JP6341897B2 - 鋼床版の下面補修方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼床版の下面補修方法および鋼床版に関する。
本件明細書中の用語について、用語「スレッドローリングスクリュ」は、接合される複数の部材の少なくとも一方におけるめねじ加工が施されていない下穴に、直接にねじ込むことによって、自らねじ切りをしつつ進み、めねじを塑性変形によって形成して、ねじ接合するボルトまたはねじであり、TRS(登録商標)と略称することがあり、また、自らねじ切りをしつつ進み、めねじを弾性変形によって、または切削加工して形成して、ねじ接合するボルトまたはねじを含み、さらにまた、いわゆるスレッドフォーミングスクリュ、タッピンねじおよびタップボルトなどを含む概念として、解釈されなければならない。
用語「ワンサイドボルト」は、接合される複数の部材を、たとえばデッキプレートと当て板とを、または縦リブと当て板とを、外方の片側からの施工によって支圧接合または摩擦接合などするボルトまたはねじを含む概念として、解釈されなければならない。
従来、橋床としての鋼床版は、軽量であり、架設が容易であり、施工を迅速に行なえるので、支間長が長い多くの橋で有利に採用されてきている。典型的な鋼床版は、デッキプレートの下面に、橋軸方向である縦方向に沿って延びて補剛する閉断面縦トラフリブのウエブ上端部が連続隅肉溶接によって溶接接合されて構成される。近時、鋼床版における前記溶接接合する溶接金属を破断させる疲労亀裂(以下ビード貫通亀裂という)、およびそのビード貫通亀裂からデッキプレートに進展し貫通した疲労亀裂(以下デッキ貫通亀裂という)が数多く発見され、高速道路などの道路における橋を管理する上で、既設鋼床版の疲労対策が重要となっている。鋼床版における溶接金属の疲労亀裂の発生は、たとえば特許文献1、2に開示される。
或る従来技術では、ビード貫通亀裂を生じた溶接金属をガウジングで除去し、その後、開先を形成し、再び溶接によって補修する。この溶接作業においては、縦方向に比較的長い距離にわたって溶接接合するので、かなりの溶接量を必要とし、亀裂発生現場での上向き溶接であるので作業性が悪く、溶接欠陥を生じやすく、したがって溶接施工管理が難しい。また溶接による不所望な残留応力が生じ、補修後、デッキ貫通亀裂が発生しやすくなり、その結果、デッキプレート上の舗装の路面陥没のおそれがある。
図50は、他の従来技術の一部の簡略化した断面図である。この従来技術は、前述の再溶接による補修に代えてボルト接合によって補修する。橋の鋼床版1において、デッキプレート2の下面には縦リブ3が溶接金属4によって接合される。デッキプレート2上には、舗装5が施される。溶接金属4にビード貫通亀裂が生じたとき、この溶接金属4を切除し、屈曲した当て板6を高力ボルト7とナット8との組合せによってボルト接合して補修する。このボルト接合にあたって、デッキプレート2上の舗装5を剥離し、デッキプレート2にボルト挿通孔を形成し、ボルト頭11を有する高力ボルト7の軸部を、デッキプレート2の上からボルト挿通孔に差し込み、さらに当て板6のボルト挿通孔を挿通し、当て板6の下方からナット8を螺着する。この当て板6は、縦リブ3に接合、固定される。用語「ボルト挿通孔」は、ボルトのおねじが刻設された軸部の外径以上の内径を有し、そのボルト軸部が挿通する遊通孔またはバカ穴などとも呼ばれる。
この図50に示される従来技術では、デッキプレート2の上面で舗装5を剥離しなければならず、そのため走行車両の交通規制、通行止めが必要となる。したがって施工工事に大きな労力、時間を必要とするという問題がある。
この問題を解決する他の従来技術は、図51に示される。図51における前述の図50に対応する部分には、同一の参照符を付す。この従来技術では、図51(1)に示されるように、デッキプレート2の下面で縦リブ3を接合する溶接金属4を、補修範囲にわたって切除するとともに、デッキプレート2の下面には、溶接によって、いわば植え込んだスタッドボルト9の基端部を立設する。次に、図51(2)に示されるように、当て板6に形成されたボルト挿通孔にスタッドボルト9を挿通する。その後、図51(3)に示されるように、スタッドボルト9に、当て板6の下方からナット10が螺合されてボルト接合される。この当て板6は、縦リブ3に接合、固定される。
図51に示される従来技術の新たな問題は、スタッドボルト9をデッキプレート2の下面に上向き溶接によって溶接接合するので、作業性が悪く、溶接欠陥を生じやすく、したがって溶接施工管理が難しい。また溶接による不所望な残留応力が生ることによって残留歪みが生じて強度が低下する。したがって、スタッドボルトの溶着部が新たな疲労上の弱点となり、そこを起点として、デッキプレートに疲労亀裂が生じる恐れがある、という問題もある。
さらに、当て板6は、そのボルト挿通孔にスタッドボルト9が挿通して、デッキプレート2の下面に当接するので、スタッドボルト9の基端部における溶接領域を大きく形成することができず、デッキプレート2の下面とスタッドボルト9の基端部との溶接接合強度が不充分になりがちである。したがって、デッキプレート2と当て板6とを強固に摩擦接合するために、ナット10を締付けてスタッドボルト9に大きな軸力を発揮させることが難しい。
図51に示される従来技術の他の問題は、デッキプレート2の下面におけるスタッドボルト9の溶接の正確な位置決めが困難である。
また溶接に不具合があった場合の再施工が非常に困難であり、溶接失敗時の修正が難しい。溶着部の径は、必要な溶接接合強度を得るために、たとえばφ30mm程度と比較的大きくならざるを得ない。図50に関連して前述した高力ボルト7は、その外径が典型的にはφ20mmであるので、不具合があった場合、前述した高力ボルト7に置き換えることは不可能である。
特開2010−133835 特開2011−242362
本発明の目的は、補修作業を容易にし、縦リブを当て板によってデッキプレートに大きな強度で固定することができるようにした鋼床版の下面補修方法およびそれによって補修された鋼床版を提供することである。
本発明における支圧接合孔は、支圧接合用下穴45、70(図36)、支圧接合用下穴138、139(図47(2))、および支圧接合用めねじ孔131、132(図47(3))を含む。
本発明は、
デッキプレート14と、
デッキプレート14の下面に、デッキプレート14とともに閉空間78を形成し、上端部が橋軸方向に沿って延びる溶接金属18によって接合される縦リブ17とを有する鋼床版の下面補修方法において、
デッキプレート14の下面に接合される第1接合部41と、縦リブ17の側部15に接合される第2接合部42と、第1および第2接合部41、42が連なる屈曲部43とを有する当て板19を準備し、
溶接金属18の亀裂が進展している亀裂範囲に隣接して連続する予め定める隣接範囲の溶接金属18を切削し、亀裂範囲および隣接範囲を当て板19による補修範囲とし、
デッキプレート14と第1接合部41とに、内径D70(図36)、D139(図47(2)):D45(図36)、D138(図47(2))が等しくかつ貫通する支圧接合孔45、70(図36)、138、139(図47(2))、131、132(図47(3))を、橋軸方向に間隔をあけて、予めそれぞれ形成し(すなわち、D70=D45(図36)、D139=D138(図47(2)))、
高力ボルトによって実現されるワンサイドボルトである支圧接合用ボルト44、133の軸部113の全長に、予め形成される支圧接合孔45、70(図36)、138、139(図47(2))、131、132(図47(3))の内径D70(図36)、D139(図47(2)):D45(図36)、D138(図47(2))を超える外径D44(図36)、D136(図47(1))を有するおねじ114が刻設され、
デッキプレート14の下方でかつ第1接合部41の下方から、
支圧接合用ボルト44、133を、デッキプレート14と第1接合部41との予め形成される支圧接合孔45、70(図36)、138、139(図47(2))、131、132(図47(3))に、ねじ込むことによって、
支圧接合用ボルト44、133は、めねじを自ら形成しながら進み、
支圧接合用ボルト44、133を締め込んでその端部は、支圧接合用ボルト44、133の頭部111の変位が第1接合部41の下面によって制限された状態で、デッキプレート14の上面と同一面であり、
デッキプレート14と第1接合部41とを支圧接合し、
デッキプレート14の下方でかつ縦リブ17の外方から、縦リブ17の側部15と第2接合部42とを接合することを特徴とする鋼床版の下面補修方法である。
本発明によれば、鋼床版のデッキプレートの下面に縦リブのウエブ上端部が連続隅肉溶接などによる溶接金属によって接合されてデッキプレートが補剛され、この溶接金属にビード貫通亀裂などの疲労亀裂が生じたとき、デッキプレートと第1接合部とをワンサイドボルトである支圧接合用ボルトによってデッキプレートの下方から螺合して支圧接合し、また縦リブの側部と当て板の第2接合部とをデッキプレートの下方でかつ縦リブの外方から接合して鋼床版を補修する。したがって鋼床版の下方で補修作業を行うことができ、鋼床版のデッキプレート上の上方での作業が不要であるので、たとえばデッキプレート上の舗装を剥離する必要がなく、交通規制が不要であり、また作業に必要な時間を短縮することができ、コストを低減することができる。
デッキプレートと当て板の第1接合部とは、ワンサイドボルトである支圧接合用ボルトによって支圧接合され、その支圧接合ボルトの端部はデッキプレートの上面に突出しないので、そのボルトの端部が舗装を損傷することはない。
