以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る蓄電素子について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
なお、以下の説明および図面中において、蓄電素子の電極体の極板の積層方向をY軸方向と定義する。つまり、Y軸方向(積層方向)は、容器の長側面の対向方向でもある。また、積層方向に垂直で、かつ、容器の底部と平行な方向をX軸方向と定義する。つまり、X軸方向は、容器の短側面の対向方向でもある。また、蓄電素子のX軸方向およびY軸方向に垂直な方向をZ軸方向(上下方向)と定義する。つまり、Z軸方向は、容器の底部と蓋体が対向する方向でもある。また、これらの図における、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向のそれぞれについて、矢印の先の方向をプラス側とし、その反対側の方向をマイナス側とする。
(実施の形態)
まず、蓄電素子10の構成について、説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10の外観を模式的に示す斜視図である。図2は、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10の容器100の容器本体111を分離して蓄電素子10が備える各構成要素を示す斜視図である。図3は、図1の蓄電素子10のA−A断面を示す図である。
蓄電素子10は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。なお、蓄電素子10は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。
これらの図に示すように、蓄電素子10は、容器100と、正極端子200と、負極端子300とを備えている。また、容器100内方には、正極集電体120と、負極集電体130と、電極体400と、規制部材500とが収容されている。蓄電素子10の容器100の内部には電解液(非水電解質)などの液体が封入されているが、当該液体の図示は省略する。なお、容器100に封入される電解液としては、蓄電素子10の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく様々なものを選択することができる。
容器100は、矩形筒状で底部を備える容器本体111と、容器本体111の開口を閉塞する板状部材である蓋体110とで構成されている。ここで、容器本体111の底部と、蓋体110とは、互いに対向している。また、容器100は、電極体400および規制部材500等を内部に収容後、蓋体110と容器本体111とが溶接等されることにより、内部を密封することができるものとなっている。なお、蓋体110および容器本体111の材質は、特に限定されないが、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金など溶接可能な金属であるのが好ましい。
電極体400は、正極410と負極420とセパレータ430とを備え、電気を蓄えることができる部材である。具体的には、正極410は、アルミニウムやアルミニウム合金などからなる矩形状の金属箔である正極基材層上に正極活物質層が形成されたものである。また、負極420は、銅や銅合金などからなる矩形状の金属箔である負極基材層上に負極活物質層が形成されたものである。また、セパレータ430は、樹脂からなる矩形状の微多孔性のシートである。電極体400の具体的な構成については、図4を用いて説明する。なお、図3に示すように、一点鎖線で示す負極420は、破線で示す正極410よりも積層方向(Y軸方向)から見て平面視における面積が大きい。また、図3において実線で示すセパレータ430は、正極410および負極420が互いに短絡することを防ぐために、正極410および負極420よりも積層方向(Y軸方向)から見て平面視における面積が大きく、かつ、各端辺が、正極410および負極420の端辺(ただし正極接続部411および負極接続部421を除く)よりも外側に配置されるように積層されている。ここで、セパレータ430の端辺とは、各セパレータの端部分であり、各極板からはみ出た部分のことを指す。
図4は、電極体400の構造を説明するための図である。具体的には、図4は、電極体400を構成している正極410、負極420、およびセパレータ430の分解斜視図である。なお、図4では、正極410および負極420を図示するために、手前側(Y軸方向マイナス側)に配置される、2枚のセパレータ430を破線で示している。
電極体400は、図4に示すように、複数の正極410および複数の負極420が交互に積層された複数の極板のそれぞれの間に、複数のセパレータ430が配置されることにより構成される。具体的には、電極体400は、セパレータ430と、正極410と、セパレータ430と、負極420とがこの順に繰り返し積層されることにより構成される。つまり、電極体400は、複数の平板状の極板が積層された積層型(スタック型)の電極体である。
正極410は、アルミニウムやアルミニウム合金などからなる矩形平板状の正極基材層の両表面に、正極活物質層が形成されたものである。なお、本発明に係る蓄電素子10に用いられる正極410は、特に従来用いられてきたものと異なるところはなく、通常用いられているものが使用できる。
