JP6478948B2 - ワンサイドボルトで縦リブとデッキプレートを接合した鋼床版構造を備える鋼橋 - Google Patents

ワンサイドボルトで縦リブとデッキプレートを接合した鋼床版構造を備える鋼橋 Download PDF

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本発明は、鋼橋に関し、特に、ワンサイドボルトで縦リブとデッキプレートを接合した鋼床版構造を備える鋼橋に関する。
本件明細書中の用語について、用語「タッピングボルト」は、接合される複数の部材の少なくとも一方におけるめねじ加工が施されていない下穴に、直接にねじ込むことによって、自らねじ切りをしつつ進み、めねじを塑性変形によって形成して、ねじ接合するボルトまたはねじであり、また、自らねじ切りをしつつ進み、めねじを弾性変形によって、または切削加工して形成して、ねじ接合するボルトまたはねじを含む。「タッピングボルト」は、スレッドローリングスクリュ(略称TRS(登録商標))、スレッドフォーミングスクリュ、タッピンねじ、タップボルトなどを含む概念として、解釈されなければならない。
用語「ワンサイドボルト」は、たとえば、タッピングボルトなどのように、接合される複数の部材を、片側からの施工によって支圧接合または摩擦接合などするボルトまたはねじを含む概念として、解釈されなければならない。
上下方向は、鋼床版が施工された橋梁における地上から見た方向であり、図面中のみの上下方向は、その図面を指摘する。
従来、橋床としての鋼床版は、軽量であり、架設が容易であり、施工を迅速に行なえるので、支間長が長い橋や軟弱な地盤上に架設される橋、あるいは工期短縮が求められる橋など特に都市内の多くの橋で有利に採用されてきている。
従来の典型的な鋼床版は、溶接継手部の疲労亀裂に起因して安全性や補修に関する大きな問題を招来する。鋼床版は、デッキプレートの下面に、橋軸方向である縦方向に沿って延びて補剛する閉断面縦トラフリブのウエブ上端部が連続すみ肉溶接によって溶接接合されて構成される。近時、鋼床版における前記溶接接合する溶接金属を破断させるビード貫通亀裂と呼ばれる疲労亀裂、およびその溶接部からデッキプレートに進展し貫通したデッキ貫通亀裂と呼ばれる疲労亀裂が数多く発見され、高速道路などの道路における橋を管理する上で、既設鋼床版の疲労対策が重要となっている。これらの亀裂は、当初は微小なため目視での視認が困難であり、また目視困難な部位に発生し、亀裂が相当長くなり発錆を伴う、あるいは舗装の著しい損傷、変状の発生に至らないと、見付けることが困難である。
そこで、閉断面縦リブを使用する新設の鋼床版では、デッキ貫通亀裂に対応して疲労耐久性の向上を図るために、平成24年改定の道路橋示方書は、輪荷重位置のデッキプレートの最小板厚を、それまでの12mmから16mmに見直して規定した。したがって、橋梁の死荷重が増加する、という問題がある。
他の従来技術は、前記溶接金属の疲労亀裂の発生、進展を抑制するために剛性の高い鋼繊維補強コンクリート(略称SFRC、Steel Fiber Reinforced Concrete)によって、床版剛性を確保する。縦リブが溶接接合されて補剛されたデッキプレートの上面には、ずれ止めのための多数のスタッドジベルが立設され、接着材によってSFRC舗装が接合され、表層にアスファルト舗装が施される(非特許文献1、2)。この従来技術のSFRC舗装の鋼床版では、スタッドジベルおよび接着材を使用するので、施工性が劣るだけでなく、更新補修時、舗装の剥離除去が困難であり、多くの労力、時間を必要とする、という問題がある。
既設の鋼床版における前記溶接金属の疲労亀裂を、たとえば電磁誘導、超音波によって探傷して検出し(特許文献1)、既設の鋼床版において発生、検出した溶接金属の疲労亀裂を補修する或る1つの工法は、たとえば特許文献2に開示される。亀裂補修のために、デッキプレート上に、アスファルト舗装を剥離した後、凹凸が連続した波板を配置し、その波板の谷部とデッキプレートとにわたって形成されたボルト挿通孔に、デッキプレートの下方からボルトを挿通し、デッキプレートの上方でナット締めして波板を摩擦接合によって固定し、波板に形成した孔からデッキプレートと波板との空間内にコンクリートを打設し、波板上に舗装用アスファルトを敷設して復旧する。
この従来の補修工法では、デッキプレートの上下両方から同時に補修作業をしなければならないので、作業中の交通規制が必要であり、作業性が劣り、アスファルト舗装が健全であっても亀裂補修のためには剥離しなければならない。その結果、前記溶接金属の疲労亀裂について、点検保守、維持管理のために多くの労力、時間を必要とする、という問題がある。したがって、前記疲労亀裂の発生、進展を根源から解消して、その補修をしなくてよい鋼床版の出現が望まれている。
村越他:既設鋼床版のSFRC舗装による補強工法の構造と耐久性評価に関する実験的検討、土木学会論文集A1、Vol.69、No.3、pp.416〜428、2013 (独)土木研究所他:鋼床版橋梁の疲労耐久性向上技術に関する共同研究(その2・3・4)報告書・SFRC舗装による既設鋼床版の補強に関する設計・施工マニュアル(案)、共同研究報告書、第395号、2009
特開2010−133835 特開2005−256462
本発明の目的は、従来の新設の鋼床版の前述の問題を一掃し、高品質を確保することができ、長期間にわたる点検保守、維持管理を容易にする鋼床版構造を備える鋼橋を提供することである。
本発明は、
縦桁3で支持される鋼床版1を備える鋼橋において、
(a)鋼床版1は、
(a1)デッキプレート10の下面に、橋軸方向に延びて橋軸直角方向に縦リブ間隔をあけて配置される第1複数の閉断面縦リブ20がデッキプレート10を補剛し、
デッキプレート10の下面に、橋軸直角方向に延びて橋軸方向に横リブ間隔をあけて配置される第2複数の各横リブ40のウエブ41がデッキプレート10を補剛し、
閉断面縦リブ20は、横リブ40との交差位置で横リブ40のウエブ41を貫通して連続し、
(a2)各閉断面縦リブ20は、
(a2−1)単一枚の鋼板が加工されて製造され、
橋軸方向に沿ってデッキプレート10に垂直な対称面21に関して左右対称に構成され、
(a2−2)デッキプレート10の下面とともに橋軸方向に延びる閉空間22を形成する縦リブ本体23であって、
(a2−2−1)単一の平板状下フランジ25、および
(a2−2−2)下フランジ25の両側部にそれぞれ連なって立上がる平板状ウエブ26を有し、
(a2−2−3)下フランジ25および各平板状ウエブ26が、閉空間22に臨んで凹の弯曲部分を介してそれぞれ連なる縦リブ本体23、および
(a2−3)デッキプレート10の下面に配置され、縦リブ本体23の各平板状ウエブ26の縦リブ本体上端部24にそれぞれ連なって閉空間22およびデッキプレート10に臨んで凸の弯曲部分を介して橋軸直角方向に外向きに形成される平板状取付けフランジ27を有し、
(a2−4)橋軸直角方向に隣接する閉断面縦リブ20の各縦リブ中心間距離Cは、橋軸直角方向にそれぞれ等しく、
(a3)デッキプレート10および各平板状取付けフランジ27を第3複数のタッピングボルト30によって、気密に支圧接合し、
各タッピングボルト30は、
デッキプレート10および平板状取付けフランジ27に厚さ方向に貫通して、橋軸方向に下穴間隔をあけて単一の列を成して、予めそれぞれ形成される直円筒形の各支圧接合用下穴14、28に、取付けフランジ27からデッキプレート10へ締め込まれてめねじを自ら形成しながらそれぞれ進み、
タッピングボルト30の端部は、デッキプレート10の上面に突出せず、
(a4)閉断面縦リブ20と横リブ40との前記交差位置で、
第1取付け片51と第2取付け片52とが屈曲して連なってL字状断面を有する連結部材50、
