JP6347236B2 - ブレークアウト予知方法、ブレークアウト予知装置および連続鋳造方法 - Google Patents

ブレークアウト予知方法、ブレークアウト予知装置および連続鋳造方法 Download PDF

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Description

本開示は、ブレークアウト予知方法、ブレークアウト予知装置および連続鋳造方法に関する。
連続鋳造設備では、モールド(鋳型)の銅板内部に熱電対を複数設け、設けられた熱電対による銅板内部の温度の検出結果からブレークアウトを予知する取り組みが行われている。例えば、特許文献1には、鋳型の壁面に1個ずつ埋設された熱電対で所定の温度挙動が検出され、続いていずれか1個の熱電対に隣接した他の少なくとも1個の熱電対で同様な温度挙動が検出された場合に拘束性のブレークアウトの発生を予知する方法が開示されている。
特公昭63−47545号公報
しかし、特許文献1に記載の方法の場合、鋳造方向に対する1箇所の高さのみで温度変化を検出しているため、モールド内での溶鋼レベルの変動(湯面変動)によって温度変化が生じた場合に、これをブレークアウトとして誤検知することがあった。
そこで、本発明は、上記の課題に着目してなされたものであり、ブレークアウトの発生を精度よく予知することができるブレークアウト予知方法、ブレークアウト予知装置および連続鋳造方法を提供することを目的としている。
本発明の一態様によれば、連続鋳造設備のモールドに、鋳造方向に垂直な鋳片幅方向に並んで設けられた複数の第1の検出部、および複数の上記第1の検出部の鋳造方向下流側にそれぞれ設けられた複数の第2の検出部を用いて上記モールドの面内の温度を検出する検出工程と、上記検出工程での検出結果を時系列的に連続して取得し、取得された上記検出結果に基づいてブレークアウトの発生を予知する判断工程とを備え、上記判断工程では、取得された複数の上記第1の検出部の上記検出結果から時系列的に連続した複数の第1の温度変化量を算出し、複数の上記第1の検出部のうち隣り合う複数の上記第1の検出部について、上記第1の温度変化量が第1の温度閾値以下となる割合である第1の異常率を、算出された複数の上記第1の温度変化量から算出し、取得された複数の上記第2の検出部の上記検出結果から時系列的に連続した複数の第2の温度変化量を算出し、複数の上記第2の検出部のうち隣り合う複数の上記第2の検出部について、上記第2の温度変化量が第2の温度閾値以下となる割合である第2の異常率を、算出された複数の上記第2の温度変化量から算出し、上記第1の異常率が第1の異常閾値以上、且つ上記第2の異常率が第2の異常閾値以上となった場合に、ブレークアウトの発生を予知することを特徴とするブレークアウト予知方法が提供される。
本発明の一態様によれば、連続鋳造設備のモールドに、鋳造方向に垂直な鋳片幅方向に並んで設けられ、上記モールドの面内の温度を検出する複数の第1の検出部と、上記モールドの、複数の上記第1の検出部の鋳造方向下流側にそれぞれ設けられ、上記モールドの面内の温度を検出する複数の第2の検出部と、複数の上記第1の検出部および複数の上記第2の検出部の検出結果を時系列的に連続して取得し、取得された上記検出結果に基づいてブレークアウトの発生を予知する判断部とを備え、上記判断部は、取得された複数の上記第1の検出部の上記検出結果から時系列的に連続した複数の第1の温度変化量を算出し、複数の上記第1の検出部のうち隣り合う複数の上記第1の検出部について、上記第1の温度変化量が第1の温度閾値以下となる割合である第1の異常率を、算出された複数の上記第1の温度変化量から算出し、取得された複数の上記第2の検出部の上記検出結果から時系列的に連続した複数の第2の温度変化量を算出し、複数の上記第2の検出部のうち隣り合う複数の上記第2の検出部について、上記第2の温度変化量が第2の温度閾値以下となる割合である第2の異常率を、算出された複数の上記第2の温度変化量から算出し、上記第1の異常率が第1の異常閾値以上、且つ上記第2の異常率が第2の異常閾値以上となった場合に、ブレークアウトの発生を予知することを特徴とするブレークアウト予知装置が提供される。
本発明の一態様によれば、連続鋳造設備にて連続鋳造をする際に、連続鋳造設備のモールドに、鋳造方向に垂直な鋳片幅方向に並んで設けられた複数の第1の検出部、および複数の上記第1の検出部の鋳造方向下流側にそれぞれ設けられた複数の第2の検出部を用いて上記モールドの面内の温度を検出する検出工程と、上記検出工程での検出結果を時系列的に連続して取得し、取得された上記検出結果に基づいてブレークアウトの発生を予知する判断工程とを備え、上記判断工程では、取得された複数の上記第1の検出部の上記検出結果から時系列的に連続した複数の第1の温度変化量を算出し、複数の上記第1の検出部のうち隣り合う複数の上記第1の検出部について、上記第1の温度変化量が第1の温度閾値以下となる割合である第1の異常率を、算出された複数の上記第1の温度変化量から算出し、取得された複数の上記第2の検出部の上記検出結果から時系列的に連続した複数の第2の温度変化量を算出し、複数の上記第2の検出部のうち隣り合う複数の上記第2の検出部について、上記第2の温度変化量が第2の温度閾値以下となる割合である第2の異常率を、算出された複数の上記第2の温度変化量から算出し、上記第1の異常率が第1の異常閾値以上、且つ上記第2の異常率が第2の異常閾値以上となった場合に、ブレークアウトの発生を予知することを特徴とする連続鋳造方法が提供される。
本発明の一態様によれば、ブレークアウトの発生を精度よく予知することができる。
