JP6341659B2 - 樹脂性外装カバーおよびその製造方法 - Google Patents

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本発明はカメラ、複写機、プリンターなどの機器内部の騒音を外部へ漏らす事を抑制する吸音効果を持つ樹脂製外装カバーおよびその製造方法に関する。
従来、機器内部の騒音を外部へ漏らす事を抑制、あるいは減衰させる目的で、外装などのカバーの内張りにグラスウールや防振ゴムなどの吸音材、制振材などを別部材として接着や締結させていた。
また、自動車における車内へのロードノイズ低減を目的として、例えば板材に樹脂発泡吸音部材を取り付け、さらに空間を仕切る様な板状部材を取り付け、外部に通じる空気室を設けた構造体が提案されている(特許文献1参照)。
樹脂発泡部材としては、近年では樹脂材料中に高圧高温度下で超臨界状態の窒素又は炭酸ガスを浸透させ、圧力と温度を調整し、ミクロンサイズの小さな発泡径を多数内蔵する発泡成形品を得る方法が知られている(特許文献2)。
さらに、樹脂発泡部材の製造法として、型内に発泡性樹脂を注入後、型の容積を拡大し、発泡倍率を大きくするコアバックと呼ばれる成形方法が知られている(特許文献3)。
特開2012−166717 USP4473665 特開2002−120252
特に、カメラ、複写機、プリンターなどの樹脂性外装カバーは、通常厚みが6mm以下であり、自動車や他の工業製品に比べ薄い。樹脂製外装カバーは、厚みを薄くすると機器内部の音が容易にカバーを介して外部に漏れるという問題があり、厚みを厚くすると材料費が増加するとともに、成形加工時間が長くなるという生産性やコストの問題があった。
また、カバーの内側にグラスウールなどの繊維状の吸音材やスポンジ、ウレタンなどのゴム系材料及び発泡体を取り付ける事が行われているが、低周波音域での効果が薄い事と、コストが増加するなどの生産性の問題があった。
樹脂製外装カバーを発泡成形し、吸音効果を付与した場合には、低周波側での吸収効果は非常にわずかであり、高周波側の吸収もグラスウールなどの繊維状吸音材よりも効果が低く、単独では実用に使用できない状況であった。
本発明の目的は、厚みが6mm以下であっても吸音効果のある樹脂製外装カバーを提供することである。
前記課題を解決する為に、本発明の樹脂製外装カバーは、第一面と第二面を有し、前記第一面と前記第二面との間の肉厚が6mm以下であって、内部に気泡径が10μm以上40μm以下の気泡と、気泡径が0.5mm以上3mm以下の空洞部と、を含み、前記第一面に、深さが0.5mm以上2mm以下の穴が多数形成されている事を特徴とする。
本発明の樹脂製外装カバーの製造方法は、定側型板、第一の可動側型板、および高さが0.5mm以上2mm以下の凸形状が形成された可動コアによって形成されるキャビティに樹脂を充填し、前記可動コアを移動させることによって前記キャビティの容積を広げることで前記キャビティ内の樹脂を発泡させるとともに、0.5mm以上3mm以下の空洞部を形成することを特徴とする。
本発明の樹脂製外装カバーおよびその製造方法により、カメラや、複写機、プリンターなどの事務機等、内部の騒音を抑える事が出来るようになった為、特別な吸音材を取り付ける必要が無くなり、経済効果と設計の自由度が向上した。
第一の実施形態を説明する図 第一の実施形態を説明する図 第二の実施形態を説明する図 第三の実施形態を説明する図 第四の実施形態を説明する図 第四の実施形態を説明する図 第五の実施形態を説明する図 第五の実施形態を説明する図
カメラ、複写機、プリンターなどの樹脂製の外装カバーに関するものである。
(第一の実施形態)
本発明の第一の実施形態について以下、図1を用いて説明する。
図1は本発明の樹脂製外装カバーの基本構成を示している。図1(a)は、概略図、図1(b)は、図1(a)のA−A断面の拡大図を示す。
1は樹脂製外装カバーであり、2は製品内部の駆動手段等から発生する音源側表面である第一面(例えば非外観面)、3は樹脂製外装カバー内部の気泡、4は音源側表面に形成されている微細な穴である。第一面と反対側の面である第二面(不図示)と、第一面との間の距離である肉厚は6mm以下と薄い。ここで音源とは、カメラのレンズ駆動手段から発生する音、複写機やプリンターなどの事務機器における、ドラム等の回転駆動手段から発生する音や、紙を搬送するための搬送手段から発生する音等が考えられる。よって、音源側表面である第一面とは、例えば製品内部側を向いている面であり、非外観面に好適に用いられるが、これに限るものではなく、外観面であってもよい。第二面は音源とは反対側の面であり、例えば外観面である。