第1取付け片51から閉断面縦リブ20の平板状ウエブ26へ締め込まれて進み、閉断面縦リブ20の平板状ウエブ26と第1取付け片51とを支圧接合する交差位置用タッピングボルト55、および
横リブ40のウエブ41と第2取付け片52とを接合するボルト56を含み、
(a5)デッキプレート10の下面には、橋軸直角方向に隣接する閉断面縦リブ20の間で、横リブ40のウエブ41の横リブ上端部42が溶接接合され、
(a6)横リブ40のウエブ41には、
橋軸直角方向の横リブ上端部42に関して両側で、
縦リブ間隔スカラップ43が、
デッキプレート10の下面における平板状取付けフランジ27の橋軸直角方向外方位置(図5を参照。その図5(1)の一部XIの拡大である図11の右側の平板状取付けフランジ27の右方の位置、および図11の左側の平板状取付けフランジ27の左方の位置)から、図11、図13のとおり、橋軸直角方向に、平板状ウエブ26の縦リブ本体上端部24(すなわち、縦リブ本体23の平板状ウエブ26と前記凸の弯曲部分との連なる部分。図1)付近にまで連なり、かつ、図11、図13のとおり、タッピングボルト30のボルト頭31よりも下方に、形成され、
(a7)横リブ40のウエブ41の橋軸直角方向の端部には、外方スカラップ81が形成され、
この外方スカラップ81は、
横リブ40の橋軸直角方向最外方に配置される閉断面縦リブ20の縦リブ本体23の橋軸直角方向最外方にある縦リブ本体上端部24付近から、橋軸直角方向に、横リブ40のウエブ41の最外方にまで連なり、かつ、タッピングボルト30のボルト頭31よりも下方に、形成され、
(a8)横リブ40のウエブ41には、
スリット44が、図5、図11、図13、図20に示されるとおり、閉断面縦リブ20の縦リブ本体23の平板状下フランジ25および前記凹の弯曲部分の付近を外囲して形成され、
(a9)橋軸直角方向に隣接する各デッキプレート10は、当接されて溶接接合され、
(a10)橋軸直角方向に隣接する横リブ40の端部で相互に近接した閉断面縦リブ20は、前記縦リブ中心間距離Cと同一値をあけて配置され、
(b)縦桁3のウエブは、図5、図6、図20のとおり、デッキプレート10の下面に、橋軸直角方向の閉断面縦リブ20の間に配置されてデッキプレート10が縦桁3の上フランジを構成することを特徴とする鋼橋である。
本発明は、
支圧接合によって固定されたデッキプレート10と平板状取付けフランジ27との当接部分に、外方から塗布されて隙間を塞ぐシール材を、さらに含むことを特徴とする。
本発明によれば、鋼橋の鋼床版では、デッキプレートの下面に閉断面縦リブの取付けフランジが支圧接合ボルトであるタッピングボルトによって支圧接合されて、デッキプレートが補剛される。本発明では、従来の鋼床版におけるデッキプレートと縦リブとを接合する溶接継手が存在しないので、そのビード貫通亀裂およびデッキ貫通亀裂が発生せず、疲労亀裂に起因する前述の問題が根源から一掃され、鋼床版の長期間にわたる疲労耐久性が向上され、補修が不要となり、長期間にわたる点検保守、維持管理を容易にする新規で画期的な鋼床版が実現される。
本発明の鋼床版は、デッキプレートが縦リブと横リブとで補剛され、舗装が施されて構成される。鋼床版は、縦桁、横桁などの床組または主桁、主構などで支持される。横リブは、床組の横桁として兼用させることもできる。桁橋の構造要素の主構造は、典型的には、I桁(プレートガーダー)形式の縦桁を主桁とし、横リブからの荷重を縦桁に受けさせるものと、箱桁形式の主桁に横桁からの荷重を受けさせるものとがあり、これらの主桁は、荷重を、支承を介して下部構造に伝達する。本発明の鋼床版のデッキプレートは、これらの主桁の上フランジを構成してもよい。本発明の鋼床版を、トラス橋の床として使用することもできる。本発明の鋼床版は、このような、およびその他の構造形式の橋梁に関連して実施することができる。
本発明によれば、もともと溶接継手が存在しないので、溶接継手の疲労損傷に大きな悪影響を与える応力集中や溶接欠陥、残留応力がなく、デッキプレートへの疲労亀裂の進展などがなくなり、疲労耐久性の向上などの高品質の確保が容易である。そのため、輪荷重位置のデッキプレートの最小板厚を薄くでき、たとえば前述の道路橋示方書において規定される16mmよりも薄い示方書改定以前の12mmまたはそれ未満とすることができる。また、前述のSFRC舗装が不要となる。こうして、鋼床版の疲労問題を根本的に解決できるとともに、死荷重を大幅に軽減できる。
したがって、橋梁の構造要素、たとえば、床組、主桁、主構、さらに下部構造などを簡素化できる。耐荷力が減少した橋梁において、新しい基準に準じた耐震補強などの橋梁補強などが必要な場合、重い鉄筋コンクリート床版、プレストレストコンクリート床版などを、本発明の鋼床版に取り換えることによって、補強を不要とする、または、補強範囲を小さくすることができる。
本発明の鋼床版は鉄筋コンクリート床版などに比べて軽量であるので、路面を拡幅する場合でも、既存主桁の補強が不要、または補強範囲を小さくすることができる。
本発明の鋼床版を製造するには、工場で、たとえば水平に設置したデッキプレートの製造時における上面で支圧接合用下穴の削孔形成およびタッピングボルトの締め込みなどの作業を、作業者が、いわば下向き施工で行なうことができ、作業性が良好である。製造時におけるデッキプレートの上面は、橋床としての使用状態では、反転されて下面であり、製造時と使用状態とでは、上下逆となる。
支圧接合用下穴は、たとえば、本発明の実施の一形態では、後述の図10のように軸線方向に一様な円形断面を有する直円筒形である。取付けフランジに橋軸方向に等間隔をあけて列を成して、ボール盤などのドリル工具の刃物によって、複数の各支圧接合用下穴を予め形成しておく。取付けフランジの各支圧接合用下穴によって、ドリル工具の刃物を案内して、デッキプレートに、取付けフランジと対を成して対応する支圧接合用下穴を削孔する。これによって、取付けフランジとデッキプレートとにおける複数の対を成す各下穴は、同一内径で、共通な一直線上に軸線を有する。したがって、タッピングボルトを、取付けフランジからデッキプレートへ締め込んで進めてゆき、タッピングボルトは、自らねじ切りをしつつ進めて、めねじを塑性変形によって形成する。
こうして正確な位置に施工して、鋼床版を高精度で製造でき、その製造の作業性がよい。たとえ、製造時にタッピングボルトの施工を誤っても、そのボルトを取外すことができ、再施工することが、溶接接合に比べて容易である。本発明では、高度な品質管理が要求される溶接作業が不要であり、したがって、溶接の熱による変形の矯正作業や、溶接きずなどの検査あるいは補修などの溶接に伴う作業も不要となるため、製作工程の簡略化が期待できる。
本発明の実施の他の形態では、図22のように、取付けフランジとデッキプレートとに、複数の橋軸方向に沿って間隔をあけて、支圧接合用下穴である、めねじ孔を予めそれぞれ刻設して形成される。これらのめねじ孔にタッピングボルトを螺合することによって、デッキプレートと取付けフランジとの支圧接合が達成されるようにしてもよい。
デッキプレートと取付けフランジとの支圧接合は、タッピングボルトによって達成することができるので、高力ボルトと異なり、緩みのない接合が可能になる。鋼床版のタッピングボルトに関連する補修は、長期間にわたって、不要である。しかも、長期間にわたる鋼床版の使用によって、タッピングボルトに緩みが生じているかどうかの定期点検は、たとえば図23に関連して後述されるように、外部からの目視観察によって、容易である。
