JP6337222B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、吸収性物品に関する。
従来、尿などの排泄物を吸収する吸収性物品として使い捨ておむつ等が知られている。例えば、文献1に示すように、パンツ型使い捨ておむつ1は外装体3と吸収性本体2を有しており、外装体3には、厚さ方向に貫通する複数の孔5が設けられている。この複数の孔5を設けることで、吸収性物品の通気性を向上させることができる。また、外装体3は、横方向に沿った弾性部材33の収縮によって、縦方向に沿った複数の皺が形成されており、孔5の周囲にも複数の皺が形成される。
特開2015−92957号
しかしながら、文献1に示す使い捨ておむつ1では、複数の孔5の形状やその周囲に形成される皺のパターンが一律であるため、横方向には伸縮しやすいが、斜め方向には伸縮しづらい等、着用時においておむつ1が着用者の動きに追従しづらく、十分なフィット性が得られなくなるおそれがあった。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、通気性を向上させつつ、フィット性が良好な吸収性物品を提供することにある。
上記目的を達成するための主たる発明は、
互いに直交する縦方向と横方向とを有し、着用者の腹側に設けられる腹側部と、前記着用者の背側に設けられる背側部と、前記腹側部及び前記背側部の少なくともいずれか一方に設けられ、前記横方向に沿った弾性部材を備える吸収性物品であって、肌側から非肌側に貫通する貫通孔を有し、前記縦方向において、前記貫通孔は、前記弾性部材と重なっており、前記横方向において、前記弾性部材は、前記貫通孔内で非連続であり、前記縦方向において、前記貫通孔の前記横方向の一端における前記弾性部材の位置と、前記貫通孔の前記横方向の他端における前記弾性部材の位置と、が異なる、ことを特徴とする吸収性物品である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本発明によれば、通気性を向上させつつ、フィット性が良好な吸収性物品を提供することができる。
図1は、本実施形態の吸収性物品の一例としてのおむつ1の概略斜視図である。 図2は、展開した伸長状態のおむつ1を肌側から見た平面図である。 図3は、図2のA−A断面について表す図である。 図4Aは、スリットS(貫通孔50)を形成する前の伸長状態の帯状腹側外装部材300の一部を示した図である。図4Bは、スリットS(貫通孔50)を形成したときの伸長状態の帯状腹側外装部材300の一部を示した図である。図4Cは、着用状態における腹側外装部材30の一部を示した図である。 図5A〜図5Cは、スリットSが斜めに形成された場合における貫通孔50の形成の様子について説明する図である。 図2の部分Bについて拡大して示した図である。 貫通孔50aについて説明する図である。 他の実施形態のおむつ100を肌側から見た平面図である。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
互いに直交する縦方向と横方向とを有し、着用者の腹側に設けられる腹側部と、前記着用者の背側に設けられる背側部と、前記腹側部及び前記背側部の少なくともいずれか一方に設けられ、前記横方向に沿った弾性部材を備える吸収性物品であって、肌側から非肌側に貫通する貫通孔を有し、前記縦方向において、前記貫通孔は、前記弾性部材と重なっており、前記横方向において、前記弾性部材は、前記貫通孔内で非連続であり、前記縦方向において、前記貫通孔の前記横方向の一端における前記弾性部材の位置と、前記貫通孔の前記横方向の他端における前記弾性部材の位置と、が異なる、ことを特徴とする吸収性物品。
このような吸収性物品によれば、貫通孔を設けることによって十分な通気性を確保することができる。そして、貫通孔の両側に配置されている弾性部材の位置が縦方向においてずれることにより、それぞれの弾性部材が折れ曲がりの基点となり、吸収性物品が縦方向に細かく折れ曲がりやすくなる。これにより、吸収性物品が着用者の身体の動きに追従して変形しやすく、フィット性が向上する。
かかる吸収性物品であって、第1貫通孔と第2貫通孔を有し、前記第1貫通孔の前記横方向の一端における前記弾性部材の位置と、前記第1貫通孔の前記横方向の他端における前記弾性部材の位置との間の前記縦方向における距離と、前記第2貫通孔の前記横方向の一端における前記弾性部材の位置と、前記第2貫通孔の前記横方向の他端における前記弾性部材の位置との間の前記縦方向における距離と、が異なる、ことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、第1貫通孔と第2貫通孔とで、貫通孔の周囲に形成される皺の形状や弾性部材によって作用する張力の方向が異なるようになり、貫通孔の周囲における折れ曲がりの基点や肌触りを変化させることができる。これにより、貫通孔が設けられる位置に応じて吸収性物品のフィット性を自在に調整することができるようになる。
かかる吸収性物品であって、前記第1貫通孔の前記横方向の幅と、前記第2貫通孔の前記横方向の幅とが異なる、ことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、腹側外装部材(背側外装部材)の領域毎に形状の異なる貫通孔が形成されるため、吸収性物品のデザイン性や美観を高めることができる。
かかる吸収性物品であって、前記第1貫通孔の開口面積と、前記第2貫通孔の開口面積とが異なる、ことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、腹側外装部材(背側外装部材)の領域毎に開口面積が大きい部分と小さい部分とが設けられるため、汗をかきやすい部位の開口面積を大きくする等、貫通孔の通気性能を調整することができる。これにより、吸収性物品着用による不快感を生じにくくさせることができる。
かかる吸収性物品であって、前記第1貫通孔の外縁の長さと、前記第2貫通孔の外縁の長さとが等しい、ことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、各貫通孔の面積や形状が異なる場合であっても、該貫通孔の周囲における強度にばらつきが生じることが抑制される。これにより、吸収性物品の着用時等において腹側外装部材(背側外装部材)が横方向や縦方向に引っ張られた場合であっても、特定の領域(特定の貫通孔の周囲)が破れやすくなる等の問題は生じにくく、吸収性物品全体として強度を確保しやすくなる。
