JP6339046B2 - 光触媒、薄膜状光触媒の製造方法および可視光応答性光触媒デバイス - Google Patents

光触媒、薄膜状光触媒の製造方法および可視光応答性光触媒デバイス Download PDF

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Description

本発明は、可視光における光吸収特性を向上させた光触媒と薄膜状光触媒の製造方法に関する。また、本発明は、可視光における光吸収特性を向上させた光触媒を備えた可視光応答性光触媒デバイスに関する。
近年、特に太陽光エネルギーを化学エネルギーに変換する人工光合成の研究や開発が盛んになってきている。特許文献1には、水の光分解反応に活性を示す新規な材料として斜方晶系窒化タンタルを含有する光触媒が提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載の斜方晶系窒化タンタルは620nm以下の波長の光を吸収することができるが、可視光域(波長380〜780nm)を十分に利用できているとは言えない。一方、特許文献2には、窒化タンタルに斜方晶を崩すことなくニオブ(Nb)を添加することにより、可視光利用効率を向上させる方法が提案されている。
特開2002−233769号公報 特開2012−20246号公報
しかしながら、特許文献2のように、Nbを添加する場合、導電性を有する窒化ニオブ(NbN)成分が生成されやすくなり、NbN成分を生成しないように制御して製造を行うことが困難であり、製造マージンが低いという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、可視光利用効率が高く、かつ制御性に優れた光触媒および薄膜状光触媒の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、可視光利用効率の高い光触媒を備えた可視光応答型光触媒デバイスを提供することを目的とする。
本発明の光触媒は、少なくとも1種のアルカリ土類金属を含む斜方晶の窒化タンタルからなる光触媒である。
本発明の光触媒においては、アルカリ土類金属がBa、SrまたはCaであることが好ましい。
アルカリ土類金属がBaであるとき、BaのTaに対する含有量が29atm%以下であることが好ましく、さらには、17atm%以上であることが好ましい。
本発明の光触媒は、粒子状であってもよいが、特には、薄膜状に形成されていることが好ましい。
本発明の薄膜状光触媒の製造方法は、基板上に、少なくとも1種のアルカリ土類金属およびTaを含む酸化物、または、少なくとも1種のアルカリ土類金属およびTaを含む酸窒化物を含有する薄膜層を成膜し、
その薄膜層をアンモニアと反応させて、少なくとも1種のアルカリ土類金属を含む斜方晶の窒化タンタルを含有する薄膜状光触媒を得る方法である。
本発明の薄膜状光触媒の製造方法においては、スパッタ法により薄膜層を成膜することができる。
また、窒化処理における処理温度を510℃〜1000℃とすることが好ましい。
本発明の可視光応答型光触媒デバイスは、上述の本発明の光触媒を備えてなる。
本発明の可視光応答型光触媒デバイスは、基板と、
基板上に備えられた電極層と、
電極層上に備えられた上述の薄膜状の光触媒とキャリア輸送層との積層体と、
積層体上に設けられた助触媒層とを備えてなる。
薄膜状の光触媒とキャリア輸送層との積層体は、光触媒が電極層側に配置されていてもよいし、キャリア輸送層が電極層側に配置されていてもよく、用途に応じて選択することができる。
本発明の光触媒は、少なくとも1種のアルカリ土類金属を含む、斜方晶の窒化タンタルを含有する。Taで表される窒化タンタルは斜方晶の結晶構造を有し、光触媒機能があることが知られているが、既述の通り620nmより長波長側の波長に対する応答性がほとんどない。これに対し、本発明の光触媒は、窒化タンタルのみの場合と比較して少なくとも500nm〜700nmの波長範囲で光吸収率を上昇させることができ、可視光利用効率を向上させることができる。また、Nbを窒化タンタルに添加する場合と比べて組成制御が容易であり、安定に制御することができる。
