JP6338942B2 - 誘電体セラミックスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、積層コンデンサに利用可能な誘電体セラミックス及びその製造方法、並びに積層コンデンサに関する。
近年、電子機器の小型化及び高性能化に伴い、電子機器に用いられる積層コンデンサに対する小型化及び大容量化への要求がますます強くなってきている。このため、積層コンデンサを構成する誘電体セラミックスには、誘電率の向上、及び誘電正接(tanδ)の低減が求められる。
特許文献1,2に、誘電体セラミックスの粒界及び三重点にシリコン(Si)を分散させる技術が開示されている。上記技術に係る誘電体セラミックスでは、粒界及び三重点に分散するシリコンの作用によりtanδが低減される。
特開2012−214334号公報 特開2009−044017号公報
しかしながら、上記技術に係る誘電体セラミックスでは、シリコンの存在により粒界及び三重点が拡大し、これに伴って誘電体セラミックスを構成する誘電体粒子が縮小してしまう。誘電体粒子が縮小すると、誘電体粒子ひとつあたりの分極量が小さくなるため、誘電体セラミックスの誘電率が低下してしまう。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、高誘電率及び低tanδを両立可能な誘電体セラミックス及びその製造方法、並びに積層コンデンサを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る誘電体セラミックスは、セラミックス粒子と、二次相とを含有する。
上記セラミックス粒子は、バリウム及びチタンを含むペロブスカイト構造であって、ドメインを有する。
上記二次相は、上記セラミックス粒子の中にあり、シリコン及び酸素を含む。
この構成では、シリコン及び酸素を含む二次相の作用によりtanδが低減される。また、この誘電体セラミックスでは、二次相がセラミックス粒子の中にあるため、二次相が粒界や三重点にある場合のような誘電率の低下が生じない。したがって、この構成によれば、誘電率を低下させることなく、tanδを低減することが可能である。
上記二次相は円形の断面を有していてもよい。
この構成では、二次相が球状であるため、誘電体セラミックスの内部応力により二次相からセラミックス粒子に加わる力が均一になる。これにより、セラミックス粒子にクラックが生じにくくなる。
単一の上記セラミックス粒子の中に、複数の上記二次相が含まれていてもよい。
この構成では、誘電率を低下させることなく、tanδを更に低減することが可能である。
本発明の一形態に係る誘電体セラミックスの製造方法では、バリウム及びチタンを含むペロブスカイト構造の材料により構成されるセラミックス粒子を含有する主相粉末が準備される。
シリコン及び酸素を含む二次相を含有する二次相粉末が準備される。
上記主相粉末と上記二次相粉末とを混合して混合物が作製される。
上記混合物を成形して成形体が作製される。
上記成形体に対し、1000[℃/時間]以上の昇温速度で、900℃以上1000℃以下の第1温度まで昇温し、上記第1温度で5分以上30分以下保持する第1熱処理が行われる。
上記第1熱処理の後の上記成形体に対し、1000[℃/時間]以上の昇温速度で、1100℃以上1300℃以下の第2温度まで昇温する第2熱処理が行われる。
この構成により、セラミックス粒子の中に二次相を含ませることができるようになる。したがって、この構成の誘電体セラミックスの製造方法によれば、高誘電率及び低tanδを両立可能な誘電体セラミックスを提供することができる。
上記第2熱処理では、上記第2温度で5分以上30分以下保持してもよい。
この構成により、より良好にセラミックス粒子の中に二次相を含ませることができるようになる。
本発明の一形態に係る積層コンデンサは、第1及び第2内部電極と、上記第1及び第2の内部電極の間に配置される誘電体セラミックス層とを具備する。
上記誘電体セラミックス層は、バリウム及びチタンを含むペロブスカイト構造であって、ドメインを有するセラミックス粒子と、上記セラミックス粒子の中にあり、シリコン及び酸素を含む二次相と、を含む。
