JP6986386B2 - 車両用シート部材 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用シート部材に関するもので、特に、貫通孔を有する熱可塑性樹脂発泡粒子で構成される熱可塑性樹脂発泡粒子成形体からなる芯材を用いた車両用シート部材に関するものである。
近年、自動車などの車両用シート部材の芯材として、熱可塑性樹脂発泡粒子成形体(以下、単に「発泡粒子成形体」ともいう)が用いられている。例えば、特許文献1には、荷重がかかることによって弾性変形するクッション材と、該クッション材を補強するフレーム部材と、前記クッション材の高さを確保する嵩上げ部材として発泡粒子成形体が積層されて配置され、少なくとも前記クッション材を覆うように形成された表面カバーがクッション材に対して着脱自在に取付けられていることを特徴とする車両用シートが開示されている。また、このような車両用シート部材にあっては、同文献の図7(b)に示されるように、表皮材などのシートカバーを固定するための止め具が、発泡粒子成形体に形成された溝に差し込まれて使用されることがある。
一方、特許文献2には、車両用シート部材の上方側に積層されるポリウレタンフォームとの接合強度に優れ、かつポリウレタンフォーム積層による反りなどの変形が抑制された車両用シート部材を提供することを課題とし、発泡粒子成形体が、貫通孔を有しない発泡粒子が相互に融着してなるとともに実質的に空隙を有しない基部と、該基部の上方側に形成された、貫通孔を有する発泡粒子が相互に融着してなるとともに外部と連通する空隙を有する連通部とからなり、基部と連通部とが固着一体化しており、連通部の空隙にポリウレタンフォームの一部が入り込んで固化している車両用シート部材が提案されている。
特開2011−16458号公報 特開2017−35378号公報
しかしながら、特許文献2に用いられるような、貫通孔を有する発泡粒子で構成される発泡粒子成形体からなる芯材を用いた場合には、ポリウレタンフォームとの積層接着性に優れるものの、ポリウレタンフォーム積層時におけるウレタン含浸量を制御し難くなるおそれがあった。
本発明は、上記した背景技術が有する課題に鑑みて成されたものであって、その目的は、貫通孔を有する発泡粒子で構成される発泡粒子成形体からなる芯材を用いた車両用シート部材において、熱可塑性樹脂発泡粒子成形体とポリウレタンフォームとの積層接着性と生産性に優れる発泡粒子成形体を提供することにある。
上記した目的を達成するため、本発明は、次の〔1〕〜〔10〕に記載した車両用シート部材とした。
〔1〕熱可塑性樹脂発泡粒子成形体からなる芯材と、前記芯材の上面側に設けられたポリウレタンフォームと、前記ポリウレタンフォームを覆うシートカバーとを備える車両用シート部材であって、上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体は、貫通孔を有し、前記貫通孔の平均孔径dが1mm〜3mmであり、平均肉厚tが0.8mm〜2mmであり、前記平均孔径dに対する平均肉厚tの比t/dが0.4〜1である、筒状の熱可塑性樹脂発泡粒子の融着体からなり、前記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体は外部と連通する空隙を有しており、前記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の空隙率が10体積%以上25体積%未満であり、前記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の空隙に上記ポリウレタンフォームの一部が含浸して固化しており、前記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の上面から上面に対して垂直方向に3mmの深さに沿って前記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体を切断した切断面における、ポリウレタンフォーム部分の面積割合が5〜20%であることを特徴とする車両用シート部材。
〕上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の引張強さが0.2MPa以上であり、前記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の10%圧縮時の圧縮応力が0.1MPa以上であることを特徴とする、〔〕に記載の車両用シート部材。
〕上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体は、貫通孔の貫通方向に垂直な方向への10%圧縮時の圧縮荷重Aが0.5N以上である、筒状の熱可塑性樹脂発泡粒子を融着させてなることを特徴とする、〔1〕または〔2〕に記載の車両用シート部材。
〕上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体は、貫通孔の貫通方向への10%圧縮時の圧縮荷重Bが1N以上であり、上記圧縮荷重Aに対する前記圧縮荷重Bの比B/Aが1〜3である、筒状の熱可塑性樹脂発泡粒子を融着させてなることを特徴とする、〔〕に記載の車両用シート部材。
〕上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の成形体密度が20〜40kg/m3であり、上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体を構成するプロピレン系樹脂の曲げ弾性率が1200MPa超であることを特徴とする、〔1〕〜〔〕のいずれかに記載の車両用シート部材。
〕上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の底面の周縁に止め具固定溝が形成され、前記止め具固定溝に上記シートカバーを固定する止め具が挿入されていることを特徴とする、〔1〕〜〔〕のいずれかに記載の車両用シート部材。
〕上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の周縁部に環状フレーム部材がインサート成形により埋設されていることを特徴とする、〔1〕〜〔〕のいずれかに記載の車両用シート部材。
〕上記貫通孔を有する熱可塑性樹脂発泡粒子が、筒状のポリプロピレン系樹脂発泡芯層と、前記発泡芯層を被覆するポリオレフィン系樹脂被覆層とを有する多層発泡粒子であり、前記被覆層を構成する樹脂の融点が前記発泡芯層を構成する樹脂の融点よりも低いことを特徴とする、〔1〕〜〔〕のいずれかに記載の車両用シート部材。
〔9〕上記貫通孔を有する熱可塑性樹脂発泡粒子の平均長さLが、2〜7mmであることを特徴とする、〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の車両用シート部材。
〔10〕上記貫通孔を有する熱可塑性樹脂発泡粒子の平均外径Dが、2〜6mmであり、前記平均外径Dに対する上記平均長さLの比L/Dが、1〜1.5であることを特徴とする、〔〕に記載の車両用シート部材。
上記した本発明に係る車両用シート部材によれば、貫通孔を有する熱可塑性樹脂発泡粒子からなる発泡粒子成形体で構成されているにもかかわらず、特定の空隙率および特定の性状を満足する成形体を用いることによって熱可塑性樹脂発泡粒子成形体とポリウレタンフォームとの積層接着性と生産性に優れるものとなる。
また、特定の性状を満足する発泡粒子からなる成形体を用いることによって、発泡粒子成形体表面に位置する発泡粒子の融着性や圧縮特性を向上させることができ、特に、該発泡粒子成形体に形成された止め具固定溝に止め具を差し入れて固定した際に、十分に止め具を固定することができる。したがって、シートカバーの固定性能にも優れるものとなる。
