JP3972910B2 - 防音パネル - Google Patents
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また、開口を有する複数のパイプを用い、開口からパイプ内に音波を入射させることにより吸音したり、パイプ内に入射した音波を共鳴させて再放射することにより音を散乱させる形態(従来形態2、特許文献2,3参照)が知られている。
また、従来形態2にあっては、複数のパイプ等が必要となるため、構成部品数が増大するとともに、組み立て作業に多大な労力が必要となり、これによっても、コスト的な負担が大きくなるという不都合を招来する。
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、簡単な構成により低コスト化を実現することができ、吸音及び散乱による音響制御を簡易に行うことができる防音パネルを提供することにある。
前記薄肉部は、面位置を陥没させることにより形成され、前記陥没させた面の反対面側が突出するように形成される、という構成を採っている。
また、薄肉部を高密度領域としたから、肉厚の変化によって高密度領域を陥没させること等によって高密度領域の表面に凹凸を形成した場合、当該凹凸によって反射音の方向を制御する設計を採用でき、且つ、高密度領域以外の低密度領域で吸音効果も同時に発揮させることが可能となる。
更に、建築物の形成面と薄肉部との間に筒状の空間を形成した場合、一枚の防音パネルによって、パイプ材を組み合わせた態様の吸音機構、散乱機構を最小限の部品点数によって構成することができる。ここで、パイプ材による吸音作用は、主に、低周波域音に対して良好に発揮される一方、低密度領域による吸音は、主に、中高周波域音に対して良好に発揮されるため、一枚の防音パネルによって広帯域の吸音効果を得ることが可能となる。
なお、特許請求の範囲及び本明細書において、「高密度」及び「低密度」とは、これらの間における成形材料の密度を相対的に表す概念として用いられる。
図1には、第1の実施形態に係る防音パネルの概略斜視図が示され、図2には、図1の横断面図が示されている。これらの図において、防音パネル10は、プレス成形により一体成形され、特に限定されるものでないが、図示しない脚部を介して衝立状に用いられたり、室内空間の壁面や天井面等に取り付けられるものである。防音パネル10は、正面視略方形状の外周形状をなす第1の領域11と、この第1の領域11内において図1中左右方向に沿う三箇所位置に形成されるとともに、同図中上下方向に延びる第2の領域12とを含んで構成されている。
型装置22は、下型25及び上型26を含み、これら下型25及び上型26の間に前記キャビティ21が形成されている。キャビティ21は、図5に示されるように、下型25及び上型26を閉型時したときに、第1の領域11を形成する領域に対して第2の領域12を形成する領域の方が、各型25,26におけるキャビティ21の形成面間の距離を小さくする形状を備えている。
保持部材23は、下型25の略真上において成形材料Mを保持するとともに、駆動装置(図示省略)を介して図3中紙面直交方向に瞬間的に移動可能に設けられ、当該移動によって下型25のキャビティ21の上方から退避すると同時に、当該キャビティ21内に成形材料Mを投入するようになっている。
次いで、保持部材23を図3中紙面直交方向に移動して下型25の上方から退避させることにより、成形材料Mが略真下に向かって落ち、図4に示されるように、下型25のキャビティ21内に成形材料Mが略一定の高さで投入される。
その後、図5に示されるように、下型25及び上型26を閉型して成形材料Mに所定のプレス圧を付与し、下型25を所定温度により所定時間加熱した後、下型25及び上型26を脱型することにより防音パネル10が成形される。
また、一対の傾斜面部17,17と平面部18とにより第2の領域12を断面視略台形状に形成したので、第2の領域12に入射される音を種々の方向に反射して散乱することができる。しかも、第2の領域12が、第1の領域11の上面11Aを陥没させ、下面11Bから突出するように形成されるので、防音パネル10を衝立状に用いた場合、第2の領域12の図2中上下両面側において、音を散乱させることができる。
