JP2000025536A - 車両用防音材並びに樹脂製品の製造方法 - Google Patents

車両用防音材並びに樹脂製品の製造方法

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JP2000025536A
JP2000025536A JP10195482A JP19548298A JP2000025536A JP 2000025536 A JP2000025536 A JP 2000025536A JP 10195482 A JP10195482 A JP 10195482A JP 19548298 A JP19548298 A JP 19548298A JP 2000025536 A JP2000025536 A JP 2000025536A
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resin
soft layer
vehicle
layer
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JP10195482A
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English (en)
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Akihiko Kozuka
明彦 小塚
Teruhiko Yamaguchi
輝彦 山口
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Kojima Industries Corp
Original Assignee
Kojima Press Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コストの高騰や防音性能の低下を招くことな
く、製作性の向上が効果的に図られ得る車両用防音材
と、それを製造する際に有利に適用され得る樹脂製品の
製造方法とを提供することにある。 【解決手段】 所定の樹脂からなる硬質層12,14と
エラストマからなる軟質層16のそれぞれ少なくとも一
層ずつが一体的に積層形成された複合構造を有するよう
に構成した。そして、そのような構造を実現せしめるた
めに、硬質層を構成する二つの分割体に対応した形状を
有する二つの分割体成形キャビティ内に、樹脂材料をそ
れぞれ充填して、該二つの分割体を成形した後、それら
二つの分割体を互いに対向させて形成される軟質層成形
キャビティ内に、エラストマ材料または発泡性樹脂材料
を導入して、軟質層を成形する一方、該軟質層の表面
に、該二つの分割体からなる前記硬質層を一体的に積層
形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、車両用防音材並びに樹脂製品の
製造方法に係り、特に、製造が容易な車両用防音材の新
規な構造と、そのような車両用防音材を製造するに際し
て、有利に適用され得る樹脂製品の製造方法に関するも
のである。
【0002】
【背景技術】よく知られているように、自動車等の車両
においては、エンジンの振動やサスペンション等の懸架
系の振動等によって、各種の騒音が不可避的に発生す
る。そのため、それらの騒音の発生を防止乃至は低減せ
しめるために、従来から各種の対策が講じられてきてお
り、そのうちの一つとして、車両の所定位置に、騒音の
発生源からの音の漏れを防止する防音材を取り付けるこ
とが行なわれている。
【0003】ところで、そのような車両用防音材には、
各種の構造のものがある。例えば、自動車等では、かか
る防音材として、PVC等からなる樹脂シートの表面に
不織布やグラスウール等が貼着された、所謂吸音材付樹
脂シート等や、鋼板にアスファルト樹脂等の粘弾性樹脂
からなる樹脂シート等が貼着された、所謂制振鋼板等が
多く用いられており、それらが、ダッシュパネルやフロ
アパン等に取り付けられ、或いはエンジン本体のオイル
パン等のように、部材自体が制振鋼板にて構成されて、
使用されている。それによって、エンジンルームやタイ
ヤ等から車室内への透過音の低減や、エンジン振動によ
る騒音のエンジン本体から外部への漏れが防止乃至は低
減せしめられるようになっているのである。
【0004】ところが、そのような従来の吸音材付樹脂
シートや制振鋼板等の車両用防音材にあっては、一般
に、上述の如き各種の樹脂材料を用いて、金型成形等に
より樹脂シートを成形する工程と、不織布やグラスウー
ルを所定の層状形状に整えたり、或いはプレス成形等に
より鋼板を所定の形状に成形したりする工程と、更に
は、それら別々に成形された樹脂シートと不織布やグラ
スウール、或いは樹脂シートと鋼板とを、それぞれ、接
着等により一体化する工程とを経て、製造されるもので
あるところから、その製造に比較的手間がかかり、製作
性に劣るといった欠点を有していたのである。
【0005】なお、かかる従来の車両用防音材における
欠点を解消せしめるために、金型成形を行なうだけで一
挙に成形され得るアルミニウム合金の鋳造品や中空構造
の樹脂成形品にて、車両用防音材を構成することも考え
られるが、車両用防音材をアルミニウム合金の鋳造品に
て構成した場合には、コストアップが避けられず、ま
た、中空構造の樹脂成形品により構成した場合には、高
周波数域における騒音の防止効果が低くなってしまう。
それ故に、それらアルミニウム合金の鋳造品や中空構造
の樹脂成形品は、従来の車両用防音材の有効な代替品と
はなり得ないのである。
【0006】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述せる如き事
情を背景にして為されたものであって、その解決課題の
一つとするところは、コストの高騰や防音性能の低下を
招くことなく、製作性の向上が効果的に図られ得る車両
用防音材の構造を提供することにある。また、本発明に
あっては、そのような構造の車両用防音材を製造する際
に有利に適用され得る樹脂製品の製造方法を提供するこ
とを、その第二の課題とするものである。
【0007】
【解決手段】かかる状況下、本発明者等が前記第一の課
題の解決を図るために、防音材の材質やその構造につい
て、鋭意研究を重ねた結果、層状のエラストマに対し
て、該エラストマよりも硬い所定の樹脂を一体的に積層
形成してなる成形品が、アルミニウム合金の鋳造品や樹
