路により構成することができ、例えば実際に演算を行う中央演算子(CPU)、プログラムが保存されたROM、作業領域や結果の保存に用いられるRAM等を備え、各機器との接続のためのインターフェイスを具備している。このようなハードウェアは公知のものを用いることができる。
ここに用いられるセンサは特に限定されることはないが、マイクロスイッチや、位置又は回転を検知するセンサを挙げることができる。
また、操作盤22には光源点灯の残り時間を表示する残時間表示部22dが設けられ、棒グラフにより光源点灯の残り時間が表示される。
これにより、入力された時間や点灯開始の指示を情報として制御板20に送信し、該制御板20は点灯させるべき光源や点灯時間を演算して光源16、17、18、及び回転台13を制御する。
開口部の縁は本体11の上面の形状と概ね同じに形成されている。これにより光源16、17、18から出射された光の漏れを抑制することができる。
なお、フタ25により形成される開口を任意の大きさで維持することができてもよい。このときにもトルクヒンジやバネヒンジを用いることができる。
光透過部27は壁25aに設けられた開口部に透光性の板が嵌め込まれることにより構成されている。透光性の板は、フタ25の内側を視認することができる程度に透明であればよく特に限定されることはないが、光源16、17、18のピーク波長の光を20%以下の透過率で透過する(80%以上遮光する。)ように減光する構成であることが好ましい。そのために例えば全波長に亘って減光する黒色のフィルターや、光源16、17、18の補色となるオレンジ色のフィルターを用いることができる。
または光源16、17、18のピーク波長の光を20%以下の透過率で透過して他残りの80%のうちの少なくとも一部を反射する、マジックミラーであってもよい。これにより光透過部27を通してフタ25の内側を視認した際にも、光源16、17、18による眩しさを低減でき、歯科補綴物が見やすくなる。
光透過部27は、フタ25の閉鎖の姿勢(図4、開口が閉鎖された姿勢)であっても、フタ25の開放の姿勢(図5、開口が形成された姿勢)であっても、重合が行われている部位を視認することができる位置に配置されていることが好ましい。
ただしこれに限られることなく、フタに左右方向に開く方引き又は両引きのスライド式の扉が設けられることにより開閉してフタの内外を連通する開口の形成及び開口の閉鎖が行われてもよい。このときには、扉が最大に開く限度を仮重合をするための開度に制限したり、仮重合をする位置で扉の開閉を規制(ロック)する機構を設けることができる。これにより利用者は、自動的に仮重合時に必要な扉の開度を得ることができ利便性の向上が図られる。
フタ25を仮重合モードの姿勢にすると、制御手段19に備えられたフタ検出センサ21がフタ25の姿勢を検知して信号を制御板20に送信する。当該信号を受けた制御板20では演算が行われ、これが仮重合モードとなるべきであることを決定する。
当該決定により、制御板20は回転台13の載置台13cの回転を規制して載置台13cが回転しないように制御する。さらに、制御板20は光源部材14に対して、光源のうち光軸が重合空間形成部12bに交わる光源の少なくとも1つを点灯可能とし、これ以外を点灯できないように規制する。すなわち、光軸の方向が異なる複数(2方向以上)である光源のうちの一部の方向(フタが閉鎖の姿勢の場合よりも少ない方向数)で光源が点灯する。)ように規制する。本形態では例えば光源18のみを点灯可能として他の光源16、17は点灯できないように規制する。これにより、フタ25の内側であるとともに光源18の照射範囲となる領域が重合空間としての仮重合領域VIIaとなる。またこのとき制御板20は光源18を点灯する時間を設定し点灯時間をカウントダウン(カウントアップ)する。
点灯する光源はフタ25により開口が形成された姿勢で直視することができない位置の光源であることが好ましい。これにより安全性を高めることができる。
なお、このように光源18は、仮重合の際に用いられることからより効率よく重合を行うことができるように、青色のLED、又は青色及び紫色のLEDとされることが好ましい。
また光源18の点灯は、点灯のためのエネルギーを調整して明るく点灯したり暗く点灯したりできてもよい。効率よく短時間で重合する際には高いエネルギーで点灯する。
なお、当該フタ25の閉鎖により操作盤の設定時間(タイマー)がリセットされるように構成することもできる。
フタ25を本重合モードの姿勢にすると、制御手段19に備えられたフタ検出センサ21がフタ25の姿勢を検知して信号を制御板20に送信する。当該信号を受けた制御板20では演算が行われ、これが本重合モードとなるべきであることを決定する。
