JP6347397B2 - ポリカーボネートジオールおよびそれを用いたポリウレタン - Google Patents
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Description
一方、ポリラクトンタイプを用いたポリウレタンは、ポリエステルポリオールタイプを用いたポリウレタンと比較すると耐加水分解性に優れるグレードとされているが、同様にエステル基があるために加水分解を完全に抑制することはできない。また、これらポリエステルポリオールタイプ、エーテルタイプおよびポリラクトンタイプを混合してポリウレタンの原料として使用することも提案されているが、それぞれの欠点を完全に補うことは出来ていない。
しかしながら、現在広く市販されているポリカーボネートジオールは、主に1,6−ヘキサンジオールから合成されるポリカーボネートジオールであるが、このものは結晶性が高いため、ポリウレタンとしたときに、ソフトセグメントの凝集性が高く、特に低温における柔軟性、伸び、曲げ又は弾性回復性が悪いという問題があり用途が制限されていた。さらに、このポリウレタンを原料として製造した人工皮革は、硬い質感があり、天然皮革に比べて“風合い”が悪いということも指摘されている。
そこで上記問題を解決するためにいろいろな構造のポリカーボネートジオールが提案されている。
さらに、耐薬品性、低温特性、耐熱性に優れたポリカーボネートジオールとして、ジオールの平均の炭素数が6を超えるポリカーボネートジオールについて提案されている。(特許文献7)
また、炭素数3〜炭素数6のジオールを原料としたポリカーボネートジオールと、炭素数7〜12のジオールを原料としたポリカーボネートジオールを混合して使用することで、柔軟性、耐薬品性等を改良したポリカーボネートジオールを用いたポリウレタンが提案されている。(特許文献8〜10)
[1]下記式(A)で表される化合物に由来する構造単位及び下記式(B)で表される化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネートジオールであって、水酸基価が20mg−KOH/g以上450mg−KOH/g以下であり、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)が1.5以上3.5以下であることを特徴とするポリカーボネートジオール。
HO−R1−OH・・・(A)
HO−R2−OH・・・(B)
[2] 前記ポリカーボネートジオールの全構造単位中、前記式(A)で表される化合物に由来する構造単位及び前記式(B)で表される化合物に由来する構造単位の合計の割合が50モル%以上であることを特徴とする上記[1]に記載のポリカーボネートジオール。
[3] 前記式(A)で表される化合物に由来する構造単位と前記式(B)で表される化合物に由来する構造単位との割合がモル比率で50:50〜99:1であることを特徴とする上記[1]または[2]に記載のポリカーボネートジオール。
[4] 前記ポリカーボネートジオールを加水分解して得られるジヒドロキシ化合物の平均炭素数が4以上5.5以下である上記[1]〜[3]のいずれか1に記載のポリカーボネートジオール。
[5] 前記水酸基価が20mg−KOH/g以上60mg−KOH/g以下である上記[1]〜[4]のいずれか1に記載のポリカーボネートジオール。
[6] 前記式(A)で表される化合物が、1,3−プロパンジオール及び1,4−ブタンジオールからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物である上記[1]〜[5]のいずれか1に記載のポリカーボネートジオール。
[7] 前記式(B)で表される化合物が、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール及び1,12−ドデカンジオールからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物である上記[1]〜[6]のいずれか1に記載のポリカーボネートジオール。
[8] 前記式(A)で表される化合物及び前記式(B)で表される化合物のうち少なくとも一方が植物由来である上記[1]〜[7]のいずれか1に記載のポリカーボネートジオール。
[9] 上記[1]〜[8]のいずれか1に記載のポリカーボネートジオールを用いてなるポリウレタン。
[10] 上記[9]に記載のポリウレタンを用いて製造した人工皮革または合成皮革。
[11] 上記[9]に記載のポリウレタンを用いて製造した塗料またはコーティング剤。
[12] 上記[9]に記載のポリウレタンを用いて製造した弾性繊維。
[13] 上記[9]に記載のポリウレタンを用いて製造した水系ポリウレタン塗料。
[14] 上記[9]に記載のポリウレタンを用いて製造した粘着剤または接着剤。
[15] 上記[1]乃至[8]のいずれか1に記載のポリカーボネートジオールを用いてなる活性エネルギー線硬化性重合体組成物。
[16] 上記[1]1乃至[8]のいずれか1に記載のポリカーボネートジオールを製造する方法であって、下記式(A)で表される化合物と下記式(B)で表される化合物とカーボネート化合物とを用いて、エステル交換反応により重縮合することを特徴とするポリカーボネートジオールの製造方法。
HO−R1−OH・・・(A)
HO−R2−OH・・・(B)
ここで、本明細書において“質量%”と“重量%”、“質量ppm”と“重量ppm”、及び“質量部”と“重量部”とは、それぞれ同義である。また、単に“ppm”と記載した場合は、“重量ppm”のことを示す。
本発明のポリカーボネートジオールは、下記式(A)で表される化合物に由来する構造単位及び下記式(B)で表される化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネートジオールであって、水酸基価が20mg−KOH/g以上450mg−KOH/g以下であることを特徴とする。
HO−R1−OH・・・(A)
HO−R2−OH・・・(B)
本発明に係る前記式(A)で表される化合物に由来する構造単位は、例えば、下記式(C)で表される。また、前記式(B)で表される化合物に由来する構造単位は、例えば、下記式(D)で表される。
前記式(C)中、R1は1種類であっても複数種であってもよい。又前記式(D)中、R2は1種類であっても複数種であってもよい。
前記式(C)中、R1は置換若しくは無置換の炭素数3〜炭素数5の二価のアルキレン基であるが、耐薬品性、低温特性、耐熱性それぞれが良好となることより、R1における置換基の数は1以下が好ましく、無置換がさらに好ましい。置換基がある場合、置換基の炭素数は小さいほうが耐薬品性、低温特性、耐熱性それぞれが良好となることより、炭素数は2以下が好ましく、1以下がさらに好ましい。
本発明のポリカーボネートジオールの全構造単位に対する各ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の割合は、ポリカーボネートジオールをアルカリで加水分解して得られる各ジヒドロキシ化合物をガスクロマトグラフィーより分析して求めることができる。
本発明のポリカーボネートジオールの原料となるジヒドロキシ化合物である前記式(A)で表される化合物は、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール等が挙げられる。中でもポリウレタンとしたときの耐薬品性、低温特性のバランスが優れることより1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−プロパンジオールが好ましく、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールがより好ましく、1,4−ブタンジオールがさらに好ましい。尚、前記式(A)で表される化合物は1種であっても複数種であってもよい。
式(A)で表される化合物、前記式(B)で表される化合物以外のジヒドロキシ化合物(他のジヒドロキシ化合物と称する場合がある)を用いてもよい。具体的には直鎖状のジヒドロキシ化合物類、エーテル基を有するジヒドロキシ化合物類、分岐鎖を有するジヒドロキシ化合物類、環状基を含むジヒドロキシ化合物類等である。但し、他のジヒドロキシ化合物を用いる場合、本発明の効果を有効に得るために、ポリカーボネートジオールの全構造単位に対して、他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の割合は50モル%以下が好ましく、30モル%以下がより好ましく、20モル%以下がさらに好ましく、10モル%以下が最も好ましい。他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の割合が多いと、耐薬品性、低温特性のバランスを損なう可能性がある。
前記式(B)で表される化合物は植物由来であることが、環境負荷低減の観点から好ましい。植物由来として適用可能な前記式(B)で表される化合物としては、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,12−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール等が挙げられる。
1,10−デカンジオールはひまし油からアルカリ溶融によりセバシン酸を合成し、直接もしくはエステル化反応後に水素添加することにより合成できる。
本発明のポリカーボネートジオールの製造に使用可能なカーボネート化合物(「炭酸ジエステル」と称する場合がある)としては、本発明の効果を損なわない限り限定されないが、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、またはアルキレンカーボネートが挙げられる。このうち反応性の観点からジアリールカーボネートが好ましい。
カーボネート化合物の具体例としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート等が挙げられ、ジフェニルカーボネートが好ましい。
本発明のポリカーボネートジオールは、上記式(A)で表される化合物と上記式(B)で表される化合物とカーボネート化合物とを、エステル交換反応により重縮合することにより製造することができる。
