JP2007106304A - 吸音パネル - Google Patents
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Abstract
【課題】軽量ながら自動車の内装材として良好な弾性かつ良好な触感が得られるとともに、高い吸音性が得られる吸音パネルの提供を課題とする。
【解決手段】近接位置L1にあるときの一対の成形型11,12の間の距離を1.0〜10.0mmとし、近接位置L1から離間位置L2までの離間距離を1.0〜50.0mmとして、表面に非発泡のスキン層M16を形成しながら成形型11,12の離間方向D1へ前記離間距離以下で1.0mm以上となるように気泡を連続させて霜柱状に発泡セルM13を伸長させて樹脂発泡成形体M10を成形し、得られる樹脂発泡成形体M10のスキン層M16に該スキン層を貫通する通気孔M16aを形成することにより、新規な吸音パネルM100が提供される。キャビティに充填された樹脂成形材料内の温度分布の異なりに応じた空洞M25を内部に形成した樹脂発泡成形体M20を用いてもよい。
【選択図】図7
【解決手段】近接位置L1にあるときの一対の成形型11,12の間の距離を1.0〜10.0mmとし、近接位置L1から離間位置L2までの離間距離を1.0〜50.0mmとして、表面に非発泡のスキン層M16を形成しながら成形型11,12の離間方向D1へ前記離間距離以下で1.0mm以上となるように気泡を連続させて霜柱状に発泡セルM13を伸長させて樹脂発泡成形体M10を成形し、得られる樹脂発泡成形体M10のスキン層M16に該スキン層を貫通する通気孔M16aを形成することにより、新規な吸音パネルM100が提供される。キャビティに充填された樹脂成形材料内の温度分布の異なりに応じた空洞M25を内部に形成した樹脂発泡成形体M20を用いてもよい。
【選択図】図7
Description
本発明は、自動車の内装材等に用いられる吸音パネルに関する。
従来より、以下のようにして、一対の成形型を離間(コアバック)させて発泡樹脂成形材料を射出成形し、自動車の内装材に用いている。
まず、雌雄対の成形型を型締めして形成されるキャビティに発泡剤を含む樹脂成形材料を加熱溶融させて充填し、所定秒数の経過後、前記雌雄対の成形型を相互に所定距離だけ離間させてキャビティの容積を拡張する。すると、キャビティ内に充填された樹脂成形材料は、内圧が開放され、内部に含まれる発泡剤が発泡してキャビティに追随して膨張する。その後、樹脂成形材料は、多数の気泡を有する状態で固化し、樹脂発泡成形体とされる。
上記樹脂発泡成形体は、金型に接して成形の早い段階で冷却形成された表面のスキン層と、該スキン層の内側に発泡剤の発泡にともなって形成された発泡層とを有する構造とされている。得られる樹脂発泡成形体は、軽量で触感が柔らかく、自動車の内装用のパネル等での用途がある。また、成形工程が一工程で済む合理的な利点がある。
特開2005−59224号公報
特開2002−317548号公報
まず、雌雄対の成形型を型締めして形成されるキャビティに発泡剤を含む樹脂成形材料を加熱溶融させて充填し、所定秒数の経過後、前記雌雄対の成形型を相互に所定距離だけ離間させてキャビティの容積を拡張する。すると、キャビティ内に充填された樹脂成形材料は、内圧が開放され、内部に含まれる発泡剤が発泡してキャビティに追随して膨張する。その後、樹脂成形材料は、多数の気泡を有する状態で固化し、樹脂発泡成形体とされる。
上記樹脂発泡成形体は、金型に接して成形の早い段階で冷却形成された表面のスキン層と、該スキン層の内側に発泡剤の発泡にともなって形成された発泡層とを有する構造とされている。得られる樹脂発泡成形体は、軽量で触感が柔らかく、自動車の内装用のパネル等での用途がある。また、成形工程が一工程で済む合理的な利点がある。
しかしながら、軽量ながら厚み方向への圧縮力に対して座屈しにくく自動車の内装材として良好な弾性かつ良好な触感が得られ、かつ、高い吸音性が得られる吸音パネルが無かった。
特許文献1には、スキン層、低発泡層、高発泡層の少なくとも3種類の層をこの順に含有し、低発泡層の近傍の高発泡層に存在する気泡の厚み方向の径(Da1)と該厚み方向と垂直な方向の径(Da2)との比(Da1/Da2)が1〜4であり、高発泡層の厚み方向中心近傍の気泡の厚み方向の径(Db1)と該厚み方向と垂直な方向の径(Db2)との比(Db1/Db2)が4を超え10以下である、熱可塑性樹脂発泡成形体が記載されている。同文献の段落0015では、高発泡層部分の拡大写真について、低発泡層に接する部分の0.5mm角に相当する領域を取り、この領域に含まれる気泡とその大部分が0.5mm角の領域に含まれる気泡についてそれぞれの厚み方向の径(Da1)と該厚み方向と垂直な方向の径(Da2)を測定し、個数平均値を算出することにより求めることが記載されている。
特許文献1記載の熱可塑性樹脂発泡成形体は、0.5mm角の領域に含まれる気泡から径Da1,Da2を求めており、気泡の最大長径が0.5mm程度と小さい気泡を多数有するものである。このため、発泡成形体内部の通気性が無く、自動車の内装材としての触感が良好であるとは言えず、吸音性が高いとは言えなかった。
特許文献1記載の熱可塑性樹脂発泡成形体は、0.5mm角の領域に含まれる気泡から径Da1,Da2を求めており、気泡の最大長径が0.5mm程度と小さい気泡を多数有するものである。このため、発泡成形体内部の通気性が無く、自動車の内装材としての触感が良好であるとは言えず、吸音性が高いとは言えなかった。
特許文献2には、内在するセルが厚み方向に紡錘状に延びたポリオレフィン発泡体からなるクッション層と表面層とを含む床材であって、クッション層の厚さが2〜15mmで、発泡倍率が4〜20倍で、内在するセルのアスペクト比Dz/Dxyの平均値が1.1〜4である衝撃吸収床材が記載されている。
特許文献2記載の衝撃吸収床材も、アスペクト比の平均値が1.1〜4と、特許文献1記載の熱可塑性樹脂発泡成形体よりも小さいため、最大長径が1mmに達するような非常に細長いセルは存在しない。また、同公報図1(b)に示すように、セルどうしが連通していないため、床材内部の通気性が無く、内装材としての触感が良好であるとは言えず、吸音性も高いとは言えなかった。
特許文献2記載の衝撃吸収床材も、アスペクト比の平均値が1.1〜4と、特許文献1記載の熱可塑性樹脂発泡成形体よりも小さいため、最大長径が1mmに達するような非常に細長いセルは存在しない。また、同公報図1(b)に示すように、セルどうしが連通していないため、床材内部の通気性が無く、内装材としての触感が良好であるとは言えず、吸音性も高いとは言えなかった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、軽量ながら厚み方向への圧縮力に対して座屈しにくく自動車の内装材として良好な弾性かつ良好な触感を得ることができるとともに、高い吸音性を得ることが可能な吸音パネルの提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の吸音パネルは、互いに近接および離反可能な一対の成形型を所定の近接位置に近接させたときに形成されるキャビティに発泡剤を含む樹脂成形材料を充填した後に前記一対の成形型を所定の離間位置まで離間させて前記キャビティを拡張させる際に前記近接位置にあるときの前記一対の成形型の間の距離を1.0〜10.0mmとするとともに前記近接位置から前記離間位置までの離間距離を1.0〜50.0mmとして、前記キャビティ内の樹脂成形材料に表面では非発泡のスキン層を形成しながら該スキン層より内側では前記一対の成形型の離間方向へ前記離間距離以下で1.0mm以上となるように気泡を連続させて霜柱状に発泡セルを伸長させて樹脂発泡成形体を成形し、得られる樹脂発泡成形体のスキン層に該スキン層を貫通する通気孔を形成したことを特徴とする。
本吸音パネルは、表面に非発泡のスキン層が形成され、内部に離間方向へ1mm以上と非常に細長い連続気泡の霜柱状発泡セルが形成されて、スキン層に該スキン層を貫通する通気孔が形成されている。各発泡セルの容積が大きくなり、成形体の組織が低密度になっても、離間方向とは垂直な方向における発泡セルの壁どうしの距離が小さいため、軽量ながら厚み方向への圧縮力に対して座屈しにくく自動車の内装材として良好な弾性かつ良好な触感を得ることができる。また、発泡セルが非常に細長い連続気泡の霜柱状に形成されるので、樹脂発泡成形体内部に通気性がある。ここで、スキン層に形成された通気孔はスキン層を貫通して霜柱状の発泡セルと外部との間に通気性を付与するので、音波が通気孔を通過して発泡セル内に進入し、音のエネルギーが霜柱状の発泡セルに吸収される。従って、高い吸音性が得られる新規の吸音パネルを提供することができる。
また、本発明の吸音パネルは、互いに近接および離反可能な一対の成形型を所定の近接位置に近接させたときに形成されるキャビティに発泡剤を含む樹脂成形材料を充填した後に前記一対の成形型を所定の離間位置まで離間させて前記キャビティを拡張させることにより該キャビティ内の樹脂成形材料に発泡セルを形成させる際に前記キャビティに充填された樹脂成形材料内で前記離間方向とは垂直な方向へ該離間方向の温度分布を異ならせて前記一対の成形型を離間させることにより表面に非発泡のスキン層を形成しながら前記温度分布の異なりに応じた空洞を内部に形成して樹脂発泡成形体を成形し、得られる樹脂発泡成形体のスキン層に該スキン層を貫通する通気孔を形成したことを特徴とする。
本吸音パネルは、キャビティに充填された樹脂成形材料内で離間方向とは垂直な方向へ異ならせた該離間方向の温度分布の異なりに応じた空洞が内部に形成されている。これにより、樹脂発泡成形体内部の通気性が高くされるので、軽量で、高い吸音性を得ることが可能になる。ここで、スキン層に形成された通気孔はスキン層を貫通して発泡セルおよび空洞を有する内部と外部との間に通気性を付与するので、音波が通気孔を通過して内部に進入し、音のエネルギーが発泡セルに吸収される。従って、高い吸音性が得られる新規の吸音パネルを提供することができる。
本吸音パネルは、キャビティに充填された樹脂成形材料内で離間方向とは垂直な方向へ異ならせた該離間方向の温度分布の異なりに応じた空洞が内部に形成されている。これにより、樹脂発泡成形体内部の通気性が高くされるので、軽量で、高い吸音性を得ることが可能になる。ここで、スキン層に形成された通気孔はスキン層を貫通して発泡セルおよび空洞を有する内部と外部との間に通気性を付与するので、音波が通気孔を通過して内部に進入し、音のエネルギーが発泡セルに吸収される。従って、高い吸音性が得られる新規の吸音パネルを提供することができる。
なお、上記通気孔は、樹脂発泡成形体を成形した後でスキン層に形成してもよいし、樹脂発泡成形体の成形と同時にスキン層に形成してもよく、いずれの場合も各請求項に係る発明に含まれる。
請求項1にかかる発明によれば、軽量ながら厚み方向への圧縮力に対して座屈しにくく自動車の内装材として良好な弾性かつ良好な触感が得られるとともに、高い吸音性が得られる新規な吸音パネルを提供することができる。
請求項2にかかる発明では、良好な吸音性および良好な剛性を得ることができる。
請求項3にかかる発明では、造核剤が適度な核形成材となって、気泡が適度に緻密かつ均一に形成され、高い吸音性を維持しながら内装材としての触感を向上させることができる。
請求項4にかかる発明では、吸音性を向上させることができるとともに、内装材としての弾性および触感をさらに良好にさせることができる。
請求項2にかかる発明では、良好な吸音性および良好な剛性を得ることができる。
請求項3にかかる発明では、造核剤が適度な核形成材となって、気泡が適度に緻密かつ均一に形成され、高い吸音性を維持しながら内装材としての触感を向上させることができる。
請求項4にかかる発明では、吸音性を向上させることができるとともに、内装材としての弾性および触感をさらに良好にさせることができる。
請求項5にかかる発明では、発泡セルを安定して霜柱状に形成することができるので、高い吸音性を維持しながら内装材としての弾性および触感をさらに良好にさせることができる。
請求項6、請求項7にかかる発明では、吸音性をさらに向上させた樹脂発泡成形体を得ることができる。 請求項8にかかる発明では、良好な吸音性の樹脂発泡成形体を容易に得ることができる。
請求項6、請求項7にかかる発明では、吸音性をさらに向上させた樹脂発泡成形体を得ることができる。 請求項8にかかる発明では、良好な吸音性の樹脂発泡成形体を容易に得ることができる。
請求項9にかかる発明では、吸音パネルの外観を良好にさせることができる。
請求項10にかかる発明では、発泡セルを安定して霜柱状に形成することができるので、高い吸音性を維持しながら内装材としての弾性および触感をさらに良好にさせることができる。
請求項11にかかる発明では、軽量で、高い吸音性が得られる新規な吸音パネルを提供することができる。
請求項10にかかる発明では、発泡セルを安定して霜柱状に形成することができるので、高い吸音性を維持しながら内装材としての弾性および触感をさらに良好にさせることができる。
請求項11にかかる発明では、軽量で、高い吸音性が得られる新規な吸音パネルを提供することができる。
以下、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)吸音パネルの製造方法:
(2)変形例:
(3)実施例:
(1)吸音パネルの製造方法:
(2)変形例:
(3)実施例:
(1)吸音パネルの製造方法:
図1は本発明の一実施形態にかかる吸音パネルに用いられる樹脂発泡成形体M10の製造方法を模式的に示す図、図2は本製造方法に用いられる発泡射出成形機10を模式的に示す図、図3は樹脂発泡成形体M10の構造を垂直断面にて示す図、図4は別の樹脂発泡成形体の構造を垂直断面にて示す図、図5は成形型11の移動量を示すタイミングチャート、図6は変形例において成形型11の移動量を示すタイミングチャート、図7は本発明の一実施形態にかかる吸音パネルM100の一部の平面および垂直断面を示す図、図8と図9は吸音パネルの変形例を垂直断面にて示す図、図10は本吸音パネルM100を適用した自動車用内装材の外観を示す斜視図である。
本吸音パネルM100は、自動車の内装材等に用いられる。
図1は本発明の一実施形態にかかる吸音パネルに用いられる樹脂発泡成形体M10の製造方法を模式的に示す図、図2は本製造方法に用いられる発泡射出成形機10を模式的に示す図、図3は樹脂発泡成形体M10の構造を垂直断面にて示す図、図4は別の樹脂発泡成形体の構造を垂直断面にて示す図、図5は成形型11の移動量を示すタイミングチャート、図6は変形例において成形型11の移動量を示すタイミングチャート、図7は本発明の一実施形態にかかる吸音パネルM100の一部の平面および垂直断面を示す図、図8と図9は吸音パネルの変形例を垂直断面にて示す図、図10は本吸音パネルM100を適用した自動車用内装材の外観を示す斜視図である。
本吸音パネルM100は、自動車の内装材等に用いられる。
樹脂発泡成形体M10を製造する際には、互いに近接および離反可能な一対の成形型11,12を所定の近接位置L1に近接させたときに形成されるキャビティC1に発泡剤を含む樹脂成形材料M1を充填した後、前記一対の成形型11,12を所定の離間位置L2まで離間(コアバック)させて前記キャビティC1を拡張させることにより該拡張したキャビティC1内の樹脂成形材料に霜柱状の発泡セルM13を形成させて樹脂発泡成形体M10を成形する。成形体M10は、平板状、曲板状、シート状、等、薄く広がった形状に形成され、該成形体の表面は、平面形状、曲面形状、凹凸形状、等、様々な形状とすることができる。
ここで、近接位置L1にあるときの一対の成形型11,12の間の距離d1は、1.0〜10.0mmとされている。距離d1を下限以上にすると厚み方向(離間方向D1)の途中で発泡セルが切断されず霜柱状発泡セルが厚み方向へ十分に長くなって内部の通気性が大きくなることにより良好な吸音性が得られ内装材として良好な弾性かつ良好な触感が得られる点で好ましく、距離d1を上限以下にすると樹脂発泡成形体が固くなりすぎないとともに霜柱状発泡セルが厚み方向へ十分に長くなって内部の通気性が大きくなることにより良好な吸音性が得られ良好な弾性かつ良好な触感が得られる点で好ましいためである。また、近接位置L1から離間位置L2までの離間距離(コアバック距離)d2は、1.0〜50.0mmとされ、より好ましくは4.0〜7.0mmとされる。距離d2を下限以上にすると離間方向D1において発泡セルが1.0mm以上と十分に長くなって内部の通気度が大きくなることにより良好な吸音性が得られる点で好ましく、距離d2を上限以下にすると厚み方向の途中で発泡セルが切断されないことにより内装材として良好な弾性かつ良好な触感が得られる点で好ましいためである。なお、樹脂発泡成形体M10の厚みd3は、d1+d2となる。
そして、本製造方法は、表面に非発泡のスキン層M16を形成しながら、一対の成形型11,12の離間方向D1へ前記離間距離d2以下の範囲内で1.0mm以上となるように気泡を連続させて霜柱状に発泡セルM13を伸長させて、樹脂発泡成形体M10を成形する。そして、吸音パネルM100は、得られる樹脂発泡成形体M10の両面に形成されるスキン層M16の少なくとも一方に該スキン層M16を貫通する通気孔M16aを形成して製造される。
ここで、近接位置L1にあるときの一対の成形型11,12の間の距離d1は、1.0〜10.0mmとされている。距離d1を下限以上にすると厚み方向(離間方向D1)の途中で発泡セルが切断されず霜柱状発泡セルが厚み方向へ十分に長くなって内部の通気性が大きくなることにより良好な吸音性が得られ内装材として良好な弾性かつ良好な触感が得られる点で好ましく、距離d1を上限以下にすると樹脂発泡成形体が固くなりすぎないとともに霜柱状発泡セルが厚み方向へ十分に長くなって内部の通気性が大きくなることにより良好な吸音性が得られ良好な弾性かつ良好な触感が得られる点で好ましいためである。また、近接位置L1から離間位置L2までの離間距離(コアバック距離)d2は、1.0〜50.0mmとされ、より好ましくは4.0〜7.0mmとされる。距離d2を下限以上にすると離間方向D1において発泡セルが1.0mm以上と十分に長くなって内部の通気度が大きくなることにより良好な吸音性が得られる点で好ましく、距離d2を上限以下にすると厚み方向の途中で発泡セルが切断されないことにより内装材として良好な弾性かつ良好な触感が得られる点で好ましいためである。なお、樹脂発泡成形体M10の厚みd3は、d1+d2となる。
そして、本製造方法は、表面に非発泡のスキン層M16を形成しながら、一対の成形型11,12の離間方向D1へ前記離間距離d2以下の範囲内で1.0mm以上となるように気泡を連続させて霜柱状に発泡セルM13を伸長させて、樹脂発泡成形体M10を成形する。そして、吸音パネルM100は、得られる樹脂発泡成形体M10の両面に形成されるスキン層M16の少なくとも一方に該スキン層M16を貫通する通気孔M16aを形成して製造される。
本樹脂発泡成形体M10は、一対の成形型11,12の成形面に接触した両側の表面に非発泡のスキン層M16,M16が形成され、両スキン層M16,M16に挟まれた内部が発泡層M12とされている。
スキン層M16は、液状の樹脂成形材料よりも温度の低い成形型11,12の成形面に接した部分の樹脂成形材料が早く温度低下して発泡せずに固化することにより、非発泡の状態で形成される。その結果、スキン層の空隙率は、1%未満とされる。
スキン層の厚みd4は、樹脂成形材料の温度、成形型11,12の成形面の温度、成形型11,12の離間のタイミングで制御される。樹脂成形材料の温度や成形型の成形面の温度を低くするか成形型の離間のタイミングを遅くするとスキン層が厚くなり、樹脂成形材料の温度や成形型の成形面の温度を高くするか成形型の離間のタイミングを早くするとスキン層が薄くなる。スキン層の厚みd4は、成形型11,12の間の距離d1の半分未満の範囲内で0.1〜1.0mmが好ましい。厚みd4が前記下限以上になると内装材として良好な弾性かつ良好な触感が得られ、厚みd4が前記上限以下になると樹脂発泡成形体が固くなりすぎず良好な弾性かつ良好な触感が得られる点で好ましいためである。
スキン層M16は、液状の樹脂成形材料よりも温度の低い成形型11,12の成形面に接した部分の樹脂成形材料が早く温度低下して発泡せずに固化することにより、非発泡の状態で形成される。その結果、スキン層の空隙率は、1%未満とされる。
スキン層の厚みd4は、樹脂成形材料の温度、成形型11,12の成形面の温度、成形型11,12の離間のタイミングで制御される。樹脂成形材料の温度や成形型の成形面の温度を低くするか成形型の離間のタイミングを遅くするとスキン層が厚くなり、樹脂成形材料の温度や成形型の成形面の温度を高くするか成形型の離間のタイミングを早くするとスキン層が薄くなる。スキン層の厚みd4は、成形型11,12の間の距離d1の半分未満の範囲内で0.1〜1.0mmが好ましい。厚みd4が前記下限以上になると内装材として良好な弾性かつ良好な触感が得られ、厚みd4が前記上限以下になると樹脂発泡成形体が固くなりすぎず良好な弾性かつ良好な触感が得られる点で好ましいためである。
発泡層M12は、離間方向D1へ離間距離d2以下で1.0mm以上気泡を連続させて霜柱状に伸長した発泡セルM13が形成されている。
図3を参照して説明すると、コアバックの初期に生じた樹脂成形材料中の多数のミクロな気泡は、成形型の離間および発泡剤の発泡作用により離間方向D1へ伸長し、略離間方向に隣接する他の気泡との間に連結口M13aが生じ、離間方向へ柱状につながっていく。図の例では、気泡a1,a2,a3,a4が離間方向へ連通して柱状の連続セルが形成されていることが示されている。一方、離間方向とは垂直な方向D2へは、隣接する他の気泡の存在により成長が抑えられるが、セルの壁が薄くなることにより隣接する他の気泡との間に連結口M13bが生じる。その結果、離間方向D1へ伸長した霜柱状の発泡セルM13が形成される。図の例では、気泡a2と気泡b2とが連通し、気泡a1と気泡c1とが連通して、発泡セルが霜柱状に組織化されていることが示されている。
発泡セルM13は、離間方向の長さd5が上記垂直方向D2における柱状の各セルの径に対して極めて大きく、楕円体ないし紡錘体という概念とは異なる形状になっている。ここで、発泡セルの離間方向の長さd5は、連通した気泡の中で離間方向D1へ最も長い部分の長さ、すなわち図3において連通した気泡の中で最も上側となる上下方向の位置と最も下側となる上下方向の位置との上下方向の差の長さをいうものとする。また、上記垂直方向D2の断面で見ると、気泡a1,a2,a3,a4のように気泡が千鳥状につながっていく結果、セルの断面はジグザグとなり、円形ないし楕円形という概念とは異なる形状になる傾向がある。なお、発泡セルは、発泡層の両側にある両スキン層に繋がる長さとなることもある。
図3を参照して説明すると、コアバックの初期に生じた樹脂成形材料中の多数のミクロな気泡は、成形型の離間および発泡剤の発泡作用により離間方向D1へ伸長し、略離間方向に隣接する他の気泡との間に連結口M13aが生じ、離間方向へ柱状につながっていく。図の例では、気泡a1,a2,a3,a4が離間方向へ連通して柱状の連続セルが形成されていることが示されている。一方、離間方向とは垂直な方向D2へは、隣接する他の気泡の存在により成長が抑えられるが、セルの壁が薄くなることにより隣接する他の気泡との間に連結口M13bが生じる。その結果、離間方向D1へ伸長した霜柱状の発泡セルM13が形成される。図の例では、気泡a2と気泡b2とが連通し、気泡a1と気泡c1とが連通して、発泡セルが霜柱状に組織化されていることが示されている。
発泡セルM13は、離間方向の長さd5が上記垂直方向D2における柱状の各セルの径に対して極めて大きく、楕円体ないし紡錘体という概念とは異なる形状になっている。ここで、発泡セルの離間方向の長さd5は、連通した気泡の中で離間方向D1へ最も長い部分の長さ、すなわち図3において連通した気泡の中で最も上側となる上下方向の位置と最も下側となる上下方向の位置との上下方向の差の長さをいうものとする。また、上記垂直方向D2の断面で見ると、気泡a1,a2,a3,a4のように気泡が千鳥状につながっていく結果、セルの断面はジグザグとなり、円形ないし楕円形という概念とは異なる形状になる傾向がある。なお、発泡セルは、発泡層の両側にある両スキン層に繋がる長さとなることもある。
発泡層M12は、霜柱状の発泡セルM13が形成される結果、離間方向とは垂直な方向D1へ通気性を有するように形成される。ここで、前記垂直方向D2へ厚み5.0mmとなるように切断したときのJIS L1096のフラジール形法による通気度が0.4cc/cm2/sec以上となるように発泡層を形成すると、高い吸音性の樹脂発泡成形体が得られる。ここで、発泡層の前記垂直方向D2の通気度を大きくするには、例えば、発泡セルM13を離間方向D1へ長くすればよく、成形型の離間距離d2を長くすればよい。また、成形型の離間距離d2を調整することにより、発泡層の前記垂直方向D2の通気度を調節することができる。
さらに、発泡層の密度が0.03〜0.5g/cm3となるように樹脂発泡成形体を成形すると、厚み方向への圧縮力に対して座屈しにくく内装材として良好な弾性かつ良好な触感を得るとともに高い吸音性を得ることが可能になる。ここで、発泡層の密度を小さくするには、例えば、発泡セルM13を離間方向D1へ長くすればよく、成形型の離間距離d2を長くすればよい。また、成形型の離間距離d2を調整することにより、発泡層の密度を調節することができる。なお、発泡倍率は、近接位置にあるときの一対の成形型の間の距離をd1、離間距離をd2として、(d1+d2)/d1とする。求められる発泡倍率と樹脂成形材料の密度とスキン層の厚みd4とから発泡層の密度のおおよそを求めることができるので、発泡倍率と樹脂成形材料の密度とスキン層の厚みd4をみて発泡層の密度を調節することができる。
さらに、発泡層の密度が0.03〜0.5g/cm3となるように樹脂発泡成形体を成形すると、厚み方向への圧縮力に対して座屈しにくく内装材として良好な弾性かつ良好な触感を得るとともに高い吸音性を得ることが可能になる。ここで、発泡層の密度を小さくするには、例えば、発泡セルM13を離間方向D1へ長くすればよく、成形型の離間距離d2を長くすればよい。また、成形型の離間距離d2を調整することにより、発泡層の密度を調節することができる。なお、発泡倍率は、近接位置にあるときの一対の成形型の間の距離をd1、離間距離をd2として、(d1+d2)/d1とする。求められる発泡倍率と樹脂成形材料の密度とスキン層の厚みd4とから発泡層の密度のおおよそを求めることができるので、発泡倍率と樹脂成形材料の密度とスキン層の厚みd4をみて発泡層の密度を調節することができる。
なお、図4に示すように、発泡層M12においてスキン層M16,M16に接触する表面側の部分に、離間方向D2へ短い発泡セルM15を有する中間層M14が形成されてもよい。発泡セルM15は、隣接する気泡が連結も連通もしていない独立セルでもよい。