支圧接合によれば、摩擦接合に比べて、支圧接合ボルトの高い軸力によるデッキプレートと当て板との圧接力を必要としない。したがってデッキプレートの鋼材の厚みが薄く、そのため支圧接合ボルトがねじ込まれるめねじの軸長が比較的短く、デッキプレートと当て板との摩擦接合に必要な高い軸力を発揮できなくても、または軸力がなくても、支圧接合を確実に達成することができる。
支圧接合によれば、デッキプレートの下面と当て板の第1接合部の上面との摩擦係数を管理する必要がなくなり、補修作業を簡素化することができる。
必要な支圧力は、支圧接合ボルトの外径に依存し、このボルト径を大きくすることによって、必要な支圧接合ボルトの本数を減少することができる。
支圧接合は、支圧接合ボルトのねじ込みによって完了し、希望する支圧強さを得ることができるので、作業を簡素化することができる。また鋼床版の長期間にわたる使用によってデッキプレートに凹凸が生じていても、支圧接合ボルトによる支圧接合を確実に達成することが容易に可能である。
さらに支圧接合の保守が容易である。たとえば、それまで使用してきた支圧接合ボルトを取外し、さらに大きな内径を有する下穴を形成し、新たな大径の支圧接合ボルトをねじ込んで新たな支圧接合を達成することができる。
本発明によれば、デッキプレートと当て板との溶接作業が不要であるので、作業性がよく、また溶接による溶接欠陥、残留応力、溶接失敗時の修正が困難などの問題が解消され、補修強度を向上することができ、補修作業の現場における各種要求性能、たとえばデッキプレートの撓み変形および縦リブを含む面外曲げ変形の軽減、疲労破壊を抑えて疲労耐久性の向上などを達成することができる。また溶接作業が不要であることによって、支圧接合ボルトを正確な位置に施工して、高精度の補修を行なうことができ、たとえ支圧接合ボルトの施工を誤っても、そのボルトを取り外すことができ、他の近接した位置で再施工することが容易である。こうして、図51のスタッドボルトを用いる従来技術における前述の多くの問題が一掃される。
縦リブのウエブの側部と当て板の第2接合部との接合は、デッキプレートの下方でかつ縦リブの外方から、ワンサイドボルトによって、摩擦接合されてもよく、または支圧接合されてもよく、またたとえば連続隅肉溶接などによって溶接接合されてもよい。
このような縦リブの側部と第2接合部との接合では、デッキプレートの下面と縦リブとによって形成される閉空間内における作業は不要であるので、補修作業が容易である。
本発明におけるボルトは、高張力鋼製であってもよいが、他の材料から成ってもよい。
本発明によれば、溶接金属の縦リブとの切削、分断によって、溶接金属に応力が作用することが防がれる。デッキプレートの下面と縦リブのウエブの上端部とをたとえば連続隅肉溶接によって接合する溶接金属に疲労亀裂が発生したとき、検査後においてもさらに進展してゆき、また、この亀裂は、たとえばその亀裂の先端部からデッキプレートへ進展するおそれがある。したがって、この溶接金属を、その亀裂が生じている縦方向に沿って、グラインダの回転駆動される切削刃などの切削具を使用して溶接金属を切削して縦リブと分断する。これによって溶接金属に発生している亀裂の進展を防ぎ、さらにその亀裂のデッキプレートへの進展を防ぐ。
溶接金属の縦リブとの切削、分断は、疲労亀裂の進展している範囲を超えて、たとえばデッキプレートを補剛する横リブ間にわたって行なわれる。溶接金属の亀裂は、検査後においてもさらに進展してゆき、また溶接金属は、当て板による補修後は、その当て板によって覆われ、外方から目で見ることができない。したがって、補修にあたり、溶接金属は、亀裂が発見された部分だけでなく、亀裂が発見されていない部分にわたっても、前述のように切削、分断される。
溶接金属の分断位置は、縦リブ寄りとすることによって、グラインダの回転砥石、回転刃などの切削具を、デッキプレートからできるだけ離間することができる。これによって、グラインダの取扱い操作中に生じ得るデッキプレートの損傷を可及的に抑えることができ、デッキプレート、したがって鋼床版の長期間にわたる使用が可能である。
本発明の他の考え方に従えば、溶接金属の縦リブとの切削、分断は、疲労亀裂の進展している範囲だけに行なわれてもよい。本発明のさらに他の考え方に従えば、前記溶接金属を、縦リブと切削して分断する代わりに、デッキプレートと切削して分断するようにしてもよい。溶接金属の縦リブとの切削、分断は、行なわれなくてもよい。溶接金属は、切除されずに、残されてもよい。
溶接金属は、前記分断後、除去されてもよい。
本発明は、
前記支圧接合は、
デッキプレート14と第1接合部41とに、前記支圧接合孔としての支圧接合用下穴45、70(図36)を予めそれぞれ形成し、
これらの支圧接合用下穴45、70(図36)に、支圧接合用ボルト44をねじ込むことによって達成することを特徴とする。
本発明によれば、デッキプレートと当て板の第1接合部との支圧接合は、TRSによって達成することができるので、高力ボルトによる緩みのない接合が可能になる。またデッキプレートには、その補修の現場において下穴だけを形成すればよく、その下穴にめねじ孔を刻設して形成する必要がないので、作業が簡素化され、高所などでの作業の安全が確保される。
本発明は、
前記支圧接合は、
デッキプレート14と第1接合部41とに、前記支圧接合孔としてのめねじ孔131、132(図47(3))を予めそれぞれ形成し、
これらのめねじ孔131、132(図47(3))に、支圧接合用ボルト133をねじ込むことによって達成することを特徴とする。
本発明によれば、デッキプレートと当て板の第1接合部との支圧接合のために、デッキプレートと第1接合部とにめねじ孔を予めそれぞれ形成して支圧接合用ボルトを螺合するようにしてもよい。
本発明は、
前記溶接金属の縦リブとの前記分断の前におけるデッキプレートと縦リブとの当接状態を、前記分断の後においても保つことを特徴とする。
本発明は、
当て板19は、少なくとも縦リブ支間長Lの領域に予め定める長さにわたって延びることを特徴とする。
補修にあたっては、閉断面縦リブにおける橋軸直角方向である横方向の両側方のうち、いずれか一側方のウエブの補修を先に行ない、その補修完了後、いずれか他側方のウエブの補修を順次行なう。デッキプレートの下面と縦リブの上端部とを溶接接合する前記溶接金属は、縦リブの外方から、たとえば片側連続隅肉溶接などによって形成され、縦方向に延びる。したがって、溶接金属は、縦リブのウエブの上端部において、デッキプレートの下面と縦リブとによって形成される閉空間に入り込まず、その閉空間に臨んでいない。
本発明によれば、図4を参照して後述されるように、縦リブ17のいずれか一側方のウエブ15の補修の際、溶接金属18の切削、分断の作業時、ウエブ15を損傷せず、これによって、本発明の実施の一形態では、たとえば縦リブ17のウエブ15の上端部15aにおける前記閉空間78の内方に臨む端部34を、デッキプレート14の下面で縦方向(図4の紙面に垂直方向)に延びて当接したままの状態に保つ。したがって溶接金属の一側方での前記分断前におけるデッキプレート14の下面と縦リブ17のウエブ15の上端部15aの溶接されていない端部34との当接した状態は、その分断の後においても保たれ、縦リブ17の上端部15aの端部34を切断などによって除去することはない。このとき、縦リブ17の他側方は、溶接金属によって接合されたままであり、または当て板19による補修が完了している。したがって、縦リブ17の一側方におけるデッキプレート14の下面と縦リブ17の端部34との当接した状態によって、溶接金属18の分断の後、当て板19による補修完了前においても、デッキプレート14の下向きの撓み変形を抑制し、デッキプレート14の縦リブ17による補剛を保つことができる。本発明によれば、縦リブ17の前記端部34以外の部分が、デッキプレート14の下面に当接してもよい。
本発明は、
(a)デッキプレート14と、
(b)デッキプレート14の下面に、デッキプレート14とともに閉空間78を形成し、上端部が橋軸方向に沿って延びる溶接金属18によって接合される縦リブ17と、
(c)デッキプレート14の下面に接合される第1接合部41と、縦リブ17の側部15に接合される第2接合部42と、第1および第2接合部41、42が連なる屈曲部43とを有する当て板19とを含み、
(d)溶接金属18の亀裂が進展している亀裂範囲に隣接して連続する予め定める隣接範囲の溶接金属18を切削し、亀裂範囲および隣接範囲を当て板19による補修範囲とし、
(e)デッキプレート14と第1接合部41とには、内径D70(図36)、D139(図47(2)):D45(図36)、D138(図47(2))が等しくかつ貫通する支圧接合孔45、70(図36)、138、139(図47(2))、131、132(図47(3))が、橋軸方向に間隔をあけて、予めそれぞれ形成され(すなわち、D70=D45(図36)、D139=D138(図47(2))、
(f)高力ボルトによって実現されるワンサイドボルトである支圧接合用ボルト44、133であって、
支圧接合用ボルト44、133の軸部113の全長に、予め形成される支圧接合孔45、70(図36)、138、139(図47(2))、131、132(図47(3))の内径D70(図36)、D139(図47(2)):D45(図36)、D138(図47(2))を超える外径D44(図36)、D136(図47(1))を有するおねじ114が刻設され、
デッキプレート14の下方でかつ第1接合部41の下方から、
支圧接合用ボルト44、133を、デッキプレート14と第1接合部41との予め形成される支圧接合孔45、70(図36)、138、139(図47(2))、131、132(図47(3))に、ねじ込むことによって、
支圧接合用ボルト44、133は、めねじを自ら形成しながら進み、
支圧接合用ボルト44、133を締め込んでその端部は、の端部は、支圧接合用ボルト44、133の頭部111の変位が第1接合部41の下面によって制限された状態で、デッキプレート14の上面と同一面であり、