脂の中空成形品よりも防音性能において優れたものであ
ることを見い出したのである。
【0008】そして、本発明は、そのような知見に基づ
いて完成されたものであって、その特徴とするところ
は、車両に取り付けられて、該車両で生ずる音の発生源
からの漏れを防止する防音材であって、所定の樹脂から
なる硬質層とエラストマからなる軟質層のそれぞれ少な
くとも一層ずつが一体的に積層形成された複合構造を有
して構成されている車両用防音材にある。なお、ここ
で、エラストマとは、天然ゴムや合成ゴムを除いた、加
硫をせずにゴム弾性を有するゴム状プラスチックを言
う。
【0009】すなわち、本発明に従う車両用防音材にあ
っては、所定の樹脂からなる硬質層とエラストマからな
る軟質層とが一体的に積層形成された複合構造を有して
いるところから、アルミニウム合金の鋳造品や樹脂の中
空成形品にて構成された防音材に比して、優れた防音性
能が有利に発揮され得るのであり、また、その製造に際
して、アルミニウムの合金材料を鋳造する場合よりもコ
ストの低い、樹脂材料やエラストマ材料の金型成形手法
が利用され得て、製造コストが比較的低く抑えられ得る
のである。
【0010】しかも、かかる車両用防音材においては、
金型成形による製造時に、例えば、所定の樹脂からなる
硬質層とエラストマからなる軟質層の何れか一方を成形
した後、その成形された一方を、それら硬質層と軟質層
の何れか他方を与える成形キャビティ内に配置した状態
下で、該他方の成形を行なうようにすれば、該他方が成
形されると同時に、該一方に対して一体化され得るので
あり、それによって、別々に成形された樹脂シートと不
織布やグラスウール、或いは樹脂シートと鋼板とを、そ
れぞれ、接着等により一体化する工程を経て製造され
る、前記した、従来の吸音材付樹脂シートや制振鋼板か
らなる防音材とは異なり、硬質層と軟質層とを一体化す
るための独立した工程を何等行なうことなく、少ない工
程数で、簡略に製造され得るのである。
【0011】従って、このような本発明に従う車両用防
音材にあっては、製造コストの高騰や防音性能の低下等
を何等招くことなく、従来の吸音材付樹脂シートや制振
鋼板からなる防音材の製造上の欠点が解消され得て、そ
の製作性が効果的に向上され得ることとなるのである。
【0012】なお、かかる本発明に従う車両用防音材の
有利な態様の一つによれば、前記エラストマからなる軟
質層の一部が、前記車両に対する取付面上に、該取付面
の全周にわたって連続的に延びる状態で突出せしめら
れ、かかる軟質層の突出部位が、該取付面と該車両の被
取付面との間をシールするシール部材として構成される
こととなる。
【0013】このような構成を採用すれば、防音材の車
両に対する取付面と該車両の被取付面とが確実に密着せ
しめられ得て、それら取付面と被取付面の隙間から音が
漏れるようなことが効果的に防止され得、その結果、よ
り優れた防音性能が発揮され得るのであり、また、例え
ば、タイミングベルトカバー等の保護カバーや防音カバ
ー等、ガスケット等のシール部材を介してエンジンやそ
の他の取付部位に取り付けられる防音材に対して、ガス
ケット等のシール部材が一体的に形成され得、それによ
って、かかる防音材を該車両の所定部位に取り付ける際
に、シール部材を介在させる手間が省かれ得て、その取
付性が有利に高められる得ることとなるのである。
【0014】また、本発明にあっては、前記第二の課題
の解決のために、エラストマまたは樹脂発泡体からなる
軟質層の表面に、それらエラストマまたは樹脂発泡体よ
りも硬い樹脂からなる硬質層が、該軟質層の表面を覆う
ようにして一体的に積層形成された樹脂製品を製造する
に際して、前記硬質層を二分してなる分割体のそれぞれ
に対応した形状を有する、二つの分割体成形キャビティ
を形成し、それら二つの分割体成形キャビティ内に該硬
質層を与える樹脂材料をそれぞれ充填して、該分割体を
二つ成形した後、かかる二つの分割体を、それらの間に
内部空間が形成されるように互いに対向させて、該内部
空間により、前記軟質層に対応した形状を有する軟質層
成形キャビティを形成し、その後、該軟質層成形キャビ
ティ内に該軟質層を与えるエラストマ材料若しくは発泡
性樹脂材料を導入して、該軟質層を成形する一方、該軟
質層の表面に、前記二つの分割体にて構成される前記硬
質層を一体的に積層形成する樹脂製品の製造方法をも、
その特徴とするものである。
【0015】要するに、本発明に従う樹脂製品の製造方
法にあっては、目的とする樹脂製品を、大別して、二つ
の成形工程により段階的に成形するものであって、そこ
では、先ず、第一の成形工程において、硬質層を二分し
てなる、二つの分割体を、それら各分割体に対応した形
状を有する二つの分割体成形キャビティ内で成形し、そ
の後、第二の成形工程において、それら二つの分割体を
互いに対向配置することにより該二つの分割体の内部に
形成される軟質層成形キャビティ内で、軟質層を成形す
ると共に、該軟質層の表面に、硬質層を一体的に積層形
成するようにしたものなのである。
【0016】このように、かかる本発明手法は、軟質層
の表面に硬質層が一体的に積層形成された樹脂製品を製
造するものであるところから、所定の樹脂からなる硬質
層とエラストマからなる軟質層とが一体的に積層形成さ
れた複合構造を有する車両用防音材のうち、特に、エラ
ストマからなる軟質層の両側に、所定の樹脂からなる二
つの硬質層が、該軟質層を挟むようにして一体的に積層
形成されたサンドイッチ構造を有する車両用防音材や、
エラストマからなる軟質層の表面に、所定の樹脂からな
る硬質層が、該表面の全面を被覆して一体的に積層形成
された構造を有する車両用防音材の製造に際して、極め
て有利に適用され得るのである。
【0017】そして、そのような車両用防音材の製造に
際して本発明手法を適用した場合にあっては、第二の成
形工程において、所定の樹脂からなる硬質層が成形され
ると同時に、かかる硬質層が、エラストマからなる二つ
の分割体から成形された軟質層の表面に一体形成される
ことになるところから、硬質層と軟質層とを一体化させ
るための独立した工程を何等行なうことなく、目的とす
る車両用防音材が、比較的少ない工程数で、有利に製造
され得るのである。
【0018】従って、このような本発明に従う樹脂製品
の製造方法によれば、エラストマからなる軟質層の両側
に、所定の樹脂からなる二つの硬質層が、該軟質層を挟
むようにして一体的に積層形成された複合構造や、該硬