本発明に第1の実施形態に係るブレークアウト予知装置を示す構成図である。 第1および第2の検出部の設置位置を示すモールドの展開図である。 第1の実施形態に係るブレークアウト予知方法を示すフローチャートである。 記憶部に時系列的に記憶された第1および第2の温度変化量を示す模式図である。 第2の実施形態における第1および第2の異常率の算出方法を示す模式図である。 第2の実施形態における第1および第2の異常率の算出する際に用いられる第1および第2の温度変化量の領域を示す模式図である。 第2の実施形態における第1および第2の異常率の算出方法を示す模式図である。 変形例における第1および第2の異常率の算出する際に用いられる第1および第2の温度変化量の領域を示す模式図である。
以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の細部について記載される。しかしながら、かかる特定の細部がなくても1個以上の実施態様が実施できることは明らかであろう。他にも、図面を簡潔にするために、周知の構造及び装置が略図で示されている。
<第1の実施形態>
[ブレークアウト予知装置の構成]
まず、図1および図2を参照して、本発明の第1の実施形態に係るブレークアウト予知装置2の構成について説明する。第1の実施形態に係るブレークアウト予知装置2は、不図示の連続鋳造設備に設けられ、連続鋳造設備での鋼の連続鋳造中に生じる拘束性のブレークアウトの発生を予知するものである。なお、本発明の第1の実施形態に係る連続鋳造方法は、このような連続鋳造設備にて鋼を連続鋳造する際に、後述するブレークアウト予知装置またはブレークアウト予知方法を用いて、拘束性のブレークアウトの発生を予知するものである。連続鋳造設備は、図1に示すように鋳型であるモールド1と、モールド1の下方に2次冷却設備やロール等の設備とを有する一般的な鋳造設備である。モールド1は、一対の長辺側銅板11,13と、一対の短辺側銅板12,14とを有する。一対の長辺側銅板11,13および一対の短辺側銅板12,14は、鋳造方向に互いに垂直に対向して設けられ、一対の長辺側銅板11,13の間に一対の短辺側銅板12,14が嵌るように設けられる。
ブレークアウト予知装置2は、複数の第1の検出部3a〜3r(3)と、複数の第2の検出部4a〜4r(4)と、判断部5と、記憶部6と、警報部7とを備える。
複数の第1の検出部3a〜3rは、熱電対等の測温素子であり、モールド1の一対の長辺側銅板11,13および一対の短辺側銅板12,14の内部にそれぞれ埋設され、鋳造方向(図2の紙面に対する上下方向)に対して垂直な鋳片幅方向(図2の紙面に対する左右方向)に並んで設けられる。なお、一対の長辺側銅板11,13には、7個の第1の検出部3a〜3g,3j〜3pがそれぞれ等間隔に設けられ、一対の短辺側銅板12,14には、2個の第1の検出部3h,3i,3q,3rがそれぞれ設けられる。なお、複数の第1の検出部3a〜3rは、モールド1内の溶鋼が充填される鋳造方向の位置のうち、メニスカス(溶鋼の浴面)に近い側に設けられることが好ましい。
複数の第2の検出部4a〜4rは、複数の第1の検出部3a〜3rと同様に、熱電対等の測温素子であり、モールド1の一対の長辺側銅板11,13および一対の短辺側銅板12,14内部にそれぞれ埋設され、鋳片幅方向に並んで設けられる。また、複数の第2の検出部4a〜4rは、複数の第1の検出部3a〜3rに対応して、複数の第1の検出部3a〜3rの鋳造方向下流側に離間してそれぞれ設けられる。つまり、第1および第2の検出部3a〜3r,4a〜4rは、鋳造方向に対に並んで、上下2段に設けられる。また、複数の第2の検出部4a〜4rは、連続鋳造設備で鋳造が行われる際に、溶鋼レベルの変動の影響がない位置に設けられることが好ましい。
複数の第1および第2の検出部3a〜3r,4a〜4rは、モールド1の一対の長辺側銅板11,13および一対の短辺側銅板12,14の各面内の温度を検出し、検出結果を接続された判断部5に送信する。
判断部5は、複数の第1および第2の検出部3a〜3r,4a〜4rから取得した検出結果をデジタル信号に変換するA/D変換部、各種演算を実行するCPUならびに演算部のワーキングエリアとして作用するRAM等を有する。判断部5は、複数の第1および第2の検出部3a〜3r,4a〜4rから送信された検出結果を一定時間間隔で連続的に取得し、取得した検出結果から第1および第2の温度変化量をそれぞれ算出する。そして、判断部5は、算出された第1および第2の温度変化量を記憶部6に送信する。さらに、判断部5は、複数の第1および第2の検出部3a〜3r,4a〜4rの過去の検出結果から算出された、第1および第2の温度変化量を記憶部6から取得する。その後、判断部5は、取得した過去の第1および第2の温度変化量と、直前に算出された第1および第2の温度変化量とに基づいて、拘束性のブレークアウトの発生を予知する。ブレークアウト予知方法については、後述する。また、判断部5は、ブレークアウトを予知した場合、警報要求を警報部7に送信する。
記憶部6は、不揮発性メモリやハードディスク等からなり、判断部5から取得した第1および第2の温度変化量を時系列的に記憶する。
警報部7は、判断部5から取得した警報要求に基づいて、スピーカを介した音声警報の出力や連続鋳造設備の操作画面上への表示をすることで、作業者に対してブレークアウトの発生を予知したことを発信する手段である。
[ブレークアウト予知方法]
次に、図3を参照して第1の実施形態に係るブレークアウト予知方法について説明する。まず、複数の第1および第2の検出部3a〜3r,4a〜4rは、モールド1の一対の長辺側銅板11,13および一対の短辺側銅板12,14の面内の温度を検出する(S100)。そして、複数の第1および第2の検出部3a〜3r,4a〜4rは、検出結果を判断部5に送信する。なお、第1の実施形態では、ブレークアウトの予知動作は、連続鋳造設備にて鋳造が開始されることで開始される。