本発明のポリカーボネートジオールを製造する場合には、重合を促進するために必要に応じてエステル交換触媒(以下、触媒と称する場合がある)を用いることができる。その
場合、得られたポリカーボネートジオール中に、過度に多くの触媒が残存すると、該ポリカーボネートジオールを用いてポリウレタンを製造する際に反応を阻害したり、反応を過度に促進したりする場合がある。
エステル交換触媒としては、一般にエステル交換能があるとされている化合物であれば制限なく用いることができる。
本発明のポリカーボネートジオールの分子鎖末端は主に水酸基である。しかしながら、ジヒドロキシ化合物とカーボネート化合物との反応で得られるポリカーボネートジオールの場合には、不純物として一部分子鎖末端が水酸基ではないものが存在する可能性がある。その具体例としては、分子鎖末端がアルキルオキシ基又はアリールオキシ基のものであり、多くはカーボネート化合物由来の構造である。
キルオキシ基としてメトキシ基(MeO−)、ジエチルカーボネートを使用した場合はエトキシ基(EtO−)、エチレンカーボネートを使用した場合はヒドロキシエトキシ基(HOCH2CH2O−)が分子鎖末端として残存する場合がある(ここで、Phはフェニル基を表し、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す)。
本発明のポリカーボネートジオールの水酸基価は、下限は20mg−KOH/g、好ましくは25mg−KOH/g、より好ましくは30mg−KOH/g、さらに好ましくは35mg−KOH/gである。また、上限は450mg−KOH/g、好ましくは230mg−KOH/g、より好ましくは150mg−KOH/g、さらに好ましくは120mg−KOH/g、よりさらに好ましくは75mg−KOH/g、特に好ましくは60mg−KOH/g、最も好ましくは45mg−KOH/gである。水酸基価が上記下限未満では、粘度が高くなりすぎポリウレタン化の際のハンドリングが困難となる場合があり、上記上限超過ではポリウレタンとした時に柔軟性や低温特性などの物性が不足する場合がある。
本発明のポリカーボネートジオールの水酸基価から求めた数平均分子量(Mn)の下限は好ましくは250であり、より好ましくは300、さらに好ましくは400である。一方、上限は好ましくは5,000であり、より好ましくは4,000、さらに好ましくは3,000である。ポリカーボネートジオールのMnが前記下限未満では、ウレタンとした際に柔軟性が十分に得られない場合がある。一方前記上限超過では粘度が上がり、ポリウレタン化の際のハンドリングを損なう可能性がある。
前記重量平均分子量はポリスチレン換算の重量平均分子量、前記数平均分子量はポリスチレン換算の数平均分子量であり、通常ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPCと略記する場合がある)の測定により求めることができる。
本発明のポリカーボネートジオールの製造において、カーボネート化合物の使用量は、特に限定されないが、通常ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対するモル比率で、下限が好ましくは0.35、より好ましくは0.50、さらに好ましくは0.60であり、上限は好ましくは1.00、より好ましくは0.98、さらに好ましくは0.97である。カ
ーボネート化合物の使用量が上記上限超過では得られるポリカーボネートジオールの末端基が水酸基でないものの割合が増加したり、分子量が所定の範囲とならない場合があり、前記下限未満では所定の分子量まで重合が進行しない場合がある。
前述の如く、重合反応の際に触媒を用いた場合、通常得られたポリカーボネートジオールには触媒が残存し、残存する触媒により、ポリカーボネートジオールの加熱により、分子量上昇や組成変化、色調悪化等が起こったり、ポリウレタン化反応の制御が出来なくなったりする場合がある。この残存する触媒の影響を抑制するために、使用されたエステル交換触媒とほぼ等モルの例えばリン系化合物等を添加し、エステル交換触媒を不活性化することが好ましい。さらには添加後、後述のように加熱処理等により、エステル交換触媒を効率的に不活性化することができる。リン系化合物としては、少量で効果が大きいことからリン酸、亜リン酸が好ましく、リン酸がより好ましい。
前記リン系化合物の使用量は、特に限定はされないが、前述したように、使用されたエステル交換触媒とほぼ等モルであればよく、具体的には、使用されたエステル交換触媒1モルに対して上限が好ましくは5モル、より好ましくは2モルであり、下限が好ましくは0.6モル、より好ましくは0.8モル、さらに好ましくは1.0モルである。これより少ない量のリン系化合物を使用した場合は、ポリカーボネートジオールを加熱すると、ポリカーボネートジオールの分子量上昇、組成変化、色調悪化等が起こったり、エステル交換触媒の不活性化が十分でなく、得られたポリカーボネートジオールを例えばポリウレタン製造用原料として使用する時、該ポリカーボネートジオールのイソシアネート基に対する反応性を十分に低下させることができなかったりする場合がある。また、この範囲を超えるリン系化合物を使用すると得られたポリカーボネートジオールが着色したり、該ポリカーボネートジオールを原料としてポリウレタンとしたときに、ポリウレタンが加水分解しやすく、更に、リン系化合物がブリードアウトしたりする可能性がある。
リン系化合物と反応させる時間は特に限定するものではないが、通常0.1〜5時間である。
原料として例えばジフェニルカーボネート等の芳香族炭酸ジエステルを使用した場合、ポリカーボネートジオール製造中にフェノール類が副生する。フェノール類は一官能性化合物なので、ポリウレタンを製造する際の阻害因子となる可能性がある上、フェノール類によって形成されたウレタン結合は、その結合力が弱いために、その後の工程等で熱によって解離してしまい、イソシアネートやフェノール類が再生し、不具合を起こす可能性がある。また、フェノール類は刺激性物質でもあるため、ポリカーボネートジオール中のフ
ェノール類の残存量は、より少ない方が好ましい。具体的にはポリカーボネートジオールに対する重量比として好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下、中でも100ppm以下であることが好ましい。ポリカーボネートジオール中のフェノール類を低減するためには、後述するようにポリカーボネートジオールの重合反応の圧力を絶対圧力として1kPa以下の高真空としたり、ポリカーボネートジオールの重合後に薄膜蒸留等を行ったりすることが有効である。
上述の本発明のポリカーボネートジオールを用いてポリウレタンを製造することができる。
本発明のポリカーボネートジオールを用いて本発明のポリウレタンを製造する方法は、通常ポリウレタンを製造する公知のポリウレタン化反応条件が用いられる。
また、本発明のポリカーボネートジオールと過剰のポリイソシアネートとをまず反応させて末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを製造し、さらに鎖延長剤を用いて重合度を上げて本発明のポリウレタンを製造する事が出来る。
本発明のポリカーボネートジオールを用いてポリウレタンを製造するのに使用されるポ
リイソシアネートとしては、脂肪族、脂環族又は芳香族の各種公知のポリイソシアネート化合物が挙げられる。
例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート及びダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1−メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1−メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及び1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどの脂環族ジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、フェニレンジイソシアネート及びm−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、本発明のポリウレタンを製造する際に用いられる鎖延長剤は、後述するイソシアネート基を有するプレポリマーを製造する場合において、イソシアネート基と反応する活性水素を少なくとも2個有する低分子量化合物であり、通常ポリオール及びポリアミン等を挙げることができる。
ンジアミン、2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、4,4’−ジフェニルメタンジアミン、メチレンビス(o−クロロアニリン)、キシリレンジアミン、ジフェニルジアミン、トリレンジアミン、ヒドラジン、ピペラジン、N,N’−ジアミノピペラジン等のポリアミン類;及び水等を挙げることができる。
これらの中でも得られるポリウレタンの物性のバランスが好ましい点、工業的に安価に多量に入手が可能な点で、1,4−ブタンジオール(以下、1,4BDと称する場合がある)、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ジヒドロキシエチルシクロヘキサン、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、イソホロンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンが好ましい。
また、後述する水酸基を有するプレポリマーを製造する場合の鎖延長剤とは、イソシアネート基を少なくとも2個有する低分子量化合物であり、具体的には<2−1.ポリイソシアネート>で記載したような化合物が挙げられる。
本発明のポリウレタンを製造する際には、得られるポリウレタンの分子量を制御する目的で、必要に応じて1個の活性水素基を持つ鎖停止剤を使用することができる。