タッピングボルトは鋼床版の下方に臨むので、鋼床版の点検保守、維持管理などの作業を鋼床版の下方でのみ行なうことができる。たとえ、補修時に、タッピングボルトおよび縦リブの除去、取換えが必要になったとしても、あるいはまた、それまで使用してきたタッピングボルトを取外して、さらに大きな内径を有する新たな支圧接合用下穴を削孔し、新たな大径のタッピングボルトをねじ込んで新たな支圧接合をすることが必要になったとしても、それらの全ての作業を、鋼床版の下方でのみ行なうことができ、鋼床版のデッキプレートの上方での補修作業が不要である。したがって、交通規制が不要であり、タッピングボルトに関連する補修のために、デッキプレート上の健全なアスファルトなどの舗装を、剥離する必要がなく、補修作業に必要な時間を短縮することができ、コストを低減することができる。
支圧接合によれば、摩擦接合に比べて、タッピングボルトの高い軸力によるデッキプレートと縦リブの取付けフランジとの圧接力を必要としない。このような支圧接合は、デッキプレートの鋼材の厚さが小さく、そのためタッピングボルトがねじ込まれるめねじの軸長が比較的短く、デッキプレートと取付けフランジとの摩擦接合に必要な高い軸力を発揮できなくても、または軸力がなくても、確実に達成できる。支圧接合によれば、デッキプレートの下面と取付けフランジの上面との錆止め塗料などによる摩擦係数を管理する必要がなくなり、製造を簡素化することができる。必要な支圧力は、タッピングボルトの外径に依存し、このボルト径を大きくすることによって、必要なタッピングボルトの本数を減少することができる。支圧接合は、タッピングボルトのねじ込みによって完了し、希望する支圧強さを得ることができるので、この観点からも、鋼床版の製造作業を簡素化できる。デッキプレート自体に、またはその表面に凹凸が存在していても、タッピングボルトによる支圧接合を確実に達成することが容易に可能である。
縦リブは、取付けフランジから下方に連なって延びるウエブを有する閉断面リブまたは開断面リブなどでもよい。デッキプレート、縦リブなどは、構造用鋼から成る。タッピングボルトは、高力ボルトなどの高張力鋼製であってもよいが、他の材料から成ってもよい。
本発明によれば、縦リブの縦リブ本体は、下フランジとその両側部のウエブとがU字状である、下フランジが平坦な、たとえば逆台形の横断面形状をなすUトラフ形でもよいが、その他の閉断面形状(図24(1))を有してもよく、下フランジを有さなくてもよい(図24(2)、図24(3))。
本発明によれば、デッキプレートと取付けフランジとには、直円筒形(図10)の支圧接合用下穴だけを形成すればよく、その下穴にめねじ孔を刻設して形成する必要がないので、製造作業が簡素化される。
本発明によれば、デッキプレートと取付けフランジとは、片側から施工されるワンサイドボルトであるタッピングボルトによって支圧接合され、そのタッピングボルトの端部はデッキプレートの上面に突出しない。したがって、タッピングボルトの端部は、アスファルトなどの舗装内に入り込まず、舗装の層厚を小さくでき、また舗装を損傷せず、舗装の更新補修のための剥離および施工の作業を妨げない。舗装は、アスファルトだけでなく、その他の材料から成ってもよい。
タッピングボルトによる塑性変形または弾性変形を伴う気密な支圧接合は、路面の排水がデッキプレートの上面から下方へ、貫通した下穴を経て漏れ出すことを阻止する。デッキプレート上の防水層11(図1)の防水機能が経年劣化で損なわれても、デッキプレート裏面側に水が漏れ出さない。
デッキプレートの支圧接合用下穴および取付けフランジの支圧接合用下穴はいずれも、貫通孔であるので、未貫通孔の場合の孔底の応力集中が生じることはなく、また内周面の表面加工仕上げおよびバリ取り加工が容易であり、タッピングボルトの支圧接合を高精度で達成でき、このことによっても、耐久性の向上が図られる。本発明の実施の他の形態では、デッキプレートの支圧接合用下穴は、デッキプレートを厚さ方向に貫通せず、底を有してもよい。
本発明によれば、縦リブと横リブとの交差位置で、L字状断面を有する連結部材の第1取付け片から縦リブのウエブへ交差位置用タッピングボルトが締め込まれて、縦リブのウエブと第1取付け片とを支圧接合し、横リブのウエブと第2取付け片とを摩擦接合または支圧接合するので、縦リブからの剪断力を連結部材を経て横リブのウエブへ確実に伝えて縦桁である主桁などに受けさせることができる。交差位置用タッピングボルトは、前述のデッキプレートおよび取付けフランジを支圧接合するタッピングボルトと同様に支圧接合を達成する。交差位置用タッピングボルトは、縦リブの外方からの締め込み作業によってボルト接合できる、片側から施工されるワンサイドボルトであるので、製造の作業性が良好である。
横リブのウエブと第2取付け片とを接合するボルトは、第2取付け片と横リブのウエブとを挿通してナットと螺合して摩擦接合する構成であってもよいが、第2取付け片と横リブのウエブとに形成された支圧接合用下穴に締め込まれて支圧接合するタッピングボルトであってもよい。連結部材は、横リブのウエブに関して、橋軸方向の一方に設けられてもよいが、橋軸方向の他方にも併せて設けられてもよい。
縦リブと連結部材の第1取付け片とは、交差位置用タッピングボルトによって支圧接合され、横リブと連結部材の第2取付け片とは、タッピングボルトによって支圧接合され、またはボルトとナットとの組合せによって摩擦接合される。そのため、縦リブと横リブとは、高い強度で接合される。縦リブと横リブとの交差位置における溶接接合は存在しないので、横リブに形成される、縦リブの直下方のスリット44(図11、図13)付近において、従来技術の溶接止端部を起点として縦リブまたは横リブに発生する疲労亀裂の問題が解消される。この観点からも、疲労耐久性に優れた鋼床版が実現される。
従来技術の鋼床版では、デッキプレートと閉断面縦リブのウエブの上端部とを接合する溶接継手、および縦リブと横リブとの交差位置における溶接継手が、疲労亀裂を特に発生、進展させ易いことが判っている。本発明は、従来技術における、これら2個所での溶接金属の疲労亀裂の問題を一掃し、長期間にわたる疲労耐久性を向上し、補修を不要とし、点検保守、維持管理を容易にする。
本発明によれば、
前述の鋼床版を橋床として備える上部構造を、支承を介して、下部構造によって支持させる鋼橋の構造形式または構造形態が、実現される。
本発明の工法によれば、鋼床版は、デッキプレート上に舗装が施されて橋床とされ、床組または主桁、主構などとともに上部構造を構成する。この上部構造を、支承を介して、下部構造によって支持させる。こうして、橋梁が架設される。
本発明の実施の一形態の橋梁の鋼床版1を示す一部の橋軸に垂直な切断面から見た切断部端面図である。 鋼床版1を示す橋軸に沿う切断面から見た断面図である。 図2の縦リブ20を示す平面図である。 図2の縦リブ20を示す底面図である。 図5(1)および図5(2)の配置を示す図である。 鋼床版1を使用する橋梁の一部を橋軸に垂直な切断面から見た断面図である。 鋼床版1を使用する橋梁の一部を橋軸に垂直な切断面から見た断面図である。 図5(1)および図5(2)の切断面線VI−VIから見た鋼床版1を簡略化して示す断面図である。 図7(1)〜図7(3)の配置を示す図である。 鋼床版1を使用する橋梁の一部を橋軸に垂直な切断面から見た断面図である。 鋼床版1を使用する橋梁の一部を橋軸に垂直な切断面から見た断面図である。 鋼床版1を使用する橋梁の一部を橋軸に垂直な切断面から見た断面図である。 図8(1)〜図8(3)の配置を示す図である。 鋼床版1を使用する橋梁の一部を橋軸に沿う切断面から見た縦桁3を示す断面図である。 鋼床版1を使用する橋梁の一部を橋軸に沿う切断面から見た縦桁3を示す断面図である。 鋼床版1を使用する橋梁の一部を橋軸に沿う切断面から見た縦桁3を示す断面図である。 タッピングボルト30がデッキプレート10および取付けフランジ27を支圧接合している構成を、鋼床版1が橋梁に使用されている状態で、示す拡大断面図である。 