JP2016043304A - 光触媒デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】高い光触媒活性を得ることができる光触媒デバイスを提供する。
【解決手段】光照射により触媒機能を発揮する半導体または絶縁体から形成された薄膜(1)と、前記薄膜(1)上に設けられていて前記薄膜(1)とショットキー接合を形成するショットキー接合形成層(4)と、前記ショットキー接合形成層(4)上に設けられていて酸化ターゲット物質を選択的に吸着する酸化ターゲット物質吸着層(2)と、前記薄膜(1)上に設けられていて前記薄膜(1)とオーミック接合を形成するオーミック接合形成層(5)と、前記オーミック接合形成層(5)上に設けられていて還元ターゲット物質を選択的に吸着する還元ターゲット物質吸着層(3)と、を含む光触媒デバイス。
【選択図】図1

Description

本発明は、光、典型的には太陽光により活性化される光触媒を用いた光触媒デバイスに関し、酸化ターゲット物質または還元ターゲット物質の化学反応を効率的に引き起こす光触媒デバイスに関する。
従来、光照射により触媒機能を発揮して酸化ターゲット物質または還元ターゲット物質の化学反応を引き起こす光触媒が公知である。例えば、太陽光を利用して、二酸化炭素の発生を伴うことなく水から水素を生成し、また、二酸化炭素を一酸化炭素、ギ酸、メタノール、メタン等へ再資源化することが可能な技術が注目されており、近年盛んに研究されている。しかしながら、光触媒反応の量子収率を向上させるには、光触媒内で光励起した電子・正孔対の空間分離と、反応中間体あるいは生成物の逆反応を抑制するように設置された酸化あるいは還元反応を促進するサイト(酸化サイトあるいは還元反応サイト)への正孔あるいは電子の移動とが必要である。
この問題を解決するために、例えば酸化チタンによる水の光分解反応においては、酸化チタン粒子の表面に金属微粒子を担持させることで、水素生成反応を促進する報告がある(非特許文献1、2)。非特許文献1では、酸化チタン微粒子の表面全体にAg微粒子をコーティングしたナノ粒子混合体を用いてAg微粒子近傍で水の還元による水素生成を実現している。非特許文献2では、In微粒子を担持した酸化チタン微粒子を用いてIn微粒子近傍で二酸化炭素の光還元を実現している。
また、反応中間体あるいは生成物の逆反応を抑制するためには、酸化反応および還元反応の両方のサイトの配置を制御する必要がある。例えば、非特許文献3には、二酸化炭素の還元反応の効率を向上させるために、二酸化炭素の還元反応サイトと水の酸化反応サイトを、それぞれ金属の陽極板、及び、光触媒に助触媒を添加した陰極板として分離して設け、陰極板から陽極板に電子が流れるように電気的な接続をしている。さらには、陽極板と陰極板を電解液に浸漬し、各極をイオン交換膜で分離することで、逆反応の抑制を可能にしている。
International Journal of Hydrogen Energy 37(2012)9967 Applied Catalysis A: General 467(2013)483 Japanese Journal of Applied Physics 51(2012)02BP07
しかしながら、非特許文献1においては、酸化チタン微粒子表面で起こる水分解による酸素生成サイト(酸化反応サイト)は制御されておらず、水素生成サイト(還元反応サイト)の極めて近傍で酸素生成が起こり得る。また、光触媒内における電子・正孔対の空間分離についても制御されていない。このため、水素と酸素が極めて近傍で生成し逆反応を阻止することは困難である。また、非特許文献2においては、量子収率は0.022%と低い。これは、二酸化炭素を1電子還元してCO を得た後は反応の場が制御されておらず、複数の中間体による逆反応が起こっているためである。非特許文献3においては、イオン交換膜で分離する系は溶液系の酸化還元反応には有効であるが、固体電極で気体の反応ターゲット物質を反応させる系には適用できない。
これらの従来技術に鑑み、本発明は、高い光触媒活性を得ることができる光触媒デバイスを提供することを目的とする。
本発明の課題を解決するための手段の一例は、
光照射により触媒機能を発揮する半導体または絶縁体から形成された薄膜(1)と、
前記薄膜(1)上に設けられていて前記薄膜(1)とショットキー接合を形成するショットキー接合形成層(4)と、
