JP4174937B2 - 内燃機関の失火検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関に発生した失火を検出する内燃機関の失火検出装置に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来から内燃機関における失火を検出する装置として、各気筒の爆発行程における回転速度を検出し、爆発行程が隣り合う気筒の回転速度差(回転速度変動量)が大きい時、失火と判断するものがある。つまり、失火発生気筒の爆発行程における回転速度は正常点火気筒の回転速度より遅くなるため、これらの気筒の回転速度変動量は大きくなる。また、正常点火気筒間の回転速度変動量は小さくなるため、回転速度変動量に基づいて失火を検出することができる。
【0003】
ところで、車両の悪路走行時には車両側からの負荷により内燃機関の回転速度に変動が生じる。この変動を失火と誤検出する虞が有るため従来悪路走行中か否かを判定し、悪路走行中であれば失火判定を禁止する技術が知られている。(例えば、特開平7−19103号公報)。この従来公報では、回転変動量が第1の判定値より大きいとき、失火が発生したと判定する第1の判定値、即ち、失火判定レベルと、第1の判定値より小さい第2の判定値、即ち、悪路判定レベルとを設けている。そして、失火判定レベルと悪路判定レベルとの間に回転速度変動量が発生する毎に、その発生回数を所定期間カウントする。所定期間カウントした合計数が所定値より大きいときに、失火の判定を無効として悪路走行を失火と誤検出することを防止していた。
【0004】
【発明が解決する課題】
しかしながら、失火が発生すると内燃機関の回転速度に変動が生じて車両の揺り返しが発生する。車両の揺り返しとは、失火により内燃機関の回転速度が落ちたとき、車両の慣性力により内燃機関が回される現象がある。その結果、回転速度が落ちた反動で内燃機関の回転速度は上昇する。しかし、上昇しすぎた反動により回転速度が落ち込む。このような現象が繰り返されると図1の回転速度ωのようになる。この回転速度ωの信号を用いて回転変動量Δωを求めると図1のような挙動となり、失火後の揺り返しは、第1の判定レベルとしての失火判定レベルと第2の判定レベルとしての悪路判定レベルの間に発生する。そのため失火が検出されたとしても、悪路判定により実際に発生した失火を無効とする虞がある。特に、マニュアルトランスミッション車(以下、単にマニュアル車)や無段変速機を備える車両のように、内燃機関と車両駆動軸(トランスミッション)が直結されているような場合に、揺り返しの影響が顕著に現われる。また、オートマティックトランスミッション車のロックアップ時にも同様の現象が発生する。
【0005】
【課題を解決すための手段】
上記の課題を解決するために請求項1記載の内燃機関の失火検出装置では、内燃機関の各点火毎に失火を検出し、検出された失火をカウントする第1の失火検出手段と、車両側からの負荷により内燃機関の回転速度に変動を生じさせる悪路を車両が走行していることを検出し、悪路走行中と検出された回数をカウントする悪路走行検出手段と、前記失火検出手段により失火が検出された後、所定区間、前記悪路走行検出手段による悪路走行検出を禁止する禁止手段と、前記第1の失火検出手段により検出された失火判定回数と、前記悪路走行検出手段によりカウントされた悪路判定回数とに基づいて最終的な失火の有無を判定する第2の失火検出手段とを備える。
【0006】
これにより、前記失火検出後の所定期間に生じる揺り返しにより前記悪路走行検出手段がカウントされることを防止することができ、最終的な失火の判定を行なう第2の手段において、揺り返しの影響によって悪路と誤判定され、失火状態であるにもかかわらず正常と誤判定されることを防止することができる。なお、禁止手段による悪路走行検出手段の禁止は、悪路走行が検出されたときにカウントすることを禁止しても良いし、悪路走行の検出自体を禁止しても良い。
【0007】