本発明の車両用シート部材の一実施形態を示した斜視図である。 シートカバーの固定構造を示した断面図である。 (a)は、本発明の貫通孔を有する単層の熱可塑性樹脂発泡粒子の形状を例示した模式図、(b)は、本発明の実施例で使用した、貫通孔を有する多層の熱可塑性樹脂発泡粒子の形状を示した模式図である。 本発明の比較例で使用した、貫通孔を有する熱可塑性樹脂発泡粒子の形状を示した模式図である。 図1に示した車両用シート部材に用いられたフレーム部材の斜視図である。 本発明に用いられる止め具の一実施形態を示した斜視図である。 (a)は、本発明の実施例に相当する熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の表面状態(成形体最表面のみを黒着色して、発泡粒子の向きを強調した表面状態)の模式図、(b)は、本発明の比較例に相当する熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の表面状態(同じく成形体最表面のみを黒着色して、発泡粒子の向きを強調した表面状態)の模式図である。 (a)は、熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の上面から3mmの深さに沿って切断した熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の断面の拡大写真、(b)は、上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の切断位置を説明するための模式図である。
以下、本発明に係る車両用シート部材の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下の説明において、適宜、本発明の好ましい数値範囲を示す場合があるが、この場合に、数値範囲の上限および下限に関する好ましい範囲、より好ましい範囲、特に好ましい範囲は、上限および下限のすべての組み合わせから決定することができる。また、本明細書において特段の断りがない場合には、車両用シート部材の前後方向、左右方向、および上下方向は、車両に設置された際における車両の前後方向、左右方向、および上下方向と同様である。また、本明細書において特段の断りなく収縮という場合には、熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の成形後に生じる成形収縮を意味する。
本発明に係る車両用シート部材100は、図1に示すように、熱可塑性樹脂発泡粒子成形体(以下、単に「発泡粒子成形体」ともいう)からなる芯材10と、前記芯材10の上面に設けられたポリウレタンフォーム20と、前記ポリウレタンフォーム20の外面側に設けられたシートカバー30とを備えている。
なお、上記発泡粒子成形体からなる芯材10は略直方体形状に形成され、図2に示すように、その底面の周縁の適所に止め具固定溝40が形成され、該止め具固定溝40にシートカバー30の止め具50が挿入され、シートカバー30が芯材10に固定されていることが好ましい。
芯材10は、発泡粒子成形体11とフレーム部材12との一体成形物であることが好ましい。発泡粒子成形体11は、後に詳述し、また図3に示すように、貫通孔61を有する熱可塑性樹脂発泡粒子60(以下、単に「発泡粒子60」ともいう)が相互に融着して成形され、空隙を有する発泡粒子成形体11に形成されている。芯材10を構成する前記発泡粒子成形体11は、特定の空隙率および特定の引張り強さなどの性状を満足するものに形成されている。
本発明においては、上記発泡粒子成形体11の空隙率は、10体積%以上25体積%以下に形成されている。これは、空隙率が低すぎると、発泡粒子成形体11の空隙に上方に積層するポリウレタンフォーム20の一部が入り込んだ構造を形成することが難しくなり、発泡粒子成形体11とポリウレタンフォーム20との接着性が低下するおそれがある。かかる観点から、空隙率の所定の範囲の下限は、12体積%以上であることが好ましく、14体積%以上であることがより好ましい。また、空隙率が高すぎると、ポリウレタンフォームが入り込みすぎて、生産性の劣るものとなるおそれがある。さらに、前記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の底面の周縁に止め具固定溝が形成され、該止め具固定溝に前記シートカバーを固定する止め具が挿入されている際には、シートカバー30の止め具50が該発泡粒子成形体11に形成された止め具固定溝40から外れ易くなるおそれがある。かかる観点から、空隙率の所定の範囲の上限は、20体積%以下であることが好ましく、19体積%以下であることがより好ましい。
なお、上記発泡粒子成形体11の空隙率は、発泡粒子成形体の外形寸法から求められる体積H(cm3)と、発泡粒子成形体の空隙部を除いた体積I(cm3)から、下記(式1)により体積比率として算出する。

空隙率(体積%)=[(H−I)/H]×100 ・・・(式1)

具体的には、以下のとおり測定することができる。
成形収縮が収まった後の発泡粒子成形体から、測定対象箇所を無作為に10箇所以上選択し、各測定対象箇所から体積50cm3以上の直方体(例えば、25mm×25mm×100mmの寸法を有する直方体)形状のスキン面を有しないカットサンプルを切り出す。該カットサンプルのそれぞれについて、カットサンプル外形寸法から体積H(cm3)を算出するとともに、カットサンプルの空隙部を除いた体積I(cm3)を測定する。体積Iは、カットサンプルをアルコール中に沈めた時の、体積の増量分の値として求めることができる。このとき、アルコールとしては、例えばエタノールなどを用いることができる。そして、体積Hの値と体積Iの値に基づき、上記(式1)により空隙率を体積比率として算出する(体積%)。それぞれのカットサンプルについて算出された空隙率の値を算術平均し、それを空隙率とする。
前記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の表面の空隙には上記ポリウレタンフォームの一部が入り込んで固化しており、前記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の上面から3mmの深さに沿った、熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の断面における、ポリウレタンフォーム部分の面積割合(以下、含浸割合αともいう)は5〜20%であることが好ましい。本発明の車両用シート芯材は、上記要件を満たすことにより、ポリウレタンフォームを積層する際に含浸されすぎることなく、適度なウレタンの接着性が維持され得る。上記観点から、含浸割合αの上限は、18%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、13%以下であることが更に好ましい。なお、上記の含浸割合は、後述する特定の発泡粒子を用いて型内成形してなる発泡粒子成形体を用いることが好ましい。
上記測定は、図8(b)に示すように、熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の上面から3mmの深さに沿った、発泡粒子成形体の表面から垂直に深さ方向にカッターなどを用いて切断し、その断面における断面写真(図8(a)参照)から、ポリウレタンフォームが存在する部分の面積を測定することによって、算出することができる。なお、測定においては、表面が平坦な部分について測定することが好ましい。測定箇所に凹凸がある場合には、切断面の投影面積を測定する。
上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の上面から3mmの深さに沿った切断面における、空隙1個あたりの面積割合βが、0.4%以下であることが好ましい。なお、ここで、空隙とは、発泡粒子の貫通孔部分と発泡粒子間の間隙部分をいう。上記範囲内であれば、空隙1個あたりの面積が小さいので、ポリウレタンフォームが含浸されすぎることがなく、且つ、適度な接着性を併せ持つものとなる。上記観点から、面積割合βは、0.3%以下であることが好ましく、0.2%以下であることがより好ましい。なお、その下限は概ね0.05%である。上記要件を満足する発泡粒子成形体は後述する特定の発泡粒子を用いて型内成形してなる発泡粒子成形体を用いることが好ましい。