質層が、該軟質層の表面に、その全面を覆うようにして
一体的に積層形成された複合構造を有する車両用防音材
が、極めて容易に製造され得ることとなるのである。
【0019】しかも、かかる本発明手法においては、第
一の成形工程で、各分割体が、各分割体成形キャビティ
内で成形されるようになっているところから、それら各
分割体成形キャビティの幅、つまり、互いに対向するキ
ャビティ面間の距離を適宜に変更するだけで、各分割体
の全体の厚さが、自在に、且つ確実に変化させられ得る
ばかりでなく、各分割体の厚さを部分的に変化させるこ
とも容易に出来るのであり、更に、それら各分割体成形
キャビティの全体の大きさを変更するだけで、各分割体
の全体の大きさが任意に調節され得て、それら各分割体
が互いに対向配置されて形成される軟質層成形キャビテ
ィの大きさをも、容易に変えることが出来るのである。
そして、それによって、第二の成形工程において、硬質
層と軟質層とが、任意の厚さで成形され得るのである。
【0020】それ故、本発明に従う樹脂製品の製造方法
にあっては、最終的に得られる樹脂製品において、同一
の厚さ(大きさ)のものの間で、全体的に或いは部分的
に、剛性の大きさが自在に制御され得るのであり、ま
た、特に、かかる本発明手法により車両用防音材を製造
した場合には、得られる防音材の剛性の大きさだけでな
く、その防音性能が容易にチューニングされ得ることと
なるのである。
【0021】さらに、かかる本発明手法においては、軟
質層を与えるエラストマ材料または発泡性樹脂材料と硬
質層を与える樹脂材料とを、それぞれの成形キャビティ
内に同時に射出したりすることがないため、二色射出成
形機等の特別な装置を用いる必要が全くなく、それ故
に、かかる特別な装置の使用によってコストが高騰する
といった問題が惹起されることもないのである。
【0022】従って、このような本発明に従う樹脂製品
の製造方法にあっては、エラストマまたは樹脂発泡体か
らなる軟質層の表面に、それらエラストマまたは樹脂発
泡体よりも硬い樹脂からなる硬質層が、該軟質層の表面
を覆うようにして一体的に積層形成された樹脂製品が、
全体の厚さに左右されることのない所望の大きさの剛性
をもって、経済的に有利に製造され得るのであり、ま
た、車両用防音材の製造に適用することによって、目的
とする車両用防音材が、任意の剛性と防音性能とをもっ
て、比較的低コストに製造され得ることとなるのであ
る。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明をより具体的に明ら
かにするために、本発明に係る車両用防音材並びに樹脂
製品の製造方法の構成について、図面を参照しつつ、詳
細に説明することとする。
【0024】先ず、図1には、本発明に係る樹脂製品の
製造方法に従って製造された車両用防音材として、自動
車等の車両のエンジンに取り付けられるタイミングベル
トカバーの一例が概略的に示されている。かかる図から
も明らかなように、本具体例のタイミングベルトカバー
10は、全体として、従来と同様な筐体形状を呈してい
る。そして、ここでは、特に、かかるタイミングベルト
カバー10が、筐体形状の外面と内面とをそれぞれ与え
る外側硬質層12と内側硬質層14と、それら外側及び
内側硬質層12,14の間に位置する、各硬質層12,
14よりも軟らかい軟質層16とを有して、構成されて
いるのである。
【0025】より具体的には、このタイミングベルトカ
バー10を構成する外側硬質層12と内側硬質層14
は、何れも、ポリプロピレンにガラス繊維を混入させた
複合プラスチックの、比較的硬い薄板材料から成ってい
る。そして、内側硬質層14が、それよりも一周り大き
な外側硬質層12の内側に、該外側硬質層12に対して
所定間隔をおいた状態で、換言すれば、外側硬質層12
との対向面間に所定の内部空間が形成されるように、対
向位置せしめられている。
【0026】一方、それら外側及び内側硬質層12,1
4と共にタイミングベルトカバー10を構成する軟質層
16は、熱可塑性オレフィン系エラストマからなる、ゴ
ム状弾性を備えた軟らかい薄板材料にて構成されてい
る。また、この軟質層16は、外側硬質層12と内側硬
質層14との間に形成された前記内部空間内に充満させ
られるようにして、位置せしめられている。
【0027】そして、そのような配置状態下で、軟質層
16が、その厚さ方向両面において、外側硬質層12と
内側硬質層14のそれぞれの対向面に対して一体化され
ているのである。これによって、エラストマからなる軟
質層16の両側に、複合プラスチックからなる外側硬質
層12と内側硬質層14とが、かかる軟質層16を挟む
ようにして、一体的に積層形成されているのであり、以
てタイミングベルトカバー10が、軟質層16と、それ
よも硬い、外側及び内側の両硬質層12,14とからな
るサンドイッチ状の複合構造を有する一体品として、構
成されているのである。
【0028】なお、ここでは、特に、軟質層16の端部
が、全周にわたって厚肉化された状態で、タイミングベ
ルトカバー10の、図示しないエンジンに取り付けられ
る取付面18上に突出せしめられており、かかる軟質層
16の突出部位が、該タイミングベルトカバー10の取
付面18上に所定高さ突出し、且つその全周にわたって
連続的に延びる、シール部材たるガスケット部19とし
て、構成されているのである。
【0029】このように、本具体例のタイミングベルト
カバー10にあっては、熱可塑性オレフィン系エラスト
マからなる軟質層16の両側に、該軟質層16よりも硬
いポリプロピレンにガラス繊維を混入させた複合プラス
チックからなる外側硬質層12と内側硬質層14とが、
該軟質層16を挟むようにして一体的に積層形成された
サンドイッチ状の複合構造を有して構成されているとこ
ろから、優れた防音性能が有利に具備せしめられ得るの
である。
【0030】それ故、かかる本具体例のタイミングベル
トカバー10においては、エンジンに取り付けられるこ
とにより、該エンジン振動にて生ぜしめられる騒音の、
該タイミングベルトカバー10を通じての外部への漏れ
が、極めて効果的に防止され得ることとなるのである。
【0031】また、本具体例のタイミングベルトカバー
10にあっては、上述の如き特別な複合構造を有してい
ることから、その製造に際して、先ず、複合プラスチッ
クからなる外側硬質層12と内側硬質層14とを成形
し、その後、エラストマからなる軟質層16を、外側硬