樹脂成形材料M1を構成する樹脂としては、加熱して溶融させることができる観点から熱可塑性樹脂(合成樹脂の一種)が好ましいが、フェノール樹脂やユリア樹脂等の各種熱硬化性樹脂(合成樹脂の一種)、合成樹脂にゴム成分等の軟質成分を配合してエラストマー的な性質を高めた改質樹脂、等を用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、オレフィン系樹脂やオレフィン系熱可塑性エラストマー等を用いることができ、単独重合体でも、2種以上のモノマーを共重合させた共重合体でも、オレフィンと不飽和カルボン酸とを共重合させた共重合体でも、これらの組み合わせでもよく、具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド、ポリスチレン、これらの組み合わせ、これらの樹脂にゴム成分を配合した改質樹脂、等を用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、オレフィン系樹脂やオレフィン系熱可塑性エラストマー等を用いることができ、単独重合体でも、2種以上のモノマーを共重合させた共重合体でも、オレフィンと不飽和カルボン酸とを共重合させた共重合体でも、これらの組み合わせでもよく、具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド、ポリスチレン、これらの組み合わせ、これらの樹脂にゴム成分を配合した改質樹脂、等を用いることができる。
樹脂成形材料M1に含ませる発泡剤としては、常温1気圧で気体の不活性ガスや揮発性有機化合物等の物理発泡剤、加熱により分解または反応してガスを発生する化学発泡剤、これらの組み合わせ、を用いることができる。発泡剤に不活性ガスを用いると、樹脂と反応せず、樹脂を劣化させることがないので好ましい。不活性ガスとしては、二酸化炭素、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、これらの組み合わせ、等を用いることができる。揮発性有機化合物としては、ブタンやペンタン等の炭化水素を発生させる揮発性発泡剤等を用いることができる。化学発泡剤としては、炭酸アンモニウムや炭酸水素ナトリウム等の炭酸ガス等を発生させる無機系発泡剤、ポリカルボン酸やアゾ化合物等の有機化合物のガスを発生させる有機系発泡剤、等を用いることができる。
ここで、不活性ガスに造核剤を併用すると、造核剤が適度な核形成材となって、気泡が適度に緻密かつ均一に形成され、より高い吸音性を維持しながら内装材としての触感の良好な樹脂発泡成形体を形成することができる。造核剤を含まない樹脂成形材料に対する造核剤の添加割合は、物理発泡剤を発泡させる核として機能する配合割合であればよく、例えば、造核剤を含まない樹脂成形材料100重量部に対して1重量部以上50重量部未満(より好ましくは1〜20重量部)の範囲内とすることができる。また、造核剤として化学発泡剤を用いる場合、化学発泡剤は不活性ガスの発泡を補助する機能を有する。なお、造核剤の配合割合を調整することにより、発泡セルの緻密度を調節し、吸音性を調節することができる。また、樹脂成形材料に注入する不活性ガスの圧力は、0.5〜20MPaが好ましく。1.5〜7.0MPaがさらに好ましい。不活性ガスの圧力を前記下限以上にすると、樹脂成形材料に対する不活性ガスの溶解量が十分となり、高発泡倍率の樹脂発泡成形体が得られる点で好ましい。一方、不活性ガスの圧力を前記上限以下にすると、不活性ガスの無駄が無くなり、ガス注入装置や金型に汎用品を用いることができる結果安価になるので好ましい。
樹脂成形材料M1を樹脂と発泡剤のみで構成してもよいが、樹脂成形材料M1に添加剤を含ませてもよい。添加剤としては、タルク等の充てん材、核剤、顔料、滑剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、これらの組み合わせ、等を用いることができる。樹脂成形材料中の各材料の配合割合は、樹脂の性質を十分に残す観点からは、樹脂を50重量%以上(好ましくは65重量%以上)、添加剤を50重量%未満(好ましくは35重量%未満)とすることができる。
樹脂成形材料にタルクを含ませると発泡セルを小さくさせることができ、タルクの配合量を多くするほど発泡セルを小さくすることができる。そこで、樹脂成形材料に含まれるタルクの重量比を調整することにより、発泡セルの大きさを調節して樹脂発泡成形体を成形することができる。従って、タルク量を調整することにより、樹脂発泡成形体の吸音性を調節することができる。
樹脂成形材料にタルクを含ませると発泡セルを小さくさせることができ、タルクの配合量を多くするほど発泡セルを小さくすることができる。そこで、樹脂成形材料に含まれるタルクの重量比を調整することにより、発泡セルの大きさを調節して樹脂発泡成形体を成形することができる。従って、タルク量を調整することにより、樹脂発泡成形体の吸音性を調節することができる。
本樹脂発泡成形体を成形するのに適する射出成形機としては、公知のインラインスクリュー式の射出成形機を用いることが可能であり、形態(堅型、横型)や駆動方式(油圧式、電動式等)は問わない。
図2は、本樹脂発泡成形体を成形するための発泡射出成形機の一例を示している。発泡射出成形機10は、雄型11、雌型12、成形材料投入ホッパ13、ガス貯留タンク14、樹脂成形材料の押出方向を軸とした円筒形状の外筒部材15、該外筒部材に挿入されたスクリュー16、外筒部材15の途中に付設されたガス注入装置17、スクリュー16を回転駆動する図示しないモータ、等を備え、部材11〜16が金属製とされている。スクリュー16のL/D比は、例えば、20程度とすることができる。外筒部材15の先に取り付けられる成形型11,12は、雌雄対の金型とされ、型締め状態で密閉された所要のキャビティC1を形成する。ガス注入装置17は、例えば、不活性ガスの注入圧力を一定圧力に制御する。
発泡射出成形機10は、射出口15aから液状(溶融状態を含む)の樹脂成形材料をキャビティC1に射出し、雌型12から雄型11を所定の離間位置まで離間させてキャビティC1内の樹脂成形材料を発泡させ、該樹脂成形材料を固化または硬化させて成形することにより、樹脂発泡射出成形体M10を形成する。そして、金型11,12を開けて成形体M10を取り出すことにより、樹脂発泡射出成形体の製造の1サイクルが終了する。
なお、成形型11として、スライドコアを用いた金型を用いてもよい。
図2は、本樹脂発泡成形体を成形するための発泡射出成形機の一例を示している。発泡射出成形機10は、雄型11、雌型12、成形材料投入ホッパ13、ガス貯留タンク14、樹脂成形材料の押出方向を軸とした円筒形状の外筒部材15、該外筒部材に挿入されたスクリュー16、外筒部材15の途中に付設されたガス注入装置17、スクリュー16を回転駆動する図示しないモータ、等を備え、部材11〜16が金属製とされている。スクリュー16のL/D比は、例えば、20程度とすることができる。外筒部材15の先に取り付けられる成形型11,12は、雌雄対の金型とされ、型締め状態で密閉された所要のキャビティC1を形成する。ガス注入装置17は、例えば、不活性ガスの注入圧力を一定圧力に制御する。
発泡射出成形機10は、射出口15aから液状(溶融状態を含む)の樹脂成形材料をキャビティC1に射出し、雌型12から雄型11を所定の離間位置まで離間させてキャビティC1内の樹脂成形材料を発泡させ、該樹脂成形材料を固化または硬化させて成形することにより、樹脂発泡射出成形体M10を形成する。そして、金型11,12を開けて成形体M10を取り出すことにより、樹脂発泡射出成形体の製造の1サイクルが終了する。
なお、成形型11として、スライドコアを用いた金型を用いてもよい。
次に、図1と図5を参照して、本樹脂発泡成形体の製造方法の各ステップを、キャビティ内の樹脂成形材料の状態の変化と併せて説明する。なお、樹脂成形材料を構成する樹脂として、熱可塑性樹脂を用いるものとする。
樹脂発泡成形体M10を成形する際、特に重要なのは、成形型の離間のタイミングと、コアバック時のコアバック速度と、コアバック時の成形樹脂の粘度である。発泡射出成形では、成形型のコアバックのタイミングや速度が重要であり、これによって、形成されるスキン層の厚さや、発泡層のセルの倍率、形状が種々に変化することが知られている。
樹脂発泡成形体M10を成形する際、特に重要なのは、成形型の離間のタイミングと、コアバック時のコアバック速度と、コアバック時の成形樹脂の粘度である。発泡射出成形では、成形型のコアバックのタイミングや速度が重要であり、これによって、形成されるスキン層の厚さや、発泡層のセルの倍率、形状が種々に変化することが知られている。
まず、図1の上段に示すように、型開き状態にある雌雄対の成形型11,12を閉じ、キャビティC1を形成する(図5のタイミングt1〜t2)。このとき、成形型11は所定の近接位置L1にあり、成形型11,12間の距離はd1とされている。また、発泡剤を含む樹脂成形材料M1は高温の液状とされ、成形型11,12は30〜80℃にされている。なお、樹脂成形材料を融点以上に加熱して溶融状態にすれば、高温の液状にすることができる。例えば、熱可塑性樹脂に融点160℃のポリプロピレンを用いる場合、樹脂成形材料を170〜230℃程度に加熱してポリプロピレンを溶融させる。次に、図1の中段に示すように、溶融状態の樹脂成形材料M1を、射出圧100〜200MPa、充填時間0.5〜5秒でキャビティC1内に射出して、金型11,12内に充填する(図5のタイミングt2〜t3)。射出圧、充填時間は、主に射出する樹脂成形材料の量、すなわち、樹脂発泡成形体の大きさによって増減する。ここで、型11,12の温度が低いため、型11,12の成形面に接した部分の樹脂成形材料は、先に冷却されて固化し、型11,12の間の距離d1の半分未満の範囲内で0.1〜1.0mmの非発泡のスキン層として形成される。一方、スキン層よりも内側にある樹脂成形材料は、溶融状態を維持している。
樹脂成形材料を射出すると、ミクロな気泡が複数生じ始める。樹脂成形材料に造核剤を含ませた場合、造核剤が核形成材となり、溶融状態の樹脂成形材料の中で造核剤を中心として不活性ガスが集結し、等方性の球形に近い形で径が0.1mm未満のミクロな気泡が多数生じ始める。この段階が、初期発泡段階である。
成形型11,12を近接位置L1で保持する時間T1(図5のタイミングt3〜t4)は、1〜10秒が好ましく、3〜7秒がさらに好ましい。保持時間T1を3秒以上にすると樹脂成形材料の粘度が適度に高くなって離間方向D1の途中で発泡セルが切断されにくくなり、保持時間T1を前記上限以下にすると固化による発泡不足が生じなくなる。なお、樹脂成形材料の温度や成形型の温度が低い場合や成形型11を離間させる速度(離間速度)を遅くする場合には、樹脂の粘度が上がり過ぎないように保持時間T1を短くすればよい。成形型が近接位置に保持されると、その間に、スキン層が形成され、スキン層より内側の樹脂成形材料の温度が低下して剪断粘度が上昇する。
成形型11,12を近接位置L1で保持する時間T1(図5のタイミングt3〜t4)は、1〜10秒が好ましく、3〜7秒がさらに好ましい。保持時間T1を3秒以上にすると樹脂成形材料の粘度が適度に高くなって離間方向D1の途中で発泡セルが切断されにくくなり、保持時間T1を前記上限以下にすると固化による発泡不足が生じなくなる。なお、樹脂成形材料の温度や成形型の温度が低い場合や成形型11を離間させる速度(離間速度)を遅くする場合には、樹脂の粘度が上がり過ぎないように保持時間T1を短くすればよい。成形型が近接位置に保持されると、その間に、スキン層が形成され、スキン層より内側の樹脂成形材料の温度が低下して剪断粘度が上昇する。
タイミングt4の後、図1の下段に示すように、雌雄の成形型11,12を所定の離間位置L2まで相互に離間させ、キャビティC1の容積を拡張させる(図5のタイミングt4〜t5)。すると、初期発泡段階で樹脂成形材料内に形成された複数のミクロのセルは、成形型の離間に伴って離間方向D1にのみ伸長されて、略離間方向に隣接する他の気泡と連通するとともに離間方向とは垂直な方向D2へも隣接する他の気泡と一部連通する。その結果、離間方向D1へ伸長した霜柱状の発泡セルM13を有する発泡層が表面のスキン層どうしの間に形成され、該発泡層が離間方向とは垂直な方向D2へ通気性を有するように形成される。
上記離間段階の際、成形型11の離間速度V1は、1〜80mm/秒が好ましく、10〜60mm/秒がさらに好ましい。離間速度V1を前記下限以上にすると発泡が起こらないような現象が生じないためであり、離間速度V1を前記上限以下にすると霜柱状発泡セルの組織が崩れる現象が生じないためであるとともに汎用的な射出成形機を用いることができる結果安価な射出成形機で済むためである。なお、近接位置L1から離間位置L2まで離間する時間は、0.02〜3秒程度とされる。
上記離間段階(成形型11,12を離間させているとき)で、キャビティ内でスキン層よりも内側にある樹脂成形材料の温度(例えばキャビティの中心の温度)を試験温度とした該樹脂成形材料の溶融張力は、0.1〜30gfであるのが好ましく、0.2〜1.0gfであるのがさらに好ましい。ただし、成形樹脂材料の溶融張力は、JIS K7199に準拠した(株)東洋精機製作所製のキャピラリーレオメータ「キャピログラフ1C型」を用い、シリンダの下端に直径1.0mmのキャピラリーを装着して、前記試験温度にした樹脂成形材料をシリンダ内に充填し、キャピラリーレオメータのピストンを降下速度10mm/minで降下させてシリンダ内の樹脂成形材料をキャピラリーから糸状に押し出し、同時に、押し出された樹脂成形材料を5.0m/minの引き取り速度で引き取る際に測定される溶融張力とする。樹脂成形材料が熱可塑性の材料である場合、樹脂成形材料を加熱して溶融させ、成形型11,12が近接位置L1にあるときのキャビティに溶融状態の樹脂成形材料を射出して、成形型11,12を離間させるときにキャビティ内にある樹脂成形材料の中で最も高い温度を試験温度として、当該試験温度の溶融状態の樹脂成形材料をシリンダ内に充填し、ピストンを降下させて樹脂成形材料を糸状に押し出して引き取る際に溶融張力を測定すればよい。成形樹脂材料の溶融張力が0.1gf未満と小さいと成形型を離間させたときに発泡セルの壁が切れてしまい発泡セルが霜柱状に形成されないため0.1gf以上にするのが好ましく、成形樹脂材料の溶融張力が大きすぎる(30gfよりも大)と成形型を離間させても発泡セルが霜柱状に形成されずに通気度もほとんどなく吸音性も低いため30gf以下にするのが好ましい。