また、前記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の上面から3mmの深さに沿った断面における、空隙1個あたりの面積γ(mm2)は、4mm2以下であることが好ましい。上記範囲内であれば、空隙1個あたりの面積が小さいので、ポリウレタンフォームが含浸されすぎることがなく、且つ、適度な接着性を併せ持つものとなる。上記観点から、面積γは、3.5mm2以下が好ましく、3.0mm2以下が更に好ましい。
なお、上記空隙1個あたりの面積割合βおよび面積γの測定は、上記含浸割合αを測定するときと同様にして、熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の断面写真を測定し、その断面写真において、ポリウレタンフォームが含浸されている部分と、ポリウレタンフォームが含浸されていない空隙部分の面積との和を算出する。なお発泡粒子の貫通孔部分と発泡粒子間の間隙部分が合算されている。その後、該和を写真中の空隙の数で除することで、上記面積γ、面積割合βを平均値として算出できる。
また、本発明においては、上記発泡粒子成形体11の10%圧縮時の圧縮応力(以下、「10%圧縮応力S」ともいう)が0.1MPa以上であることが好ましい。成形体表面から発泡粒子が欠ける場合、止め具などの圧縮物によって局所的に成形体表面の発泡粒子が圧縮されると、その部分が凹んで、周囲の発泡粒子との間で止め具などが引っ掛かりやすくなり、その結果、成形体表面から発泡粒子が欠け易くなると考えられる。上記範囲であれば、成形体表面に位置する発泡粒子の周面部分が表面に露出している場合であっても、局所的な圧縮に耐えうるものとなり、成形体表面から発泡粒子が欠けることが防止される。
さらに、前記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の底面の周縁に止め具固定溝が形成され、該止め具固定溝に前記シートカバーを固定する止め具が挿入され、止め具50に外力がかかる際には、止め具50によって止め具固定溝40の壁面に局所的に外力がかかり、止め具固定溝40の壁面を構成する発泡粒子が潰されてしまう場合がある。圧縮応力が上記範囲内であれば、貫通孔を有する発泡粒子60から前記壁面が構成されていても、貫通孔部分が極度に潰されてしまうことが防止されるので、十分に止め具50を固定することができる。また、かかる観点から、上記発泡粒子成形体11の10%圧縮応力は、0.1MPa以上0.3MPa以下であることが好ましい。
また、本発明においては、上記発泡粒子成形体11の引張強さTが0.2MPa以上であることが好ましい。上記範囲であれは、発泡粒子同士の融着性に優れるので、成形体表面に位置する発泡粒子が欠けにくくなる。さらには、前記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の底面の周縁に止め具固定溝が形成され、該止め具固定溝に前記シートカバーを固定する止め具が挿入され止め具50に外力がかかる際には、止め具50によって発泡粒子成形体の表面である止め具固定溝40の壁面を構成する発泡粒子が壁面から外れて欠けてしまう場合がある。壁面を構成する発泡粒子が欠けてしまった場合には、止め具50を固定することが不十分となるおそれがある。前記引張強さが上記範囲内であれば、発泡粒子同士が十分に融着しており、発泡粒子の欠けが防止されるので、止め具50を溝40内に十分に固定することができる。また、かかる観点から、上記発泡粒子成形体11の引張強さは、0.2MPa以上4MPa以下であることが好ましく、0.25MPa以上2Mpa以下であることがより好ましい。
また、上記発泡粒子成形体11の圧縮弾性率は、1.9MPa以上5MPa以下であることが好ましい。これは、圧縮弾性率が前記数値範囲にあると、底面の周縁に形成された止め具固定溝40に、シートカバー30の止め具50を差し入れて固定した際に、止め具50が動いた場合であっても十分に固定することができる。かかる観点から、前記発泡粒子成形体11の圧縮弾性率は、2MPa以上4MPa以下であることがより好ましい。
なお、上記発泡粒子成形体11の引張強さは、JIS K6767(1999)に基づいて、測定された値を採用することができる。具体的には、ダンベル様の形状を備えた発泡粒子成形体の試験片を、クランプ間距離が90mmとなるように引張試験機に取付け、引張速度毎分約500mmで荷重を加え、試験片が破断した時の荷重を測定し、得られた測定値から引張強さを算出することができる。また、上記発泡粒子成形体11の10%圧縮応力、圧縮弾性率は、発泡粒子成形体から縦50mm、横50mm、厚み50mmの試験片を切出し、該試験片を用いてJIS K 6767(1999年)に準じて圧縮試験を行うことによって得られる。なお、サンプル厚みが50mm以下の場合には、複数のサンプルを積み重ねて測定することができる。
さらに、強度および耐衝撃性に優れるとともに、適度な弾性を備えるという観点とからは、発泡粒子成形体11の成形体密度は、20kg/m3以上40kg/m3以下であることが好ましい。特に、止め具50の固定性の観点からは、25kg/m3以上35kg/m3以下であることがより好ましい。なお、異なる成形体密度を有する発泡粒子成形体を複数組み合わせて、一つの発泡粒子成形体11とすることもできる。この場合には、異なる成形体密度を有する発泡粒子成形体11のそれぞれの成形体密度が上記の数値範囲内にあればよい。
なお、上記発泡粒子成形体11の成形体密度の測定方法は、次のように測定することができる。
発泡粒子成形体11から任意に選択された5か所以上において、所定寸法のカットサンプルを切り出し、そのカットサンプルの体積V(cm3)を外径寸法から算出するとともに、カットサンプルの重量M(g)を測定する。そして、カットサンプルの体積V(cm3)でカットサンプルの重量M(g)を除することによりM/Vを算出する。カットサンプルごとに算出されたM/Vの値を算術平均し、発泡粒子成形体11の成形体密度とすることができる。
次に、本発明において、上記発泡粒子成形体11の形成に用いる貫通孔を有する発泡粒子60について詳述する。
発泡粒子60を構成する熱可塑性樹脂としては、例えばポリスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などが挙げられる。また、当該樹脂として、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との複合樹脂、上記の樹脂の2種以上の混合物などを用いることもできる。
発泡粒子60を構成する熱可塑性樹脂(即ち、発泡粒子成形体11を構成する熱可塑性樹脂)としては、ポリオレフィン系樹脂やポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂との複合樹脂がより好ましい。上記ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂が好ましく、中でも強度や耐衝撃性の観点からは、ポリプロピレン系樹脂がより好ましい。
また、ポリプロピレン系樹脂としては、曲げ弾性率が800〜1800MPaであることが好ましく、950〜1600MPaであることがより好ましく、1100〜1500MPaであることが更に好ましい。上記範囲内であれば、貫通孔を有する発泡粒子であっても、局所的な圧縮に耐え得るので、発泡粒子成形体表面の欠けを抑制することができる。上記樹脂の曲げ弾性率は、JIS K 7171(2008)に基づき、射出成形にて試験片(試験片寸法;長さ80mm、幅10mm、厚さ4mm)を作製して、求めることができる。なお、多層構造の発泡粒子である場合には、芯層を構成する樹脂が上記範囲を満足すればよい。
ポリプロピレン系樹脂などの結晶性樹脂を含む発泡粒子60から構成される発泡粒子成形体11は、非晶性樹脂を用いた場合に比べ、収縮率がより大きくなる。特に、貫通孔を有する発泡粒子60が用いられ、上記した所定の空隙率を有する発泡粒子成形体11とフレーム部材12とがインサート成形される場合には、発泡粒子成形体11の寸法誤差や反りが良好に抑制される。
