JP7291655B2 - 加飾シート及び加飾成形品 - Google Patents
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Description
(1)加飾シートを下チャンバーボックス上部に設置されたテーブルに挟む。
(2)上チャンバーを降下させて密閉空間を形成する。
(3)両チャンバー内を真空状態にする。
(4)加飾シートを赤外線ヒーターで加熱する。
(5)下チャンバーボックスに設置した成形部品(被加飾部材)を上昇させる。
(6)被加飾部材が加飾シートに接触した段階で上チャンバーを大気圧に開放させる。
[1]三次元加飾成形後に紫外線を照射して硬化層を形成する工程を有する加飾成形品の製造方法に用いられる加飾シートであって、表皮層及び接着層を備える積層構造を有し、前記接着層が、水酸基価80~250mgKOH/gのポリカーボネートポリオールに由来する構成単位(D)を有するウレタン樹脂(C)を含有する接着層用樹脂組成物で形成されており、前記表皮層が、活性エネルギー線硬化型の表皮層用樹脂組成物で形成されており、前記表皮層の80℃における破断伸度が250%以上であり、前記表皮層を紫外線硬化させて形成される硬化層の、JIS K 5600に準拠して測定される鉛筆硬度が4B以上である加飾シート。
[2]前記構成単位(D)が脂環式骨格を含む前記[1]に記載の加飾シート。
[3]前記ウレタン樹脂(C)の重量平均分子量が2,000~500,000である前記[1]又は[2]に記載の加飾シート。
[4]前記ウレタン樹脂(C)中の前記構成単位(D)の含有量が、30~80質量%である前記[1]~[3]のいずれかに記載の加飾シート。
[5]前記接着層用樹脂組成物が、架橋剤をさらに含有し、前記接着層用樹脂組成物中の前記架橋剤の含有量が、前記ウレタン樹脂(C)100質量部に対して、2~25質量部である前記[1]~[4]のいずれかに記載の加飾シート。
[6]前記表皮層用樹脂組成物が、(メタ)アクリロイルオキシ基を含有するポリカーボネート系ポリウレタン(A)及び無黄変ポリイソシアネート(B)を含有する前記[1]~[5]のいずれかに記載の加飾シート。
[7]ガードフィルムをさらに備え、前記ガードフィルム、前記表皮層、及び前記接着層がこの順で積層された積層構造を有する前記[1]~[6]のいずれかに記載の加飾シート。
[8]前記表皮層と前記接着層の間に配置される意匠層をさらに備える前記[7]に記載の加飾シート。
[9]基材シート及び意匠層をさらに備え、前記表皮層、前記意匠層、前記基材シート、及び前記接着層がこの順で積層された積層構造を有する前記[1]~[6]のいずれかに記載の加飾シート。
[10]被加飾部材と、前記被加飾部材の少なくとも一部の表面上に配置される加飾層と、を備え、前記加飾層が、前記[1]~[9]のいずれかに記載の加飾シートの前記表皮層に由来する硬化層と、前記被加飾部材の表面に当接して配置される、前記接着層に由来する接着硬化層と、を含む積層構造を有する加飾成形品。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明の加飾シートは、三次元加飾成形後に紫外線を照射して硬化層を形成する工程を有する加飾成形品の製造方法に用いられる加飾シートであり、表皮層及び接着層を備える積層構造を有する。図1は、本発明の加飾シートの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、本実施形態の加飾シート10は、表皮層2と、接着層4とを備える積層構造を有するシート状部材である。加飾シート10は、ガードフィルム6をさらに備えるとともに、ガードフィルム6、表皮層2、及び接着層4がこの順で積層された積層構造を有することが好ましい。また、表皮層2と接着層4の間に配置される意匠層8をさらに備えることも好ましい。そして、接着層4は、特定のポリカーボネートポリオールに由来する構成単位(D)を有するウレタン樹脂(C)を含有する接着層用樹脂組成物で形成されている。
[ウレタン樹脂(C)]
接着層は、水酸基価80~250mgKOH/gのポリカーボネートポリオールに由来する構成単位(D)を有するウレタン樹脂(C)を含有する接着層用樹脂組成物で形成されている。このような構成単位(D)を有するウレタン樹脂(C)は、その分子構造中のウレタン結合の量が多いため、このウレタン樹脂(C)を含有する樹脂組成物を用いることで、凝集力が向上し、接着強度の高い接着層を形成することができる。
表皮層の80℃における破断伸度(以下、「80℃破断伸度」とも記す)は250%以上であり、好ましくは300%以上である。すなわち、80℃破断伸度が十分に高い表皮層を備える本発明の加飾シートは、三次元成形時にクラック等の不具合が生じにくく、優れた三次元成形性を有する。表皮層の80℃破断伸度の上限については特に限定されないが、実質的には1,000%以下である。
(1)機器装置:商品名「HLC-8020」(東ソー社製)
(2)カラム:商品名「TSKgel G2000HXL」、「G3000HXL」、「G4000GXL」(東ソー社製)
(3)溶媒:THF
(4)流速:1.0ml/min
(5)試料濃度:2g/L
(6)注入量:100μL
(7)温度:40℃
(8)検出器:型番「RI-8020」(東ソー社製)
(9)標準物質:TSK標準ポリスチレン(東ソー社製)