例えば、正極活物質としては、LiMPO4、Li2MSiO4、LiMBO3(MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種または2種以上の遷移金属元素)等のポリアニオン化合物、チタン酸リチウム、マンガン酸リチウム等のスピネル化合物、Li1+αM1−αO2(0≦α<1、MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種または2種以上の遷移金属元素)等のリチウム遷移金属酸化物等を用いることができる。
負極420は、銅や銅合金などからなる矩形平板状の負極基材の両表面に、負極活物質層が形成されたものである。なお、本発明に係る蓄電素子10に用いられる負極420は、特に従来用いられてきたものと異なるところはなく、通常用いられているものが使用できる。
例えば、負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。例えば、リチウム金属、リチウム合金(リチウム−アルミニウム、リチウム−鉛、リチウム−錫、リチウム−アルミニウム−錫、リチウム−ガリウム、およびウッド合金等のリチウム金属含有合金)の他、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(例えば黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)、金属酸化物、リチウム金属酸化物(Li4Ti5O12等)、ポリリン酸化合物などが挙げられる。
また、正極410には、正極410のX軸方向プラス側の一部からZ軸方向プラス側(上方)に向かって突出している正極タブ410aが形成されている。負極420には、負極420のX軸方向マイナス側の一部からZ軸方向プラス側(上方)に向かって突出している負極タブ420aが形成されている。正極タブ410aおよび負極タブ420aは、セパレータ430のZ軸方向プラス側の端部(上端)よりも上方に突出している。正極タブ410aでは、正極活物質が形成されておらず、正極基材層であるアルミニウム箔が露出している。負極タブ420aでは、負極活物質が形成されておらず、負極基材層である銅箔が露出している。つまり、電極体400の上部におけるX軸方向プラス側の一部は、電極体400の上方に向かって突出しており、かつ、正極基材のみが露出している正極接続部411である。また、電極体400の上部におけるX軸方向マイナス側の一部は、電極体400の上方に向かって突出しており、かつ、負極基材のみが露出している負極接続部421である。つまり、正極接続部411は、正極410の活物質層非形成部が積層されて束ねられた電極体400の一部である。負極接続部421は、負極420の活物質層非形成部が積層されて束ねられた電極体400の他の一部である。
正極集電体120は、電極体400の上方の正極側に配置され、正極端子200と正極接続部411とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。なお、正極集電体120は、電極体400の正極基材層と同様、アルミニウムまたはアルミニウム合金などで形成されている。具体的には、正極集電体120は、電極体400の正極接続部411に溶接などによって接合されることで、電極体400の正極410と接続される。
負極集電体130は、電極体400の上方の負極側に配置され、負極端子300と負極接続部421とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。なお、負極集電体130は、電極体400の負極基材層と同様、銅または銅合金などで形成されている。具体的には、負極集電体130は、電極体400の負極接続部421に溶接などによって接合されることで、電極体400の負極420と接続される。
正極端子200は、電極体400の正極410に電気的に接続された電極端子であり、負極端子300は、電極体400の負極420に電気的に接続された電極端子である。つまり、正極端子200および負極端子300は、電極体400に蓄えられている電気を蓄電素子10の外部空間に導出し、また、電極体400に電気を蓄えるために蓄電素子10の内部空間に電気を導入するための金属製の電極端子である。また、正極端子200および負極端子300は、電極体400の上方に配置された蓋体110に取り付けられている。つまり、正極端子200および負極端子300は、容器100の壁面に設けられている。
なお、正極集電体120および負極集電体130は、それぞれ、正極端子200および負極端子300とは別体の構造物であってもよいし、正極端子200および負極端子300の一部であってもよい。
複数のセパレータ430は、端辺が規制部材500に固定されている。具体的には、複数のセパレータ430は、複数の正極410および複数の負極420とともに積層された状態(図4参照)で、互いに対向している2つの端辺(つまりここではX軸方向の両側の端辺)において規制部材500に固定されている。
