JP6335179B2 - 医療用具およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、医療用具およびその製造方法に関する。特に、本発明は、過酷な条件下での潤滑性に優れる医療用具およびその製造方法に関する。
気道、気管、消化管、尿道、血管等の生体管腔や組織中に挿入されるカテーテル、ガイドワイヤ、スタイレット等の医療用具は、組織を損傷させず、また目的部位まで確実に挿入することを可能とする操作性が要求され、さらには組織内に留置している間に摩擦によって粘膜を損傷したり、炎症を引き起こしたりすることを避けるために優れた潤滑性を示すことが要求される。
このような、要求を満足するため、生体内に挿入する医療器具の基材表面に、無水マレイン酸系高分子物質等の水溶性高分子を共有結合させて、潤滑性を有する樹脂被覆層を形成することが知られている(例えば、特開昭60−259269号公報参照)。特開昭60−259269号公報では、無水マレイン酸系高分子物質等の水溶性高分子の被覆層を下地層を介して基材上に形成した後、好ましくは水処理することによって、湿潤時に潤滑性を発揮させている。
特開昭60−259269号公報に記載される医療用具は、通常の大気雰囲気中では十分な潤滑性を発揮できるものの、高温、低温、高湿度などの過酷な条件下では潤滑性が過度に低下するという問題があった。近年、医療用具を輸出する際の輸送工程中、あるいは使用する国の環境によっては、上記したような過酷な条件、特に高湿度の環境下に、医療用具がさらされる可能性がある。このため、高温、低温、高湿度などの過酷な条件下での潤滑性の維持・向上が強く要求される。
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、過酷な条件下での潤滑性に優れる医療用具およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、カルボン酸エステルの割合を所定の範囲に調節したマレイン酸系高分子物質を含む被覆層を医療用具の基材上に形成することによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、上記目的は、基材の表面にマレイン酸系高分子物質を含む樹脂被覆層を設けてなる生体内に挿入される医療用具であって、前記樹脂被覆層は、前記マレイン酸系高分子物質を、前記医療用具を構成する基材の少なくとも表面に存在する反応性官能基と共有結合させることにより形成され、前記マレイン酸系高分子物質は、マレイン酸由来の構成単位を含み、前記マレイン酸由来の構成単位は、下記構成単位(a)および下記構成単位(b)からなり、前記構成単位(a):構成単位(b)のモル比が100:2〜100:50である、医療用具によって達成できる。
式中、X〜Xは、それぞれ独立して、水素、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属を表し、Rは炭素数1〜24の直鎖または分岐鎖のアルキル基を表す。
また、上記目的は、炭素数1〜24の直鎖または分岐鎖のアルコールおよび水を含有し、前記アルコール:水の含有質量比が100:0.1〜150である溶液と、無水マレイン酸系高分子物質と、を反応させて、マレイン酸由来の構成単位を含むマレイン酸系高分子物質を得る段階と、反応性官能基を有する化合物を含む溶液で医療用具を構成する基材を処理して、該基材の少なくとも表面に反応性官能基が存在する下地層を形成する段階と、前記下地層が形成された基材を前記マレイン酸系高分子物質で処理して、前記反応性官能基と前記マレイン酸系高分子物質とを共有結合させて、前記下地層上にマレイン酸系高分子物質を含む樹脂被覆層を形成する段階と、を有する、本発明の医療用具の製造方法によっても達成できる。
表面潤滑維持性評価試験装置(摩擦測定機)の模式図である。図1において、1は水、2はシャーレ、3は医療用具(サンプル)、4は円柱状ブチルゴム端子、5は荷重、6は移動テーブル、10は摩擦測定機を示す。 表面潤滑性の評価結果を示すグラフである。
本発明は、基材の表面にマレイン酸系高分子物質を含む樹脂被覆層を設けてなる生体内に挿入される医療用具であって、
前記樹脂被覆層は、前記マレイン酸系高分子物質を、前記医療用具を構成する基材の少なくとも表面に存在する反応性官能基と共有結合させることにより形成され、
前記マレイン酸系高分子物質は、マレイン酸由来の構成単位を含み、前記マレイン酸由来の構成単位は、下記構成単位(a)および下記構成単位(b)からなり、前記構成単位(a):構成単位(b)のモル比が100:2〜100:50である、医療用具を提供する。
式中、X〜Xは、それぞれ独立して、水素、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属を表し、Rは、炭素原子数1〜24の直鎖または分岐鎖のアルキル基を表す。
上記特開昭60−259269号公報の実施例8〜12には、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体(GANTREZ AN169)のハーフエチルエステル(エステル化度40〜50%)を表面被覆層として用いたことが記載されている。メチルビニルエーテル無水マレイン酸重合体のハーフエチルエステルは、マレイン酸無水環をアルコールで開環することによって製造される(例えば、特開2008−279100号公報 段落「0021」)。このため、上記メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体(GANTREZ AN169)のエステル化度50%とは、無水環が完全に開環して、アルコールによるエステル化が完全に進行した状態を指し、マレイン酸由来の構成単位は構成単位(a)のみからなる(構成単位(b)=0)。また、特開昭60−259269号公報でいうメチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体(GANTREZ AN169)のエステル化度40%とは、アルコールによるエステル化反応が完全には進行していない状態を指し、一部無水マレイン酸が残っている状態を指す。換言すれば、特開昭60−259269号公報でいうメチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体(GANTREZ AN169)のエステル化度40%の共重合体とは、マレイン酸由来の構成単位は構成単位(a)とともに、無水マレイン酸由来の下記構成単位(c):
が残存している形態を指す(構成単位(a):構成単位(c)=40:20(モル比)、構成単位(b)=0)。
一方、本発明のマレイン酸系高分子物質は、無水マレイン酸共重合体中のマレイン酸無水環を完全に開環させるため、上記構成単位(c)を含まない。
本発明のマレイン酸系高分子物質は、無水マレイン酸共重合体をアルコールおよび水と反応させることによって、アルコールによるエステル化反応とともに水による加水分解反応が起こる。このため、本発明のマレイン酸系高分子物質は、無水マレイン酸のアルコールによるエステル化反応により形成される構成単位(a)を含むとともに、無水マレイン酸の加水分解により形成される構成単位(b)を含むこととなる。
本発明のマレイン酸系高分子物質は、構成単位(a):構成単位(b)のモル比が100:2〜100:50である。構成単位(a)100モル%に対する構成単位(b)のモル比が2モル%未満であると、カルボン酸(塩)基が物質内で少なくなるため、高温高湿などの過酷な条件下での潤滑性が低下する。また、構成単位(a)100モル%に対する構成単位(b)のモル比が50モル%を超えると、過酷な条件下に加えて通常の大気雰囲気中での医療用具の潤滑性が低下する。
ここで、上記したような効果を奏するメカニズムは、不明であるが、下記のように推測される。なお、本発明は、下記推測に限定されるものではない。すなわち、マレイン酸系高分子物質は体液や血液と接触すると、その物質中に存在するカルボン酸塩(カルボキシル基のアルカリ金属塩)が体液や血液で膨潤してゲル化して、潤滑性を発揮する。このため、例えば、特公平7−83761号公報の実施例1では、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体のハーフエチルエステルで基材を被覆したカテーテルチューブを、NaHCO溶液に浸漬してアルカリ処理を行っている。