請求項2記載の内燃機関の失火検出装置では、前記悪路走行検出手段は、回転速度変動量が第1の判定値より小さく、前記第1の判定値よりも小さい第2の判定値より大きい値のとき、カウントすることにより、悪路走行により変動する回転速度検出量をより正確に検出することが可能になる。
【0008】
請求項3記載の内燃機関の失火検出装置では、請求項1乃至請求項2に記載の内燃機関の失火検出装置において、所定の運転状態にあると検出されたときに前記禁止手段を用いる。これより失火発生後の揺り返しの発生しやすい運転状態に適宣、禁止手段を用いるので精度よく、揺り返しによる誤判定を防止することができる。
【0009】
請求項4記載の内燃機関の失火検出装置では、請求項3の内燃機関の失火検出装置において、前記運転状態検出手段により検出された運転状態として、特に、マニュアルトランスミッション車の前記内燃機関の運転状態が車両の揺り返しが発生しやすい低回転高負荷時であることが検出されたときに前記禁止手段を用いる。
【0010】
これにより、禁止手段が揺り返しが発生しやすい前記所定区間に用いられる。特に、マニュアルトランスミッション車は、内燃機関と車両駆動軸(トランスミッション)が直結されているため、単発の失火が発生すると車両の揺り返しが発生しやすくなる。また、車両の揺り返しが発生し易い状態として前記内燃機関が低回転高負荷のときに前記禁止手段を用いることで、悪路走行中でないにも関わらず悪路走行中であると判定することを未然に防止することができる。
【0011】
請求項5記載の内燃機関の失火検出装置では、請求項3の内燃機関の失火検出装置において、前記運転状態検出手段により検出された運転状態として、特に、無段変速機を備える車両の前記内燃機関の運転状態が車両の揺り返しが発生しやすい低回転、高吸気管圧力時であることが検出されたときに前記禁止手段を用いる。
【0012】
これにより、禁止手段が揺り返しが発生しやすい前記所定区間に用いられる。特に、無段変速機を備える車両は、内燃機関と車両駆動軸(トランスミッション)が直結されているため、単発の失火が発生すると車両の揺り返しが発生しやすくなる。また、車両の揺り返しが発生しやすい状態として前記内燃機関が低回転高負荷のときに前記禁止手段を用いることで、悪路走行中でないにも関わらず悪路走行中であると判定することを未然に防止することができる。
【0013】
請求項6記載の内燃機関の失火検出装置では、請求項3記載の内燃機関の失火検出装置において、前記運転状態検出手段により検出された運転状態として、特に、オートマチックトランスミッション車の前記内燃機関の運転状態が車両の揺り返しが発生しやすい低回転高高負荷時であることが検出されたときに前記禁止手段を用いる。
【0014】
これにより、特に、オートマチックトランスミッションは、内燃機関が車両駆動軸が直結する状態として、オートマチックトランスミッション車のトルクコンバータがロックアップ状態であり、かつ、前記内燃機関の運転状態が低回転高吸気管圧力時に前記禁止手段を用いることで、悪路走行中でないにもかかわらず悪路走行中であると判定することを未然に防止することができる。
【0015】
【実施の形態】
<第1実施例>
以下に本発明の実施の形態である第1実施例を図面とともに説明する。まず、図2は本発明が適用された6気筒内燃機関2(以下、単に内燃機関という。)およびその周辺装置を表す概略構成図である。図2に示す如く、内燃機関2には、その運転状態を検出するセンサとして、吸気管4内の圧力(吸気管圧力)を検出する吸気圧センサ6、冷却水の温度を検出する水温センサ8、内燃機関2のクランク軸に取り付けられて内燃機関2が所定のクランク角度(本実施例では30°CA)回転する度にパルス信号を発生する回転角センサ10、イグナイタ12が発生した高電圧を内燃機関2の各気筒に設けられた図示しない点火プラグに順次分配するディストリビュータ14に取り付けられ、ディストリビュータ14の1回転に1回(内燃機関2の2回転に1回)の割でパルス信号を発生する気筒判別センサ16が備えられている。
【0016】