規制部材500は、セパレータ430の一部が固定された部材であって、容器100に対する移動が規制されている部材である。なお、ここで言う、セパレータ430の一部とは、具体的には、上述したように、セパレータ430のX軸方向の両側の端辺である。電極体400と規制部材500とは、固定されることにより一体化されている。また、規制部材500は、Y軸方向に分離された複数の部材により構成されている。具体的には、規制部材500は、第一規制部材510、第二規制部材520および第三規制部材530により構成されている。規制部材500は、絶縁性を有する材料により構成されており、例えば、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンスルファイド)などの樹脂を用いることができる。なかでもPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)が好適である。また、セパレータと規制部材とを熱溶着により固定する場合には、セパレータと融点が近い材料で規制部材を構成することで、熱溶着による固定が容易になる。
図5は、図1の蓄電素子10のB−B断面を示す図である。
同図に示すように、電極体400は、複数の正極410、複数の負極420および複数のセパレータ430が積層された第一の端辺束401および第二の端辺束402から構成される2つのの端辺束を有している。第一の端辺束401および第二の端辺束402は、それぞれ、第一規制部材510および第二規制部材520に固定されている。第一の端辺束401および第二の端辺束402は、第一規制部材510および第二規制部材520が互いに固定されることにより、一体化されている。また、規制部材500は、第一規制部材510、第二規制部材520および第三規制部材530が、複数のセパレータ430が束ねられた固定部分431、432を介して接合されることにより、構成されている。
規制部材500は、容器100にZ軸方向およびY軸方向で当接することにより、容器100に対する移動が規制されている。具体的には、規制部材500は、容器100のX軸方向側の側面(短側面)に沿って配置される板状部材である。規制部材500は、容器100に対して少なくとも一部が当接している。
なお、規制部材500は、厳密に容器100に当接していなくてもよく、例えば、蓄電素子10に振動または衝撃が加えられたときに、容器100に当接することで、電極体400の容器100に対する移動を規制できればよい。つまり、規制部材500は、常に容器100に当接した状態でなくてもよい。具体的には、規制部材500は、容器100の内部空間のY軸方向およびZ軸方向それぞれにおける幅に対して、それぞれ95%以上の幅を有していれば容器100に対する電極体400のY軸方向およびZ軸方向に向かう移動を規制することができ、同様に98%以上の幅を有していればより好ましい。さらに言えば、規制部材500は、容器100に、Y軸方向およびZ軸方向の両端が当接した状態で収容されていることがより好ましい。なお、規制部材500は、Y軸方向およびZ軸方向のいずれか一方で容器100に当接すれば、いずれかの方向における電極体400の移動を規制することができる。特に、規制部材500は、少なくともZ軸方向に沿った移動が規制されるように、容器100の底部または蓋体110に当接する構成であることがより好ましい。本実施の形態においては、Y軸方向およびZ軸方向の両方で容器に当接しているため、電極体400の容器100に対する移動をより強固に規制することができる。
次に、図6〜図10を用いて、電極体400と規制部材500との固定について具体的に説明する。
図6は、積層された電極体400の第一の端辺束401の規制部材500への固定方法を説明するための図である。図7は、電極体400をY軸方向からみた場合の平面図である。図7は、具体的には、規制部材500に固定された電極体400のうち規制部材500を省略して示した図である。図8Aは、第一の端辺束401と第一規制部材510との固定部分の一例を示す斜視図である。図8Bは、第一の端辺束401と第一規制部材510との固定部分の他の一例を示す斜視図である。図9は、第一の端辺束401が固定された第一規制部材510と、第二の端辺束402が固定された第二規制部材520と、第三規制部材530との固定方法を説明するための斜視図である。図10は、電極体400と規制部材500とが固定されることにより一体化された組立体を示す斜視図である。
図6に示すように、図4で説明した電極体400の一部である第一の端辺束401は、第一の端辺束401を構成している複数のセパレータ430のX軸方向の両端の固定部分431が、第一規制部材510と熱溶着されることにより、第一規制部材510と固定されている。このとき、複数のセパレータ430の間に正極410または負極420が配置された状態で、複数のセパレータ430のX軸方向の両端の固定部分431が第一規制部材510に対して熱溶着により固定されている。このため、複数の極板を含む第一の端辺束401は、第一規制部材510に対して固定されている。
また、固定部分431は、図5〜7に示すように、正極410および負極420と対向していない。つまり、規制部材500を構成する第一規制部材510、第二規制部材520および第三規制部材530の間には、正極410および負極420は、配置されていない。このように、固定部分431が正極410および負極420に対向しない部分であるため、複数のセパレータ430を直接重ねた状態で規制部材500に熱溶着することができる。このため、セパレータ430の規制部材500への熱溶着をより確実にできる。
