JP6347562B1 - 内燃機関制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便な構成で、二輪自動車等の車両に搭載された内燃機関の燃焼状態の検出精度を向上させることができる内燃機関制御装置を提供する。【解決手段】本実施形態における内燃機関制御装置100は、クランク軸の回転角に対して規定される所定の角度範囲に対応して順に発生するパルス出力の立ち上がりエッジ及びパルス出力の立ち下がりエッジを検出し、その演算処理は、立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの一方を検出したことに対応して実行される演算処理である第1クランク処理と、立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの他方を検出したことに対応して実行される演算処理である第2クランク処理と、を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関制御装置に関し、特に車両に搭載された内燃機関の燃焼状態を監視する内燃機関制御装置に関する。
近年、二輪自動車等の車両に搭載された内燃機関の失火状態等の燃焼状態を監視するために、内燃機関のクランク軸に連結されたリラクタの回転角、つまりクランク角をクランク角センサで検出して、クランク角の変化量等を算出することにより、内燃機関の燃焼状態を監視する内燃機関制御装置が実現されている。
かかる状況下で、特許文献1は、内燃機関制御装置に関し、あるサイクルにおけるクランク角速度変化量Δωと、その直前のサイクルにおけるクランク角速度変化量Δωとの差異であるサイクル間変動量差分ΔΔωが所定の変動大しきい値ΔΔωthを越えると、そのサイクルを変動大サイクルとしてカウントし、予め設定されたサイクル数の監視サイクル内で変動大サイクルの数が所定の失火検知回数に達した場合、エンジン12の失火を推測検知する構成を開示する。
特開2014−199040号公報
しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献1の構成は、クランク角速度差を用いて精度よく失火の推測検知を行うことを企図したものであるが、更にその精度を向上しようとすると、リラクタの歯数を増やしてクランク角速度を検出する分解能を増やすことが必要となる。具体的には、本発明者の検討によれば、複数の失火や単発の失火等、失火の検出対象には多様なパターンがあることから、四輪自動車向けの内燃機関制御装置では、失火の推測検知の精度を向上させるために、リラクタの歯数を増やして分解能を増やしている。
ところが、リラクタの歯数が増えれば、クランク角センサのパルス出力毎に起動される演算処理が制御部に及ぼす処理負荷が大きくなり、制御部の演算処理能力に余裕がないと内燃機関の高回転数領域で処理が破綻する可能性がある。かかる場合に対処するには、二輪自動車の制御部の演算処理能力には余裕代が少ないことが多いので演算処理能力が高い制御部を用いる必要があり、そのような対処ではコスト増となる。また、二輪自動車のリラクタ径は四輪自動車のリラクタ径と比較して小さいので、リラクタの歯数を増加させる加工は難しく、リラクタの歯数を増加させると同様にコスト増となる。
このように、特に二輪自動車の内燃機関は、四輪自動車の内燃機関と比較して、高回転数領域まで駆動される機会が多い一方で、二輪自動車向けの内燃機関制御装置は廉価であることが求められることから、四輪自動車向けの内燃機関制御装置を適用することは困難であり、新規な構成の内燃機関制御装置の実現が待望された状況にある。
本発明は、以上の検討を経てなされたものであり、簡便な構成で、二輪自動車等の車両に搭載された内燃機関の燃焼状態の検出精度を向上させることができる内燃機関制御装置を提供することを目的とする。
以上の目的を達成するべく、本発明は、内燃機関のクランク軸に連結されたリラクタの円板状の本体部の径方向の周縁部に設けられた複数の凸歯部を検出することにより、前記クランク軸の回転状態を検出するクランク角センサからのパルス出力を用いて前記内燃機関の運転状態を制御する制御部を有する内燃機関制御装置において、前記リラクタの前記複数の凸歯部は、複数の短凸歯部と、前記複数の短凸歯部の前記本体部の周方向の長さよりも長い前記周方向の長さを有する複数の長凸歯部と、有し、前記複数の長凸歯部は、前記リラクタの所定の装着位置関係で、前記内燃機関の上死点に対する遅角側の90度の遅角側角度範囲内及び前記上死点に対する進角側の90度の進角側角度範囲内の第1領域に位置される一方で、前記複数の短凸歯部は、前記所定の装着位置関係で、前記第1領域外の第2領域に位置されるものであり、前記制御部は、前記クランク角センサが前記複数の短凸歯部及び前記複数の長凸歯部のいずれかの凸歯部の周方向端部を検出することに応じ時系列的に順に発生する前記パルス出力の立ち上がりエッジ及び前記パルス出力の立ち下がりエッジを検出し、前記制御部の演算処理は、前記制御部が、前記クランク角センサが前記複数の短凸歯部及び前記複数の長凸歯部のいずれかの前記周方向端部の一方である第1歯端部を検出することに応じ発生する前記パルス出力の前記立ち上がりエッジ及び前記立ち下がりエッジの一方である第1パルス端部を検出したことに対応して実行る演算処理である第1クランク処理と、前記制御部が、前記クランク角センサが前記複数の長凸歯部の前記前記周方向端部の他方である第2歯端部を検出することに応じ発生する前記パルス出力の前記立ち上がりエッジ及び前記立ち下がりエッジの他方である第2パルス端部を検出したことに対応して実行る演算処理である第2クランク処理と、を含むことを第1の局面とする。
