JP6809968B2 - 変速機の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、インプット軸(入力軸)に入力される動力を2系統に分割してアウトプット軸(出力軸)に伝達可能な変速機とともに車両に搭載される変速機の制御装置に関する。
自動車などの車両に搭載される変速機として、エンジンの動力を無段階に変速する無段変速機構と、エンジンの動力を無段変速機構を経由せずに伝達する歯車機構と、無段変速機構からの動力と歯車機構からの動力とを合成するための遊星歯車機構とを備えたものが提案されている。この変速機では、エンジンからの動力を無段変速機構と歯車機構とに分割し、その分割された各動力を遊星歯車機構で合成して車輪に伝達することができる。
特開2004−176890号公報
駆動源の動力を2系統に分割して伝達可能な変速機は、動力分割式無段変速機として、出願人も提案している。
その提案に係る動力分割式無段変速機には、無段変速機構、スプリット変速機構(平行軸式歯車機構)および遊星歯車機構が含まれる。無段変速機構は、公知のベルト式の無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)と同様の構成を有している。無段変速機構のプライマリ軸には、インプット軸に入力されるエンジンの動力が伝達される。無段変速機構のセカンダリ軸は、遊星歯車機構のサンギヤに接続されている。スプリット変速機構は、インプット軸の動力が伝達/遮断されるスプリットドライブギヤと、スプリットドライブギヤとギヤ列を構成し、遊星歯車機構のキャリアと一体回転するスプリットドリブンギヤとを備えている。遊星歯車機構のリングギヤには、アウトプット軸が接続されている。アウトプット軸の回転は、デファレンシャルギヤに伝達され、デファレンシャルギヤから左右の駆動輪に伝達される。
この動力分割式無段変速機では、前進走行時における動力伝達モードとして、ベルトモードおよびスプリットモードが設けられている。
ベルトモードでは、遊星歯車機構のサンギヤとリングギヤとを結合/分離する第1クラッチが係合されて、サンギヤとリングギヤとが結合される。また、インプット軸とスプリットドライブギヤとの間での動力の伝達/遮断を切り替える第2クラッチが解放されて、スプリットドライブギヤが自由回転状態(フリー)にされ、遊星歯車機構のキャリアが自由回転状態にされる。そのため、無段変速機構から出力される動力により、サンギヤおよびリングギヤが一体的に回転し、アウトプット軸がリングギヤと一体的に回転する。したがって、ベルトモードでは、無段変速機構の変速比(ベルト変速比)が大きいほど、そのベルト変速比に比例して、動力分割式無段変速機の変速比(インプット軸の回転数/アウトプット軸の回転数)であるユニット変速比が大きくなる。
ベルト変速比の制御では、プライマリプーリの推力(プライマリ推力)およびセカンダリプーリの推力(セカンダリ推力)をそれぞれ制御することにより、ベルトの滑りが防止されつつ、実際のベルト変速比(実変速比)が目標変速比に収束される。具体的には、実変速比および無段変速機構に入力される入力トルクに基づいて、ベルトの滑りを防止するのに必要な各プーリの推力が設定される。また、目標変速比および入力トルクに応じた推力比(=プライマリ推力/セカンダリ推力)が求められ、推力比および必要な推力から実変速比の保持に必要なプライマリ推力とセカンダリ推力とが設定される。そして、プライマリプーリの可動シーブにプライマリ推力を与える油圧(プライマリ圧)およびセカンダリプーリの可動シーブにセカンダリ推力を与える油圧(セカンダリ圧)が設定され、そのプライマリ圧およびセカンダリ圧がベースの指令値とされて、目標変速比と実変速比との偏差に基づいて、プライマリプーリおよびセカンダリプーリにそれぞれ供給される油圧がフィードバック制御される。
スプリットモードでは、第1クラッチが解放されて、遊星歯車機構のサンギヤとリングギヤとの結合が解除される。そのため、無段変速機構から出力される動力により、サンギヤが回転する。一方、第2クラッチが係合されて、インプット軸からスプリットドライブギヤに動力が伝達され、その動力がスプリットドライブギヤからスプリットドリブンギヤを介することにより一定のスプリット変速比(スプリット点)で変速されて、遊星歯車機構のキャリアに入力される。そのため、スプリットモードでは、ベルト変速比が大きいほどユニット変速比が小さくなり、スプリット変速比以下の変速比を実現することができる。
ユニット変速比がスプリット変速比を跨いで変更される場合、そのユニット変速比の変更には、ベルトモードとスプリットモードとの切り替えが伴う。このモードの切り替えは、ベルト変速比がスプリット変速比とほぼ一致する状態での第1クラッチと第2クラッチとの係合の切り替え(第1クラッチと第2クラッチとの掛け替え)により達成される。その切り替えの際、解放側の第1クラッチまたは第2クラッチの油圧を保持したまま係合側の第2クラッチまたは第1クラッチの油圧を全開圧(最大圧)まで上昇させるタイアップ制御を実施することにより、変速ショックを生じずにモードを切り替えることができる。