なお、第一の端辺束401は、図8Aに示すように、第一規制部材510のY軸方向マイナス側の面の全体にわたる被固定部511で溶着されている。また、第一の端辺束401は、図8Bに示すように、離散的に設けられる複数の被固定部511aで溶着されていてもよい。なお、上記の例の他にも、固定部は、複数の点状の溶着箇所が平面状に広がるように溶着されてもよいし、複数の線状の溶着箇所が平面状に広がるように溶着されてもよい。
セパレータ430の他の一部である第二の端辺束402は、第一の端辺束401と同様にして、第二の端辺束402を構成している複数のセパレータ430のX軸方向の両端の固定部分432が、第二規制部材520のY軸方向マイナス側の面と熱溶着されることにより、第二規制部材520と固定されている。
固定部分431、432が各端辺束401、402のY軸方向の中心に位置するように各端辺束401、402を構成できるように、第一規制部材510、第二規制部材520、および第三規制部材530のY軸方向の幅を設計してもよい。このような構成によれば、各端辺束401、402においてY軸方向外側に配置されるセパレータ430が各規制部材510、520に向けて緩やかに湾曲するように固定することができる。したがって、セパレータ430の、規制部材500との固定箇所付近にかかる物理的な負担を軽減することができる。
図9に示すように、第一の端辺束401が溶着された第一規制部材510と、第二の端辺束402が溶着された第二規制部材520と、第三規制部材530とは、第一の端辺束401の固定部分431および第二の端辺束402の固定部分432をY軸方向で挟み込んで重ねられている。また、第一の端辺束401および第二の端辺束402の間には、正極410および負極420のうちの幅が大きい方の負極420が配置されている。
また、第一規制部材510、第一の端辺束401の固定部分431、第二規制部材520、第二の端辺束402の固定部分432、および第三規制部材530は、この順に重ねられた状態で、互いに固定されている。具体的には、第一規制部材510、固定部分431、第二規制部材520、固定部分432および第三規制部材530は、X軸方向に面する側面において、複数の溶着面540(図10を参照)で熱溶着されることにより互いに固定されている。なお、この場合の複数の溶着面540のそれぞれは、第一規制部材510、第一の端辺束401の固定部分431、第二規制部材520、第二の端辺束402の固定部分432、および第三規制部材530に跨がって形成される面である。つまり、溶着面540は、第一規制部材510、第一の端辺束401の固定部分431、第二規制部材520、第二の端辺束402の固定部分431、および第三規制部材530は、それぞれが、Y軸方向にわたって溶着により溶かし込まれて、結合することにより形成されている。
なお、本実施の形態においては、第一の端辺束401および第二の端辺束402は、第一規制部材510および第二規制部材520のY軸方向マイナス側の面に固定されているが、Y軸方向プラス側の面や、X軸方向の面に固定されてもよい。すなわち、規制部材に固定ができれば、固定される面の方向は問わない。また、固定部分431および432は、第一規制部材510、第二規制部材520および第三規制部材530によってY軸方向で挟み込まれていなくともよく、溶着面540に固定部分431および432が含まれなくともよい。
本実施の形態に係る蓄電素子10によれば、電極体400を構成するセパレータ430の一部が規制部材500に固定されており、かつ、容器100に対する規制部材500の移動が規制されているため、蓄電素子10に振動や衝撃が加わった場合であっても、電極体400が容器100に対して動くことを抑制できる。これにより、蓄電素子10の性能低下や内部短絡の発生を防ぐことができる。
また、本実施の形態に係る蓄電素子10によれば、規制部材500は、容器100に当接することにより、容器100に対する電極体400の移動を規制する。このため、電極体400が容器100に対して動くことを確実に抑制できる。
また、本実施の形態に係る蓄電素子10によれば、容器100と電極体400との間には、電極端子200、300との接続部分を形成するための空間があるため、電極体400は、容器100の、電極端子200、300が設けられる壁面に交差する方向に移動しやすい。本実施の形態に係る蓄電素子10によれば、規制部材500のように、容器100の、電極端子200、300が設けられる壁面(つまり、容器本体111の底部または蓋体110)に当接する構成の規制部材を採用することにより、電極体400の容器100に対する移動を効果的に抑制できる。なお、ここで言う、電極端子200、300が設けられる壁面に交差する方向とは、壁面に直交する方向であり、壁面に直交する方向からずれた方向であってもよい。つまり、壁面に交差する方向は、壁面に平行な方向を含まない。