また、本発明は、第1の局面に加えて、前記制御部は、前記第2クランク処理では、前記クランク角センサが前記第2歯端部を検出することに応じ発生する前記パルス出力の前記第2パルス端部を検出した場合に、その実行タイミングに応じて前記クランクの角速度を算出し、前記第1クランク処理では、前記クランク角センサが前記第1歯端部を検出することに応じ発生する前記パルス出力の前記第1パルス端部を検出した場合に、その実行タイミングに応じて前記角速度の算出をすると共に、前記第1クランク処理で算出された前記角速度及び前記第2クランク処理が実行されている場合には前記第2クランク処理で算出された前記角速度を用いてそれらの経時変化から前記内燃機関の失火の判定を行うことを第2の局面とする。
また、本発明は、第の局面に加えて、前記複数の長凸歯部は、前記リラクタの所定の装着位置関係で前記遅角側角度範囲に位置される1つのみの第1長凸歯部と、前記リラクタの所定の装着位置関係で前記進角側角度範囲に位置される1つのみの第2長凸歯部と、からなり、前記クランク角センサが前記第2歯端部を検出することに応じ発生する前記パルス出力は、前記遅角側角度範囲で第1の対をなす前記立ち上がりエッジ及び前記立ち下がりエッジのみを含むと共に前記進角側角度範囲で第2の対をなす前記立ち上がりエッジ及び前記立ち下がりエッジのみを含ことを第の局面とする。
また、本発明は、第2又は第3の局面に加えて、前記制御部は、前記クランク角センサが前記第2歯端部を検出することに応じ発生する前記パルス出力の前記第2パルス端部を検出した場合に、前記内燃機関に対する外部負荷が無い状態では、前記第2クランク処理を実行する一方で、前記内燃機関に対する外部負荷が有る状態では前記第2クランク処理を実行しないことを第の局面とする。
また、本発明は、第2から第のいずれかの局面に加えて、前記制御部は、前記クランク角センサが前記第2歯端部を検出することに応じ発生する前記パルス出力の前記第2パルス端部を検出した場合に、前記内燃機関の回転数が所定回転数以下のときには、前記第2クランク処理を実行する一方で、前記内燃機関の回転数が所定回転数を超えるときには、前記第2クランク処理を実行しないことを第の局面とする。
また、本発明は、第2から第のいずれかの局面に加えて、前記制御部は、前記クランク角センサが前記第2歯端部を検出することに応じ発生する前記パルス出力の前記第2パルス端部を検出した場合に、前記内燃機関に対するアクセル開度の変化量が所定値以下又は前記内燃機関の回転数の変化量が所定値以下であるときには、前記第2クランク処理を実行する一方で、前記アクセル開度の前記変化量が前記所定値を越えるか又は前記回転数の前記変化量が前記所定値を越えるときには、前記第2クランク処理を実行しないことを第の局面とする。
また、本発明は、第1から第のいずれかの局面に加えて、前記制御部は、前記内燃機関の1サイクル中で、前記第1クランク処理を、前記第2クランク処理の実行回数よりも多い実行回数で実行することを第の局面とする。
また、本発明は、第1から第のいずれかの局面に加えて、前記制御部は、前記内燃機関の1サイクル中で、前記第1クランク処理を、前記第2クランク処理の実行回数よりも多い実行回数で実行することを第の局面とする。
以上の本発明の第1の局面にかかる内燃機関制御装置によれば、リラクタの複数の凸歯部は、複数の短凸歯部と、複数の短凸歯部の本体部の周方向の長さよりも長い周方向の長さを有する複数の長凸歯部と、有し、複数の長凸歯部は、リラクタの所定の装着位置関係で、内燃機関の上死点に対する遅角側の90度の遅角側角度範囲内及び上死点に対する進角側の90度の進角側角度範囲内の第1領域に位置される一方で、複数の短凸歯部は、所定の装着位置関係で、第1領域外の第2領域に位置されるものであり、制御部は、クランク角センサが複数の短凸歯部及び複数の長凸歯部のいずれかの凸歯部の周方向端部を検出することに応じ時系列的に順に発生するパルス出力の立ち上がりエッジ及びパルス出力の立ち下がりエッジを検出し、制御部の演算処理は、制御部が、クランク角センサが複数の短凸歯部及び複数の長凸歯部のいずれかの前記周方向端部の一方である第1歯端部を検出することに応じ発生するパルス出力の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの一方である第1パルス端部を検出したことに対応して実行る演算処理である第1クランク処理と、制御部が、クランク角センサが複数の長凸歯部の前記周方向端部の他方である第2歯端部を検出することに応じ発生するパルス出力の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの他方である第2パルス端部を検出したことに対応して実行る演算処理である第2クランク処理と、を含むものであるため、簡便な構成で、二輪自動車等の車両に搭載された内燃機関の燃焼状態の検出精度を向上させることができる。特に、制御部の演算処理負荷を抑制した態様で、クランク角速度変動の監視分解能を向上させることができると共に、クランク角の必要十分な角度範囲で、第2クランク処理を実行することができる
また、本発明の第2の局面にかかる内燃機関制御装置によれば、制御部は、第2クランク処理では、クランク角センサが第2歯端部を検出することに応じ発生するパルス出力の第2パルス端部を検出した場合に、その実行タイミングに応じてクランクの角速度を算出し、第1クランク処理では、クランク角センサが第1歯端部を検出することに応じ発生するパルス出力の第1パルス端部を検出した場合に、その実行タイミングに応じて角速度の算出をすると共に、第1クランク処理で算出された角速度及び第2クランク処理が実行されている場合には第2クランク処理で算出された角速度を用いてそれらの経時変化から内燃機関の失火の判定を行うものであるため、制御部の演算処理負荷を抑制した態様で、クランク角速度変動の監視分解能を向上させて、内燃機関の失火の判定を適切に行うことができる。