しかしながら、タイアップ制御の実施中は、プライマリプーリの回転数とセカンダリプーリの回転数との比(=プライマリ回転数/セカンダリ回転数)がスプリット変速比に拘束されるため、プライマリプーリおよびセカンダリプーリの可動シーブが移動して、ベルトの巻きかけ径が変化しても、その変化後の実変速比を検出できない。そのため、プライマリプーリおよびセカンダリプーリにそれぞれ供給される油圧を良好にフィードバック制御できず、ベルト滑りを発生するおそれがある。
かかる課題は、出願人が提案している動力分割式無段変速機に限らず、インプット軸とアウトプット軸との間での動力伝達経路が互いに異なる第1モードと第2モードとの切り替えを第1モードでの変速比と第2モードでの変速比とが一致した状態で行うことができる変速機であって、第1モードまたは第2モードの少なくとも一方でベルト式の無段変速機構が動力伝達経路に含まれる構成の変速機に共通する課題である。
本発明の目的は、第1モードと第2モードとの切り替え時におけるベルト滑りの発生を抑制できる、変速機の制御装置を提供することである。
前記の目的を達成するため、本発明に係る変速機の制御装置は、インプット軸、アウトプット軸、インプット軸に入力される動力を無段階に変速するベルト式の無段変速機構、ならびに第1係合要素および第2係合要素を含み、インプット軸とアウトプット軸との間で動力を伝達するモードとして、第1係合要素の係合および第2係合要素の解放により、第1モードが構成され、第1係合要素の解放および第2係合要素の係合により、第1モードと動力伝達経路が異なる第2モードが構成され、第1モードおよび第2モードの少なくとも一方において、無段変速機構を介して動力が伝達され、無段変速機構の変速比が特定の値をとる場合に、第1モードでの変速比と第2モードでの変速比とが一致するように構成された変速機の制御装置であって、無段変速機構の目標変速比と実変速比との偏差に基づく無段変速機構におけるプライマリ圧およびセカンダリ圧のフィードバック制御を実施するフィードバック制御手段と、第1係合要素と第2係合要素との係合を切り替える際に、解放側の第1係合要素または第2係合要素の係合を保持したまま係合側の第2係合要素または第1係合要素を係合させるタイアップ制御を実施するタイアップ制御手段と、第1係合要素と第2係合要素との係合を切り替える際に、フィードバック制御手段によるフィードバック制御に代えて、無段変速機構がインプット軸側からアウトプット軸側に動力を伝達する駆動状態における無段変速機構の推力比の値と無段変速機構がアウトプット軸側からインプット軸側に動力を伝達する被駆動状態における無段変速機構の推力比の値の中間に推力比を設定し、この推力比に基づいて、プライマリ圧およびセカンダリ圧の各指令値を設定し、プライマリ圧およびセカンダリ圧のフィードフォワード制御を実施するフィードフォワード制御手段とを含む。
この構成によれば、第1係合要素が係合され、第2係合要素が解放された状態では、第1モードが構成される。一方、第1係合要素が解放され、第2係合要素が係合された状態では、第2モードが構成される。第1モードおよび第2モードの少なくとも一方では、インプット軸とアウトプット軸との間で無段変速機構を介して動力が伝達される。また、無段変速機構の変速比(ベルト変速比)が特定の値をとる場合に、第1モードでの変速比と第2モードでの変速比とが一致する。
ベルト変速比の制御では、たとえば、無段変速機構に入力されるトルクの値に応じた目標変速比が設定される。そして、目標変速比および無段変速機構における動力伝達状態に応じた推力比に基づいて、プライマリ圧およびセカンダリ圧の各指令値が設定され、目標変速比と実変速比との偏差に基づくプライマリ圧およびセカンダリ圧のフィードバック制御が実施される。これにより、ベルト滑りの発生を抑制しつつ、実変速比を目標変速比に収束させることができる。
第1係合要素と第2係合要素との係合の切り替えの際には、第1係合要素および第2係合要素の解放側の係合を保持したまま係合側を係合させるタイアップ制御が実施される。このタイアップ制御により、変速ショックを生じずに第1係合要素と第2係合要素との係合を切り替えることができる。
そして、第1係合要素と第2係合要素との係合の切り替えの際には、プライマリ圧およびセカンダリ圧のフィードバック制御が実施されず、無段変速機構の駆動状態および被駆動状態のいずれの状態でもない中間状態で所定変速比を保持する推力比に基づいて、プライマリ圧およびセカンダリ圧の各指令値が設定されて、プライマリ圧およびセカンダリ圧のフィードフォワード制御(開ループ制御)が実施される。
