JP2012202194A - 鋼構造物の補強構造及び補強方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水平面材1の下面側に垂直面材2が溶接により一体に設けられ、垂直面材2に、又は垂直面材2と水平面材1とに渡って垂直補剛材3を溶接により固着した鋼構造物の補強構造において、垂直補剛材3の上端部の水平周りを囲むように、垂直補剛材3の表裏両側に間隔をおいて一対の縦側板7と各縦側板7に一体に連設された横断面U字状又は円弧状の湾曲接続板6を有する補強金具5が配置され、前記補強金具5における各縦側板7及び湾曲接続板6の上端と水平面材1とが溶接により固着され、各縦側板7と垂直面材2とが溶接接合又はボルト接合されている。
【選択図】図1
Description
例えば、デッキプレート(水平面材1)の下面側に断面U字状のUリブ10、ウェブプレート(垂直面材2)、デッキプレートとウェブプレートとに溶接接合される補強縦リブ(垂直補剛材3)を備えた鋼床版4では、溶接が多用される。このような鋼床版は、大型橋梁や高速道路の高架橋等の車輌走行数が多い路線に用いられる場合が多く、Uリブ本体やデッキプレートの疲労き裂の発生が問題となっている。
前記のUリブ鋼床版は、累積車輌走行数の増加に伴って、溶接を使用している各所で疲労き裂が発生することが知られており、疲労き裂が発生の代表部位の例としては、(1)デッキプレートとUリブのすみ肉溶接部、(2)Uリブ突合せ溶接部、(3)Uリブと横リブの交差部、(4)デッキプレートと垂直補剛材のすみ肉溶接部、等が挙げられ、いずれもデッキプレートやUリブといった主部材の破断につながる可能性がある。
また、隣り合う柱状構造部材同士または柱状構造部材と他の構造部材との接合部を補強する補強材であって、接合部側に沿った断面形状がリング状で、構造部材と接合しない側にリング状の開口部を備えた補強材を用いることも知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、前記従来公知の公報記載の補強リブ又は補剛材を、水平面材と垂直面材とに渡って垂直補剛材を溶接により固着している鋼構造物における補強構造に適用しようとすると、従来公知の公報記載の補強リブは縦断面がU字状の補強リブ、又はリング状の補剛材であるために、補強リブのU字状部又はリング状の補剛材の中間部が、垂直補剛材と干渉してしまい、垂直補剛材を備えて形態の補強には適用できないという問題があった。
そこで本発明は、垂直補剛材に干渉することなく配置することができて、垂直補剛材と水平面材との溶接接合部の応力集中を回避できる鋼構造物の補強構造及び補強方法を提供することを目的とする。
また、第2発明の鋼構造物の補強構造では、水平面材の下面側に垂直面材が溶接により一体に設けられ、前記垂直面材に、又は前記垂直面材と水平面材とに渡って垂直補剛材を溶接により固着した鋼構造物の補強構造において、垂直補剛材の上端部の水平周りを囲むように、垂直補剛材の表裏両側に間隔をおいて一対の縦側板と各縦側板に一体に連設された横断面U字状又は円弧状の湾曲接続板を有する補強金具が配置され、前記補強金具における各縦側板及び湾曲接続板の上端と前記水平面材とが溶接により固着され、各縦側板と垂直面材とが、縦側板にボルト接合され垂直面材に溶接又はボルト接合された接合金物を介して接合されていることを特徴とする。
第3発明の鋼構造物の補強構造においては、水平面材の下面側に垂直面材が溶接により一体に設けられ、前記垂直面材に、又は前記垂直面材と水平面材とに渡って垂直補剛材を溶接により固着した鋼構造物の補強構造において、垂直面材の上端部が水平面材から離れた状態とされ、水平面材から離れた垂直補剛材の上端部の水平周りを囲むように、垂直補剛材の表裏両側に間隔をおいて一対の縦側板と各縦側板に一体に連設された横断面U字状又は円弧状の湾曲接続板を有する補強金具が配置され、前記補強金具における各縦側板及び湾曲接続板の上端と前記水平面材とが溶接により固着され、各縦側板と垂直面材とが溶接又はボルト接合されていることを特徴とする。
第4発明の鋼構造物の補強構造においては、水平面材の下面側に垂直面材が溶接により一体に設けられ、前記垂直面材に、又は前記垂直面材と水平面材とに渡って垂直補剛材を溶接により固着した鋼構造物の補強構造において、前記垂直補剛材の上端部が切除されて垂直面材の上端部が水平面材から離れた状態とされ、水平面材から離れた垂直補剛材の上端部の水平周りを囲むように、垂直補剛材の表裏両側に間隔をおいて一対の縦側板と各縦側板に一体に連設された横断面U字状又は円弧状の湾曲接続板を有する補強金具が配置され、前記補強金具における各縦側板及び湾曲接続板の上端と前記水平面材とが溶接により固着され、各縦側板と垂直面材とが、縦側板と垂直面材とにボルト接合された接合金物を介して接合されていることを特徴とする。