また、本発明の第の局面にかかる内燃機関制御装置によれば、複数の長凸歯部は、リラクタの所定の装着位置関係で遅角側角度範囲に位置される1つのみの第1長凸歯部と、リラクタの所定の装着位置関係で進角側角度範囲に位置される1つのみの第2長凸歯部と、からなり、クランク角センサが第2歯端部を検出することに応じ発生するパルス出力は、遅角側角度範囲で第1の対をなす立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジのみを含むと共に進角側角度範囲で第2の対をなす立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジのみを含ものであるため、クランク角の必要最小限の角度範囲で、第2クランク処理を簡素化して実行することができる。
また、本発明の第の局面にかかる内燃機関制御装置によれば、制御部は、クランク角センサが第2歯端部を検出することに応じ発生するパルス出力の第2パルス端部を検出した場合に、内燃機関に対する外部負荷が無い状態では、第2クランク処理を実行する一方で、内燃機関に対する外部負荷が有る状態では第2クランク処理を実行しないものであるため、制御部の演算処理負荷を確実に抑制した態様で、第2クランク処理を実行することができる。
また、本発明の第の局面にかかる内燃機関制御装置によれば、制御部は、クランク角センサが第2歯端部を検出することに応じ発生するパルス出力の第2パルス端部を検出した場合に、内燃機関の回転数が所定回転数以下のときには、第2クランク処理を実行する一方で、内燃機関の回転数が所定回転数を超えるときには、第2クランク処理を実行しないものであるため、制御部の演算処理負荷を確実に抑制した態様で、第2クランク処理を実行することができる。
また、本発明の第の局面にかかる内燃機関制御装置によれば、制御部は、クランク角センサが第2歯端部を検出することに応じ発生するパルス出力の第2パルス端部を検出した場合に、内燃機関に対するアクセル開度の変化量が所定値以下又は内燃機関の回転数の変化量が所定値以下であるときには、第2クランク処理を実行する一方で、アクセル開度の変化量が所定値を越えるか又は回転数の変化量が所定値を越えるときには、第2クランク処理を実行しないものであるため、制御部の演算処理負荷を確実に抑制した態様で、第2クランク処理を実行することができる。
また、本発明の第の局面にかかる内燃機関制御装置によれば、制御部は、内燃機関の1サイクル中で、第1クランク処理を、第2クランク処理の実行回数よりも多い実行回数で実行するものであるため、制御部の演算処理負荷を確実に抑制した態様で、第1クランク処理及び第2クランク処理を実行することができる。
また、本発明の第の局面にかかる内燃機関制御装置によれば、制御部は、第1クランク処理で、クランク軸の角度基準位置の検出を行うものであるため、制御部の演算処理負荷を確実に抑制した態様で、より確実にクランク軸の角度基準位置の検出を行うことができる。
図1は、本発明の実施形態における内燃機関制御装置の構成を、それが適用される内燃機関の構成を示す模式図と共に示すブロック図である。 図2(a)及び図2(b)は、本実施形態における内燃機関制御装置で失火監視区間を説明するための図である。 図3は、本実施形態における内燃機関制御装置が適用される内燃機関に装着されるリラクタの構成を示す模式図であり、図3(a)は、本実施形態におけるリラクタの構成の一例を示す模式図であり、図3(b)は、図3(a)に示す領域R3を直線的に示す拡大模式図である。 図4(a)及び図4(b)は、本実施形態における内燃機関制御装置が適用される内燃機関に装着されるリラクタの変形例の構成を示す模式図である。
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態における内燃機関制御装置につき、詳細に説明する。
〔内燃機関の構成〕
まず、図1を参照して、本実施形態における内燃機関制御装置が適用される内燃機関の構成について、以下、詳細に説明する。
図1は、本実施形態におけるにおける内燃機関制御装置の構成を、それが適用される内燃機関の構成を示す模式図と共に示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態における内燃機関制御装置100が適用される内燃機関1は、図示を省略する二輪自動車等の車両に搭載される内燃機関であり、気筒2aを有するシリンダブロック2を備えている。シリンダブロック2の気筒2aに対応する部分の側壁内には、シリンダブロック2を冷却するためのクーラントが流通するクーラント通路3が形成されている。なお、本実施形態における内燃機関制御装置100が適用される内燃機関1は、典型的には4ストローク1サイクル(吸入行程、圧縮行程、爆発行程及び排気行程を1サイクルとして順に含む)の内燃機関である。また、図中では、説明の便宜上、1個の気筒2aを有する単気筒の内燃機関1を示しているが、複数個の気筒を有する内燃機関であってもよいし、その冷却方式は、水冷式に限らず空冷式であってもよい。
気筒2aの内部には、ピストン4が配置されている。ピストン4は、コンロッド5を介してクランクシャフト6に連結されている。クランクシャフト6には、それと共に同軸に回転するリラクタ7が設けられている。リラクタ7は、本体部7a及び複数の凸歯部7bを備えている。本体部7aは、クランクシャフト6と同軸かつ同期して回転する回転軸を有するようにクランクシャフト6に連結された円形板状の部材である。複数の凸歯部7bは、本体部7aの径方向の周縁部における所定の配列領域に本体部7aの周方向に配列して立設されている。なお、以下、本体部7aの径方向を単に径方向と記し、本体部7aの周方向を単に周方向と記す。
シリンダブロック2の上部には、シリンダヘッド8が組み付けられている。シリンダブロック2の内壁面、ピストン4の上面、及びシリンダヘッド8の内壁面は、協働して気筒2aの燃焼室9を画成している。
シリンダヘッド8には、燃焼室9内の燃料及び空気から成る混合気に点火する点火プラグ10が設けられている。燃焼室9に対する点火プラグ10の個数は、単数に限らず複数であってもよい。
シリンダヘッド8には、燃焼室9と対応して連通する吸気管11が組み付けられている。シリンダヘッド8内には、燃焼室9と吸気管11とを対応して連通する吸気通路11aが形成されている。燃焼室9と吸気通路11aとの対応する接続部位には、吸気バルブ12が設けられている。