このため、被覆層を構成するマレイン酸系高分子物質は、マレイン酸系高分子物質のカルボン酸塩(カルボキシル基のアルカリ金属塩)の存在量がある程度多いほうが、湿潤時の膨潤性(湿潤性)が高い。しかし、上記したような過酷な条件(特に、高湿条件)下では、カルボキシル基の金属塩(−COOX)がカルボキシル基(−COOH)に変換して、被覆層中のマレイン酸系高分子物質のカルボン酸塩の割合が低くなり、湿潤時の膨潤性(湿潤性)が低下してしまう。このため、本発明によるように、カルボン酸塩がある程度多く存在するようにエステル化度を調節することによって、上記したような過酷な条件(特に、高湿条件)下におかれてカルボキシル基の金属塩の一部がカルボキシル基に変換した(−COOX→−COOH)後であっても、十分量のカルボン酸塩(カルボキシル基のアルカリ金属塩)がマレイン酸系高分子物質中に残る。このため、本発明に係る被覆層は、高温、低温、高湿度などの過酷な条件下におかれた後であっても、十分量のカルボン酸塩(カルボキシル基のアルカリ金属塩)が体液や血液で膨潤してゲル化して、湿潤時の潤滑性を低下させず、優れた潤滑性を維持・発揮できる。
一方で、構成単位(a)100モル%に対する構成単位(b)のモル比が50モル%を超えると、上記アルカリ処理時に高分子物質が溶解し、膨潤がうまく進行せず、潤滑性が低下する。
したがって、本発明の医療用具は、優れた潤滑性を有するとともに、輸送時または使用される国の過酷な環境などによる影響を受けた場合であっても、潤滑性の低下を抑制・防止でき、優れた潤滑性を維持・発揮できる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味し、「重量」と「質量」、「重量%」と「質量%」及び「重量部」と「質量部」は同義語として扱う。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で測定する。
(医療用具)
本発明の医療用具は、生体内に挿入される基材(部分)の表面にマレイン酸系高分子物質を含む樹脂被覆層が形成されてなる生体内に挿入される医療用具である。医療用具は、いずれの用途に使用されてもよいが、体液や血液との接触による潤滑性付与効果を考慮すると、体液や血液と接触して用いられることが好ましい。具体的には、留置針、IVHカテーテル、サーモダイリューションカテーテル、血管造影用カテーテル、血管拡張用カテーテル(例えば、PCTAカテーテル)、ダイレーターあるいはイントロデューサーなどの血管内に挿入ないし留置されるカテーテル類、あるいは、これらのカテーテル用のガイドワイヤ、スタイレット;胃管カテーテル、栄養カテーテル、経管栄養用(ED)チューブなどの経口もしくは経鼻的に消化器官内に挿入ないし留置されるカテーテル類;酸素カテーテル、酸素カヌラ、気管内チューブのチューブやカフ、気管切開チューブのチューブやカフ、気管内吸引カテーテルなどの経口または経鼻的に気道ないし気管内に挿入ないし留置されるカテーテル類;尿道カテーテル、導尿カテーテル、尿道バルーンカテーテルのカテーテルやバルーンなどの尿道ないし尿管内に挿入ないし留置されるカテーテル類;吸引カテーテル、排液カテーテル、直腸カテーテルなどの各種体腔、臓器、組織内に挿入ないし留置されるカテーテル類;人工気管、人工気管支;体外循環治療用の医療用具(人工肺、人工心臓、人工腎臓など)やその回路類;各種器管内挿入用内視鏡の外表面など生体内挿入時、摺動時または留置時等に低い摩擦抵抗を要求される医療用具などが挙げられる。これらのうち、体液や血液との接触による潤滑性付与効果に対する要求が高いという面では、血管や尿管等の生体管腔内で使用されるカテーテル、ガイドワイヤ、留置針の体液/血液接触面に本発明に係る被覆層を設けることが好ましい。
(樹脂被覆層)
本発明に係る樹脂被覆層(被覆層)は、体液や血液や生理食塩水などの水系液体中で表面潤滑性を発揮して、カテーテルやガイドワイヤ等の医療用具を容易に生体管腔内に挿入できるなど、操作性を向上できる。また、本発明に係る樹脂被覆層(被覆層)は、上記操作中による組織粘膜の損傷を低減できる。
上記樹脂被覆層は、マレイン酸系高分子物質を、医療用具を構成する基材の少なくとも表面に存在する反応性官能基と共有結合させることにより形成される。なお、使用用途であるカテーテル、ガイドワイヤ、留置針等の医療用具において、必ずしもこれらの医療用具(基材)の全ての表面(表面全体)が潤滑性を有する必要はなく、少なくとも体液や血液と接触する表面部分(一部の場合もあれば全部の場合もある)のみに被覆層が形成されていればよい。このため、本発明は、医療用具を構成する基材の表面の一部あるいは基材の内部が潤滑性を有する場合を包含する。また、マレイン酸系高分子物質は、高い湿潤時の潤滑性およびその持続性を発揮できる。
樹脂被覆層に使用されるマレイン酸系高分子物質は、マレイン酸由来の構成単位を含み、前記マレイン酸由来の構成単位は、下記構成単位(a)および下記構成単位(b)からなる。
式中、X〜Xは、それぞれ独立して、水素、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属を表す。ここで、アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムがある。また、アルカリ土類金属としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムがある。好ましくは、X〜Xは、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムであり、ナトリウム、カルシウムであることがより好ましく、ナトリウムであることが特に好ましい。X〜Xがナトリウムである場合、マレイン酸系高分子物質が体液や血液と接触すると、マレイン酸系高分子物質中のカルボキシル基のナトリウム塩が体液や血液で膨潤してゲル化して、特に優れた潤滑性を発揮できる。なお、Xがアルカリ土類金属である場合には、隣接するカルボキシル基/エステルがX〜Xを介して連結する(−C(=O)−O−X−O−C(=O)−)を形成する)。
潤滑性向上の観点からは、X〜Xのうち少なくとも1つがアルカリ金属であることが好ましい。
なお、X〜Xのうち少なくとも1つがアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属である形態は、下地層及び樹脂被覆層を有する基材をアルカリ処理することによって得られる。
また、上記式中、Rは炭素原子数1〜24の直鎖または分岐鎖のアルキル基である。ここで、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、2−エチルヘキシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基などが挙げられる。これらのうち、湿潤時の膨潤性(潤滑性)の高さや当該効果の維持(耐久性)などを考慮すると、Rは、炭素原子数1〜8の直鎖または分岐鎖のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜3の直鎖または分岐鎖のアルキル基がより好ましい。
本発明のマレイン酸系高分子物質は、マレイン酸由来の構成単位を含む。ここでマレイン酸由来の構成単位とは、無水マレイン酸由来の構成単位(上記構成単位(c))、ならびにこれを開環して得られるマレイン酸塩由来の構成単位(構成単位(b))およびマレイン酸エステル由来の構成単位(構成単位(a))を指す。このうち、本発明のマレイン酸系高分子物質は、マレイン酸由来の構成単位として、構成単位(a)および構成単位(b)からなり、構成単位(c)を含まない。本発明のマレイン酸系高分子物質は、後述するように、無水マレイン酸共重合体をアルコールおよび水の共存下で加水分解とエステル化を起こさせているため、マレイン酸由来の構成単位として、構成単位(a)および構成単位(b)を含むこととなる。
なお、マレイン酸系高分子物質中に無水マレイン酸由来の構成単位である構成単位(c)が残っていないことは赤外分光法によって確認することができる。
本発明のマレイン酸系高分子物質は、構成単位(a):構成単位(b)のモル比が100:2〜100:50である。構成単位(a)100モル%に対する構成単位(b)のモル比が2モル%未満であると、高温高湿などの過酷な条件下での潤滑性が低下する。また、構成単位(a)100モル%に対する構成単位(b)のモル比が50モル%を超えると、過酷な条件下に加えて通常の大気雰囲気中での医療用具の潤滑性が低下する。構成単位(a):構成単位(b)のモル比は、好ましくは100:2〜50であり、より好ましくは100:2〜43である。