この構成では、高誘電率及び低tanδを両立可能な誘電体セラミックス層が得られる。したがって、この構成によれば、高性能な積層コンデンサを提供することができる。
高誘電率及び低tanδを両立可能な誘電体セラミックス及びその製造方法、並びに積層コンデンサを提供することができる。
本発明の一実施形態に係る積層コンデンサの断面図である。 図1の一点鎖線で囲んだ領域を拡大して示す上記積層コンデンサの拡大断面図である。 上記積層コンデンサの製造方法を示すフローチャートである。 実施例に係る積層コンデンサの断面のEDSによる組成分析結果を示す図である。 実施例及び比較例に係る積層コンデンサの誘電率及びtanδを示すグラフである。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
[積層コンデンサ1]
図1は、本発明の一実施形態に係る積層コンデンサ1の断面図である。
積層コンデンサ1は、積層体10と、第1外部電極14と、第2外部電極15とを具備する。第1外部電極14及び第2外部電極15は、相互に対を成し、積層体10の両端部にそれぞれ設けられている。
積層体10は、複数の第1内部電極11と、複数の第2内部電極12と、誘電体セラミックス層13とを有する。複数の第1内部電極11及び複数の第2内部電極12は、相互に対を成し、交互に積層されている。誘電体セラミックス層13は、複数の第1内部電極11と複数の第2内部電極12との間に配置されている。
複数の第1内部電極11は第1外部電極14に接続され、複数の第2内部電極12は第2外部電極15に接続されている。このような構成により、積層コンデンサ1では、外部電極14,15間に電圧が印加されると、内部電極11,12間の誘電体セラミックス層13に電圧が加わる。
[誘電体セラミックス層13]
図2は、図1の一点鎖線で囲んだ領域を拡大して示す積層コンデンサ1の拡大断面図である。積層コンデンサ1の誘電体セラミックス層13は、セラミックス粒子16と、二次相17とを含有する誘電体セラミックスにより構成される。誘電体セラミックス層13は、その厚さ方向に、1〜2個程度のセラミックス粒子16を有する。
セラミックス粒子16は、チタン酸バリウム(BaTiO)に代表される、バリウム(Ba)及びチタン(Ti)を含むペロブスカイト構造の材料により構成されている。各セラミックス粒子16が高誘電率となるように構成されることにより、誘電体セラミックス層13では9000以上の高誘電率が得られる。
誘電体セラミックス層13内の高誘電率のセラミックス粒子16はそれぞれドメインパターン(以下、単に「ドメイン」とも言う。)を有する。このため、誘電体セラミックス層13内のセラミックス粒子16が高誘電率であると、誘電体セラミックス層13の断面には、図2に示すような一連の縞状のドメインパターンを有するセラミックス粒子16が観察されるようになる。
ドメインパターンは、例えば、STEM(Scanning Transmission Electron Microscope:走査型透過電子顕微鏡)やTEM(Transmission Electron Microscope:透過型電子顕微鏡)によって観察可能である。
ドメインパターンは、セラミックス粒子16の自発分極に起因して発現する。したがって、ドメインパターンは、高誘電率であることに加え、自発分極の向きなどの条件が揃っているセラミックス粒子16のみに観察される。
このため、図2に示すように、誘電体セラミックス層13内のセラミックス粒子16がいずれも高誘電率であり、いずれもドメインを有する場合であっても、誘電体セラミックス層13の断面には、ドメインが観察されるセラミックス粒子16と、ドメインが観察されないセラミックス粒子16との両方が存在する。
二次相17は、シリコン(Si)及び酸素(O)を含む材料により構成されている。二次相17は、セラミックス粒子16よりも小さい球形のサブミクロン粒子として構成される。二次相17は、セラミックス粒子16の粒界や三重点にはほとんど存在せず、主としてセラミックス粒子16の中に存在する。したがって、本実施形態に係る誘電体セラミックス層13の断面には、二次相17を包含するセラミックス粒子16が観察される。