当該決定により、制御板20は回転台13の載置台13cの回転を可能とし、載置台13cが回転できるように制御する。さらに、制御板20は光源部材14に対して、全ての光源が点灯できるようにする。これにより、フタ25の内側で光源16、17、18の照射範囲となる領域が重合空間としての本重合領域VIIIaとなる。
使用者は図8にVIIIcで示したように光透過部27を通して歯科補綴物1を見て実際の光照射位置を確認しながら本重合を進めることができる。そして本重合用点灯開始スイッチ22aで設定した時間が経過することにより光源16、17、18が消灯する。
また光源の点灯は、点灯のためのエネルギーを調整して明るく点灯したり暗く点灯したりできてもよい。効率よく短時間で重合する際には高いエネルギーで点灯する。
また、いずれのモードであっても光源からの光が直接使用者の目に入ることが防止されており、眩しさによる作業効率の低下を抑制することが可能である。なお、意図しない点灯による眩しさを防止するため、フタ25が仮重合のための姿勢を越えて開放されたときには、これをフタ検出センサ21で検知して、制御板20によりいずれの光源16、17、18も点灯しないように制御してもよい。
過程S12は過程S11の状態において、フタが開いているかを判断する過程(フタ開判断過程)である。すなわち、フタが使用者により開けられたか否かを判断する。フタが開いていなければNoが選択され、引き続き過程S11が維持される。一方フタが開いていれば過程S13に進む。
過程S13はフタが開いた待機状態の過程(フタ開・待機過程)である。
過程S14は過程S13の状態において仮重合が開始されたかを判断する過程(仮重合開始判断過程)であり、使用者により仮重合開始の指令がされたかを判断する。仮重合開始の指令があった場合にはYesが選択され、過程S19で仮重合が開始される(仮重合過程)。そして仮重合が終了することにより終了する。一方、仮重合開始の指令がないときにはNoが選択されて過程S15に進む。仮重合の開始の指令は、使用者が操作盤22の仮重合点灯開始スイッチ22bを押圧する、又はフタ25に囲まれた内側にスイッチが配置された場合には当該スイッチを押圧することにより行うことができる。
過程S17は過程S16の状態において本重合が開始されたかを判断する過程(本重合開始判断過程)であり、使用者により本重合開始の指令がされたかを判断する。本重合開始の指令があった場合にはYesが選択され、過程S18で本重合が開始される(本重合過程)。そして本重合が終了することにより終了する。一方、本重合開始の指令がないときにはNoが選択されて過程S16が維持される。本重合の開始の指令は、使用者がフタ25を閉めたり、点灯開始スイッチ22’c(図6(b)参照)を押圧することにより行うことができる。
過程S22は過程S21の状態において、フタが開いているかを判断する過程(フタ開判断過程)である。すなわち、フタが使用者により開けられたか否かを判断する。フタが開いていなければNoが選択され過程S21が維持される。一方フタが開いていれば過程S23に進む。
過程S23はフタが開いた待機状態の過程(フタ開・待機過程)である。
過程S24は過程S23の状態において仮重合が開始されたかを判断する過程(仮重合開始判断過程)であり、使用者により仮重合開始の指令がされたかを判断する。仮重合開始の指令があった場合にはYesが選択され、過程S30で仮重合が開始される(仮重合過程)。そして仮重合が終了することにより終了する。一方、仮重合開始の指令がないときにはNoが選択されて過程S25に進む。仮重合の開始の指令は、使用者が操作盤22の仮重合点灯開始スイッチ22bを押圧する、又はフタ25に囲まれた内側にスイッチが配置された場合には当該スイッチを押圧することにより行うことができる。
光源の種類の観点からは、紫外線を多く含む光源は仮点灯の際には点灯しないことが好ましい。
また、照射の強さの観点からは、その放射照度と照射時間の積が100J/m2以下であることが好ましい。これを超えた場合には強制的に消灯させることもできる。例えば目視で10秒観察することを想定した場合には放射照度は10W/m2以下とする。また、仮点灯時間を、上記強制的に消灯させる時間の範囲内で操作盤によりタイマーで設定し、照射時間を制限できるように構成してもよい。
本例の光透過部27”は基板15のうち最も使用者側となる側の端部から垂下するように配置され、重合空間に光透過部27”が設けられている。光透過部27”自体の構成は上記した光透過部27と同様である。
このような技工用重合装置10”によればフタ25が大きく開いていても使用者には光透過部27”を通して光が届くためより確実に目を保護することができる。また、このような光透過部27”は仮重合領域VIIa(図7参照)の目印とすることもできる。