これらの各センサからの検出信号は、電子制御装置(ECU)20に入力される。ECU20は、CPU21、ROM22、RAM23を中心とした周知のマイクロコンピュータにより構成されており、上記各センサからの検出信号を入出力ポート25を介して入力する。また、CPU21は、予めROM22に記憶されている制御プログラムに従い、内燃機関2の各気筒に設けられた燃料噴射弁27から噴射される燃料噴射量、イグナイタ12の高電圧の発生タイミング(即ち点火時期)を制御するエンジン制御処理を実行するとともに、内燃機関各気筒の爆発行程毎の回転速度から内燃機関2の失火を検出して警告ランプ29を点灯する失火検出処理を実行する。
【0017】
以下、このように構成されたECU20にて実行される本発明にかかわる主要な処理である失火検出処理および失火検出処理による失火検出結果に従い警告ランプ29の点灯などを行なう故障診断処理について、図3、図4、図5、図6、に示すフローチャートに沿って説明する。
【0018】
失火検出処理は、CPU21において、上記回転角センサ10からの出力信号により、内燃機関2の所定のクランク角度(本実施例では、30°CA)毎に割り込み処理されるものである。この処理が開始されると、まずステップ100にて、前回の割り込み時刻と今回の割り込み時刻との偏差から、内燃機関2が30°CA回転するのに要した時間T30iを算出する。そして、続くステップ110では、現在、いずれかの気筒が上死点(TDC)となっているか否かを判別し、上死点でないならステップ120に進み、上死点であればステップ130に進む。
【0019】
ステップ120では、ステップ130で内燃機関2が120°CA回転するのに要する時間を算出するための前段階として、T30iをT30i−1、T30i−1をT30i−2、T30i−2をT30i−3としてから本ルーチンを終了する。ステップ130では、ステップ100において算出した30°CA回転するのに要する時間T30iと、前回、前々回、および3回前の実行時にそれぞれ求めたT30i、T30i−1、T30i−2、およびT30i−3の全4回分のデータを累計して、内燃機関2が120°CA回転するのに要した時間T120iを算出する。そしてステップ140では、この算出した時間T120iの逆数を算出することにより、内燃機関2が120°CA回転する間の平均回転速度ωn を算出する。
【0020】
次に、ステップ150では、今回算出した平均回転速度ωn と前回、3回前、および4回前に算出した平均回転速度ωn-1 、ωn-3 、ωn-4 とに基づき、次式を用いて以下に示すように内燃機関2の回転速度の変化量Δωn を算出する。
【0021】
【数1】
Δωn =(ωn-1 −ωn )−(ωn-4 −ωn-3 )
なお上記数式1において、(ωn-1 −ωn )および(ωn-4 −ωn-3 )は、爆発行程が連続する気筒での回転速度変動量であり、(ωn-1 −ωn )は最新の、(ωn-4 −ωn-3 )は360°CA前の値である。ここで本実施例では、内燃機関2は6気筒内燃機関であり、1気筒が単独で爆発行程となる期間は、次に爆発行程にはいる気筒の上死点前120°CAとなる。このため、まずステップ100〜ステップ140にて内燃機関2の120°CA毎に平均回転速度ωn を算出することにより、内燃機関各気筒毎の爆発行程時の回転速度を算出する。そして、ステップ150にてこの回転速度と前回求めた回転速度とから最新の回転速度変動量を求め、さらにこの回転速度変動量と360°CA前の回転速度変動量とから失火判定に用いる内燃機関2の回転速度変動量Δωn を算出するようにしている。
【0022】
なお、本実施例では、上記数式1を用いて最新の回転速度変動量と360°CA前の回転速度変動量とを同時に求めるようにしているが、最新の回転速度変動量をRAM23内に格納するようにすれば、360°CA前の回転変動量をRAM23から読みだすことにより、この360°CA前の回転速度変動量を演算することなく変化量Δωn を求めるようにすることもできる。
【0023】
次に、続くステップ160では、現時点の運転状態(回転速度NE,吸気管圧力PM)を検出し、ステップ170に進む。ステップ170では、ステップ160で検出した運転状態(回転速度NE,吸気管圧力PM)に基づき、予めROM22内に格納されている回転速度NEと吸気管圧力PMとをパラメータとする図7に示す2次元マップ(REFマップ)を検索することにより、失火を判定するための第1の判定値(失火判定値REF)を設定する。