これらの鎖停止剤としては、一個の水酸基を有するメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール等の脂肪族モノオール類、一個のアミノ基を有するジエチルアミン、ジブチルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モルホリン等の脂肪族モノアミン類が例示される。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のポリウレタンを製造する際のポリウレタン形成反応において、トリエチルアミン、N−エチルモルホリン、トリエチレンジアミンなどのアミン系触媒又はトリメチルチンラウレート、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジオクチルチンジネオデカネートなどのスズ系の化合物、さらにはチタン系化合物などの有機金属塩などに代表される公知のウレタン重合触媒を用いる事もできる。ウレタン重合触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のポリウレタンを製造する際のポリウレタン形成反応においては、本発明のポリカーボネートジオールと必要に応じてそれ以外のポリオールを併用しても良い。ここで、本発明のポリカーボネートジオール以外のポリオールとは、通常のポリウレタン製造の際に用いるものであれば特に限定されず、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、本発明以外のポリカーボネートポリオールがあげられる。例えば、ポリエーテル系ポリオールとの併用では、本発明のポリカーボネートジオールの特徴である低温特性を更に向上させたポリウレタンとすることができる。ここで、本発明のポリカーボネートジオールとそれ以外のポリオールを合わせた重量に対する。本発明のポリカーボネートジオールの重量割合は70%以上が好ましく、90%以上がさらに好ましい。本発明のポリカーボネートジオールの重量割合が少ないと、本発明の特徴である耐薬品性、低温特性、耐熱性のバランスが失われる可能性がある。
カーボネートジオールにエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のエポキシ化合物を付加させてエーテル基を導入する方法や、ポリカーボネートジオールをε−カプロラクトン等の環状ラクトンやアジピン酸、コハク酸、セバシン酸、テレフタル酸等のジカルボン酸化合物並びにそれらのエステル化合物と反応させてエステル基を導入する方法がある。エーテル変性ではエチレンオキシド、プロピレンオキシド等による変性でポリカーボネートジオールの粘度が低下し、取扱い性等の理由で好ましい。特に、本発明のポリカーボネートジオールではエチレンオキシドやプロピレンオキシド変性することによって、ポリカーボネートジオールの結晶性が低下し、低温での柔軟性が改善すると共に、エレンオキシド変性の場合は、エチレンオキシド変性ポリカーボネートジオールを用いて製造されたポリウレタンの吸水性や透湿性が増加する為に人工皮革・合成皮革等としての性能が向上することがある。しかし、エチレンオキシドやプロピレンオキシドの付加量が多くなると、変性ポリカーボネートジオールを用いて製造されたポリウレタンの機械強度、耐熱性、耐薬品性等の諸物性が低下するので、ポリカーボネートジオールに対する付加量としては5〜50重量%が好適であり、好ましくは5〜40重量%、さらに好ましくは5〜30重量%である。また、エステル基を導入する方法では、ε−カプロラクトンによる変性でポリカーボネートジオールの粘度が低下し、取扱い性等の理由で好ましい。ポリカーボネートジオールに対するε−カプロラクトンの付加量としては5〜50重量%が好適であり、好ましくは5〜40重量%、さらに好ましくは5〜30重量%である。ε−カプロラクトンの付加量が50重量%を超えると、変性ポリカーボネートジオールを用いて製造されたポリウレタンの耐加水分解性、耐薬品性等が低下する。
本発明のポリウレタンを製造する際のポリウレタン形成反応は溶剤を用いても良い。
好ましい溶剤としては、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド,N−メチルピロリドンなどのアミド系溶剤;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶剤、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;及びトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上の混合溶媒として用いてもよい。
また、本発明のポリカーボネートジオール、ポリジイソシアネート、及び前記の鎖延長剤が配合されたポリウレタン組成物から、水分散液のポリウレタンを製造することもできる。
上述の反応試剤を用いて本発明のポリウレタンを製造する方法としては、一般的に実験ないし工業的に用いられる製造方法が使用できる。
その例としては、本発明のポリカーボネートジオール、それ以外のポリオール、ポリイソシアネート及び鎖延長剤を一括に混合して反応させる方法(以下、「一段法」と称する場合がある)や、まず本発明のポリカーボネートジオール、それ以外のポリオール及びポリイソシアネートを反応させて両末端がイソシアネート基のプレポリマーを調製した後に、そのプレポリマーと鎖延長剤を反応させる方法(以下、「二段法」と称する場合がある)等がある。
相当する部分の両末端イソシアネート中間体を調製する工程を経るものである。このように、プレポリマーを一旦調製した後に鎖延長剤と反応させると、ソフトセグメント部分の分子量の調整が行いやすい場合があり、ソフトセグメントとハードセグメントの相分離を確実に行う必要がある場合には有用である。
一段法とは、ワンショット法とも呼ばれ、本発明のポリカーボネートジオール、それ以外のポリオール、ポリイソシアネート及び鎖延長剤を一括に仕込むことで反応を行う方法である。
一段法におけるポリイソシアネートの使用量は、特に限定はされないが、本発明のポリカーボネートジオールとそれ以外のポリオールとの総水酸基数と、鎖延長剤の水酸基数とアミノ基数との総計を1当量とした場合、下限は、好ましくは0.7当量、より好ましくは0.8当量、さらに好ましくは0.9当量、特に好ましくは0.95当量であり、上限は、好ましくは3.0当量、より好ましくは2.0当量、さらに好ましくは1.5当量、特に好ましくは1.1当量である。
また、鎖延長剤の使用量は、特に限定されないが、本発明のポリカーボネートジオールとそれ以外のポリオールの総水酸基数からポリイソシアネートのイソシアネート基数を引いた数を1当量とした場合、下限は、好ましくは0.7当量、より好ましくは0.8当量、さらに好ましくは0.9当量、特に好ましくは0.95当量であり、上限は好ましくは3.0当量、より好ましくは2.0当量、さらに好ましくは1.5当量、特に好ましくは1.1当量である。鎖延長剤の使用量が多すぎると、得られるポリウレタンが溶媒に溶けにくく加工が困難になる傾向があり、少なすぎると、得られるポリウレタンが軟らかすぎて十分な強度や硬度、弾性回復性能や弾性保持性能が得られなかったり、耐熱性が悪くなる場合がある。
二段法は、プレポリマー法ともよばれ、主に以下の方法がある。
(a)予め本発明のポリカーボネートジオール及びそれ以外のポリオールと、過剰のポリイソシアネートとを、ポリイソシアネート/(本発明のポリカーボネートジオール及びそれ以外のポリオール)の反応当量比が1を超える量から10.0以下で反応させて、分子鎖末端がイソシアネート基であるプレポリマーを製造し、次いでこれに鎖延長剤を加えることによりポリウレタンを製造する方法
(b)予めポリイソシアネートと、過剰のポリカーボネートジオール及びそれ以外のポリオールとを、ポリイソシアネート/(本発明のポリカーボネートジオール及びそれ以外のポリオール)の反応当量比が0.1以上から1.0未満で反応させて分子鎖末端が水酸基であるプレポリマーを製造し、次いでこれに鎖延長剤として末端がイソシアネート基のポリイソシアネートを反応させてポリウレタンを製造する方法。
二段法によるポリウレタン製造は以下に記載の(1)〜(3)のいずれかの方法によって行うことができる。
(1) 溶媒を使用せず、まず直接ポリイソシアネートとポリカーボネートジオールとそれ以外のポリオールとを反応させてプレポリマーを合成し、そのまま鎖延長反応に使用する。
(2) (1)の方法でプレポリマーを合成し、その後溶媒に溶解し、以降の鎖延長反応
に使用する。
(3) 初めから溶媒を使用し、ポリイソシアネートとポリカーボネートジオールとそれ以外のポリオールとを反応させ、その後鎖延長反応を行う。
二段法(a)の方法におけるポリイソシアネートの使用量は、特に限定はされないが、ポリカーボネートジオールとそれ以外のポリオールの総水酸基の数を1当量とした場合のイソシアネート基の数として、下限が好ましくは1.0当量を超える量、より好ましくは1.2当量、さらに好ましくは1.5当量であり、上限が好ましくは10.0当量、より好ましくは5.0当量、さらに好ましくは3.0当量の範囲である。
鎖延長剤の使用量については特に限定されないが、プレポリマーに含まれるイソシアネート基の数1当量に対して、下限が、好ましくは0.1当量、より好ましくは0.5当量、さらに好ましくは0.8当量であり、上限が好ましくは5.0当量、より好ましくは3.0当量、さらに好ましくは2.0当量の範囲である。
また、二段法(b)の方法における末端が水酸基であるプレポリマーを作成する際のポリイソシアネートの使用量は、特に限定はされないが、ポリカーボネートジオールとそれ以外のポリオールの総水酸基の数を1当量とした場合のイソシアネート基の数として、下限が好ましくは0.1当量、より好ましくは0.5当量、さらに好ましくは0.7当量であり、上限が好ましくは0.99当量、より好ましくは0.98当量、さらに好ましくは0.97当量である。
鎖延長剤の使用量については特に限定されないが、プレポリマーに使用したポリカーボネートジオールとそれ以外のポリオールの総水酸基の数を1当量とした場合、プレポリマーに使用したイソシアネート基の当量を加えた総当量として、下限が好ましくは0.7当量、より好ましくは0.8当量、さらに好ましくは0.9当量であり、上限が好ましくは1.0当量未満、より好ましくは0.99当量、さらに好ましくは0.98当量の範囲である。