また、マレイン酸由来の構成単位と共重合可能な他の単量体は、本発明による効果(例えば、通常条件下での湿潤時の潤滑性、過酷な条件下での湿潤時の潤滑性、潤滑維持性)を阻害しないものであれば特に制限されない。具体的には、アルキルビニルエーテル、アクリルアミドやその誘導体、ビニルピロリドン、アクリル酸やメタクリル酸及びそれらの誘導体、ジエン系化合物、糖、リン脂質を側鎖に有する単量体を例示できる。より具体的には、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、アクリル酸、メタクリル酸、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、ビニルピロリドン、2−メタクリロイルオキシエチルフォスフォリルコリン、2−メタクリロイルオキシエチル−D−グリコシド、2−メタクリロイルオキシエチル−D−マンノシド、ビニルメチルエーテル、ヒドロキシエチルメタクリレートなどが例示できる。これらのうち、湿潤時の潤滑性、過酷な条件下での湿潤時の潤滑性、潤滑維持性などを考慮すると、アルキルビニルエーテルが好ましく、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルが特に好ましい。すなわち、マレイン酸系高分子物質は、アルキルビニルエーテル−マレイン酸エステル共重合体であることが好ましく、マレイン酸由来の構成単位(構成単位(a)および(b))および下記式(d):
で示されるアルキルビニルエーテル由来の構成単位から構成されるアルキルビニルエーテル−マレイン酸エステル共重合体であることが特に好ましい。上記式(d)において、アルキルビニルエーテル由来の構成単位における置換基R’は、炭素原子数1〜24の直鎖または分岐鎖のアルキル基である。ここで、「アルキル基」は、上記構成単位(a)における置換基Rに関するアルキル基と同様の定義であるため、ここでは説明を省略する。これらのうち、R’は、炭素原子数1〜8の直鎖または分岐鎖のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜3の直鎖または分岐鎖のアルキル基がより好ましい。なお、マレイン酸系高分子物質が共重合体である場合に、各構成単位は、ブロック状であってもまたはランダム状であってもよい。
また、マレイン酸系高分子物質が共重合体である場合の、各構成単位(各構成単位を形成する単量体)の組成は、特に制限されず、所望の効果(例えば、湿潤時の潤滑性、過酷な条件下での湿潤時の潤滑性、潤滑維持性)を考慮して、適宜選択される。具体的には、マレイン酸系高分子物質は、20〜80モル%のマレイン酸由来の構成単位(構成単位(a)および(b))、および80〜20モル%の他の単量体由来の構成単位から構成されることが好ましく、30〜70モル%のマレイン酸由来の構成単位、および70〜30モル%の他の単量体由来の構成単位から構成されることがより好ましい。ここで、マレイン酸由来の構成単位および他の単量体由来の構成単位の合計量は、100モル%である。特に、マレイン酸系高分子物質は、40〜60モル%のアルキルビニルエーテル由来の構成単位および60〜40モル%マレイン酸由来の構成単位(アルキルビニルエーテル由来の構成単位およびマレイン酸由来の構成単位の合計量は100モル%である)から構成されるアルキルビニルエーテル−マレイン酸エステル共重合体であることが好ましい。
また、マレイン酸系高分子物質は、分子鎖に自由度を有しかつ含水形態をとりうるものであれば、不溶化形態を有していてもよい。当該形態としては、分子鎖に自由度を有しかつ含水形態をとりうるものであれば、特に制限されない。具体的には、上記マレイン酸系高分子物質の縮合、付加、置換、酸化、還元反応などで得られるアミド化物、無水物、ハロゲン化物、エーテル化物、加水分解物、アセタール化物、ホルマール化物、アルキロール化物、4級化物、ジアゾ化物、ヒドラジド化物、スルホン化物、ニトロ化物、イオンコンプレックス;ジアゾニウム基、アジド基、イソシアネート基、酸クロリド基、酸無水物基、イミノ炭酸エステル基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、水酸基、アルデヒド基等、反応性官能基を2個以上有する物質との架橋物などが挙げられる。このようなマレイン酸系高分子物質は、体液や血液と接触させると、生体管腔や組織との摩擦抵抗を著しく低下させることができ、潤滑剤として好適に使用できる。また、これらのマレイン酸系高分子物質の縮合または付加反応や置換反応などで得られる誘導体や、一部架橋などされたものも潤滑剤として同様に有効である。
さらに、マレイン酸系高分子物質の分子量もまた、特に制限されず、所望の効果(例えば、湿潤時の潤滑性、過酷な条件下での湿潤時の潤滑性、潤滑維持性)を考慮して、適宜選択される。具体的には、マレイン酸系高分子物質の重量平均分子量は、好ましくは1万〜700万、より好ましくは10万〜500万である。なお、本明細書においては、マレイン酸系高分子物質の分子量(重量平均分子量)は、標準物質としてポリスチレン、移動相としてテトラヒドロフラン(THF)を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定している。なお、マレイン酸系高分子物質の分子量は、繰り返し単位の種類およびその繰り返し単位数により算出することもできる。
(反応性官能基)
上記マレイン酸系高分子物質は、少なくとも基材表面に存在する反応性官能基と共有結合させることにより、被覆層を基材上に形成させる。この被覆層は、体液や血液などの水系液体中に溶解することなく、持続的な潤滑性を発揮できる。反応性官能基は、少なくとも基材表面に存在すればよい。これにより、被覆層中のマレイン酸系高分子物質と容易に結合できる。このため、反応性官能基は、基材表面に加えて基材の内部に存在していてもよい。
ここで、反応性官能基は、マレイン酸系高分子物質と反応し、共有結合を形成するものであれば、特に制限はない。具体的には、ジアゾニウム基、アジド基、イソシアネート基、酸クロリド基、酸無水物基、イミノ炭酸エステル基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、水酸基、アルデヒド基等が挙げられる。これらのうち、反応性官能基は、イソシアネート基、アミノ基、アルデヒド基またはエポキシ基であることが好ましい。上記反応性官能基は、1種単独で使用されてもあるいは2種以上を併用されてもよい。
反応性官能基の導入形態は、特に制限されない。具体的には、(i)反応性官能基を少なくとも表面に有する基材(反応性官能基含有基材)を使用する形態;(ii)反応性官能基を予め少なくとも表面に導入した基材を使用する形態;および(iii)基材上に反応性官能基を有する別の層(下地層)を形成する形態など、いずれの形態を使用してもよい。これらのうち、基材選択の自由度などを考慮すると、(iii)の形態が好ましく、上記(iii)の形態において、反応性官能基を有する化合物を含む溶液で医療用具を構成する基材を処理して、該基材の少なくとも表面に反応性官能基が存在する下地層を形成することがより好ましい。
上記(i)の形態では、ポリウレタン、ポリアミドなどから形成される基材が、反応性官能基含有基材として好適に使用される。また、上記(ii)の形態では、基材表面にイオン化ガスプラズマ照射を行う方法が好適に使用できる。ここで、イオン化ガスプラズマ照射は、いずれの条件で行ってもよいが、酸素または窒素を含有するイオン化ガスプラズマを照射することが好ましい。例えば、基材表面に酸素を含有するイオン化ガスプラズマを照射することによって、基材表面が改質、活性化されて、基材表面にカルボキシル基、水酸基、パーオキサイド等の官能基が導入される。なお、上記方法において、イオン化ガス中の酸素の含有量は、上記したような効果を奏する量であれば特に制限されない。また、基材表面に窒素を含有するイオン化ガスプラズマを照射することによって、基材表面が改質、活性化されて、基材表面にカルボキシル基、水酸基、パーオキサイド、アミノ基等の官能基が導入される。なお、上記方法においても、イオン化ガス中の窒素の含有量は、上記したような効果を奏する量であれば特に制限されない。
上記(iii)の形態では、各種医療用具の外壁、内壁などを構成する基材として、反応性官能基を含有していないものを使用する場合に特に好適に適用できる。すなわち、反応性官能基を有する化合物にて処理し、反応性官能基を基材に存在させ、この上にマレイン酸系高分子物質を共有結合させる。