かかる吸収性物品であって、吸収性本体を備えており、前記吸収性本体の一方側の端部は、前記腹側部に重ねて接合され、他方側の端部は、前記背側部に重ねて接合されており、前記縦方向において、前記貫通孔の前記横方向の内側端の位置が、前記貫通孔の前記横方向の外側端の位置よりも低い、ことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、貫通孔の両側に設けられている弾性部材に傾きが生じ、着用者の股下側から斜め上側に作用する収縮力が発現するようになる。これにより、吸収性本体が横方向の外側へ拡幅されつつ、縦方向の上側に引っ張り上げられ、吸収性物品着用時において吸収性本体が身体にフィットしやすくなる。
かかる吸収性物品であって、吸収性本体を備えており、前記吸収性本体の一方側の端部は、前記腹側部に重ねて接合され、他方側の端部は、前記背側部に重ねて接合されており、前記吸収性本体の長手方向の端より下側に設けられた前記貫通孔の前記横方向の一端における前記弾性部材の位置と、前記貫通孔の前記横方向の他端における前記弾性部材の位置との間の前記縦方向における距離は、前記吸収性本体の前記長手方向の端より上側に設けられた前記貫通孔の前記横方向の一端における前記弾性部材の位置と、前記貫通孔の前記横方向の他端における前記弾性部材の位置との間の前記縦方向における距離よりも長い、ことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、着用者の脚回りに近い領域(吸収性本体の長手方向の端より下側の領域)において弾性部材の縦方向の間隔が広くなり、腹側外装部材(背側外装部材)が縦方向に折れ曲がり変形しやすくなるため、着用時のフィット性を向上させることができる。また、弾性部材の縦方向位置をずらすことにより、該弾性部材に沿ってたくれが発生することを抑制しやすくなる。
かかる吸収性物品であって、前記貫通孔の前記横方向の一端における前記弾性部材の位置と、前記貫通孔の前記横方向の他端における前記弾性部材の位置との間の前記縦方向における距離は、前記縦方向に隣り合う2つの前記弾性部材の間の前記縦方向における距離の最小値よりも小さい、ことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、貫通孔の両側に配置されている弾性部材の縦方向のずれ量の最大値が制限されるため、貫通孔のひし形の形状が崩れて美観が悪化したり、横方向への引っ張り力が作用した場合に貫通孔の部分において腹側外装部材(背側外装部材)が裂けてしまったりすることを抑制しやすくなる。
かかる吸収性物品であって、前記縦方向において、前記貫通孔の前記横方向の端の位置と、前記弾性部材の前記貫通孔側の端の位置とが重複している、ことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、弾性部材によって貫通孔の横方向の両端がそれぞれ横方向の外側へ引っ張られるため、貫通孔が綺麗なひし形の形状となる。これにより、貫通孔の通気性が確保されやすくなり、また、腹側外装部材(背側外装部材)の表面に綺麗なひし形が揃って配列されていることにより、吸収性物品の美観が向上する。
かかる吸収性物品であって、前記横方向において、前記貫通孔の前記縦方向の一端の位置と、前記貫通孔の前記縦方向の他端の位置とが異なる、ことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、弾性部材が横方向に収縮することによって、腹側外装部材(背側外装部材)に縦方向に沿った縦皺が複数形成される際に、貫通孔の上下で縦皺が分断され、大きな皺が形成されにくくなる。これにより、吸収性物品の着用時において皺の跡が肌に付きやすくなる。また、細かい縦皺が横方向に複数並んで形成され、該縦皺が横方向への折れ曲がりの基点となり、吸収性物品が着用者の身体の動きに追従して変形しやすくなる。これにより、吸収性物品のフィット性を向上させることができる。
かかる吸収性物品であって、前記貫通孔の形状は、前記横方向及び前記縦方向の少なくともいずれかについて非対称である、ことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、各々の貫通孔の形状が目立ちやすくなり、視認性が向上する。これにより、使用者は、腹側外装部材(背側外装部材)に貫通孔(通気口)が設けられていることを一見して把握することが可能となり、安心して吸収性物品を着用対象者に着用させることができるようになる。
===本実施形態に係る使い捨ておむつについて===
<使い捨ておむつ1の構成について>
図1は、本実施形態の吸収性物品の一例としてのおむつ1の概略斜視図である。図2は、展開した伸長状態のおむつ1を肌側から見た平面図である。図3は、図2のA−A断面について表す図である。
以下の説明では、図1の状態(着用状態)のおむつ1は、「縦方向」と、縦方向と交差する「横方向」と、縦方向及び横方向と交差する「厚さ方向」とを有する。また、図2の状態(展開状態)でのおむつ1の長手方向を「長手方向」、おむつ1の長手方向における一端と他端をそれぞれ「上端」といい、長手方向におけるおむつ1の略中央部C10を「下端」ともいう。さらに、厚さ方向のうち、着用者に接触する側を「肌側」、その反対側を「非肌側」という。図2等におけるA−Aは、横方向中心を示している。なお、「伸長状態」とは、おむつ1を皺がなくなるまで伸長させた状態をいい、具体的には、おむつ1を構成する部材(例えば、腹側外装部材30や背側外装部材40)の寸法がその部材単体の寸法と一致又はそれに近い長さになるまで伸長された状態をいう。
本実施形態にかかる使い捨ておむつ1(以下、「おむつ1」と呼ぶ。)は、主に乳幼児を着用対象とした所謂3ピースタイプのパンツ型おむつであり、着用者の股間に配置される吸収性本体10と、着用者の腹側部を覆う腹側外装部材(腹側部)30と、背側外装部材(背側部)40を有している。
図2の展開状態では、吸収性本体10は、長手方向における各端部が、腹側外装部材30と背側外装部材40と重なるように、腹側外装部材30から背側外装部材40に亘って設けられ、接着剤等により腹側外装部材30及び背側外装部材40にそれぞれ肌側から接合固定されている。その外観形状は平面視略H形状をなしている。そして、長手方向の略中央部C10を折り返し位置として二つ折りして、互いに対向する腹側外装部材30と背側外装部材40の横方向の各端部である腹側外装部材側縁部30se、背側外装部材側縁部40seにて接合・連結すると、胴回り開口1HB及び一対の脚回り開口1HLが形成されたおむつ1(図1)となる。
腹側外装部材30のうち、縦方向の上側の端部30eの領域には、吸収性本体10が重ねられておらず、端部30eよりも縦方向の中央側の部分30cに吸収性本体10が重ねられている。また、腹側外装部材30のうち、横方向の中央部には、吸収性本体10が重ねられており、吸収性本体10の横端10eより横方向外側の領域30sには、吸収性本体10が重ねられていない。