鎖延長反応は通常、0℃〜250℃で反応させるが、この温度は溶剤の量、使用原料の反応性、反応設備等により異なり、特に制限はない。温度が低すぎると反応の進行が遅すぎたり、原料や重合物の溶解性が低い為に製造時間が長くなることがあり、また高すぎると副反応や得られるポリウレタンの分解が起こることがある。鎖延長反応は、減圧下で脱泡しながら行ってもよい。
触媒としては例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジブチル錫ジラウレ−ト、オクチル酸第一錫、酢酸、燐酸、硫酸、塩酸、スルホン酸等の化合物が挙げられ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。安定剤としては例えば2,6−ジブチル−4−メチルフェノール、ジステアリルチオジプロピオネ−ト、N,N′−ジ−2−ナフチル−1,4−フェニレンジアミン、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト等の化合物が挙げられ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。尚、鎖延長剤が短鎖脂肪族アミン等の反応性の高いものの場合は、触媒を添加せずに実施してもよい。
本発明のポリカーボネートジオールを用いて、水系ポリウレタンエマルションを製造する事も可能である。
その場合、ポリカーボネートジオールを含むポリオールと過剰のポリイソシアネートを反応させてプレポリマーを製造する際に、少なくとも1個の親水性官能基と少なくとも2個のイソシアネート反応性の基を有する化合物を混合してプレポリマーを形成し、親水性官能基の中和塩化工程、水添加による乳化工程、鎖延長反応工程を経て水系ポリウレタンエマルションとする。
本発明のポリカーボネートジオールを原料として、無溶媒で水系ポリウレタンエマルションを製造する際にはポリカーボネートジオールの水酸基価から求めた数平均分子量の上限は好ましくは5000、より好ましくは4500、さらに好ましくは4000である。また、下限は好ましくは300、より好ましくは500、さらに好ましくは800である。水酸基価から求めた数平均分子量が5000を超えたり、300より小さくなると、エマルジョン化が困難となる場合がある。
このようにして製造された水系ポリウレタンエマルションは、様々な用途に使用する事が可能である。特に、最近は環境負荷の小さな化学品原料が求められており、有機溶剤を使用しない目的としての従来品からの代替が可能である。
本発明のポリカーボネートジオールを用いて製造した本発明のポリウレタンには、熱安定剤、光安定剤、着色剤、充填剤、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘着防止剤、難燃剤、老化防止剤、無機フィラー等の各種の添加剤を、本発明のポリウレタンの特性を損なわない範囲で、添加、混合することができる。
リン化合物としては、PEP−36、PEP−24G、HP−10(いずれも商品名:株式会社ADEKA社製)Irgafos 168(商品名:BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
光安定剤の例としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系化合物等が挙げられ、具体的には「TINUVIN622LD」、「TINUVIN765」(以上、チバ・
スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製)、「SANOL LS−2626」、「SANOL LS−765」(以上、三共株式会社製)等が使用可能である。
着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、金属錯塩染料などの染料;カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、マイカなどの無機顔料;及びカップリングアゾ系、縮合アゾ系、アンスラキノン系、チオインジゴ系、ジオキサゾン系、フタロシアニン系等の有機顔料等が挙げられる。
難燃剤の例としては、燐及びハロゲン含有有機化合物、臭素あるいは塩素含有有機化合物、ポリ燐酸アンンモニウム、水酸化アルミニウム、酸化アンチモン等の添加及び反応型難燃剤が挙げられる。
これらの添加剤の添加量は、ポリウレタンに対する重量比として、下限が、好ましくは0.01重量%、より好ましくは0.05重量%、さらに好ましくは0.1重量%、上限は、好ましくは10重量%、より好ましくは5重量%、さらに好ましくは1重量%である。添加剤の添加量が少な過ぎるとその添加効果を十分に得ることができず、多過ぎるとポリウレタン中で析出したり、濁りを発生したりする場合がある。
本発明のポリウレタンを使用してフィルムを製造する場合、そのフィルムの厚さは、下限が好ましくは10μm、より好ましくは20μm、さらに好ましくは30μm、上限は好ましくは1000μm、より好ましくは500μm、さらに好ましくは100μmである。
フィルムの厚さが厚すぎると、十分な透湿性が得られない傾向があり、また、薄過ぎるとピンホールを生じたり、フィルムがブロッキングしやすく取り扱いにくくなる傾向がある。
本発明のポリウレタンの分子量は、その用途に応じて適宜調整され、特に制限はないが、GPCにより測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)として5万〜50万であることが好ましく、10万〜30万であることがより好ましい。Mwが上記下限よりも小さいと十分な強度や硬度が得られない場合があり、上記上限よりも大きいと加工性などハンドリング性を損なう傾向がある。
本発明のポリウレタンは、例えば後述の実施例の項に記載される方法での評価において、薬品に浸漬前のポリウレタン試験片の重量に対する、薬品に浸漬後のポリウレタン試験片の重量の変化率(%)が、40%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましい。
この重量変化率が上記上限超過では、所望の耐薬品性が得られない場合がある。
本発明のポリウレタンは、例えば後述の実施例の項に記載される方法での評価において、オレイン酸に浸漬前のポリウレタン試験片の重量に対する、オレイン酸に浸漬後のポリ
ウレタン試験片の重量の変化率(%)が、80%以下が好ましく、60%以下がより好ましく、50%以下がさらに好ましく、45%以下が特に好ましく40%以下が最も好ましい。
この重量変化率が上記上限超過では十分な耐オレイン酸性が得られない場合がある。
本発明のポリウレタンは、例えば後述の実施例の項に記載される方法での評価において、エタノールに浸漬前のポリウレタン試験片の重量に対する、エタノールに浸漬後のポリウレタン試験片の重量の変化率(%)が、25%以下が好ましく、23%以下がより好ましく、21%以下がさらに好ましく、20%以下が特に好ましく、19%以下が最も好ましい。
この重量変化率が上記上限超過では十分な耐エタノール性が得られない場合がある。
本発明のポリウレタンは、幅10mm、長さ100mm、厚み約50〜100μmの短冊状のサンプルに対して、チャック間距離50mm、引張速度500mm/分にて、温度23℃、相対湿度50%で測定する引張破断伸度の下限が好ましくは50%、より好ましくは100%、さらに好ましくは150%であり、上限は好ましくは900%、より好ましくは850%、さらに好ましくは800%である。引張破断伸度が上記下限未満では加工性などハンドリング性を損なう傾向があり、上記上限を超えると十分な耐薬品性が得られない場合がある。
本発明のポリカーボネートジオールとMDIと1,4BDを用いて、HS含有量%を12%〜13%として一段法で製造された、GPCにより測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が14万〜21万のポリウレタン(以下、「特定ポリウレタン」と称す場合がある。)の上記引張破断伸度測定と同様の方法で測定する23℃でのヤング率は好ましくは0.02以上、より好ましくは0.04以上、さらに好ましくは0.06以上である。又好ましくは2以下、より好ましくは1以下、さらに好ましくは0.5以下である。ヤング率が低すぎると耐薬品性が不足する場合がある。ヤング率が高過ぎると柔軟性が不十分であったり、加工性などのハンドリング性を損なったりする場合がある。更に、特定ポリウレタンの−10℃にした以外は上記引張破断伸度測定と同様の方法で測定するヤング率は好ましくは0.01以上、より好ましくは0.02以上、さらに好ましくは0.03以上、特に好ましくは0.05以上である。又好ましくは2以下、より好ましくは1以下、さらに好ましくは0.5以下、特に好ましくは0.3以下である。−10℃でのヤング率が上記下限未満では耐薬品性が不足する場合がある。−10℃でのヤング率が上記上限を超えると低温での柔軟性が不十分であったり、加工性などのハンドリング性を損なったりする場合がある。
尚、前記HS(ハードセグメント)含有量%は以下の式により算出することができる。HS含有量(重量%)=〔ポリイソシアネート仕込み重量(g)+鎖延長剤仕込み重量(g)+硬度調整剤(g)〕÷〔ポリイソシアネート仕込み重量(g)+ポリカーボネートジオール仕込み重量(g)+それ以外のポリオール仕込み重量(g)+鎖延長剤仕込み重量(g)+硬度調整剤(g)〕
上記式の各項はウレタン製造時に使用した原料にかかる数値である。
本発明のポリウレタンは、本発明のポリカーボネートジオールに対して4,4’−ジシ