工場における鋼床版1の製造時、橋床としての使用状態とは上下方向が逆である姿勢で、デッキプレート10に削孔する作業を説明するための断面図である。 図5のセクションXIを拡大して示す断面図である。 連結部材50を示す斜視図である。 図5のセクションXIIIを拡大して示す断面図である。 図7のセクションXIVを拡大して示す断面図である。 図14の切断面線XV−XVから見た断面図である。 図14の切断面線XVI−XVIから見た断面図である。 図16の切断面線XVII−XVIIから見た断面図である。 ハンドホール62を蓋部材72によって閉じて図17の状態にする作業の操作を説明するための断面図である。 図8のセクションXIXを拡大して示す断面図である。 図20(1)および図20(2)の配置を示す図である。 本発明の実施の他の形態における鋼床版1を使用する橋梁の一部を橋軸に垂直な切断面から見た、前述の図5(1)に対応する断面図である。 本発明の実施の他の形態における鋼床版1を使用する橋梁の一部を橋軸に垂直な切断面から見た、前述の図5(2)に対応する断面図である。 図20のセクションXXIを拡大して示す断面図であり、前述の図13に対応する。 本発明の実施のさらに他の形態の鋼床版1におけるタップボルト130によって、デッキプレート10と縦リブ20の取付けフランジ27とが支圧接合している構成を、鋼床版1が橋梁に使用されている状態で、示す拡大断面図である。 工場における鋼床版1の製造時、図22(1)の橋床としての使用状態とは上下が逆である姿勢で、縦リブ20の取付けフランジ27に予め形成された直円筒形下穴128によって、ドリル工具16の刃物17を案内し、デッキプレート10に直円筒形下穴114を削孔する状態を示す断面図である。 図22(1)の上下を逆にした図22(2)における下穴128、114に、タップを使用してめねじを立てて、めねじ孔129、115をそれぞれ形成した状態を示す断面図であり、工場の製造時の状態である。 タッピングボルト30のボルト頭31の緩み確認用マーキングを施した状態を示す斜視図である。 本発明の実施の他の各形態における閉断面縦リブ20a〜20cをそれぞれ示す断面図である。
図1は、本発明の実施の一形態の橋梁の鋼床版1を示す一部の橋軸に垂直な切断面から見た切断部端面図である。鋼床版1は、デッキプレート10と、デッキプレート10を補剛する閉断面縦リブ20と、タッピングボルト30と、デッキプレート10を補剛する横リブ40(後述の図5、図6)とを含んで構成される。
図2は鋼床版1を示す橋軸に沿う切断面から見た断面図であり、図3は図2の縦リブ20を示す平面図であり、図4は図2の縦リブ20を示す底面図である。図1〜図4は、縦リブ20を単一の横リブ中心間距離である縦リブ支間長Lについて、同一縮尺で示し、図2〜図4の省略部分は、図面上24cmである。縦リブ20は、図1の紙面に垂直な、したがって、橋軸方向(図1の紙面に垂直な方向、図2〜図4の左右方向)に沿ってデッキプレート10に垂直な対称面21に関して左右対称に構成され、デッキプレート10の下面とともに橋軸方向(図1の紙面に垂直な方向、図2の左右方向、図3、図4の上下方向)に延びる閉空間22を形成する縦リブ本体23と、縦リブ本体23の上端部24にそれぞれ連なって橋軸直角方向(図1の左右方向、図2の紙面に垂直な方向、図3、図4の左右方向)に外向きに形成され、デッキプレート10の下面に配置される平板状取付けフランジ27とを有する。縦リブ本体23は、平板状下フランジ25と、下フランジ25の両側部にそれぞれ連なって立上がる平板状ウエブ26とが、丸みをおびた円弧状であって閉空間22に臨んで凹の弯曲部分を介して連なって、全体の横断面形状が逆台形をなすUトラフ形である。取付けフランジ27は、縦リブ本体23、したがって各ウエブ26の上端部24に、丸みをおびた円弧状であって閉空間22およびデッキプレート10に臨んで凸の弯曲部分を介してそれぞれ連なって橋軸直角方向に外向きに形成される。図3の平面図では、縦リブ20の内周面において、前記凹の弯曲部分が下フランジ25とウエブ26とにそれぞれ連なる橋軸方向に延びる接線と、前記凸の弯曲部分がウエブ26と取付けフランジ27とにそれぞれ連なる橋軸方向に延びる接線とが実線で示される。図4の底面図では、縦リブ20の外周面において、前記凹の弯曲部分が下フランジ25とウエブ26とにそれぞれ連なる橋軸方向に延びる接線と、前記凸の弯曲部分がウエブ26と取付けフランジ27とにそれぞれ連なる橋軸方向に延びる接線とが実線で示される。
縦リブ20は、たとえば、図1〜図4に明らかに示されるとおり、単一枚の構造用鋼板を冷間プレス加工またはロール成形加工して1工程で容易に製造することができる。デッキプレート10上には、アスファルト舗装13が施工される。このアスファルト舗装13は、ごく薄い接着層(図示省略)、グースアスファルトなどから成る防水層11および改質アスファルトなどから成る舗装本体上層12が、下から上に、この順序で形成されて、構成される。
タッピングボルト30は、橋軸方向に等間隔をあけて第3複数個配置され、取付けフランジ27からデッキプレート10へ締め込まれて進み、デッキプレート10および取付けフランジ27を支圧接合によって固定する。
図5は鋼床版1を使用する橋梁の一部を橋軸に垂直な切断面から見た断面図であり、図6は図5(1)および図5(2)の切断面線VI−VIから見た鋼床版1を簡略化して示す断面図であり、図7は鋼床版1を使用する橋梁の一部を橋軸に垂直な切断面から見た断面図である。図面の簡略化のために、正面から見たボルト、ナットを円または点で描き、側面から見たボルト、ナットの組合せを線分で描くことがあり、さらにボルト、ナットおよびその他の部材の図示を省略することもある。各図の縮尺は、異なることがある。
デッキプレート10の下面には、橋軸方向(図5の紙面に垂直な方向、図6の左右方向)に延びる第1複数(たとえば6個)の各縦リブ20が、橋軸直角方向にそれぞれ等しい縦リブ中心間距離C(図5)をあけて、縦リブ間隔をあけて、前述のとおりタッピングボルト30によって固定される。デッキプレート10の下面にはまた、橋軸直角方向に延びる横リブ40が、橋軸方向に横リブ間隔をあけて第2複数個(たとえば7個)配置され、横リブ40のウエブ41の上端部42が溶接接合される。縦リブ20は、縦リブ20と横リブ40との交差位置で、横リブ40のウエブ41を貫通して連続し、連結部材50(図11)によって連結される。橋軸方向に隣接する縦リブ20は、縦リブ継手60によって連結される。橋軸直角方向に隣接する横リブ40は、横リブ継手80によって連結される。
図8は、鋼床版1を使用する橋梁の一部を橋軸に沿う切断面から見た縦桁3を示す断面図である。鋼床版1の横リブ40は、主桁としてのI桁(プレートガーダー)形式の縦桁3によって支持される。橋軸方向に隣接する縦桁3は、縦桁継手90によって連結される。縦桁3のウエブには、垂直補剛材8が設けられる。こうして鋼床版1を橋床として備えて構成される上部構造5の組立て体は、支承6を介して、橋台、橋脚を含む下部構造7によって支持される。