前記ショットキー接合形成層(4)上に設けられていて酸化ターゲット物質を選択的に吸着する酸化ターゲット物質吸着層(2)と、
前記薄膜(1)上に設けられていて前記薄膜(1)とオーミック接合を形成するオーミック接合形成層(5)と、
前記オーミック接合形成層(5)上に設けられていて還元ターゲット物質を選択的に吸着する還元ターゲット物質吸着層(3)と、
を含む光触媒デバイスである。
ここで、前記ショットキー接合形成層(4)が、Pt、Mo、W、Ta、Nb、V、およびこれらの金属のいずれかの合金からなる群から選択された1つから形成され、かつ、前記オーミック接合形成層(5)が、Ti、Al、Au、Cu、Sn、Zn、Ni、Ge、In、Ag、Cr、およびこれらの金属のいずれかの合金からなる群から選択された1つから形成されることが好ましい。
また、前記酸化ターゲット物質吸着層(2)が、Pt、Pd、Co、Au、Ag、Ru、Cu、Cr、Al、Fe、In、Ni、Rh、Re、およびこれらの金属のいずれかの合金、酸化物、硫化物、または窒化物からなる群から選択された1つから形成され、かつ、前記還元ターゲット物質吸着層(3)が、Pt、Pd、Co、Au、Ag、Ru、Cu、Cr、Al、Fe、In、Rh、Ni、Re、およびこれらの金属のいずれかの合金、酸化物、硫化物、または窒化物からなる群から選択された1つから形成されることが好ましい。
さらに、前記ショットキー接合形成層(4)および前記オーミック接合形成層(5)が、前記薄膜(1)上に互いに間隔を空けて交互に配置されていることが好ましい。
さらに、前記ショットキー接合形成層(4)および前記オーミック接合形成層(5)の間隔が、1μm以上100μm以下であることが好ましい。
さらに、前記ショットキー接合形成層(4)の表面積(総面積)の合計をSMsとし、前記オーミック接合形成層(5)の表面積の合計(総面積)をSMoとしたとき、SMsMoであることが好ましい。
さらに、前記酸化ターゲット物質が水であっても良い。また、前記還元ターゲット物質が水素イオンまたは二酸化炭素であっても良い。
本発明によれば、高い光触媒活性を得ることが可能となる。例えば、光触媒薄膜上に、光触媒薄膜とショットキー接合を有する酸化反応サイトを配置することで、薄膜内に光励起した電子・正孔対を速やかに空間分離し、反応の中間体や生成物の逆反応を抑制しつつ、正孔を酸化反応サイトに移動させる。すなわち、例えば、基板の上に作製した光触媒薄膜の表面上に、酸化反応を起こすための助触媒層(酸化助触媒層)を光触媒薄膜とショットキー接合を形成するように担持させることで、光触媒薄膜内に酸化助触媒層の接合領域に向けて正孔を引き寄せる電場を形成し、光触媒内で光励起した電子・正孔対の空間分離と、反応中間体あるいは生成物の逆反応を抑制するように設置された酸化反応を促進するサイト(酸化反応サイト)への正孔の移動を促進させる。このとき、同一の薄膜表面上に、光触媒薄膜とオーミック接合を有する還元反応サイトも配置することで、薄膜内に光励起した電子・正孔対を速やかに空間分離し、反応の中間体や生成物の逆反応を抑制しつつ、電子も還元反応サイトに移動させる。こうして、光触媒が光励起されたことにより生成する電子と正孔対とを効率的に分離し、酸化・還元反応サイトに十分な酸化・還元ターゲット物質を存在させて、酸化・還元反応サイトへ速やかに移動させることで、極めて高い光触媒活性を有する光触媒デバイスを提供することが可能となる。一方、このように電子と正孔が分離されていない場合は、薄膜内に光励起した電子・正孔対が再結合して光触媒活性が失われるとともに、酸化ターゲット物質の酸化サイトと還元ターゲット物質の還元サイトも分離されないため、酸化・還元反応後の生成物がたがいに近傍に存在し得るため、逆反応が起こり、反応効率が低下すると考えられる。
本発明の光触媒デバイスの一例を示す概略上面図である。 図1の光触媒デバイスの概略断面図である。 光照射時間に対する生成ガス量の変化を示す。
以下、図1、2を参照して本発明の光触媒デバイスの実施形態の一例を説明する。なお、本発明は図示された実施形態に限定されない。以下の説明中、例えばX層/Y層の表記は、X層が下層であり、Y層が上層であることを意味する。