また、本実施の形態に係る蓄電素子10によれば、規制部材500に対して電極体400が固定されており、規制部材500は、電極体400のX軸方向の両側を覆うように配置されている。また、さらに、規制部材500は、容器100のY軸方向に対向する壁面に沿った形状である。このように、規制部材500は、電極体400が固定されており、かつ、容器100に沿った形状を有するため、電極体400を容器100の内方へ挿入する際のガイドとして機能することもできる。このため、容器100に対する電極体400の挿入を容易にできる。
また、本実施の形態に係る蓄電素子10によれば、規制部材500とセパレータ430の一部とは、熱溶着により固定されている。このため、締結部材などの別部材を用いることなく、規制部材500とセパレータ430の一部とを容易に、かつ、強固に固定することができる。
また、本実施の形態に係る蓄電素子10によれば、セパレータ430の固定部分431、432のそれぞれが規制部材500の第一規制部材510および第二規制部材520において固定されるため、規制部材500の固定される部分における、積層して固定されるセパレータ430の数を少なくすることができる。これにより、複数のセパレータ430と規制部材500とが固定される部分における固定強度を向上できる。
また、本実施の形態に係る蓄電素子10によれば、規制部材500は、セパレータ430の一部である固定部分431と固定される第一規制部材510および第二規制部材520を含み、第一規制部材510、第二規制部材520および第三規制部材530は、互いに熱溶着により固定されている。このように、規制部材500を構成する複数の規制部材510、520毎に、複数のセパレータ430の固定部分431を固定すればよいため、複数のセパレータ430の固定部分431および複数の規制部材510、520を容易に固定できる。また、複数の部材510、520、530が互いに固定されているため、複数の部材510、520、530が別々に容器100に対して動くことを抑制できる。
また、本実施の形態に係る蓄電素子10によれば、電極体400は、正極410、負極420、およびセパレータ430が積層された第一の端辺束401および第二の端辺束402を有しており、第一の端辺束401および第二の端辺束402の間には、極板のうちで幅が大きい方の負極420が配置されている。このため、電極体400の第一の端辺束401および第二の端辺束402のそれぞれにおいて、第一の端辺束401および第二の端辺束402の間に配置される当該極板に隣接しているセパレータ430が規制部材500との固定箇所に向けて急激に湾曲することを低減できる。このため、当該セパレータのうちの規制部材500との固定箇所付近にかかる物理的な負担を軽減することができる。
また、本実施の形態に係る蓄電素子10によれば、規制部材500は、絶縁性を有する材料により構成される。このため、容器100と電極体400との間を確実に絶縁できる。
(変形例1)
次に、実施の形態の変形例1について、説明する。図11は、本発明の実施の形態の変形例1に係る蓄電素子10aにおける図1のA−A断面に対応する図である。図12は、本発明の実施の形態の変形例1に係る電極体400aをY軸方向からみた場合の平面図である。実施の形態の変形例1に係る蓄電素子10aは、実施の形態の蓄電素子10と比較して、規制部材600がさらに設けられていることが異なる。つまり、図12は、具体的には、規制部材500、600に固定された電極体400aのうち規制部材500、600を省略して示した図である。なお、規制部材600がさらに設けられていること以外の構成は、実施の形態の蓄電素子10と同様であるため説明を省略する。
具体的には、規制部材600は、電極体400aの複数のセパレータ430の下方に設けられ、複数のセパレータ430の下端の固定部分433(端辺)と熱溶着により固定される。規制部材600は、規制部材500とは、複数のセパレータ430との熱溶着される端辺の位置が異なる。なお、規制部材600の複数のセパレータ430との熱溶着される固定部分433の構成は、実施の形態の規制部材500の構成を適用できるため、説明は省略する。規制部材600は、規制部材500とX軸方向で当接するように構成される。なお、規制部材500および規制部材600は、熱溶着などにより互いに固定されていてもよい。また、規制部材500とZ軸方向で当接するように構成した規制部材を採用してもよい。
つまり、実施の形態の変形例1に係る蓄電素子10aでは、規制部材500は、複数のセパレータ430の、X軸方向の両側の端辺を固定している。また、さらに、規制部材600は、複数のセパレータ430のZ軸方向の端辺のうち、正極端子200および負極端子300の反対側(つまり容器100の底部側)の端辺を固定している。このように、実施の形態の変形例1に係る蓄電素子10aでは、複数のセパレータ430が規制部材500、600により3つの端辺で固定されているため、複数のセパレータ430の間に配置される極板(正極410および負極420)が移動することを確実に規制できる。また、電極体400aの三方に配置される規制部材500、600が、それぞれZ軸方向およびX軸方向で容器100に当接するため、電極体400aの容器100に対する移動を複数の方向で規制できる。したがって、電極体400aの容器100に対する移動による、蓄電素子10aへの悪影響を確実に抑制することができる。
(変形例2)