図9は、タッピングボルト30がデッキプレート10および取付けフランジ27を支圧接合している構成を、鋼床版1が橋梁に使用されている状態で、示す拡大断面図である。鋼床版1は、工場では、図9の上下を逆にした状態で、タッピングボルト30が取付けフランジ27からデッキプレート10へねじ締め込まれて進み、製造される。タッピングボルト30は、六角のボルト頭31と、座金部32と、軸部33とが一体的に形成され、その外表面はデッキプレート10および取付けフランジ27の鋼材よりも高硬度に表面処理加工される。軸部33には、その首下長さL33の全長にわたって、おねじ山34が刻設される。これによって、ボルト頭31に、取付けフランジ27およびデッキプレート10に向けて押し付け力を作用しながら回転駆動することによって、軸部33は、めねじ加工が施されていない取付けフランジ27の支圧接合用下穴28と、めねじ加工が施されていないデッキプレート10の支圧接合用下穴14とに、めねじを自ら形成しながら進んで、めねじを塑性変形によって形成して、支圧接合を達成する。取付けフランジ27とデッキプレート10との隙間は、ほぼ零である。タッピングボルト30は、その軸線が、対を成す同一内径である各支圧接合用下穴14,28の軸線とともに、共通な一直線上にあり、したがって、タッピングボルト30が締め込まれるとき、タッピングボルト30への曲げモーメントなどによる不所望な応力などが発生することが防がれる。
タッピングボルト30によれば、めねじの塑性変形は切削屑を生じない。
タッピングボルト30の軸部33のボルト頭31とは反対側(図9の上方)の端部35は、デッキプレート10の上面に突出せず、すなわち、デッキプレート10の上面と実質的に面一であり、たとえばタッピングボルト30の首下長さL33の製作精度分10-1 mmオーダーだけが、デッキプレート上面から凹凸となる。タッピングボルト30の端部35は、デッキプレート10の上面よりも凹んでいてもよい。したがって、ボルト30の端部35は、アスファルト舗装13内に入り込まないので、舗装13の層厚は小さいままでよく、また舗装13を損傷することはない。ボルト30の端部35がデッキプレート10の上面に突出しないので、舗装13の更新補修のための剥離および施工の作業を妨げることはない。
取付けフランジ27を含む縦リブ20の厚さをt20とするとき、タッピングボルト30の軸部33がデッキプレート10にねじ込まれる軸部33の軸線方向の長さ(=L33−t20)は、支圧接合強度を達成できる値に選ばれる。本発明の支圧接合によれば、デッキプレート10の鋼材の厚さが薄く、そのためタッピングボルト30がねじ込まれる軸部33の軸長が比較的短く、デッキプレート10と取付けフランジ27との摩擦接合に必要な高い軸力を発揮できなくても、または軸力がなくても、支圧接合を確実に達成することができる。
図10は、工場における鋼床版1の製造時、橋床としての使用状態とは上下方向が逆である上下逆姿勢で、水平に設置したデッキプレート10に削孔する作業を説明するための断面図である。鋼床版1は、橋梁における使用時を示す図2、図5、図9などとは、上下方向を逆にした図10の姿勢で組立てられて製造される。取付けフランジ27には、橋軸方向に等しい下穴間隔をあけて第3複数(たとえば21個)の支圧接合用下穴28が、図2〜4に示されるとおり、単一の列を成して予め形成される。デッキプレート10は、定盤または加工台15の上に水平に設置される。デッキプレート10上の支圧接合するべき予め定める位置に、縦リブ20の取付けフランジ27を乗載し、デッキプレート10と縦リブ20とを、固定治具によって、ずれないように一時的に固定する。固定治具は、たとえば、磁石の磁力を利用してデッキプレート10と縦リブ20とを相互の近接方向に磁気吸着する構成でもよく、デッキプレート10と縦リブ20とを相互の近接方向に圧接力を作用して挟持する構成でもよく、または、その他の構成によって実現されてもよい。
デッキプレート10上で一時的に固定された縦リブ20の取付けフランジ27に予め削孔されている支圧接合用下穴28によって、ドリル工具16の刃物17を案内して、取付けフランジ27の直下方のデッキプレート10に、取付けフランジ27の各支圧接合用下穴28と対を成す支圧接合用下穴14を、橋軸方向に順次的に削孔する。
図10の上下逆姿勢での製造時、デッキプレート10の上面に、縦リブ20の取付けフランジ27が支圧接合される。この支圧接合によって、閉断面縦リブ20は、デッキプレート10を補剛し、前記上下逆姿勢におけるデッキプレート10の上面とともに橋軸方向に延びる閉空間22を形成する。さらに、横リブ40が固定されて鋼床版1が完成される。この鋼床版1に縦桁3が取付けられて上部構造5の組立て体が得られる。この組立て体は、橋梁の工場から施工現場へ運搬され、図10の上下逆姿勢でデッキプレート10の水平な状態から上下を逆に反転して、橋梁の架設作業が行なわれる。
具体的な寸法の一例を述べる。本発明は、これらの寸法に限定的に解釈されるべきでない。図1、図2において、一対の取付けフランジ27の両側端間の全幅の距離Aは482mmであり、下フランジ25の幅Bは144mmであり、取付けフランジ27の上面と下フランジ25の下面との間の高さHは240mmであり、図2〜図4示される縦リブ20の単一の支間長L(図2)は2mである。図5〜図7の単一ブロックの鋼床版1において、デッキプレート10の橋軸方向の長さLa(図6、図7)は14mであり、橋軸直角方向の幅D(図5、図6)は3.6mである。デッキプレート10に固定される各縦リブ20は、デッキプレート10の長さLaに延びる。横リブ40の数は、前述のとおり縦リブ支間長Lが2mであるので、7(=14/2)である。橋軸直角方向に隣接する中心間距離C(図5、図13)は600mmである。
縦リブ20の厚さt20(図9)は6mm(8mmの場合もあり)であり、デッキプレート10の厚さt10(図9)は12mm(14mmあるいはそれを上回る、たとえば16mmなどの場合もあり)である。
支圧接合用下穴28、したがってタッピングボルト30の橋軸方向のボルトピッチは、65mm間隔を標準とし、よって、タッピングボルト30は15本/mで螺着され、図1〜図4の縦リブ支間長Lでは、タッピングボルト30のための支圧接合用下穴28は、30個である。
タッピングボルト30のおねじ山34の外径D34(図10)はφ16mmである。支圧接合用下穴14、28の内径D14、D28はいずれもφ15.5mm(D14=D28、D14<D34、D28<D34)である。タッピングボルト30首下長さL33(図9)は、たとえば18mm(=6+12)であり、縦リブ20の厚さt20とデッキプレート10の厚さt10との和以下に選ばれる(t20<L33≦(t20+t10))。
本発明の実施の他の形態では、デッキプレート10の支圧接合用下穴14と、取付けフランジ27の支圧接合用下穴28とは、他の方法で削孔されてもよい。対を成す支圧接合用下穴14、28は、それらの内径が対ごとに異なってもよく、橋軸方向に列を成していなくてもよい。
図11は、図5のセクションXIを拡大して示す断面図である。縦リブ20は、横リブ40との交差位置で、横リブ40のウエブ41を貫通して連続する。縦リブ20と横リブ40とは、それらの交差位置で連結部材50によって連結される。
従来の溶接による縦リブウエブ26と横リブウエブ41の接合では、溶接部の止端を起点とする疲労亀裂の発生が多数確認されている。本発明では、この溶接による接合なくし、ボルト接合とすることによって、疲労亀裂の発生要因を根本から排除できることとなり、疲労亀裂の発生の心配のない構造を実現できる。すなわち、ここでも溶接を用いないため、従来の溶接構造で多発している溶接部からの疲労亀裂発生を根本的に防止できる。
図12は、連結部材50を示す斜視図である。連結部材50は、第1および第2取付け片51、52を有し、L字状断面を有するアングル材から成る。第1取付け片51には、複数(たとえば2)の支圧接合用下穴53が形成される。第2取付け片52には、複数(たとえば2)のボルト挿通孔54が形成される。交差位置用タッピングボルト55は、第1取付け片51の各支圧接合用下穴53から縦リブ20のウエブ26に形成された支圧接合用下穴へ、締め込まれて第1取付け片51とウエブ26とを支圧接合する。ボルト56は、各第2取付け片52のボルト挿通孔54と横リブ40のウエブ41に形成されたボルト挿通孔とを挿通し、ナットが螺合して第2取付け片52とウエブ41とを摩擦接合する。交差位置用タッピングボルト55の支圧接合は、前述のデッキプレート10および取付けフランジ27を支圧接合するタッピングボルト30による支圧接合と同様である。交差位置用タッピングボルト55は、縦リブ20の外方からの締め込み作業によってボルト接合できるので、製造の作業性が良好である。