同様に、背側外装部材40のうち、縦方向の上側の端部40eの領域には、吸収性本体10が重ねられておらず、端部40eよりも縦方向の中央側の部分40cに吸収性本体が重ねられている。また、背側外装部材40のうち、横方向の中央部には、吸収性本体10が重ねられており、吸収性本体10の横端10eより横方向外側の領域40sには、吸収性本体10が重ねられていない。
図2及び図3に示すように、吸収性本体10は、吸収体11と、吸収体11を肌側から覆う表面シート部材13と、吸収体11を非肌側から覆う裏面シート部材15を備えている。表面シート部材13は、不織布等の液透過性のシート部材である。裏面シート部材15は、ポリエチレン等の液不透過性の防漏シート15aと不織布等の液透過性の外装シート15bとの2層から構成されるシート部材である。また、外装シート15b等によって立体ギャザーや脚周りギャザーが形成されていても良い(不図示)。
吸収体11は、液体吸収性素材を積層してなる吸収性コアであり、尿等の排泄物を吸収することができる。吸収体11は、パルプ繊維等の液体吸収性繊維や、吸収性ポリマー(SAP)等を用いることができ、本実施形態においては、平面視略砂時計形状を有している(図2)。また、吸収体11は、ティッシュペーパー等の液透過性シート(不図示)で被覆されていても良い。
腹側外装部材30及び背側外装部材40は、いずれも不織布等の柔軟な素材からなる平面視略矩形のシート部材である。図3に示すように、腹側外装部材30は、厚さ方向の肌側から順に肌側シート31及び非肌側シート32が重ねて接合されており、背側外装部材40は、厚さ方向の肌側から順に肌側シート41及び非肌側シート42が重ねて接合されている。
図3に示すように、腹側外装部材30の上部は、肌触りの向上と耐久性向上のために、非肌側シート32が、腹側外装部材30の上端である腹側上端30etを起点として、肌側の下方へ折り返されて、折り返し部分32fが形成されている。同様に、背側外装部材40の上部も、非肌側シート42が、背側外装部材40の上端である背側上端40etを起点として、肌側の下方へ折り返されて、折り返し部分42fが形成されている。
また、腹側外装部材30は、折り返し部分32fの下端部と吸収性本体10の腹側の上端部を肌側から覆うように配置したシート部材34を備えている。同様に、背側外装部材40は、折り返し部分42fより下側から、吸収性本体10の背側の上端部を肌側から覆うように配置したシート部材44を備えている。シート部材34、44は、腹側外装部材30、背側外装部材40とは異なる、不織布等からなる矩形状のシート部材である。このシート部材34、44を設けることによって、吸収性本体10の縦方向における腹側上端縁部や背側上端縁部が着用者の肌と直接接触することを抑制することができ、着用時における胴回りの肌触りを良好なものにすることができる。また、シート部材34、44は、腹側外装部材30及び背側外装部材40の縦方向の上側端部における強度を高めることができる。
さらに、腹側外装部材30及び背側外装部材40には、縦方向に所定の長さを有し、各外装部材30、40を、肌側から非肌側に貫通する貫通孔50が、縦方向及び横方向に所定の間隔で複数設けられている。貫通孔50の詳細については、後述する。
腹側外装部材30の肌側シート31と非肌側シート32の間には、横方向に沿った糸ゴム等の複数の弾性部材35、35・・・が配置されている。弾性部材35は、横方向に伸長された状態で、肌側シート31及び非肌側シート32に、接着剤により接合固定されている。複数の弾性部材35、35・・・は、縦方向に間隔をあけながら、並んで設けられている。
同様に、背側外装部材40の肌側シート41と非肌側シート42の間には、横方向に沿った糸ゴム等の複数の弾性部材45、45・・・が配置されている。弾性部材45は、横方向に伸長された状態で、肌側シート41及び非肌側シート42に、接着剤により接合固定されている。複数の弾性部材45、45・・・は、縦方向に間隔をあけながら、並んで設けられている。
弾性部材35、45は、腹側外装部材30及び背側外装部材40に対して横方向の伸縮性を付与し、腹側外装部材30及び背側外装部材40に複数の皺を形成させている。腹側外装部材30及び背側外装部材40に形成された皺の多くは、縦方向に沿った形状を有している。皺の形状については、後述する。
なお、弾性部材35、45のうち、横方向の中央部付近の吸収体11と重複する領域を非連続として、伸縮力が作用しないようにしている。これにより、吸収体11に作用する横方向の収縮が抑制されて、吸収体11が略平坦に維持されやすくなるため、排泄物の漏れ等を抑制することができる。吸収体11より横方向の外側の領域には、側方部弾性部材35s、45sが設けられている。
複数の弾性部材35は、最も上側に位置する上側弾性部材35tと、上側弾性部材35tより下側に設けられ、横方向の一方側の腹側外装部材側縁部30seから他方側の腹側外装部材側縁部30seまで連続した連続弾性部材(下側弾性部材)35mと、側方部弾性部材(下側弾性部材)35sと、最も下側に位置し、連続弾性部材35mや側方部弾性部材35sより下側で最も離れた位置に設けられている最下側弾性部材35uとを有している。
同様に、複数の弾性部材45は、最も上側に位置する上側弾性部材45tと、上側弾性部材45tより下側に設けられ、横方向の一方側の背側外装部材側縁部40seから他方側の背側外装部材側縁部40seまで連続した連続弾性部材(下側弾性部材)45mと、側方部弾性部材(下側弾性部材)45fと、最も下側に位置し、連続弾性部材45mや側方部弾性部材45sより下側で最も離れた位置に設けられている最下側弾性部材45uとを有している。
<貫通孔50の形成について>
まず、貫通孔50の形成方法について説明する。腹側外装部材30の貫通孔50は、おむつ1の製造において、腹側外装部材30の製造過程で形成される。腹側外装部材30は、肌側から順に帯状肌側シート310、弾性部材350、帯状非肌側シート(不図示)が配置された帯状腹側外装部材300を、個々の腹側外装部材30に分離して形成される。
図4Aは、スリットS(貫通孔50)を形成する前の伸長状態の帯状腹側外装部材300の一部を示した図である。図4Bは、スリットS(貫通孔50)を形成したときの伸長状態の帯状腹側外装部材300の一部を示した図である。図4Cは、着用状態における腹側外装部材30の一部を示した図である。図4A、図4B、及び図4Cは、それぞれ肌側から見た図である。
図4Aは、スリットSを形成する前の帯状腹側外装部材300について、帯状肌側シート310及び帯状非肌側シートの皺がほぼなくなるまで伸長させた状態を示している。
続いて、図4Bに示すように、伸長状態の帯状腹側外装部材300に、一部の弾性部材350を横断するように、縦方向の成分を有する線状のスリットSを形成する。スリットSは、帯状肌側シート310と弾性部材350と帯状非肌側シートをカットすることで形成される。具体的には、所定のカッター(レーザーカッター等の非接触式カッターも含む)を用いて、帯状肌側シート310と帯状非肌側シートとを厚さ方向に貫通する切り込みを入れると共に、弾性部材350を切断することで、スリットSが形成される。図4Bは、スリットS(切り込み)を形成した瞬間を示している。形成されたスリットSは、その後、弾性部材350によって図4Cのような貫通孔50となる。