クロヘキシルメタンジイソシアネートを2当量反応させ、さらにイソホロンジアミンで鎖延長反応を行い二段法でポリウレタンを得た場合、幅10mm、長さ100mm、厚み約50〜100μmの短冊状のサンプルに対して、チャック間距離50mm、引張速度500mm/分にて、温度23℃、相対湿度50%で測定した100%モジュラスの下限が好ましくは0.1MPa以上、より好ましくは0.5MPa以上、さらに好ましくは1MPa以上であり、上限は好ましくは20MPa以下、より好ましくは10MPa以下、さらに好ましくは6MPa以下である。100%モジュラスが上記下限未満では耐薬品性が十分でない場合があり、上記上限を超えると柔軟性が不十分であったり、加工性などハンドリング性を損なったりする傾向がある。更に、特定ポリウレタンの−10℃での100%モジュラスは好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上、さらに好ましくは1.5以上、特に好ましくは2.0以上である。又好ましくは13.0以下、より好ましくは12.5以下、さらに好ましくは12.0以下、特に好ましくは11.5以下、最も好ましくは10.0以下である。−10℃での100%モジュラスが上記下限未満では耐薬品性が不足する場合がある。−10℃での100%モジュラスが上記上限を超えると低温での柔軟性が不十分であったり、加工性などのハンドリング性を損なったりする場合がある。
本発明のポリウレタンは、低温特性が良好であるが、本特許での低温特性とは、−10℃等の低温での引張試験における引張破断伸度、ヤング率、100%モジュラスにより評価できる。また、具体的には低温での柔軟性、耐衝撃性、耐屈曲性、耐久性のことである。
本発明のポリウレタンは、幅100mm、長さ100mm、厚み約50〜100μmのウレタンフィルムを、ギヤオーブンにて温度120℃、400時間加熱を行い、加熱後のサンプルの重量平均分子量(Mw)が加熱前の重量平均分子量(Mw)に対して、下限が好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上、特に好ましくは45%以上であり、上限は好ましくは120%以下、より好ましくは110%以下、さらに好ましくは105%以下である。
本発明のポリカーボネートジオールに対して4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを2当量反応させ、さらにイソホロンジアミンで鎖延長反応を行い二段法でポリウレタンを得た場合に、GPCにより測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が13万〜21万の特定ポリウレタンのガラス転移温度(Tg)の下限は好ましくは−50℃、より好ましくは−45℃、さらに好ましくは−40℃であり、上限は好ましくは−20℃、より好ましくは−25℃、さらに好ましくは−30℃である。Tgが上記下限未満では耐薬品性が十分でない場合があり、上記上限超過では低温特性が十分でない可能性がある。
本発明のポリウレタンは、耐薬品性に優れ、良好な低温特性を有することから、フォーム、エラストマー、弾性繊維、塗料、繊維、粘着剤、接着剤、床材、シーラント、医療用材料、人工皮革、合成皮革、コーティング剤、水系ポリウレタン塗料、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物等に広く用いることができる。
用のアルコールが使われたりする部分において耐久性が高く、また低温での柔軟性も十分で、かつ物理的な衝撃などにも強いという良好な特性を付与することができる。また、より厳しい低温での柔軟性が要求される自動車外装の中塗り塗料にも好適である。
本発明のポリウレタンは、湿気硬化型の一液型塗料、ブロックイソシアネート系溶媒塗料、アルキド樹脂塗料、ウレタン変性合成樹脂塗料、紫外線硬化型塗料、水系ウレタン塗料等の成分として使用可能であり、例えば、プラスチックバンパー用塗料、ストリッパブルペイント、磁気テープ用コーティング剤、床タイル、床材、紙、木目印刷フィルム等のオーバープリントワニス、木材用ワニス、高加工用コイルコート、光ファイバー保護コーティング、ソルダーレジスト、金属印刷用トップコート、蒸着用ベースコート、食品缶用ホワイトコート等に適用できる。
本発明のポリウレタンは、バインダーとして、磁気記録媒体、インキ、鋳物、焼成煉瓦、グラフト材、マイクロカプセル、粒状肥料、粒状農薬、ポリマーセメントモルタル、レジンモルタル、ゴムチップバインダー、再生フォーム、ガラス繊維サイジング等に使用可能である。
本発明のポリウレタンを弾性繊維として使用する場合のその繊維化の方法は、紡糸できる方法であれば特に制限なく実施できる。例えば、一旦ペレット化した後、溶融させ、直接紡糸口金を通して紡糸する溶融紡糸方法が採用できる。本発明のポリウレタンから弾性繊維を溶融紡糸により得る場合、紡糸温度は好ましくは250℃以下、より好ましくは2
00℃以上235℃以下である。
本発明のポリウレタンは、医療用材料としての使用が可能であり、血液適合材料として、チューブ、カテーテル、人工心臓、人工血管、人工弁等、また、使い捨て素材としてカテーテル、チューブ、バッグ、手術用手袋、人工腎臓ポッティング材料等に使用できる。
本発明のポリウレタンは、末端を変性させることによりUV硬化型塗料、電子線硬化型塗料、フレキソ印刷版用の感光性樹脂組成物、光硬化型の光ファイバー被覆材組成物等の原料として用いることができる。
又、本発明のポリカーボネートジオールを用いて、ポリイソシアネートとドロキシアルキル(メタ)アクリレートを付加反応させることによりウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを製造することができる。その他の原料化合物であるポリオール、及び鎖延長剤等を併用する場合は、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリイソシアネートに、更にこれらのその他の原料化合物も付加反応させることにより製造することができる。
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーにおける全イソシアネート基の量と水酸基及びアミノ基等のイソシアネート基と反応する全官能基の量は、通常、理論的に当モルである。
%以上、さらに好ましくは50質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。ポリカーボネートジオールの使用量が前記の下限値より大きいと、得られる組成物の粘度が低下し作業性が向上し、また得られる硬化物の機械的強度及び硬度や耐摩耗性が向上する傾向になり好ましい。
また、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの製造時に、反応系に(メタ)アクリロイル基を含む場合には、重合禁止剤を併用することができる。このような重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノエチルエーテル、ジブチルヒドロキシトルエン等のフェノール類、フェノチアジン、ジフェニルアミン等のアミン類、ジブチルジチオカルバミン酸銅等の銅塩、酢酸マンガン等のマンガン塩、ニトロ化合物、ニトロソ化合物等が挙げられる。重合禁止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。重合禁止剤は、これらのうち、フェノール類が好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの製造時において、反応温度は通常20℃以上であり、40℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。反応温度が20℃以上であると、反応速度が高くなり、製造効率が向上する傾向にあるために好ましい。また、反応温度は通常120℃以下であり、100℃以下であることが好ましい。反応温度が120℃以下であると、アロハナート化反応等の副反応が起きにくくなるために好ましい。また、反応系に溶剤を含む場合には、反応温度はその溶剤の沸点以下であることが好ましく、(メタ)アクリレートが入っている場合には(メタ)アクリロイル基の反応防止の観点から70℃以下であることが好ましい。反応時間は通常5〜20時間程度である。
更に、本発明のポリカーボネートジオールは、ポリエステル系エラストマーとして使用することが出来る。ポリエステル系エラストマーとは、主として芳香族ポリエステルからなるハードセグメントと、主として脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステル又は脂肪族ポリカーボネートからなるソフトセグメントから構成される共重合体である。本発明のポリカーボネートジオールをソフトセグメントの構成成分として使用すると、脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステルを用いた場合に比べて、耐熱性、耐水性等の物性が優れる。また、公知のポリカーボネートジオールと比較しても、溶融時の流動性、つまりブロー成形、押出成形に適したメルトフローレートを有し、且つ機械強度その他の物性とのバランスに優れたポリカーボネートエステルエラストマーとなり、繊維、フィルム、シートをはじめとする各種成形材料、例えば弾性糸及びブーツ、ギヤ、チューブ、パッキンなどの成形材料に好適に用いることができる。具体的には耐熱性、耐久性を要求される自動車、家電部品等などのジョイントブーツや、電線被覆材等の用途に有効に適用することが可能である。
以下に、上述のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを含有する本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物について説明する。
本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、該組成物の計算網目架橋点間分子量が500〜10,000であることが好ましい。
計算網目架橋点間分子量が大きいほど架橋密度が小さくなる。活性エネルギー線硬化による反応では、活性エネルギー線反応基を1個のみ有する化合物(以下、「単官能化合物」と称する場合がある)が反応した場合には線状高分子になり、一方で活性エネルギー線反応基を2個以上有する化合物(以下、「多官能化合物」と称する場合がある)が反応した場合に網目構造を形成する。
