JP6335571B2 - ワイヤハーネスのアーシング構造、及び、アース機能付きピラーガーニッシュ - Google Patents
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Description
自動車ボディの材料にカーボン繊維強化プラスチック(CFRP)を用いた自動車は、自動車ボディへのアーシングが困難である。したがって、この場合、バッテリやインバータ等の電源までのアース回路を追加する必要がある。
図4(A)は、このようなアーシングが困難な自動車ボディの場合の電源と補機間の従来の電源回路を示している。図4(A)において、90は自動車ボディ、91はバッテリなどの電源、92はヘッドランプ、パワーウインド、各種センサ、ラジオ、エアコン、電動ミラー、ドアロック等の電気を必要としている補機、Pはプラス電線、E1〜E4はマイナス電線である。
図4(A)から判るように、各補機92と電源91とはそれぞれ1対1にマイナス電線E1〜E4で接続されている。
このように電源91と補機92とはそれぞれ1対1でマイナス電線E1〜E4で接続されているので、電線を多量に必要とし、ワイヤハーネスによる重量増加、コスト増加、組み付け性の低下といった影響があらわれた。
そこで従来の別の対策として、ジャンクションなどを用いて1本の電線にマイナス電線を纏める方法が考えられた。図4(B)は、このようなジャンクション方法による電源回路を示している。
図4(B)のように、車内の適宜箇所に複数の(図示の例では2個)ジャンクション93、93を配置して、電源91とジャンクション93とを太物電線E0で接続し、ジャンクション93と端末の補機92との接続はそれぞれ短いマイナス電線E5〜E8で行うようにしたものがある(特許文献1〜4参照)。
図4(B)から判るように、各補機92、92と電源91とはそれぞれ1本のマイナス電線E0で接続されているだけなので、図4(A)の回路と比べてコスト削減、軽量化ができた。
しかしながら、従来の1対1配索法と比べてコスト削減、軽量化はできるものの、導電性が十分に確保できないため、オーディオ機器などにノイズが発生するなどの問題があった。
(1)自動車ボディに敷設されたワイヤハーネスと、
前記ワイヤハーネスを覆うように前記自動車ボディに取り付けられると共に、金属、高導電性樹脂材料、または導電性金属材料を組み込んだ樹脂のいずれかで構成されてアースとして機能するスカッフプレートと、
前記スカッフプレートの裏側に位置する前記ワイヤハーネスから、前記スカッフプレートの外縁の一部に設けられた切欠き部を介して前記スカッフプレートの表側に引き出された、前記ワイヤハーネスを構成するマイナス電線に接続された別のマイナス電線の端部を、前記スカッフプレートの表側の所定位置に固定する固定部と、
前記固定部を覆うように前記自動車ボディに取り付けられるカバーと、
を備えること。
前記ワイヤハーネスを覆うように前記自動車ボディに取り付けられると共に、金属、高導電性樹脂材料、または導電性金属材料を組み込んだ樹脂のいずれかで構成されてアースとして機能する自動車内装部品と、
前記自動車内装部品の裏側に位置する前記ワイヤハーネスから、前記自動車内装部品の外縁の一部に設けられた切欠き部を介して前記自動車内装部品の表側に引き出された、前記ワイヤハーネスを構成するマイナス電線に接続された別のマイナス電線の端部を、前記自動車内装部品の表側の所定位置に固定する固定部と、
前記固定部を覆うように前記自動車ボディに取り付けられるカバーと、
を備えること。
(3)自動車のピラーに敷設されたワイヤハーネスと、
前記ワイヤハーネスを覆うように前記自動車のピラーに取り付けられると共に、金属、高導電性樹脂材料、または導電性金属材料を組み込んだ樹脂のいずれかで構成されてアースとして機能するピラーガーニッシュと、
前記ピラーガーニッシュの裏側の一部から前記ピラーガーニッシュの裏側に位置する前記ワイヤハーネスに向けて延びるアース端子と、
前記ワイヤハーネスを構成するマイナス電線に接続された別のマイナス電線の端部を前記アース端子に固定する固定部と、