図1に示したように本実施形態の樹脂製外装カバーは、内部に気泡を有し、音源側の表面である第一面に微細な穴が形成された、成形品によるものである。内部に形成された気泡は、平均気泡径が10μm以上40μm以下の気泡であることが好ましい。平均気泡径とは、第一面または第二面と垂直方向に交わる面で切断した断面を、CCD顕微鏡で撮影、各気泡径を測定し、平均し算出したものである。
音源から発した様々な波長の音は、内部に形成された気泡により、反射、透過、減衰を繰り返し、吸音される。また、穴内で反射、透過、多重干渉する事によっても吸音される。第一面に微細な穴を設けたことで、厚み(肉厚)が6mm以下の薄肉の樹脂製外装カバーであっても、十分に吸音させることが可能となる。また穴は、1mm以上5mm以下の間隔で形成されていることが好ましい。第1面に穴を設ける事で、音源からの各波長の音が表面反射し、表面で反射干渉する事で減衰し、その為材料中に侵入する音波が減衰され、材料中での吸音効果がより高まり、結果として内部音源から外部への音の透過は少なくなる。また、対象としている内部音源はモーター、ギア、紙の通過及び紙の搬送に伴う各種部品の振動などが主な音源であり、それらの周波数は主に500Hz〜3KHzである。その為、表面の穴での干渉効果としては、なるべく多くの穴を設置する方が効果は大きくなるが、型の耐久性や型の可能性を考慮した場合には1mm以上5mm以下の間隔が適していた。
図1(b)において、音源側の第一面に形成されている穴は、いろいろな大きさ、深さの穴がランダムに混在していることが好ましい。前記したように内部からの音源波長は500Hz〜3KHzと幅がある為、其々の波長により効果的に対応する為には、穴の大きさと深さとがランダムに混在している事で幅のある音源波長に対してより効果を示していた。この大きさと深さは、音源の周波数帯に応じて変化していることが好ましい。大きさと深さを変化させる事で、穴内部での音の波長吸収と反射が効率よく行われる。穴の形状は、円柱、円錐、多角柱、多角錐、鋸歯状など、どのような形状であっても一定の効果を得ることができるが、製造上の面から、円柱の穴が好適に用いられる。穴の大きさは、非外観面に表れる開口部の形状の、一番離れている部分の長さが、3mm以上6mm以下の範囲内であることが好ましい。これは、3mm未満では型の強度、非外観面側での成形時の離型性が悪化する為と、6mmを超えた場合には穴での反射減衰に対して、穴の部分での肉厚方向の透過吸音効果が少なくなってしまう為である。穴の形状が、円柱、円錐の場合は、穴の非外観面に表れる開口部の円の直径が、3mm以上6mm以下の範囲内であることが好ましい。この理由は前記金型加工上の問題と透過吸収絵の影響を考慮する為である。穴の深さは、0.5mm以上2mm以下の範囲内であることが好ましい。0.5mmより薄い場合には穴を設置していない場合と反射吸収における吸音効果はほとんど変わらない。また、2mm以上の深さでは、穴での吸音効果は高まる半面、穴低部から肉厚を通過する吸音効果が少なくなる事から、前記周波数帯では2mm以下が望ましい。
(樹脂製外装カバーの製造方法)
図2は本発明の樹脂製外装カバーを成形する金型の断面図を示している。
図2(a)は発泡性樹脂を型内のキャビティに充填した直後の状態を示している。図2(b)において、コアバック時の状態を示している。図2(c)は型内での樹脂冷却が終了し、部品を取り出すときの動作を示している。発泡性樹脂は、樹脂中に窒素や炭酸ガスなどの不活性ガスを浸透させたものを用いることが好ましい。これを射出成形により型内へ射出し発泡成形品を形成する。
図2において、41はキャビティ、9はメインパーティング、6はサブパーティングである。5は固定側型板であり、キャビティを形成する面には、第二面(例えば外観面)を転写する形状が形成されている。71は第一の可動側型板であり、キャビティを形成する面には、第二面(例えば非外観面)に形成される穴を転写する形状が形成されている。つまり、高さが0.5mm以上2mm以下の凸形状が形成されている。72は、第二の可動側型板である。8は第二の可動側型板に固定された可動コアである。10はエジェクタピンであり、12、13はエジェクタプレートであり、15はエジェクタプレート駆動ユニットである。