次いで、判断部5は、取得したステップS100の検出結果から第1および第2の温度変化量を、各検出部(複数の第1および第2の検出部3a〜3r,4a〜4r)毎にそれぞれ算出する(S102)。この際、判断部5は、取得した検出結果と、その直前に取得された検出結果との差分から第1および第2の温度変化量を算出する。なお、判断部5による複数の第1および第2の検出部3a〜3r,4a〜4rからの検出結果の取得は、連続的に行われる。このため、ステップS102の処理は、判断部5による2回目以降の検出結果の取得後に行われる。第1および第2の温度変化量が算出された後、判断部5は、算出された第1および第2の温度変化量および算出する際に用いた検出結果の検出時間を、記憶部6に送信する。そして、記憶部6は、判断部5から取得した第1および第2の温度変化量を、時系列的に記憶する。
さらに、判断部5は、直前のステップS100での温度の検出よりも所定時間前までに検出された検出結果から算出された第1および第2の温度変化量(過去の第1および第2の温度変化量)を、記憶部6から取得する。そして、取得した過去の第1および第2の温度変化量および直前のステップS102で算出された第1および第2の温度変化量からなる時系列的に連続した第1および第2の温度変化量に基づいて、隣接する3個の第1の検出部3および3個の第2の検出部4の組合せ毎に、第1および第2の異常率を算出する(S104)。なお、ステップS104の処理は、記憶部6に所定時間前までの第1および第2の温度変化量が記憶された後に行われる。つまり、連続鋳造が開始されてから所定時間が経過し、ステップS100,S102の処理によって、所定時間前までの第1および第2の温度変化量が記憶部6に記憶された後に、ステップS104の処理が行われる。
ステップS104の処理について図4を参照して詳細に説明する。図4(A),(B)は、記憶部6に時系列的に記憶された、第1および第2の温度変化量を模式的に示した図である。図4(A),(B)では、紙面の上下方向が時系列となり、紙面の左右方向が複数の第1および第2の検出部3a〜3r,4a〜4rの設置位置順となるように第1および第2の温度変化量の情報を示す四角形が並べられる。このとき、記憶部6には、検出時間tn−9〜検出時間tまでの各10個の第1および第2の温度変化量の情報が、複数の第1および第2の検出部3a〜3r,4a〜4r毎にそれぞれ記憶される。ステップS102における検出結果の取得は、Δt[s]間隔で行われるため、測定開始の時間を検出時間tn−9=0[s]とした場合、図4に示す例では0[s]から9×Δt[s]までの9×Δt[s]の間に検出された第1および第2の温度変化量の情報が示される。なお、検出結果を取得する間隔Δtは、特に限定しないが、極端に短い場合には処理に負荷がかかり、極端に長い場合にはブレークアウトの検出精度が低下するため、設備条件や操業条件等に応じて適宜最適な値が設定される。
ステップS104では、はじめに、判断部5は、直前のステップS100での温度の検出が行われた検出時間tよりも、7×Δt[s]前までの間に検出が行われた第1および第2の温度変化量を記憶部6から取得する。この場合、判断部5は、記憶部6に記憶された第1および第2の温度変化量のうち、検出時間tn−1〜検出時間tn−7までの7個の温度変化量の情報を、複数の第1および第2の検出部3a〜3r,4a〜4r毎に取得する。
次いで、判断部5は、隣接する3個の第1の検出部3の組合せについて、取得した検出時間tn−1〜検出時間tn−7における過去の第1の温度変化量と、直前のステップS102で算出された検出時間tにおける第1の温度変化量とから、第1の異常率を算出する。この際、複数の第1の検出部3a〜3rのうちいずれか1個の第1の検出部3と、それを中心として隣接する2個の第1の検出部3とが1つの組合せとして認識される。例えば、図4(A)に示すように、第1の検出部3dを中心として隣接する3個の第1の検出部3c〜3eの組合せG1や、第1の検出部3jを中心として隣接する3個の第1の検出部3i〜3kの組合せG2、第1の検出部3rを中心として隣接する3個の第1の検出部3q,3r,3aの組合せG3等が形成される。なお、図4(A)に図示した例の場合、18個の第1の検出部3a〜3rがそれぞれ中心となって組合せが形成されるため、全部で18組の組合せが形成される。そして、第1の検出部3の18組の組合せについて、直前に算出された第1の温度変化量および取得された過去の第1の温度変化量が、第1の温度閾値以下か否かが判断される。第1の温度閾値は、後述する鋳片のモールド1内での拘束が発生した際に生じる特有の温度降下が検出可能な値に設定され、例えば−0.3[℃/s]に設定される。図5(A)に、拘束性のブレークアウトの発生を想定した場合における、検出時間t〜検出時間tn−7の第1の温度変化量についての判断結果を示す。図5(A)において、ハッチングで示された第1の温度変化量の情報は、第1の温度閾値以下となるものを示す。図5(A)に示すように、第1の検出部3dを中心とした組合せG1を考えた場合、第1の異常率が判断される領域は、複数の第1の検出部3a〜3rの設置順と、温度の検出時間とで示される面内において矩形状の領域D1となる。図5(A)の場合、領域D1における第1の温度変化量のデータ数は24個であり、そのうち第1の温度閾値以下となるものは19個となる。したがって、組合せG1における第1の異常率は、19個/24個=0.79となる。なお、第1の異常率の算出は、第1の検出部3の18組全ての組合せについて実施される。