を備えること。
(4) ワイヤハーネスが敷設された自動車のピラーに前記ワイヤハーネスを覆うように取り付けられたピラーガーニッシュを金属、高導電性樹脂材料、または導電性金属材料を組み込んだ樹脂のいずれかで構成してアースとして機能させ、
前記ピラーガーニッシュの前記ピラー側の一部を前記ワイヤハーネスに向けて延設してアース端子とし、前記ピラーガーニッシュの前記アース端子の近傍の部位に、前記アース端子にマイナス電線を接続する作業をするための開口窓を形成したこと。
図1は本発明の実施形態1を説明する図で、自動車の概念斜視図である図1(A)において、自動車のフロアのステップ部分を拡大すると図1(B)のようになる。
図1(B)とそのD−D断面図である図1(D)において、自動車ボディAが最下に位置し、その上にワイヤハーネスWHが敷設されている。ワイヤハーネスWHの上を、従来は樹脂製スカッフプレート100で覆い、さらにカバーCで樹脂製スカッフプレート100を覆っていた。
このようにワイヤハーネスWHを覆うスカッフプレート100は樹脂製であったので、この近傍にある補機のアーシングは、従来の図4(A)、(B)のマイナス電線を使用する方法によらなければならなかった。したがって、これでは電線を多量に必要とし、ワイヤハーネスによる重量増加、コスト増加、組み付け性の低下といった影響があらわれた。また、導電性が十分に確保できないため、オーディオ機器などにノイズが発生する問題があった。
これに対して、本発明の実施形態1では、図1(C)のように、自動車ボディAが最下に位置し、その上にワイヤハーネスWHが敷設され、ワイヤハーネスWHの上を、本発明の実施形態1に係る金属製スカッフプレート10で覆い、金属製スカッフプレート10に例えば、ワイヤハーネスWHを構成するマイナス電線に接続された別のマイナス線Eの一端の金属端子TをボルトBで締結して、アース機能を付加したのが特徴である。金属製スカッフプレート10を構成する金属としては、銅、銅合金、鉄、アルミなどが好適である。そして、この上をカバーCでを覆っている。このスカッフプレート10は金属製で面積が広くアース機能を持たせるのに好都合である。スカッフプレート10の近傍に配備されている補機はここにマイナス電線を接続すればよい。補機を金属製スカッフプレート10にマイナス電線を接続するだけで、簡単かつ確実にアーシングを行なうことができるので、従来のような多量の電線やジャンクション等の集約器を削減できる。
また、十分なアースサイズを確保できるため、AV機器等のノイズを低減できる。
図2(A)は本発明の実施形態2を説明する図で、図2(A)において、自動車ボディAが最下に位置し、その上にワイヤハーネスWHが敷設されている。ワイヤハーネスWHの上を、実施形態2に係る内装部品20で覆っている。実施形態2に係る内装部品20は、全体が樹脂で構成される中に導電性金属材料Lを組み込んでいるのが特徴である。そして、マイナス電線Eの一端の金属端子Tを導電性金属材料LにボルトBで締結して、アース機能を付加したのが特徴である。最後に、カバーCで内装部品20を覆っている。
この導電性金属材料Lは面積が広くアース機能を持たせるのに好都合である。導電性金属材料Lの近傍に配備されている補機はここにマイナス電線を接続すればよい。補機を導電性金属材料Lにマイナス電線を接続するだけで、短いマイナス電線で、簡単かつ確実にアーシングを行なうことができる。
これに対して従来は、図2(B)に示すように、ワイヤハーネスWHを覆う内装部品200は樹脂製であったので、これではこの近傍にある補機のアーシングは、従来の図4(A)、(B)のマイナス電線を使用する方法によらなければならなかった。したがって、これでは電線を多量に必要とし、ワイヤハーネスによる重量増加、コスト増加、組み付け性の低下といった影響があらわれた。また、導電性が十分に確保できないため、オーディオ機器などにノイズが発生する問題があった。