図6には、本発明の第2実施形態に係る防音パネル10の概略斜視図が示され、図7には、図6の横断面図が示されている。この第2実施形態は、第2の領域12を正面視略円形状に形成したものである。
この第2の領域12は、図7に示されるように横断面視したときに、第1の領域11に連なるとともに、図7中下方に向かって湾曲する外側曲面部30と、この外側曲面部30の同図中下側に連なるとともに、中央部が下側に膨出する湾曲形状を備えた内側曲面部31とにより構成されている。
図8には、本発明の第3実施形態に係る防音パネル10の概略斜視図が示され、図9には、図8の横断面図が示されている。この第3実施形態は、所定の建築物の形成面となる壁面Wに防音パネル10を取り付けたときに、これら壁面Wと第2の領域12との間に筒状の空間Sを形成したものである。
各第2の領域12は、第1の領域11における前記壁面Wと接する取付面11Cを陥没するように形成されているとともに、図8中上下両側が第1の領域11の同図中上下の端部より内側に位置する長さに設定され、これによって壁面Wとの間に前記空間Sが設けられる。また、前記取付面11Cと反対側(図9中下側)に位置する第1及び第2の領域11,12の反取付面11D,12Dは、略面一となるように形成されている。
ここで、各第2の領域12には、空間Sとその外側とを連通する開口部34がそれぞれ設けられている。図8中左右に位置する第2の領域12の開口部34は、当該第2の領域12の延出方向(同図中上下方向)に延びるスロットとされる一方、同図中左右方向中央に位置する第2の領域12の開口部12は、前記延出方向に沿って形成された複数の孔とされる。
図10には、本発明の第4実施形態に係る防音パネル10の概略斜視図が示されている。この第4実施形態は、第3の実施形態に対し、各開口部34の位置及び形状を変えるとともに、開口部34内に流れ抵抗材35(同図中網点で示す)を配置したものである。
各開口部34は、第2の領域12の図10中下側に設けられるとともに、正面視略方形状に形成されている。また、流れ抵抗材35は、グラスウール等の多孔質部材により構成され、開口部34を塞ぐように設けられている。
図11には、本発明の第5実施形態に係る防音パネル10の概略斜視図が示されている。この第5実施形態は、第4の実施形態に対し、第2の領域12に形成される開口部34内の流れ抵抗材35を省略した構成に近似した構成となっている。
このような構成によれば、空間S内において開口部34からの入射音を共鳴させ、時間遅れを伴った音響再放射を行うことにより音を散乱させることができる。
なお、図11において、各開口部34の高さ位置がそれぞれ異なるように形成したが、第2の領域12の図11中上下長さ等の条件によって良好な散乱特性が得られるような高さ位置に設定される。
すなわち、本発明は、特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施例に対し、形状、位置、材質若しくは方向、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
更に、防音パネル10の表面に音響透過性を有するクロスを貼付したり、塗装を施したりしてもよい。
Claims (3)
- 略一定の厚さを有する第1及び第2の領域を含み、何れか一方の領域の厚さを何れか他方の領域に対して薄肉部とし、当該薄肉部を高密度領域とする一方、薄肉部を除く領域を低密度領域とし、
前記薄肉部は、面位置を陥没させることにより形成され、前記陥没させた面の反対面側が突出するように形成されていることを特徴とする防音パネル。 - 前記薄肉部は、所定の建築物の形成面に取り付けられたときに、当該形成面と前記薄肉部との間に筒状の空間を形成可能に設けられ、この空間と薄肉部の外側とを連通する開口部を備えていることを特徴とする請求項1記載の防音パネル。
- 前記薄肉部を形成する領域は湾曲面により形成され、この湾曲面は、横断面視したときに、厚肉部に連なって下方に向かって湾曲する外側曲面部と、この外側曲面部の下側に連なって中央部が下側に膨出する湾曲形状を備えた内側曲面部とにより構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の防音パネル。
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