本実施形態において、光触媒デバイスは、光照射により触媒機能を発揮する半導体または絶縁体から形成された薄膜1を含む。薄膜1は例えばn型半導体薄膜である酸化チタン(TiO)膜とすることができる。あるいは、薄膜1は、酸化タングステン(WO)、酸化ガリウム(Ga)等の金属酸化物、または硫化カドミウム(CdS)、ガリウム窒化物(GaN)等の化合物半導体から形成することができる。薄膜1は、典型的には基板6の上に設けられる。基板6として例えばn型の半導体シリコン基板、絶縁体であるサファイア基板、または石英基板を用いることができる。
ショットキー接合形成層(以下、Mと称することもある)4が薄膜1上に設けられている。ショットキー接合形成層4は、薄膜1とショットキー接合を形成する層である。ショットキー接合形成層4は、Pt、Mo、W、Ta、Nb、V、およびこれらの金属のいずれかの合金からなる群から選択された1つから形成されることが好ましい。
酸化ターゲット物質吸着層(以下、Mと称することもある)2がショットキー接合形成層4上に設けられている。酸化ターゲット物質吸着層2は、酸化ターゲット物質を選択的に吸着する層である。酸化ターゲット物質吸着層2は、Pt、Pd、Co、Au、Ag、Ru、Cu、Cr、Al、Fe、In、Ni、Rh、Re、およびこれらの金属のいずれかの合金、酸化物、硫化物、または窒化物からなる群から選択された1つから形成されることが好ましい。例えば、酸化ターゲット物質吸着層2としてCoO、IrOのような金属酸化物を用いることができる。
オーミック接合形成層(以下、Mと称することもある)5が薄膜1上に設けられている。オーミック接合形成層5は、薄膜1とオーミック接合を形成する層である。オーミック接合形成層5は、Ti、Al、Au、Cu、Sn、Zn、Ni、Ge、In、Ag、Cr、およびこれらの金属のいずれかの合金からなる群から選択された1つから形成されることが好ましい。
還元ターゲット物質吸着層(以下、Mと称することもある)3がオーミック接合形成層5上に設けられている。還元ターゲット物質吸着層3は、還元ターゲット物質を選択的に吸着する層である。還元ターゲット物質吸着層3は、Pt、Pd、Co、Au、Ag、Ru、Cu、Cr、Al、Fe、In、Rh、Ni、Re、およびこれらの金属のいずれかの合金、酸化物、硫化物、または窒化物からなる群から選択された1つから形成されることが好ましい。例えば、還元ターゲット物質吸着層3としてCuZuO,CuO,NiS等を用いることができる。
酸化ターゲット物質および還元ターゲット物質として水を使用することができる。後述の光触媒活性の評価には、酸化および還元ターゲット物質を水とし、水の酸化反応による酸素生成、水の還元反応による水素生成が例にあげられているが、酸化還元ターゲット物質は水に限定されない。水素イオンを還元ターゲット物質とすることができる。あるいは、二酸化炭素を還元ターゲット物質として使用して、一酸化炭素、ギ散、メタノール、メタンの炭化水素類を生成してもよい。薄膜の伝導帯の底が還元ターゲット物質の還元電位より大きく(高く)、かつ、価電子帯の頂点が酸化ターゲット物質の酸化電位より小さい(低い)のが良い。
ショットキー接合形成層4およびオーミック接合形成層5(酸化ターゲット物質吸着層2および還元ターゲット物質吸着層3)は、薄膜の表面に互いに間隔を空けて交互配置するのが好ましい。典型的には、ショットキー接合形成層4およびオーミック接合形成層5は、マトリックス状または平面格子の格子点状に等間隔で配置されるのが良い。ショットキー接合形成層4およびオーミック接合形成層5の間隔は、用いる薄膜1の光吸収特性や空乏層長さに合わせて、1μm以上100μm以下、好ましくは5μm以上30μm以下である。
目的のパターンの形状、すなわちショットキー接合形成層4およびオーミック接合形成層5(酸化ターゲット物質吸着層2および還元ターゲット物質吸着層3)の形状は、それぞれ円盤状または角の丸い多角形状の形状とすることで、高い対称性により正孔または電子を、それぞれショットキー接合形成層またはオーミック接合形成層に均一に集めることができる。
ショットキー接合形成層4およびオーミック接合形成層5(酸化ターゲット物質吸着層2および還元ターゲット物質吸着層3)のサイズは、薄膜1の光吸収特性や空乏層長さに合わせて、それぞれ直径0.5μm〜100μmの範囲とすることにより、正孔または電子を、それぞれショットキー接合形成層またはオーミック接合形成層上で自由に移動し得る範囲内に効率良く集めることができる。