質層12と内側硬質層14との間に成形すると同時に、
それら外側及び内側硬質層12,14に対して一体化さ
せる手法が有利に採用され得るのであり、それによっ
て、それぞれ別々に成形された軟質層16と外側及び内
側硬質層12,14とを一体化するための独立した工程
を行なう必要が皆無ならしめられ得、以て、そのような
工程を必要としない分だけ製造工程数が有利に少なくさ
れ得て、製作性の向上が効果的に図られ得るのである。
【0032】しかも、かかる本具体例のタイミングベル
トカバー10にあっては、軟質層16の一部にて構成さ
れたガスケット部19が、エンジンに対する取付面18
上に、一体的に突出形成されているところから、エンジ
ンの被取付部位に取り付けるに際して、該エンジンの被
取付部位とタイミングベルトカバー10の取付面18と
の間に、それらの間をシールするガスケットを介在させ
る手間が省かれ得、それによって、エンジンへの取付性
が効果的に高められ得るのである。
【0033】ところで、このような優れた特徴を備えた
タイミングベルトカバー10を製造する際には、例え
ば、図2に示される如き射出成形用金型20が、用いら
れることとなる。
【0034】すなわち、ここで用いられる射出成形用金
型20は、左右方向に互いに対向配置された固定盤22
と可動盤24と、それら固定盤22と可動盤24の互い
の対向面上にそれぞれ配置された固定型26と可動型2
8とを有して、構成されている。
【0035】そして、かかる射出成形用金型20の固定
盤22と可動盤24は、何れも、厚肉の平板形状を呈し
ており、特に、固定盤22の略中央部には、図示しない
射出成形機のノズルに接触せしめられるスプルーブッシ
ュ29が、取り付けられている。
【0036】一方、固定型26は、矩形のブロック形状
を呈しており、可動型28との対向面に、内側硬質層形
成突部30と外側硬質層形成突部32とが、それぞれ、
上下方向に並んで配設されている。また、かかる対向面
の内側硬質層形成突部30の周囲には、浅い深さで、幅
の狭い溝部34が、該内側硬質層形成突部30を取り囲
む状態で、連続的に延びるようにして形成されている。
なお、この固定型26の内側硬質層形成突部30は、目
的とするタイミングベルトカバー10の内面を与える、
二つの分割体のうちの一方たる前記内側硬質層14の内
面(外側硬質層12との対向面とは反対側の面)に対応
した形状を呈しており、また、外側硬質層形成突部32
は、かかるタイミングベルトカバー10の外面を与え
る、二つの分割体のうちの他方としての前記外側硬質層
12の内面(内側硬質層14との対向面)に対応した形
状を有している。更に、溝部34は、前記軟質層16に
一体形成されたガスケット部19の外形状に対応した形
状を有している。
【0037】また、可動型28も、固定型26と同様な
矩形のブロック形状を呈しており、固定型26との対向
面には、内側硬質層形成凹所36と外側硬質層形成凹所
38とが、上下方向に並んで配設されている。なお、こ
の内側硬質層形成凹所36は、内側硬質層14の外面
(外側硬質層12との対向面)に対応した形状を有して
おり、また、外側硬質層形成凹所38は、外側硬質層1
2の外面(内側硬質層14との対向面とは反対側の面)
に対応した形状を有している。
【0038】そして、かかる固定型26が、固定盤22
上に位置固定に取り付けられている一方、可動型28
が、図示しない公知の油圧機構等により、固定型26と
の対向方向に直角な上下方向(図2において、矢印:ア
にて示される方向)に、前記可動盤24上をスライド移
動せしめられ得るようになっている。また、可動型28
にあっては、従来構造を有する別の油圧機構(図示せ
ず)等により、可動盤24が固定型26との対向方向の
左右両方向(図2において、矢印:イにして示される方
向)に移動せしめられるのに伴って、該可動盤24と共
に、それと同一方向に一体移動せしめられ得るようにな
っているのである。
【0039】而して、このような射出成形用金型20に
あっては、図3に示される如く、可動型28がスライド
移動位置の下限に位置せしめられた状態下で、固定型2
6に接近移動せしめられて、それら可動型28と固定型
26とが型合わせされることにより、可動型28の内側
硬質層形成凹所36内に、固定型26の内側硬質層形成
突部30が突入位置せしめられて、それら内側硬質層形
成凹所36と内側硬質層形成突部30との間で、前記内
側硬質層14に対応した形状の、二つの分割体成形キャ
ビティのうちの一方たる内側硬質層成形キャビティ40
が形成されるようになっている。また、それと同時に、
可動型28の外側硬質層形成凹所38内に、固定型26
の外側硬質層形成突部32が突入位置せしめられて、そ
れら外側硬質層形成凹所38と外側硬質層形成突部32
との間で、前記外側硬質層12に対応した形状の、二つ
の分割体成形キャビティのうちの他方たる外側硬質層成
形キャビティ42が形成されるようになっているのであ
る。
【0040】なお、かくして、内側硬質層成形キャビテ
ィ40と外側硬質層成形キャビティ42とが形成された
状態下では、固定型26の内側硬質層形成突部30の周
りに設けられた溝部34は、可動型28の内側硬質層形
成凹所36の周辺部位にて、内側硬質層成形キャビティ
40とは非連通状態で閉塞せしめられるようになってい
る。また、固定盤22のスプルーブッシュ29のスプル
ー44が、固定型26に設けられたサブスプルー46
と、可動型28に設けられた二つのランナー48,50
のうちの一方のランナー48と、更には可動型28にお
いて内側硬質層形成凹所36内と外側硬質層形成凹所3
8内とにそれぞれ開口するゲート52,54とを通じ
て、内側硬質層成形キャビティ40と外側硬質層成形キ
ャビティ42とに対して連通せしめられるようになって
おり、以て、図示しない射出成形機から射出される、前
記した、内側硬質層14と外側硬質層12とを与える、
ポリプロピレンにガラス繊維を混入させた複合プラスチ
ック材料が、溶融状態下で、かかる連通路を通じて、内
側硬質層成形キャビティ40内と外側硬質層成形キャビ
ティ42内とに、それぞれ、導入されるように構成され
ているのである。
【0041】一方、可動型28がスライド移動位置の上
限に位置せしめられた際には、図6に示される如く、固
定型26の内側硬質層形成突部30と可動型28の外側
硬質層形成凹所38とが互いに対向せしめられるように
なっている。そして、かかる対向状態下で、固定型26