第1の異常率が算出された後、判断部5は、隣接する3個の第2の検出部4の組合せについて、取得した検出時間tn−1〜検出時間tn−7における過去の第2の温度変化量と、直前のステップS102で算出された検出時間tにおける第2の温度変化量とから、第2の異常率を算出する。この際、複数の第2の検出部4a〜4rのうちいずれか1個の第2の検出部4と、それを中心として隣接する2個の第2の検出部4とが1つの組合せとして認識される。例えば、図4(B)に示すように、第2の検出部4dを中心として隣接する3個の第2の検出部4c〜4eの組合せG1や、第2の検出部4fを中心として隣接する3個の第2の検出部4i〜4kの組合せG2、第2の検出部4rを中心として隣接する3個の第2の検出部4q,4r,4aの組合せG3等が形成される。なお、図4(B)に図示した例の場合、18個の第2の検出部4a〜4rがそれぞれ中心となって組合せが形成されるため、全部で18組の組合せが形成される。そして、第2の検出部4の18組の組合せについて、直前に算出された第2の温度変化量および取得された過去の第2の温度変化量が第2の温度閾値以上か否かが判断される。第2の温度閾値は、後述する鋳片のモールド1内での拘束が発生した際に生じる温度上昇が検出可能な値に設定され、例えば0.3[℃/s]に設定される。図5(B)に、拘束性のブレークアウトの発生を想定した場合における、検出時間t〜検出時間tn−7の第2の温度変化量についての判断結果を示す。図5(B)において、ハッチングで示された第2の温度変化量の情報は、第2の温度閾値以上となるものを示す。図5(B)に示すように、第2の検出部4dを中心とした組合せG1を考えた場合、第2の異常率が判断される領域は、複数の第2の検出部4a〜4rの設置順と、温度の検出時間とで示される面内において矩形状の領域D1となる。図5(B)の場合、領域D1における第2の温度変化量のデータ数は24個であり、そのうち第2の温度閾値以下となるものは15個となる。したがって、組合せG1における第2の異常率は、15個/24個=0.63となる。なお、第2の異常率の算出は、第2の検出部4の18組全ての組合せについて実施される。
ステップS104の後、判断部5は、上下に対に設けられた第1の検出部3の組合せおよび第2の検出部4の組合せについて、第1の異常率が第1の異常閾値以上、且つ第2の異常率が第2の異常閾値以上であるか否かを判断する(S106)。第1および第2の異常閾値は、拘束性のブレークアウトが発生した場合に生じるモールド1の面内の温度変化から決定され、例えば、図5(A),(B)に図示した第1および第2の温度変化量の状態が異常として検出可能な値に設定される。例えば、図5(A),(B)の場合、第1の異常閾値を0.7、第2の異常閾値を0.6とすることで、図5(A),(B)の場合における第1および第2の温度変化量の状態をブレークアウトが発生するときのものとして検知することができる。ステップS106の判断は、第1の検出部3および第2の検出部4の各18組の組合せについてそれぞれ行われる。そして、第1の検出部3および第2の検出部4の各18組の組合せのうち、少なくとも1組以上の組合せについて、第1および第2の異常率がそれぞれ第1および第2の異常閾値以上となった場合に、ブレークアウトが発生することを予知する。
ここで、拘束性のブレークアウトは、以下の機構で発生することが考えられる。連続鋳造中に、モールド1内のメニスカス(溶鋼浴面)近傍の凝固シェルが何らかの原因でモールド1に拘束された場合、凝固シェルの拘束された部分とそれよりも鋳造方向下方の引き抜きが行われている部分との間で凝固シェルの破断が生じる。このような凝固シェルの拘束は、モールド1の長辺側の中央およびコーナー部で生じることが多い。その後、破断した凝固シェルの間隙に溶鋼が流入することで新しい薄い凝固シェルが形成されるが、連続鋳造設備のオシレーションを伴う引き抜き動作によって、破断箇所が徐々にモールド1の下方へと移動するように凝固シェルの破断が連続的に発生する。そして、破断箇所がモールド1の下端まで移動すると、鋳片がモールド1を抜けた所でブレークアウトが発生することとなる。上記の機構から、拘束性のブレークアウトは、最初の破断部を起点として、鋳片の表面に対して破断部が略V字状に形成されることが知られている。第1の検出部3の設置位置は、初期にモールド1内に拘束された凝固シェルに近い位置に相当する。このため、第1の検出部3では、図5(A)に示すように温度を時系列的にみた場合、略V字状に温度が降下する様子が検出される。また、第2の検出部4の設置位置は、第1の検出部3よりも下方に設けられる。このため、第2の検出部4では、図5(B)に示すように温度を時系列的にみた場合、破断部が通過することで略V字状に温度が上昇する領域が移動する様子が検出される。なお、図5(B)の場合、ハッチングで示した温度上昇量が大きな領域が通過した後は、凝固シェルが拘束された状態となるため、図5(A)と同様に温度降下量の大きな領域が略V字状に広がっていく。第1の実施形態では、ステップS104,S106の処理を行うことで、上記の拘束性のブレークアウト特有の温度変化を検出することができる。
ステップS106の判断の結果、第1および第2の異常率がそれぞれ第1および第2の異常閾値以上であった場合、判断部5は、警報要求を警報部7に送信する。そして、警報部7は、警報要求を取得すると、ブレークアウトの発生を予知したことを作業者に、音声出力や画面表等で発信する(S108)。
ステップS108の後、またはステップS106の判断の結果、第1および第2の異常率がそれぞれ第1および第2の異常閾値以上でなかった場合、判断部5は、鋳造が完了したか否かを判断する(S110)。ステップS110では、自動または作業者による操作によって、鋳造が完了したことを示す処理が行われることで鋳造の完了が認識される。
ステップS110にて鋳造が完了したと判断された場合、ブレークアウトの予知にかかる処理が終了する。一方、ステップS110にて鋳造が完了していないと判断された場合、ステップS100の処理が再度行われる。
以上のブレークアウトの予知方法において、ステップS100〜S110の一連の判断処理は、判断部5が第1および第2の検出部3,4から検出結果を取得する一定間隔おきに行われることが好ましい。例えば、図4に図示したように、検出結果の取得がΔt間隔で行われる場合、ステップS100〜S110の一連の判断処理はΔtの間隔で行われる。
<第2の実施形態>
[ブレークアウト予知装置の構成]