スリットSは、線状のスリットであり、所定の面積を有する形状を切り抜いた場合と異なり、切り屑が生じにくい。なお、図4Bでは、説明の簡略化のため縦方向に沿ってスリットSが形成される例について示しているが、本実施形態のおむつ1では、スリットSが縦方向(若しくは横方向)について所定の角度だけ傾いて形成される場合がある。
図4Cは、着用者がおむつ1を着用している状態における腹側外装部材30の一部を示している。着用状態の腹側外装部材30の貫通孔50は、その輪郭が横方向の両側に開いて、貫通孔50の形状は略ひし形となる。これは、図4Cに示すように、弾性部材35が収縮することによって、貫通孔50の周囲が横方向に引っ張られるからである。これによって、着用状態において、貫通孔50がより大きく開孔するため、おむつ1の通気性をより向上させることができる。1つの貫通孔50が、より大きく開孔されることによって、より少ない数の貫通孔50で、おむつ1の通気性を確保することができる。さらに、着用前の状態においても、収縮状態の弾性部材35によって、貫通孔50を横方向により開孔させることができるため、乳幼児等の着用者におむつ1を履かせる保護者等に、外観的に貫通孔50を視認させることができ、通気性の向上を認識させることができる。
また、収縮した弾性部材35が、貫通孔50の周囲の不織布を引っ張ることによって、貫通孔50の周囲には、貫通孔50の輪郭に沿った皺が複数形成される。この複数の皺によって、おむつ1の肌触りをより柔らかくすることができる。特に、貫通孔を所定範囲の切り抜きで形成した場合には貫通孔の周囲がほぼ平坦な状態で開孔するのに対し、本実施形態においては、貫通孔50を線状のスリットSで形成しているため、貫通孔50の周囲には、開孔によって引っ張られた不織布が盛り上がり複数の皺を形成する。そのため、おむつ1の肌触りをより向上させることができる。
背側外装部材40の貫通孔50も、腹側外装部材30の貫通孔50と同様に形成される。なお、本実施形態においては、腹側外装部材30と背側外装部材40の各貫通孔50を、それぞれ別途形成する場合を考慮して説明したが、これに限られない。腹側外装部材30及び背側外装部材40を一体として形成し、貫通孔50を形成した後、腹側外装部材30と背側外装部材40に分離するものであっても良い。なお、スリットSの形成は、腹側外装部材30に吸収性本体10及びシート部材34を重ねてから行っても良いし、腹側外装部材30にスリットSを形成してから吸収性本体10及びシート部材34を重ねても良い。同様に、背側外装部材40に吸収性本体10及びシート部材44を重ねてからスリットSを形成しても良いし、背側外装部材40にスリットSを形成してから吸収性本体10及びシート部材44を重ねても良い。
<貫通孔50の詳細>
続いて、本実施形態のおむつ1で実際に形成される貫通孔50の構成の詳細について説明する。図2に示すように、腹側外装部材30の貫通孔50は、腹側外装部材30のうち、折り返し部32f、シート部材34、及び吸収性本体10が設けられていない領域に複数個設けられている。具体的には、縦方向は、端部30eより下側で、かつ、シート部材34の下端より下側の領域であり、横方向は、吸収性本体10より外側に設けられている。また、腹側外装部材30の横方向における一方側と他方側とで、横方向中心A−Aに対して左右対称に配置されている。そして、おむつ1では、複数形成されるスリットSのうち少なくとも一部は縦方向について所定の角度だけ傾いて形成され、これにより、貫通孔50の形状及び、弾性部材35の配置が図4A〜図4Cで説明した場合と異なる。
図5A〜図5Cは、スリットSが斜めに形成された場合における貫通孔50の形成の様子について説明する図である。なお、図5A〜図5Cは、スリットSが縦方向に対して右側に傾いて形成される場合について説明するものである。
まず、図5Aのように、皺がほぼなくなるまで横方向に伸長させた状態の帯状腹側外装部材300について一部の弾性部材350を横断するように、縦方向に対して所定の角度θだけ傾けて線状のスリットSを形成する。図5Aの例では、スリットSの中心位置Cが弾性部材350を横断するようにスリットSが形成されている。すなわち、スリットSの上端et(貫通孔50の上端)と下端eb(貫通孔50の下端)との間の中間の位置において弾性部材350が切断される。
スリットSが斜めに形成されると、中心位置Cにて切断された弾性部材350の収縮力によって、スリットSが図5Bのように横方向の両側に開いて略ひし形の貫通孔50が形成される。このとき、貫通孔50の横方向右側端er(以下、単に右端erとも呼ぶ)は、縦方向において中心位置Cよりも下側に位置する。これは、貫通孔50においてひし形の各辺の長さが等しいことによる。言い換えると、貫通孔50の輪郭において、上端etと右端erとの間の長さと、下端ebと右端erとの間の長さとが等しいことによる。つまり、上端etと右端erと下端ebとが、右端erを頂点とする二等辺三角形を形成することから、スリットSの傾きに応じて右端erの位置が縦方向において中心位置Cよりも下側になる。そして、右端erの位置が中心位置Cよりも下側にずれるのに応じて、弾性部材350の切断端(すなわち、貫通孔50側の端)の位置も、図5Bのように縦方向において中心位置Cよりも下側にずれる。
一方、貫通孔50の横方向左側端el(以下、単に左端elとも呼ぶ)は、縦方向において中心位置Cよりも上側に位置する。そして、左端elの位置が中心位置Cよりも上側にずれるのに応じて、弾性部材350の切断端(貫通孔50側の端)の位置も、図5Bのように縦方向において中心位置Cよりも上側にずれる。
図5Cは、着用者がおむつ1を着用している状態における腹側外装部材30の一部を示している。着用状態の腹側外装部材30の貫通孔50は、左端el及び右端erがそれぞれ横方向の両側に引っ張られることによって図5Bの場合よりも大きく開き、図5Cのように斜めに傾いたひし形状となる。着用状態において、貫通孔50がより大きく開孔するため、おむつ1の通気性をより向上させることができる。また、腹側外装部材30が横方向に伸長されることより、弾性部材350も横方向に伸長され、貫通孔50の左側に配置された弾性部材350の位置と、右側に配置された弾性部材350の位置とが図5Cのように縦方向にずれた状態となる。