と可動型28とが型合わせされることによって、それら
固定型26の内側硬質層形成突部30と可動型28の外
側硬質層形成凹所38との間で、硬質層収容空間56が
形成されるようになっているのである。
【0042】また、そのような硬質層収容空間56が形
成された状態下では、固定盤22のスプルーブッシュ2
9のスプルー44が、固定型26のサブスプルー46
と、可動型28に設けられた二つのランナー48,50
のうちの他方のランナー50と、更には、固定型26に
おいて、内側硬質層形成突部30の周囲に設けられた溝
部34内に開口するゲート58を通じて、硬質層収容空
間56に対して連通せしめられるようになっており、以
て、図示しない射出成形機から射出される、前記した、
軟質層16を与える熱可塑性オレフィン系エラストマ材
料が、溶融状態下で、かかる連通路を通じて、硬質層収
容空間56内に導入されるように構成されているのであ
る。
【0043】而して、かくの如き構成を有する射出成形
用金型20を用いて、目的とするタイミングベルトカバ
ー10を製造する際には、例えば、先ず、図3に示され
る如く、可動型28をスライド移動位置の下限に位置せ
しめた状態で、固定型26に接近移動させることによ
り、それら可動型28と固定型26とを型合わせして、
前記内側硬質層成形キャビティ40と前記外側硬質層成
形キャビティ42とを、それぞれ形成する。
【0044】次に、図4に示されるように、タイミング
ベルトカバー10の外側及び内側硬質層12,14をそ
れぞれ与える、所定の樹脂材料としてのポリプロピレン
にガラス繊維を混入させた複合プラスチック材料60
を、溶融状態下で、図示しない射出成形機のノズルか
ら、スプルー44、サブスプルー46、ランナー48、
及び二つのゲート52,54からなる流通路(連通路)
を通じて、内側硬質層成形キャビティ40内と外側硬質
層成形キャビティ42内とにそれぞれ射出して、充填す
る。
【0045】その後、各成形キャビティ40,42内に
充填された複合プラスチック材料60を冷却固化して、
内側硬質層成形キャビティ40内で、内側硬質層14
を、また外側硬質層成形キャビティ42内で、外側硬質
層12を、それぞれ、成形した後、図5に示される如
く、可動型28を固定型26から離隔させて、それら成
形された内側硬質層14と外側硬質層12とを、固定型
26の内側硬質層形成突部30と可動型28の外側硬質
層形成凹所38内とに、それぞれ保持させつつ、型開き
する。なお、その際、図示されてはいないものの、固定
盤22のスプルーブッシュ29のスプルー44や、固定
型26のサブスプルー46、及び可動型28のランナー
48とゲート52,54のそれぞれの内部で固化せしめ
られた複合プラスチック材料が、払い出されることとな
る。
【0046】引き続き、図6に示される如く、可動型2
8をスライド移動させて、その上限に位置せしめると共
に、再び、固定型26に接近移動させ、それら可動型2
8と固定型26とを型合わせして、固定型26の内側硬
質層形成突部30と可動型28の外側硬質層形成凹所3
8との間で、硬質層収容空間56を形成する。また、そ
れと同時に、内側硬質層形成突部30に保持された内側
硬質層14と外側硬質層形成凹所38内に保持された外
側硬質層12とを、それらの間に内部空間62が形成さ
れるように、所定間隔をおいて互いに対向させた状態下
で、かかる硬質層収容空間56内に収容せしめる。これ
により、内側硬質層14と外側硬質層12とが硬質層収
容空間56内において互いに対向位置せしめられた状態
下で、それら両硬質層12,14の内側に、前記内部空
間62からなる軟質層成形キャビティ64を形成する。
【0047】なお、そのように、内側硬質層14と外側
硬質層12とを硬質層収容空間56内に収容せしめて、
該硬質層収容空間56内に軟質層成形キャビティ64を
形成した状態下では、内側硬質層形成突部30の周りに
設けられた溝部34が、かかる軟質層成形キャビティ6
4内に開口せしめられて、固定型26のゲート58が、
該溝部34を通じて、該軟質層成形キャビティ64に連
通せしめられる。そして、それによって、軟質層成形キ
ャビティ64が、それら溝部34と固定型26のゲート
58、更には可動型28のランナー50と固定型26の
サブスプルー46と固定盤22のスプルーブッシュ29
のスプルー44とを通じて、外部に連通せしめられるこ
ととなる。
【0048】次に、図7に示されるように、軟質層16
を与える、熱可塑性のオレフィン系エラストマ材料66
を、溶融状態下で、図示しない射出成形機のノズルか
ら、スプルー44、サブスプルー46、ランナー50、
ゲート58を通じて、前記溝部34内と軟質層成形キャ
ビティ64内に射出し、充填する。そして、その後、こ
のエラストマ材料を冷却固化して、該溝部34内と軟質
層成形キャビティ64内とに軟質層16を成形すると共
に、該軟質層16を外側硬質層12と内側硬質層14と
に固着せしめて、該軟質層16の表面に、それら外側硬
質層12と内側硬質層14とを一体的に積層する。
【0049】かくして、図8に示されるように、エラス
トマからなる軟質層16の両側に、それよりも硬い複合
プラスチックからなる外側硬質層12と内側硬質層14
とが、かかる軟質層16を挟むようにして、一体的に積
層形成されたサンドイッチ状の複合構造を有すると共
に、該軟質層16の一部にて構成されたガスケット部1
9がエンジンへの取付面18に一体形成されてなる、目
的とするタイミングベルトカバー10を得るのである。
そして、可動型28を固定型26から離隔させて、射出
成形用金型20を型開きした後、成形されたタイミング
ベルトカバー10を、該射出成形用金型20から離型す
るのである。
【0050】このように、本具体例手法においては、先
ず、複合プラスチックからなる外側硬質層12と内側硬
質層14とが成形され、その後、エラストマからなる軟
質層16が、外側硬質層12と内側硬質層14との間に
成形されると同時に、それら外側及び内側硬質層12,
14に対して一体化せしめられるようになっているとこ
ろから、軟質層16と外側及び内側硬質層12,14と
を一体化するための独立した工程を何等行なうことな
く、目的とするタイミングベルトカバー10が、比較的
少ない工程数で、簡単に製造され得るのである。
【0051】また、かかる本具体例においては、内側硬
質層14と外側硬質層12とが、固定型26の内側硬質
層形成突部30と可動型28の内側硬質層形成凹所36