タイアップ制御の実施中に実ベルト変速比(ベルトの巻きかけ径)がハイ(Hi)側に変化した場合、プライマリプーリとセカンダリプーリの速度比はスプリット変速比に拘束されているため、無段変速機構が駆動状態となり、図7に示されるように、タイアップ制御開始時よりも実際の推力比(ベルトがプライマリプーリを押し戻す力とベルトがセカンダリプーリを押し戻す力の比)が大きくなる。逆に、タイアップ制御の実施中に実ベルト変速比がロー(Lo)側に変化した場合、無段変速機構が被駆動状態となり、図7に示されるように、タイアップ制御開始時よりも実際の推力比が小さくなる。タイアップ制御の実施中、無段変速機構の駆動状態における推力比と被駆動状態における推力比との中間に推力比が設定され、その推力比に基づいてプライマリ圧およびセカンダリ圧のフィードフォワード制御が実施されることにより、実ベルト変速比がハイ側に変化した場合(プライマリプーリの可動シーブが固定シーブ側に移動した場合)には、ベルトがプライマリプーリを押し戻す力がプライマリプーリに設定した推力を上回るため、プライマリプーリが押し戻され実ベルト変速比がスプリット変速比方向に変化する。逆に実ベルト変速比がロー側に変化した場合には、ベルトがセカンダリプーリを押し戻す力がセカンダリプーリに設定した推力を上回るため、セカンダリプーリが押し戻され実ベルト変速比がスプリット変速比方向に変化する。これにより、プライマリプーリおよびセカンダリプーリの各可動シーブの位置を一定位置に保持することができ、ベルト変速比を所定変速比に保持することができる。そのため、プライマリプーリおよびセカンダリプーリの各回転数とベルト変速比との不整合によるベルト滑りの発生を抑制できる。
変速機は、無段変速機構のセカンダリプーリと一体的に回転するサンギヤ、アウトプット軸と一体的に回転するリングギヤおよびスプリット変速機構から動力が伝達されるキャリアを含む遊星歯車機構を含む構成であり、第1係合要素は、サンギヤとリングギヤとを一体回転可能に結合/分離するために油圧により係合/解放され、第2係合要素は、スプリット変速機構によるキャリアへの動力の伝達/遮断を切り替えるために油圧により係合/解放されてもよい。
この構成により、第1係合要素が解放され、第2係合要素が係合された状態では、ベルト変速比が大きいほどユニット変速比が小さくなり、ユニット変速比がスプリット変速比(スプリット機構による一定の変速比)以下となる。よって、変速機では、第1/第2係合要素の係合状態を切り替えて(第1/第2係合要素を掛け替えて)使用することにより、変速機全体での変速比幅を無段変速機構単独での変速比幅よりも大きく確保することがきる。
本発明によれば、第1モードと第2モードとの切り替え時におけるベルト滑りの発生を抑制することができる。
動力分割式無段変速機を含む駆動系の構成を示すスケルトン図である。 動力分割式無段変速機に備えられる各係合要素の状態を示す図である。 動力分割式無段変速機に備えられる遊星歯車機構のサンギヤ、キャリアおよびリングギヤの回転数(回転速度)の関係を示す共線図である。 動力分割式無段変速機に備えられる無段変速機構の変速比(ベルト変速比)と動力分割式無段変速機全体の変速比(ユニット変速比)との関係を示す図である。 本発明の一実施形態に係る制御系の構成を示す図である。 動力分割式無段変速機の変速制御の制御態様を決定する処理のフローチャートである。 無段変速機構の動力伝達状態とベルト変速比と推力比との関係を示す図である。
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<車両の駆動系>
図1は、車両1の駆動系の構成を示すスケルトン図である。
車両1は、エンジン2を駆動源とする自動車である。
エンジン2には、エンジン2の燃焼室への吸気量を調整するための電子スロットルバルブ、燃料を吸入空気に噴射するインジェクタ(燃料噴射装置)および燃焼室内に電気放電を生じさせる点火プラグなどが設けられている。また、エンジン2には、その始動のためのスタータが付随して設けられている。エンジン2の動力は、トルクコンバータ3および動力分割式無段変速機4を介して、デファレンシャルギヤ5に伝達され、デファレンシャルギヤ5からドライブシャフト6L,6Rを介して駆動輪(たとえば、左右の前輪または後輪)に伝達される。
エンジン2は、E/G出力軸11を備えている。E/G出力軸11は、エンジン2が発生する動力により回転される。
トルクコンバータ3は、ポンプインペラ21、タービンランナ22およびロックアップクラッチ(ロックアップ機構)23を備えている。ポンプインペラ21には、E/G出力軸11が連結されており、ポンプインペラ21は、E/G出力軸11と同一の回転軸線を中心に一体的に回転可能に設けられている。タービンランナ22は、ポンプインペラ21と同一の回転軸線を中心に回転可能に設けられている。ロックアップクラッチ23は、ポンプインペラ21とタービンランナ22とを直結/分離するために設けられている。ロックアップクラッチ23が係合されると、ポンプインペラ21とタービンランナ22とが直結され、ロックアップクラッチ23が解放されると、ポンプインペラ21とタービンランナ22とが分離される。
ロックアップクラッチ23が解放された状態において、E/G出力軸11が回転されると、ポンプインペラ21が回転する。ポンプインペラ21が回転すると、ポンプインペラ21からタービンランナ22に向かうオイルの流れが生じる。このオイルの流れがタービンランナ22で受けられて、タービンランナ22が回転する。このとき、トルクコンバータ3の増幅作用が生じ、タービンランナ22には、E/G出力軸11の動力(トルク)よりも大きな動力が発生する。