意匠層を構成する材料としては、熱可塑性樹脂、並びに熱硬化性及び紫外線硬化性等の硬化性樹脂等を挙げることができる。熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、酸変性ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂等を挙げることができる。硬化性樹脂としては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂に、シリカ、有機ビーズ、顔料、染料等の着色剤や体質顔料等を用いて意匠を施すことで意匠層とすることができる。着色剤としては、カーボンブラック、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料;キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料;アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等を挙げることができる。また、アルミニウム、クロム、金、銀、銅等の金属を用いて蒸着、スパッタリング、又は箔転写等することによって設けた金属薄膜を意匠層としてもよい。
基材シートの材質等は、三次元成形(真空成形)への適性を考慮して適宜選定される。一般的には、熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルム(シート)が基材シートとして使用される。熱可塑性樹脂としては、PET、ポリカーボネート、ABS樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、及びアロイ樹脂等を挙げることができる。
ガードフィルムの材質等は、三次元成形(真空成形)への適性を考慮して適宜選定される。一般的には、熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルム(シート)がガードフィルムとして使用される。熱可塑性樹脂としては、PET、ポリカーボネート、ABS樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、及びアロイ樹脂等を挙げることができる。
セパレートフィルムは、主として接着層を保護することを目的として設けられるフィルム(層)である。セパレートフィルムとしては、熱可塑性樹脂からなるフィルムが用いられる。セパレートフィルムの厚さや材質は特に限定されないが、一般的には厚さ50~100μm程度のPETフィルムが好適である。
以下、加飾シートを製造する方法の一例について説明する。まず、ガードフィルムの表面上に、通常の塗工方法により表皮層用樹脂組成物(以下、「表皮層用塗料」とも記す)を塗布して塗工層を形成する。ガードフィルムの表面上に表皮層用塗料を塗布する方法(印刷方法)としては、例えば、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、デップコート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、コンマコート、スプレーコート等の通常の印刷方法を挙げることができる。表皮層の乾燥温度は、通常60~100℃、好ましくは70~90℃である。また、表皮層用塗料を得して形成した塗工層の表面に、インクジェット法により絵付けすることもできる。絵付けには、例えばUV硬化型インクジェットインクを用いることができる。UV硬化型インクジェットインクは、通常、水や有機溶剤を含まないので特に乾燥を必要としない。
次に、加飾シートを製造する方法の他の例について説明する。まず、基材シートの表面上に、通常の塗工方法により意匠層形成用の樹脂組成物等を塗布して塗工層を形成する。基材シートは、プライマー処理やコロナ放電処理を行って表面改質しておいてもよい。これらの処理は、必要に応じて裏面に行ってもよい。基材シートの表面上に意匠層形成用の樹脂組成物等を塗布する方法としては、例えば、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、デップコート、シルクスクリーンによるコート、ワイヤーバーコート、フローコート、コンマコート、スプレーコート等の通常の塗布方法を挙げることができる。意匠層の乾燥温度は、通常60~100℃、好ましくは70~90℃である。また、インクジェット法により意匠層を形成することもできる。特に、UV硬化型のインクジェットインクをインクジェット法により塗工することによって意匠層を形成することができる。インクジェットインクとしては、水や有機溶剤を含まないものを使用することが主流であり、このようなインクを用いた場合には特に乾燥を必要としない。
上述の加飾シートを用いることで、加飾成形品を製造することができる。すなわち、本発明の加飾成形品は、被加飾部材と、被加飾部材の少なくとも一部の表面上に配置される加飾層とを備える。そして、この加飾層が、前述の加飾シートの表皮層に由来する硬化層と、被加飾部材の表面に当接して配置される、接着層に由来する接着硬化層とを含む積層構造を有する。図2は、本発明の加飾成形品の一実施形態を模式的に示す断面図である。図2に示す実施形態の加飾成形品100は、被加飾部材40と、被加飾部材40の少なくとも一部の表面上に配置される加飾層60とを備える。加飾層60は、硬化層23、意匠層8、及び接着硬化層25を含む積層構造を有する。硬化層23は、図1に示す加飾シート10の表皮層2を硬化させること形成された層である。意匠層8は、図1に示す加飾シート10の意匠層8に対応する層である。そして、接着硬化層25は、図1に示す加飾シート10の接着層4に由来する層であり、被加飾部材40の表面に当接して配置されている。
(合成例1:ポリウレタン1)