複数種の多官能化合物が反応するような多官能化合物混合系組成物では、組成物中に含まれる全活性エネルギー線反応基数に対する上記単一系の各々の計算網目架橋点間分子量の平均値が組成物の計算網目架橋点間分子量となる。例えば、分子量1,000の2官能性化合物4モルと分子量300の3官能性化合物4モルとの混合物からなる組成物では、組成物中の全活性エネルギー線反応基数は2×4+3×4=20個となり、組成物の計算網目架橋点間分子量は{(1000/2)×8+(300/3)×12}×2/20=520となる。
上記のことから、分子量WAの単官能性化合物MAモルと、分子量WBのfB官能性化合物MBモルと、分子量WCのfC官能性化合物MCモルとの混合物では、組成物の計算網目架橋点間分子量は下記式で表せる。
本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物において、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの含有量は、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを含む活性エネルギー線反応性成分の総量に対して40質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。なお、この含有量の上限は100質量%である。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの含有量が40質量%以上であると、硬化性が良好となり、硬化物とした際の機械的強度が高くなりすぎることなく、3次元加工適性が向上する傾向にあるため好ましい。
層好ましい。なお、この含有量の上限は100質量%である。
トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリオキシプロピル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエポキシジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;が挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物において、前記活性エネルギー線反応性オリゴマーの含有量は、得られる硬化物の硬度、伸度等の物性調整の観点から、該組成物全量に対して、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましく、10質量%以下であることがさらに一層好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物におけるこれらの重合開始剤の含有量は、前記の活性エネルギー線反応性成分の合計100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましい。光重合開始剤の含有量が10質量部以下であると、開始剤分解物による機械的強度の低下が起こり難いため好ましい。
前記添加剤は、任意であり、同様の用途に用いられる組成物に添加される種々の材料を添加剤として用いることができる。添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混
合して用いてもよい。このような添加剤としては、例えば、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、雲母、酸化亜鉛、酸化チタン、マイカ、タルク、カオリン、金属酸化物、金属繊維、鉄、鉛、金属粉等のフィラー類;炭素繊維、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、C60等のフラーレン類等の炭素材料類(フィラー類、炭素材料類を総称して「無機成分」と称することがある);酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、HALS(ヒンダードアミン光安定剤)、耐指紋剤、表面親水化剤、帯電防止剤、滑り性付与剤、可塑剤、離型剤、消泡剤、レベリング剤、沈降防止剤、界面活性剤、チクソトロピー付与剤、滑剤、難燃剤、難燃助剤、重合禁止剤、充填剤、シランカップリング剤等の改質剤類;顔料、染料、色相調整剤等の着色剤類;及び、モノマー又は/及びそのオリゴマー、又は無機成分の合成に必要な硬化剤、触媒、硬化促進剤類;等が挙げられる。
前記溶剤は、例えば本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物の塗膜を形成するためのコーティング方式に応じて、本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物の粘度の調整を目的に使用することができる。溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。溶剤としては、本発明の効果が得られる範囲において公知の溶剤のいずれも使用することができる。好ましい溶剤としては、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、イソプロパノール、イソブタノール、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトン等が挙げられる。溶剤は、通常、活性エネルギー線硬化性重合体組成物の固形分100質量部に対して200質量部未満で使用可能である。
本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、これに活性エネルギー線を照射することにより硬化膜とすることができる。
上記組成物を硬化させる際に使用する活性エネルギー線としては、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等が使用可能である。装置コストや生産性の観点から電子線又は紫外線を利用することが好ましく、光源としては、電子線照射装置、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、Arレーザー、He−Cdレーザー、固体レーザー、キセノンランプ、高周波誘導水銀ランプ、太陽光等が適している。
積層体は、硬化膜からなる層を有していれば特に限定されず、基材及び硬化膜以外の層を基材と硬化膜との間に有していてもよいし、その外側に有していても良い。また、前記積層体は、基材や硬化膜を複数層有していてもよい。
複数層の硬化膜を有する積層体を得る方法としては、全ての層を未硬化の状態で積層した後に活性エネルギー線で硬化する方法、下層を活性エネルギー線にて硬化、あるいは半硬化させた後に上層を塗布し、再度活性エネルギー線で硬化する方法、それぞれの層を離型フィルムやベースフィルムに塗布した後、未硬化あるいは半硬化の状態で層同士を貼り合わせる方法等の公知の方法を適用可能であるが、層間の密着性を高める観点から、未硬化の状態で積層した後に活性エネルギー線で硬化する方法が好ましい。未硬化の状態で積層する方法としては、下層を塗布した後に上層を重ねて塗布する逐次塗布や、多重スリットから同時に2層以上の層を重ねて塗布する同時多層塗布等の公知の方法を適用可能であるが、この限りではない。
硬化膜は、インキ、エタノール等の一般家庭汚染物に対する耐汚染性及び硬度に優れる膜とすることが可能であり、硬化膜を各種基材への被膜として用いた積層体は、意匠性及び表面保護性に優れたものとすることができる。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性重合体組成物は、1層塗布により簡便に薄膜状の樹脂シートを製造することが可能となることが期待される。
硬化膜及び積層体は、塗装代替用フィルムとして用いることができ、例えば内装・外装用の建装材や自動車、家電等の各種部材等に有効に適用することが可能である。
以下において、各物性値の評価方法は下記の通りである。
<フェノキシ基量、ジヒドロキシ化合物含有量及びフェノール含有量の定量>
ポリカーボネートジオールをCDCl3に溶解し、400MHz 1H−NMR(日本電子株式会社製AL−400)を測定し、各成分のシグナル位置より、フェノキシ基、ジヒドロキシ化合物、フェノールを同定し、積分値より各々の含有量を算出した。その際の検出限界は、サンプル全体の重量に対するフェノールの重量として100ppm、前記式(A)で表される化合物、前記式(B)で表される化合物等のジヒドロキシ化合物は0.1重量%である。またフェノキシ基の割合は、フェノキシ基の1プロトン分の積分値と末端全体の1プロトン分の積分値の比から求めており、フェノキシ基の検出限界は末端全体に対して0.05%である。
JIS K1557−1(2007)に準拠して、アセチル化試薬を用いた方法にてポリカーボネートジオールの水酸基価を測定した。
<APHA値の測定>
JIS K0071−1(1998)に準拠して、ポリカーボネートジオールを比色管に入れた標準液と比較してAPHA値を測定した。試薬は色度標準液1000度(1mgPt/mL)(キシダ化学)を使用した。
ポリカーボネートジオールを80℃に加熱し、溶融した後、E型粘度計(BROOKFIELD製DV−II+Pro、コーン:CPE−52)を用いて80℃で溶融粘度を測定した。
ポリカーボネートジオール約10mgをアルミニウム製パン中に封入し、EXSTAR
DSC6200(セイコーインスツル株式会社製)を用い、窒素雰囲気下、毎分20℃の速度で30℃から150℃、毎分40℃の速度で150℃から−120℃、毎分20℃の速度で−120℃から120℃と昇降温操作を行い、2回目昇温時の変曲点をガラス転移温度(Tg)、融解ピークから融解ピーク温度と融解熱量を求めた。
ポリカーボネートジオール約0.5gを精秤し、100mL三角フラスコへ入れ、テトラヒドロフラン5mLを添加して溶解した。次にメタノール45mL、25重量%水酸化ナトリウム水溶液5mLを添加した。100mL三角フラスコにコンデンサーをセットし、75〜80℃の水浴で30分間加熱し、加水分解を行った。室温にて放冷した後、6N
塩酸5mLを添加して水酸化ナトリウムを中和し、pHを7にした。100mLメスフラスコに全量を移し、三角フラスコ内を適量のメタノールで2回洗浄し、洗浄液も100mLメスフラスコに移した。適量のメタノールを添加して100mLとした後、メスフラスコ内で液を混合した。上澄み液を採取してフィルターにてろ過後、ガスクロマトグラフィー(GC)にて分析を行った。各ジヒドロキシ化合物の濃度は予め標準物質として既知の各ジヒドロキシ化合物より検量線を作成し、ガスクロマトグラフィー(GC)にて得られた面積比から重量%を算出した。