第5発明では、第1発明〜第4発明のいずれかの鋼構造物の補強構造において、補強金具の湾曲接続板は、垂直面材から最も遠い位置の湾曲接続板の高さ寸法が、少なくとも10mmとされていることを特徴とする。
第6発明では、第1発明〜第5発明の鋼構造物の補強構造において、補強金具は、水平面材と垂直面材すみ肉溶接部を避けるためのスカラップを有し、湾曲接続板又は湾曲接続板とこれに接続する各縦側板の下面側は、各縦側板に直角方向からの側面視で、垂直面材から最も遠い位置の湾曲接続板の先端部から各縦側板に向かって、漸次下面レベルが降下すると共に垂直面材に近づくように円弧状の切り欠き部を有していることを特徴とする。
第7発明の鋼構造物の補強方法においては、水平面材の下面側に垂直面材が溶接により一体に設けられ、前記垂直面材に、又は前記垂直面材と水平面材とに渡って垂直補剛材を溶接により固着した鋼構造物の補強方法において、垂直補剛材の上端部の水平周りを囲むように、垂直補剛材の表裏両側に間隔をおいて一対の縦側板と各縦側板に一体に連設された横断面U字状又は円弧状の湾曲接続板を有する補強金具を配置した後、前記補強金具における各縦側板及び湾曲接続板の上端と前記水平面材とを溶接により固着し、各縦側板と垂直面材とを溶接接合又はボルト接合することを特徴とする。
第8発明の鋼構造物の補強方法においては、水平面材の下面側に垂直面材が溶接により一体に設けられ、前記垂直面材に、又は前記垂直面材と水平面材とに渡って垂直補剛材を溶接により固着した鋼構造物の補強方法において、垂直補剛材の上端部の水平周りを囲むように、垂直補剛材の表裏両側に間隔をおいて一対の縦側板と各縦側板に一体に連設された横断面U字状又は円弧状の湾曲接続板を有する補強金具で、各縦側板の先端部に接合金物の一端側をボルトにより仮締め状態で接合された補強金具を配置し、前記接合金物の他端側と垂直面材とをボルトにより仮締め状態で接合し、補強金具を所定の位置に保持した後、前記補強金具における各縦側板及び湾曲接続板の上端と前記水平面材とを溶接により固着し、その後、接合金物と垂直面材とを接合するボルトを本締めすることを特徴とする。
第9発明では、第7発明又は第8発明の鋼構造物の補強方法において、水平面材の下面側に垂直面材が溶接により一体に設けられ、前記垂直面材に、又は前記垂直面材と水平面材とに渡って垂直補剛材を溶接により固着した鋼構造物の補強方法において、垂直補剛材の上端部を水平面材の下面から離れた状態とすることを特徴とする。
第2発明によると、水平面材の下面側に垂直面材が溶接により一体に設けられ、前記垂直面材に、又は前記垂直面材と水平面材とに渡って垂直補剛材を溶接により固着した鋼構造物の補強構造において、垂直補剛材の上端部の水平周りを囲むように、垂直補剛材の表裏両側に間隔をおいて一対の縦側板と各縦側板に一体に連設された横断面U字状又は円弧状の湾曲接続板を有する補強金具が配置され、前記補強金具における各縦側板及び湾曲接続板の上端と前記水平面材とが溶接により固着され、各縦側板と垂直面材とが、縦側板にボルト接合され垂直面材に溶接又はボルト接合された接合金物を介して接合されているので、垂直面材と補強金具との間に縦側板にボルト接合された接合金物を介在させることで、ボルト孔とボルト軸部との隙間を利用して、垂直面材側に密着させるように接合金物を位置調整して配置できるため、補強金具を確実に垂直面材に固定することができる等の効果が得られる。また、簡単な構造の小さな補強金具及び接合金物を用いて垂直補剛材上端の溶接部の応力集中を緩和することができて、前記溶接部の疲労き裂の発生を抑制し、構造物の長寿命化に寄与することができ、さらに、補強金具及び接合金物を介して垂直面材側に応力を伝達でき、構造も簡単で安価である。
第3発明によると、水平面材の下面側に垂直面材が溶接により一体に設けられ、前記垂直面材に、又は前記垂直面材と水平面材とに渡って垂直補剛材を溶接により固着した鋼構造物の補強構造において、垂直面材の上端部が水平面材から離れた状態とされ、水平面材から離れた垂直補剛材の上端部の水平周りを囲むように、垂直補剛材の表裏両側に間隔をおいて一対の縦側板と各縦側板に一体に連設された横断面U字状又は円弧状の湾曲接続板を有する補強金具が配置され、前記補強金具における各縦側板及び湾曲接続板の上端と前記水平面材とが溶接により固着され、各縦側板と垂直面材とが溶接又はボルト接合されているので、垂直面材の上端部が水平面材から離れた状態とすることで、垂直補剛材上端の溶接部の応力集中を解消することができ、また、前記溶接部の疲労き裂の発生を解消し、構造物の長寿命化に寄与することができる等の効果が得られる。また、補強金具を介して垂直面材側に応力を伝達でき、さらに、補強金具を溶接接合又はボルト接合すればよいので、構造も簡単で安価である。