ここで言う内装部品20としては、実施形態1で扱ったスカッフプレート10の他に、フローリングフロア(従来カーペットであったものをフローリング素材で作成したアイテム)、ティビアパッド(床面とカーペットの間に装着する樹脂発泡品で、万一の衝突時に乗員の足にかかる衝撃を緩和するエネルギー吸収体)、ヘッドライニング(車の天井を覆うカバー)、ドアトリム(ドア内側に取り付ける内装部品、見栄え向上の他に、モジュールとして様々な装飾、機能を施すことでより快適な室内を演出することが可能となる部品)、ラッゲージトリム(荷室側面を覆うカバー)、リヤシェルフ(乗用車の後部座席とリアガラスの間に置かれるトレイ)、ツールボックス(ラゲージ側面を有効利用した樹脂成型ツールボックス)、デッキアンダーボックス(ラゲージマット下部に用意された樹脂成形の収納ボックス)、ダッシュサイレンサー(ボディ鉄板とダッシュボードの間に装着し、遮音・断熱・振動防止などの役割を果たす部品)、フードサイレンサー(エンジンルームの遮音・断熱を目的にボンネット裏側に装着される部品)、バンパーコア(樹脂発泡品による衝撃吸収体でバンパーの内部に充填)、フェンダーライナー(タイヤハウス内側に装着する樹脂成形品で、泥はねからボディ部分を防護する部品)などが本発明の実施対象となり、これらの樹脂製品の中に導電性金属材料Lを組み込むことで、アース基地とすることができる。
図3は本発明の実施形態3を説明する図で、図3(A)はピラーガーニッシュを車室内から見た斜視図、図3(B)は実施形態3に係るピラーガーニッシュ近傍の断面図、図3(C)は図3(A)のC−C断面図で従来のピラーガーニッシュの断面図である。図3(A)において、300は従来のピラーガーニッシュ、Rはルーフ、Sはシート、Gはガラス、Dはドアである。ピラーガーニッシュはPillar(柱)Garnish(装飾物)の略で、ここでは車内のフレームを隠す装飾目的のカバーをさしている。従来は図3(C)のように、ピラーPに沿ってワイヤハーネスWHが敷設され、ワイヤハーネスWHを隠すように樹脂製ピラーガーニッシュ300が覆っていた。このようにワイヤハーネスWHを覆うピラーガーニッシュ300は樹脂製であったので、この近傍にある補機のアーシングは、従来の図4(A)、(B)のマイナス電線を使用する方法によらなければならなかった。したがって、これでは電線を多量に必要とし、ワイヤハーネスによる重量増加、コスト増加、組み付け性の低下といった影響があらわれた。また、導電性が十分に確保できないため、オーディオ機器などにノイズが発生する問題があった。
これに対して、本発明の実施形態3では、図3(B)のように、ワイヤハーネスWHを本発明の実施形態3に係る高導電性樹脂材料のピラーガーニッシュ30で覆うようにしている。このピラーガーニッシュ30は高導電性樹脂材料で形成した半円筒状の樋をしており、その半円筒の樋の一部から樋の内側に向けて高導電性樹脂材料が延びてアース端子30Eを形成し、かつ、半円筒の樋のアース端子30E近傍の部位に開口窓30Wを開けている。そして、この開口窓30Wを塞ぐように、端子カバーFが開口窓30Wに嵌り込むようになっている。アース端子30Eにマイナス電線Eの一端が接続されて、アース機能を付加したのが特徴である。アース端子30Eにマイナス電線Eの一端が接続されたら、最後に、端子カバーFを開口窓30Wに嵌めてアーシング作業は完了する。
このように、高導電性樹脂材料でできたピラーガーニッシュ30にマイナス電線Eを接続することにより、アースとして使用できる。このピラーガーニッシュ30は高導電性で、サイズが広いので格好のアース基地となる。
ピラーガーニッシュ30の近傍に配備されている補機はここにマイナス電線で接続すればよい。補機をピラーガーニッシュ30に短いマイナス電線で接続するだけで、簡単かつ確実にアーシングを行なうことができるので、従来のような長いマイナス電線やジャンクション等の集約器を削減できる。
また、十分なアースサイズを確保できるため、AV機器等のノイズを低減できる。
以上の説明では、実施形態1のスカッフプレート10を金属製スカッフプレートとし、実施形態2の内装部品20を樹脂中に導電性金属材料Lを組み込んだものとし、実施形態3のピラーガーニッシュ30を高導電性樹脂材料として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、スカッフプレート10を樹脂中に導電性金属材料Lを組み込んだものとしても高導電性樹脂材料としてもよい。