一般的に、薄膜1において、正孔の移動範囲は電子に劣るため、ショットキー接合形成層4(酸化ターゲット物質吸着層2)の表面積の合計をSMsとし、オーミック接合形成層5(還元ターゲット物質吸着層3)の表面積の合計をSMoとしたとき、SMsMoであることが好ましい。すなわち、正孔が関わる酸化反応サイトとなるショットキー接合形成層4の表面積の合計が、電子の関わる還元反応サイトとなるオーミック接合形成層5の表面積の合計以上となることが好ましい。この場合、正孔と電子を、それぞれショットキー接合形成層とオーミック接合形成層に同程度集めることができる。
ショットキー接合形成層4、酸化ターゲット物質吸着層2、オーミック接合形成層5、および還元ターゲット物質吸着層3の厚みは、各層においてピンホール等が生じず、その機能を発揮できれば良く、各層について5nm以上1μm以下の範囲であれば良い。
本実施形態の光触媒デバイスを製造する際には、薄膜1は、基板6上に、スパッタ法等で作製することができる。スパッタ法以外にも、プラズマCVD法や光CVD法により成膜した酸化チタン膜を用いてもよい。
さらに、薄膜1の表面に、フォトリソグラフィ法により目的のパターンを形成した後、真空蒸着法により、ショットキー接合形成層4を成膜することができる。続けて、ショットキー接合形成層4の表面に、スパッタリング法で酸化ターゲット物質吸着層2を積層する。その後、一般的な化合物半導体プロセスで用いられるとおり,不要部分をリフトオフすることにより、目的のパターンを形成することができる。
さらに、薄膜1の表面に、フォトリソグラフィ法により目的のパターンを形成した後、真空蒸着法により、オーミック接合形成層5および還元ターゲット物質吸着層3を、上記と同様な手法で、この順に積層することができる。真空蒸着法以外に、スパッタ法を用いてもよい。オーミック接合形成層5および還元ターゲット物質吸着層3の積層後、一般的な化合物半導体プロセスで用いられるとおり、不要部分をリフトオフすることにより、目的のパターンを形成することができる。
以下に本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(光触媒デバイスの作製)
実施例1では、薄膜の形成にはn型半導体の酸化チタンを用い、酸化ターゲット物質吸着層(M)の形成にはRuOを用い、還元ターゲット物質吸着層(M)の形成にはPtを用い、ショットキー接合形成層(M)の形成にはPtを用い、オーミック接合形成層(M)の形成にはTiを用い、基板にはn型の半導体シリコン基板を用いた。
酸化チタン膜(薄膜)は、n型の半導体シリコン基板上に、スパッタ法で作製した。ターゲットには、チタン酸化物を用いて、アルゴンと酸素の混合ガス中で成膜した。
酸化チタン膜の表面に、フォトリソグラフィ法により目的のパターンを形成した後、真空蒸着法によりPt(ショットキー接合形成層(M))を成膜した。続けて、Ptの表面に、スパッタリング法でRuO膜(酸化ターゲット物質吸着層(M))を積層した。ターゲットには、RuOを用い、アルゴンと酸素の混合ガス中で成膜した。その後、一般的な化合物半導体プロセスで用いられるとおり、不要部分をリフトオフすることにより、目的のパターンを形成した。
さらに、酸化チタン膜の表面に、フォトリソグラフィ法により目的のパターンを形成した後、真空蒸着法により、Ti(オーミック接合形成層(M))およびPt(還元ターゲット物質吸着層(M))を、この順に積層した。Ti及びPtの積層後、一般的な化合物半導体プロセスで用いられるとおり、不要部分をリフトオフすることにより、目的のパターンを形成した。
実施例1における目的のパターン(Pt/RuO層およびTi/Pt層)の形状は、円盤状とした。また、サイズについては、薄膜の光吸収特性や空乏層長さに合わせて直径2.0μmとした。また、薄膜において、正孔の移動範囲は電子に劣ることを考慮して、正孔が関わる酸化反応サイトとなるPt/RuO層の表面積の合計を25μmとし、電子の関わる還元反応サイトとなるTi/Pt層の表面積の合計を20μmとした。Pt/RuO層およびTi/Pt層の厚みは、実施例1では、それぞれ20nm/30nm、20nm/20nmとした。
このようにして、Pt/RuO層およびTi/Pt層が酸化チタン膜の表面に等間隔に交互配置するように形成した。Pt/RuO層およびTi/Pt層の間隔は、5〜25μmとした。
