JP6345756B1 - 油圧回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】フェイル時に1程度の変速比を構成できながら、プライマリプーリに入力されるトルクに制限を設けずに推力不足によるベルトの滑りの発生を抑制できる、無段変速機の油圧回路を提供する。
【解決手段】フェイル時には、セカンダリ調圧バルブ105の第2出力ポート143から出力されるセカンダリシーブ圧Pdが、フェイルセーフバルブ106の第4入力ポート162に入力され、フェイルセーフバルブ106の第3出力ポート165から出力されて、プライマリ調圧バルブ103の第1信号ポート122に信号圧として入力される。したがって、プライマリ調圧バルブ103では、第1信号ポート122に入力されるセカンダリシーブ圧Pdによって、第1入力ポート121に入力されるライン圧PLがプライマリシーブ圧Pinに調圧されて、プライマリシーブ圧Pinが第1出力ポート123から出力される。
【選択図】図2

Description

本発明は、油圧回路に関する。
車両に搭載される変速機として、CVT(Continuously Variable Transmission:無段変速機)が広く知られている。
CVTは、入力側のプライマリプーリと出力側のセカンダリプーリとに無端状のベルトが巻き掛けられた構成を有している。エンジンなどの駆動源からのトルクがプライマリプーリに入力されると、プライマリプーリとベルトとの間の摩擦力により、プライマリプーリからベルトにトルクが伝達され、セカンダリプーリとベルトとの間の摩擦力により、ベルトからセカンダリプーリにトルクが伝達される。
プライマリプーリおよびセカンダリプーリは、いずれも、固定シーブと、固定シーブにベルトを挟んで対向配置され、その対向方向に移動可能に設けられた可動シーブと、可動シーブに対して固定シーブと反対側に設けられ、可動シーブとの間にピストン室(油室)を形成するピストンとを備えている。
CVTでは、プライマリプーリのピストン室に供給される油の出し入れにより、プライマリプーリの固定シーブと可動シーブとの間隔が変更される。これに伴い、プライマリプーリに対するベルトの巻きかけ径が変化するとともに、セカンダリプーリの固定シーブと可動シーブとの間隔が変化し、セカンダリプーリに対するベルトの巻きかけ径が変化する。これにより、変速比(プーリ比)が無段階で連続的に変化する。また、ベルトは、各プーリの固定シーブおよび可動シーブ間において、各プーリのピストン室に供給される油圧(可動シーブに作用する油圧)に応じた推力で挟圧される。各プーリの推力には、各プーリとベルトとの間で滑りが生じない大きさが必要とされ、その必要な推力が得られるよう、各プーリの可動シーブに作用する油圧が調整される。
特開2004−176890号公報
図3は、プライマリプーリ201およびセカンダリプーリ202に油を供給するための油圧回路203の構成を示す回路図である。
油圧回路203には、プライマリプーリ201の可動シーブに作用する油圧(プライマリシーブ圧)を制御するためのプライマリソレノイドバルブ204およびプライマリ調圧バルブ205と、セカンダリプーリ202の可動シーブに作用する油圧(セカンダリシーブ圧)を制御するためのセカンダリソレノイドバルブ206およびセカンダリ調圧バルブ207とが含まれる。
プライマリソレノイドバルブ204は、電気信号により出力油圧を制御可能なバルブである。プライマリソレノイドバルブ204には、所定のクラッチモジュレータ圧Pcが入力され、プライマリソレノイドバルブ204からは、電気信号に応じた油圧が出力される。
プライマリ調圧バルブ205の入力ポート211には、一定のライン圧が入力され、信号ポート212には、プライマリソレノイドバルブ204の出力油圧が入力される。プライマリ調圧バルブ205では、入力ポート211に入力されるライン圧が信号ポート212に入力される油圧に応じて調圧され、その調圧により生成されるプライマリシーブ圧Pinが出力ポート213から出力される。プライマリ調圧バルブ205の出力ポート213は、プライマリプーリ201のピストン室と連通しており、出力ポート213から出力されるプライマリシーブ圧Pinがピストン室に供給され、そのプライマリシーブ圧Pinがプライマリプーリ201の可動シーブに作用する。
セカンダリソレノイドバルブ206は、電気信号により出力油圧を制御可能なバルブである。セカンダリソレノイドバルブ206には、所定のクラッチモジュレータ圧Pcが入力され、セカンダリソレノイドバルブ206からは、電気信号に応じた油圧が出力される。
セカンダリ調圧バルブ207の入力ポート221には、一定のライン圧が入力され、信号ポート222には、セカンダリソレノイドバルブ206の出力油圧が入力される。セカンダリ調圧バルブ207では、入力ポート221に入力されるライン圧が信号ポート222に入力される油圧に応じて調圧され、その調圧により生成されるセカンダリシーブ圧Pdが出力ポート223から出力される。セカンダリ調圧バルブ207の出力ポート223は、セカンダリプーリ202のピストン室と連通しており、出力ポート223から出力されるセカンダリシーブ圧Pdがピストン室に供給され、そのセカンダリシーブ圧Pdがセカンダリプーリ202の可動シーブに作用する。
プライマリソレノイドバルブ204およびセカンダリソレノイドバルブ206は、いずれも、非通電時に全開となるノーマルオープンタイプ(常開式)のリニアソレノイドバルブからなる。そのため、ハーネス断線などにより、プライマリソレノイドバルブ204およびセカンダリソレノイドバルブ206が通電されないフェイル状態となった場合、プライマリシーブ圧Pinおよびセカンダリシーブ圧Pdが最大油圧、つまりライン圧に等しい出力油圧となる。一般的に、プライマリプーリ201の可動シーブの受圧面積(プライマリシーブ圧Pinを受ける面積)がセカンダリプーリ202の可動シーブの受圧面積(セカンダリシーブ圧Pdを受ける面積)よりも大きいので、フェイル時には、プライマリプーリ201の推力がセカンダリプーリ202の推力よりも大きくなり、CVTは、変速比が1よりも小さいハイレシオを構成する。