複数の貫通孔50は、帯状腹側外装部材300(帯状背側外装部材400)において千鳥状に配置されている。図6は、図2の部分Bについて拡大して示した図である。図6においては、貫通孔50a(第1貫通孔)と、貫通孔50aの左斜め上に位置している貫通孔50b(第2貫通孔)と、貫通孔50aの左斜め下に位置している貫通孔50cと(第3貫通孔)と、横方向において貫通孔50aと重なり、貫通孔50aの右隣に位置している貫通孔50dと(第4貫通孔)と、貫通孔50aの右斜め上に位置している貫通孔50e(第5貫通孔)と、貫通孔50aの右斜め下に位置している貫通孔50fと(第6貫通孔)とが示されている。また、弾性部材35aが貫通孔50a及び貫通孔50dと縦方向で重なっており、同様に、弾性部材35bが貫通孔50b及び貫通孔50eと縦方向で重なり、弾性部材35cが貫通孔50c及び貫通孔50fと縦方向で重なっている。また、弾性部材35hが、貫通孔50aと貫通孔50bとの間に設けられており、弾性部材35iが、貫通孔50bと貫通孔50cとの間に設けられている。
図6に示すように、各貫通孔50は、斜めに傾いた略ひし形の形状を有しており、貫通孔50の内側は、非肌側まで貫通している。上述したように、略ひし形の横方向の頂点(貫通孔50の左端el及び右端er)と弾性部材35の切断端とは、縦方向においてほぼ同じ位置にある。そして、各貫通孔50の内側には、切断された弾性部材35が設けられておらず、切断された弾性部材35は横方向において貫通孔50内で非連続となっている。これは、貫通孔50の形成時に、貫通孔50の形成位置に設けられた弾性部材35が一緒に切断されているからである。例えば、弾性部材35aは、貫通孔50a(第1貫通孔)貫通孔50d(第4貫通孔)との間では連続しており、貫通孔50a及び貫通孔50d内では非連続である。一方、弾性部材35h及び弾性部材35iは、縦方向においていずれの貫通孔50とも重複していないため、該弾性部材35h,35iは貫通孔50(スリットS)によって非連続とされていない。
また、本実施形態において、各貫通孔50は、ほぼ同じ大きさであり、一部の貫通孔同士は縦方向において重なっている。例えば、図6では、貫通孔50e(第5貫通孔)と貫通孔50f(第6貫通孔)とが横方向において重なっている。この貫通孔50eの下端と貫通孔50fの下端との縦方向における距離をL1とし、貫通孔50の縦方向の長さをL2としたとき、L1はL2より大きい(L1>L2)。
貫通孔50によって非連続にされた弾性部材と、非連続にされた弾性部材と縦方向に隣り合い、貫通孔50によって非連続とされていない弾性部材との、縦方向における長さL3は、貫通孔50の長さL2より短い(L3<L2)。例えば、図6において、非連続にされた弾性部材35cと非連続とされていない弾性部材35iとの距離L3が貫通孔50fの縦方向の長さL2より小さい。
また、少なくとも各貫通孔50に外接する横方向に沿った辺gと縦方向に沿った辺hで囲まれた矩形領域(例えば、図6で貫通孔50cの周囲のハッチング表示部)には、接着剤等が設けられていない。本実施形態においては、肌側シート31及び非肌側シート32の接合は、弾性部材35に塗布した接着剤によってなされている。
<本実施形態に係るおむつ1の有効性について>
本実施形態のおむつ1の貫通孔50は、肌側から非肌側に貫通することによる通気性の向上とともに、弾性部材35を切断することによって、弾性部材35の張力の調整を行うことができる。
例えば、図6で、弾性部材35aと弾性部材35hとの関係を例に挙げて説明する。弾性部材35aと弾性部材35hは、同じ材質の弾性部材で、スリットS(貫通孔50a及び貫通孔50d)が形成される前は、同様の伸長状態で肌側シート31及び非肌側シート32へ接合固定されたものである。弾性部材35aは、スリットS(貫通孔50a及び貫通孔50d)によって切断され、弾性部材35hは、いずれのスリットSによっても切断されない。弾性部材35aと縦方向に隣り合う弾性部材35hの横方向への張力の大きさをTeとし、貫通孔50aの左側(横方向の内側)から吸収体11と厚さ方向で重なる位置まで設けられた弾性部材35aの横方向への張力の大きさをTa1としたとき、張力Ta1は、張力Teより小さい(Ta1<Te)。同様に、貫通孔50dと貫通孔50aとの間に位置する弾性部材35aの横方向への張力の大きさをTa2としたとき、張力Ta2は、張力Teよりも小さく(Ta2<Te)、また、張力Ta1よりも小さい(Ta2<Ta1)。
また、弾性部材35aは、貫通孔50a、50d等によって非連続とされているため、縦方向及び横方向への力が加えられた場合に、弾性部材35aが連続している場合に比べてより自由に伸縮することができる。つまり、貫通孔50dより左側の弾性部材35aと、貫通孔50aと貫通孔50dの間に位置する弾性部材35aは、連続している場合に比べて動きに対してより自由に伸縮することができるため、横方向への動きだけでなく縦方向への動きに対しても追従しやすくなる。これによって、おむつ1の腹部や臀部のフィット性を向上させることができる。
このように、スリットS(貫通孔50)によって切断された弾性部材35と、スリットS(貫通孔50)によって切断されていない弾性部材35を設けることによって、弾性部材35の張力を調整することができるため、胴回りの締め付けを確保しつつ、過度に締め付けてしまう恐れを軽減し、おむつ1のフィット性を向上させることができる。
さらに、本実施形態のおむつ1では、少なくとも一部のスリットSを斜めに形成することにより、貫通孔50や弾性部材35の配置を調整し、フィット性をより向上させている。図7は、貫通孔50aについて説明する図である。図5A〜5Cで説明したように、貫通孔50aは、縦方向に対して所定の角度θだけ傾いたスリットSによって形成される。その結果、図7のように、貫通孔50も縦方向に対して傾いたひし形の形状となり、縦方向において貫通孔50の左端elの位置と右端erとが異なるようになる。図7では、貫通孔50の左端elの位置と右端erの位置とが縦方向においてd50aだけずれている。したがって、弾性部材35aの位置も、貫通孔50aの左側と右側とで縦方向においてd50aだけずれることになる。
おむつ1の着用時において着用者が身体を動かしたとき、腹側外装部材30(背側外装部材40)は、横方向に沿って配置されている弾性部材35の位置を基点として縦方向に折れ曲がるように変形する。すなわち、弾性部材35がおむつ1の縦方向における折れ曲がり基点となる。おむつ1では、貫通孔50の横方向の両側で弾性部材35の縦方向位置が異なるため、縦方向への折れ曲がり基点を1箇所(縦方向のずれが無い場合)から2箇所(縦方向にずれている場合)に増やすことができる。これにより、腹側外装部材30(背側外装部材40)が縦方向に細かく折れ曲がるようになり、おむつ1が着用者の身体の動きに追従してより変形しやすく、フィット性が向上する。