【0024】
同様にステップ180では、回転速度NEと吸気管圧力PMとをパラメータとする図8に示す2次元マップ(REF’マップ)を検索することにより、車両が悪路走行中であることを判定するための第2の判定値(悪路判定値REF’)を設定する。図11は、正常点火時のΔωの値とその頻度との関係(グラフA)、および、失火時のΔωの値とその頻度との関係(グラフB)を表したものである。これらは図からもわかるように、それぞれ正規分布のグラフとなる。本実施例では図11に示したように、失火判定値REFのマップは、各運転条件で測定された失火時のΔωの平均値をxREF,標準偏差をσとすると、
【0025】
【数2】
REF=xREF−3σ
で設定される値にもとづいて作成されてる。また、悪路判定値REF’のマップも同様に、各運転状態で測定された正常点火時のΔωの平均値をxREF',標準偏差をσ’とすると、
【0026】
【数3】
REF’=xREF'+3σ’
で設定される値にもとづいて作成される。つまり、失火判定値REFは平坦路において失火が発生した際の変化量Δωより、少なくとも小さい値とする。また、悪路判定値REF’は平坦路において正常点火が行われている際の変化量Δωより、少なくとも大きい値とする。さらに、REFとREF’との関係はREF>REF’を満たしているものとする。
【0027】
なお、本実施例ではREF’とREFとは独立のマップから求めたが、失火時と正常時とのΔωn の値に十分な差がある場合は所定の定数kを用いて、
【0028】
【数4】
REF’=k×REF (0.45<k<0.55)
の式からREF’を求めるようにして、ROM22のバイト数を削減するようにしてもよい。なお、k値は必ずしも上記範囲にある必要はなく、0<k<1の範囲であれば必要に応じて変化させてもよい。
【0029】
ステップ200では、点火毎の失火判定処理を実行する。以下この処理のサブルーチンを図5のフローチャートに沿って説明する。
【0030】
ステップ201では、図3のステップ150で算出された回転速度変動量Δωn と図3のステップ170で算出した第1の判定値REF(以下REF)とを比較する。Δωn がREFより大きい場合は、ステップ202に進む。ステップ202において、悪路検出禁止カウンタCRAFSTPに初期値KCRFSTPを入力する。初期値KCRFSTPは、失火発生後に生ずる揺り返しにより影響が出る点火数に基づいて設定される値である。次に、ステップ203では、ステップ201のΔωn >REFという結果を受けて失火数積算カウンタCMISをインクリメントする。
【0031】
ステップ201でΔωn がREFより小さいと判断された場合はステップ204に進み、失火後の悪路検出手段を禁止するための悪路検出禁止カウンタCRAFSTPが0か否かを判別し、0である場合は、失火後の揺り返し影響が無い区間であるため、ステップ205に進む。ステップ205では、図3のステップ150で算出されたΔωn とステップ180で求めたREF’を比較する。Δωn がREF’より大きい場合は悪路検出禁止カウンタCRAFをインクリメントする。ステップ204でCRAFSTPが0でないと判定された場合は、ステップ207に進みCRAFSTPをデクリメントする。ステップ208では失火最終判定を行なうための判別用点火数カウンタCSPKをインクリメントし図3のステップ200が終了する。
【0032】
図5のフローチャートでは、悪路検出禁止カウンタCRAFSTPに初期値KCRFSTPを入力することによって、悪路検出禁止カウンタCRAFSTPが0になるまで悪路検出を禁止する。言い換えれば、所定区間は悪路検出が実行されないことにより失火検出後の揺り返し期間に発生する回転速度変動量Δωn の揺り返しにより悪路走行中でないにもかかわらず悪路検出されることを防止する。そして、最終的な失火の有無を判定する際に、揺り返しにより失火判定結果が無効にされる誤判定を防止している。