その結果、プライマリプーリ201におけるベルトの巻きかけ径が小さい状態でフェイルが発生すると、プライマリプーリ201からベルトに最大油圧による推力が加わるため、ベルトに作用する引張応力が過剰となり、ベルトの寿命が低下する。また、フェイル状態で停車すると、CVTがハイレシオを構成しているので、車両の再発進が困難になる。
この対策として、フェイル時には、CVTの変速比が1程度となるように、ライン圧を減圧することにより、プライマリシーブ圧Pinおよびセカンダリシーブ圧Pdを減圧することが考えられる。
しかしながら、プライマリシーブ圧Pinおよびセカンダリシーブ圧Pdの両方が減圧されると、エンジンの出力トルクが高いときに、ベルトが推力不足により滑るおそれがある。フェイル時にエンジンの出力トルクに制限を設けることにより、ベルトの滑りを抑制することができるが、エンジンの出力トルクに制限を設けると、登坂ができないなど、車両の走行条件に制約がかかり、フェイルセーフ走行の保障が困難になる。
本発明の目的は、フェイル時に1程度の変速比を構成できながら、プライマリプーリに入力されるトルクに制限を設けずに推力不足によるベルトの滑りの発生を抑制できる、無段変速機の油圧回路を提供することである。
前記の目的を達成するため、本発明に係る油圧回路は、プライマリプーリとセカンダリプーリとに無端状のベルトが巻き掛けられた構成の無段変速機に用いられ、プライマリプーリおよびセカンダリプーリにそれぞれプライマリシーブ圧およびセカンダリシーブ圧を供給するための油圧回路であって、プライマリソレノイド圧を出力するノーマルオープンタイプのプライマリソレノイドバルブと、セカンダリソレノイド圧を出力するノーマルオープンタイプのセカンダリソレノイドバルブと、第1入力ポート、第1信号ポートおよび第1出力ポートを有し、第1信号ポートに入力される信号圧によって、第1入力ポートに入力される油圧をプライマリシーブ圧に調圧し、そのプライマリシーブ圧を第1出力ポートから出力するプライマリ調圧バルブと、第2入力ポート、第2信号ポートおよび第2出力ポートを有し、第2信号ポートに信号圧として入力されるセカンダリソレノイド圧によって、第2入力ポートに入力される油圧をセカンダリシーブ圧に調圧し、そのセカンダリシーブ圧を第2出力ポートから出力するセカンダリ調圧バルブと、第3入力ポート、第4入力ポートおよび第3出力ポートを有し、プライマリソレノイドバルブおよびセカンダリソレノイドバルブに通電可能な正常時に、第3入力ポートにプライマリソレノイド圧が入力され、プライマリソレノイド圧を第3出力ポートから出力し、プライマリソレノイドバルブおよびセカンダリソレノイドバルブに通電不能なフェイル時に、第4入力ポートにセカンダリシーブ圧が入力されて、セカンダリシーブ圧を第3出力ポートから出力するフェイルセーフバルブとを含み、第3出力ポートが第1信号ポートと接続されて、第3出力ポートから選択的に出力されるプライマリソレノイド圧またはセカンダリシーブ圧が第1信号ポートに信号圧として入力される。
この構成によれば、プライマリソレノイドバルブおよびセカンダリソレノイドバルブに通電可能な通常時(正常時)には、プライマリソレノイドバルブから出力されるプライマリソレノイド圧がフェイルセーフバルブの第3入力ポートおよび第3出力ポートを経由してプライマリ調圧バルブの第1信号ポートに入力される。プライマリ調圧バルブでは、第1信号ポートに信号圧として入力されるプライマリソレノイド圧によって、第1入力ポートに入力される油圧がプライマリシーブ圧に調圧されて、プライマリシーブ圧が第1出力ポートから出力される。また、セカンダリソレノイドバルブから出力されるセカンダリソレノイド圧がセカンダリ調圧バルブの第2信号ポートに入力される。セカンダリ調圧バルブでは、第2信号ポートに信号圧として入力されるセカンダリソレノイド圧によって、第2入力ポートに入力される油圧がセカンダリシーブ圧に調圧されて、セカンダリシーブ圧が第2出力ポートから出力される。
一方、プライマリソレノイドバルブおよびセカンダリソレノイドバルブに通電不能なフェイル時には、プライマリソレノイドバルブおよびセカンダリソレノイドバルブの両方が全開状態になる。セカンダリソレノイドバルブが全開状態になると、セカンダリソレノイドバルブからセカンダリ調圧バルブの第2信号ポートに入力されるセカンダリソレノイド圧が最大となり、セカンダリ調圧バルブの第2出力ポートから出力されるセカンダリシーブ圧が最大油圧となる。そのセカンダリシーブ圧は、フェイルセーフバルブの第4入力ポートに入力され、フェイルセーフバルブの第3出力ポートから出力されて、プライマリ調圧バルブの第1信号ポートに信号圧として入力される。したがって、プライマリ調圧バルブでは、第1信号ポートに入力されるセカンダリシーブ圧によって、第1入力ポートに入力される油圧がプライマリシーブ圧に調圧されて、プライマリシーブ圧が第1出力ポートから出力される。
よって、セカンダリ調圧バルブの第2出力ポートから出力されるセカンダリシーブ圧の最小値から最大値までの間で、セカンダリシーブ圧がプライマリ調圧バルブの第1信号ポートに入力されるときに、プライマリプーリおよびセカンダリプーリにそれぞれ供給されるプライマリシーブ圧およびセカンダリシーブ圧により得られる変速比が1程度となるように、各部を設計することにより、セカンダリ調圧バルブの第2入力ポートに入力される油圧を抑制せずに、フェイル時に1程度の変速比を構成することができる。
その結果、フェイルの発生時に、ベルトに過大な引張応力が作用することを抑制でき、ベルトの寿命を延ばすことができる。また、無段変速機を搭載した車両がフェイル状態で停車しても、変速比が1程度であるので、車両を再発進させることができる。さらには、プライマリプーリおよびセカンダリプーリに十分な油圧を供給でき、プライマリプーリおよびセカンダリプーリの推力を通常時と同様に維持できるので、プライマリプーリに入力されるトルク、たとえば、エンジンの出力トルクに制限を設けなくても、推力不足によるベルトの滑りの発生を抑制することができる。
プライマリ調圧バルブの第1入力ポートおよびセカンダリ調圧バルブの第2入力ポートには、オイルポンプの発生油圧に応じたライン圧が入力されてもよい。
この場合、無段変速機が搭載される車両には、エンジンが動力源として搭載され、オイルポンプは、エンジンの動力により駆動される機械式オイルポンプであってもよい。