との間に形成される内側硬質層成形キャビティ40内
と、固定型26の外側硬質層形成突部32と可動型28
の外側硬質層形成凹所38との間に形成される外側硬質
層成形キャビティ42内とにおいて成形されるようにな
っているところから、内側硬質層形成突部30や外側硬
質層形成突部32の高さを変えたり、内側硬質層形成凹
所36や外側硬質層形成凹所38の深さを変えたりし
て、各成形キャビティ40,42の幅を変更するだけ
で、内側及び外側硬質層14,12のそれぞれの厚さや
大きさが簡単に変化せしめられ得て、内側硬質層14と
外側硬質層12の厚さや、それら内側及び外側硬質層1
4,12が互いに対向せしめられた状態下で形成される
内部空間62内で成形される軟質層16の厚さが、容易
に且つ確実に調節され得るのであり、それによって、最
終的に得られるタイミングベルトカバー10の剛性の大
きさと防音性能とが、極めて簡単に制御され得ることと
なるのである。
【0052】なお、ここにおいて、かくして得られたタ
イミングベルトカバー10は、前述せる如く、優れた防
音性能が具備せしめられているのであるが、これは、本
発明者等によって行われた、以下に示す試験結果からも
明確に認識され得るところである。
【0053】すなわち、先ず、縦×横が15cm×15
cmである大きさと、熱可塑性エラストマ〔商品名:ミ
ラストマ,三井石油化学(株)製〕の非発泡体にて構成
された軟質層の両側に、ポリプロピレンにガラス繊維を
混入させた複合プラスチックからなる二つの硬質層が、
該軟質層を挟むようにして一体的に積層形成されたサン
ドイッチ状の複合構造とを有し、しかも、それら軟質層
と二つの硬質層の厚さがそれぞれ2mmである、平板形
状を呈する、樹脂製の防音材(No.1)を、前記具体
例に示される如き方法により、3つ製造した。また、か
かる樹脂製の防音材(No.1)と同じ大きさと構造と
形状とを有するものの、軟質層と二つの硬質層の厚さが
それぞれ3mmとされた樹脂製の防音材(No.2)
と、軟質層の厚さが3mmで、且つ各硬質層の厚さが2
mmである樹脂製の防音材(No.3)と、軟質層の厚
さが2mmで、且つ各硬質層の厚さが3mmである樹脂
製の防音材(No.4)とを、前記具体例に示される如
き方法により、それぞれ3つずつ製造した。
【0054】さらに、上述した4種類の防音材(No.
1〜4)と同じ大きさと、軟質層が熱可塑性エラストマ
〔商品名:ミラストマ,三井石油化学(株)製〕の発泡
体にて構成される以外、それら4種類の防音材(No.
1〜4)と同様な構造を有し、且つ軟質層と各硬質層の
厚さが2mmである、平板形状を呈する、樹脂製の防音
材(No.5)を3つ製造した。なお、かかる防音材の
製造に際しては、発泡体の製法として従来より公知のシ
ョートショット法に従って、二つの硬質層の間に形成さ
れる軟質層成形キャビティ内に未発泡の熱可塑性エラス
トマ材料〔商品名:ミラストマ,三井石油化学(株)
製〕からなる発泡性材料を射出し、これを発泡させるこ
とにより軟質層を成形する以外、前記具体例と同様な工
程を有する製造方法を採用した。
【0055】また、比較のために、ポリプロピレンにガ
ラス繊維を混入させた複合プラスチックからなる、厚さ
が2mmの、1つの硬質層のみにて構成された、縦×横
が15cm×15cmである大きさの、平板形状を呈す
る樹脂製の防音材(No.6)と、かかる防音材(N
o.6)と同じ大きさと構造を有するものの、厚さが3
mmとされた、樹脂製の防音材(No.7)とを、公知
の射出成形手法により、それぞれ3つずつ製造した。
【0056】さらに、内部空間を有する中空形状を呈す
る以外、上述した、硬質層のみからなる2種類の防音材
(No.6,7)と同様な構造と大きさとを有し、且つ
硬質層の厚さが2mmとされた、樹脂製の防音材(N
o.8)と、その厚さが3mmとされた、樹脂製の防音
材(No.9)とを、中空形状を呈する樹脂製品を製造
する際に採用される公知の手法に従って、それぞれ3つ
ずつ製造した。
【0057】更にまた、アルミニウム合金材料を用いた
鋳造を行なって、縦×横が15cm×15cmである大
きさと3mmの厚さとを有する、平板形状を呈する、ア
ルミニウム製の防音材(No.10)を3つ製造した。
【0058】一方、それら10種類の防音材とは別に、
所定の大きさの無響室内に、FFT周波数分析機に接続
された集音マイクが設置される一方、一端部に40Hz
〜800Hzの範囲の音を発生し得るスピーカチャンバ
ーが取り付けられた音響管が、その他端部を無響室内に
突入せしめた状態で、無響室の壁に挿通配置せしめられ
てなり、かかるスピーカチャンバーから、音響管を通じ
て無響室内に導かれる音が、集音マイクにて拾われて、
FFT周波数分析機にて分析されるようにした実験装置
を準備した。
【0059】次に、そのような実験装置おいて、スピー
カチャンバーから40Hz〜800Hzの範囲内で音を
発生させて、そのオーバーオール値が90dBとなるよ
うに、スピーカチャンバーから生ぜしめられる音の音圧
を設定した後、各種類毎に3つずつ製造された、前記1
0種類の防音材(No.1〜10)を、それぞれ、一つ
ずつ、順番に、音響管の、無響室内に突入位置せしめら
れた他端部に、その開口部が閉塞せしめられるように装
着した状態で、スピーカチャンバーから40Hz〜80
0Hzの範囲内で音を発生させた。その後、それら各防
音材を音響管にそれぞれ装着せしめた状態下で、各防音
材から漏れる音を集音マイクにて拾い、これをFFT周
波数分析機にて分析することにより、10種類の防音材
(No.1〜10)のそれぞれにおける、40Hz〜8
00Hzの範囲内の様々な周波数での透過損失と、それ
らのオーバール値とを測定した。そして、かくして測定
された各周波数での透過損失とそれらのオーバーオール
値の、10種類の防音材(No.1〜10)のそれぞれ
における各種類毎の平均値を算出し、それらの結果を下
記表1及び表2に併せて示した。
【0060】
【0061】
【0062】表1及び表2の結果からも明らかなよう
に、エラストマからなる軟質層の両側に、所定の樹脂た
る複合プラスチックにて構成された二つの硬質層が、該
軟質層を挟むようにして一体的に積層形成されてなる、
本発明に従うサンドイッチ状の複合構造を有する樹脂製
の防音材(No.1〜5)のそれぞれおける、様々な周
波数での透過損失の平均値と、複合プラスチックからな
る硬質層のみにて構成された樹脂製の防音材(No.