第1の実施形態の薄膜状光触媒を備えた可視光応答型光触媒デバイスの概略構成を示す図である。 第2の実施形態の薄膜状光触媒を備えた可視光応答型光触媒デバイスの概略構成を示す図である。 比較例1、2の薄膜状光触媒のX線回折プロファイルを示す図である。 実施例1〜3の薄膜状光触媒のX線回折プロファイルを示す図である。 実施例1〜3および比較例1の薄膜状光触媒の透過率特性を示す図である。 透過率とBa量との関係を示す図である。
本発明の光触媒は、少なくとも1種のアルカリ土類金属を含む斜方晶の窒化タンタルからなる。ここで、「少なくとも1種のアルカリ土類金属を含む斜方晶の窒化タンタルからなる」とは、X線回折により窒化タンタル(Ta)に基づく斜方晶ピークが観察され、他の明確な結晶ピークが観察されていない状態のものをいう。アルカリ土類金属は、窒化タンタルの斜方晶構造を崩さない範囲で窒化タンタルのTaと置換して、および/または、窒化タンタルの格子中に添加されていればよい。
本構成の光触媒によれば、アルカリ土類金属を含まない純粋なTaと比較して、可視光域における吸収波長域を広くとることができ、可視光利用効率を向上させることができる。
アルカリ土類金属とは、Ca、Sr、BaおよびRaであるが、これらのうちBa、SrまたはCaが好ましく、特にはBaが好ましい。なお、複数元素が同時に添加されていてもよい。なお、アルカリ土類金属に代えて、Laを用いても、同様の効果を得ることができる。
アルカリ土類金属は、少しでも添加されていれば、全く添加されていない場合に比べて可視光における吸収波長域を広げる効果があるが、斜方晶構造を崩さない範囲で含有量が多い方がより効果が高い。
例えば、アルカリ土類金属がBaである場合、光触媒中においてTaの量を100atm%としたとき、Taに対するBaの含有量が29atm%以下であれば、窒化タンタルに基づく斜方晶構造を維持することができる(後記実施例参照)。なお、可視光域における吸収率の向上の観点から、Taに対するBaの含有量は29atm%以下の範囲で、17atm%以上が好ましく、25atm%以上がさらに好ましい。
<薄膜状光触媒とその製造方法>
薄膜状光触媒は、少なくとも1種のアルカリ土類金属を含む斜方晶構造を有する窒化タンタルからなる上述の光触媒が薄膜状に形成されてなるものであり、例えば、石英等の基板上に形成される。ここで、「薄膜」とは数nm以上10μm以下の厚みの膜をいうものとし、好ましい厚みは100nm以上である。また、特に200nm以上が好ましい。
基板に特に制約はなく、後述の製造工程において大気アニール、NHを用いた処理等の雰囲気および温度に耐えるものであればよい。特には石英が好適であるが、これに限るものではない。なお、薄膜状光触媒を備えたデバイス作製時においては、白金(Pt)やイリジウム(Ir)等からなる電極層を備えた基板の電極層上に薄膜状光触媒を作製する。
少なくとも1種のアルカリ土類金属を含む斜方晶構造を有する窒化タンタルからなる薄膜状光触媒は、基板上に、少なくとも1種のアルカリ土類金属およびTaを含む酸化物、または、少なくとも1種のアルカリ土類金属およびTaを含む酸窒化物からなる薄膜層(以下において、前駆体と称する。)を成膜し、この前駆体をアンモニア(NH)と反応させて窒化膜とするアンモニア処理を施すことにより製造できる。ここで、アンモニア処理とは、前駆体中の酸化タンタルとNHとを反応させて窒化タンタルを生成する処理であり、このとき、NHは酸化タンタルに対する還元剤および窒素化試薬として機能している。