吸気管11には、その内部に燃料を噴射するインジェクタ13が設けられている。吸気管11には、インジェクタ13の上流側にスロットルバルブ14が設けられている。スロットルバルブ14は、図示を省略するスロットル装置の構成部品であり、スロットル装置の本体部が吸気管11に組み付けられている。なお、インジェクタ13は、対応する燃焼室9に燃料を直接噴射するものであってもよい。また、インジェクタ13及びスロットルバルブ14の個数は、各々単数に限らず複数であってもよい。
また、シリンダヘッド8には、燃焼室9と対応して連通する排気管15が組み付けられている。シリンダヘッド8内には、燃焼室9と排気通路15aとを対応して連通する排気通路15aが形成されている。燃焼室9と排気管15との対応する接続部位には、排気バルブ16が設けられている。
〔内燃機関制御装置の構成〕
次に、図1を参照して、本実施形態における内燃機関制御装置100の構成について、以下、詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態における内燃機関制御装置100は、クランク角センサ101、車速センサ102、スロットル開度センサ103、吸気圧センサ104、及びエンジン温度センサ105に電気的に接続されたECU(Electronic Control Unit)に相当する。なお、リラクタ7、クランク角センサ101及び内燃機関制御装置100を含む構成が、内燃機関制御システムを構成しているとして考えてもよい。
クランク角センサ101は、リラクタ7の凸歯部7bに対向した態様でシリンダブロック2の下部に組み付けられた図示を省略するロアケース等に装着され、クランクシャフト6の回転に伴って回転する凸歯部7bを検出することによって、内燃機関1の回転角速度に相当するクランクシャフト6の回転角速度(クランク角速度)を検出する。クランク角センサ101は、このように検出したクランク角速度を示す矩形パルス出力である電気信号を内燃機関制御装置100に入力する。なお、クランク角センサ101は、クランクシャフト6の回転角(クランク角)や回転速度(クランク回転速度)を検出するものであってもよいし、かかるクランク角やクランク回転速度は、クランク角速度から算出することも可能である。
車速センサ102は、車速を検出し、このように検出した車速を示す電気信号を内燃機関制御装置100に入力する。
スロットル開度センサ103は、スロットル装置の本体部に装着され、スロットルバルブ14の開度をスロットル開度として検出し、このように検出したスロットル開度を示す電気信号を内燃機関制御装置100に入力する。
吸気圧センサ104は、吸気管11内に侵入した態様で吸気管11に装着され、吸気管11内に流入する空気の圧力を吸気圧として検出し、このように検出した吸気圧を示す電気信号を内燃機関制御装置100に入力する。
エンジン温度センサ105は、クーラント通路3に侵入した態様でシリンダブロック2に装着され、クーラント通路3内を流通するクーラントの温度を内燃機関1の温度(エンジン温度)として検出し、このように検出したエンジン温度を示す電気信号を内燃機関制御装置100に入力する。なお、内燃機関1が空冷式である場合には、その潤滑油の温度をエンジン温度として検出してもよい。
内燃機関制御装置100は、車両が備えるバッテリからの電力を利用して動作する。内燃機関制御装置100は、制御部に相当する演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)の他に、点火系駆動回路(IG)120、及び燃料噴射系駆動回路(FI)130を備えている。
CPUは、クランク角センサ101、車速センサ102、スロットル開度センサ103、吸気圧センサ104、及びエンジン温度センサ105からの電気信号に従って内燃機関制御装置100全体の動作を制御する。また、CPUは、制御プログラムを実行することにより、エンジン回転数算出処理部111、車速算出処理部112、スロットル開度算出処理部113、吸気圧算出処理部114、エンジン温度算出処理部115、燃料噴射・点火制御部116、失火検知許可判定部117、失火検知部118、及び診断管理部119として機能する各々の機能ブロックを備えている。
エンジン回転数算出処理部111は、クランク角センサ101から入力された電気信号に基づいてクランク角速度を算出すると共に内燃機関1の回転数(エンジン回転数)を算出し、このようにエンジン回転数算出処理部111が算出したエンジン回転数は、燃料噴射・点火制御部116及び失火検知部118で用いられる。
車速算出処理部112は、車速センサ102から入力された電気信号に基づいて車速を算出し、このように車速算出処理部112が算出した車速は、燃料噴射・点火制御部116及び失火検知許可判定部117で用いられる。
スロットル開度算出処理部113は、スロットル開度センサ103から入力された電気信号に基づいてスロットル開度を算出し、このようにスロットル開度算出処理部113が算出したスロットル開度は、燃料噴射・点火制御部116、失火検知許可判定部117、及び失火検知部118で用いられる。
吸気圧算出処理部114は、吸気圧センサ104から入力された電気信号に基づいて吸気圧を算出し、このように吸気圧算出処理部114算出した吸気圧は、燃料噴射・点火制御部116、失火検知許可判定部117、及び失火検知部118で用いられる。
エンジン温度算出処理部115は、エンジン温度センサ105から入力された電気信号に基づいてエンジン温度を算出し、このようにエンジン温度算出処理部115が算出したエンジン温度は、燃料噴射・点火制御部116、失火検知許可判定部117、及び失火検知部118で用いられる。
燃料噴射・点火制御部116は、エンジン回転数算出処理部111、車速算出処理部112、スロットル開度算出処理部113、吸気圧算出処理部114、及びエンジン温度算出処理部115から入力された各々の算出値に基づいて点火系駆動回路(IG)120及び燃料噴射系駆動回路(FI)130を制御することによって、内燃機関1の点火時期及び燃料噴射量を制御する。