上記離間段階の際、成形型11の離間速度V1は、1〜80mm/秒が好ましく、10〜60mm/秒がさらに好ましい。離間速度V1を前記下限以上にすると発泡が起こらないような現象が生じないためであり、離間速度V1を前記上限以下にすると霜柱状発泡セルの組織が崩れる現象が生じないためであるとともに汎用的な射出成形機を用いることができる結果安価な射出成形機で済むためである。なお、近接位置L1から離間位置L2まで離間する時間は、0.02〜3秒程度とされる。
上記離間段階(成形型11,12を離間させているとき)で、キャビティ内でスキン層よりも内側にある樹脂成形材料の温度(例えばキャビティの中心の温度)を試験温度とした該樹脂成形材料の溶融張力は、0.1〜30gfであるのが好ましく、0.2〜1.0gfであるのがさらに好ましい。ただし、成形樹脂材料の溶融張力は、JIS K7199に準拠した(株)東洋精機製作所製のキャピラリーレオメータ「キャピログラフ1C型」を用い、シリンダの下端に直径1.0mmのキャピラリーを装着して、前記試験温度にした樹脂成形材料をシリンダ内に充填し、キャピラリーレオメータのピストンを降下速度10mm/minで降下させてシリンダ内の樹脂成形材料をキャピラリーから糸状に押し出し、同時に、押し出された樹脂成形材料を5.0m/minの引き取り速度で引き取る際に測定される溶融張力とする。樹脂成形材料が熱可塑性の材料である場合、樹脂成形材料を加熱して溶融させ、成形型11,12が近接位置L1にあるときのキャビティに溶融状態の樹脂成形材料を射出して、成形型11,12を離間させるときにキャビティ内にある樹脂成形材料の中で最も高い温度を試験温度として、当該試験温度の溶融状態の樹脂成形材料をシリンダ内に充填し、ピストンを降下させて樹脂成形材料を糸状に押し出して引き取る際に溶融張力を測定すればよい。成形樹脂材料の溶融張力が0.1gf未満と小さいと成形型を離間させたときに発泡セルの壁が切れてしまい発泡セルが霜柱状に形成されないため0.1gf以上にするのが好ましく、成形樹脂材料の溶融張力が大きすぎる(30gfよりも大)と成形型を離間させても発泡セルが霜柱状に形成されずに通気度もほとんどなく吸音性も低いため30gf以下にするのが好ましい。
また、成形型の離間距離d2は、得ようとする樹脂発泡成形体の発泡倍率によって定まるものであり、近接位置L1にあるときの成形型11,12の間の距離d1の1〜9倍(樹脂発泡成形体の発泡倍率が2〜10倍)が好ましく、距離d1の2〜5倍(樹脂発泡成形体の発泡倍率が3〜6倍)がさらに好ましい。言い換えると、成形型11,12を近接位置L1から離間位置L2まで離間させるときのキャビティC1の容積比は、2〜10が好ましく、3〜6がさらに好ましい。キャビティの容積比(離間距離d2)を前記下限以上にすると離間方向D1において発泡セルが霜柱状で十分に長くなって通気度が大きくなることにより吸音性が良好になり、上限以下にすると厚み方向(離間距離D1)の途中で発泡セルが切断されないことにより内装材として良好な弾性かつ良好な触感が得られるためである。
本製造方法では、近接位置にあるときの両成形型の間の距離d1を1.0〜10.0mmとし、離間距離d2を1.0〜50.0mmとしているので、発泡セルM13は離間方向D1へ離間距離d2以下で1.0mm以上気泡が連続して伸長した霜柱状に形成される。
本製造方法では、近接位置にあるときの両成形型の間の距離d1を1.0〜10.0mmとし、離間距離d2を1.0〜50.0mmとしているので、発泡セルM13は離間方向D1へ離間距離d2以下で1.0mm以上気泡が連続して伸長した霜柱状に形成される。
なお、一対の成形型11,12を離間させる速度V1について近接位置L1から離間し始めた位置での速度よりも離間位置L2へ到達する位置での速度の方を大きくして樹脂発泡成形体を成形すると、発泡セルを安定して霜柱状に形成することができるので、高い吸音性を維持しながら内装材としての弾性および触感をさらに良好にさせることができる。例えば、図6の上段に示すように、タイミングt4〜t5において成形型11の離間速度V1を徐々に上げることにより、近接位置L1から離間し始めた位置での速度よりも離間位置L2へ到達する位置での速度の方を大きくする。また、図6の下段に示すように、タイミングt4〜t5において成形型11の離間速度V1を段階的に上げることにより、近接位置L1から離間し始めた位置での速度よりも離間位置L2へ到達する位置での速度の方を大きくする。
上記離間段階を終了すると、成形型11を離間位置L2で所定時間保持する(図5のタイミングt5〜t6)。成形型を離間位置で保持する時間T2は、内部の発泡層が冷却されて固化する時間があればよく、例えば、約30秒とすればよい。
最後に、離間位置L2で型締め状態にある成形型11,12を開き、キャビティを開放し(図5のタイミングt6〜t7)、樹脂発泡成形体M10を取り出すことにより、一連の製造サイクルが終了する。
最後に、離間位置L2で型締め状態にある成形型11,12を開き、キャビティを開放し(図5のタイミングt6〜t7)、樹脂発泡成形体M10を取り出すことにより、一連の製造サイクルが終了する。
本実施形態では、樹脂発泡成形体M10を成形した後でスキン層M16に通気孔M16aを形成して吸音パネルM100を製造している。図7に示すように、通気孔M16aは、吸音パネルM100の厚み方向D3(離間方向D1)に向けてスキン層M16を貫通した貫通穴とされ、通気性を有するように吸音パネルM100の外部と発泡層M12とを繋ぐ連通孔とされている。例えば、通気孔の直径d21の針を突き刺したり電動ドリルを用いたりしてスキン層の厚みd4以上かつ樹脂発泡成形体M10の厚みd3の半分以下の深さの開口を樹脂発泡成形体M10に形成することにより、吸音パネルM100を形成することができる。本実施形態のようにスキン層M16から凹んだ通気孔M16aの底部M16a1を発泡層M12の位置にすると非常に高い吸音性が得られる点で好適であるものの、樹脂発泡成形体の厚み方向全体を貫通する通気孔を形成しても高い吸音性が得られ、このような通気孔を形成した吸音パネルも本発明の吸音パネルに含まれる。また、樹脂発泡成形体を成形するのと同時に通気孔をスキン層に形成して吸音パネルを製造してもよい。
上記通気孔は、通気性を有するようにスキン層を突き抜けた穴であればよく、単一の大きな穴(例えば径10mmより大きい穴)でも本発明にいう通気孔に含まれるし、多数の小さな穴(例えば径1mm未満の穴)でも本発明にいう通気孔に含まれる。本実施形態の各通気孔は表面の形状を円形としているが、通気孔の表面の形状としては、多角形など非円形でもよい。また、通気孔は、厚み方向D3からずれた方向に向けてスキン層を貫通させてもよい。
上記通気孔は、通気性を有するようにスキン層を突き抜けた穴であればよく、単一の大きな穴(例えば径10mmより大きい穴)でも本発明にいう通気孔に含まれるし、多数の小さな穴(例えば径1mm未満の穴)でも本発明にいう通気孔に含まれる。本実施形態の各通気孔は表面の形状を円形としているが、通気孔の表面の形状としては、多角形など非円形でもよい。また、通気孔は、厚み方向D3からずれた方向に向けてスキン層を貫通させてもよい。
吸音パネルに多数形成する通気孔は、一般的には吸音パネルにおいて周縁を除く全面に対して均一に分散して配置すると良好な吸音性が得られるが、内装材の形状により偏在させて配置してもよい。例えば、自動車の乗員の耳の位置に近い側に通気孔を多く配置したり、音波の侵入してくる側に通気孔を多く配置したりすることが考えられる。また、各貫通穴を縦横整然と並べるより図7に示すように千鳥状に並べる方が吸音パネルの剛性を高くすることができると考えられる。
吸音パネルに多数形成する通気孔M16aの径(直径d21)としては、0.5〜10mmが好ましく、1〜5mmがより好ましい。径を前記下限以上にすると音波が通気孔内へ進入しやすくなって良好な吸音性が得られる点で好ましく、径を前記上限以下にすると吸音パネルについて良好な剛性が得られる点で好ましいからである。
吸音パネルに多数形成する通気孔M16aの径(直径d21)としては、0.5〜10mmが好ましく、1〜5mmがより好ましい。径を前記下限以上にすると音波が通気孔内へ進入しやすくなって良好な吸音性が得られる点で好ましく、径を前記上限以下にすると吸音パネルについて良好な剛性が得られる点で好ましいからである。
吸音パネルM100の厚み方向D1へ該方向D1とは垂直な面PL1上に投影したときの吸音パネルM100の投影面積S1に対する通気孔M16aの投影面積の総面積S2をスキン層の開口率p=(S2/S1)と呼ぶことにすると、開口率pとしては、百分率で3〜50%が好ましく、10〜40%がさらに好ましい。開口率を下限以上にすると音波が通気孔を十分に通過して良好な吸音性が得られる点で好ましく、開口率を上限以下にすると吸音パネルについて良好な剛性が得られる点で好ましいからである。なお、各通気孔M16aの直径をd21、スキン層片面に形成された通気孔M16aの数をn1とすると、p=n1×π(d1/2)2/S1である。
吸音率のピークは、開口率pが大きくなると高周波側にシフトする。また、同じ開口率でも、吸音率のピークは、通気孔の径が小さくなると高周波側にシフトし、発泡層が薄くなると高周波側にシフトし、スキン層が薄くなると高周波側にシフトする。従って、これらを調節することにより、吸音パネルの用途や配設位置に合わせて通気孔の態様を最適化することができる。
吸音率のピークは、開口率pが大きくなると高周波側にシフトする。また、同じ開口率でも、吸音率のピークは、通気孔の径が小さくなると高周波側にシフトし、発泡層が薄くなると高周波側にシフトし、スキン層が薄くなると高周波側にシフトする。従って、これらを調節することにより、吸音パネルの用途や配設位置に合わせて通気孔の態様を最適化することができる。
通気孔M16aは、図7で示したように樹脂発泡成形体M10の両面に形成されるスキン層M16の一方にのみ形成してもよいし、図8に示す吸音パネルM101のように両方のスキン層M16,M16に形成してもよい。同吸音パネルM101では、両スキン層M16,M16から凹んだ通気孔M16a,M16aの底部M16a1,M16a1のいずれもが発泡層M12の位置とされている。両面に通気孔を形成する場合、図8に示すように、厚み方向D3とは垂直な面PL1に投影したときに互いに重ならないように通気孔を形成すると、一方の面の通気孔から吸音パネルM101内に入射した音が他方の面の通気孔から外部へ出て行きにくいので、吸音性を向上させることができると考えられる。
また、図9に示す吸音パネルM102〜M104のように、スキン層M16の表面側に通気性の表皮材M17を積層してもよい。表皮材M17は、自動車の内装材としての意匠性を付与する目的で吸音パネルの表面に設けられ、例えば、厚み0.2〜8.0mm、目付50〜600g/m2の、織物、不織布、ニット、微小な通気孔を多数形成した各種レザー、等を用いることができる。また、表皮材M17にJIS L1096による通気度が6cc/cm2/sec以上の高通気性の表皮材を用いると、吸音効果を低下させることなく意匠性を高めることが可能となる。
スキン層に表皮材を積層する際には、吸音パネルM102,M103のようにスキン層M16に通気孔M16aを形成した後に表皮材M17を貼り付けてもよいし、吸音パネルM104のように通気孔を形成する前に表皮材をスキン層に接着しておいて表皮材M17およびスキン層M16に該表皮材M17および該スキン層M16を貫通した通気孔M17aを形成してもよく、いずれの場合も通気孔が形成されたスキン層に表皮材を積層していると言える。なお、吸音パネルM102,M104のように通気孔を形成していないスキン層に表皮材を積層してもよいし、吸音パネルM103のように通気孔を形成した両面のスキン層のうち一方の面のスキン層にのみ表皮材を積層して他方の面のスキン層には表皮材を積層しないようにしてもよく、いずれの場合も通気孔が形成されたスキン層に表皮材を積層していると言える。
スキン層に通気性の表皮材を積層すると、吸音パネルの表面を加飾したり、吸音パネルにソフトな触感を付与したり、吸音パネルの傷付きを防止したり、吸音性を向上させたりすることができる。また、通気孔が形成されたスキン層に通気性の表皮材を積層すると、吸音性能を低下させずに通気孔を隠して吸音パネルの外観を良好にさせることができる。
スキン層に表皮材を積層する際には、吸音パネルM102,M103のようにスキン層M16に通気孔M16aを形成した後に表皮材M17を貼り付けてもよいし、吸音パネルM104のように通気孔を形成する前に表皮材をスキン層に接着しておいて表皮材M17およびスキン層M16に該表皮材M17および該スキン層M16を貫通した通気孔M17aを形成してもよく、いずれの場合も通気孔が形成されたスキン層に表皮材を積層していると言える。なお、吸音パネルM102,M104のように通気孔を形成していないスキン層に表皮材を積層してもよいし、吸音パネルM103のように通気孔を形成した両面のスキン層のうち一方の面のスキン層にのみ表皮材を積層して他方の面のスキン層には表皮材を積層しないようにしてもよく、いずれの場合も通気孔が形成されたスキン層に表皮材を積層していると言える。