第4発明によると、水平面材の下面側に垂直面材が溶接により一体に設けられ、前記垂直面材に、又は前記垂直面材と水平面材とに渡って垂直補剛材を溶接により固着した鋼構造物の補強構造において、前記垂直補剛材の上端部が切除されて垂直面材の上端部が水平面材から離れた状態とされ、水平面材から離れた垂直補剛材の上端部の水平周りを囲むように、垂直補剛材の表裏両側に間隔をおいて一対の縦側板と各縦側板に一体に連設された横断面U字状又は円弧状の湾曲接続板を有する補強金具が配置され、前記補強金具における各縦側板及び湾曲接続板の上端と前記水平面材とが溶接により固着され、各縦側板と垂直面材とが、縦側板と垂直面材とにボルト接合された接合金物を介して接合されているので、垂直面材の上端部が水平面材から離れた状態とすることで、垂直補剛材上端の溶接部の応力集中を解消することができ、各縦側板と垂直面材とが、縦側板にボルト接合され垂直面材に溶接又はボルト接合された接合金物を介して接合されているので、垂直面材と補強金具との間に縦側板にボルト接合された接合金物を介在させることで、縦側板と接合金物のボルト接合部のボルト孔とボルト軸部との隙間を利用して、垂直面材側に密着させるように接合金物を位置調整して配置できるため、補強金具を確実に垂直面材に固定することができる等の効果が得られる。また、簡単な構造の小さな補強金具及び接合金物を用いて垂直補剛材上端の溶接部の応力集中を解消することができて、前記溶接部の疲労き裂の発生を解消し、構造物の長寿命化に寄与することができ、さらに、補強金具及び接合金物を介して垂直面材側に応力を伝達でき、構造も簡単で安価である。
第5発明によると、補強金具の湾曲接続板は、垂直面材から最も遠い位置の湾曲接続板の高さ寸法が、少なくとも10mmとされているので、補強金具における湾曲接続板の先端側の曲げ剛性が極端に低くなることはなく、水平面材からの荷重を確実に受けることができる補強金具とすることができる等の効果が得られる。
第6発明によると、補強金具は、水平面材と垂直面材すみ肉溶接部を避けるためのスカラップを有し、湾曲接続板又は湾曲接続板とこれに接続する各縦側板の下面側は、各縦側板に直角方向からの側面視で、垂直面材から最も遠い位置の湾曲接続板の先端部から各縦側板に向かって、漸次下面レベルが降下すると共に垂直面材に近づくように円弧状の切り欠き部を有しているので、垂直面材及び水平面材に対して補強金具の内側からの隅肉溶接が確実に実施できるため、補強金具の固定が確実になる等の効果が得られる。
第7発明によると、水平面材の下面側に垂直面材が溶接により一体に設けられ、前記垂直面材に、又は前記垂直面材と水平面材とに渡って垂直補剛材を溶接により固着した鋼構造物の補強方法において、垂直補剛材の上端部の水平周りを囲むように、垂直補剛材の表裏両側に間隔をおいて一対の縦側板と各縦側板に一体に連設された横断面U字状又は円弧状の湾曲接続板を有する補強金具を配置した後、前記補強金具における各縦側板及び湾曲接続板の上端と前記水平面材とを溶接により固着し、各縦側板と垂直面材とを溶接接合又はボルト接合するので、簡単な構造の小さな補強金具を用いて簡単な方法で垂直補剛材上端の溶接部の応力集中を緩和することができて、前記溶接部の疲労き裂の発生を抑制し、構造物の長寿命化に寄与することができ、施工も容易で安価である等の効果が得られる。
第8発明によると、水平面材の下面側に垂直面材が溶接により一体に設けられ、前記垂直面材に、又は前記垂直面材と水平面材とに渡って垂直補剛材を溶接により固着した鋼構造物の補強方法において、垂直補剛材の上端部の水平周りを囲むように、垂直補剛材の表裏両側に間隔をおいて一対の縦側板と各縦側板に一体に連設された横断面U字状又は円弧状の湾曲接続板を有する補強金具で、各縦側板の先端部に接合金物の一端側をボルトにより仮締め状態で接合された補強金具を配置し、前記接合金物の他端側と垂直面材とをボルトにより仮締め状態で接合し、補強金具を所定の位置に保持した後、前記補強金具における各縦側板及び湾曲接続板の上端と前記水平面材とを溶接により固着し、その後、接合金物と垂直面材とを接合するボルトを本締めするので、縦側板と接合金物のボルト接合部のボルト孔とボルト軸部との隙間を利用して、本締め時に接合金物を垂直面材に近づけて、接合金物と垂直面材とを当接して接合することができる等の効果が得られる。
第9発明によると、水平面材の下面側に垂直面材が溶接により一体に設けられ、前記垂直面材に、又は前記垂直面材と水平面材とに渡って垂直補剛材を溶接により固着した鋼構造物の補強方法において、垂直補剛材の上端部を水平面材の下面から離れた状態とするので、第8発明又は第9発明の効果に加えて、垂直補剛材上端の溶接部の応力集中を解消することができる等の効果が得られる。