上記反応性官能基を有する化合物としては、上記反応性官能基を有するものであれば特に制限されない。例えば、反応性官能基としてイソシアネート基を有する化合物としては、エチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、トルフェニルメタントリイソシアネート、トルエントリイソシアネート等のポリイソシアネート、およびこれらポリイソシアネートとポリオール(例えばトリメチロールプロパン)とのアダクト(付加体)またはプレポリマーなどが挙げられる。
反応性官能基としてアミノ基を有する化合物としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、テトラメチレンジアミン、1,3−ジアミノブタン、2,3−ジアミノブタン、ペンタメチレンジアミン、2,4−ジアミノペンタン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、デドカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、オクタデカメチレンジアシン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルトリメチレンジアミン、N,N−ジメチルトリメチレンジアミン、N,N−ジブチルトリメチレンジアミン、N,N,N’−トリエチルエチレンジアミン、N−メチルトリメチレンジアミン、N−N−ジメチル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ヘプタエチレンオクタミン、ノナエチレンデカミン、1,3−ビス(2’−アミノエチルアミノ)プロパン、ビス(3−ダミノプロパル)アミン、1,3−ビス(3’−アシノプロピルアミノ)プロパン、1,2,3−トリアミノプロパン、トリス(2−アミノエチル)アミン、テトラ(アミノメチル)メタン、メチルイミノビスプロピルアミン、メチルイミノビスエチルアミン、エチルイミノビスエチルアミン、N−アミノプロピル−2−モルホリン、N−アミノプロピル−2−ピペコリン、N−(2−ヒドロキシエチル)トリメチレンジアミン、キシリレンジアミン、フェニレンジアミン、ピペラジン、N−メチルピペラジン、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、N−アミノエチルピペラジン、N,N,N’N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’N’−テトラメチルテトラメチレンジアミン等の低分子ポリアミン、アミンとアルキレンジハライドあるいはエピクロルヒドリンから合成されるポリ(アルキレンポリアミン)〔エンサイクロピディア・オブ・ポリマー・サイエンス・アンド・テクノロジー(Encyclopedia of Polymer Science and Technology)10巻、616ページ〕、エチレンイミン、プロピレンイミンなどのアルキレンイミンの開環重合によって得られるアルキレンイミン重合体〔エンサウクロピディア・オブ・ポリマー・サイエンス・アンド・テクノロジー、1巻、734ページ〕、ポリビニルアミン、ポリリジン等の高分子ポリアミンなどのポリアミンなどが挙げられる。
反応性官能基としてアルデヒド基を有する化合物としては、グルタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、ジアルデヒド、デンプン、ガリオキサール、マロンアルデヒド、コハク酸アルドヒド、アジプアルデヒド、ピメリンジアルデヒド、スベリンジアルデヒド、マレインアルデヒド、2−ペンテン−1,5−ジアルデヒド等のポリアルデヒドなどが挙げられる。
反応性官能基としてエポキシ基を有する化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリンジルエーテル、ポリプロピレンジグリンシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチエロールプロパントリグリシジルエーテル等のポリエポキシド、などが挙げられる。
これらのうち、マレイン酸系高分子物質との結合性(即ち、通常条件下での湿潤時の潤滑性、過酷な条件下での湿潤時の潤滑性、潤滑維持性)などを考慮すると、反応性官能基を有する化合物としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト、あるいはそのトリマー、ジエチレントリアミンが好ましい。上記反応性官能基を有する化合物は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
(基材)
本実施形態で用いられる基材は、いずれの材料から構成されてもよく、その材料は特に制限されず、表面に被覆層を設ける医療用具の種類によって適宜選択できる。具体的には、基材を構成(形成)する材料としては、金属材料、高分子材料、ガラス材料、およびセラミックス材料等が挙げられる。ここで、基材は、基材全体(全部)が上記いずれかの材料で構成(形成)されても、または、上記いずれかの材料で構成(形成)された基材コア部の表面に他の上記いずれかの材料を適当な方法で被覆(コーティング)して、基材表面層を構成(形成)した構造を有していてもよい。後者の場合の例としては、樹脂材料等で形成された基材コア部の表面に金属材料が適当な方法(メッキ、金属蒸着、スパッタ等従来公知の方法)で被覆(コーティング)されて、基材表面層を形成してなるもの;金属材料やセラミックス材料等の硬い補強材料で形成された基材コア部の表面に、金属材料等の補強材料に比して柔軟な高分子材料が適当な方法(浸漬(ディッピング)、噴霧(スプレー)、塗布・印刷等従来公知の方法)で被覆(コーティング)あるいは基材コア部の補強材料と基材表面層の高分子材料とが複合化(適当な反応処理)されて、基材表面層を形成してなるものなどが挙げられる。よって、基材コア部が、異なる材料を多層に積層してなる多層構造体、あるいは医療用具の部分ごとに異なる材料で形成された部材を繋ぎ合わせた構造(複合体)などであってもよい。また、基材コア部と基材表面層との間に、さらに別のミドル層が形成されていてもよい。さらに、基材表面層に関しても異なる材料を多層に積層してなる多層構造体、あるいは医療用具の部分ごとに異なる材料で形成された部材を繋ぎ合わせた構造(複合体)などであってもよい。
上記基材を構成(形成)する材料のうち、金属材料としては、特に制限されるものではなく、カテーテル、ガイドワイヤ、留置針等の医療用具に一般的に使用される金属材料が使用される。具体的には、SUS304、SUS316、SUS316L、SUS420J2、SUS630などの各種ステンレス鋼(SUS)、金、白金、銀、銅、ニッケル、コバルト、チタン、鉄、アルミニウム、スズあるいはニッケル−チタン(Ni−Ti)合金、ニッケル−コバルト(Ni−Co)合金、コバルト−クロム(Co−Cr)合金、亜鉛−タングステン(Zn−W)合金等の各種合金などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。上記金属材料には、使用用途であるカテーテル、ガイドワイヤ、留置針等の基材として最適な金属材料を適宜選択すればよい。
また、上記基材を構成(形成)する材料のうち、高分子材料としては、特に制限されるものではなく、カテーテル、ガイドワイヤ、留置針等の医療用具に一般的に使用される高分子材料が使用される。具体的には、ポリアミド樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)などのポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂、変性ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂(ポリウレタン)、ジアリルフタレート樹脂(アリル樹脂)、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、アミノ樹脂(ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂)、ポリエステル樹脂、スチロール樹脂、ポリアセタール樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂(ポリ塩化ビニル)、シリコーン樹脂(ケイ素樹脂)、ポリエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリ無水マレイン酸、ポリエチレンイミンなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。上記高分子材料には、使用用途であるカテーテル、ガイドワイヤ、留置針等の基材として最適な高分子材料を適宜選択すればよい。