前駆体の成膜方法としては、スパッタ法や蒸着法などの気相法や粉体を用いた固相法、溶液を用いた液相法での形成方法がある。これらのうち、薄膜形成には気相法、液相法が好ましく、膜厚制御等の容易性から気相法がより適しており、特に生産性に優れた、スパッタ法が好ましい。スパッタ法により前駆体を成膜する場合には、ターゲットとしてアルカリ土類金属の酸化物ターゲットと五酸化タンタル(Ta)ターゲットを用いた共スパッタでもよいし、アルカリ土類金属およびTaの複合酸化物ターゲットを用いたスパッタであってもよい。共スパッタの方が組成比をより精度よく制御することができ、好ましい。複合酸化物ターゲットを用いる場合には、成膜時の空間分布などを考慮した組成比のターゲットを用いる必要がある。なお、ターゲットとしては酸化物を用いた場合、スパッタ法で作製する場合には、前駆体となる薄膜層は、基本的には酸化物であるが、スパッタ雰囲気中に窒素をフローさせることにより酸窒化物を成膜してもよい。
また、Taターゲットに代えてTaターゲットを用いても良い。但し、Taターゲットを用いる場合には、Taターゲットを用いる場合より、スパッタ雰囲気中に少し多めに酸素をフローさせる必要がある。
例えば、アルカリ土類金属がBaである場合BaOターゲットとTaターゲットとを、アルカリ土類金属がSrである場合SrOターゲットとTaターゲットとを、アルカリ土類金属がCaの場合CaOターゲットとTaターゲットを、アルカリ土類金属に代えてLaを添加する場合LaとTaターゲットとを用いることができる。
なお、スパッタ法による成膜に際しては、予め所望の組成比および厚みを得られる条件出しを行っておく。例えば、共成膜の成膜が可能であるスパッタ装置における成膜圧力、Ar流量、O流量、高周波(RF)電源によるターゲットへの投入電力などの成膜条件を求める。なお、膜厚は分光エリプソメータで算出可能であり、条件出しの際には、Si基板を用いて行う。組成比は蛍光X線分析(XRF)およびエネルギー分散型X線分析(EDX)により確認することができる。例えば、日立社製SEM−EDXを用いることができる。このようにして、予め求めた条件にて、所望の前駆体を成膜すればよい。
前駆体へのアンモニア処理の前には、大気環境下800℃で1時間程度のアニールを行うことが好ましい。アニールの温度および時間は上記に限定されるものではない。
アンモニア処理としては、NHの分解温度(510℃)以上に設定した電気炉内にNHをフローさせて前駆体と反応させる。アンモニア処理時の処理温度は510℃〜1000℃とすることが好ましい。フローさせたNHをより効率よく分解させ、かつ窒化スピードを向上するために好ましい温度範囲は、840℃〜880℃である。より好ましい温度は880℃〜930℃である。但し、基板の耐熱温度以下とする。合成石英基板であれば耐熱温度が1000℃であるため、上記温度範囲に十分耐えられる。
例えば850℃で5時間、昇温レート10℃/分、NH流量2L/分の条件下で窒化処理を行う。アンモニア処理時のNH濃度は100%であってもよいし、窒素との混合ガスとしてNH濃度を15%としても、ほぼ同様の効果が得られる。
以上の手順により薄膜状光触媒を容易に安定して作製することができる。アルカリ土類金属の場合、Nbと比べて導電性成分は生じにくいため制御性がよく、可視光の利用効率のよい光触媒を製造することができる。アルカリ土類金属の添加量は、前駆体成膜時に調整すればよく、スパッタ条件で調整することができ、組成の制御も容易である。
<可視光応答型光触媒デバイス>
上述の薄膜状光触媒を用いた可視光応答型光触媒デバイスの実施形態について説明する。
図1は、可視光応答型光触媒デバイスの第1の実施形態である光触媒水分解デバイス1の構成を模式的に示す概略構成図である。本デバイス1は水に浸かった状態で使用されるものであり、太陽光の照射を受けて水を水素と酸素に分解するデバイスである。
本デバイス1は、水素発生側デバイス10と酸素発生側デバイス20とを組み合わせて構成されている。各デバイス10、20も本発明の可視光応答型光触媒デバイスの一実施形態である。
水素発生側デバイス10は、石英からなる基板11上にTa、Ptまたは、Irからなる電極層12と、電極層12上に上記実施形態の薄膜状光触媒14およびNiOまたは、CoOからなるキャリア輸送層16がこの順に配置されてなる積層体と、さらに積層体のキャリア輸送層16上に設けられたPt膜がパターニング形成されてなる助触媒層18とを備えている。