図1には、本発明の第1実施形態の鋼構造物の補強構造が示され、図14には補強金具5が示されている。この形態では、鋼板製のデッキプレートからなる鋼製の水平面材1の下面側に配置されて溶接W3により固着されて、水平面材1を支持するウェブプレートからなる垂直面材2を備えていると共に、水平面材1と垂直面材2とに、それぞれ溶接部W1、W2により固定された鋼板製の垂直補剛材3を備えている鋼床版4からなる鋼構造物における、垂直補剛材3と水平面材1との溶接部の応力集中を回避できる構造とするために、補強金具5を用いて補強(又は補修を兼ねた補強)した形態である。前記の補強金具5は、垂直補剛材3と水平面材1と溶接部W1の中でも、応力集中を起こしている、垂直面材2から最も遠い位置の溶接部W4側で、補強金具5は、曲率を持たせた曲げ加工(半円状又は円弧状或いはU字状)に湾曲した湾曲接続板6を備えていることで、補強金具5の湾曲接続板6への応力集中も緩和させる構造となっている。補強金具5は、水平面材1及び垂直面材2に沿った形状が下側が開放されたU字状とされている(以下の実施形態でも同様である。)。
前記の水平面材1と垂直補剛材3の上端部との溶接部W1、特に、ウェブプレートからなる垂直面材2から遠い位置の、垂直補剛材3の上端部における先端部部分の前記溶接部W4は、鋼床版4の上側からの走行車両等の輪荷重を、水平面材1から垂直面材2に応力伝達する場合に、垂直補剛材3の剛性が高いだけに溶接部W1(W4を含む、以下同じ)で応力集中を起こしている部分である。この応力集中を含む溶接部W1の応力(応力集中)を緩和させることにより、溶接部W1の疲労による亀裂、それに伴う水平面材1への疲労亀裂の進展を防止するために、この第1実施形態を含めて本発明では、垂直補剛材3の上端部の水平周りを囲むように、垂直補剛材3の表裏両側に間隔をおいて一対の縦側板7と各縦側板7に一体に設けられてこれらを接続する横断面U字状又は円弧状の湾曲接続板6を有する補強金具5が配置され、前記補強金具5を水平面材1と垂直面材2とに固定することで、前記の溶接部W1の応力集中を抑制するように補強(又は疲労亀裂の進展を防止する補修を兼ねた補強)し、鋼構造物の疲労性能の向上できるようにしている。
補強金具5を水平面材1に対して取り付ける場合は直接溶接により、垂直面材2に対しては直接溶接により又は後記の実施形態のように、接合金物を介して接合してもよい。
より具体的には、前記補強金具5における各縦側板7及び湾曲接続板6の上端と前記水平面材1とが溶接W5により固着され、各縦側板7と垂直面材2とが溶接W6により接合されている。
補強金具5は、その湾曲接続板6側の高さ(L、図9、図14〜図16参照)を調節することにより、デッキプレート、すなわち、水平面材1ヘの面外方向の変位により誘起される応力軽減の程度を調節することができる。湾曲接続板6側の高さ(L)の調節には、予め所定の高さに調節された補強金具5を用いることでもよく、施工場所に応じて、湾曲接続板6側の高さ(L)となるように、適宜下部側を切断除去して調節するようにしてもよい(以下の実施形態でも同様である。)。
前記の高さLとしては、少なくとも10mm確保するようにすることで、垂直補剛材3上端及びその溶接部の応力集中を緩和するために、補強金具5における湾曲接続板6の先端側の曲げ剛性が極端に低くならないようにしている。補強金具5の全体の高さ寸法Hとしては、例えば、前記の湾曲接続板6の高さ寸法Lと同じ高さ寸法とするか、これ以上よりも高い寸法(H≧L)で、かつ垂直補剛材3の高さ寸法よりも低い寸法で、例えば、H=100mm〜200mmで板厚9mm或は板厚6mm〜30mmの鋼板製のものとするとよい。
なお、図9を参照して補強金具5の縦側板7について説明すると、縦側板7の幅寸法aは、垂直補剛材3の幅寸法よりも大きくするのが好ましく、また、縦側板7の下端側から所定長さh2平行部があると、垂直面材2側に伝達する応力を分散して伝達することができ、例えば、h2≧Lとするとよい。
各縦側板7のコーナー部には、円弧状に切欠かれて、スカラップ8が形成され、水平面材1と垂直面材2との溶接部W3から離れるようにされている。この形態では、補強金具5の溶接は、補強金具5の縦側板7及び円弧状の湾曲接続板6の外側(又は外側及び内側)からの隅肉溶接W5,W6により、補強金具5は、水平面材1及び垂直面材2に固着される。
補強金具5の溶接にあたっては、適宜、手作業、又は先端にクランプを備えレベル調整可能な支柱を備えた保持治具(図示を省略)を用いて、水平面材1側への溶接後、垂直面材2に溶接接合したり、垂直面材2に溶接後、水平面材1側に溶接接合する。
補強金具5を溶接する場合には、適宜、垂直面材2又は水平面材1に仮付けしたのち、本溶接してもよく、鋼床版などの鋼構造物側への断面欠損が生じない利点がある。
補強金具5を水平面材1あるいは垂直面材2に固定する場合に、垂直補剛材3と補強金具5内側との間隔が十分ある場合には、補強金具5の内側を水平面材1あるいは垂直面材2に隅肉溶接により固定すると、補強金具5を確実に水平面材1あるいは垂直面材2に固定できる。
側面視で、縦側板7から湾曲接続板6までの外形寸法を1とした場合に、補強金具5の高さ寸法は、1を越える寸法とすることで、縦側板7及び湾曲接続板6側から伝達される応力を、縦側板7の側端部から、鋼構造物における垂直面材2側に極端な応力集中を起こすことなく、伝達させることができる。