スキン層に通気性の表皮材を積層すると、吸音パネルの表面を加飾したり、吸音パネルにソフトな触感を付与したり、吸音パネルの傷付きを防止したり、吸音性を向上させたりすることができる。また、通気孔が形成されたスキン層に通気性の表皮材を積層すると、吸音性能を低下させずに通気孔を隠して吸音パネルの外観を良好にさせることができる。
本吸音パネルは、図10に示すように、自動車用ピラーガーニッシュP1、自動車用パッケージトレイトリムP2、ドアトリム(不図示)、サンバイザー(不図示)等の各種の自動車用内装材等に使用することができる。
吸音パネルに用いる樹脂発泡成形体M10は、薄く広がった形状とされ、表面に非発泡のスキン層M16が形成されるとともに、内部に離間方向へ1mm以上連続気泡で伸長した霜柱状発泡セル13を有する通気性の発泡層M12が形成される。各発泡セルの容積が大きく樹脂発泡成形体の組織が低密度でも、離間方向とは垂直な方向における発泡セルの壁どうしの距離が小さいため、軽量ながら厚み方向への圧縮力に対して座屈しにくく自動車の内装材として良好な弾性かつ良好な触感が得られる。また、発泡セルが非常に細長い連続気泡の霜柱状に形成されるので、内部に通気性を有する樹脂発泡成形体が形成され、高い吸音性が得られる。
ここで、スキン層M16に形成された通気孔M16aはスキン層M16を貫通して霜柱状の発泡セルM13と外部との間に通気性を付与する。図7に示すように、吸音パネルM100に向かう音は、通気孔M16aを通過して発泡層M12内に進入し、音のエネルギーが霜柱状の発泡セルM13に吸収される結果、吸音される。従って、霜柱状の発泡セルを内部に有する樹脂発泡成形体の表面に通気孔を形成した新規な吸音パネルにより、高い吸音性を得ることが可能になる。
(2)変形例:
図11〜図13に示すように、キャビティに充填された樹脂成形材料内で離間方向D1とは垂直な方向D2へ該離間方向の温度分布を異ならせて一対の成形型を離間させることにより、表面に非発泡のスキン層(M26a,b)を形成しながら前記温度分布の異なりに応じた空洞(M25)を内部に形成して、樹脂発泡成形体を成形してもよい。そして、図14に示すように、得られる樹脂発泡成形体のスキン層に該スキン層を貫通する通気孔M26cを形成して吸音パネルM200〜M202とすることができる。
図11〜図13に示すように、キャビティに充填された樹脂成形材料内で離間方向D1とは垂直な方向D2へ該離間方向の温度分布を異ならせて一対の成形型を離間させることにより、表面に非発泡のスキン層(M26a,b)を形成しながら前記温度分布の異なりに応じた空洞(M25)を内部に形成して、樹脂発泡成形体を成形してもよい。そして、図14に示すように、得られる樹脂発泡成形体のスキン層に該スキン層を貫通する通気孔M26cを形成して吸音パネルM200〜M202とすることができる。
図11と図12に示す例では、表面に凸部(ディンプル)M27および凹部M28を形成するようにしてキャビティに充填された樹脂成形材料M1内で離間方向D1とは垂直な方向D2へ該離間方向の温度分布を異ならせることにより、該温度分布の異なりに応じた空洞M25を内部に形成して樹脂発泡成形体M20を成形している。
本樹脂発泡成形体M20は、厚み方向(離間方向D1)の片面に多数の凸部M27を凹部M28から膨出させた形状とされ、図11のA1−A1の位置から見た垂直断面図(図11の下段に記載)のように、凸部M27および凹部M28の形状に沿ったスキン層M26aと凹凸の無い表面側のスキン層M26bと両スキン層M26a,bに挟まれた発泡層M22とを有する構造とされている。発泡層M22では、凹部M28の位置に対応して離間方向D1へ離間距離d2以下で1.0mm以上となるように気泡を連続させて霜柱状に伸長させた発泡セルM23が形成され、凸部M27の位置に対応して発泡セルが途中で切断されて空洞M25が形成されている。
本樹脂発泡成形体M20は、厚み方向(離間方向D1)の片面に多数の凸部M27を凹部M28から膨出させた形状とされ、図11のA1−A1の位置から見た垂直断面図(図11の下段に記載)のように、凸部M27および凹部M28の形状に沿ったスキン層M26aと凹凸の無い表面側のスキン層M26bと両スキン層M26a,bに挟まれた発泡層M22とを有する構造とされている。発泡層M22では、凹部M28の位置に対応して離間方向D1へ離間距離d2以下で1.0mm以上となるように気泡を連続させて霜柱状に伸長させた発泡セルM23が形成され、凸部M27の位置に対応して発泡セルが途中で切断されて空洞M25が形成されている。
図12は、一対の成形型21,22の構造および該成形型21,22の間に形成されるキャビティC2に充填された樹脂成形材料M1の温度分布を示す断面図である。
表面に凹凸を形成する側の成形型21の成形面には、樹脂発泡成形体の凸部M27に合わせた形状の凹部21aが形成されるとともに、樹脂発泡成形体の凹部M28に合わせた形状の凸部21bが形成されている。その他の成形型21,22の構成は、上述した成形型11,12の構成と同様にしている。なお、近接位置にあるときの成形型21,22の間の距離d1は、成形型21の凸部21bと成形型22の成形面との間の距離であるとする。
凹部M28からの凸部M27の高さ(凸部21bからの凹部21aの深さ)は、空洞M25を確実に形成する観点から、例えば、0.2〜2.0mmとすることができる。表面に沿った断面が円形となるように各凸部M27を形成する場合、凸部M27の径(凹部21aの径)は、空洞M25を確実に形成する観点から、例えば、2.0〜10.0mmとすることができる。
なお、凸部M27は、断面多角形など様々な形状とすることができる。また、樹脂発泡成形体の表面を、凸部に多数の凹部が形成された凸凹模様としてもよい。樹脂発泡成形体の凹凸は、片面のみならず、両面に形成されてもよい。
樹脂発泡成形体の表面に凹凸を形成することにより、凹凸を形成しない場合と比べて成形型の離間距離d2を短くしても空洞が形成されて高い通気性が得られ、良好な吸音性が得られる。従って、表面に凹凸を形成していない樹脂発泡成形体と比べて、軽量化させたり、吸音性を向上させたり、樹脂発泡成形体を薄くさせたりすることができる。
表面に凹凸を形成する側の成形型21の成形面には、樹脂発泡成形体の凸部M27に合わせた形状の凹部21aが形成されるとともに、樹脂発泡成形体の凹部M28に合わせた形状の凸部21bが形成されている。その他の成形型21,22の構成は、上述した成形型11,12の構成と同様にしている。なお、近接位置にあるときの成形型21,22の間の距離d1は、成形型21の凸部21bと成形型22の成形面との間の距離であるとする。
凹部M28からの凸部M27の高さ(凸部21bからの凹部21aの深さ)は、空洞M25を確実に形成する観点から、例えば、0.2〜2.0mmとすることができる。表面に沿った断面が円形となるように各凸部M27を形成する場合、凸部M27の径(凹部21aの径)は、空洞M25を確実に形成する観点から、例えば、2.0〜10.0mmとすることができる。
なお、凸部M27は、断面多角形など様々な形状とすることができる。また、樹脂発泡成形体の表面を、凸部に多数の凹部が形成された凸凹模様としてもよい。樹脂発泡成形体の凹凸は、片面のみならず、両面に形成されてもよい。
樹脂発泡成形体の表面に凹凸を形成することにより、凹凸を形成しない場合と比べて成形型の離間距離d2を短くしても空洞が形成されて高い通気性が得られ、良好な吸音性が得られる。従って、表面に凹凸を形成していない樹脂発泡成形体と比べて、軽量化させたり、吸音性を向上させたり、樹脂発泡成形体を薄くさせたりすることができる。
キャビティC2に充填された樹脂成形材料M1について、便宜上、所定の温度(例えば、樹脂成形材料が固化する温度)以下の低温領域R1,R2と、該所定の温度より高温の高温領域R3(図12中、点を付した領域)とに領域分けすることにする。樹脂成形材料の温度分布は、離間方向とは垂直な方向D2のいずれの位置(実際には薄く広がった樹脂発泡成形体の縁部を除く)でも表面側の低温領域R1,R2に高温領域R3が挟まれた分布となる。ここで、低温領域R1,R2は略一定の厚みになり、凸部M27に対応する位置では凹部M28に対応する位置よりも高温領域R3が離間方向D1へ拡がった状態になる。この状態で成形型21,22を所定の離間位置まで離間させると、凹部M28に対応する位置では霜柱状の発泡セルM23が形成される一方、凸部M27に対応する位置では高温領域R3が広い結果発泡セルが途中で切断されて空洞M25が形成される。
本変形例では、樹脂発泡成形体M20を成形した後で、例えば通気孔の直径のドリルで加工する等してスキン層M26a,bに通気孔M26cを形成し、自動車用内装材等に用いられる吸音パネルM200〜M202を製造している。なお、通気孔M26aの径、深さ、形状、配置、開口率、等の条件は、上述した吸音パネルM100の通気孔M16aの条件と同じにすることができる。また、スキン層の表面側に通気性の表皮材を積層してもよい。
通気孔M26cは、図14上段および中段に示す樹脂発泡成形体のように凹凸を形成していない側のスキン層M26bにのみ形成してもよいし、図14下段に示す樹脂発泡成形体のように凸部M27および凹部M28を形成した側のスキン層M26aにのみ形成してもよいし、両スキン層M26a,bに形成してもよい。凹凸を形成していないスキン層M26bに通気孔を形成する場合、図上段に示すように空洞M25の位置に合わせて通気孔を形成して吸音パネルM200を製造してもよいし、図中段に示すように空洞M25の位置からずらして通気孔を形成して吸音パネルM201を製造してもよい。凹凸を形成したスキン層M26aに通気孔を形成する場合にも、同様のことが言える。
なお、図下段に示すように、凸部M27に通気孔M26cを形成して吸音パネルM202を製造すると、自ずと通気孔の位置が空洞M25の位置に合わせられ、かつ、スキン層M26aの出っ張りが除去されるので、合理的な構成であると言える。
通気孔M26cは、図14上段および中段に示す樹脂発泡成形体のように凹凸を形成していない側のスキン層M26bにのみ形成してもよいし、図14下段に示す樹脂発泡成形体のように凸部M27および凹部M28を形成した側のスキン層M26aにのみ形成してもよいし、両スキン層M26a,bに形成してもよい。凹凸を形成していないスキン層M26bに通気孔を形成する場合、図上段に示すように空洞M25の位置に合わせて通気孔を形成して吸音パネルM200を製造してもよいし、図中段に示すように空洞M25の位置からずらして通気孔を形成して吸音パネルM201を製造してもよい。凹凸を形成したスキン層M26aに通気孔を形成する場合にも、同様のことが言える。
なお、図下段に示すように、凸部M27に通気孔M26cを形成して吸音パネルM202を製造すると、自ずと通気孔の位置が空洞M25の位置に合わせられ、かつ、スキン層M26aの出っ張りが除去されるので、合理的な構成であると言える。
以上により、樹脂発泡成形体内部の通気性が高くされるので、軽量で、高い吸音性を得ることが可能になる。また、樹脂発泡成形体の内部に空洞が形成されるので、吸音パネルを軽量化される結果薄くさせることができる。
ここで、スキン層に形成された通気孔M26cはスキン層を貫通して霜柱状の発泡セルM23および空洞M25を有する発泡層M22と外部との間に通気性を付与する。すると、吸音パネルM200〜M202に向かう音は、通気孔M16aを通過して発泡層M22内に進入し、音のエネルギーが霜柱状の発泡セルM23に吸収される結果、吸音される。従って、霜柱状の発泡セルおよび空洞を内部に有する樹脂発泡成形体の表面に通気孔を形成した新規な吸音パネルにより、高い吸音性を得ることが可能になる。
ここで、スキン層に形成された通気孔M26cはスキン層を貫通して霜柱状の発泡セルM23および空洞M25を有する発泡層M22と外部との間に通気性を付与する。すると、吸音パネルM200〜M202に向かう音は、通気孔M16aを通過して発泡層M22内に進入し、音のエネルギーが霜柱状の発泡セルM23に吸収される結果、吸音される。従って、霜柱状の発泡セルおよび空洞を内部に有する樹脂発泡成形体の表面に通気孔を形成した新規な吸音パネルにより、高い吸音性を得ることが可能になる。
なお、キャビティ内の樹脂成形材料内で離間方向とは垂直な方向D2へ該離間方向の温度分布を異ならせることができれば、同様にして発泡層に空洞を形成することができる。
図13は、一対の成形型31,32の構造および該成形型31,32の間に形成されるキャビティC3に充填された樹脂成形材料M1の温度分布を示す断面図である。
本変形例では、樹脂発泡成形体の表面に凹凸を形成していない。その代わり、温度差を生じさせるための成形型31の成形面には、樹脂発泡成形体に形成する空洞の位置に合わせて絶縁材31aを埋め込んでいる。該絶縁材は、多孔質無機素材などの断熱材などとされ、樹脂成形材料から樹脂成形材料よりも低温の成形型に吸収される熱量を少なくさせる素材とされている。その他の成形型31,32の構成は、上述した成形型11,12の構成と同様にしている。
図13は、一対の成形型31,32の構造および該成形型31,32の間に形成されるキャビティC3に充填された樹脂成形材料M1の温度分布を示す断面図である。