これにより、オイルポンプの発生油圧がエンジンの出力トルクに応じた油圧となり、プライマリ調圧バルブの第1入力ポートおよびセカンダリ調圧バルブの第2入力ポートに入力されるライン圧がエンジンの出力トルクに応じた油圧となるので、エンジンの出力トルクに応じた推力をプライマリプーリおよびセカンダリプーリからベルトに加えることができる。よって、エンジンの出力トルクの大きさにかかわらず、推力不足によるベルトの滑りの発生を抑制することができる。
本発明によれば、フェイル時に1程度の変速比を構成できながら、プライマリプーリに入力されるトルクに制限を設けずに推力不足によるベルトの滑りの発生を抑制することができる。
無段変速機が搭載された車両の駆動系統の構成を示すスケルトン図である。 本発明の一実施形態に係る油圧回路の構成を示す回路図である。 無段変速機の油圧回路の従来構成を示す回路図である。
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<駆動系統の構成>
図1は、無段変速機4が搭載された車両1の駆動系統の構成を示すスケルトン図である。
車両1は、エンジン(E/G)2を動力源とする自動車である。エンジン2の出力は、トルクコンバータ3および無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)4を介して、車両1の駆動輪(たとえば、左右の前輪)に伝達される。
エンジン2は、E/G出力軸21を備えている。E/G出力軸21は、エンジン2が発生する動力により回転される。
トルクコンバータ3は、ポンプインペラ31、タービンランナ32およびロックアップ機構(ロックアップクラッチ)33を備えている。ポンプインペラ31には、E/G出力軸21が連結されており、ポンプインペラ31は、E/G出力軸21と同一の回転軸線を中心に一体的に回転可能に設けられている。タービンランナ32は、ポンプインペラ31と同一の回転軸線を中心に回転可能に設けられている。ロックアップ機構33は、ポンプインペラ31とタービンランナ32とを直結/分離するために設けられている。ロックアップ機構33が係合(ロックアップオン)されると、ポンプインペラ31とタービンランナ32とが直結され、ロックアップ機構33が解放(ロックアップオフ)されると、ポンプインペラ31とタービンランナ32とが分離される。
ロックアップオフの状態において、E/G出力軸21が回転されると、ポンプインペラ31が回転する。ポンプインペラ31が回転すると、ポンプインペラ31からタービンランナ32に向かうオイルの流れが生じる。このオイルの流れがタービンランナ32で受けられて、タービンランナ32が回転する。このとき、トルクコンバータ3の増幅作用が生じ、タービンランナ32には、E/G出力軸21の動力(トルク)よりも大きな動力が発生する。
ロックアップオンの状態では、E/G出力軸21が回転されると、E/G出力軸21、ポンプインペラ31およびタービンランナ32が一体となって回転する。
トルクコンバータ3と無段変速機4との間には、オイルポンプ5が設けられている。オイルポンプ5は、機械式オイルポンプであり、ポンプ軸は、ポンプインペラ31と回転軸線が一致するように配置され、ポンプインペラ31に相対回転不能に連結されている。これにより、エンジン2の動力によりポンプインペラ31が回転されると、オイルポンプ5のポンプ軸が回転し、オイルポンプ5から油が吐出される。
無段変速機4は、ベルト式の無段変速機であり、トルクコンバータ3から入力される動力をデファレンシャルギヤ6に伝達する。無段変速機4は、入力軸(インプット軸)41、出力軸(アウトプット軸)42、ベルト伝達機構43および前後進切替機構44を備えている。
入力軸41は、トルクコンバータ3のタービンランナ32に連結され、タービンランナ32と同一の回転軸線を中心に一体的に回転可能に設けられている。
出力軸42は、入力軸41と平行に配置されている。出力軸42には、出力ギヤ45が相対回転不能に支持されている。
ベルト伝達機構43には、プライマリ軸51およびセカンダリ軸52が含まれる。プライマリ軸51およびセカンダリ軸52は、それぞれ入力軸41および出力軸42と同一軸線上に配置されている。
そして、ベルト伝達機構43は、プライマリ軸51に支持されたプライマリプーリ53とセカンダリ軸52に支持されたセカンダリプーリ54とに、無端状のベルト55が巻き掛けられた構成を有している。
プライマリプーリ53は、プライマリ軸51に固定された固定シーブ61と、固定シーブ61にベルト55を挟んで対向配置され、プライマリ軸51にその軸線方向に移動可能かつ相対回転不能に支持された可動シーブ62とを備えている。可動シーブ62に対して固定シーブ61と反対側には、プライマリ軸51に固定されたピストン63が設けられ、可動シーブ62とピストン63との間に、ピストン室(油室)64が形成されている。
セカンダリプーリ54は、セカンダリ軸52に対して固定された固定シーブ65と、固定シーブ65にベルト55を挟んで対向配置され、セカンダリ軸52にその軸線方向に移動可能かつ相対回転不能に支持された可動シーブ66とを備えている。可動シーブ66に対して固定シーブ65と反対側には、セカンダリ軸52に固定されたピストン67が設けられ、可動シーブ66とピストン67との間に、ピストン室68が形成されている。
なお、図示されていないが、可動シーブ66とピストン67との間には、ベルト55に初期挟圧(初期推力)を与えるためのバイアススプリングが介在されている。バイアススプリングの弾性力により、可動シーブ66およびピストン67は、互いに離間する方向に付勢されている。
無段変速機4では、プライマリプーリ53のピストン室64およびセカンダリプーリ54のピストン室68にそれぞれ供給される油圧が制御されて、プライマリプーリ53およびセカンダリプーリ54の各溝幅が変更されることにより、変速比が連続的に無段階で変更される。
具体的には、変速比が下げられるときには、プライマリプーリ53のピストン室64に供給される油圧(プライマリシーブ圧Pin)が上げられる。これにより、プライマリプーリ53の可動シーブ62が固定シーブ61側に移動し、固定シーブ61と可動シーブ62との間隔(溝幅)が小さくなる。これに伴い、プライマリプーリ53に対するベルト55の巻きかけ径が大きくなり、セカンダリプーリ54の固定シーブ65と可動シーブ66との間隔(溝幅)が大きくなる。その結果、プライマリプーリ53とセカンダリプーリ54とのプーリ比が小さくなり、変速比が下がる。