失火検知許可判定部117は、エンジン回転数算出処理部111、車速算出処理部112、スロットル開度算出処理部113、吸気圧算出処理部114、及びエンジン温度算出処理部115から入力された各々の算出値に基づいて、内燃機関1の失火状態等の燃焼状態の検知動作を許可するか否かを判定し、このように失火検知許可判定部117が判定した判定結果は、失火検知部118で用いられる。
失火検知部118は、エンジン回転数算出処理部111、スロットル開度算出処理部113、吸気圧算出処理部114、エンジン温度算出処理部115、及び失火検知許可判定部117から入力された各々の算出値に基づいて、内燃機関1の失火状態等の燃焼状態を検知し、このように失火検知部118が検知した検知結果は、診断管理部119で用いられる。
診断管理部119は、失火検知部118によって内燃機関1の失火が検知された場合、警告灯107を点灯する等して内燃機関1の失火を運転者等に報知すると共に、その情報を図示を省略するメモリに格納する等して適切に管理する。
点火系駆動回路(IG)120は、燃料噴射・点火制御部116からの制御信号に従ってオン/オフ制御されるスイッチング素子を備え、このスイッチング素子がオン/オフ動作することによって、燃焼室9内の燃料及び空気の混合気に点火する点火プラグ10の動作を制御する。
燃料噴射系駆動回路(FI)130は、燃料噴射・点火制御部116からの制御信号に従ってオン/オフ制御されるスイッチング素子を備え、このスイッチング素子がオン/オフ動作することによって、インジェクタ13のコイルの通電/非通電状態を切り換えて吸気管11の内部に燃料を噴射する。
〔失火監視〕
次に、更に図2(a)及び図2(b)をも参照して、本実施形態における内燃機関制御装置100が適用される内燃機関1の失火によるクランク角速度の影響区間を失火監視区間として、内燃機関制御装置100の失火監視について、以下、詳細に説明する。
図2(a)及び図2(b)は、本実施形態における内燃機関制御装置100で失火監視区間を説明するための図である。なお、図2(a)及び図2(b)において、横軸は、区タンクシャフト6の回転角(クランク角)を示し、縦軸は、トルク(クランク角速度に比例する)を示す。また、図2(a)及び図2(b)において、点線は、内燃機関1の失火発生時のそのトルクの変化を示し、実線は、内燃機関1の正常燃焼時のそのトルクの変化を示す。
内燃機関1の失火は、典型的には、クランクシャフト6の回転角速度(クランク角速度)の減少という事象で現れてくることから、この失火の影響を最も受ける内燃機関1の行程は、爆発行程及び圧縮行程である。具体的には、図2(a)に示すように、内燃機関1に失火が発生した場合、爆発行程では、ピストン4を下死点へ押し下げるトルクが生じないため、クランク角速度は、失火が発生していない正常燃焼時のクランク角速度に比べて低下する(領域R1)。併せて、この失火後の圧縮行程においては、爆発行程時のクランク角速度の惰性で圧縮しなければならないために、爆発行程時と同様、クランク角速度は、正常燃焼時に比べて更に低下する(領域R2)。
一方、リラクタ7の凸歯部7bの数(クランク歯数)が相対的に少ない場合、すなわちクランク角速度の計測区間が相対的に広い場合には、図2(b)に示すように、圧縮行程及びそれに引き続く爆発行程における計測区間内の計測結果内に内燃機関1の失火による影響を受けた成分とその失火による影響を受けていない成分とが混在する区間が生じる(図2(a)において、例えば、区間A2は、失火の影響を受けた成分のみを含むが、区間A1は、失火による影響を受けた成分と失火による影響を受けていない成分とを含む)。このため、かかる場合、内燃機関1の失火の影響によるクランク角速度の変動情報が不明瞭になる。これに対して、クランク歯数が相対的に多い場合、すなわちクランク角速度の計測区間が相対的に狭い場合には、内燃機関1の失火の影響を受けた成分(区間a2から区間a6)と失火の影響を受けていない成分(区間a1)とを分離することができる。従って、クランク歯数を増やすことによって、クランク角速度の変動情報の監視分解能が向上することが分かる。
ところが、クランク歯数が増えれば、クランク角センサ101のパルス出力毎に起動される演算処理が内燃機関制御装置100のCPUに及ぼす負荷が大きくなり、その処理能力が充分でない場合には、特に内燃機関1の高回転数領域でその処理が破綻する可能性がある。この場合、かかる高回転数領域に対する典型的な対処はCPUを演算処理能力の高いものに換装することであるため、それにより内燃機関制御装置100にコスト増が生じる。また、二輪自動車のリラクタ径は四輪自動車のリラクタ径と比較して小さいものであるため、クランク歯数を増加させる加工が高度なものとなり、内燃機関1、又はリラクタ7、クランク角センサ101及び内燃機関制御装置100を含む内燃機関制御システムにコスト増が生じることとなる。
そこで、本実施形態では、以下に示すようにリラクタ7を構成することにより、二輪自動車で一般的な凸歯部の間隔を維持したまま、失火検出のためのクランク角速度変動の監視分解能を向上させて失火の検出精度を高める。以下、本実施形態におけるリラクタ7の構成及びこのリラクタ7を用いた失火検知処理について、詳細に説明する。
〔失火検知処理及びリラクタの構成〕
一般的なリラクタの構成では、凸歯部7bの一方の周方向端部、つまりクランク角センサ101のパルス出力の一方のエッジを検出したことに対応して、内燃機関制御装置100のCPUが所定の演算処理を実行していた。これに対して、本実施形態では、凸歯部7bの一方及び他方の双方の周方向端部、つまりクランク角センサ101のパルス出力において時系列的に順に発生する一方及び他方の双方のエッジを検出したことに対応して、CPUが所定の演算処理を実行する。なお、以下では、一般的な構成における一方のエッジ(立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの一方)を検出したことに対応して実行される所定の演算処理を第1クランク処理と呼び、本実施形態で導入される構成における他方のエッジ(立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの他方)を検出したことに対応して実行される所定の演算処理を第2クランク処理と呼ぶこととする。