6,7)や、かかる硬質層の内側に内部空間が形成され
た中空形状を呈する樹脂製の防音材(No.8,9)、
及びアルミニウム合金の鋳造品からなるアルミ製の防音
材(No.10)等、本発明とは異なる構造の防音材の
それぞれにおける、様々な周波数での透過損失の平均値
とを比較した場合、本発明に従う構造を有する樹脂製の
防音材(No.1〜5)の方が、500Hz〜800H
zの高周波数域において、前記平均値が明らかに大きな
値となっており、また、オーバール値も、本発明に従う
構造を有する樹脂製の防音材(No.1〜5)の方が、
明らかに大きな値となっている。これは、本発明に従う
構造を有する樹脂製の防音材が、所定の樹脂からなる硬
質層のみからなる構造や、かかる硬質層の内側に内部空
間が形成されてなる構造の樹脂製の防音材や、アルミニ
ウム合金の鋳造品からなる防音材等に比して、防音性能
に優れたものであることを、如実に示しているのであ
る。
【0063】以上、本発明の具体的な構成について詳述
してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであっ
て、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受
けるものではない。
【0064】例えば、前記具体例では、硬質層12,1
4を与える所定の樹脂として、ポリプロピレンにガラス
繊維が混入された複合プラスチックが使用される一方、
軟質層16を与えるエラストマとして、熱可塑性のオレ
フィン系エラストマが用いられていたが、硬質層を与え
る所定の樹脂の種類も、軟質層を与えるエラストマの種
類も、何等それらに限定されるものではなく、かかる所
定の樹脂としては、ポリプロピレンやポリアミド等の樹
脂材料に、ガラス繊維、或いはそれ以外の充填材、例え
ばタルク等が混入された複合プラスチックの他、それら
の充填材を何等含まない樹脂単独の材料が、必要とされ
る防音性能や強度、或いは剛性の大きさ等に応じて、適
宜に選択されて、使用され得るのであり、また、エラス
トマとしては、所謂ゴム状プラスチックの範疇に属する
材料が適宜に選択され、使用され得るのである。
【0065】また、前記具体例では、軟質層16が非発
泡性のエラストマ材料にて構成されていたが、それをエ
ラストマの発泡体にて構成することも可能である。それ
によって、防音材としてのタイミングベルトカバー10
の軽量化が有利に図られ得ることとなるのである。
【0066】さらに、前記具体例では、防音材たるタイ
ミングベルトカバー10が、エラストマからなる軟質層
16の両側に、複合プラスチックからなる外側硬質層1
2と内側硬質層14とが、軟質層16を挟むようにし
て、一体的に積層形成されたサンドイッチ状の複合構造
をもって構成されていたが、かかる防音材の複合構造
は、所定の樹脂からなる硬質層とエラストマからなる軟
質層のそれぞれ少なくとも一層ずつが一体的に積層形成
されたものであれば、それら硬質層と軟質層のそれぞれ
の積層数や積層形態が、特に限定されるものではない。
【0067】従って、そのような複合構造として、一層
の軟質層と一層の硬質層とが一体的に積層形成されたも
のや、一層の軟質層に対して三層以上の硬質層が一体的
に積層形成されたもの、一層の硬質層に対して三層以上
の軟質層が一体的に積層形成されたもの、更には二層以
上の軟質層と二層以上の硬質層とが、一層ずつ交互に、
或いは交互でなく一体的に積層形成されたもの等が、何
れも有利に採用され得るのである。
【0068】また、前記具体例では、タイミングベルト
カバー10を成形するために用いられる成形用金型とし
て、外側硬質層12と内側硬質層14とが同時成形可能
で、且つ成形された外側硬質層12と内側硬質層14と
を互いに対向配置した状態で、それらの間に軟質層14
を一体的に成形させ得る、一つの射出成形用金型20が
用いられていたが、外側硬質層12の成形と、内側硬質
層14の成形と、それら両硬質層12,14の間への軟
質層16の成形とを、それぞれ、専門的に別個に行なう
3種類の金型を用いて、目的とするタイミングベルトカ
バー10を成形するようにしても良い。
【0069】さらに、防音材たるタイミングベルトカバ
ー10の製造方法も、前記具体例に示されるものに決し
て限定されるものではなく、従来より公知の樹脂製品の
製造方法が、適宜に採用され得るのであり、例えば、先
ず、外側が硬質層からなると共に、内側が軟質層とから
なる中空形状のパリソンを成形し、その後、このパリソ
ンを圧縮成形して、二層の軟質層の表面に、硬質層が、
該表面を覆うようにして一体的に積層形成することによ
り、目的とする防音材を得るようにしても良いのであ
る。このような方法によれば、二層の軟質層の間に空間
を形成して、中空形状を呈する防音材を得ることも、可
能となるのである。
【0070】そして、前記具体例では、自動車のエンジ
ンに取り付けられるタイミングベルトカバーに対して、
本発明を適用したものの具体例を示したが、本発明は、
その他、自動車等の車両のエンジンのシリンダヘッドカ
バーやオイルパン等を覆う防音カバーや、そのようなカ
バー類以外の車両の防音材の何れに対しても、有利に適
用され得るものであることは、勿論である。
【0071】なお、前記具体例に示される樹脂製品の製
造方法は、タイミングベルトカバー10等の車両用防音
材の製造に有利に適用され得るものではあるが、かかる
車両用防音材の製造のためだけに利用されるものではな
く、その他、エラストマまたは樹脂発泡体からなる軟質
層の表面に、それらエラストマまたは樹脂発泡体よりも
硬い樹脂からなる硬質層が、該軟質層の表面を覆うよう
にして一体的に積層形成された、車両用防音材とは用途
の異なる樹脂製品の製造に際しても、有利に適用され得
るものなのである。
【0072】また、そのように、車両用防音材以外の樹
脂製品の製造に際して、前記具体例に示される製法を利
用する場合には、軟質層と硬質層とを同一種類の発泡性
樹脂材料にて成形することも、可能である。そして、そ
の場合には、硬質層を成形するに際して、発泡性樹脂材
料を、二つの分割体成形キャビティ(外側硬質層成形キ
ャビティ42及び内側硬質層成形キャビティ40)の内