(光触媒活性評価)
内容量300mLの石英窓付き反応セルに、上述の手順で作製した光触媒デバイスと純水250mLを入れ、光触媒デバイスを完全に純水に浸漬して適当な位置に固定した。アルゴンガスを200mL/minで10分間バブリングして脱泡・置換した後、シリコンテフロンセプタムで密閉した。セル内の圧力は大気圧(1atm)とした。光触媒反応の光源には300Wの高圧キセノンランプ(365nm)を用い、反応セルの石英窓の外側から、光触媒デバイスの表側全面に均一に照射した。光照射後任意の時間に、反応セル内のガスをセプタム部分からシリンジで採取し、ガスクロマトグラフ質量分析計にて反応生成物を分析した。その結果、水素と酸素が生成していることを確認した。
(電気特性評価)
作製した光触媒デバイスにおいて、酸化チタン膜とその上に形成したPt層およびTi層の間の電流−電圧特性を測定し、接合特性を評価した。測定においては、測定対象接合パターンの近傍に酸化チタン膜上にTi/Pt/Auを蒸着した電極パターン形成し接地した。Pt層に電圧をかけて電流−電圧特性を測定したところ、原点付近では電圧が増加しても電流が流れない整流特性が得られた。一方、Ti層に電圧をかけて電流−電圧特性を測定したところ、原点付近では電流と電圧が比例するオーミック特性が得られた。
<実施例2>
光触媒性能評価を下記のように気相系で評価したこと以外は、実施例1と同様の手順で実験を行った。
(光触媒活性評価)
内容量300mLの石英窓付き反応セルに、上述の手順で作製した光触媒デバイスを入れ、適当な位置に固定した。セルにはアルゴンガスと水蒸気の混合ガス(HO:10%)を200mL/minで1時間フローしてセル内のガスを置換した後、フロー速度を20mL/minとしてさらに1時間置換し、シリコンテフロンセプタムで密閉した。セル内の圧力は大気圧(1atm)とした。光触媒反応の光源には300Wの高圧キセノンランプ(250〜400nm)を用い、反応セルの石英窓の外側から、光触媒デバイスの表側全面に均一に照射した。光照射後任意の時間に、反応セル内のガスをセプタム部分からシリンジで採取し、ガスクロマトグラフ質量分析計にて反応生成物を分析した。
<比較例1>
酸化チタン膜表面にTi/Pt層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様の手順で試験を行った。
<比較例2>
最表面のRuO層と酸化チタン膜の間の層にPt層の代わりにTi層を、最表面のPt層と酸化チタン膜の間の層にTi層の代わりにPt層を形成(Ti層を形成しない)したこと以外は、実施例1と同様の手順で試験を行った。
<比較例3>
酸化チタン膜表面にPt/RuO層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様の手順で試験を行った。
<比較例4>
酸化チタン膜表面にPt/RuO層を形成せず、また、Ti/Pt層のTi膜を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様の手順で試験を行った。
実施例1における、光照射時間に対する水素および酸素ガスの生成量のプロットを図3に示す。ガスの生成量は、光触媒デバイスの単位面積あたりの体積に規格化して示した。光照射時間とともに水素および酸素の生成量が増加した。表1に、実施例1、2および比較例1〜8における20時間後の水素ガスおよび酸素ガスの生成量、酸化チタン膜の上に形成したM/M層およびM/M層。の種類、および酸化チタン膜に接触する層と酸化チタン膜との間の接合を示す。
Figure 2016043304
液相系の評価(実施例1、比較例1〜4)では、実施例1の20時間照射で光触媒デバイスの単位面積(cm)あたり水素13.0μL、酸素6.2μLの生成が確認され、比較例1〜4と比べて水素と酸素いずれの生成量も高いことを確認した。
気相系の評価(実施例2、比較例5〜8)においても、実施例2の20時間照射で光触媒デバイスの単位面積(cm)あたり水素2.1μL、酸素1.1μLの生成が確認され、比較例5〜8と比べて水素と酸素いずれの生成量も高いことを確認した。