装置:Agilent 6850(アジレントテクノロジー製)
カラム:Agilent J&W GCカラム DB−WAX
内径 0.25mm,長さ 60m,膜圧 0.25mm
検出器:水素炎イオン化検出器(FID)
昇温プログラム:150℃(2分間)、150℃→280℃(10℃/分、9分間)、
240℃(10分間)
上記、ガスクロマトグラフィーにて得られた重量%と各ジヒドロキシ化合物の分子量から、ジヒドロキシ化合物のモル比率を算出した。
<イソシアネート基濃度測定>
ジ−n−ブチルアミン/トルエン(重量比:2/25)混合溶液20mLをアセトン90mLで希釈した後に0.5規定の塩酸水溶液で滴定を行い、中和に要する塩酸水溶液量を測定し、ブランク値とした。その後、反応溶液を1〜2g抜出し、ジ−n−ブチルアミン/トルエンの混合溶液20mLを加えて室温で30分間攪拌した後、ブランク測定と同様にアセトン90mLで希釈し、0.5規定の塩酸水溶液で滴定して中和に要する塩酸水溶液量を測定し、残存するアミンの量を定量した。中和に要する塩酸水溶液の容量から下記の式でイソシアネート基の濃度を求めた。
イソシアネート基濃度(重量%)=A*42.02/D
A:本測定に用いた試料に含有するイソシアネート基(mol)
A=(B−C)x0.5/1000xf
B:ブランク測定に要した0.5規定の塩酸水溶液の量(mL)
C:本測定に要した0.5規定の塩酸水溶液の量(mL)
D:本測定に用いた試料(g)
f:塩酸水溶液の力価
ポリウレタンをジメチルホルムアミドに溶解した溶液(濃度:30重量%)にVISCOMETER TV−22(東機産業株式会社製)に3°×R14のローターを設置し、25℃でポリウレタン溶液の溶液粘度を測定した。
ポリウレタンの分子量は、ポリウレタンの濃度が0.14重量%になるようにジメチルアセトアミド溶液を調製し、GPC装置〔東ソー社製、製品名「HLC−8220」 (カラム:TskgelGMH−XL・2本)〕を用い、標準ポリスチレン換算での数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定した。
ポリウレタン溶液を9.5milのアプリケーターでフッ素樹脂シート(フッ素テープニトフロン900、厚さ0.1mm、日東電工株式会社製)上に塗布し、60℃で1時間、続いて100℃で0.5時間乾燥させた。さらに100℃の真空状態で0.5時間、8
0℃で15時間乾燥させた後、23℃55%RHの恒温恒湿下で12時間以上静置し、得られたフィルムから3cm×3cmの試験片を切り出し、試験溶剤50mlを入れた容量250mlのガラス瓶に投入して、80℃の窒素雰囲気下の恒温槽にて1週間、または16時間静置した。試験後、試験片の表裏を紙製ワイパーで軽く拭いた後、重量測定を行い試験前からの重量増加比率を算出した。重量変化率が0%に近いほうが耐オレイン酸性が良好であることを示す。
上述の<耐オレイン酸性評価方法>で示したのと同様の方法でウレタンフィルムを作成した後、3cm×3cmに切り出したウレタンフィルムの試験片を切り出した。精密天秤で試験片の重量を測定した後、試験溶剤50mlを入れた内径10cmφのガラス製シャーレに投入して約23℃の室温にて1時間浸漬した。試験後、試験片を取り出して紙製ワイパーで軽く拭いた後、重量測定を行い試験前からの重量増加比率を算出した。
耐オレイン酸性評価と同様に作成したポリウレタンフィルム片約5mgをアルミニウム製パン中に封入し、EXSTAR DSC6200(セイコーインスツル株式会社製)を用い、窒素雰囲気下、毎分10℃の速度で−100℃から250℃、250℃から−100℃、−100℃から250℃と昇降温操作を行い、2回目昇温時の変曲点をガラス転移温度(Tg)とした。
JIS K6301(2010)に準じ、幅10mm、長さ100mm、厚み約50μmの短冊状としたポリウレタン試験片を、引張試験機〔オリエンテック社製、製品名「テンシロンUTM−III −100」〕を用いて、チャック間距離50mm、引張速度500mm/分にて、温度23℃(相対湿度55%)で引張試験を実施し、試験片が100%伸長した時点での応力を測定した。また、ヤング率は初期伸度での応力値の傾きとし、具体的には伸度1%時の応力の値とした。
JIS K6301(2010)に準じ、幅10mm、長さ100mm、厚み約50μmの短冊状としたポリウレタン試験片を、引張試験機〔(株)島津製作所社製、製品名「オートグラフAG−X 5kN」〕を用いて、−10℃に設定した恒温槽[(株)島津製作所社製、製品名「THERMOSTATIC CHAMBER TCR2W−200T」]にチャック間距離50mmでフィルムを設置した。続いて、−10℃で3分間静置した後に引張速度500mm/分にて引張試験を実施し、試験片が100%伸長した時点での応力を測定した。また、ヤング率は初期伸度での応力値の傾きとし、具体的には伸度1%時の応力の値とした。
JIS K6301(2010)に準じ、幅10mm、長さ100mm、厚み約90μmの短冊状としたポリウレタン試験片を、引張試験機〔(株)島津製作所社製、製品名「オートグラフAG−X 5kN」、ロードセル100N〕を用いて、−10℃に設定した恒温槽[(株)島津製作所社製、製品名「THERMOSTATIC CHAMBER TCR2W−200T」]にチャック間距離50mmでフィルムを設置した。続いて、−10℃で3分間静置した後に引張速度500mm/分にて300%まで伸長し、続いてもとの長さまで同速度で収縮させ、これを2回繰り返した。1回目の伸長時における250%伸長時の応力に対する、1回目の収縮時における250%伸長時の応力の比率(以下「比率1」と称する場合がある。)を求めた。また、1回目の伸長時における250%伸長時の応力に対する、2回目の伸長時における250%伸長時の応力(以下「比率2」と称
する場合がある。)を求めた。
耐オレイン酸性評価と同様に作成したポリウレタンフィルムを幅100mm、長さ100mm、厚さ約50μmの短冊状とし、ギヤオーブンにて温度120℃、400時間加熱を行い、加熱後のサンプルの重量平均分子量(Mw)を<分子量測定>に記載の方法により測定した。
本実施例のポリカーボネートジオールの製造に使用した原料は以下の通りである。
1,4−ブタンジオール(以下1,4BDと略記することがある):三菱化学株式会社製
1,5−ペンタジオール(以下、1,5PDと略記することがある):東京化成工業株式会社製
1,3−プロパンジオール(以下、1,3PDOと略記することがある):和光純薬工業株式会社製またはデュポン株式会社製
1,6−ヘキサンジオール(以下、1,6HDと略記することがある):BASF製
1,10−デカンジオール(以下、1,10DDと略記することがある):豊国製油株式会社製
1,9−ノナンジオール(以下、1,9NDと略記することがある):東京化成工業株式会社製
1,12−ドデカンジオール(以下、1,12DDDと略記することがある):和光純薬工業株式会社製
2−メチル−1,3−プロパンジオール(以下、2M1,3PDOと略記することがある):東京化成工業株式会社製
3−メチル−1,5−ペンタンジオール(以下、3M1,5PDと略記することがある):和光純薬工業株式会社製
ジフェニルカーボネート(以下、DPCと略記することがある):三菱化学株式会社製
エチレンカーボネート(以下、ECと略記することがある):三菱化学株式会社製
酢酸マグネシウム四水和物:和光純薬工業株式会社製
酢酸鉛(II)三水和物:和光純薬工業株式会社製
酢酸鉛(IV):ナカライテスク社製
<ポリカーボネートジオールの製造と評価>
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに、原料として、1,4−ブタンジオール(1,4BD):768.5g、1,10−デカンジオール(1,10DD):768.5g、ジフェニルカーボネート:2563.0g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:6.6mL(濃度:8.4g/L、酢酸マグネシウム4水和物:55mg)を入れ、窒素ガス置換した。攪拌下、内温を160℃まで昇温して、内容物を加熱溶解した。その後、2分間かけて圧力を24kPaまで下げた後、フェノールを系外へ除去しながら90分間反応させた。次いで、圧力を9.3kPaまで90分間かけて下げ、さらに0.7kPaまで30分間かけて下げて反応を続けた後に、170℃まで温度を上げてフェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を系外へ除きながら60分間反応させて、ポリカーボネートジオール含有組成物を得た。
以下の実施例及び比較例においても同様である。
薄膜蒸留で得られたポリカーボネートジオールの性状及び物性の評価結果を表1に示す。
上述の方法で得られたポリカーボネートジオールを用いて、以下の操作で特定ポリウレタンを製造した。
(プレポリマー(PP)化反応)
熱電対と冷却管を設置したセパラブルフラスコに、あらかじめ80℃に加温した上記のポリカーボネートジオール90.57gを入れ、60℃のオイルバスにそのフラスコを浸した後、4,4‘−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下H12MDI、東京化成工業株式会社製)22.69gおよび、反応抑制剤としてトリイソオクチルフォスファイト(以下TiOP、東京化成工業株式会社製)0.332gを添加し、フラスコ内を窒素雰囲気下で60rpmで撹拌しながら1時間程度で80℃に昇温した。80℃まで昇温した後、ウレタン化触媒としてネオスタンU−830(以下U−830、日東化成株式会社製)9.3mg(ポリカーボネートジオーとイソシアネートの合計重量に対し81.9wtppm)を添加し、発熱がおさまってからオイルバスを100℃まで昇温し、さらに2時間程度撹拌した。イソシアネート基の濃度を分析し、イソシアネート基が理論量消費されたことを確認した。