垂直補剛材3から補強金具5における縦側板7又は湾曲接続板6内側面までの離れる距離rとしては、例えば、図9(a)に示す平断面視で、垂直補剛材3の上端の先端部中央から湾曲接続板6の内側までの半径rで、少なくとも20mm以上200mm以下とすることで応力集中を緩和することができ、好ましくは、半径50mm以上200mm以下とすると、溶接棒が補強金具5の内側に入り込ませやすくなるため、補強金具5の内側からの隅肉溶接W5(W6)により水平面材1又は垂直面材2に固定しやすくなる。
図9(b)に示すように、湾曲接続板6又は湾曲接続板6とこれに接続する各縦側板7の下面側は、各縦側板7に直角方向からの側面視で、垂直面材2から最も遠い位置の湾曲接続板6の先端部から各縦側板7に向かって、漸次下面レベルが降下すると共に垂直面材に近づくように円弧状の切り欠き部9を有していると、補強金具5の縦側板7上端内側と水平面材1あるいは垂直面材2側への隅肉溶接、湾曲接続板6上端内側と水平面材1との隅肉溶接が容易になる。また、円弧状の切り欠き部9は、補強金具5における湾曲接続板6の高さ寸法(L)の調節を兼ねて形成されている。また、円弧状の切り欠き部9を形成することで、鉤状又は段状の切欠き部とした場合に比べて、応力の伝達も補強金具5の縦側板7及び湾曲接続板6の全体から滑らかに伝達できるようになる。
補強金具5における湾曲接続板6の高さ寸法(L)を調節すると、水平面材1に荷重(鉛直荷重)が作用した場合に、デッキプレートなどの水平面材1ヘの面外方向の変位により誘起される応力軽減の程度を調節することができる。
なお、デッキプレートからなる水平面材1の下面側には、橋軸方向に延びる断面U字状の鋼製Uリブ10の各側板が溶接により固定されている。
補強金具5の形態としては、後記の形態に置き換えるようにしてもよい。
図2には、前記第2実施形態の鋼構造物の補強構造が示されている。この形態では、鋼製上フランジからなる水平面材1と、鋼製ウェッブプレートからなる垂直面材2とを備えて断面I又はH形のプレートガーダ或は桁11等の鋼構造物で、水平面材1と垂直面材2とに、又は垂直面材2のみに、鋼板からなる垂直補剛材3が設けられて、補剛されている場合に、さらに垂直補剛材3上端部の溶接部W1の応力集中を回避することで、補強(又は補修を兼ねた補強)する場合の補強構造であり、上方から鋼構造物に作用する荷重により、鋼製フランジ.からなる水平面材1と垂直補剛材3との溶接部W1の応力集中に対して、これを抑制又は緩和することができる。なお、符号17は下フランジである。前記以外の部分は、前記の場合と同様である。
図3には、本発明の第3実施形態の鋼構造物の補強構造が示されている。この形態では、垂直補剛材3と水平面材1との間の応力集中を完全に解消するために、垂直補剛材3の上端部を適宜切断除去又は溶断除去或いは水平面材1から離れた状態とする。垂直補剛材3の上端部をウェブ側に向かって漸次直線状又は曲線状に上昇する傾斜切断面(又は傾斜面、図示を省略するが、水平切断面又は水平面)の上端面12として、垂直面材2に固定されている垂直補剛材3の上端面と水平面材1との間に間隙Gを形成したり、予め垂直補剛材3の上端部を水平面材1から間隙Gを設けた状態で、垂直補剛材3を垂直面材2に溶接により固着することで、垂直補剛材3と水平面材1との溶接接合部をなくして応力集中を解消した場合に、ウェブプレートからなる垂直面材2から離れた位置の水平面材1に作用する鉛直荷重を、応力集中を緩和可能な補強金具5を介して、垂直面材2に応力(主に鉛直方向のせん断力)を伝達可能にしている。このようにすることで、補強金具5がない場合には、水平面材1が左右に傾き揺動(首振り)する恐れがあるが、補強金具5を設置することで、水平面材1が左右に傾き揺動(首振り)する恐れも解消している。
垂直補剛材3の上端部を水平面材1から間隙Gを設けた場合には、ウェブプレートの長手方向(橋軸方向)から見た側面視で、垂直補剛材3の上端部側に、補強金具5の下端側が重なるように、補強金具5は配置されることで、水平面材1からの荷重を補強金具から垂直面材2に伝達させることができる。例えば、好ましい形態としては、前記の側面視で、垂直補剛材3の上端部側の最も広い幅寸法部分に、その最も広い幅寸法部分と同様な幅寸法の部分が重なるように、補強金具5を設置することで、水平面材1からの荷重を補強金具5から垂直面材2に確実に伝達させることができる。補強金具5と垂直補剛材3の平面位置関係は前記実施形態と同様である。
図4には、本発明の第4実施形態の鋼構造物の補強構造が示され、図16には補強金具5が示されている。この第4実施形態では、補強金具5を垂直面材2に固定する場合に、前記各実施形態よりもより固定しやすい形態としもので、各縦側板7と垂直面材2とが、縦側板7にボルト接合され垂直面材2にボルト接合(又は溶接接合)された接合金物13を介して接合されている。
接合金物13は、水平な横断面で、断面L字状とされ、縦側板7側に高力ボルト等のボルト・ナット14により接合される基端板15と、垂直面材2にボルト接合(又は溶接接合)される先端板16とを備え、基端板15と先端板16とに上下方向に間隔をおいて複数のボルト孔19を備えている。