交差位置用タッピングボルト55に代えて、摩擦接合のためのワンサイドボルトである、いわゆるハック(Huck)形ワンサイドボルト(以下ハック形ボルトと略称する)であってもよい。ハック形ボルトは、たとえばナットまたはボルト軸部の回転トルクによって、締め付け側と反対側にボルト頭を形成し、その後、予め定める軸力が達成されたとき、ボルト軸部の小径破断部が剪断する構成を有している。
すなわち、ハック形ボルトは基本的に、軸部とその軸部の端部に形成された大径の頭部とを有するボルト軸部であるピンと、この軸部に、頭部から締め付け側である遊端部に向かって順次的に挿通される膨出変形用スリーブと、圧縮力伝達用スリーブと、シャーワッシャと、支持用ワッシャとを含み、さらにナットを含む。軸部には、その頭部から遊端部に向かって、頭部から軸線方向に離間した途中から順次的に、第1おねじ部と、小径溝状の破断部と、第2おねじ部と、第3おねじ部とが形成される。ナットは、第3おねじ部から第2および第3おねじ部にわたって螺合することができる。膨出変形用スリーブは、圧縮力伝達用スリーブよりも低強度であり、軸線方向内方の圧縮力によって半径方向外方に膨出変形する。シャーワッシャは、その内周部が圧縮力伝達用スリーブにおける軸部の遊端部側の端面に当接するとともに、その外周部が支持用ワッシャに、したがって、ナットに受けられて、支持される。シャーレンチ工具は、ナットを回転する第1回転駆動部と、第3おねじ部に螺合して回転駆動する第2回転駆動部とを含む。
シャーレンチ工具の第1および第2回転駆動部によって、ナットを、ピンと相対的に回転駆動する。これによって膨出変形用スリーブが、頭部と、圧縮力伝達用スリーブおよびシャーワッシャとの間で、軸線方向内方に圧縮されて、締め付け側と反対側である縦リブ20の閉空間22内において、ボルト頭である膨出変形頭が形成される。膨出変形頭の外径は、ウエブ26のボルト挿通孔の内径よりも大きい。ナット95が、さらに回転駆動されると、シャーワッシャは、圧縮力伝達用スリーブによって、厚み方向に剪断される。この状態では、ウエブ26と第1取付け片51とは、膨出変形頭と支持用ワッシャを介するナットとの間で、シャーワッシャの剪断に対応するピンの軸力によって、当接されて、摩擦接合される。シャーワッシャの剪断後、さらにナットが回転駆動されると、ピンの軸力の導入が始まる。このシャーワッシャの剪断破壊時におけるハック形ボルトの軸力が発揮されている状態を、一次締めと呼ぶ。
ハック形ボルトの本締めを達成するために、一次締めの後、ナットの回転が阻止された状態で、第3おねじ部が回転駆動され、第1取付け片51と、縦リブ20のウエブ26とに、ピンのさらに大きな軸力が導入されてゆく。ピンの予め定める軸力が導入されると、ナットに軸線方向外方で破断部がねじられて剪断破壊され、本締めが達成される。こうして、ハック形ボルトの本締めによるウエブ26と第1取付け片51との摩擦接合が完了する。本締めの後、ナットから第1転駆動部が脱せられ、剪断された第3おねじ部は第2回転駆動部から取り外される。
連結部材50は、横リブ40のウエブ41に関して、橋軸方向の一方に設けられてもよいが、橋軸方向の他方にも併せて設けられてもよい。
横リブ40のウエブ41の上端部42は、デッキプレート10の下面にすみ肉溶接されて固定される。縦リブ20からの荷重は、確実に横リブ40に伝えられて、縦桁3の支持桁などに支持させることができる。ウエブ41には、取付けフランジ27付近にスカラップ43が設けられ、下フランジ付近にスリット44が設けられる。
本発明の実施の他の形態では、第2取付け片52と横リブ40のウエブ41とを挿通するボルト56にナットを螺合して摩擦接合を達成する構成に代えて、第2取付け片52から横リブ40のウエブ41へ締め込まれるタッピングボルトによる支圧接合であってもよい。
図13は、図5のセクションXIIIを拡大して示す断面図である。図13には、橋軸直角方向(図13の左右方向)に隣接する鋼床版1の横リブ40を接合する横リブ継手80が示される。橋軸直角方向に隣接する鋼床版1のデッキプレート10は、当接されて溶接接合される。横リブ40のウエブ41の各遊端部は、隣接するデッキプレート10に臨むスカラップ81を有する。
横リブ40のウエブ41の各遊端部には、添接部材83、84がそれぞれ当接される。添接部材83、84と横リブ40のウエブ41とを挿通するボルト85、86にナットを螺合して摩擦接合し、横リブ40が橋軸直角方向に連結される。横リブ継手80において、図13における各鋼床版1の橋軸直角方向に隣接する縦リブ20もまた、図5に関連して前述した縦リブ中心間距離Cと同一値をあけて配置される。添接部材83は、橋軸直角方向に隣接する連結部材50相互間の距離に対応して、添接部材84よりも小さい幅に選ばれ、添接部材83、84の大小に応じて、ボルト85、86の本数の大小が定められる。
添接部材83、84は、ウエブ41の一方面(図13の紙面上方に臨む面)と他方面(図13の紙面下方に臨む面)にも併せて設けられ、共通のボルト85、86とナットによって固定される。本発明の実施の他の形態では、ボルト85、86とナットとによる摩擦接合に代えて、添接部材83、84とウエブ41とに形成された支圧接合用下穴に締め込まれるタッピングボルトによる支圧接合であってもよい。
デッキプレート10の下面には、橋軸直角方向に隣接する閉断面縦リブ20の間で、横リブ40のウエブ41の横リブ上端部42が溶接接合される。
横リブ40のウエブ41には、橋軸直角方向の横リブ上端部42に関して両側で、縦リブ間隔スカラップ43が、デッキプレート10の下面における平板状取付けフランジ27の橋軸直角方向外方位置(図5を参照。その図5(1)の一部XIの拡大である図11の右側の平板状取付けフランジ27の右方の位置、および図11の左側の平板状取付けフランジ27の左方の位置)から、図11、図13のとおり、橋軸直角方向に、平板状ウエブ26の縦リブ本体上端部24(すなわち、縦リブ本体23の平板状ウエブ26と前記凸の弯曲部分との連なる部分。図1)付近にまで連なり、かつ、図11、図13のとおり、タッピングボルト30のボルト頭31よりも下方に、形成される。
横リブ40のウエブ41の橋軸直角方向の端部には、外方スカラップ81が形成され、この外方スカラップ81は、横リブ40の橋軸直角方向最外方に配置される閉断面縦リブ20の縦リブ本体23の橋軸直角方向最外方にある縦リブ本体上端部24付近から、橋軸直角方向に、横リブ40のウエブ41の最外方にまで連なり、かつ、タッピングボルト30のボルト頭31よりも下方に、形成される。
横リブ40のウエブ41には、スリット44が、図5、図11、図13、図20に示されるとおり、閉断面縦リブ20の縦リブ本体23の平板状下フランジ25および前記凹の弯曲部分の付近を外囲して形成される。橋軸直角方向に隣接する各デッキプレート10は、当接されて溶接接合される。橋軸直角方向に隣接する前記各デッキプレート10の相互に近接した閉断面縦リブ20は、前記縦リブ中心間距離Cと同一値をあけて配置される。
縦桁3のウエブは、図5、図6、図20のとおり、デッキプレート10の下面に、橋軸直角方向の閉断面縦リブ20の間に配置されてデッキプレート10が縦桁3の上フランジを構成する。