部に、発泡が抑制される高い射出圧にて、各成形キャビ
ティ内を満たすのに十分な量で、射出、充填して、二つ
の分割体(外側硬質層12及び内側硬質層14)を、発
泡性樹脂材料が発泡されていないのに等しい微小発泡体
にて成形する必要がある。このようにすれば、硬質層と
軟質層とを与える樹脂材料として、単に、1種類のもの
を準備するだけで良く、それによって、樹脂材料の準備
にかかる手間や、目的とする樹脂製品の製造途中で、射
出成形機内の樹脂を交換する手間が有利に省かれ得るの
であり、その結果として、樹脂製品が、優れた作業性を
もって、より一層簡単に製造され得ることとなるのであ
る。
【0073】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良を加
えた形態において実施され得るものであり、また、その
ような実施形態が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにお
いて、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであるこ
とが、理解されるべきである。
【0074】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明に従う車両用防音材にあっては、製造コストの高騰や
防音性能の低下等を何等招くことなく、従来の吸音材付
樹脂シートや制振鋼板からなる防音材等に比して、その
製作性が効果的に向上され得るのである。
【0075】また、本発明に従う樹脂製品の製造方法に
よれば、そのような特徴的な車両用防音材が、極めて有
利に製造され得ることとなるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う構造を有する車両用防音材の一例
を示す縦断面説明図である。
【図2】本発明手法に従って車両用防音材を製造する際
に用いられる成形用金型の一例の、型開き状態を示す縦
断面説明図である。
【図3】図2に示される成形用金型の型閉め状態を示す
縦断面説明図である。
【図4】本発明手法に従って車両用防音材を製造する際
の一工程例を示す説明図であって、成形用金型内に形成
された外側硬質層成形キャビティと内側硬質層成形キャ
ビティのそれぞれの内部に樹脂材料を充填せしめた状態
を示している。
【図5】本発明手法に従って車両用防音材を製造する際
の別の工程例を示す説明図であって、成形された外側硬
質層と内側硬質層とを保持せしめた状態で、成形用金型
を型開きした状態を示している。
【図6】本発明手法に従って車両用防音材を製造する際
の更に別の工程例を示す説明図であって、成形用金型を
再び型閉めして、成形された外側硬質層と内側硬質層と
を互いに対向させつつ、硬質層収容空間内に位置せしめ
た状態を示している。
【図7】本発明手法に従って車両用防音材を製造する際
の他の工程例を示す説明図であって、成形用金型の硬質
層収容空間内に形成される軟質層成形キャビティの内部
に、エラストマ材料を導入せしめた状態を示している。
【図8】本発明手法に従って車両用防音材を製造する際
の更に他の工程例を示す説明図であって、成形用金型を
再び型開きして、成形された車両用防音材を離型せしめ
た状態を示している。
【符号の説明】
10 タイミングベルトカバー 12 外側硬質層 14 内側硬質層 16 軟質層 19 ガスケット部 20 射出成形用
金型 26 固定型 28 可動型 40 内側硬質層成形キャビティ 42 外側硬質層
成形キャビティ 60 複合プラスチック材料 62 内部空間 64 軟質層成形キャビティ 66 エラストマ
材料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3D023 BA02 BA03 BB16 BB21 BB29 BB30 BC00 BD04 BD12 BD21 BE04 BE06 BE31 4F100 AK01A AK01B AL09B AR00A AR00B BA02 DB06B DC21A DJ01B DJ04B EH362 GB32 JH01 JK12A JK13B

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両に取り付けられて、該車両で生ずる
    音の発生源からの漏れを防止する防音材であって、 所定の樹脂からなる硬質層とエラストマからなる軟質層
    のそれぞれ少なくとも一層ずつが一体的に積層形成され
    た複合構造を有して構成されていることを特徴とする車
    両用防音材。
  2. 【請求項2】 前記エラストマからなる軟質層の一部
    が、前記車両に対する取付面上に、該取付面の全周にわ
    たって連続的に延びる状態で突出せしめられ、かかる軟
    質層の突出部位が、該取付面と該車両の被取付面との間
    をシールするシール部材として構成されていることを特
    徴とする請求項1に記載の車両用防音材。
  3. 【請求項3】 エラストマまたは樹脂発泡体からなる軟
    質層の表面に、それらエラストマまたは樹脂発泡体より
    も硬い樹脂からなる硬質層が、該軟質層の表面を覆うよ
    うにして一体的に積層形成された樹脂製品を製造するに
    際して、 前記硬質層を二分してなる分割体のそれぞれに対応した
    形状を有する、二つの分割体成形キャビティを形成し、
    それら二つの分割体成形キャビティ内に該硬質層を与え
    る樹脂材料をそれぞれ充填して、該分割体を二つ成形し
    た後、かかる二つの分割体を、それらの間に内部空間が
    形成されるように互いに対向させて、該内部空間によ
    り、前記軟質層に対応した形状を有する軟質層成形キャ
    ビティを形成し、その後、該軟質層成形キャビティ内に
    該軟質層を与えるエラストマ材料若しくは発泡性樹脂材
    料を導入して、該軟質層を成形する一方、該軟質層の表
    面に、前記二つの分割体にて構成される前記硬質層を一
    体的に積層形成することを特徴とする樹脂製品の製造方
    法。
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