セラミックス粒子16に包含される二次相17が、円形の断面を有し、球形であるため、誘電体セラミックス層13の内部応力により二次相17からセラミックス粒子16に加わる力が均一になる。したがって、セラミックス粒子16に対して局所的な力が加わることにより、セラミックス粒子16にクラックが生じることを防止することができる。
以上のように、誘電体セラミックス層13の断面には、一連のドメインを有するセラミックス粒子16が観察されるとともに、二次相17を包含するセラミックス粒子16が観察される。したがって、本実施形態に係る誘電体セラミックス層13の断面は、図2に示すように、一連のドメインが観察され、かつ、二次相17を包含するセラミックス粒子16が含まれる特徴的な組織となる。
誘電体セラミックス層13では、セラミックス粒子16内の二次相17によって、セラミックス粒子16に圧電効果により生じる内部応力が緩衝され、セラミックス粒子16における内部電界の上昇が抑制される。これにより、誘電体セラミックス層13では、セラミックス粒子16内における分極の反転がスムーズに起こるようになる。このため、本実施形態に係る積層コンデンサ1では誘電正接(tanδ)が低減される。
また、誘電体セラミックス層13では、二次相17がセラミックス粒子16の粒界や三重点にほとんど存在しないため、セラミックス粒子16が縮小することによるセラミックス粒子16の誘電率の低下が生じない。したがって、本実施形態では、誘電体セラミックス層13を高誘電率に保ちつつ、積層コンデンサ1のtanδを低減することが可能である。
更に、誘電体セラミックス層13が複数の二次相17を包含するセラミックス粒子16を有する場合に、積層コンデンサ1におけるtanδを低減させる効果がより良好に得られる。したがって、誘電体セラミックス層13は、一連のドメインが観察されるセラミックス粒子16が複数の二次相17を包含している断面組織を有することが好ましい。
[積層コンデンサ1の製造方法]
図3は、積層コンデンサ1の製造方法を示すフローチャートである。図3に沿って、積層コンデンサ1の製造方法について説明する。
(ステップS01:セラミックススラリー準備)
まず、主相粉末と二次相粉末とを準備する。主相粉末は、バリウム及びチタンを含むペロブスカイト構造の材料により構成され、誘電体セラミックス層13のセラミックス粒子16となる未焼成粉末である。二次相粉末は、シリコン及び酸素を含み、誘電体セラミックス層13の二次相17となる未焼成粉末である。
主相粉末と二次相粉末とを有機溶剤及びバインダとともに混合することにより、セラミックススラリーが得られる。
セラミックススラリーには、主相粉末及び二次相粉末以外に、Y,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Ybなどより選ばれる希土類元素の酸化物や、Mn、V、Moなどより選ばれる遷移元素の酸化物や、Mg、Ca、Srなどより選ばれるアルカリ土類元素の酸化物などが添加物として含まれていてもよい。
(ステップS02:グリーンシート作製)
セラミックススラリーをシート状に成形することによりグリーンシートが得られる。セラミックススラリーのシート化には、例えば、ロールコーターを用いることができる。
(ステップS03:内部電極形成)
グリーンシートに、例えばスクリーン印刷法などによって、導電ペーストを印刷することにより、積層コンデンサ1の内部電極11,12となる未焼成の内部電極を形成する。
(ステップS04:積層)
内部電極が形成されたグリーンシートを積層することにより、積層コンデンサ1の積層体10となる未焼成の積層体が得られる。
(ステップS05:切断)
未焼成の積層体を、例えばダイシングブレードなどにより、各積層コンデンサ1ごとに切り分けることにより、チップが得られる。
(ステップS06:外部電極形成)
チップの両端部に導電ペーストを塗布することにより、積層コンデンサ1の外部電極14,15となる未焼成の外部電極を形成する。未焼成の外部電極は、ニッケル(Ni)や銅(Cu)などの卑金属により構成されていることが好ましい。