本発明の第2の実施形態に係るブレークアウト予知装置2について説明する。第2の実施形態に係るブレークアウト予知装置2は、第1の実施形態と同様な構成であり、図1に示すように、複数の第1の検出部3a〜3r(3)と、複数の第2の検出部4a〜4r(4)と、判断部5と、記憶部6と、警報部7とを備える。第2の実施形態では、判断部5によるブレークアウトの発生予知の処理が異なるが、その他の構成および動作や処理については、第1の実施形態と同様である。
[ブレークアウト予知方法]
次に、図6および図7を参照して第2の実施形態に係るブレークアウト予知方法について説明する。第2の実施形態では、基本的に第1の実施形態と同様に、図3に示すフローチャートに従い処理が行われる。つまり、まず、複数の第1および第2の検出部3a〜3r,4a〜4rは、モールド1の内部の温度を検出する(ステップS100)。次いで、判断部5は、複数の第1および第2の検出部3a〜3r,4a〜4r毎に、検出結果から第1および第2の温度変化量を算出する(ステップS102)。さらに、判断部5は第1および第2の異常率を算出する(ステップS104)。なお、第2の実施形態では、後述するように、ステップS104における第1および第2の異常率の算出方法が第1の実施形態と異なる。その後、判断部5は、第1および第2の異常率が第1および第2の異常閾値以上であるか否かを判断することにより、ブレークアウトの発生を予知する(ステップS106)。ステップS106にてブレークアウトの発生が予知された場合、警報部7は作業者に対して警報を発信する(ステップS108)。そして、ステップS108の後、またはステップS106にてブレークアウトの発生が予知されなかった場合、判断部5は鋳造が完了したか否かを判断する(ステップS110)。ステップS110にて鋳造が完了したと判断された場合、ブレークアウトの予知にかかる処理が終了し、ステップS110にて鋳造が完了していないと判断された場合、ステップS100の処理が再度行われる。
第2の実施形態におけるステップS104の処理について、詳細に説明する。ステップS104では、第1の実施形態と同様に、直前のステップS100での温度の検出よりも所定時間前までに検出され、算出された過去の第1および第2の温度変化量を、記憶部6から取得する。例えば、図4に図示した例の場合、判断部5は、記憶部6に記憶された第1および第2の温度変化量のうち、時間tn−1〜時間tn−7までの各7個の第1および第2の温度変化量の情報を、複数の第1および第2の検出部3a〜3r,4a〜4r毎に取得する。
次いで、判断部5は、取得した過去の第1および第2の温度変化量および直前のステップS102で算出された第1および第2の温度変化量からなる時系列的に連続した第1および第2の温度変化量に基づいて、隣接する3個の第1の検出部3および3個の第2の検出部4の組合せ毎に、第1および第2の異常率を算出する。この際、第2の実施形態では、第1の実施形態と異なり、隣接する3個の第1の検出部3および3個の第2の検出部4の組合せについて、第1および第2の異常率を算出する際に用いられる第1および第2の温度変化量の時系列の領域の範囲が異なる。具体的には、隣接する3個の第1および第2の検出部3,4について、中心となる1個の第1および第2の検出部3,4に対して、それに隣接する2個の第1および第2の温度変化量の時系列の範囲が、直前にステップS100で温度が検出された時間に近い、つまり、より直近に検出されたものとなるように設定される。例えば、図6に示すように、3個の第1の検出部3c〜3eの組合せG1の場合、組合せの中心となる第1の検出部3dについては、時間tn−1〜時間tn−7の範囲の第1の温度変化量が第1の異常率を算出する際に用いられる。一方、第1の検出部3dに隣接する2個第1の検出部3c,3eについては、測定時間がΔt分だけ直近のものとなる、時間t〜時間tn−6の範囲の第1の温度変化量が第1の異常率を算出する際に用いられる。つまり、略V字状となる領域D2の範囲の第1の温度変化量から第1の異常率が検出される。なお、第2の異常率についても、第1の異常率と同様な範囲の第2の温度変化量から算出される。
図7(A)に、図5(A)と同様に、拘束性ブレークアウトの発生を想定した場合における、複数の第1の検出部3a〜3rにおける時間t〜時間tn−7の温度の検出結果から算出された第1の温度変化量についての第1の温度閾値以下か否かの判断結果を示す。また、図7(B)に、図5(B)と同様に、拘束性ブレークアウトの発生を想定した場合における、複数の第2の検出部4a〜4rにおける時間t〜時間tn−7の温度の検出結果から算出された第2の温度変化量についての第2の温度閾値以上か否かの判断結果を示す。
拘束性のブレークアウトが発生した場合、上述したように、図7(A),(B)に示す略V字状の温度変化が生じることとなる。これに対して、第2の実施形態では、第1および第2の異常率を算出する際に、第1および第2の検出部3,4の設置位置の関係と、温度の検出時間とで示される面内において、温度変化が生じた場合と同様な略V字状の領域を用いる。このため、拘束性のブレークアウトによる温度変化を異常として、精度よく検出することができる。
<変形例>
以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態の種々の変形例とともに本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲は、本発明の範囲及び要旨に含まれるこれらの変形例または実施形態も網羅すると解すべきである。
例えば、第1および第2の実施形態では、ステップS104において第1および第2の異常率を算出する際に、第1および第2の検出部3,4の組合せとして、隣接する3個の第1および第2の検出部3,4をそれぞれ用いたが、本発明はかかる例に限定されない。第1および第2の異常率を算出する際の第1および第2の検出部3,4の組合せには、隣接する複数の第1および第2の検出部3,4が用いられればよく、組合せに用いられる数は限定されない。また、第1および第2の検出部3,4の設置間隔や検出結果の取得間隔、破断部の形状に応じて、鋳片幅方向に複数設けられた第1および第2の検出部3,4が全て用いられなくてもよい。例えば、鋳片幅方向に複数設けられた第1および第2の検出部3,4のうち、一個置きに設けられた第1および第2の検出部3,4が用いられてもよい。