図14の例は、集光レンズ31が先端に配置されたスタンド32を載置台13cに置き、集光レンズ31を光源18の出光側に配置する例である。これも手動により必要に応じてスタンド32を載置台13cに載せる。
図15(a)の例は、フタ25の内側に集光レンズ31を保持し、不図示のリンク機構により集光レンズ31を自動的に移動させる例である。すなわち、図15(a)で示したように仮重合モードの姿勢のときには集光レンズ31は光源18の出光側に配置され光源18からの光を集光するが、図15(a)に矢印XVaで示したようにフタ25を閉鎖する(本重合モードの姿勢にする)とリンク機構により集光レンズ31が図15(a)に矢印XVbで示したように移動し、光源18の出光側から除外される。
図15(b)の例は、集光レンズ31と光源18との相対的な距離を変化させて集光の程度を変化させる例である。すなわち、図15(b)で示したように仮重合モードの姿勢のときには集光レンズ31と光源18との距離は光源18からの光を集光するが、手動又は図15(b)に矢印XVcで示したようにフタ25を閉鎖する(本重合モードの姿勢にする)と自動的に光源部材14が図15(b)に矢印XVdで示したように上昇して集光レンズ31と光源18との距離を変更する。これにより集光を解除することができる。ここでは光源部材14を移動させる例で説明したが、集光レンズ31を移動させることでも同様に作用する。
11 本体
12 基体
13 回転台
14 光源部材
15 基板
16、17、18 光源
19 制御手段
20 制御板
21 フタ検出センサ
22 操作盤
25 フタ
26 回動軸
27 光透過部
Claims (4)
- 歯科補綴物に用いられる光硬化性材料を硬化させる技工用重合装置であって、
光軸の方向が少なくとも2方向である複数の光源と、
前記光源を覆いその内側に重合空間を形成するとともに、前記重合空間の内外を連通する開口の形成及び該開口の閉鎖を切り替えるフタと、
前記フタによる前記開口の形成及び該開口の閉鎖を検知するセンサと、
前記センサから信号を受信して、前記開口の形成及び該開口の閉鎖の姿勢に基づいて前記複数の光源のうち前記開口の閉鎖の姿勢では光軸の方向が異なる2方向以上の光源を点灯させ、前記開口が形成された姿勢では前記開口の閉鎖の姿勢よりも少ない方向数の光源を点灯させる制御手段と、を備え、
前記複数の光源のうち少なくとも1つは前記開口に向いた方向の光軸を備えている、技工用重合装置。 - 前記制御手段により前記少ない方向数の光源を点灯させる際には、光軸が前記開口に向いていない前記光源を点灯する、請求項1に記載の技工用重合装置。
- 歯科補綴物に用いられる光硬化性材料を硬化させる技工用重合装置であって、
光軸の方向が少なくとも2方向である複数の光源と、
前記光源を覆いその内側に重合空間を形成するとともに、前記重合空間の内外を連通する開口の形成及び該開口の閉鎖を切り替えるフタと、
前記フタによる前記開口の形成及び該開口の閉鎖を検知するセンサと、
前記センサから信号を受信して、前記開口の形成及び該開口の閉鎖の姿勢に基づいて前記複数の光源のうち前記開口の閉鎖の姿勢では光軸の方向が異なる2方向以上の光源を点灯させ、前記開口が形成された姿勢では前記開口の閉鎖の姿勢よりも少ない方向数の光源を点灯させる制御手段と、
前記フタが閉鎖した姿勢で前記フタで囲まれる空間の内側に配置され、前記開口が形成された姿勢で前記光源の点灯と非点灯とを切り替えるスイッチと、
前記フタで囲まれる空間の外側に配置され、前記閉鎖の姿勢で前記光源の点灯と非点灯とを切り替えるスイッチと、を備える、技工用重合装置。 - 歯科補綴物に用いられる光硬化性材料を硬化させる技工用重合装置であって、
光軸の方向が少なくとも2方向である複数の光源と、
前記光源を覆いその内側に重合空間を形成するとともに、前記重合空間の内外を連通する開口の形成及び該開口の閉鎖を切り替えるフタと、
前記フタによる前記開口の形成及び該開口の閉鎖を検知するセンサと、
前記センサから信号を受信して、前記開口の形成及び該開口の閉鎖の姿勢に基づいて前記複数の光源のうち前記開口の閉鎖の姿勢では光軸の方向が異なる2方向以上の光源を点灯させ、前記開口が形成された姿勢では前記開口の閉鎖の姿勢よりも少ない方向数の光源を点灯させる制御手段と、
前記フタで囲まれる空間の外側に配置され、前記光源の点灯を行うスイッチと、を備え、
前記光源は、高いエネルギーでの点灯と、低いエネルギーでの点灯とが可能であり、
同一の前記スイッチが押された際に、前記制御手段は、前記フタにより開口が形成された姿勢では前記低いエネルギーで前記光源を点灯すべき決定をし、前記フタにより開口が閉鎖された姿勢では前記高いエネルギーで前記光源を点灯すべき決定をして前記光源を点灯させる、技工用重合装置。
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