また、発泡粒子60は、図3に示すように、貫通孔61を有して形成されている。図示した発泡粒子60は断面円形状の貫通孔61を有して、円筒形状に形成されている。ただし、このことは、発泡粒子60の形状を限定するものではなく、例えば、発泡粒子60は、円柱、楕円柱、角柱などの柱状発泡粒子の柱の上下方向を貫通する筒孔を少なくとも有する形状のものであってもよく、またこれに限定されない。また、前記発泡粒子のかさ密度は、15〜40kg/m3であることが好ましく、20〜30kg/m3であることが更に好ましい。前記かさ密度は、1Lのメスシリンダーを用意し、複合熱可塑性樹脂発泡粒子をメスシリンダーの1Lの標線まで充填する。そして、1Lあたりの熱可塑性樹脂発泡粒子の重量を測定し、単位換算することによりかさ密度(kg/m3)を算出することができる。
発泡粒子60の貫通孔61の直径である平均孔径dは、1mm以上3mm以下であることが好ましい。貫通孔61の平均孔径dが上記範囲内であれば、発泡粒子成形体11の空隙を所定の範囲に容易に調整することができる。かかる観点から、貫通孔61の平均孔径dは、1.5mm以上2.5mm以下の範囲にあることがより好ましい。
なお、貫通孔61の平均孔径dは、発泡粒子の断面写真(貫通孔に直交する断面)において観察される50個以上の発泡粒子60の貫通孔61の断面積を測定し、断面積を円の面積とした時の直径に換算してこれらの算術平均から求めることができる。
また、発泡粒子60の平均肉厚tは、0.8〜2mmであることが好ましい。本発明の発泡粒子成形体11に用いられる発泡粒子が上記範囲内であれば、発泡粒子の肉厚が厚いので、外力に対して発泡粒子が潰れ難くなり、成形体表面に位置する発泡粒子が欠けにくくなる。また、ポリウレタンフォーム積層時には、適度な含浸性を有するものとなる。さらに、発泡粒子の平均肉厚が厚い場合には、成形時の2次発泡力が高くなる傾向にあるので、得られる発泡粒子成形体11の表面を構成する発泡粒子同士の融着性が特に向上するので、より成形体表面の欠けが防止される。また、止め具固定溝40の壁面を構成する発泡粒子が欠け難くなるので、さらに止め具50の固定が良好となる。上記観点から、発泡粒子60の平均肉厚tは、0.9〜1.5mmであることがより好ましい。
なお、発泡粒子60の平均肉厚tは、図3における、発泡粒子の表面から貫通孔の外径までの厚みをいい、例えば、発泡粒子の断面写真(貫通孔に直交する断面)において、発泡粒子表面から貫通孔の中心に向けて直線を引き、発泡粒子表面から発泡粒子の貫通孔壁部分までの直線の長さを測定する。上記のようにして観察される複数の発泡粒子の肉厚を、1つの発泡粒子につき均等に4箇所以上、合計50個以上の発泡粒子の算術平均として求めることができる。
また、上記発泡粒子60の貫通孔61の平均孔径dに対する発泡粒子60の平均肉厚tの比t/dは、0.4〜1であることが好ましく、0.6〜0.9であることがより好ましい。本発明の発泡粒子成形体11に用いられる発泡粒子が上記範囲内であれば、発泡粒子の貫通孔の貫通方向と、貫通孔に垂直な方向との圧縮特性において、両者の差が小さくなるので、止め具50の固定がさらに良好なものとなる。
発泡粒子60の平均外径Dは、1.5〜7mmであることが好ましい。上記範囲内であれば、良好な成形体を得ることができる。上記観点から、発泡粒子の平均外径Dは、2〜6mmであることがより好ましい。なお、発泡粒子の平均外径Dは、発泡粒子60の貫通孔に垂直な断面における断面積(発泡粒子の孔部分を含む)を円換算した場合の直径であり、合計50個以上の発泡粒子の算術平均として求めることができる。
また、発泡粒子の平均長さLは、2〜7mmであることが好ましい。発泡粒子の平均長さLは、発泡粒子の貫通孔の貫通方向の長さをいい、1つの発泡粒子につき均等に4箇所以上、合計50個以上の発泡粒子の算術平均として求めることができる。
また、発泡粒子60の平均外径Dに対する平均長さLの比L/Dは、成形性の観点から、0.5〜2であることが好ましく、1〜1.5であることがより好ましい。
なお、上記発泡粒子60の測定方法と同様にして、成形体11を形成している発泡粒子部分の、貫通孔の孔径d、外径D、肉厚tなどを測定することもできる。この場合には、成形体表面に露出した部分の発泡粒子の貫通孔部分などについて、ノギスなどを用いて直接測定することができる。
また、発泡粒子1個あたりの、発泡粒子60の貫通孔の貫通方向に垂直な方向への10%圧縮時の圧縮荷重Aが0.5N以上であることが好ましい。本発明に用いられる発泡粒子60は、貫通孔の貫通方向に垂直な方向への圧縮特性に優れるので、発泡粒子成形体の表面において、発泡粒子の周面部分64が露出した場合(図7(a)参照)であっても、局所的な圧縮に耐えることができ、成形体表面に位置する発泡粒子の欠けが防止される。なお、図7は、成形体の最表面をインク等によって黒着色して、成形体表面に位置する発泡粒子の向きを強調して現した図である。この図7により、成形体11の表面に位置する発泡粒子60には、貫通孔断面部分65が露出したものか、周面部分64が露出したものが存在していることが分かる。なお、最表面の部分のみを黒着色しているので、白色部分のボイドが強調されて現されているが、隣接する発泡粒子60同士は融着して成形体表面は構成されている。
また、局所的な圧縮特性が優れる発泡粒子であれば、貫通孔を有する発泡粒子でも比較的肉厚であるので、ポリウレタンフォームの含浸性において、ポリウレタンフォームが適度に含浸されポリウレタンフォームの密度管理が容易となり、良好な接着性を有するものとなる。さらに、止め具固定溝40の壁面において、発泡粒子の周面部分64が壁面の表面に露出した場合であっても、止め具50が外力によってズレたときでも局所的な圧縮に耐えて、十分に止め具50を保持することができる。上記観点から、発泡粒子1個あたりの、発泡粒子60の貫通孔の貫通方向に垂直な方向への10%圧縮時の圧縮荷重Aは、好ましくは0.6N以上、更に好ましくは0.7N以上である。なお、10%圧縮時圧縮荷重Aの上限は、概ね2Nである。
また、発泡粒子1個あたりの、発泡粒子60の貫通孔の貫通方向への10%圧縮時の圧縮荷重Bが1N以上であることが好ましいく、1.2N以上であることがより好ましい。これにより、本発明に用いられる発泡粒子60は、止め具固定溝40を形成している溝壁面における発泡粒子においても止め具50の動きに抵抗することがより可能となる。
特に、本発明に用いられる発泡粒子60は、上記発泡粒子の貫通孔の貫通方向に垂直な方向への10%圧縮時の圧縮荷重Aに対する貫通孔の貫通方向への10%圧縮時の圧縮荷重Bの比B/Aが1〜3であることが好ましい。貫通孔を有する発泡粒子成形体においては、発泡粒子成形体の表面を形成する際に、発泡粒子が配置される方向によって、局所的な強度が大きく異なる場合がある。すなわち、発泡粒子が金型内に充填され型内成形される際には、発泡粒子成形体の表面に、貫通孔部分65が現れるか、または周面部分64が現れることになる(図7参照)。表面にどちらの部分が現れるかはランダムに配置されると考えられるが、周面部分64が表面に現れる場合には、局所的な圧縮特性は低下すると考えられる。しかし、上記範囲内である場合には、発泡粒子の配置方向が異なっていたとしても、発泡粒子の方向性による圧縮特性の差が小さいことから、局所的な圧縮物性が向上したものとなり、発泡粒子成形体表面を構成する発泡粒子の欠けが防止される。また、発泡粒子の圧縮比のバランスに優れていれば、発泡粒子の貫通孔が大きすぎることがなく、ウレタン含浸圧にも耐えて、ポリウレタンフォームが適度に含浸されて、より良好な接着性を有するものとなる。さらに、止め具50の固定に際して、止め具固定溝40内において止め具50のズレが効果的に防止される。上記観点から、発泡粒子の圧縮荷重比B/Aは、1.1〜2であることがより好ましい。
なお、発泡粒子1個あたりの発泡粒子60の10%圧縮時の圧縮荷重は、試験サンプルとして発泡粒子1個について、試験速度1mm/minとし、JIS K 6767(1999年)に準じて圧縮試験を行うことによって得られる。なお、測定の際、発泡粒子を平面板に載置する方向を変えることで、圧縮荷重A、圧縮荷重Bのそれぞれを測定することができ、発泡粒子20個の平均値として得られる。