また、第2の実施形態では、第1および第2の異常率を算出する際に、第1および第2の検出部3,4の設置位置の関係と、温度の検出時間とで示される面内の略V字状となる領域の範囲の第1および第2の温度変化量が用いられたが、本発明はかかる例に限定されない。第1および第2の異常率を算出する際に用いられる第1および第2の温度変化量の領域は、図7に示すようにモールド1内で凝固シェルが拘束された際に生じる温度変化の状態がより精度よく検出できれば他の形状が用いられてもよい。例えば、図8(A)に示すように、紙面の上下方向の下側のみが略V字形状となる領域D3や、第1の検出部3hに対して非対称な略V字形状となる領域D4、第1の検出部3oから一方向にΔtずつずれて傾斜した領域D5等の形状であってもよい。さらに、第1および第2の異常率を算出する際に用いられる第1および第2の温度変化量の領域は、鋳造速度や温度の検出間隔Δtに応じて、図8(B)に示すように、領域D2よりも略V字の角度が小さい領域D6や角度が大きい領域D7等の形状であってもよい。さらに、第1および第2の異常率を算出する際に用いられる第1および第2の温度変化量の領域は、モールド1の上下に対応した第1および第2の検出部3,4が用いられれば、互いに異なる形状の領域が用いられてもよい。例えば、第1の異常率を算出する際に用いられる第1の温度変化量の領域を図5に示す矩形状の領域D1とし、第2の異常率を算出する際に用いられる第2の温度変化量の領域のみを図6に示す略V字状の領域D2としてもよい。
また、第1および第2の実施形態では、ステップS106において第1および第2の異常率を用いてブレークアウトの発生を予知する際に、全ての第1の検出部3a〜3rを中心とした18組の第1の検出部3の組合せ、および全ての第2の検出部4a〜4rを中心とした18組の第2の検出部4の組合せを用いるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、拘束性のブレークアウトが発生しやすい、モールド1の長辺の略中央部またはコーナー部に設けられた第1および第2の検出部3,4を中心とする第1および第2の検出部3,4の組合せのみが用いられてもよい。
さらに、本発明では、モールド1の長辺側銅板11,13に設けられる第1の検出部3の数は、少なくともそれぞれ3個以上であればよく、長辺側銅板11,13の幅方向の長さや鋳造方向の長さ、鋳造速度等に応じて適宜最適な数が選択される。また、モールド1の短辺側銅板12,14に設けられる第2の検出部4の数は、第1の検出部3と同様に設備や操業条件に応じて適宜最適な数が選択され、長辺側で発生するブレークアウトのみを検知するような場合には、設けられなくてもよい。
さらに、ステップS104において第1および第2の異常率を算出する際に、判断部5が記憶部6から取得する過去の第1および第2の温度変化量の時系列の範囲は、第1および第2の実施形態の例に限定されない。判断部5が記憶部6から取得する過去の第1および第2の温度変化量の時系列の範囲は、判断部5の検出結果を取得する間隔Δtや、鋳造速度、モールド1の鋳造方向の寸法、発生が懸念されるブレークアウトの状態等に応じて適宜設定される。なお、過去の第1および第2の温度変化量の時系列の範囲が、極端に過去にさかのぼって長い範囲で取得される場合(例えば、図4において取得する検出結果が検出された時間tn−kのkが大きい場合)、拘束性ブレークアウトの原因となる凝固シェルの破断が生じた位置がモールド1を抜けブレークアウトが発生してしまう可能性がある。一方、過去の第1および第2の温度変化量の時系列の範囲が、極端に短い範囲で取得される場合(例えば、図4において取得する検出結果が検出された時間tn−kのkが小さい場合)、ブレークアウトの予知が過敏に行われる可能性があるため、予知精度が低下することがある。
さらに、第1および第2の実施形態では、ステップS108において、判断部5は、警報要求を取得すると、ブレークアウトの発生を予知したことを作業者に対して発信するとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、これらの警報の発信に加え、連続鋳造設備の鋳造動作を制御する不図示の制御部によって、鋳造速度を低下させる動作が行われてもよい。
<実施形態の効果>
(1)本発明の一態様に係るブレークアウト予知方法では、連続鋳造設備のモールド1に、鋳造方向に垂直な鋳片幅方向に並んで設けられた複数の第1の検出部3、および複数の第1の検出部3の鋳造方向下流側にそれぞれ設けられた複数の第2の検出部4を用いてモールド1の面内の温度を検出する検出工程(ステップS100)と、検出工程での検出結果を時系列的に連続して取得し、取得された検出結果に基づいてブレークアウトの発生を予知する判断工程(ステップS102〜S106)とを備え、判断工程では、取得された複数の第1の検出部3の検出結果から時系列的に連続した複数の第1の温度変化量を算出し、複数の第1の検出部3のうち隣り合う複数の第1の検出部3について、第1の温度変化量が第1の温度閾値以下となる割合である第1の異常率を、算出された複数の第1の温度変化量から算出し、取得された複数の第2の検出部4の検出結果から時系列的に連続した第2の温度変化量を算出し、複数の第2の検出部4のうち隣り合う複数の第2の検出部4について、第2の温度変化量が第2の温度閾値以下となる割合である第2の異常率を、算出された複数の第2の温度変化量から算出し、第1の異常率が第1の異常閾値以上、且つ第2の異常率が第2の異常閾値以上となった場合に、ブレークアウトの発生を予知する。