図2(a)は発泡性樹脂を型内に充填した直後の状態を示す。成形機側の制御により可動側の金型取り付け板73(通称可動側プラテンと呼ぶ)が紙面左の型閉方向に移動することで金型が型閉し、メインパーティング9とサブのパーティング6は閉じた状態になる。この時、エジェクタピン10は最終肉厚位置に固定しておく。
発泡性樹脂が充填された後、図2(b)に示すように、成形機側の制御により可動側の金型取り付け板73(通称可動側プラテンと呼ぶ)を紙面右の型開方向に移動させる。この動作により第二の可動側型板72に固定された8の可動コアが同量移動する。27がこの時のコアの移動量(コアバック移動量)である。この可動コアの移動により、キャビティの容積が拡大し、キャビティ内の圧力が急激に下がることで、キャビティ内の樹脂の発泡が促進される。可動コアが移動するため、キャビティ内において、固定側型板側よりも可動コア側の樹脂の発泡がより促進される。以下、コアバック移動量だけ第二の可動側型板が型開方向に移動することをコアバックと称する。
コアバック移動量は18のコアバック量規定ボルトで規制され、コアバック規制ボルト18のストローク以上に成形機の可動側プラテンが型開方向に移動した場合には、6のメインパーティングが開き、キャビティ内の固定側型板側の発泡がより促進される。
通常では、コアバック量を成形機の制御で行い、コアバック量規定ボルトのストローク内に設定して行なう。
図2(b)において、コアバック時にはメインのパーティングが開かないように第二の可動側型板72内に設けられた、可動側型板押付駆動ユニット19が第一の可動側型板71をメインパーティング9へ押し付ける。
同時にメインパーティング9は、マグネット等によるメインパーティング固定ユニット20、21により固定される。これらの働きにより、コアバック量がコアバック規制ボルトのストローク内である場合には、コアバック時にメインパーティングが開く事は無い。
従って、本発明の樹脂製外装カバーを成形する金型構造において、コアバック時にメインパーティングが開かない為、メインパーティング領域でのバリ発生は生じる事が無く、良好な精度を持つ樹脂製外装カバーを得る事が出来る。
図2(c)は型内での樹脂冷却が終了し、部品を取り出すときの動作を示している。
成形機の型開き動作により、メインパーティングが開き、28の成形機エジェクタロッドが前進し、エジェクタプレート12、13を押出し、成形品が取出される。
(第二の実施形態)
図3は第二の実施形態の樹脂製外装カバーの一部分の、断面拡大図を示している。
図3において、23は内部に形成された気泡であり、気泡の中に23で示す微細な穴があいており、複数の気泡同士が連結されている。
複数の気泡同士が連結されている事で、音源から発した音は樹脂中を伝播するとともに、気泡壁から気泡内へ伝達され、その後複数の気泡内を移動する事になる。複数の気泡内を伝播する事で、音の反射、干渉、吸収の効果がより高まる。
気泡径が異なる個所を通過する事は、音が伝播する経路が変化する事となる為、経路を通過中に音源から伝播した音が減衰し、吸音する効果を発生する。
また、発泡気泡同士を連結する穴は、樹脂材料中に核剤などを添加する事により形成されている。
音源側表面に、第一の実施形態で説明した穴を有していることが好ましい。図3における22は、この穴を示す。本実施形態では、鋸歯状形状をしており、角度は20度を中心として角度と深さが変化した形状が多数形成されている例を示す。鋸歯形状では垂直に侵入してきた音が角度をもった面で全反射を繰り返す事で、徐々に奥に進むにつれ多重反射と干渉により減衰する効果を生み出す。第一の実施形態と同様、いろいろな大きさ、深さの穴が混在していることが好ましい。この大きさと深さは、音源の周波数帯に応じて変化していることが好ましい。大きさと深さを変化させる事で、穴内部での音の波長吸収と反射が効率よく行われる。前記音源の波長は500Hz〜3KHzと幅がある為、大きさと深さを変化させる事で各波長をまんべんなく減衰させる事が出来る。穴の形状は、円柱、円錐、多角柱、多角錐、鋸歯状など、どのような形状であっても一定の効果を得ることができる。
(第三の実施形態)
図4は第三の実施形態の樹脂製外装カバーの一部分の断面拡大図を示している。