また、酸素発生側デバイス20は、石英からなる基板21上にTa、Ptまたは、Irからなる電極層22と電極層22上にNiOまたは、CoOからなるキャリア輸送層26および上記実施形態の薄膜状光触媒24がこの順に配置されてなる積層体と、さらに積層体の薄膜状光触媒24上にNi,Coまたは、Ir膜がパターニング形成されてなる助触媒層28を備えている。
助触媒層18、28は、多数の孤立した円形または、矩形などのドット状にパターニングされていることが好ましい。
そして、水素発生側デバイス10の電極層12と、酸素発生側デバイス20の電極層12とが配線30により接続されている。また、各デバイス10、20は、水への浸漬時に発生した電流が水にリークするのを防止するため、電極層12、22、薄膜状光触媒14、24およびキャリア輸送層16、26の端部は、図示していないが水浸透性の低い樹脂材料により覆われている。
水素発生側デバイス10は、以下のようにして作製することができる。まず、石英からなる基板11を用意し、この基板11上にTa、Ptまたは、Irを約100nm〜1000nm厚みでスパッタまたは、真空蒸着法により成膜して電極層12とし、その上に既述の薄膜状光触媒の製造方法により薄膜状光触媒14を形成する。さらに、キャリア輸送層16をスパッタ成膜または、真空蒸着法により成膜する。キャリア輸送層16を構成するNiOやCoOはp型半導体特性を示す材料であり、そのキャリア密度は1×1016〜1×1018個/cm3である。さらにPt膜を10〜50nm厚みでスパッタ法または、真空蒸着法により成膜し、その後フォトリソプロセスによりパターニングして助触媒層18を形成する。
また、酸素発生側デバイス20は、以下のようにして作製することができる。石英からなる基板21を用意し、この基板21上にTa、Ptまたは、Irを約100nm〜1000nm厚みでスパッタまたは、真空蒸着法により成膜して電極層22とし、その上にキャリア輸送層26をスパッタ成膜または、真空蒸着法により成膜する。キャリア輸送層26は、水素発生側デバイス10のキャリア輸送層16と同様である。キャリア輸送層26の上に既述の薄膜状光触媒の製造方法により薄膜状光触媒24を形成する。さらに、薄膜状光触媒24上にNi、Coまたは、Ir膜を10〜50nm厚みでスパッタ法または、真空蒸着法により成膜し、その後フォトリソプロセスによりパターニングして助触媒層28を形成する。
上記各デバイス10、20の作製工程において、助触媒層材料の成膜には、光電着法、含浸法、あるいは無電解メッキ等を用いてもよい。
本デバイス1は、水中に浸された状態で太陽光など可視光域を含む光の照射を受けることにより、光触媒作用により水を分解して、水素発生側デバイス10の表面(助触媒層18形成面)から水素を、酸素発生側デバイス20の表面(助触媒層28形成面)から酸素を発生させる。可視光が半導体である光触媒に入射すると、電子・正孔対が生成される。このとき、酸素発生側デバイス20では、薄膜状光触媒24で発生した正孔により助触媒上で水が酸化されて酸素を生成し、電子はキャリア輸送層26により取り出され電極層22側に輸送される。一方、水素発生側デバイス10では、薄膜状光触媒14で発生した電子はキャリア輸送層16により取り出され助触媒側に輸送され、その電子により助触媒上で水が還元されて水素を生成する。水素発生側デバイス10で発生した正孔は電極層12側に移動し、電極層12および電極層22が配線30により接続されているため、酸素発生側デバイス20で発生した電子と再結合する。このようなメカニズムにより本デバイスは水素および酸素を発生させる。
本発明の光触媒を用いているので、可視光の広い範囲の波長を効率よく吸収し、可視光利用効率の高いデバイスを構成することができる。
図2は、可視光応答型光触媒デバイスの第2の実施形態である光触媒水分解デバイス2の構成模式的に示す概略構成図である。図2において、第1の実施形態のデバイスと同等の要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施形態の光触媒水分解デバイス2は、第1の実施形態における水素発生側デバイス10と酸素発生側デバイス20の基板同士の裏面を貼り合せた構成である。