【0033】
尚、悪路検出禁止カウンタCRAFSTPに0を入力し、所定値になるまで悪路検出禁止カウンタCRAFSTPにインクリメントし続ける方法でも同様の効果を得ることができる。
【0034】
次に、図3のステップ210では次回のΔωn 算出の為にωn-1 、ωn-2 、ωn-3 に、それぞれ今回用いられたωn 、ωn-1 、ωn-2 をRAM23に格納する。ステップ220では内燃機関2が所定回転する毎に故障判定すべき失火状態にあるか否かを判定する処理である。この処理を図4のフローチャートに従って説明する。
【0035】
図4において、ステップ201では、前述のステップ208で点火毎にインクリメントしたカウンタCSPKの値が、所定値J1 に到達したか否かを判断する。所定値J1 の値は、6気筒内燃機関において1000回転ごとに故障判定する場合にはJ1 =3000となる。したがって、内燃機関の所定回転毎にステップ202以下の処理が実行されることとなる。
【0036】
ステップ201でECU20が所定回転経過したと判断した場合はステップ202へ進み、失火数積算カウンタCMISの値と失火状態判別値J2 と比較する。J2 の値は、1000回転毎に故障表示すべき失火状態が失火発生率1%以上であるならば、J1 =3000のときJ2 =30となる。CMIS値が所定値J2 よりも大きい場合は悪路判定を行うためにステップ203へ進み、小さい場合はステップ205へ進む。
【0037】
ステップ203では、悪路判別カウンタCRAFの値と、CMIS値に悪路判別係数J3 を乗算した値とを比較する。J3 の値は、実際に失火状態誤判定に至るような悪路を走行して適合される値であり、例えばJ3 =1〜2程度の値である。本実施例では悪路判定をCMIS×J3 との比較で行ったが、J2 ×J3等の所定定数との比較で実施してもよい。ステップ203にて、悪路判別カウンタ値CRAFの方が小さい場合は悪路走行による失火誤判定ではないと判断してステップ204にて失火検出フラグXMFを“1”にセットする。また、そうでない場合には悪路走行による失火誤検出判定の可能性が高いと判断してステップ205へ進み、失火検出フラグXMFを“0”にセットする。
【0038】
次にステップ206では、各カウンタCMIS,CRAF,CSPKを0にクリアし、本失火検出処理を終了する。次に、図6に示す故障診断処理は、CPU21において所定時間毎に割り込み処理されるものであり、まずステップ310にて、例えばアクチュエータが正常に作動しているかどうかを検出する各種センサからの情報を記憶した異常検出フラグや、上記失火検出処理で失火判断された際に“1”にセットされる失火検出フラグXMF等の各種異常検出フラグを読み込む。
【0039】
次に続くステップ320では、ステップ310で読み込んだ各種異常検出フラグの状態を判別し、例えば失火検出フラグXMFが“1”にセットされていればステップ330に進み、“0”にセットされていればメインルーチンにリターンする。そして、ステップ330では、例えば触媒保護や排気ガス中のHC濃度の増大を防止するために、失火発生と判定された気筒への燃料供給を遮断したり、運転者等に失火が発生したことを知らせるための警告ランプ29を点灯させるなどの、異常検出に対応した周知のフェイルセーフ処理を実行して本ルーチンを終了する。
【0040】
なお、本実施例中で、第1の失火検出手段は、ステップ150にて行われるΔωn とREFマップとの比較による結果と、ステップ203にて行われる失火が検出される毎に点火数積算カウンタをインクリメントする操作とに相当する。
【0041】
悪路走行検出手段は、ステップ205にて行われるΔωn とREF’マップとの比較による結果と、ステップ205にて行われる悪路走行中であることが検出される毎に悪路判別カウンタCRAFをインクリメントする操作とに相当する。
【0042】
所定区間に用いられる禁止手段は、ステップ202にて悪路禁止カウンタCRAFSTPに初期値KCRFSTPを入力する操作と、ステップ207にて行われるCRAFSTPを0になるまでデクリメントする操作に相当する。
【0043】