得られたプレポリマー(PP)106.62gを脱水トルエン(和光純薬工業株式会社製)11.46gで希釈した。続いて脱水N,N−ジメチルホルムアミド(以下DMF、和光純薬工業株式会社製)237.36gを加え、55℃のオイルバスにフラスコを浸漬して約200rpmで撹拌しながらプレポリマーを溶解した。プレポリマー溶液のイソシアネート基の濃度を分析後、フラスコを35℃に設定したオイルバスに浸漬し、150rpmで撹拌しながら、残存イソシアネートより算出した必要量のイソホロンジアミン(以下IPDA、東京化成製)6.06gを分割添加した。約1時間撹拌後、末端停止剤としてモルフォリン(東京化成工業株式会社製)0.623gを添加し、さらに1時間撹拌して粘度125Pa・s、重量平均分子量15.1万のポリウレタン溶液を得た。このポリウレタンの性状及び物性の評価結果を表3に示す。
<ポリカーボネートジオールの製造と評価>
実施例1のポリカーボネートジオールの製造において、PCD重合原料の種類と仕込み
量を、表1に記載の原料の種類と仕込み量に変更したこと以外は、すべて同様の条件と方法で反応を行い、ポリカーボネート含有組成物を得た。
得られたポリカーボネートジオール含有組成物を実施例1と同様な方法で薄膜蒸留を行った。薄膜蒸留で得られたポリカーボネートジオールの性状及び物性の評価結果を表1に示す。
実施例1のポリウレタンの製造において、使用するポリカーボネートジオール(PCD)の種類と各原料の仕込み量をそれぞれ表3の記載のPCDと仕込み量に変更したこと以外は、すべて同様の条件と方法で反応を行い、ポリウレタン溶液を得た。このポリウレタンの性状及び物性を表3に示す。
<ポリカーボネートジオールの製造と評価>
実施例1のポリカーボネートジオールの製造において、PCD重合原料の種類と仕込み
量を、表2に記載の原料と原料の仕込み量に変更したこと以外は、すべて同様の条件と方法で反応を行い、ポリカーボネート含有組成物を得た。
薄膜蒸留で得られたポリカーボネートジオールの性状及び物性の評価結果を表2に示す。
実施例1のポリウレタンの製造において、使用するポリカーボネートジオール(PCD)と、各原料の仕込み量を表3に記載の仕込み量に変更したこと以外は、すべて同様の条件と方法で反応を行い、ポリウレタン溶液を得た。このポリウレタンの性状及び物性の評価結果を表3に示す。
<ポリカーボネートジオールの評価>
以下に示すポリカーボネートジオールをそれぞれ使用した。各ポリカーボネートジオールの性状及び物性の評価結果を表2に示す。
比較例2:1,6HDを原料として製造されたポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ株式会社製 『デュラノール(登録商標)』 グレード:T−6002)
比較例3:1,4BD、1,6HDを原料として製造されたポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ株式会社製 『デュラノール(登録商標)』 グレード:T−4672)
比較例4:1,5PD、1,6HDを原料として製造されたポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ株式会社製 『デュラノール(登録商標)』 グレード:T−5652)
比較例6:1,9ND、2M1,8ODを原料として使用したポリカーボネートジオール(株式会社クラレ製 商品名:クラレポリオールC−2065N )
<ポリウレタンの製造と評価>
上記のポリカーボネートジオールをポリウレタンの製造原料であるPCDとして使用してポリウレタンの製造を行った。
<ポリカーボネートジオール製造と評価>
実施例1のポリカーボネートジオールの製造において、原料と原料の仕込み量を、表2に記載の原料(1,6HDと3M1,5PD)と原料の仕込み量に変更したこと以外は、すべて同様の方法で反応を行い、ポリカーボネート含有組成物を得た。
薄膜蒸留で得られたポリカーボネートジオールの性状及び物性の評価結果を表2に示す。
上述の方法で得られたポリカーボネートジオールと比較例6で使用したポリカーボネー
トジオール(株式会社クラレ製 商品名:クラレポリオールC−2065N)を重量比で75:25の比率で混合してポリウレタンの製造用の原料(PCD)とした。
表3の「−10℃・100%伸度時の応力」において、実施例では比較例に比べてその値が小さいことから、低温における柔軟性が良好であることがわかる。また「80℃ 耐オレイン酸 重量変化率」及び「室温 耐エタノール 重量変化率」の値が小さいことから、耐薬品性が良好であることがわかる。さらに、「耐熱試験後のポリスチレン換算重量平均分子量の変化率」の値が小さいことから、耐熱性が良好であることがわかり、実施例はそれらの物性が良好であることを示している。従って、本発明のポリカーボネートジオールは従来のポリカーボネートジオールに比べて、耐薬品性、低温特性、耐熱性の物性のバランスに優れたポリウレタンの原料としてのポリカーボネートジオールであることがわかる。
1,4BD…1,4−ブタンジオール
1,5PD…1,5−ペンタジオール
1,3PDO…1,3−プロパンジオール
1,6HD…1,6−ヘキサンジオール
1,10DD…1,10−デカンジオール
1,9ND…1,9−ノナンジオール
1,12DDD…1,12−ドデカンジオール
2M1,3PDO…2−メチル−1,3−プロパンジオール
2M1,8OD…2−メチル−1,8−オクタンジオール
3M1,5PD…3−メチル−1,5−ペンタンジオール
DPC…ジフェニルカーボネート
以上
Claims (16)
- 下記式(A)で表される化合物に由来する構造単位及び下記式(B)で表される化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネートジオールであって、水酸基価が20mg−KOH/g以上450mg−KOH/g以下であり、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)が1.5以上3.5以下であることを特徴とするポリカーボネートジオール。
HO−R1−OH・・・(A)
HO−R2−OH・・・(B)
(上記式(A)中、R1は置換若しくは無置換の炭素数3〜炭素数5の二価のアルキレン基を示し、上記式(B)中、R2は置換若しくは無置換の炭素数10〜炭素数20の二価のアルキレン基を示す。(但し、上記式(B)が石油由来の1,10−デカンジオールである場合を除く。)) - 前記ポリカーボネートジオールの全構造単位中、前記式(A)で表される化合物に由来する構造単位及び前記式(B)で表される化合物に由来する構造単位の合計の割合が50モル%以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネートジオール。
- 前記式(A)で表される化合物に由来する構造単位と前記式(B)で表される化合物に由来する構造単位との割合がモル比率で50:50〜99:1であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリカーボネートジオール。
- 前記ポリカーボネートジオールを加水分解して得られるジヒドロキシ化合物の平均炭素数が4以上5.5以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリカーボネートジオール。
- 前記水酸基価が20mg−KOH/g以上60mg−KOH/g以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリカーボネートジオール。
- 前記式(A)で表される化合物が、1,3−プロパンジオール及び1,4−ブタンジオールからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物である請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリカーボネートジオール。
- 前記式(B)で表される化合物が、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール及び1,12−ドデカンジオールからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物である請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリカーボネートジオール。
- 前記式(A)で表される化合物及び前記式(B)で表される化合物のうち少なくとも一方が植物由来である請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリカーボネートジオール。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリカーボネートジオールを用いてなるポリウレタン。
- 請求項9に記載のポリウレタンを用いて製造した人工皮革または合成皮革。
- 請求項9に記載のポリウレタンを用いて製造した塗料またはコーティング剤。
- 請求項9に記載のポリウレタンを用いて製造した弾性繊維。
- 請求項9に記載のポリウレタンを用いて製造した水系ポリウレタン塗料。
- 請求項9に記載のポリウレタンを用いて製造した粘着剤または接着剤。
- 請求項1乃至8のいずれか1項に記載のポリカーボネートジオールを用いてなる活性エネルギー線硬化性重合体組成物。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリカーボネートジオールを製造する方法であって、下記式(A)で表される化合物と下記式(B)で表される化合物とカーボネート化合物とを用いて、エステル交換反応により重縮合することを特徴とするポリカーボネートジオールの製造方法。
HO−R1−OH・・・(A)
HO−R2−OH・・・(B)
(上記式(A)中、R1は置換若しくは無置換の炭素数3〜炭素数5の二価のアルキレン基を示し、上記式(B)中、R2は置換若しくは無置換の炭素数10〜炭素数20の二価のアルキレン基を示す。(但し、上記式(B)が石油由来の1,10−デカンジオールである場合を除く。))
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