このように水素発生側デバイス10と酸素発生側デバイス20を一体的に構成することで取扱い性を向上させることができる。
以下、本発明の光触媒およびその製造方法の実施例および比較例を説明する。
基板として、1インチ角(1インチ×1インチ)、1mm厚みの合成石英基板を用いた。
この基板上に前駆体を成膜した。具体的には、BaOターゲットおよびTaターゲット(豊島製作所社製)を用いた共スパッタ成膜により、アルカリ土類金属であるBaと、Taとを含む酸化物からなる薄膜層を、少なくとも1種のアルカリ土類金属としてBa含む斜方晶の窒化タンタルを含有する光触媒の前駆体として500nmの厚みで成膜した。実施例1〜3および比較例1、2の薄膜状光触媒は、この前駆体の成膜時において、それぞれ下記表1に示すBa量となるように制御した以外は同じ工程で作製した。Ba量は成膜された薄膜中におけるTa成分を100atm%とした場合の含有量である。
スパッタ装置としては、パスカル社製マルチスパッタ装置を用いた。成膜条件は以下の通りとした。
成膜圧力を0.8Pa(ダイヤフラムバルブで0.8Paとなるように設定)、背圧を2×10−5Pa以下(但し、成膜前のチャンバ圧力)、Ar流量を30SCCM、O流量を0.3SCCMとし、高周波投入電力をTaターゲットは120Wにて固定し、BaOターゲット側の投入電力を変化させることにより、Ba量を制御した。例えば、比較例2では45W、実施例1では40Wとした。また、ターゲットと成膜基板との距離を15cm、基板回転速度を25rpm、成膜温度を室温とした。
なお、各例でBaOターゲットへの投入電力が異なるため、それぞれの膜厚を500nmとするために、事前に成膜レートと組成の条件出しを行い、各例についての成膜時間を設定した。
次に、各例の前駆体をヤマト科学製の市販マッフル炉を用いて、大気環境下で800℃、1時間アニールした。このとき、昇温レートは12℃/分とした。アニール後自然冷却させて、マッフル炉内温度が約50℃となるのを確認した後、取り出し、取り出された前駆体をアンモニアと反応させるアンモニア処理を行った。
アンモニア処理の条件は以下の通りとした。アンモニア処理はヒートテック社製卓上型高温雰囲気炉(型式:HRT−42−32SP)を用いて行った。処理は850℃で5時間行った。昇温レートは10℃/分とし、NH流量は2L/分とした。なお、昇温時、室温から300℃までは窒素をフローさせ、300℃に達した後にNHをフローさせた。また、降温時は、NHをフローさせた状態300℃まで自然冷却とし、300℃まで温度が下がった時点で窒素をフローさせた。なお、昇温時および降温時のフローガスは窒素に限らず、Ar等の不活性ガスであってもよい。
以上の手順により実施例1〜3および比較例1、2の薄膜状光触媒サンプルを作製した。
各サンプルについて、リガク製X線回折装置でX線回折プロファイルを計測した。比較例1および2のX線回折プロファイルを図3、実施例1〜3のX線回折プロファイルを図4に示す。なお、図3および図4には、斜方晶Taのパターンファイルを併せて示している。参照したパターンファイルはPDF#79−1533である。
図3および図4に示す通り、実施例1〜3および比較例1のサンプルではいずれもTaに基づく斜方晶が得られた。一方、Ba量が32atm%と最も多かった比較例2ではTaに基づく斜方晶が崩れ、異なる結晶系のピークが表れていた。なお、比較例1はBaが添加されていない従来のTa膜である。
次に分光光度計にて透過率の波長依存性を計測した。なお、比較例2は斜方晶が形成されていないため、除外した。実施例1〜3および比較例1について取得した、透過率の波長依存性を図5に示す。なお、透過率は吸収率と逆比例するものであり、透過率が高いほど吸収率が低く、逆に透過率が低いほど吸収率が高いという関係にある。