本変形例では、樹脂発泡成形体の表面に凹凸を形成していない。その代わり、温度差を生じさせるための成形型31の成形面には、樹脂発泡成形体に形成する空洞の位置に合わせて絶縁材31aを埋め込んでいる。該絶縁材は、多孔質無機素材などの断熱材などとされ、樹脂成形材料から樹脂成形材料よりも低温の成形型に吸収される熱量を少なくさせる素材とされている。その他の成形型31,32の構成は、上述した成形型11,12の構成と同様にしている。
樹脂成形材料M1の温度分布は、離間方向とは垂直な方向D2のいずれの位置(実際には薄く広がった樹脂発泡成形体の縁部を除く)でも表面側の低温領域R11,R12に高温領域R13が挟まれた分布となる。ここで、絶縁材31aの部分を除く成形型31に接する低温領域R11aと成形型32に接する低温領域R12とは略一定の厚みになり、絶縁材31aに接する低温領域R11bは低温領域R11aよりも薄くなる。その結果、キャビティC3に充填された樹脂成形材料M1では、絶縁材31aに対応する位置ではその他の位置よりも高温領域R3が離間方向D1へ拡がった状態になる。この状態で成形型31,32を所定の離間位置まで離間させると、絶縁材31aを除く部分に対応する位置では霜柱状の発泡セルが形成される一方、絶縁材31aに対応する位置では高温領域R13が広い結果発泡セルが途中で切断されて空洞が形成される。そして、得られる樹脂発泡成形体のスキン層に該スキン層を貫通する通気孔を形成して吸音パネルとすることができる。
以上により、軽量で、高い吸音性を得ることが可能な吸音パネルが形成される。
以上により、軽量で、高い吸音性を得ることが可能な吸音パネルが形成される。
なお、図13に示した例では、樹脂発泡成形体の表面に凹凸を形成する場合と比べて、表面が滑らかとなるので、良好な外観を得るために表面を滑らかにする必要がある場合に有用な吸音パネルが得られる。一方、表面に凹凸を形成する場合には、成形型に絶縁材を埋める場合と比べて成形型の構造が簡易で済み、成形型を安価にすることが求められている場合等に有用である。
(3)実施例:
以下、実施例を示して具体的に本発明を説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
以下の実施例、比較例全てにおいて、射出成形機として宇部興産機械株式会社製射出成形機MD350SIV(型締力最大3430kN、L/D=20)を用い、樹脂成形材料の射出圧を100MPaとした。近接位置にある金型間に形成されるキャビティの形状を200×400×2mmの平板形とし、キャビティの容積を160cm3とした。従って、近接位置にある成形型間の距離d1は、2mmとなる。また、型締めの際の金型の移動速度を10mm/秒とした。キャビティには、溶融状態の樹脂成形材料をフルショットで充填した。溶融状態の樹脂成形材料の充填時間を、1秒とした。金型を近接位置から離間位置へ離間させる移動速度を53mm/秒とした。
また、不活性ガスとして、CO2ガスを用いた。
さらに、溶融張力を測定するためのキャピラリーレオメータとして、JIS K7199に準拠した(株)東洋精機製作所製のキャピラリーレオメータ「キャピログラフ1C型」を用い、シリンダの下端に直径1.0mmのキャピラリーを装着した。近接位置にある金型間のキャビティに溶融状態の樹脂成形材料を射出して金型を離間させるときにキャビティの中心部の温度(キャビティ内にある樹脂成形材料の中で最も高い温度)を試験温度として、当該試験温度に加熱して溶融させた樹脂成形材料をシリンダ内に充填し、キャピラリーレオメータのピストンを降下速度10mm/minで降下させてシリンダ内の樹脂成形材料をキャピラリーから糸状に押し出し、同時に、押し出された樹脂成形材料を5.0m/minの引き取り速度で引き取る際の溶融張力を測定した。なお、金型が近接位置にあるときに210℃の樹脂成形材料をキャビティに射出して金型を近接位置で4〜7秒間保持した後、金型を離間位置へ離間させるときにキャビティ内でスキン層よりも内側(発泡層となる部分)の温度は、約190℃であるため、実施例1〜4と比較例2では試験温度を190℃にした。一方、金型が近接位置にあるときに210℃の樹脂成形材料をキャビティに射出して金型を近接位置で保持する時間を1秒未満とし、金型を離間位置へ離間させるときにキャビティ内でスキン層よりも内側の温度は、約210℃であるため、比較例1では試験温度を210℃にした。
以下、実施例を示して具体的に本発明を説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
以下の実施例、比較例全てにおいて、射出成形機として宇部興産機械株式会社製射出成形機MD350SIV(型締力最大3430kN、L/D=20)を用い、樹脂成形材料の射出圧を100MPaとした。近接位置にある金型間に形成されるキャビティの形状を200×400×2mmの平板形とし、キャビティの容積を160cm3とした。従って、近接位置にある成形型間の距離d1は、2mmとなる。また、型締めの際の金型の移動速度を10mm/秒とした。キャビティには、溶融状態の樹脂成形材料をフルショットで充填した。溶融状態の樹脂成形材料の充填時間を、1秒とした。金型を近接位置から離間位置へ離間させる移動速度を53mm/秒とした。
また、不活性ガスとして、CO2ガスを用いた。
さらに、溶融張力を測定するためのキャピラリーレオメータとして、JIS K7199に準拠した(株)東洋精機製作所製のキャピラリーレオメータ「キャピログラフ1C型」を用い、シリンダの下端に直径1.0mmのキャピラリーを装着した。近接位置にある金型間のキャビティに溶融状態の樹脂成形材料を射出して金型を離間させるときにキャビティの中心部の温度(キャビティ内にある樹脂成形材料の中で最も高い温度)を試験温度として、当該試験温度に加熱して溶融させた樹脂成形材料をシリンダ内に充填し、キャピラリーレオメータのピストンを降下速度10mm/minで降下させてシリンダ内の樹脂成形材料をキャピラリーから糸状に押し出し、同時に、押し出された樹脂成形材料を5.0m/minの引き取り速度で引き取る際の溶融張力を測定した。なお、金型が近接位置にあるときに210℃の樹脂成形材料をキャビティに射出して金型を近接位置で4〜7秒間保持した後、金型を離間位置へ離間させるときにキャビティ内でスキン層よりも内側(発泡層となる部分)の温度は、約190℃であるため、実施例1〜4と比較例2では試験温度を190℃にした。一方、金型が近接位置にあるときに210℃の樹脂成形材料をキャビティに射出して金型を近接位置で保持する時間を1秒未満とし、金型を離間位置へ離間させるときにキャビティ内でスキン層よりも内側の温度は、約210℃であるため、比較例1では試験温度を210℃にした。
[実施例1]
樹脂成形材料を構成する熱可塑性樹脂として、プロピレン−エチレン共重合物(サンアロマー株式会社製サンアロマー(商標)ポリプロピレン樹脂、グレードPM970W、密度0.90g/cm3、MI=30、ブロックコポリマー)を用いた。
造核剤として、永和化成工業株式会社製ポリスレンEE207(化学発泡剤)を用いた。
試験区毎に、各素材の配合割合を以下のようにし、不活性ガスの注入圧力を以下のようにするとともに、離間距離d2、成形体の発泡倍率、型締め圧力、金型を近接位置で保持する時間T1、金型を近接位置から離間位置へ離間させる移動速度V1、を以下のようにした。なお、造核剤の添加量は、造核剤を除く樹脂成形材料100重量部当たりの重量で示している。以下も、同様である。そして、造核剤を含む樹脂成形材料を210℃に加熱し、不活性ガスを注入してキャビティ内に射出し、成形後に脱型して、樹脂発泡成形体のサンプルを試作した。このとき、金型の温度は、30〜60℃であった。また、熱可塑性樹脂について、試験温度を190℃として試験温度以外を上述した条件として溶融張力を測定したところ、0.2gfであった。
試験区1 試験区2
熱可塑性樹脂 100重量% 100重量%
造核剤 10重量部 0重量部
ガス注入圧力(MPa) 4.0 4.0
離間距離d2(mm) 7.0 5.0
成形体の発泡倍率 4.5 3.5
型締め圧力(kN) 2000 2000
近接位置の保持時間T1 6秒 6秒
樹脂成形材料を構成する熱可塑性樹脂として、プロピレン−エチレン共重合物(サンアロマー株式会社製サンアロマー(商標)ポリプロピレン樹脂、グレードPM970W、密度0.90g/cm3、MI=30、ブロックコポリマー)を用いた。
造核剤として、永和化成工業株式会社製ポリスレンEE207(化学発泡剤)を用いた。
試験区毎に、各素材の配合割合を以下のようにし、不活性ガスの注入圧力を以下のようにするとともに、離間距離d2、成形体の発泡倍率、型締め圧力、金型を近接位置で保持する時間T1、金型を近接位置から離間位置へ離間させる移動速度V1、を以下のようにした。なお、造核剤の添加量は、造核剤を除く樹脂成形材料100重量部当たりの重量で示している。以下も、同様である。そして、造核剤を含む樹脂成形材料を210℃に加熱し、不活性ガスを注入してキャビティ内に射出し、成形後に脱型して、樹脂発泡成形体のサンプルを試作した。このとき、金型の温度は、30〜60℃であった。また、熱可塑性樹脂について、試験温度を190℃として試験温度以外を上述した条件として溶融張力を測定したところ、0.2gfであった。
試験区1 試験区2
熱可塑性樹脂 100重量% 100重量%
造核剤 10重量部 0重量部
ガス注入圧力(MPa) 4.0 4.0
離間距離d2(mm) 7.0 5.0
成形体の発泡倍率 4.5 3.5
型締め圧力(kN) 2000 2000
近接位置の保持時間T1 6秒 6秒
[実施例2]
樹脂成形材料を構成する熱可塑性樹脂として、プロピレン−エチレン共重合物(サンアロマー株式会社製サンアロマー(商標)ポリプロピレン樹脂、グレードPMA80X、密度0.90g/cm3、MI=43。P-E共重合物と記載)と、エチレン・プロピレンゴム(ethylene propylene rubber。E-Pゴムと記載)とを用いた。
また、充てん材として、タルク(日本タルク株式会社製MICRO ACE)を用いた。
造核剤として、実施例1と同じ永和化成工業株式会社製ポリスレンEE207を用いた。
各素材の配合割合を以下のようにし、不活性ガスの注入圧力を以下のようにするとともに、離間距離d2、成形体の発泡倍率、型締め圧力、金型を近接位置で保持する時間T1、金型を近接位置から離間位置へ離間させる移動速度V1、を以下のようにした。そして、造核剤を含む樹脂成形材料を210℃に加熱し、不活性ガスを注入してキャビティ内に射出し、成形後に脱型して、樹脂発泡成形体のサンプルを試作した。このとき、金型の温度は、30〜60℃であった。また、P-E共重合物とE-Pゴムとタルクとからなる成形樹脂材料について、試験温度を190℃として試験温度以外を上述した条件として溶融張力を測定したところ、0.5gfであった。
P-E共重合物 60重量%
E-Pゴム 30重量%
タルク 10重量%
造核剤 10重量部
ガス注入圧力(MPa) 4.0
離間距離d2(mm) 7.0
成形体の発泡倍率 4.5
型締め圧力(kN) 2000
近接位置の保持時間T1 5秒
樹脂成形材料を構成する熱可塑性樹脂として、プロピレン−エチレン共重合物(サンアロマー株式会社製サンアロマー(商標)ポリプロピレン樹脂、グレードPMA80X、密度0.90g/cm3、MI=43。P-E共重合物と記載)と、エチレン・プロピレンゴム(ethylene propylene rubber。E-Pゴムと記載)とを用いた。
また、充てん材として、タルク(日本タルク株式会社製MICRO ACE)を用いた。
造核剤として、実施例1と同じ永和化成工業株式会社製ポリスレンEE207を用いた。
各素材の配合割合を以下のようにし、不活性ガスの注入圧力を以下のようにするとともに、離間距離d2、成形体の発泡倍率、型締め圧力、金型を近接位置で保持する時間T1、金型を近接位置から離間位置へ離間させる移動速度V1、を以下のようにした。そして、造核剤を含む樹脂成形材料を210℃に加熱し、不活性ガスを注入してキャビティ内に射出し、成形後に脱型して、樹脂発泡成形体のサンプルを試作した。このとき、金型の温度は、30〜60℃であった。また、P-E共重合物とE-Pゴムとタルクとからなる成形樹脂材料について、試験温度を190℃として試験温度以外を上述した条件として溶融張力を測定したところ、0.5gfであった。
P-E共重合物 60重量%
E-Pゴム 30重量%
タルク 10重量%
造核剤 10重量部
ガス注入圧力(MPa) 4.0
離間距離d2(mm) 7.0
成形体の発泡倍率 4.5
型締め圧力(kN) 2000
近接位置の保持時間T1 5秒
[実施例3]
樹脂成形材料を構成する熱可塑性樹脂として、実施例2と同じプロピレン−エチレン共重合物およびE-Pゴムを用いた。
造核剤として、永和化成工業株式会社製ポリスレンEE275Fを用いた。
試験区毎に、各素材の配合割合を以下のようにし、不活性ガスの注入圧力を以下のようにするとともに、離間距離d2、成形体の発泡倍率、型締め圧力、金型を近接位置で保持する時間T1、金型を近接位置から離間位置へ離間させる移動速度V1、を以下のようにした。試験区3では、樹脂発泡成形体サンプルの厚み方向の片面に、直径3.5mm、高さ0.5mmの円柱状の凸部を多数形成した。ここで、凸部のピッチを8mmとし、凸部の面積比(成形体サンプルの厚み方向へ該方向とは垂直な水平面上に投影したときの成形体サンプルの投影面積に対する凸部の投影面積の総面積の比)を15%とした。そして、造核剤を含む樹脂成形材料を210℃に加熱し、不活性ガスを注入してキャビティ内に射出し、成形後に脱型して、樹脂発泡成形体のサンプルを試作した。このとき、金型の温度は、30〜60℃であった。また、P-E共重合物とE-Pゴムとからなる成形樹脂材料について、試験温度を190℃として試験温度以外を上述した条件として溶融張力を測定したところ、0.2gfであった。