また、上記基材の形状は、特に制限されることはなく、シート状、線状(ワイヤ)、管状など使用態様により適宜選択される。
(医療用具の製造方法)
本発明の医療用具は、基材表面に潤滑性を付与するための被覆層が設けられていればよく、その製造方法は特に制限されない。具体的には、本発明の医療用具は、基材表面に反応性官能基を導入した後、本発明のマレイン酸系高分子物質で処理して、反応性官能基とマレイン酸系高分子物質とを共有結合させて、被覆層を形成することが好ましい。ここで、上述したように、反応性官能基は、基材上に反応性官能基を有する別の層(下地層)を形成することによって、基材表面に導入されることが好ましく、反応性官能基を有する化合物を含む溶液で医療用具を構成する基材を処理して、該基材の少なくとも表面に反応性官能基が存在する下地層を形成することによって、基材表面に導入されることがより好ましい。また、マレイン酸系高分子物質を含む被覆層は、上記下地層を有する基材をマレイン酸系高分子物質で処理して、反応性官能基とマレイン酸系高分子物質とを共有結合させて、下地層上に形成することが好ましい。さらに、上記したようにして形成された被覆層をアルカリ処理することが好ましい。
したがって、本発明の医療用具の製造方法は、炭素数1〜24の直鎖または分岐鎖のアルコールおよび水を含有し、前記アルコール:水の含有質量比が100:0.1〜150である溶液と、無水マレイン酸系高分子物質と、を反応させて、マレイン酸由来の構成単位を含むマレイン酸系高分子物質を得る段階[工程(1)]と、
反応性官能基を有する化合物を含む溶液で医療用具を構成する基材を処理して、該基材の少なくとも表面に反応性官能基が存在する下地層を形成する段階[工程(2)]と、
前記下地層が形成された基材を前記マレイン酸系高分子物質で処理して、前記反応性官能基と前記マレイン酸系高分子物質とを共有結合させて、前記下地層上にマレイン酸系高分子物質を含む樹脂被覆層を形成して、下地層及び樹脂被覆層を有する基材を得る段階[工程(3)]と、を有することが好ましい。さらに、下地層及び樹脂被覆層を有する基材をアルカリ処理する段階[工程(4)]を有することが好ましい。
以下、上記本発明の医療用具の好ましい製造方法について、詳述する。なお、本発明は、下記形態に限定されない。
1.工程(1)
本工程では、無水マレイン酸系高分子物質を炭素数1〜24の直鎖または分岐鎖のアルコールおよび水を含有し、前記アルコール:水の含有質量比が100:0.1〜150である溶液(以下、単に混合溶液とも称する)と反応させることにより、無水マレイン酸系高分子物質中の無水マレイン酸由来の構成単位(c)のエステル化反応と加水分解反応とを同時に進行させて、構成単位(c)を上記構成単位(a)および(b)とするものである。
ここで、無水マレイン酸系高分子物質は、高分子中のマレイン酸由来の構成単位の一部に無水マレイン酸由来の構成単位(c)を含んでいればよい。無水マレイン酸系高分子物質が含みうる構成単位としては、上記構成単位に加えて、上記マレイン酸系高分子物質の項で記載した他の単量体由来の構成単位がある。また、無水マレイン酸系高分子物質は、市販品を用いてもよく、例えば、G.A.F.コーポレーション社のGANTREZ ANシリーズなどが挙げられる。
アルコール:水の含有質量比は、100:0.1〜150であることが好ましく、100:0.8〜80であることがより好ましい。アルコール:水の含有質量比が上記範囲内である溶液を用いることによって、無水マレイン酸が完全に開環してアルコールによるエステル化が完全に進行しやすく、また、構成単位(a)と構成単位(b)との含有質量比を本発明のマレイン酸系高分子物質の範囲内に制御することが容易となるため好ましい。炭素数1〜24の直鎖または分岐鎖のアルコールとしては、エステル化する上記構成単位(a)中のRに対応するアルコールを用いればよい。
反応の際に用いる無水マレイン酸系高分子物質と、混合溶液との質量比は、反応が進行するように適宜設定すればよいが、通常、質量比で、無水マレイン酸系高分子物質:混合溶液=100:50〜5000程度である。
マレイン酸系高分子物質を得るためのエステル化反応および加水分解反応は、アルコールおよび水の混合溶液を用いて、無水マレイン酸系高分子物質を加熱還流することにより得られる。還流条件は、用いる溶媒(アルコール)によって適宜選択されるが、反応を十分に進行させるためには、5〜120時間還流させることが好ましい。また、還流の際の温度は用いるアルコールおよび水の種類および含有質量比によって適宜設定されるが、50〜100℃程度であることが好ましい。
2.工程(2)
本工程では、反応性官能基を有する化合物を含む溶液(塗布溶液)で医療用具を構成する基材を処理して、該基材の少なくとも表面に反応性官能基が存在する下地層を形成する。
反応性官能基を有する化合物を含む溶液による医療用具を構成する基材(基材)の処理方法は、特に制限されないが、反応性官能基を有する化合物を含む溶液を基材に塗布する方法が使用できる。ここで、塗布方法としては、ディップコーティング(浸漬法)、噴霧、スピンコーティング、滴下、ドクターブレード、刷毛塗り、ロールコーター、エアーナイフコート、カーテンコート、ワイヤーバーコート、グラビアコート、混合溶液含浸スポンジコート等、従来公知の方法を適用することができる。また、塗布溶液中の反応性官能基を有する化合物の濃度は、反応性官能基を有する化合物が次工程(3)で十分量のマレイン酸系高分子物質と共有結合できる量存在すれば特に制限されない。次工程(3)での十分量のマレイン酸系高分子物質との反応性、マレイン酸系高分子物質による被覆量などを考慮すると、塗布溶液中の反応性官能基を有する化合物の濃度は、0.5〜10重量%であることが好ましく、2〜5重量%であることがより好ましい。
塗布溶液を調製するための溶媒としては、反応性官能基を有する化合物を溶解できるものであれば特に制限されず、使用される反応性官能基を有する化合物の種類によって適宜選択できる。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸ブチル、酢酸エチル、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のエステル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、ブタン、ヘキサン等のアルカン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、ジクロロエタン、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコール系溶媒などが挙げられる。上記溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。上記溶媒は、基材が高分子材料(樹脂)製である場合、または下記に詳述するが基材の表面に予め高分子材料からなる層(基材表面層)が形成されている場合には、これらを溶解ないし膨潤させて、被覆層の被着強度を向上させ、(通常条件及び過酷な条件下での)潤滑性をより長期間維持できる。
塗布溶液は、反応性官能基を有する化合物以外の他の添加剤を含んでもよい。ここで、他の添加剤は、特に制限されないが、例えば、高分子材料、薬剤などが挙げられる。ここで、高分子材料としては、上記基材を構成(形成)する材料で例示された高分子材料が同様にして例示できる。これらのうち、下地層の形成のしやすさなどを考慮すると、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。また、薬剤は、医療用具の留置部位、適用される疾患などによって、適宜選択できる。ここで、他の添加剤の塗布溶液における濃度は、特に制限されないが、下地層の形成しやすさなどを考慮すると、0.5〜15重量%であることが好ましく、2〜10重量%であることがより好ましい。
塗布溶液による基材の処理条件は、基材の所望の表面に反応性官能基を導入できる条件であれば特に制限されない。具体的には、塗布溶液で基材を、0〜50℃で1秒〜48時間塗布することが好ましい。