図4において、24は板厚内部に設けられた、気泡径が、0.5mm以上3mm以下の空洞部である。空洞部は第一面または第二面と垂直方向に交わる面で切断した断面を、CCD顕微鏡にて観察し、厚み方向と厚み方向に垂直方向との平均で表している。43は、第一の実施形態で説明した平均気泡径が10μm以上40μm以下の気泡である。空洞部24は、気泡43よりも大きい気泡であり、その表面241は、凸凹した粗い面である。
音源からの音は、樹脂層に伝播した後一部は気泡43内へ伝播するとともに多くは空洞部24内へ伝播する。空洞部24内では、樹脂層に比べ音の伝わりが悪い為、空洞部内で音の吸収が行われる。また、空洞部24内の表面は凸凹した粗い面である為、様々な方向へ音が反射し、多重干渉を引き起こす。その為、空洞部内では音の吸収がより一層行われる事になる。
また、音源側表面に、第一の実施形態で説明した穴を有していることが好ましい。第一の実施形態と同様、いろいろな大きさ、深さの穴が混在していることが好ましい。この大きさと深さは、音源の周波数帯に応じて変化していることが好ましい。大きさと深さを変化させる事で、穴内部での音の波長吸収と反射が効率よく行われる。穴の形状は、円柱、円錐、多角柱、多角錐、鋸歯状など、どのような形状であっても一定の効果を得ることができるが、製造上の面から、円柱の穴が好適に用いられる。穴の大きさは、非外観面に表れる開口部の形状の、一番離れている部分の長さが、3mm以上6mm以下の範囲内であることが好ましい。穴の形状が、円柱、円錐の場合は、穴の非外観面に表れる開口部の円の直径が、3mm以上6mm以下の範囲内であることが好ましい。穴の深さは、0.5mm以上2mm以下の範囲内であることが好ましい。
(第四の実施形態)
図5は第四の実施形態の樹脂製外装カバーの一部分の断面拡大図を示している。
図5において、25は気泡がほとんどない部分である。以下、気泡がほとんどない部分を低発泡部と称する。低発泡部とは1mmでの重量が、発泡していない通常成形した同じ材料の重さに対して95%以上の重さを維持する部分であり、比重測定器にて測定される。
第三の実施形態で説明した気泡径が、0.5mm以上3mm以下の空洞部と空洞部との間に低発泡部を形成する。これにより本実施形態の樹脂製外装カバーの内部は、平均気泡径が10μm以上40μm以下の気泡が多数含まれる領域である気泡領域51、気泡径が、0.5mm以上3mm以下の空洞部の領域である空気領域52、および低発泡領域25から構成される。
音源から発せられた音は、3つの異なる領域で、各々異なる音の吸収が行われている。多種多様な周波数が混在する音源からの音は、3つの異なる領域で、周波数特性に従った異なる吸収が可能な為、全体の音の吸収が効果的に行われる。音の吸収は音源側での反射吸収、反射の多重干渉吸収、材料中を通過する際の吸収が行われる。音は波長の幅がある為、表面の形状により吸収効果が異なり、干渉効果も異なる。さらに、材料内部を通過する際も波長により吸収度合いが異なる。低発泡層では密度が高い為透過する事が困難な半面、表面反射が大きくなる。また、内部に気泡がある事で気泡に入った音波は、気泡内の低密度部分から気泡外部の樹脂層の密度の高い部分へ出ようとする。密度の低い部分から密度の高い部分へ音波が伝わるには、より多くのエネルギーを必要とする為、エネルギーの減衰が行われ、音の吸収が行われる事になる。前記通常行われている吸音対策のグラスウールなどの不織布は、高周波側の吸収効果が高く、自動車の床に敷かれている比重の大きなマット材はロードノイズなどの低周波に効果があるのはそのためである。
また、音源側表面(第一面)に、第一の実施形態で説明した穴を有していることが好ましい。第一の実施形態と同様、いろいろな大きさ、深さの穴が混在していることが好ましい。この大きさと深さは、音源の周波数帯に応じて変化していることが好ましい。大きさと深さを変化させる事で、穴内部での音の波長吸収と反射が効率よく行われる。穴の形状は、円柱形状、円錐形状、多角柱形状、多角錐形状、鋸歯状形状など、どのような形状であっても一定の効果を得ることができるが、製造上の面から、円柱形状の穴が好適に用いられる。穴の大きさは、非外観面に表れる開口部の形状の、一番離れている部分の長さが、3mm以上6mm以下の範囲内であることが好ましい。穴の形状が、円柱形状、円錐形状の場合は、穴の非外観面に表れる開口部の円の直径が、3mm以上6mm以下の範囲内であることが好ましい。穴の深さは、0.5mm以上2mm以下の範囲内であることが好ましい。