基端板15と先端板16との間のなす角度は、垂直面材2と各縦側板7の角度に合致する角度(例えば、直角又は鈍角)に設定される。
図4又は図8に示すように、接合金物13の基端板15及び先端板16をそれぞれ、ボルト接合する場合には、基端板15及び先端板16にそれぞれ上下方向に間隔をおいてボルト孔を設け、垂直面材2と各縦側板7とに、それぞれ上下方向に間隔をおいてボルト孔19を設け、接合金物13の基端板15を補強金具5の各縦側板7に、高力ボルト・ナット14を仮締め状態で取り付けた状態の補強金具5とし、接合金物13付きの補強金具5を垂直補剛材3の上端部の水平周りを囲むように配置して、各接合金物13と垂直面材2とを高力ボルト・ナット14を仮締め状態で取り付けた状態とし、補強金具5と水平面材1とを溶接により固定した後、接合金物13の先端板16側の高力ボルト・ナット14を締め込むことで、接合金物13の基端板15側のボルト孔とボルト軸部間の間隙を利用して、接合金物13の先端板16の内側面を垂直面材2に当接するように位置調整して、先端板16と垂直面材2とを各高力ボルト・ナット14を本締めすることで接合した後、各基端板15と各縦側板7とを各高力ボルト・ナット14を本締めすることで、接合する。
このように接合金物13をボルト孔と高力ボルト軸部との隙間を利用して、接合金物13の位置を調整して接合している。
高力ボルト接合とすることにより、溶接変形などから生じる補強金具5と垂直面材(ウェブプレート)2間のギャップを吸収することが可能となる。なお、前記の高力ボルトとしては、例えば、F10TあるいはF14Tなどの高力ボルトを使用し、また、締め付けトルクの管理をする場合にはトルシア型の高力ボルトを用いるとよい。高力ボルト接合としては、摩擦接合あるいは支圧接合の2形態があるが、垂直面材2あるいは接合金物13に設けるボルト孔は、水平方向の橋軸方向又は橋軸直角方向あるいはこれらの2方向を含む長孔とするよりは、前記実施形態のようにボルト孔とボルト軸部の隙間を利用して、補強金具5の溶接変形による前記ギャップ吸収するのがよい。ボルト孔を上下方向に延長して設けるのは補強金具5が上下方向にずれる恐れがあるので望ましくない。
図5には、本発明の第5実施形態の補強構造が示されている。この形態は、図2に示す形態の変形形態で、前記実施形態の接合金物13を介して、補強金具5を設置した形態である。鋼製フランジからなる水平面材1と、鋼製ウェッブプレートからなる垂直面材2とかなる断面I又はH形のプレートガーダ或は桁11等の鋼構造物で、水平面材1と垂直面材2とに、又は垂直面材2のみに、鋼板からなる垂直補剛材3が設けられて、補剛されている場合に、垂直補剛材3上端の溶接部W1(W4)の応力集中を回避するために、さらに補強(又は補修を兼ねた補強)した補強構造である。
補強金具5が水平面材1の下面側に配置されて、適宜、例えば、垂直面材2に接合金物13付きの補強金具5における接合金物13の基端板15を高力ボルト・ナット14により仮固定することで、縦側板7と湾曲接続板6の上端側を溶接W5により固定し、各接合金物13の先端板16と垂直面材2とを高力ボルト・ナット14を本締めして接合した後、縦側板7と接合金物13の基端板15の高力ボルト・ナット14を本締めすることで、前記実施形態と同様に、垂直補剛材3上端部側の溶接部の疲労性能を向上させる補強(補修を兼ねた補強)することができる。前記以外の部分は、前記の場合と同様である。
図6には、本発明の第6実施形態の補強構造が示されている。この形態は図3に示す形態の変形形態であり、垂直補剛材3の上端を水平面材1の下面から離して間隙を設けた形態で、垂直補剛材3の水平回りを、接合金物13付の補強金具5により囲んで、垂直補剛材3上端と水平面材1との溶接接合部の応力集中を緩和して、疲労性能を向上させるように補強(補修を兼ねた補強)した形態である。接合金物13等の形態は前記した実施形態と同様であるので、同様な要素には同様な符号を付している。
図7に示す形態は、図15に示すような他の形態の補強金具5を用いて、垂直補剛材3上端部と水平面材1との溶接部の応力集中を緩和して、補強(又は前記溶接部の亀裂等に対して補修補強)した第7実施形態である。この形態の補強金具5は、湾曲接続板6又は湾曲接続板6とこれに接続する各縦側板7の下面側は、各縦側板7に直角方向からの側面視で、垂直面材2から最も遠い位置の湾曲接続板6の先端部から各縦側板7に向かって、漸次下面レベルが降下すると共に垂直面材に近づくように円弧状の切り欠き部9を有している形態である。円弧状の切り欠き部9を有しているので、垂直面材1及び水平面材2に対して補強金具の内側からの隅肉溶接が確実に実施できるため、補強金具の固定が確実になる。また、補強金具5における縦側板7と、垂直面材2とは、接合金物13を介して接合されている形態で、前記した形態と同様な部分には、同様な符号を付している。