図14は図7のセクションXIVを拡大して示す断面図であり、図15は図14の切断面線XV−XVから見た断面図であり、図16は図14の切断面線XVI−XVIから見た断面図であり、図17は図16の切断面線XVII−XVIIから見た断面図である。これらの図面を参照して、図14には、橋軸方向(図14の左右方向)に隣接する鋼床版1の縦リブ20を接合する縦リブ継手60が示される。橋軸方向に隣接する鋼床版1のデッキプレート10は当接されて溶接接合される。縦リブ20のウエブ26の各遊端部は、隣接するデッキプレート10に臨むスカラップ68を形成する。縦リブ20の下フランジ25の各遊端部には、橋軸方向に開放して相互に対向して対を成す切欠き37がそれぞれ形成され、これらの対向する一対の切欠き37は、作業者が腕などを挿入して縦リブ継手60を構成する作業をするためのハンドホール62を形成する。縦リブ20のウエブ26の各遊端部には、その外方および閉空間22内で、添接部材63、64がそれぞれ当接され、高力ボルト65およびナット66によって接合されて、縦リブ20が橋軸方向に連結される。
ハンドホール62は、蓋部材72によって開閉自在に閉じられる。蓋部材72は、ハンドホール62を縦リブ20の内方の下フランジ25上で覆う矩形の蓋板73を有する。蓋板73における橋軸方向(図16、図17の左右方向)の両端部の4個所の隅角部には、橋軸方向外方に開放した係止用切欠き74がそれぞれ形成される。係止用切欠き74に対応して下フランジ25に形成されるボルト挿通孔75には、ボルト76の軸部が緩やかに挿通し、そのボルト頭は係止用切欠き74およびボルト挿通孔75を挿通できずに縦リブ20の内方で蓋板73および下フランジ25の上面に係止する寸法形状に選ばれる。ボルト76の軸部は、係止用切欠き74を蓋板73における橋軸方向外方に挿脱自在である。U字状の把手79は、蓋板73の下部に固定され、作業者が蓋板73をハンドホール62の外方から取扱う操作を容易にする。
ハンドホール62を開いた状態で、添接部材64およびボルト65を縦リブ20の内方へ持込み、添接部材63およびナット66とともに、橋軸方向に隣接するウエブ26を接続する。その後、ハンドホール62を蓋部材72によって閉じる。
図18は、ハンドホール62を蓋部材72によって閉じて図17の状態にする作業の操作を説明するための断面図である。先ず、図18(1)のとおり、縦リブ20の内方でボルト76の軸部をボルト挿通孔75に挿通し、下フランジ25の上面にボルト頭を係止する。次に、図18(2)のとおり、縦リブ20内へハンドホール62を経て蓋板73を搬入し、縦リブ20の外方から、ボルト76の下方に突出している軸部を作業者の手の指77で押上げた状態で、蓋板73の係止用切欠き74へ、ボルト76のボルト頭と下フランジ25の上面との間で、ボルト76の軸部を入り込ませる。その後、ボルト76の軸部から指77を離して、下方に突出している軸部にナット78を螺合する。こうして、図17のように、蓋板73を下フランジ25へ固定してハンドホール62を蓋部材72によって閉じる。
縦リブ20の両遊端部付近におけるスカラップ68、ハンドホール62およびボルト挿通孔75よりも橋軸方向内方には、防錆、防食のために閉空間22を大気と気密に仕切るための仕切り板38が縦リブ20の内周面とデッキプレート10の下面とにわたって溶接されて固定される。デッキプレート10と縦リブ20の取付けフランジ27とを前述のように支圧接合によって固定した後、デッキプレート10と取付けフランジ27との当接部分に、外方からシール材を塗布して隙間を塞ぎ、閉空間22の気密を確実にし、さらに外表面の合成樹脂調合塗料などによる防錆を施す。
図19は、図8のセクションXIXを拡大して示す断面図である。鋼床版1を支持して橋軸方向(図19の左右方向)に隣接する縦桁3は、縦桁継手90によって連結される。
縦桁3は、ウエブ91と、その上フランジとしてのデッキプレート10と、下フランジ93とを有する。橋軸方向に隣接する上フランジとしてのデッキプレート10の各遊端部は溶接接合され、ウエブ91の各遊端部は、隣接する上フランジとしてのデッキプレート10に臨むスカラップ94を形成する。
隣接するウエブ91の各遊端部には、添接部材95が当接される。ウエブ91と、そのウエブ91の一方面に当接する添接部材95と、ウエブ91の他方面に当接するもう1つの添接部材とには、ボルト96が挿通し、そのボルト96にナットを螺合して摩擦接合される。下のフランジ93には、上下2つの添接部材97,98が添接されて接合される。
図20は、本発明の実施の他の形態における鋼床版1を使用する橋梁の一部を橋軸に垂直な切断面から見た断面図であり、前述の図5に対応する。この実施の形態は、前述の実施の形態に類似し、対応する部分には、同一の参照府を付し、または添え字aを追加して付す。注目すべきは、縦リブ20が横リブ40のウエブ41を貫通して連続する交差位置で、前述の実施の形態におけるL字状連結部材50による接合に代えて、縦リブ20のウエブ26と横リブ40のウエブ41とが、次の図21における参照府45、46の部分で隅肉溶接される。
図21は、図20のセクションXXIを拡大して示す断面図であり、前述の図13に対応する。横リブ継手80aは、橋軸直角方向(図21の左右方向)に隣接する鋼床版1の横リブ40を接合する。横リブ40のウエブ41の各遊端部には、添接部材84aが当接される。添接部材84aと横リブ40のウエブ41とを挿通するボルト86aにナットを螺合して摩擦接合し、横リブ40が橋軸直角方向に連結される。図21における前述した縦リブ中心間距離Cが得られるように、縦リブ20間では、添接部材84aの上部分89の幅が上方になるにつれて小さく形成される。図20、図21の実施の形態における残余の構成は、図1〜図19の実施の形態と実質的に同様である。
図22は、本発明の実施のさらに他の形態を示す断面図である。この実施の形態では、前述の自らねじ切りをしながら進むタッピングボルト30、55に代えて、めねじが立てられているめねじ孔129、115に螺着される支圧接合用ボルトであるタップボルト130が使用されて、デッキプレート10と縦リブ20の取付けフランジ27との支圧接合が達成される。図22(1)は、鋼床版1におけるタップボルト130によって、デッキプレート10と縦リブ20の取付けフランジ27とが支圧接合している構成を、鋼床版1が橋梁に使用されている状態で、示す拡大断面図である。タップボルト130は、六角のボルト頭131と、座金部132と、軸部133とが一体的に形成される。軸部133には、その首下長さの全長にわたって、おねじ山が刻設される。この図22(1)に示されるタップボルト130による支圧接合は、図22(2)および図22(3)に示される操作の順に行なわれる。鋼床版1は、工場では、図22(1)の上下を逆にした、図22(2)および図22(3)に示される状態で、タップボルト130が取付けフランジ27からデッキプレート10へねじ締め込まれて進み、鋼床版1が製造される。このような工場での製造作業は、作業者が、いわば下向き施工で行なうことができ、作業性が良好である。
図22(2)は、タップボルト130のためのめねじ孔129、115を形成するために、デッキプレート10と縦リブ20の取付けフランジ27とに、直円筒形下穴114、128が削孔された状態を示す断面図である。縦リブ20の取付けフランジ27に予め形成された下穴128によって、ドリル工具16の刃物17を案内し、デッキプレート10に下穴114を削孔する。
図22(3)は、下穴128,114にタップを使用してめねじを立てて、めねじ孔129、115をそれぞれ形成した状態を示す断面図である。下穴128,114に刻設されためねじ孔129、115に共通に、タップボルト130が螺合されて、デッキプレート10と縦リブ20の取付けフランジ27とが支圧接合される。めねじ孔129、115は、タップボルト130が直接にねじ込まれることによって、ねじ接合するように形成される。