また、特に、金属材料、ガラス材料、セラミックス材料等を基材とするときには、下地層を形成する前に、高分子材料からなる層(基材表面層)を予め基材表面に形成することが好ましい。これにより、基材と下地層とをより強固に密着でき、被覆層の被着強度を向上させることができる。ここで、高分子材料の種類は、特に制限されず、基材の種類によって適宜選択できる。具体的には、高分子材料としては、上記基材を構成(形成)する材料で例示された高分子材料が同様にして例示できる。これらのうち、潤滑性持続効果、下地層との密着性などを考慮すると、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。ここで、高分子材料からなる層を予め基材表面に形成する場合の、高分子材料からなる層の厚みは、特に制限されないが、潤滑性持続効果、下地層との密着性などを考慮すると、1〜70μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましい。
上記したようにして塗布溶液で基材を塗布した後は、塗膜を乾燥して、下地層を基材上に形成する。ここで、乾燥条件は、下地層が形成できる条件であれば特に制限されない。例えば、乾燥温度は、室温(25℃)〜80℃程度であることが好ましい。また、乾燥時間は、5分〜48時間程度であることが好ましい。
3.工程(3)
本工程では、上記工程(2)で得られた下地層を有する基材(基材/下地層)を、マレイン酸系高分子物質で処理して、反応性官能基とマレイン酸系高分子物質とを共有結合させて、下地層上にマレイン酸系高分子物質を含む樹脂被覆層を形成する。
ここで、マレイン酸系高分子物質による基材/下地層の処理方法は、特に制限されないが、マレイン酸系高分子物質を含む溶液(被覆層形成溶液)を基材に塗布する方法が使用できる。ここで、塗布方法としては、ディップコーティング(浸漬法)、噴霧、スピンコーティング、滴下、ドクターブレード、刷毛塗り、ロールコーター、エアーナイフコート、カーテンコート、ワイヤーバーコート、グラビアコート、混合溶液含浸スポンジコート等、従来公知の方法を適用することができる。また、被覆層形成溶液中のマレイン酸系高分子物質の濃度は、十分量のマレイン酸系高分子物質による被覆層が形成できる濃度であれば特に制限されない。マレイン酸系高分子物質による被覆量などを考慮すると、被覆層形成溶液中のマレイン酸系高分子物質の濃度は、0.1〜15重量%であることが好ましく、0.5〜10重量%であることがより好ましい。このような濃度であれば、医療用具(被覆層)は、優れた通常条件下での湿潤時の潤滑性、過酷な条件下での湿潤時の潤滑性および潤滑維持性を発揮できる。
被覆層形成溶液を調製するための溶媒としては、マレイン酸系高分子物質を溶解できるものであれば特に制限されず、使用されるマレイン酸系高分子物質の種類によって適宜選択できる。具体的には、上記工程(2)で記載された溶媒と同様の溶媒が使用できる。これらのうち、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン等が好ましい。これらの溶媒は、基材/下地層に存在する反応性官能基とほとんどまたは全く反応せず、また、基材/下地層に対して適度な溶解性や膨潤性を有する。なお、上記溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
被覆層形成溶液は、マレイン酸系高分子物質以外の他の添加剤を含んでもよい。ここで、他の添加剤は、特に制限されないが、例えば、高分子材料、薬剤などが挙げられる。ここで、高分子材料としては、上記基材を構成(形成)する材料で例示された高分子材料が同様にして例示できる。また、薬剤は、医療用具の留置部位、適用される疾患などによって、適宜選択できる。ここで、他の添加剤の被覆層形成溶液における濃度は、特に制限されないが、被覆層の形成しやすさなどを考慮すると、0.5〜15重量%であることが好ましく、2〜10重量%であることがより好ましい。
被覆層形成溶液による基材/下地層の処理条件は、基材/下地層上に適量のマレイン酸系高分子物質の被覆層が形成できる条件であれば特に制限されない。具体的には、被覆層形成溶液で基材/下地層を、0℃〜80℃で1秒〜48時間塗布することが好ましく、10〜30℃で1秒〜1時間塗布することがより好ましい。
上記したようにして被覆層形成溶液で基材/下地層を塗布した後は、塗膜を乾燥して、被覆層を基材/下地層上に形成する。ここで、乾燥条件は、被覆層が形成できる条件であれば特に制限されない。例えば、乾燥温度は、室温(25℃)〜80℃程度であることが好ましい。また、乾燥温度は、5分〜48時間程度であることが好ましい。
4.工程(4)
本工程では、上記工程(3)で得られた下地層及び樹脂被覆層を有する基材をアルカリ処理する。アルカリ処理により、上記工程(1)のエステル化反応および加水分解反応で得られた被覆層中のマレイン酸系高分子物質中のカルボキシル基(−COOH)及びエステル部分(−COOR)の少なくとも一部がカルボン酸塩(−COOX)に変換する。アルカリ処理により、マレイン酸系高分子物質が体液や血液と接触すると、マレイン酸系高分子物質中のカルボン酸塩が体液や血液で膨潤してゲル化して、優れた潤滑性を発揮できる。
上記アルカリ処理において、アルカリ溶液を調製するために使用されるアルカリは、特に制限されず、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化リチウム、ナトリウム、アンモニア等が挙げられる。これらのうち、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウムであることが好ましく、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムであることが特に好ましい。
また、上記アルカリを溶解するための溶媒は、特に制限されないが、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、クロロホルム等のハロゲン化物、ブタン、ヘキサン等のアルカン類、テトラヒドロフラン、ブチルエーテル等のエーテル類、ベンゼン、トルエン等の芳香族類、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド類などが挙げられる。上記溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
アルカリ溶液は、アルカリ以外に他の成分を含んでもよい。ここで、他の成分としては、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、塩化リチウム、臭化リチウム、氷、スクロースなどが挙げられる。好ましくは塩化ナトリウムである。他の成分の好ましい濃度は、特に制限されないが、アルカリ溶液中、好ましくは0.01〜10重量%の濃度となるような量である。
アルカリ溶液のpHは特に限定されるものではないが、7〜14であることが好ましい。加水分解およびエステル化反応を経たアルカリ処理前のマレイン酸系高分子物質は、マレイン酸由来の構成単位中にマレイン酸由来のカルボキシル基を多く有するため、緩和なアルカリ条件で多くのカルボン酸塩を有することとなる。このため、エステル部分がアルカリ処理によりカルボン酸塩となる強アルカリ条件下でのアルカリ処理を行わなくとも良好な潤滑性を有する。このため、アルカリ溶液のpHは7以上10未満であることがより好ましい。
また、下地層及び樹脂被覆層を有する基材のアルカリ溶液への浸漬条件は特に限定されるものではないが、一条件を示すと、浸漬温度は、25〜70℃であることが好ましく、30〜65℃であることがより好ましく、40〜60℃であることが特に好ましい。下地層及び樹脂被覆層を有する基材のアルカリ溶液への浸漬時間は、0.1〜20時間であることが好ましく、0.5〜14時間であることよりが好ましい。