発泡粒子60は、外表面から内表面まで一層で構成されていてもよいが、これに限定されず、多層構造であってもよい。多層構造である多層発泡粒子60Aの各層を構成する樹脂は、同種の樹脂であってもよいし、異なる樹脂であってもよい。例えば図3(b)に示す多層発泡粒子60Aのように、筒状であって外表面から内表面に亘り二層構造とすることもできる。
図3(b)に示すように、貫通孔61を有する多層発泡粒子60Aは、筒状のポリプロピレン系樹脂発泡芯層62(以下、単に「芯層62」ともいう)と、芯層62を被覆するポリオレフィン系樹脂被覆層63(以下、単に「被覆層63」ともいう)とを有する多層構造を有するものであることが好ましい。図示する多層発泡粒子60Aは、二層構造であるが、芯層62と被覆層63との間に任意の中間層がさらに設けられていてもよい。
多層発泡粒子60Aは、芯層62が発泡樹脂よりなる発泡層であるのに対し、被覆層63は実質的に非発泡の樹脂層であってもよい。ここで、実質的にとは、被覆層63に気泡が全く存在しないもの(発泡粒子を発泡させる際に一旦形成された気泡が溶融破壊されて気泡が消滅したものも包含する)のみならず、得られる発泡粒子成形体11の機械的強度に影響しない範囲で、ごく微小な気泡が僅かに存在するものも包含される。また、被覆層63を構成する樹脂は熱可塑性樹脂であれば特に限定されず、例えば物性を同じくする樹脂であってもよいが、融点の異なる樹脂であることが好ましい。特に、多層発泡粒子60Aの被覆層63を構成する樹脂は、芯層62を構成する樹脂よりも低融点の樹脂であることが好適である。被覆層63の基材樹脂は、上述した単層の発泡粒子60と同様の樹脂を用いることができる。中でも、芯層62をポリプロピレン系樹脂、被覆層63をポリプロピレン系樹脂またはポリエチレン系樹脂とすることがより好ましい。
発泡粒子成形体11に用いられる発泡粒子の一部または全部が芯層62と、芯層62を被覆する被覆層63とを有する多層発泡粒子60Aであって、被覆層63を構成する樹脂の融点が、芯層62を構成する樹脂の融点よりも低い態様は、本発明の好ましい態様の一つである。かかる態様によれば、発泡粒子成形体11の型内成形時、芯層62よりも先に被覆層63を融解せしめ、貫通孔61による空隙を維持しつつ、多層発泡粒子60A同士(または多層発泡粒子60Aと発泡粒子60)をより確実に融着させて発泡粒子成形体11を成形することができる。そのため、成形体表面における発泡粒子同士の融着性が向上するので、発泡粒子表面に位置する発泡粒子が欠け難くなる。特に、止め具固定溝40の壁面を構成する発泡粒子において、止め具が動いても壁面を構成する発泡粒子が欠け難くなり、止め具50が止め具固定溝40からより外れ難くなる。
本発明においては、貫通孔を有する発泡粒子として、上記多層構造を有し、且つ肉厚の厚い発泡粒子を用いることが好ましい。貫通孔を有する発泡粒子60の厚肉化による2次発泡力の向上効果によって、得られる発泡粒子成形体11の融着性を向上させることができる。また、発泡粒子の貫通孔部分における肉厚が厚く、隣接する発泡粒子と融着する部分が増えることから、発泡粒子成形体の表面に存在する発泡粒子の融着性が向上する。さらに上記多層発泡粒子60Aを用いることによっても発泡粒子自体の融着性を向上させることができる。その結果、発泡粒子成形体表面に位置する発泡粒子が外力によって欠けることが防止される。さらに、上述した特定の引張強さと圧縮弾性率を満足する発泡粒子成形体11となり、止め具50を固定することができる耐久性を発揮しうるものとなる。
本発明に用いられる貫通孔を有する発泡粒子60は、例えば、以下の通り製造することができる。
まず、基材樹脂となるポリプロピレン系樹脂を押出機で溶融混練した後、ストランド状に押し出して、冷却後適宜長さに切断するか、あるいは適宜長さに切断後冷却するなどの方法によって樹脂粒子を製造する。この際、ダイとして押出機ダイの溶融樹脂出口に所望の筒状の熱可塑性樹脂粒子の断面形状と同様のスリットを有するものを選択することや、筒形を維持するために、スリットの内側に筒形ストランド穴部の圧力を常圧もしくはそれ以上に保つための圧力調整孔を設けたものなどを使用することにより、貫通孔を有する発泡粒子を製造することができる。
次に、樹脂粒子を密閉容器内に発泡剤の存在下で分散媒に分散させて、樹脂粒子の軟化温度以上の温度に加熱して樹脂粒子内に発泡剤を含浸させる。その後、容器を開放し、容器内圧力を発泡剤の蒸気圧以上の圧力に保持しながら樹脂粒子と分散媒とを同時に容器内よりも低圧の雰囲気下(通常は大気圧下)に放出して熱可塑性樹脂粒子を発泡させることで、貫通孔を有する発泡粒子60を得ることができる。
また、多層発泡粒子60Aは、例えば以下のとおり製造することができる。
なお、ここでは、ポリプロピレン系樹脂で構成される発泡した芯層62と、その芯層62を構成するポリプロピレン系樹脂の融点Tc(℃)より低い融点Ts(℃)のポリプロピレン系樹脂で構成される非発泡状態の被覆層63とを備える多層発泡粒子60Aの製造方法を例に説明する。
まず、非発泡状態の芯層と、非発泡状態の被覆層を備える多層樹脂粒子を以下のとおり製造する。
芯層形成用押出機と被覆層形成用押出機の2台の押出機を共押出ダイに連結し、芯層形成用押出機には、芯層形成用のポリプロピレン系樹脂と、必要に応じて添加される添加剤とを供給して溶融混練する。一方の被覆層形成用押出機には、被覆層形成用のポリプロピレン系樹脂と、必要に応じて添加される添加剤とを供給して溶融混練する。さらに、それぞれの溶融混練物を上記共押出ダイ内で合流させ、非発泡状態の筒状の芯層と、芯層の外側表面を被覆する非発泡状態の被覆層とからなる鞘芯型の複合体を形成する。そして、押出機先端に付設された口金の細孔から該複合体を押出し、所定の重量となるように切断することにより、筒状のポリプロピレン系樹脂からなる芯層とこれを被覆するポリプロピレン系樹脂からなる被覆層とからなる貫通孔を有する多層樹脂粒子を得ることができる。
次に、上述のとおり得た多層樹脂粒子をオートクレーブなどの密閉容器内において分散媒に分散させ、芯層を構成するポリプロピレン系樹脂の軟化温度以上の温度で加熱し、発泡剤を圧入して多層樹脂粒子に発泡剤を含浸させる。そして密閉容器内の圧力を発泡剤の蒸気圧以上の圧力に保持しながら密閉容器内の一端を開放し、多層樹脂粒子と分散媒とを同時に容器内よりも低圧の雰囲気下に放出する。このとき、多層樹脂粒子が発泡する。発泡により、少なくとも芯層が発泡状態となって発泡芯層(芯層62)をなす。こうして、多層発泡粒子60Aを得ることができる。なお、分散媒放出発泡方法においては、通常、分散媒として水系媒体が使用される。
上記分散媒放出発泡方法では、容器内で加熱された多層発泡粒子60A同士が互いに融着しないように、分散媒体中に分散剤を添加することが好ましい。分散剤は、多層発泡粒子60Aの100質量部当り、たとえば0.001質量部以上5質量部以下の範囲で使用されることが好ましい。
上記発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの環式脂肪族炭化水素類、クロロフロロメタン、トリフロロメタン、1,2−ジフロロエタン、1,2,2,2−テトラフロロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド、メチレンクロライドなどのハロゲン化炭化水素などの有機系物理発泡剤や、窒素、酸素、空気、二酸化炭素、水といったいわゆる無機系物理発泡剤が例示される。また有機系物理発泡剤と無機系物理発泡剤を併用することもできる。こうした各種物理発泡剤の中でも、窒素、酸素、空気、二酸化炭素、水からなる群から選択される1または2以上の無機系物理発泡剤を主成分とするものが好適である。分散媒放出発泡方法における発泡剤の容器内への充填量は、使用する発泡剤の種類と発泡温度と得ようとする発泡粒子の見かけ密度に応じて適宜選択される。具体的には、例えば発泡剤として二酸化炭素を使用し、分散媒体として水を使用した場合、発泡開始直前の安定した状態にある密閉容器内の圧力、すなわち密閉容器内空間部の圧力(ゲージ圧)が、0.6MPa(G)以上6MPa(G)以下となるようにすることが好ましい。
次に、フレーム部材12について説明する。フレーム部材12は上記した発泡粒子成形体11の内部に埋め込まれ、発泡粒子成形体11を補強し、また各種止め具を支持するものである。フレーム部材12は、例えば図5に示すように、外形フレーム部12Aと、中央フレーム部12Bとを備え、外形フレーム部12Aの適所に後方掛け止め具12Cおよび前方掛け止め具12Dが溶接されて支持されている。