ロックアップクラッチ23が係合された状態では、E/G出力軸11が回転されると、E/G出力軸11、ポンプインペラ21およびタービンランナ22が一体となって回転する。
動力分割式無段変速機4は、インプット軸31、アウトプット軸32、無段変速機構33、逆転ギヤ機構34、遊星歯車機構35およびスプリット変速機構36を備えている。
インプット軸31は、トルクコンバータ3のタービンランナ22に連結され、タービンランナ22と同一の回転軸線を中心に一体的に回転可能に設けられている。
アウトプット軸32は、インプット軸31と平行に設けられている。アウトプット軸32には、出力ギヤ37が相対回転不能に支持されている。出力ギヤ37は、デファレンシャルギヤ5(デファレンシャルギヤ5のリングギヤ)と噛合している。
無段変速機構33は、公知のベルト式の無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)と同様の構成を有している。具体的には、無段変速機構33は、プライマリ軸41と、プライマリ軸41と平行に設けられたセカンダリ軸42と、プライマリ軸41に相対回転不能に支持されたプライマリプーリ43と、セカンダリ軸42に相対回転不能に支持されたセカンダリプーリ44と、プライマリプーリ43とセカンダリプーリ44とに巻き掛けられたベルト45とを備えている。
プライマリプーリ43は、プライマリ軸41に固定された固定シーブ51と、固定シーブ51にベルト45を挟んで対向配置され、プライマリ軸41にその軸線方向に移動可能かつ相対回転不能に支持された可動シーブ(プライマリシーブ)52とを備えている。可動シーブ52に対して固定シーブ51と反対側には、プライマリ軸41に固定されたシリンダ53が設けられ、可動シーブ52とシリンダ53との間に、油圧室54が形成されている。
セカンダリプーリ44は、セカンダリ軸42に固定された固定シーブ55と、固定シーブ55にベルト45を挟んで対向配置され、セカンダリ軸42にその軸線方向に移動可能かつ相対回転不能に支持された可動シーブ(セカンダリシーブ)56とを備えている。可動シーブ56に対して固定シーブ55と反対側には、セカンダリ軸42に固定されたシリンダ57が設けられ、可動シーブ56とシリンダ57との間に、油圧室58が形成されている。回転軸線方向において、固定シーブ55と可動シーブ56との位置関係は、プライマリプーリ43の固定シーブ51と可動シーブ52との位置関係と逆転している。
無段変速機構33では、プライマリプーリ43およびセカンダリプーリ44の各油圧室54,58に供給される油圧が制御されて、プライマリプーリ43およびセカンダリプーリ44の各溝幅が変更されることにより、プライマリプーリ43とセカンダリプーリ44とのプーリ比が連続的に無段階で変更される。
具体的には、プーリ比が小さくされるときには、プライマリプーリ43の油圧室54に供給される油圧が上げられる。これにより、プライマリプーリ43の可動シーブ52が固定シーブ51側に移動し、固定シーブ51と可動シーブ52との間隔(溝幅)が小さくなる。これに伴い、プライマリプーリ43に対するベルト45の巻きかけ径が大きくなり、セカンダリプーリ44の固定シーブ55と可動シーブ56との間隔(溝幅)が大きくなる。その結果、プライマリプーリ43とセカンダリプーリ44とのプーリ比が小さくなる。
プーリ比が大きくされるときには、プライマリプーリ43の油圧室54に供給される油圧が下げられる。これにより、セカンダリプーリ44の推力(セカンダリ推力)に対するプライマリプーリ43の推力(プライマリ推力)の比である推力比が小さくなり、セカンダリプーリ44の固定シーブ55と可動シーブ56との間隔が小さくなるとともに、固定シーブ51と可動シーブ52との間隔が大きくなる。その結果、プライマリプーリ43とセカンダリプーリ44とのプーリ比が大きくなる。
一方、プライマリプーリ43およびセカンダリプーリ44の推力は、プライマリプーリ43およびセカンダリプーリ44とベルト45との間で滑りが生じない大きさを必要とする。そのため、インプット軸31に入力されるトルクの大きさに応じた推力が得られるよう、セカンダリプーリ44の油圧室58に供給される油圧が制御される。
逆転ギヤ機構34は、インプット軸31に入力される動力を逆転かつ減速させてプライマリ軸41に伝達する構成である。具体的には、逆転ギヤ機構34は、インプット軸31に相対回転不能に支持されるインプット軸ギヤ61と、インプット軸ギヤ61よりも大径で歯数が多く、プライマリ軸41にスプライン嵌合により相対回転不能に支持されて、インプット軸ギヤ61と噛合するプライマリ軸ギヤ62とを含む。
遊星歯車機構35は、サンギヤ71、キャリア72およびリングギヤ73を備えている。サンギヤ71は、セカンダリ軸42にスプライン嵌合により相対回転不能に支持されている。キャリア72は、アウトプット軸32に相対回転可能に外嵌されている。キャリア72は、複数個のピニオンギヤ74を回転可能に支持している。複数個のピニオンギヤ74は、円周上に配置され、サンギヤ71と噛合している。リングギヤ73は、複数個のピニオンギヤ74を一括して取り囲む円環状を有し、各ピニオンギヤ74にセカンダリ軸42の回転径方向の外側から噛合している。また、リングギヤ73には、アウトプット軸32が接続され、リングギヤ73は、アウトプット軸32と同一の回転軸線を中心に一体的に回転可能に設けられている。