(第四の実施形態の製造方法)
図6は、第四の実施形態に示した樹脂製外装カバーの製造方法を示す図である。
図6は、図2で説明した金型の一部分を抜き出して示したもので、特にキャビティ周辺部分を示したものである。図2と同じ機能を有する部分には同じ符号を付し、説明を省略する。において、5は固定側型板、41は成形品形状を形成したキャビティ、30は不動コア、8は可動コアである。図6の(a)は発泡性樹脂をキャビティに充填した直後の状態を示している。発泡性樹脂を型内に充填した直後は、一部発泡しているが、発泡率はそれほど高くなく、気泡による体積は、キャビティ容積に対して5%〜8%程度である。
図6の(b)は、第二の可動側型板が型開方向に移動することにより、8の可動コアがコアバック移動量だけ移動した直後の状態を示している。
8の可動コアが移動(コアバック)し、キャビティ内が急激に減圧される事で、キャビティ内の樹脂の発泡が促進され、平均気泡径が10μm以上40μm以下の多数の気泡が形成される(気泡領域)。
また、30で示す不動コアは、可動コア8が移動しても移動しないように構成されており、31の不動コア直下の部分はほとんど減圧効果が起きない。そのため、25で示す低発泡領域が形成される。
図6の(C)は図6(b)の状態から8の可動コアがさらに型開方向に移動した後の状態を示している。
図6(b)の状態から8の可動コアの移動速度を減速して移動すると、キャビティ内樹脂の表面層は冷却固化が進み発泡状態を維持しているのに対して、中心付近は粘度が低い状態にある為、移動とともに分裂し、肉厚中心付近に52の空洞部が形成される。30の不動コア直下では肉厚の変化はない為、25の低発泡領域が維持される。図6では、不動コアが2つしかない例を示したが、多数の不動コアを設けることで、空気領域52は低発泡領域25の間の肉厚中心付近に形成される。言い換えれば、空気領域52と空気領域52との間に低発泡領域25が形成される。
(第五の実施形態)
図7は第五の実施形態の樹脂製外装カバーの一部分の断面拡大図を示している。
図7において33は第一面(例えば非外観面)から空洞部(空気領域)52に貫通する貫通穴であり、空洞部と外部とを連通している。
また、本実施形態の樹脂製外装カバーでは数種類の径が異なる貫通穴が配置されている。
内部の空洞部と外部とを貫通穴でつなぐ事により、音源からの各周波数の音は、ホルムヘルツ型の共鳴を起こす事となり、貫通穴の径と長さ及び空洞部の容積により、種種の波長の音が共鳴により減衰している。
また、音源側表面(第一面)に、第一の実施形態で説明した穴を有していることが好ましい。第一の実施形態と同様、いろいろな大きさ、深さの穴が混在していることが好ましい。この大きさと深さは、音源の周波数帯に応じて変化していることが好ましい。大きさと深さを変化させる事で、穴内部での音の波長吸収と反射が効率よく行われる。穴の形状は、円柱、円錐、多角柱、多角錐、鋸歯状など、どのような形状であっても一定の効果を得ることができるが、製造上の面から、円柱の穴が好適に用いられる。穴の大きさは、非外観面に表れる開口部の形状の、一番離れている部分の長さが、3mm以上6mm以下の範囲内であることが好ましい。穴の形状が、円柱、円錐の場合は、穴の非外観面に表れる開口部の円の直径が、3mm以上6mm以下の範囲内であることが好ましい。穴の深さは、0.5mm以上2mm以下の範囲内であることが好ましい。
(第五の実施形態の製造方法)
図8は、第五の実施形態の製造方法を示している。第四の実施形態と同じ機能を有する部分には同じ符号を付し、説明を省略する。第四の実施形態の製造方法と異なるところは、34の貫通穴をあけるピンを有しているところである。
図8(a)において、ピン34は可動コア8の移動とともにコアバック時には移動させておき、その後、第四の実施形態の製造方法を示す図6(d)までは同じ工程により、空洞部を形成する。その状態でピン34を空洞部方向(型閉方向)へ移動させ、貫通穴をあける。貫通穴をあけたときの樹脂の廃材は、型から成形品を取り出し後に空洞部から除外すればよい。
(比較例1及び実施例1及至実施例4)
次に実施例について説明する。