上記構成によれば、第1および第2の検出部3,4の上下2二段の検出部を用いて、拘束性のブレークアウトによって生じる特徴的な温度変化を検出することができるため、精度良くブレークアウトを予知することができる。また、第1および第2の検出部3,4が共に異常を示す場合にブレークアウトを予知するため、例えば特許文献1のように鋳片幅方向の温度変化のみか予知する場合に比べ、誤検知を低減させることができる。例えば、湯面変動が生じた場合、上側の第1の検出部3においては、ブレークアウトが発生したときと同様な温度変化が検出される場合がある。しかし、上記構成によれば、下側の第2の検出部4では湯面変動を異常として検出されることがないため、湯面変動による温度変化を誤検知することを防止できる。
さらに、上記構成によれば、鋳片幅方向に並んだ複数の第1および第2の検出部3,4を用いることにより、拘束性のブレークアウトの原因となる鋳片幅方向に生じる破断部を、局所的ではなく鋳片幅方向に広がる領域で検出することができる。このため、例えば特定箇所の上下に並んだ1組の第1および第2の検出部3,4の、温度判定や温度変化のみから拘束性のブレークアウトの発生を予知する場合に比べ、拘束性のブレークアウトを精度よく検出することができる。また、第1または第2の検出部3,4のいずれかについて、不良等により正常に温度が検出できないような場合にも、閾値を調整することで正常な残りの他の第1および第2の検出部3,4の結果からブレークアウトの発生を予知することもできる。
ここで、ブレークアウトが発生した場合、連続鋳造設備を含む生産ラインが停止してしまうため生産能力が大幅に低下することになる。また、湯面変動等による誤検知が生じた場合、検知後に連続鋳造設備の鋳造速度を低下させる必要があるため生産能力が低下することが問題となる。さらに、このような誤検知の発生を抑制するためには、判定条件を厳しくすることが考えられるが、判定条件を厳しくすることにより高速性のブレークアウトを予知できない場合が発生する。これに対して上記構成によれば、ブレークアウトの予知精度が向上し、誤検知の発生を低減することができるため、生産能力を向上させることができる。
(2)上記の(1)の構成において、判断工程において第2の異常率を算出する際に、第2の異常率の算出に用いられる複数の第2の検出部として、1個の第2の検出部、および1個の第2の検出部から隣り合う少なくとも1個の他の第2の検出部が選択され、選択された少なくとも1個の他の第2の検出部の時系列的に連続した第2の温度変化量として、第2の検出部の時系列的に連続した第2の温度変化量よりも、より直近に検出されたものを用いる。
上記構成によれば、少なくとも、第2の異常率を判定する際に用いられる、第2の検出部の温度変化量の時系列における領域を、ブレークアウトが発生する際に検出される形状により近い形状とすることができるため、ブレークアウトの予知精度をより向上させることができる。
(3)本発明の一態様に係るブレークアウト予知装置は、連続鋳造設備のモールドに、鋳造方向に垂直な鋳片幅方向に並んで設けられ、モールドの面内の温度を検出する複数の第1の検出部と、モールドの、複数の第1の検出部の鋳造方向下流側にそれぞれ設けられ、モールドの面内の温度を検出する複数の第2の検出部と、複数の第1の検出部および複数の第2の検出部の検出結果を時系列的に連続して取得し、取得された検出結果に基づいてブレークアウトの発生を予知する判断部とを備え、判断部は、取得された複数の第1の検出部の検出結果から時系列的に連続した複数の第1の温度変化量を算出し、複数の第1の検出部のうち隣り合う複数の第1の検出部について、第1の温度変化量が第1の温度閾値以下となる割合である第1の異常率を、算出された複数の第1の温度変化量から算出し、取得された複数の第2の検出部の検出結果から時系列的に連続した複数の第2の温度変化量を算出し、複数の第2の検出部のうち隣り合う複数の第2の検出部について、第2の温度変化量が第2の温度閾値以下となる割合である第2の異常率を、算出された複数の第2の温度変化量から算出し、第1の異常率が第1の異常閾値以上、且つ第2の異常率が第2の異常閾値以上となった場合に、ブレークアウトの発生を予知する。
上記構成によれば、上記(1)の構成と同様な効果を得ることができる。
(4)本発明の一態様に係る連続鋳造方法は、連続鋳造設備にて連続鋳造をする際に、連続鋳造設備のモールドに、鋳造方向に垂直な鋳片幅方向に並んで設けられた複数の第1の検出部、および複数の第1の検出部の鋳造方向下流側にそれぞれ設けられた複数の第2の検出部を用いてモールドの面内の温度を検出する検出工程と、検出工程での検出結果を時系列的に連続して取得し、取得された検出結果に基づいてブレークアウトの発生を予知する判断工程とを備え、判断工程では、取得された複数の第1の検出部の検出結果から時系列的に連続した複数の第1の温度変化量を算出し、複数の第1の検出部のうち隣り合う複数の第1の検出部について、第1の温度変化量が第1の温度閾値以下となる割合である第1の異常率を、算出された複数の第1の温度変化量から算出し、取得された複数の第2の検出部の検出結果から時系列的に連続した複数の第2の温度変化量を算出し、複数の第2の検出部のうち隣り合う複数の第2の検出部について、第2の温度変化量が第2の温度閾値以下となる割合である第2の異常率を、算出された複数の第2の温度変化量から算出し、第1の異常率が第1の異常閾値以上、且つ第2の異常率が第2の異常閾値以上となった場合に、ブレークアウトの発生を予知する。
上記構成によれば、上記(1)の構成と同様な効果を得ることができる。また、これらの効果によって、高い生産効率で安定して連続鋳造を実施することができる。
次に、本発明者らが行った実施例について説明する。本発明者らは、上記の第2の実施形態に係るブレークアウト予知方法を用いて、拘束性のブレークアウトが過去に発生した際の、第1および第2の検出部3,4の検出結果から、ブレークアウトの発生を予知可能であるかを検証した。検証の結果、第1の異常閾値を0.80、第2の異常閾値を0.60とすることで、全ての拘束性のブレークアウトについて、ブレークアウトが発生する前に予知できることを確認した。