スプリット変速機構36は、スプリットドライブギヤ81と、スプリットドライブギヤ81と噛合するスプリットドリブンギヤ82とを含む。
スプリットドライブギヤ81は、インプット軸31に相対回転可能に外嵌されている。
スプリットドリブンギヤ82は、遊星歯車機構35のキャリア72と同一の回転軸線を中心に一体的に回転可能に設けられている。スプリットドリブンギヤ82は、スプリットドライブギヤ81よりも小径に形成され、スプリットドライブギヤ81よりも少ない歯数を有している。
また、動力分割式無段変速機4は、クラッチC1,C2およびブレーキB1を備えている。
クラッチC1は、インプット軸31とスプリットドライブギヤ81とを直結(一体回転可能に結合)する係合状態と、その直結を解除する解放状態とに切り替えられる。
クラッチC2は、遊星歯車機構35のサンギヤ71とリングギヤ73とを直結(一体回転可能に結合)する係合状態と、その直結を解除する解放状態とに切り替えられる。
ブレーキB1は、遊星歯車機構35のキャリア72を制動する係合状態と、キャリア72の回転を許容する解放状態とに切り替えられる。
<変速モード>
図2は、車両1の前進時および後進時におけるクラッチC1,C2およびブレーキB1の状態を示す図である。図3は、遊星歯車機構35のサンギヤ71、キャリア72およびリングギヤ73の回転数(回転速度)の関係を示す共線図である。図4は、無段変速機構33による変速比であるベルト変速比と動力分割式無段変速機4の全体での変速比であるユニット変速比、つまりインプット軸31とアウトプット軸32との回転数比であるユニット変速比との関係を示す図である。
図2において、「○」は、クラッチC1,C2およびブレーキB1が係合状態であることを示している。「×」は、クラッチC1,C2およびブレーキB1が解放状態であることを示している。
動力分割式無段変速機4は、車両1の前進時の変速モードとして、ベルトモードおよびスプリットモードを有している。ベルトモードとスプリットモードとは、クラッチC1が係合している状態とクラッチC2が係合している状態との切り替え(クラッチC1,C2の掛け替え)により切り替えられる。
ベルトモードでは、図2に示されるように、クラッチC1およびブレーキB1が解放され、クラッチC2が係合される。これにより、スプリットドライブギヤ81がインプット軸31から切り離され、遊星歯車機構35のキャリア72がフリー(自由回転状態)になり、遊星歯車機構35のサンギヤ71とリングギヤ73とが直結される。
インプット軸31に入力される動力は、逆転ギヤ機構34により逆転かつ減速されて、無段変速機構33のプライマリ軸41に伝達され、プライマリ軸41およびプライマリプーリ43を回転させる。プライマリプーリ43の回転は、ベルト45を介して、セカンダリプーリ44に伝達され、セカンダリプーリ44およびセカンダリ軸42を回転させる。遊星歯車機構35のサンギヤ71とリングギヤ73とが直結されているので、セカンダリ軸42と一体となって、サンギヤ71、リングギヤ73およびアウトプット軸32が回転する。したがって、ベルトモードでは、図3および図4に示されるように、ユニット変速比がベルト変速比(無段変速機構33のプライマリプーリ43とセカンダリプーリ44とのプーリ比)に前減速比(インプット軸31の回転数/プライマリ軸41の回転数)を乗じた値と一致する。
スプリットモードでは、図2に示されるように、クラッチC1が係合され、クラッチC2およびブレーキB1が解放される。これにより、インプット軸31とスプリットドライブギヤ81とが直結されて、インプット軸31の回転がスプリットドライブギヤ81およびスプリットドリブンギヤ82を介して遊星歯車機構35のキャリア72に伝達可能になり、遊星歯車機構35のサンギヤ71とリングギヤ73とが切り離される。
インプット軸31に入力される動力は、逆転ギヤ機構34により逆転かつ減速されて、無段変速機構33のプライマリ軸41に伝達され、プライマリ軸41からプライマリプーリ43、ベルト45およびセカンダリプーリ44を介してセカンダリ軸42に伝達され、遊星歯車機構35のサンギヤ71に伝達される。一方、インプット軸31に入力される動力は、スプリットドライブギヤ81からスプリットドリブンギヤ82を介して遊星歯車機構35のキャリア72に増速されて伝達される。
スプリットドライブギヤ81とスプリットドリブンギヤ82とのギヤ比(スプリット変速比)は一定で不変(固定)であるので、スプリットモードでは、インプット軸31に入力される動力が一定であれば、遊星歯車機構35のキャリア72の回転が一定速度に保持される。そのため、ベルト変速比が上げられると、遊星歯車機構35のサンギヤ71の回転数が下がるので、図3に破線で示されるように、遊星歯車機構35のリングギヤ73(アウトプット軸32)の回転数が上がる。その結果、スプリットモードでは、図4に示されるように、無段変速機構33のベルト変速比が大きいほど、動力分割式無段変速機4のユニット変速比が小さくなる。