デッキプレート14と第1接合部41とを支圧接合する支圧接合用ボルト44、133と、
(g)デッキプレート14の下方でかつ縦リブ17の外方から、縦リブ17の側部15と第2接合部42とを接合する接合手段とを含むことを特徴とする鋼床版である。
本発明によれば、前述のように、既設の鋼床版がデッキプレートの下方で縦リブの外方における作業によって、デッキプレート上の舗装を除去することなく、交通規制および通行止めなどを必要とせず、疲労耐久性を向上する補修が実現される。
本発明は、
前記接合手段は、もう1つのワンサイドボルトであることを特徴とする。
本発明によれば、デッキプレートと当て板の第1接合部とはワンサイドボルトによって前述の支圧接合され、さらに縦リブのウエブの側部と当て板の第2接合部とは、もう1つのワンサイドボルトによって接合される。このようなもう1つのワンサイドボルトを用いることによって、溶接作業に比べて作業性の向上を図ることができるとともに、不所望な変形の軽減、疲労耐久性の向上などの各種の要求性能を達成することができる。
摩擦接合または支圧接合のための前記もう1つのワンサイドボルトとしては、後述のいわゆるハック(Huck)形ワンサイドボルト(以下ハック形ボルトという)のように、軸力の導入を、一次締めと本締めとの順次的な剪断破壊によってそれぞれ達成するボルトが好摘するが、その他の構成を有してもよい。たとえばボルトの頭部に連なるボルト軸部を、当て板の第2接合部に形成されたボルト挿通孔に挿通し、縦リブのウエブに形成されためねじ孔に螺合する構成であってもよく、または前述のスレッドローリングスクリュなどでもよい。
すなわち本発明は、
縦リブ17の側部15と第2接合部42との前記接合は、
縦リブ17の側部15と第2接合部42とに予め形成した支圧接合孔に、第2接合部の外方から、めねじを自ら形成しながら進むもう1つの支圧接合用ボルトによることを特徴とする。
また、本発明は、
前記接合手段は、
縦リブ17の側部15と第2接合部42とに予め形成した支圧接合孔に、第2接合部の外方から、めねじを自ら形成しながら進むもう1つの支圧接合用ボルトであることを特徴とする。
これらの前記もう1つのワンサイドボルトは、摩擦接合のために、いわゆるトルシア形ワンサイドボルトであってもよい。トルシア形ワンサイドボルトは、たとえばナットまたはボルト頭部の回転トルクによって予め定める軸力が達成されたとき、ワッシャが厚み方向に剪断し、またはボルト軸部の小径破断部が剪断する構成を有し、ハック形ボルトを含む。
本発明の実施の一形態の一部の断面図である。 鋼床版13を備える鋼トラス斜張橋24の一部の横断面図である。 鋼床版13の一部を簡略化して示す斜視図である。 鋼床版13のデッキプレート14の下面とUリブ17のウエブ15の上端部15aとを溶接接合する溶接金属18付近の拡大断面図である 鋼床版13の一部の構成を簡略化して示す断面図である。 本発明の実施の一形態における補修方法の一部を示すフローチャートである。 本発明の実施の一形態における補修方法の、図6(1)に続く残りの一部を示すフローチャートである。 当て板19およびもう1つの当て板39の平面図である。 図7の切断面VIII−VIIIから見た断面図である。 当て板19、39の展開図である。 ステップs1における鋼床版13の縦方向に沿う断面図である。 ステップs2における溶接金属18の切削、分断、除去を説明するための横断面図である。 溶接金属18を分断する状態を示す拡大した断面図である。 ステップs3を説明するための鋼床版13の縦方向に沿う断面図である。 図13の切断面線XIV−XIVから見た断面図である。 図14のセクションXVを拡大して示す断面図である。 小形磁気ボール盤62を簡略化して示す斜視図である。 ステップs3における仮留めボルト47のための仮留め用下穴69(図19、22)をデッキプレート14に削孔する操作を説明するための鋼床版13の縦方向に沿う断面図である。 図17の切断面線XVIII−XVIIIから見た断面図である。 仮留め用下穴69をデッキプレート14に削孔する操作を説明するための拡大断面図である。 当て板19がデッキプレート14に仮留めされた状態を示す鋼床版13の縦方向に沿う断面図である。 図20の切断面線XX−XXから見た断面図である。 図20のセクションXXII−XXIIの拡大断面図である。 Uリブ17のウエブ15にボルト挿通孔74を削孔する状態を示す鋼床版13の縦方向に沿う断面図である。 図23の切断面線XXIV−XXIVから見た断面図である。 ボール盤62のドリル77によって、ウエブ15に削孔したボルト挿通孔74を示す拡大断面図である。 ウエブ15のボルト挿通孔74を削孔する際、生じたばり75を除去する操作を示す断面図である。 Uリブ17および当て板19付近を示す鋼床版13の縦方向に沿う断面図である。 図26の切断面線XXVII−XXVIIから見た横断面図である。 図27におけるハック形ボルト48付近の拡大断面図である。 図26のセクションXXIXa−XXIXaにおける切断面線XXIX−XXIXから見た断面図である。 図29における一次締めされたハック形ボルト48eとその付近の拡大断面図である。 未使用のハック形ボルト48を示す断面図である。 ハック形ボルト48の全体の分解斜視図である。 ハック形ボルト48の一次締めおよび本締めの順次的な動作の一部を説明する簡略化した断面図である。 ハック形ボルト48の一次締めおよび本締めの順次的な動作の、図33Aに続く残りの一部を説明する簡略化した断面図である。 デッキプレート14に、当て板19の第1接合部41に形成されている支圧接合用下穴45dの位置で、ボール盤62によって支圧接合用下穴70(図36)を削孔する状態を示す鋼床版13の縦方向に沿う断面図である。 図33の切断面線XXXV−XXXVから見た断面図である。 図34におけるボール盤62のドリル107によって、デッキプレート14に支圧接合用下穴70dを削孔する状態を示す断面図である。 図34の切断面線XXXVII−XXXVIIから見た断面図である。 TRS44によってデッキプレート14と当て板19の第1接合部41とが支圧接合される構成を示す拡大断面図である。 TRS44の平面図である。 図34に示される仮留めボルト47gの取付けられた位置に、TRS44のための支圧接合用下穴70gを削孔する操作手順を説明するための断面図である。 ハック形ボルト48a〜d、g〜iの一次締め操作を説明するための鋼床版13の縦方向に沿う断面図である。 図41の切断面線XLII−XLIIから見た断面図である。 ハック形ボルト48の本締めを行った後の状態を示す鋼床版13の縦方向に沿う断面図である。 図43の切断面線XLII−XLIIから見た断面図である。 本締めされたハック形ボルト48付近の拡大断面図である。 TRS44のボルト頭111の緩み確認用マーキングを施した状態を示す斜視図である。 本発明の実施の他の形態において、支圧接合用ボルト133によって、デッキプレート14とUリブ17の第1接合部41とが支圧接合された状態を示す断面図である。 本発明の図47(1)の実施の他の形態において、支圧接合用ボルト133のためのめねじ孔131,132を形成するために、デッキプレート14とUリブ17の第1接合部41とに、下穴138,139が削孔された状態を示す断面図である。 本発明の図47(1)、図47(2)の実施の他の形態において、下穴138,139にタップを使用してめねじを立てて、めねじ孔131,132をそれぞれ形成した状態を示す断面図である。 本発明の実施の他の形態における縦リブ121〜125を示す断面図である。 本発明の実施の他の形態を説明するための一部の斜視図である。 従来技術の一部の簡略化した断面図である。 他の従来技術の補修作業において、デッキプレート2の下面で溶接金属4を切除するとともに、デッキプレート2の下面には、溶接によって植え込んだスタッドボルト9の基端部を立設した状態を示す断面図である。 他の図51Aの従来技術の補修作業において、当て板6に形成されたボルト挿通孔にスタッドボルト9を挿通した状態を示す断面図である。 他の図51A、図51Bの従来技術の補修作業において、スタッドボルト9に、当て板6の下方からナット10が螺合されてボルト接合された状態を示す断面図である。
図1は、本発明の実施の一形態の一部の断面図である。鋼床版13は、鋼板から成るデッキプレート14の下面に、ウエブ15とフランジ16とから成る横断面が逆台形である閉断面縦トラフリブ17(以下Uリブ17という)のウエブ15における上端部15aが連続隅肉溶接によって溶接接合されて補剛され、その溶接金属は参照符18で示される。Uリブ17は、デッキプレート14の下面とともに閉空間78を形成し、縦方向に延びる。デッキプレート14上には、アスファルトなどによって舗装21が施される。
本発明に従えば、溶接金属18に疲労亀裂が生じたとき、デッキプレート14の下方でかつUリブ17の外方で、当て板19を用いて補修される。
図2は、鋼床版13を備える鋼トラス斜張橋24の一部の横断面図である。鋼床版13は、床組25とともに橋床構造26を構成し、この橋床構造26はトラス補剛桁27に支持される。
図3は、鋼床版13の一部を簡略化して示す斜視図である。鋼床版13は橋の縦方向に間隔をあけて配置される横リブ29を有し、Uリブ17は、これらの横リブ29を貫通して連続して延びる。図3では、横リブ29のUリブ17およびデッキプレート14との隅肉溶接による溶接金属は、一部省略して簡略に、参照符31を付して示される。鋼床版13は、床組25を構成する縦桁32に支持される。