フレーム部材12は、例えば鉄、アルミニウム、もしくは銅などの金属部材、樹脂部材、またはセラミックスなどの部材よりなるものが一般的である。中でも、耐久性、強度、および発泡粒子成形体11の成型時における熱に対する耐熱性などの観点から、フレーム部材12は、金属部材を含むものが好ましく、実質的に金属部材よりなるものがより好ましい。上記金属部材としては特に鋼材が好ましい。フレーム部材12は、これらの部材を溶接や曲げ加工することにより形成することができる。
フレーム部材12は、直径2mm以上8mm以下の長尺部材から構成されることが好ましく、3mm以上7mm以下であることがより好ましく、3.5mm以上6mm以下であることが特に好ましい。また上記長尺部材の引張強さは、200N/mm2以上であることが好ましい。芯材10の強度を向上させるという観点からは、上記引張強さは250N/mm2以上1300N/mm2以下であることがより好ましい。また、長尺部材の降伏点は、400N/mm2以上であることが好ましく、440N/mm2以上であることがより好ましい。上記直径および引張強度を有する長尺部材は、所定の形状に成形し易く、また芯材10の適度な強度および軽量性を保つことが可能である。
なお、上記長尺部材の引張強さは、JIS G3532 SWM−Bに示される測定方法に準じて測定することができる。
上記フレーム部材12を上記発泡粒子成形体11の内部に配置するためには、インサート成形が採用され、発泡粒子成形体11とフレーム部材12が一体成形されることが好ましい。
特に、フレーム部材の一部を発泡粒子成形体に埋め込むようにして取り付けた芯材の作製にあたり、発泡粒子成形体を成形するための金型内にフレーム部材を配置した状態で発泡粒子を金型に充填して発泡成形する製法(以下、「インサート成形」ともいう)によれば、発泡粒子成形体とフレーム部材との一体性を高めることができるものの、発泡粒子成形体とフレーム部材との収縮率の違いにより、成形後に芯材が湾曲して寸法誤差や反りが生じ易くなるおそれがある。
上記構成を有する芯材10は、貫通孔を有する発泡粒子60(多層発泡粒子60Aも含む概念)の使用により、発泡粒子成形体11の機械的強度を損なうことなく成形体全体にわたって所定範囲の空隙を設けることができ、かかる空隙の存在により、発泡粒子成形体11の成形収縮による芯材10の湾曲が抑制され、芯材10の寸法精度が改善されたものとなる。
なお、上記芯材10は、芯材10の強度や車体への固定の観点から、環状フレーム部材12を有することが好ましい。環状フレーム部材12は、発泡粒子成形体11の平面視における外縁に沿って埋設されていることが好ましい。
また、上記芯材10の発泡粒子成形体11は、貫通孔を有する発泡粒子60からなり、成形収縮による不等収縮を緩和するために形成されたスリット(図示せず)を有することが好ましい。発泡粒子成形体が貫通孔を有する発泡粒子の融着体であるため、成形後の発泡粒子成形体の収縮力が小さく、さらにスリットが形成されることで発泡粒子成形体の収縮力が分断される。そのため、成形による反りが防止され、寸法精度に優れたものとなる。また、前記スリットは、発泡粒子成形体11にフレーム部材12が埋設されていることに起因する発泡粒子成形体の成形収縮時の不等収縮を緩和するために形成される。上記スリットの形状や形成箇所は、成形収縮による不当収縮を緩和することができれば限定されるものではなく、種々の形態に形成することができる。
なお、発泡粒子成形体11に形成するスリットは、成形装置により形成した発泡粒子成形体を成形型から取り出してから反りが発生するまでに、できる限り速やかに形成する必要がある。そのため、成形型から取り出してから予め設定した場所及び深さでカッターや熱線などにより切りこみを入れることができる。また、スリットの形成は、前記切り込み等の他、予め金型内にスリットを形成するための突条を形成させておいてもよい。また、形成されるスリットの幅は0.1〜20mmであることが好ましく、0.2から10mmであることがより好ましい。
上記発泡粒子成形体11とフレーム部材12との一体成形物である芯材10は、例えば以下のとおり製造される。
まず、芯材成形用の金型内の所定の位置に、フレーム部材12を配置するとともに、貫通孔を有する発泡粒子60を当該金型内に充填する。続いて、加熱スチームを金型内に導入して貫通孔を有する発泡粒子60を加熱して二次発泡させ、発泡粒子60を相互に融着させてフレーム部材12を埋設する発泡粒子成形体11を成形することで製造される。このように製造された芯材10は、発泡粒子成形体11とフレーム部材12との一体成形物であり、両者の一体性に優れるものとなる。
本発明の車両用シート部材100は、上記した芯材10の上面を覆うポリウレタンフォーム20が、芯材10を構成する発泡粒子成形体11の空隙にその一部が入り込んで固化している。なお、上記ポリウレタンフォームとしては、クッション材として作用する軟質ポリウレタンフォームであることが好ましい。
かかる構造を実現する手段としては、ポリウレタンフォーム積層用の成形型内にて、芯材10を構成する発泡粒子成形体11の上に、液状のポリウレタンフォーム用原料を供給する。このとき、ポリウレタンフォーム用原料を発泡粒子成形体11上に供給した際に空隙内に入り込んでいるポリウレタンフォーム用原料が発泡することにより、あるいは、ポリウレタンフォーム用原料の発泡時の圧力でポリウレタンフォームの一部が空隙内に押し込まれることにより、空隙部内にポリウレタンフォームの一部が入り込んで固化した状態となる。
なお、上記液状のポリウレタンフォーム用原料は、公知の材料を適宜使用することができ、ポリウレタンと各種の発泡剤などを含むことができる。また、液状のポリウレタンフォーム用原料の量なども所望のポリウレタンフォームの密度にあわせて適宜設定することができる。また、ポリウレタンフォーム用原料を発泡させるための条件も、適宜設定することができる。
車両用シート部材100は、ポリウレタンフォーム20により硬質な芯材10の上面が覆われていることによりクッション性を有し、軽量な素材からなる下方の芯材10を有することにより、強度や剛性に優れるものとなる。さらに、ポリウレタンフォーム20の一部が芯材10を構成する発泡粒子成形体11の空隙に入り込んで固化一体化しており、ポリウレタンフォーム20と芯材10が強固に接合しているので両者の剥離が抑制されるものとなる。
本発明においては、上記した発泡粒子成形体からなる芯材10の底面の周縁適所に止め具固定溝40が形成され、該止め具固定溝40にシートカバー30の止め具50が挿入され、シートカバー30が上記ポリウレタンフォーム20の外面側を被覆する状態で芯材10に固定される。
シートカバー30としては、特に限定されるものではないが、編物、織物、不織布などの繊維構造体であってもよく、人工皮革、合成皮革、天然皮革などのレザー外観構造体などであってもよい。また、止め具50は、例えば鉄、アルミニウム、もしくは銅などの金属製、樹脂製などを使用することができ、中でも、軽量で成形し易いことから樹脂製のものが好ましく用いられる。
止め具50は、上記シートカバー30が固定されるように形成されていれば特に形状の限定はないが、図6に示すように、止め具固定溝40に差し込まれる矢じり部51と、シートカバー30を押え込む押圧部52とを有するものであることが好ましく、矢じり部51の先端部には、止め具固定溝40の内部に差し込んだ際に溝の壁面に食い込むように形成された複数の突起53を備えるものであることが好ましい。矢じり部51の高さHは10〜50mmであることが好ましく、15〜30mmであることがより好ましい。また、押圧部52の幅Wは20〜40mmであることが好ましく、25〜30mmであることがより好ましい。止め具50の長さLは20〜500mmであることが好ましく、30〜400mmであることがより好ましい。