撹拌機、還流冷却管、温度計、空気吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を空気で置換しながら、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(商品名「プラクセルCD220」、ダイセル化学工業社製、水酸基価=56.1mgKOH/g)400.0g、1,4-ブタンジオール80.0g、及びジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合体(水酸基価102.9mgKOH/g)160.0gを仕込んだ。次いで、メチルエチルケトン(MEK)226gを仕込んだ。系内が均一となった後、50℃でヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)103.8g、及び4,4’-メチレンビス-シクロヘキシルジイソシアネート161.9gを仕込み、触媒としてジブチルチンラウリレートを使用して80℃で反応させた。溶剤希釈により反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm-1の吸収が消失するまで反応を進行させた。MEKとシクロヘキサノンの質量比が1:1となるまでシクロヘキサノンを添加して、ポリウレタン1を含有する樹脂溶液1を得た。得られた樹脂溶液1の粘度は500dPa・s/20℃、固形分は45%であった。ポリウレタン1の二重結合当量は588g/eq.であり、GPCにより測定した重量平均分子量は46,000であり、ポリカーボネートポリオールに由来する構成単位の含有量は約44%であった。
(合成例2:ウレタン樹脂2)
撹拌機、還流冷却管、温度計、空気吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を空気で置換しながら、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(商品名「ETERNACOLLUH-50」、宇部興産社製、水酸基価=224.4mgKOH/g)300.0g、1,3-ブタンジオール20.0g、及びMEK214.4gを仕込んだ。系内が均一となった後、50℃でイソホロンジイソシアネート(IPDI)180.2gを仕込み、触媒としてジブチルチンラウリレートを使用して80℃で反応させた。溶剤希釈により反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm-1の吸収が消失するまで反応を進行させた。MEKとシクロヘキサノンの質量比が1:1となるまでシクロヘキサノンを添加して、ウレタン樹脂2を含有する接着層用樹脂組成物2を得た。得られた接着層用樹脂組成物2の粘度は300dPa・s/20℃、固形分は35%であった。GPCにより測定したウレタン樹脂2の重量平均分子量は34,000であり、ウレタン樹脂2中の構成単位(D)の含有量は60%であった。
撹拌機、還流冷却管、温度計、空気吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を空気で置換しながら、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(商品名「ETERNACOLLUH-100」、宇部興産社製、水酸基価=112.2mgKOH/g)300.0g、1,3-ブタンジオール20.0g、及びMEK186.6gを仕込んだ。系内が均一となった後、50℃でIPDI114.2gを仕込み、触媒としてジブチルチンラウリレートを使用して80℃で反応させた。溶剤希釈により反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm-1の吸収が消失するまで反応を進行させた。MEKとシクロヘキサノンの質量比が1:1となるまでシクロヘキサノンを添加して、ウレタン樹脂3を含有する接着層用樹脂組成物3を得た。得られた接着層用樹脂組成物3の粘度は40dPa・s/20℃、固形分は35%であった。GPCにより測定したウレタン樹脂3の重量平均分子量は41,000であり、ウレタン樹脂3中の構成単位(D)の含有量は69%であった。
撹拌機、還流冷却管、温度計、空気吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を空気で置換しながら、ポリシクロヘキサンジメタノール/ヘキサンジオール共重合カーボネートジオール(商品名「ETERNACOLLUM-90(3/1)」、宇部興産社製、水酸基価=112.2mgKOH/g)300.0g、1,3-ブタンジオール20.0g、及びMEK186.6gを仕込んだ。系内が均一となった後、50℃でIPDI114.2gを仕込み、触媒としてジブチルチンラウリレートを使用して80℃で反応させた。溶剤希釈により反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm-1の吸収が消失するまで反応を進行させた。MEKとシクロヘキサノンの質量比が1:1となるまでシクロヘキサノンを添加して、ウレタン樹脂4を含有する接着層用樹脂組成物4を得た。得られた接着層用樹脂組成物4の粘度は100dPa・s/20℃、固形分は35%であった。GPCにより測定したウレタン樹脂4の重量平均分子量は39,000であり、ウレタン樹脂4中の構成単位(D)の含有量は69%であった。