(ステップS07:脱バインダ処理)
未焼成の外部電極を形成したチップを、N雰囲気中で300℃に加熱することにより、脱バインダ処理を行う。
(ステップS08:第1熱処理)
脱バインダ処理後のチップに対し、所定の第1温度での第1熱処理を行う。第1熱処理では、チップを、1000[℃/時間]以上の昇温速度で、第1温度まで急速昇温し、第1温度で保持する。第1熱処理は、N及びHOを含み、0.01〜0.1vol%の水素濃度となる還元性雰囲気中で行うことが好ましい。
第1熱処理により、誘電体セラミックス層13におけるセラミックス粒子16の再配列及び緻密化を促進し、二次相17を一旦、セラミックス粒子16の三重点に析出させる。
上記の第1温度は900℃以上1000℃以下である。第1温度が900℃より低いと、二次相17がセラミックス粒子16の三重点に良好に析出しない。また、第1温度が1000℃より高いと、二次相17がセラミックス粒子16の粒界にまで濡れ広がってしまう。
更に、第1温度が1000℃より高いと、セラミックス粒子16の粒界に分布する添加物粒子のセラミックス粒子16内への固溶が進む。これにより、セラミックス粒子16同士の結合が弱くなる場合がある。また、完成後の積層コンデンサ1の誘電体セラミックス層13においてセラミックス粒子16のドメインが良好に発現されなくなる場合もある。
また、第1熱処理における第1温度での保持時間は5分以上30分以下である。保持時間が5分未満であると、二次相17がセラミックス粒子16の三重点に良好に析出しない。また、保持時間が30分を超えると、二次相17がセラミックス粒子16の粒界にまで濡れ広がってしまう。
(ステップS09:第2熱処理)
第1熱処理後のチップに対し、第1熱処理に係る第1温度よりも高い所定の第2温度での第2熱処理を行う。第2熱処理では、チップを、1000[℃/時間]以上の昇温速度で、第2温度まで急速昇温し、第2温度で保持する。第2熱処理は、N及びHOを含み、0.01〜0.1vol%の水素濃度となる還元性雰囲気中で行うことが好ましい。
第2熱処理は第1熱処理に連続して実施されることが好ましい。つまり、第1熱処理の終了後すぐに、チップを第1温度から第2温度へと昇温することが好ましい。
第2熱処理により、誘電体セラミックス層13におけるセラミックス粒子16が、図2に示す大きさまで粒成長する。粒成長したセラミックス粒子16は、その断面の全域にわたって一連のドメインを発現可能となる。
また、セラミックス粒子16の粒成長の過程において、相互に隣接する複数のセラミックス粒子16が結合する際に、第1熱処理において三重点に析出していた二次相17が、セラミックス粒子16の中に取り込まれる。これにより、誘電体セラミックス層13における二次相17がセラミックス粒子16によって包含される構成ができあがる。
上記の第2温度は1100℃以上1300℃以下である。第2温度が1100℃より低いと、セラミックス粒子16の粒成長が良好に進行しない。第2温度が1300℃より高いと、セラミックス粒子16の粒成長が進みすぎ、セラミックス粒子16が粗大化してしまう。
また、第2熱処理における第2温度での保持時間は5分以上30分以下である。保持時間が5分未満であると、セラミックス粒子16の粒成長が良好に進行しない。また、保持時間が30分を超えると、セラミックス粒子16の粒成長が進みすぎ、セラミックス粒子16が粗大化してしまう。
なお、第1熱処理において、二次相17がセラミックス粒子16の粒界にまで濡れ広がってしまっていると、第2熱処理におけるセラミックス粒子16の粒成長の過程において、二次相17がセラミックス粒子16の粒界に沿って流動してしまう。これにより、二次相17は、セラミックス粒子16に取り込まれることなく、セラミックス粒子16の粒界に残存しやすくなる。
(ステップS10:アニール処理)
第2熱処理後のチップに対し、アニール処理を行う。アニール処理では、チップを、600[℃/時間]以上の昇温速度で、1100℃以上1300℃以下の第3温度まで昇温し、第3温度で1時間以上5時間以下保持する。アニール処理は、0.5〜4.0vol%の水素濃度となる還元性雰囲気中で行うことが好ましい。