図4は、鋼床版13のデッキプレート14の下面とUリブ17のウエブ15の上端部15aとを溶接接合する溶接金属18付近の拡大横断面図である。鋼床版13は、工場での製造時、図4の上下を逆にした状態で、隅肉溶接作業によって溶接金属18が形成されて製造される。Uリブ17が、デッキプレートとともに形成する閉空間78に臨む上端部15aの端部34は、デッキプレート14の下面に当接する。これによってデッキプレート14とUリブ17の応力の伝達が、溶接金属18および前記当接した状態の端部34とによって達成される。
溶接金属18には、橋の使用によって、疲労亀裂であるビード貫通亀裂35が発生し、このビード貫通亀裂35からはデッキプレート14に進展する疲労亀裂であるデッキ貫通亀裂36が発生する。ビード貫通亀裂35は、ルート部の上側から出ることもある。
図5は、鋼床版13の一部の構成を簡略化して示す断面図である。デッキプレート14は、その下面で、橋の横方向(図5の左右方向)に間隔をあけて配置される複数のUリブ17によって補剛される。
図6は、本発明の実施の一形態の補修方法を示すフローチャートである。補修にあたり、先ず、ビード貫通亀裂35の縦方向先端部の付近において、溶接金属18に調査孔をドリルによって形成し、デッキプレート14の下面を露出する。これによって、そのビード貫通亀裂35からデッキプレート14に、デッキ貫通亀裂36などの亀裂が進展しているかどうかを検査する。デッキプレート14に亀裂が進展していないとき、以下に述べる図6の補修方法が遂行される。この補修によって、応力伝達の機能は、ビード貫通亀裂35によって損なわれている溶接金属18から、当て板19に変更される。
図6のステップs0〜s12は、表1に示す図7〜46を参照して後述する。
Figure 0006341897
補修方法のステップs0では、当て板19によって補修する領域を、溶接金属18にビード貫通亀裂35が存在する領域だけでなく、縦方向に隣接する横リブ29相互間の範囲を単位として設定する。本件発明者によれば、溶接金属18に縦方向に部分的に亀裂が生じているとき、その亀裂は、縦方向にさらに進展して発生することが確認された。そこで本発明の実施の一形態では、この補修する領域を、前述のように横リブ29相互間の当て板範囲とする。このステップs0では、当て板19が準備される。
したがって、溶接金属18の亀裂が進展している亀裂範囲に隣接して連続する予め定める隣接範囲の溶接金属18を切削し、亀裂範囲および隣接範囲を当て板19による補修範囲とする。
本発明に従えば、実施の他の形態では、当て板を用いて補修する領域は、縦リブ支間長Lの領域だけでなく、その縦リブ支間長Lの領域に縦方向に横リブを介して隣接して横リブから縦方向に連続する予め定める長さにわたって延びる延長領域をも含む当て板範囲としてもよい。縦リブと横リブとの交差部ではデッキプレートに疲労亀裂が発生しやすいので、本発明では、延長領域をも当て板を用いて補修することが、好ましい。当て板範囲では、溶接金属は切削除去される。
この延長領域の前記予め定める長さは、次のように選ばれる。すなわち、縦リブを縦リブ支間長Lの間隔にある横リブを支点とする1つの連続梁であると想定する。この連続梁において、支点から、曲げモーメントが零であり、集中荷重の影響が小さく、かつ等分布荷重の影響が最小、ほぼ零である位置までの縦方向の長さを、前記予め定める長さに定める。前記予め定める長さは、曲げモーメント影響線などに基づいて定めることができる。予め定める長さは、Lを前述のように縦リブ支間長とするとき、たとえば0.2L程度に選ばれてもよい。
本件発明者の実験によれば、補修する領域を、当て板の横リブ位置で止めず、横リブに近い場合は支間部を越え、0.2L程度で止める。0.2L程度は、たとえばLが2mの場合、TRSのボルトのピッチが65mmであって、少なくとも4、5本は打つとなると、30〜40cmくらい、または(40+10)cm〜(40−10)cm(TRSの1本分程度)である。延長領域の当て板は、縦リブ支間長Lの領域の当て板とは別体であり、その両端部付近がたとえば2本の各TRSによってそれぞれ支圧接合される。
図7は当て板19およびもう1つの当て板39の平面図であり、図8は図7の切断面VIII−VIIIから見た断面図であり、図9は当て板19、39の展開図である。当て板19は、デッキプレート14の下面に接合される第1接合部41と、Uリブ17の側部であるウエブ15の外面に当接して接合される第2接合部42と、これらの第1および第2接合部41,42が屈曲して連なる屈曲部43とを有する。屈曲部43は、第1および第2接合部41、42をたとえば鈍角に接続し、円弧状に弯曲することによって、溶接金属18から離間して当て板19が取り付けられることが確実になる。当て板19は、Uリブ17のウエブ15からフランジ16にわたる一部分を切除して、たとえば工場において製造することができる。
第1接合部41には、スレッドローリングスクリュ(TRS)44(図38)のための支圧接合用下穴45a,45b;45d,45e,45f;45h,45iおよび仮留めボルト47(図22)のための複数(たとえば2)の仮留め用ボルト挿通孔46c,46gが、当て板19の長手方向(図7、9の左右方向)である橋の縦方向に1列を成して列線上に等ピッチに穿設される。
以下の説明では、理解に不都合を生じないようにしつつ簡略化のために、参照符は、たとえば参照符45bなどの数字を省略し、添え字bのみで示すことがあり、添え字a、bなどを省略して数字45だけで総括的に示すことがある。対応する各部分には、同一の添え字を付し、たとえば仮留め用ボルト挿通孔46gに対応して、同一の添え字gを付して支圧接合用下穴61g、仮留め用下穴69gなどと示すことがある。
支圧接合用下穴45a,b;d,e、f;h,iの成す列中に、複数(たとえば2)の仮留め用ボルト挿通孔46c,gが、当て板19の長手方向における列の中央の位置、たとえば支圧接合用下穴45eの位置に関して、対称に配置され、仮留め用ボルト挿通孔46c,46gの間に支圧接合用下穴45d,e,fが介在して配置されて仮留め用ボルト挿通孔46c,46gの間隔があけられる。こうして、仮留めのためのボルト挿通孔46c,46gは、当て板19の長手方向両端部から等距離(たとえば2つの支圧接合用下穴45a,45b;45h,45i)をあけて対称な位置に配置される。
第2接合部42には、ハック形ワンサイドボルト48(図31〜33参照)のための摩擦接合用ボルト挿通孔49a〜iが1列に等ピッチに、第1接合部41と同様にして穿設される。摩擦接合用ボルト挿通孔49a〜iのピッチは、第1接合部41の支圧接合用下穴45a,45b;45d,45e,45f;45h,45iおよび仮留め用ボルト挿通孔46c,46gのピッチと等しく選ばれる。
当て板19は、その長さを作業者の取扱いを容易にするために、たとえば1m以内に選んでもよく、橋の縦方向に隣接する横リブ29の相互間の長さ、たとえば2m内で複数に分割して構成すればよい。補修のために用いられる当て板19は,デッキプレート14とUリブ17と同等以上の性能を有する材料から成る。
補修のために使用される他の当て板39もまた、当て板19と同様に、TRS44のための支圧接合用下穴51a,b;d〜i;k,Lが穿設され、長手方向に対称な位置に仮留めボルト47のための仮留め用ボルト挿通孔52c,jが間隔をあけて穿設され、さらにハック形ボルト48のための摩擦接合用ボルト挿通孔53a〜Lが、支圧接合用下穴51a,b;d〜i;k,Lおよび仮留め用ボルト挿通孔52c,jに対応して等ピッチで、同様に形成される。当て板39も、当て板19と同様に使用される。
ステップs1(図6)では、デッキプレート14の下面およびUリブ17のウエブ15の表面の塗膜を除去する。塗膜の除去のために、パワーツール、研磨ホイル、パワーブラシなどの動力装置を用いてもよい。デッキプレート14の下面では、当て板19の第1接合部41が配置される表面において、上塗り層から下塗り層までの塗膜の層を確実に除去し、建設時の無機ジンクリッチペイントの活膜を残す。これによって、補修すべき鋼床版13毎に塗膜の層の厚みにばらつきがあっても、TRS44の軸部113(図38)がデッキプレート14の厚み方向に予め定める希望する長さにわたってねじ込まれて、支圧接合のための強度を得ることが確実になる。無機ジンクリッチペイントを残すことによって、たとえば橋が海峡に架設されているときにおいても、錆の発生を抑えることができる。無機ジンクリッチペイントに代えて、作業性の良好な有機ジンクリッチペイントを使用してもよい。
図10は、ステップs1における鋼床版13の縦方向に沿う断面図である。Uリブ17のウエブ15では、当て板19の第2接合部42が配置される領域54の表面において、上塗り層から下塗り層までの層、および無機ジンクリッチペイントを含む塗膜の全てを完全に除去する。これによって、ハック形ボルト48による摩擦接合の強度を確保する。
ステップs2(図6)では、横リブ29相互間の当て板範囲にわたり、溶接金属18を切削してUリブ17と分断し、さらにその溶接金属18の全てを切削除去する。
図11はステップs2における溶接金属18の切削、分断、除去を説明するための横断面図であり、図12は溶接金属18を分断する状態を示す拡大した断面図である。溶接金属18は、手動操作されるグラインダの回転駆動される切削刃56によって切削され、Uリブ17のウエブ15と分断される。溶接金属の分断位置を、Uリブ17寄りとすることによって、グラインダの切削刃56を、デッキプレート14からできるだけ離間することができる。これによって、グラインダの取扱い操作中に生じ得るデッキプレートの損傷を可及的に抑えることができる。デッキプレート14の切削刃56による損傷は、比較的薄いデッキプレート14に、局部的な応力集中および耐力の低下をもたらすおそれがある。デッキプレート14の切削刃56による損傷を防ぐことによって、このようなおそれを回避し、デッキプレート14、したがって鋼床版13の長期間にわたる使用が可能である。