撹拌機、還流冷却管、温度計、空気吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を空気で置換しながら、ポリシクロヘキサンジメタノール/ヘキサンジオール共重合カーボネートジオール(商品名「ETERNACOLLUM-90(3/1)」、宇部興産社製、水酸基価=112.2mgKOH/g)300.0g、1,3-ブタンジオール20.0g、及びMEK181.7gを仕込んだ。系内が均一となった後、50℃でIPDI103.9gを仕込み、触媒としてジブチルチンラウリレートを使用して80℃で反応させた。溶剤希釈により反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm-1の吸収が消失するまで反応を進行させた。MEKとシクロヘキサノンの質量比が1:1となるまでシクロヘキサノンを添加して、ウレタン樹脂5を含有する接着層用樹脂組成物5を得た。得られた接着層用樹脂組成物5の粘度は5dPa・s/20℃、固形分は35%であった。GPCにより測定したウレタン樹脂5の重量平均分子量は12,000であり、ウレタン樹脂5中の構成単位(D)の含有量は71%であった。
撹拌機、還流冷却管、温度計、空気吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を空気で置換しながら、ポリシクロヘキサンジメタノール/ヘキサンジオール共重合カーボネートジオール(商品名「ETERNACOLLUM-90(3/1)」、宇部興産社製、水酸基価=112.2mgKOH/g)300.0g、1,3-ブタンジオール、及びMEK194.9gを仕込んだ。系内が均一となった後、50℃でジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)134.9gを仕込み、触媒としてジブチルチンラウリレートを使用して80℃で反応させた。溶剤希釈により反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm-1の吸収が消失するまで反応を進行させた。MEKとシクロヘキサノンの質量比が1:1となるまでシクロヘキサノンを添加して、ウレタン樹脂6を含有する接着層用樹脂組成物6を得た。得られた接着層用樹脂組成物6の粘度は470dPa・s/20℃、固形分は35%であった。GPCにより測定したウレタン樹脂6の重量平均分子量は42,000であり、ウレタン樹脂6中の構成単位(D)の含有量は66%であった。
撹拌機、還流冷却管、温度計、空気吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を空気で置換しながら、ポリペンタンジオール/ヘキサンジオール共重合カーボネートジオール(商品名「デュラノールT5650E」、旭化成社製、水酸基価=224.4mgKOH/g)300.0g、1,3-ブタンジオール20.0g、及びMEK214.4gを仕込んだ。系内が均一となった後、50℃でIPDI180.2gを仕込み、触媒としてジブチルチンラウリレートを使用して80℃で反応させた。溶剤希釈により反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm-1の吸収が消失するまで反応を進行させた。MEKとシクロヘキサノンの質量比が1:1となるまでシクロヘキサノンを添加して、ウレタン樹脂7を含有する接着層用樹脂組成物7を得た。得られた接着層用樹脂組成物7の粘度は70dPa・s/20℃、固形分は35%であった。GPCにより測定したウレタン樹脂7の重量平均分子量は31,000であり、ウレタン樹脂7中の構成単位(D)の含有量は60%であった。
撹拌機、還流冷却管、温度計、空気吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を空気で置換しながら、ポリカプロラクトンジオール(商品名「プラクセル205」、ダイセル化学工業社製、水酸基価=224.4mgKOH/g)300.0g、1,3-ブタンジオール20.0g、及びMEK214.4gを仕込んだ。系内が均一となった後、50℃でIPDI180.2gを仕込み、触媒としてジブチルチンラウリレートを使用して80℃で反応させた。溶剤希釈により反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm-1の吸収が消失するまで反応を進行させた。MEKとシクロヘキサノンの質量比が1:1となるまでシクロヘキサノンを添加して、ウレタン樹脂8を含有する接着層用樹脂組成物8を得た。得られた接着層用樹脂組成物8の粘度は130dPa・s/20℃、固形分は35%であった。GPCにより測定したウレタン樹脂8の重量平均分子量は36,000であり、ウレタン樹脂8中の構成単位(D)の含有量は0%であった。
撹拌機、還流冷却管、温度計、空気吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を空気で置換しながら、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(商品名「ETERNACOLLUH-200」、宇部興産社製、水酸基価=56.1mgKOH/g)300.0g、1,3-ブタンジオール20.0g、及びMEK171.9gを仕込んだ。系内が均一となった後、50℃でIPDI81.3gを仕込み、触媒としてジブチルチンラウリレートを使用して80℃で反応させた。溶剤希釈により反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm-1の吸収が消失するまで反応を進行させた。MEKとシクロヘキサノンの質量比が1:1となるまでシクロヘキサノンを添加して、ウレタン樹脂9を含有する接着層用樹脂組成物9を得た。得られた接着層用樹脂組成物9の粘度は560dPa・s/20℃、固形分は35%であった。GPCにより測定したウレタン樹脂9の重量平均分子量は51,000であり、ウレタン樹脂9中の構成単位(D)の含有量は74.8%であった。