このような形態における湾曲接続板6の上下方向の高さ寸法Lは、少なくとも10mmとされている。
図10には、本発明の第9実施形態の鋼構造物の補強構造が示されている。この形態では、断面I又はH形のプレートガーダ或は桁11等の鋼構造物の垂直補剛材3の上端部の水平周りに、各縦側板7に直角方向からの側面視で、円弧状の切り欠き部9を有する補強金具5を配置して、接合金物13を介して高力ボルト・ナット14により垂直面材2に固定した形態であり、その他の構成は前記実施形態と同様である。
図11には、本発明の第10実施形態の鋼構造物の補強構造が示されている。この形態は、図3に示す形態の変形形態で、垂直面材2と補強金具5における各縦側板7を接合金物13を介して、高力ボルト・ナット14により接合した形態で、垂直補剛材3の上端部にはギャップGが形成されている。その他の構成は前記実施形態と同様である。
図12には、本発明の第11実施形態の鋼構造物の補強構造が示されている。この形態は、接合金物13の先端板16を垂直面材2に溶接W7により溶接してもよい形態を示した図であり、この場合は接合金物13の先端板16の長さ及び幅と補強金具5の下部の形状と幅を、溶接施工性を考慮して調整する。この形態では、先端板16にはボルト孔19を設ける必要はなく、基端板15のみボルト孔を設けておけばよい。先端板16の溶接長を確保するために、接合金物13の形状と幅及び長さと、補強金具5の高さとも、溶接施工性を考慮して調整する。この場合のその他の構成は前記実施形態と同様である。
Case1 :従来構造。補強金具5なし。(図19(a)(b)参照)
Case2(本発明例1):補強金具5あり。高さL=100mm。(図19(c)参照)
Case3(本発明例2):補強金具5あり。高さL=200mm。(図19(c)参照)
Case4(本発明例3):切欠き部9付き補強金具5あり。高さL=200mm。(図19(d)参照)
なお、前記Case1の従来構造で、図19(b)における符号18は、垂直面材2に隅肉溶接により固着される点検用の吊り足場支持金具18であり、この金具18は垂直補剛材3と同一面内で垂直面材2の反対側において垂直面材2に設置され、水平面材2に溶接されない場合が多い。
前記のように、図18及び図19(a)に片側を示す従来構造とした場合(Case1)と、本発明の各実施形態の代表形態として図19(b)に示す補強金具5を用いた本発明例1,2(Case2及び3)と、切欠き部9を設けた補強金具5を用いた図19(d)に示す本発明例3(Case4)の各補強構造について、垂直補剛材3上端の先端部を着目点Aとして、この部分に作用する応力の違いを数値解析した。
従来構造及び本発明のいずれの場合も、デッキプレートからなる水平面材1は板厚12〜30mmの鋼板で、垂直面材2は板厚9〜30mmの鋼板で、垂直補剛材3は板厚9〜30mm板幅50〜300mmの鋼板である。
本発明例の試験体に用いた補強金具5の共通点は、その補強金具5の鋼板の板厚が9mm、垂直補剛材3の中心を通り図19(c)(d)に示すように垂直面材2から垂直に150mm離れた位置を中心として湾曲接続板6の外半径Rが100mmとした補強金具で、Case2の本発明例1では、各縦側板7及び湾曲接続板6の高さ寸法Lが100mmの場合、Case3の本発明例2では、各縦側板7及び湾曲接続板6の高さ寸法Lが200mmの場合(図19(c)参照)、Case4の本発明例3では、各縦側板7の高さ寸法が200mmで湾曲接続板6の下側の発生する応力が低い範囲に、側面視で半径100mmの切り欠き部9を設けた場合で湾曲接続板6の高さ寸法が50mmとした場合である。
荷重Fは、トラック後輪の一つで95.4kNが垂直補剛材3から離れた位置において水平面材1上方から作用した場合を想定している。
Case1の従来構造と、Case2〜4の本発明例1〜3を含む計4例の解析結果を図13にグラフとして示す。図13のグラフから、上側に位置する従来構造(Case1)の場合より、本発明例1,3,2(Case2、4、3)の順で、垂直補剛材3先端の着目点Aの応力集中が、応力範囲の最大値で、20%〜35%緩和されて改善されていることがわかる。
2 垂直面材
3 垂直補剛材
4 鋼床版
5 補強金具
6 湾曲接続板
7 縦側板
8 スカラップ
9 切り欠き部
10 鋼製Uリブ
11 プレートガーダ或は桁
12 上端面
13 接合金物
14 ボルト・ナット
15 基端板
16 先端板
17 下フランジ
18 点検用の吊り足場支持金具
19 ボルト孔
Claims (9)
- 水平面材の下面側に垂直面材が溶接により一体に設けられ、前記垂直面材に、又は前記垂直面材と水平面材とに渡って垂直補剛材を溶接により固着した鋼構造物の補強構造において、垂直補剛材の上端部の水平周りを囲むように、垂直補剛材の表裏両側に間隔をおいて一対の縦側板と各縦側板に一体に連設された横断面U字状又は円弧状の湾曲接続板を有する補強金具が配置され、前記補強金具における各縦側板及び湾曲接続板の上端と前記水平面材とが溶接により固着され、各縦側板と垂直面材とが溶接接合又はボルト接合されていることを特徴とする鋼構造物の補強構造。