寸法の一例を述べると、下穴128、114の内径D128、D114はいずれも、φ14.0mmであり、タップボルト130の外径D130は、φ16mmである。
本発明の実施の他の形態では、図22(2)における縦リブ20の取付けフランジ27に予め形成された直円筒形下穴128に代えて、めねじ孔129が予め刻設されていてもよい。
本発明の実施の他の形態では、タッピングボルト30、55、タップボルト130に代えて、自らねじ切りをしつつ進み、めねじを塑性変形によって、または切削加工して形成して、ねじ接合するボルトまたはねじであってもよく、さらにまた、いわゆるスレッドフォーミングスクリュ、タッピンねじおよびタップボルトなどであってもよい。
図23は、タッピングボルト30のボルト頭31の緩み確認用マーキングを施した状態を示す斜視図である。ボルト頭31から縦リブ20の取付けフランジ27にわたって塗料36を線状に塗布してマーキングする。これによって、タッピングボルト30が締め込まれた後、緩んだか否かを容易に目視確認することができる。同様なマーキングは、交差位置用タッピングボルト55、タッピングボルト130、ボルト56など、およびナット66などに関連してもまた実施される。ボルト頭31、縦リブ20、デッキプレート10の下面にわたって、防食のために、防錆塗料または合成樹脂調合塗料などの塗料が塗布される構成では、タッピングボルト30が緩んだか否かは、その塗料のひび割れを目視確認することによって、点検することができ、このことは、ボルト55、130などに関しても同様である。
図24は、本発明の実施の他の各形態における閉断面縦リブ20a〜20cをそれぞれ示す断面図である。前述の縦リブ20に代えて、これらの縦リブ20a〜20cであってもよい。図24(1)は、丸形閉断面リブ20aの断面を示す。デッキプレート10を補剛する縦リブ20aは、デッキプレート10の下面とともに橋軸方向に延びる閉空間を形成する縦リブ本体23aと、縦リブ本体23aの上端部にそれぞれ連なって橋軸直角方向に外向きに形成される取付けフランジ27aとを有する。縦リブ本体23aは、下に凸の円弧状下フランジ25aと、下フランジ25aの両側部にそれぞれ連なって立上がるウエブ26aとを有する。
図24(2)はV形閉断面リブ20bの断面を示し、図24(3)はY形閉断面リブ20cの断面を示す。縦リブ本体23b、23cの縦リブ本体23b、23cは、平板状の対を成すウエブから成り、下フランジを有さない。これらの各ウエブには、取付けフランジ27b、23cが外向きにそれぞれ連なる。図23の実施の各形態におけるその他の構成は、前述の実施の形態と同様である。このような、およびその他の構成も、本発明の精神に含まれる。
本発明の鋼床版を使用して、プレートガーダー、箱桁などの桁橋、トラス橋、吊橋およびその他の広範囲の構造形式の橋梁を実現できる。
1 鋼床版
3 縦桁
10 デッキプレート
13 アスファルト舗装
14、28、53、114、128 支圧接合用下穴
20 縦リブ
22 閉空間
23、23a〜23c 縦リブ本体
25、25a 下フランジ
26、26a、41 ウエブ
27、27a〜27c 取付けフランジ
30 タッピングボルト
40 横リブ
50 連結部材
51 第1取付け片
52 第2取付け片
55 交差位置用タッピングボルト
60 縦リブ継手
80、80a 横リブ継手
90 縦桁継手
130 タップボルト

Claims (2)

  1. 縦桁で支持される鋼床版を備える鋼橋において、
    (a)鋼床版は、
    (a1)デッキプレートの下面に、橋軸方向に延びて橋軸直角方向に縦リブ間隔をあけて隣接して配置される第1複数の閉断面縦リブがデッキプレートを補剛し、
    デッキプレートの下面に、橋軸直角方向に延びて橋軸方向に横リブ間隔をあけて配置される第2複数の各横リブのウエブがデッキプレートを補剛し、
    閉断面縦リブは、横リブとの交差位置で横リブのウエブを貫通して連続し、
    (a2)各閉断面縦リブは、
    (a2−1)単一枚の鋼板が加工されて製造され、
    橋軸方向に沿ってデッキプレートに垂直な対称面に関して左右対称に構成され、
    (a2−2)デッキプレートの下面とともに橋軸方向に延びる閉空間を形成する縦リブ本体であって、
    (a2−2−1)単一の平板状下フランジ、および
    (a2−2−2)下フランジの両側部にそれぞれ連なって立上がる平板状ウエブを有し、
    (a2−2−3)下フランジおよび各平板状ウエブが、閉空間に臨んで凹の弯曲部分を介してそれぞれ連なる縦リブ本体、および
    (a2−3)デッキプレートの下面に配置され、縦リブ本体の各平板状ウエブの縦リブ本体上端部にそれぞれ連なって閉空間およびデッキプレートに臨んで凸の弯曲部分を介して橋軸直角方向に外向きに形成される平板状取付けフランジを有し、
    (a2−4)橋軸直角方向に隣接する閉断面縦リブの各縦リブ中心間距離は、橋軸直角方向にそれぞれ等しく、
    (a3)デッキプレートおよび各平板状取付けフランジを第3複数のタッピングボルトによって、気密に支圧接合し、
    各タッピングボルトは、
    デッキプレートおよび平板状取付けフランジに厚さ方向に貫通して、橋軸方向に下穴間隔をあけて単一の列を成して、予めそれぞれ形成される直円筒形の各支圧接合用下穴に、取付けフランジからデッキプレートへ締め込まれてめねじを自ら形成しながらそれぞれ進み、
    タッピングボルトの端部は、デッキプレートの上面に突出せず、
    (a4)閉断面縦リブと横リブとの前記交差位置で、
    第1取付け片と第2取付け片とが屈曲して連なってL字状断面を有する連結部材、
    第1取付け片から閉断面縦リブの平板状ウエブへ締め込まれて進み、閉断面縦リブの平板状ウエブと第1取付け片とを支圧接合する交差位置用タッピングボルト、および
    横リブのウエブと第2取付け片とを接合するボルトを含み、
    (a5)デッキプレートの下面には、橋軸直角方向に隣接する閉断面縦リブの間で、横リブのウエブの横リブ上端部が溶接接合され、
    (a6)横リブのウエブには、
    橋軸直角方向の横リブ上端部に関して両側で、
    縦リブ間隔スカラップが、
    デッキプレートの下面における平板状取付けフランジの橋軸直角方向外方位置から、橋軸直角方向に、平板状ウエブの縦リブ本体上端部付近にまで連なり、かつ、タッピングボルトのボルト頭よりも下方に、形成され、
    (a7)横リブのウエブの橋軸直角方向の端部には、外方スカラップが形成され、
    この外方スカラップは、
    横リブの橋軸直角方向最外方に配置される閉断面縦リブの縦リブ本体の橋軸直角方向最外方にある縦リブ本体上端部付近から、橋軸直角方向に、横リブのウエブの最外方にまで連なり、かつ、タッピングボルトのボルト頭よりも下方に、形成され、
    (a8)横リブのウエブには、
    スリットが、閉断面縦リブの縦リブ本体の平板状下フランジおよび前記凹の弯曲部分の付近を外囲して形成され、
    (a9)橋軸直角方向に隣接する各デッキプレートは、当接されて溶接接合され、
    (a10)橋軸直角方向に隣接する横リブの端部で相互に近接した閉断面縦リブは、前記縦リブ中心間距離と同一値をあけて配置され、
    (b)縦桁のウエブは、デッキプレートの下面に、橋軸直角方向の閉断面縦リブの間に配置されてデッキプレートが縦桁の上フランジを構成することを特徴とする鋼橋。
  2. 支圧接合によって固定されたデッキプレートと平板状取付けフランジとの当接部分に、外方から塗布されて隙間を塞ぐシール材を、さらに含むことを特徴とする請求項1に記載の鋼橋。
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