上記アルカリ処理後に、必要であれば、洗浄工程を行ってもよい。当該洗浄工程により、アルカリ処理によるカルボキシル基(−COOH)及びエステル部分(−COOR)からカルボン酸塩(−COOX)への変換を容易に終了することができる。ここで、洗浄条件は、特に制限されない。例えば、洗浄工程に使用できる洗浄液(溶媒)としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、クロロホルム等のハロゲン化物、ブタン、ヘキサン等のアルカン類、テトラヒドロフラン、ブチルエーテル等のエーテル類、ベンゼン、トルエン等の芳香族類、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド類などが挙げられる。上記溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。また、洗浄液の温度は、好ましくは0〜70℃であり、より好ましくは20〜65℃である。洗浄時間は、0.1〜120分間であり、より好ましくは0.5〜120分間である。
上記アルカリ処理または洗浄工程後に、必要であれば、下地層及び樹脂被覆層を有する基材を乾燥する。ここで、乾燥条件は、アルカリ処理または洗浄工程後の基材、下地層及び樹脂被覆層を十分乾燥できる条件であれば、特に制限されない。例えば、乾燥温度は、室温(25℃)〜80℃程度であることが好ましい。また、乾燥温度は、5分〜48時間程度であることが好ましい。
上記したようにして得られた医療用具では、マレイン酸系高分子物質が反応性官能基と共有結合して被覆層が生体内に挿入される基材の表面に形成される。一方、本発明の医療用具のうち、生体内に挿入されない部位には、非潤滑性処理が施されてもよい。ここで、非潤滑性処理としては、特に制限されないが、例えば、特開平4−144567号公報に記載されるイソシアネート化合物を使用する方法が好適に使用できる。イソシアネート化合物は、マレイン酸系高分子物質にグラフトしたり、一部これを架橋したりして、これを非潤滑化するものであると考えられる。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いる場合があるが、特に断りがない限り、「重量部」あるいは「重量%」を表す。また、特記しない限り、各操作は、室温(25℃)で行われる。
(実施例1)
メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体(商品名:GANTREZ AN−169 G.A.F.社製)12gをエタノール85g−蒸留水0.7gの混合溶液中に入れ、24時間、78℃で還流させた。還流液冷却後ヘキサン中に入れ、析出した沈殿物を採取し、随時粉砕しながら70℃、減圧下で3日間乾燥させメチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体の反応物(以下、メチルビニルエーテル−マレイン酸系共重合体とする)を得た(収量9g)。得られたメチルビニルエーテル−マレイン酸系共重合体のエステル化度(マレイン酸由来の構成単位中のエステル部分の割合)をNMRで測定したところ49%であった(構成単位(a):構成単位(b)のモル比=100:2)。加水分解およびエステル化反応は完全に進行し、メチルビニルエーテル−マレイン酸系共重合体中のマレイン酸由来の構成単位は、構成単位(a)および構成単位(b)のみであった。
なお、NMRの測定条件は下記のとおりである。
NMR機器:Varian製Unity Plus NMR Spectrometer
共鳴周波数:399.897 MHz
積算:8回
測定溶媒:Acetone−d6
基準ピーク:2.04 ppm(Acetone−d6中の残留プロトン)
試料濃度:10mg/0.75mL Acetone−d6
さらに、下記構造の(1)、(2)の2プロトン分の積分値A(δ3.2〜2.8ppm)と、(3)の2プロトン分の積分値B(δ4.25〜4.0ppm)を用い、エステル化度=(B/2/A)×100(%)を算出した。
外径0.25mmのNi−Ti製ワイヤに、熱可塑性ポリウレタン樹脂をコートし、外径0.3mmとした。次に、このポリウレタン樹脂をコートしたワイヤをポリ塩化ビニル(PVC)及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)のテトラヒドロフラン(THF)溶液(各濃度=5重量%)に室温(25℃)で1秒間浸漬し、室温(25℃)で30分間乾燥させた。
さらに、上記で得られたメチルビニルエーテル−マレイン酸系共重合体(エステル化度49%)の1重量%THF溶液中に室温(25℃)で1秒間浸漬し、約60℃で12時間乾燥させた。
次いで、NaClを0.1重量%、NaHCOを0.05重量%溶解した約60℃の温水中(pH8.2)に30分間浸漬し、次いで約60℃の温水で1分間洗浄し、室温(25℃)で乾燥し、医療用具(1)を得た。
実施例2
メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体(商品名:GANTREZ AN−169 G.A.F.社製)12gをエタノール83g−蒸留水3.2gの混合溶液中に入れ、24時間還流させた。実施例1と同様に処理してメチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体の反応物を得た(収量11g)。得られたメチルビニルエーテル−マレイン酸系共重合体のエステル化度(マレイン酸由来の構成単位中のエステル化度)をNMRで測定したところ46%であった(構成単位(a):構成単位(b)のモル比=100:8.7)。加水分解およびエステル化反応は完全に進行し、メチルビニルエーテル−マレイン酸系共重合体中のマレイン酸由来の構成単位は、構成単位(a)および構成単位(b)のみであった。
得られたメチルビニルエーテル−マレイン酸系共重合体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、医療用具(2)を得た。
実施例3
メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体(商品名:GANTREZ AN−169 G.A.F.社製)12gをエタノール80g−蒸留水6.3gの混合溶液中に入れ、24時間還流させた。実施例1と同様に処理してメチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体の反応物を得た(収量8g)。得られたメチルビニルエーテル−マレイン酸系共重合体のエステル化度(マレイン酸由来の構成単位中のエステル化度)をNMRで測定したところ43%であった(構成単位(a):構成単位(b)のモル比=100:16.3)。加水分解およびエステル化反応は完全に進行し、メチルビニルエーテル−マレイン酸系共重合体中のマレイン酸由来の構成単位は、構成単位(a)および構成単位(b)のみであった。
得られたメチルビニルエーテル−マレイン酸系共重合体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、医療用具(3)を得た。
実施例4
メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体(商品名:GANTREZ AN−169 G.A.F.社製)12gをエタノール53g−蒸留水41gの混合溶液中に入れ、24時間還流させた。還流液冷却後ジエチルエーテル中に入れ、析出した沈殿物を採取し、随時粉砕しながら70℃、減圧下で3日間乾燥させメチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体の反応物を得た(収量8g)。得られたメチルビニルエーテル−マレイン酸系共重合体のエステル化度(マレイン酸由来の構成単位中のエステル化度)をNMRで測定したところ35%であった(構成単位(a):構成単位(b)のモル比=100:42.9)。加水分解およびエステル化反応は完全に進行し、メチルビニルエーテル−マレイン酸系共重合体中のマレイン酸由来の構成単位は、構成単位(a)および構成単位(b)のみであった。
得られたメチルビニルエーテル−マレイン酸系共重合体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、医療用具(4)を得た。
比較例1
メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体のハーフエチルエステル(エステル化度約50%)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較医療用具(1)を得た。
比較例2
メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体(商品名:GANTREZ AN−169 G.A.F.社製)12gをエタノール38g−蒸留水60gの混合溶液中に入れ、24時間還流させた。実施例1と同様に処理してメチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体の反応物を得た(収量8g)。得られたメチルビニルエーテル−マレイン酸系共重合体のエステル化度(マレイン酸由来の構成単位中のエステル化度)をNMRで測定したところ30%であった(構成単位(a):構成単位(b)のモル比=100:66.6)。加水分解およびエステル化反応は完全に進行し、メチルビニルエーテル−マレイン酸系共重合体中のマレイン酸由来の構成単位は、構成単位(a)および構成単位(b)のみであった。
得られたメチルビニルエーテル−マレイン酸系共重合体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較医療用具(2)を得た。
比較例3
メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体(商品名:GANTREZ AN−169 G.A.F.社製)12gをエタノール85gの溶液中に入れ、3.5時間還流させた。還流液冷却後ヘキサン中に入れ、析出した沈殿物を採取し、随時粉砕しながら70℃、減圧下で3日間乾燥させメチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体の反応物を得た(収量10g)。得られたメチルビニルエーテル−マレイン酸系共重合体のエステル化度(マレイン酸由来の構成単位中のエステル化度)をNMRで測定したところ40%であった。しかしながら、この共重合体は、加水分解およびエステル化反応が完全には進行せず、メチルビニルエーテル−マレイン酸系共重合体中のマレイン酸由来の構成単位は、構成単位(a)、構成単位(b)の他、構成単位(c)を含むものであった。
得られたメチルビニルエーテル−マレイン酸系共重合体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較医療用具(3)を得た。
上記実施例1〜4で作製された医療用具(1)〜(4)及び比較例1〜3で作製された比較医療用具(1)〜(3)について、下記試験を行い、通常の環境下での膨潤性、過酷な条件下での膨潤性および表面潤滑性を評価した。その結果を下記表2に示す。
(通常環境下での膨潤性の評価)
各医療用具を蒸留水中に、25℃で1分間浸漬し、十分膨潤させた後、顕微鏡にて膜厚(μm)を測定する。測定された膜厚によって、下記のとおりに分類する。なお、この膜厚が20μm以上(下記表2中の「○」)であれば、その医療用具は十分な潤滑性を発揮できると判定される。
(過酷な条件下での膨潤性の評価)
各医療用具について、下記表1に示される条件で温湿度サイクル試験を行った。温湿度サイクル試験後の各医療用具を蒸留水中に、25℃で1分間浸漬し、十分膨潤させた後、顕微鏡にて膜厚(μm)を測定する。測定された膜厚によって、上記(通常の環境下での膨潤性の評価)と同様にして分類する。なお、この膜厚が20μm以上(下記表2中の「○」)であれば、その医療用具は十分な潤滑性を発揮できると判定される。
表2から、マレイン酸由来の構成単位が、前記構成単位(a)および前記構成単位(b)のみからなり、前記構成単位(a):構成単位(b)のモル比が100:2〜100:50の範囲内であるマレイン酸系高分子物質を用いた実施例1〜4の医療用具(1)〜(4)は、通常の環境下(室温)及び過酷な条件下(温湿度サイクル試験後)双方において、膨潤時膜厚は20μm以上と良好な潤滑性を示すことが分かる。これに対して、無水マレイン酸由来の構成単位(c)を含む無水マレイン酸のハーフエステルであるマレイン酸系高分子物質を用いた比較例1の比較医療用具(1)では、通常環境下での膨潤時膜厚は20μm以上と良好な潤滑性を示すものの、過酷な条件下(温湿度サイクル試験後)では、膨潤時膜厚は20μm未満となり、潤滑性が許容範囲より劣ることが分かる。また、構成単位(a):構成単位(b)のモル比が100:50を超えるマレイン酸系高分子物質を用いた比較例2の比較医療用具(2)および構成単位(a)、構成単位(b)および構成単位(c)を含むマレイン酸系高分子物質を用いた比較例3の比較医療用具(3)では、通常環境下での膨潤時膜厚も20μm未満となり、潤滑性が許容範囲より劣ることが分かる。
(表面潤滑性の評価)
温湿度サイクル試験を行った各医療用具(以下、単に「サンプル」とも略記する)について、下記方法にしたがって、図1に示される摩擦測定機(トリニティーラボ社製、ハンディートライボマスターTL201)10を用いて、表面潤滑層の潤滑性を評価した。
すなわち、温湿度サイクル試験後の上記各サンプル3をシャーレ2中に固定し、サンプル3全体が浸る高さの水1中に浸漬した。このシャーレ2を、図1に示される摩擦測定機10の移動テーブル6に載置した。円柱状ブチルゴム端子(φ=7mm)4をサンプル3に接触させ、端子4上に70gの荷重5をかけた。速度10m/秒、移動距離25mmの設定で、移動テーブル6を水平に5回往復移動させ、5往復目の摺動抵抗値(gf)を測定した。結果を図2に示す。
図2から、マレイン酸由来の構成単位が、前記構成単位(a)および前記構成単位(b)のみからなり、前記構成単位(a):構成単位(b)のモル比が100:2〜100:50の範囲内であるマレイン酸系高分子物質を用いた実施例1〜4の医療用具(1)〜(4)は、過酷な条件下(温湿度サイクル試験後)において、無水マレイン酸由来の構成単位(c)を含む無水マレイン酸のハーフエステルであるマレイン酸系高分子物質を用いた比較例1の比較医療用具(1)、構成単位(a):構成単位(b)のモル比が100:50を超えるマレイン酸系高分子物質を用いた比較例2の比較医療用具(2)あるいは構成単位(a)、構成単位(b)および構成単位(c)を含むマレイン酸系高分子物質を用いた比較例3の比較医療用具(3)と比較して、医療用具表面に優れた潤滑性を付与できると、考察される。
本出願は、2013年9月2日に出願された日本特許出願番号2013−181452号に基づいており、その開示内容は、参照され、全体として、組み入れられている。

Claims (6)

  1. 基材の表面にマレイン酸系高分子物質を含む樹脂被覆層を設けてなる生体内に挿入される医療用具であって、
    前記樹脂被覆層は、前記マレイン酸系高分子物質を、前記医療用具を構成する基材の少なくとも表面に存在する反応性官能基と共有結合させることにより形成され、
    前記マレイン酸系高分子物質は、マレイン酸由来の構成単位を含み、前記マレイン酸由来の構成単位は、下記構成単位(a)および下記構成単位(b)からなり、前記構成単位(a):構成単位(b)のモル比が100:2〜100:50である、医療用具。
    式中、X〜Xは、それぞれ独立して、水素、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属を表し、Rは、炭素原子数1〜24の直鎖または分岐鎖のアルキル基を表す。
  2. 前記X〜Xのうち少なくとも1つはアルカリ金属である、請求項1に記載の医療用具。
  3. 前記反応性官能基は、イソシアネート基、アミノ基、アルデヒド基またはエポキシ基である、請求項1または2に記載の医療用具。
  4. 前記マレイン酸系高分子物質は、アルキルビニルエーテル−マレイン酸エステル共重合体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の医療用具。
  5. 炭素数1〜24の直鎖または分岐鎖のアルコールおよび水を含有し、前記アルコール:水の含有質量比が100:0.1〜150である溶液と、無水マレイン酸系高分子物質と、を反応させて、マレイン酸由来の構成単位を含むマレイン酸系高分子物質を得る段階と、
    反応性官能基を有する化合物を含む溶液で医療用具を構成する基材を処理して、該基材の少なくとも表面に反応性官能基が存在する下地層を形成する段階と、
    前記下地層が形成された基材を前記マレイン酸系高分子物質で処理して、前記反応性官能基と前記マレイン酸系高分子物質とを共有結合させて、前記下地層上にマレイン酸系高分子物質を含む樹脂被覆層を形成する段階と、を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医療用具の製造方法。
  6. さらに、前記下地層及び樹脂被覆層を有する基材をアルカリ処理する段階を有する、請求項5に記載の方法。
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