(ステップS11:再酸化処理)
アニール処理後のチップに対し、再酸化処理を行う。再酸化処理では、チップを、N及びOを混合した酸化性雰囲気中において、600度以上800℃以下の第4温度で保持する。
以上により、本実施形態に係る積層コンデンサ1が得られる。
[実施例1〜8]
上記の製造方法によって、実施例1〜8に係る積層コンデンサ1を、第1熱処理の条件を変化させて製造した。いずれの積層コンデンサ1についても第1熱処理の条件以外の製造条件は共通である。いずれの積層コンデンサ1でも、外形寸法を、幅0.5mm、長さ1.0mm、高さ0.5mmとし、誘電体セラミックス層13を10層とし、各層の平均厚さを1.2μmとした。
各積層コンデンサ1の評価として、各積層コンデンサ1について、断面分析、及び電気特性測定を行った。各積層コンデンサ1の断面分析では、分析サンプルとして、各積層コンデンサ1を切り出して形成した薄片を用い、分析装置として、STEM及びEDS(Energy Dispersion Spectroscopy)を用いた。
STEM観察は、各積層コンデンサ1の断面における誘電体セラミックス層13を2層含む視野で行った。STEM観察では、各積層コンデンサ1について30個以上抽出したセラミックス粒子16の中から、その全域にわたって一連のドメインが観察されるセラミックス粒子16の個数を計上した。
また、STEM観察において一連のドメインが観察されるセラミックス粒子16におけるコントラストの不連続な部分を検出し、検出した部分についてEDSによる組成分析を行った。これにより、シリコンが検出された場合、当該セラミックス粒子16に二次相17が包含されるものと判断した。
図4は、EDSによる組成分析結果の一例を示している。図4に示す例では、セラミックス粒子16に含まれるチタン、バリウム、及び酸素以外に、シリコンが検出されている。したがって、図4に示す組成分析結果から、本例に係る部分に二次相17が存在するものと判断される。
各積層コンデンサ1について、一連のドメインが観察され、かつ、二次相17を包含するセラミックス粒子16の個数を計上した。
電気特性測定では、各積層コンデンサ1について、1kHzで0.5Vrmsの交流電圧を印加した条件下で、LCRメータによって、誘電体セラミックス層13の誘電率、及びtanδを測定した。電気特性測定は各積層コンデンサ1につき50個のサンプルに対して行い、50個のサンプルについて得られた測定値の平均値を、各積層コンデンサ1についての測定値とした。
表1に、実施例1〜8に係る積層コンデンサ1について、第1熱処理の条件、断面分析結果、及び電気特性測定結果をまとめて示す。
第1熱処理の条件としては、第1温度、及び保持時間が示される。断面分析結果としては、一連のドメインが観察されるセラミックス粒子16の個数(粒子数A)、及び一連のドメインが観察され、かつ、二次相17を包含するセラミックス粒子16の個数(粒子数B)が示される。電気特性測定結果としては、誘電率の測定値、及びtanδの測定値が示される。
Figure 0006338942
表1に示すように、実施例1〜8に係る積層コンデンサ1では、いずれも粒子数Bが1以上であり、すなわち、一連のドメインが観察され、かつ、二次相17を包含するセラミックス粒子16が発見された。そして、実施例1〜8に係る積層コンデンサ1では、いずれも9000以上の高い誘電率と、14%以下の低いtanδとが得られた。
[比較例1〜6]
比較例1〜6に係る積層コンデンサを製造した。いずれの積層コンデンサについても、第1熱処理の条件以外の製造条件は、実施例1〜8に係る積層コンデンサ1と共通である。各積層コンデンサのその他の構成や、積層コンデンサの評価方法も、実施例1〜8に係る積層コンデンサ1と共通である。
表2に、比較例1〜6に係る積層コンデンサについて、第1熱処理の条件、断面分析結果、及び電気特性測定結果をまとめて示す。
Figure 0006338942
表2に示すように、比較例1,2では上記実施形態よりも第1熱処理の保持時間が短い。比較例3では上記実施形態よりも第1熱処理の時間が長い。比較例4では上記実施形態よりも第1温度が低い。比較例5,6では上記実施形態よりも第1温度が高い。