変速比が上げられるときには、プライマリプーリ53のピストン室64に供給されるプライマリシーブ圧Pinが下げられる。これにより、ベルト55に対するセカンダリプーリ54の推力がベルト55に対するプライマリプーリ53の推力よりも大きくなり、セカンダリプーリ54の固定シーブ65と可動シーブ66との間隔が小さくなるとともに、固定シーブ61と可動シーブ62との間隔が大きくなる。その結果、プライマリプーリ53とセカンダリプーリ54とのプーリ比が大きくなり、変速比が上がる。
一方、プライマリプーリ53およびセカンダリプーリ54の推力は、プライマリプーリ53およびセカンダリプーリ54とベルト55との間で滑りが生じない大きさを必要とする。そのため、入力軸41に入力されるトルクの大きさに応じた推力が得られるよう、プライマリプーリ53のピストン室64に供給されるプライマリシーブ圧Pinおよびセカンダリプーリ54のピストン室68に供給される油圧(セカンダリシーブ圧Pd)が制御される。
前後進切替機構44は、入力軸41とベルト伝達機構43のプライマリ軸51との間に介装されている。前後進切替機構44は、遊星歯車機構71、前進クラッチC1および後進ブレーキB1を備えている。
遊星歯車機構71には、キャリア72、サンギヤ73およびリングギヤ74が含まれる。
キャリア72は、入力軸41に相対回転可能に外嵌されている。キャリア72は、複数のピニオンギヤ75を回転可能に支持している。複数のピニオンギヤ75は、円周上に配置されている。
サンギヤ73は、入力軸41に相対回転不能に支持されて、複数のピニオンギヤ75により取り囲まれる空間に配置されている。サンギヤ73のギヤ歯は、各ピニオンギヤ75のギヤ歯と噛合している。
リングギヤ74は、その回転軸線がプライマリ軸51の軸心と一致するように設けられている。リングギヤ74には、ベルト伝達機構43のプライマリ軸51が連結されている。リングギヤ74のギヤ歯は、複数のピニオンギヤ75を一括して取り囲むように形成され、各ピニオンギヤ75のギヤ歯と噛合している。
前進クラッチC1は、油圧により、キャリア72とサンギヤ73とを直結(一体回転可能に結合)する係合状態(オン)と、その直結を解除する解放状態(オフ)とに切り替えられる。
後進ブレーキB1は、キャリア72とトルクコンバータ3および無段変速機4を収容するトランスミッションケースとの間に設けられ、油圧により、キャリア72を制動する係合状態(オン)と、キャリア72の回転を許容する解放状態(オフ)とに切り替えられる。
車室内に設けられたシフトレバーがPポジションに位置する状態では、前進クラッチC1および後進ブレーキB1の両方が解放され、パーキングロックギヤ(図示せず)が固定されることにより、無段変速機4のシフトレンジの1つであるPレンジが構成される。また、シフトレバーがNポジションに位置する状態では、前進クラッチC1および後進ブレーキB1の両方が解放されて、パーキングロックギヤが固定されないことにより、無段変速機4のシフトレンジの1つであるNレンジが構成される。前進クラッチC1および後進ブレーキB1の両方が解放された状態では、入力軸41およびサンギヤ73が空転し、エンジン2の動力は駆動輪(図示せず)に伝達されない。
シフトレバーがDポジションに位置する状態では、後進ブレーキB1が解放されて、前進クラッチC1が係合されることにより、無段変速機4のシフトレンジの1つであるDレンジが構成される。前進レンジでは、エンジン2の動力が入力軸41に入力されると、キャリア72およびサンギヤ73が入力軸41と一体に回転する。そのため、サンギヤ73の回転は、リングギヤ74に回転方向が逆転されずに伝達される。これにより、リングギヤ74が回転し、ベルト伝達機構43のプライマリ軸51およびプライマリプーリ53がリングギヤ74と一体に回転する。プライマリプーリ53の回転は、ベルト55を介して、セカンダリプーリ54に伝達され、セカンダリプーリ54およびセカンダリ軸52を回転させる。そして、セカンダリ軸52と一体に、出力軸42および出力ギヤ45が回転する。出力ギヤ45が回転すると、デファレンシャルギヤ6から左右に延びるドライブシャフト7,8が回転して、駆動輪が回転することにより、車両1が前進する。
シフトレバーがRポジションに位置する状態では、後進ブレーキB1が係合されて、前進クラッチC1が解放されることにより、無段変速機4のシフトレンジの1つであるRレンジが構成される。Rレンジでは、エンジン2の動力が入力軸41に入力されると、キャリア72が静止した状態で、サンギヤ73が入力軸41と一体に回転する。そのため、サンギヤ73の回転は、リングギヤ74に逆転かつ減速されて伝達される。これにより、リングギヤ74が回転し、ベルト伝達機構43のプライマリ軸51およびプライマリプーリ53がリングギヤ74と一体に回転する。プライマリプーリ53の回転は、ベルト55を介して、セカンダリプーリ54に伝達され、セカンダリプーリ54およびセカンダリ軸52を回転させる。そして、セカンダリ軸52と一体に、出力軸42および出力ギヤ45が回転する。出力ギヤ45は、デファレンシャルギヤ6(デファレンシャルギヤ6の入力ギヤ)と噛合している。出力ギヤ45が回転すると、デファレンシャルギヤ6から左右に延びるドライブシャフト7,8が回転して、駆動輪が回転することにより、車両1が後進する。
<油圧回路>
図2は、無段変速機4の油圧回路101の要部を示す回路図である。
無段変速機4の油圧回路101には、プライマリプーリ53およびセカンダリプーリ54にそれぞれプライマリシーブ圧Pinおよびセカンダリシーブ圧Pdを供給するための各種のバルブが含まれる。すなわち、油圧回路101には、プライマリソレノイドバルブ102(SLP)、プライマリ調圧バルブ103、セカンダリソレノイドバルブ104(SLS)、セカンダリ調圧バルブ105およびフェイルセーフバルブ106が含まれる。