試験区1 試験区2 試験区3
P-E共重合物 70重量% 70重量% 70重量%
E-Pゴム 30重量% 30重量% 30重量%
造核剤 10重量部 10重量部 10重量部
ガス注入圧力(MPa) 3.0 3.0 3.0
離間距離d2(mm) 6.5 4.0 4.0
成形体の発泡倍率 4.3 3.0 3.0
型締め圧力(kN) 1000 1000 1000
近接位置の保持時間T1 7秒 7秒 7秒
樹脂成形材料を構成する熱可塑性樹脂として、実施例2と同じプロピレン−エチレン共重合物およびE-Pゴムを用いた。
造核剤として、永和化成工業株式会社製ポリスレンEE275Fを用いた。
試験区毎に、各素材の配合割合を以下のようにし、不活性ガスの注入圧力を以下のようにするとともに、離間距離d2、成形体の発泡倍率、型締め圧力、金型を近接位置で保持する時間T1、金型を近接位置から離間位置へ離間させる移動速度V1、を以下のようにした。試験区3では、樹脂発泡成形体サンプルの厚み方向の片面に、直径3.5mm、高さ0.5mmの円柱状の凸部を多数形成した。ここで、凸部のピッチを8mmとし、凸部の面積比(成形体サンプルの厚み方向へ該方向とは垂直な水平面上に投影したときの成形体サンプルの投影面積に対する凸部の投影面積の総面積の比)を15%とした。そして、造核剤を含む樹脂成形材料を210℃に加熱し、不活性ガスを注入してキャビティ内に射出し、成形後に脱型して、樹脂発泡成形体のサンプルを試作した。このとき、金型の温度は、30〜60℃であった。また、P-E共重合物とE-Pゴムとからなる成形樹脂材料について、試験温度を190℃として試験温度以外を上述した条件として溶融張力を測定したところ、0.2gfであった。
試験区1 試験区2 試験区3
P-E共重合物 70重量% 70重量% 70重量%
E-Pゴム 30重量% 30重量% 30重量%
造核剤 10重量部 10重量部 10重量部
ガス注入圧力(MPa) 3.0 3.0 3.0
離間距離d2(mm) 6.5 4.0 4.0
成形体の発泡倍率 4.3 3.0 3.0
型締め圧力(kN) 1000 1000 1000
近接位置の保持時間T1 7秒 7秒 7秒
[実施例4]
樹脂成形材料を構成する熱可塑性樹脂として、実施例2で用いた樹脂(P-E共重合物とE-Pゴム)の他、オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂(JSR株式会社製結晶擬似架橋型TPO EXCELINK3400。エラストマー樹脂と記載)を用いた。
造核剤として、実施例1と同じ永和化成工業株式会社製ポリスレンEE207を用いた。
各素材の配合割合を以下のようにし、不活性ガスの注入圧力を以下のようにするとともに、離間距離d2、成形体の発泡倍率、型締め圧力、金型を近接位置で保持する時間T1、金型を近接位置から離間位置へ離間させる移動速度V1、を以下のようにした。そして、造核剤を含む樹脂成形材料を210℃に加熱し、不活性ガスを注入してキャビティ内に射出し、成形後に脱型して、樹脂発泡成形体のサンプルを試作した。このとき、金型の温度は、30〜60℃であった。また、P-E共重合物とE-Pゴムとエラストマー樹脂とからなる成形樹脂材料について、試験温度を190℃として試験温度以外を上述した条件として溶融張力を測定したところ、0.6gfであった。
P-E共重合物 35重量%
E-Pゴム 15重量%
エラストマー樹脂 50重量%
造核剤 10重量部
ガス注入圧力(MPa) 4.0
離間距離d2(mm) 6.5
成形体の発泡倍率 4.3
型締め圧力(kN) 2000
近接位置の保持時間T1 7秒
樹脂成形材料を構成する熱可塑性樹脂として、実施例2で用いた樹脂(P-E共重合物とE-Pゴム)の他、オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂(JSR株式会社製結晶擬似架橋型TPO EXCELINK3400。エラストマー樹脂と記載)を用いた。
造核剤として、実施例1と同じ永和化成工業株式会社製ポリスレンEE207を用いた。
各素材の配合割合を以下のようにし、不活性ガスの注入圧力を以下のようにするとともに、離間距離d2、成形体の発泡倍率、型締め圧力、金型を近接位置で保持する時間T1、金型を近接位置から離間位置へ離間させる移動速度V1、を以下のようにした。そして、造核剤を含む樹脂成形材料を210℃に加熱し、不活性ガスを注入してキャビティ内に射出し、成形後に脱型して、樹脂発泡成形体のサンプルを試作した。このとき、金型の温度は、30〜60℃であった。また、P-E共重合物とE-Pゴムとエラストマー樹脂とからなる成形樹脂材料について、試験温度を190℃として試験温度以外を上述した条件として溶融張力を測定したところ、0.6gfであった。
P-E共重合物 35重量%
E-Pゴム 15重量%
エラストマー樹脂 50重量%
造核剤 10重量部
ガス注入圧力(MPa) 4.0
離間距離d2(mm) 6.5
成形体の発泡倍率 4.3
型締め圧力(kN) 2000
近接位置の保持時間T1 7秒
[比較例1]
樹脂成形材料を構成する熱可塑性樹脂、タルク、造核剤として、実施例2と同じものを用いた。
各素材の配合割合、不活性ガスの注入圧力、離間距離d2、成形体の発泡倍率、型締め圧力、金型を近接位置から離間位置へ離間させる移動速度V1も実施例2と同じにした。ただし、金型を近接位置で保持する時間T1を1秒未満と短くした。そして、造核剤を含む樹脂成形材料を210℃に加熱し、不活性ガスを注入してキャビティ内に射出し、成形後に脱型して、樹脂発泡成形体のサンプルを試作した。金型を離間位置へ離間させたときにキャビティ内にある樹脂成形材料の中で最も高い温度は、約210℃であった。金型の温度は、30〜60℃であった。また、P-E共重合物とE-Pゴムとタルクとからなる成形樹脂材料について、試験温度を210℃として試験温度以外を上述した条件として溶融張力を測定したところ、0.1gf未満であり、引き取る成形樹脂材料がしばしば切れて、成形樹脂材料の継続的な引き取りができず、溶融張力測定が容易ではなかった。
[比較例2]
樹脂成形材料を構成する熱可塑性樹脂として、オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂(JSR株式会社製結晶擬似架橋型TPO EXCELINK3700N。エラストマー樹脂と記載)を用いた。
造核剤として、実施例1と同じ永和化成工業株式会社製ポリスレンEE207を用いた。
各素材の配合割合を以下のようにし、不活性ガスの注入圧力を以下のようにするとともに、離間距離d2、成形体の発泡倍率、型締め圧力、金型を近接位置で保持する時間T1、金型を近接位置から離間位置へ離間させる移動速度V1、を以下のようにした。そして、造核剤を含む樹脂成形材料を210℃に加熱し、不活性ガスを注入してキャビティ内に射出し、成形後に脱型して、樹脂発泡成形体のサンプルを試作した。このとき、金型の温度は、30〜60℃であった。また、エラストマー樹脂について、試験温度を190℃として試験温度以外を上述した条件として溶融張力を測定しようとしたところ、糸状に押し出された樹脂を引き取る際に樹脂が切れて溶融張力を測定することができなかった。参考として、試験温度を210℃に上げ、樹脂の引き取り速度を1.0m/minまで落として溶融張力を測定したところ、18.8gfであった。従って、キャピラリーの直径を大きくして試験温度190℃、引き取り速度5.0m/minで溶融張力を測定したとすると、30gfよりも大きな溶融張力になると推測される。
エラストマー樹脂 100重量%
造核剤 10重量部
ガス注入圧力(MPa) 4.0
離間距離d2(mm) 5.0
成形体の発泡倍率 3.0
型締め圧力(kN) 1000
近接位置の保持時間T1 4秒
樹脂成形材料を構成する熱可塑性樹脂、タルク、造核剤として、実施例2と同じものを用いた。
各素材の配合割合、不活性ガスの注入圧力、離間距離d2、成形体の発泡倍率、型締め圧力、金型を近接位置から離間位置へ離間させる移動速度V1も実施例2と同じにした。ただし、金型を近接位置で保持する時間T1を1秒未満と短くした。そして、造核剤を含む樹脂成形材料を210℃に加熱し、不活性ガスを注入してキャビティ内に射出し、成形後に脱型して、樹脂発泡成形体のサンプルを試作した。金型を離間位置へ離間させたときにキャビティ内にある樹脂成形材料の中で最も高い温度は、約210℃であった。金型の温度は、30〜60℃であった。また、P-E共重合物とE-Pゴムとタルクとからなる成形樹脂材料について、試験温度を210℃として試験温度以外を上述した条件として溶融張力を測定したところ、0.1gf未満であり、引き取る成形樹脂材料がしばしば切れて、成形樹脂材料の継続的な引き取りができず、溶融張力測定が容易ではなかった。
[比較例2]
樹脂成形材料を構成する熱可塑性樹脂として、オレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂(JSR株式会社製結晶擬似架橋型TPO EXCELINK3700N。エラストマー樹脂と記載)を用いた。
造核剤として、実施例1と同じ永和化成工業株式会社製ポリスレンEE207を用いた。
各素材の配合割合を以下のようにし、不活性ガスの注入圧力を以下のようにするとともに、離間距離d2、成形体の発泡倍率、型締め圧力、金型を近接位置で保持する時間T1、金型を近接位置から離間位置へ離間させる移動速度V1、を以下のようにした。そして、造核剤を含む樹脂成形材料を210℃に加熱し、不活性ガスを注入してキャビティ内に射出し、成形後に脱型して、樹脂発泡成形体のサンプルを試作した。このとき、金型の温度は、30〜60℃であった。また、エラストマー樹脂について、試験温度を190℃として試験温度以外を上述した条件として溶融張力を測定しようとしたところ、糸状に押し出された樹脂を引き取る際に樹脂が切れて溶融張力を測定することができなかった。参考として、試験温度を210℃に上げ、樹脂の引き取り速度を1.0m/minまで落として溶融張力を測定したところ、18.8gfであった。従って、キャピラリーの直径を大きくして試験温度190℃、引き取り速度5.0m/minで溶融張力を測定したとすると、30gfよりも大きな溶融張力になると推測される。
エラストマー樹脂 100重量%
造核剤 10重量部
ガス注入圧力(MPa) 4.0
離間距離d2(mm) 5.0
成形体の発泡倍率 3.0
型締め圧力(kN) 1000
近接位置の保持時間T1 4秒
[試験方法]
実施例および比較例の各樹脂発泡成形体サンプルを厚み方向(離間方向D1)と平行に裁断して、断面の組織、発泡セルの形状、発泡状態を観察し、厚み方向への霜柱状発泡セルの長さを測定した。なお、サンプル断面において厚み方向とは垂直な方向へ30mmの範囲内にある発泡セルの長さの平均を求めて発泡セルの長さとした。
また、図3に示すように、離間方向D1とは垂直な方向D2へ厚みd11が5.0mmとなるよう厚み方向と平行に裁断して試験片を作製し、JIS L1096に規定されたフラジール形法による通気度測定法に従って、前記垂直方向D2への通気度(単位:cc/cm2/sec)を測定した。なお、試験片が単独では規定の試験面積に満たない場合には、複数の試験片を並べて試験面積に合わせた。そして、試験片前後の気圧差を測定し、換算表から通気度に換算した。
さらに、各樹脂発泡成形体サンプルに対して、垂直入射吸音率の測定条件を模式的に説明した図7に示すように、厚み方向の片面からスキン層M16を貫通して発泡層M12に至る複数の通気孔M16aを所要径の針の突き刺しにより形成して吸音パネルのサンプルとし、ISO 10534-2に規定された垂直入射法に従って、通気孔を形成したスキン層側から音を入射して1000〜6300Hzの範囲で1/3オクターブバンド毎に垂直入射吸音率(単位:%)を測定した。ここで、各通気孔M16aは、成形体サンプルの厚み方向に対する垂直断面が円形で、直径2.0mm、深さ2.0mmとなるように形成した。また、各通気孔は、千鳥状となるように配置し、通気孔どうしの間隔を3.0〜5.0mm、通気孔の開孔率(成形体サンプルの厚み方向へ該方向とは垂直な水平面上に投影したときの成形体サンプルの投影面積に対する通気孔の投影面積の総面積の比)を18%とした。なお、実施例3の試験区3では、凹凸パターンの無い側のスキン層に通気孔を形成した。
実施例および比較例の各樹脂発泡成形体サンプルを厚み方向(離間方向D1)と平行に裁断して、断面の組織、発泡セルの形状、発泡状態を観察し、厚み方向への霜柱状発泡セルの長さを測定した。なお、サンプル断面において厚み方向とは垂直な方向へ30mmの範囲内にある発泡セルの長さの平均を求めて発泡セルの長さとした。
また、図3に示すように、離間方向D1とは垂直な方向D2へ厚みd11が5.0mmとなるよう厚み方向と平行に裁断して試験片を作製し、JIS L1096に規定されたフラジール形法による通気度測定法に従って、前記垂直方向D2への通気度(単位:cc/cm2/sec)を測定した。なお、試験片が単独では規定の試験面積に満たない場合には、複数の試験片を並べて試験面積に合わせた。そして、試験片前後の気圧差を測定し、換算表から通気度に換算した。