止め具固定溝40は、発泡粒子成形体11の底面周縁に形成され、シートカバー30の固定箇所に応じて形成される。止め具固定溝40は、上記した止め具50に合わせて溝深さや溝幅が決められるが、抜去力の観点からは、おおむね、溝深さ10〜50mm、溝幅3〜10mmのものが好ましい。また、止め具固定溝40の形成箇所は、発泡粒子成形体11の底面周縁端から10〜100mmの位置に作製することが好ましい。さらに、止め具50の抜去力を向上させるためには、止め具固定溝40は切削加工でなく型内成形によって発泡粒子成形体11に形成されていることが好ましい。
なお、止め具固定溝40の幅は、止め具50の矢じり部51の全幅よりも小さいことが好ましく、止め具50の矢じり部51の全幅に対して70〜95%であることが好ましく、80〜90%であることがより好ましい。
本発明に係る車両用シート部材100によれば、貫通孔を有する発泡粒子60からなる発泡粒子成形体11で構成されているにもかかわらず、特定の空隙率および特定の引張り強さなどの性状を満足する発泡粒子成形体11を用いることによって、該発泡粒子成形体表面における欠けが防止されると共に、ポリウレタンフォーム積層時の適度な含浸性を有するものとなる。さらに、該発泡粒子成形体11に形成された止め具固定溝40に止め具50を差し入れて固定した際に、十分に止め具50を固定することができる。したがって、シートカバー30の固定性能に優れるものとなる。
なお、熱可塑性樹脂発泡粒子成形体からなる芯材と、前記芯材の上面に設けられたポリウレタンフォームと、前記ポリウレタンフォームを覆うシートカバーとを備える車両用シート部材は、その一例として、貫通孔を有し、前記貫通孔の貫通方向に垂直な方向への10%圧縮時の圧縮荷重Aが0.5N以上である発泡粒子であり、前記発泡粒子は曲げ弾性率が900MPa以上のプロピレン系樹脂からなり、前記発泡粒子を型内成形して前記発泡粒子同士を融着させて、外部と連通する空隙を有し、空隙率が10体積%以上25体積%未満であり、成形体密度が20〜40kg/m3である熱可塑性樹脂発泡粒子成形体を形成し、前記ポリウレタンフォームを前記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体からなる芯材に積層した後、前記ポリウレタンフォームをシートカバーで覆う製造方法により得られる。
貫通孔を有する発泡粒子を用いた実施例および比較例を、以下のとおり実施した。
実施例に用いる発泡粒子を以下のとおり作製した。
内径65mmの芯層形成用押出機および内径30mmの外側被覆層形成用押出機の出口側に多層ストランド形成用ダイが取付けられた押出機を用い、芯層を形成するためのポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂、融点:142℃、曲げ弾性率1470MPa)、および被覆層を形成するためのポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂、融点:125℃)を、それぞれの押出機に供給し、溶融混練してそれぞれ溶融混練物とした。なお、芯層を構成する樹脂には、気泡調整剤としてホウ酸亜鉛を添加し、芯層を構成する樹脂を基材樹脂としたマスターバッチを調製して芯層形成用押出機に供給した。ホウ酸亜鉛の含有量は、1000質量ppmとなるよう調整した。
上述のとおり得た2種の溶融混練物を、多層ストランド形成用ダイに導入し、ダイ内で合流してダイ先端に取付けた口金の小孔から、円筒形状のストランドとして押出した(非発泡芯層の質量%:被覆層の質量%=95:5)。押出されたストランドを水冷し、ペレタイザーで切断して乾燥して円筒形状の多層樹脂粒子を得た。多層樹脂粒子は、被覆層と非発泡状態の芯層とが積層された構造(鞘芯形状)を有しており、芯層に貫通孔を有する。
上述のとおり調製した多層樹脂粒子800gと分散媒である水3Lとを、容量5Lの密閉容器内に仕込んだ。このとき、多層樹脂粒子100質量部に対し、分散剤としてカオリン0.3質量部、界面活性剤(商品名:ネオゲン(商標)、第一工業製薬株式会社製、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)0.4重量部(有効成分として)、および硫酸アルミニウム0.01重量部を、それぞれ密閉容器内に添加した。次いで、密閉容器内に発泡剤として二酸化炭素(3.4MPa)を圧入し、密閉容器内の内容物を撹拌しながら発泡温度146.5℃より5℃低い温度まで加熱昇温して、その温度を15分間保持して高温ピーク熱量を調整した。
その後、さらに発泡温度まで加熱昇温して再度15分間保持し、平衡蒸気圧を3.6MPaに調整した。しかる後、密閉容器内の内容物を大気圧下に水とともに放出した。このとき芯層は、発泡して発泡芯層をなし、被覆層は、発泡芯層の周面を被覆する被覆層をなした。こうして貫通孔を有する多層発泡粒子(図3(b)参照)を得た。
得られた多層発泡粒子は、かさ密度30.0kg/m3、平均粒子重量1.5mg、貫通孔の平均孔径1.4mm、平均肉厚1.1mm、平均t/d=0.8、平均L/D=1.3であった。
[実施例1]
図5に示すフレーム部材12と同様の構成のフレーム部材を、引張強さ(JIS G3532 SWM−B)500N/mm2の鉄製棒状体により作製した。前方側3か所の前方掛け止め具を構成する鉄製棒状体には、直径5mmのものを用い、その他の箇所の鉄製棒状体には、直径4.5mmのものを用いた。なお、フレーム部材を構成する単片の鉄製棒状体の交差箇所は溶接により接合した。
上記フレーム部材を、芯材成形用金型(長手方向1330mm、前後方向600mm、最大厚み225mm)内に設置した。このとき、成形される芯材の後方側に2か所の後方掛け止め具が、前方側に3か所の前方掛け止め具が配置されるとともに、前方外縁部が発泡粒子成形体の底面から20mmの高さに埋設されるようにフレーム部材を配置し、金型を型締めした後、金型内に上述のとおり得た多層発泡粒子を充填し、スチーム加熱して芯材を成形した。なお、成形体の周縁の部分にスリットが形成されるように金型に突条を設けたものを用いた。スチームによる加熱は、両面の型のドレン弁を開放した状態でスチームを4秒間型内に供給して予備加熱(排気工程)を行った後、0.14MPa(G)の成形スチーム圧で一方加熱を行い、さらに0.20MPa(G)の成形スチーム圧で逆方向から一方加熱を行った後、0.24MPa(G)の成形スチーム圧で両面から本加熱を行った。加熱終了後、放圧し、1秒間水冷し、20秒間空冷して芯材を得た。75℃で12時間養生した後、6時間徐冷したものを芯材とした。なお、止め具固定溝は、発泡粒子成形体の底面周縁の一部に、深さ20mm、幅4mmの溝が形成されるように、金型に突条を形成し、型内成形によって止め具固定溝を形成した。
使用した貫通孔を有する発泡粒子、得られた発泡粒子成形体の特性について、表1に実施例1として記載する。
[比較例1]
発泡粒子として、かさ密度25.3kg/m3、平均粒子重量1.5mg、貫通孔の平均孔径2.8mm、平均肉厚0.7mm、平均t/d=0.3、平均L/D=0.9である、多層の、貫通孔を有するポリプロピレン系樹脂発泡粒子(図4参照)を用い、成形条件の一部を下記のとおりにしたこと以外は実施例1と同様の方法で芯材を成形した。なお、ポリプロピレン系樹脂の曲げ弾性率は980MPaである。
比較例1では、スチーム加熱時の成形スチーム圧を、一方加熱:0.16MPa(G)逆一方加熱:0.26MPa(G)、本加熱:0.30MPa(G)とした。また、水冷時間は120秒、空冷時間は10秒とした。使用した発貫通孔を有する発泡粒子、得られた発泡粒子成形体の特性について、表1に比較例1として記載する。
上述のとおり得た実施例1および比較例1(以下、「測定サンプル」ともいう)それぞれについて、止め具固定溝に、図6に示す止め具50を差し入れた後、止め具50を溝に対して垂直方向に引き抜く際にかかる力を抜去力(N)として測定した。なお、引き抜きは各測定サンプルについて2回行った。
その測定結果を表2に実施例1および比較例1として記載する。
また、測定サンプルのそれぞれについて、測定部として、図1に○印で示す複数の箇所(具体的には測定部RH、測定部LH)を選定した。当該測定サンプルにおける測定部と、測定用ゲージにおける当該測定部に対応する箇所との距離の差を反り量として、上面側に反った場合をプラスとして測定した。