プライマリソレノイドバルブ102は、非通電時に全開となるノーマルオープンタイプ(常開式)のリニアソレノイドバルブからなる。プライマリソレノイドバルブ102には、クラッチモジュレータ圧Pcが入力される。プライマリソレノイドバルブ102への通電が制御されることにより、プライマリソレノイドバルブ102は、クラッチモジュレータ圧Pcをプライマリソレノイド圧Pslpに調圧して出力する。
なお、クラッチモジュレータ圧Pcは、クラッチモジュレータバルブ(図示せず)から出力される油圧である。クラッチモジュレータバルブには、オイルポンプ5の発生油圧に応じたライン圧PLが入力され、クラッチモジュレータバルブは、ライン圧PLが一定圧未満であるときには、ライン圧PLと同圧のクラッチモジュレータ圧Pcを出力し、ライン圧PLが一定圧以上であるときには、ライン圧PLを調圧して、その一定圧のクラッチモジュレータ圧Pcを出力する。
プライマリ調圧バルブ103は、プライマリシーブ圧Pinを制御するための圧力制御弁である。プライマリ調圧バルブ103は、略円筒状の周壁を有するスリーブ111を備えている。スリーブ111内には、第1スプール112および第2スプール113が中心線方向に並べられて、それぞれ中心線方向に移動可能に設けられている。第1スプール112には、F/B(フィードバック)径部114および2個のランド部115,116が中心線方向に間隔を空けて形成されている。第2スプール113には、ランド部117が形成されている。ランド部115,116は、同じ直径を有している。F/B径部114およびランド部117の直径は、ランド部115,116の直径よりも小さい。また、スリーブ111内には、第2スプール113側の端部に、第1スプール112を第2スプール113から離間する側に付勢するスプリング118が設けられている。
スリーブ111の周壁には、第1入力ポート121、第1信号ポート122、第1出力ポート123、F/Bポート124、相殺用ポート125およびEXポート(ドレンポート)126,127が形成されている。
第1入力ポート121は、第1スプール112がスリーブ111の一端面に当接する状態(プライマリ調圧バルブ103の左半分で示される状態)で、ランド部115,116間と連通し、第1スプール112が第2スプール113に当接し、第2スプール113がスリーブ111の他端面に当接する状態(プライマリ調圧バルブ103の右半分で示される状態)で、ランド部115により閉鎖される。第1入力ポート121には、ライン圧PLが入力される。
第1信号ポート122は、第2スプール113の位置にかかわらず、第2スプール113のランド部117とスリーブ111の他端面(第2スプール113側の端面)との間と連通する。
第1出力ポート123は、プライマリシーブ圧Pinを出力するポートであり、第1スプール112の位置にかかわらず、ランド部115,116間と連通する。また、第1出力ポート123は、プライマリプーリ53のピストン室64(図1参照)と連通している。
F/Bポート124は、第1スプール112の位置にかかわらず、F/B径部114とランド部115との間と連通する。F/Bポート124には、第1出力ポート123から出力されるプライマリシーブ圧Pinがフィードバック入力されている。
相殺用ポート125は、第1スプール112の位置にかかわらず、F/B径部114とスリーブ111の一端面(第1スプール112側の端面)との間と連通する。
EXポート126は、第1スプール112がスリーブ111の一端面に当接する状態で、ランド部116により閉鎖され、第1スプール112が第2スプール113に当接し、第2スプール113がスリーブ111の他端面に当接する状態で、ランド部115,116間を介して第1出力ポート123と連通する。
EXポート127は、第1スプール112および第2スプール113の位置にかかわらず、第1スプール112と第2スプール113との間と連通している。
セカンダリソレノイドバルブ104は、非通電時に全開となるノーマルオープンタイプ(常開式)のリニアソレノイドバルブからなる。セカンダリソレノイドバルブ104には、クラッチモジュレータ圧Pcが入力される。セカンダリソレノイドバルブ104への通電が制御されることにより、セカンダリソレノイドバルブ104は、クラッチモジュレータ圧Pcをセカンダリソレノイド圧Pslsに調圧して出力する。
セカンダリ調圧バルブ105は、セカンダリシーブ圧Pdを制御するための圧力制御弁である。セカンダリ調圧バルブ105は、略円筒状の周壁を有するスリーブ131を備えている。スリーブ131内には、スプール132が中心線方向に移動可能に設けられている。スプール132には、F/B径部133およびランド部134,135が中心線方向に間隔を空けて形成されている。ランド部134,135は、同じ直径を有し、F/B径部133は、ランド部134,135よりも小さい直径を有している。また、スリーブ131内には、スプール132をスリーブ131の一端面側に付勢するスプリング136が設けられている。
スリーブ131の周壁には、第2入力ポート141、第2信号ポート142、第2出力ポート143、F/Bポート144およびEXポート145,146が形成されている。
第2入力ポート141は、スプール132がスリーブ131の一端面に当接する状態(セカンダリ調圧バルブ105の左半分で示される状態)で、ランド部134,135間と連通し、スプール132がスリーブ131の他端面に当接する状態(セカンダリ調圧バルブ105の右半分で示される状態)で、ランド部134により閉鎖される。第2入力ポート141には、ライン圧PLが入力される。
第2信号ポート142は、スプール132の位置にかかわらず、ランド部135とスリーブ131の他端面との間と連通する。第2信号ポート142には、セカンダリソレノイドバルブ104の出力油圧であるセカンダリソレノイド圧Pslsが入力される。
第2出力ポート143は、セカンダリシーブ圧Pdを出力するポートであり、スプール132の位置にかかわらず、ランド部134,135間と連通する。また、第2出力ポート143は、セカンダリプーリ54のピストン室68(図1参照)と連通している。
F/Bポート144は、スプール132の位置にかかわらず、F/B径部133とランド部134との間と連通する。F/Bポート144には、第2出力ポート143から出力されるセカンダリシーブ圧Pdがフィードバック入力されている。