これは、酸化チタン膜上に、酸化チタン膜とショットキー接合を有するPt/RuO層領域を形成することにより、酸化チタン膜内に光励起した電子・正孔対を速やかに空間分離し、正孔をPt/RuO層領域からなる酸化反応サイトに移動させ、反応の中間体や生成物の逆反応が抑制されており、さらに、同一の酸化チタン膜表面上に、酸化チタン膜とオーミック接合を有するTi/Pt層領域を形成することにより、酸化チタン膜内に光励起した電子・正孔対をより速やかに空間分離し、電子もTi/Pt層領域からなる還元反応サイトに移動させることで、効率的に水の還元反応が起こったと考えられる。
このように、光触媒膜の表面との接合状態を制御し、かつ、独立に、酸化・還元ターゲット物質を吸着する表面特性を有する積層材料の系は、これらを有していない系と比較して、光触媒が光励起されたことにより生成する電子と正孔対を効率的に分離し、酸化・還元反応サイトへ速やかに移動させ、かつ、酸化・還元反応サイトには、十分な酸化・還元ターゲット物質が存在するため、水素生成と酸素生成量が約3倍に向上したと考えられる。
本発明は、例えば、光エネルギー、特には太陽光のエネルギーによりに二酸化炭素を一酸化炭素またはギ酸またはメタノールまたはメタンに還元する光触媒デバイス、または、水を光分解して水素を生成する光触媒デバイスの分野に利用可能である。

Claims (8)

  1. 光照射により触媒機能を発揮する半導体または絶縁体から形成された薄膜(1)と、
    前記薄膜(1)上に設けられていて前記薄膜(1)とショットキー接合を形成するショットキー接合形成層(4)と、
    前記ショットキー接合形成層(4)上に設けられていて酸化ターゲット物質を選択的に吸着する酸化ターゲット物質吸着層(2)と、
    前記薄膜(1)上に設けられていて前記薄膜(1)とオーミック接合を形成するオーミック接合形成層(5)と、
    前記オーミック接合形成層(5)上に設けられていて還元ターゲット物質を選択的に吸着する還元ターゲット物質吸着層(3)と、
    を含む光触媒デバイス。
  2. 前記ショットキー接合形成層(4)が、Pt、Mo、W、Ta、Nb、V、およびこれらの金属のいずれかの合金からなる群から選択された1つから形成され、かつ、前記オーミック接合形成層(5)が、Ti、Al、Au、Cu、Sn、Zn、Ni、Ge、In、Ag、Cr、およびこれらの金属のいずれかの合金からなる群から選択された1つから形成されることを特徴とする、請求項1に記載の光触媒デバイス。
  3. 前記酸化ターゲット物質吸着層(2)が、Pt、Pd、Co、Au、Ag、Ru、Cu、Cr、Al、Fe、In、Ni、Rh、Re、およびこれらの金属のいずれかの合金、酸化物、硫化物、または窒化物からなる群から選択された1つから形成され、かつ、前記還元ターゲット物質吸着層(3)が、Pt、Pd、Co、Au、Ag、Ru、Cu、Cr、Al、Fe、In、Rh、Ni、Re、およびこれらの金属のいずれかの合金、酸化物、硫化物、または窒化物からなる群から選択された1つから形成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の光触媒デバイス。
  4. 前記ショットキー接合形成層(4)および前記オーミック接合形成層(5)が、前記薄膜(1)上に互いに間隔を空けて交互に配置されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光触媒デバイス。
  5. 前記ショットキー接合形成層(4)および前記オーミック接合形成層(5)の間隔が、1μm以上100μm以下であることを特徴とする、請求項4に記載の光触媒デバイス。
  6. 前記ショットキー接合形成層(4)の表面積の合計をSMsとし、前記オーミック接合形成層(5)の表面積の合計をSMoとしたとき、SMsMoであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光触媒デバイス。
  7. 前記酸化ターゲット物質が水であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光触媒デバイス。
  8. 前記還元ターゲット物質が水素イオンまたは二酸化炭素であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の光触媒デバイス。
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