撹拌機、還流冷却管、温度計、空気吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を空気で置換しながら、ポリペンタンジオール/ヘキサンジオール共重合カーボネートジオール(商品名「デュラノールT5652」、旭化成社製、水酸基価=56.1mgKOH/g)300.0g、1,3-ブタンジオール20.0g、及びMEK171.9gを仕込んだ。系内が均一となった後、50℃でIPDI81.3gを仕込み、触媒としてジブチルチンラウリレートを使用して80℃で反応させた。溶剤希釈により反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm-1の吸収が消失するまで反応を進行させた。MEKとシクロヘキサノンの質量比が1:1となるまでシクロヘキサノンを添加して、ウレタン樹脂10を含有する接着層用樹脂組成物10を得た。得られた接着層用樹脂組成物10の粘度は210dPa・s/20℃、固形分は35%であった。GPCにより測定したウレタン樹脂10の重量平均分子量は49,000であり、ウレタン樹脂10中の構成単位(D)の含有量は74.8%であった。
撹拌機、還流冷却管、温度計、空気吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を空気で置換しながら、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(商品名「ETERNACOLLUH-200」、宇部興産社製、水酸基価=56.1mgKOH/g)300.0g、1,3-ブタンジオール72.0g、及びMEK249.8gを仕込んだ。系内が均一となった後、50℃でIPDI210.9gを仕込み、触媒としてジブチルチンラウリレートを使用して80℃で反応させた。溶剤希釈により反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm-1の吸収が消失するまで反応を進行させた。MEKとシクロヘキサノンの質量比が1:1となるまでシクロヘキサノンを添加して、ウレタン樹脂11を含有する接着層用樹脂組成物11を得た。得られた接着層用樹脂組成物11の粘度は440dPa・s/20℃、固形分は35%であった。GPCにより測定したウレタン樹脂11の重量平均分子量は46,000であり、ウレタン樹脂11中の構成単位(D)の含有量は51.5%であった。
(比較合成例5:アクリル重合体1)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素ガスで置換した後、MEK100g及びメタクリル酸メチル50.0gを仕込み、窒素雰囲気下で60℃に加熱した。一方、アクリル酸ブチル50.0g及び2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)2gの混合物を用意した。用意した混合物の半分を反応容器内に添加し、残りの半分を滴下ロートで1時間かけて反応容器内に滴下した。滴下後、そのままの状態で6時間反応させて、アクリル重合体1を含有する接着層用樹脂組成物12を得た。得られた接着層用樹脂組成物12の粘度は80dPa・s/20℃、固形分は55%であった。GPCにより測定したアクリル重合体1の重量平均分子量は35,000であった。
(表皮層用塗料1)
樹脂溶液1 100gに対して、光重合開始剤(商品名「イルガキュア184」、BASF社製)2.25gを配合した。さらに、無黄変ポリイソシアネート(商品名「デュラネートTPA-100」、旭化成社製、固形分100%、イソシアネート23.1%含有)2.25g、及びMEKとシクロヘキサノンを質量比1:1の比率で配合して、固形分30%の表皮層用塗料1を得た。
(接着層用樹脂組成物13)
接着層用樹脂組成物2 100gに黒顔料分散着色剤(商品名「セイカセブンSS01-323ブラック」、大日精化工業社製、固形分25%、溶剤:MEK、顔料:カーボンブラック)20.0g、MEKとシクロヘキサノンを質量比1:1の比率で配合して、固形分20%の意匠性を有する接着層用樹脂組成物13を得た。
(意匠層用組成物1)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素で置換しながら、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(商品名「プラクセルCD220」、ダイセル化学工業社製、末端官能基定量による数平均分子量:2,000)400.0g、1,4-ブタンジオール40.0g、及びMEK146gを仕込んだ。系内が均一となった後、50℃でIPDI143.0gを仕込み、触媒としてジブチルチンラウリレートを使用して80℃で反応させた。溶剤希釈により反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm-1の吸収が消失するまで反応を進行させた。MEKとシクロヘキサノンの質量比が1:1となるまでシクロヘキサノンを添加して、ウレタン樹脂を含有する意匠層用樹脂溶液1を得た。得られた樹脂溶液の粘度は420dPa・s/20℃、固形分は40%であった。GPCにより測定したウレタン樹脂の重量平均分子量は44,000であった。得られた意匠層用樹脂溶液1 100.0gに対し、ノンリーフィングタイプのアルミペースト(商品名「MH-6601」、旭化成工業製、固形分65%)12.0g、MEKとシクロヘキサノンを質量比1:1の比率で配合して、固形分30%の意匠層用組成物1を得た。
蒸着用のアルミニウムを意匠層用組成物2とした。
UV反応型のモノマー、顔料、及び重合開始剤を含有するインクジェットプリンター用のUVインクを意匠層用組成物3とした。
意匠層用樹脂溶液1 100gに、黒顔料分散着色剤(商品名「セイカセブンSS01-323ブラック」、大日精化工業社製、固形分25%、溶剤:MEK、顔料:カーボンブラック)20.0g、MEKとシクロヘキサノンを質量比1:1の比率で配合して、固形分30%の意匠層用組成物4を得た。