また、貫通孔50の横方向の両側で弾性部材35の縦方向位置が異なることにより、横方向に線状に長く伸びた弾性部材の跡が着用者の肌に付いてしまうことが抑制される。さらに、上述した張力Ta1が作用する位置と張力Ta2が作用する位置とが縦方向において異なることから、貫通孔50の上下方向及び左右方向についてそれぞれ異なる力が作用し、貫通孔50の周囲に形成される皺の形状が上下左右で非対称となる。したがって、貫通孔50の外縁における不織布の盛り上がり(皺)が不規則になると共に、大きく長い皺が形成されにくくなる。これにより、おむつ1の着用時において着用者の肌に局所的な圧力が作用することや、着用者の肌に皺の跡が付いてしまうことが抑制され、肌触りをより向上させることができる。
また、おむつ1では、貫通孔50の傾き方向が横方向の外側である。したがって、図7の場合、縦方向において、貫通孔50の左端el(横方向の内側端)は貫通孔50の中心位置Cよりも高くなり、貫通孔50の右端el(横方向の外側端)は中心位置Cよりも低くなる。すなわち、貫通孔50の左端elにおける弾性部材35の位置よりも貫通孔50の右端erにおける弾性部材35の位置の方が低くなる。このような貫通孔50が横方向の同じ位置に並んで配置される場合、該貫通孔50と縦方向において重なる弾性部材35にも所定の傾きが生じる。例えば、弾性部材35aは、貫通孔50aの右端erから貫通孔50dの左端elに向けて斜め上方に傾いている(図6参照)。したがって、腹側外装部材30(背側外装部材40)では、弾性部材35aによって着用者の股下側(横方向の内側かつ縦方向の下側)から斜め上側(横方向の外側かつ縦方向の上側)に作用する収縮力が発現する。このように、おむつ1で縦方向において貫通孔50と重複する弾性部材35(すなわち貫通孔50によって切断されている弾性部材35)は、着用者の股下側から斜め上方向へ収縮力を作用させる。この収縮力により、吸収性本体10が横方向の外側へ拡幅されつつ、縦方向の上側に引っ張り上げられ、おむつ1着用時において吸収性本体10が身体にフィットしやすくなる。
なお、スリットSの傾きθは全てのスリットSについて一定である必要は無い。例えば、図6において貫通孔50a(第1貫通孔)と貫通孔50b(第2貫通孔)とで、スリットSの傾きθが異なっていても良い。この場合、貫通孔50aの左端elと右端erとの縦方向のずれ量d50aが、貫通孔50bの左端elと右端erとの縦方向のずれ量d50bと異なるようになる。したがって、貫通孔50aの周囲に形成される皺の形状と貫通孔50dの周囲に形成される皺の形状とが異なり、また、弾性部材35aによって作用する張力の方向と弾性部材35bによって作用する張力の方向とが異なるようになる。そのため、腹側外装部材30(背側外装部材40)中の領域毎にスリットSの傾きの角度θを変更してずれ量d50を異ならせることにより、上述した折れ曲がりの基点や肌触りを変化させることができる。これにより、貫通孔50aが設けられる位置に応じておむつ1のフィット性を自在に調整することができるようになる。
本実施形態においては、吸収体11の上端11taより上側の領域と、吸収体11の上端11taより下側の領域とで、貫通孔50の左端elと右端erとの縦方向のずれ量d50が異なるようにしている。具体的には、吸収体11の上端11taより上側の領域におけるずれ量d50よりも、吸収体11の上端11taより下側の領域におけるずれ量d50が大きくなるようにしている。縦方向の下方の領域において貫通孔50の左右に配置されている弾性部材35の縦方向の間隔(d50)をより広くすることにより、左右の弾性部材35の各々が縦方向への折れ曲がり基点となりやすく、腹側外装部材30(背側外装部材40)が変形しやすくなる。これにより、おむつ1の着用時において着用者が脚を上下に動かした場合などでも、脚回りの領域が着用者の動きに追従して変形しやすくなり、フィット性が向上する。また、このような脚回り付近の領域では、着用者の脚の動きが大きいため、弾性部材35に沿って腹側外装部材30(背側外装部材40)の一部がたくれ上がってしまう(捲れあがる)おそれがある。しかし、貫通孔50の部分で弾性部材35の縦方向位置をずらすことにより、該弾性部材35に沿ってたくれが発生するのを抑制しやすくなり、この点でもフィット性を向上させることができる。
但し、貫通孔50の左端elと右端erとの縦方向のずれ量d50は、縦方向に隣り合う2つの弾性部材35の間隔(すなわち弾性部材35の縦方向ピッチ)の最小値よりも小さくなるようにする。例えば、図7において貫通孔50aの左端elと右端erとの縦方向のずれ量d50a(d50)は、縦方向に隣り合う弾性部材35h及び35aの間隔L3よりも小さい(d50<L3)。ずれ量d50がL3より大きくなると、貫通孔50のひし形の形状が崩れやすくなって美観が悪化したり、横方向へ伸長する力が作用した場合に貫通孔50の部分において腹側外装部材30(背側外装部材40)が裂けてしまったりするおそれがある。そこで、ずれ量d50の最大値に制限を設けることにより、このような問題が生じることを抑制する。また、ずれ量d50がL3よりも小さければ、折れ曲がりの基点がその分細かく形成されるため、着用者の身体の動きに追従して腹側外装部材30(背側外装部材40)が変形しやすくなる。
また、おむつ1では、貫通孔50の上端etの位置と下端ebの位置とが横方向においてw50(図7ではw50a)だけずれており、これにより、フィット性を向上させることができる。おむつ1では、弾性部材35が横方向に収縮することによって、腹側外装部材30(背側外装部材40)に縦方向に沿った縦皺が複数形成される。仮に、貫通孔50の上端etと下端ebとが横方向において重複していた場合、縦皺は上端et及び下端ebを縦方向に通過する直線上に形成されやすくなり、腹側外装部材30(背側外装部材40)の上端から下端に亘って長く大きな皺が形成されやすい。この場合、おむつ1の着用時において着用者の肌に皺が押し当てられることによって、皺の跡が肌に付きやすくなる。これに対して、本実施形態のおむつ1では、貫通孔50の上端etと下端ebとが横方向にずれているため、貫通孔50の上下で縦皺が分断され、上述の場合と比較して大きな皺が形成されにくくなる。また、多数の細かい縦皺が横方向に並んで形成されるようになるため、該縦皺が横方向への折れ曲がりの基点となり、おむつ1が着用者の身体の動きに追従して変形しやすくなる。これにより、おむつ1のフィット性を向上させることができる。
また、おむつ1において貫通孔50(スリットS)が傾いて形成される場合であっても、貫通孔50の横方向の両端el,erと、スリットSによって切断された弾性部材35の切断端(貫通孔側の端)とは、縦方向において重複した位置にある。そして、貫通孔50の横方向の両端el,erが弾性部材35によってそれぞれ横方向の外側へ引っ張られることにより、該貫通孔50は、横方向の左端elを頂点とする二等辺三角形、及び、横方向の右端erを頂点とする二等辺三角形とが合わされた綺麗なひし形の形状となる。これにより、貫通孔50の通気性が確保されやすくなり、また、腹側外装部材30(背側外装部材40)の表面に美しいひし形が揃って配列されていることにより、おむつ1の美観が向上する。また、弾性部材35の切断端は、貫通孔50の横方向の両端el,erよりも横方向の外側に位置し、該切断端が貫通孔50の内部に突出していない。すなわち、横方向について弾性部材35の切断端が貫通孔50の両端から内側にはみ出していないため、おむつ1の着用時において弾性部材35の切断端が着用者の肌と直接接触することが抑制され、着用者に違和感を与えにくくなっている。