溶接金属18の切削刃56による切削、分断は、溶接金属18ののど厚が薄くなることと等価であり、その溶接金属18による応力伝達が達成されない。これによって、溶接金属18内での亀裂の誘発、進展が防がれ、さらにデッキプレート14への亀裂の進展が防がれる。
溶接金属18のUリブ17との切削、分断は、疲労亀裂の進展している範囲を超えて、縦方向に隣接する横リブ29相互間の範囲の当て板範囲にわたって行なわれる。溶接金属18の亀裂は、検査によって見付かった後においてもさらに進展してゆき、また溶接金属18は、当て板19による補修後は、その当て板19によって覆われ、外方から目で見ることができない。したがって、補修にあたり、溶接金属18は、亀裂が発見された部分だけでなく、亀裂が発見されていない部分にわたっても、前述のように切削、分断される。
補剛するUリブ17の端部34は、切削刃56によって切削されることなく、そのデッキプレート14の下面と端部34との当接状態が保たれる。これによって端部34によるデッキプレート14の補剛を保つことができ、デッキプレート14の下向き変形を抑制することができる。
ステップs3(図6)において、デッキプレート(図6ではDPLと略記)14に、その下面から仮留めボルト47のための仮留め用下穴69(図19,22)を削孔する。
図13はステップs3を説明するための鋼床版13の縦方向に沿う断面図であり、図14は図13の切断面線XIV−XIVから見た断面図であり、図15は図14のセクションXVを拡大して示す横断面図である。当て板19を補修すべき設置部分へもたらして、第1および第2接合部41,42をデッキプレート14の下面およびUリブ17のウエブ15の外側面にそれぞれ当接する。そこで仮留め用ボルト挿通孔46をポンチ57の案内のために用いて、ポンチ57を打ち、参照符58の位置に、凹んだポンチ穴を形成する。ポンチ57を用いる代わりに、仮留め用ボルト挿通孔46の内面に沿ってデッキプレート14の下面に、けがき作業によってマーキングしてもよい。
図16は、小形磁気ボール盤62を簡略化して示す斜視図である。小形磁気ボール盤62が、準備される。ボール盤62の本体63には、永久磁石片が内蔵され、これによって、本体63は、鋼材から成る当て板19、デッキプレート14およびUリブ17に磁気吸着して保持され、また離脱することができる。本体63には揺動軸64まわりに手動で角変位操作される揺動ハンドル65が設けられ、これによって昇降体66が図16の上下に昇降変位する。昇降体66には、電動機を含む動力源によって回転駆動されるドリル67が装着され、削孔動作が達成される。昇降体66には、本体63に対して昇降体66、したがってドリル67の下降変位量を、被加工材である第1および第2接合部41、42の表面に当接して制限するストッパ68が、調整可能に取付けられる。ストッパ68によって、ドリル67による削孔長さが設定される。
図17はステップs3における仮留めボルト47のための仮留め用下穴69(図19、22)をデッキプレート14に削孔する操作を説明するための鋼床版13の縦方向に沿う断面図であり、図18は図17の切断面線XVIII−XVIIIから見た横断面図である。前述の図15のように、ポンチ57を用いて、仮留め用ボルト挿通孔46を案内としてポンチ穴を打った後、デッキプレート14およびUリブ17から当て板19を一旦取外す。
図19は、仮留め用下穴69をデッキプレート14に削孔する操作を説明するための拡大断面図である。当て板19を、前述のとおり、一旦取外した後、仮留め用ボルト挿通孔46のポンチ穴の位置58に、ボール盤62によって、仮留めボルト47の仮留め用下穴69を削孔する。仮留め用下穴69を削孔するドリル67の図19の上方の先端部は、舗装21を損傷しないように、したがって、デッキプレート14を貫通してデッキプレート14の上面と同一面になるように、または貫通せずにその上面よりも下方になるように、操作される。ドリル67の図19における上昇変位量は、ストッパ68が、デッキプレート14の下面に当接して制限される。こうしてデッキプレート14には、合計2つの仮留め用下穴69c,gが削孔される。各削孔のたびに、削孔屑を除去して清掃する。
具体的な寸法の一例を述べると、デッキプレート14の厚みt14は12mmであり、当て板19の厚みt19はUリブ17の厚みt17(図4)と同一値であって8mmである(t17=t19、t19<t14)。仮留め用ボルト挿通孔46c、gに関して、それらの内径D46はφ12.5mmである。ドリル67の外径D67,およびそのドリル67によって削孔される仮留め用下穴69の内径D69はφ11.5mmである。仮留めボルト47の外径D47はφ12mmである(D67=D69、D69<D47<D46)。
ステップs4(図6)では、当て板19をデッキプレート14の下面に仮留めボルト47を用いて仮留めする。この仮留めボルト47による仮留め状態は、図20〜図22に示される。
図20は当て板19がデッキプレート14に仮留めされた状態を示す鋼床版13の縦方向に沿う断面図であり、図21は図20の切断面線XXI−XXIから見た断面図であり、図22は図21のセクションXXII−XXIIの拡大断面図である。仮留めボルト47は、TRS44と類似の構成を有する。仮留め用ボルト挿通孔46c、gおよび仮留め用下穴69c、gに関して、仮留めボルト47のおねじが刻設された軸部50は、当て板19の第1接合部41に形成されているボルト挿通孔46を挿通して、デッキプレート14の仮留め用下穴69にねじ込まれて、自らねじ切りをしつつ進み、めねじを塑性変形によって形成してねじ孔72(図40)を形成し、ねじ接合する。
具体的な寸法の一例を述べると、図22に示されるように、仮留めボルト47の首下長さL47は24mmである(t19<t14<L47、(t19+t14)<L47)。当て板19の第1接合部41と仮留めボルト47の頭部76との間にワッシャである平座金73を介在し、その厚みが異なる平座金73を選び、または複数枚の平座金73を重ねることによって、仮留めボルト47の軸部の先端部がデッキプレート14の上面から突出しないように、したがって舗装21を損傷しないように、調整される。たとえば、平座金73の厚み( = L47−(t19+t14))は、たとえば、4mm( = 24 − 20mm)以上必要なので、平座金73は、たとえば2枚重ねて使用される。
ステップs5(図6)では、Uリブ17のウエブ15に、摩擦接合のためのボルト挿通孔74(図25)を削孔する。当て板19は、デッキプレート14に仮留めボルト47によって仮留めされており、この状態で、ボール盤62によって、Uリブ17のウエブ15に、摩擦接合用ボルト挿通孔74を削孔する。
図23はステップs5においてUリブ17のウエブ15にボルト挿通孔74を削孔する状態を示す鋼床版13の縦方向に沿う断面図であり、図24は図23の切断面線XXIV−XXIVから見た断面図である。ボール盤62の本体63を当て板19の第2接合部42に磁気吸着した状態で、ドリル77を、第2接合部42に形成されたボルト挿通孔49によって案内して、ウエブ15へボルト挿通孔74を削孔する。
ボール盤62のドリル77を用いてUリブ17のウエブ15にボルト挿通孔74を削孔する際、切削屑がUリブ17の閉空間78内へ落ち込まないように、ドリル77に関連する構成を実現する。たとえばドリル77を磁化するなどして、切削屑をUリブ17の外方に回収する。これによって、切削屑がUリブ17の閉空間78内に落ち込んで空気中の水分などを吸収し、切削屑およびUリブ17が腐食するおそれを防ぐ。
図25は、当て板19の第2接合部42のボルト挿通孔49およびウエブ15のボルト挿通孔74を示す拡大断面図である。図25(1)は、ボール盤62のドリル77によって、ウエブ15に削孔したボルト挿通孔74を示す拡大断面図である。図25(1)を参照して具体的な寸法の一例を述べると、ドリル77の外径D77,ボルト挿通孔49,74の各内径D49,D74はいずれも、たとえばφ21.5mmであり、ハック形ボルト48の外径D48(図31)は、たとえばφ20mmである(D77=D49=D74、D48<D74)。
図25(2)は、ウエブ15のボルト挿通孔74を削孔する際、生じたばり75を除去する操作を示す断面図である。ボルト挿通孔74を削孔した後、ばり75を円板状の砥石81で除去する。砥石81は、Uリブ17の外方の駆動源83によって回転駆動される回転軸84の端部に固定され、ボルト挿通孔49,74を挿通されて閉空間78内で回転軸84の軸線まわりに回転される。これによってウエブ15の閉空間78内に突出したばり75を研削して除去する。砥石81に代えて、ばり75を切削する切削刃などであってもよい。除去されたばり75は、Uリブ17の閉空間78に落ち込まないように磁気吸着するなどして回収する。
ステップs6(図6)では、先ず、Uリブ17のウエブ15に当接している当て板19の第2接合部42のボルト挿通孔49と、ウエブ15にステップs5で削孔されたボルト挿通孔74との全てに、ハック形ボルト48を差し込む。ボルト挿通孔49,74は、共通な一直線上に各軸線を有する。
図26はステップs6におけるUリブ17および当て板19付近を示す鋼床版13の縦方向に沿う断面図であり、図27は図26の切断面線XXVII−XXVIIから見た横断面図であり、図28は図27における差し込まれたハック形ボルト48付近の拡大断面図である。このステップs6では先ず、ハック形ボルト48が、全てのボルト挿通孔49,74に差し込まれて挿通される。
ステップs6では次に、当て板19のボルト挿通孔49a〜iの列におけるほぼ中央の位置で隣接する複数(たとえば2)のボルト挿通孔49e,f(前述の図9)に差し込まれたハック形ボルト48e、fのみを、一次締めする。