次に、実施の形態の変形例2について、説明する。図13は、本発明の実施の形態の変形例2に係る蓄電素子10bにおける図1のA−A断面に対応する図である。実施の形態の変形例2に係る蓄電素子10bは、実施の形態の蓄電素子10と比較して、規制部材500がX軸方向に移動することを規制するための規制部112aが設けられた蓋体112を有する容器100aが採用されていることが異なる。なお、蓄電素子10bの蓋体112以外の構成は、実施の形態の蓄電素子10と同様であるため説明を省略する。
具体的には、蓋体112に形成される規制部112aは、Z軸方向マイナス側(下方)に向けて突出し、かつ、Y軸方向に沿って突条に延びる。また、規制部112aは、容器本体111の短側面から規制部材500の厚みの分だけ離れた位置に形成される。つまり、規制部材500は、規制部112aと容器本体111の短側面との間に設けられることになるため、容器100aに対する容器本体111に対する移動が規制される。このように、蓋体112に規制部112aを設けることにより、容器100aの内方空間のうちの上部において規制部材500のX軸方向に沿った移動を規制できるため、容器100aに対する電極体400の移動を効果的に規制できる。なお、変形例1の規制部材600をさらに組み合わせれば、容器100aに対する電極体400の移動をより効果的に規制できる。
(変形例3)
次に、実施の形態の変形例3について、説明する。図14は、本発明の実施の形態の変形例3に係る蓄電素子10cにおける図1のB−B断面に対応する図である。実施の形態の変形例3に係る蓄電素子10cは、実施の形態の蓄電素子10と比較して、規制部材700の構成が異なる。なお、規制部材700以外の構成は、実施の形態の蓄電素子10の構成と同様であるため説明を省略する。
具体的には、規制部材700は、1つの部材から構成されている点が、実施の形態の規制部材500とは異なる。規制部材700は、容器100のX軸方向側の短側面に沿って配置されている1枚の板状部材701から、容器100の内方に向かってX軸方向に突出する突出部702、703を有する。突出部702、703は、Z軸方向にわたって突条に延びるように、板状部材701に形成されている。また、突出部702、703は、Y軸方向に互いに離間した状態で形成されている。
そして、規制部材700の突出部702のY軸方向マイナス側の面に、電極体400の第一の端辺束401の固定部分431が熱溶着により固定され、突出部703のY軸方向マイナス側の面に、電極体400の第二の端辺束402の固定部分432が熱溶着により固定される。このように、Y軸方向に分離されていない規制部材700を用いても、第一の端辺束401および第二の端辺束402から構成される電極体400を固定することができる。よって、一部材により構成される剛性の大きい規制部材700を採用することができるため、第一の端辺束401および第二の端辺束402から構成される電極体400が容器100に対して移動することをより効果的に規制することができる。なお、第一の端辺束401および第二の端辺束402は、規制部材700の突出部702、703のY軸方向マイナス側の面に固定されているが、これに限らずに、Y軸方向プラス側の面や、X軸方向の面に固定されてもよい。
(変形例4)
次に、実施の形態の変形例4について、説明する。図15は、本発明の実施の形態の変形例4に係る電極体400と規制部材800とが固定されることにより一体化された組立体を示す斜視図である。図16は、本発明の実施の形態の変形例4に係る蓄電素子10dにおける図1のB−B断面に対応する図である。実施の形態の変形例4に係る蓄電素子10dは、実施の形態の蓄電素子10と比較して、規制部材800の構成が異なる。なお、規制部材800以外の構成は、実施の形態の蓄電素子10の構成と同様であるため説明を省略する。
具体的には、規制部材800は、変形例3の規制部材700と同様に1つの部材から構成されている点が、実施の形態の規制部材500とは異なる。規制部材800は、容器100のX軸方向側の短側面に沿って配置されている1枚の板状部材からなる。この板状部材には、Z軸方向に延びる2本のスリット810がY軸方向に並んで形成されている。スリット810は板状部材の厚み方向に貫通している。第一の端辺束401および第二の端辺束402の各固定部分431、432が、それぞれ2本のスリット810を貫通した状態で、各スリット810の内面に熱溶着されることにより固定されている。このように、Y軸方向に分離されておらず、かつ、X軸方向に突出した突出部が設けられていない構成の規制部材800を用いても、第一の端辺束401および第二の端辺束402を固定することができる。また、規制部材800を一部材により構成し、かつ、X軸方向に突出した突出部を設けない構成とすることで、より剛性を大きくしつつ、容器100の内方空間に占める体積を少なくすることができる。このため、電極体400が容器100に対して移動することをより効果的に規制しつつ、蓄電素子10dの容量を大きくすることができる。
(変形例5)
次に、実施の形態の変形例5について、説明する。図17は、本発明の実施の形態の変形例5に係る電極体400bを構成している正極410、負極420、およびセパレータ430aの分解斜視図である。実施の形態の変形例5に係る電極体400bは、実施の形態の電極体400と比較して、セパレータ430aの構成が異なる。なお、セパレータ430a以外の構成は、実施の形態の電極体400の構成と同様であるため説明を省略する。