また、内装部品20やピラーガーニッシュ30を金属製のものとしても良い。
内装部品20は、アースが集中する部位の意匠部品であれば何でも良い。
本発明によれば、内装部品や意匠部品を金属で構成したり、樹脂中に導電性金属材料Lを組み込むようにしたり、高導電性樹脂材料で構成して、そこに例えば、ワイヤハーネスを構成するマイナス電線に接続された別のマイナス線を接続することで簡単にアース機能を付加することができるため、従来のアーシングと比べて、部品点数を少なくできるのでコスト削減となり、部品点数・電線量が少なくできるので重量が削減でき、十分な導電性が確保できるためAV機器等のノイズを低減でき、アースの信頼性の向上に寄与する。
20:導電性金属材料組み込み内装部品
30:高導電性樹脂材料性ピラーガーニッシュ
30E:アース端子
30W:開口窓
A:自動車ボディ
B:ボルト
C:カバー
D:ドア
E:マイナス電線
F:端子カバー
G:ガラス
L:導電性金属材料
P:ピラー
R:ルーフ
S:シート
T:金属端子
WH:ワイヤハーネス
Claims (4)
- 自動車ボディに敷設されたワイヤハーネスと、
前記ワイヤハーネスを覆うように前記自動車ボディに取り付けられると共に、金属、高導電性樹脂材料、または導電性金属材料を組み込んだ樹脂のいずれかで構成されてアースとして機能するスカッフプレートと、
前記スカッフプレートの裏側に位置する前記ワイヤハーネスから、前記スカッフプレートの外縁の一部に設けられた切欠き部を介して前記スカッフプレートの表側に引き出された、前記ワイヤハーネスを構成するマイナス電線に接続された別のマイナス電線の端部を、前記スカッフプレートの表側の所定位置に固定する固定部と、
前記固定部を覆うように前記自動車ボディに取り付けられるカバーと、
を備えることを特徴とする、ワイヤハーネスのアーシング構造。 - 自動車ボディに敷設されたワイヤハーネスと、
前記ワイヤハーネスを覆うように前記自動車ボディに取り付けられると共に、金属、高導電性樹脂材料、または導電性金属材料を組み込んだ樹脂のいずれかで構成されてアースとして機能する自動車内装部品と、
前記自動車内装部品の裏側に位置する前記ワイヤハーネスから、前記自動車内装部品の外縁の一部に設けられた切欠き部を介して前記自動車内装部品の表側に引き出された、前記ワイヤハーネスを構成するマイナス電線に接続された別のマイナス電線の端部を、前記自動車内装部品の表側の所定位置に固定する固定部と、
前記固定部を覆うように前記自動車ボディに取り付けられるカバーと、
を備えることを特徴とする、ワイヤハーネスのアーシング構造。 - 自動車のピラーに敷設されたワイヤハーネスと、
前記ワイヤハーネスを覆うように前記自動車のピラーに取り付けられると共に、金属、高導電性樹脂材料、または導電性金属材料を組み込んだ樹脂のいずれかで構成されてアースとして機能するピラーガーニッシュと、
前記ピラーガーニッシュの裏側の一部から前記ピラーガーニッシュの裏側に位置する前記ワイヤハーネスに向けて延びるアース端子と、
前記ワイヤハーネスを構成するマイナス電線に接続された別のマイナス電線の端部を前記アース端子に固定する固定部と、
を備えることを特徴とする、ワイヤハーネスのアーシング構造。 - ワイヤハーネスが敷設された自動車のピラーに前記ワイヤハーネスを覆うように取り付けられたピラーガーニッシュを金属、高導電性樹脂材料、または導電性金属材料を組み込んだ樹脂のいずれかで構成してアースとして機能させ、
前記ピラーガーニッシュの前記ピラー側の一部を前記ワイヤハーネスに向けて延設してアース端子とし、前記ピラーガーニッシュの前記アース端子の近傍の部位に、前記アース端子にマイナス電線を接続する作業をするための開口窓を形成したことを特徴とするアース機能付きピラーガーニッシュ。
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