図29は図26のセクションXXIXa−XXIXaにおける切断面線XXIX−XXIXから見た断面図であり、図30は図29における一次締めされたハック形ボルト48eとその付近の拡大断面図である。差し込まれたハック形ボルト48の群のボルト列の中央付近にある、一次締めされる2本のハック形ボルト48e、fは、図26のセクションXXIXa−XXIXaに存在する。図29および図30には、これらの一次締めされたハック形ボルト48e、fが示される。ボルト列の中央付近の2本のハック形ボルト48e、fが一次締めされることによって、軸力が導入されて、Uリブ17と当て板19の第2接合部42とが摩擦接合される。この一次締めの摩擦接合によって、次のステップs7にけるTRS44の施工の際、すなわちデッキプレート14にTRS44のための支圧接合用下穴70(図36)、71(図40)を削孔し、さらにTRS44を締め込んで施工する際、ステップs4における当て板19の仮留めボルト47によるデッキプレート14の下面への仮留めと相俟って、当て板19がデッキプレート14に対して不所望に変位してがたつきを生じることが防がれる。したがって、TRS44の施工を高精度で達成することができるとともに、第2接合部42のボルト挿通孔49とウエブ15のボルト挿通孔74との位置ずれを起こすことが防がれる。ボルト挿通孔49,74に差し込まれて挿通され、一次締めされていないハック形ボルト48a〜d、g〜iも、この位置ずれを防ぐのに役立つ。
図31〜図33を参照して、ハック形ボルト48の構成と作用を説明する。図31は未使用のハック形ボルト48を示す断面図であり、図32はハック形ボルト48の全体の分解斜視図である。ハック形ボルト48は基本的に、軸部87とその軸部87の端部に形成された大径の頭部88とを有するピン89と、この軸部87に、頭部88から図31の右方の遊端部に向かって順次的に挿通される膨出変形用スリーブ91と、圧縮力伝達用スリーブ92と、シャーワッシャ93と、支持用ワッシャ94とを含み、さらにナット95を含む。軸部87には、その頭部88から遊端部に向かって、頭部88から軸線方向に離間した途中から順次的に、第1おねじ部96と、小径溝状の破断部97と、第2おねじ部98と、第3おねじ部99とが形成される。ナット95は、第3おねじ部99から第1および第2おねじ部96,98にわたって螺合することができる。膨出変形用スリーブ91は、圧縮力伝達用スリーブ92よりも低強度であり、軸線方向内方の圧縮力によって半径方向外方に膨出変形する。
シャーワッシャ93は、その内周部が圧縮力伝達用スリーブ92の図31の右方の端面に当接するとともに、その外周部が支持用ワッシャ94に受けられて、支持される。シャーワッシャ93の孔径D93a、圧縮力伝達用スリーブ92の外径D92および支持用ワッシャ94の孔径D94、シャーワッシャ93の外径D93bは、この順序で大きく選ばれる(D93a<D92<D94<D93b)。
図33は、ハック形ボルト48の一次締めおよび本締めの順次的な動作を説明する簡略化した断面図である。ハック形ボルト48は、シャーレンチ工具101を用いて、Uリブ17のウエブ15と、当て板19の第2接合部42とを、摩擦接合する。シャーレンチ工具101は、ナット95を回転する第1回転駆動部102と、第3おねじ部99に螺合して回転駆動する第2回転駆動部103とを含む。
図33(1)は、ハック形ボルト48を、図27、28に関連して前述したように、ボルト挿通孔49,74に差し込んだ状態を示す断面図である。この状態では、ピン89は、ボルト挿通孔49,74を挿通している。
図33(2)は、シャーレンチ工具101の第1および第2回転駆動部102、103によって、ナット95を、ピン89と相対的に回転駆動する状態を示す断面図である。これによって膨出変形用スリーブ91が、頭部88と、圧縮力伝達用スリーブ92およびシャーワッシャ93との間で、軸線方向内方に圧縮されて、Uリブ17の閉空間78内において膨出変形頭104が形成される。膨出変形頭104の外径は、ウエブ15のボルト挿通孔74の内径よりも大きい。
図33(3)は、ハック形ボルト48の一次締めの状態を示す断面図である。ナット95が、図33(2)の状態からさらに回転駆動されると、シャーワッシャ93は、圧縮力伝達用スリーブ92によって、厚み方向(図33(3)の左右方向)に剪断される。この状態では、ウエブ15と第2接合部42とは、膨出変形頭104と支持用ワッシャ94を介するナット95との間で、シャーワッシャ93の剪断に対応するピン89の軸力によって、当接されて、摩擦接合される。シャーワッシャ93の剪断後、さらにナット95が回転駆動されると、ピン89の軸力の導入が始まる。このシャーワッシャ93の剪断破壊時におけるハック形ボルト48e、fの軸力が発揮されている状態を、前述のとおり、一次締めと呼ぶ。
こうしてステップs6では先ず、全てのボルト挿通孔49,74にハック形ボルト48を図27,28のように差し込み、次に、一群のハック形ボルト48の列の中央付近におけるボルト挿通孔49e、fにおいてハック形ボルト48e,fを図30、図33(3)に示されるように、一次締めを行なう。
一次締めされるハック形ボルト48e、fは、前述の実施の形態では、ボルト列の中央の隣接される2本が選ばれたが、本発明の実施の他の形態では、ボルト列における中央の位置に関して、対称に間隔をあけて配置された複数本が選ばれてもよい。残余のハック形ボルト48a〜d;g〜iは、後述のステップs8で一次締めされる。
図33(4)は、後述のステップs9におけるハック形ボルト48の本締めによって、ウエブ15と第2接合部42との摩擦接合が完了した状態を示す断面図である。ステップs9において、ハック形ボルト48の本締めを達成するために、図33(3)の一次締めの後、ナット95の回転が阻止された状態で、第3おねじ部99が回転駆動され、当て板19の第2接合部42と、Uリブ17のウエブ15とに、ピン89のさらに大きな軸力が導入されてゆく。ピン89の予め定める軸力が導入されると、ナット95に軸線方向外方で破断部97がねじられて剪断破壊され、本締めが達成される。こうして、ハック形ボルト48の本締めによるウエブ15と当て板19の第2接合部42との摩擦接合が完了する。
本締めの後、ナット95から第1転駆動部102が脱せられ、剪断された第3おねじ部99は第2回転駆動部103から取り外される。ハック形ボルト48の本締めによるUリブ17のウエブ15と当て板19との摩擦接合された状態は、後述の図45にも示される。
ステップs7(図6)では、デッキプレート14と当て板19の第1接合部41との支圧接合を、当て板19の長手方向(図34の左右方向)の一端から他端へ(たとえば図34の左方から右方へ)、一方向に順次的に(すなわち、橋軸方向に間隔をあけて)、TRS44を1本ずつ施工することによって、行なってゆく。
図34は、デッキプレート14に、当て板19の第1接合部41に形成されている支圧接合用下穴45dの位置で、ボール盤62によって支圧接合用下穴70(図36)を削孔する状態を示す鋼床版13の縦方向に沿う断面図である。図34では、当て板19の前記一端から前記他端へ、TRS44a〜cの1本ずつによる順次的な施工によって、デッキプレート14と当て板19の第1接合部41との支圧接合が完了されている。
図35は、図34の切断面線XXXV−XXXVから見た断面図である。図34、35では、ドリル107を有するボール盤62の本体63が、当て板19の第1接合部41に磁気吸着して位置決め設定される。
図36は、図34におけるボール盤62のドリル107によって、デッキプレート14に支圧接合用下穴70を削孔する状態を示す断面図である。ドリル107は、第1接合部41に予め形成されている支圧接合用下穴45によって案内される。支圧接合用下穴70を削孔するドリル107は、その図36の上方の先端部が、前述のドリル67(図19)と同様に、舗装21を損傷しないように、当て板19の第1接合部41の下面に当接することができるストッパ68によって制限されて、操作される。削孔は、前記一方向の列線に沿って1個ずつ行ない、その1個の削孔した支圧接合用下穴70からの削孔屑を除去して清掃し、そこで支圧接合用下穴45、70へのTRS44の締め込みを実施する。こうして、この1本のTRS44について、支圧接合用下穴70の削孔、ならびにその削孔した支圧接合用下穴70および支圧接合用下穴45へのTRS44の締め込みを完了した後、前記一方向の列線に沿って隣接する次の1本のTRS44のための削孔、締め込みを前述のように行ない、このような各TRS44毎の作業を、前記一方向に順次的に繰返す。
図37は、図34の切断面線XXXVII−XXXVIIから見た断面図である。TRS44cによって、デッキプレート14と当て板19の第1接合部41とが支圧接合される。
図38はTRS44によってデッキプレート14と当て板19の第1接合部41とが支圧接合される構成を示す拡大断面図であり、図39はTRS44の平面図である。TRS44は、六角のボルト頭111と、座金部112と、軸部113とが一体的に形成され、その外表面はデッキプレート14および当て板19の鋼材よりも高硬度に表面処理加工される。軸部113には、その首下長さL113の全長にわたって、おねじ山114が刻設される。これによって、ボルト頭111に当て板19の第1接合部41およびデッキプレート14に向けて押し付け力を作用しながら回転駆動することによって、めねじ加工が施されていない支圧接合用下穴45、70に、めねじを自ら形成しながら進んで、めねじを塑性変形によって形成して、支圧接合を達成する。第1接合部41とデッキプレート14との隙間は、ほぼ零である。TRS44は、その軸線が支圧接合用下穴45,70の軸線とともに、共通な一直線上にあり、したがって、TRS44が締め込まれるとき、TRS44への曲げモーメントなどによる不所望な応力などが発生することが防がれる。