また、第2クランク処理を実行するエッジを出力するためのリラクタ7の仕様は、クランクシャフト6の角速度が一定である場合に、第1クランク処理の実行間隔の半分となるタイミングでクランク角センサ101のパルス出力の他方のエッジが出力される仕様とする。リラクタ7をこのような仕様とすることにより、第1クランク処理の実行はそのまま維持しながら、その実行間隔の半分となるタイミングで第2クランク処理を実行することができ、第1クランク処理のみの実行時に比較してクランク角速度の計測間隔を半分に細かくすることができるため、クランク角速度変動の監視分解能が向上し、失火監視の検出精度を高めることができる。なお、失火によるクランク角速度の変動を計測するための第2クランク処理を起動する区間は、内燃機関1の圧縮行程及び爆発行程における所定区間のみでよいので、失火監視の検出精度を向上させるための凸歯部は、かかる所定区間のみに設ければ足りる。
ここで、第2クランク処理では、エンジン回転数算出処理部111は、その実行タイミングに応じてクランク角速度を算出する一方で、第1クランク処理では、エンジン回転数算出処理部111は、その実行タイミングに応じてクランク角速度の算出をすると共に、失火検知部118は、第1クランク処理及び第2クランク処理で各々算出されたクランク角速度を用いてそれらの経時変化から内燃機関1の失火の判定を行うことが好ましい。これにより、CPUの演算処理負荷を抑制した態様で、クランク角速度変動の監視分解能を向上させて、内燃機関の失火の判定を適切に行うことができる。
この際、失火検知許可判定部117は、内燃機関1に対する外部負荷が無い状態又は所定負荷以下の状態で第2クランク処理を実行させ、内燃機関1に対する外部負荷が有る状態又は所定負荷を超える状態では第2クランク処理を実行させないようにすることが好ましい。これにより、CPUの演算処理負荷を確実に抑制した態様で、第2クランク処理を実行することができる。なお、かかる外部負荷に関する状態は、失火検知許可判定部117がエンジン回転数やスロットル開度等に基づき判定する。
また、失火検知許可判定部117は、エンジン回転数が所定回転数以下のときに第2クランク処理を実行させ、エンジン回転数が所定回転数を超えるときに第2クランク処理を実行させないようにすることが好ましい。これにより、CPUの演算処理負荷を確実に抑制した態様で、第2クランク処理を実行することができる。
また、失火検知許可判定部117は、内燃機関1に対するアクセル開度の変化量が所定値以下又はエンジン回転数の変化量が所定値以下であるときには、第2クランク処理を実行させ、アクセル開度の変化量が所定値を越えるか又はエンジン回転数の変化量が所定値を越えるときには、第2クランク処理を実行させないようにすることが好ましい。これにより、CPUの演算処理負荷を確実に抑制した態様で、第2クランク処理を実行することができる。なお、かかるアクセル開度の変化量は、失火検知許可判定部117が図示を省略するアクセル開度センサから入力されたアクセル開度を示す電気信号に基づき算出する。
また、第2クランク処理の実行を禁止する場合、その禁止を簡便かつ確実に行う観点から、失火検知許可判定部117は、所定の区間にわたり第2クランク処理を停止、又は、所定の条件を満足するまで第2クランク処理の実行を禁止することが好ましい。
また、CPUは、内燃機関1の1サイクル中で、第1クランク処理を、第2クランク処理の実行回数よりも多い実行回数で実行することが好ましい。これにより、CPUの演算処理負荷を確実に抑制した態様で、第1クランク処理及び第2クランク処理を実行することができる。
以下、更に図3及び図4をも参照して、上述した失火検知処理を実現するためのリラクタ7の具体的な構成について、詳細に説明する。
図3(a)は、本実施形態における内燃機関制御装置100が適用される内燃機関1に装着されるリラクタ7の構成の一例を示す模式図であり、図3(b)は、図3(a)に示す領域R3を直線的に示す拡大模式図である。なお、図3(a)は、クランクシャフト6に対して所定の装着位置関係になるよう装着した状態のリラクタを示す。また、図3(a)で、図示の便宜上、周方向の長さA及びB2を模式的に径方向に偏位させて示している。
図3(a)及び図3(b)に示すように、本実施形態における最も単純化したリラクタ7では、複数の凸歯部7bは、凸歯部7bの配列領域内の第1配列領域内に設けられた複数の短凸歯部7b1と、凸歯部7bの配列領域内で第1配列領域外の第2配列領域内に設けられると共に複数の短凸歯部7b1の各々の周方向の長さB1よりも長い周方向の長さB2を各々有する一対の長凸歯部7b2と、を備えている。
リラクタ7をクランクシャフト6に対して所定の装着位置関係になるよう装着した場合、本体部7aは、その周方向において内燃機関1の上死点に対応する上死点角度位置TDCを有し、一対の長凸歯部7b2は、上死点角度位置TDCを各々挟んで、正方向(進角方向)側の配列領域に画成される第1角度領域と、負方向(遅角方向)側の配列領域に画成される第2角度領域と、にわたって設けられている。第1角度領域は、上死点角度位置TDCから正方向に向かって90度の角度範囲内に設定され、第2角度領域は、上死点角度位置TDCから負方向に向かって90度の角度範囲内に設定されている。ここで、一対の長凸歯部7b2の一方と他方とは、周方向において上死点角度位置TDCについて対称な位置関係を呈している。また、一対の長凸歯部7b2の一方と他方との周方向における間隔(一対の長凸歯部7b2の周方向の正方向側にあるものの周方向の負方向側の端部と、一対の長凸歯部7b2の周方向の負方向側にあるものの周方向の正方向側の端部と、の間の長さ)は、一対の長凸歯部7b2の各々の周方向の長さB2に等しく設定されている。