第2の失火検出手段は、ステップ202の失火数積算カウンタCMISが所定値J2 と比較し、ステップ203の失火数積算カウンタCMISに補正係数J3 を乗じたものと悪路判別カウンタCRAFとを比較し、最終的にステップ204およびステップ205において失火検出フラグに1か0を入力する処理に相当する。
【0044】
回転速度変動量検出手段は、ステップ110、120、130、140、150にて行なわれる処理であり、Δωn を算出するルーチンに相当する。
【0045】
<第2実施例>
第1の実施例においては、失火検出後に所定区間、禁止手段を用いることにより課題を解決していた。本実施例は、特に車両駆動軸と内燃機関が直結されているマニュアルトランスミッション車や無段変速機を備える車両に適用する。このような構成にて、運転状態に基づいて禁止手段を適用することで、失火発生後の揺り返しが生じ易い所定区間に誤って悪路検出されることが防止できる。
【0046】
以下、図9のフローチャートに沿って本実施例の詳細を説明する。第1実施例と異なる点は図5のステップ201とステップ202との間に、運転状態検出手段により検出されたパラメータに基づいて、禁止手段を用いていることである。運転状態検出手段は内燃機関2の回転速度と高負荷状態(たとえば吸気管圧力)を検出しているが、この条件のほかにギア位置を含めても良い。更に言えば、揺り返しの発生を検出することができるなら異なるパラメータを用いてもよい。内燃機関2において揺り返しが発生する運転状態としては、内燃機関2が低回転速度、かつ、高負荷時(たとえば高吸気管圧力)の領域である。そこで、ステップ501では、内燃機関2の回転速度が例えば1500rpm以下であるか否かを判定し、1500rpm以上である場合はステップ203へ進む。回転速度が1500rpm以下であるときは、ステップ502に進む。ステップ502では内燃機関2の吸気管圧力が例えば300mmHgより大きいかを判定する。300mmHgより小さければステップ203へ進み、大きければステップ202へ進む。ステップ202以降は第1実施例と同様である。
【0047】
また、オートマチックトランスミッション車(以下、AT車)の場合、トルクコンバータがロックアップしている状態で揺り返しが発生する。従ってAT車では、ロックアップしている状態を判定すれば良い。たとえば、AT車用のコントロールユニットからロックアップ信号を入力したり、信号が無い場合は、ロックアップを制御するパラメータ信号(たとえば、車速、スロットル開度など)を用いる。
【0048】
なお、第1の実施例では、図4に示した故障診断処理で失火数積算カウンタCMISと悪路検出禁止カウンタCRAFの判定値を個別に持っていたが、図10に示すようにステップ203でCMISとCRAFとを比較し、CMISが大きければ失火であると判定してもよい。
【0049】
また、第1の実施例では、失火判定後に悪路判定禁止区間の初期値をKCRFSTPの固定値をセットし、全運転状態で禁止手段を用いる区間を同一にしていた。しかし、これに限るものではなく、揺り返しによる影響量に応じて、運転状態別のマップを持っても良い。このマップにより運転状態に応じた所定区間を設定できるため更に精度良く失火判定を行なうことができる。
【0050】
本実施例において、運転状態検出手段は、ステップ160にて行われる吸気管圧力PMと内燃機関の回転速度NEとを読み込む処理に相当する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の実際のタイミングチャート図。
【図2】本発明を6気筒内燃機関に用いた実施例の構成図である。
【図3】本実施例のECUにて実行される失火検出処理のメインフローチャートである。
【図4】本実施例のECUにて実行される故障診断処理のフローチャートである。
【図5】本実施例のECUにて実行される点火毎の失火判定処理のフローチャートである。
【図6】本実施例のECUにて実行される故障診断処理のフローチャートである。
【図7】本実施例のREFマップを示す説明図である。
【図8】本実施例のREF’マップを示す説明図である。