さらに、各樹脂発泡成形体サンプルに対して、垂直入射吸音率の測定条件を模式的に説明した図7に示すように、厚み方向の片面からスキン層M16を貫通して発泡層M12に至る複数の通気孔M16aを所要径の針の突き刺しにより形成して吸音パネルのサンプルとし、ISO 10534-2に規定された垂直入射法に従って、通気孔を形成したスキン層側から音を入射して1000〜6300Hzの範囲で1/3オクターブバンド毎に垂直入射吸音率(単位:%)を測定した。ここで、各通気孔M16aは、成形体サンプルの厚み方向に対する垂直断面が円形で、直径2.0mm、深さ2.0mmとなるように形成した。また、各通気孔は、千鳥状となるように配置し、通気孔どうしの間隔を3.0〜5.0mm、通気孔の開孔率(成形体サンプルの厚み方向へ該方向とは垂直な水平面上に投影したときの成形体サンプルの投影面積に対する通気孔の投影面積の総面積の比)を18%とした。なお、実施例3の試験区3では、凹凸パターンの無い側のスキン層に通気孔を形成した。
[試験結果]
結果を、表1に示す。なお、吸音率の欄には、測定周波数域(1000〜6300Hz)で最大の垂直入射吸音率(単位:%)を示した。
また、実施例1試験区1と実施例3試験区3と比較例の樹脂発泡成形体サンプルの断面の写真を、図15〜図18に示す。
結果を、表1に示す。なお、吸音率の欄には、測定周波数域(1000〜6300Hz)で最大の垂直入射吸音率(単位:%)を示した。
図17に示すように、成形樹脂材料の溶融張力が0.1gf未満であった比較例1の樹脂発泡成形体サンプルでは、厚み方向の途中で大きな亀裂が生じ、霜柱状の発泡セルが形成されず、厚み方向への圧縮力に対して座屈しやすい樹脂発泡成形体となった。なお、比較例1のサンプルでは断面を切り出すと連続した亀裂により二つに割れてしまうため、サンプルの端部をテープで仮止めした。従って、図17では、該テープも撮像されている。
図18に示すように、成形樹脂材料の溶融張力が大きかった(推定30gfより大)比較例2の樹脂発泡成形体サンプルでは、霜柱状の発泡セルが形成されず、厚み方向への発泡セルの長さが1mm未満であり、通気度が0.33cc/cm2/sec以下となって低通気性であるとともに、垂直入射吸音率が28%となって良好な吸音性が得られなかった。
一方、例えば図15と図16に示すように、成形樹脂材料の溶融張力が0.2〜0.6gfであった実施例の樹脂発泡成形体サンプルでは、厚み方向へ1mm以上の霜柱状発泡セルが形成され、通気度が0.4cc/cm2/sec以上となってサンプル内部に通気性が得られるとともに、垂直入射吸音率が45〜97%となって比較例よりも良好な吸音性が得られた。また、実施例の樹脂発泡成形体サンプルを厚み方向へ押してみたところ、比較例よりも弾性が良好であるとともに触感が良好であった。
以上より、成形型の離間方向へ離間距離以下で1.0mm以上となるように気泡を連続させて霜柱状に発泡セルを伸長させて樹脂発泡成形体を成形すると、通気度0.4cc/cm2/sec以上の通気性が内部に得られ、該樹脂発泡成形体のスキン層に該スキン層を貫通する通気孔を形成して得られる吸音パネルは、軽量ながら厚み方向への圧縮力に対して座屈しにくく自動車の内装材として良好な弾性かつ良好な触感が得られるとともに、高い吸音性が得られることが確認された。
また、成形樹脂材料の溶融張力が0.1gf未満と小さいと金型を離間させたときに発泡セルの壁が切れてしまい発泡セルが霜柱状の組織とならず、成形樹脂材料の溶融張力が大きい(推定30gfより大)と金型を離間させても発泡セルが霜柱状の組織とならずに通気度もほとんどないことが分かった。溶融張力が0.1gf未満と小さいと成形樹脂材料の粘度が小さいため発泡セルが厚み方向の途中で切断されると推測され、溶融張力が大きすぎると発泡セルが厚み方向へ連通しないため霜柱状にならないと推測される。
図18に示すように、成形樹脂材料の溶融張力が大きかった(推定30gfより大)比較例2の樹脂発泡成形体サンプルでは、霜柱状の発泡セルが形成されず、厚み方向への発泡セルの長さが1mm未満であり、通気度が0.33cc/cm2/sec以下となって低通気性であるとともに、垂直入射吸音率が28%となって良好な吸音性が得られなかった。
一方、例えば図15と図16に示すように、成形樹脂材料の溶融張力が0.2〜0.6gfであった実施例の樹脂発泡成形体サンプルでは、厚み方向へ1mm以上の霜柱状発泡セルが形成され、通気度が0.4cc/cm2/sec以上となってサンプル内部に通気性が得られるとともに、垂直入射吸音率が45〜97%となって比較例よりも良好な吸音性が得られた。また、実施例の樹脂発泡成形体サンプルを厚み方向へ押してみたところ、比較例よりも弾性が良好であるとともに触感が良好であった。
以上より、成形型の離間方向へ離間距離以下で1.0mm以上となるように気泡を連続させて霜柱状に発泡セルを伸長させて樹脂発泡成形体を成形すると、通気度0.4cc/cm2/sec以上の通気性が内部に得られ、該樹脂発泡成形体のスキン層に該スキン層を貫通する通気孔を形成して得られる吸音パネルは、軽量ながら厚み方向への圧縮力に対して座屈しにくく自動車の内装材として良好な弾性かつ良好な触感が得られるとともに、高い吸音性が得られることが確認された。
また、成形樹脂材料の溶融張力が0.1gf未満と小さいと金型を離間させたときに発泡セルの壁が切れてしまい発泡セルが霜柱状の組織とならず、成形樹脂材料の溶融張力が大きい(推定30gfより大)と金型を離間させても発泡セルが霜柱状の組織とならずに通気度もほとんどないことが分かった。溶融張力が0.1gf未満と小さいと成形樹脂材料の粘度が小さいため発泡セルが厚み方向の途中で切断されると推測され、溶融張力が大きすぎると発泡セルが厚み方向へ連通しないため霜柱状にならないと推測される。
実施例1の試験区1と試験区2とを比較すると、造核剤を使用しなかった試験区2では霜柱状発泡セルが粗い組織になったのに対し、造核剤を使用した試験区1では霜柱状発泡セルがより緻密かつ均一に形成され、吸音パネルサンプルを厚み方向へ押してみたところ、試験区2よりも触感が良好であった。従って、造核剤を使用すると、造核剤が適度な核形成材となって、気泡が適度に緻密かつ均一に形成され、高い吸音性を維持しながら内装材としての触感が向上することが確認された。
実施例3の試験区2と試験区3とを比較すると、表面を凹凸にしなかった試験区2では通気度が0.4cc/cm2/secで垂直入射吸音率が45%であったのに対し、表面を凹凸にした試験区3では通気度が18.0cc/cm2/secとなって通気性が向上するとともに、垂直入射吸音率が80%となって吸音性が向上した。
以上より、表面に凹凸を形成するようにして空洞を内部に形成して樹脂発泡成形体を成形し、該樹脂発泡成形体のスキン層に該スキン層を貫通する通気孔を形成して吸音パネルを形成すると、高い吸音性が得られることが確認された。
以上より、表面に凹凸を形成するようにして空洞を内部に形成して樹脂発泡成形体を成形し、該樹脂発泡成形体のスキン層に該スキン層を貫通する通気孔を形成して吸音パネルを形成すると、高い吸音性が得られることが確認された。
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、軽量ながら厚み方向への圧縮力に対して座屈しにくく自動車の内装材として良好な弾性かつ良好な触感が得られるとともに、高い吸音性が得られる新規な吸音パネルを提供することができる。
10…発泡射出成形機、
11,12…一対の成形型、
C1〜C3…キャビティ、
D1…離間方向、D2…離間方向とは垂直な方向、D3…吸音パネルの厚み方向、
L1…所定の近接位置、L2…所定の離間位置、
M1…樹脂成形材料、
M10,M20…樹脂発泡成形体、
M12,M22…発泡層、M13,M23…発泡セル、
M14…中間層、
M16,M26a,M26b…スキン層、
M16a,M17a,M26c…通気孔、M16a1…通気孔の底部、
M17…表皮材、
M25…空洞、M27…凸部、M28…凹部、
M100〜M104,M200〜M202…吸音パネル、
PL1…吸音パネルの厚み方向とは垂直な面、
11,12…一対の成形型、
C1〜C3…キャビティ、
D1…離間方向、D2…離間方向とは垂直な方向、D3…吸音パネルの厚み方向、
L1…所定の近接位置、L2…所定の離間位置、
M1…樹脂成形材料、
M10,M20…樹脂発泡成形体、
M12,M22…発泡層、M13,M23…発泡セル、
M14…中間層、
M16,M26a,M26b…スキン層、
M16a,M17a,M26c…通気孔、M16a1…通気孔の底部、
M17…表皮材、
M25…空洞、M27…凸部、M28…凹部、
M100〜M104,M200〜M202…吸音パネル、
PL1…吸音パネルの厚み方向とは垂直な面、
Claims (11)
- 互いに近接および離反可能な一対の成形型を所定の近接位置に近接させたときに形成されるキャビティに発泡剤を含む樹脂成形材料を充填した後に前記一対の成形型を所定の離間位置まで離間させて前記キャビティを拡張させる際に前記近接位置にあるときの前記一対の成形型の間の距離を1.0〜10.0mmとするとともに前記近接位置から前記離間位置までの離間距離を1.0〜50.0mmとして、前記キャビティ内の樹脂成形材料に表面では非発泡のスキン層を形成しながら該スキン層より内側では前記一対の成形型の離間方向へ前記離間距離以下で1.0mm以上となるように気泡を連続させて霜柱状に発泡セルを伸長させて樹脂発泡成形体を成形し、得られる樹脂発泡成形体のスキン層に該スキン層を貫通する通気孔を形成した、吸音パネル。
- 前記スキン層に前記通気孔が多数形成され、本吸音パネルの厚み方向へ該方向とは垂直な面上に投影したときの本吸音パネルの投影面積に対する前記通気孔の投影面積の総面積の比が3〜50%である、請求項1に記載の吸音パネル。
- 前記キャビティ内の樹脂成形材料に造核剤を含ませ、かつ、0.5〜20MPaで不活性ガスを注入して前記樹脂発泡成形体を成形し、得られる樹脂発泡成形体のスキン層に前記通気孔を形成した、請求項1または請求項2に記載の吸音パネル。
- 前記一対の成形型を前記近接位置から前記離間位置まで離間させるときの前記キャビティの容積比を2〜10として前記樹脂発泡成形体を成形し、得られる樹脂発泡成形体のスキン層に前記通気孔を形成した、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の吸音パネル。
- 前記一対の成形型を離間させる速度について前記近接位置から離間し始めた位置での速度よりも前記離間位置へ到達する位置での速度の方を大きくして前記樹脂発泡成形体を成形し、得られる樹脂発泡成形体のスキン層に前記通気孔を形成した、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の吸音パネル。
- 前記離間方向とは垂直な方向へ厚み5.0mmとなるように切断したときのJIS L1096のフラジール形法による通気度が0.4cc/cm2/sec以上となるように前記樹脂発泡成形体を成形し、得られる樹脂発泡成形体のスキン層に前記通気孔を形成した、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の吸音パネル。
- 前記キャビティに充填された樹脂成形材料内で前記離間方向とは垂直な方向へ該離間方向の温度分布を異ならせて前記一対の成形型を離間させることにより前記温度分布の異なりに応じた空洞を内部に形成して前記樹脂発泡成形体を成形し、得られる樹脂発泡成形体のスキン層に前記通気孔を形成した、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の吸音パネル。
- 表面に凹凸を形成するようにして前記キャビティに充填された樹脂成形材料内で前記離間方向とは垂直な方向へ該離間方向の温度分布を異ならせることにより該温度分布の異なりに応じた空洞を内部に形成して前記樹脂発泡成形体を成形し、得られる樹脂発泡成形体のスキン層に前記通気孔を形成した、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の吸音パネル。
- 前記通気孔が形成されたスキン層に通気性の表皮材を積層した、請求項1〜請求項8のいずれかに記載の吸音パネル。
- 前記一対の成形型を離間させているときのキャビティ内で前記スキン層よりも内側にある前記樹脂成形材料の温度を試験温度とした該樹脂成形材料の溶融張力を0.1〜30gfとなるようにして前記樹脂発泡成形体を成形し、得られる樹脂発泡成形体のスキン層に前記通気孔を形成した、請求項1〜請求項9のいずれかに記載の吸音パネル。
ただし、前記溶融張力は、JIS K7199に準拠したキャピラリーレオメータを用い、シリンダの下端に直径1.0mmのキャピラリーを装着して、前記試験温度にした前記樹脂成形材料を前記シリンダ内に充填し、キャピラリーレオメータのピストンを降下速度10mm/minで降下させて前記シリンダ内の樹脂成形材料を前記キャピラリーから糸状に押し出して5.0m/minの引き取り速度で引き取る際に測定される溶融張力とする。 - 互いに近接および離反可能な一対の成形型を所定の近接位置に近接させたときに形成されるキャビティに発泡剤を含む樹脂成形材料を充填した後に前記一対の成形型を所定の離間位置まで離間させて前記キャビティを拡張させることにより該キャビティ内の樹脂成形材料に発泡セルを形成させる際に前記キャビティに充填された樹脂成形材料内で前記離間方向とは垂直な方向へ該離間方向の温度分布を異ならせて前記一対の成形型を離間させることにより表面に非発泡のスキン層を形成しながら前記温度分布の異なりに応じた空洞を内部に形成して樹脂発泡成形体を成形し、得られる樹脂発泡成形体のスキン層に該スキン層を貫通する通気孔を形成した、吸音パネル。
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