(実施例1)
ガードフィルム(商品名「ノバクリア」、三菱化学社製、厚さ200μmの非晶質PETフィルム)の表面にバーコーターで表皮層用塗料1を塗工した後、90℃で2分乾燥して、厚さ15μmの表皮層を形成した。形成した表皮層の表面に接着層用樹脂組成物2をバーコーターで塗工した後、90℃で2分乾燥して、厚さ20μmの接着層を形成した。形成した接着層の表面にセパレートフィルム(厚さ80μmのPETフィルム)を貼着した後、45℃で1日熟成させて加飾シート(実施例1)を得た。
ガードフィルム(商品名「ノバクリア」、三菱化学社製、厚さ200μmの非晶質PETフィルム)の表面にバーコーターで表皮層用塗料1を塗工した後、90℃で2分乾燥して、厚さ15μmの表皮層を形成した。UV反応性モノマー、顔料、及び開始剤を含有するUVインクを、UVインクジェットプリンターを使用して形成した表皮層の表面に塗布して絵柄を印刷し、意匠層を形成した。形成した意匠層の表面に接着層用樹脂組成物2をバーコーターで塗工した後、90℃で2分乾燥して、厚さ20μmの接着層を形成した。形成した接着層の表面にセパレートフィルム(厚さ80μmのPETフィルム)を貼着した後、45℃で1日熟成させて加飾シート(実施例2)を得た。
ガードフィルム(商品名「ノバクリア」、三菱化学社製、厚さ200μmの非晶質PETフィルム)の表面にバーコーターで表皮層用塗料1を塗工した後、90℃で2分乾燥して、厚さ15μmの表皮層を形成した。形成したクリヤー層の表面に、蒸着法によってアルミニウムの薄膜からなる意匠層を形成した。形成した意匠層の表面に接着層用樹脂組成物2をバーコーターで塗工した後、90℃で2分乾燥して、厚さ20μmの接着層を形成した。形成した接着層の表面にセパレートフィルム(厚さ80μmのPETフィルム)を貼着した後、45℃で1日熟成させて加飾シート(実施例3)を得た。
表1-1~1-3に示す種類の表皮層用塗料を用いて表皮層を形成したこと、及び表1-1~1-3に示す種類の接着層用樹脂組成物を用いて接着層を形成したこと以外は、前述の実施例1の場合と同様にして、加飾シート(実施例4~12及び比較例1~5)を得た。
(実施例13)
基材シート(商品名「タフエースR EAR802」、住友ベークライト社製、厚さ1mmのアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)シート)の表面にバーコーターで接着層用樹脂組成物2を塗工した後、90℃で2分乾燥して、厚さ5μmのプライマー層を形成した。形成したプライマー層の表面に意匠層用組成物4をバーコーターで塗工した後、90℃で2分乾燥して、厚さ20μmの意匠層を形成した。形成した意匠層の表面にバーコーターで表皮層用塗料1を塗布した後、90℃で2分乾燥して厚さ15μmの表皮層を形成し、45℃で1日熟成させた。基材シートの裏面にバーコーターで接着層用樹脂組成物2を塗工した後、80℃で2分乾燥して、厚さ20μmの接着層を形成した。形成した接着層の表面にセパレートフィルム(厚さ80μmのPETフィルム)を貼着して加飾シート(実施例13)を得た。
表2-1~2-3に示す種類の接着層用樹脂組成物を用いて接着層を形成したこと以外は、前述の実施例1の場合と同様にして加飾シート(実施例14~21及び比較例6~10)を得た。
基材シート(商品名「タフエースR EAR802」、住友ベークライト社製、厚さ1mmのアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)シート)の表面にバーコーターで接着層用樹脂組成物2を塗工した後、90℃で2分乾燥して、厚さ5μmのプライマー層を形成した。形成したプライマー層の表面に意匠層用組成物4をバーコーターで塗工した後、90℃で2分乾燥して、厚さ20μmの意匠層を形成した。形成した意匠層の表面にバーコーターで表皮層用塗料1を塗布した後、90℃で2分乾燥して厚さ15μmの表皮層を形成した。45℃で1日熟成させた後、100℃に加熱したしぼ入りのエンボスロールを使用して加工(凹凸加工)を行い、表皮層の表面に凹凸模様を形成した。基材シートの裏面にバーコーターで接着層用樹脂組成物2を塗工した後、80℃で2分乾燥して、厚さ20μmの接着層を形成した。形成した接着層の表面にセパレートフィルム(厚さ80μmのPETフィルム)を貼着して加飾シート(実施例22)を得た。
基材シート(商品名「タフエースR EAR802」、住友ベークライト社製、厚さ1mmのアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)シート)の表面にバーコーターで接着層用樹脂組成物2を塗工した後、90℃で2分乾燥して、厚さ5μmのプライマー層を形成した。形成したプライマー層の表面に意匠層用組成物1をバーコーターで塗工した後、90℃で2分乾燥して、厚さ20μmの意匠層を形成した。形成した意匠層の表面にバーコーターで表皮層用塗料1を塗布した後、90℃で2分乾燥して厚さ15μmの表皮層を形成し、45℃で1日熟成させた。基材シートの裏面にバーコーターで接着層用樹脂組成物2を塗工した後、80℃で2分乾燥して、厚さ20μmの接着層を形成した。形成した接着層の表面にセパレートフィルム(厚さ80μmのPETフィルム)を貼着して加飾シート(実施例23)を得た。