図5に示す通り、実施例1〜3はいずれも比較例1に比べて可視光域における吸収波長帯域が広がっていることが分かる。この結果から、Baを添加していないTaと比較して、Taの斜方晶を維持したままBaが添加された光触媒は光利用効率帯域を改善できていると結論づけられる。
なお、図6は、実施例1〜3および比較例1についての波長700mにおける透過率とBa量との関係を示すグラフである。図6に示されるように、Ba量が0の場合から29atm%に増えるまで透過率は単調減少していることがわかる。すなわち、このグラフによれば、Taに対して少しでもBaが添加されれば、Ba量が0のTaの場合と比較して透過率を低下させる、すなわち吸収率を向上させる効果を得ることができることが分かる。また、Ba量が17atm%以上で透過率が10%以下であるため、波長700nmにおける利用効率は非常に高まり、さらに、Ba量が25atm%以上29atm%以下の範囲では透過率がほぼ0%であるため、波長700nmにおける利用効率は最大となると考えられる。
上述の実施例はいずれもアルカリ土類金属としてBaを用いた例であるが、本発明は、Baに限定されるものではなく、他のアルカリ土類金属であってよい。Ba以外のアルカリ土類金属が斜方晶の窒化タンタル中に斜方晶を維持させつつ添加された場合、Baの場合と同様に純粋な窒化タンタルと比較して可視光利用効率を向上できると考えられる。アルカリ土類金属同士は同一の価電子数であり、性質が類似するため、Taに対して添加されるBaに代えて他のアルカリ土類金属の適用も可能であると考えられる。
可視光の吸収特性をもつ光触媒として知られているBaを含む材料として、ペロブスカイト構造を有するBaTaONおよびBaNbONなどが知られている。そして、BaをSr、CaあるいはLaに置き換えたSrTaON、CaTaON、SrNbON、CaNbOおよびLaTaONなども同様にペロブスカイト構造を有して同様の性質を示すことが知られている。
したがって、本明細書において実施例および比較例としてはBaについてのみ検討したが、Baを他のアルカリ土類金属に代えても同様の効果を得ることができると推測される。
1、2 光触媒水分解デバイス(可視光応答型光触媒デバイス)
10 水素発生側デバイス
11、21 基板
12、22 電極層
14、24 薄膜状光触媒
16、26 キャリア輸送層
18、28 助触媒層
20 酸素発生側デバイス

Claims (10)

  1. 少なくとも1種のアルカリ土類金属を含む斜方晶の窒化タンタルを含有する光触媒。
  2. 前記アルカリ土類金属がBa、SrまたはCaである請求項1記載の光触媒。
  3. 前記アルカリ土類金属がBaであり、BaのTaに対する含有量が29atm%以下である請求項1記載の光触媒。
  4. 前記BaのTaに対する含有量が17atm%以上である請求項3記載の光触媒。
  5. 薄膜状に形成されてなる請求項1から4いずれか1項記載の光触媒。
  6. 基板上に、少なくとも1種のアルカリ土類金属およびTaを含む酸化物、または、少なくとも1種のアルカリ土類金属およびTaを含む酸窒化物を含有する薄膜層を成膜し、
    前記薄膜層をアンモニアと反応させて、前記薄膜層を前記少なくとも1種のアルカリ土類金属を含む斜方晶の窒化タンタルを含有する薄膜状光触媒を得る、薄膜状光触媒の製造方法。
  7. スパッタ法により前記薄膜層を成膜する請求項6記載の薄膜状光触媒の製造方法。
  8. 前記アンモニアと反応させる際の処理温度を510℃〜1000℃とする請求項6または7記載の薄膜状光触媒の製造方法。
  9. 請求項1から5いずれか1項記載の光触媒を備えた可視光応答型光触媒デバイス。
  10. 基板と、
    該基板上に備えられた電極層と、
    該電極層上に備えられた請求項5記載の薄膜状の光触媒とキャリア輸送層との積層体と、
    該積層体上に設けられた助触媒層とを備えた可視光応答型光触媒デバイス。
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