なお、貫通孔50毎に横方向における貫通孔50の横方向の幅が異なっていても良い。例えば、図6において貫通孔50a(第1貫通孔)と貫通孔50b(第2貫通孔)とで、横方向において左端elと右端erとの間の距離が異なるようにしても良い。このようにすれば、腹側外装部材30(背側外装部材40)の領域毎に形状の異なる貫通孔50を形成することができるため、おむつ1のデザイン性や美観を高めることができる。
同様に、貫通孔50毎に開口面積が異なっていても良い。例えば、図6において貫通孔50a(第1貫通孔)と貫通孔50b(第2貫通孔)とで、開口している部分の面積(すなわちひし形の面積)が異なるようにしても良い。このようにすれば、腹側外装部材30(背側外装部材40)の領域毎に開口面積が大きい部分と小さい部分とが設けられるため、汗をかきやすい脚回りや背中側において開口面積を大きくする等、貫通孔50の通気性能を調整することが可能となる。これにより、おむつ1着用時における蒸れの発生等が抑制され、おむつ着用による不快感を生じにくくさせることができる。
貫通孔50の横方向の幅や面積の調整は、スリットSの傾きの角度θを変更したり、スリットSの長さを変更したりすることによって行っても良いし、弾性部材35によって作用する張力の大きさを変更する(例えば弾性部材35を配置する際の伸縮倍率を変更する)ことによって行っても良い。また、その他の方法によって調整されるのであっても良い。
このように、本実施形態のおむつ1では、貫通孔50が斜めに形成され、さらに各貫通孔50の開口幅や面積が異なることから、貫通孔50は、横方向及び縦方向の少なくともいずれかについて非対称な形状となっている。これにより、各々の貫通孔50の形状が目立ちやすくなり、視認性が向上する。したがって、使用者は、腹側外装部材30(背側外装部材40)に貫通孔50(通気口)が設けられていることを一見して把握することが可能となり、安心しておむつ1を着用対象者に着用させることができるようになる。また、貫通孔50の形状が非対称であることによって、上述のように貫通孔50の周囲に形成される皺も非対称となるため、おむつ1着用時における肌触りを向上させることができる。
なお、このように各貫通孔50の面積や形状が異なっていても、スリットSの長さが一定であれば、貫通孔50の外縁の長さ(貫通孔50の周長)は一定である。言い換えると、各々の貫通孔50(例えば第1貫通孔50aと第2貫通孔50b)について、上端etと左端elとの間の距離、左端elと下端ebとの間の距離、下端ebと右端erとの間の距離、右端erと上端etとの間の距離の合計値は一定である。例えば図6で、第1貫通孔50aの外縁の周長と、第2貫通孔50bの外縁の周長とは等しい。つまり、各貫通孔50において、資材(例えば不織布)が切断されている部分長さは一定であり、貫通孔50の周囲における強度にばらつきが生じにくくなっている。これにより、おむつ1の着用時等において腹側外装部材30(背側外装部材40)が横方向や縦方向に引っ張られた場合であっても、特定の領域(特定の貫通孔50の周囲)が破れやすくなる等の問題は生じにくく、おむつ1全体として強度を確保することができる。
また、本実施形態においては、腹側外装部材30は、肌側シート31及び非肌側シート32を有しており、肌側シート31と非肌側シート32との間に弾性部材35が配置され、少なくとも貫通孔50に外接し、横方向に沿った辺gと縦方向に沿った辺hからなる矩形領域には、接着剤が設けられていない。これによって、矩形領域内は、接着剤の固化によって貫通孔50の周囲が固くなってしまったり、開孔が不十分になってしまったりする恐れを軽減することができる。また、接着剤によって固化されていないため、貫通孔50の周囲が不織布等の素材本来の柔らかさによって、適度な皺を形成し、より柔らかい肌触りにすることができる。
さらに、本実施形態においては、図6の貫通孔50eと貫通孔50fとが、縦方向において隣り合っており、貫通孔50eと貫通孔50fとの縦方向の間には、他の弾性部材である弾性部材35hが設けられている。したがって、貫通孔50e、50fによって非連続とされた弾性部材35b、35cを設けて、締め付け力を低下させた場合であっても、弾性部材35b、35cのそれぞれに縦方向に隣り合った、貫通孔50によって非連続とされていない弾性部材35hを設けることによって、おむつ1の引き締め力を確保することができ、着用時におむつ1が落ちてしまう等の恐れを軽減することができる。
さらに、本実施形態においては、貫通孔50eと貫通孔50fとは、横方向において少なくとも一部が重なっており、縦方向における貫通孔50eと貫通孔50fとの間の距離L1は、貫通孔50eと貫通孔50fのそれぞれの長さ(L2)より長い。これによって、おむつ1に、着用しようとする際など、上下方向への力が加えられた場合であっても、貫通孔50e及び貫通孔50fの周囲が裂けてしまう恐れを軽減することができる。
なお、おむつ1の有効性について、腹側外装部材30を用いて説明したが、背側外装部材40についても同様である。
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。例えば、以下に示すような変形が可能である。
上述の実施形態においては、腹側外装部材30及び背側外装部材40に、それぞれ貫通孔50を形成したが、これに限られない。腹側外装部材30又は背側外装部材40のいずれかに貫通孔50を形成したものでも良い。但し、腹側外装部材30と背側外装部材40の両方に貫通孔50形成することによって、おむつ1の通気性をより向上させることができる。
上述の実施形態においては、腹側外装部材30及び背側外装部材40のそれぞれ肌側にシート部材34、44を設けているが、これに限られない。腹側外装部材30又は背側外装部材40のいずれかにシート部材34、44を設けても良いし、両方ともに設けなくても良い。
上述の実施形態においては、縦方向において互いに隣り合う弾性部材35の間の距離をほぼ等しく配置したがこれに限られない。弾性部材35は、縦方向において任意の間隔で配置することができ、それぞれ異なる間隔で配置しても良い。
また、図8は、他の実施形態のおむつ100を肌側から見た平面図である。図8に示すように、より汗をかきやすい下側(30c,40c)のみに貫通孔50を設けても良く、着用者のそけい部に沿って貫通孔50を配置しても良い。また、図8に示すように、腹側外装部材30及び背側外装部材40における貫通孔50の配置はほぼ同じとしても良い。貫通孔50の配置は、適宜変更することができる。