また、複数の短凸歯部7b1の各々の一方の端部(図中では一例として立ち下がりエッジである端部7b12)、及び複数の長凸歯部7b2の各々において短凸歯部7b1の一方の端部(図中では一例として立ち下がりエッジである端部7b12)に対応する端部(図中では一例として立ち下がりエッジである端部7b22)は、それらの隣接するもの同士の間隔が周方向に均等になるように配置されている。つまり、かかる場合、CPUは、これらの立ち下がりエッジを検出したことに対応して第1クランク処理を等間隔で実行することになる。併せて、一対の長凸歯部7b2の周方向の長凸歯部長さB2は、一対の長凸歯部7b2の周方向の正方向側にあるものの周方向の正方向側の第1端部7b21と、一対の長凸歯部7b2の周方向の負方向側にあるものの周方向の正方向側で第1端部に対応する第2端部7b21と、の間の周方向の長さA、及び一対の長凸歯部7b2の周方向の正方向側にあるものの周方向の負方向側の第3端部7b22と、一対の長凸歯部7b2の周方向の負方向側にあるものの周方向の負方向側で第3端部7b22に対応する第4端部7b22と、の間の周方向の長さAの各々半分になるように設定されている。
このような構成によれば、内燃機関1の失火状態の検出精度を向上させることができる。特に、リラクタ7の凸歯部間の角度間隔を実質変更することなく、かつ、リラクタ7の凸歯部の個数も増加することのないリラクタ7の簡便な構成で、CPUの演算処理負荷を抑制しながら、クランク角速度変動の監視分解能を向上させることができる。また、長さB1と長さB2との比を特定の比に設定しておくことによって原理的には欠歯部を設けなくてもクランクシャフト6の角度基準位置の検出を行うことができると共に、内燃機関1の高回転数域でのクランクシャフト6の動的な偏心を抑制して、内燃機関1の失火の検出精度を向上させることができる。
また、このような構成を有するリラクタ7を用いて、CPUは、上死点角度位置TDCに対する負方向(遅角方向)側の90度の遅角側角度範囲及び上死点角度位置TDCに対する正方向(進角方向)側の90度の進角側角度範囲に対応した区間内でクランク角センサ101から出力されたパルス出力を用いて第2クランク処理を実行する。これにより、クランク角の必要十分な角度範囲で、第2クランク処理を実行することができる。
また、上述した区間内でクランク角センサ101が検出したクランク角に対応してクランク角センサ101から出力されるパルス出力は、遅角側角度範囲で第1の対をなす立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジのみを含むと共に進角側角度範囲で第2の対をなす立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジのみを含む。そして、CPUは、第1の対及び第2の対に含まれる立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジのいずれかのエッジ(一例として立ち上がりエッジ)を検出したことに対応して第2クランク処理を実行する。これにより、クランク角の必要最小限の角度範囲で、第2クランク処理を簡素化して実行することができる。
なお、図3(a)及び図3(b)に示すリラクタ7の構成では、長凸歯部7b2は2個設けていたが、図4(a)及び図4(b)に示すように、長凸歯部7b2を3個以上設けてもよい。
図4(a)及び図4(b)は、本実施形態における内燃機関制御装置100が適用される内燃機関1に装着されるリラクタの変形例の構成を示す模式図である。なお、図4(a)及び図4(b)は、クランクシャフト6に対して所定の装着位置関係になるよう装着した状態のリラクタを示す。また、図4(a)及び図4(b)で、図示の便宜上、周方向の長さA及びB2を模式的に径方向に偏位させて示している。
図4(a)に示す変形例の欠歯部7cでは、長凸歯部7b2を4個設けていること、及び欠歯部7cを設けていることが、図3(a)及び図3(b)に示すリラクタ7との相違点であり、これに対応して、短凸歯部7b1の個数が減少している。
また、図4(b)に示す変形例のリラクタ7’’では、長凸歯部7b2を9個設けていること、及び欠歯部7cを設けていることが、図3(a)及び図3(b)に示すリラクタ7との相違点であり、これに対応して、長凸歯部7b2の周方向の長さが減少し、短凸歯部7b1の個数が増加している。なお、かかるリラクタ7’’では、周方向で最も負方向側に位置する長凸歯部7b2は、その中心が上死点角度位置TDCに対する負方向側の90度の角度位置に設定されており、かかる態様も長凸歯部7b2が上死点角度位置TDCから90度の角度範囲内に配置される構成に含まれる。
ここで、図4(a)及び図4(b)示すように、欠歯部7cは、本体部7aの径方向の周縁部において、短凸歯部7b1及び長凸歯部7b2が配列される配列領域外のこれらが配列されない領域に設けられる。かかる欠歯部7cは、周方向における吸気行程又は爆発行程の後半の90度、又は圧縮行程又は排気行程の前半の90度に対応した角度領域に設定されていることが好ましい。これにより、長凸歯部7b2の配置に影響を与えない態様で欠歯部7cを設けることができ、クランクシャフト6の角度基準位置の検出をより確実なものにすることができる。
以上のように、本発明は、簡便な構成で、二輪自動車等の車両に搭載された内燃機関の失火状態の検出精度を向上させることができる内燃機関制御装置を提供することができるものであり、その汎用普遍的な性格から車両等の内燃機関制御装置に広く適用され得るものと期待される。
1…内燃機関
2…シリンダブロック
2a…気筒
3…クーラント通路
4…ピストン
5…コンロッド
6…クランクシャフト
7、7’、7’’…リラクタ
7a…本体部
7b…凸歯部
7b1…短凸歯部
7b2…長凸歯部
7c…欠歯部
8…シリンダヘッド
9…燃焼室
10…点火プラグ
11…吸気管
11a…吸気通路
12…吸気バルブ