EXポート145は、スプール132がスリーブ131の一端面に当接する状態で、ランド部135により閉鎖され、スプール132がスリーブ131の他端面に当接する状態で、ランド部134,135間と連通する。
EXポート146は、スプール132の位置にかかわらず、F/B径部133とスリーブ131の他端面との間と連通している。
フェイルセーフバルブ106は、プライマリ調圧バルブ103の第1信号ポート122に入力される信号圧をプライマリソレノイド圧Pslpとセカンダリシーブ圧Pdとに切り替える弁である。フェイルセーフバルブ106は、略円筒状の周壁を有するスリーブ151を備えている。スリーブ151内には、スプール152が中心線方向に移動可能に設けられている。スプール152には、ランド部153,154,155,156が中心線方向に間隔を空けて形成されている。ランド部154,155,156は、同じ直径を有し、ランド部153は、ランド部154,155,156よりも小さい直径を有している。また、スリーブ151内には、スプール152をスリーブ151の一端面側に付勢するスプリング157が設けられている。
スリーブ151の周壁には、第3入力ポート161、第4入力ポート162、第5入力ポート163、第3信号ポート164、第3出力ポート165、第4出力ポート166およびEXポート167,168が形成されている。
第3入力ポート161は、スプール152がスリーブ151の一端面に当接する状態(フェイルセーフバルブ106の左半分で示される状態)で、ランド部155,156間と連通し、スプール152がスリーブ151の他端面に当接する状態(フェイルセーフバルブ106の右半分で示される状態)で、ランド部155により閉鎖される。第3入力ポート161には、プライマリソレノイドバルブ102の出力油圧であるプライマリソレノイド圧Pslpが入力される。
第4入力ポート162は、スプール152がスリーブ151の一端面に当接する状態で、ランド部156により閉鎖され、スプール152がスリーブ151の他端面に当接する状態で、ランド部155,156間と連通する。第4入力ポート162は、セカンダリ調圧バルブ105の第2出力ポート143と連通しており、第4入力ポート162には、第2出力ポート143から出力されるセカンダリシーブ圧Pdが入力される。
第5入力ポート163は、スプール152がスリーブ151の一端面に当接する状態で、ランド部155により閉鎖され、スプール152がスリーブ151の他端面に当接する状態で、ランド部154,155間と連通する。第5入力ポート163は、プライマリ調圧バルブ103の第1出力ポート123と連通しており、第5入力ポート163には、第1出力ポート123から出力されるプライマリシーブ圧Pinが入力される。
第3信号ポート164は、スプール152の位置にかかわらず、ランド部153とスリーブ151の一端面との間と連通する。第3信号ポート164には、プライマリソレノイドバルブ102の出力油圧であるプライマリソレノイド圧Pslpが入力される。
第3出力ポート165は、スプール152の位置にかかわらず、ランド部155,156間と連通する。また、第3出力ポート165は、プライマリ調圧バルブ103の第1信号ポート122と連通している。
第4出力ポート166は、スプール152の位置にかかわらず、ランド部154,155間と連通する。また、第4出力ポート166は、プライマリ調圧バルブ103の相殺用ポート125と連通している。
EXポート167は、スプール152がスリーブ151の一端面に当接する状態で、ランド部154,155間と連通し、スプール152がスリーブ151の他端面に当接する状態で、ランド部153,154間と連通する。
EXポート168は、スプール152の位置にかかわらず、ランド部153,154間と連通する。
<通常時(正常時)>
プライマリソレノイドバルブ102およびセカンダリソレノイドバルブ104に通電可能な通常時には、プライマリシーブ圧Pinおよびセカンダリシーブ圧Pdの目標値に基づいて、プライマリソレノイドバルブ102およびセカンダリソレノイドバルブ104への通電が制御される。これにより、プライマリソレノイドバルブ102からプライマリシーブ圧Pinの目標値に応じたプライマリソレノイド圧Pslpが出力され、セカンダリソレノイドバルブ104からセカンダリシーブ圧Pdの目標値に応じたセカンダリソレノイド圧Pslsが出力される。
通常時にプライマリソレノイドバルブ102から出力されるプライマリソレノイド圧Pslpは、所定の常用最大圧以下であり、プライマリソレノイドバルブ102は、常用最大圧を超えるプライマリソレノイド圧Pslpを出力可能な余剰域を有している。プライマリソレノイド圧Pslpが常用最大圧以下であるとき、フェイルセーフバルブ106では、スプリング157の付勢力により、スプール152がスリーブ151の一端面に当接する位置にあり、第3入力ポート161がランド部155,156間を介して第3出力ポート165と連通している。そのため、プライマリソレノイドバルブ102から第3入力ポート161にプライマリソレノイド圧Pslpが入力され、そのプライマリソレノイド圧Pslpが第3出力ポート165から出力される。したがって、プライマリ調圧バルブ103の第1信号ポート122には、プライマリソレノイド圧Pslpが入力される。
また、プライマリソレノイド圧Pslpが常用最大圧以下で一定に保持されているとき、プライマリ調圧バルブ103では、ランド部115の第2スプール113側の端縁が第1入力ポート121の第2スプール113側の端縁と同じ位置に位置する状態で、第1スプール112および第2スプール113が静止している。
この状態からプライマリソレノイド圧Pslpが上げられて、第2スプール113に加わる油圧が上がると、第1スプール112および第2スプール113がスリーブ111の一端面側(第1スプール112側)に移動し、第1入力ポート121が開き、第1入力ポート121に入力されるライン圧PLが第1出力ポート123から出力される。これにより、プライマリプーリ53に供給されるプライマリシーブ圧Pinが上がる。そして、第1出力ポート123から出力されるプライマリシーブ圧PinがF/Bポート124にも入力されるので、第1スプール112および第2スプール113がF/Bポート124から入力されるプライマリシーブ圧Pinにより押し戻されて元の位置に戻る。