基材シート(商品名「タフエースR EAR802」、住友ベークライト社製、厚さ1mmのアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)シート)の表面にバーコーターで接着層用樹脂組成物2を塗工した後、90℃で2分乾燥して、厚さ5μmのプライマー層を形成した。形成したプライマー層の表面に蒸着用のアルミニウム(意匠層用組成物2)を蒸着して、厚さ0.03μmの意匠層を形成した。形成した意匠層の表面にバーコーターで表皮層用塗料1を塗布した後、90℃で2分乾燥して厚さ15μmの表皮層を形成し、45℃で1日熟成させた。基材シートの裏面にバーコーターで接着層用樹脂組成物2を塗工した後、80℃で2分乾燥して、厚さ20μmの接着層を形成した。形成した接着層の表面にセパレートフィルム(厚さ80μmのPETフィルム)を貼着して加飾シート(実施例24)を得た。
基材シート(商品名「タフエースR EAR802」、住友ベークライト社製、厚さ1mmのアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)シート)の表面にバーコーターで接着層用樹脂組成物2を塗工した後、90℃で2分乾燥して、厚さ5μmのプライマー層を形成した。形成したプライマー層の表面にインクジェットプリンターを使用してUVインク(意匠層用組成物3)を塗布し、厚さ5μmの意匠層を形成した。形成した意匠層の表面にバーコーターで表皮層用塗料1を塗布した後、90℃で2分乾燥して厚さ15μmの表皮層を形成し、45℃で1日熟成させた。基材シートの裏面にバーコーターで接着層用樹脂組成物2を塗工した後、80℃で2分乾燥して、厚さ20μmの接着層を形成した。形成した接着層の表面にセパレートフィルム(厚さ80μmのPETフィルム)を貼着して加飾シート(実施例25)を得た。
厚さ0.5mmのポリプロピレン(PP)シート(表面エネルギー:30mN/m)を用意した。このPPシートの表裏両面をコロナ放電処理し、表面エネルギー37mN/mの基材シートを得た。得られた基材シートの表面にバーコーターで接着層用樹脂組成物2を塗工した後、90℃で2分乾燥して、厚さ5μmのプライマー層を形成した。形成したプライマー層の表面に意匠層用組成物4をバーコーターで塗工した後、90℃で2分乾燥して、厚さ20μmの意匠層を形成した。形成した意匠層の表面にバーコーターで表皮層用塗料1を塗布した後、90℃で2分乾燥して厚さ15μmの表皮層を形成し、45℃で1日熟成させた。基材シートの裏面にバーコーターで接着層用樹脂組成物2を塗工した後、80℃で2分乾燥して、厚さ20μmの接着層を形成した。形成した接着層の表面にセパレートフィルム(厚さ80μmのPETフィルム)を貼着して加飾シート(実施例26)を得た。
基材シート(厚さ0.5mmのポリカーボネート(PC)シート)の表面にバーコーターで接着層用樹脂組成物2を塗工した後、90℃で2分乾燥して、厚さ5μmのプライマー層を形成した。形成したプライマー層の表面に意匠層用組成物4をバーコーターで塗工した後、90℃で2分乾燥して、厚さ20μmの意匠層を形成した。形成した意匠層の表面にバーコーターで表皮層用塗料1を塗布した後、90℃で2分乾燥して厚さ15μmの表皮層を形成し、45℃で1日熟成させた。基材シートの裏面にバーコーターで接着層用樹脂組成物2を塗工した後、80℃で2分乾燥して、厚さ20μmの接着層を形成した。形成した接着層の表面にセパレートフィルム(厚さ80μmのPETフィルム)を貼着して加飾シート(実施例27)を得た。
真空成形機(商品名「NGF-0404-S型」、布施真空社製)を使用し、100℃に加温した表1-1~1-3及び2-1~2-3に示す種類の被加飾部材の表面に、100℃に加温した加飾シートの接着層を真空成形により貼着した。紫外線照射機(商品名「ユニキュアUVC-02512S1AA01」、ウシオ電機社製)を使用し、被加飾部材の表面に貼着した加飾シートに積算光量2,000mJ/cm2となるようにUV照射し、表皮層を硬化させて硬化層を形成して加飾成形品を得た。
(1)接着強度
100℃に加温した表1-1~1-3に示す種類の被加飾部材の表面に、100℃に加温した加飾シートの接着層をゴムローラーにて貼着した後、加飾シートに幅10mmの切れ込みを入れた。引張試験装置(型名「オートグラフAGS-100A」、島津製作所社製)を使用し、25℃、引張速度100mm/minの条件で加飾シートを180°剥離して接着層の接着強度を測定し、以下に示す評価基準にしたがって接着強度を評価した。結果を表1-1~1-3及び2-1~2-3に示す。
◎:加飾シートが材破した。
○:加飾シートは材破しなかったが、接着強度が5N以上であった。
△:接着強度が5N以下であった。
×:接着することができなかった。
100℃に加温した表1-1~1-3に示す種類の被加飾部材の表面に、100℃に加温した加飾シートの接着層をゴムローラーにて貼着した後、加飾シートに幅5mm、長さ12mmの切れ込みを入れた。加飾シートの、被加飾部材の表面と張り合わせていない部分に100gのおもりをつけ、100℃の雰囲気内で25分間保持した。保持後の加飾フィルムの状態を目視にて観察し、以下に示す評価基準にしたがって耐熱クリープを評価した。結果を表1-1~1-3及び2-1~2-3に示す。
◎:切れ込みが全くずれていなかった。
○:切れ込みのずれが5mm未満であった。
△:切れ込みのずれが5mm以上であったが、おもりは落ちなかった。
×:切れ込みのずれが大きく、おもりが落ちた。
製造した加飾成形品の外観を観察し、以下に示す評価基準にしたがって三次元成形性(真空成形性)を評価した。結果を表1-1~1-3及び2-1~2-3に示す。
◎:表皮層、意匠層、及び接着層に塗膜割れや白化が全く認められず、型の形状に良好に追従した。
○:三次元形状部又は最大延伸部の一部に微細な塗膜割れ又は白化が認められたが、実用上問題ないレベルであった。
△:三次元形状部又は最大延伸部の一部に軽微な塗膜割れ又は白化が認められた。
×:表皮層及び意匠層が型の形状に追従できず、接着できなかった。