- 水平面材の下面側に垂直面材が溶接により一体に設けられ、前記垂直面材に、又は前記垂直面材と水平面材とに渡って垂直補剛材を溶接により固着した鋼構造物の補強構造において、垂直補剛材の上端部の水平周りを囲むように、垂直補剛材の表裏両側に間隔をおいて一対の縦側板と各縦側板に一体に連設された横断面U字状又は円弧状の湾曲接続板を有する補強金具が配置され、前記補強金具における各縦側板及び湾曲接続板の上端と前記水平面材とが溶接により固着され、各縦側板と垂直面材とが、縦側板にボルト接合され垂直面材に溶接又はボルト接合された接合金物を介して接合されていることを特徴とする鋼構造物の補強構造。
- 水平面材の下面側に垂直面材が溶接により一体に設けられ、前記垂直面材に、又は前記垂直面材と水平面材とに渡って垂直補剛材を溶接により固着した鋼構造物の補強構造において、垂直面材の上端部が水平面材から離れた状態とされ、水平面材から離れた垂直補剛材の上端部の水平周りを囲むように、垂直補剛材の表裏両側に間隔をおいて一対の縦側板と各縦側板に一体に連設された横断面U字状又は円弧状の湾曲接続板を有する補強金具が配置され、前記補強金具における各縦側板及び湾曲接続板の上端と前記水平面材とが溶接により固着され、各縦側板と垂直面材とが溶接又はボルト接合されていることを特徴とする鋼構造物の補強構造。
- 水平面材の下面側に垂直面材が溶接により一体に設けられ、前記垂直面材に、又は前記垂直面材と水平面材とに渡って垂直補剛材を溶接により固着した鋼構造物の補強構造において、前記垂直補剛材の上端部が切除されて垂直面材の上端部が水平面材から離れた状態とされ、水平面材から離れた垂直補剛材の上端部の水平周りを囲むように、垂直補剛材の表裏両側に間隔をおいて一対の縦側板と各縦側板に一体に連設された横断面U字状又は円弧状の湾曲接続板を有する補強金具が配置され、前記補強金具における各縦側板及び湾曲接続板の上端と前記水平面材とが溶接により固着され、各縦側板と垂直面材とが、縦側板と垂直面材とにボルト接合された接合金物を介して接合されていることを特徴とする鋼構造物の補強構造。
- 補強金具の湾曲接続板は、垂直面材から最も遠い位置の湾曲接続板の高さ寸法が、少なくとも10mmとされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の鋼構造物の補強構造。
- 補強金具は、水平面材と垂直面材すみ肉溶接部を避けるためのスカラップを有し、湾曲接続板又は湾曲接続板とこれに接続する各縦側板の下面側は、各縦側板に直角方向からの側面視で、垂直面材から最も遠い位置の湾曲接続板の先端部から各縦側板に向かって、漸次下面レベルが降下すると共に垂直面材に近づくように円弧状の切り欠き部を有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の鋼構造物の補強構造。
- 水平面材の下面側に垂直面材が溶接により一体に設けられ、前記垂直面材に、又は前記垂直面材と水平面材とに渡って垂直補剛材を溶接により固着した鋼構造物の補強方法において、垂直補剛材の上端部の水平周りを囲むように、垂直補剛材の表裏両側に間隔をおいて一対の縦側板と各縦側板に一体に連設された横断面U字状又は円弧状の湾曲接続板を有する補強金具を配置した後、前記補強金具における各縦側板及び湾曲接続板の上端と前記水平面材とを溶接により固着し、各縦側板と垂直面材とを溶接接合又はボルト接合することを特徴とする鋼構造物の補強方法。
- 水平面材の下面側に垂直面材が溶接により一体に設けられ、前記垂直面材に、又は前記垂直面材と水平面材とに渡って垂直補剛材を溶接により固着した鋼構造物の補強方法において、垂直補剛材の上端部の水平周りを囲むように、垂直補剛材の表裏両側に間隔をおいて一対の縦側板と各縦側板に一体に連設された横断面U字状又は円弧状の湾曲接続板を有する補強金具で、各縦側板の先端部に接合金物の一端側をボルトにより仮締め状態で接合された補強金具を配置し、前記接合金物の他端側と垂直面材とをボルトにより仮締め状態で接合し、補強金具を所定の位置に保持した後、前記補強金具における各縦側板及び湾曲接続板の上端と前記水平面材とを溶接により固着し、その後、接合金物と垂直面材とを接合するボルトを本締めすることを特徴とする鋼構造物の補強方法。
- 水平面材の下面側に垂直面材が溶接により一体に設けられ、前記垂直面材に、又は前記垂直面材と水平面材とに渡って垂直補剛材を溶接により固着した鋼構造物の補強方法において、垂直補剛材の上端部を水平面材の下面から離れた状態とすることを特徴とする請求項7又は8に記載の鋼構造物の補強方法。
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