一方、プライマリソレノイド圧Pslpが下げられると、第2スプール113に加わる油圧が下がるので、第1スプール112および第2スプール113がスリーブ111の他端面側(第2スプール113側)に移動する。この移動により、ランド部116により閉鎖されていたEXポート126が開き、EXポート126がランド部115,116間を介して第1出力ポート123と連通し、プライマリシーブ圧PinがEXポート126から抜けて低下する。これに伴って、第1スプール112および第2スプール113が元の位置に戻る。
プライマリシーブ圧Pinは、第1信号ポート122に入力されるプライマリソレノイド圧Pslpの大きさにほぼ比例して変化する。
セカンダリソレノイド圧Pslsの増減によるセカンダリ調圧バルブ105の挙動は、プライマリソレノイド圧Pslpの増減によるプライマリ調圧バルブ103の挙動と同様であるので、その説明を省略する。セカンダリシーブ圧Pdは、プライマリ調圧バルブ103の第2信号ポート142に入力されるセカンダリソレノイド圧Pslsの大きさにほぼ比例して変化する。
<フェイルセーフ時>
プライマリソレノイドバルブ102およびセカンダリソレノイドバルブ104に通電不能なフェイルが発生すると、プライマリソレノイドバルブ102およびセカンダリソレノイドバルブ104がノーマルオープンタイプ(常開式)のリニアソレノイドバルブであるため、プライマリソレノイドバルブ102およびセカンダリソレノイドバルブ104からそれぞれ最大圧のプライマリソレノイド圧Pslpおよびセカンダリソレノイド圧Pslsが出力される。
最大圧のセカンダリソレノイド圧Pslsがセカンダリ調圧バルブ105の第2信号ポート142に入力されることにより、セカンダリ調圧バルブ105の第2出力ポート143からは、第2入力ポート141に入力されるライン圧PLに応じたセカンダリシーブ圧Pdが出力される。
また、プライマリソレノイドバルブ102から出力されるプライマリソレノイド圧Pslpは、常用最大圧を超える。常用最大圧を超える余剰域のプライマリソレノイド圧Pslpがフェイルセーフバルブ106の第3信号ポート164に入力されることにより、フェイルセーフバルブ106のスプール152がスリーブ151の他端面に当接する位置(フェイル位置)に移動する。これにより、フェイルセーフが開始される。スプール152がフェイル位置に位置する状態では、第3入力ポート161がランド部155により閉鎖され、第4入力ポート162がランド部155,156間を介して第3出力ポート165と連通する。これにより、セカンダリ調圧バルブ105の第2出力ポート143から第4入力ポート162に入力されるセカンダリシーブ圧Pd(ライン圧PL)が第3出力ポート165から出力される。また、第5入力ポート163と第4出力ポート166とがランド部154,155間を介して連通し、第5入力ポート163に入力されるプライマリシーブ圧Pinが第4出力ポート166から出力される。
フェイルセーフバルブ106の第3出力ポート165から出力されるセカンダリシーブ圧Pdは、プライマリ調圧バルブ103の第1信号ポート122に入力される。また、フェイルセーフバルブ106の第4出力ポート166から出力されるプライマリシーブ圧Pinは、プライマリ調圧バルブ103の相殺用ポート125に入力される。プライマリ調圧バルブ103のF/Bポート124には、プライマリシーブ圧Pinが入力されている。そのため、プライマリ調圧バルブ103では、相殺用ポート125に入力されるプライマリシーブ圧PinがF/B径部114に付与する荷重と、F/Bポート124に入力されるプライマリシーブ圧PinがF/B径部114に付与する荷重とが相殺される。これにより、第1スプール112および第2スプール113は、第1信号ポート122に入力されるセカンダリシーブ圧Pdに応じた位置に移動し、これに伴って第1出力ポート123から出力されるプライマリシーブ圧Pinが変化する。
すなわち、ランド部115,116の直径をφDとし、ランド部117(第2スプール113)の直径をφDpとし、スプリング118のばね力をFsとして、プライマリ調圧バルブ103の第1出力ポート123から出力されるプライマリシーブ圧Pinは、次式で表すことができる。
Pin=(Dp/D)*Pd+4Fs/πD ・・・(式)
<作用効果>
以上のように、プライマリソレノイドバルブ102およびセカンダリソレノイドバルブ104に通電可能な通常時(正常時)には、プライマリソレノイドバルブ102から出力されるプライマリソレノイド圧Pslpがフェイルセーフバルブ106の第3入力ポート161および第3出力ポート165を経由してプライマリ調圧バルブ103の第1信号ポート122に入力される。プライマリ調圧バルブ103では、第1信号ポート122に信号圧として入力されるプライマリソレノイド圧Pslpによって、第1入力ポート121に入力されるライン圧PLがプライマリシーブ圧Pinに調圧されて、プライマリシーブ圧Pinが第1出力ポート123から出力される。また、セカンダリソレノイドバルブ104から出力されるセカンダリソレノイド圧Pslsがセカンダリ調圧バルブ105の第2信号ポート142に入力される。セカンダリ調圧バルブ105では、第2信号ポート142に信号圧として入力されるセカンダリソレノイド圧Pslsによって、第2入力ポート141に入力されるライン圧PLがセカンダリシーブ圧Pdに調圧されて、セカンダリシーブ圧Pdが第2出力ポート143から出力される。
一方、プライマリソレノイドバルブ102およびセカンダリソレノイドバルブ104に通電不能なフェイル時には、プライマリソレノイドバルブ102およびセカンダリソレノイドバルブ104の両方が全開状態になる。セカンダリソレノイドバルブ104が全開状態になると、セカンダリソレノイドバルブ104からセカンダリ調圧バルブ105の第2信号ポート142に入力されるセカンダリソレノイド圧Pslsが最大となり、セカンダリ調圧バルブ105の第2出力ポート143から出力されるセカンダリシーブ圧Pdが最大油圧となる。そのセカンダリシーブ圧Pdは、フェイルセーフバルブ106の第4入力ポート162に入力され、フェイルセーフバルブ106の第3出力ポート165から出力されて、プライマリ調圧バルブ103の第1信号ポート122に信号圧として入力される。したがって、プライマリ調圧バルブ103では、第1信号ポート122に入力されるセカンダリシーブ圧Pdによって、第1入力ポート121に入力されるライン圧PLがプライマリシーブ圧Pinに調圧されて、プライマリシーブ圧Pinが第1出力ポート123から出力される。