具体的には、セパレータ430aは、1枚の帯状のセパレータがX軸方向に繰り返し蛇腹状に折り返されることにより形成されている。電極体400bは、正極410および負極420のそれぞれが、折り返されたセパレータ430aの間に配置されることにより積層されることにより構成されている。このように構成された電極体400bであっても、図7に示す電極体400と同様に、電極体400bのX軸方向の両側の端辺においてセパレータの固定部分が規制部材に固定されることになる。つまり、電極体400bでは、セパレータ430aの折り返されている折り目の部分がセパレータの端辺を構成し、この端辺が規制部材に固定される。さらに、言い換えると、この場合の規制部材に固定されるセパレータの一部は、セパレータ430aの折り返されている折り目の部分である。なお、セパレータ430aの折り目の部分は、複数が重なり合った状態で規制部材に固定される。
また、電極体400bでも、電極体400と同様に、固定部分には、正極410および負極420が配置されない構成である。つまり、正極410および負極420からX軸方向にセパレータ430aがはみ出した部分が規制部材に固定される。もちろん、正極410、負極420およびセパレータ430aが重なった状態では、正極410および負極420が直接接触しないようにセパレータ430aが正極410および負極420よりもX軸方向およびZ軸方向にはみ出している。
なお、図17では、セパレータ430aの折り目側に正極410の正極タブ410aまたは負極420の負極タブ420aが配置される構成であるが、これに限らずに、セパレータ430aの折り目とは反対側に正極410の正極タブ410aまたは負極420の負極タブ420aが配置される構成(図17において正極タブ410aがX軸方向マイナス側、負極タブ420aがX軸方向プラス側に配置されている構成)であってもよい。
(変形例6)
次に、実施の形態の変形例6について、説明する。図18は、本発明の実施の形態の変形例6に係る電極体400cを構成している正極410、負極420およびセパレータ430bの分解斜視図である。実施の形態の変形例6に係る電極体400cは、実施の形態の電極体400と比較して、セパレータ430bの構成が異なる。なお、セパレータ430b以外の構成は、実施の形態の電極体400の構成と同様であるため説明を省略する。
具体的には、図18に示すように、セパレータ430bは、複数枚から構成されており、複数のセパレータ430bのそれぞれについて、2つ折りにされた当該セパレータ430bが、複数の正極410のそれぞれのZ軸方向のマイナス側に折り目が配置されるように、複数枚の正極410のそれぞれを挟み込んで構成されている。このように構成された電極体400cであっても、図7に示す電極体400と同様に、電極体400cのX軸方向の両側の端辺においてセパレータの固定部分が規制部材に固定されることになる。つまり、電極体400cでは、セパレータ430bの、X軸方向の両側の端辺が固定されることになる。さらに、言い換えると、この場合の規制部材に固定されるセパレータの一部は、セパレータ430bの、X軸方向の両側の端辺である。これにより、セパレータ430bは、袋状に形成されることになり、正極410は、袋状のセパレータ430bに内包されるように配置される。
また、電極体400cでも、電極体400と同様に、固定部分には、正極410および負極420が配置されない構成である。つまり、正極410および負極420からX軸方向にセパレータ430bがはみ出した部分が規制部材に固定される。もちろん、正極410、負極420およびセパレータ430bが重なった状態では、正極410および負極420が直接接触しないようにセパレータ430bが正極410および負極420よりもX軸方向およびZ軸方向にはみ出している。
なお、図18では、セパレータ430bは、1枚のセパレータ430bが正極410を挟み込むように構成されているが、負極420を挟み込むように構成してもよい。
(その他の実施の形態)
上記実施の形態に係る蓄電素子10では、第一規制部材510、第二規制部材520および第三規制部材530は、第一の端辺束401の固定部分431および第二の端辺束の固定部分432を介して固定される構成であるが、これに限らずに、第一規制部材、第二規制部材および第三規制部材が直接接するように構成してもよい。具体的には、第一の端辺束401の固定部分431のY軸方向の幅の分だけX軸方向の側方を覆うように、Y軸方向マイナス側に突出している突出部が形成された第一規制部材を採用してもよい。このように第一規制部材に突出部を形成することにより、第一の端辺束401の固定部分431が第一規制部材および第二規制部材の間に配置されていても、当該突出部と第二規制部材とを直接接触させることができる。
上記実施の形態およびその変形例1〜6に係る蓄電素子10、10a〜10dでは、規制部材500、600、700、800は、樹脂などの絶縁性を有する材料で構成されているが、これに限らずに、その他の材料で構成されていてもよい。具体的には、金属などの剛性の高い材料により構成される規制部材が採用されてもよい。