13…インジェクタ
14…スロットルバルブ
15…排気管
15a…排気通路
16…排気バルブ
100…内燃機関制御装置
101…クランク角センサ
102…車速センサ
103…スロットル開度センサ
104…吸気圧センサ
105…エンジン温度センサ
111…エンジン回転数算出処理部
112…車速算出処理部
113…スロットル開度算出処理部
114…吸気圧算出処理部
115…エンジン温度算出処理部
116…燃料噴射・点火制御部
117…失火検知許可判定部
118…失火検知部
119…診断管理部

Claims (8)

  1. 内燃機関のクランク軸に連結されたリラクタの円板状の本体部の径方向の周縁部に設けられた複数の凸歯部を検出することにより、前記クランク軸の回転状態を検出するクランク角センサからのパルス出力を用いて前記内燃機関の運転状態を制御する制御部を有する内燃機関制御装置において、
    前記リラクタの前記複数の凸歯部は、複数の短凸歯部と、前記複数の短凸歯部の前記本体部の周方向の長さよりも長い前記周方向の長さを有する複数の長凸歯部と、有し、
    前記複数の長凸歯部は、前記リラクタの所定の装着位置関係で、前記内燃機関の上死点に対する遅角側の90度の遅角側角度範囲内及び前記上死点に対する進角側の90度の進角側角度範囲内の第1領域に位置される一方で、前記複数の短凸歯部は、前記所定の装着位置関係で、前記第1領域外の第2領域に位置されるものであり、
    前記制御部は、前記クランク角センサが前記複数の短凸歯部及び前記複数の長凸歯部のいずれかの凸歯部の周方向端部を検出することに応じ時系列的に順に発生する前記パルス出力の立ち上がりエッジ及び前記パルス出力の立ち下がりエッジを検出し、
    前記制御部の演算処理は、前記制御部が、前記クランク角センサが前記複数の短凸歯部及び前記複数の長凸歯部のいずれかの前記周方向端部の一方である第1歯端部を検出することに応じ発生する前記パルス出力の前記立ち上がりエッジ及び前記立ち下がりエッジの一方である第1パルス端部を検出したことに対応して実行る演算処理である第1クランク処理と、前記制御部が、前記クランク角センサが前記複数の長凸歯部の前記周方向端部の他方である第2歯端部を検出することに応じ発生する前記パルス出力の前記立ち上がりエッジ及び前記立ち下がりエッジの他方である第2パルス端部を検出したことに対応して実行る演算処理である第2クランク処理と、を含むことを特徴とする内燃機関制御装置。
  2. 前記制御部は、
    前記第2クランク処理では、前記クランク角センサが前記第2歯端部を検出することに応じ発生する前記パルス出力の前記第2パルス端部を検出した場合に、その実行タイミングに応じて前記クランクの角速度を算出し、
    前記第1クランク処理では、前記クランク角センサが前記第1歯端部を検出することに応じ発生する前記パルス出力の前記第1パルス端部を検出した場合に、その実行タイミングに応じて前記角速度の算出をすると共に、前記第1クランク処理で算出された前記角速度及び前記第2クランク処理が実行されている場合には前記第2クランク処理で算出された前記角速度を用いてそれらの経時変化から前記内燃機関の失火の判定を行うことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関制御装置。
  3. 前記複数の長凸歯部は、前記リラクタの所定の装着位置関係で前記遅角側角度範囲に位置される1つのみの第1長凸歯部と、前記リラクタの所定の装着位置関係で前記進角側角度範囲に位置される1つのみの第2長凸歯部と、からなり、
    前記クランク角センサが前記第2歯端部を検出することに応じ発生する前記パルス出力は、前記遅角側角度範囲で第1の対をなす前記立ち上がりエッジ及び前記立ち下がりエッジのみを含むと共に前記進角側角度範囲で第2の対をなす前記立ち上がりエッジ及び前記立ち下がりエッジのみを含ことを特徴とする請求項に記載の内燃機関制御装置。
  4. 前記制御部は、前記クランク角センサが前記第2歯端部を検出することに応じ発生する前記パルス出力の前記第2パルス端部を検出した場合に、前記内燃機関に対する外部負荷が無い状態では、前記第2クランク処理を実行する一方で、前記内燃機関に対する外部負荷が有る状態では前記第2クランク処理を実行しないことを特徴とする請求項2又は3に記載の内燃機関制御装置。
  5. 前記制御部は、前記クランク角センサが前記第2歯端部を検出することに応じ発生する前記パルス出力の前記第2パルス端部を検出した場合に、前記内燃機関の回転数が所定回転数以下のときには、前記第2クランク処理を実行する一方で、前記内燃機関の回転数が所定回転数を超えるときには、前記第2クランク処理を実行しないことを特徴とする請求項2からのいずれかに記載の内燃機関制御装置。
  6. 前記制御部は、前記クランク角センサが前記第2歯端部を検出することに応じ発生する前記パルス出力の前記第2パルス端部を検出した場合に、前記内燃機関に対するアクセル開度の変化量が所定値以下又は前記内燃機関の回転数の変化量が所定値以下であるときには、前記第2クランク処理を実行する一方で、前記アクセル開度の前記変化量が前記所定値を越えるか又は前記回転数の前記変化量が前記所定値を越えるときには、前記第2クランク処理を実行しないことを特徴とする請求項2からのいずれかに記載の内燃機関制御装置。
  7. 前記制御部は、前記内燃機関の1サイクル中で、前記第1クランク処理を、前記第2クランク処理の実行回数よりも多い実行回数で実行することを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の内燃機関制御装置。
  8. 前記制御部は、前記第1クランク処理で、前記クランク軸の角度基準位置の検出を行うことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の内燃機関制御装置。
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