よって、セカンダリ調圧バルブ105の第2出力ポート143から出力されるセカンダリシーブ圧Pdの最小値から最大値までの間で、セカンダリシーブ圧Pdがプライマリ調圧バルブ103の第1信号ポート122に入力されるときに、プライマリプーリ53およびセカンダリプーリ54にそれぞれ供給されるプライマリシーブ圧Pinおよびセカンダリシーブ圧Pdにより得られる変速比が1程度となるように、各部を設計することにより、セカンダリ調圧バルブ105の第2入力ポート141に入力される油圧を抑制せずに、フェイル時に1程度の変速比を構成することができる。
その結果、フェイルの発生時に、ベルト55に過大な引張応力が作用することを抑制でき、ベルト55の寿命を延ばすことができる。また、無段変速機4を搭載した車両1がフェイル状態で停車しても、変速比が1程度であるので、車両1を再発進させることができる。さらには、プライマリプーリ53およびセカンダリプーリ54に十分な油圧を供給でき、プライマリプーリ53およびセカンダリプーリ54の推力を通常時と同様に維持できるので、プライマリプーリ53に入力されるトルク、たとえば、エンジン2の出力トルクに制限を設けなくても、推力不足によるベルト55の滑りの発生を抑制することができる。
また、フェイル時に、フェイルセーフバルブ106の第4出力ポート166から出力されるプライマリシーブ圧Pinがプライマリ調圧バルブ103の相殺用ポート125に入力される。これにより、プライマリ調圧バルブ103では、相殺用ポート125に入力されるプライマリシーブ圧PinがF/B径部114に付与する荷重と、F/Bポート124に入力されるプライマリシーブ圧PinがF/B径部114に付与する荷重とが相殺される。そのため、フェイル時のプライマリシーブ圧Pinは、前記の式を見て理解されるように、F/B径部114の直径と無関係に定まる。よって、油圧回路101の構成によれば、フェイル時のプライマリシーブ圧Pinの調圧に必要な設計パラメータが少なくすむので、その設計パラメータのばらつきによるプライマリシーブ圧Pinのばらつきを小さくできる。その結果、フェイル時のプライマリシーブ圧Pinを精度よく調圧することができる。
無段変速機4に備えられているオイルポンプ5は、エンジン2の動力により駆動される機械式オイルポンプである。オイルポンプ5の発生油圧がエンジン2の出力トルクに応じた油圧となり、プライマリ調圧バルブ103の第1入力ポート121およびセカンダリ調圧バルブ105の第2入力ポート141に入力されるライン圧PLがエンジン2の出力トルクに応じた油圧となるので、エンジン2の出力トルクに応じた推力をプライマリプーリ53およびセカンダリプーリ54からベルト55に加えることができる。よって、エンジン2の出力トルクの大きさにかかわらず、推力不足によるベルト55の滑りの発生を抑制することができる。
<変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもでき、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
4:無段変速機
53:プライマリプーリ
54:セカンダリプーリ
55:ベルト
101:油圧回路
102:プライマリソレノイドバルブ
103:プライマリ調圧バルブ
104:セカンダリソレノイドバルブ
105:セカンダリ調圧バルブ
106:フェイルセーフバルブ
121:第1入力ポート
122:第1信号ポート
123:第1出力ポート
141:第2入力ポート
142:第2信号ポート
143:第2出力ポート
161:第3入力ポート
162:第4入力ポート
165:第3出力ポート
Pd:セカンダリシーブ圧
Pin:プライマリシーブ圧
Pslp:プライマリソレノイド圧
Psls:セカンダリソレノイド圧

Claims (1)

  1. プライマリプーリとセカンダリプーリとに無端状のベルトが巻き掛けられた構成の無段変速機に用いられ、前記プライマリプーリおよび前記セカンダリプーリにそれぞれプライマリシーブ圧およびセカンダリシーブ圧を供給するための油圧回路であって、
    プライマリソレノイド圧を出力するノーマルオープンタイプのプライマリソレノイドバルブと、
    セカンダリソレノイド圧を出力するノーマルオープンタイプのセカンダリソレノイドバルブと、
    第1入力ポート、第1信号ポートおよび第1出力ポートを有し、前記第1信号ポートに入力される信号圧によって、前記第1入力ポートに入力される油圧をプライマリシーブ圧に調圧し、そのプライマリシーブ圧を前記第1出力ポートから出力するプライマリ調圧バルブと、
    第2入力ポート、第2信号ポートおよび第2出力ポートを有し、前記第2信号ポートに信号圧として入力される前記セカンダリソレノイド圧によって、前記第2入力ポートに入力される油圧をセカンダリシーブ圧に調圧し、そのセカンダリシーブ圧を前記第2出力ポートから出力するセカンダリ調圧バルブと、
    第3入力ポート、第4入力ポートおよび第3出力ポートを有し、前記プライマリソレノイドバルブおよび前記セカンダリソレノイドバルブに通電可能な正常時に、前記第3入力ポートに前記プライマリソレノイド圧が入力され、前記プライマリソレノイド圧を前記第3出力ポートから出力し、前記プライマリソレノイドバルブおよび前記セカンダリソレノイドバルブに通電不能なフェイル時に、前記第4入力ポートに前記セカンダリシーブ圧が入力されて、前記セカンダリシーブ圧を前記第3出力ポートから出力するフェイルセーフバルブとを含み、
    前記第3出力ポートが前記第1信号ポートと接続されて、前記第3出力ポートから選択的に出力される前記プライマリソレノイド圧または前記セカンダリシーブ圧が前記第1信号ポートに信号圧として入力される、油圧回路。
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