比較例1,2に係る積層コンデンサでは、いずれも粒子数Bがゼロであり、すなわち、一連のドメインが観察され、かつ、二次相17を包含する粒子16が発見されなかった。また、比較例1,2に係る積層コンデンサでは、9000以上の高い誘電率であり、15%を超える高いtanδであった。
比較例1,2に係る積層コンデンサでは、第1熱処理の第1温度での保持時間が短すぎるため、二次相17がセラミックス粒子16の三重点に良好に析出しなかったものと予想される。その結果、二次相17による積層コンデンサのtanδを低減させる効果が十分に得られなかったものと考えられる。
比較例3に係る積層コンデンサでは、粒子数Bがゼロであり、すなわち、一連のドメインが観察され、かつ、二次相17を包含するセラミックス粒子16が発見されなかった。また、比較例3に係る積層コンデンサでは、14%未満の低いtanδであるものの、9000未満のやや低い誘電率であった。
比較例3に係る積層コンデンサでは、第1熱処理の第1温度での保持時間がやや長かったため、第1熱処理において二次相17がセラミックス粒子16の粒界にまで濡れ広がってしまったものと予想される。その結果、セラミックス粒子16が縮小することにより、誘電体セラミックス層13の誘電率が低下したものと考えられる。
比較例4に係る積層コンデンサでは、粒子数Bがゼロであり、すなわち、一連のドメインが観察され、かつ、二次相17を包含するセラミックス粒子16が発見されなかった。また、比較例4に係る積層コンデンサでは、9000以上の高い誘電率であるのの、17%弱の高いtanδであった。
比較例4に係る積層コンデンサでは、第1熱処理の第1温度が低すぎるため、二次相17がセラミックス粒子16の三重点に良好に析出しなかったものと予想される。その結果、二次相17による積層コンデンサのtanδを低減させる効果が十分に得られなかったものと考えられる。
比較例5,6に係る積層コンデンサでは、いずれも粒子数Aがゼロであり、すなわち、ドメインが観察されるセラミックス粒子16が発見されなかった。また、比較例5,6に係る積層コンデンサでは、14%未満の低いtanδであるものの、7000前後の低い誘電率であった。
比較例5,6に係る積層コンデンサでは、第1熱処理の第1温度が高すぎるため、第1熱処理において二次相17がセラミックス粒子16の粒界にまで濡れ広がってしまったものと予想される。その結果、セラミックス粒子16が縮小することにより、誘電体セラミックス層13の誘電率が低下したものと考えられる。
[まとめ]
図5は、実施例1〜8及び比較例1〜6における電気特性測定結果をまとめたグラフである。このグラフから、実施例1〜8に係る積層コンデンサ1では、いずれも高誘電率を保ちつつ、tanδを低減することが実現されている。すなわち、誘電率が9000〜13000で、tanδが10〜14%の積層コンデンサ1が得られた。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
1…積層コンデンサ
10…積層体
11,12…内部電極
13…誘電体セラミックス層
14,15…外部電極
16…セラミックス粒子
17…二次相

Claims (1)

  1. バリウム及びチタンを含むペロブスカイト構造の材料により構成されるセラミックス粒子を含有する主相粉末を準備し、
    シリコン及び酸素を含む二次相を含有する二次相粉末を準備し、
    前記主相粉末と前記二次相粉末とを混合して混合物を作製し、
    前記混合物を成形して成形体を作製し、
    前記成形体に対し、1000[℃/時間]以上の昇温速度で、900℃以上1000℃以下の第1温度まで昇温し、前記第1温度で5分以上30分以下保持する第1熱処理を行い、
    前記第1熱処理の後の前記成形体に対し、1000[℃/時間]以上の昇温速度で、1100℃以上1300℃以下の第2温度まで昇温し、前記第2温度で5分以上30分以下保持する第2熱処理を行う
    誘電体セラミックスの製造方法。
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