上記実施の形態およびその変形例1〜6に係る蓄電素子10、10a〜10dでは、規制部材500、600、700、800は、板状部材から構成されているが、これに限らずに、棒状の部材で構成されてもよい。なお、規制部材が棒状の部材で構成される場合には、当該棒状部材が延びている方向で容器と当接するように構成すれば、当該方向で容器に対する電極体の移動を規制することができる。また、容器に、棒状部材が嵌まり込む溝部などの、棒状部材が延びる方向に棒状部材が移動することをさらに規制する構造を形成すれば、棒状部材が延びる方向に交差する方向に対しても、容器に対する電極体の移動を規制することができる。もちろん、規制部材が棒状の部材で構成される場合であっても、規制部材は、電極体400の複数のセパレータ430と固定されることになる。
上記実施の形態およびその変形例1〜6に係る蓄電素子10、10a〜10dでは、電極体400、400a〜400cの複数のセパレータ430、430a、430bと規制部材500、600、700、800とは、固定部分431、432において熱溶着により固定されているが、これに限らずに、例えば、締結部材を用いて固定してもよいし、接着剤を用いて固定してもよい。
上記実施の形態およびその変形例1〜6に係る蓄電素子10、10a〜10dでは、固定部分431、432において、電極体400、400a〜400cの複数のセパレータ430、430a、430bと規制部材500、600、700、800とが熱溶着により固定された後に、容器100、100a、100bに挿入される構成として説明したが、電極体400、400a〜400cおよび規制部材500、600、700、800を容器100、100a、100bに挿入した後に、容器100、100a、100bのX軸方向の両側の端辺(または、Z軸方向のマイナス側の端辺)を、固定部分431、432で溶着されるように加熱してもよい。
上記実施の形態およびその変形例1〜6に係る蓄電素子10、10a〜10dでは、セパレータ430は、第一の端辺束401および第二の端辺束402の2つの束にわけられて固定されているが、これに限らずに、3つ以上の束にわけられてもよく、または、複数の束にわけることなく、第一の端辺束のみにより構成してもよい。また、規制部材に固定されない束または端辺部が含まれていてもよい。
上記実施の形態およびその変形例1〜6に係る蓄電素子10、10a〜10dでは、規制部材500、600、700、800は、容器100、100aのいずれかの壁面に交差する方向で当該壁面に当接することにより移動が規制されているが、当該壁面に当接することで規制されることに限らない。例えば、図19に示す蓄電素子10eのように、容器100bの壁面に形成された凸部113(つまり、容器100bに設けられた部材)と、凸部113に当接することよって当該壁面に沿った方向への移動が規制される規制部材900とを有する蓄電素子10eの構成を採用してもよい。なお、図19は、その他の実施の形態に係る蓄電素子10eにおける図1のA−A断面に対応する図である。
この場合、規制部材900は、凸部113と容器本体111aの底部とに当接するように構成される。なお、この場合の凸部113は、電極体400および規制部材900を容器本体111aに挿入できるように、容器本体111aとは別部材で構成される。つまり、凸部113は、容器本体111aに電極体400および規制部材900が挿入された後に、容器本体111aに取り付けられる構成である。なお、凸部113は、容器本体111aのX軸方向の両側の壁面のZ軸方向のプラス側に配置される構成であるが、配置される壁面や当該壁面のどちら側に配置されるかなどは上記に限らずに、どの壁面であってもどちら側で規制部材を規制する構成としてもよい。また、電極体400および規制部材の容器への挿入が容易である構成であれば、凸部は別部材としなくてもよく、容器本体と一体であってもよい。
上記実施の形態およびその変形例1〜6に係る蓄電素子10、10a〜10dでは、電極体400の第一の端辺束401に係る部分および第二の端辺束402に係る部分の間に、負極420が挟まれて設けられる構成であるが、負極420が配置されていなくてもよい。また、正極の幅が負極よりも大きい構成である場合には、正極が第一の端辺束にかかる部分および第二の端辺束に係る部分の間に挟まれる構成であってもよい。
上記実施の形態およびその変形例1〜4、6に係る蓄電素子10、10a〜10dでは、複数のセパレータ430、430bの全てが規制部材500、600、700、800に固定される構成であるが、これに限らずに、複数のセパレータ430、430bのうちの一部(1以上)のセパレータ430、430bが規制部材500、600、700、800に固定される構成であってもよい。なお、複数のセパレータ430の寸法はそれぞれ異なっていてもよく、例えば、第一の端辺束401および第二の端辺束402の外側に向かうほど、固定される端辺方向におけるセパレータ430の幅を大きくすることで、セパレータ430の、規制部材500との固定箇所付近にかかる物理的な負担を軽減することができる。また、上記実施の形態の変形例5に係る蓄電素子では、1枚のセパレータ430aの複数の折り目の全てが規制部材に固定される構成であるが、複数の折り目のうちの一部(1以上)の折り目が規制部材500、600、700、800に固定される構成であってもよい。