実施例1は第一の実施形態、実施例2は第二の実施形態、実施例3は第三の実施形態、実施例4は第四の実施形態の樹脂製外装カバーを用いて音源からの吸音状態を計測した結果を表1に示す。
また、比較例1として、気泡や空洞部のない、ほぼ均一な密度の樹脂材料で形成された従来の樹脂製外装カバーを用いた。
Figure 0006341659
なお図2で示した金型を用い、成形機はJSW350Ton成形機を用いた。
音響測定にはブリュエル・ケアー社製の内径29mmの物を使用した。
表1において比較例1は通常成形し気泡や空洞部のない、ほぼ均一な密度の樹脂材料で形成された樹脂製外装カバーを用いた。そして、実施例1は図1で示した内部構造を持ち、実施例2は図3、実施例3は図4、実施例4は図5記載の内部構造を持つ本発明の樹脂製外装カバーを用いた。
吸音率と伝播定数を計測した結果から、実施例1〜4の樹脂製外装カバーはいずれにおいても従来のカバーに比べ吸音効果が大きい結果となった。
吸音率は音源からの入射音に対して、透過後の音の比を表している為、音源側表面での反射が強い場合には、見掛け上吸音率が高い数値となる。
伝播定数はいずれも本発明の実施例が上回っており、吸音効果としては本発明の方が優れている事が理解しえる。
以上の結果から、本発明の樹脂製外装カバーはいずれにおいても優れた吸音効果を発揮していた。
(実施例4及至実施例5)
本発明図5及び図7記載の樹脂製外装カバーを用いて音源からの吸音状態を計測した結果を表2に示す。
Figure 0006341659
表2は、図5で示した構造を持つ本発明の実施例4と、図7で示した本発明の構造を持つ樹脂製外装カバーとの計測結果を示している。
実施例5の方が低周波側でより吸音効果が高い結果となっている。
表1及び表2の結果から、本発明の樹脂製外装カバーは、前記した構造上の特徴により、従来のカバーよりも高い吸音特性が得られるとともに、音源側の形状や、内部構造の組み合わせにより、吸収する周波数特性を変化する事が出来る特徴を持つ物である。
なお、表1及び表2の本発明実施例で示した材料以外においても、本発明が従来の手法に対して有効である為、本発明は実施例に示した範囲に留まる物ではない。
1 樹脂製外装カバー
2 音源側表面
3 内部発泡層
4 表面凹凸形状
6 サブパーティング
8 可動コア
9 メインパーティング
23 微細孔
24 空洞部
25 低発泡層
30 不動コア
31 可動コア
33 貫通穴
35 従来カバー

Claims (9)

  1. 第一面と第二面を有し、前記第一面と前記第二面との間の肉厚が6mm以下であって、内部に気泡径が10μm以上40μm以下の気泡と、気泡径が0.5mm以上3mm以下の空洞部と、を含み、前記第一面に、深さが0.5mm以上2mm以下の穴が多数形成されている事を特徴とする樹脂製外装カバー。
  2. 前記気泡は、複数の気泡が連通して形成されていることを特徴とする請求項1記載の樹脂製外装カバー。
  3. 前記穴は、円柱形状であることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂製外装カバー。
  4. 前記穴は、円錐形状であることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂製外装カバー。
  5. 前記穴は、1mm以上5mm以下の間隔で形成されていることを特徴とする請求項1乃至4いずれか一項記載の樹脂製外装カバー。
  6. 前記空洞部と空洞部との間に低発泡領域を有することを特徴とする請求項1乃至5いずれか一項記載の樹脂製外装カバー。
  7. 前記空洞部と外部とを連通する穴が形成されていることを特徴とする請求項1乃至いずれか一項記載の樹脂製外装カバー。
  8. 定側型板、第一の可動側型板、および高さが0.5mm以上2mm以下の凸形状が形成された可動コアによって形成されるキャビティに樹脂を充填し、
    前記可動コアを移動させることによって前記キャビティの容積を広げることで前記キャビティ内の樹脂を発泡させるとともに、0.5mm以上3mm以下の空洞部を形成することを特徴とする樹脂製外装カバーの製造方法。
  9. 前記空洞部を形成した後、ピンを前記空洞部まで移動させて穴を形成することを特徴とする請求項記載の樹脂製外装カバーの製造方法。
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