TRS44によれば、めねじの塑性変形は切削屑を生じないので、そのような切削屑がデッキプレート14の上方へ送り出されて舗装21を損傷することはない。また、補修の現場では、精度が低下しがちなねじ立て作業をする必要がないので、作業性が向上される。
図36、38を参照して、寸法の一例を述べると、TRS44をねじ込むための支圧接合用下穴45,70の内径D45,D70は、φ15.5mmである(D45=D70)。TRS44の外径D44はφ16mmである(D70<D44)。TRS44の首下長さL113は、たとえば20mmであり、デッキプレート14の厚みt14と当て板19の厚みt19との和以下に選ばれる(t19<L113≦(t19+t14))。したがって、図36、38に示されるとおり、支圧接合用下穴45、70は、デッキプレート14と当て板19の第1接合部41とを貫通する。また、図38に示されるとおり、TRS44を締め込んでその端部は、TRS44のボルト頭111の変位が座金部112を介して第1接合部41の下面によって制限された状態で、デッキプレート14の上面と同一面である。
TRS44の軸部113がデッキプレート14にねじ込まれる軸部113の軸線方向の長さ(=L113−t19)は、支圧接合強度を達成できる値に選ばれる。本発明の支圧接合によれば、デッキプレートの鋼材の厚みが薄く、そのためTRS44がねじ込まれる軸部113の軸長が比較的短く、デッキプレートと当て板との摩擦接合に必要な高い軸力を発揮できなくても、または軸力がなくても、支圧接合を確実に達成することができる。
ボール盤62によるデッキプレート14への支圧接合用下穴70の順次的な削孔の際、ボール盤62の本体63を当て板19の第1接合部41上に設置するために、第1接合部41上に部分的に突出している仮留めボルト47が支障になれば、仮留めボルト47を取り外す。
仮留めボルト47c、gの位置は、この実施の形態では、支圧接合すべきTRS44の位置と一致され、それらの仮留めボルト47c、gの位置にTRS44をねじ込むために、仮留めボルト47c、gを取り外す。
図40は、図34に示される仮留めボルト47gの取付けられた位置に、TRS44のための支圧接合用下穴71を削孔する操作手順を説明するための断面図である。図40(1)は、仮留めボルト47gを、当て板19の第1接合部41およびデッキプレート14から取り外した状態を示す断面図である。仮留めボルト47c、gに関して、仮留めボルト47が取外された後には、デッキプレート14には、仮留めボルト47によって仮留め用下穴69にめねじが切られて塑性変形しためねじ孔72が残る。
図40(2)は、当て板19の第1接合部41と、デッキプレート14とに、TRS44のための支圧接合用下穴61、71をそれぞれ削孔した状態を示す断面図である。図40(1)に示される仮留め用ボルト挿通孔46は、支圧接合用下穴61に拡径され、めねじ孔72は、支圧接合用下穴71に拡径されて形成される。図40(1)の仮留め用ボルト挿通孔46とめねじ孔72との各軸線は、共通な一直線上にあり、拡径された支圧接合用下穴61、71の各軸線も、その一直線上にある。支圧接合用下穴61、71は、仮留め用ボルト挿通孔46とめねじ孔72とをドリル刃先の位置決め用下穴として使用して、前述の図36と同様にボール盤62のドリル107によって削孔する。これらの支圧接合用下穴61、71の削孔時、図36に関連して前述したように、ドリル107による舗装21の損傷を防ぐ。
TRS44は、支圧接合用下穴61、71に、めねじを自ら形成しながら進んで、めねじを塑性変形によって形成して、支圧接合を達成する。こうして、デッキプレート14と当て板19の第1接合部41とのTRS44による支圧接合施工を行なう。
このようなステップs7の作業手順を要約すると、デッキプレート14へのTRS44の支圧接合用下穴70、71の削孔を、図34における当て板19の前記一端から前記他端へ、当て板19の第1接合部41に形成されている支圧接合用下穴45a、b、仮留め用ボルト挿通孔46c、支圧接合用下穴45d,e、f、仮留め用ボルト挿通孔46g、支圧接合用下穴45h,iの各位置で、1個ずつこの順序で行ない、その1個の削孔した支圧接合用下穴70、71から削孔屑を除去して清掃し、TRS44の締め込みを実施し、このような作業をTRS44の1本ずつ順次的に、繰返す。
図40を参照して、寸法の一例を述べると、仮留め用ボルト挿通孔46の内径D46は、φ12.5mmである。仮留め用下穴69の内径D69は、前述のとおり、φ11.5mmであり、ねじ孔72のねじ谷の径D72は、φ12mmである。TRS44のための支圧接合用下穴61、71の内径D61、D71は、いずれもφ15.5mmであり、TRS44の外径D44は、前述のとおり、φ16mmである(D69<D72<D46<D61、D61=D71=D70)。
ステップs8(図6)では、一次締めされていない全てのハック形ボルト48a〜d、g〜iについて、一次締めを行なう。
図41はステップs8におけるハック形ボルト48a〜d、g〜iの一次締め操作を説明するための鋼床版13の縦方向に沿う断面図であり、図42は図41の切断面線XLII−XLIIから見た断面図である。一次締めされたハック形ボルト48付近は、前述の図30に拡大して示される。当て板19の第2接合部42とUリブ17のウエブ15とに関連して、ハック形ボルト48a〜iの群のうち、その列の中央付近のセクションXXIXaにおけるハック形ボルト48e,fは、前述のステップs6において図29,30のとおり一次締めされている。一次締めされていない残余のハック形ボルト48a〜d、g〜iについて、それらの列の中央付近のセクションXXIXaから列線の両方向116,117に交互に、かつ中央から遠ざかる方向に、1または複数(この実施の形態では、たとえば2または1)本ずつ、一次締めを行なう。すなわち(1)図41に示されるハック形ボルト48のうち、セクションXXIXaから一方向116に隣接する2本のハック形ボルト48d,cを、この順序で一次締めを行ない、その後、(2)他方向117に隣接するハック形ボルト48g,hを、この順序で一次締めを行ない、(3)さらに一方向116のハック形ボルト48b,aを、この順序で一次締めを行ない、その後、(4)他方向117のハック形ボルト48iの一次締めを行なう。
ステップs9(図6)では、前述のステップs8において全てのハック形ボルト48の一次締めが完了した後、本締めを行なう。
図43はハック形ボルト48の本締めを行った後の状態を示す鋼床版13の縦方向に沿う断面図であり、図44は図43の切断面線XLIV−XLIVから見た断面図であり、図45は本締めされたハック形ボルト48付近の拡大断面図である。一次締めされた全てのハック形ボルト48を本締めする順序は、ステップs8において一次締めを行なう順序と同様である。すなわち(1)図43に示されるハック形ボルト48のうち、それらの列の中央付近の2本のハック形ボルト48e,fの本締めを行ない、(2)一方向116に隣接する2本のハック形ボルト48d,cを、この順序で本締めを行ない、その後、(3)他方向117に隣接するハック形ボルト48g,hを、この順序で本締めを行ない、(4)さらに一方向116のハック形ボルト48b,aを、この順序で本締めを行ない、その後、(5)他方向117のハック形ボルト48iの本締めを行なう。
このステップs9の後、ステップs7で本締めされたTRS44を、増し締めして、ボルト締結の信頼性をさらに向上するようにしてもよい。
ステップs10では、当て板19による補修個所の防食を行なう。防食のために、防錆塗料または合成樹脂調合塗料などを塗布する。
ステップs11(図46)では、TRS44およびハック形ボルト48の緩みを目視確認するためのマーキングを実施する。
図46は、TRS44のボルト頭111の緩み確認用マーキングを施した状態を示す斜視図である。ボルト頭111から当て板19の第1接合部41にわたって塗料119を線状に塗布してマーキングする。これによって、TRS44が本締め後、緩んだか否かを容易に目視確認することができる。同様なマーキングは、ハック形ボルト48のナット95に関連してもまた実施される。こうしてステップs12では、溶接金属18に代わる当て板19とTRS44とハック形ボルト48とによる補修を終了する。
前述の実施の形態のハック形ボルト48によれば、シャーワッシャ93の剪断破壊によって、TRS44の本締めによる支圧接合のために、ハック形ボルト48の一次締めの軸力が設定され、ピン89の破断部97の剪断破壊によって、ハック形ボルト48の本締めによる摩擦接合のために軸力が設定されるので、高精度の予め定める軸力を得る優れた作業性が達成される。本発明の実施の他の形態では、ハック形ボルト48に代えて、他の構成を有するワンサイドボルトが使用されてもよい。本発明の実施のさらに他の形態では、ハック形ボルト48などの一次締めと本締めとは、前記剪断破壊によってそれぞれ設定されなくてもよく、たとえば、ナット95もしくはボルトに加えるトルク、またはナット95もしくはボルトの回転角によって規定するようにしてもよい。
本発明の実施の他の形態では、TRS44に代えて、自らねじ切りをしつつ進み、めねじを弾性変形によって、または切削加工して形成して、ねじ接合するボルトまたはねじであってもよく、さらにまた、いわゆるスレッドフォーミングスクリュ、タッピンねじおよびタップボルトなどであってもよい。