1 モールド
11,13 長辺側銅板
12,14 短辺側銅板
2 ブレークアウト予知装置
3,3a〜3r 第1の検出部
4,4a〜4r 第2の検出部
5 判断部
6 記憶部
7 警報部

Claims (4)

  1. 連続鋳造設備のモールドに、鋳造方向に垂直な鋳片幅方向に並んで設けられた複数の第1の検出部、および複数の前記第1の検出部の鋳造方向下流側にそれぞれ設けられた複数の第2の検出部を用いて前記モールドの面内の温度を検出する検出工程と、
    前記検出工程での検出結果を時系列的に連続して取得し、取得された前記検出結果に基づいてブレークアウトの発生を予知する判断工程と
    を備え、
    前記判断工程では、
    取得された複数の前記第1の検出部の前記検出結果から時系列的に連続した複数の第1の温度変化量を算出し、複数の前記第1の検出部のうち前記鋳片幅方向に連続して並んで設けられた複数の第1の検出部について、時系列的に連続した複数の前記第1の温度変化量のうち、第1の温度閾値以下となる第1の温度変化量のデータ数の割合である第1の異常率を、算出された複数の前記第1の温度変化量から算出し、
    取得された複数の前記第2の検出部の前記検出結果から時系列的に連続した複数の第2の温度変化量を算出し、複数の前記第2の検出部のうち前記鋳片幅方向に連続して並んで設けられた複数の第2の検出部について、時系列的に連続した複数の前記第2の温度変化量のうち、第2の温度閾値以上となる第2の温度変化量のデータ数の割合である第2の異常率を、算出された複数の前記第2の温度変化量から算出し、
    前記第1の異常率が第1の異常閾値以上、且つ前記第2の異常率が第2の異常閾値以上となった場合に、ブレークアウトの発生を予知することを特徴とするブレークアウト予知方法。
  2. 前記判断工程において前記第2の異常率を算出する際に、
    前記第2の異常率の算出に用いられる複数の前記第2の検出部として、1個の前記第2の検出部、および1個の前記第2の検出部から隣り合う少なくとも1個の他の前記第2の検出部が選択され、
    選択された少なくとも1個の他の前記第2の検出部の時系列的に連続した前記第2の温度変化量として、前記第2の検出部の時系列的に連続した前記第2の温度変化量よりも、より直近に検出されたものを用いることを特徴とする請求項1に記載のブレークアウト予知方法。
  3. 連続鋳造設備のモールドに、鋳造方向に垂直な鋳片幅方向に並んで設けられ、前記モールドの面内の温度を検出する複数の第1の検出部と、
    前記モールドの、複数の前記第1の検出部の鋳造方向下流側にそれぞれ設けられ、前記モールドの面内の温度を検出する複数の第2の検出部と、
    複数の前記第1の検出部および複数の前記第2の検出部の検出結果を時系列的に連続して取得し、取得された前記検出結果に基づいてブレークアウトの発生を予知する判断部とを備え、
    前記判断部は、
    取得された複数の前記第1の検出部の前記検出結果から時系列的に連続した複数の第1の温度変化量を算出し、複数の前記第1の検出部のうち前記鋳片幅方向に連続して並んで設けられた複数の第1の検出部について、時系列的に連続した複数の前記第1の温度変化量のうち、第1の温度閾値以下となる第1の温度変化量のデータ数の割合である第1の異常率を、算出された複数の前記第1の温度変化量から算出し、
    取得された複数の前記第2の検出部の前記検出結果から時系列的に連続した複数の第2の温度変化量を算出し、複数の前記第2の検出部のうち前記鋳片幅方向に連続して並んで設けられた複数の第2の検出部について、時系列的に連続した複数の前記第2の温度変化量のうち、第2の温度閾値以上となる第2の温度変化量のデータ数の割合である第2の異常率を、算出された複数の前記第2の温度変化量から算出し、
    前記第1の異常率が第1の異常閾値以上、且つ前記第2の異常率が第2の異常閾値以上となった場合に、ブレークアウトの発生を予知することを特徴とするブレークアウト予知装置。
  4. 連続鋳造設備にて連続鋳造をする際に、
    連続鋳造設備のモールドに、鋳造方向に垂直な鋳片幅方向に並んで設けられた複数の第1の検出部、および複数の前記第1の検出部の鋳造方向下流側にそれぞれ設けられた複数の第2の検出部を用いて前記モールドの面内の温度を検出する検出工程と、
    前記検出工程での検出結果を時系列的に連続して取得し、取得された前記検出結果に基づいてブレークアウトの発生を予知する判断工程と
    を備え、
    前記判断工程では、
    取得された複数の前記第1の検出部の前記検出結果から時系列的に連続した複数の第1の温度変化量を算出し、複数の前記第1の検出部のうち前記鋳片幅方向に連続して並んで設けられた複数の第1の検出部について、時系列的に連続した複数の前記第1の温度変化量のうち、第1の温度閾値以下となる第1の温度変化量のデータ数の割合である第1の異常率を、算出された複数の前記第1の温度変化量から算出し、
    取得された複数の前記第2の検出部の前記検出結果から時系列的に連続した複数の第2の温度変化量を算出し、複数の前記第2の検出部のうち前記鋳片幅方向に連続して並んで設けられた複数の第2の検出部について、時系列的に連続した複数の前記第2の温度変化量のうち、第2の温度閾値以上となる第2の温度変化量のデータ数の割合である第2の異常率を、算出された複数の前記第2の温度変化量から算出し、
    前記第1の異常率が第1の異常閾値以上、且つ前記第2の異常率が第2の異常閾値以上となった場合に、ブレークアウトの発生を予知することを特徴とする連続鋳造方法。
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