ベルトモードおよびスプリットモードにおけるアウトプット軸32の回転は、出力ギヤ37を介して、デファレンシャルギヤ5に伝達される。これにより、車両1のドライブシャフト6L,6Rが前進方向に回転する。
車両1の後進時のリバースモードでは、図2に示されるように、クラッチC1,C2が解放され、ブレーキB1が係合される。これにより、スプリットドライブギヤ81がインプット軸31から切り離され、遊星歯車機構35のサンギヤ71とリングギヤ73とが切り離され、遊星歯車機構35のキャリア72が制動される。
インプット軸31に入力される動力は、逆転ギヤ機構34により逆転かつ減速されて、無段変速機構33のプライマリ軸41に伝達され、プライマリ軸41からプライマリプーリ43、ベルト45およびセカンダリプーリ44を介してセカンダリ軸42に伝達され、セカンダリ軸42と一体に、遊星歯車機構35のサンギヤ71を回転させる。遊星歯車機構35のキャリア72が制動されているので、サンギヤ71が回転すると、遊星歯車機構35のリングギヤ73がサンギヤ71と逆方向に回転する。このリングギヤ73の回転方向は、前進時(ベルトモードおよびスプリットモード)におけるリングギヤ73の回転方向と逆方向となる。そして、リングギヤ73と一体に、アウトプット軸32が回転する。アウトプット軸32の回転は、出力ギヤ37を介して、デファレンシャルギヤ5に伝達される。これにより、車両1のドライブシャフト6L,6Rが後進方向に回転する。
<車両の制御系>
図5は、本発明の一実施形態に係る制御系の構成を示す図である。
車両1には、マイコンを含む構成のECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)が備えられている。マイコンには、たとえば、CPU、ROMおよびRAM、データフラッシュ(フラッシュメモリ)などが内蔵されている。車両1の各部を制御するため、車両1には、複数のECUが搭載されており、各ECUは、CAN(Controller Area Network)通信プロトコルによる双方向通信が可能に接続されている。複数のECUには、エンジンECU101および変速機ECU102が含まれる。
エンジンECU101には、アクセルセンサ111およびエンジン回転数センサ112などが接続されている。
アクセルセンサ111は、運転者により操作されるアクセルペダルの操作量に応じた検出信号を出力する。エンジンECU101は、アクセルセンサ111から入力される検出信号に基づいて、アクセルペダルの最大操作量に対する操作量の割合、つまりアクセルペダルが踏み込まれていないときを0%とし、アクセルペダルが最大に踏み込まれたときを100%とする百分率であるアクセル開度を演算する。
エンジン回転数センサ112は、エンジン2の回転(クランクシャフトの回転)に同期したパルス信号を検出信号として出力する。エンジンECU101は、エンジン回転数センサ112から入力されるパルス信号の周波数をエンジン2の回転数(エンジン回転数)に換算する。
エンジンECU101は、各種センサの検出信号から取得した情報および/または他のECUから入力される種々の情報などに基づいて、エンジン2の始動、停止および出力調整などのため、エンジン2に設けられた電子スロットルバルブ、インジェクタおよび点火プラグなどを制御する。
変速機ECU102には、プライマリ回転数センサ113およびセカンダリ回転数センサ114などが接続されている。
プライマリ回転数センサ113は、たとえば、動力分割式無段変速機4のプライマリ軸41またはプライマリプーリ43の回転に同期したパルス信号を検出信号として出力する。変速機ECU102は、プライマリ回転数センサ113から入力されるパルス信号の周波数をプライマリ回転数に換算する。
セカンダリ回転数センサ114は、たとえば、動力分割式無段変速機4のセカンダリ軸42またはセカンダリプーリ44の回転に同期したパルス信号を検出信号として出力する。変速機ECU102は、セカンダリ回転数センサ114から入力されるパルス信号の周波数をセカンダリ回転数に換算する。
変速機ECU102は、各種センサの検出信号から取得した情報および/または他のECUから入力される種々の情報などに基づいて、動力分割式無段変速機4の変速制御などのため、動力分割式無段変速機4の各部に供給される油圧を調節するための各種のバルブなどを制御する。
<変速制御>
図6は、動力分割式無段変速機4の変速制御の制御態様を決定する処理のフローチャートである。図7は、無段変速機構33の動力伝達状態とベルト変速比と推力比(バランス推力比)との関係を示す図である。
動力分割式無段変速機4のユニット変速比がスプリット変速比を跨いで変更される場合、そのユニット変速比の変更には、ベルトモードとスプリットモードとの切り替え(以下、単に「モード切替」という。)が伴う。このモード切替の際には、タイアップ制御が実施される。