【図9】本実施例のECUにて実行される失火判定処理のフローチャートである。
【図10】本実施例のECUにて実行される失火判定処理のフローチャートである。
【図11】失火時および正常点火時のΔωの値と出現頻度との関係を表した正規分布図である。
【符号の簡単な説明】
2 内燃機関
4 吸気通路
6 吸気圧センサ
8 機関水温センサ
10 回転角センサ
20 ECU(電子制御装置)
21 ROM(リードオンリーメモリ)
22 RAM(ランダムアクセスメモリ)
24 入出力ポート
29 警告ランプ
Claims (6)
- 内燃機関の各点火毎に失火を検出し、失火と検出された回数をカウントする第1の失火検出手段と、
車両側からの負荷により内燃機関の回転速度に変動を生じさせる悪路を車両が走行していることを検出し、悪路走行中と検出された回数をカウントする悪路走行検出手段と、
前記第1の失火検出手段により失火が検出された後、失火による揺り返しの影響を受ける所定区間、前記悪路走行検出手段による悪路走行検出を禁止する禁止手段と、
前記第1の失火検出手段により検出された失火判定回数と、前記悪路走行検出手段によりカウントされた悪路判定回数とに基づいて最終的な失火の有無を判定する第2の失火検出手段とを備えることを特徴とする内燃機関の失火検出装置。 - 請求項1記載の内燃機関の失火検出装置において、
内燃機関の回転速度に基づいて前記回転速度の変動量を算出する回転速度変動量算出手段と、
前記悪路走行検出手段は、前記回転速度変動量算出手段により算出された前記回転速度変動量が第1の判定値より小さく、前記第1の判定値よりも小さい第2の判定値より大きい値のときに悪路走行中であると判定し、カウントすることを特徴とする内燃機関の失火検出装置。 - 請求項1乃至請求項2に記載の内燃機関の失火検出装置において、
内燃機関の回転速度および負荷状態を内燃機関の運転状態として検出する運転状態検出手段を備え、
前記禁止手段は前記運転状態検出手段により所定の運転状態にあると検出されたときに失火検出後の所定区間、悪路走行検出を禁止することを特徴とする内燃機関の失火検出装置。 - 請求項3に記載の内燃機関の失火検出装置において、
前記運転状態検出手段は、マニュアルトランスミッション車の内燃機関の運転状態が、車両の揺り返しが発生しやすい低回転高負荷であるか否かを検出する手段であり、
前記禁止手段は、前記運転状態検出手段により前記マニュアルトランスミッション車の前記内燃機関の運転状態が車両の揺り返しが発生しやすい低回転高負荷時であることが検出されたときに、失火検出後の所定区間、悪路走行検出を禁止することを特徴とする内燃機関の失火検出装置。 - 請求項3に記載の内燃機関の失火検出装置において、
前記運転状態検出手段は、無段変速機を備える車両の前記内燃機関の運転状態が車両の揺り返しが発生しやすい低回転高負荷時であるか否かを検出する手段であり、
前記禁止手段は、前記運転状態検出手段により前記無段変速機を備える車両の前記内燃機関の運転状態が車両の揺り返しが発生しやすい低回転高負荷時であることが検出されたときに、失火検出後の所定区間、悪路走行検出を禁止することを特徴とする内燃機関の失火検出装置。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の内燃機関の失火検出装置において、
前記運転状態検出手段は、オートマチックトランスミッション車のトルクコンバータがロックアップ状態であり、かつ、前記オートマチックトランスミッション車の内燃機関の運転状態が車両の揺り返しが発生しやすい低回転高負荷時であるか否かを検出する手段であり、
前記禁止手段は、前記運転状態検出手段により前記オートマチックトランスミッション車のトルクコンバータがロックアップ状態、かつ、前記オートマチックトランスミッション車の内燃機関の運転状態が車両の揺り返しが発生しやすい低回転高負荷時であることが検出されたときに、失火検出後の所定区間、悪路走行検出を禁止することを特徴とする内燃機関の失火検出装置。
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