JASO M346-1993に準拠し、以下に示す条件にしたがってキセノンウェザオメーターを使用して加飾成形品の促進試験を実施した。促進試験後の加飾成形品の外観を観察し、以下に示す評価基準に従って耐光性を評価した。結果を表1-1~1-3及び2-1~2-3に示す。
・放射照度:48~162W/m2
・波長:300~400nm
・ブラックパネル温度:89±3℃
・照射時間:8週間
・熱量:2,000kJ
◎:接着層に黄変、白化、ワレ、ヒビ、シワ等が生じなかった。
○:三次元形状部又は最大延伸部の一部に微細な黄変、白化、ワレ、ヒビ、シワ等が生じたが、実用上問題ないレベルであった。
×:接着層に黄変、白化、ワレ、ヒビ、シワ等が生じた。
製造した加飾成形品をオーブンに入れ、120℃で400時間保持する耐熱性試験を行った。試験後の接着層の外観を観察し、以下に示す評価基準にしたがって耐熱性を評価した。結果を表1-1~1-3及び2-1~2-3に示す。
◎:接着層に黄変、白化、ワレ、ヒビ、シワ等が生じなかった。
○:三次元形状部又は最大延伸部の一部に微細な黄変、白化、ワレ、ヒビ、シワ等が生じたが、実用上問題ないレベルであった。
×:接着層に黄変、白化、ワレ、ヒビ、シワ等が生じた。
製造した加飾成形品を、温度70℃、相対湿度95%の条件下で8週間保持するジャングル試験を行った。試験後の接着層の外観を観察し、以下に示す評価基準にしたがって耐加水分解性を評価した。結果を表1-1~1-3及び2-1~2-3に示す。
◎:接着層に黄変、白化、ワレ、ヒビ、シワ等が生じなかった。
○:三次元形状部又は最大延伸部の一部に微細な黄変、白化、ワレ、ヒビ、シワ等が生じたが、実用上問題ないレベルであった。
×:接着層に黄変、白化、ワレ、ヒビ、シワ等が生じた。
表皮層用塗料1を、乾燥膜厚が約30μmとなるように離型紙上に塗工した後、45℃で1日熟成させて塗膜を形成した。熟成後、赤外分光光度計を使用して2,270cm-1のイソシアネート基(無黄変ポリイソシアネート)に由来する吸収が消失していることを確認した上で、塗膜を幅15mm×長さ60mmのサイズにカットして試験片を作製した。作製した試験片について、オートグラフ(商品名「AGS-J 500N」、島津製作所社製)、及び恒温試験装置(商品名「TCR1-200」、島津製作所社製)を使用し、温度80℃、チャック間距離20mm、引張り速度200mm/分の条件で80℃破断伸度を測定した。その結果、80℃破断伸度は300%であった。
JIS K 5600に準拠し、作製した加飾成形品の表面(紫外線硬化済みの硬化層)の鉛筆硬度を測定した。その結果、鉛筆硬度は「2B」であった。
4,14:接着層
5:基材シート
6:ガードフィルム
7,17:セパレートフィルム
8,18:意匠層
10,30:加飾シート
23,33:硬化層
25,35:接着硬化層
40,50:被加飾部材
60,70:加飾層
100,200:加飾成形品
Claims (11)
- 三次元加飾成形後に紫外線を照射して硬化層を形成する工程を有する加飾成形品の製造方法に用いられる加飾シートであって、
表皮層及び接着層を備える積層構造を有し、
前記接着層が、水酸基価80~250mgKOH/gのポリカーボネートジオールに由来する構成単位(D)を有するウレタン樹脂(C)(但し、アクリルポリオールに由来する構成単位を有するものを除く)を含有する接着層用樹脂組成物で形成されており、
前記構成単位(D)が脂環式骨格を含み、
前記表皮層が、活性エネルギー線硬化型の表皮層用樹脂組成物で形成されており、
前記表皮層の80℃における破断伸度が250%以上であり、
前記表皮層を紫外線硬化させて形成される硬化層の、JIS K 5600に準拠して測定される鉛筆硬度が4B以上である加飾シート。 - 前記ウレタン樹脂(C)が、前記ポリカーボネートジオール、低分子ジオール、及びジイソシアネートの重合反応物である請求項1に記載の加飾シート。
- 前記脂環式骨格が、シクロペンタン、シクロヘキサン、ビシクロウンデカン、及びノルボルネンの少なくともいずれかである請求項1又は2に記載の加飾シート。
- 前記ウレタン樹脂(C)の重量平均分子量が2,000~500,000である請求項1~3のいずれか一項に記載の加飾シート。
- 前記ウレタン樹脂(C)中の前記構成単位(D)の含有量が、30~80質量%である請求項1~4のいずれか一項に記載の加飾シート。
- 前記接着層用樹脂組成物が、架橋剤をさらに含有し、
前記接着層用樹脂組成物中の前記架橋剤の含有量が、前記ウレタン樹脂(C)100質量部に対して、2~25質量部である請求項1~5のいずれか一項に記載の加飾シート。 - 前記表皮層用樹脂組成物が、(メタ)アクリロイルオキシ基を含有するポリカーボネート系ポリウレタン(A)及び無黄変ポリイソシアネート(B)を含有する請求項1~6のいずれか一項に記載の加飾シート。
- ガードフィルムをさらに備え、
前記ガードフィルム、前記表皮層、及び前記接着層がこの順で積層された積層構造を有する請求項1~7のいずれか一項に記載の加飾シート。 - 前記表皮層と前記接着層の間に配置される意匠層をさらに備える請求項8に記載の加飾シート。
- 基材シート及び意匠層をさらに備え、
前記表皮層、前記意匠層、前記基材シート、及び前記接着層がこの順で積層された積層構造を有する請求項1~7のいずれか一項に記載の加飾シート。 - 被加飾部材と、前記被加飾部材の少なくとも一部の表面上に配置される加飾層と、を備え、
前記加飾層が、請求項1~10のいずれか一項に記載の加飾シートの前記表皮層に由来する硬化層と、前記被加飾部材の表面に当接して配置される、前記接着層に由来する接着硬化層と、を含む積層構造を有する加飾成形品。
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