ベルトモードからスプリットモードへの切り替え時のタイアップ制御では、クラッチC2の油圧が保持されて、クラッチC2が係合した状態のまま、クラッチC1の油圧が全開圧まで上げられる。そして、クラッチC1が係合した後、クラッチC2が解放される。
スプリットモードからベルトモードへの切り替え時のタイアップ制御では、クラッチC1の油圧が保持されて、クラッチC1が係合した状態のまま、クラッチC2の油圧が全開圧まで上げられる。そして、クラッチC2が係合した後、クラッチC1が解放される。
タイアップ制御が実施されていないときには(ステップS1のNO)、変速機ECU102により、プライマリ圧およびセカンダリ圧のフィードバック制御が実施される(ステップS2)。
このフィードバック制御では、まず、変速線図に基づいて、アクセル開度および車速に応じた目標回転数が設定される。変速線図は、アクセル開度および車速と目標回転数との関係を定めたマップであり、変速機ECU102のROMに格納されている。アクセル開度および車速の情報は、たとえば、エンジンECU101から変速機ECU102に入力される。目標回転数が設定されると、プライマリ軸41に入力される回転数を目標回転数に一致させる目標変速比が求められる。
次に、目標変速比および無段変速機構33に入力される入力トルクに基づいて、無段変速機構33におけるベルト滑りを防止するのに必要なセカンダリ推力が設定される。入力トルクは、エンジントルクにトルクコンバータ3のトルク比を乗じることにより算出される。エンジントルクは、たとえば、エンジンECU101によりアクセル開度およびエンジン回転数から推定され、エンジンECU101から変速機ECU102に送信される。トルク比は、トルクコンバータ3の速度比に応じたトルク増幅率であり、その速度比は、タービン回転数をエンジン回転数で除した除算値である。
また、図7に示される関係(マップ)に基づいて、実変速比および入力トルクに応じた推力比(=プライマリ推力/セカンダリ推力)が設定される。そして、推力比からプライマリ推力とセカンダリ推力とが設定される。
その後、その設定されたプライマリ推力およびセカンダリ推力から、プライマリプーリ43の可動シーブ52にプライマリ推力を与える油圧であるプライマリ圧およびセカンダリプーリ44の可動シーブ56にセカンダリ推力を与える油圧であるセカンダリ圧の指令値が設定され、各指令値に基づいて、目標変速比と実変速比との偏差が零に近づくように、プライマリプーリ43の油圧室54およびセカンダリプーリ44の油圧室58にそれぞれ供給される油圧が制御される。実変速比は、プライマリ回転数をセカンダリ回転数で除することにより求められる。
タイアップ制御が実施されている間は(ステップS1のYES)、変速機ECU102により、プライマリ圧およびセカンダリ圧のフィードフォワード制御が実施される(ステップS3)。
このフィードフォワード制御では、図7に示される関係に基づいて、スプリット変速比および無段変速機構33に入力されるトルクが零である状態に応じた推力比Qf1が設定される。無段変速機構33に入力されるトルクが零である状態は、言い換えれば、プライマリプーリ43側からセカンダリプーリ44側に動力が伝達される駆動状態およびセカンダリプーリ44側からプライマリプーリ43側に動力が伝達される被駆動状態のいずれの状態でもない中間の状態である。
そして、スプリット変速比および無段変速機構33に入力される入力トルクに基づいて、セカンダリ推力が設定され、セカンダリ推力および推力比Qf1からプライマリ推力が設定される。その後、その設定されたプライマリ推力およびセカンダリ推力にそれぞれ応じたプライマリ圧およびセカンダリ圧の各指令値が設定され、各指令値に基づいて、プライマリプーリ43の油圧室54およびセカンダリプーリ44の油圧室58にそれぞれ供給される油圧が制御される。
<作用効果>
以上のように、ベルトモードおよびスプリットモードの各モードにおける変速制御では、無段変速機構33に入力される入力トルクの値に応じた目標変速比が設定される。そして、目標変速比および無段変速機構33における動力伝達状態に応じた推力比に基づいて、プライマリ圧およびセカンダリ圧の各指令値が設定され、目標変速比と実変速比との偏差に基づくプライマリ圧およびセカンダリ圧のフィードバック制御が実施される。これにより、ベルト滑りの発生を抑制しつつ、実変速比を目標変速比に収束させることができる。
モード切替の際には、クラッチC1,C2の解放側の油圧を保持したまま係合側の油圧を上昇させるタイアップ制御が実施される。このタイアップ制御により、変速ショックを生じずにクラッチC1が係合している状態とクラッチC2が係合している状態との切り替えによるモード切替を達成することができる。
そして、モード切替の際には、プライマリ圧およびセカンダリ圧のフィードバック制御が実施されず、スプリット変速比および無段変速機構33に入力されるトルクが零である状態に応じた推力比Qf1に基づいて、プライマリ圧およびセカンダリ圧の各指令値が設定されて、プライマリ圧およびセカンダリ圧のフィードフォワード制御(開ループ制御)が実施される。これにより、プライマリプーリ43の可動シーブ52およびセカンダリプーリ44の可動シーブ56の位置をそれぞれ一定位置に保持することができ、ベルト変速比をスプリット変速比に保持することができる。そのため、プライマリ回転数およびセカンダリ回転数とベルト変速比との不整合によるベルト滑りの発生を抑制できる。