その測定結果を表1に実施例1および比較例1として記載する。
なお、貫通孔を有しないポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体において、同様の方法によって成形体を作製した場合には、RH5.0mm、LH5.5mmとなり、貫通孔を有する発泡粒子成形体よりも反り量が大きいものであった。
さらに、ポリウレタンフォーム積層用の成形型内にて、測定サンプルのそれぞれに対して、液状のポリウレタンフォーム用原料を供給して積層させ、液状のポリウレタンフォーム用原料を発泡させて、発泡粒子成形体とポリウレタンフォームとを積層一体化させた部材を作製した。なお、発泡密度を変え、84g/L、93g/Lとした。得られた各部材において、軟質ポリウレタンフォーム用原料が適度に発泡粒子成形体に含浸されていることを確認し、発泡粒子成形体表面からの最大含浸深さを測定した。最大含浸深さの測定は、発泡粒子成形体とポリウレタンフォームとの積層体において、積層部分の長さが10cm以上となるように厚み方向に切断し、その断面において、最大含浸深さを測定した。上記の操作を少なくとも積層体の5箇所において行い、その平均値とした。
なお、ポリウレタンフォームの発泡密度を90±5g/Lとした際には、最大含浸深さは、9mm以下であることが好ましい。
その測定結果を表2に実施例1および比較例1として記載する。
また、発泡密度83g/Lのポリウレタンフォームを積層したサンプルを、熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の上面から3mmの深さに沿った発泡粒子成形体の断面としてカッターなどを用いて切り出し、その断面における断面写真(図8(a)参照)から、ポリウレタンフォームが存在する部分の面積を測定した。同様にして、断面写真から、ポリウレタンフォームが存在しない空隙部分の面積を測定した。写真断面の面積から、それぞれの面積、面積割合を算出した。また、別途断面写真から、空隙部分の数を数え(最大径0.5mm未満の空隙を除く)、空隙1個あたりの面積割合βおよび面積γを算出した。
その測定結果を表3に実施例1および比較例1として記載する。
Figure 0006986386
Figure 0006986386
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本発明に係る車両用シート部材は、各種車両用のクッション材として有効に利用することができる。具体的には、例えば、自動車、二輪車、航空機、電車などの乗物の座席シート、ソファー、イスなど、クッション性が望まれる各種の用途に利用することができる。
10 芯材
11 発泡粒子成形体
12 フレーム部材
12A 外形フレーム部
12B 中央フレーム部
12C 後方掛け止め具
12D 前方掛け止め具
20 ポリウレタンフォーム
30 シートカバー
40 止め具固定溝
50 止め具
51 矢じり部
52 押圧部
53 突起
60 貫通孔を有する発泡粒子
60A 貫通孔を有する多層発泡粒子
61 貫通孔
62 発泡芯層
63 被覆層
64 周面部分
65 貫通孔部分
100:車両用シート部材

Claims (10)

  1. 熱可塑性樹脂発泡粒子成形体からなる芯材と、前記芯材の上面側に設けられたポリウレタンフォームと、前記ポリウレタンフォームを覆うシートカバーとを備える車両用シート部材であって、上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体は、貫通孔を有し、前記貫通孔の平均孔径dが1mm〜3mmであり、平均肉厚tが0.8mm〜2mmであり、前記平均孔径dに対する平均肉厚tの比t/dが0.4〜1である、筒状の熱可塑性樹脂発泡粒子の融着体からなり、前記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体は外部と連通する空隙を有しており、前記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の空隙率が10体積%以上25体積%未満であり、前記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の空隙に上記ポリウレタンフォームの一部が含浸して固化しており、前記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の上面から上面に対して垂直方向に3mmの深さに沿って前記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体を切断した切断面における、ポリウレタンフォーム部分の面積割合が5〜20%であることを特徴とする、車両用シート部材。
  2. 上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の引張強さが0.2MPa以上であり、前記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の10%圧縮時の圧縮応力が0.1MPa以上であることを特徴とする、請求項1に記載の車両用シート部材。
  3. 上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体は、貫通孔の貫通方向に垂直な方向への10%圧縮時の圧縮荷重Aが0.5N以上である、筒状の熱可塑性樹脂発泡粒子を融着させてなることを特徴とする、請求項1または2に記載の車両用シート部材。
  4. 上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体は、貫通孔の貫通方向への10%圧縮時の圧縮荷重Bが1N以上であり、上記圧縮荷重Aに対する前記圧縮荷重Bの比B/Aが1〜3である、筒状の熱可塑性樹脂発泡粒子を融着させてなることを特徴とする、請求項に記載の車両用シート部材。
  5. 上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の成形体密度が20〜40kg/m 3 であり、上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体を構成するプロピレン系樹脂の曲げ弾性率が1200MPa超であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の車両用シート部材。
  6. 上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の底面の周縁に止め具固定溝が形成され、前記止め具固定溝に上記シートカバーを固定する止め具が挿入されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の車両用シート部材。
  7. 上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の周縁部に環状フレーム部材がインサート成形により埋設されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の車両用シート部材。
  8. 上記貫通孔を有する熱可塑性樹脂発泡粒子が、筒状のポリプロピレン系樹脂発泡芯層と、前記発泡芯層を被覆するポリオレフィン系樹脂被覆層とを有する多層発泡粒子であり、前記被覆層を構成する樹脂の融点が前記発泡芯層を構成する樹脂の融点よりも低いことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の車両用シート部材。
  9. 上記貫通孔を有する熱可塑性樹脂発泡粒子の平均長さLが、2〜7mmであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の車両用シート部材。
  10. 上記貫通孔を有する熱可塑性樹脂発泡粒子の平均外径Dが、2〜6mmであり、前記平均外径Dに対する上記平均長さLの比L/Dが、1〜1.5であることを特徴とする、請求項に記載の車両用シート部材。
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