図47は、本発明の実施の他の形態を示す断面図である。この実施の形態では、自らねじ切りをしながら進むTRS44に代えて、めねじが立てられているめねじ孔131,132に螺着される支圧接合用ボルト133が使用されて、デッキプレート14とUリブ17の第1接合部41との支圧接合が達成される。図47(1)は、支圧接合用ボルト133によって、デッキプレート14とUリブ17の第1接合部41とが支圧接合された状態を示す断面図である。支圧接合用ボルト133は、六角のボルト頭134と、座金部135と、軸部136とが一体的に形成される。ボルト133は、タップボルトとも呼ばれるボルトでもよく、その他のボルトでもよく、軸部136には、その首下長さの全長にわたって、おねじ山が刻設される。図47(1)に示されるボルト133による支圧接合は、図47(2)および図47(3)に示される操作の順に行なわれる。
図47(2)は、支圧接合用ボルト133のためのめねじ孔131,132を形成するために、デッキプレート14とUリブ17の第1接合部41とに、下穴138,139が削孔された状態を示す断面図である。当て板19の第1接合部41に予め形成された下穴138によって、ボール盤62のドリル141を案内し、デッキプレート14に下穴139を削孔する。ボール盤62のストッパ68は、ドリル141の先端部がデッキプレート14の上面に突出しないように制限して、舗装21の損傷を防ぐ。
図47(3)は、下穴138,139にタップを使用してめねじを立てて、めねじ孔131,132をそれぞれ形成した状態を示す断面図である。下穴138,139に刻設されためねじ孔131,132に共通に、ボルト133が螺着される。当て板19のデッキプレート14への仮留め、ならびに当て板19のハック形ボルト48の一次締めなどによる仮固定および摩擦接合などの操作、さらにその他の操作などは、前述の実施の形態と同様である。
寸法の一例を述べると、下穴138,139の内径D138、D139はいずれも,φ15.5mmであり、ボルト136の外径D136(図47(1))は、φ16mmである。
本発明の実施の他の形態では、図47(2)における当て板19の第1接合部41に予め形成された下穴138に代えて、めねじ内径がD138であるめねじが予め刻設されていてもよい。
図48は、本発明の実施の他の形態における縦リブ121〜125を示す断面図である。デッキプレート14を補剛する前述のUリブ17に代えて、これらの縦リブ121〜125であってもよい。図48(1)は丸形閉断面リブ121を示す断面図であり、図48(2)はV形閉断面リブ122を示す断面図であり、図48(3)はY形閉断面リブ123を示す断面図であり、図48(4)は平鋼開断面リブ124を示す断面図であり、図48(5)は山形鋼開断面リブ125を示す断面図である。
本発明の実施の他の形態では、前述のように、当て板を用いて補修する領域は、縦リブ支間長Lの領域だけでなく、その縦リブ支間長Lの領域に縦方向に横リブを介して隣接して横リブから縦方向に連続する予め定める長さにわたって延びる延長領域をも含む当て板範囲としてもよい。
本発明の実施のさらに他の形態では、Uリブ17側も、ハック形ボルト48によるほかに、TRSでもよく、または図47のように、めねじが立てられているめねじ孔131、132に螺着される支圧接合用ボルト133が使用されて、デッキプレート14とUリブ17の第1接合部41との支圧接合が達成される構成でもよい。
図49は、本発明の実施の他の形態を説明するための鋼桁橋における分配横桁部付近を示す一部の断面図である。上フランジ129の上には、コンクリート床版あるいはアスファルト舗装130が施されるので、垂直補鋼材127およびギャップ板128の上端には、それらの溶接金属に疲労亀裂が生じたとき、本発明に従う当て板およびTRSによって有利に補修することができる。疲労亀裂の発生位置は、図49において参照符131、132で示される。また、支承部の下端には、下フランジの下に支承があるので、支承部の下端を本発明に従う当て板およびTRSによって有利に補修することができる。
本発明は、前述の種類の橋だけでなく、吊橋、箱桁橋、トラス橋、鋼桁橋およびそのほかの種類の鋼床版を備える橋に関連して広範囲に実施することができる。本発明は、橋以外の鋼構造物などに関連しても実施することができる。
13 鋼床版
14 デッキプレート
15 ウエブ
16 フランジ
17 縦トラフリブ
18 溶接金属
19,39 当て板
21 舗装
41 第1接合部
42 第2接合部
43 屈曲部
44 スレッドローリングスクリュ(TRS)
45 支圧接合用下穴
46 仮留め用ボルト挿通孔
47 仮留めボルト
48 ハック形ワンサイドボルト
49 摩擦接合用ボルト挿通孔
61 支圧接合用下穴
69 仮留め用下穴
70、71 支圧接合用下穴
72 ねじ孔
74 摩擦接合用ボルト挿通孔

Claims (10)

  1. デッキプレートと、
    デッキプレートの下面に、デッキプレートとともに閉空間を形成し、上端部が橋軸方向に沿って延びる溶接金属によって接合される縦リブとを有する鋼床版の下面補修方法において、
    デッキプレートの下面に接合される第1接合部と、縦リブの側部に接合される第2接合部と、第1および第2接合部が連なる屈曲部とを有する当て板を準備し、
    溶接金属の亀裂が進展している亀裂範囲に隣接して連続する予め定める隣接範囲の溶接金属を切削し、亀裂範囲および隣接範囲を当て板による補修範囲とし、
    デッキプレートと第1接合部とに、内径が等しくかつ貫通する支圧接合孔を、橋軸方向に間隔をあけて、予めそれぞれ形成し、
    高力ボルトによって実現されるワンサイドボルトである支圧接合用ボルトの軸部の全長に、予め形成される支圧接合孔の内径を超える外径を有するおねじが刻設され、
    デッキプレートの下方でかつ第1接合部の下方から、
    支圧接合用ボルトを、デッキプレートと第1接合部との予め形成される支圧接合孔に、ねじ込むことによって、
    支圧接合用ボルトは、めねじを自ら形成しながら進み、
    支圧接合用ボルトを締め込んでその端部は、支圧接合用ボルトの頭部の変位が第1接合部の下面によって制限された状態で、デッキプレートの上面と同一面であり
    デッキプレートと第1接合部とを支圧接合し、
    デッキプレートの下方でかつ縦リブの外方から、縦リブの側部と第2接合部とを接合することを特徴とする鋼床版の下面補修方法。
  2. 前記支圧接合は、
    デッキプレートと第1接合部とに、前記支圧接合孔としての支圧接合用下穴を予めそれぞれ形成し、
    これらの支圧接合用下穴に、支圧接合用ボルトをねじ込むことによって達成することを特徴とする請求項1に記載の鋼床版の下面補修方法。
  3. 前記支圧接合は、
    デッキプレートと第1接合部とに、前記支圧接合孔としてのめねじ孔を予めそれぞれ形成し、
    これらのめねじ孔に、支圧接合用ボルトをねじ込むことによって達成することを特徴とする請求項1に記載の鋼床版の下面補修方法。
  4. 前記溶接金属の縦リブとの前記分断の前におけるデッキプレートと縦リブとの当接状態を、前記分断の後においても保つことを特徴とする請求項1〜3のうちの1つに記載の鋼床版の下面補修方法。
  5. 当て板は、少なくとも縦リブ支間長Lの領域に予め定める長さにわたって延びることを特徴とする請求項1〜4のうちの1つに記載の鋼床版の下面補修方法。
  6. 縦リブの側部と第2接合部との前記接合は、
    縦リブの側部と第2接合部とに予め形成した支圧接合孔に、第2接合部の外方から、めねじを自ら形成しながら進むもう1つの支圧接合用ボルトによることを特徴とする請求項1〜5のうちの1つに記載の鋼床版の下面補修方法。
  7. (a)デッキプレートと、
    (b)デッキプレートの下面に、デッキプレートとともに閉空間を形成し、上端部が橋軸方向に沿って延びる溶接金属によって接合される縦リブと、
    (c)デッキプレートの下面に接合される第1接合部と、縦リブの側部に接合される第2接合部と、第1および第2接合部が連なる屈曲部とを有する当て板とを含み、
    (d)溶接金属の亀裂が進展している亀裂範囲に隣接して連続する予め定める隣接範囲の溶接金属を切削し、亀裂範囲および隣接範囲を当て板による補修範囲とし、
    (e)デッキプレートと第1接合部とには、内径が等しくかつ貫通する支圧接合孔が、橋軸方向に間隔をあけて、予めそれぞれ形成され、
    (f)高力ボルトによって実現されるワンサイドボルトである支圧接合用ボルトであって、
    支圧接合用ボルトの軸部の全長に、予め形成される支圧接合孔の内径を超える外径を有するおねじが刻設され、
    デッキプレートの下方でかつ第1接合部の下方から
    支圧接合用ボルトを、デッキプレートと第1接合部との予め形成される支圧接合孔に、ねじ込むことによって、
    支圧接合用ボルトは、めねじを自ら形成しながら進み、
    支圧接合用ボルトを締め込んでその端部は、支圧接合用ボルトの頭部の変位が第1接合部の下面によって制限された状態で、デッキプレートの上面と同一面であり
    デッキプレートと第1接合部とを支圧接合する支圧接合用ボルトと、
    (g)デッキプレートの下方でかつ縦リブの外方から、縦リブの側部と第2接合部とを接合する接合手段とを含むことを特徴とする鋼床版。
  8. 当て板は、少なくとも縦リブ支間長Lの領域に予め定める長さにわたって延びることを特徴とする請求項7に記載の鋼床版。
  9. 前記接合手段は、もう1つのワンサイドボルトであることを特徴とする請求項7または8に記載の鋼床版。
  10. 前記接合手段は、
    縦リブの側部と第2接合部とに予め形成した支圧接合孔に、第2接合部の外方から、めねじを自ら形成しながら進むもう1つの支圧接合用ボルトであることを特徴とする請求項9に記載の鋼床版。
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