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の実施形態のフィードフォワード制御では、無段変速機構33に入力されるトルクが零である状態でスプリット変速比を保持する推力比Qf1が設定されるとしたが、これに限らず、推力比Qf1は、無段変速機構33の駆動状態における推力比Qfdrv(図7に示される保持推力比線の右端の値)と被駆動状態における推力比Qfdvn(図7に示される保持推力比線の左端の値)との間の値に設定されるとよい。ただし、実際の推力比Qfdrv,Qfdvnがばらつき、設定した推力比Qf1が実際の推力比Qfdrv,Qfdvnの間に入らなかった場合にベルト滑りが生じるリスクを考慮すると、たとえば、推力比Qfdrv,Qf1,Qfdvnが等差で配置される値に設定されるか、推力比Qfdrv,Qf1,Qfdvnが等比で配置される値に設定されることが好ましい。
たとえば、前述の各センサは、本発明に関連するセンサの主要なものの例示に過ぎず、エンジンECU101および変速機ECU102には、その他のセンサが接続されていてもよい。
エンジンECU101および変速機ECU102の機能の一部または全部は、1つのECUに集約されていてもよい。
また、前述の実施形態では、本発明に係る変速機の一例として、インプット軸31とアウトプット軸32との間での動力伝達経路が互いに異なるベルトモードとスプリットモードとのいずれのモードにおいても、動力が無段変速機構33を経由する構成のものを取り上げた。しかしながら、本発明は、かかる構成の変速機に限らず、ベルト式の無段変速機構を経由する動力伝達経路が構成されるモードと無段変速機構を経由せずにギヤ機構を経由する動力伝達経路が構成されるモードとを有する構成の変速機に適用することも可能である。
また、ギヤ機構を経由する動力伝達経路も必須ではなく、たとえば、ベルト式の無段変速機構を経由する動力伝達経路が構成されるモードと無段変速機構を経由せずにベルト機構などのギヤ機構以外の機構を経由する動力伝達経路が構成されるモードとを有する構成の変速機に本発明を適用することもできる。この場合のベルト機構は、変速比が固定のものであってもよいし、変速比が可変のものであってもよい。
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
4:動力分割式無段変速機
31:インプット軸
32:アウトプット軸
33:無段変速機構
36:スプリット変速機構
43:プライマリプーリ
44:セカンダリプーリ
45:ベルト
102:変速機ECU(制御装置、フィードバック制御手段、タイアップ制御手段、フィードフォワード制御手段)
C1,C2:クラッチ(第1係合要素、第2係合要素)

Claims (1)

  1. インプット軸、アウトプット軸、前記インプット軸に入力される動力を無段階に変速するベルト式の無段変速機構、ならびに第1係合要素および第2係合要素を含み、
    前記インプット軸と前記アウトプット軸との間で動力を伝達するモードとして、前記第1係合要素の係合および前記第2係合要素の解放により、第1モードが構成され、前記第1係合要素の解放および前記第2係合要素の係合により、前記第1モードと動力伝達経路が異なる第2モードが構成され、
    前記第1モードおよび前記第2モードの少なくとも一方において、前記無段変速機構を介して動力が伝達され、前記無段変速機構の変速比が特定の値をとる場合に、前記第1モードでの変速比と前記第2モードでの変速比とが一致するように構成された変速機の制御装置であって、
    前記無段変速機構の目標変速比と実変速比との偏差に基づく前記無段変速機構におけるプライマリ圧およびセカンダリ圧のフィードバック制御を実施するフィードバック制御手段と、
    前記第1係合要素と前記第2係合要素との係合を切り替える際に、解放側の前記第1係合要素または前記第2係合要素の係合を保持したまま係合側の前記第2係合要素または前記第1係合要素を係合させるタイアップ制御を実施するタイアップ制御手段と、
    前記第1係合要素と前記第2係合要素との係合を切り替える際に、前記フィードバック制御手段によるフィードバック制御に代えて、前記無段変速機構が前記インプット軸側から前記アウトプット軸側に動力を伝達する駆動状態における前記無段変速機構の推力比の値と前記無段変速機構が前記アウトプット軸側から前記インプット軸側に動力を伝達する被駆動状態における前記無段変速機構の推力比の値の中間に推力比を設定し、この推力比に基づいて、前記プライマリ圧および前記セカンダリ圧の各指令値を設定し、前記プライマリ圧および前記セカンダリ圧のフィードフォワード制御を実施するフィードフォワード制御手段とを含む、制御装置。
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