上記実施の形態に係るおむつ1は、乳幼児を着用対象としたが、これに限定されるものではなく、大人を着用対象としても良い。また、上述の実施形態においては、吸収性物品の一例として所謂3ピースタイプの使い捨ておむつ1を例示したが、何らこれに限られない。例えば、腹側部と股下部と背側部とを有した外装シートを第1部品、外装シートの肌側面に固定される吸収性本体を第2部品として有する2ピースタイプの使い捨ておむつや、テープ式の使い捨ておむつでも良い。
1、100 おむつ(吸収性物品)、1HB 胴回り開口、1HL 脚回り開口、
10 吸収性本体、10e 横端、
11 吸収体、11ta、11tb 上端、
13 表面シート部材、15 裏面シート部材、
30 腹側外装部材(腹側部)、30c 部分、30e 端部、30s 領域、
30et 腹側上端、30se 腹側外装部材側縁部、
31 肌側シート、32 非肌側シート、32f 折り返し部分、
34 シート部材、
35 弾性部材、
35a 弾性部材、35b 弾性部材、35c 弾性部材、
35h 弾性部材、35i 弾性部材、
35t 上側弾性部材、35m 連続弾性部材(下側弾性部材)、
35s 側方部弾性部材(下側弾性部材)、35u 最下側弾性部材、
40 背側外装部材(背側部)、40c 部分、40e 端部、40s 領域、
40et 背側上端、40se 背側外装部材側縁部、
41 肌側シート、42 非肌側シート、42f 折り返し部分、
44 シート部材、
45 弾性部材、
45t 上側弾性部材、45m 連続弾性部材(下側弾性部材)、
45f 側方部弾性部材(下側弾性部材)、45u 最下側弾性部材、
50 貫通孔、
50a 貫通孔(第1貫通孔)、50b 貫通孔(第2貫通孔)、
50c 貫通孔(第3貫通孔)、50d 貫通孔、50e 貫通孔、50f 貫通孔、
300 帯状腹側外装部材、310 帯状肌側シート、350 弾性部材、
400 帯状背側外装部材、
C10 中央部、
C 中心位置(貫通孔)、et 上端、eb 下端、el 左端、er 右端、
S スリット

Claims (11)

  1. 互いに直交する縦方向と横方向とを有し、
    着用者の腹側に設けられる腹側部と、
    前記着用者の背側に設けられる背側部と、
    前記腹側部及び前記背側部の少なくともいずれか一方に設けられ、前記横方向に沿った弾性部材を備える吸収性物品であって、
    肌側から非肌側に貫通する貫通孔を有し、
    前記縦方向において、前記貫通孔は、前記弾性部材と重なっており、
    前記横方向において、前記弾性部材は、前記貫通孔内で非連続であり、
    前記縦方向において、
    前記貫通孔の前記横方向の一端における前記弾性部材の位置と、
    前記貫通孔の前記横方向の他端における前記弾性部材の位置と、
    が異なる、ことを特徴とする吸収性物品。
  2. 請求項1に記載の吸収性物品であって、
    第1貫通孔と第2貫通孔とを有し、
    前記第1貫通孔の前記横方向の一端における前記弾性部材の位置と、前記第1貫通孔の前記横方向の他端における前記弾性部材の位置との間の前記縦方向における距離と、
    前記第2貫通孔の前記横方向の一端における前記弾性部材の位置と、前記第2貫通孔の前記横方向の他端における前記弾性部材の位置との間の前記縦方向における距離と、が異なる、ことを特徴とする吸収性物品。
  3. 請求項2に記載の吸収性物品であって、
    前記第1貫通孔の前記横方向の幅と、前記第2貫通孔の前記横方向の幅とが異なる、ことを特徴とする吸収性物品。
  4. 請求項2または3に記載の吸収性物品であって、
    前記第1貫通孔の開口面積と、前記第2貫通孔の開口面積とが異なる、ことを特徴とする吸収性物品。
  5. 請求項2〜4のいずれかに記載の吸収性物品であって、
    前記第1貫通孔の外縁の長さと、前記第2貫通孔の外縁の長さとが等しい、ことを特徴とする吸収性物品。
  6. 請求項1〜5に記載の吸収性物品であって、
    吸収性本体を備えており、
    前記吸収性本体の一方側の端部は、前記腹側部に重ねて接合され、他方側の端部は、前記背側部に重ねて接合されており、
    前記縦方向において、前記貫通孔の前記横方向の内側端の位置が、前記貫通孔の前記横方向の外側端の位置よりも低い、ことを特徴とする吸収性物品。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の吸収性物品であって、
    吸収性本体を備えており、
    前記吸収性本体の一方側の端部は、前記腹側部に重ねて接合され、他方側の端部は、前記背側部に重ねて接合されており、
    前記吸収性本体の長手方向の端より下側に設けられた前記貫通孔の前記横方向の一端における前記弾性部材の位置と、前記貫通孔の前記横方向の他端における前記弾性部材の位置との間の前記縦方向における距離は、
    前記吸収性本体の前記長手方向の端より上側に設けられた前記貫通孔の前記横方向の一端における前記弾性部材の位置と、前記貫通孔の前記横方向の他端における前記弾性部材の位置との間の前記縦方向における距離よりも長い、ことを特徴とする吸収性物品。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の吸収性物品であって、
    前記貫通孔の前記横方向の一端における前記弾性部材の位置と、前記貫通孔の前記横方向の他端における前記弾性部材の位置との間の前記縦方向における距離は、
    前記縦方向に隣り合う2つの前記弾性部材の間の前記縦方向における距離の最小値よりも小さい、ことを特徴とする吸収性物品。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の吸収性物品であって、
    前記縦方向において、前記貫通孔の前記横方向の端の位置と、前記弾性部材の前記貫通孔側の端の位置とが重複している、ことを特徴とする吸収性物品。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の吸収性物品であって、
    前記横方向において、前記貫通孔の前記縦方向の一端の位置と、前記貫通孔の前記縦方向の他端の位置とが異なる、ことを特徴とする吸収性物品。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の吸収性物品であって、
    前記貫通孔の形状は、前記横方向及び前記縦方向の少なくともいずれかについて非対称である、ことを特徴とする吸収性物品。

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